しるしを有するボーリングボール及びその作成方法
【課題】しるしやロゴなどを外層に設けたボーリング用ボールにおいて、しるしやロゴなどを設けたことによるボールの耐久性低下、重量バランス変化、プレイ性の低下、コストアップを防ぐ事が可能なボーリング用ボール、および製造方法を提供する。
【解決手段】ボウリングボールを製造する方法であって、内壁を備えた外殻を有する型を提供する段階と、型の外殻の内壁に当接させて型内にしるし部材を置く段階と、しるし部材20のまわりに材料をモールド形成してボウリングボールを形成する段階とを含む方法。及び、コアと、少なくとも1本のポスト40と外側部材を有する予成形されたしるしと、コアと予成形されたしるしと隣接した外側層とを備え、予成形されたしるしは、少なくとも1本のポストによってコアに取り付けられ、コアと予成形されたしるしの外側部材との間に隙間があり、隙間が外側層と同じ材料で満たされたボーリングボール。
【解決手段】ボウリングボールを製造する方法であって、内壁を備えた外殻を有する型を提供する段階と、型の外殻の内壁に当接させて型内にしるし部材を置く段階と、しるし部材20のまわりに材料をモールド形成してボウリングボールを形成する段階とを含む方法。及び、コアと、少なくとも1本のポスト40と外側部材を有する予成形されたしるしと、コアと予成形されたしるしと隣接した外側層とを備え、予成形されたしるしは、少なくとも1本のポストによってコアに取り付けられ、コアと予成形されたしるしの外側部材との間に隙間があり、隙間が外側層と同じ材料で満たされたボーリングボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年10月6日に出願された「Bowling Ball with Indicia and Method Therefor」と題する米国仮出願番号61/102,949に対する優先権を主張し、この出願の開示全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用するものであり、また2008年6月12日に出願された「Bowling Ball with Engraving and Method Therefor」と題する米国仮出願番号61/060,910に対する優先権を主張し、この出願の開示全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用するものである。
【0002】
本発明は、ボウリングボールに関し、詳細には、ボウリングボールの表面上のしるし及び係るしるしを有するボウリングボールを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ボウリングボールは長年存在している。一般的に言うと、ボウリングボールに必要なものは、外側層と、通常はコアと、最後に親指用と他の指用の穴だけであるが、ボウリングボールの多くの製造業者と販売業者は、ボウリングボールの外側カバー、即ち「化粧板」の外側面に一以上の視覚的しるしを付けることを望む。視覚的しるしには様々なものがあるが、ごく一般的には、ボウリングボールのブランド又はモデルの名前及び/又はロゴがある。
【0004】
ボウリングボール上にしるしを付ける現在の方法又は従来の方法は、完成ボールを形成し、次にボールの表面の一部分を彫刻するかエッチングし、彫刻部分又はエッチング部分にボールの表面と異なる色の物質を充填するステップを含む。充填されたしるしは、一連の細い線である。充填材は、多くの場合、ボールの外側層と異なる物質であり、重量分布問題、充填材のひび割れ又は破損、面の凹凸、及び/又はボールが転がっている間のレーン面との接触摩擦の変化を引き起こす可能性がある。また、エッチングが失敗した場合は、ボール全体が無駄になる場合がある。また、エッチング領域又は彫刻領域に充填するプロセスは、充填材と彫刻部分の間に空気を閉じ込め、ボールが使用されるときに問題を引き起こす可能性がある。
【0005】
ボールの表面にしるしを付ける別の方法は、無色又は有色の透明材料製の「窓」を設け、この窓の物質の下にフラットスクリーン印刷を設けることである。これにより、人は、ボールの表面まで広がる透明部分を通して、その下のフラットスクリーン印刷されたしるしを見ることができる。しかしながら、この窓は、通常、ボールの外側層に使用される物質と同じものではない。そのような窓付きボールには、通常、コアのスクリーン印刷が設けられる部分に平坦面が形成されるため重量分布の問題がある。また、そのような方法では、ボウリングボールが、脆く不安定になり通常の耐久性についての条件を満たすことができず、この方法は、一般に、視覚的外観及び表示だけに使用される。また、追加のしるしを必要とする場合、ボールは、通常、前述の彫刻を含み、ボールを製造する工程と費用が更に増える。
【0006】
別の方法は、ボールの外側面に見える単純な位置決めピンを使用する。そのようなピンは、コアと隣接又は接触する場合もしない場合もあり、小さく単純な形に形成され、単に穴開けの基準点としてボール内のコアの位置を伝えるように設計される。
【0007】
これらの方法は、ボールを製造するために必要な工程に追加の工程を必要とし、そのような追加の工程には、エッチング、エッチング部即ちキャビティの充填、穴開け、コアの一部分の切除、ボールのコア又は外側層への複数の部材片の取り付け、及びボウリングボールの再研磨又は再研削がある。また、これらの方法では、ボウリングボールのプレイ性と耐久性の問題が生じる。
【0008】
従って、これらの工程を全く必要とせず、ボールの適切な重量分布を維持しながら表面にしるしを有する費用効果の高いボウリングボールを容易に作成することができるような方法が望ましい。更に、この方法は、必要に応じて、太い線と塗り潰し色付き領域を有するしるしを有するボウリングボールを作成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一様相は、ボウリングボールを製造する方法である。この方法は、内壁を備えた外殻を有する型を提供する段階と、外殻の内壁に当接させて型内にしるし部材を置く段階と、しるし部材のまわりに材料をモールド成型してボウリングボールを形成する段階とを含む。
【0010】
本発明の別の様相は、コアと、少なくとも1本のポストと外側部材とを有する予成形されたしるしと、コア及び予成形されたしるしに隣接した外側層とを有するボウリングボールである。予成形されたしるしは、少なくとも1本のポストによってコアに取り付けられ、コアと予成形されたしるしの外側部材との間に隙間がある。
【0011】
本発明の更に別の様相は、内壁を備えたキャビティを有する製造機械を提供する段階と、ボールコアを提供する段階と、表面図形を形成する段階と、ボールコアと表面図形をキャビティ内に入れる段階と、コアと表面図形のまわりにカバーストックを形成する段階と、カバーストック材料を除去して表面図形をボウリングボールの外側面にしるしとして露出させる段階とを含むボウリングボールを製造する方法である。
【0012】
本発明の更に別の様相は、熱可塑性プラスチック又は熱硬化性プラスチックの図形を形成する段階と、図形を型キャビティに挿入する段階と、図形がキャビティ内にある間に図形のまわりにカバーストックを形成する段階と、カバーストックから材料を除去して図形を露出させる段階とを含むボウリングボールを製造する方法である。
【0013】
本発明の更に別の様相は、ボウリングボールを製造する別の方法である。この方法は、ボウリングボールコアを提供する段階と、予成形されたしるしをコアから浮かせた状態で保持する段階と、コアと予成形されたしるしのまわりにカバーをモールド成形する段階とを含む。
【0014】
本発明の上記及びその他の特徴、利点及び目的は、当業者であれば、以下の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面を参照することによって更に良く理解できるであろう。
【0015】
添付図面では、類似の参照数字が、図面全体に亘って同一又は機能的に類似の要素を指し、以下の詳細な説明と共に本明細書に組み込まれその一部を構成し、様々な実施形態を更に詳しく説明し、本発明による全ての様々な原理及び利点を説明する役割をする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ボウリングボールの断面立面図である。
【図2】本発明で使用するしるし部材の底面図である。
【図3】図2のしるし部材の側面図である。
【図4】図2のしるし部材の図3で部分IVとして示された部分の側面図である。
【図5】ボウリングボールコアの一部分と図2のしるし部材の側面図である。
【図5A】しるし部材を有するボウリングボールの部分断面図である。
【図6】本発明で使用するしるし部材の斜視図である。
【図7】図6のしるし部材の裏当て部材の立面図である。
【図8】図6のしるし部材の裏当て部材の代替実施形態の正面図である。
【図9】図6のしるし部材の側面図である。
【図10】しるし部材の一部分の上面図である。
【図11】図10に示したしるし部材の一部分の断面側面図である。
【図12】ボウリングボールコアの一部分と図6のしるし部材の側面図である。
【図13】しるし部材を示す本発明のボウリングボールの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当業者であれば、図内の要素が、単純化且つ明瞭化のために示され、必ずしも同じ縮尺で描かれていないことが分かるであろう。例えば、図内の要素のうちの幾つかの寸法は、本発明の実施形態の理解を容易にするのに役立つように他の要素に対して誇張される場合がある。
【0018】
本明細書での説明のために、用語「外側」、「内側」、「上側」、「下側」、及びこれらの派生語は、図3の向きの実施形態についてのものである。しかしながら、そうでないことが明示されている場合を除き、本発明が、様々な他の向き及び工程順序をとり得ることを理解されたい。また、添付図面に示され以下の説明で述べる特定の装置及びプロセスが、発明的概念の例示的な実施形態であることを理解されたい。従って、本明細書に開示した実施形態に関連する特定の寸法や他の物理的特性は限定と見なされるべきでない。
【0019】
図1は、標準的なボウリングボール10を示す。ボウリングボール10は、コア12と外側層14を有する。完全に仕上がって使用の準備ができた後で、製造業者又はユーザは、ボウリングボール10の外側層14に一個以上の親指用と他の指用の穴(図示せず)を開ける。
【0020】
本発明の好ましいボウリングボールは、しるし部材も有する。しるし部材は、予成形されることが好ましく、図2から図4に概略的に示される。第1の実施形態のしるし部材は、参照数字20によって示される。しるし部材20は、2個の汎用部品を有し、しるし部材がコア12から一定の距離の面になり且つ外側面23が同じ曲率の外側層を有するように、ボールと実質的に同じ曲率を有するように湾曲されることが好ましい。
【0021】
第1の汎用部品は、しるし部材20の基本構造及び基礎を提供する裏当て部材22である。裏当て部材22は、デザイン部材24を適切に保持することができるように形成されることが好ましい。デザイン部材24は、しるし部材20の第2の汎用部品であり、裏当て部材22に取り付けられる。裏当て部材22の形状と構成は、しるし部材20の形状と構成に大きく依存する。裏当て部材22は、キャスティング中又はモールド成形中の空気閉じ込めを減少させるか又は無くすように構成されることが好ましい。これを達成する一方法は、裏当て部材22をハニカム構造等の格子形に作成することである。(図2を参照)。この実施形態では、裏当て部材22が、図4で分かるように少なくとも部分的に丸くされることが好ましい。裏当て部材22に丸みをつけることにより、ボウリングボールの製造中に気泡が裏当て部材22を通り抜けやすくなり、それにより完成したボウリングボール内に気泡が閉じ込められにくくなる。
【0022】
裏当て部材22は、長方形、正方形、円形、ハニカム形、規則的又は不規則的な他の形状に構成することができる。これらの形状は、単一線、複数線、又は一個以上の材料の固体ブロックでよい。裏当て部材22のサイズと形状は、所望のしるしに使用されるサイズ、形状、及び材料に依存し、また完成したボウリングボール10内の空気閉じ込めを減少させるか又は無くすために使用される。
【0023】
以上の述べたように、しるし部材20は、デザイン部材24を有する。デザイン部材24は、裏当て部材22に取り付けられ、デザイン部材24の外側面23は、少なくとも基本的に、ボウリングボール10が形成され研磨された後でボーリングボール10のしるしとして見えるものである。デザイン部材24は、ボール10の外側層14内にくさびを作成するように様々な箇所でボールの表面から下方にテーパが付けられるであろう。(図5Aを参照)。このくさびは、しるし部材20をボール内に保持し易くし、また閉じ込め空気を除去し易くする。また、デザイン部材24は、接着性、空気閉じ込め除去の必要性、及び所望される最終外観により、直線的な壁で取り囲まれるか、ボールの表面に向かって上方にテーパが付けられた壁を備える。
【0024】
最初に形成されるときに、デザイン部材24の外側面23は複数の突起部27を有することが望ましい。(図3と図4を参照)。突起部27は、デザイン部材24の外側面23を型の内側から離間させることによって、ボール10の製造中の空気閉じ込めを無くすのに役立つ。しるし部材20は、突起部27がある場合もない場合も、ボールの製造中においてコアの完全なセンタリングを保証するのに役立つ。突起部27は、仕上げ工程でボウリングボールから除去される。また、後でより詳しく述べるように、デザイン部材24の外側面23は、空気閉じ込めを除去し易くするために、製造工程中に、しるし部材20の外側面の上又はしるし部材20の表面の下に溝、線、又は他の隆起形状を形成してもよい。
【0025】
しるし部材20は、予成形、即ちボールの製造前に成形されるのが好ましく、機械加工(フライス加工又はツーリング)、モールド成形、キャスティング、又はこれらの組み合わせによって成形することができる。しるし部材20が単一部品として開放成形されることが好ましいが、最初に複数部品を形成しそれらの部品を接合することによってしるし部材を形成することもできる。また、しるし部材20が、互いに近接した複数の結合されていない部品で構成されてもよいことが予測される。しるし部材20は、2体式開放成形によって形成されることが好ましく、即ち、一方の部品は、全体にデザイン部材24を形成し、他方の部品は、裏当て部材22をモールド成形する。しかしながら、しるし部材20は、しるし部材20を適切に形成するために任意数の成形体から作ることができる。成形体の数は、しるし部材20のサイズ、形状、及び色数、並びにしるし部材20を形成するために使用されるモールド成形又はキャスティング装置に依存する。しるし部材20は、密閉成形法等の他の手段によって形成されてもよい。また、しるし部材20は、部分モールド充填法等を使用することによって様々な色の材料から形成されてもよいことが予測される。
【0026】
しるし部材20は、ボウリングボール10の外側層の材料と同じ材料であることが好ましい。しかしながら、外側層14と同じ材料でなくてもよい。また、しるし部材20は、熱硬化プラスチック又は熱可塑性プラスチックであることが好ましい。より好ましくは、しるし部材20は、ビニールエステル、ウレタン、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ、ウレタン、ゴム化合物、又はこれらの内の2種以上の混合物である。使用できる特定の一物質は、ポリオールIS−20769BとイソシアネートIS−20769Aの混合物(好ましい比率は10:6)である(これらの物質は、両方ともアイオワ州マルコロムのITWC, Inc.から入手可能である)。しるし部材20は、ボール10の外側層と異なる物質で作成されてもよいが、脆くない物質で作成されなければならず、裂け、亀裂又は破壊なしにボウリングボール外側層の製造工程に耐え、一般的な量のボウリング使用に耐えることができる耐久性を有する。更に、そのような材料は、好ましくは、外側層14に使用される物質と類似の重量を有するべきである。
【0027】
また、しるし部材20は、ポスト40を有する。(図2〜図4を参照)。ポスト40は、大径の上側部分42と小径の下側部分44を有し、これらの接合部分に肩部43が形成されている。図5に示したように、しるし部材20がモールド成形され硬化及び/又は冷却されると共にコア12が形成された後、しるし部材20が、コア12に取り付けられる。しるし部材20は、しるし部材20に取り付けられた(又はその一部である)ポスト40を使用してコア12に取り付けられることが好ましい。ボウリングボールを製造する際、ポスト40の小径下側部分44は、コア12に事前に開けられた穴に挿入され、大径上側部分42の肩部43まで挿入されることが好ましい。(図5を参照)。ポスト40は、突起部27と共に、完成したボールのバランスを高めるために行われるコアのセンタリングを支援する。また、この構成によって、裏当て部材22とコア12の外側面との間に隙間ができる。この隙間は、極めて小さな寸法(隙間が存在しない場合もある)から外側層の全厚さに近い寸法までの範囲である。外側層14の製造中に、隙間は、一般に、外側層14に使用される何らかの材料で埋められる。コア12の外縁としるし部材20に下部との間の隙間によって、しるし部材20がボールの強度と耐久性に与える影響を最少にする。これは、しるし部材20を浮かした状態で支持するポスト40を除き、コア12が外側層14によってほぼ完全に包まれているためである。この構成により、外側層材料の硬化サイクル中に熱膨張と収縮によって生じるしるし部材と外側層との間の境界面への応力が著しく減少する。この応力は、しるし部材20としるし部材と隣接する外側層14材料の間に分散される。コアとしるし部材の間のこの材料層がない場合は、しるし部材20の側面におけるしるし部材と外側層材料との間の弱い境界結合のみによって膨張力と伸縮力が支持される。また、この隙間があると、しるし部材のまわりの外側層材料に亀裂が生じにくい。
【0028】
しるし部材20をコア12に取り付ける別の方法は、ホットメルト接着剤の使用によるものである。ホットメルト接着剤は、しるし部材20の裏側25に塗布できる。ホットメルトを裏側25に塗布した後で、しるし部材20をコア12に軽く押し付ける。これにより、ボールの製造中に外側層がコアとしるし部材20の上に形成されるときに、しるし部材20をコア12に接着できる。また、他のタイプの接着剤又は機械式留め具を含む他の取り付け手段を使用してしるし部材20をコア12に取り付けてもよい。また、代替として、しるし部材20は、外側層14を形成するために使用される型に取り付け、外側層14がコア12の上に形成されるときにコア12に取り付けられるようにしてもよい。
【0029】
しるし部材の第2の実施形態は、図面に参照数字120によって示される。しるし部材120は、2個の汎用部品を有する。(図6〜図9を参照)。第1の汎用部品は、しるし部材120の基本構造と基礎を提供する裏当て部材122である。裏当て部材122は、支持するために含まれる格子136を有することが好ましい。裏当て部材122は、裏当て部材122に取り付けられるデザイン部材124を十分に保持できるように、十分な数の横断部材138を有することが好ましい。裏当て部材122は、キャスティング又はモールド成形中に空気閉じ込めを減少させるか又は無くすように構成される。
【0030】
裏当て部材122は、長方形、正方形、円形、又は規則的若しくは不規則的な他の形状に構成することができる。裏当て部材122は、また、付加的な支持のために横断部材138に対して斜め方向にクロスハッチング140及び142を有してもよい。(図8を参照)。クロスハッチングを使用すべきかどうかを判定する因子は、しるし部材120の特定の設計と、デザイン部材124と裏当て部材122の両方の作成に使用した物質である。裏当て部材122のサイズ及び形状、クロスハッチングを使用するかどうか、及びクロスハッチングをどの程度使用するかは、所望のしるしのサイズ、形状、及び使用される材料、又は完成したボウリングボール10内の空気閉じ込めを減少させるか又は無くすかどうかに依存する。
【0031】
しるし部材120は、また、デザイン部材124を有する。デザイン部材124は、裏当て部材122に取り付けられ、デザイン部材124の外側面123は、少なくとも第一に、ボール10が形成され研磨された後でボウリングボール10のしるしとして見えるものである。デザイン部材124は、ボール10の外側層14内にくさびを作成するように様々な箇所でボールの表面から下方にテーパが付けられることが好ましい。(図5Aを参照)。デザイン部材24の外側面の角度は、ボールの中心に近づくに従って外側面が互いに離間するように互いに斜めであることが好ましい。このくさびは、ボール内でしるし部材120を保持するのに役立ち、また閉じ込められた空気を除去し易くすることがある。また、デザイン部材124は、接着性、空気閉じ込め除去、及び所望される最終外観により、直線的な壁、又は外方に向けてテーパが付けられた壁を有する。最初に形成されたときに、デザイン部材124の外側面123は、図3〜図4に示したような突起部又は複数の溝127(図10、図11を参照)を有することが好ましい。溝127は、キャスティング又はモールド成形工程とボール10の製造中の両方で空気閉じ込めを無くすのに役立つ。これらの溝127は、仕上げ工程中にボウリングボールから除去される。
【0032】
しるし部材120は、しるし部材20に関して前述した方法と同じように形成することができる。しるし部材120は、しるし部材20と同様に、単一部品として開放成形され、好ましくは2体式の開放成形によって形成されることが望ましい。また、しるし部材120は、他の製造方法によって形成されてもよく、例えば部分モールド充填法を使用することにより複数の色を有することができる。
【0033】
また、しるし部材120が、ボウリングボール10の外側層の材料と同じ材料であることが好ましいが、これは必須ではない。しるし部材120が形成されるとき、しるし部材120から延在するスプルー126が形成されてもよい。(図9を参照)。スプルー126又はその一部分は、後述する取り付け手段として使用される場合もあり、使用されない場合もある。
【0034】
図12に示したように、しるし部材120がモールド成形され硬化及び/又は冷却されると共にコア12が形成された後で、しるし部材120は、コア12に取り付けられる。しるし部材120は、ホットメルト接着剤を使用してコア12に取り付けられることが好ましい。ホットメルト接着剤は、しるし部材120の裏側125に付着させることができる。ホットメルトを裏側125に塗布した後で、しるし部材120はコア12に軽く押し付けられる。これにより、ボールの製造中に外側層がコアとしるし部材120の上に形成されたときにしるし部材120がコア12に接着される。スプルー126又はその一部分が、しるし部材120に取り付けられたままの場合は、しるし部材120をコア12に取り付ける手段としてスプルー126を使用することができる。スプルー126が、しるし部材120を取り付けるために使用される場合、少なくともスプルー126と同じかそれい以上の数の穴28をコア12に開けられなければならない。穴28は、各スプルー126が対応するそれぞれの穴28に収まるように位置決めされなければならない。(図12を参照)。穴28のサイズは、それぞれのスプルー126の直径と長さより僅かに大きいことが好ましい。これにより、スプルー126は、穴28にぴったりと嵌り、最少量の材料しかコア12から除去されない。コア12に穴28を開けた後で、スプルー126を穴28と位置合わせし、しるし部材120を所望の最終位置(この最終位置で、コアの外側面としるし部材120の裏側125との間の隙間が残るか、或いはしるし部材120の裏側125がコア12に接触する)に達するまで押すことによって、しるし部材120をコア12に取り付けることができる。
【0035】
しるし部材20及び120をコア12に取り付けるために、他のタイプの接着剤、ポスト又は機械式留め具を含む他の取り付け手段を使用してもよい。また、代替として、しるし部材20及び120は、外側層14を形成するために用いられる型に取り付け、コア12の上に外側層14を形成するときにコア12に取り付けられるようにしてもよい。
【0036】
しるし部材20又は120がコア12に取り付けられた後で、ボウリングボール10の外側層14が、コア12としるし部材20又は120とのまわりに形成される。外側層14は、業界及び当業者に既知の標準的手段によって形成され、一般にポリウレタンから形成される。ポリエステル、エポキシ、及び他のタイプの熱硬化性樹脂又は熱可塑性プラスチック、並びに金属や他の固体を使用することもできる。コアとしるし部材のまわりに外側層が形成された後で、ボールは、旋削、研削、研磨及び/又はつや出しによって平滑面に仕上げられ、しるし部材の外側面が見えるようにされる。(図13を参照)。しるし部材が外側層14と同時に研削され研磨されるので、しるし部材の外側面は、ボール10の外側面と同じ高さになる。同一ボールで複数のしるし部材20又は120が使用されてもよい。
【0037】
本発明の方法及びその方法により得られるボウリングボールは、幾つかの利点を有する。しるしを有するボウリングボールを作成するこの方法は、特に少ない工程数と少ないコストによって製造を容易にし、多色や複雑な形状のしるしを含む多様なしるしの可能性を有する多様なしるしの使用を可能にする。得られたボウリングボールは、外観の劣化が生じにくいだけでなく、性能の低下もない。何故なら、グリップやフック等のボウリングボールの特性や重量に影響を与えないためである。また、しるし部材20又は120が、外側層14と同じ材料又は類似の重量を有する材料なので、しるし部材20又は120が、ボール10に対する重量バランス問題を引き起こさない。
【0038】
以上の説明は、単なる好ましい実施形態の説明と考えられる。本発明の変形例は、当業者及び本発明のボーリングボールを製造又は使用する者によって想起されるものである。従って、図面に示し以上述べた実施形態は、単に例示のためであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、均等論を含む特許法の原理に従って解釈される以下の特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0039】
10 ボウリングボール
12 コア
14 外側層
20 しるし
40 ポスト
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年10月6日に出願された「Bowling Ball with Indicia and Method Therefor」と題する米国仮出願番号61/102,949に対する優先権を主張し、この出願の開示全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用するものであり、また2008年6月12日に出願された「Bowling Ball with Engraving and Method Therefor」と題する米国仮出願番号61/060,910に対する優先権を主張し、この出願の開示全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用するものである。
【0002】
本発明は、ボウリングボールに関し、詳細には、ボウリングボールの表面上のしるし及び係るしるしを有するボウリングボールを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ボウリングボールは長年存在している。一般的に言うと、ボウリングボールに必要なものは、外側層と、通常はコアと、最後に親指用と他の指用の穴だけであるが、ボウリングボールの多くの製造業者と販売業者は、ボウリングボールの外側カバー、即ち「化粧板」の外側面に一以上の視覚的しるしを付けることを望む。視覚的しるしには様々なものがあるが、ごく一般的には、ボウリングボールのブランド又はモデルの名前及び/又はロゴがある。
【0004】
ボウリングボール上にしるしを付ける現在の方法又は従来の方法は、完成ボールを形成し、次にボールの表面の一部分を彫刻するかエッチングし、彫刻部分又はエッチング部分にボールの表面と異なる色の物質を充填するステップを含む。充填されたしるしは、一連の細い線である。充填材は、多くの場合、ボールの外側層と異なる物質であり、重量分布問題、充填材のひび割れ又は破損、面の凹凸、及び/又はボールが転がっている間のレーン面との接触摩擦の変化を引き起こす可能性がある。また、エッチングが失敗した場合は、ボール全体が無駄になる場合がある。また、エッチング領域又は彫刻領域に充填するプロセスは、充填材と彫刻部分の間に空気を閉じ込め、ボールが使用されるときに問題を引き起こす可能性がある。
【0005】
ボールの表面にしるしを付ける別の方法は、無色又は有色の透明材料製の「窓」を設け、この窓の物質の下にフラットスクリーン印刷を設けることである。これにより、人は、ボールの表面まで広がる透明部分を通して、その下のフラットスクリーン印刷されたしるしを見ることができる。しかしながら、この窓は、通常、ボールの外側層に使用される物質と同じものではない。そのような窓付きボールには、通常、コアのスクリーン印刷が設けられる部分に平坦面が形成されるため重量分布の問題がある。また、そのような方法では、ボウリングボールが、脆く不安定になり通常の耐久性についての条件を満たすことができず、この方法は、一般に、視覚的外観及び表示だけに使用される。また、追加のしるしを必要とする場合、ボールは、通常、前述の彫刻を含み、ボールを製造する工程と費用が更に増える。
【0006】
別の方法は、ボールの外側面に見える単純な位置決めピンを使用する。そのようなピンは、コアと隣接又は接触する場合もしない場合もあり、小さく単純な形に形成され、単に穴開けの基準点としてボール内のコアの位置を伝えるように設計される。
【0007】
これらの方法は、ボールを製造するために必要な工程に追加の工程を必要とし、そのような追加の工程には、エッチング、エッチング部即ちキャビティの充填、穴開け、コアの一部分の切除、ボールのコア又は外側層への複数の部材片の取り付け、及びボウリングボールの再研磨又は再研削がある。また、これらの方法では、ボウリングボールのプレイ性と耐久性の問題が生じる。
【0008】
従って、これらの工程を全く必要とせず、ボールの適切な重量分布を維持しながら表面にしるしを有する費用効果の高いボウリングボールを容易に作成することができるような方法が望ましい。更に、この方法は、必要に応じて、太い線と塗り潰し色付き領域を有するしるしを有するボウリングボールを作成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一様相は、ボウリングボールを製造する方法である。この方法は、内壁を備えた外殻を有する型を提供する段階と、外殻の内壁に当接させて型内にしるし部材を置く段階と、しるし部材のまわりに材料をモールド成型してボウリングボールを形成する段階とを含む。
【0010】
本発明の別の様相は、コアと、少なくとも1本のポストと外側部材とを有する予成形されたしるしと、コア及び予成形されたしるしに隣接した外側層とを有するボウリングボールである。予成形されたしるしは、少なくとも1本のポストによってコアに取り付けられ、コアと予成形されたしるしの外側部材との間に隙間がある。
【0011】
本発明の更に別の様相は、内壁を備えたキャビティを有する製造機械を提供する段階と、ボールコアを提供する段階と、表面図形を形成する段階と、ボールコアと表面図形をキャビティ内に入れる段階と、コアと表面図形のまわりにカバーストックを形成する段階と、カバーストック材料を除去して表面図形をボウリングボールの外側面にしるしとして露出させる段階とを含むボウリングボールを製造する方法である。
【0012】
本発明の更に別の様相は、熱可塑性プラスチック又は熱硬化性プラスチックの図形を形成する段階と、図形を型キャビティに挿入する段階と、図形がキャビティ内にある間に図形のまわりにカバーストックを形成する段階と、カバーストックから材料を除去して図形を露出させる段階とを含むボウリングボールを製造する方法である。
【0013】
本発明の更に別の様相は、ボウリングボールを製造する別の方法である。この方法は、ボウリングボールコアを提供する段階と、予成形されたしるしをコアから浮かせた状態で保持する段階と、コアと予成形されたしるしのまわりにカバーをモールド成形する段階とを含む。
【0014】
本発明の上記及びその他の特徴、利点及び目的は、当業者であれば、以下の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面を参照することによって更に良く理解できるであろう。
【0015】
添付図面では、類似の参照数字が、図面全体に亘って同一又は機能的に類似の要素を指し、以下の詳細な説明と共に本明細書に組み込まれその一部を構成し、様々な実施形態を更に詳しく説明し、本発明による全ての様々な原理及び利点を説明する役割をする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ボウリングボールの断面立面図である。
【図2】本発明で使用するしるし部材の底面図である。
【図3】図2のしるし部材の側面図である。
【図4】図2のしるし部材の図3で部分IVとして示された部分の側面図である。
【図5】ボウリングボールコアの一部分と図2のしるし部材の側面図である。
【図5A】しるし部材を有するボウリングボールの部分断面図である。
【図6】本発明で使用するしるし部材の斜視図である。
【図7】図6のしるし部材の裏当て部材の立面図である。
【図8】図6のしるし部材の裏当て部材の代替実施形態の正面図である。
【図9】図6のしるし部材の側面図である。
【図10】しるし部材の一部分の上面図である。
【図11】図10に示したしるし部材の一部分の断面側面図である。
【図12】ボウリングボールコアの一部分と図6のしるし部材の側面図である。
【図13】しるし部材を示す本発明のボウリングボールの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当業者であれば、図内の要素が、単純化且つ明瞭化のために示され、必ずしも同じ縮尺で描かれていないことが分かるであろう。例えば、図内の要素のうちの幾つかの寸法は、本発明の実施形態の理解を容易にするのに役立つように他の要素に対して誇張される場合がある。
【0018】
本明細書での説明のために、用語「外側」、「内側」、「上側」、「下側」、及びこれらの派生語は、図3の向きの実施形態についてのものである。しかしながら、そうでないことが明示されている場合を除き、本発明が、様々な他の向き及び工程順序をとり得ることを理解されたい。また、添付図面に示され以下の説明で述べる特定の装置及びプロセスが、発明的概念の例示的な実施形態であることを理解されたい。従って、本明細書に開示した実施形態に関連する特定の寸法や他の物理的特性は限定と見なされるべきでない。
【0019】
図1は、標準的なボウリングボール10を示す。ボウリングボール10は、コア12と外側層14を有する。完全に仕上がって使用の準備ができた後で、製造業者又はユーザは、ボウリングボール10の外側層14に一個以上の親指用と他の指用の穴(図示せず)を開ける。
【0020】
本発明の好ましいボウリングボールは、しるし部材も有する。しるし部材は、予成形されることが好ましく、図2から図4に概略的に示される。第1の実施形態のしるし部材は、参照数字20によって示される。しるし部材20は、2個の汎用部品を有し、しるし部材がコア12から一定の距離の面になり且つ外側面23が同じ曲率の外側層を有するように、ボールと実質的に同じ曲率を有するように湾曲されることが好ましい。
【0021】
第1の汎用部品は、しるし部材20の基本構造及び基礎を提供する裏当て部材22である。裏当て部材22は、デザイン部材24を適切に保持することができるように形成されることが好ましい。デザイン部材24は、しるし部材20の第2の汎用部品であり、裏当て部材22に取り付けられる。裏当て部材22の形状と構成は、しるし部材20の形状と構成に大きく依存する。裏当て部材22は、キャスティング中又はモールド成形中の空気閉じ込めを減少させるか又は無くすように構成されることが好ましい。これを達成する一方法は、裏当て部材22をハニカム構造等の格子形に作成することである。(図2を参照)。この実施形態では、裏当て部材22が、図4で分かるように少なくとも部分的に丸くされることが好ましい。裏当て部材22に丸みをつけることにより、ボウリングボールの製造中に気泡が裏当て部材22を通り抜けやすくなり、それにより完成したボウリングボール内に気泡が閉じ込められにくくなる。
【0022】
裏当て部材22は、長方形、正方形、円形、ハニカム形、規則的又は不規則的な他の形状に構成することができる。これらの形状は、単一線、複数線、又は一個以上の材料の固体ブロックでよい。裏当て部材22のサイズと形状は、所望のしるしに使用されるサイズ、形状、及び材料に依存し、また完成したボウリングボール10内の空気閉じ込めを減少させるか又は無くすために使用される。
【0023】
以上の述べたように、しるし部材20は、デザイン部材24を有する。デザイン部材24は、裏当て部材22に取り付けられ、デザイン部材24の外側面23は、少なくとも基本的に、ボウリングボール10が形成され研磨された後でボーリングボール10のしるしとして見えるものである。デザイン部材24は、ボール10の外側層14内にくさびを作成するように様々な箇所でボールの表面から下方にテーパが付けられるであろう。(図5Aを参照)。このくさびは、しるし部材20をボール内に保持し易くし、また閉じ込め空気を除去し易くする。また、デザイン部材24は、接着性、空気閉じ込め除去の必要性、及び所望される最終外観により、直線的な壁で取り囲まれるか、ボールの表面に向かって上方にテーパが付けられた壁を備える。
【0024】
最初に形成されるときに、デザイン部材24の外側面23は複数の突起部27を有することが望ましい。(図3と図4を参照)。突起部27は、デザイン部材24の外側面23を型の内側から離間させることによって、ボール10の製造中の空気閉じ込めを無くすのに役立つ。しるし部材20は、突起部27がある場合もない場合も、ボールの製造中においてコアの完全なセンタリングを保証するのに役立つ。突起部27は、仕上げ工程でボウリングボールから除去される。また、後でより詳しく述べるように、デザイン部材24の外側面23は、空気閉じ込めを除去し易くするために、製造工程中に、しるし部材20の外側面の上又はしるし部材20の表面の下に溝、線、又は他の隆起形状を形成してもよい。
【0025】
しるし部材20は、予成形、即ちボールの製造前に成形されるのが好ましく、機械加工(フライス加工又はツーリング)、モールド成形、キャスティング、又はこれらの組み合わせによって成形することができる。しるし部材20が単一部品として開放成形されることが好ましいが、最初に複数部品を形成しそれらの部品を接合することによってしるし部材を形成することもできる。また、しるし部材20が、互いに近接した複数の結合されていない部品で構成されてもよいことが予測される。しるし部材20は、2体式開放成形によって形成されることが好ましく、即ち、一方の部品は、全体にデザイン部材24を形成し、他方の部品は、裏当て部材22をモールド成形する。しかしながら、しるし部材20は、しるし部材20を適切に形成するために任意数の成形体から作ることができる。成形体の数は、しるし部材20のサイズ、形状、及び色数、並びにしるし部材20を形成するために使用されるモールド成形又はキャスティング装置に依存する。しるし部材20は、密閉成形法等の他の手段によって形成されてもよい。また、しるし部材20は、部分モールド充填法等を使用することによって様々な色の材料から形成されてもよいことが予測される。
【0026】
しるし部材20は、ボウリングボール10の外側層の材料と同じ材料であることが好ましい。しかしながら、外側層14と同じ材料でなくてもよい。また、しるし部材20は、熱硬化プラスチック又は熱可塑性プラスチックであることが好ましい。より好ましくは、しるし部材20は、ビニールエステル、ウレタン、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ、ウレタン、ゴム化合物、又はこれらの内の2種以上の混合物である。使用できる特定の一物質は、ポリオールIS−20769BとイソシアネートIS−20769Aの混合物(好ましい比率は10:6)である(これらの物質は、両方ともアイオワ州マルコロムのITWC, Inc.から入手可能である)。しるし部材20は、ボール10の外側層と異なる物質で作成されてもよいが、脆くない物質で作成されなければならず、裂け、亀裂又は破壊なしにボウリングボール外側層の製造工程に耐え、一般的な量のボウリング使用に耐えることができる耐久性を有する。更に、そのような材料は、好ましくは、外側層14に使用される物質と類似の重量を有するべきである。
【0027】
また、しるし部材20は、ポスト40を有する。(図2〜図4を参照)。ポスト40は、大径の上側部分42と小径の下側部分44を有し、これらの接合部分に肩部43が形成されている。図5に示したように、しるし部材20がモールド成形され硬化及び/又は冷却されると共にコア12が形成された後、しるし部材20が、コア12に取り付けられる。しるし部材20は、しるし部材20に取り付けられた(又はその一部である)ポスト40を使用してコア12に取り付けられることが好ましい。ボウリングボールを製造する際、ポスト40の小径下側部分44は、コア12に事前に開けられた穴に挿入され、大径上側部分42の肩部43まで挿入されることが好ましい。(図5を参照)。ポスト40は、突起部27と共に、完成したボールのバランスを高めるために行われるコアのセンタリングを支援する。また、この構成によって、裏当て部材22とコア12の外側面との間に隙間ができる。この隙間は、極めて小さな寸法(隙間が存在しない場合もある)から外側層の全厚さに近い寸法までの範囲である。外側層14の製造中に、隙間は、一般に、外側層14に使用される何らかの材料で埋められる。コア12の外縁としるし部材20に下部との間の隙間によって、しるし部材20がボールの強度と耐久性に与える影響を最少にする。これは、しるし部材20を浮かした状態で支持するポスト40を除き、コア12が外側層14によってほぼ完全に包まれているためである。この構成により、外側層材料の硬化サイクル中に熱膨張と収縮によって生じるしるし部材と外側層との間の境界面への応力が著しく減少する。この応力は、しるし部材20としるし部材と隣接する外側層14材料の間に分散される。コアとしるし部材の間のこの材料層がない場合は、しるし部材20の側面におけるしるし部材と外側層材料との間の弱い境界結合のみによって膨張力と伸縮力が支持される。また、この隙間があると、しるし部材のまわりの外側層材料に亀裂が生じにくい。
【0028】
しるし部材20をコア12に取り付ける別の方法は、ホットメルト接着剤の使用によるものである。ホットメルト接着剤は、しるし部材20の裏側25に塗布できる。ホットメルトを裏側25に塗布した後で、しるし部材20をコア12に軽く押し付ける。これにより、ボールの製造中に外側層がコアとしるし部材20の上に形成されるときに、しるし部材20をコア12に接着できる。また、他のタイプの接着剤又は機械式留め具を含む他の取り付け手段を使用してしるし部材20をコア12に取り付けてもよい。また、代替として、しるし部材20は、外側層14を形成するために使用される型に取り付け、外側層14がコア12の上に形成されるときにコア12に取り付けられるようにしてもよい。
【0029】
しるし部材の第2の実施形態は、図面に参照数字120によって示される。しるし部材120は、2個の汎用部品を有する。(図6〜図9を参照)。第1の汎用部品は、しるし部材120の基本構造と基礎を提供する裏当て部材122である。裏当て部材122は、支持するために含まれる格子136を有することが好ましい。裏当て部材122は、裏当て部材122に取り付けられるデザイン部材124を十分に保持できるように、十分な数の横断部材138を有することが好ましい。裏当て部材122は、キャスティング又はモールド成形中に空気閉じ込めを減少させるか又は無くすように構成される。
【0030】
裏当て部材122は、長方形、正方形、円形、又は規則的若しくは不規則的な他の形状に構成することができる。裏当て部材122は、また、付加的な支持のために横断部材138に対して斜め方向にクロスハッチング140及び142を有してもよい。(図8を参照)。クロスハッチングを使用すべきかどうかを判定する因子は、しるし部材120の特定の設計と、デザイン部材124と裏当て部材122の両方の作成に使用した物質である。裏当て部材122のサイズ及び形状、クロスハッチングを使用するかどうか、及びクロスハッチングをどの程度使用するかは、所望のしるしのサイズ、形状、及び使用される材料、又は完成したボウリングボール10内の空気閉じ込めを減少させるか又は無くすかどうかに依存する。
【0031】
しるし部材120は、また、デザイン部材124を有する。デザイン部材124は、裏当て部材122に取り付けられ、デザイン部材124の外側面123は、少なくとも第一に、ボール10が形成され研磨された後でボウリングボール10のしるしとして見えるものである。デザイン部材124は、ボール10の外側層14内にくさびを作成するように様々な箇所でボールの表面から下方にテーパが付けられることが好ましい。(図5Aを参照)。デザイン部材24の外側面の角度は、ボールの中心に近づくに従って外側面が互いに離間するように互いに斜めであることが好ましい。このくさびは、ボール内でしるし部材120を保持するのに役立ち、また閉じ込められた空気を除去し易くすることがある。また、デザイン部材124は、接着性、空気閉じ込め除去、及び所望される最終外観により、直線的な壁、又は外方に向けてテーパが付けられた壁を有する。最初に形成されたときに、デザイン部材124の外側面123は、図3〜図4に示したような突起部又は複数の溝127(図10、図11を参照)を有することが好ましい。溝127は、キャスティング又はモールド成形工程とボール10の製造中の両方で空気閉じ込めを無くすのに役立つ。これらの溝127は、仕上げ工程中にボウリングボールから除去される。
【0032】
しるし部材120は、しるし部材20に関して前述した方法と同じように形成することができる。しるし部材120は、しるし部材20と同様に、単一部品として開放成形され、好ましくは2体式の開放成形によって形成されることが望ましい。また、しるし部材120は、他の製造方法によって形成されてもよく、例えば部分モールド充填法を使用することにより複数の色を有することができる。
【0033】
また、しるし部材120が、ボウリングボール10の外側層の材料と同じ材料であることが好ましいが、これは必須ではない。しるし部材120が形成されるとき、しるし部材120から延在するスプルー126が形成されてもよい。(図9を参照)。スプルー126又はその一部分は、後述する取り付け手段として使用される場合もあり、使用されない場合もある。
【0034】
図12に示したように、しるし部材120がモールド成形され硬化及び/又は冷却されると共にコア12が形成された後で、しるし部材120は、コア12に取り付けられる。しるし部材120は、ホットメルト接着剤を使用してコア12に取り付けられることが好ましい。ホットメルト接着剤は、しるし部材120の裏側125に付着させることができる。ホットメルトを裏側125に塗布した後で、しるし部材120はコア12に軽く押し付けられる。これにより、ボールの製造中に外側層がコアとしるし部材120の上に形成されたときにしるし部材120がコア12に接着される。スプルー126又はその一部分が、しるし部材120に取り付けられたままの場合は、しるし部材120をコア12に取り付ける手段としてスプルー126を使用することができる。スプルー126が、しるし部材120を取り付けるために使用される場合、少なくともスプルー126と同じかそれい以上の数の穴28をコア12に開けられなければならない。穴28は、各スプルー126が対応するそれぞれの穴28に収まるように位置決めされなければならない。(図12を参照)。穴28のサイズは、それぞれのスプルー126の直径と長さより僅かに大きいことが好ましい。これにより、スプルー126は、穴28にぴったりと嵌り、最少量の材料しかコア12から除去されない。コア12に穴28を開けた後で、スプルー126を穴28と位置合わせし、しるし部材120を所望の最終位置(この最終位置で、コアの外側面としるし部材120の裏側125との間の隙間が残るか、或いはしるし部材120の裏側125がコア12に接触する)に達するまで押すことによって、しるし部材120をコア12に取り付けることができる。
【0035】
しるし部材20及び120をコア12に取り付けるために、他のタイプの接着剤、ポスト又は機械式留め具を含む他の取り付け手段を使用してもよい。また、代替として、しるし部材20及び120は、外側層14を形成するために用いられる型に取り付け、コア12の上に外側層14を形成するときにコア12に取り付けられるようにしてもよい。
【0036】
しるし部材20又は120がコア12に取り付けられた後で、ボウリングボール10の外側層14が、コア12としるし部材20又は120とのまわりに形成される。外側層14は、業界及び当業者に既知の標準的手段によって形成され、一般にポリウレタンから形成される。ポリエステル、エポキシ、及び他のタイプの熱硬化性樹脂又は熱可塑性プラスチック、並びに金属や他の固体を使用することもできる。コアとしるし部材のまわりに外側層が形成された後で、ボールは、旋削、研削、研磨及び/又はつや出しによって平滑面に仕上げられ、しるし部材の外側面が見えるようにされる。(図13を参照)。しるし部材が外側層14と同時に研削され研磨されるので、しるし部材の外側面は、ボール10の外側面と同じ高さになる。同一ボールで複数のしるし部材20又は120が使用されてもよい。
【0037】
本発明の方法及びその方法により得られるボウリングボールは、幾つかの利点を有する。しるしを有するボウリングボールを作成するこの方法は、特に少ない工程数と少ないコストによって製造を容易にし、多色や複雑な形状のしるしを含む多様なしるしの可能性を有する多様なしるしの使用を可能にする。得られたボウリングボールは、外観の劣化が生じにくいだけでなく、性能の低下もない。何故なら、グリップやフック等のボウリングボールの特性や重量に影響を与えないためである。また、しるし部材20又は120が、外側層14と同じ材料又は類似の重量を有する材料なので、しるし部材20又は120が、ボール10に対する重量バランス問題を引き起こさない。
【0038】
以上の説明は、単なる好ましい実施形態の説明と考えられる。本発明の変形例は、当業者及び本発明のボーリングボールを製造又は使用する者によって想起されるものである。従って、図面に示し以上述べた実施形態は、単に例示のためであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、均等論を含む特許法の原理に従って解釈される以下の特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0039】
10 ボウリングボール
12 コア
14 外側層
20 しるし
40 ポスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウリングボールを製造する方法であって、
内壁を備えた外殻を有する型を提供する段階と、
型の外殻の内壁に当接させて型内にしるし部材を置く段階と、
しるし部材のまわりに材料をモールド形成してボウリングボールを形成する段階とを含む方法。
【請求項2】
型を提供する段階の後で型内にボールコアを置く段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コアは外側面を有し、しるし部材は、しるし部材のまわりに材料をモールド成形する段階の前に、コアの外側面の近傍で浮いた状態で支持されてコアから離間される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
しるし部材は、ポストを使用することによって浮いた状態で支持されてコアから離間される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ボウリングボールであって、
コアと、
少なくとも1本のポストと外側部材を有する予成形されたしるしと、
コアと予成形されたしるしと隣接した外側層とを備え、
予成形されたしるしは、少なくとも1本のポストによってコアに取り付けられ、コアと予成形されたしるしの外側部材との間に隙間があり、隙間が外側層と同じ材料で満たされたボーリングボール。
【請求項6】
しるし部材と外側層は同じ材料である、請求項5に記載のボウリングボール。
【請求項7】
材料はポリウレタンである、請求項6に記載のボウリングボール。
【請求項8】
ボウリングボールを製造する方法であって、
内壁を有するキャビティを有する製造機械を提供する段階と、
ボールコアを提供する段階と、
表面図形を形成する段階と、
ボールコアと表面図形をキャビティ内に配置する段階と、
ボールコアと表面図形のまわりにカバーストックを形成する段階と、
カバーストックの一部分を除去してボウリングボールの外側面にしるしとして表面図形を露出させる段階とを含む方法。
【請求項9】
表面図形は表面を有し、表面は、ボウリングボールを製造する方法において空気を閉じ込めにくくする突起部を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
製造機械は、2体以上から成る型である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
表面図形を固定することができる穴をコアに開ける段階を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ボウリングボールを製造する方法であって、
図形を形成する段階と、
図形を型キャビティに挿入する段階と、
図形が型キャビティ内にある間に図形のまわりにカバーストックを形成する段階と、
カバーストックの一部分を除去して図形を露出させる段階とを含む方法。
【請求項13】
図形は、ウレタン、ポリウレタン、ポリエステル、ビニールエステル、ゴム、及びエポキシからなる群から選択された少なくとも1種の材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ボウリングボールを製造する方法であって、
ボウリングボールコアを提供する段階と、
予成形されたしるしをコアから浮かした状態で保持する段階と、
コアと予成形されたしるしのまわりにカバーをモールド成形する段階とを含む方法。
【請求項15】
しるしは、ウレタン、ポリウレタン、ポリエステル、ビニールエステル、ゴム、及びエポキシから成る群から選択された少なくとも1種の材料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
しるしは、ポリエステル製である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
しるしは、ポリエステル、エポキシ及びウレタンから成る群のうちの少なくとも2種の部材を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項1】
ボウリングボールを製造する方法であって、
内壁を備えた外殻を有する型を提供する段階と、
型の外殻の内壁に当接させて型内にしるし部材を置く段階と、
しるし部材のまわりに材料をモールド形成してボウリングボールを形成する段階とを含む方法。
【請求項2】
型を提供する段階の後で型内にボールコアを置く段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コアは外側面を有し、しるし部材は、しるし部材のまわりに材料をモールド成形する段階の前に、コアの外側面の近傍で浮いた状態で支持されてコアから離間される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
しるし部材は、ポストを使用することによって浮いた状態で支持されてコアから離間される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ボウリングボールであって、
コアと、
少なくとも1本のポストと外側部材を有する予成形されたしるしと、
コアと予成形されたしるしと隣接した外側層とを備え、
予成形されたしるしは、少なくとも1本のポストによってコアに取り付けられ、コアと予成形されたしるしの外側部材との間に隙間があり、隙間が外側層と同じ材料で満たされたボーリングボール。
【請求項6】
しるし部材と外側層は同じ材料である、請求項5に記載のボウリングボール。
【請求項7】
材料はポリウレタンである、請求項6に記載のボウリングボール。
【請求項8】
ボウリングボールを製造する方法であって、
内壁を有するキャビティを有する製造機械を提供する段階と、
ボールコアを提供する段階と、
表面図形を形成する段階と、
ボールコアと表面図形をキャビティ内に配置する段階と、
ボールコアと表面図形のまわりにカバーストックを形成する段階と、
カバーストックの一部分を除去してボウリングボールの外側面にしるしとして表面図形を露出させる段階とを含む方法。
【請求項9】
表面図形は表面を有し、表面は、ボウリングボールを製造する方法において空気を閉じ込めにくくする突起部を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
製造機械は、2体以上から成る型である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
表面図形を固定することができる穴をコアに開ける段階を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ボウリングボールを製造する方法であって、
図形を形成する段階と、
図形を型キャビティに挿入する段階と、
図形が型キャビティ内にある間に図形のまわりにカバーストックを形成する段階と、
カバーストックの一部分を除去して図形を露出させる段階とを含む方法。
【請求項13】
図形は、ウレタン、ポリウレタン、ポリエステル、ビニールエステル、ゴム、及びエポキシからなる群から選択された少なくとも1種の材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ボウリングボールを製造する方法であって、
ボウリングボールコアを提供する段階と、
予成形されたしるしをコアから浮かした状態で保持する段階と、
コアと予成形されたしるしのまわりにカバーをモールド成形する段階とを含む方法。
【請求項15】
しるしは、ウレタン、ポリウレタン、ポリエステル、ビニールエステル、ゴム、及びエポキシから成る群から選択された少なくとも1種の材料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
しるしは、ポリエステル製である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
しるしは、ポリエステル、エポキシ及びウレタンから成る群のうちの少なくとも2種の部材を含む、請求項14に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−5384(P2010−5384A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139913(P2009−139913)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(509165172)スコーダ アメリカ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(509165172)スコーダ アメリカ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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