説明

すす粒子を含む排ガスを処理するためのデバイス

本発明は、すす粒子(2)を含む排ガスを処理するためのデバイス(1)に関連し、すす粒子(2)をイオン化するための少なくとも1つのイオン化要素(4)と、イオン化されたすす粒子(2)を堆積させるために、表面沈降分離器(6)を有する少なくとも1つの表面沈降分離デバイス(26)と、を備え、少なくとも1つの表面沈降分離デバイス(6)は、イオン化されたすす粒子(2)を中性化するために、互いに電気的に絶縁している、2つ以上の少なくとも部分的に導電性の中性化領域(5)を備える。本発明はさらに、排ガスのすす粒子(2)を変換するための方法に関連し、ここで異なる電位が付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すす粒子を含む排ガスを処理するためのデバイスに関し、特に、「静電フィルタ」または「電気フィルタ」を用いての、排ガスのすす粒子を変換するための適切な方法に関する。本発明は、特に、自動車業界における車両の内燃エンジンの排ガスの処理において、特に、ディーゼル燃料から生じる排ガスの処理において用いられる。
【背景技術】
【0002】
車両の内燃エンジンの排ガスからすす粒子を除去するための複数の異なるコンセプトが既に検討されている。交互に閉じたウォール−フローフィルタ、開いたパーシャル−フローフィルタ、重力分離器等に加え、排ガス中の粒子を帯電させて、静電気引力を活用して堆積させるシステムもまた提案されている。これらのシステムは、特に、「静電フィルタ」または「電気フィルタ」という名で知られている。
【0003】
(複数の)放出電極および集じん電極は、従って、概してこのような電気フィルタのために提案されており、これらの電極は、排ガスライン内に配置される。例えば、排ガスラインをほぼ中央を介して走る中央放出電極、および集じん電極の形態の排ガスラインの周囲の外側表面は、コンデンサを形成するために用いられる。放出電極および集じん電極のこのような配置構成を用いると、電界は排ガスの流れ方向に対して横方向に形成され、ここで放出電極は、例えば、約15kVの範囲にある高電圧で稼動できる。特に、コロナ放電が従って形成される場合があり、その結果、排ガスと共に電界を介して流れる粒子は、単極で帯電される。こうした帯電に起因して、粒子は、静電気のクーロン力の結果として、集じん電極に向かって移動する。
【0004】
排ガスラインが集じん電極として設計されたシステムに加え、集じん電極が例えば金網(ワイヤメッシュ)として形成されたシステムもまた知られている。必要に応じて粒子をさらなる粒子と結合させて、集塊を生成する目的のために、ワイヤメッシュ上に粒子を堆積させる。メッシュを介して流れる排ガスは、次いで、より大きな粒子を同伴して、それらを従来のフィルタシステムに供給する。
【0005】
上述のシステムは、少なくとも試験においては、すす粒子の処理に適切であることが以前から見出されているが、車両における連続した稼動に対してこのコンセプトを転用することには、しかしながら大きな課題が存在する。このことは、非常に変動し、排ガス中で周期的にすすが非常に多く生じることに関して、かつ現在、既存の排ガス設備のためにそのようなシステムを組み込む所望の可能性に関して、特に当てはまる。特に、断続的な仕方でコンスタントな排ガスの量の増加は、車両の排ガス設備内には存在するが、例えば、電力の生成等に用いられる固定型の内燃エンジンには存在しない。さらに、排ガスシステムは、例えば地面が平らでないために生じる衝撃の結果としての機械的負荷に晒される。すす粒子の除去に関して、フィルタシステムの(周期的または連続的な)再生(regeneration)もまた、そのような排ガス設備の出力が増加して、すすがガス状物質に変換されるにつれ、必要となる。
【0006】
フィルタシステムの再生において、短期間の加熱、すなわち、すすの燃焼(触媒で促された、酸化的変換)による断続的な再生に加え、二酸化窒素(NO)によって、すすを変換することもまた公知である。二酸化窒素を用いた連続した再生の利点は、この場合、すすが、相当に低い温度(特に、250℃以下)で変換可能であることである。この理由により、連続的な再生が多くの用途において好まれる。しかしながら、これは、排ガス流内において、二酸化窒素が、堆積されたすす粒子と十分に接触することを保証されなければならないという問題を導く。
【0007】
これに関してもまた、車両におけるそのような排ガス設備の持続した稼動の実施と共に、技術的困難が生じ、ここで、内燃エンジンにかかる異なる負荷が、異なる排ガス流、排ガス組成、および温度を導く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このことに基づき、本発明の課題は、従来技術に関連して記載された問題を少なくとも部分的に解決することである。特に、すす粒子を含む排ガスを処理するためのデバイスが特定され、このデバイスは、すす粒子を高い効率で分離し、かつそれと同時に、容易に再生できるものである。排ガスのすす粒子を変換するための対応する方法もまた特定される。デバイスおよび方法は、既存の移動性の排ガスシステムに容易に一体化されるものであり、それと同時に、コスト効率良い方法において製造可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの課題は、特許請求の範囲の請求項1の特徴に係るデバイスによって達成され、かつ、特許請求の範囲の請求項11のステップに係る排ガスのすす粒子の変換のための方法によって達成される。本発明のさらなる有利な実施形態は、特許請求の範囲の従属項の各々において特定される。特許請求の範囲に個々に述べられた特徴は、任意の技術的に実行可能な方法において組み合わせられることができ、かつ本発明のさらなる実施形態を提示することができることに留意されるべきである。特に図面に関連した記載は、本発明を説明し、かつさらなる例示的な実施形態を特定する。
【0010】
本発明は、すす粒子を含む排ガスを処理するためのデバイスに関連し、デバイスは少なくとも、
−すす粒子をイオン化するための少なくとも1つのイオン化要素と、
−イオン化されたすす粒子を堆積させるために、少なくとも1つの表面分離器を有する少なくとも1つの分離デバイスと、を備え、
少なくとも1つの分離デバイスは、イオン化されたすす粒子の中性化(neutralization、中和化)のために、互いに電気的に絶縁している、少なくとも2つの少なくとも部分的に導電性の中性化領域を備える。
【0011】
特に、ここで提案されるデバイスは、ディーゼルエンジンを備える車両の排ガス設備の一部であってよい。しかしながらデバイスはまた、排ガス設備のためのモジュラーキットとして提供されてもよい。
【0012】
まず、少なくとも1つの二酸化窒素源および/または少なくとも1つの酸素源が好ましくは提供され、特に、分離デバイスの上流に提供される。このような二酸化窒素源は、例えば、(排ガスの他の成分、特に酸素と共に)排ガス中に含まれる酸化窒素(特に一酸化窒素、NO)を二酸化窒素に変換するのに支援する、触媒コンバータである。原則的に、複数のそのような二酸化窒素源もまた提供可能であるが、必ず必要というわけではない。二酸化窒素源は、通常、コーティングを有するハニカム体を備える触媒コンバータで実施でき、ここでコーティングはプラチナ、ロジウム、パラジウム等を含む。二酸化窒素源は、従って、内燃エンジンの下流に配置され、かつ排ガスシステム内に、少なくとも部分的に配置される。あるいは、二酸化窒素源はまた、内燃エンジン内部における手段(measures)を活用して実施できる。例えば、排ガスフィードバックは、内燃エンジン内の手段として実施可能である。
【0013】
例えば、相対的に「低温の排ガスシステム」(例えばディーゼルエンジン用途)において、二酸化窒素源が用いられることが好ましいが、酸素源からの酸素を用いてのすす粒子の酸化的変換もまた、相対的に高い温度(例えばガソリンエンジン用途)にて実行可能である。例えば、内燃エンジン自体、または「第2の空気送込み(air infeed)」、すなわち特に排ガスラインへの酸素ガスの供給が、酸素源として想定されることが好ましい。触媒との化学反応により酸素を生成してもよく、それゆえ、これもまた、酸素源としても想定されてよい。
【0014】
特に、代替的に、少なくとも1つの二酸化窒素源、あるいは、排ガスラインにおける表面分離器または分離デバイスの上流にある少なくとも1つの酸素源を備えるデバイスが好ましい。
【0015】
さらに、すす粒子をイオン化するための少なくとも1つのイオン化要素が提供される。排ガスは、好ましくは、少なくとも1つのイオン化要素を有するデバイスのセクションに到達する前に、二酸化窒素源にまず到達することが好ましい。イオン化要素は、好ましくは、1つのイオン化電極または複数のイオン化電極を有する。少なくとも1つのイオン化要素は電圧源、特に、高電圧源に連結される。高電圧源は、少なくとも5kV(キロボルト、5,000ボルト)の電圧を生成する電圧源である。電圧は制御ユニットによって調節できる。原則的には、直流電圧源または交流電圧源が提供可能である。イオン化電極は、好ましくは、およそ点様または線様に設計された放出電極である。およそ点様の放出電極は、例えば、ワイヤの先端であってよい。線様の放出電極は、例えば、その長さに沿った放出電極として作用するワイヤであってよい。対応する対向電極は、イオン化電極と共に提供される。電界はイオン化電極と対向電極との間に形成し得る。およそ点様または線様の放出電極は、通常は、対向電極に比べて、著しく小さな表面を有する。このため、イオン化電極と対向電極との間に形成する電界は、イオン化電極周囲に非常に強く集中し、それゆえ、イオン化電極から電荷が漏れ得る。イオン化電極および対向電極の電位は、好ましくは、負の電荷がイオン化電極から漏れるように設計される。負の電荷は一般に、正の電荷よりも移動性が高い。これらの電荷は、排ガスがイオン化要素を通過するとき、排ガス中のすす粒子に接触する。すす粒子は帯電する。次いでイオン化されたすす粒子を参照する。
【0016】
本発明の関連内において、表面分離器は特に、すす粒子が(3次元の)表面付近において実質的に分離されるデバイスである。例えば、実質的に、粒子のための線様の堆積領域のみが提供される(スクリーン、メッシュ等)構成要素の部品はそれゆえ、表面分離器ではない。例えばハニカム構造体に形成されたダクト様または平坦でない(chaotic)表面を備える排ガス処理構成要素が典型的な表面分離器である。オープン分離器、または、排ガスをフィルタウォールを通過させる必要なしに、排ガスが通過できるパーシャルフローフィルタが好ましい。しかしながら、表面分離器もまた多孔質のウォールフィルタまたは深層(deep−bed)フィルタであってもよい。
【0017】
さらに、少なくとも1つの表面分離器を備える少なくとも1つの分離デバイスが提供される。この表面分離器は断面積および長さを有する。例えば、表面分離器は、流入口面から流出口面へと延びているダクトを有する金属またはセラミックのハニカム体であってもよい。このような表面分離器のダクトは壁を有し、これらの壁の上にすすが堆積できる。複数のダクト、例えば少なくとも30個、少なくとも50個、またはさらに、少なくとも100個のダクトが提供されている表面分離器が好ましい。用語「表面分離器(surface separator、Oberflaechenabscheider」とは、非常に大きな表面(特に、その容積との関係で)がすす粒子の堆積のために提供されていることを意味するものとして理解されるものとする。すす粒子ができる限り、限定されたスペース内で共に凝集される公知の態様とは対照的に、ここでは、その課題は、ダクトによって形成されたダクト壁の表面上に広く亘ってすす粒子を分散することである。しかしながら、すす粒子がまた、例えば、多孔性のダクト壁内に堆積されることを無視するべきではない。堆積に適切な表面は、それゆえ、特に、この場合、ダクト壁の外側表面および内側表面であると想定可能である。「ダクト」とは、特に、規定された流路を意味するものとして理解され、その伸長は、直径よりもはるかに長いものであり、直径は、特に、すす粒子の標準の大きさよりもはるかに大きい。一部の目的のために、別々の分離されたダクトを形成することは効果的であるが、部分的な排ガス流の交換ができる(例えば、ダクト壁における開口部を介して)連通ダクトもまた提供可能である。
【0018】
デバイスのある形によれば、分離デバイスは環状である。特に、分離デバイスは、排ガスの元々の中央の流れ方向周囲において、環状に配置され、その結果、排ガスの方向が偏向されて、少なくとも部分的に、分離デバイスを介して流れる。分離デバイスは、従って、特に環状の触媒担体に一体化される。特に、粒子の集中度が増加した中央の排ガス流が、触媒担体、例えばSCR触媒を介して導かれ、それと同時に、粒子の集中度が低減した外側の排ガス流が、触媒担体、例えばSCR触媒へと導かれることが次いで可能である。
【0019】
すす粒子は、(メッシュ中にあるように)流れ方向に対して直交する一平面のみに堆積しないので、少なくとも1つの表面分離器は、少なくとも2つの部分的に導電性の中性化領域を含み、これらの領域は、イオン化されたすす粒子の中性化のために、互いに電気的に絶縁されている。
【0020】
イオン化されたすす粒子は好ましくは、逆帯電した表面上に、または中性的に帯電した表面上に蓄積する。
【0021】
中性化領域は、電圧源または電気接地に連結することによって特定の電位を含んでよく、かつそれゆえ、電荷を帯びてよい。中性化領域における帯電に起因して、この電位は電圧源または接地の結果として存在し、電荷は中性化領域に存在する。すす粒子の電気的中性化または脱イオン化は、従って、中性化領域において、電荷を帯びたすす粒子が表面分離器の表面と接触して生じ得る。イオン化または帯電したすす粒子はまた、そのような中性化領域の電気の力による距離に亘り、引き付けられるか、または反発する。
【0022】
分離デバイスの中性化領域はまた、少なくとも部分的に、イオン化要素の対向電極を同時に形成する。
【0023】
電界は一般に、少なくとも1つのイオン化要素と、少なくとも1つの分離デバイスとの間に形成されるかまたは少なくとも1つの分離デバイスの中性化領域との間に形成される。この電界は、特に、排ガスシステムの方向に延びるか、または、排ガスの流れ方向に延び、その結果、電荷を帯びたすす粒子は、流れ方向において電界を介して引き出され、ここで排ガスは、少なくとも1つのイオン化要素にまず到達して、その後、その中性化領域を有する少なくとも1つの分離デバイスに到達する。少なくとも1つのイオン化要素および中性化領域は、それゆえ、排ガスの流れ方向に、連続して、特に、数cm(センチメーチル)、例えば少なくとも5cm、少なくとも15cm、またはさらに少なくとも30cmの距離を置いて、連続して配置される。
【0024】
あるいは、イオン化要素、ならびに、その上に形成される分離デバイスおよび中性化領域が、互いに電気的に独立していることも可能である。イオン化されたすす粒子は、存在し得る電界とは無関係に、排ガス流によって、イオン化要素から分離デバイスへと運ばれる。少なくとも1つのイオン化要素と中性化領域との間に電界が存在しない場合、好ましい。むしろ、イオン化されたすす粒子の中性化のための中性化領域を有するイオン化要素および分離デバイスは、この種の実施形態において互いに分離されたシステムであり、「ブラックボックスシステム」として理解できる。イオン化がイオン要素内で生じ、かつイオン化されたすす粒子の堆積が表面分離器内で生じる、正確な技術的方法および配置構成が、当業者によって、恣意的に、かつ、互いに独立して選択可能である。
【0025】
少なくとも1つの分離デバイス上の2つの中性化領域の形成の結果として、これらの中性化領域は、互いに電気的に絶縁され、表面分離器内におけるすす粒子の分布に影響を与えることができる。例えば、中性化領域は、すす粒子の、表面分離器の所定の閾値負荷量(loading)まで、イオン化されたすす粒子がこの領域のみで中性化されるように形成されることができる。
【0026】
表面分離器内におけるすす粒子の、可能な限り最も均一な堆積を達成するために、中性化領域およびまた表面分離器自体の形状、大きさ、および数が、相応に適合可能である。個々の中性化領域を、電圧源および/または電気設置に異なるように連結することもまた可能であり、これらの中性化領域は互いに電気的に絶縁されている。さらに、中性化領域とイオン化要素との間の電界の強さは、表面分離器におけるイオン化されたすす粒子の堆積に影響を与えるようにモデル化されることができる。
【0027】
ここで関連するデバイスの好ましい実施形態によれば、中性化領域は、各々、少なくとも1つの表面分離器の下位領域に割り当てられることができる。
【0028】
表面分離器は、好ましくは、少なくとも部分的に導電性であり、その結果、イオン化されたすすに存在する電荷は、表面分離器上にすす粒子が堆積した後で少なくとも部分的に表面分離器に移動した後に、そこから放電されることができる。イオン化されたすす粒子の長期間の堆積の結果、電気的に絶縁された表面分離器は、さらなる電荷を帯びた、イオン化されたすす粒子の堆積を防ぐことができる電荷を得る。この種の表面分離器は複数の下位領域を備えてよく、複数の下位領域は、各々導電性であり、かつ各々、表面分離器の中性化領域を形成し、ここでこれらの導電性の下位領域は互いに対して電気的に絶縁している。
【0029】
あるいは、中性化領域は表面分離器の下位領域に割り当てられることができないが、その代わりに、例えば平面電極として表面分離器周囲に配置されることもまた可能である。このような配置構成において、電気的絶縁している表面分離器が提供されることが好ましい。例えば、中性化領域は、排ガスの流れ方向に対して直交する方向に向けられた電界が表面分離器に存在するように配置されることができる。電荷を帯びたすす粒子は、この種の電界により、排ガスの流れ方向に対して横方向に偏向され、かつ従って、ダクト壁または表面分離器の表面に向かって移動される。表面分離器の表面は、例えば、電界の方向が個々の中性化領域間で定期的に変わり、その結果、イオン化されたすす粒子は異なる方向に引かれ、かつその変化は相互に中性化されるので、電気的に中性化されることができる。イオン化要素は、同じ電荷を有する、単にイオン化されたすす粒子を常に生成するとは限らない、すなわち、特に、常に正の電荷を帯びた、または常に負の電荷を帯びたすす粒子を生成するとは限らず、イオン化要素から出るすす粒子の電荷は、定期的に交互に入れ替わるので、その結果、負の電荷を帯びたすす粒子は、正の電荷を帯びたすす粒子の後すぐに、中性化される。
【0030】
本発明に係るデバイスのさらなる好ましい態様によれば、制御手段は、中性化領域の各々に割り当てられ、この制御手段は、少なくとも1つの電気接地、少なくとも1つの調整可能な電圧源、および/または少なくとも1つのスイッチ要素を有する。
【0031】
中性化領域の電気的性質は、この種の制御手段により、経時的に変化され得る。例えば、1つの中性化領域または複数の中性化領域を、イオン化されたすす粒子がその上で分離されるそのような電位にもたらすことができる。これは、例えば全ての中性化領域が個々のスイッチ要素を介して電気接地に連結可能であるゆえに達成され得る。調整可能な電圧源が、中性化領域に提供されることもまた可能であり、その結果、各中性化領域は事前に規定可能な電位にもたらされることが可能である。このようにして、そこで的を絞った堆積を達成するために、表面分離器の他の領域にすす粒子を供給するように、選択的な仕方で表面分離器の個々の領域からすす粒子を偏向させることができる。
【0032】
デバイスの1つの形によれば、少なくとも2つの中性化領域は環状電極および/または平面接触部として形成される。
【0033】
この種の電極が提供された場合、表面分離器は、好ましくは、導電性ではなく、または、僅かな程度で導電性である。この場合、低導電度とは、表面分離器において生じる電流に起因して、表面分離器内で著しい電位降下が存在することを意味する。電流は、イオン化されたすす粒子の電荷の結果として、表面分離器において生じる。
【0034】
環状電極としてまたは平面接触部として形作られた中性化領域が本発明に係るデバイスに提供される場合、これらは、表面分離器の流出口面および/または外側表面上に配置されるのが好ましい。外側表面は、表面分離器の流入口面と流出口面との間に存在する周囲表面である。表面分離器は好ましくは円筒形の形状である。円筒形の端部表面は、各々、流入口面および流出口面を形成し、外側表面は、円筒形状の周囲表面である。
【0035】
例えば、環状電極は、表面分離器の直径に対応する直径を備えてよく、ハニカム体の周囲に沿って流出口面上に配置されてもよい。電界は、次いで、表面分離器の外側領域におけるこの環状電極の方に形成し、その結果、イオン化されたすす粒子は特にここに運ばれる。表面分離器の外側領域における排ガス流の速度は、内側領域における排ガス流と比較して、通常、はるかにゆっくりであり、それゆえ、イオン化されたすす粒子がより均一に堆積することが、表面分離器において、イオン化されたすす粒子が外側領域へと運ばれる量が増加した結果として、達成されるので、このことは特に有利である。
【0036】
平面接触部は、好ましくは、表面分離器の外側領域において、平面で、形成される。イオン化されたすす粒子は、従って、表面分離器のダクトに効果的に運ばれる。
【0037】
本発明に係るデバイスは、ハニカム体が表面分離器における各中性化領域に対して提供される場合、さらに有利である。この種のハニカム体は好ましくは円盤状であってもよい。
【0038】
この種のハニカム体は、導電性であってもよく、または、導電性でなくてもよい。導電性のハニカム体は、好ましくは、金属であり、または、セラミック材料からできており、導電性構造物、例えば、導電性ファイバが組み込まれて電気伝導性を生成する。導電性ではないハニカム体は、好ましくはセラミックのハニカム体である。円盤状のハニカム体が各中性化領域に対して提供される場合、これらのハニカム体は各々、互いに距離を置いて配置されてよい。さらに、ハウジングに対して個々のハニカム体が絶縁していてもよい。個々の中性化領域は従って互いに絶縁可能である。
【0039】
個々のハニカム体が導電性ではない場合、平面接触部は好ましくは、個々のハニカム体の、各々の場合において、流出口側上に提供される。導電性ではないハニカム体の場合、接触部のみが、中性化領域としてみなされる。
【0040】
導電性のハニカム体は任意の仕方で接触可能である。接触の結果として、導電性のハニカム体全体は電極として作用し、それゆえ、また、中性化領域全体として存在する。導電性のハニカム体内に、電界は通常、形成されないが、電界は、この種の導電性のハニカム体の外側表面の範囲までは単に存在する。なぜならば、均一な電位が導電性のハニカム体において一般に存在するからである。導電性のハニカム体は、完全に中性化要素としてみなされる。導電性のハニカム体は、例えば金属層から形成され、好ましくは、平滑および波形の金属層から形成され、特に、コイル状、らせん状、および/またはスタックされて、形成される。
【0041】
部分的に導電性のハニカム体を用いることもまた可能である。このような部分的に導電性のハニカム体の導電率は、電流の流れに起因してハニカム体内で電位差が生成されるように、制限可能であるか、あるいは、ハニカム体は、導電性の下位領域および非導電性の下位領域を備えてもよい。例えば、端部領域にハニカム体の導電性を提供することが可能である。イオン化されたすす粒子の引力の増加が端部領域において達成可能であり、ハニカム体の端部領域におけるより低い排ガス速度に起因して、より低い体積量は従ってオフセット可能である。
【0042】
さらに、本発明は、排ガスのすす粒子を変換するための方法であって、この方法は少なくとも以下のステップ:
(a)排ガス中において二酸化窒素を生成するステップ;
(b)少なくとも1つのイオン化要素によりすす粒子をイオン化するステップ;
(c)イオン化されたすす粒子の中性化のために、少なくとも2つの導電性の中性化領域を有する少なくとも1つの表面分離器において、イオン化されたすす粒子を堆積させるステップ;
(d)少なくとも1つの表面分離器において、二酸化窒素と、堆積されたすす粒子とを接触させるステップ;を含み、
少なくとも2つの導電性の中性化領域は、各々、電位を備え、少なくとも1つの中性化領域の電位は、残りの中性化領域の電位と異なる、
方法に関する。
【0043】
特に、すす粒子の連続した再生は、従って、本発明に従って提案されたデバイスにおいて提供される。デバイスに関連して示された特徴は本方法を説明するために図示可能であり、その逆もまた然りである。本方法は、本発明に係るデバイスを用いて特に実行可能である。
【0044】
全てのステップ(a)から(d)が、車両の内燃エンジンの稼動中に、恒久的に実行されることが好ましい。
【0045】
さらに、ステップ(a)が、適切な排ガスコンバータによって二酸化窒素を提供すること、および/または、エンジン内の手段(measures)により、二酸化窒素を提供することを含むことが好ましい。この場合、エンジン内の手段は、例えば、排ガスフィードバックであってもよい。
【0046】
表面分離器内のすす粒子の堆積は、中性化領域の電位に影響を与えることによって影響を受けることができる。
【0047】
本発明に係る方法は、すす粒子が表面分離器において実質的に均一に堆積されるように設定された少なくとも2つの中性化領域の電位を用いて好ましくは実施される。表面分離器の表面上(または内部)に、好ましくは、均一の堆積が存在する。
【0048】
本発明に係る方法はまた、中性化領域の電位が経時的に変化する場合、特に有利である。例えば、イオン化されたすす粒子の堆積をここでまず達成するように、特定の電位を用いて中性化領域を提供し、かつ、次いで、この中性化領域付近においてイオン化されたすす粒子の堆積を止めるように、この中性化領域上において別の電位を置くことが可能である。同時に、イオン化されたすす粒子のここでの堆積を達成するため、または促進するために、別の中性化領域に適用可能である。
【0049】
イオン化されたすす粒子の均一の堆積が、イオン化領域における電位の時間的変化の結果として促進可能である仕方に関して異なるアプローチが想定可能である。
【0050】
本発明に係る方法の第1の態様において、中性化領域の電位は、高い周波数、例えば、10kHz、20kHz、またはさらに50kHz(高周波変動)にて、変化する。この態様において、イオン化されたすす粒子は、表面分離器の全ての表面上において、あらゆる時間において、実質的に均一に堆積される。
【0051】
個々の中性化領域の第2の態様の電位は非常に低い周波数において変化する。例えば、個々の中性化領域の電位は、最大で1分以内に一度、好ましくは、最大で2分以内に一度、特に、最大で5分以内に一度(1ヘルツ[1/秒]以下の周波数での低周波変動)で、変化してもよい。この態様において、イオン化されたすす粒子は、表面分離器における領域に亘って堆積され、より長い期間に亘っているとみなされる場合、表面分離器全体に亘って均一に堆積されている。
【0052】
本発明に係る方法は、中性化領域が表面分離器の下位領域に割り当てられることができる場合、さらに有利であり、すす粒子の最大負荷量(maximum loading)が表面分離器のその割り当てられた下位領域において超過される場合、その動作は停止される。
【0053】
本方法のこうした実施により、1つのみの中性化領域が、1つの接地電極に常に同時に連結されることが好ましく、かつイオン化されたすす粒子は割り当てられた下位領域において堆積される。残りの下位領域は、さらなるイオン化されたすす粒子がこれらの下位領域上に蓄積できなくなるか、個々の動作している中性化領域まで進むまで、イオン化されたすす粒子の堆積により電荷を帯びる。
【0054】
本発明に係る方法は、全ての中性化領域が異なる電位を含み、かつ増加する電位または減少する電位が排ガスの流れ方向に沿って表面分離器内に存在する場合もまた有利である。
【0055】
表面分離器において電荷を帯びたすす粒子を首尾よく堆積させるために、蓄積されたすす粒子の電荷が、表面分離器を介して放電可能であることが必要である。なぜならば、そうでなければ表面分離器の表面は電荷を帯びてしまうからである。さらに、導電性のハニカム体が、そのハニカム体内に存在する電流が存在しない場合に、その内部において基本的に電界を含まない場合、有利である。導電性の表面分離器において増加または減少した電位を生成するために、互いに対して表面分離器の異なる下位領域を電気的に絶縁する必要がある。この種の配置構成を用いると、表面分離器における電界が、イオン化されたすす粒子が表面分離器内において、特に、表面分離器の長さに亘って、実質的に均一に付着するように、流入口面から流出口面へと生成されることが可能である。
【0056】
本発明はまた、本発明に係るデバイスを備える排ガスシステム、または本発明に係る方法を実行するように設計された排ガスシステム、を有する内燃エンジンを備える車両に関する。
【0057】
本発明および技術分野は、図面を参照して以下でより詳細に説明される。図面は、本発明の特に好ましい態様(変形、variant)を示すが、本発明はそれらに限定されるものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明に係るデバイスの好ましい態様を備える車両の概略図を示す。
【図2】図2は、本発明に係るデバイスの好ましい態様の詳細の概略図である。
【図3】図3は、本発明に係るデバイスの好ましい態様のための表面分離器に亘る長手方向断面の概略図を示す。
【図4】図4は、本発明に係る方法の好ましい態様を実施した場合、本発明に係るデバイスの好ましい態様における電位の図の概略図を示す。
【図5】図5は、本発明に係るデバイスのさらなる好ましい態様のための表面分離器に亘る断面の概略図を示す。
【図6】図6は、本発明に係るデバイスのさらなる好ましい態様のための表面分離器に亘る長手方向断面の概略図を示す。
【図7】図7は、本発明に係るデバイスのさらなる好ましい態様のための表面分離器に亘る長手方向断面の概略図を示す。
【図8】図8は、本発明に係る方法の解説の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、内燃エンジン24および排ガスライン29を有する排ガスシステム25を備える車両16を示し、排ガスライン29を介して、内燃エンジン24の排ガスが、排ガスの流れ方向23において、内燃エンジン24を出発して流れることができる。すす粒子を含む排ガスを処理するための、本発明に係るデバイス1は、排ガスシステム25内の排ガスライン29において提供される。本発明に係るデバイス1は、排ガスライン29に沿って排ガスの流れ方向23において連続して、二酸化窒素源3、イオン化要素4、および表面分離器6を備える。表面分離器6は、好ましくは、流入口領域8から流出口領域9へと走るダクト7を備えるハニカム体22として設計される。中性化領域5が表面分離器(集じん装置、沈降分離装置、Oberflaechenabscheider)6上に提供される。中性化領域5は制御手段17によって制御可能である。表面分離器6、中性化領域5、および制御手段17は共に分離デバイス(集じん装置、沈降分離装置、Abscheidevorrichtung)26を形成する。分離デバイス26およびイオン化要素4は、本発明の好ましい態様において、組み合わせて稼動可能であり、すなわち、共に制御され、かつ調整されることができ、あるいは、2つの独立したシステム(「ブラックボックスシステム」)であってもよく、ここで各々は、互いに独立して稼動し、互いに独立して制御および調整可能である。
【0060】
図2は本発明に係るデバイス1を示し、ここでは、イオン化要素4の図解に特に注意が払われており、排ガスライン29にある二酸化窒素源3および分離デバイス26は単に示されているにすぎない。放出電極31は、図2に係るイオン化要素4内に提供される。イオン化要素4の放出電極31とハウジング30との間に、または、放出電極31と分離デバイス26との間に、電圧を付与でき、この電圧は、電圧源14を利用して生成可能である。ハウジング30および分離デバイス26は、電気絶縁部25によって、このため、放出電極31から絶縁される。この設計は、イオン化要素4のための唯一の可能な設計ではない。例えば、ロッド様の放出電極もまた提供可能である。イオン化が2つの平面電極間において達成されるイオン化要素4の上部構造もまた可能である。本発明に係る方法を用いる場合、二酸化窒素源3において生成される二酸化窒素は、分離デバイス26における表面分離器6の再生のために用いられる。表面分離器6におけるすす粒子の炭素は、二酸化窒素と反応することによって二酸化炭素に変換される。
【0061】
二酸化窒素源3の代替として、酸素源40が形成されてもよく、これは図2に、破線で、排ガスライン29に連結される代替物として示されている。酸素を提供することによって、分離デバイス26内の表面分離器6は再生でき、炭素は酸化されて二酸化炭素を形成する。「連続した再生稼動」は、(排ガスライン内での通常の稼動状況下で)少なくとも1つの表面分離器6が連続して再生される両態様において好ましい。
【0062】
図3は本発明に係るデバイス1のための表面分離器6を示す。図3に係る表面分離器6は、連続した配置構成された3つのハニカム体21からなる。ハニカム体21は各々、互いに距離20を置いて配置構成される。全体で、表面分離器6は長さ11を構成する。3つの下位領域21は、表面分離器6内に提供され、各々は3つのハニカム体22の1つに対応する。中性化領域5は、各下位領域21に割り当てられることができる。表面分離器6は、流入口領域8および流出口領域9を備える。この場合、2つの中性化領域5が、例示により、平面接触部18として設計されている。1つの中性化領域5は環状の電極12として設計されている。中性化領域5は各々、制御手段17によって制御されることができる。制御手段17は各々、スイッチ要素28を備える。個々の中性化領域は、制御手段17におけるスイッチ要素28を活用して、電気接地13に連結可能である。個々のハニカム体22は各々ダクト7、断面領域10、およびダクト壁19を備える。ダクト壁19は、ここでは、波形の金属箔36および不織材料27から形成される。すす粒子は、特に不織材料27上に容易に堆積されることができる。堆積はまた、部分的に、不織材料27において生じる。不織材料はそれゆえ、表面分離器6の部品である。
【0063】
図3において、中間のハニカム体22は、すす粒子2で特に多く充満している。流入口領域8から観察すると、手前の2つのハニカム体22は、個々の制御要素17におけるスイッチ要素28により、動作は停止している。奥のハニカム体22は個々の制御要素17におけるスイッチ要素28により、動作している。図3によれば、すす粒子2は従って奥のハニカム体22内に好ましく堆積される。
【0064】
図4は、本発明に係るデバイス1に存在し得る電位37の一例を示す。本発明に係るデバイスの長手方向軸33に亘る電位37が電圧軸32上にプロットされる。排ガスは、流れ方向23において、長手方向軸33に沿ってデバイスを介して流れる。イオン化電位(potential)34は開始時に存在している。これは、イオン化要素4に付与されるイオン化電圧によって維持される。この電位は次いで、長手方向軸33に沿って、かつ排ガスの流れ方向23において、増加し、表面分離器6内の流入口領域8まで、増加する。この電位37は、表面分離器6内においては段階的に増加する。例えば、個々の導電性のハニカム体22が表面分離器6に提供されて、これらのハニカム体22における個々の電位37は、ハニカム体の各々に割り当てられる制御手段17における別々の電圧源14を活用して維持される。導電性のハニカム体22内に電界は存在せず、それゆえ電位37はここでは一定である。個々のハニカム体22は各々、互いに距離20を置いて配置構成される。個々のハニカム体22の電位差に起因して、距離20の各々に亘り、電界が存在し、電位37はハニカム体の間で継続して増加する。
【0065】
表面分離器6の断面領域10を図5に示す。図5による表面分離器6は、その内部に中性化領域5およびその外部に中性化領域5を有する。表面分離器6に配置構成されたハニカム体22は導電性ではなく、それゆえ、電界15は、内部イオン化領域5から出発して外部イオン化領域5へと形成できる。イオン化されたすす粒子は、この種の電界15により、表面分離器6の内部領域から表面分離器6の外部領域へと運ばれる。イオン化領域5の各々に付与される電圧または電位は、制御手段17を活用して可変であってよい。
【0066】
図6は表面分離器6を示し、これは断面領域10に亘る複数の下位領域21を備え、これらの下位領域は、絶縁部35を活用して互いに絶縁している。中性化領域5は、下位領域21の各々に割り当てられて、これらの下位領域は、今度は平面接触部により、接触される。中性化領域5の各々は制御手段17および電圧源14を含む。表面分離器6はまた、不織材料27でできたダクト7およびダクト壁19を有する。この種の表面分離器6において、的を絞った仕方にて、イオン化されたすす粒子が、半径状の外側領域38内に堆積されるか、または半径状の内側領域39内に堆積されるかを制御することができる。
【0067】
図7は、円盤様のセラミックのハニカム体22から形成された表面分離器6を示す。ハニカム体22は各々、表面分離器6の下位領域21を形成する。さらに、ハニカム体22は、各々、互いに距離20を置いて配置され、各々、個々の流出口領域9における平面接触部18が備わっている。これらの接触部18は中性化領域5を形成する。平面接触部18は、各々の場合において、表面分離器6の断面領域10全体に亘っている。この種の表面分離器6により、規定された仕方で、イオン化されたすす粒子が表面分離器6へ侵入する深さを設定することができる。
【0068】
図8は、再度、個々の方法のステップを示すことが意図されている。ここでは、酸化窒素(NO)および一酸化窒素(NO)が、第1のステップにおいて、(二酸化窒素源により)二酸化窒素(NO)に変換される。さらに、すす粒子(PM)またはすす粒子の一部はイオン化されて、それらは帯電する。イオン化されたまたは帯電したすす粒子(PM)は、次いで、対応する静電気引力によりダクト壁上に均一に堆積され、ここで、これはできる限り非常に均一に生じる。いまだに帯電されているか、またはすでに中性化(PM/PM)され得ている、さらに距離を置いたすす粒子は、生成された二酸化窒素(NO)に自由にアクセス可能であり、その結果、堆積表面またはフィルタ材料は、シンプルかつ効率的な仕方で再生可能である。触媒もまた、この変換プロセスのために支援して(supportingly)用いられることもできる。いったんすす粒子が変換されると、ガス状の残余成分、例えば、二酸化炭素(CO)および元素の窒素(N)等が表面分離器から取り除かれる。
【符号の説明】
【0069】
1 デバイス
2 すす粒子
3 二酸化窒素源
4 イオン化要素
5 中性化領域
6 表面分離器
7 ダクト
8 流入口領域
9 流出口領域
10 断面領域
11 長さ
12 環状電極
13 電気接地
14 電圧源
15 電界
16 車両
17 制御手段
18 平面接触部
19 ダクト壁
20 距離
21 下位領域
22 ハニカム体
23 排ガスの流れ方向
24 内燃エンジン
25 排ガスシステム
26 分離デバイス
27 不織材料
28 スイッチ要素
29 排ガスライン
30 ハウジング
31 放出電極
32 電圧軸
33 長手方向軸
34 イオン化電位
35 絶縁部
36 波形の金属箔
37 電位曲線
38 半径状の外側領域
39 半径状の内側領域
40 酸素源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すす粒子(2)を含む排ガスを処理するためのデバイス(1)であって、前記デバイスは少なくとも、
−すす粒子(2)をイオン化するための少なくとも1つのイオン化要素(4)と、
−イオン化されたすす粒子(2)を堆積させるために、表面分離器(6)を有する少なくとも1つの分離デバイス(26)と、を備え、
前記少なくとも1つの分離デバイス(26)は、イオン化されたすす粒子(2)の中性化のために、互いに電気的に絶縁している、少なくとも2つの少なくとも部分的に導電性の中性化領域(5)を備える、
デバイス(1)。
【請求項2】
前記中性化領域(5)は、前記少なくとも1つの表面分離器(6)の下位領域(21)に各々割り当てられることができる、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
制御手段(17)は、前記中性化領域(5)の各々に割り当てられ、前記制御手段は、少なくとも1つの電気接地(13)、少なくとも1つの調節可能な電圧源(14)または少なくとも1つのスイッチ要素(28)を有する、請求項1または請求項2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
少なくとも2つの前記中性化領域(5)は、環状の電極(12)および/または平面接触部(18)として形成される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
ハニカム体(22)は、前記分離デバイス(26)内の各々の中性化領域(5)に対して提供される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの二酸化窒素源(3)または少なくとも1つの酸素源(40)が形成される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
排ガスのすす粒子(2)を変換するための方法であって、前記方法は少なくとも以下のステップ:
(a)前記排ガス中に二酸化窒素を生成するステップ;
(b)少なくとも1つのイオン化要素(4)によりすす粒子(2)をイオン化するステップ;
(c)イオン化されたすす粒子(2)の中性化のために、少なくとも2つの導電性の中性化領域(5)を有する少なくとも1つの表面分離器(6)において、イオン化されたすす粒子(2)を堆積させるステップ;
(d)前記少なくとも1つの表面分離器(6)において、二酸化窒素と、前記堆積されたすす粒子(2)とを接触させるステップ;を含み、
前記少なくとも2つの導電性の中性化領域(5)は、各々、電位を有し、前記少なくとも1つの中性化領域(5)の電位は、残りの中性化領域(5)の電位と異なる、
方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つの中性化領域(5)の電位は、すす粒子(2)が前記表面分離器(6)において実質的に均一に堆積されるように設定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記中性化領域(5)の電位は経時的に変化する、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中性化領域(5)は、前記表面分離器(6)の下位領域(21)に割り当てられることができ、すす粒子(2)の最大負荷量が前記表面分離器(6)の前記割り当てられた下位領域(21)において超過された場合、1つの中性化領域は動作が停止される、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
全ての中性化領域(5)は異なる電位を有し、排ガスの流れ方向(23)に沿って増加する電位(15)が前記表面分離器(6)において存在する、請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のデバイス(1)を備える排ガスシステム(25)、または請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計された排ガスシステム(25)、を有する内燃エンジン(24)を備える車両(16)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−504704(P2013−504704A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528307(P2012−528307)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062475
【国際公開番号】WO2011/029730
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(500038927)エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンス テクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング (156)
【Fターム(参考)】