説明

せん断パネル型ダンパー及びこのせん断パネル型ダンパーを用いた橋梁の支承構造、並びにこの支承構造が採用された橋梁

【課題】せん断パネル型ダンパーに面内方向以外の荷重がかかった場合でも、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができるせん断パネル型ダンパー、及びこのせん断パネル型ダンパーを用いた橋梁の支承構造、並びにこの支承構造が採用された橋梁を得る。
【解決手段】下辺が橋梁下部構造102に直接的又は間接的に固定されるパネル部11と、橋梁上部構造105に設けられ、パネル部11の側辺上方と対向して設けられる載荷部材12とを備え、パネル部11が面内方向へ変形し、橋梁下部構造102と橋梁上部構造105とを相対的に移動させるエネルギーを吸収するせん断パネル型ダンパー10であって、載荷部材12にかかる荷重のうちの面内方向と垂直な荷重がパネル部11に伝達することを抑制する荷重伝達抑制手段20を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁上部構造と橋梁下部構造との間に設置されるせん断パネル型ダンパー、及びこのせん断パネル型ダンパーを用いた橋梁の支承構造、並びにこの支承構造が採用された橋梁に関する。
【背景技術】
【0002】
せん断パネル型ダンパーは、高層建築物等にはすでに十年以上前から使用されている。近年、このようなせん断パネル型ダンパーが、橋梁等の構造物でも使用され始めた。
【0003】
ここで、建築物に用いられるせん断パネル型ダンパーに要求される能力と、橋梁に用いられるせん断パネル型ダンパーに要求される能力とを比較すると、建築物に用いられるせん断パネル型ダンパーは、建築物の各階に設置されるため、そのせん断変形量は少なくてもよい。一方、橋梁に用いられるせん断パネル型ダンパーは、建築物に用いられるせん断パネル型ダンパーの数十倍もの変形能力が要求される。このため、橋梁に用いられるせん断パネル型ダンパーとして、建築物に用いられるせん断パネル型ダンパーとは異なった、大変形性能のせん断パネル型ダンパーの開発が必要とされている。
【0004】
また、建築物に用いられるせん断パネル型ダンパーは、建築物の垂直構面(柱と梁で構成される垂直な平面)に設置されるため、構面内の一方向の動きのみを考慮すればよい。一方、橋梁は、地震等の際、橋梁上部構造と橋梁下部構造とが平面視において2次元的に相対移動する。このため、橋梁に用いられるせん断パネル型ダンパーには、このような2次元的な動きに対応するせん断パネル型ダンパーが必要となってくる。
【0005】
このような橋梁上部構造と橋梁下部構造との2次元的な相対移動に対応するため、例えば特許第3755886号公報(以下、特許文献1という)には、次のような橋梁支承構造が記載されている。
特許文献1に記載のせん断パネル型ダンパーは、矩形状のウエブ部(パネル部)の両側に矩形状の縦リブ部を有する断面H形の鋼材で構成されている。そして、このせん断パネル型ダンパーを橋梁上部構造と橋梁下部構造との間に複数設置して、橋梁上部構造を支承している。より詳しくは、複数のせん断パネル型ダンパーの一部は、ウエブ部の下辺長手方向が橋軸方向となるように設置されている。複数のせん断パネル型ダンパーの残り一部は、ウエブ部の下辺長手方向が橋軸方向と垂直方向となるように設置されている。そして、これらせん断パネル型ダンパーをストッパーで固定し、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーがこれらせん断パネル型ダンパーに伝達される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3755886号公報(段落0016〜0018,0021、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
橋梁に用いられるせん断パネル型ダンパーは、パネル部が面内方向(パネル部の面に沿った方向)へ変形することで、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収する。しかしながら、地震等の際、橋梁上部構造と橋梁下部構造とは平面視において2次元的に相対移動する。このとき、従来のせん断パネル型ダンパーは、パネル部に面内方向以外の荷重がかかる場合がある。このため、従来のせん断パネル型ダンパーは、パネル部に面内方向以外の荷重成分がかかってパネル部が面外方向(面内方向と垂直な方向)に変形してしまった場合、パネル部が面内方向にうまく変形できず、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができないかもしれないという課題があった。
【0008】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、せん断パネル型ダンパーに面内方向以外の荷重がかかった場合でも、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができるせん断パネル型ダンパー、及びこのせん断パネル型ダンパーを用いた橋梁の支承構造、並びにこの支承構造が採用された橋梁を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るせん断パネル型ダンパーは、下辺が橋梁下部構造に直接的又は間接的に固定されるパネル部と、橋梁上部構造に設けられ、該橋梁上部構造に設けられた状態では、前記パネル部の側辺上方と対向して設けられる載荷部材と、を備え、前記橋梁下部構造と橋梁上部構造とが相対的に移動した際、前記載荷部材に側辺上方を押圧されることによって前記パネル部がその面に沿った方向である面内方向へ変形し、前記橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収するせん断パネル型ダンパーであって、前記載荷部材にかかる荷重のうちの前記面内方向と垂直な荷重が前記パネル部に伝達することを抑制する荷重伝達抑制手段を有するものである。
【0010】
また、本発明に係るせん断パネル型ダンパーは、上辺が橋梁上部構造に直接的又は間接的に固定されるパネル部と、橋梁下部構造に設けられ、該橋梁上部構造に設けられた状態では、前記パネル部の側辺下方と対向して設けられる載荷部材と、を備え、前記橋梁下部構造と橋梁上部構造とが相対的に移動した際、前記載荷部材に側辺下方を押圧されることによって前記パネル部がその面に沿った方向である面内方向へ変形し、前記橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収するせん断パネル型ダンパーであって、前記載荷部材にかかる荷重のうちの前記面内方向と垂直な荷重が前記パネル部に伝達することを抑制する荷重伝達抑制手段を有するものである。
【0011】
また、本発明に係る橋梁の支承構造は、橋梁上部構造と橋梁下部構造との間に、上記のせん断パネル型ダンパーが設置されるものである。
【0012】
また、本発明に係る橋梁は、橋梁上部構造と、橋梁下部構造と、移動支承と、上記のせん断パネル型ダンパーと、を備え、前記橋梁上部構造と前記橋梁下部構造との間に、上記の支承構造が採用されたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、せん断パネル型ダンパーに面内方向以外の荷重がかかった場合でも、この荷重の面内方向成分はパネル部に伝達され、この荷重の面外方向成分は荷重伝達抑制手段によってパネル部に伝達されることを防止される。このため、パネル部は面外方向に傾斜はするが、パネル部が面外方向に変形することを抑制できる。したがって、せん断パネル型ダンパーは、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係る橋梁の一例を示す縦断面模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るせん断パネル型ダンパーの構成を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るせん断パネル型ダンパーの動作説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るパネル部の別の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るせん断パネル型ダンパーの構成を示す正面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係るせん断パネル型ダンパーの構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係るせん断パネル型ダンパーの動作説明図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係るせん断パネル型ダンパーの変形後の状態を示す状態図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係るせん断パネル型ダンパーの構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態5に係るせん断パネル型ダンパーの構成を示す正面図である。
【図11】本発明の実施の形態6に係る橋梁支承構造の一例を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態6に係る橋梁支承構造の一例を示す平面図である。
【図13】本発明の実施の形態6に係る橋梁支承構造の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
(橋梁全体構造)
図1は、本発明の実施の形態1に係る橋梁の一例を示す縦断面模式図である。なお以下では、水平面内の橋軸方向をX方向、水平面内の橋軸に垂直方向をY方向、鉛直方向をZ方向として説明する。また、図1を含め、以下の図面では、実物とは縮尺比を一部異ならせて示している。
【0016】
図1(a)に示すように、橋梁100は、図示しない地盤に立設された橋梁下部構造102と、橋梁下部構造102に設置された可動支承103と、可動支承103に水平方向で移動自在に支承された橋梁上部構造105と、地震発生時に橋梁上部構造105の動きを減衰させるせん断パネル型ダンパー10と、を有している。
【0017】
橋梁下部構造102は、図示しない地盤に立設された橋脚部102aと、橋脚部102aの上部に設けられた橋脚張り出し部102bと、を備えている。そして、可動支承103は橋脚部102aの上面に設置され、せん断パネル型ダンパー10は橋脚張り出し部102bの張り出し部の上面に設置されている。
【0018】
可動支承103は橋梁上部構造105からの鉛直方向荷重を支承すると共に、橋梁上部構造105に温度変化による伸縮が発生した場合等に、橋梁上部構造105を橋梁下部構造102に対して水平方向に移動させるものである。そのため、可動支承103自体が変形自在であったり、可動支承103と橋梁上部構造105との当接部が摺動自在であったりするが、本発明は、その形式を限定するものではない。
【0019】
せん断パネル型ダンパー10は、橋梁上部構造105からの鉛直方向荷重を受けないように設置されている。このせん断パネル型ダンパー10は、地震発生時等に、橋梁上部構造105が水平方向に移動した際、橋梁上部構造105のX方向(橋軸方向)に移動を減衰させるものである。せん断パネル型ダンパーの詳細構造については後述する。
【0020】
なお、図1(a)に示す橋梁100はあくまでも一例であり、橋梁100を構成するそれぞれの部材の形状や数量、及び相互の大小関係、あるいは設置の方向は図示するものに限定するものではない。例えば図1(b)に示す橋梁100のように、可動支承103を挟んで、一対のせん断パネル型ダンパー10を設置してもよい。また、図1(a)及び図1(b)では橋脚張り出し部102bにせん断パネル型ダンパー10が設置されているが、例えば橋脚張り出し部102bを具備しない構造にして、橋脚部102aの上面にせん断パネル型ダンパー10を設置してもよい。
【0021】
(せん断パネル型ダンパーの構成)
続いて、図2を用いて、せん断パネル型ダンパー10の詳細について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係るせん断パネル型ダンパーの構成を示す正面図である。
せん断パネル型ダンパー10は、パネル部11、載荷部材12、及び荷重伝達抑制手段20を備えている。
【0022】
パネル部11は、板状部材であり、正面視において略矩形状の四隅に円弧状フレアー11aが形成された形状となっている。このパネル部材は、例えばLYP−100(公称降伏点が100N/mm2 )等の極低降伏比鋼により形成されている。極低降伏比鋼は、普通鋼の一種であるSS400に比べて適度な低降伏性を有し、延性が極めて高い鋼材である。例えば、LYP−100は、SS400に対して、0.2%の永久ひずみに対応した応力(0.2%オフセット値σ0.2 )が約1/3(80N/mm2 )であり、伸び変形量が約3倍(60%)もある。
なお、パネル部11の材質は、極低降伏比鋼に限らず、延性の高い普通鋼、アルミニウム合金、銅、又は非磁性鋼等であってもよい。これらの材質を組み合わせてパネル部11を形成してもよい。
パネル部11は、その下辺が橋梁下部構造102の例えば上面に固定され、橋梁下部構造102の上面に立設されている。
【0023】
なお、パネル部11の形状や、パネル部11の橋梁下部構造102への固定構造は、本実施の形態1で示す構成に限定されるものではない。例えば、パネル部11の正面視における形状を、円弧状フレアー11aの形成されていない略矩形状としてもよい。また例えば、パネル部11の橋梁下部構造102への固定構造は、パネル部11の下辺と橋梁下部構造102の上面との間に連結板等を設け、この連結板等を介して、パネル部11と橋梁下部構造102とを間接的に固定してもよい。
【0024】
ブロック状の載荷部材12は、橋梁上部構造105の例えば下面に設けられている。この載荷部材12は、その側面12aがパネル部11の側辺11b(より詳しくは側辺11bの上方)と対向するように、橋梁上部構造105に設けられる。このとき、載荷部材12の側面12aとパネル部11の側辺11bとの間には、所定寸法の間隙が形成されている。
【0025】
載荷部材12の側面12aとパネル部11の側辺11bとの間に形成された間隙には、つまり、載荷部材12の側面12aとパネル部11の側辺11bとの間には、荷重伝達抑制手段20が設けられている。この荷重伝達抑制手段20は、載荷部材12にかかる荷重のうち、Y方向(橋軸と垂直な方向)の荷重成分がパネル部11に伝達することを抑制するものである。この荷重伝達抑制手段20は、転動体21、及びこの転動体21を保持する保持部材22を備えている。保持部材22は、例えばパネル部11の側辺11b上方に設けられており、載荷部材12の側面12aとパネル部11の側辺11bとの間に略球状の転動体21を転動自在に保持している。このとき、転動体21と載荷部材12の側面12aとの間、及び転動体21とパネル部11の側辺11bとの間には、所定寸法の間隙が形成されている。
【0026】
なお、荷重伝達抑制手段20は、本実施の形態1に係る構成に限定されるものではない。例えば、保持部材22は、載荷部材12の側面12aに設けられていてもよい。また例えば、転動体21は、略円筒形状としてもよい。また例えば、転動体21と載荷部材12の側面12aとの間、及び転動体21とパネル部11の側辺11bとの間に間隙が形成されない構成としてもよい。
【0027】
(せん断パネル型ダンパーの動作)
次に、図3を用いて、せん断パネル型ダンパー10の動作について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係るせん断パネル型ダンパーの動作説明図である。なお、図3(a)は、動作後のせん断パネル型ダンパー10の上部近傍を示す平面図である。図3(b)は、動作後のせん断パネル型ダンパー10を示す正面図である。また、図3(a)には、動作前のパネル部11の上辺中心軸1aと、動作後のパネル部11の上辺中心軸1bも示している。
【0028】
地震等が発生すると、橋梁下部構造102と橋梁上部構造105とは、平面視において2次元的に相対移動する。例えば、橋梁上部構造105が橋梁下部構造102に対して、図3(a)の紙面左上方向(図3(a)に示す荷重200の方向)に移動するとする。そして、載荷部材12には、図3(a)の矢印方向に荷重200がかかっているとする。
【0029】
このように橋梁下部構造102と橋梁上部構造105とが相対移動する場合、従来のせん断パネル型ダンパーの上辺は平面視において橋梁上部構造105に追従するので、従来のせん断パネル型ダンパーの上辺は図3(a)に示す中心軸1aの位置となる。つまり、従来のせん断パネル型ダンパーは、その下辺が中心軸1bの位置となり、その上辺が中心軸1aの位置となる。このため、従来のせん断パネル型ダンパーのパネル部は、面内方向(パネル部の面に沿った方向、図3(a)ではX方向)と垂直な方向である面外方向に変形することとなる。したがって、パネル部が面内方向にうまく変形できず、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができない場合がある。
【0030】
一方、上述のように橋梁下部構造102と橋梁上部構造105とが相対移動する場合、本実施の形態1に係るせん断パネル型ダンパー10は、パネル部11の一方の側辺11b側(図3における右側)において、パネル部11の側辺11bと載荷部材12の側面12aとの間に荷重伝達抑制手段20の転動体21が挟持されることとなる。このため、パネル部11の側辺11bと載荷部材12の側面12aとの間で転動体21が転動することにより、載荷部材12にかっている荷重200の面外方向成分202がパネル部11に伝達されることが抑制される。これにより、パネル部11の上辺が中心軸1bの位置(平面視においてパネル部11の下辺の位置)に移動することができ、パネル部11が面外方向に変形することを抑制できる。
【0031】
また、このとき、パネル部11には、主に荷重200の面内方向成分201がかかることとなる。このため、図3(b)に示すように、パネル部11が面内方向にうまく変形することができ、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができる。
【0032】
以上のように、本実施の形態1に係るせん断パネル型ダンパー10は、パネル部11の側辺11bと載荷部材12の側面12aとの間に荷重伝達抑制手段20が設けられているので、荷重200の面外方向成分202がパネル部11に伝達されることを抑制できる。このため、パネル部11が面内方向にうまく変形することができ、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができる。
【0033】
また、パネル部11は、SS400に比べて適度な低降伏性を有し、延性が極めて高い極低降伏比鋼によって形成されている。このため、地震エネルギーの吸収性能が増大する。
【0034】
なお、橋梁下部構造102と橋梁上部構造105との間へのせん断パネル型ダンパー10の設置方法は、本実施の形態1の設置方法に限定されるものではない。例えば、せん断パネル型ダンパー10のパネル部11の上辺を橋梁上部構造105の例えば下面に固定し、載荷部材12を橋梁下部構造102の例えば上面に固定してもよい。つまり、本実施の形態1に係るせん断パネル型ダンパー10の設置方法とは上下逆さまにせん断パネル型ダンパー10を設置しても、同様の効果を得ることができる。
【0035】
また例えば、本実施の形態1ではパネル部11を側面視において略垂直に設けているが、パネル部11を側面視において斜めや水平となるように設けてもよい。本発明においては、パネル部11の側辺11bにおける橋梁下部構造102と直接的又は間接的に接する側を側辺11bの下方と称し、パネル部11の側辺11bにおける橋梁上部構造105と直接的又は間接的に接する側を側辺11bの上方と称する。
【0036】
また、本実施の形態1に係るパネル部11にはリブが設けられていないが、例えば図4に示すように、パネル部11の側辺11bにリブ13を設けてもよい。これにより、パネル部11の面外方向の剛性が向上し、パネル部11の面外方向への変形をより抑制することができる。
また、パネル部11に設けられるリブ13の位置は側辺11bに限らず、たとえば、パネル部11の面上に側辺11bに沿ってリブ13を延設してもよい。
なお、図4に示すパネル部11の形状は、円弧状フレアー11aが形成されていない略矩形状となっている。
【0037】
実施の形態2.
せん断パネル型ダンパーに設ける荷重伝達抑制手段は、実施の形態1に示したものに限らず、例えば以下に示すような構成としてもよい。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とする。
【0038】
(せん断パネル型ダンパー)
図5は、本発明の実施の形態2に係るせん断パネル型ダンパーの構成を示す正面図である。本実施の形態2に係るせん断パネル型ダンパー30は、実施の形態1の荷重伝達抑制手段20に替えて、荷重伝達抑制手段31が設けられている。この荷重伝達抑制手段31は、パネル部11の側辺11b上方に設けられたステンレス板32と、載荷部材12の側面12aにコーティングされたテフロン膜33(テフロンは登録商標、以下同様である)を備えている。
ここで、テフロン膜33が本発明の第1の滑り部材に相当し、ステンレス板32が本発明の第2の滑り部材に相当する。
なお、本実施の形態2では第2の滑り部材としてステンレス板32を用いたが、それ以外のものを用いてももちろんよい。例えば、第2の滑り部材として、例えばクロムメッキされた鋼板のような、表面の滑らかな金属板を用いてもよい。また、第1の滑り部材もテフロン膜33に限定されない。つまり、第1の滑り部材は、第2の滑り部材に対して滑り特性の良いものであればよい。
【0039】
このように構成されたせん断パネル型ダンパー30においては、ステンレス板32とテフロン膜33との間に生じる摩擦抵抗が少ないため、載荷部材12にかかる荷重のうち、パネル部11の面外方向となる荷重成分がパネル部11に伝達されることが抑制される。このため、パネル部11が面内方向にうまく変形することができ、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができる。
【0040】
なお、ステンレス板32の設置位置やテフロン膜33の形成位置は、本実施の形態2の構成に限定されるものではない。例えば、ステンレス板32を載荷部材12の側面12aに設け、テフロン膜33をパネル部11の側辺11b上方に形成してもよい。
【0041】
実施の形態3.
せん断パネル型ダンパーは、以下のような構成とすることもできる。なお、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1又は実施の形態2と同様とする。
【0042】
(せん断パネル型ダンパーの構成)
図6は、本発明の実施の形態3に係るせん断パネル型ダンパーの構成を示す斜視図である。なお、図6では、せん断パネル型ダンパー40の一部(より詳しくは、パネル部41の側辺近傍)を示している。また、本実施の形態3では、パネル部の一例として、円弧状フレアーの形成されていない略矩形状で、側辺にリブ42が設けられたパネル部41を例に説明する。
【0043】
本実施の形態3に係るせん断パネル型ダンパー40は、パネル部41、リブ42、回転軸51、回転軸52、支持部材53、載荷部材55等を備えている。
上述のように、パネル部41は、円弧状フレアーの形成されていない略矩形状の板部材である。そして、パネル部41の両側辺には、リブ42が設けられている。これらリブ42の側面(より詳しくは、パネル部41の側辺と対向する面の反対面)には、その上方に略円筒形状の回転軸51が立設され、その下方に略円筒形状の回転軸52が立設されている。ここで、回転軸51が本発明における第1の凸部に相当し、回転軸52が本発明における第2の凸部に相当する。
【0044】
支持部材53は、橋梁下部構造の例えば上面に設けられるものであり、回転軸52(パネル部41の側辺下方、リブ42の側面下方に同じ)との対向面には、回転軸52が挿入される孔54が形成されている。つまり、パネル部41は、支持部材53を介して橋梁下部構造に設けられている。孔54の開口形状は略円形状となっており、その直径は、回転軸52の直径よりもわずかに大きくなっている。なお、孔54は、貫通孔となっていてもよいし、貫通しない孔となっていてもよい。つまり、孔54の深さが回転軸52の軸方向長さよりも深くなっていればよい。
【0045】
載荷部材55は、橋梁上部構造の例えば下面に設けられるものであり、回転軸51(パネル部41の側辺上方、リブ42の側面上方に同じ)との対向面には、上下方向に延びる凹部56が形成されている。この凹部56は、回転軸51が挿入されるものであり、その横幅は回転軸51の直径よりもわずかに大きくなっている。
【0046】
つまり、本実施の形態3に係る荷重伝達抑制手段は、回転軸51とこの回転軸51が挿入される凹部56、及び回転軸52とこの回転軸52が挿入される孔54、で構成されている。
【0047】
(せん断パネル型ダンパーの動作)
次に、図7を用いて、本実施の形態3に係るせん断パネル型ダンパー40の動作について説明する。特に、以下では、荷重伝達抑制手段50におけるパネル部41への面外方向荷重成分の伝達抑制動作について説明する。
【0048】
図7は、本発明の実施の形態3に係るせん断パネル型ダンパーの動作説明図である。この図7は、パネル部41の面内方向から、回転軸51、回転軸52、支持部材53及び載荷部材55を示している。
【0049】
地震等によって、橋梁上部構造及び載荷部材55が図7の(A)点から図7の(B)点に移動した場合、回転軸52は孔54に保持されながら回転する。また、回転軸51は、橋梁上部構造及び載荷部材55と共に(A)点から(B)点に移動し、凹部56内で回転する。このとき、パネル部41、リブ42及び回転軸51は回転軸52を中心として面外方向に回転するため、回転軸51の上下方向位置は、(A)点と(B)点とでは異なることとなる。しかしながら、本実施の形態3に係るせん断パネル型ダンパー40は、橋梁上部構造、載荷部材55及び回転軸51が(A)点から(B)点へ移動する際、回転軸51が凹部56内を上下方向に摺動し、各点における回転軸51の上下方向位置の差を吸収することができる。このため、パネル部41に面外方向の荷重がかかることを抑制できる。したがって、図8に示すように、パネル部41が面内方向にうまく変形することができ、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができる。
【0050】
以上のように構成されたせん断パネル型ダンパー40においても、実施の形態1や実施の形態2と同様に、パネル部41に面外方向の荷重がかかることを抑制でき、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができる。
【0051】
なお、本実施の形態3に係るせん断パネル型ダンパー40を構成するそれぞれの部材の形状等は、あくまでも一例である。例えば、凹部56は載荷部材55の上面及び下面に連通した形状となっているが、凹部56を載荷部材55の上面及び下面に連通しない形状(例えば開口形状が長丸状の凹部)としてもよい。
また、凹部56の形成方向(上下方向)は、垂直方向を示すものではない。凹部56の形成方向(上下方向)は、上述のように回転軸51の上下方向位置の差を吸収できる方向であればよいので、概ね垂直方向に沿った方向であればよい。
また、リブ42を設けず、回転軸51及び回転軸52を、パネル部41の側辺に直接設けてもよい。また、回転軸51や回転軸52の設置位置はパネル部41の側辺に限らず、例えば回転軸51をパネル部41の上辺に設けてもよいし、回転軸52をパネル部41の下辺に設けてもよい。
また、実施の形態1や実施の形態2と同様に、本実施の形態3に係るせん断パネル型ダンパー40を上下逆さまに設けてももちろんよい。
【0052】
実施の形態4.
(せん断パネル型ダンパー)
実施の形態3では凸側となる部品(回転軸51、回転軸52)をパネル部41側に設けたが、凸側となる部品(回転軸51、回転軸52)を載荷部材55や支持部材53に設けてもよい。なお、本実施の形態4において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態3と同様とする。
【0053】
図9は、本発明の実施の形態4に係るせん断パネル型ダンパーの構成を示す斜視図である。なお、図9では、せん断パネル型ダンパー60の一部(より詳しくは、パネル部41の側辺近傍)を示している。また、本実施の形態4では、パネル部の一例として、円弧状フレアーの形成されていない略矩形状で、側辺にリブ42が設けられたパネル部41を例に説明する。
【0054】
本実施の形態4に係るせん断パネル型ダンパー60では、回転軸51が、載荷部材55におけるリブ42の側面上方(パネル部41の側辺上方に同じ)と対向する面に設けられている。また、回転軸52が、支持部材53におけるリブ42の側面下方(パネル部41の側辺下方に同じ)と対向する面に設けられている。そして、凹部56がリブ42の側面上方に形成されており、孔54がリブ42の側面下方に設けられている。
【0055】
このように構成されたせん断パネル型ダンパー60においても、実施の形態3と同様に、パネル部41に面外方向の荷重がかかることを抑制でき、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収することができる。
なお、リブ42を設けず、凹部56及び孔54を、パネル部41の側辺に直接設けてもよい。
【0056】
実施の形態5.
実施の形態3及び実施の形態4で示した回転軸51や回転軸52の先端部に段部を設けてもよい。なお、本実施の形態5において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態4と同様とする。
【0057】
(せん断パネル型ダンパーの構成)
図10は、本発明の実施の形態5に係るせん断パネル型ダンパーの構成を示す正面図である。なお、図10は回転軸52近傍を示した図となっている。
せん断パネル型ダンパー70は、実施の形態3で示したせん断パネル型ダンパー40と同様に、回転軸52がパネル部41側に設けられたものである。また、回転軸52は、パネル部41の下辺に設けられている。
【0058】
図10に示すように、回転軸52は、支持部材53に形成された孔54を貫通するように設けられている。そして、回転軸52の先端部には、例えば略円筒形状の段部52aが設けられている。この段部52aの直径は、孔54の直径よりも大きくなっている。ここで、段部52aが本発明の第1の凸部用段部に相当する。
【0059】
(せん断パネル型ダンパーの動作)
実施の形態3及び実施の形態4に示すせん断パネル型ダンパーは、パネル部41の一方の側辺の下方に支持部材53が押し当てられ、パネル部41の他方の側辺の上辺に載荷部材55が押し当てられることにより、面内方向に変形する。つまり、パネル部41が押し当てられない側(パネル部41が離れる側)の支持部材53には、パネル部41から荷重がかかっておらず、一方の支持部材53のみでパネル部41が面内方向に変形する際の荷重を支持している状態となる。
【0060】
一方、本実施の形態5に係るせん断パネル型ダンパー70は、パネル部41が支持部材53から離れる方向(図10における紙面左側)に移動した際、段部52aが支持部材53に掛止されることとなる。これにより、パネル部41の側辺が押し当てられる側の支持部材53と、段部52aが掛止される側の支持部材53との双方により、パネル部41が面内方向に変形する際の荷重を支持することができる。
【0061】
このように構成されたせん断パネル型ダンパー70は、パネル部41の両側に設けられた支持部材53の双方によって、パネル部41が面内方向に変形する際の荷重を支持することができる。このため、支持部材53ひとつあたりに必要な剛性が小さくなり、支持部材53を小型化・低コスト化することができる。
【0062】
なお、本実施の形態5では、支持部材53に形成された孔54を貫通する回転軸52の先端部に段部52aを設けた例を説明した。これに限らず、例えば、載荷部材55に形成された凹部56に回転軸51が貫通するように構成し、回転軸51の先端部に段部を設けてもよい。このように構成しても、パネル部41の両側に設けられた載荷部材55の双方によってパネル部41が面内方向に変形する際の荷重を支持することができる。このため、載荷部材55ひとつあたりに必要な剛性が小さくなり、支持部材53を小型化・低コスト化することができる。また、回転軸51及び回転軸52の双方に段部を形成してももちろんよい。
【0063】
また、回転軸51に形成される段部や回転軸52に形成される段部52aの形状は、パネル部41が離れる方向に移動した際に載荷部材55や支持部材53に掛止される形状であれば任意である。
【0064】
また、本実施の形態5では実施の形態3で示したせん断パネル型ダンパーを例に説明したが、実施の形態4で示したせん断パネル型ダンパーの回転軸51や回転軸52の先端部に段部を構成しても、本実施の形態5と同様の効果を得ることができる。
【0065】
実施の形態6.
(橋梁、支承構造)
本実施の形態6では、実施の形態1〜実施の形態5に示したせん断パネル型ダンパーを設置した橋梁の支承構造の一例について説明する。なお、本実施の形態6において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態5と同様とする。
【0066】
図11(a)〜図13(g)は、本発明の実施の形態6に係る橋梁支承構造の一例を示す平面図である。なお、図11(a)〜図13(g)では、せん断パネル型ダンパーの設置位置の理解を容易とするために、移動支承の図示を省略している。また、図11(a)〜図13(g)では、実施の形態1〜実施の形態5に示したせん断パネル型ダンパーの総称として、せん断パネル型ダンパー90と示している。つまり、せん断パネル型ダンパー90は、実施の形態1〜実施の形態5に示したせん断パネル型ダンパーのいずれであってもよいということである。また、図11(a)〜図13(g)では、せん断パネル型ダンパー90のパネル部が橋梁下部構造102の上面に直接的又は間接的に設置された場合を例に説明する。
【0067】
橋梁上部構造と橋梁下部構造とが平面視において2次元的に相対移動可能な橋梁支承構造の場合、例えば図11(a)〜図12(e)のようにせん断パネル型ダンパー90を設置してもよい。つまり、設置されるせん断パネル型ダンパー90の一部は、その面内方向(下辺長手方向に同じ)がX軸方向(橋軸方向)となるように設置される。また、設置されるせん断パネル型ダンパー90の残りの一部は、その面内方向がY軸方向(橋軸方向と垂直な方向)となるように設置される。
【0068】
このようにせん断パネル型ダンパー90を設置することにより、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーのX軸方向成分は、面内方向がX軸方向となるように設置されたせん断パネル型ダンパー90によって吸収される。また、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーのY軸方向成分は、面内方向がY軸方向となるように設置されたせん断パネル型ダンパー90によって吸収される。したがって、耐震性能に優れた橋梁支承構造及び橋梁を得ることができる。
【0069】
なお、図11(a)〜図12(e)に示すように、面内方向がX軸方向となるように設置されたせん断パネル型ダンパー90の設置位置や設置数、面内方向がX軸方向となるように設置されたせん断パネル型ダンパー90の設置位置や設置数は任意である。
【0070】
また、橋梁上部構造と橋梁下部構造とが平面視において2次元的に相対移動可能な橋梁支承構造の場合、例えば図12(f)のように、せん断パネル型ダンパー90の面内方向がX軸にもY軸にも向かないようにせん断パネル型ダンパー90を設置してもよい。つまり、面内方向が平面視で放射状となるようにせん断パネル型ダンパー90を設置する等、一部のせん断パネル型ダンパー90の面内方向がその他のせん断パネル型ダンパー90の面内方向と異なるように設置すればよい。このようにせん断パネル型ダンパー90を設置しても、各せん断パネル型ダンパー90は、橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーの各々の面内方向成分を吸収する。したがって、耐震性能に優れた橋梁支承構造及び橋梁を得ることができる。
【0071】
また、せん断パネル型ダンパー90(実施の形態1〜実施の形態5で示したせん断パネル型ダンパー)は、図13(g)に示すように、例えばX軸方向(橋軸方向)のみに移動可能となった支承構造にも用いることが可能である。
【0072】
ストッパー110によって橋梁上部構造と橋梁下部構造とのY軸方向の相対移動が規制されている支承構造でも、Y軸方向に若干の遊間が形成されている場合がある。このため、従来のせん断パネル型ダンパーは、橋梁上部構造と橋梁下部構造とがY軸方向へ若干の相対移動をすることにより、面外方向へ繰り返し荷重を受けることとなる。このため、従来のせん断パネル型ダンパーは、パネル部が疲労し、ダンパー機能が低下してしまう。一方、せん断パネル型ダンパー90は、パネル部に面外方向の荷重がかかることを抑制できるので、ダンパー機能の低下を抑制できる。したがって、耐震性能に優れた橋梁支承構造及び橋梁を得ることができる。
【0073】
また、ストッパー110が破損して橋梁上部構造と橋梁下部構造とがY軸方向へ相対移動した場合でも、せん断パネル型ダンパー90は、パネル部に面外方向の荷重がかかることを抑制できるので、ダンパー機能の低下を抑制できる。したがって、耐震性能に優れた橋梁支承構造及び橋梁を得ることができる。
【符号の説明】
【0074】
1a 中心軸(動作前)、1b 中心軸(動作後)、10 せん断パネル型ダンパー、11 パネル部、11a 円弧状フレアー、11b 側辺、12 載荷部材、12a 側面、13 リブ、20 荷重伝達抑制手段、21 転動体、22 保持部材、30 せん断パネル型ダンパー、32 ステンレス板、33 テフロン膜、40 せん断パネル型ダンパー、41 パネル部、42 リブ、50 荷重伝達抑制手段、51 回転軸、52 回転軸、53 支持部材、54 孔、55 載荷部材、56 凹部、60 せん断パネル型ダンパー、100 橋梁、102 橋梁下部構造、103 可動支承、105 橋梁上部構造、110 ストッパー、200 荷重、201 面内方向成分、202 面外方向成分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下辺が橋梁下部構造に直接的又は間接的に固定されるパネル部と、
橋梁上部構造に設けられ、該橋梁上部構造に設けられた状態では、前記パネル部の側辺上方と対向して設けられる載荷部材と、
を備え、
前記橋梁下部構造と前記橋梁上部構造とが相対的に移動した際、前記載荷部材に側辺上方を押圧されることによって前記パネル部がその面に沿った方向である面内方向へ変形し、前記橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収するせん断パネル型ダンパーであって、
前記載荷部材にかかる荷重のうちの前記面内方向と垂直な荷重が前記パネル部に伝達することを抑制する荷重伝達抑制手段を有することを特徴とするせん断パネル型ダンパー。
【請求項2】
上辺が橋梁上部構造に直接的又は間接的に固定されるパネル部と、
橋梁下部構造に設けられ、該橋梁上部構造に設けられた状態では、前記パネル部の側辺下方と対向して設けられる載荷部材と、
を備え、
前記橋梁下部構造と前記橋梁上部構造とが相対的に移動した際、前記載荷部材に側辺下方を押圧されることによって前記パネル部がその面に沿った方向である面内方向へ変形し、前記橋梁下部構造と橋梁上部構造とを相対的に移動させるエネルギーを吸収するせん断パネル型ダンパーであって、
前記載荷部材にかかる荷重のうちの前記面内方向と垂直な荷重が前記パネル部に伝達することを抑制する荷重伝達抑制手段を有することを特徴とするせん断パネル型ダンパー。
【請求項3】
前記荷重伝達抑制手段は、前記パネル部の側辺と前記載荷部材との間に設けられる転動体を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のせん断パネル型ダンパー。
【請求項4】
前記荷重伝達抑制手段は、
前記載荷部材の前記パネル部との対向面又は前記パネル部の側辺の一方に設けられた第1の滑り部材と、
前記載荷部材の前記パネル部との対向面又は前記パネル部の側辺の他方に設けられた第2の滑り部材と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のせん断パネル型ダンパー。
【請求項5】
前記橋梁下部構造に設けられ、該橋梁下部構造に設けられた状態では、前記パネル部の側辺下方と対向して設けられる支持部材を有し、
前記載荷部材の前記パネル部との対向面には、上下方向に延びる凹部が形成され、
前記支持部材の前記パネル部との対向面には、孔が形成され、
前記荷重伝達抑制手段は、
前記パネル部の側辺上方側に設けられ、前記凹部に挿入される第1の凸部と、
前記パネル部の側辺下方側に設けられ、前記孔に挿入される第2の凸部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のせん断パネル型ダンパー。
【請求項6】
前記橋梁下部構造に設けられ、該橋梁下部構造に設けられた状態では、前記パネル部の側辺下方と対向して設けられる支持部材を有し、
前記パネル部の側辺上方側には、側辺の長手方向に延びる凹部が形成され、
前記パネル部の側辺下方側には、孔が形成され、
前記荷重伝達抑制手段は、
前記載荷部材の前記パネル部との対向面に設けられ、前記凹部に挿入される第1の凸部と、
前記支持部材の前記パネル部との対向面に設けられ、前記孔に挿入される第2の凸部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のせん断パネル型ダンパー。
【請求項7】
前記橋梁上部構造に設けられ、該橋梁上部構造に設けられた状態では、前記パネル部の側辺上方と対向して設けられる支持部材を有し、
前記載荷部材の前記パネル部との対向面には上下方向に延びる凹部が形成され、
前記支持部材の前記パネル部との対向面には、孔が形成され、
前記荷重伝達抑制手段は、
前記パネル部の側辺下方側に設けられ、前記凹部に挿入される第1の凸部と、
前記パネル部の側辺上方側に設けられ、前記孔に挿入される第2の凸部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のせん断パネル型ダンパー。
【請求項8】
前記橋梁上部構造に設けられ、該橋梁上部構造に設けられた状態では、前記パネル部の側辺上方と対向して設けられる支持部材を有し、
前記パネル部の側辺下方側には、凹部が形成され、
前記パネル部の側辺上方側には、孔が形成され、
前記荷重伝達抑制手段は、
前記載荷部材の前記パネル部との対向面に設けられ、前記凹部に挿入される第1の凸部と、
前記支持部材の前記パネル部との対向面に設けられ、前記孔に挿入される第2の凸部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のせん断パネル型ダンパー。
【請求項9】
前記第1の凸部が前記凹部を貫通するように構成され、
前記第1の凸部の先端部に、
前記第1の凸部が前記凹部を貫通した状態において前記パネル部が前記載荷部材から離れる方向に移動した際、前記載荷部材に掛止される第1の凸部用段部が設けられることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載のせん断パネル型ダンパー。
【請求項10】
前記第2の凸部が前記孔を貫通するように構成され、
前記第2の凸部の先端部に、
前記第2の凸部が前記孔を貫通した状態において前記パネル部が前記支持部材から離れる方向に移動した際、前記支持部材に掛止される第2の凸部用段部が設けられることを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれか一項に記載のせん断パネル型ダンパー。
【請求項11】
前記パネル部に、側辺の長手方向に延びるリブが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のせん断パネル型ダンパー。
【請求項12】
橋梁上部構造と橋梁下部構造との間に、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のせん断パネル型ダンパーが設置されることを特徴とする橋梁の支承構造。
【請求項13】
橋梁上部構造と橋梁下部構造との間に、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のせん断パネル型ダンパーが複数設置され、
これら前記せん断パネル型ダンパーのうちの少なくとも1つは、その下辺長手方向が当該せん断パネル型ダンパー以外の前記せん断パネル型ダンパーの下辺長手方向と異なる方向となるように設置されることを特徴とする橋梁の支承構造。
【請求項14】
橋梁上部構造と橋梁下部構造との間に、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のせん断パネル型ダンパーが複数設置され、
これら前記せん断パネル型ダンパーのうちの一部は、その下辺長手方向が橋軸に沿って設置され、
これら前記せん断パネル型ダンパーのうちの残りの一部は、その下辺長手方向が橋軸と垂直な方向に沿って設置されることを特徴とする橋梁の支承構造。
【請求項15】
橋梁上部構造と、
橋梁下部構造と、
移動支承と、
を備え、
前記橋梁上部構造と前記橋梁下部構造との間に、請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の支承構造が採用されたことを特徴とする橋梁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−64028(P2011−64028A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216865(P2009−216865)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000231855)日本鋳造株式会社 (19)
【Fターム(参考)】