説明

つまみの保持構造

【課題】組み立て工数が削減されるつまみの保持構造を提供する。
【解決手段】パネルに設けたガイド溝2cにつまみ1に設けたリブ1aを係合させて前記つまみ1をパネルに対して出入自在に保持するつまみの保持構造において、前記ガイド溝2cの前記リブ1aの根元と対向する部分の幅をリブ1aの先端部と対向する部分の幅より広くなるように前記ガイド溝2cの面に段差2eを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子機器に係わり、特に、そのつまみの保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器のつまみの保持構造の例を図3に示す。図3に示すつまみ1は略箱型に形成されており、底面部1bは凸形となっている。つまみ1の3方の側面には上下方向に延びるリブ1a、1a…が突出形成されている。つまみ1の1方の側面には長穴1cが形成されている。つまみ1の上部開放部には図示していないキャップが圧入される。
【0003】
図3に示す2はガイド部であり、パネルの前面から奥側に突出するようにパネルと一体形成されている。なお、パネルの前面は図示していないが、ガイド部2の図3における前端周辺部から平面状に延びている。
【0004】
ガイド部2の3方の内面には、夫々対向して対となるようにリブ2a、2a…が突出形成されている。これら各対のリブ2a、2aの間はガイド溝2cと成っている。図示していないが、ガイド部2の底面部にはつまみ1の底面部1bを突出させる穴と図示していない圧縮コイルばねを受ける凹みが設けられている。
【0005】
前記ガイド部2の底面部の凹みに圧縮コイルばねを装着し、ガイド溝2c、2c…に潤滑用のグリス4を付着させた後、つまみ1を矢印方向に向けてガイド部2内に挿入する。このときつまみ1のリブ1a、1a…はガイド部2のガイド溝2c、2c…の間に入り込む。その後ピン3をガイド部2の穴2dに圧入してその先端部をつまみ1の長穴1cに突入させる。
【0006】
このようにパネルに装着されたつまみ1は常時は上端位置にあるように圧縮コイルばねにより付勢されて長穴1cの下端がピン3と当接している。つまみ1を手で押し込むと、つまみ1は圧縮コイルばねの弾力に抗して下動してつまみ1の底面部1bはガイド部2のの穴から突出してパネル背後に配置されたプリント基板のスイッチを作動させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来のつまみの保持構造では、図4に示すように、ガイド部2のガイド溝2cにグリス4を付着させるときにグリス4はガイド溝2cから突出するようになる、図4ではリブ2aの先端の基準線Aよりグリス4が突出している。なお、グリス4を基準線Aよりも内側に付着させても、ガイド溝2cにつまみ1のリブ1aを挿入すると、グリス4はリブ1aに押し出されて基準線Aの外に出る。
【0008】
このように基準線Aよりはみ出したグリス4はつまみ1が上下するにつれてつまみ1の外観面まで出てくる。このため、組み立て後につまみの外観面に出たグリスをふき取る必要があり、組み立て工数が大きくなるという問題があった。
【0009】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、組み立て工数が削減されるつまみの保持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のつまみの保持構造は、パネルに設けたガイド溝につまみに設けたリブを係合させて前記つまみをパネルに対して出入自在に保持するつまみの保持構造において、前記ガイド溝の前記リブの根元と対向する部分の幅をリブの先端部と対向する部分の幅より広くなるように前記ガイド溝の面に段差を設けたものである。
【0011】
また、前記つまみの保持構造において、前記つまみに突出方向の向きが互いに異なる少なくとも3個のリブが設けられたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明のつまみの保持構造によれば、組み立て後につまみの外観面に出たグリスをふき取る必要がなく、組み立て工数が削減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下この発明を実施するための最良の形態を実施例に即して説明する。図1はこの発明の実施例であるつまみの保持構造を示す断面図である。図1に示すつまみ1は図3に示すものと同一であり、各部を示す符号は図3に示すものと同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0014】
図1に示すガイド部2の3方の内面に設けられたリブ2a、2a…は、先端部が階段状となっており、対向するリブ2a、2aの先端部間の間隔が広くなっている。そして、リブ2a、2a…には段差2eが形成されている。ガイド部2の他の構成は図3に示すものと同一であり、各部を示す符号は図3に示すものと同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0015】
図2にガイド部2のガイド溝2cにグリス4を付着させた状態を示す。グリス4は段差2eの面Bよりも突出してもリブ2aの先端の面Aより突出しないように付着させることができる。この後、ガイド溝2cにつまみ1のリブ1aを挿入して、グリス4がリブ1aにより押し出されてもグリス4が先端の面Aより突出しないだけの量のグリスを付着させれば、組み立て後につまみの外観面に出ることはない。
【0016】
実施例は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、つまみおよびパネルのガイド部を円筒形としてつまみに3個のリブを放射状に設けてもこの発明の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施例であるたつまみの保持構造を示す断面図である。
【図2】同つまみの保持構造の部分を示す断面図である。
【図3】従来のつまみの保持構造の例を示す分解斜視図である。
【図4】同つまみの保持構造を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 つまみ、1a リブ、1b 底部、1c 長穴
2 ガイド部、2a リブ、2c ガイド溝、2d 穴、2e 段差
3 ピン
4 グリス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに設けたガイド溝につまみに設けたリブを係合させて前記つまみをパネルに対して出入自在に保持するつまみの保持構造において、前記ガイド溝の前記リブの根元と対向する部分の幅をリブの先端部と対向する部分の幅より広くなるように前記ガイド溝の面に段差を設けたつまみの保持構造。
【請求項2】
前記つまみに突出方向の向きが互いに異なる少なくとも3個のリブが設けられた請求項1のつまみの保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−251332(P2008−251332A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90809(P2007−90809)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】