説明

ねじ付き接続構造を達成するセット、当該接続構造を組立て及び分解する方法及びライザーにおける当該接続構造の使用

本発明は、炭化水素抗井で用いられるねじ付き接続構造を達成するセットであって、以下の:同一のリードの2のねじ付き領域を備える第1管状コンポーネント;少なくとも2つのねじ付き領域を備える第2管状コンポーネント;内周面上に少なくとも1のねじ付き領域を備え、かつ、外周面上に少なくとも1のねじ付き領域を備える第3管状コンポーネント;を含み、ここで、当該セットは:第3コンポーネントの内周面上に設けられたねじ付き領域は、第1コンポーネントの2つのねじ付き領域の一方との組立により協働することができ;第3コンポーネントの外周面上に設けられたねじ付き領域は、第2コンポーネントの2つのねじ付き領域の一方との組立により協働することができ;第2及び第3のコンポーネントは、さらに、前記ねじ付き領域の組立終期を決める手段を備え;第1コンポーネントの端部上に設けられた他のねじ付き領域は、第2コンポーネント上に設けられた他のねじ付き領域との組立により協働することができる;ものである。本発明はまた、接続構造を達成するための組立方法及び当該接続構造を分解する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素抗井の掘削又は作業のために用いられるねじ付き接続構造を達成するセットに関する。当該セットは、端部の一方に雄タイプのねじ付き領域を備える第1及び第2の管状コンポーネント、各コンポーネントは、また、第3管状コンポーネントを備えるが、当該第3管状コンポーネントは、好ましくは、第1及び第2の管状コンポーネントよりも短く、かつ、各両端に雌タイプのねじ付き領域を備え、前記雄ねじ付き領域と組立てると協働することができる。本発明は、当該セットを形成するための方法及び当該セットが形成されて得られるねじ付き接続構造に関する。本発明はまた、分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「炭化水素抗井の掘削及び作業のために用いられるコンポーネント」との用語は、同タイプの他の要素に接続される若しくは炭化水素抗井を掘削するためのストリングや改修ライザー等のメンテナンス用ライザー又は抗井の作業に関するケーシングストリングや管状ストリングを構成して完成するように意図された、実質的に管状形状であるいかなる要素をも意味する。
【0003】
「接続構造」との用語は、管状コンポーネント間のつながりを意味する。例として、一方の雄ねじが設けられた端部を他の雌ねじが設けられた端部に組み立てることにより、これら2つの非常に長い管をつなぐことが公知である。また、カップリングともいうより短い管状コンポーネントを用いて、このカップリングの各雌端を2つの非常に長い管状コンポーネントの雄ねじ端に組み立てることによりこれら2つの非常に長い管状コンポーネントを接続することが公知である。
【0004】
公知の方法では、炭化水素抗井の掘削用途や作業のために用いられるコンポーネントは高い組立トルクで互いに組み立てられる。後者は、一般的に、コンポーネントの各隣接面の締め付けにより又は自動ロックねじというねじによる協働により達成される。しかしながら、例えば、ライザーの場合のようなある用途では、高い応力を誘発する。このため、コンポーネントの分解を防ぐために非常に高い組立トルクを用いなければならない。しかしながら、組立トルクは可塑化の危険があり制限される。このように、不慮の分解の危険性に備えて確実に接続されることが求められる。
【0005】
管状コンポーネントが互いに回転することを阻止する部品を用いて、分解に備えて共に組み立てられる管状コンポーネントをロックすることができる。特許文献1では、第1管状コンポーネントは第2管状コンポーネントと組み立てられるが、この第1管状コンポーネントは外径がより狭い部分を圧迫する。2つのリングが組み立てられると、互いのコンポーネントをブロックする。当該リングはまた、前記リングへ固定されるロッドにより共に固定される。特許文献2では、第1管状コンポーネントは、第2の管状コンポーネントと組み立てられ、一方の他方に対する相対回転が、第1及び第2のコンポーネントの厚みに延伸するハウジングにおけるねじによりブロックされる部分を用いてロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願第1664477号
【特許文献2】米国特許第4406485号
【特許文献3】WO03/048623
【特許文献4】WO04/109173
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、当該タイプの解決策では、接続構造に存在する部品の数が増えたり、ねじ、ボルト等を用いたりする不利益があり、実際、(部品の数に依存する)メンテナンス且つ抗井の汚染(例えば、ねじの紛失の危険性)を制限するためには施設はできる限り簡素に設計しなければならないため、ユーザーには正確に理解されない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、接続構造の稼動時にセットが容易に分解しない接続構造を達成するための、一方を他方に容易に組み立てることができる管状コンポーネントのセットに関する。
【0009】
より的確には、炭化水素抗井で用いられるねじ付き接続構造を達成するセットであって、以下の:
・同一のリードの少なくとも2のねじ付き領域を外周面上に備える1の末端を備える第1管状コンポーネント;
・少なくとも2つのねじ付き領域を内周面上に備える第2管状コンポーネント;
・内周面上に少なくとも1のねじ付き領域を備え、かつ、外周面上に少なくとも1のねじ付き領域を備える1の末端を備える第3管状コンポーネント;
を備え、ここで:
・第3コンポーネントの端部の内周面上に設けられたねじ付き領域は、第1コンポーネントの端部の2つのねじ付き領域の一方との組立により協働することができ;
・第3コンポーネントの端部の外周面上に設けられたねじ付き領域は、第2コンポーネントの2つのねじ付き領域の一方との組立により協働することができ、第2及び第3のコンポーネントは、さらに、前記ねじ付き領域の組立終期を決める手段を備え;
・第1コンポーネントの端部上に設けられた他のねじ付き領域は、第2コンポーネント上に設けられた他のねじ付き領域との組立により協働することができる;
前記セットである。
【0010】
ある特徴として、第3コンポーネントの端部の外周面上に設けられたねじ付き領域のリードは、第3コンポーネントの端部の内周面上に設けられたねじ付き領域のリードよりも少なくとも10%大きく、好ましくは、第3コンポーネントの端部の内周面上に設けられたねじ付き領域のリードの2倍に等しい。
【0011】
1の特徴として、第3コンポーネントの端部の外周面上に設けられたねじ付き領域及び第3コンポーネントの端部の内周面上に設けられたねじ付き領域は、互いに反対方向である。
【0012】
1の特徴として、第3コンポーネントの端部の外周面上に設けられたねじ付き領域と第2コンポーネントの対応するねじ付き領域の組立終期を決める手段は、第3コンポーネントの端部の端面上及び第2コンポーネント上の肩部により形成される表面上に各々設けられる隣接面である。
【0013】
1の特徴として、第1コンポーネントの端部は、端面上で、第2コンポーネント上の肩部により形成される表面上に設けられた対応する隣接面と隣接して協働することができる隣接面を備える。
【0014】
1の特徴として、第3コンポーネントの端部の外周面上に設けられたねじ付き領域と第2コンポーネントの対応するねじ付き領域の間の組立終期を決める手段が、相互に自動ロックする前記ねじ付き領域により構成される。
【0015】
1の特徴として、第1コンポーネントの端部は、その端面上で、第2コンポーネント上の肩部により形成される表面上に設けられた対応する封止表面での締め付けにより協働することができる封止表面を備える。
【0016】
1の特徴として、管状コンポーネントのねじ付き領域は、テーパー角度が0.5〜4°の範囲であるテーパー包絡線上にある。
【0017】
1の特徴として、第1コンポーネントの端部上に設けられたねじ付き領域は、単一の連続するねじを形成するように同じテーパー状包絡線上にある。
【0018】
炭化水素抗井で用いられるねじ付き接続構造を達成する方法であって、以下の:
・前記のねじ付き接続構造を達成するセットを提供するステップ;
・組立が完成するまでに、第3コンポーネントの端部の外周面上に設けられたねじ付き領域を第2コンポーネントの端部上に設けられた対応するねじ付き領域に組み立てるステップ;
・第1管状コンポーネントの端部の外周面上に設けられた2つのねじ付き領域を、第2及び第3コンポーネントの内周面上に各々設けられた対応するねじ付き領域に組み立てるステップ;
・分解トルクC0が第2管状コンポーネントと第3管状コンポーネントの間に印加されるステップ;
を備える、ねじ付き接続構造を達成する方法である。
【0019】
ある接続構造は、第1及び第3管状コンポーネントは非常に長い管であり、第2管状コンポーネントはカップリングである発明の方法を用いて達成されてよい。
【0020】
ある接続構造は、第1管状コンポーネントは非常に長い管であり、第2及び第3の管状コンポーネントはカップリングである発明の方法を用いて達成されてよい。
【0021】
ある二重接続構造は、第2及び第3の管状コンポーネントはカップリングである発明の方法を用いて達成される。第3コンポーネントは1の同一の管状コンポーネントを形成する。
【0022】
本発明のねじ付き接続構造はライザーにおいて使用されてよい。
【0023】
ねじ付き接続構造を分解する方法であって、以下の:
・第2管状コンポーネントと第3管状コンポーネントの間に組立トルクC0を印加するステップ;
・管状コンポーネントの第1の端部の外周面上に設けられた2つのねじ付き領域を対応するねじ付き領域から分解するステップ;
・第3の端部の外周面上に設けられたねじ付き領域をねじ付き領域から分解するステップ;
を備える。
【0024】
本発明の特徴及び効果は以下の記載でより詳細に説明され、添付の図面を参照してなされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1はカップリングを用いて組み立てた2つの非常に長い管状コンポーネントの1のセットを接続することにより得られる接続構造の長手方向断面図である。
【図2】図2はカップリングを用いて組み立てた2つの非常に長い管状コンポーネントの1のセットを接続することにより得られる接続構造の長手方向断面図である。
【図3】図3は、3つの部分により構成されるカップリングを用いて(組立により)2つの非常に長い管状コンポーネントの1のセットを接続することにより得られる接続構造の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は回転軸10がある3つの管状コンポーネントを示す。第1コンポーネントの両端12の一方はその外周面に2つのねじ付き領域121、122を備える。当該ねじ付き領域の各リードは同一である。第2管状コンポーネント22はその内周面に2つのねじ付き領域221、222を備える。第3コンポーネントは両端部20’の一方にその内周面上にねじ付き領域201’とその外周面上にねじ付き領域202’を備える。
【0027】
第3コンポーネントの端部20’の内周面上に設けられたねじ付き領域201’は、第1コンポーネントの端部12の外周面上に設けられたねじ付き領域121と組み立てることにより協働することができる。第1及び第3のコンポーネントは、さらに、組立が所定回転数の後に停止されるように、前記ねじ付き領域の組立終期を決めるための手段を備える。ここでは、当該手段は、第3管状コンポーネントの肩部203’sと第1管状コンポーネントの端面123に各々設けられた隣接面を含む。また、例えば、ねじ付き領域201’及び121の自動ロックねじ等の組立終期を決めることができる要素を想起できる。このねじの原理は、ねじ幅をコンポーネントの端面から離れるにつれて広げると共に、ねじ谷底部の幅がもはやねじを進めない程度の幅である場合には組立の終わりにフランク同士が衝突してねじがロックされるように、ねじ谷底部の幅を狭めることである。
【0028】
第3コンポーネントの端部20’の外周面上に設けられたねじ付き領域202’は、第2コンポーネント22のねじ付き領域221と組み立てることにより協働することができる。第2コンポーネント22と第3コンポーネントの端部20’は、さらに、組立が所定回転数の後に停止されるように、前記ねじ付き領域の組立終期を決める手段を備える。ここでは、これらの手段は、第2管状コンポーネントの肩部203’及び第3管状コンポーネントの端面223に各々設けられた隣接面を含む。また、例えば、ねじ付き領域202’及び221の自動ロックねじ等の組立終期を決めることができる要素を想起できる。
【0029】
第1の端部12上に設けられた他のねじ付き領域122は、第2コンポーネント22上に設けられた他のねじ付き領域222と組み立てることにより協働することができる。
【0030】
「ねじ付き領域」との用語は、ねじを備えた管状コンポーネントの周表面に属すいかなる領域をも意味し、ねじは、連続でもよく、中断してもよく、複数であってもよく、単一であってもよく、規則的であってもよく、不規則であってもよい。
【0031】
「端面」との用語は、管状コンポーネントの長手軸に沿って延伸する周表面に対して、管状コンポーネントの厚みを通して管状コンポーネントの端部の自由端まで延伸する表面を意味する。換言すれば、端面は、管状コンポーネントの軸10について放射線状に配向した環状表面の形態である。
【0032】
図2に示された実施の形態は図1と類似する。また、回転軸10がある3つの管状コンポーネントがある。第1コンポーネントの両端11の一方は、その外周面に2つのねじ付き領域111及び112を備える。当該ねじ付き領域の各リードは同一である。第2管状コンポーネント21は、その内周面に2つのねじ付き領域211及び212を備える。第3コンポーネントは、その両端20の一方にその内周面上のねじ付き領域201とその外周面上にねじ付き領域202を備える。
【0033】
第3コンポーネントの端部20の内周面上に設けられたねじ付き領域201は、第1コンポーネントの端部11の外周面上に設けられたねじ付き領域111と組み立てることにより協働することができる。第3コンポーネントの端部20の外周面上に設けられたねじ付き領域202は、第2コンポーネント21のねじ付き領域211と組み立てることにより協働することができる。第2コンポーネント21と第3コンポーネントの端部20は、さらに、組立が所定回転数の後に停止されるように、前記ねじ付き領域の組立終期を決める手段を備える。第1端部11上に設けられたねじ付き領域112は、第2コンポーネント21に設けられたねじ付き領域212と組み立てることにより協働することができる。
【0034】
図1及び図2に示された2つの変形例は、第1及び第3の管状コンポーネント端部間の強化組立モードを構成する。実際に、第1及び第3コンポーネントの端部同士を組立により固定することは、第1コンポーネントに設けられたねじ付き領域と第3コンポーネントに設けられたねじ付き領域の間の直接的協働に部分的に関する。次に、それはまた、第1コンポーネント及び第2コンポーネント間及び第2コンポーネント及び第3コンポーネント間のねじ付き領域の協働に関する。要するに、第2コンポーネントの長さで表される部分で、ねじ付き領域は長いように見える。これは、ねじ間の接触表面を全体的に締め付けることは、この部分で管の単位長さあたりでは非常に高いことを意味する。
【0035】
第3コンポーネントのねじ付き領域に関連するある特性を行うことによる組立で、第1及び第3の管状コンポーネントをさらに最適に固定することができる。
【0036】
第1の改良により、かつ、図1及び図2を参照すると、第3コンポーネントの端部20、20’の外周面上に設けられたねじ付き領域202、202’のリードは、前記端部20、20’の内周面上に設けられたねじ付き領域201、201’のリードよりも少なくとも10%長い。「リード」との用語は、完全に一回転した場合に管状コンポーネントによりカバーされる距離を意味する。また、ねじ付き管状コンポーネントを相補ねじがある他の管状コンポーネントに組み入れる場合、前記ねじ付きコンポーネントは回転軸に沿って平行移動することにより動かすことが想起されるであろう。
【0037】
このように、第1、第2及び第3の管状コンポーネントが共に組み立てられる場合、第1及び第2の端部により構成されるセットから第3コンポーネントを分解することはできない。実際、第1及び第2のコンポーネントにより構成されるセットにおける第3管状コンポーネントを保持するねじ付き領域201、202、201’、202’間のリードの違いによりロックがおこる。第3管状コンポーネントを分解しようとすると、第3コンポーネントの端部20、20’の外周面上にあるねじ付き領域202、202’とその内周面上にあるねじ付き領域201、201’の間にゆがみがあり;より的確には、第3コンポーネントの内周面上にあるねじ付き領域の荷重フランクを第1コンポーネントの端部11、12の外周面上にあるねじ付き領域の荷重フランクに対して押圧することに関する。
【0038】
第2の改良により、かつ、図1及び図2を参照すると、第3コンポーネントの端部20、20’の外周面上に設けられたねじ付き領域202、202’は、前記端部20、20’の内周面上に設けられたねじ付き領域201、201’と反対方向に生成される。このように、第1、第2及び第3の管状コンポーネントが共に組み立てられると、第1及び第2の端部により構成されるセットから第3コンポーネントを分解することができない。実際、第1及び第2のコンポーネントにより構成されるセットにおいて第3コンポーネントを保持するねじ付き領域201、202、201’、202’の方向を反転するとロックがおこる。
【0039】
第1コンポーネントの端部11、12の外周面上に形成されたねじ付き領域111、121及び112,122の多様性のためにおこるロックとは、以下の:
・ねじ付き接続構造を達成するためのセットを提供するステップ;
・組立が終了するまでに、第3コンポーネントの端部20;20’の外周面上に設けられたねじ付き領域202;202’を第2コンポーネントの端部21;22上に設けられた対応するねじ付き領域211;221に組み立てるステップ;
・第1管状コンポーネント11;12の端部の外周面上に設けられた2つのねじ付き領域111,112;121,122を第2及び第3のコンポーネントの内周面212,201;222,201’上に各々設けられた対応するねじ付き領域に組み立てるステップ;
・第2管状コンポーネントと第3管状コンポーネントの間に分解トルクC0を印加するステップ;
を含む方法を用いて、第1、第2及び第3のコンポーネントで構成されるセットがロックされうることを意味する。
【0040】
そのトルクC0の選択については、管状コンポーネントの寸法と選択された用途(掘削、ライザー等)の関数として定義されなければならない。
【0041】
このように、ねじ付き領域111、121の荷重フランクは対応するねじ付き領域201、201’の荷重フランクへ押圧されたままで、ねじ付き領域112、122の突き刺しフランクは対応するねじ付き領域212,222の突き刺しフランクに対して押圧される。当該押圧により第1管状コンポーネントの分解が阻止される。
【0042】
従って、以下の:
・第1コンポーネントのねじ付き領域111、121と112、122の間の押圧を取り除くために第2管状コンポーネントと第3管状コンポーネントの間に組立トルクを印加するステップ;
・管状コンポーネント11;12の第1の端部の外周面上に設けられた2つのねじ付き領域111、112;121、122を対応するねじ付き領域から分解するステップ;
・第3の端部20;20’の外周面上に設けられたねじ付き領域202;202’をねじ付き領域211;221から分解するステップ;
を含む分解方法がある。
【0043】
上記にて詳細に説明した実施の形態は、特にライザーに適用した実施の形態である。海表を海底に接続する当該ライザーは、特に、高いねじり応力を生じるうねりや海流が存在すると分解しやすい。ねじり応力は、主に2つの連続する非常に長い管に影響を及ぼし、非常に長い管とそれに接続するカップリングには影響を及ぼさない。より的確には、第1及び第3のコンポーネントが非常に長い管であり、第2コンポーネントがカップリングである場合、当該ねじり応力では、第1及び第3のコンポーネントを互いに分解することができない。第1コンポーネントは、共に組み立てられた第3コンポーネントとカップリングにより、つまり、図1及び図2に示されるように、マークY1又はY2及びマークX1又はX2で保持されて構成されるセットから必然的に分解されなければならない。
【0044】
以下の定義が想起される:短い管は、「カップリング」といい、非常に長い管を接続することを目的とする。当該接続構造は、T&C接続構造(ねじ付き及びカップリング)という。例えば、カップリングタイプの管の長さは0.2〜0.7メートルであり、かつ非常に長い管の長さは6〜15メートルである。
【0045】
図1及び2で示された実施の形態を組み合わせた他の実施の形態を図3に示す。本発明の2つの接続構造は、各々、第1、第2、及び第3の管状コンポーネントを備える。1の接続構造では、第1及び第3の管状コンポーネントのねじ付き端部11、20は、カップリング21で共に組み立てられる。他の接続構造では、第1及び第3の管状コンポーネントのねじ付き端部12、20’は、カップリング22で共に組み立てられる。第1管状コンポーネント11、12は非常に長い管である。端部20及び20’はカップリングでもある同一管状コンポーネントの端部である。管11及び12は、3つのカップリング20、21、22により構成されるセットで接続される。X1及びX2を保持することにより、第1管状コンポーネント11、12を互いに分解することができない。一方でX1及びY1を保持し、かつ、他方をX2及びY2で保持することにより、第1管状コンポーネント11、12各々を3つのカップリング20、21、22により構成されるセットから分解しなければならない。第3管状コンポーネントの端部20、20’は対称でなくてもよいため、この点で多くの可能性が想起されうる。
【0046】
要すれば、前記接続構造はまさしく分解防止機能を構成する。
【0047】
有利には、第1コンポーネントの端部11、12は端面113、123に、隣接面と共に、第2コンポーネント21、22の肩部203s、203s’上に設けられた対応する封止表面との締め付けにより協働する封止表面を備える。実際、接続構造が封止されなければならない場合、第1及び第3のコンポーネント並びに第2及び第3のコンポーネントで、封止表面が接触を緊密状態にすることができなければならない。封止表面の種類について、対象の技術分野における従来の封止表面を参照することができる。この従来の封止表面は、参照により本明細書に組み込まれる特許文献3や特許文献4に記載されるように、重円錐構造、円環-on-円錐構造、円環及び円錐-on-円錐構造であってよい。
【0048】
有利には、ねじ付き領域が接続構造の回転軸10に関してテーパーの角度を形成するテーパー状包絡線上にあってよい。このことは、管状コンポーネントを共に組み立てることが容易であることを意味する。そのテーパーの母線の半角は、一般に、0.5〜4°、好ましくは、1〜2°である。
【0049】
有利には、第1コンポーネントの端部11、12に設けられたねじ付き領域111、112、121、122は、回転軸10に関してテーパーの角度αがある同一テーパー上包絡線上に位置し、単一の連続するねじを形成する。このことは、第1コンポーネントに対する機械加工操作がより容易になることを意味する。従って、相補ねじ付き領域201、212、201’、202は、互換可能に配置されることに留意すべきである。一例として、カップリング21が第3管状コンポーネントの端部20と組み立てられる場合、ねじ付き領域201と212は、1の操作で機械加工されうる。
【0050】
もちろん、第2コンポーネント21、22の内周面上にあるねじ付き領域211、212、221,222を同一テーパー状又は均一筒状包絡線上に配置する他の実施の形態もありうる。この場合、第1コンポーネントの端部11、12上に設けられたねじ付き領域111、112、121、122は同一包絡線上に位置しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素抗井で用いられるねじ付き接続構造を達成するセットであって、以下の:
・同一のリードの少なくとも2のねじ付き領域(111、112;121,122)を外周面上に備える1の末端(11;12)を備える第1管状コンポーネント;
・少なくとも2つのねじ付き領域(211、212;221,222)を内周面上に備える第2管状コンポーネント(21;22);
・内周面上に少なくとも1のねじ付き領域(201;201’)を備え、かつ、外周面上に少なくとも1のねじ付き領域(202;202’)を備える1の末端(20;20’)を備える第3管状コンポーネント;
を備え、ここで:
・第3コンポーネントの端部(20;20’)の内周面上に設けられたねじ付き領域(201;201’)は、第1コンポーネントの端部(11;12)の2つのねじ付き領域(111;121)の一方との組立により協働することができ;
・第3コンポーネントの端部(20;20’)の外周面上に設けられたねじ付き領域(202;202’)は、第2コンポーネント(21;22)の2つのねじ付き領域(211;221)の一方との組立により協働することができ、第2及び第3のコンポーネントは、さらに、前記ねじ付き領域の組立終期を決める手段を備え;
・第1コンポーネントの端部(11;12)上に設けられた他のねじ付き領域(112;122)は、第2コンポーネント(21;22)上に設けられた他のねじ付き領域(212;222)との組立により協働することができる;
前記セット。
【請求項2】
第3コンポーネントの端部(20;20’)の外周面上に設けられたねじ付き領域(202;202’)のリードは、第3コンポーネントの端部(20:20’)の内周面上に設けられたねじ付き領域(201;201’)のリードよりも少なくとも10%大きく、好ましくは、第3コンポーネントの端部(20;20’)の内周面上に設けられたねじ付き領域(201;201’)のリードの2倍に等しい、請求項1記載のねじ付き接続構造を達成するセット。
【請求項3】
第3コンポーネントの端部(20;20’)の外周面上に設けられたねじ付き領域(202;202’)及び第3コンポーネントの端部(20;20’)の内周面上に設けられたねじ付き領域(201;201’)は、互いに反対方向である、請求項1又は2記載のねじ付き接続構造を達成するセット。
【請求項4】
第3コンポーネントの端部(20;20’)の外周面上に設けられたねじ付き領域(202;202’)と第2コンポーネント(21;22)の対応するねじ付き領域(211;221)の組立終期を決める手段は、第3コンポーネントの端部(20;20’)の端面(203;203’)上及び第2コンポーネント(21;22)上の肩部(213;223)により形成される表面上に各々設けられる隣接面である、請求項1〜3いずれか1項記載のねじ付き接続構造を達成するセット。
【請求項5】
第1コンポーネントの端部(11;12)は、端面(113;123)上で、第2コンポーネント(21;22)上の肩部(203s;203’s)により形成される表面上に設けられた対応する隣接面と隣接して協働することができる隣接面を備える、請求項1〜4いずれか1項記載のねじ付き接続構造を達成するセット。
【請求項6】
第3コンポーネントの端部(20;20’)の外周面上に設けられたねじ付き領域(202;202’)と第2コンポーネントの対応するねじ付き領域(211;221)の間の組立終期を決める手段が、相互に自動ロックする前記ねじ付き領域により構成される、請求項1〜3いずれか1項記載のねじ付き接続構造を達成するためのセット。
【請求項7】
第1コンポーネントの端部(11;12)は、その端面(113;123)上で、第2コンポーネント(21;22)上の肩部(203s;203’s)により形成される表面上に設けられた対応する封止表面での締め付けにより協働することができる封止表面を備える、請求項4又は5記載のねじ付き接続構造を達成するセット。
【請求項8】
管状コンポーネントのねじ付き領域は、テーパー角度が0.5〜4°の範囲であるテーパー包絡線上にある、請求項1〜7いずれか1項記載のねじ付き接続構造を達成するセット。
【請求項9】
第1コンポーネントの端部(11;12)上に設けられたねじ付き領域(111、112;121、122)は、単一の連続するねじを形成するように同じテーパー状包絡線上にある、請求項1〜8いずれか1項記載のねじ付き接続構造を達成するセット。
【請求項10】
炭化水素抗井で用いられるねじ付き接続構造を達成する方法であって、以下の:
・請求項1〜9いずれか1項記載のねじ付き接続構造を達成するセットを提供するステップ;
・組立が完成するまでに、第3コンポーネントの端部(20;20’)の外周面上に設けられたねじ付き領域(202;202’)を第2コンポーネントの端部(21;22)上に設けられた対応するねじ付き領域(211;221)に組み立てるステップ;
・第1管状コンポーネント(11;12)の端部の外周面上に設けられた2つのねじ付き領域(111、112;121、122)を、第2及び第3コンポーネントの内周面(212、201;222、201’)上に各々設けられた対応するねじ付き領域に組み立てるステップ;
を備える、ねじ付き接続構造を達成する方法。
【請求項11】
最終的に、分解トルクC0が第2管状コンポーネントと第3管状コンポーネントの間に印加される、請求項10記載のねじ付き接続構造を達成する方法。
【請求項12】
第1及び第3管状コンポーネントは非常に長い管であり、第2管状コンポーネントはカップリングである、請求項11記載の方法を用いて達成される接続構造。
【請求項13】
第1管状コンポーネントは非常に長い管であり、第2及び第3の管状コンポーネントはカップリングである、請求項11記載の方法を用いて達成される接続構造。
【請求項14】
第3コンポーネントが1の同一の管状コンポーネントを形成する請求項13記載の2つの接続構造により構成される、二重接続構造。
【請求項15】
ライザーにおける、請求項11〜14いずれか1項記載のねじ付き接続構造の使用。
【請求項16】
請求項11又は12記載のねじ付き接続構造を分解する方法であって、以下の:
・第2管状コンポーネントと第3管状コンポーネントの間に組立トルクC0を印加するステップ;
・管状コンポーネント(11;12)の第1の端部の外周面上に設けられた2つのねじ付き領域(111、112;121、122)を対応するねじ付き領域から分解するステップ;
・第3の端部(20:20’)の外周面上に設けられたねじ付き領域(202;202’)をねじ付き領域(211;221)から分解するステップ;
を備えることを特徴とするねじ付き接続構造を分解する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−515917(P2013−515917A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545132(P2012−545132)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007555
【国際公開番号】WO2011/076349
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(504255249)ヴァルレック・マンネスマン・オイル・アンド・ガス・フランス (30)
【氏名又は名称原語表記】VALLOUREC MANNESMANN OIL & GAS FRANCE
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】