ねじ保持力を補強した多層構造の組立ボード
【課題】 軽量化を図るとともにどこにねじを打っても大きなねじ保持力が得られる組立ボードを提供する。
【解決手段】 本発明の組立ボード100は、芯材となる中板30と、中板30の表面に接着する第1の化粧板10と、中板30の裏面に接着する第2の化粧板20とを備えた組立ボードにおいて、中板30を多層化し、少なくとも一層、例えば、第2層32において、中板30の芯材の比重と硬度よりも比重と硬度が大きい補強板を設け、打ち込まれた接合ネジの保持力を向上せしめる。この構成例において、第1の化粧板10、第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジ200の長さの関係を、接合ネジを表面の第1の化粧板10側から打ち込んでも裏面の第2の化粧板20側から打ち込んでもねじ山が第2層32に位置するような関係に調整せしめておく。
【解決手段】 本発明の組立ボード100は、芯材となる中板30と、中板30の表面に接着する第1の化粧板10と、中板30の裏面に接着する第2の化粧板20とを備えた組立ボードにおいて、中板30を多層化し、少なくとも一層、例えば、第2層32において、中板30の芯材の比重と硬度よりも比重と硬度が大きい補強板を設け、打ち込まれた接合ネジの保持力を向上せしめる。この構成例において、第1の化粧板10、第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジ200の長さの関係を、接合ネジを表面の第1の化粧板10側から打ち込んでも裏面の第2の化粧板20側から打ち込んでもねじ山が第2層32に位置するような関係に調整せしめておく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素材の一部を工夫することにより軽量化する一方、どこにねじを打っても適度なねじの保持力が得られる構造的強度を補強せしめた組立ボードに関する。組立ボードとしては木材ボード、金属板ボードなどがあり、家具や住居の内装建材等に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
従来、机や棚などの木製家具や住居の内装建材等に使用される板状材料として木材ボードが広く使用されている。無垢木材の代替品となる木材ボードとしては、主に、合板、パーティクルボードなどがある。
合板は、木材から薄く剥いだ板を複数枚交互に繊維方向がほぼ直交するように重ねて接着剤で貼り合わせものの表面に化粧板を貼り付けたものである。合板は無垢木材の代替品として広く使われている。
パーティクルボードは、端材などの材木をチップ化し、合成樹脂のバインダーを加えて加熱圧縮成形して板状としたものである(例えば、特開平07−47514号公報)。また、木材小片に代えてウレタンなどの発泡素材を芯材として表面に化粧板を貼り合わせたパーティクルボードも知られている(例えば、特開平07−178708号公報)。パーティクルボードは、木質を活かしながら軽量化を図ることができ、安価であるため広く利用されている。
【0003】
これらの木材ボードを用いて木製の家具や棚などを組み立ててゆく際、一片の木材ボードと他の木材ボードを連結・接合する方法としては、釘打ち、ねじ打ち、ホゾ接合、連結金具など種々の方法があるが、一般にはねじ打ちが主流であると言える。
無垢木材や合板木材を用いてねじ打ちをする場合、無垢木材や合板木材は比較的密度が大きく、ねじと木材ボード素材の間に大きな摩擦力が得られるため、ネジの保持力に優れているという利点がある。
【0004】
しかし、これら無垢木材や合板木材は、比較的高価であるとともに密度が大きく全体として重いという欠点がある。また近年は天然木材資源が減少しており環境配慮の観点から木材の使用量を低減する要請もある。
【0005】
そこで、近年では、パーティクルボードが代替品として広く普及し始めている。従来のパーティクルボードは、無垢の木材や合板等に比べて、比較的安価ではあるとともに、密度が小さいため軽量化されているという利点がある。そのために机や棚などの木製家具や住居の内装建材等に使用される板状材料として広く普及している。
【0006】
しかし、上記のような従来のパーティクルボードでは、無垢の木材や合板等に比べて密度が低く、ねじの保持力が低いという問題があった。パーティクルボードは木質小片や木質繊維をフェノールやメラミン等の熱硬化性樹脂のバインダーで結合させて木質小片や木質繊維同士の絡み合いにて板状体に形成しているため、天然の木材に比べどうしても摩擦力に欠けるからである。
【0007】
従来技術において、パーティクルボードのねじの保持力を補強する技術として例えば、特開平07−32323号公報の技術が知られている。特開平07−32323号公報の技術は、図10に示すように、熱可塑性発泡樹脂層を芯材として両表面に薄い木板を貼り合わせるとともにねじ打ちする箇所をあらかじめ決めておき当該個所に木片などを補強材として埋設しておく技術である。このようにパーティクルボードのねじ打ちの箇所をあらかじめ決めておき当該個所に木材を埋設しておくことによりねじに対する摩擦力も向上させてねじの保持力を高めるものである。
【0008】
また、例えば、特開平07−304134号公報の技術が知られている。特開平07−304134号公報の技術は、図11に示すように、パーティクルボードの芯材の表面および裏面に熱可塑性樹脂を含浸させて硬度を高めた補強木材を貼り付ける技術である。このようにパーティクルボードの表面に硬度の大きな熱可塑性樹脂含浸補強木材を貼り合わせることによりパーティクルボードの構造的強度を増すとともにねじに対する摩擦力も向上させてねじの保持力を高めるものである。
【0009】
また、例えば、特開平09−256743号公報の技術が知られている。特開平09−256743号公報の技術は、図12に示すように、パーティクルボードの芯材の全体に対して樹脂を含浸させると共に芯材の端面付近に含浸させる樹脂の量を多くして端面の硬度を高める技術である。このようにパーティクルボードの端面に樹脂の含浸量を多くして硬度を高めることによりパーティクルボードの構造的強度を増すとともにねじに対する摩擦力も向上させてねじの保持力を高めるものである。
【0010】
【特許文献1】特開平07−032323号公報
【特許文献2】特開平07−304134号公報
【特許文献3】特開平09−256743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記無垢木材や合板の代替品としてねじ保持力を向上させたパーティクルボードやファイバーボードなどのコンポジションボードには以下の問題がある。
まず、特開平07−32323号公報では、ねじ打ちの箇所に汎用性がない問題である。特開平07−32323号公報のパーティクルボードではあらかじめねじ打ちの箇所を決めておかなければならないので、製作する机や棚の家具等の寸法に応じて細かく用意せざるを得ず、家具等の設計が決まってからパーティクルボードを製作することとなってしまい不便である。実用に供するパーティクルボードはどこを切ってどこにねじを打っても所望のねじ保持力を得られるという汎用性が必要となるが、この特開平07−32323号公報のパーティクルボードではそのような汎用性は期待できない。
【0012】
次に、特開平07−304134号公報の技術では、ねじのグリップする深さにおいて大きなねじ保持力が得られず、その結果、ねじ保持力が十分に得られないという問題である。特開平07−304134号公報の技術は熱可塑性樹脂を含浸させて硬度を高めた補強木材を貼り付けるものであるが、それは芯材の表面および裏面である。ねじはその種類やねじ切りの位置にもよるがねじ打ちした状態でコンポジションボードの内部に収まる状態が基本であり、ねじが切られて大きな摩擦力が得られる部分はねじの先端から中央付近となっているものが多い。しかし、特開平07−304134号公報のコンポジションボードでは表面または裏面には硬度の大きな補強材が貼られているが、肝心の内部は密度の小さな柔らかい素材であり、打ち込まれたねじは大きな摩擦力が得られる構造とはなっていない。
【0013】
次に、特開平09−256743号公報の技術でも、ねじのグリップする深さにおいて大きなねじ保持力が得られず、その結果、ねじ保持力が十分に得られないという問題がある。特開平09−256743号公報の技術はパーティクルボードの芯材の全体に対して樹脂を含浸させると共に芯材の端面付近に含浸させる樹脂の量を多くして端面の硬度を高めるものであり、特開平07−304134号公報のコンポジションボードに比べて内部のパーティクルボードの芯材全体にも樹脂を含浸させて硬度を上げる工夫がされているが、内部のパーティクルボードの樹脂含浸量を増やすと密度が大きくなり摩擦力が大きくなる反面、重量も大きくなってしまい、もともと目指していた軽量化という効果が小さくなってしまう。つまり、特開平09−256743号公報の技術では、軽量化という効果とねじ保持力の向上という効果が相反するものであり、どちらか一方が犠牲となってしまう。
【0014】
上記問題点に鑑み、本発明は、軽量化を図るとともにどこにねじを打っても大きなねじ保持力が得られる組立ボードを提供することを目的とする。なお、素材は多様なものに適用可能であり、表面に木板を貼り合わせた木材ボードにも適用でき、また、表面に金属板を貼り合わせた金属ボードにも適用できるものである。それら組立ボードの使用目的も多様であり、例えば、机や棚などの木製家具や金属製家具などの組立部材として使用することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の組立ボードは、芯材となる中板と、前記中板の表面に接着する第1の化粧板と、前記中板の裏面に接着する第2の化粧板とを備えた組立ボードにおいて、前記中板を多層化し、そのうち少なくとも一層は、前記中板の芯材の比重と硬度よりも大きな比重と硬度を持つ補強板を設け、前記補強板以外の層は、前記第1の化粧板の比重と硬度より小さな比重と硬度を持つ素材とし、全体の比重を軽量化しつつ打ち込まれた接合ネジの保持力を向上せしめた組立ボードである。
【0016】
一つ構成例として、前記中板が表面側から第1層、第2層、第3層の3層構造を備え、前記補強板が前記第2層に設けられた構成例がある。
この構成例において、前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめておくことが好ましい。
【0017】
上記構成により、打ち込まれた接合ネジの保持力を得るためのねじ山部分が、比重と硬度が大きい補強板に位置することとなり、大きなねじ保持力が得られる。その一方で中板を比重の小さい素材で形成すれば組立ボード全体として軽量化を図ることができる。
【0018】
また上記の構成例において、前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際も、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置し、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んだ際も、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめることが好ましい。
上記構成により、接合ネジを表面側から打ち込んでも裏面側から打ち込んでもいずれも打ち込まれた接合ネジの保持力を得るためのねじ山部分が、比重と硬度が大きい補強板に位置することとなり、大きなねじ保持力が得られる。つまり、表裏を気にすることなく接合ネジを打ち込めば良く使い勝手が向上する。
【0019】
次に、他の構成例として、前記中板が表面側から第1層、第2層、第3層、第4層、第5層の5層構造を備え、前記補強板が前記第2層と前記第4層に設けられた構成例がある。
この構成例において、前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んでも、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んでも、前記接合ネジのねじ山が前記第2層及び前記第4層に位置するような関係に調整せしめることが好ましい。
【0020】
また、この構成例において、前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第4層に位置し、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめることが好ましい。
【0021】
上記構成により、接合ネジのねじ足を長く保って組立ボード内に深く打ち込んだ状態とし、かつ、接合ネジを表面側から打ち込んでも裏面側から打ち込んでもいずれも打ち込まれた接合ネジの保持力を得るためのねじ山部分が、比重と硬度が大きい補強板に位置することとなり、大きなねじ保持力が得られる。その一方で中板を比重の小さい素材で形成すれば組立ボード全体として軽量化を図ることができる。
【0022】
また、補強板が第2層と第4層の2カ所に設けられていることから接合ネジに対して第3層の厚みに相当する距離が離れた2カ所で硬度の大きな素材が当接するため、接合ネジの姿勢が安定しやすくなる。
【0023】
なお、化粧板、中板、補強板の素材の組み合わせには多様なものがある。
一例としては、前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が木板であり、前記補強板が木材である。このような素材選択により、組立ボードを軽量木質ボードとして提供することができる。
発泡樹脂素材は比重が軽く軽量であるが、圧に対して或る程度の剛性を備えるため構造的強度は確保できる。
【0024】
また、他の例としては、前記中板の前記芯材が紙素材により形成された構造体であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が木板であり、前記補強板が木材である。このような素材選択により、組立ボードを軽量木質ボードとして提供することができる。例えば、紙素材により形成された構造体の例としては、紙素材により形成したハニカムコア構造体や段ボール集合体などがある。
【0025】
また、他の例としては、前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が金属板である。このような素材選択により、組立ボードを軽量金属板ボードとして提供することができる。
【0026】
また、他の例としては、前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が木板である。このような素材選択により、組立ボードを軽量金属板ボードとして提供することができる。
【0027】
また、他の例としては、前記中板の前記芯材が紙素材により形成された構造体であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が木材である。このような素材選択により、軽量金属板ボードとして提供することができる。
【0028】
なお、本発明の組立ボードが利用される製品も多様である。軽量木材ボードとして提供する場合、例えば、組立式の木製家具などの組立ボードとして適用することができる。また、軽量金属ボードとして提供する場合、例えば、組立式のスチール家具などの組立ボードとして適用するこができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の組立ボードによれば、中板を比重の小さい素材で形成すれば組立ボード全体として軽量化を図ることができる一方、打ち込まれた接合ネジの保持力を得るためのねじ山部分が、比重と硬度が大きい補強板に位置することとなり、大きなねじ保持力が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ、本発明の組立ボードの実施例を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
本発明の実施例1に係る組立ボード100について説明する。例として、組立ボードは組立式の木製家具用の組立ボード100として説明する。
図1は、本発明の実施例1の組立ボードの構成例を模式的に示す図である。図1(a)は外観斜視図、図1(b)は表面の第1の化粧板10を取り出して下にある中板30の第1層31を示した図、図1(c)は断面において構造を模式的に示した図である。
実施例1の組立ボード100は、図1(c)に示すように、芯材となる中板30と、中板の表面に接着する第1の化粧板10と、中板30の裏面に接着する第2の化粧板20とを備えた構造となっている。
【0032】
第1の化粧板10は、この例では綺麗に表面加工された木材であり、例えば、木材家具の表面を形成するものである。
【0033】
第2の化粧板20は、この例では表面加工された木材であり、例えば、木材家具の裏面を形成するものである。高級家具であれば裏面にも表面と同様の化粧板を用いるものが多いが、本発明では、第2の化粧板20を第1の化粧板10と同じ木質の素材としても良く、裏面は見えにくい面として第1の化粧板10よりもコストの低い素材を用いることも可能である。
【0034】
中板30は、組立ボードの中央部分を占めるものであるが、本発明の組立ボードは、中板30が多層化されており、そのうち少なくとも一層は、中板30の芯材Aの比重と硬度よりも大きな比重と硬度を持つ補強板Bが設けられた構成となっている。図1の構成例では、中板30は、表面側から第1層31、第2層32、第3層33の3層構造を備えた構造となっており、第1層31と第3層33が芯材A、第2層が補強板Bとなっている例である。
【0035】
芯材に対して表裏に化粧板を貼り合わせただけの合板は従来にもあるが、本発明では組立ボード全体の軽量化のため、中板30が多層化されるとともに、比重と硬度が小さい素材の芯材Aで形成した層と、芯材Aよりも比重と硬度が大きい素材の補強板Bで形成した層の2種類の層を備えたものとなっている。
【0036】
ここで、図1の構成例では、芯材Aは、木材よりも比重と硬度が小さい素材、例えば、発泡樹脂素材が選ばれている。発泡樹脂素材は圧に対して或る程度の剛性を持つが比重が小さく軽いため、中板30の一部を発泡樹脂素材とすれば、組立ボード100全体として重量が軽くなるという効果が得られる。なお、芯材の素材として発泡樹脂素材以外の素材、例えば、紙素材で形成したハニカムコアなどの構造体も可能である。芯材をハニカムコアとする構造例は実施例3に示す。
【0037】
一方、補強板Bは、芯材Aよりも比重と硬度が大きい素材であり、図1の構成例では、例えば、木材が選ばれている。もともと接合ネジは木材に対して打ち込まれた際にしっかりとした保持力が得られるという部材である。後述するように接合ネジが補強板に到達して打ち込まれた場合、ねじ山が補強板Bとしての木材の中にしっかりと埋没して噛み合うため、十分な接合ネジ保持力が得られることとなる。なお、補強材の素材として木材以外の素材、例えば、金属板なども可能である。補強材を金属板とした構造例は実施例3に示す。
図1に示すように、実施例1の組立ボード全体としては、全体として、第1の化粧板10および第2の化粧板20のために木質ボードとしての高級感を持つとともに、中板30内の第1層31と第3層の発泡樹脂素材のために全体が軽量化されるとともに、中板30内の第2層32の木材のためにねじ接合保持力が大きく得られる。
【0038】
次に、図2および図3を参照しつつ、第1の化粧板10、中板30の第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジの長さの関係について説明する。
組立ボード100を貫通する接合ネジの場合、貫通した先の部材と接合ネジのねじ保持力が問題となるが、組立ボード100に対して蝶番210などの金具を取り付ける場合や、鬼目ナットを打ち込む場合など、接合ネジが組立ボード100を貫通せずに接合ネジのねじ先が組立ボード100内に留まるものがある。このように接合ネジのねじ先が組立ボード100内に留まる場合のねじ保持力について、第1の化粧板10、中板30の第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジの長さの関係が影響する。
【0039】
以下、蝶番210を取り付ける場合の接合ネジを採り上げて説明する。
図2に示す例では、第1の化粧板10の厚みがD0、中板30の第1層31の厚みがD1、第2層32の厚みがD2、第3層33の厚みがD3、第2の化粧板20の厚みがD4となっている。一方、接合ネジ200の長さがL1であり、ねじ山が設けられている箇所までがねじの頭からL2〜L1の範囲であるとする。なお、蝶番210の厚さは無視して考察する。
【0040】
ここで、接合ネジ200の長さL1、頭からねじ山までの長さL2〜L1が、図2(a)、図2(b)、図2(c)の関係のいずれかとなるように調整する。
図2(a)の関係:L2<D0<L1<D0+D1+D2
図2(b)の関係:L2<D0,D0+D1+D2<L1
図2(c)の関係:L2<D0+D1+D2<L1<D0+D1+D2+D3
接合ネジ200の長さと組立ボード100の各層の厚さが、上記の図2(a)から図2(c)のいずれかの関係であれば、ねじ山の少なくとも一部が補強板Bである第2層32の中に埋設され、ねじ保持力が得られることとなる。
つまり、接合ネジ200を表面側の第1の化粧板側10から打ち込んだ際、接合ネジ200のねじ山が第2層32の補強板Bに位置するような関係となる。
【0041】
ここで、図2から分かるように、第1層31の厚さD1、第3層の厚さD3はかならずしも同一でなくとも良く、組立ボード100は上下対称形でなくとも良いことが分かる。
【0042】
次に、接合ネジ200を組立ボード100の表面側から打ち込んでも裏面側から打ち込んでもいずれも打ち込まれた接合ネジの保持力を得られるように工夫する場合について説明する。つまり、裏面側から接合ネジを打ち込んでも図2(a)、図2(b)、図2(c)の関係が成り立つように第3層33の厚さD3、第2の化粧板20の厚さD4を調整しておく。
【0043】
図3は表面から接合ネジ200を打ち込んだ場合と裏面から接合ネジ200を打ち込んだ場合の両者の関係を示す図である。
図3(a)の関係
表面側:L2<D0<L1<D0+D1+D2
裏面側:L2<D4<L1<D4+D3+D2
図3(b)の関係
表面側:L2<D0,D0+D1+D2<L1
裏面側:L2<D4,D4+D3+D2<L1
図3(c)の関係
表面側:L2<D0+D1+D2<L1<D0+D1+D2+D3
裏面側:L2<D4+D3+D2<L1<D4+D3+D2+D1
接合ネジ200の長さと組立ボード100の各層の厚さが、上記の図3(a)から図3(c)のいずれかの関係であれば、裏面から接合ネジ200を打ち込んでもねじ山の少なくとも一部が補強板Bである第2層32の中に埋設され、ねじ保持力が得られることとなる。
【0044】
このように、第1の化粧板10、中板30の中の第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジ200の長さの関係が図3の関係であれば、接合ネジ200を組立ボード100の表面の第1の化粧板10側から打ち込んだ際も接合ネジ200のねじ山が第2層32に位置し、接合ネジ200を組立ボード100の裏面の第2の化粧板20側から打ち込んだ際も接合ネジ200のねじ山が第2層32に位置するような関係となる。
【0045】
以上、図2および図3を見て明らかなように、表裏を区別して接合ネジを打つ図2のものは、第1の化粧板10の厚さD0と第2の化粧板の厚さD4が異なる大きさであっても良く、第2層32の第1の化粧板10からの距離(深さ)の調整を行えば良い(つまり、組立ボード100が上下対称形でなくとも良い)が、表裏区別せずに接合ネジを打つ図3のものは、第1の化粧板10の厚さD0と第2の化粧板の厚さD4が同じ大きさ、中板30の第1層31の厚さD1と第3層33の厚さD3が同じ大きさとする必要があり、第2層32の表面からの距離(深さ)と裏面からの距離(深さ)が同じとするように調整を行うこととなる(つまり、組立ボード100が上下対称形となる)。
【0046】
なお、本発明の組立ボード100は図1に示すように、平板で層状の平板であるため、組立ボード100を切断する箇所や接合ネジ200をねじ打ちする箇所は特に限定されない。つまり、設計に応じて切断して部材の形を整え、組み立て時に自由自在な箇所を選んで接合ネジ200を打ち込めば、図2や図3の関係が満たされるものとなっている。
【実施例2】
【0047】
実施例2として、中板が5層構造となった構成例を説明する。
図4は、本発明の実施例2に係る組立ボード100aの構成例を模式的に示す図である。図4(a)は外観斜視図、図4(b)は断面において構造を模式的に示した図である。
実施例2の組立ボード100aは、図4に示すように、芯材となる5層構造の中板30aと、中板30aの表面に接着する第1の化粧板10と、中板30aの裏面に接着する第2の化粧板20とを備えた構造となっている。図2と同様、組立ボードの各層の厚みは上下対称形ではない例となっている。
【0048】
第1の化粧板10および第2の化粧板20は、実施例1と同様、この例では綺麗に表面加工された木材であり、例えば、木材家具の表面を形成するものである。
【0049】
中板30aは、組立ボードの中央部分を占めるものであるが、本発明の組立ボードは、中板30aが多層化されており、ここでは5層構造となっている。図4の構成例では、中板30aは、表面側から第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35の3層構造を備えた構造となっており、第1層31と第3層33と第5層35が芯材A、第2層32と第4層34が補強板Bとなっている例である。
【0050】
芯材Aは、実施例1と同様、木材よりも比重と硬度が小さい素材として、例えば、発泡樹脂素材を用いた例となっている。実施例1と同様、発泡樹脂素材は圧に対して或る程度の剛性を持つが比重が小さく軽いため、中板の一部を発泡樹脂素材とすれば、組立ボード全体として重量が軽くなるという効果が得られる。
【0051】
補強板Bは、実施例1と同様、芯材Aよりも比重と硬度が大きい素材、例えば木材とする。後述するように、接合ネジ200が補強板Bに到達して打ち込まれた場合、ねじ山が補強板Bとしての木材の中にしっかりと埋没して噛み合うため、十分な接合ネジ保持力が得られることとなる。
【0052】
つまり、実施例2の組立ボード全体としては、全体として、第1の化粧板10および第2の化粧板20のために木質ボードとしての高級感を持つとともに、中板30内の第1層31と第3層33と第5層35の発泡樹脂素材のために全体が軽量化されるとともに、中板30内の第2層32と第4層34の木材のためにねじ接合保持力が大きく得られる。
【0053】
ここで、図5を参照しつつ、第1の化粧板10、中板30の第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジ200の長さの関係について説明する。図5の例では、第1層31の厚さD1、第5層35の厚さD5は同一でなく、組立ボード100は上下対称形となっていない例である。
【0054】
以下、蝶番210を取り付ける場合の接合ネジを採り上げて説明する。なお、蝶番210の厚さは無視して考察する。
図5に示すように、第1の化粧板10の厚みD0、中板30の第1層31の厚みD1、第2層32の厚みD2、第3層33の厚みD3、第4層34の厚みD4、第5層35の厚みD5、第2の化粧板20の厚みD6の各々の厚みと接合ネジ200の長さL1、ねじ頭からねじ山までの距離L2〜L1との関係を調整することにより、接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際には、接合ネジ200のねじ山が第2層32及び第4層34の両者に位置するように調整する。
【0055】
ここで、接合ネジ200の長さL1、頭からねじ山までの長さL2〜L1が、図5(a)、図5(b)、図5(c)の関係のいずれかとなるように調整する。
図5(a)の関係
L2<D0+D1<L1<D0+D1+D2+D3+D4
図5(b)の関係
L2<D0+D1<L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
図5(c)の関係
D0+D1<L2,L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
接合ネジ200の長さと組立ボード100の各層の厚さが、上記の図5(a)から図5(c)のいずれかの関係であれば、表裏どちらから接合ネジ200を打ち込んでも、ねじ山の少なくとも一部が補強板Bである第2層32及び第4層34の中に埋設され、ねじ保持力が得られることとなる。
【0056】
次に、接合ネジ200を組立ボード100aの表面側から打ち込んでも裏面側から打ち込んでもいずれも打ち込まれた接合ネジの保持力を得られるように工夫する場合について説明する。つまり、裏面側から接合ネジを打ち込んでも図5(a)、図5(b)、図5(c)の関係が成り立つように第5層35の厚さD5、第2の化粧板20の厚さD4を調整しておく。
【0057】
図6は表面から接合ネジ200を打ち込んだ場合と裏面から接合ネジ200を打ち込んだ場合の両者の関係を示す図である。図6の場合、第1層31の厚さD1、第5層35の厚さD5は同一となっており、組立ボード100aは上下対称形となっている。
図6(a)の関係
表面側:L2<D0+D1<L1<D0+D1+D2+D3+D4
裏面側:L2<D6+D5<L1<D6+D5+D4+D3+D2
図6(b)の関係
表面側:L2<D0+D1<L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
裏面側:L2<D6+D5<L1<D6+D5+D4+D3+D2+D1
図6(c)の関係
表面側:D0+D1<L2,L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
裏面側:D6+D5<L2,L1<D6+D5+D4+D3+D2+D1
接合ネジ200の長さと組立ボード100aの各層の厚さが、上記の図6(a)から図6(c)のいずれかの関係であれば、裏面から接合ネジ200を打ち込んでもねじ山の少なくとも一部が補強板Bである第2層32及び第4層34の中に埋設され、ねじ保持力が得られることとなる。
【0058】
また、図6とは別の関係もあり得る。ねじ山の長さが短い場合は、図7のような関係も可能である。図7の場合、第1層31の厚さD1、第5層35の厚さD5は同一となっており、組立ボード100aは上下対称形となっている。
図7(a)の関係
表面側:L2<D0+D1+D2+D3<L1<D0+D1+D2+D3+D4
裏面側:L2<D6+D5+D4+D3<L1<D6+D5+D4+D3+D3
図7(b)の関係
表面側:L2<D0+D1+D2+D3<L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
裏面側:L2<D6+D5+D4+D3<L1<D6+D5+D4+D3+D2+D1
図7(c)の関係
表面側:D0+D1+D2+D3+D4<L2,L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
裏面側:D6+D5+D4+D3+D2<L2,L1<D6+D5+D4+D3+D2+D1
【0059】
いずれの場合も、第1の化粧板10の厚さD0、第1層31の厚さD1、第2層32の厚さD2、第3層33の厚さD3、第4層34の厚さD4、第5層35の厚さD5、第2の化粧板20の厚さD6の各々の厚みと接合ネジの長さの関係を調整し、接合ネジを表面の第1の化粧板10側から打ち込んだ際には、接合ネジ200のねじ山が第4層34に位置し、接合ネジ200を裏面の第2の化粧板20側から打ち込んだ際、接合ネジ200のねじ山が第2層32に位置するような関係となっている。
上記の関係であれば、接合ネジ200を表面の第1の化粧板10側から打ち込んだ場合にはねじ山が第4層34の補強板に位置し、裏面の第2の化粧板20側から打ち込んだ場合にはねじ山が第2層32の補強板に位置することとなる。
【0060】
次に、補強板が第2層と第4層の2カ所に設けられているもう一つの効果を説明する。接合ネジ200に対して第2層と第4層の2カ所において硬度の大きな補強板Bが当接し、それらは第3層33の厚みD3に相当する距離が離れた2カ所で当接するため、接合ネジの横方向の移動が制止され、接合ネジの姿勢が安定しやすくなる。また、表面の化粧板10または裏面の化粧板20から長い距離(深い位置)において硬度の大きな補強板Bと当接するので接合ネジの姿勢が安定しやすくなる。
【0061】
図8(a)は、中板30の5層構造において、中板30の中の第3層33のみに補強板Bが設けられた場合に接合ネジ200を打ち込んだ様子を示す図であるが、図8(a)に示すように、ねじ山が第3層33に埋設されているが、接合ネジの軸部分は発泡樹脂素材などの硬度の小さいものに当接している。一方、図8(b)は、中板30の5層構造において、中板30の中の第2層32と第4層34に補強板Bが設けられた場合に接合ネジ200を打ち込んだ様子を示す図であるが、図8(b)に示すように、ねじ山は第4層34に埋設され、接合ネジの軸部分の一部が第2層32の補強板Bに当接している。この場合、2箇所で硬度の大きな補強板Bで支持されており、接合ネジ200の姿勢が安定しやすくなる。
【0062】
また、硬度の大きな補強板Bと当接する箇所が深くなるため、図8(b)に示すように表面の化粧板10から当接箇所までの距離が長くなり、接合ネジ200の姿勢が安定しやすくなる。図8(c)でも同様、裏面の化粧板20から当接箇所までの距離が長くなり、接合ネジ200の姿勢が安定しやすくなる。
【実施例3】
【0063】
実施例3として、中板の芯材の素材や補強板の素材として実施例1や実施例2とは異なる素材を採用した構成例を示す。
まず、中板30bの芯材が紙素材を用いた紙素材構造体、例えば、ハニカムコア構造体であり、第1の化粧板および第2の化粧板が木板、さらに補強板が木板であり、木質ボードとして提供される組立ボード100bの構成例を説明する。
【0064】
図9は、本発明の実施例3に係る組立ボード100bの構成例を模式的に示す図である。図9(a)は外観斜視図、図9(b)は表面の第1の化粧板10を取り出して下にある中板30bの第1層31bのハニカムコア構造体を示した図である。図9(c)は断面において構造を模式的に示した図である。
組立ボード100bは、図9(c)に示すように、芯材となる中板30bと、中板30bの表面に接着する第1の化粧板10bと、中板30bの裏面に接着する第2の化粧板20bとを備えた構造となっている。
【0065】
第1の化粧板10は、この例では綺麗に表面加工された木材であり、例えば、木材家具の表面を形成するものである。
第2の化粧板20は、この例では表面加工された木材であり、例えば、木材家具の裏面を形成するものである。
【0066】
図9の構成例では、中板30bは、表面側から第1層31、第2層32、第3層33の3層構造を備えた構造となっており、第1層31と第3層33が芯材A、第2層が補強板Bとなっている例である。図9の構成では第1層31b、第3層33bが芯材であり、紙で製作されたハニカムコア構造体となっている。
【0067】
紙素材のハニカムコア構造体とは、紙素材を用いて正六角形または正六角柱をスキマなく並べた構造体であり、広義には、正六角柱に限らず立体形を隙間なく並べたもの(3次元空間充填)をいう。個々のハニカム構造体を紙素材で形成した場合、比重は小さくなる一方、3次元空間充填された構造となっているので構造強度は大きいというメリットが得られる。
つまり、紙素材を用いたハニカムコア構造体を用いれば、圧に対して或る程度の剛性を持つが比重が小さく軽いため、中板30bの一部を紙素材のハニカムコア構造体とすれば、組立ボード100全体として重量が軽くなるという効果が得られる。
【0068】
一方、補強板Bは、芯材Aよりも比重と硬度が大きい素材であり、図9の構成例では、例えば、木材が選ばれている。
図9に示すように、実施例1の組立ボード全体としては、全体として、第1の化粧板10および第2の化粧板20のために木質ボードとしての高級感を持つとともに、中板30b内の第1層31と第3層の紙素材のハニカムコア構造体のために全体が軽量化されるとともに、中板30内の第2層32の木材のためにねじ接合保持力が大きく得られる。
【0069】
次に、中板30cの芯材が発泡樹脂素材であり、第1の化粧板および第2の化粧板が金属板、さらに補強板が金属板であり、軽量金属板ボードとして提供される組立ボード100cの構成例を説明する。
図10は、本発明の実施例3に係る組立ボード100cの構成例を模式的に示す図である。図10(a)は外観斜視図、図10(b)は断面において構造を模式的示した図である。組立ボード100cは、図10(b)に示すように、芯材となる中板30cと、中板の表面に接着する第1の化粧板10cと、中板30cの裏面に接着する第2の化粧板20cとを備えた構造となっている。
【0070】
第1の化粧板10cは、この例では綺麗に表面加工された金属板であり、例えば、スチール家具の表面を形成するものである。
第2の化粧板20cも同様、この例では表面加工された金属板であり、例えば、スチール家具の裏面を形成するものである。高級家具であれば裏面にも表面と同様の化粧板を用いるものが多いが、本発明では、第2の化粧板20cを第1の化粧板10cと同じスチール素材としても良く、裏面は見えにくい面として第1の化粧板10cよりもコストの低い金属板を用いることも可能である。
【0071】
中板30cは、実施例1と同様、多層化されており、図10(b)の構成例では、表面側から第1層31c、第2層32c、第3層33cの3層構造を備えた構造となっており、第1層31cと第3層33cが芯材A、第2層32bが補強板Bとなっている例である。
【0072】
ここで、図10の構成例では、芯材Aは、金属板よりも比重と硬度が小さい素材の芯材Aとして、発泡樹脂素材であるとする。
従来では金属ボードは軽量化するために、スチール板をいわゆる薄い箱状に折り曲げて内部を空洞とする工夫を施す場合があるが、このような薄い箱状に折り曲げる加工はコストと手間を要する。一方、本発明の金属ボードでは内部に発泡樹脂素材Aなどの軽量素材を用いて充填された構造となっているので、単に層状に貼り合わせる加工だけで済み、コストと手間が大幅に節約される。
【0073】
また補強板Bは、この例では芯材Aよりも比重と硬度が大きい素材として金属板が選ばれている。金属板である補強板が中板の内部にあるため十分な接合ネジ保持力が得られることとなる。
つまり、実施例1の組立ボード全体としては、全体として、第1の化粧板10cおよび第2の化粧板20cのために金属ボードとしての高級感を持つとともに、中板30c内の第1層31cと第3層33cの発泡樹脂素材のために全体が軽量化されるとともに、中板30c内の第2層32cの金属板のためにねじ接合保持力が大きく得られる。
【0074】
第1の化粧板10b、中板30bの第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20bの各々の厚みと接合ネジの長さの関係については、金属ボードの場合も、実施例1で考察した木材ボードの場合と同様である。
【0075】
次に、中板30dの芯材が発泡樹脂素材であり、第1の化粧板及び第2の化粧板が金属板、さらに補強板が木材である組立ボード100dの構成例を説明する。
図10は(c)は、断面において組立ボード100dの構造を模式的に示す図である。組立ボード100dは、図10(c)に示すように、芯材となる中板30dと、中板の表面に接着する第1の化粧板10dと、中板30dの裏面に接着する第2の化粧板20dとを備えた構造となっている。
【0076】
図10(b)は補強板が金属板である例であるが、図10(c)は補強板が木材となっている。補強板Bの素材を金属板から木板に替えることにより、木材は金属板よりも比重が小さくより軽量化が図れるとともに、接合ネジを保持するには十分な硬度があり、十分な接合ネジ保持力が得られることとなる。
【0077】
第1の化粧板10c、中板30cの第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20cの各々の厚みと接合ネジの長さの関係については、金属ボードの場合も、実施例1で考察した木材ボードの場合と同様である。
【0078】
以上、本発明の組立ボードの構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の組立ボードは、組み立て木製家具や組み立てスチール家具など、一般需要者が組み立てる部材である組立ボードに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1に係る組立ボードの構成例を模式的に示す図
【図2】第1の化粧板10、中板30の第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジの長さの関係について示す図
【図3】対称形の構造において裏面から接合ネジ200を打ち込んだ場合の各層の厚みと接合ネジ200の長さの関係について示した図
【図4】実施例2の組立ボード100aの構成例を模式的に示す図
【図5】第1の化粧板10、中板30の第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジ200の長さの関係について示した図
【図6】対称形の構造において裏面から接合ネジ200を打ち込んだ場合の各層の厚みと接合ネジ200の長さの関係について示した図
【図7】対称形の構造においてねじ山が短い場合の各層の厚みと接合ネジ200の長さの関係について示した図
【図8】中板30の5層構造において中板30の中の第3層33のみに補強板Bが設けられた場合に接合ネジ200を打ち込んだ様子を示す図
【図9】実施例3に係る組立ボード100bの構成例を模式的に示す図
【図10】実施例3に係る組立ボード100cおよび組立ボード100dの構成例を模式的に示す図
【図11】従来の特開平07−032323号公報に記載された木材ボードを示す図
【図12】従来の特開平07−304134号公報に記載された木材ボードを示す図
【図13】従来の特開平09−256743号公報に記載された木材ボードを示す図
【符号の説明】
【0081】
10 第1の化粧板
20 第2の化粧板
30 中板
31 第1層
32 第2層
33 第3層
34 第4層
35 第5層
100 組立ボード
200 接合ネジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、素材の一部を工夫することにより軽量化する一方、どこにねじを打っても適度なねじの保持力が得られる構造的強度を補強せしめた組立ボードに関する。組立ボードとしては木材ボード、金属板ボードなどがあり、家具や住居の内装建材等に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
従来、机や棚などの木製家具や住居の内装建材等に使用される板状材料として木材ボードが広く使用されている。無垢木材の代替品となる木材ボードとしては、主に、合板、パーティクルボードなどがある。
合板は、木材から薄く剥いだ板を複数枚交互に繊維方向がほぼ直交するように重ねて接着剤で貼り合わせものの表面に化粧板を貼り付けたものである。合板は無垢木材の代替品として広く使われている。
パーティクルボードは、端材などの材木をチップ化し、合成樹脂のバインダーを加えて加熱圧縮成形して板状としたものである(例えば、特開平07−47514号公報)。また、木材小片に代えてウレタンなどの発泡素材を芯材として表面に化粧板を貼り合わせたパーティクルボードも知られている(例えば、特開平07−178708号公報)。パーティクルボードは、木質を活かしながら軽量化を図ることができ、安価であるため広く利用されている。
【0003】
これらの木材ボードを用いて木製の家具や棚などを組み立ててゆく際、一片の木材ボードと他の木材ボードを連結・接合する方法としては、釘打ち、ねじ打ち、ホゾ接合、連結金具など種々の方法があるが、一般にはねじ打ちが主流であると言える。
無垢木材や合板木材を用いてねじ打ちをする場合、無垢木材や合板木材は比較的密度が大きく、ねじと木材ボード素材の間に大きな摩擦力が得られるため、ネジの保持力に優れているという利点がある。
【0004】
しかし、これら無垢木材や合板木材は、比較的高価であるとともに密度が大きく全体として重いという欠点がある。また近年は天然木材資源が減少しており環境配慮の観点から木材の使用量を低減する要請もある。
【0005】
そこで、近年では、パーティクルボードが代替品として広く普及し始めている。従来のパーティクルボードは、無垢の木材や合板等に比べて、比較的安価ではあるとともに、密度が小さいため軽量化されているという利点がある。そのために机や棚などの木製家具や住居の内装建材等に使用される板状材料として広く普及している。
【0006】
しかし、上記のような従来のパーティクルボードでは、無垢の木材や合板等に比べて密度が低く、ねじの保持力が低いという問題があった。パーティクルボードは木質小片や木質繊維をフェノールやメラミン等の熱硬化性樹脂のバインダーで結合させて木質小片や木質繊維同士の絡み合いにて板状体に形成しているため、天然の木材に比べどうしても摩擦力に欠けるからである。
【0007】
従来技術において、パーティクルボードのねじの保持力を補強する技術として例えば、特開平07−32323号公報の技術が知られている。特開平07−32323号公報の技術は、図10に示すように、熱可塑性発泡樹脂層を芯材として両表面に薄い木板を貼り合わせるとともにねじ打ちする箇所をあらかじめ決めておき当該個所に木片などを補強材として埋設しておく技術である。このようにパーティクルボードのねじ打ちの箇所をあらかじめ決めておき当該個所に木材を埋設しておくことによりねじに対する摩擦力も向上させてねじの保持力を高めるものである。
【0008】
また、例えば、特開平07−304134号公報の技術が知られている。特開平07−304134号公報の技術は、図11に示すように、パーティクルボードの芯材の表面および裏面に熱可塑性樹脂を含浸させて硬度を高めた補強木材を貼り付ける技術である。このようにパーティクルボードの表面に硬度の大きな熱可塑性樹脂含浸補強木材を貼り合わせることによりパーティクルボードの構造的強度を増すとともにねじに対する摩擦力も向上させてねじの保持力を高めるものである。
【0009】
また、例えば、特開平09−256743号公報の技術が知られている。特開平09−256743号公報の技術は、図12に示すように、パーティクルボードの芯材の全体に対して樹脂を含浸させると共に芯材の端面付近に含浸させる樹脂の量を多くして端面の硬度を高める技術である。このようにパーティクルボードの端面に樹脂の含浸量を多くして硬度を高めることによりパーティクルボードの構造的強度を増すとともにねじに対する摩擦力も向上させてねじの保持力を高めるものである。
【0010】
【特許文献1】特開平07−032323号公報
【特許文献2】特開平07−304134号公報
【特許文献3】特開平09−256743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記無垢木材や合板の代替品としてねじ保持力を向上させたパーティクルボードやファイバーボードなどのコンポジションボードには以下の問題がある。
まず、特開平07−32323号公報では、ねじ打ちの箇所に汎用性がない問題である。特開平07−32323号公報のパーティクルボードではあらかじめねじ打ちの箇所を決めておかなければならないので、製作する机や棚の家具等の寸法に応じて細かく用意せざるを得ず、家具等の設計が決まってからパーティクルボードを製作することとなってしまい不便である。実用に供するパーティクルボードはどこを切ってどこにねじを打っても所望のねじ保持力を得られるという汎用性が必要となるが、この特開平07−32323号公報のパーティクルボードではそのような汎用性は期待できない。
【0012】
次に、特開平07−304134号公報の技術では、ねじのグリップする深さにおいて大きなねじ保持力が得られず、その結果、ねじ保持力が十分に得られないという問題である。特開平07−304134号公報の技術は熱可塑性樹脂を含浸させて硬度を高めた補強木材を貼り付けるものであるが、それは芯材の表面および裏面である。ねじはその種類やねじ切りの位置にもよるがねじ打ちした状態でコンポジションボードの内部に収まる状態が基本であり、ねじが切られて大きな摩擦力が得られる部分はねじの先端から中央付近となっているものが多い。しかし、特開平07−304134号公報のコンポジションボードでは表面または裏面には硬度の大きな補強材が貼られているが、肝心の内部は密度の小さな柔らかい素材であり、打ち込まれたねじは大きな摩擦力が得られる構造とはなっていない。
【0013】
次に、特開平09−256743号公報の技術でも、ねじのグリップする深さにおいて大きなねじ保持力が得られず、その結果、ねじ保持力が十分に得られないという問題がある。特開平09−256743号公報の技術はパーティクルボードの芯材の全体に対して樹脂を含浸させると共に芯材の端面付近に含浸させる樹脂の量を多くして端面の硬度を高めるものであり、特開平07−304134号公報のコンポジションボードに比べて内部のパーティクルボードの芯材全体にも樹脂を含浸させて硬度を上げる工夫がされているが、内部のパーティクルボードの樹脂含浸量を増やすと密度が大きくなり摩擦力が大きくなる反面、重量も大きくなってしまい、もともと目指していた軽量化という効果が小さくなってしまう。つまり、特開平09−256743号公報の技術では、軽量化という効果とねじ保持力の向上という効果が相反するものであり、どちらか一方が犠牲となってしまう。
【0014】
上記問題点に鑑み、本発明は、軽量化を図るとともにどこにねじを打っても大きなねじ保持力が得られる組立ボードを提供することを目的とする。なお、素材は多様なものに適用可能であり、表面に木板を貼り合わせた木材ボードにも適用でき、また、表面に金属板を貼り合わせた金属ボードにも適用できるものである。それら組立ボードの使用目的も多様であり、例えば、机や棚などの木製家具や金属製家具などの組立部材として使用することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の組立ボードは、芯材となる中板と、前記中板の表面に接着する第1の化粧板と、前記中板の裏面に接着する第2の化粧板とを備えた組立ボードにおいて、前記中板を多層化し、そのうち少なくとも一層は、前記中板の芯材の比重と硬度よりも大きな比重と硬度を持つ補強板を設け、前記補強板以外の層は、前記第1の化粧板の比重と硬度より小さな比重と硬度を持つ素材とし、全体の比重を軽量化しつつ打ち込まれた接合ネジの保持力を向上せしめた組立ボードである。
【0016】
一つ構成例として、前記中板が表面側から第1層、第2層、第3層の3層構造を備え、前記補強板が前記第2層に設けられた構成例がある。
この構成例において、前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめておくことが好ましい。
【0017】
上記構成により、打ち込まれた接合ネジの保持力を得るためのねじ山部分が、比重と硬度が大きい補強板に位置することとなり、大きなねじ保持力が得られる。その一方で中板を比重の小さい素材で形成すれば組立ボード全体として軽量化を図ることができる。
【0018】
また上記の構成例において、前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際も、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置し、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んだ際も、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめることが好ましい。
上記構成により、接合ネジを表面側から打ち込んでも裏面側から打ち込んでもいずれも打ち込まれた接合ネジの保持力を得るためのねじ山部分が、比重と硬度が大きい補強板に位置することとなり、大きなねじ保持力が得られる。つまり、表裏を気にすることなく接合ネジを打ち込めば良く使い勝手が向上する。
【0019】
次に、他の構成例として、前記中板が表面側から第1層、第2層、第3層、第4層、第5層の5層構造を備え、前記補強板が前記第2層と前記第4層に設けられた構成例がある。
この構成例において、前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んでも、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んでも、前記接合ネジのねじ山が前記第2層及び前記第4層に位置するような関係に調整せしめることが好ましい。
【0020】
また、この構成例において、前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第4層に位置し、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめることが好ましい。
【0021】
上記構成により、接合ネジのねじ足を長く保って組立ボード内に深く打ち込んだ状態とし、かつ、接合ネジを表面側から打ち込んでも裏面側から打ち込んでもいずれも打ち込まれた接合ネジの保持力を得るためのねじ山部分が、比重と硬度が大きい補強板に位置することとなり、大きなねじ保持力が得られる。その一方で中板を比重の小さい素材で形成すれば組立ボード全体として軽量化を図ることができる。
【0022】
また、補強板が第2層と第4層の2カ所に設けられていることから接合ネジに対して第3層の厚みに相当する距離が離れた2カ所で硬度の大きな素材が当接するため、接合ネジの姿勢が安定しやすくなる。
【0023】
なお、化粧板、中板、補強板の素材の組み合わせには多様なものがある。
一例としては、前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が木板であり、前記補強板が木材である。このような素材選択により、組立ボードを軽量木質ボードとして提供することができる。
発泡樹脂素材は比重が軽く軽量であるが、圧に対して或る程度の剛性を備えるため構造的強度は確保できる。
【0024】
また、他の例としては、前記中板の前記芯材が紙素材により形成された構造体であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が木板であり、前記補強板が木材である。このような素材選択により、組立ボードを軽量木質ボードとして提供することができる。例えば、紙素材により形成された構造体の例としては、紙素材により形成したハニカムコア構造体や段ボール集合体などがある。
【0025】
また、他の例としては、前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が金属板である。このような素材選択により、組立ボードを軽量金属板ボードとして提供することができる。
【0026】
また、他の例としては、前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が木板である。このような素材選択により、組立ボードを軽量金属板ボードとして提供することができる。
【0027】
また、他の例としては、前記中板の前記芯材が紙素材により形成された構造体であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が木材である。このような素材選択により、軽量金属板ボードとして提供することができる。
【0028】
なお、本発明の組立ボードが利用される製品も多様である。軽量木材ボードとして提供する場合、例えば、組立式の木製家具などの組立ボードとして適用することができる。また、軽量金属ボードとして提供する場合、例えば、組立式のスチール家具などの組立ボードとして適用するこができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の組立ボードによれば、中板を比重の小さい素材で形成すれば組立ボード全体として軽量化を図ることができる一方、打ち込まれた接合ネジの保持力を得るためのねじ山部分が、比重と硬度が大きい補強板に位置することとなり、大きなねじ保持力が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ、本発明の組立ボードの実施例を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
本発明の実施例1に係る組立ボード100について説明する。例として、組立ボードは組立式の木製家具用の組立ボード100として説明する。
図1は、本発明の実施例1の組立ボードの構成例を模式的に示す図である。図1(a)は外観斜視図、図1(b)は表面の第1の化粧板10を取り出して下にある中板30の第1層31を示した図、図1(c)は断面において構造を模式的に示した図である。
実施例1の組立ボード100は、図1(c)に示すように、芯材となる中板30と、中板の表面に接着する第1の化粧板10と、中板30の裏面に接着する第2の化粧板20とを備えた構造となっている。
【0032】
第1の化粧板10は、この例では綺麗に表面加工された木材であり、例えば、木材家具の表面を形成するものである。
【0033】
第2の化粧板20は、この例では表面加工された木材であり、例えば、木材家具の裏面を形成するものである。高級家具であれば裏面にも表面と同様の化粧板を用いるものが多いが、本発明では、第2の化粧板20を第1の化粧板10と同じ木質の素材としても良く、裏面は見えにくい面として第1の化粧板10よりもコストの低い素材を用いることも可能である。
【0034】
中板30は、組立ボードの中央部分を占めるものであるが、本発明の組立ボードは、中板30が多層化されており、そのうち少なくとも一層は、中板30の芯材Aの比重と硬度よりも大きな比重と硬度を持つ補強板Bが設けられた構成となっている。図1の構成例では、中板30は、表面側から第1層31、第2層32、第3層33の3層構造を備えた構造となっており、第1層31と第3層33が芯材A、第2層が補強板Bとなっている例である。
【0035】
芯材に対して表裏に化粧板を貼り合わせただけの合板は従来にもあるが、本発明では組立ボード全体の軽量化のため、中板30が多層化されるとともに、比重と硬度が小さい素材の芯材Aで形成した層と、芯材Aよりも比重と硬度が大きい素材の補強板Bで形成した層の2種類の層を備えたものとなっている。
【0036】
ここで、図1の構成例では、芯材Aは、木材よりも比重と硬度が小さい素材、例えば、発泡樹脂素材が選ばれている。発泡樹脂素材は圧に対して或る程度の剛性を持つが比重が小さく軽いため、中板30の一部を発泡樹脂素材とすれば、組立ボード100全体として重量が軽くなるという効果が得られる。なお、芯材の素材として発泡樹脂素材以外の素材、例えば、紙素材で形成したハニカムコアなどの構造体も可能である。芯材をハニカムコアとする構造例は実施例3に示す。
【0037】
一方、補強板Bは、芯材Aよりも比重と硬度が大きい素材であり、図1の構成例では、例えば、木材が選ばれている。もともと接合ネジは木材に対して打ち込まれた際にしっかりとした保持力が得られるという部材である。後述するように接合ネジが補強板に到達して打ち込まれた場合、ねじ山が補強板Bとしての木材の中にしっかりと埋没して噛み合うため、十分な接合ネジ保持力が得られることとなる。なお、補強材の素材として木材以外の素材、例えば、金属板なども可能である。補強材を金属板とした構造例は実施例3に示す。
図1に示すように、実施例1の組立ボード全体としては、全体として、第1の化粧板10および第2の化粧板20のために木質ボードとしての高級感を持つとともに、中板30内の第1層31と第3層の発泡樹脂素材のために全体が軽量化されるとともに、中板30内の第2層32の木材のためにねじ接合保持力が大きく得られる。
【0038】
次に、図2および図3を参照しつつ、第1の化粧板10、中板30の第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジの長さの関係について説明する。
組立ボード100を貫通する接合ネジの場合、貫通した先の部材と接合ネジのねじ保持力が問題となるが、組立ボード100に対して蝶番210などの金具を取り付ける場合や、鬼目ナットを打ち込む場合など、接合ネジが組立ボード100を貫通せずに接合ネジのねじ先が組立ボード100内に留まるものがある。このように接合ネジのねじ先が組立ボード100内に留まる場合のねじ保持力について、第1の化粧板10、中板30の第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジの長さの関係が影響する。
【0039】
以下、蝶番210を取り付ける場合の接合ネジを採り上げて説明する。
図2に示す例では、第1の化粧板10の厚みがD0、中板30の第1層31の厚みがD1、第2層32の厚みがD2、第3層33の厚みがD3、第2の化粧板20の厚みがD4となっている。一方、接合ネジ200の長さがL1であり、ねじ山が設けられている箇所までがねじの頭からL2〜L1の範囲であるとする。なお、蝶番210の厚さは無視して考察する。
【0040】
ここで、接合ネジ200の長さL1、頭からねじ山までの長さL2〜L1が、図2(a)、図2(b)、図2(c)の関係のいずれかとなるように調整する。
図2(a)の関係:L2<D0<L1<D0+D1+D2
図2(b)の関係:L2<D0,D0+D1+D2<L1
図2(c)の関係:L2<D0+D1+D2<L1<D0+D1+D2+D3
接合ネジ200の長さと組立ボード100の各層の厚さが、上記の図2(a)から図2(c)のいずれかの関係であれば、ねじ山の少なくとも一部が補強板Bである第2層32の中に埋設され、ねじ保持力が得られることとなる。
つまり、接合ネジ200を表面側の第1の化粧板側10から打ち込んだ際、接合ネジ200のねじ山が第2層32の補強板Bに位置するような関係となる。
【0041】
ここで、図2から分かるように、第1層31の厚さD1、第3層の厚さD3はかならずしも同一でなくとも良く、組立ボード100は上下対称形でなくとも良いことが分かる。
【0042】
次に、接合ネジ200を組立ボード100の表面側から打ち込んでも裏面側から打ち込んでもいずれも打ち込まれた接合ネジの保持力を得られるように工夫する場合について説明する。つまり、裏面側から接合ネジを打ち込んでも図2(a)、図2(b)、図2(c)の関係が成り立つように第3層33の厚さD3、第2の化粧板20の厚さD4を調整しておく。
【0043】
図3は表面から接合ネジ200を打ち込んだ場合と裏面から接合ネジ200を打ち込んだ場合の両者の関係を示す図である。
図3(a)の関係
表面側:L2<D0<L1<D0+D1+D2
裏面側:L2<D4<L1<D4+D3+D2
図3(b)の関係
表面側:L2<D0,D0+D1+D2<L1
裏面側:L2<D4,D4+D3+D2<L1
図3(c)の関係
表面側:L2<D0+D1+D2<L1<D0+D1+D2+D3
裏面側:L2<D4+D3+D2<L1<D4+D3+D2+D1
接合ネジ200の長さと組立ボード100の各層の厚さが、上記の図3(a)から図3(c)のいずれかの関係であれば、裏面から接合ネジ200を打ち込んでもねじ山の少なくとも一部が補強板Bである第2層32の中に埋設され、ねじ保持力が得られることとなる。
【0044】
このように、第1の化粧板10、中板30の中の第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジ200の長さの関係が図3の関係であれば、接合ネジ200を組立ボード100の表面の第1の化粧板10側から打ち込んだ際も接合ネジ200のねじ山が第2層32に位置し、接合ネジ200を組立ボード100の裏面の第2の化粧板20側から打ち込んだ際も接合ネジ200のねじ山が第2層32に位置するような関係となる。
【0045】
以上、図2および図3を見て明らかなように、表裏を区別して接合ネジを打つ図2のものは、第1の化粧板10の厚さD0と第2の化粧板の厚さD4が異なる大きさであっても良く、第2層32の第1の化粧板10からの距離(深さ)の調整を行えば良い(つまり、組立ボード100が上下対称形でなくとも良い)が、表裏区別せずに接合ネジを打つ図3のものは、第1の化粧板10の厚さD0と第2の化粧板の厚さD4が同じ大きさ、中板30の第1層31の厚さD1と第3層33の厚さD3が同じ大きさとする必要があり、第2層32の表面からの距離(深さ)と裏面からの距離(深さ)が同じとするように調整を行うこととなる(つまり、組立ボード100が上下対称形となる)。
【0046】
なお、本発明の組立ボード100は図1に示すように、平板で層状の平板であるため、組立ボード100を切断する箇所や接合ネジ200をねじ打ちする箇所は特に限定されない。つまり、設計に応じて切断して部材の形を整え、組み立て時に自由自在な箇所を選んで接合ネジ200を打ち込めば、図2や図3の関係が満たされるものとなっている。
【実施例2】
【0047】
実施例2として、中板が5層構造となった構成例を説明する。
図4は、本発明の実施例2に係る組立ボード100aの構成例を模式的に示す図である。図4(a)は外観斜視図、図4(b)は断面において構造を模式的に示した図である。
実施例2の組立ボード100aは、図4に示すように、芯材となる5層構造の中板30aと、中板30aの表面に接着する第1の化粧板10と、中板30aの裏面に接着する第2の化粧板20とを備えた構造となっている。図2と同様、組立ボードの各層の厚みは上下対称形ではない例となっている。
【0048】
第1の化粧板10および第2の化粧板20は、実施例1と同様、この例では綺麗に表面加工された木材であり、例えば、木材家具の表面を形成するものである。
【0049】
中板30aは、組立ボードの中央部分を占めるものであるが、本発明の組立ボードは、中板30aが多層化されており、ここでは5層構造となっている。図4の構成例では、中板30aは、表面側から第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35の3層構造を備えた構造となっており、第1層31と第3層33と第5層35が芯材A、第2層32と第4層34が補強板Bとなっている例である。
【0050】
芯材Aは、実施例1と同様、木材よりも比重と硬度が小さい素材として、例えば、発泡樹脂素材を用いた例となっている。実施例1と同様、発泡樹脂素材は圧に対して或る程度の剛性を持つが比重が小さく軽いため、中板の一部を発泡樹脂素材とすれば、組立ボード全体として重量が軽くなるという効果が得られる。
【0051】
補強板Bは、実施例1と同様、芯材Aよりも比重と硬度が大きい素材、例えば木材とする。後述するように、接合ネジ200が補強板Bに到達して打ち込まれた場合、ねじ山が補強板Bとしての木材の中にしっかりと埋没して噛み合うため、十分な接合ネジ保持力が得られることとなる。
【0052】
つまり、実施例2の組立ボード全体としては、全体として、第1の化粧板10および第2の化粧板20のために木質ボードとしての高級感を持つとともに、中板30内の第1層31と第3層33と第5層35の発泡樹脂素材のために全体が軽量化されるとともに、中板30内の第2層32と第4層34の木材のためにねじ接合保持力が大きく得られる。
【0053】
ここで、図5を参照しつつ、第1の化粧板10、中板30の第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジ200の長さの関係について説明する。図5の例では、第1層31の厚さD1、第5層35の厚さD5は同一でなく、組立ボード100は上下対称形となっていない例である。
【0054】
以下、蝶番210を取り付ける場合の接合ネジを採り上げて説明する。なお、蝶番210の厚さは無視して考察する。
図5に示すように、第1の化粧板10の厚みD0、中板30の第1層31の厚みD1、第2層32の厚みD2、第3層33の厚みD3、第4層34の厚みD4、第5層35の厚みD5、第2の化粧板20の厚みD6の各々の厚みと接合ネジ200の長さL1、ねじ頭からねじ山までの距離L2〜L1との関係を調整することにより、接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際には、接合ネジ200のねじ山が第2層32及び第4層34の両者に位置するように調整する。
【0055】
ここで、接合ネジ200の長さL1、頭からねじ山までの長さL2〜L1が、図5(a)、図5(b)、図5(c)の関係のいずれかとなるように調整する。
図5(a)の関係
L2<D0+D1<L1<D0+D1+D2+D3+D4
図5(b)の関係
L2<D0+D1<L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
図5(c)の関係
D0+D1<L2,L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
接合ネジ200の長さと組立ボード100の各層の厚さが、上記の図5(a)から図5(c)のいずれかの関係であれば、表裏どちらから接合ネジ200を打ち込んでも、ねじ山の少なくとも一部が補強板Bである第2層32及び第4層34の中に埋設され、ねじ保持力が得られることとなる。
【0056】
次に、接合ネジ200を組立ボード100aの表面側から打ち込んでも裏面側から打ち込んでもいずれも打ち込まれた接合ネジの保持力を得られるように工夫する場合について説明する。つまり、裏面側から接合ネジを打ち込んでも図5(a)、図5(b)、図5(c)の関係が成り立つように第5層35の厚さD5、第2の化粧板20の厚さD4を調整しておく。
【0057】
図6は表面から接合ネジ200を打ち込んだ場合と裏面から接合ネジ200を打ち込んだ場合の両者の関係を示す図である。図6の場合、第1層31の厚さD1、第5層35の厚さD5は同一となっており、組立ボード100aは上下対称形となっている。
図6(a)の関係
表面側:L2<D0+D1<L1<D0+D1+D2+D3+D4
裏面側:L2<D6+D5<L1<D6+D5+D4+D3+D2
図6(b)の関係
表面側:L2<D0+D1<L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
裏面側:L2<D6+D5<L1<D6+D5+D4+D3+D2+D1
図6(c)の関係
表面側:D0+D1<L2,L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
裏面側:D6+D5<L2,L1<D6+D5+D4+D3+D2+D1
接合ネジ200の長さと組立ボード100aの各層の厚さが、上記の図6(a)から図6(c)のいずれかの関係であれば、裏面から接合ネジ200を打ち込んでもねじ山の少なくとも一部が補強板Bである第2層32及び第4層34の中に埋設され、ねじ保持力が得られることとなる。
【0058】
また、図6とは別の関係もあり得る。ねじ山の長さが短い場合は、図7のような関係も可能である。図7の場合、第1層31の厚さD1、第5層35の厚さD5は同一となっており、組立ボード100aは上下対称形となっている。
図7(a)の関係
表面側:L2<D0+D1+D2+D3<L1<D0+D1+D2+D3+D4
裏面側:L2<D6+D5+D4+D3<L1<D6+D5+D4+D3+D3
図7(b)の関係
表面側:L2<D0+D1+D2+D3<L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
裏面側:L2<D6+D5+D4+D3<L1<D6+D5+D4+D3+D2+D1
図7(c)の関係
表面側:D0+D1+D2+D3+D4<L2,L1<D0+D1+D2+D3+D4+D5
裏面側:D6+D5+D4+D3+D2<L2,L1<D6+D5+D4+D3+D2+D1
【0059】
いずれの場合も、第1の化粧板10の厚さD0、第1層31の厚さD1、第2層32の厚さD2、第3層33の厚さD3、第4層34の厚さD4、第5層35の厚さD5、第2の化粧板20の厚さD6の各々の厚みと接合ネジの長さの関係を調整し、接合ネジを表面の第1の化粧板10側から打ち込んだ際には、接合ネジ200のねじ山が第4層34に位置し、接合ネジ200を裏面の第2の化粧板20側から打ち込んだ際、接合ネジ200のねじ山が第2層32に位置するような関係となっている。
上記の関係であれば、接合ネジ200を表面の第1の化粧板10側から打ち込んだ場合にはねじ山が第4層34の補強板に位置し、裏面の第2の化粧板20側から打ち込んだ場合にはねじ山が第2層32の補強板に位置することとなる。
【0060】
次に、補強板が第2層と第4層の2カ所に設けられているもう一つの効果を説明する。接合ネジ200に対して第2層と第4層の2カ所において硬度の大きな補強板Bが当接し、それらは第3層33の厚みD3に相当する距離が離れた2カ所で当接するため、接合ネジの横方向の移動が制止され、接合ネジの姿勢が安定しやすくなる。また、表面の化粧板10または裏面の化粧板20から長い距離(深い位置)において硬度の大きな補強板Bと当接するので接合ネジの姿勢が安定しやすくなる。
【0061】
図8(a)は、中板30の5層構造において、中板30の中の第3層33のみに補強板Bが設けられた場合に接合ネジ200を打ち込んだ様子を示す図であるが、図8(a)に示すように、ねじ山が第3層33に埋設されているが、接合ネジの軸部分は発泡樹脂素材などの硬度の小さいものに当接している。一方、図8(b)は、中板30の5層構造において、中板30の中の第2層32と第4層34に補強板Bが設けられた場合に接合ネジ200を打ち込んだ様子を示す図であるが、図8(b)に示すように、ねじ山は第4層34に埋設され、接合ネジの軸部分の一部が第2層32の補強板Bに当接している。この場合、2箇所で硬度の大きな補強板Bで支持されており、接合ネジ200の姿勢が安定しやすくなる。
【0062】
また、硬度の大きな補強板Bと当接する箇所が深くなるため、図8(b)に示すように表面の化粧板10から当接箇所までの距離が長くなり、接合ネジ200の姿勢が安定しやすくなる。図8(c)でも同様、裏面の化粧板20から当接箇所までの距離が長くなり、接合ネジ200の姿勢が安定しやすくなる。
【実施例3】
【0063】
実施例3として、中板の芯材の素材や補強板の素材として実施例1や実施例2とは異なる素材を採用した構成例を示す。
まず、中板30bの芯材が紙素材を用いた紙素材構造体、例えば、ハニカムコア構造体であり、第1の化粧板および第2の化粧板が木板、さらに補強板が木板であり、木質ボードとして提供される組立ボード100bの構成例を説明する。
【0064】
図9は、本発明の実施例3に係る組立ボード100bの構成例を模式的に示す図である。図9(a)は外観斜視図、図9(b)は表面の第1の化粧板10を取り出して下にある中板30bの第1層31bのハニカムコア構造体を示した図である。図9(c)は断面において構造を模式的に示した図である。
組立ボード100bは、図9(c)に示すように、芯材となる中板30bと、中板30bの表面に接着する第1の化粧板10bと、中板30bの裏面に接着する第2の化粧板20bとを備えた構造となっている。
【0065】
第1の化粧板10は、この例では綺麗に表面加工された木材であり、例えば、木材家具の表面を形成するものである。
第2の化粧板20は、この例では表面加工された木材であり、例えば、木材家具の裏面を形成するものである。
【0066】
図9の構成例では、中板30bは、表面側から第1層31、第2層32、第3層33の3層構造を備えた構造となっており、第1層31と第3層33が芯材A、第2層が補強板Bとなっている例である。図9の構成では第1層31b、第3層33bが芯材であり、紙で製作されたハニカムコア構造体となっている。
【0067】
紙素材のハニカムコア構造体とは、紙素材を用いて正六角形または正六角柱をスキマなく並べた構造体であり、広義には、正六角柱に限らず立体形を隙間なく並べたもの(3次元空間充填)をいう。個々のハニカム構造体を紙素材で形成した場合、比重は小さくなる一方、3次元空間充填された構造となっているので構造強度は大きいというメリットが得られる。
つまり、紙素材を用いたハニカムコア構造体を用いれば、圧に対して或る程度の剛性を持つが比重が小さく軽いため、中板30bの一部を紙素材のハニカムコア構造体とすれば、組立ボード100全体として重量が軽くなるという効果が得られる。
【0068】
一方、補強板Bは、芯材Aよりも比重と硬度が大きい素材であり、図9の構成例では、例えば、木材が選ばれている。
図9に示すように、実施例1の組立ボード全体としては、全体として、第1の化粧板10および第2の化粧板20のために木質ボードとしての高級感を持つとともに、中板30b内の第1層31と第3層の紙素材のハニカムコア構造体のために全体が軽量化されるとともに、中板30内の第2層32の木材のためにねじ接合保持力が大きく得られる。
【0069】
次に、中板30cの芯材が発泡樹脂素材であり、第1の化粧板および第2の化粧板が金属板、さらに補強板が金属板であり、軽量金属板ボードとして提供される組立ボード100cの構成例を説明する。
図10は、本発明の実施例3に係る組立ボード100cの構成例を模式的に示す図である。図10(a)は外観斜視図、図10(b)は断面において構造を模式的示した図である。組立ボード100cは、図10(b)に示すように、芯材となる中板30cと、中板の表面に接着する第1の化粧板10cと、中板30cの裏面に接着する第2の化粧板20cとを備えた構造となっている。
【0070】
第1の化粧板10cは、この例では綺麗に表面加工された金属板であり、例えば、スチール家具の表面を形成するものである。
第2の化粧板20cも同様、この例では表面加工された金属板であり、例えば、スチール家具の裏面を形成するものである。高級家具であれば裏面にも表面と同様の化粧板を用いるものが多いが、本発明では、第2の化粧板20cを第1の化粧板10cと同じスチール素材としても良く、裏面は見えにくい面として第1の化粧板10cよりもコストの低い金属板を用いることも可能である。
【0071】
中板30cは、実施例1と同様、多層化されており、図10(b)の構成例では、表面側から第1層31c、第2層32c、第3層33cの3層構造を備えた構造となっており、第1層31cと第3層33cが芯材A、第2層32bが補強板Bとなっている例である。
【0072】
ここで、図10の構成例では、芯材Aは、金属板よりも比重と硬度が小さい素材の芯材Aとして、発泡樹脂素材であるとする。
従来では金属ボードは軽量化するために、スチール板をいわゆる薄い箱状に折り曲げて内部を空洞とする工夫を施す場合があるが、このような薄い箱状に折り曲げる加工はコストと手間を要する。一方、本発明の金属ボードでは内部に発泡樹脂素材Aなどの軽量素材を用いて充填された構造となっているので、単に層状に貼り合わせる加工だけで済み、コストと手間が大幅に節約される。
【0073】
また補強板Bは、この例では芯材Aよりも比重と硬度が大きい素材として金属板が選ばれている。金属板である補強板が中板の内部にあるため十分な接合ネジ保持力が得られることとなる。
つまり、実施例1の組立ボード全体としては、全体として、第1の化粧板10cおよび第2の化粧板20cのために金属ボードとしての高級感を持つとともに、中板30c内の第1層31cと第3層33cの発泡樹脂素材のために全体が軽量化されるとともに、中板30c内の第2層32cの金属板のためにねじ接合保持力が大きく得られる。
【0074】
第1の化粧板10b、中板30bの第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20bの各々の厚みと接合ネジの長さの関係については、金属ボードの場合も、実施例1で考察した木材ボードの場合と同様である。
【0075】
次に、中板30dの芯材が発泡樹脂素材であり、第1の化粧板及び第2の化粧板が金属板、さらに補強板が木材である組立ボード100dの構成例を説明する。
図10は(c)は、断面において組立ボード100dの構造を模式的に示す図である。組立ボード100dは、図10(c)に示すように、芯材となる中板30dと、中板の表面に接着する第1の化粧板10dと、中板30dの裏面に接着する第2の化粧板20dとを備えた構造となっている。
【0076】
図10(b)は補強板が金属板である例であるが、図10(c)は補強板が木材となっている。補強板Bの素材を金属板から木板に替えることにより、木材は金属板よりも比重が小さくより軽量化が図れるとともに、接合ネジを保持するには十分な硬度があり、十分な接合ネジ保持力が得られることとなる。
【0077】
第1の化粧板10c、中板30cの第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20cの各々の厚みと接合ネジの長さの関係については、金属ボードの場合も、実施例1で考察した木材ボードの場合と同様である。
【0078】
以上、本発明の組立ボードの構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の組立ボードは、組み立て木製家具や組み立てスチール家具など、一般需要者が組み立てる部材である組立ボードに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1に係る組立ボードの構成例を模式的に示す図
【図2】第1の化粧板10、中板30の第1層31、第2層32、第3層33、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジの長さの関係について示す図
【図3】対称形の構造において裏面から接合ネジ200を打ち込んだ場合の各層の厚みと接合ネジ200の長さの関係について示した図
【図4】実施例2の組立ボード100aの構成例を模式的に示す図
【図5】第1の化粧板10、中板30の第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第2の化粧板20の各々の厚みと接合ネジ200の長さの関係について示した図
【図6】対称形の構造において裏面から接合ネジ200を打ち込んだ場合の各層の厚みと接合ネジ200の長さの関係について示した図
【図7】対称形の構造においてねじ山が短い場合の各層の厚みと接合ネジ200の長さの関係について示した図
【図8】中板30の5層構造において中板30の中の第3層33のみに補強板Bが設けられた場合に接合ネジ200を打ち込んだ様子を示す図
【図9】実施例3に係る組立ボード100bの構成例を模式的に示す図
【図10】実施例3に係る組立ボード100cおよび組立ボード100dの構成例を模式的に示す図
【図11】従来の特開平07−032323号公報に記載された木材ボードを示す図
【図12】従来の特開平07−304134号公報に記載された木材ボードを示す図
【図13】従来の特開平09−256743号公報に記載された木材ボードを示す図
【符号の説明】
【0081】
10 第1の化粧板
20 第2の化粧板
30 中板
31 第1層
32 第2層
33 第3層
34 第4層
35 第5層
100 組立ボード
200 接合ネジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材となる中板と、前記中板の表面に接着する第1の化粧板と、前記中板の裏面に接着する第2の化粧板とを備えた組立ボードにおいて、
前記中板を多層化し、そのうち少なくとも一層は、前記中板の芯材の比重と硬度よりも大きな比重と硬度を持つ補強板を設け、前記補強板以外の層は、前記第1の化粧板の比重と硬度より小さな比重と硬度を持つ素材とし、全体の比重を軽量化しつつ打ち込まれた接合ネジの保持力を向上せしめた組立ボード。
【請求項2】
前記中板が表面側から第1層、第2層、第3層の3層構造を備え、前記補強板が前記第2層に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の組立ボード。
【請求項3】
前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめた請求項2に記載の組立ボード。
【請求項4】
前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際も、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置し、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んだ際も、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめた請求項2に記載の組立ボード。
【請求項5】
前記中板が表面側から第1層、第2層、第3層、第4層、第5層の5層構造を備え、前記補強板が前記第2層と前記第4層に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の組立ボード。
【請求項6】
前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んでも、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んでも、前記接合ネジのねじ山が前記第2層及び前記第4層に位置するような関係に調整せしめた請求項5に記載の組立ボード。
【請求項7】
前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第4層に位置し、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめた請求項5に記載の組立ボード。
【請求項8】
前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が木板であり、前記補強板が木材であり、軽量木質ボードとして提供する請求項1から7のいずれか1項に記載の組立ボード。
【請求項9】
前記中板の前記芯材が紙素材により形成された構造体であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が木板であり、前記補強板が木材であり、軽量木質ボードとして提供する請求項1から7のいずれか1項に記載の組立ボード。
【請求項10】
前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が金属板であり、軽量金属板ボードとして提供する請求項1から7のいずれか1項に記載の組立ボード。
【請求項11】
前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が木板であり、軽量金属板ボードとして提供する請求項1から7のいずれか1項に記載の組立ボード。
【請求項12】
前記中板の前記芯材が紙素材により形成された構造体であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が木材であり、軽量金属板ボードとして提供する請求項1から7のいずれか1項に記載の組立ボード。
【請求項1】
芯材となる中板と、前記中板の表面に接着する第1の化粧板と、前記中板の裏面に接着する第2の化粧板とを備えた組立ボードにおいて、
前記中板を多層化し、そのうち少なくとも一層は、前記中板の芯材の比重と硬度よりも大きな比重と硬度を持つ補強板を設け、前記補強板以外の層は、前記第1の化粧板の比重と硬度より小さな比重と硬度を持つ素材とし、全体の比重を軽量化しつつ打ち込まれた接合ネジの保持力を向上せしめた組立ボード。
【請求項2】
前記中板が表面側から第1層、第2層、第3層の3層構造を備え、前記補強板が前記第2層に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の組立ボード。
【請求項3】
前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめた請求項2に記載の組立ボード。
【請求項4】
前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際も、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置し、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んだ際も、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめた請求項2に記載の組立ボード。
【請求項5】
前記中板が表面側から第1層、第2層、第3層、第4層、第5層の5層構造を備え、前記補強板が前記第2層と前記第4層に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の組立ボード。
【請求項6】
前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んでも、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んでも、前記接合ネジのねじ山が前記第2層及び前記第4層に位置するような関係に調整せしめた請求項5に記載の組立ボード。
【請求項7】
前記第1の化粧板、前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層、前記第2の化粧板の各々の厚みと前記接合ネジの長さの関係を、前記接合ネジを表面の前記第1の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第4層に位置し、前記接合ネジを裏面の前記第2の化粧板側から打ち込んだ際、前記接合ネジのねじ山が前記第2層に位置するような関係に調整せしめた請求項5に記載の組立ボード。
【請求項8】
前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が木板であり、前記補強板が木材であり、軽量木質ボードとして提供する請求項1から7のいずれか1項に記載の組立ボード。
【請求項9】
前記中板の前記芯材が紙素材により形成された構造体であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が木板であり、前記補強板が木材であり、軽量木質ボードとして提供する請求項1から7のいずれか1項に記載の組立ボード。
【請求項10】
前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が金属板であり、軽量金属板ボードとして提供する請求項1から7のいずれか1項に記載の組立ボード。
【請求項11】
前記中板の前記芯材が発泡樹脂素材であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が木板であり、軽量金属板ボードとして提供する請求項1から7のいずれか1項に記載の組立ボード。
【請求項12】
前記中板の前記芯材が紙素材により形成された構造体であり、前記第1の化粧板および前記第2の化粧板が金属板であり、前記補強板が木材であり、軽量金属板ボードとして提供する請求項1から7のいずれか1項に記載の組立ボード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−131562(P2011−131562A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295637(P2009−295637)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(509317243)株式会社シカタ (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(509317243)株式会社シカタ (3)
【Fターム(参考)】
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