説明

もち米抽出物と茶抽出物を含む透明な液体形態の抗消化性潰瘍組成物

本発明は、もち米抽出物と茶抽出物を活性成分として含み、前記抽出物が組成物に溶解した状態で存在することを特徴とする透明な液体形態の抗消化性潰瘍組成物に関するものである。
本発明の生成物は、従来技術の類似する生成物に比べて卓越した抗潰瘍活性だけでなく、改善された安定性を表わす。よって、本発明は安全且つ飲みやすいだけでなく、安定した、もち米を利用した抗消化性潰瘍ドリンクを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、もち米抽出物と茶抽出物を活性成分として含み、前記抽出物が組成物に溶解した状態で存在することを特徴とする透明な液体形態の抗消化性潰瘍組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消化性潰瘍に対する薬物治療の主目的は、痛みを解消し、潰瘍自体を治癒すること、且つ潰瘍の再発と合併症を予防することにある。このような目的のために、制酸剤、H2−受容体拮抗剤、水素イオンポンプ抑制剤、及び抗ヘリコバクターピロリ剤を含む様々な種類の薬剤が通常使用されている。しかし、これら薬剤の長期的且つ定期的な服用は、様々な副作用を起こし得るため、注意を要している。
【0003】
一方、本発明者等は、もち米水抽出物が、胃潰瘍発病の抑制だけでなく発病した消化性潰瘍の治癒に卓越した効果を表わすことを見出した。前記抽出物は、非常に安全且つ低価で、容易に製造できることから、有用な抗潰瘍食品または薬剤であり得る。そのため、本発明者等は、もち米抽出物を含む抗潰瘍組成物に関する韓国特許を獲得している(アン等による、韓国特許第0208969号および第0253740号)。しかし、前記特許に開示されている組成物は、懸濁液の形態であり、これらはいくつかの問題点、例えば飲用時に異物感を感じ、組成物の沈殿を防ぐために乳化剤を添加しなければならないという問題点がある。
【0004】
本発明者等は、このような問題点を解決するために研究を重ねた結果、もち米抽出物あるいはもち米抽出物と水参(fresh ginseng)抽出物を含み、適当な温度での加熱とろ過によって製造される透明な液体形態の組成物が、前記もち米抽出物懸濁液の抗潰瘍活性の大部分をそのまま維持することを見出した(アン等による、韓国特許出願第2001-65891号および第2004-47946号)。
【0005】
しかし、前記組成物は非常に安定してはおらず、その抗潰瘍活性は保管時に相当な速度で減少した。よって、もち米抽出物を活性成分として含み、改善された安定性を有する、新規な透明液体抗潰瘍組成物の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等は、前記のような問題点を解決するために研究を重ねた結果、もち米抽出物と茶抽出物を含み、加熱処理とろ過によって製造される透明な液体組成物が従来技術の類似する生成物に比べて抗潰瘍活性が相当改善された安定性を表わすことを見出した。
【0007】
本発明の目的は、安全且つ飲みやすいと共に、安定した、もち米を利用した抗消化性潰瘍ドリンクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、もち米抽出物と茶抽出物を活性成分として含み、前記抽出物が組成物に溶解し状態で存在することを特徴とする透明な液体形態の抗消化性潰瘍組成物に関するものである。
【0009】
本発明で使用されるもち米抽出物は、アン等による韓国特許第0208969号および第0253740号;及び韓国特許出願第2004-47946号に記述されている方法に従って製造できる。例えば、渦流混合器を利用してもち米粉末を水で振とうした後、混合液を遠心分離して生成した上層液を使用できる。また、前記上層液を沈殿が起こるまで室温で12〜24時間保管し、沈殿物の懸濁液をまた、もち米抽出物として使用できる。
【0010】
本発明で使用する茶は、緑茶、紅茶、又は烏龍茶である。茶抽出物を得るために、茶を50〜200倍 体積(w/v)の沸騰水で5〜30分間加熱してろ過する。このろ過物をそのまま又は冷凍乾燥して、茶抽出物として使用できる。
【0011】
本発明の組成物は、次の段階によって製造できる:a)もち米抽出物と茶抽出物を含む混合物を加熱して抗潰瘍活性成分を溶解させ、b)ろ過して透明溶液を収得する。前記もち米抽出物は、もち米抽出物1ml当り0.1〜5mgの濃度(好ましくは0.4〜1.6mg/ml)でタンパク質を含有する。また、前記茶抽出物は組成物内で0.25〜10mg/ml(好ましくは1〜4mg/ml)の濃度で含有する。製造工程中、加熱が30℃より低温で行われる場合は活性成分の溶解が徐々に起こり、60℃より高温で行われる場合は抗潰瘍活性が不活性化する。そのため、50〜55℃での加熱が勧められている。加熱時間は、加熱温度によって0.5〜48時間を必要とする。例えば、50〜55℃で、適当な加熱時間は3〜12時間である。
【0012】
最後に、本発明の組成物は、最終組成物を基準に0.03〜4.5mg/mlの濃度でもち米抽出物のタンパク質を含有できる。
本発明の生成物の抗消化性潰瘍活性は、高温で消失するため、高温滅菌よりは微細ろ過法(microfiltration)による滅菌工程を行うことが好ましい。
【0013】
前記生成物の人体を対象とする適当な単一投与量は、製造方法によって20〜500mlの範囲であり得、一日に10回まで服用できる。成人の場合は、1回当り100〜300mlの容量で一日に3〜6回服用することが好ましい。
【0014】
前記生成物は、甘味料、香料およびその他の水溶性食品および添加物を加えることができる。
【発明の効果】
【0015】
もち米抽出物と茶抽出物を含む本発明の生成物は、従来技術の類似する生成物に比べて卓越した抗潰瘍活性だけでなく、抗潰瘍活性の改善された安定性を表わす。よって、本発明は、安定性、活用性および経済性の面で利点を有する、もち米を利用した抗消化性潰瘍ドリンクを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】保管時間に伴う3種の相異する透明液体組成物の抗消化性潰瘍活性の変化を表わし、ここで(1)は水対照群;(2)はもち米抽出物だけを含む透明液体組成物;(3)はもち米抽出物と水参抽出物を含む透明液体組成物;そして(4)はもち米抽出物と茶抽出物を含む透明液体組成物である。前記組成物は4℃で0〜48週間保管された。
【図2】もち米抽出物と緑茶抽出物で製造した透明液体組成物において、もち米抽出物の濃度に伴う抗消化性潰瘍活性の違いを表わし、ここで(1)は水対照群;そして(2)〜(6)はそれぞれもち米抽出物1ml当りタンパク質0.1、0.2、0.4、0.8及び1.6mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に2mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物である。
【図3】もち米抽出物と緑茶抽出物で製造した透明液体組成物において、緑茶抽出物の濃度に伴う抗消化性潰瘍活性の違いを表わし、ここで(1)は水対照群;そして(2)〜(6)はもち米抽出物(もち米抽出物1ml当りタンパク質1mg含有)と組成物を基準にそれぞれ0.25、0.5、1.0、2.0及び4.0mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の様々な面を記述すると共に、次の実施例は本発明の特定様態を例示するために提供する。しかし、これらは如何なる方式でも制限するためのものではない。
実施例1:もち米抽出物の製造
もち米粉末100gを蒸留水400mlと混合し、30秒間3回に亘り渦流混合器で振とうした。振とう後、混合物を10分間3,000×gで遠心分離して上層液をもち米抽出物として使用した。前記もち米抽出物のタンパク質濃度は、米国Pierce社のBCA kitで測定した結果、1.65mg/mlであった。
【0018】
実施例2:茶抽出物の製造
緑茶(韓国 アモレパシフィック社製)、紅茶(英国 Lipton社製)、及び烏龍茶(中国 福建烏龍茶)をそれぞれ10gずつ沸騰させた蒸留水1Lで10分間加熱し、ろ過した。このろ過物を冷凍乾燥させて緑茶抽出粉末約2.3g、紅茶抽出粉末約2.1g、及び烏龍茶抽出粉末約2.0gを収得した。
【0019】
実施例3:もち米抽出物と緑茶抽出物を含む透明な液体形態の抗消化性潰瘍組成物の製造
実施例1で製造したもち米抽出物を蒸留水で希釈してタンパク質濃度が1mg/mlになるようにした。ここに実施例2で製造した緑茶抽出物を2mg/mlになるように添加した後、ゆっくり揺らしながら55℃で12時間加熱した。加熱後、混合物をろ過して透明な液体組成物を収得した。
【0020】
実施例4:もち米抽出物と紅茶抽出物を含む透明な液体形態の抗消化性潰瘍組成物の製造
実施例1で製造したもち米抽出物を蒸留水で希釈してタンパク質濃度が1mg/mlになるようにした。ここに実施例2で製造した紅茶抽出物を2mg/mlになるように添加した後、ゆっくり揺らしながら55℃で12時間加熱した。加熱後、混合物をろ過して透明な液体組成物を収得した。
【0021】
実施例5:もち米抽出物と烏龍茶抽出物を含む透明な液体形態の抗消化性潰瘍組成物の製造
実施例1で製造したもち米抽出物を蒸留水で希釈してタンパク質濃度が1mg/mlになるようにした。ここに実施例2で製造した烏龍茶抽出物を2mg/mlになるように添加した後、ゆっくり揺らしながら55℃で12時間加熱した。加熱後、混合物をろ過して透明な液体組成物を収得した。
【0022】
実施例6:透明な液体形態の抗消化性潰瘍組成物の滅菌
実施例3、4、及び5で製造した組成物を空隙のサイズが0.22μmの微細ろ過膜(microfiltration membrane)を利用して滅菌した。
【0023】
比較例1:水参抽出物の製造
水参40gを蒸留水265mlと混合し、渦流混合器を利用して30秒間3回振とうした。生成された懸濁液を水参抽出物として使用した。
【0024】
比較例2:もち米抽出物と水参抽出物を含む透明液体組成物の製造
本比較例は、韓国特許出願第2001-65891号(アン等、2001)に記述されている方法に従って行った。すなわち、実施例1で製造したもち米抽出物を蒸留水で希釈してタンパク質濃度が1.5mg/mlになるようにした。希釈されたもち米抽出物と比較例1で製造した水参抽出物を2:1(v/v)の比率で混合し、混合物をゆっくり揺らしながら55℃で12時間加熱した。加熱後、混合物をろ過して透明液体組成物を収得した。
【0025】
比較例3:もち米抽出物を含む透明液体組成物の製造
本比較例は、韓国特許出願第2004-47946号(アン等、2001)に記述されている方法に従って行った。すなわち、実施例1で製造したもち米抽出物を蒸留水で希釈してタンパク質濃度が1mg/mlになるようにし、これを沈殿が起こるまで室温で12時間保管した。沈殿物を懸濁し、ゆっくり揺らしながら55℃で12時間加熱し、ろ過して透明液体組成物を収得した。
【0026】
比較例4:比較例の透明液体組成物の滅菌
比較例2及び3で製造した組成物を空隙のサイズが0.22μmの微細ろ過膜(microfiltration membrane)を利用して滅菌した。
【0027】
実験例1:長期保管時の本発明の組成物と比較組成物における抗潰瘍活性の安定性の違い
(1) 抗消化性潰瘍活性の測定方法
本測定方法は、Yamasaki等(Eur. J. Pharmacol. 142, 23-29, 1987)が記述した方法に従いこれを若干変形させて行った。すなわち、体重250±20gのスプラーグドーリー(Sprague-Dawley)ラットを実験前24時間絶食させた。純粋エタノール1mlをラットに経口投与し胃粘膜の損傷を誘発させた。エタノール投与30分前に抗消化性潰瘍組成物をラット当り1mlずつ経口投与した。対照群に同量の蒸留水を投与した。エタノール投与後、1.5時間にラットをエーテル麻酔下で開腹して胃を切り取った。切り取った胃に1%ホルマリン10mlを注入した後、30分間固定した。固定後、胃を大湾曲に沿って切開し、胃の内部表面をデジタルカメラで撮影した。次に、胃粘膜の損傷部位の面積を写真上でplanimetry法によって測定し、胃粘膜の全体面積に対する損傷した面積の百分率である胃粘膜指数で表示した。実験組成物の胃潰瘍抑制率(%)は[(対照群の胃潰瘍指数−試験群の胃潰瘍指数)/対照群の胃潰瘍指数]×100の式で算出した。
全てのデータは、平均±標準偏差で表現し、one-way偏差(ANOVA)とScheffe's testで分析した。
【0028】
(2) 保管期間に伴う相異する抗消化性潰瘍組成物の活性の変化
次の組成物は、実施例3及び6と比較例2〜4で記述した通りに製造した。
【0029】
1:蒸留水対照群
2:もち米抽出物だけを含む透明液体組成物(GRCOM-O)
3:もち米抽出物と水参抽出物を含む透明液体組成物(GRCOM-GI)
4:もち米抽出物と緑茶抽出物を含む透明液体組成物(GRCOM-GT)
前記組成物を4℃で保管した。そして、0、4、24、48週後、前記組成物の一部を取り出して実験例1(1)に記述した方法に従ってそれらの抗潰瘍活性を測定した。結果は図1に示す。各実験群はラット8匹からなり、測定値は平均±標準偏差で表示した。
【0030】
**p<0.01:対照群と差の有意性
p<0.05, ††p<0.01:GRCOM-O群と差の有意性
§p<0.05:GRCOM-GI群と差の有意性
図1に示された通り、GRCOM-GT、GRCOM-GI、及びGRCOM-O全てにおいて、4℃での保管期間に伴って抗潰瘍活性が減少した。しかし、減少率は3種の組成物間でかなり相異した。GRCOM-GTは全体保管期間中、GRCOM-Oより高い抗潰瘍活性を示した。また、GRCOM-GIに比べて、GRCOM-GTは24及び48週で著しく高い活性を示した。
【0031】
表1は、相異する透明液体組成物の抗潰瘍活性の保管期間に伴う減少を胃潰瘍形成の抑制百分率形態で表わしたものである。
【0032】
【表1】

【0033】
GRCOM-O:もち米抽出物だけを含む透明液体組成物(比較例3及び4で記述した通りに製造)
GRCOM-GI:もち米抽出物と水参抽出物を含む透明液体組成物(比較例2及び4で記述した通りに製造)
GRCOM-GT:もち米抽出物と緑茶抽出物を含む透明液体組成物(実施例3及び6で記述した通りに製造)
GRCOM-BT:もち米抽出物と紅茶抽出物を含む透明液体組成物(実施例4及び6で記述した通りに製造)
GRCOM-OT:もち米抽出物と烏龍茶抽出物を含む透明液体組成物(実施例5及び6で記述した通りに製造)
*括弧内の値は各実験群で0週値を100としたときの相対値
【0034】
保管0週におけるGRCOM-Oの抗潰瘍活性は実験された他の組成物より低く、さらに保管時に極激に減少する活性は、4、24及び48週でそれぞれ初期数値に対し54.2、29.4及び22.2%を表わした。一方、本発明の生成物であるGRCOM-GTの抗潰瘍活性は最も安定し、4、24及び48週でそれぞれ初期数値の95.9、87.3及び77.3%を表わした。GRCOM-GIの抗潰瘍活性の安定性は、GRCOM-GTとGRCOMの中間だった。前記活性は4、24及び48週でそれぞれ91.9、64.7及び53.3%に減少した。
また、もち米抽出物と烏龍茶抽出物を含む透明液体形態の抗消化性潰瘍組成物(GRCOM-OT)だけでなく、もち米抽出物と紅茶抽出物を含む透明液体形態の抗消化性潰瘍組成物(GRCOM-BT)も抗潰瘍活性の安定性でGRCOM-GTと類似する結果を表わした。
【0035】
前記の結果は、もち米抽出物と茶抽出物を含む本発明の生成物が、もち米抽出物だけを含むか、又はもち米抽出物と水参抽出物を含む従来技術の生成物よりも遥かに優れた抗潰瘍活性の安定性を有するものであることを表わしている。
【0036】
実験例2:もち米抽出物と茶抽出物を含む透明な液体形態の抗潰瘍組成物の製造のための適正条件の測定方法
(1) もち米抽出物の濃度
実施例1で製造したもち米抽出物をタンパク質濃度が0.1、0.2、0.4、0.8及び1.6mg/mlになるように蒸留水で希釈した。ここに実施例2で製造した緑茶抽出物を2mg/mlになるように添加した。次に、混合物をゆっくり揺らしながら55℃で12時間加熱した。加熱後、混合物をろ過して下記のような透明な液体組成物を収得した。
【0037】
1:蒸留水対照群
2:もち米抽出物1ml当りタンパク質0.1mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に2mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物
3:もち米抽出物1ml当りタンパク質0.2mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に2mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物
4:もち米抽出物1ml当りタンパク質0.4mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に2mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物
5:もち米抽出物1ml当りタンパク質0.8mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に2mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物
6:もち米抽出物1ml当りタンパク質1.6mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に2mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物
【0038】
前記組成物の抗潰瘍活性を実験例1(1)に記述された方法に従って測定し、結果は図2に表わす。各実験群は、6匹のラットからなり、測定値は平均±標準偏差で表わした。
**p<0.01:対照群と差の有意性
図2に示された通り、もち米抽出物のタンパク質濃度が高くなるにつれ、実験組成物の抗潰瘍活性が増加した。〜0.2mg/mlのタンパク質濃度で、組成物は著しい抗潰瘍効果を表わし始め、タンパク質濃度が約0.8mg/mlに増加したとき、前記効果は最大値に達した。
【0039】
(2) 緑茶抽出物の濃度
実施例1で製造したもち米抽出物を、蒸留水で希釈してタンパク質濃度が1mg/mlになるようにした。ここに実施例2で製造した緑茶抽出物を0.25、0.5、1.0、2.0及び4mg/mlになるように添加した。次に、混合物をゆっくり揺らしながら55℃で12時間加熱した。加熱後、混合物をろ過して下記のような透明な液体組成物を収得した。
【0040】
1:蒸留水対照群
2:もち米抽出物1ml当りタンパク質1mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に0.25mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物
3:もち米抽出物1ml当りタンパク質1mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に0.5mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物
4:もち米抽出物1ml当りタンパク質1mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に1.0mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物
5:もち米抽出物1ml当りタンパク質1mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に2.0mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物
6:もち米抽出物1ml当りタンパク質1mgを含有するもち米抽出物と組成物を基準に4.0mg/mlの緑茶抽出物で製造した組成物
【0041】
前記組成物の抗潰瘍活性は、実験例1(1)で記述された方法に従って測定し、結果は図3に表わす。各実験群は6匹のラットからなり、測定値は平均±標準偏差で表わした。
**p<0.01:対照群と差の有意性
図3に示された通り、緑茶抽出物の濃度が高くなるにつれ、実験組成物の抗潰瘍活性は増加した。〜0.5mg/mlの濃度で、組成物は著しい抗潰瘍効果を表し始め、濃度が約2mg/mlに増加すると、前記効果は最大値に達した。
【0042】
(3) 加熱温度
実施例1で製造したもち米抽出物を蒸留水で希釈してタンパク濃度が1mg/mlになるようにした。ここに実施例2で製造した緑茶抽出物を2mg/mlになるように添加した。次に、混合物を30〜65℃で12時間加熱し、ろ過して透明な液体組成物(GRCOM-GT)を収得した。
【0043】
前記透明液体組成物の抗潰瘍活性を実験例1(1)に記述された方法に従って測定し、結果は表2に表わす。
表2に表わされたように、加熱温度が30〜55℃から上昇するに従い、GRCOM-GTの抗潰瘍活性は増加した。しかし、前記温度が55℃を超過するにつれ抗潰瘍活性は急速に減少し、65℃で全て消失した。
【0044】
【表2】

【0045】
a GRCOM-GT:もち米抽出物(タンパク質濃度、1mg/ml)と緑茶抽出物(2mg/ml)で製造した透明液体形態である抗潰瘍組成物
b 表示した値は、平均±標準偏差である(N=6)
* p<0.05, ** p<0.01:対照群と差の有意性
【0046】
(4) 加熱時間
実施例1で製造したもち米抽出物を蒸留水で希釈し、タンパク質濃度が1mg/mlになるようにした。ここに、実施例2で製造した緑茶抽出物を2mg/mlになるように添加した。次に、混合物を55℃で0.5〜48時間加熱し、ろ過して透明な液体組成物(GRCOM-GT)を収得した。
前記透明液体組成物の抗潰瘍活性は、実験例1(1)に記述された方法に従って測定し、結果は表3に表わす。
図3に示された通り、加熱時間に伴いGRCOM-GTの抗潰瘍活性が増加し、約5〜12時間で最大値に達した。
【0047】
【表3】

【0048】
a GRCOM-GT:もち米抽出物(タンパク質濃度、1mg/ml)と緑茶抽出物(2mg/ml)で製造した透明液体形態の抗潰瘍組成物
b 表示した値は、平均±標準偏差である(N=6)
* p<0.05, ** p<0.01:対照群と差の有意性
【0049】
実験例3:透明液体形態の抗潰瘍組成物の滅菌の確認
微細ろ過法による滅菌効果を確認するために、実施例6及び比較例4で収得した透明液体組成物の一部を室温で保管し、6ヶ月間組成物内で如何なる微生物も検出されなかった。
実験例4:透明液体形態の抗潰瘍組成物の副作用実験
実施例3、4及び5でのように製造したそれぞれの組成物を正常の志願者1名に1日1回200mlずつ10週間服用させた。結果的に、如何なる副作用も観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
もち米抽出物と茶抽出物を活性成分として含み、前記抽出物が組成物に溶解した状態で存在することを特徴とする透明液体形態の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項2】
前記もち米抽出物がもち米抽出物1ml当り0.1〜5mgの濃度でタンパク質を含有する、請求項1に記載の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項3】
もち米抽出物のタンパク質が組成物を基準に0.03〜4.5mg/mlの濃度で組成物に含有される、請求項2に記載の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項4】
前記茶抽出物が組成物を基準に0.25〜10mg/mlの濃度で組成物に含有される、請求項1に記載の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項5】
a)もち米抽出物と茶抽出物の混合物を30〜60℃で0.5〜48時間加熱し、b)混合物をろ過する段階を含む方法によって製造される、請求項1に記載の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項6】
前記方法が、c)組成物を微細ろ過法によって滅菌する段階をさらに含む、請求項5に記載の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項7】
前記もち米抽出物が、a)もち米粉末を2〜10倍 体積(w/v)の水で振とうし、b)混合物を遠心分離して上層液を収得する段階を含む方法によって製造される、請求項1に記載の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項8】
前記方法が、c)前記上層液を沈殿が起こるまで室温で12〜24時間保管する段階をさらに含む、請求項7に記載の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項9】
前記茶抽出物が、a)茶を50〜200倍 体積(w/v)の沸騰水で5〜30分間抽出し、b)ろ過して、c)ろ過物を冷凍乾燥する段階を含む方法によって製造される、請求項1に記載の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項10】
前記茶抽出物が緑茶抽出物、紅茶抽出物及び烏龍茶抽出物からなる群から選ばれる、請求項1または9に記載の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項11】
甘味料、香料及びその他の水溶性食品及び添加物を更に含む、請求項1に記載の抗消化性潰瘍組成物。
【請求項12】
経口投与用形態に剤形化された、請求項1に記載の抗消化性潰瘍組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−522746(P2010−522746A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500831(P2010−500831)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/KR2008/001732
【国際公開番号】WO2008/117996
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(509268875)
【出願人】(308026861)インダストリー ファウンデーション オブ チョンナム ナショナル ユニバーシティー (9)
【Fターム(参考)】