説明

もみ殻灰を用いた合成粘土及び粘土膜の製造方法

【課題】もみ殻の有効利用の一環として、焼成したもみ殻灰を用いて、付加価値の高い合成スチーブンサイトを製造する方法及びその合成スチーブンサイトから得られる、透明度等に優れた粘土膜を提供する。
【解決手段】もみ殻灰に、マグネシウム化合物水溶液を混合し、アルカリを加えて、pHを13.0前後として、24時間以上熟成する第1の工程と、前記混合物を100〜300℃の温度で水熱反応を行い、乾燥して合成粘土を得る第2の工程と、前記合成粘土を洗浄後、上澄み液を乾燥し、水分を除去して精製した合成粘土を得る第3の工程と、前記精製した合成粘土の層間イオンを、リチウム(Li)イオンに交換する第4の工程とからなる合成スチーブンサイトの製造方法、及び前記合成粘土を、フィルム状に成形し、合成粘土膜を得て、加熱処理する工程とからなる粘土膜。
【効果】もみ殻灰から合成された合成スチーブンサイトを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、もみ殻灰を用いた粘土合成に関するものであり、更に詳しくは、もみ殻灰に含まれるシリカ(SiO)原料から合成粘土としての合成スチーブンサイトを製造する方法、及び当該合成スチーブンサイトから粘土膜を製造する方法及びその粘土膜製品に関するものである。本発明は、焼成したもみ殻灰から合成粘土スチーブンサイトを作製し、当該合成粘土スチーブンサイトからなる透明性等の優れた性質を有する自立粘土膜及びコーティング粘土膜等の粘土膜製品に関する新技術・新製品を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
米は、主食として、アジアを中心に、大量に栽培され、消費されているが、副生物として生じるもみ殻は、焼成し、肥料として、農業分野に一部が還元されているのみで、工業的な価値はないものとして、大部分が廃棄されてきた。もみ殻には、乾燥状態で、シリカを20%以上含有し、焼成したもみ殻灰では、90%以上のシリカを含有し、高純度なシリカが内在することが知られている。
【0003】
しかし、もみ殻は、セルロースが、シリカ成分をとり囲んでいるいために、化学処理が難しいこと、また、嵩比重の小さいもみ殻は、運搬コストがかかることもあって、もみ殻を、シリカ原料として利用する研究はされているものの、工業的に十分利用されるまでには至っていない。
【0004】
もみ殻からシリカを分離する方法は、いくつか提案されている。先行技術文献では、例えば、もみ殻粉末を、150〜450℃の加圧熱水で、30秒間処理し、反応温度及び反応時間を制御することにより、生成するシリカ原料中のシリカ成分と、有機質分の含有割合を調整して、灰分中の全金属成分量に基づくケイ素(Si)濃度は、96.5〜99.5質量%という高純度シリカを含む灰分を得ている(特許文献1)。
【0005】
また、他の先行技術文献では、もみ殻を酢酸含有溶液に浸漬して、もみ殻に含まれるアルカリ成分を浸出し、アルカリ成分を浸出したもみ殻を、洗浄、乾燥し、この乾燥もみ殻を熱分解して炭化させて、もみ殻炭を形成し、得られたもみ殻炭を焼成して、高純度の非晶質シリカを製造することを開示している(特許文献2)。
【0006】
また、もみ殻灰そのものを利用する提案も多くされており、先行技術文献では、例えば、もみ殻を、約600〜1000℃で焼成することにより、非晶質シリカに富んだもみ殻灰ができ、これを、コンクリート用混和材料として利用する試みがなされている(非特許文献1)。また、もみ殻灰を、セメントに配合する提案もあり、他の先行技術文献では、例えば、もみ殻灰と、可溶性アルカリ土類金属塩を配合したセメント組成物を開示している(特許文献3)。
【0007】
また、他の先行技術文献では、もみ殻のセルロースを炭化させ、アルカリ溶液でケイ素を溶脱し、活性炭として利用する方法、アルカリ水溶液を溶媒に用いた水熱処理により、焼成処理をせずに、セルロースの分解と同時に、ケイ素を除去する方法、もみ殻を還元雰囲気で焼成し、炭化ケイ素(SiC)を得る方法、等が提案されている。
【0008】
また、他の先行技術文献には、もみ殻灰を用いて、ゼオライトを合成する方法が開示されている(特許文献4)。この方法は、もみ殻灰を水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ性水溶液と反応させて得られる、ケイ素含有アルカリ性溶液を、シリカ源として用い、密閉容器中で、温度80〜200℃、自己発生圧力下、加熱撹拌することによって、水熱合成反応を起こさせるものである。
【0009】
また、他の先行技術文献では、石炭灰ともみ殻の完全燃焼灰又は不完全燃焼灰をNaOH水溶液中で水熱反応させて、ゼオライトを製造することを提案している(特許文献5)。また、他の先行技術文献では、もみ殻灰と塩化マグネシウム(MgCl)を混合し、それに、塩化リチウム(LiCl)を、モル比でSi:Mg:Li=8:5.3:0.66として、この混合物のアルカリ水溶液を、反応温度200℃、反応時間4日間の水熱反応を行い、Mgスメクタイトの合成を行っている(非特許文献2)。更に、他の先行技術文献には、もみ殻灰からイモゴライト、ゼオライトの合成について報告されている(非特許文献3)。
【0010】
しかしながら、もみ殻灰を利用したスチーブンサイトの合成は、未だ報告されていない。粘土鉱物の合成方法は、様々な方法が提案されている。粘土鉱物は、構造中にOHイオンを持つために、水熱反応による合成が一般的である。代表的な粘土鉱物のスメクタイトをはじめ、カオリナイト、マイカ、混合層鉱物(例えば、イライト/スメクタイト)アロフェン、イモゴライト、ゼオライト等々の合成方法が報告されている。
【0011】
特に、スメクタイトに属するヘクトライトは、Laporte社が、世界に先駆けて、合成ヘクトライトの工業化に成功している。基本的には、MgCl,NaSiO,LiF,NaCOもしくはNaOHからなる溶液を、水熱処理して、ヘクトライトを合成する(非特許文献4)。しかし、合成スチーブンサイトの実用化は、未だなされていないのが実情である。
【0012】
近年、ポリマー粘土ナノコンポジットの耐熱性、ガスバリア性を超える性能を有する粘土膜が開発されている(例えば、特許文献6、7)。このうち、特許文献6には、粘土膜の全固形分に対して、粘土を90〜100重量%含有し、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、350℃以上の高温においても柔軟性に優れ、高い耐熱性(最大600℃)とガスバリア性(ガス透過係数:3.2×10−11cm−1cmHg−1未満)を達成する粘土膜が開示されている。
【0013】
また、特許文献7には、粘土の含有率が70重量%以上で高いガスバリア性(ガス透過係数:3.2×10−11cm−1cmHg−1未満)を有し、200℃以上の温度においても化学的に安定で、透明性を有し(全透過率80%以上)、柔軟な粘土膜が開示されている。
【0014】
前述の粘土を主成分とする膜は、粘土として、スメクタイトを使用している。スメクタイトは、水中で膨潤して、均一な粘土分散液となり、この分散液を、基材に塗布し、乾燥することによって、粘土粒子が配向した均一に積層した膜になることが知られている。上記スメクタイトの粘土膜は、成膜性に優れ、粘土を多く含有する場合でも、粘土膜の形成が可能である。
【0015】
水等の分散媒に対するスメクタイトの膨潤性は、粘土膜形成に重要な性質である。しかし、水等への高い分散性及び膨潤性は、形成した粘土膜の耐水性を低下させる原因となる。そのために、粘土膜中のスメクタイトの含有量が増加すると、粘土膜の水蒸気バリア性は低下し、水中で、再び分散してしまう問題がある。
【0016】
粘土膜の耐水性を上げる方法の一つとして、変性粘土を用いた粘土膜が報告されている。(特許文献8)。この変性粘土は、有機カチオンを、30重量%未満含有し、粘土の交換性イオンの少なくとも50mol%以上が、Liイオンである。変性粘土を用いた粘土膜は、加熱処理をすることによって、層間のリチウムが、粘土結晶の八面体層に移動し、層間のイオン成分が減少することにより、耐水性が向上する。
【0017】
上記のようなLiイオンの粘土結晶の八面体層内への移動による耐水性の向上は、電荷の主な発生源が八面体層であり、例えば、モンモリロナイトのような八面体層に空隙がある2八面体層に特有な挙動であると報告されている(非特許文献2,3)。しかし、2八面体粘土は、合成が難しく、工業化されておらず、工業用途には、主に、天然の粘土が使用されている。天然の粘土には、不純物の混入が避けられず、透明な粘土ゲル又は粘土膜を得ることが難しいという問題がある。
【0018】
3八面体粘土は、2八面体粘土に比べて、合成温度が比較的低い等、コスト的に有利であり、工業的にも合成され、市販されている。そこで、3八面体においても、2八面体粘土と同様な原理で、耐水性の向上が得られれば、透明で、耐水性のある粘土ゲル又は粘土膜の作製が可能となると考えられる。3八面体粘土の一つであるスチーブンサイトは、八面体層のMgの一部が欠損した構造である。したがって、電荷の発生源が、八面体層であり、八面体層に空隙があるために、2八面体粘土で報告されているような原理から、耐水性の向上が期待される。
【0019】
スメクタイトが、水等によって膨潤する現象は、粘土層間の交換性陽イオン(Naイオン,Caイオン,Mgイオン等)分子が、次々と水和するために、結晶の底面同士の間隔が増加して、膨潤することによる。膨潤の程度は、層間イオンの種類によって異なるが、特に、Naイオンは、水和力が強く、層間に水が入りやすく、水に対して、ほぼ無限膨潤を起こす。NaイオンとLiイオンを交換し、加熱処理した変性粘土は、層間に、交換性陽イオンが少なくなり、耐水性は、大きく改善されると想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2002−265257号公報
【特許文献2】特開2008−214158号公報
【特許文献3】特開2001−294471号公報
【特許文献4】特公平6−76207号公報
【特許文献5】特開2002−356322号公報
【特許文献6】特開2006−77237号公報
【特許文献7】特開2007−63118号公報
【特許文献8】特開2007−277078号公報
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】三重大学生物資源紀要,22:63−69)
【非特許文献2】粘土科学討論会講演要旨集,34(1990)P34−35
【非特許文献3】粘土科学討論会講演要旨集,46(2002)P172−173
【非特許文献4】粘土ハンドブック,日本粘土学会編,第3版p200
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、これまで実用化されていない合成スチーブンサイトに着目し、新しい合成スチーブンサイトの合成技術を確立することを目標として鋭意研究を重ねる中で、高純度のシリカが内在するもみ殻灰を原料として利用することで、そして、実験を繰返し、鋭意検討した結果、もみ殻灰から合成スメクタイトを製造する方法と、透明度が高く、ガスバリア性、耐水性に優れた粘土膜と、その製造方法を見出し、極めて性質の優れた合成スチーブンサイトを製造することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0023】
本発明は、上述のような背景を鑑みて、国内外で大量に生産される米のもみ殻の有効利用の一環として、焼成したもみ殻灰を用いて、付加価値の高いスメクタイト系粘土、すなわち合成スチーブンサイトを製造する方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、当該合成スチーブンサイトを使って、透明度が高く、ガスバリア性及び耐水性に優れた粘土膜を製造し、提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)もみ殻灰から合成粘土を製造する方法であって、合成粘土が、合成スチーブンサイトであり、以下の工程;
1)もみ殻灰と、マグネシウム化合物水溶液を混合し、得られた混合物に、アルカリを加えて、pHを13.0前後として、24時間以上熟成する第1の工程と、
2)前記混合物を、100〜300℃の温度で水熱反応を行い、合成粘土ゲルを作製し、乾燥して、合成粘土を得る第2の工程と、
3)前記合成粘土を、洗浄後、合成粘土の分散液を作製し、分散性に優れた合成粘土を含む上澄み液と、沈殿物を分別し、上澄み液を乾燥し、水分を除去して、精製した合成粘土を得る第3の工程と、からなる(A)工程から構成されるか、あるいは、前記第1〜3の工程と、更に、
4)前記精製した合成粘土の層間イオンを、リチウム(Li)イオンに交換する第4の工程と、からなる(B)工程から構成されることを特徴とする合成粘土の製造方法。
(2)合成スチーブンサイトが、リチウム(Li)型合成スチーブンサイトである、前記(1)に記載の合成粘土の製造方法。
(3)前記第1の工程において、熟成した混合物に、更にアルカリを加えて、pH12.8〜13.5に再調整する、前記(1)に記載の合成粘土の製造方法。
(4)前記第2の工程において、合成粘土ゲルを、温度60〜110℃で、乾燥する、前記(1)に記載の合成粘土の製造方法。
(5)前記第4の工程において、カラム法によって、合成粘土の層間イオンを、リチウム(Li)イオンに交換する、前記(1)に記載の合成粘土の製造方法。
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載の方法で合成した合成粘土から、透明度が高く、ガスバリア性及び耐水性に優れた粘土膜を製造する方法であって、前記合成粘土を、フィルム状に成形し、合成粘土膜を得て、これを加熱処理する工程からなることを特徴とする粘土膜の製造方法。
(7)得られる粘土膜の透明度が高く、厚さ50μmあたりの全光線透過率が、85%以上である、前記(6)に記載の粘土膜の製造方法。
(8)厚さ0.7μmの粘土膜を、厚さ85μmのPETフィルムにコーティングした多層膜の酸素ガス透過度が、0.9cc/m・day以下である、前記(6)に記載の粘土膜の製造方法。
(9)前記(6)に記載の方法により製造した高透明性の粘土膜であって、透明度が高く、厚さ50μmあたりの全光線透過率が、85%以上であり、厚さ0.7μmの粘土膜を、厚さ85μmのPETフィルムにコーティングした多層膜の酸素ガス透過度が、0.9cc/m・day以下であり、透明性に優れていることを特徴とする粘土膜。
【0025】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
スメクタイト系の粘土鉱物は、2八面体型と3八面体型に分類される。前者には、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等が含まれ、後者には、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト等が含まれる。本発明の合成粘土は、スチーブンサイトであり、化学組成を表す一般式は、次のように表わされる(粘土ハンドブック 日本粘土学会編 第3版p66)。
式:M0.33/2(Mg2.67)Si10(OH)・nHO (M:Na,K)
【0026】
金属イオンは、Mg、Siと、層間の交換性陽イオン(M)からなる。構造は、Siを有する一対の四面体層が頂点を向い合せに配置し、この一対の四面体層に挟まれるように、Mgを有する八面体層が位置し、層間に、ナトリウム(Na)、カリウム(K)イオンを配置した構造となっている。本発明では、シリカ源として、もみ殻灰を、Mg源として、硝酸マグネシウム等のマグネシウム化合物を、Naとして、pH調整に使用する水酸化ナトリウム(NaOH)を用い、水熱反応させて、合成スチーブンサイトを得ることができる。
【0027】
耐水性を向上させるためには、水和しやすい層間のNaイオンを、Liイオンと交換し、加熱処理によって、Liイオンを、八面体層に移動させる。その場合、加熱温度が、350〜600℃であることが好ましい。Liイオンは、イオン半径が小さいために、Liイオンが、この加熱処理によって、粘土の八面体層内に移動し、固定される。
【0028】
この反応は、不可逆的な反応であり、一旦、層内に移動したLiイオンは、再び、粘土の層間に戻ることはなくなる。これによって、粘土の層電荷は、低下し、水中での膨潤は、しにくくなり、耐水性は、向上する。一方、Naイオンは、イオン半径が大きいために、加熱処理によって、八面体層に移動ができず、前記のように、層電荷の変化は起こらない。
【0029】
イオン交換の操作方法には、バッチ法とカラム法がある。バッチ法は、イオン交換樹脂と被イオン交換溶液を、適当な容器に入れ、撹拌を行い、イオン交換反応が平衡に達した後、イオン交換樹脂を分離する方式である。カラム法は、筒状の容器に、イオン交換樹脂を充填し、被イオン交換溶液が樹脂層を通って、イオン交換を行う方式である。本発明では、イオン交換の効率、溶液と樹脂の分離、樹脂の再生・取扱等、作業性の点から、カラム法がより好適である。
【0030】
本発明では、陽イオンとLiイオンの交換に、強酸性型の陽イオン交換樹脂を使用する。一般に、強酸性型の陽イオン交換樹脂は、R−SO(固定イオン)+H(対立イオン)のように表わされるが、本発明のLiイオン型交換樹脂では、予め、陽イオン樹脂の対立イオンである水素(H)イオンを、Liイオンに置換しておく必要がある。
【0031】
ここで用いるリチウム化合物としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム等があげられ、いずれのリチウム化合物でも差し支えないが、硝酸リチウムでは、硝酸塩が、また、塩化リチウムでは、塩化物イオンが残留しやすいことから、水酸化リチウムが好ましい。3Nから6N程度の水酸化リチウム水溶液を、イオン交換樹脂量の約3倍程度の量を流通させ、水素イオンを、Liイオンに置換したLiイオン型樹脂とする。
【0032】
流量は、樹脂カラムの断面積、樹脂量、交換イオン溶液の性状等によって設定されるものであるが、本発明の、後記する実施例では、直径20mmの円柱状のガラス管で、約80mLの樹脂量において、1分間に20mLの流量で、水酸化リチウム水溶液を、300mL流通させている。次に、純水を流入し、過剰のLiイオンを除去する。洗浄水が、ほぼ中性になるまで、純水を流す。
【0033】
次に、粘土分散液を、樹脂カラムの上部から注入し、粘土分散液の層間陽イオンであるNaイオン等を、Liイオンに置換する。粘土分散液の流量等の条件は、イオン交換装置の容量、すなわちカラムの断面積、イオン交換樹脂量、流通溶液の性状等により決定されるものである。本発明では、例えば、樹脂のLiイオン型化と同条件の、1分間に20mLの流量で、粘土分散液を流通させる。
【0034】
上部から流入した粘土分散液は、自然に流通させても差し支えないが、カラムの流出側を、例えば、ペリスタポンプを用いて減圧し、流速を制御する方法を採用することができる。工業的には、逆に、カラム内を加圧し、流速等を制御することも可能である。一回の処理量は、カラムを流通させた粘土分散液のLiイオン、Caイオン及びNaイオン等の陽イオン量を、逐次、分析(例えば、ICP発光分析)し、その結果から、設定することができる。
【0035】
本発明で合成する合成スチーブンサイトは、分散媒として水と混和することにより、容易に分散し、チクソトロピー性を有する透明な粘土ゲルを形成することができる。これは、層間に、一価のLiイオンが存在することに起因する。この粘土ゲルには、水可溶性樹脂、例えば、ε−カプロラクタム、セルロース系樹脂(CMCNa等)、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニル樹脂等を添加することができる。
【0036】
水可溶性樹脂と粘土は、互いに親和性があり、水によく分散する。水可溶性樹脂の添加は、全固体に対する添加量が、30%未満であり、粘土分散液の製膜性、ガスバリア性の向上に有効である。また、本発明の粘土膜は、耐熱性、透明性に優れ、温度350〜600℃での加熱処理後も、透明度は劣化することなく、全光線透過率で、85%以上を示す。
【0037】
前記粘土ゲルは、基板上に塗布し、静置乾燥することで、粘土粒子の配向がそろったコーティング粘土膜を形成することが可能である。基板としては、特に制限がないが、ガラス類、セラミック板、金属板等のリジッド基板、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、テフロン(登録商標)(PTFE)等のプラスチック基板があげられる。
【0038】
次に、もみ殻灰から合成スチーブンサイトを製造し、当該合成スチーブンサイトから粘土膜を合成する方法について、合成スチーブンサイトを製造する工程(第1〜4工程)、粘土膜を製造する工程(第5工程)に分けて、具体的に説明する。
<もみ殻灰の作製>
もみ殻を、白色灰化するまで、大気中で焼成したもみ殻灰を、例えば、48メッシュの篩にかけて選別する。本発明では、選別したもみ殻灰を、更に、例えば、700℃×1時間、焼成し、出発物質とする。
【0039】
<第1工程>
粘土のシリカ源となるもみ殻灰と、マグネシウム源となるマグネシウム化合物を含む水溶液を、常温(15〜25℃)において、混合する。マグネシウム化合物を含む水溶液としては、例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等があげられる。これらは、一種又は二種以上を組み合わせて用いても差し支えない。次に、もみ殻灰及びマグネシウム化合物を含有する水溶液に、常温(15〜25℃)において、アルカリ水溶液を滴下する。
【0040】
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液があげられる。アルカリ水溶液は、もみ殻灰とマグネシウム水溶液の混合液を撹拌しながら、ゆっくりと滴下し、pHが12.5以上になるまで行うことが好ましい。滴下終了後、数時間、常温(15〜25℃)において、放置し、熟成させて、均質な複合沈殿物を含む分散液を得る。熟成時間は、特に限定しないが、24時間以上が望ましい。
【0041】
<第2工程>
前記第1の工程での熟成によって、もみ殻灰とマグネシウム水溶液の混合液は、pHが0.5〜2.0程度、酸性側に移行する。再び、アルカリ水溶液を滴下し、pH13.0程度に調整し、オートクレーブに仕込み、100〜300℃の温度で、水熱反応を行う。反応時間は、24時間以上が好ましい。水熱反応後、オートクレーブ中の内容物を取り出す。
【0042】
次に、60〜110℃の温度、好ましくは100〜110℃で、長時間、緩やかに乾燥し、合成粘土(スチーブンサイト)を得る。乾燥時間は、設定温度との兼ね合いもあるが、48〜100時間程度である。乾燥が不十分であると、未反応物質等の不純物の水溶液が残るためか、透明性が劣る場合がある。得られた合成粘土は、XRD、XPS等の測定を行うことにより、スチーブンサイトを含む3八面体粘土であることが確認できる。
【0043】
<第3工程>
第2工程で得られた合成粘土ゲルは、未反応物質等の不純物を含む粘土である。これに、純水を加えて、十分撹拌を行い、上澄み液は廃棄する。最初の上澄み液には、不純物を多く含み、製膜性、透明性に劣るものである。次に、固形成分に、純水を加えて、撹拌・振騰し、分散性に優れた合成粘土を含む上澄み液と、沈殿した固形成分を、固液分離手段によって分別する。残った固形成分に、再度、純水を加え、撹拌・振騰し、合成粘土を含む上澄み液を分別する。この操作を数回繰り返し、合成粘土を残すことなく抽出する。上澄み液は、トレーに流しこみ、35℃で、一昼夜以上、乾燥し、合成粘土を得る。
【0044】
<第4工程>
第3工程で得られた合成粘土を、水に分散させ、イオン交換樹脂を通して、層間イオンのNaイオンを、Liイオンに交換する。Liイオンに交換した粘土分散液は、純水によって数回洗浄し、過剰のLiイオンを除去する。目的に応じて、遠心分離、濾過、真空乾燥、加熱蒸発法等の固液分離方法で、完全に乾燥させるか、所定の濃度まで水分を蒸発させ、粘土膜製造工程へ送ることができる。
【0045】
<第5工程>
分散液は、必要に応じて、濃度を調節し、キャスト法あるいはドクターブレード法等の従来製膜に用いられてきた方法で、粘土膜を成形する。得られた粘土膜は、加熱によって、耐水性を向上させる。前述したように、加熱温度は、350〜600℃が適切である。基板から分離し自立粘土膜を作製することも可能であり、また、合成粘土分散液は、プラスチックフィルム等に塗布し、コーティング粘土膜として形成することもできる。
【発明の効果】
【0046】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)もみ殻を出発物質とし、もみ殻灰に多く含まれるシリカ(SiO)を原料として、透明度が高く、ガスバリア性があり、耐水性のある自立粘土膜及びコーティング粘土膜を得ることができる。
(2)米の栽培で生ずる副生物であるもみ殻を有効活用して、もみ殻灰を用いた、高付加価値製品である合成スチーブンサイトの製造方法、及び当該合成スチーブンサイトから合成粘土膜を製造する方法を提供することができる。
(3)上記合成粘土膜は、その透明性、柔軟性、ガスバリア性、耐水性等の特性を生かして、保護膜、包装材、フレキシブル回路基板等へ好適に適用することができる。
(4)上記合成粘土膜は、耐熱性を備え、かつ柔軟なガスシール材、封止材料及び電気絶縁材料として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の合成スチーブンサイトのXRDパターンを示す。
【図2】もみ殻灰のXPSチャートを示す。
【図3】本発明のLiイオン交換合成粘土の加熱処理前後のXRDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
次に、実施例及び比較例によって、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
以下の実施例1〜6及び比較例1〜5による、粘土膜の作製条件、粘土膜の透明度等の評価の結果を、表1に示した。
【実施例1】
【0050】
(1)粘土膜の作製
水稲からのもみ殻を焼成したものを、48メッシュの篩にかけて、通過したもみ殻灰を、更に、700℃×1時間、空気中で焼成し、もみ殻灰を得た。5gと純水36.6gの混合液(固液比12重量%)を作製し、硝酸マグネシウム(MgNO6HO、試薬特級)15gと純水15gからなる溶液を入れて撹拌しながら水酸化ナトリウム溶液(16.7%水溶液)をゆっくりと滴下した。pH13.0付近で滴下を止め、室温で24時間以上時間をかけて、ゆっくり熟成させ、均一な複合沈殿物を得た。
【0051】
次に、複合沈殿物に、純水、水酸化ナトリウム溶液を加えて、pHを再調整し、pH12.9の出発原料スラリーを得た。出発原料スラリーを、オートクレーブに仕込み、200℃で、48時間、水熱反応させ、3八面体合成粘土を含むゲル状の反応生成物を得た。オートクレーブを、室温まで冷却後、オートクレーブ内の反応生成物を取り出し、100℃で、24時間、乾燥し、水分を除去した。
【0052】
乾燥したフレーク状粘土に、純水を加え、十分に撹拌し、水に溶解した未反応物質等の不純物を洗浄除去した。次に、残った固形成分に、純水を加え、撹拌・振騰し、水に分散して、沈降しない合成粘土を多く含む上澄み液部分を採取した。更に、残った固形成分に、純水を加えて、撹拌・振騰し、合成粘土を含む上澄み液部分を採取した。この操作を4回繰り返し、合成粘土分散液の採取と、反応残渣等の不純物を分別した。
【0053】
合成粘土を含む上澄み液部分を、35℃で、24時間、ゆっくりと加熱乾燥して、固液分離し、3八面体合成粘土(スチーブンサイト)を得た。得られた合成粘土を用いて、水を分散媒とする固液比1重量%のスラリーを作製し、カラム法によって、層間イオンをLiイオンに交換した。得られた粘土分散液を、純水で洗浄後、濃度調整を行い、次いで、これを、ポリプロピレン製のトレーに流し込んだ。これを、室温で静置後、60℃で、24時間、緩やかに乾燥し、トレーから分離して、粘土自立膜を得た。
【0054】
得られた合成スチーブンサイトの3%水分散液10gに、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム(CMCNa)10%水溶液0.75gを加えて、振騰・混合した後、これを、PETフィルムに塗工し、室温において静置後、60℃で、24時間、乾燥した。
【0055】
(2)粘土膜の評価
1)合成スチーブンサイトの特定
前述のように、スチーブンサイトは、金属イオンの、Mg、Siと、層間にある交換性陽イオン(M:Na,K)からなる。図1は、本発明で得られた粘土膜のXRDパターン(Bruker/MacScience M21X ,Xray:CuKα)であり、d(001)のピークが、2θ=6°付近に現れる、典型的なスメクタイトのパターンを示している。図より、合成された粘土が、スメクタイト系であることが分かる。
【0056】
図2は、もみ殻灰を、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)にかけたパターンであるが、Liのエネルギーバンド付近(55.6eV)には、ピークは見当たらず、原料のもみ殻灰には、Liは含まれていないか、もしくは極々微量とみなされる。同様に、アルミ(Al)も見だされず、得られた粘土は、Mg、Si及びNaからなるスチーブンサイトと判断される。
【0057】
2)Liイオン交換
図3(a)及び(b)は、層間イオンを、Liイオンに交換した、合成粘土フィルムのXRDパターンである。d(001)のピークが、加熱処理前は、2θ=6°付近(a)に見られるが、加熱処理後は、2θ=9°付近(b)までシフトし、粘土結晶層間距離が短くなったことが分かる。言い換えれば、これは、Liイオンが、層間から八面体層に移行し、層間が狭くなったことを示している。
【0058】
3)透明度
得られた合成スチーブンサイトの分散液を、ポリプロピレンのトレーに注ぎ、室温において、数時間、次いで、60℃で、24時間乾燥し、トレーから剥離し、濁度計(日本電色工業(株)性MDH5000)における全光線透過率を測定した。膜厚50μmで、全光線透過率86.9%以上を示した。
【0059】
4)酸素ガス透過度
PETフィルム上に、粘土膜をコーティングした多層膜の酸素ガス透過度を測定した。粘土膜の厚み0.7μmで、0.9cc/m・day・atmの透過係数が得られた。ちなみに、厚さ85μmのPETフィルムのみの酸素ガス透過係数は、32cc/m・day・atmであり、積層粘土膜のガスバリア性を証明するものである。その結果を、表2に示した。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【実施例2】
【0062】
pH調整後の、20℃での静置熟成時間を、72時間、水熱反応後の、乾燥条件を、110℃で、48時間とした以外は、実施例1と同条件で合成粘土膜を作製した。目視による観察では、斑点、白濁することなく、均一で、透明な合成粘土膜が得られた。
【実施例3】
【0063】
pH調整後の、20℃での静置熟成時間を、19日間、水熱反応後の、乾燥条件を、110℃で、96時間とした以外は、実施例1と同様に合成粘土膜を作製した。斑点、白濁がない、均一で、透明な合成粘土膜が得られ、厚さ50μmの全光線透過率は、90・6%であった。
【0064】
<耐水性(吸水率の変化)>
得られた合成粘土膜を用いて、加熱処理前後の吸水率を測定した。得られた合成粘土膜を、600℃で、2時間、加熱後、温度40℃、湿度90%に設定した恒温槽の中に、24時間放置した。なお、比較試料として、市販の合成サポナイト(クニミネ工業(株)製スメクトンSA)を、Liイオン交換した粘土膜を用いた。加熱処理前粘土膜の吸水率は、15.3%、加熱後の吸水率は、1.3%であった。その結果を表3に示した。
【0065】
【表3】

【実施例4】
【0066】
もみ殻灰を5g、純水を26.2gとした混合溶液(固液比16%)に、実施例1と同様に、MgNO水溶液を加えたこと、pH調整後の、20℃での静置熟成時間を、72時間、水熱反応後の、乾燥を110℃×96時間とした以外は、実施例1と同様に、合成粘土膜を作製した。斑点、白濁等がない、均一で、透明な合成粘土膜が得られた。
【実施例5】
【0067】
もみ殻灰を5g、純水22.7gの混合溶液(固液比18%)、水熱反応後の乾燥を、110℃×96時間とした以外は、実施例1と同様に、合成粘土膜を作製した。その結果、均一で、透明な、合成粘土膜が得られた。
【実施例6】
【0068】
もみ殻灰を30gと、純水220gの混合溶液(固液比12%)、MgNO6H0を90gと、等量の純水を加えた水溶液を用い、pH調整後の、20℃での静置熟成時間を、8日間、水熱反応後の、乾燥条件を、100℃で、96時間とした以外は、実施例1と同様に、合成粘土膜を作製した。斑点、白濁等がない、均一で、透明な合成粘土膜が得られた。全光線透過率は、87.9%であった。
【0069】
(比較例1)
出発物質から水熱反応までの工程を、実施例2と同条件で、実施した。水熱反応後の乾燥を省いたところ、透明な粘土分散液は得られなかった。
【0070】
(比較例2)
出発物質から水熱反応までの工程を、実施例2と同条件で、実施した。水熱反応後の乾燥条件を、60℃で、24時間とした。製膜したところ、白色半透明であった。
【0071】
(比較例3)
水熱反応後の乾燥条件を、200℃で、3.5時間とした以外は、実施例1と同様に、合成粘土膜を作製した。得られた粘土膜は、白色の部分が多く、透明度は良くなかった。
【0072】
(比較例4)
もみ殻灰を20gとし、固液比12%の水混合溶液、60gのMgNOを含む水溶液120gと、NaOH24gを含む16.6%水溶液を加え、水熱反応後の乾燥条件を、110℃で、120時間とした。得られた粘土膜は、白色部分が多く、透明度は悪かった。
【0073】
(比較例5)
pH調整後の、静置熟成時間を、72時間、水熱反応後の、乾燥条件を、100℃で、7日間とした以外は、実施例6と同条件で、製膜したところ、得られた粘土膜は、白濁し、透明度は悪かった。
【0074】
以上の実施例及び比較例の結果からみて、水熱反応後の乾燥条件が、粘土膜の特性に影響を与えるようであり、特に、透明度については、その影響が顕著である。水熱反応後、ゲル状の合成粘土が得られるが、その乾燥が不十分であると、水分、未反応生成物が合成粘土に包含された状態となり、そのことが白濁の原因とみられる。また、高温での乾燥、長時間の乾燥では、未反応物質(例えば、Mg化合物)等の不純物が、部分的に凝集したり、析出することで透明度に影響するものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上詳述した通り、本発明は、もみ殻灰を用いた合成粘土及び粘土膜の製造方法に係るものであり、本発明により、大部分が産業廃棄物として破棄されてきた、もみ殻を出発物質として、焼成したもみ殻灰に多く含まれるシリカを原料として活用し、合成粘土スチーブンサイトを作製することができる。その自立粘土膜及びコーティング粘土膜は、透明性、柔軟性、ガスバリア性、耐水性等に優れた特性を有し、保護膜、包装材、フレキシブル基板等に利用でき、その適用範囲は広い。本発明は、焼成したもみ殻灰から合成粘土スチーブンサイトを作製し、当該合成粘土スチーブンサイトからなる透明性等の優れた性質を有する自立粘土膜及びコーティング粘土膜等の粘土膜製品を提供することを可能とするものとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
もみ殻灰から合成粘土を製造する方法であって、合成粘土が、合成スチーブンサイトであり、以下の工程;
(1)もみ殻灰と、マグネシウム化合物水溶液を混合し、得られた混合物に、アルカリを加えて、pHを13.0前後として、24時間以上熟成する第1の工程と、
(2)前記混合物を、100〜300℃の温度で水熱反応を行い、合成粘土ゲルを作製し、乾燥して、合成粘土を得る第2の工程と、
(3)前記合成粘土を、洗浄後、合成粘土の分散液を作製し、分散性に優れた合成粘土を含む上澄み液と、沈殿物を分別し、上澄み液を乾燥し、水分を除去して、精製した合成粘土を得る第3の工程と、からなる(A)工程から構成されるか、あるいは、前記第1〜3の工程と、更に、
(4)前記精製した合成粘土の層間イオンを、リチウム(Li)イオンに交換する第4の工程と、からなる(B)工程から構成されることを特徴とする合成粘土の製造方法。
【請求項2】
合成スチーブンサイトが、リチウム(Li)型合成スチーブンサイトである、請求項1に記載の合成粘土の製造方法。
【請求項3】
前記第1の工程において、熟成した混合物に、更にアルカリを加えて、pH12.8〜13.5に再調整する、請求項1に記載の合成粘土の製造方法。
【請求項4】
前記第2の工程において、合成粘土ゲルを、温度60〜110℃で、乾燥する、請求項1に記載の合成粘土の製造方法。
【請求項5】
前記第4の工程において、カラム法によって、合成粘土の層間イオンを、リチウム(Li)イオンに交換する、請求項1に記載の合成粘土の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の方法で合成した合成粘土から、透明度が高く、ガスバリア性及び耐水性に優れた粘土膜を製造する方法であって、前記合成粘土を、フィルム状に成形し、合成粘土膜を得て、これを加熱処理する工程からなることを特徴とする粘土膜の製造方法。
【請求項7】
得られる粘土膜の透明度が高く、厚さ50μmあたりの全光線透過率が、85%以上である、請求項6に記載の粘土膜の製造方法。
【請求項8】
厚さ0.7μmの粘土膜を、厚さ85μmのPETフィルムにコーティングした多層膜の酸素ガス透過度が、0.9cc/m・day以下である、請求項6に記載の粘土膜の製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法により製造した高透明性の粘土膜であって、透明度が高く、厚さ50μmあたりの全光線透過率が、85%以上であり、厚さ0.7μmの粘土膜を、厚さ85μmのPETフィルムにコーティングした多層膜の酸素ガス透過度が、0.9cc/m・day以下であり、透明性に優れていることを特徴とする粘土膜。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−121777(P2012−121777A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275132(P2010−275132)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】