説明

るつぼ、および炉容量利用の方法

本発明は、インゴットの生産における効率的な炉容量利用に関する。本発明は、るつぼ、および該るつぼの使用を含む。るつぼは、インゴットが中で生産される炉の内部形状にほぼ一致する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、米国特許法第119条に基づき2010年2月26日に出願された米国仮特許出願第61/308,817号の優先権の恩典を主張する、米国特許法第120条に基づき2010年3月3日に出願された米国特許出願第12/716,889号の優先権の恩典を主張するものであり、本宣言によりこれらの出願それぞれの優先権の恩典が主張され、それらの全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
一部の物質の、それらの液体状態からの凝固または結晶化は、該物質を汚染するかまたは該物質と反応し得る特定のガスまたは他の異質物質の非存在下において行われた場合に、より均一な構造品質を有する固体を作り得る場合がある。例えば、るつぼと接触しているか、または最も近くにある物質は、凝固する際に、るつぼまたはるつぼのコーティングから汚染され得る;この不純な物質は、凝固が完了した後に、固体物質から切り取られ得る。物質をより大きな形状に凝固することで、プロセス中に、空気、またはるつぼもしくは他の汚染物質に晒される物質の表面積を最小限にでき、従って、汚染により純粋でなくなった物質を切り取ることにより無駄になる物質を最小限にできる。別の例では、最も高い汚染物質濃度を有することが多い最後に固まる(freeze)物質は、凝固した物質の表面に位置し得、これらの表面も使用前には凝固した物質から切り取られることが多い。体積に対する表面積の比率が小さいほど、より大きな形状が使用できるためこの無駄な物質が低減する。より大きな規模にすることの利点から、溶融物質からインゴットを形成するために、特に最終的に得られるインゴットの目的とする使用が高品質なインゴットを必要とする場合に、より大きな炉およびより大きなるつぼの使用が促進されてきた。
【0003】
例えば、太陽電池を生産するための多結晶インゴットを製造するためのプロセスが発明されてからは、ますます大きな炉、るつぼ、およびインゴットに傾倒してきた。炉がより大きくなるにつれ、より大きなるつぼおよびインゴットが生産されてきた。より大きなインゴットでの規模の経済(economies of scale)によって、コストが低下する。より大きなインゴットは、汚染される表面積がより小さく、るつぼおよび炉雰囲気からの汚染がより少ないより良質なブロックをもたらし、かつシリコンの無駄がより少ない。
【0004】
現行の標準は、6インチ×6インチ(156mm×156mm)ブロックまたはウエハであり、これらは鋳造後にインゴットから切り出される。240kg炉においては、16のブロックが4×4のグリッドで作られる(表1を参照)。角ブロックおよび側面ブロックは、より低品質の太陽電池をもたらす傾向がある。4×4のグリッドは、4つの角ブロック、8つの側面ブロック、および4つの中央ブロックを生産する。450kg炉では、5×5のグリッドが使用され、25個のブロックが生産される(表1を参照)。これにより、4つの角ブロック、12個の側面ブロック、および9つの中央ブロックが生産される。従って、大きいるつぼほど、るつぼ当たりのブロック数に占める割合として、より多くの中央ブロック、ならびにより少ない角および側面ブロックを所与の大きさで生産する。例えば、表1を参照のこと。
【0005】
(表1)

【0006】
240kgるつぼから450kgの「ジャンボ」るつぼへの移行は、ほとんどの炉の製造元によってより大きな炉が造られることにはならなかった。一般的に、炉の内部、および炉を制御するのに使用するソフトウェアは、サイズが約72 cm×72 cm×42 cmから88×88×42 cmと大きくなったるつぼに適応するように若干改変された。るつぼが次段階のサイズになった場合、約103 cm×103 cm×42 cmのるつぼのサイズになり、これは、るつぼのサイズがより大きくなり、るつぼの四角い形状のために、炉に適合させることが非常に困難になる。るつぼの高さが増す場合、単に高さだけを増すのではなく長さおよび幅も増すことによって、るつぼの高さ対幅の比率が維持できる。バッチ当たりのシリコンの重量を増すために長さおよび幅を増すことなくより高いるつぼを作ることは、高さが増すほど、インゴットの底部から上部までの温度勾配を維持するのがより困難になるため、より低品質のインゴットが作られる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
必ずしも正確な縮小率で描かれていない図面において、同様の数字は、複数の図面にわたって実質的に類似する構成要素を表している。異なる添え文字を有する同様の数字は、実質に類似する構成要素の異なる事例を表す。図面は、全般的に、限定するものではなく、例として、本明細書で議論する様々な態様を描いている。
【図1】図1は、本発明の一態様による、32ブロック用の156mm×156mmるつぼの上面図を示す。
【図2】図2は、本発明の特定の態様による、るつぼに入った32ブロック用の156mm×156mmインゴットの上面図を示す。
【図3】図3は、本発明の特定の態様による、るつぼ100の側面図を示す。
【発明の概要】
【0008】
概要
本発明は、るつぼ、およびインゴットの生産における効率的な炉容量利用のための該るつぼの使用方法を提供する。このるつぼは、インゴットを生産するための内部を含む。このるつぼは、インゴットが中で生産される炉の内部形状にほぼ一致する外部形状も含む。
【0009】
本発明の態様は、全体的により高い品質のブロックのバッチをもたらすインゴットを提供できる。これらのるつぼおよび方法は、所与の炉において、類似するるつぼおよび方法よりも、単一のバッチにおいてより多くのブロックを生産することもできる。インゴットは、シリコンインゴットであり得、太陽電池を作るために使用された場合には、このインゴットに由来するブロックは、より効率的な太陽電池を生産できる。
【0010】
本発明は、インゴットを生産するための内部を含むるつぼを提供する。このるつぼは、インゴットが中で生産される炉の内部形状にほぼ一致する外部形状も含む。また、このインゴットは、多数のブロックも含む。さらに、多数のブロックはグリッド状に配置される。炉の内部形状に一致するるつぼの外部形状は、四角い形状のるつぼを使用する炉から生成され得るブロックの数よりも多くの数のブロックの生成を可能にする。また、炉の内部形状は、ほぼ丸い形状を有している。るつぼはまた、約8つの側面を含む外部外周も有する。さらに、るつぼの8つの側面は、2組のほぼ対向するほぼ等しい長さの長手側面を備える。さらに、るつぼの8つの側面は、2組のほぼ対向するほぼ等しい長さの短手側面も備える。さらに、るつぼの8つの側面は、るつぼの長手側面がるつぼの短手側面と交互にあるようになっている。
【0011】
本発明は、炉容量利用の方法を提供する。本方法は、るつぼを使用してインゴットを作り出す。るつぼは、内部を含む。るつぼの内部は、インゴットを生産するためのものである。るつぼは、外部形状も含む。るつぼの外部形状は、インゴットが中で生産される炉の内部形状とほぼ一致する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
ここで、開示する主題の特定の請求項について詳細に言及する。これらの例は、添付の図面に例示する。開示の主題は列挙した請求項と合わせて記載するが、開示の主題をこれらの請求項に限定することを意図するものではないことが理解されよう。それどころか、開示の主題は、あらゆる代替、改変、および等価物を網羅することを意図しており、これらは、請求項により定義される目下開示している主題の範囲内に含まれ得る。
【0013】
本明細書において「一態様」、「態様」、「例示の態様」等を使用する場合、記載の態様は特定の特徴、構造、または特色を含み得るが、全ての態様が必ずしも特定の特徴、構造、または特色を含まなくてもよい。さらに、このようなフレーズは、同じ態様を必ずしも指すものではない。さらに、ある態様に関連して特定の特徴、構造、または特色が記載される場合、明確に説明されているかどうかに関わらず、他の態様に関連してこのような特徴、構造、または特色を得ることは、当業者の知識内にあると考える。
【0014】
本明細書において、「単数形(「a」または「an」)」という用語は、1つ以上のものを含むものとして使用され、「または/もしくは」という用語は、特に明記しない限り、非排他的な意味の「または/もしくは」を指す。さらに、特に定義しない限り、本明細書で使用する表現または専門用語は、説明の目的にのみ使用され、限定するものではないことを理解されたい。さらに、本明細書で言及する全ての文献、特許、特許書類は、個々に参照により本明細書に組み入れられるのと等しく、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。本明細書と、上記のように参照により組み入れられるこれら文献との間で、一貫しない用法がある場合には、組み入れられる文献における用法は、本明細書の補助的なものとして考慮されるべきである。相容れない矛盾については、本明細書における用法が優先される。
【0015】
本明細書に記載する製造方法においては、時系的または操作的な順序が明確に列挙される場合以外には、本発明の原理から逸脱することなく、工程を任意の順序により行うことができる。請求項において、まず第一の工程が行われ、その後他のいくつかの工程が行われるという旨の記載は、第一の工程が、他のどの工程よりも先に行われることを意味しなればならないが、他の工程についてさらに順序が記載されていない限りは、他の工程は任意の適切な順序で行うことができる。例えば、「工程A、工程B、工程C、工程D、および工程E」を記載する請求項の要素は、工程Aがまず行われ、工程Eが最後に行われ、工程B、CおよびDは、工程Aと工程Eとの間で任意の順序で行われ得ることを意味し、この順序も請求されるプロセスの文言の範囲内にあると解釈される。所与の工程または工程のサブセットは、繰り返されてもよい。
【0016】
さらに、特定の工程は、請求項の文言が明確に個別に行うことを記載していない限り、同時に行われ得る。例えば、Xを行うための請求の工程およびYを行うための請求の工程は、 単一の操作内で同時に行うことができ、最終的に得られるプロセスは請求されるプロセスの文言の範囲内にある。
【0017】
本発明の態様は、インゴットの生産におけるるつぼ、および効率的な炉容量利用の方法に関する。るつぼは、インゴットを生産するための内部を含み得る。るつぼは、インゴットが中で生産される炉の内部形状とほぼ一致する外部形状を含み得る。本方法は、インゴットを生産するためのるつぼの使用を提供する。本方法は、また、インゴットが中で生産される炉の内部形状とほぼ一致する外部形状を有するるつぼの使用も提供する。特定の態様において、本方法は、切断デバイスを使用した、インゴットからのブロックの生産を提供する。インゴットは、線鋸、帯鋸、丸鋸、または他の切断方法を使用して、ブロックに切り出すことができる。インゴットはシリコンであり得る。
【0018】
本発明の装置および方法は、他の装置および方法よりも効率的な炉容量の使用を作り出すことができる。利用可能な炉空間を効率的に利用することにより、本発明のるつぼおよび方法は、単一のブロックバッチにおいてより多くのブロックを作ることができる。利用可能な炉空間をよりうまく利用することにより、より大きな炉を購入することを避けられる。本発明によるるつぼおよび方法はまた、角ブロックの割合がより少ない、ブロックのバッチを生産することができる。インゴットの角から切り取られる角ブロックは、より低品質であり得るため、本発明は、全体的により高品質なインゴットのバッチを提供できる。本発明によるるつぼおよび方法は、高品質の物質の改善されたスループットを達成できる。この装置および方法を使用して、太陽電池用のシリコンインゴットを生成する場合、太陽電池は全体的に改善された太陽電池効率を有し得る。
【0019】
定義
本明細書で使用する「ブロック」とは、任意の形状であり得るインゴットの一片を指す。一般的に、ブロックは四角い形状である。
【0020】
本明細書で使用する「側面ブロック」とは、インゴットの外周と一面を共有するブロックを指す。
【0021】
本明細書で使用する「中央ブロック」とは、インゴットの外周と面を共有しないブロックを指す。
【0022】
本明細書で使用する「角ブロック」とは、インゴットの外周と二面を共有するブロックを指す。
【0023】
本明細書で使用する「コーティング」とは、別の物質の少なくとも一部を覆う物質の層を指し、該層は、覆う物質と同じ厚みでも、それより厚くても、または薄くてもよい。
【0024】
本明細書で使用する「皿穴(counter-sunk)」とは、ねじ、ボルト、または同様の金具類を取り付ける様式を指し、この様式では、物質において、より広い円周を持つ第二の円錐または半円錐状の穴が、特定の円周を有する第一の円柱状の穴のほぼ上部の、該物質表面の近くに設けられることにより、金具類が、取り付けられた表面から突出しないようになり、または、第二の穴がない場合と比べて、金具類の、取り付けられた表面からの突出が少なくなる。
【0025】
本明細書で使用する「座ぐり(counter-bored)」とは、ねじ、ボルト、または同様の金具類を取り付ける様式を指し、この様式では、物質において、より広い円周を持つ第二の円柱状の穴が、特定の円周を有する第一の円柱状の穴のほぼ上部の、該物質表面の近くに設けられることにより、金具類が、取り付けられた表面から突出しないようになり、または、第二の穴がない場合と比べて、金具類の、取り付けられた表面からの突出が少なくなる。
【0026】
本明細書で使用する「るつぼ」とは、溶融した物質を保持することができ、溶融状態まで溶解される物質を保持することができ、および、凝固、結晶化、またはそれらの組み合わせの間、溶融物質を保持することができる容器を指す。
【0027】
本明細書で使用する「湾曲」とは、ほぼ湾曲した、またはほぼ弧の形状を辿る表面を指し、完全に湾曲する必要はない。表面が湾曲しているかどうかを見積もる際は平均を考慮し、一部の部分(一つの部分を含む)、いくつかの部分、もしくは全ての部分で直線を辿る表面は、表面全体がほぼ弧を辿る場合には湾曲した表面であり得る。
【0028】
本明細書で使用する「グリッド」とは、少なくとも2つのブロックを指し、ブロックの縁部のパターンが、概して、規則的に間隔をあけられた水平および垂直線のパターンを形成する。
【0029】
本明細書で使用する「インゴット」とは、固体または結晶の1つもしくは複数の物質、またはそれらの組み合わせのブロックを指す。
【0030】
本明細書で使用する「内角」とは、2つの面の間に形成される角度であり、2つの角度のうち小さい角度を指す。
【0031】
本明細書で使用する「平坦面」とは、ほぼ真っ直ぐで、全体的に最小限に湾曲し、完全に平坦である必要はない面を指す。真っ直ぐであると見なすには、平均を考慮し、前後に数回わずかに曲がる面でも、面が全体的にほぼ直線を辿る場合には平坦面であり得る。
【0032】
本明細書で使用する「炉」とは、物質を加熱するための区画を有する機械、デバイス、装置、または他の構造を指す。
【0033】
本明細書で使用する「炉容量」とは、炉の区画の容量を指す。
【0034】
本明細書で使用する「八角形」とは、八面を有する形状または物体を指す。
【0035】
本明細書で使用する「外周」とは、物体または形状の外縁を指す。
【0036】
本明細書で使用する「丸い」とは、とがった角を持たない形状、例えば、90度の角を持たない形状を指す。丸い形状は、円形または楕円であり得る。丸い形状は、縁部に丸みを付けられた四角い形状を含み得る。
【0037】
図1を参照すると、一部態様によるるつぼ100の上面図が示されている。るつぼ100は、インゴットを生産するための内部102を含む。図2を参照すると、るつぼ100に入ったインゴット200の上面図が示されている。インゴット200は、溶融物質が凝固、結晶化、またはそれらの組み合わせを経た後で切り取られる外周201の部分を含み得る。インゴット200は、多数のブロック202を含み得る。ブロック202は、切断デバイスを用いてインゴット200から形成され得る。インゴットはシリコンを含み得る。溶融物質は、溶融シリコンを含み得る。ブロック202は、インゴット200内にグリッド状に配置される。るつぼ100の外部形状は、インゴットが中で生産される炉の内部形状にほぼ一致し、これはほぼ丸い形状の内部区画を有する炉であり得る。炉の内部形状にほぼ一致させることで、るつぼ100は、炉の中により大量の溶融物質を納めることができ、従って、炉の容量をより効率的に利用できる。ほぼ丸い炉の内部形状にほぼ一致させることで、るつぼ100は、四角い形状のるつぼを使用する炉から生成され得るブロックの数よりも多くの数のブロック202をもたらすインゴット200を生成できる。四角い形状のるつぼから得たインゴットのグリッドと比較した場合、インゴット200において、角ブロックの百分率に対する側面または中央ブロックの百分率はより大きく、中央ブロックの百分率に対する側面ブロックの百分率は高くなり得る。表2を参照のこと。四角い形状のるつぼと比較した場合、るつぼ100から得たインゴット200における角ブロックの百分率は低下した。
【0038】
(表2)

【0039】
本発明のるつぼはブロックを含む。ブロックは、るつぼから生じるインゴットの状態では共につながっている;従って、インゴットはブロックを含む。これらは、鋳造プロセスの完了後に、互いと切り離されることによって個別のブロックとなる。ブロックはグリッドパターンに切断され得る。切断は、当業者に公知の任意の適切な切断デバイスにより行われ得る。適切な切断デバイスの一例は、ダイヤモンド等の研磨物質を使用する鋸、または連続したループで回転する帯に取り付けられた切断歯である。切断は、ブレードの過熱を防ぐために、水で冷却することを含んでもよい。適切な切断デバイスの別の例は、冷却液およびSiC粒と共に鋼鉄ワイヤーを使用するか、またはダイヤモンド粒および冷却液で被覆された鋼鉄ワイヤーを使用する線鋸である。
【0040】
インゴットの品質が劣る原因としては、凝固または結晶化された物質とるつぼの壁との近接が挙げられる。るつぼは、物質がるつぼにくっつくのを防ぐ物質で被覆されるか、またはそのような物質を含んで、固体を取り出し易くできる。るつぼのコーティングまたは構成物質は、くっつくのを防ぐのには役立つが、溶融物質中に拡散して、るつぼの壁に最も近い固体物質の純度に影響を及ぼし得る。従って、るつぼの壁に接触するインゴットがより少なければ、るつぼの構成物質またはコーティングからの拡散により汚染される物質はより少なくなる。さらに、るつぼ中の角にあるシリコンの上部表面は最後に凝固し、結晶化において最後に固まる物質は、最も高いレベルの不純物を含み得る。インゴットの最後に固まる部分は、使用前に、(例えば、インゴットの使用前に切断デバイスで)除去され得る。るつぼの壁に接触するインゴットが少ないほど、使用前にインゴットから切り落とされる必要から無駄になる物質が少なくなる。本発明は、角の数がより少なく、るつぼの外周と2つの縁部を共有するブロックをより少なく含むインゴットを含む。従って、本発明では、より低品質な製品がより低い百分率で生産され、廃棄物または再利用シリコンがより少なくて済む。
【0041】
再度、図1を参照すると、るつぼ100は、8つの側面104および106を含む外周を含む。8つの側面は、2組のほぼ対向するほぼ等しい長さの第1の側面104を備える。8つの側面はまた、2組のほぼ対向するほぼ等しい長さの第2の側面106も備える。るつぼ100の8つの側面は、第1の側面204および第2の側面206を含むるつぼ100から形成されるインゴット200の8つの側面と対応する。第1の側面104および第2の側面106はほぼ平らである。第1の側面104は、第2の側面106よりも長い。第1の側面104は、第2の側面106と交互にある。特定の態様において、るつぼ100の高さは、他のるつぼよりも2〜20cm高く、これにより、例えば、36ブロック用の750kgの四角いるつぼが保持できるのと同量のシリコンを許容する。一般的に、本発明において、例えば、低密度シリコン等の低密度物質が経済的に使用できるように、るつぼの高さをより高くすることにより、より多くの物質がるつぼに充填可能になる。
【0042】
特定の態様において、第1の側面204は約24.00インチであり得る。第2の側面206は約11.14インチであり得る。ブロック202の寸法は、6.00インチ×6.00インチであり得る。るつぼの側面の厚みは0.67インチであり得る。インゴット200の側面から除去される物質の厚みは1.88インチであり得る。
【0043】
図3を参照すると、特定の態様におけるるつぼ100の側面図が示されている。るつぼ308の幅は、41.00インチであり得る。るつぼ306の高さは、18.00インチであり得る。側面302は、0.67インチの厚みであり得る。るつぼは、底部304を有し得る。
【0044】
るつぼは、ほぼ同じ長さの第1の側面および第2の側面を含み得る。るつぼは、湾曲しているかまたは湾曲を含む第1の側面を含み、また、るつぼは、独立的に、湾曲しているかまたは湾曲を含む第2の側面を含むことができる。従って、るつぼは、湾曲している第1の側面およびほぼ真っ直ぐな第2の側面を含むことができる;るつぼはまた、湾曲している第2の側面およびほぼ真っ直ぐな第1の側面も含むことができる。側面の湾曲は、一緒になって弧の形状を形成、または1つを上回る弧を形成するような複数のほぼ平らな表面を含み得る。側面の湾曲は、一つの単一の湾曲を含み得る。側面の湾曲は、一緒になって弧の形状を形成、または1つを上回る弧を形成するような複数の湾曲した表面を含み得る。
【0045】
設計は、4つのるつぼを中に有し、各るつぼの一角だけの面積が減る炉を含み得る。
【0046】
本発明のるつぼは、シリカ、SiC、石英、グラファイト、Si3N4、またはそれらの組み合わせから作られるか、それらを含み得る。構成物質またはコーティングの選択は、例えば、くっつき防止性質、および加熱耐性性質を含み得る。るつぼは、部分的に、完全に、またはそれらの間の任意の度合いでるつぼを被覆できるSi3N4、グラファイト、またはSiO2等のコーティングを含み得る。るつぼは、約110〜160度の、外周に含まれる側面間の内角を含み得る。るつぼは、約125〜145度の、外周に含まれる側面間の内角を含み得る。るつぼはまた、外角または内角、および湾曲した縁部も含み得る。
【0047】
本発明は、インゴットが中で生産される炉の内部形状とるつぼの外部形状がほぼ一致する上述したようなるつぼ等の、インゴットの生産用の内部形状を有するるつぼを使用する方法を提供する。炉の内部形状はほぼ丸くてもよい。炉の内部形状はるつぼに適合するように変更され得る。
【0048】
一つの特定の態様において、るつぼの寸法は、25ブロック用の156mm×156mm、450kg炉から本方法により32の156mm×156mmブロックが生成できる寸法である。別の態様では、寸法は、25ブロック用の450kgインゴット炉から本方法により21の180mm×180mmブロックが生成できる寸法である。
【0049】
本発明は、高品質物質のスループットを改善する方法を提供できる。本発明は、最終的に得られるインゴットの効率的かつ費用効率の高い品質管理方法を提供できる。図2に描く特定の態様を参照すると、破壊および非破壊試験のために余分の4つの半ブロック203を使用して、ウエハ製造の品質を改善しかつスループット時間を迅速化する。ブロック202全部ではなく、4つの角ブロック203のみを測定することにより、測定時間の節約、測定を行った後のブロッククリーニングに必要な時間の節約、および測定後でブロック切断を行う前のブロッククリーニングに必要な時間の節約を含む、時間および関連する費用の節約が可能になる。これは、必要な物質品質は維持したまま、より高いスループットが達成できる助けになる。
【0050】
生成される物質の品質の制御を助けるために行われ得る測定として、以下の測定が含まれる:(a)ブロックに対する軸方向(底部から上部)抵抗率プロファイルの測定、これを補うための(b)再結合寿命(底部から上部)のマッピング、および、高炭素原料であるかまたは鋳造用具の炭素制御が乏しい場合には、追加の工程である(c)炭化シリコン粒子(底部から上部)についての赤外線(IR)走査。4つの角ブロックに対してこれらの測定を行うことで、有益な結果が得られる。測定(a)は、個々の鋳造用具の特定の成長特性が知られていれば、全インゴットの成長界面(growth front)についての信頼性のある情報が得られる(これは全ての鋳造用具について決定できる)。その後のウエハ成形は、成長界面についての情報に基づくことができる。測定(b)は、るつぼの壁からの距離の関数として寿命の測定を可能にし、これにより、ウエハレベルでの物質の品質改善のために始めることのできる可能性のある方策に関する多少の方向性が得られる。測定(c)では、インゴットについての配向情報が得られる。
【0051】
るつぼに適合するための炉の改善は、当業者に公知の任意の適切な改変であり得る。改変は、ボルト、座金、またはセラミック製のるつぼを保持するかまたは囲むボックスのプレートをより薄く作ることを含み得る。るつぼを保持するボックスは、グラファイトプレートから作ることができる。改変としては、グラファイトプレートに対する、ボックスの一部であるナットの皿穴または座ぐり、さもなければ合わさってボックスを保持する金具類の輪郭を削ることも挙げられる。グラファイトプレートの間の継ぎは、大入れ(dado)、ほぞ穴(mortise)、またはあり継ぎ(dovetail)であり得る。るつぼを保持する底部グラファイトプレートは拡大され得る。可動エレメントを保持するためのステンレス鋼鉄ケージは、対角面を角に加えて八角形にするか、または対角面のサイズを大きくすることができる。ケージの断熱材はより薄くできる。加熱エレメントは、炉の壁またはヒーターケージの近くに移動できる。加熱エレメントを合わさって保持しているグラファイトナットには、皿穴または座ぐりが適用され得る。対角面支持プレートに対して角度のついたグラファイト座金を使用して平坦な表面を維持するか、またはカスタム化された形状を使用して平坦なセクションを維持して、グラファイトプレートを合わせて留めることができる。加熱エレメントの角の部分に角延長部を追加して、加熱エレメントを全側面の外に出してもよく、これは、加熱エレメントを全ての側面から3インチ出るように移動させることを含む。ケージの底部を封止めするためのふち(lip)は小さくできる。改変としては、るつぼを保持するスタンドを低くして、より高いるつぼを実現することも挙げられる。るつぼスタンドを支持する脚は、余分な重量を支持するために、別の脚を加えること、脚を動かしてさらに離すこと、またはより分厚い冷却プレートに挿入することによって改善することができる。断熱鋼鉄ケージについては、硬化グラファイトフェルト以外の他の断熱物質を使用して、該セクションをより薄くしてもよい。2つの断熱物質を使用して、二層式デザインにおいて、一方の物質を熱面から離して使うことができる。第二の断熱物質がより良好な断熱性を有するほど、ケージの断面をより薄くできる。
【0052】
さらなる態様
本発明は、以下の例示の態様を提供する。
【0053】
態様1は、インゴットを生産するための内部と、インゴットが中で生産される炉の内部形状にほぼ一致する外部形状とを備える、るつぼを提供する。
【0054】
態様2は、インゴットが多数のブロックを含む、態様1のるつぼを提供する。
【0055】
態様3は、ブロックがグリッドを備える、態様2のるつぼを提供する。
【0056】
態様4は、炉の内部形状に一致する外部形状により、四角い形状のるつぼを使用する炉から生成され得るブロックの数より多い数のブロックの生成が可能になる、態様1〜3のうちの任意の一つのるつぼを提供する。
【0057】
態様5は、炉の内部形状がほぼ丸い形状を備える、態様1〜4のうちの任意の一つのるつぼを提供する。
【0058】
態様6は、るつぼの外周が約8つの主要な側面を備え、該8つの側面が2組のほぼ対向するほぼ等しい長さの第1の側面と、2組のほぼ対向するほぼ等しい長さの第2の側面とを備え、該第1の側面が該第2の側面と交互にある、態様1〜5のうちの任意の一つのるつぼを提供する。
【0059】
態様7は、第1の側面が第2の側面よりも長い、態様6のるつぼを提供する。
【0060】
態様8は、第1の側面が第2の側面と同じ長さである、態様6〜7のうちの任意の一つのるつぼを提供する。
【0061】
態様9は、第1の側面がほぼ平らな面を含む、態様6〜8のうちの任意の一つのるつぼを提供する。
【0062】
態様10は、第2の側面がほぼ平らな面を含む、態様6〜9のうちの任意の一つのるつぼを提供する。
【0063】
態様11は、第1の側面が湾曲した側面を備える、態様6〜10のうちの任意の一つのるつぼを提供する。
【0064】
態様12は、第2の側面が湾曲した側面を備える、態様6〜11のうちの任意の一つのるつぼを提供する。
【0065】
態様13は、ブロックがグリッドを備え、四角い形状のるつぼにおけるグリッドと比べて、角ブロックの百分率に対する側面または中央ブロックの百分率が高い、態様6〜12のうちの任意の一つのるつぼを提供する。
【0066】
態様14は、シリカ、石英、グラファイト、またはSi3N4の少なくとも1つを含む、態様1〜13のうちの任意の一つのるつぼを提供する。
【0067】
態様15は、インゴットを作り出す態様1〜14のうちの任意の一つのるつぼの使用を含む、炉容量利用の方法を提供する。
【0068】
態様16は、インゴットをブロックに切断するための切断デバイスの使用をさらに含む、態様15の方法を提供する。
【0069】
態様17は、25ブロック用の450kgインゴット炉から、32の156mm×156mmブロックが生成される、態様16の方法を提供する。
【0070】
態様18は、25ブロック用の250kgインゴット炉から、21の180mm×180mmブロックが生成される、態様16の方法を提供する。
【0071】
態様19は、炉が、るつぼに適合する炉を含む、態様16〜18のうちの任意の一つの方法を提供する。
【0072】
態様20は、インゴットがシリコンを含む、態様16〜19のうちの任意の一つの方法を提供する。
【0073】
態様21は、4つの部分的角ブロックの分析を使用して、インゴットの全体的な品質を決定する、態様16〜20のうちの任意の一つの方法を提供する。
【0074】
態様22は、インゴットを生産するための内部と、インゴットが中で生産される炉の内部形状とほぼ一致する外部形状とを含むるつぼであって、該インゴットが多数のブロックを含み;該多数のブロックがグリッドを備え;該炉の内部形状に一致する外部形状が、四角い形状のるつぼを使用する炉から生成され得るブロックの数よりも多い数のブロックの生成を可能にし;該炉の内部形状がほぼ丸い形状を備え;かつ、るつぼの外周が約8つの主要な側面を備え、該8つの側面が2組のほぼ対向するほぼ等しい長さの長手側面と、2組のほぼ対向するほぼ等しい長さの短手側面とを備え、該長手側面が該短手側面と交互にある、るつぼを提供する。
【0075】
全ての文献、特許、および特許出願は、参照により本明細書に組み入れられる。上記明細書においては、その開示の主題はその特定の好適な態様に関して説明し、多くの詳細事項が例示の目的のために記載されてきたが、開示の主題はさらなる態様を許容することができ、本明細書に記載したいくつかの詳細事項は、開示の主題の基本的な原理から逸脱することなく、相当に変更され得ることが当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インゴットを生産するための内部と、
インゴットが中で生産される炉の内部形状にほぼ一致する外部形状と
を備える、るつぼ。
【請求項2】
前記インゴットが、多数のブロックを含む、請求項1記載のるつぼ。
【請求項3】
前記ブロックがグリッドを備える、請求項2記載のるつぼ。
【請求項4】
前記炉の内部形状に一致する外部形状が、四角い形状のるつぼを使用する炉から生成できるブロックの数よりも多い数のブロックの生成を可能にする、請求項1記載のるつぼ。
【請求項5】
前記炉の内部形状がほぼ丸い形状を備える、請求項1記載のるつぼ。
【請求項6】
前記るつぼの外周が、約8つの主要な側面を備え、該8つの側面が、2組のほぼ等しい長さのほぼ対向する第1の側面と、2組のほぼ等しい長さのほぼ対向する第2の側面とを備え、該第1の側面が、該第2の側面と交互にある、請求項1記載のるつぼ。
【請求項7】
前記第1の側面が前記第2の側面よりも長い、請求項6記載のるつぼ。
【請求項8】
前記第1の側面が前記第2の側面と同じ長さである、請求項6記載のるつぼ。
【請求項9】
前記第1の側面または前記第2の側面がほぼ平らな側面を備える、請求項6記載のるつぼ。
【請求項10】
前記第1の側面または前記第2の側面が湾曲した側面を備える、請求項6記載のるつぼ。
【請求項11】
前記ブロックがグリッドを備え、四角い形状のるつぼにおけるグリッドと比較した場合、角ブロックの百分率に対して側面または中央ブロックの百分率が高い、請求項6記載のるつぼ。
【請求項12】
シリカ、石英、グラファイト、またはSi3N4の少なくとも1つを含む、請求項1記載のるつぼ。
【請求項13】
インゴットを生産するための内部と、インゴットが中で生産される炉の内部形状にほぼ一致する外部形状とを有するるつぼを使用してインゴットを作り出す工程
を含む、炉容量利用のための方法。
【請求項14】
インゴットをブロックに切断するための切断デバイスを使用する工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
25ブロック用の450kgインゴット炉から、32の156mm×156mmブロックが生成される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
25ブロック用の250kgインゴット炉から、21の180mm×180mmブロックが生成される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記炉が、前記るつぼに適合するように変更された炉を含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記インゴットがシリコンを含む、請求項14記載の方法。
【請求項19】
4つの部分的な角ブロックの分析を使用して、全体的なインゴットの品質を決定する、請求項14記載の方法。
【請求項20】
インゴットを生産するための内部と、
インゴットが中で生産される炉の内部形状にほぼ一致する外部形状と
を備えるるつぼであって、
該インゴットが多数のブロックを含み、
該多数のブロックがグリッドを備え、
該炉の内部形状に一致した外部形状が、四角い形状のるつぼを使用する炉から生成できるブロックの数よりも多い数のブロックの生成を可能にし、
該炉の内部形状がほぼ丸い形状を備え、かつ
該るつぼの外周が約8つの主要な側面を備え、該8つの側面が2組のほぼ対向するほぼ等しい長さの長手側面と、2組のほぼ対向するほぼ等しい長さの短手側面とを備え、該長手側面が該短手側面と交互にある、るつぼ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520384(P2013−520384A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554180(P2012−554180)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/CA2011/050111
【国際公開番号】WO2011/103683
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512220938)6エヌ シリコン インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】