説明

ろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板及びこれを用いて製造された物品

【課題】ろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板、これを用いて製造された積層型熱交換器、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ステンレス鋼板の両面に、ストライクNiめっき層、Ni−Pめっき層及びCrめっき層をこの順に設けたろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板;この鋼板からなる複数のプレートとフィンを積層し、互いにろう付けして積層型熱交換器を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板及びこれを用いて製造された物品に関する。本発明のステンレス鋼板は、複数のプレートとフィンを積層し、互いにろう付けすることで製造される積層型熱交換器の製造に使用するプレートの材料として特に適している。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器において、高い伝熱面密度と熱流速とが要求される場合には、積層型のプレート・フィン熱交換器が使用されてきた。EGR(Exhaust Gas Recirculation)(排気ガス再循環装置)は、排気ガスの一部を吸気系に戻し、混合気が燃焼する時の最高温度を低くしてNOxの生成量を抑える装置であり、EGRクーラは、排気の一部を吸気系に戻す途中に装着され、排気を冷やしてエンジンに送り込む働きをする熱交換器である。このような熱交換器は例えば、ステンレス鋼板製の薄板状のプレートと矩形フィンとを多数積層し、複数の構成部品を互いにろう付けすることで一体構造体として製造される。ろう付けに使用されるろう材としては、高温特性と耐食性が要求され、JIS Z 3265−1998に規定されるNiろう BNi−5などが使用されてきた。市販のニッケルろう材には、粉末状、粉末を有機系のバインダで混合したペースト状、さらにアモルファス箔状のものがあり、粉末、ペーストは必要箇所に塗布、介入して、アモルファス箔の場合は、置きろうとして使用される。
【0003】
ペースト状、粉末状のろう材をプレートとフィンの接合部間に塗布、介入させようとすると、その接合個所が非常に多いため、ろう付け作業に多大な労力を要し、製品の生産性は著しく低くなり、その結果、製造コストの上昇を招くという問題がある。近年、熱交換器の高効率化、小型化が加速したため、この問題はさらに顕在化してきた。
【0004】
また、BNi−5 Niろうは耐食性や耐熱性が良好であるが、液相線温度が約1160℃と高いため、ろう付け温度は1200℃以上の高温を必要とする。このため、接合しようとするステンレス鋼板の耐熱強度が低い場合には、反りなどの熱変形が生じる。
【0005】
さらに、ペースト状のろう材では、有機系のバインダを使用するため、バインダの蒸発工程(真空中500℃で20分程度)が必要となるほか、バインダの蒸発にともなう悪臭の発生やろう付け炉内が汚染されるといった問題が生じる。また、アモルファス箔材の場合は、ろう材自体が非常に脆いため、ろう付け製品の組み立て時の取り扱いが難しく、製造コストが高くなるという問題がある。
【0006】
特許文献1〜4においては、めっき皮膜にろう材の機能を持たせる方法が記載されている。これらの方法では、ステンレス鋼板製のプレート材の表面にNi−P(P%=8〜11質量%)の合金めっきを施した後、加熱処理によってNi−P皮膜を溶融させ、フィンとの接合箇所において、ろう材としての機能を持たせている。
【0007】
しかしながら、このNi−Pろうはろう付け温度が低いという利点はあるが、JIS Z 3265−1998に規定されるNiろう BNi−5など、Cr入りのろう材に比べて耐食性が著しく劣るという欠点がある。このため、窒素酸化物や硫酸成分が含まれる排気ガスが流入する厳しい腐食環境のEGRクーラには適応できない。
【0008】
さらに特許文献5には、板厚方向に複数交互に積層されるステンレス鋼板よりなる第1、第2成形プレートの両端面にCr鍍金してクロム系ろう材層を形成し、そのクロム系ろう材層上にNi−P鍍金を施してニッケル系ろう材層を形成し、第1、第2成形プレート間にクロム系ろう材層およびニッケル系ろう材層を介在した状態で一体ろう付け接合することにより、第1、第2成形プレートの両端面にNi−Cr28−P8−他の合金組成を含有する高耐食ろう材を含む高耐腐食性熱交換器の製造方法が記載されている。しかし、この方法は、ステンレス鋼板とクロム系ろう材層との密着性が充分でないという問題がある。
【0009】
【特許文献1】特開昭53−77856号公報
【特許文献2】特開昭53−77858号公報
【特許文献3】特開昭53−123353号公報
【特許文献4】特開平11−148791号公報
【特許文献5】特開2002−28775
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板を提供することである。
本発明の他の目的は、上記ステンレス鋼板を用いて製造された物品を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、複数のプレートとフィンを積層し、互いにろう付けすることで製造される積層型熱交換器の製造に使用するプレートの材料として特に適しているステンレス鋼板を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、積層型熱交換器を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下に示すろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板、これを用いた物品、その製造方法を提供するものである。
1.ステンレス鋼板の少なくとも一方の面に、ストライクNiめっき層、Ni−Pめっき層及びCrめっき層をこの順に設けたことを特徴とするろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板。
2.ステンレス鋼板の両面に、ストライクNiめっき層、Ni−Pめっき層及びCrめっき層をこの順に設けたことを特徴とするろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板。
3.Ni−Pめっき層中のP含量が5〜15質量%である上記1又は2記載のステンレス鋼板。
4.Ni−Pめっき層の厚みが4〜100μmである上記1〜3のいずれか1項記載のステンレス鋼板。
5.Crめっき層の厚みが2〜50μmである上記1〜4のいずれか1項記載のステンレス鋼板。
6.Ni−Pめっき層の厚みとCrめっき層の厚みの比が10:1〜1:10である上記1〜5のいずれか1項記載のステンレス鋼板。
7.Ni−Pめっき層とCrめっき層の全厚が6〜150μmである上記1〜6のいずれか1項記載のステンレス鋼板。
8.上記1〜7のいずれか1項記載のステンレス鋼板を使用して製造された物品。
9.積層型熱交換器である上記8記載の物品。
10.EGRクーラである上記8記載の物品。
11.複数のプレートとフィンを積層し、互いにろう付けして積層型熱交換器を製造する方法において、該プレートの材料が、ステンレス鋼板の両面に、ストライクNiめっき層、Ni−Pめっき層及びCrめっき層をこの順に設けたろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板であることを特徴とする積層型熱交換器を製造する方法。
12.積層型熱交換器が、EGRクーラである上記11記載の方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の多層めっき層を有するステンレス鋼板は、コイル材として多層めっき処理が可能であり、製造コストを大幅に低くすることが可能である。この多層めっき層をろう材として用いることにより、作業性が優れ、安価で、耐食性、ぬれ性が優れ、さらに低融点(1050℃程度)のろう接合を行うことができる。このため、耐食性に優れたろう接合物品、例えば、EGRクーラをはじめとする熱交換器等の物品を安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ステンレス鋼板の表面上へのNi−Pめっきには、その下地処理として脱脂、酸による活性化処理、塩酸+塩化ニッケル浴によるストライクNiめっき処理が必要である。このストライクNiめっき皮膜の存在によって、ステンレス鋼板製プレートとNi−Pめっき層とは強固に密着する。脱脂、酸による活性化処理、塩酸+塩化ニッケル浴によるストライクNiめっき処理はいずれも公知の方法を適用できる。例えば、脱脂は、NaOH等の苛性アルカリの濃度5〜100g/Lのアルカリ電解脱脂剤を用いて、10〜90℃、0.1〜100A/dm2の電流密度で10秒間〜10分間のアノード電解脱脂処理を行えば良い。
【0014】
酸による活性化処理は、上記脱脂処理したものを水洗後、50〜200g/L濃度、例えば、100g/L濃度、30〜80℃、例えば、60℃の塩酸水溶液に1〜10分間、例えば、3分間浸漬して、試料表面を活性化させ、試料を水洗することなく、直ちに、50〜200g/L濃度、例えば、100g/L濃度、5〜50℃、例えば、室温の塩酸水溶液に浸漬後、0.1〜50A/dm2、例えば、5A/dm2の電流密度で0.1〜10分間、例えば、1分間のカソード電解を施し、表面調製を行う。
【0015】
その後、試料を水洗することなく、直ちに、50〜200g/L濃度、例えば、100g/L濃度の塩酸と50〜500g/L濃度、例えば、250g/L濃度の塩化ニッケル(6水和物)の溶液中で、0.1〜30A/dm2、例えば、5A/dm2の電流密度で0.1〜10分間、例えば、1分間のカソード電解を施し、試料表面に0.01〜1μm、例えば、約0.3μm厚さのNiめっき(ストライクNiめっき)を生成させる。このストライクNiめっき処理は、上層となるNi−Pめっきとの密着性を確保する上で欠かせない処理である。
【0016】
Ni−Pめっき方法は、還元剤として次亜リン酸塩、例えば、次亜リン酸ナトリウム等を10〜30g/L濃度で含む浴(pHは好ましくは4〜10)で、70〜100℃、30〜60分間の無電解めっきを行う方法、硫酸ニッケル、塩化ニッケル等のニッケル塩を100〜500g/L濃度で含む水溶液にホスホン酸、リン酸等を5〜200g/L加えた浴(pHは好ましくは0.1〜7)で、20〜80℃、0.1〜50A/dm2、例えば、60℃、5A/dm2の電流密度で5〜30分間の電気めっきを行う方法のいずれでもよい。
【0017】
ただし、無電解めっきに比べて、電気めっきは、短時間で目標厚さまで皮膜を成長させることができるが、電流密度の分布に不均一が生じた場合には、皮膜厚さ、およびP含有量にばらつきが生じる。一方、無電解めっきでは、めっき層の厚さ、P含有量は一定であるが、浴の寿命が短いという欠点がある。
Ni−Pめっき層のP含有量は好ましくは5〜15質量%、さらに好ましくは8〜13質量%である。Ni−Pめっき皮膜中のP含有量が高くなるとともに、液相線温度が低下し、融点が低下するが、15質量%を越えると、過共晶傾向が強くなり、液相線温度が上昇する。
Ni−Pめっき層の厚みは好ましくは4〜100μm、さらに好ましくは4〜50μm、最も好ましくは10〜50μmである。
【0018】
上層のCrめっき層は、一般的に使用されているサージャント浴(三酸化クロム:硫酸=100:1)や、またはこれに電流(析出)効率を上昇させる市販の添加剤や、フッ化物、ケイフッ化物、例えば、ケイフッ化ナトリウム等を1〜10g/L程度加えてもよい。
具体的には、三酸化クロム(200〜500g/L、例えば、320g/L)と硫酸(2〜5g/L、例えば、4g/L)に市販の添加剤(例えば、カニングジャパン(株)製MM−41)を100〜140ml/L加えた浴において、35〜65℃、例えば、55℃、電流密度10〜50A/dm2、例えば、40A/dm2一定で、5〜30分間処理することによりCrめっきを施す。
【0019】
Crめっき層の厚みは好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、最も好ましくは4〜30μmである。
こうして形成された多層めっき皮膜は、下層Ni−Pめっきの融点以上の温度で溶融する。例えばNi−11%Pの融点は880℃であり、これ以上の温度で溶融する。溶融したNi−Pは上層のCrめっき層及び下層のストライクNi層と反応して、これを融解させ、その結果、Ni−Cr−Pの合金組成を有するろうが生成する。
【0020】
本発明において、Ni−Pめっき層の厚みとCrめっき層の厚みの比は、好ましくは10:1〜1:10、さらに好ましくは5:1〜1:5、最も好ましくは3:1〜1:3である。
またNi−Pめっき層とCrめっき層の全厚は好ましくは6〜150μm、さらに好ましくは7〜80μm、最も好ましくは10〜60μmである。
【0021】
上記ステンレス鋼板を使用し、各種の物品を製造することができる。
例えば、ステンレス鋼製の薄板状のプレートと矩形フィンとを複数積層し、該複数の構成部品を加熱して互いにろう付けし、熱交換器を製造する方法において、該プレートとして本発明の上記ステンレス鋼板を使用し、該ステンレス鋼板のNi−Pめっき層の融点より高温、例えば、900〜1200℃で1〜20分間加熱処理することにより積層型熱交換器を製造することができる。この際、ステンレス鋼板の多層めっき層がろう材として機能し、構成部品が互いにろう付けされ、熱交換器が形成される。この方法は、作業性が優れ、安価で、ろう付けされた部分の耐食性、ぬれ性が優れ、さらに低融点(1050℃程度)でろう接合が可能である。この方法によりEGRクーラ等の熱交換器を安価で製造できる。
【0022】
以下、本発明の代表的な実施例を示す。
実施例
板厚0.4mmのフェライト系ステンレス鋼板のSUS430J1Lを供試材として用いた。この供試材の化学組成は、質量%で0.01%C−0.47%Si−0.13%Mn−0.025%P−0.004%S−0.28%Ni−19.30%Cr−0.45%Cu−0.60%Nbである。この供試材を適当な大きさ(20mm×20mm)に切断して、プレート試料とした。
【0023】
試料を、NaOH濃度が40g/Lの市販アルカリ電解脱脂剤を用いて、60℃、5A/dm2の電流密度で1分間のアノード電解脱脂処理した。水洗後に100g/L濃度、60℃の塩酸水溶液に3分間浸漬して、試料表面を活性化させた。
【0024】
試料を水洗することなく、直ちに、100g/L濃度、室温の塩酸水溶液に浸漬後、5A/dm2の電流密度で1分間のカソード電解を施し、表面調製を行った。
【0025】
その後、試料を水洗することなく、直ちに、100g/L濃度の塩酸と250g/L濃度の塩化ニッケル(6水和物)の溶液中で、5A/dm2の電流密度で1分間のカソード電解を施した。これによって、試料表面には約0.3μm厚さのNiめっき(ストライクNiめっき)が生成した。このストライクNiめっきは、上層となるNi−Pめっきとの密着性を確保する上で欠かせない処理である。
【0026】
試料を水洗後、硫酸ニッケル6水和物(170g/L)、85質量%リン酸(50mL/L)、塩化ニッケル6水和物(50g/L)、ホスホン酸(亜リン酸:10g/L)の水溶液中、60℃で電流密度15A/dm2一定で電解時間を変化させながらNi−Pめっきを施した。なお、処理後にNi−Pめっき皮膜のP濃度をEPMA分析した結果、P濃度は12質量%であることが分かった。
【0027】
試料を水洗後、三酸化クロム(320g/L)と硫酸(4g/L)に市販の添加剤(カニングジャパン(株)製MM−41)(120ml/L)を加えた浴において、55℃、電流密度40A/dm2一定で、電解時間を変化させながらCrめっきを施した。
【0028】
このように、ステンレス鋼板製のプレート表面にNi−Pめっきを施した後、上層にCrめっきを施し、これらめっき層をろう材とするプレート試料を調製した(Ni−Pめっき厚さおよびCrめっき厚さの異なる9水準)。この多層めっきプレート試料表面にSUS304鋼(質量%で0.06%C−0.46%Si−0.83%Mn−0.029%P−0.004%S−8.65%Ni−18.20%Cr)製のパイプ(外径1.2mmφ、内径0.9mmφ)を載置し、真空炉内にセットした後、真空度3×10-5torrにおいて1050℃まで昇温させ、5分間の保持後、冷却した。
【0029】
ろう付け前の多層めっき層の密着性、ろう材のろう付け性、耐食性を評価した。
(1)めっき皮膜の密着試験:
ろう付け前のめっき皮膜の密着性は、試料をR=0.4mmでVブロック法の90度曲げして、皮膜の剥離程度を評価した。
○:剥離なし、
×:剥離あり
(2)ろう付け性:
パイプおよびSUS430J1L製プレート材の断面組織が観察できるように試料を切断した。この切断試料を樹脂に埋め込んだ後、湿式およびバフ研磨によって鏡面に仕上げ、レーザー顕微鏡によってろう材の状態を観察して評価した。
○:ろうのはじき無し(ぬれ広がり性良好)
△:ろうのはじき僅かに有り
×:ろうのはじき有り
(3)耐食性:
上記(2)の試料を5質量%塩酸水溶液、30℃に試料を1時間浸漬し、SUS430J1Lプレートとろう材の侵食程度を比較した。
○:ろう材の耐食性がSUS430J1Lプレート材より優れる
△:ろう材の耐食性がSUS430J1Lプレート材と同等
×:ろう材の耐食性がSUS430J1Lプレート材より劣る
【0030】
表1に試料の詳細および評価結果を示す。「−」は試験しなかったことを示す。
ろう付け前のめっき皮膜は、90度曲げ(曲げR=0.4mm)することにより、すべての試料(試料No.1〜9)で軽微な割れが発生したが、皮膜の剥離は認められず、密着性は十分あると考えられる。なお、めっき皮膜の密着性が不完全ならば、高温においてめっき皮膜にフクレ、剥離が発生し、多層めっきの合金化が不完全になるものと推定されるが、ろう付け後にはCr−Ni−Pが合金化されており、めっき皮膜の密着性は優れたものであると判断できる。
【0031】
また、多層めっき層がVブロック法の90度曲げ試験で剥離しなかったことから、ろう付け前の多層めっき皮膜は軽微なプレス加工にも耐え得ると考えられる。さらに、コイル材として多層めっき処理は可能であり、製造コストを大幅に小さくすることが可能と考えられる。
【0032】
【表1】

【0033】
ろう付け性の評価結果から、Ni−P皮膜の厚さは4μm以上、好ましくは10μm以上が望ましいことがわかる。
ろう材の耐食性に関しては、Crめっき厚さが、2μm以上、好ましくは4μm以上が望ましいことがわかる。
【0034】
図1に、試料No.8の条件でろう付けした後のレーザー顕微鏡による断面観察結果を示す。1050℃で5分間の短時間ろう付けにもかかわらず、ぬれ広がり性も十分であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例(試料No.8)のろう付け後の断面のレーザー顕微鏡による観察結果を表わす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼板の少なくとも一方の面に、ストライクNiめっき層、Ni−Pめっき層及びCrめっき層をこの順に設けたことを特徴とするろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板。
【請求項2】
ステンレス鋼板の両面に、ストライクNiめっき層、Ni−Pめっき層及びCrめっき層をこの順に設けたことを特徴とするろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板。
【請求項3】
Ni−Pめっき層中のP含量が5〜15質量%である請求項1又は2記載のステンレス鋼板。
【請求項4】
Ni−Pめっき層の厚みが4〜100μmである請求項1〜3のいずれか1項記載のステンレス鋼板。
【請求項5】
Crめっき層の厚みが2〜50μmである請求項1〜4のいずれか1項記載のステンレス鋼板。
【請求項6】
Ni−Pめっき層の厚みとCrめっき層の厚みの比が10:1〜1:10である請求項1〜5のいずれか1項記載のステンレス鋼板。
【請求項7】
Ni−Pめっき層とCrめっき層の全厚が6〜150μmである請求項1〜6のいずれか1項記載のステンレス鋼板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載のステンレス鋼板を使用して製造された物品。
【請求項9】
積層型熱交換器である請求項8記載の物品。
【請求項10】
EGRクーラである請求項8記載の物品。
【請求項11】
複数のプレートとフィンを積層し、互いにろう付けして積層型熱交換器を製造する方法において、該プレートの材料が、ステンレス鋼板の両面に、ストライクNiめっき層、Ni−Pめっき層及びCrめっき層をこの順に設けたろう付け用多層めっき層を有するステンレス鋼板であることを特徴とする積層型熱交換器を製造する方法。
【請求項12】
積層型熱交換器が、EGRクーラである請求項11記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−161801(P2009−161801A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340697(P2007−340697)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000230869)日本金属株式会社 (29)
【Fターム(参考)】