説明

ろ過膜、ろ過膜の洗浄手段および前処理手段の選択方法

【課題】無機物および有機物のうち、少なくとも一方の成分を含有する被処理液を膜ろ過法で処理するに当たり、少量のサンプルを用い、短時間で、簡便に、かつ精度良く各被処理液に好適なろ過膜を選択する方法、ろ過膜の洗浄手段の選択方法、及びろ過膜の前処理手段の選択方法を提供すること。
【解決手段】被処理液を処理する液体処理プロセスに適用するろ過膜の選択方法であって、複数のろ過膜それぞれについて、被処理液中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも1種以上の成分の吸着量を測定し、成分の吸着量が最少となるようなろ過膜を、液体処理プロセスのろ過膜として選択することを特徴とするろ過膜の選択方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川水、湖沼水、地下水、下排水、下水二次処理水、海水等を原水とする水処理分野、および、タンパク質等の有価物の分離、精製、濃縮等の分野に、膜ろ過法を適用するに当たり、被処理水に適したろ過膜の選択方法、該ろ過膜の洗浄方法の選択方法、及び前処理方法の選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
限外ろ過膜や精密ろ過膜などを用いた膜ろ過法は、膜の孔径以上の成分を確実に分離できること、および相転移を伴わず省エネルギーな分離手段であるなどの特徴を有する。このため、膜ろ過法は、河川水、湖沼水、地下水、下排水、下水二次処理水、海水等を原水とする水処理分野や、タンパク質などの有価物の分離、精製、濃縮を目的とした医薬、発酵、食品分野など、幅広い分野において適用されている。
【0003】
膜ろ過法を用いて、各種被処理液をろ過する場合、該被処理液に含まれる無機物および/または有機物の一部は、膜細孔内もしくは膜表面に吸着、閉塞または堆積し、いわゆる濃度分極層やケーク層を形成する。その結果、いわゆるファウリング現象が生じ、ろ過性能は、純水をろ過した場合の透過流束に比べて、数分の1から数十分の1まで低下する。この様なファウリング現象によりろ過性能が低下すると、より多くの膜面積が必要となり、膜ろ過設備が大きくなるため、設備のイニシャルコストの増大を引き起こすことになる。また、膜ファウリングを低減するため、定期的に逆流洗浄やエアバブリング等の物理洗浄を行うため、エネルギーコストが増大する。さらに、この様な物理洗浄でも除去できないファウリング物質はアルカリ、酸、酸化剤等の薬品洗浄を行う必要があるため、薬品コストの増大やろ過膜の寿命を短くするため、大きな問題となっている。
【0004】
この様に、膜ファウリングは、種々の分野に膜ろ過システムを適用する場合の経済的な障害となっている。あるいは、このような経済的な問題以外にも、タンパク質を分離・精製する際には、タンパク質によるファウリングにより、目的タンパク質の分離度が低下するなどの問題も発生し、膜ろ過法の適用を制限している。
【0005】
この様な膜のファウリング現象には、被処理液に含まれる無機物および/または有機物のなかで膜ファウリングを引き起こす成分の大きさと、使用するろ過膜の細孔の大きさで決まる物理的な因子の他に、吸着のし易さなどのファウリングを引き起こす成分とろ過膜との物理化学的な相互作用も重要な因子となる。従って、膜ファウリングを低減するためには、各被処理液に含まれる無機物および/または有機物とろ過膜との物理化学的な相互作用に注目し、適切なろ過膜を選択する必要がある。さらに、被処理液に含まれる無機物および/または有機物の中でファウリングを引き起こす成分を効果的にろ過膜から除去する膜の洗浄手段や、これらの成分をろ過膜に供給する前に効果的に除去できる前処理手段を選定することも膜ファウリングを抑制するためには重要になる。
【0006】
従来、ある被処理液をろ過膜を用いて処理する際、被処理液に適したろ過膜、ろ過膜の洗浄手段および前処理手段を選定し、効率的な膜ろ過を行う方法として、ラボスケールあるいはパイロットスケールの実験装置にて、実際に被処理液をろ過することが行われてきた。特許文献1には、ラボスケールのろ過装置にて、被処理液をろ過し、被処理液中のろ過膜を透過しない成分によるろ過抵抗および、物理洗浄による剥離性を測定することにより、被処理液を処理するに適したろ過膜の選定方法が提案されている。また、特許文献2には、被処理液中に含まれるある成分とろ過膜との相互作用を、被処理液中に含まれる成分に特徴的な官能基で修飾されたコロイドプローブとろ過膜との相互作用を原子間力顕微鏡にて測定し、被処理液を処理するのに適したろ過膜を選定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−12468号公報
【特許文献2】特開2009−61416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来行われてきたパイロットスケールの実験装置を用いて実際に被処理液をろ過し、ろ過膜、ろ過膜の洗浄手段、および、前処理手段を選定する方法は、選定の確実性は高まるものの、試験装置の準備に多額の費用を要すること、多量の被処理液を必要とすること、及び、例えば水処理分野の場合、半年間から1年間の長期の試験を行う必要があり、膜ろ過法を導入する際の障害となっていた。
【0009】
また、特許文献1に開示されたラボスケールで、被処理液を実際にろ過する方法も、パイロットスケールでの試験に比べれば、試験費用と試験時間は縮減できるものの、試験時間そのものは長時間を必要とし、さらに、設備導入後に行われる実際のろ過運転に比べて、はるかに短時間のろ過であるため、ろ過性の評価精度が低下する問題があった。
【0010】
さらに、特許文献2に開示された、被処理液中の特定の成分を特徴づける官能基を修飾したコロイドプローブとろ過膜との相互作用を測定する方法は、少数の例を除き、通常は被処理液中の成分そのものを用いることができず、成分を特徴づける官能基とろ過膜との相互作用を測定するため、予測精度が低下したり、あるいは、多成分系での測定が困難であったり、さらに、測定に特殊な技術が必要となるため、汎用性のある測定方法とはならない等の問題があった。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、無機物および有機物の少なくとも一方の成分を含有する被処理液を膜ろ過法で処理するに当たり、少量のサンプルを用い、短時間で、簡便に、かつ精度良く各被処理液に好適なろ過膜を選択する方法、ろ過膜の洗浄手段の選択方法、及びろ過膜の前処理手段の選択方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、被処理液中に含有される無機物および有機物の少なくとも一方の成分のろ過膜への吸着量が被処理液を膜ろ過した際のろ過性能と強く相関することを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)被処理液を処理する液体処理プロセスに用いられるろ過膜の選択方法であって、複数のろ過膜それぞれについて、被処理液中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも1種以上の成分の吸着量を測定し、その成分の吸着量が最少となるようなろ過膜を前記液体処理プロセスのろ過膜として選択することを特徴とするろ過膜の選択方法。
(2)被処理液を処理する液体処理プロセスに用いられるろ過膜の洗浄手段の選択方法であって、被処理液中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも1種以上の成分のろ過膜への吸着量を測定し、吸着量が最大値を示す成分をろ過膜から除去可能な洗浄手段を、液体処理プロセスにおけるろ過膜の洗浄手段として選択することを特徴とするろ過膜の洗浄手段の選択方法。
(3)被処理液を処理する液体処理プロセスに用いられるろ過膜の前処理手段の選択方法であって、被処理液中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも1種以上の成分のろ過膜への吸着量を測定し、吸着量が最大値を示す成分を被処理液から除去可能な前処理手段を、液体処理プロセスにおけるろ過膜の前処理手段として選択することを特徴とするろ過膜の前処理手段の選択方法。
(4)複数のろ過膜それぞれについて、被処理液中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも2種以上の成分の吸着量を測定することを特徴とする(1)のろ過膜の選択方法。
(5)上記の成分のろ過膜への吸着量の測定を、水晶発振子マイクロバランス法を用いて行うことを特徴とする(1)のろ過膜の選択方法。
(6)上記の成分のろ過膜への吸着量の測定を、水晶発振子マイクロバランス法を用いて行うことを特徴とする(2)のろ過膜の洗浄手段の選択方法。
(7)上記の成分のろ過膜への吸着量の測定を、水晶発振子マイクロバランス法を用いて行うことを特徴とする(3)のろ過膜の前処理手段の選択方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るろ過膜の選択方法によれば、無機物および有機物のうち、少なくも一方の成分を含有する被処理液をろ過膜で処理するにあたり、少量のサンプルで、短時間に、簡便に、かつ精度良く被処理液を処理するのに適したろ過膜を選択することができる。
また、本発明に係るろ過膜の洗浄手段の選択方法によれば、少量のサンプルで、短時間に、簡便に、かつ精度良く被処理液を処理するろ過膜に適した洗浄手段を選択することができる。
また、本発明に係るろ過膜の前処理手段の選択方法によれば、少量のサンプルで、短時間に、簡便に、かつ精度良く被処理液を処理するろ過膜に適した前処理手段を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】吸着量を測定する装置の概略を示す図である。
【図2】図1で示す装置によって吸着量を測定した結果の一例を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例を説明するに当たり、ろ過膜のろ過性能を評価するための装置の概略を示す図である。
【図4】本発明の実施例を説明するに当たり、ろ過膜のろ過時間−透過流束保持率(J/J)の測定結果のグラフを示す。
【図5】本発明の実施例を説明するに当たり、ろ過膜のろ過時間−BSAの阻止率の測定結果のグラフを示す。
【図6】本発明の実施例を説明するに当たり、BSAの吸着量を測定した結果のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して用いることができる。
【0017】
本実施の形態の液体処理プロセスは、ろ過膜を用いて、無機物および/または有機物(無機物および有機物の少なくとも一方の成分)を含有する被処理液(以下、単に「被処理液」と記載する場合がある。)を、ろ過膜を用いて、ろ過処理する工程を含む処理プロセスである。
【0018】
本実施の形態の液体処理プロセスの処理対象である、無機物および/または有機物を含有する被処理液は、膜ろ過法が適用できる液体であれば特に限定されず、例えば、河川水、地下水、湖沼水、ダム水、海水、下水、下水二次処理水、各種工場排水、プール水、浴槽水、発酵液、培養液などが挙げられる。
【0019】
被処理液は、その用途に応じて、種々の大きさ、形状、濃度の無機物および/または有機物を含有する。河川水等においては、有機物としては、例えば、低分子量や高分子量のフミン質、多糖類、タンパク質およびこれらのコロイド状物質が挙げられ、無機物としては、例えば、イオン状の鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、シリカやこれらのコロイド状物質、またはカオリン、ベントナイトなどの微粒子などが挙げられる。
【0020】
生物処理と膜分離を組み合わせた膜分離活性汚泥法において処理される被処理液においては、生物処理に供される原水中に含まれる各種無機物および/または有機物に加え、有機物として、例えば、活性汚泥を形成する各種微生物およびこれらの死骸や代謝物などが挙げられる。
【0021】
本実施の液体処理プロセスにろ過膜を適用する際は、中空糸膜の場合、通常、数百本から数千本の中空糸膜を束ね、エポキシ樹脂やウレタン樹脂により両端部をケースなどに接着した膜モジュールとして使用される。膜モジュールの型式としては、特に限定されず、例えば、中空糸多孔膜の束全体をケースで覆ったケーシングタイプ、および中空糸多孔膜の束の両端部など一部をケース等に収めたケーシングレスタイプの膜モジュールなどが挙げられる。膜モジュールの型としては、特に限定されず、例えば、円筒型や矩形型などが挙げられる。また、平膜状のろ過膜の場合は、樹脂製あるいは、金属性の支持体に平膜を固定した形状の膜モジュールとして使用される。これらの膜モジュールは、1つずつろ過装置に取り付けても良いし、あるいは、複数の膜モジュールを1つのラックに固定したものをサブユニットとし、このサブユニットを複数個並べて使用することも可能である。
【0022】
本実施の形態の液体処理プロセスにおいて、ろ過膜により被処理液をろ過する方法は、特に限定されず、例えば、中空糸状ろ過膜の場合、ろ過膜の外表面側から内表面側へろ過する外圧ろ過方式、逆に、内表面側から外表面側にろ過を行う内圧ろ過方式を採用することができる。さらに、外圧ろ過方式の場合、膜の外表面側からポンプ等により被処理液を加圧する加圧ろ過方式、内表面側から被処理液を吸引する吸引ろ過方式などの方法が挙げられる。ろ過する際、中空糸多孔膜に供給する被処理液の全量をろ過する全量ろ過方式と供給する被処理液の一部をろ過し、残りの被処理液を循環させるクロスフローろ過方式のいずれの方式も用いることができる。
【0023】
本実施の形態の液体処理プロセスにおいて、上記ろ過膜を用いて、上記被処理液をろ過すると、被処理液中の無機物および/あるいは有機物の1つ以上の成分がろ過膜の細孔内および/または表面に堆積する、いわゆる膜ファウリングが発生する。このような膜ファウリングが発生すると、一定のろ過流量を得る定流量ろ過方式の場合は、ろ過圧力が次第に上昇し、あるいは、一定の圧力でろ過を行う定圧ろ過方式の場合は、得られるろ過水量が次第に減少する。
【0024】
従って、これらの膜ファウリングを発生させる被処理液中の成分が吸着し難いろ過膜を選択したり、また、膜ファウリングを発生させる被処理液中の成分をろ過膜から効率的に除去できるろ過膜の洗浄手段を選択したり、また、膜ファウリングを発生させる被処理液中の成分を被処理液から効率的に除去できるろ過膜の前処理手段を選択したりできれば、高いろ過性能を達成することができる。
【0025】
以下、被処理液を処理する液体処理プロセスに用いられるろ過膜の選択方法について示し、さらに、液体処理プロセスに用いられるろ過膜の洗浄手段の選択方法について示し、さらに、液体処理プロセスに用いられるろ過膜の前処理手段の選択方法について示す。
まず、最初に、液体処理プロセスに用いられるろ過膜として選択候補となるろ過膜について説明する。
[ろ過膜]
【0026】
本実施の形態に係るろ過膜は、逆浸透膜、ナノろ過、限外ろ過膜、精密ろ過膜を指す。中でも、高い透水性能を達成できるため、細孔径が比較的大きな限外ろ過膜や精密ろ過膜が好適である。
【0027】
本実施の形態のろ過膜の細孔径は、好ましくは1nm〜10μm、より好ましくは2nm〜1μmである。細孔径が1nm以上であれば、膜のろ過抵抗が低く、十分な透水性能が得られ、また、10μm以下であれば、分離性能にも優れた膜が得られる。本実施の形態において、細孔径は、粒子径が既知の指標物質をろ過し、阻止率が90%以上である指標物質の大きさを細孔径とすることにより測定することができる。具体的には、指標物質として、単分散ポリスチレン粒子を用いることにより、20〜30nm以上の細孔径を有する膜の測定を行うことができ、また、指標物質として、合成高分子やタンパク質を用いることにより、20〜30nm以下の細孔径を有する膜の測定を行うことができる。
【0028】
本実施の形態のろ過膜の形状は、通常、その分野で使用されている形状のろ過膜であれば、特に限定されず、平膜、中空糸、チューブラー、モノリスなどを例示することができる。中でも、単位体積あたりの膜面積を大きくとることができ、ろ過装置をコンパクトにできるため、中空糸膜が好適である。中空糸膜の内径は50μm〜2mmであることが好ましい。内径が50μm以上であれば、被処理液やろ過水が中空部を流れる時に発生する圧力損失を低く抑えることが可能であり、また、2mm以下であれば、単位体積当たりの膜充填密度を高くすることができ、コンパクト化が可能である。
【0029】
中空糸多孔膜の膜厚は50μm〜1mmであることが好ましい。膜厚が50μm以上であれば、ろ過膜の外から、あるいは内からかかる圧力に耐える十分な圧縮あるいは破裂強度を得ることができ、また、1mm以下であれば、単位体積当たりの膜充填密度を高くすることができ、コンパクト化が可能である。本実施の形態の中空糸多孔膜は、内径が50μm〜2mmであり、かつ膜厚が50μm〜1mmであることが好ましく、内径が100μm〜1mmであり、膜厚は100μm〜500μmであることがより好ましい。本実施の形態において、中空糸多孔膜の内径および膜厚は、以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0030】
本実施の形態において、ろ過膜の膜厚の断面の構造は特に限定されず、膜の両表面に緻密なスキン層を有する構造、膜の片方の端面から他方の端面に細孔径が徐々に変化する傾斜構造、細孔径が異なる少なくとも2つ以上の層からなる複合構造、ろ過膜の断面がどこも均一な細孔径を有する均一構造などを例示することができる。どの構造のろ過膜を選択するかは、ろ過膜を適用する各用途の特性を考慮し、決定すれば良い。
【0031】
本実施の形態において、ろ過膜の空隙率は、20%〜90%であることが好ましい。空隙率が20%以上であれば、優れた透水性能を有し、また、90%以下であれば、実用的な強度特性を有する膜を得ることが可能である。本実施の形態において、空隙率は、中空部を除いた細孔内に水を含浸した中空糸多孔膜の湿潤状態の質量と絶乾状態の質量との差分を、中空部を除く膜体積で除することで測定することができる。
【0032】
本実施の形態において、ろ過膜の素材は、高分子膜、無機膜のいずれの膜でもよいが、製膜の自由度が高く、かつ安価に製膜できることから高分子膜が好ましい。高分子ろ過膜は、二重環式の紡糸口金より高分子を吐出し、ついで、相分離法、延伸開孔法、およびトラックエッチング法などにより多孔膜とすることにより製造することができる。
【0033】
例えば、相分離法としては、高分子を溶解できる溶媒に、高分子を溶かし、その後、二重環式の紡糸口金より中空剤として水や溶媒と共に吐出し、非溶剤と接触させ、相分離を誘起する非溶剤誘起相分離法や、高分子を常温では溶解しないが高温で溶解する潜在溶媒に溶解し、二重環式紡糸口金より中空剤として空気や溶媒と共に吐出し、空気や水と接触させることにより冷却し、相分離を誘起する熱誘起相分離法などが挙げられる。
【0034】
延伸開孔法、およびトラックエッチング法としては、高分子を高温で融解し、高分子液を、二重環式の紡糸口金より中空剤として吐出し、その後、延伸、またはエッチングすることにより開孔させる方法などが挙げられる。
【0035】
高分子膜の素材としては、特に限定されないが、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、セルロース、酢酸セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、およびポリメチルメタクリレートなどが挙げられ、これらを単独で使用することもできるし、2種類以上を混合して使用することもできる。
【0036】
本実施の形態に係るろ過膜の選択方法では、上述の態様に含まれる複数種のろ過膜を準備し、さらに、液体処理プロセスで処理される被処理液のサンプルを準備する。次に、サンプル中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも1種以上の成分の吸着量を測定し、成分の吸着量が最少となるようなろ過膜を、液体処理プロセスのろ過膜として選択する。
【0037】
次に、液体処理プロセスに用いられるろ過膜の洗浄手段について説明する。ここで、ろ過膜の洗浄手段の選択候補となる洗浄方法について説明する。
[ろ過膜の洗浄方法]
【0038】
ろ過膜の洗浄手段としては、これまでろ過していた表面とは別の表面からろ過水の一部を供給する逆流洗浄手段、ろ過膜のろ過側の表面を気体を含む液体を曝す空気洗浄手段などの物理的洗浄手段、およびアルカリ、酸、酸化剤等の化学薬品を用いてろ過膜を洗浄する化学的洗浄手段を採用することができる。
【0039】
本実施の形態において、逆流洗浄する方法は、特に限定されず、例えば、膜ろ過水等の清澄な液をポンプ、ヘッド差等により膜のろ過面とは別の表面からろ過面へ加圧ろ過し、得られた洗浄排水をろ過システムの系外へ排出する方法が挙げられる。
【0040】
逆流洗浄に使用する液体は、ろ過膜を汚染することがない液体であれば、特に限定されないが、通常、膜ろ過水を用い、また、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウムなどのファウリングを防止する効果がある化学薬品を添加することも可能である。逆流洗浄の頻度、圧力、水量は、使用する用途により適宜選択することができる。
【0041】
本実施の空気洗浄の方法は、通常用いられる方法であれば特に限定されないが、例えば、膜モジュールがケーシングタイプであれば、膜モジュールの被処理液が接触する一次側に、直接または膜モジュールに至る配管のいずれかの位置から空気を導入する方法が挙げられる。ケーシングレスタイプの膜モジュールの場合、膜モジュールを浸漬槽に浸漬し、膜モジュールの下部あるいは、浸漬槽底部に設置した配管から空気を供給する方法により、空気洗浄を行うことができる。
【0042】
空気洗浄の頻度、圧力、空気量は、使用する用途により適宜選択することができる。さらに、空気以外にオゾンガスなどのファウリングを防止する効果があるガスを用いることも可能である。
【0043】
本実施の形態の化学洗浄方法において使用できる化学薬品は、硫酸、硝酸、塩酸などの無機酸、クエン酸、シュウ酸などの有機酸、苛性ソーダなどのアルカリ、次亜塩素酸ソーダ、塩素、過酸化水素、オゾン等の酸化剤、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤等を用いることができる。
【0044】
これらの化学薬品は、被処理液に直接混合してから膜ろ過することもできるし、あるいは、被処理液を一定期間ろ過後、ろ過水等の清澄水と混合してろ過膜を洗浄することもできる。
【0045】
ろ過水等の清澄液と混合して使用する場合、ろ過膜の被処理液と接触する一次側に循環して洗浄する方法、ろ過膜の一次側からろ過水側(二次側)へろ過して洗浄する方法、循環とろ過を組み合わせて洗浄する方法、さらに、二次側から一次側へ逆流洗浄して洗浄する方法が挙げられる。
【0046】
また、被処理液中に含まれる無機物および/または有機物の複数の成分が膜ファウリングに影響する場合、これらを除去するために、アルカリ洗浄と酸洗浄の組み合わせ、アルカリ洗浄と酸化剤洗浄の組み合わせ、酸と酸化剤洗浄の組み合わせ、アルカリ・酸・酸化剤の組み合わせなど、適宜、化学薬品洗浄は組み合わせや順序を変えて行うことができる。さらに、上記化学洗浄は、上記物理洗浄と組み合わせて使用することも可能である。
【0047】
化学洗浄に使用する化学薬品の濃度と量、化学洗浄の頻度、時間などは、対象とする被処理液により、適宜決めれば良い。
【0048】
本実施形態に係るろ過膜の洗浄手段の選択方法では、被処理液(サンプル)中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも1種以上の成分のろ過膜への吸着量を測定する。このろ過膜とは、例えば、上述のろ過膜の選択方法によって選択されたろ過膜である。
【0049】
所定の成分のろ過膜への吸着量を測定する際に、測定成分が2種類以上である場合には、吸着量が最大値を示す成分を、膜ファウリングを発生させる可能性の最も高い成分であると仮定し、この成分をろ過膜から除去可能な手段を洗浄手段として選択する。また、測定成分が1種類である場合には、その1種類の成分が「吸着量が最大値を示す成分」になり、この成分を除去可能な手段を洗浄手段として選択する。なお、本実施の形態では、上述した洗浄手段の各態様のうち、ろ過膜への吸着量が最大値を示す成分を最も効率よく除去する手段を洗浄手段として選択することが望ましいが、この成分を除去可能であれば、経済性や環境への影響等も加味して適宜に選択することも可能である。
【0050】
次に、液体処理プロセスに用いられるろ過膜の前処理手段の選択候補となる前処理方法について説明する。
[ろ過膜の前処理方法]
【0051】
本実施の形態の液体処理プロセスにおいて、上記ろ過膜を用いて、上記被処理液をろ過すると、被処理液中の無機物および/または有機物の1つ以上の成分がろ過膜の細孔内および/あるいは表面に堆積する、いわゆる膜ファウリングが発生し、ろ過膜の処理性能を低下させる。従って、ろ過膜の処理性能を低下させる被処理液中の成分をろ過膜に供給する前に予め除去できる前処理方法を選択できれば、ろ過膜は、高い処理性能を発現することができる。
【0052】
本実施の形態におけるろ過膜の前処理方法としては、凝集沈殿処理、加圧浮上処理、生物処理、マンガン除去手段、遠心分離、ストレーナー、紫外線照射、酸化剤等の薬剤の添加などの前処理を挙げることができる。
【0053】
本実施形態に係るろ過膜の前処理手段の選択方法では、被処理液(サンプル)中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも1種以上の成分のろ過膜への吸着量を測定する。このろ過膜とは、例えば、上述のろ過膜の選択方法によって選択されたろ過膜である。
【0054】
所定の成分のろ過膜への吸着量を測定する際に、測定成分が2種類以上である場合には、吸着量が最大値を示す成分を、膜ファウリングを発生させる可能性の最も高い成分であると仮定し、この成分を被処理液から除去可能な手段を前処理手段として選択する。また、測定成分が1種類である場合には、その1種類の成分が「吸着量が最大値を示す成分」になり、この成分を除去可能な手段を前処理手段として選択する。なお、本実施の形態では、上述した前処理手段の各態様のうち、ろ過膜への吸着量が最大値を示す成分を最も効率よく除去する手段を前処理手段として選択することが望ましいが、この成分を除去可能であれば、経済性や環境への影響等も加味して適宜に選択することも可能である。
[吸着量の測定方法]
【0055】
本実施の形態のろ過膜、ろ過膜の洗浄手段、および前処理手段を選択するために、被処理液中に含有される無機物および/または有機物のろ過膜への吸着量は、水晶発振子マイクロバランス法(以下、QCM法と略す)を用いて測定することが可能である。
【0056】
本実施の形態において使用されるQCM法にて吸着量を測定するための装置(QCM測定装置)の一例について図1を参照して説明する。図1は、吸着量を測定する装置の概略を示す図である。QCM測定装置8では、原水タンク1に満たされた無機物および/または有機物を含有する原液(被処理液)は、ペリスターポンプ2により、配管3を経てモジュールユニット4に供給され、配管5より排出される。QCM測定装置8では、この装置8によれば、流通系にて吸着試験が行えるため、膜ろ過の状態に近い、精度の高いろ過予測が可能となる。モジュールユニット4には、ろ過膜と同じ樹脂でスピンコーティングされた水晶振動子センサーが設置されており、コントロールユニットより電圧が印加されており、無機物および/または有機物成分が吸着されると、センサーの振動数f[Hz]が変動する。この変動の様子は、コントロールユニットを経てパソコンで電子データとして収集する。吸着試験の結果の一例を図2に示す。
【0057】
吸着試験の結果を取得する際には、まず、バッファー溶液を通液し、センサーを安定化させる。次に、無機物および/または有機物を含有するサンプル液(この例では、タンパク質を含有する溶液)を通液する。この通液により、タンパク質がセンサーに吸着するにつれて、センサーの振動数f[Hz]は変化する。この振動数の変化Δfは、理論式を用いて吸着したタンパク質の質量へ変換することが可能である。計算の詳細に関しては、実施例にて説明する。
【実施例】
【0058】
以下、本実施の形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる測定方法は以下のとおりである。以下の測定は全て25℃で行った。
【0059】
(1)内径および膜厚(μm)の測定
中空糸多孔膜を膜長手方向に垂直な向きにカミソリ等で薄く切り、顕微鏡を用いて断面の内径と膜厚を測定した。
【0060】
(2)純水透過流束(L/m/hr/bar)の測定
図3に中空糸多孔膜のろ過性能を評価するために使用した装置の概略図を示した。約10cm長の純水で湿潤させた中空糸多孔膜14を内径3mmのチューブ13にセットし、両端部をシリコンキャップ15で密栓した。次に、一方のシリコンキャップ15から端部を封止した注射針16を刺し中空糸多孔膜14の中空部にセットした。また、他方のシリコンキャップ15から端部が開口した注射針17を刺し、中空糸多孔膜14の中空部にセットした。その後、原液タンク8に充填された純水は窒素ボンベ9による窒素圧により、バルブ10、配管11を経て中空糸多孔膜14がセットされたチューブ13へ送られ、一部の水はバルブ20を経て出口19から系外へ排出された。また、チューブ13へ送られた水の一部は中空糸多孔膜14でろ過された。注射針17から出てくるろ過された純水の透過水量を測定し、以下の式により純水透過流束を求めた。この時、チューブ13内の中空糸多孔膜14を除いた断面部分を流れる水の線速は0.04m/sであり、圧力計12および圧力計18の圧力の平均値は0.05MPaであった。
【0061】
【数1】

【0062】
上記式1において、膜有効長とは、注射針が挿入されている部分を除いた、中空糸多孔膜の正味の膜長を指し、πは、円周率を指す。
【0063】
(3)透過流束保持率J/Jの測定
リン酸二水素ナトリウムとリン酸水素二ナトリウムをpH7となるように混合し(PBSバッファー)、0.1mol/Lのバッファー液を得た。このバッファー液にウシ血清アルブミン(BSA)を50mg/Lとなる様に混合し、BSA水溶液を得た。次に、図3に示した装置にて、原液タンク8に50mg/LのBSA水溶液を充填した以外は、上記(2)の純水透過流束と同様の操作を実施し、20分間ろ過を行い、バルブ10を閉じた。次に、バルブ22を開け、純水タンク21から純水を配管23と注射針17を繋いで、中空糸多孔膜14の中空部に供給し、内表面側から外表面側へ透過した逆流洗浄排水をバルブ20の出口19から系外へ排出した。逆流洗浄後、再び、50mg/LのBSA水溶液のろ過を行った。このろ過と逆流洗浄の繰り返しを3回行った。得られた膜ろ過水の透過流束Jと上記(2)で得られた純水透過流束Jを用いて、以下の式2より、透過流束保持率J/Jを算出した。
【0064】
【数2】

【0065】
(4)阻止率の測定
上記(3)において、50mg/LのBSA水溶液をろ過する際、供給液中のBSA濃度Cとろ過液中のBSA濃度Cから、下記の数式に基づき、BSAの阻止率を計算した。なお、BSAの濃度は、供給液およびろ過液の波長270nmの吸光度を測定し、決定した。
【0066】
【数3】

【0067】
(5)分画分子量の測定
重量平均分子量17,500〜450,000のデキストランと内部標準物質としてエチレングリコールを各1000mg/Lの濃度で脱イオン水に溶解し、サンプル液とした。このサンプル液を中空糸多孔膜14の内表面から外表面へ、膜間差圧0.05MPa、線速0.65〜0.84m/sでろ過を行った。供給液およびろ過液中のデキストラン濃度を、HPLC測定(検出はRI)により求め、式3を用いてデキストランの阻止率を算出した。
[実施例1]
【0068】
(多孔膜の作成)
エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH;日本合成化学社製;ソアノールET3803(商品名))16質量%とジメチルスルホキシド(DMSO)84質量%を25℃で17時間攪拌し、その後、1時間静置し、均一な高分子ポリマー溶液を得た。次に、このポリマー溶液を二重環式紡糸口金を用い、内部凝固液として25℃の水を用いて、吐出線速度0.06m/s、温度25℃で吐出し、空走距離50mmで、25℃の水を満たした凝固浴にて固化し、0.09m/sの速度で巻き取った。巻き取った中空糸ポリマーは、水に浸漬し、溶媒であるDMSOを除去し、中空糸多孔膜を得た。ポリエーテルスルホン樹脂(PES;BASF社製;ウルトラゾンE6020P(商品名))、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF;Solvay Advanced Polymers社製;ソレフ6020(商品名))についても、表1に示した製膜条件に基づき、中空糸膜を得た。
【0069】
【表1】

【0070】
表2に実施例および比較例で使用した中空糸多孔膜の特性を示す。
【0071】
【表2】

【0072】
純水透過流束70〜100L/m/h/bar、デキストラン阻止率78〜98%であり、どの膜も同レベルの物性を示した。また、50mg/LのBSA水溶液をろ過した際に得た透過流束保持率J/Jを図4に示す。60分間ろ過後の透過流束保持率は、EVOH膜が0.65、PES膜が0.6、PVDF膜が0.4であった。また、ろ過中のEVOH、PES、PVDF膜によるBSAの阻止率を図5に示す。阻止率は、PVDF膜が一番高く、次いで、PES膜、EVOH膜の順で低下した。この結果と図4の透過流束保持率の結果から、PVDF膜は、BSAをより多く阻止したため、透過流束保持率が低下したと考えられる。他方、EVOH膜は、BSAの阻止率が低かったため、透過流束保持率が高かったと考えられる。
【0073】
(QCM測定)
EVOH樹脂をジメチルスルホキシドに、PES樹脂とPVDF樹脂をN,N−ジメチルホルムアミドにそれぞれ0.5質量%溶解させて、樹脂の均一溶液を得た。その後、UVクリーナーを10分間照射して洗浄した水晶振動子センサー(表面を金でコーティング)に、樹脂の均一溶液を2000rpmで60秒間スピンコーティングし、80℃で30分間加熱し、溶媒を蒸発させ、樹脂をコーティングしたセンサーを得た。このセンサーを図1に示したQCM測定装置に設置し、吸着量の測定を行った。前記樹脂をコーティングした水晶振動子センサーを備えたモジュールユニットにペリスターポンプを用いて流量40μL/分でPBSバッファーを10分間以上供給し、センサーを安定させた。その後、濃度5〜1000mg/LのBSA水溶液を30分間供給し、BSAをセンサーに吸着させた。センサーに吸着したBSAの質量Γは、センサーの振動数の変化Δfとセンサーに固有の定数Cを用いて、下記のSauerbreyの式から算出した。
【0074】
【数4】

【0075】
BSAの濃度とBSA吸着量の関係を図6に示す。全ての濃度において、BSAの吸着量は、EVOH樹脂が最も少なく、次いで、PES樹脂、PVDF樹脂の順に多くなった。この結果は、図5に示したBSAの阻止率の結果と一致しており、QCM測定が膜のろ過性能を予測する有効な手段であることが示された。
【0076】
本実施例における吸着量の測定対象はBSAである。そして、本実施例に係るろ過膜の選択方法では、上記の結果に基づき、EVOH樹脂からなる中空糸多孔膜、PES樹脂からなる中空糸多孔膜、及びPVDF樹脂からなる中空糸多孔膜のうち、BSA吸着量が最小となるEVOH樹脂からなる中空糸多孔膜を本実施例に係る液体処理プロセスに用いられるろ過膜として選択した。
[比較例]
【0077】
EVOH樹脂、PES樹脂、PVDF樹脂をホットプレスにて、250℃、0.2MPaで3分間加熱し、非多孔の各種フィルムを得た。また、窒化シリコンカンチレバーに、表面をBSA修飾したシリカ粒子を取り付け、コロイドプローブを得た。次に、pH6.8のバッファー溶液中で、コロイドプローブと前記各種フィルムとの付着力を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて実施した。なお、AFM測定は、各種フィルムの20×20μmの範囲内で10回以上測定し、この操作を異なる3箇所で実施した。得られた付着力の結果を表3に示す。各種フィルム間の付着力の差異は小さかった。
【0078】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、河川水、湖沼水、地下水、下排水、下水二次処理水、海水等を原水とする水処理分野、および、タンパク質等の有価物の分離、精製、濃縮等の分野に膜ろ過法を適用するに当たり、高い精度でかつ簡便に各被処理水に適した膜、膜の洗浄手段、及び前処理手段を選択することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 原液タンク
2 ペリスターポンプ
3 配管
4 モジュールユニット
5 排出配管
6 コントロールユニット
7 パソコン
8 原液タンク
9 窒素ボンベ
10 バルブ
11 配管
12 圧力計
13 チューブ
14 中空糸多孔膜
15 シリコンキャップ
16 端部を封止した注射針
17 端部が開口した注射針
18 圧力計
19 出口
20 バルブ
21 純水タンク
22 バルブ
23 配管
24 圧力計
25 圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液を処理する液体処理プロセスに用いられるろ過膜の選択方法であって、
複数のろ過膜それぞれについて、前記被処理液中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも1種以上の成分の吸着量を測定し、前記成分の吸着量が最少となるような前記ろ過膜を、前記液体処理プロセスのろ過膜として選択することを特徴とするろ過膜の選択方法。
【請求項2】
被処理液を処理する液体処理プロセスに用いられるろ過膜の洗浄手段の選択方法であって、
被処理液中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも1種以上の成分の前記ろ過膜への吸着量を測定し、前記吸着量が最大値を示す前記成分を前記ろ過膜から除去可能な洗浄手段を、前記液体処理プロセスにおけるろ過膜の洗浄手段として選択することを特徴とするろ過膜の洗浄手段の選択方法。
【請求項3】
被処理液を処理する液体処理プロセスに用いられるろ過膜の前処理手段の選択方法であって、
被処理液中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも1種以上の成分の前記ろ過膜への吸着量を測定し、前記吸着量が最大値を示す前記成分を前記被処理液から除去可能な前処理手段を、前記液体処理プロセスにおけるろ過膜の前処理手段として選択することを特徴とするろ過膜の前処理手段の選択方法。
【請求項4】
複数のろ過膜それぞれについて、前記被処理液中に含有される無機物および有機物のうち、少なくとも2種以上の成分の吸着量を測定することを特徴とする請求項1記載のろ過膜の選択方法。
【請求項5】
前記成分の前記ろ過膜への吸着量の測定を、水晶発振子マイクロバランス法を用いて行うことを特徴とする請求項1記載のろ過膜の選択方法。
【請求項6】
前記成分の前記ろ過膜への吸着量の測定を、水晶発振子マイクロバランス法を用いて行うことを特徴とする請求項2記載のろ過膜の洗浄手段の選択方法。
【請求項7】
前記成分の前記ろ過膜への吸着量の測定を、水晶発振子マイクロバランス法を用いて行うことを特徴とする請求項3記載のろ過膜の前処理手段の選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−196590(P2012−196590A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60579(P2011−60579)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ホームページのアドレス http://www3.scej.org/meeting/76a/prog/sess_22.html 掲載日 平成23年2月22日 研究集会名 膜シンポジウム2010 主催者名 日本膜学会 公開日 平成22年11月19日 刊行物 膜シンポジウム2010講演要旨集 発行日 平成22年10月25日 発行者 日本膜学会
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【出願人】(504150450)国立大学法人神戸大学 (421)
【Fターム(参考)】