説明

わさび葉成分組成物、これを含む食品および医薬品

【課題】強力な解毒代謝酵素誘導活性を呈し、これにより解毒代謝機能が向上され、さらに、薬物や糖尿病に起因する腎障害が抑制され、結果として癌や生活習慣病のリスクを低減するわさび葉成分組成物、これを含む飲食品及び医薬品を提供する。
【解決手段】本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を含み、生体内の第二相解毒代謝酵素の活性誘導作用を呈し、かつ、腎障害抑制作用を呈するわさび葉成分組成物。この組成物を主成分として含有する飲食品または医薬品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体内の第二相解毒代謝酵素の活性を誘導させ、さらには腎障害抑制作用をも呈するわさび葉成分組成物、この組成物を含む飲食品および医薬品に係り、特に、生体内異物代謝において、第二相解毒代謝酵素を活性化し、さらにはこれら酵素の増量作用や、酵素自体の分解の障害作用を呈し、あるいは生体内の酸化ストレスを低減させることにより腎障害抑制作用を呈するわさび葉成分組成物、この組成物を含む飲食品および医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の我々が生活している環境には、生体にとって有害な作用を持つ有害物質が氾濫している。ダイオキシンや水銀、鉛、カドミウム、種々の農薬等がその代表例だが、これらの有害物質は土壌や大気、海水を汚染し、食物や飲料水を介して生体内に浸入する。
【0003】
四方を海に囲まれた日本では、動物性タンパク質の4割を魚介類から摂取していると見積もられる。環境中に排出された有害物質は食物連鎖を通じて水産生物に高濃度に蓄積されやすいことから、有害物質が体内に蓄積するリスクが高いと言える(内分泌かく乱物質の農林水産物への影響問題検討会中間報告 平成11年4月 農林水産省)。
【0004】
また、日本における食品のカドミウム汚染は深刻であり、厚生労働省の2001年度の調査結果によると、日本人の日常食からのカドミウムの摂取量は4.102μg/kg/週であり、FAO/WHOが定めた暫定耐容摂取量の約6割に達する(「食品に含まれるカドミウム」に関するQ&A 2004年 厚生労働省)。
【0005】
さらに、体内に取り込まれたダイオキシンや、水銀、鉛、カドミウム、種々の農薬等の有害物質や、これらの代謝産物の蓄積は薬物誘発性の腎臓障害の直接的原因となり、かつ、糖尿病性腎症の間接的原因となっている。
【0006】
厚生労働省の平成14年の糖尿病の実態調査によると、糖尿病が強く疑われる人は約740万人、糖尿病の可能性が否定できない人は1620万人にのぼると推定されている。また、糖尿病性腎症により毎年1万1千人以上の人工透析患者が生じている(平成14年糖尿病実態調査(速報)2002年 厚生労働省)。
【0007】
糖尿病における高血糖状態は生体内のタンパク質の非酵素的糖化を引き起こし、複雑な反応を経て最終糖化産物(advanced glycation endproducts、以下AGE)を生産する。
AGEは腎臓の糸球体の内皮細胞とメザンギウム細胞を傷害し、糖尿病性腎症を発症させる。
【0008】
一般に、生体には有害物質を代謝し、無毒化するための二相の解毒代謝機構が備わっている。第一相では有害物質が結合したAhレセプターが遺伝子の転写領域に結合してCYP1A1やCYP1A2といった解毒代謝酵素の転写量を増加させる。これらの第一相解毒代謝酵素は有害物質を酸化的に修飾し、反応中間体を形成する。これら反応中間体は、DNAやタンパク質と付加体を形成し、急性毒性や発癌性を発揮する場合がある。
【0009】
第二相では、前出の反応中間体や、有害物質の暴露によりセンサー分子のKeaplから転写因子Nrf2が放出され、第二相解毒代謝酵素が誘導される。第二相解毒代謝酵素は有害物質の親水性官能基の抱合反応を行い、それらを体外へ排出する。
【0010】
このような解毒代謝酵素の活性が一層向上したり、増量されたりすれば、第二相解毒代謝反応が活性化され、有害物質による中毒や発癌のリスクが低減することになる。
【0011】
また、酸化ストレス応答酵素であるヘムオキシゲナーゼ(以下「HO」という)や、過酸化生成物を抱合するグルタチオンS−トランスフェラーゼ(以下「GST」という)の活性化により、過酸化生成物の蓄積が原因となって生じる動脈硬化や糖尿病等の生活習慣病を予防・改善させることができる。
【0012】
体内の解毒代謝酵素の活性を誘導する化合物として、血清胸腺因子(FTSノナペプチド)(国際公開番号:WO2002/017965)や、GST活性を誘導する化合物(国際公開番号:WO95/09866)が知られているが、日常的にこれらの物質を摂取することは困難である。
【0013】
GST等の解毒代謝酵素の活性化を促し、発癌を予防する天然物として、本わさびの根茎に特異的に含有される6−MSITC(6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)(特願平11−240823)、ブロッコリーに含まれるスルフォラファン(4−メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート)(特開2005−60229)が存在し、ブロッコリーのスプラウト等が抗酸化活性の高い食品として上市されている。
【0014】
薬物誘発性の腎障害を抑制する薬剤として、血管内皮細胞増殖因子/血管透過性因子(VEGF/VPF)(特開2000−169390)や、キサンチン誘導体(国際公開番号:WO98/57644)、MKファミリーに属するタンパク質(国際公開番号:WO98/40095)等が公開されている。
【0015】
糖尿病性腎症を抑制する薬剤として、腎臓組織の線維化を抑制するTGF−β阻害剤、CTGF阻害剤(特開2004−131444)、AGEを分解するピリジニウム系の化合物(特開2002−275158)、腎組織の石灰化を抑制するグルコン酸またはその塩(特開平9−194377)等が考案されている。
【0016】
前述のスルフォラファンは強いGST誘導活性を呈するものの、その含有量の少なさ、安定性等から未だその作用は不十分である。また、現在考案されている腎障害抑制剤の多くは医薬品であったり、合成物であるため、日常的に摂取するのが難しい。
【0017】
有害物質が氾濫し、酸化ストレス環境への暴露を余儀なくされる昨今ではより強力で、容易に入手できる解毒代謝酵素活性誘導・腎障害抑制組成物、あるいはこれらを含む飲食品、医薬品の開発が強く望まれている。
【特許文献1】国際公開番号 WO2002/017965
【特許文献2】国際公開番号 WO95/09866
【特許文献3】特願平11−240823
【特許文献4】特開2005−60229
【特許文献5】特開2000−169390
【特許文献6】国際公開番号 WO98/57644
【特許文献7】国際公開番号 WO98/40095
【特許文献8】特開2004−131444
【特許文献9】特開2002−275158
【特許文献10】特開平9−194377
【非特許文献1】内分泌かく乱物質の農林水産物への環境問題検討会中間報告 平成11年 農林水産省
【非特許文献2】「食品に含まれるカドミウム」に関するQ&A 2004年 厚生労働省
【非特許文献3】平成14年糖尿病実態調査(速報)2002年 厚生労働省
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで、本発明の課題は強力な解毒代謝酵素誘導活性を呈し、これにより解毒代謝機能が向上され、さらに薬物や糖尿病に起因する腎障害が抑制され、結果として癌や生活習慣病のリスクが低減する、上述の公知技術に存する欠点を改良したわさび葉成分組成物、これを含む飲食品および医薬品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述の課題を解決するため、本発明のわさび葉成分組成物によれば、本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を含み、生体内の第二相解毒代謝酵素の活性誘導作用を呈することを特徴とする。
【0020】
さらに、上述の課題を解決するため、本発明のわさび葉成分組成物によれば、本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を含み、生体内の酸化ストレスを低減させることにより腎障害抑制作用を呈することを特徴とする。
【0021】
さらにまた、上述の課題を解決するため、本発明の飲食品によれば、本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を含む請求項1または請求項6のわさび葉成分組成物を主成分として含有してなることを特徴とする。
【0022】
さらに、上述の課題を解決するため、本発明の医薬品によれば、本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を含む請求項1または請求項6のわさび葉成分組成物を主成分として含有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を有効成分として含有し、これを飲食品として、あるいは医薬品として摂取することにより、生体内の解毒代謝酵素活性を誘導し、かつ、腎障害を抑制し、癌や生活習慣病のリスクを低減させるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体的に詳述する。
【0025】
本発明に用いられる原材料は本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分である。すなわち、本発明で用いられる原材料としての植物は本わさびと西洋わさびであり、使用する部位は葉である、これら2種の植物を単独で、あるいは任意の比率で混合して使用する。
【0026】
上述のわさび葉成分は本わさび葉、または西洋わさび葉を粉砕またはすりおろし処理、溶媒による抽出処理、乾燥処理、あるいはこれらの組み合わせ処理により得られる。すなわち、上述の本わさび葉、西洋わさび葉の有効成分は植物体の粉砕または裁断、すりおろし等の物理的手段により、あるいは水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の溶媒抽出手段により、さらには熱風乾燥、凍結乾燥、スプレードライ等の乾燥手段により、またはこれらの処理を組み合わせることにより得られる。
【0027】
このようにして得られる本発明にかかるわさび葉成分はポリフェノール類、タンニン類、インドール類、有機酸類、クロロフィル等を有効成分として含む。また、上述のポリフェノール類としてアピゲニン、ルテオリン、ケンフェロール等のフラボノイド類やそれらの配糖体、多量体、フェルラ酸やシナピン酸等のフェニルプロパノイド類やそれらの配糖体、多量体、これらの混合物が挙げられる。
【0028】
なお、本発明のわさび葉成分にはイソチオシアネート類は含まれない。したがって、本発明における解毒代謝酵素活性誘導や腎障害抑制作用にイソチオシアネート類は関与しない。
【0029】
上述の本発明にかかるわさび葉成分組成物はそれ単独で摂取することも可能であるが、各種飲食品あるいは医薬品、医薬部外品に添加して使用することもできる。具体的には、清涼飲料水、茶飲料、ドリンク剤、アルコール飲料等の液体食品、菓子、米飯類、パン類、麺類、調味料等の固形食品、粉末状、顆粒状、カプセル状、錠剤等の医薬品、医薬部外品等に添加することができる。
【0030】
このような本発明にかかるわさび葉成分組成物は生体内にそのままの状態で、あるいは飲食品に添加して、さらには医薬品、医薬部外品に添加して摂取することにより、生体内の第二相異物代謝において、GST、キノンレダクターゼ(以下「QR」という)、N−アセチルトランスフェラーゼ(以下「NAT」という)、HO等の第二相異物代謝酵素を活性化し、さらにはこれら酵素の増量作用や、酵素自体の分解の阻害作用を呈し、さらには生体内の酸化ストレスを低減させることにより腎障害抑制作用を呈する。
【実施例1】
【0031】
本わさび葉の抽出
本わさび葉抽出物の調製を行った。細かく裁断した本わさび葉4kgに50%エタノール16kgを加え、攪拌しつつ1時間抽出を行った。抽出液をろ過し、エバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥したものをフードミルにて粉砕し、70gの茶褐色粉末を得た。これを本わさび葉抽出物として試験に供した。
【0032】
本わさび葉抽出物を高速液体クロマトグラフィー(以下「HPLC」)に供した結果を図1に示す。本わさび葉から複数種のフラボノイド類と、フェニルプロパノイド類が検出された。
【実施例2】
【0033】
西洋わさび葉の抽出
西洋わさび葉抽出物の調製を行った。細かく裁断した西洋わさび葉4kgに熱水16kgを加え、攪拌・加熱しつつ15分間抽出を行った。抽出液をろ過し、エバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥したものをフードミルにて粉砕し、85gの茶褐色粉末を得た。これを西洋わさび葉抽出物として試験に供した。
【0034】
西洋わさび葉抽出物をHPLCに供した結果を図2に示す。西洋わさび葉から複数種のフラボノイド類が検出された。
【実施例3】
【0035】
わさび葉抽出物の解毒代謝酵素誘導作用の分析
実施例1に記載の方法で本わさび葉抽出物を、実施例2に記載の方法で西洋わさび葉抽出物を得た。
【0036】
ICRマウス(雄、6週齢)36匹をステンレス製個別ケージで1週間予備飼育後、水(12匹)、3%本わさび葉抽出物(12匹)、3%西洋わさび葉抽出物(12匹)を各群それぞれ1週間自由摂取させた。動物室の温度は24±1℃に保ち、湿度50%、明期08:00−20:00、暗期20:00−08:00で飼育した。エーテル麻酔下で放血により殺し、肝臓組織を摘出し、液体窒素で急速冷凍して−80℃で保存した。
【0037】
得られた肝臓を1.15%KClでかん流後、使用まで−80℃で保存した。この肝臓に4倍容のKClを添加しホモジナイザーでホモジナイズし、1.5mlをとり750×gで10分間遠心分離した。次いで、上清を10000×gで10分間遠心分離し、その上清をさらに100000×gで70分間遠心分離し、得られた上清を酵素活性測定に供した。
【0038】
タンパク質の測定
上清のタンパク質量の測定はBCAプロテインアッセイリージェントキット(PIERCE社製)を使用し、上清10μlに測定用混合試薬200μlを加え、30分間インキュベートし、562nmの吸光度を測定してタンパク質量を定量することにより行った。
【0039】
GST活性測定
原理的にはW.H.Habig等(J.Bio.Chem.249、713、1974年)の方法に従った。すなわち、0.2Mリン酸緩衝液(PH6.5)0.5ml、10mM還元型グルタチオン水溶液0.1ml、精製水0.2mlの混合液に、上記で得られた試料を0.1ml加え、攪拌後、10mM CDNB(1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン)100μlを添加し反応を開始させ、次いで340nmの吸光度を3分間15秒毎に測定し、検量線より活性を測定した。
【0040】
GST活性値は以下の算術式で求めた。
GST活性値(U/mgタンパク質)=(340nmでの吸光度/3×10×100)/(9.6×タンパク質量)
【0041】
QR活性測定
原理的にはC.Lind等(Method in enzymology 186、1990年)の方法に従った。すなわち、0.24%Triton X−100入り150mM Tris−HClと蒸留水を1:1.6となるように混合し、37℃の恒温槽で加温しておく。上記溶液2.6mlおよび0.1mlの15mM NADPH、0.1mlの2.3lmM cytochrome c、0.1mlのサンプルをガラスセルに入れる。30℃に温調した分光光度計のフィルダーにガラスセルをセットし1分間静置する。0.1mlの0.3mM menadioneをセルに入れて攪拌し、550nmの吸光度を3分間20秒毎に測定し活性を測定した。
【0042】
QR活性は以下の算術式で求めた。
QR活性(U/mg protein)={ΔA(サンプル)−ΔA(ブランク)}×希釈倍率/ε×10−3×タンパク質量(反応液に添加したサンプル中)
ΔA=550nmにおける1分間の吸光度変化
ε=18500(還元型 cytochrome cのモル吸光係数)
【0043】
測定結果を図3および図4に示す。図3から本発明にかかる本わさび葉抽出物ならびに西洋わさび葉抽出物の投与により、マウスのGST活性が有意に上昇したことが分かる。
【0044】
図4から本発明にかかるわさび葉抽出物ならびに西洋わさび葉抽出物の投与により、マウスQR活性が上昇したことが分かる。
【実施例4】
【0045】
実施例3と同様の方法にて飼育したマウスに、鉄ニトリロ三酢酸を腹腔内投与し、3時間後の腎臓TBARS量、血清クレアチニン量を測定した。
【0046】
図5および図6から本わさび葉抽出物ならびに西洋わさび葉抽出物の投与により、マウスのTBARS値、クレアチニン量が低減し、薬物誘発性腎障害が抑制されたことが分かる。
【実施例5】
【0047】
本わさび葉抽出物入りタブッレトの製作
実施例1で作成した本わさび葉抽出物3部に対して、果糖2倍を加えて打錠して1.0g、直径7mmのタブレットを得た。
【実施例6】
【0048】
西洋わさび葉青汁の製作
乾燥させた西洋わさび葉を粉砕機により粉砕した後、100メッシュのふるいに通して微粉末状にした。この西洋わさび葉微粉末と市販の大麦若葉粉末を50gずつ計量し、混合して西洋わさび葉青汁原末を得た。これを3g計量し、100mlの水と混合し飲用に供した。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を有効成分として含有し、これを飲食品として、あるいは医薬品として摂取することにより、生体内の解毒代謝酵素活性を誘導し、かつ、腎障害を抑制し、癌や生活習慣病のリスクを低減させるという効果を奏する。したがって、本発明は医療分野において利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本わさび葉抽出物をHPLCに供した結果を示したグラフである。
【図2】西洋わさび葉抽出物をHPLCに供した結果を示したグラフである。
【図3】本わさび葉抽出物ならびに西洋わさび葉抽出物のGST活性誘導作用を示したグラフである。
【図4】本わさび葉抽出物ならびに西洋わさび葉抽出物のQR活性誘導作用を示したグラフである。
【図5】本わさび葉抽出物ならびに西洋わさび葉抽出物のTBARS低減作用を示したグラフである。
【図6】本わさび葉抽出物ならびに西洋わさび葉抽出物のクレアチニン低減作用を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を含み、生体内の第二相解毒代謝酵素の活性誘導作用を呈することを特徴とするわさび葉成分組成物。
【請求項2】
請求項1において、わさび葉成分がポリフェノール類、タンニン類、インドール類、有機酸類、およびクロロフイルの群から選択される一種または複数種を有効成分として含む請求項1に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項3】
請求項2において、ポリフェノール類がフラボノイド類およびそれらの配糖体や多量体、フェニルプロパノイド類およびそれらの配糖体や多量体、またはこれらの混合物である請求項2に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項4】
請求項1において、わさび葉成分が本わさび葉、または西洋わさび葉を粉砕またはすりおろし処理、溶媒による抽出処理、乾燥処理またはこれらの組み合わせ処理により得られる請求項1に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項5】
請求項1において、解毒代謝酵素がグルタチオンS−トランスフェラーゼ、キノンレダクターゼ、N−アセチルトランスフェラーゼ、ヘムオキシゲナーゼ、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ、サルフォトランスフェラーゼ、アセチルトランスフェラーゼ、カテコール0−メチルトランスフェラーゼおよび酸:CoAリガーゼおよびアシル−CoA:アミノ酸N−アシルトランスフェラーゼの群から選択される一種または複数種である請求項1に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項6】
本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を含み、生体内の酸化ストレスを低減させることにより腎障害抑制作用を呈することを特徴とするわさび葉成分組成物。
【請求項7】
請求項6において、わさび葉成分がポリフェノール類、タンニン類、インドール類、有機酸類、およびクロロフイルの群から選択される一種または複数種を有効成分として含む請求項6に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項8】
請求項7において、ポリフェノール類がフラボノイド類およびそれらの配糖体や多量体、フェニルプロパノイド類およびそれらの配糖体や多量体、またはこれらの混合物である請求項7に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項9】
請求項6において、わさび葉成分が本わさび葉、または西洋わさび葉を粉砕またはすりおろし処理、溶媒による抽出処理、乾燥処理またはこれらの組み合わせ処理により得られる請求項6に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項10】
請求項6において、腎障害がカドミウム、六価クロム、水銀、鉛、砒素、セレン、フッ素、ホウ素、シアン化合物、またはこれらを包含する化合物からなる重金属に起因する薬物誘発生腎障害である請求項6に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項11】
請求項6において、腎障害がポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)またはコプラナーPCBからなるダイオキシン類に起因する薬物誘導性腎障害である請求項6に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項12】
請求項6において、腎障害が四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス1,2−ジクロロエチレン、1,3−ジクロロポロペン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ベンゼン、あるいはこれら化合物の類縁体からなる揮発性有機化合物に起因する薬物誘発性腎障害である請求項6に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項13】
請求項6において、腎障害が銅剤、硫黄剤、ポリハロアルキルチオ剤、有機塩素系剤、有機リン剤、ベンズイミダゾール系剤、ジカルボキシイミド剤、カルボキシアミド剤、アシルアラニン系剤、EBI剤、ストロビルリン系剤、カーバメイト剤、合成ピレスロイド剤、ネライストキシン剤、BT剤、またはネオニコチノイド系剤からなる農薬に起因する
薬物誘発性腎障害である請求項6に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項14】
請求項6において、腎障害が糖尿病性腎症である請求項6に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項15】
請求項14において、糖尿病性腎症がポリオール代謝活性亢進、最終糖化産物(AGE)、糸球体過剰濾過、またはプロテインカイネースC活性化にそれぞれに起因するものである請求項14に記載のわさび葉成分組成物。
【請求項16】
本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を含む請求項1または請求項6のわさび葉成分組成物を主成分として含有してなる飲食品。
【請求項17】
本わさび葉、西洋わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび葉成分を含む請求項1または請求項6のわさび葉成分組成物を主成分として含有してなる医薬品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−137794(P2007−137794A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331315(P2005−331315)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(591011007)金印株式会社 (20)
【Fターム(参考)】