説明

アイメリア・マキシマ(Eimeriamaxima)の配偶子母細胞由来の組換え56及び82kDa各抗原をコードする核酸及びその使用

【課題】抗コクシジウム症ワクチンの提供。
【解決手段】分子量56及び82kDaを有するEimeria maximaの主要な二つの配偶子母細胞抗原の組換えクローニングと配列決定、並びにプラスミドpTreHisを用いたE.coli発現システム中におけるこれらの抗原の発現。特定のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maxima由来の2つの30kDaタンパク質と3つの14kDaタンパク質。さらに、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対して被験者を免疫する方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願および関連技術の参照】
【0001】
本願は、2001年7月6日に出願された米国仮出願第60/303,699号の利益を主張するものであり、その内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本願を通して、括弧内に示す様々な出版物を参照する。これらの出版物の完全な引用を、本明細書の最後、特許請求の範囲の直前にアルファベット順に収載する。本発明が関連する最新技術をより完全に記載するために、これらの出版物の開示全体を参照により本明細書に援用する。
【発明の背景】
【0003】
「コクシジウム症」として知られる疾患をニワトリに引き起こす生物は、Apicomplexa門、Sporozoa綱、Coccidia亜綱、Eucoccidia目、Eimeriorina亜目、Eimeriidae科、Eimeria属に属する。Eimeria属の中には多数の種があり、そのいくつかはニワトリの病原体である。ニワトリ産業に最も関係がある種は、アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)及びアイネリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)である。
【0004】
コクシジウム症は、主として鶏舎が過密化しかつ寄生虫の薬剤耐性が生じたために、過去数十年にわたってニワトリ産業における主要な経済問題になっている。密集した状態で敷き藁の床の上でニワトリを飼育することによって、Eimeria寄生虫の増殖及び蔓延に最適な条件が作り出されている。このような状況では、衛生管理は不可能であり、農家は、抗コクシジウム剤の効果に頼らざるを得ない。しかし、薬物を常時餌の中に入れねばならず、また、Eimeriaの薬物耐性株が出現しないようにシャトルプログラムを使用しなければならず、また、ある薬物は損害の大きい副作用を有する。また、これらの抗コクシジウム剤は、抗菌効果もあり、したがって餌内抗生物質であると考えられる。最近、欧州連合は、ニワトリ産業において抗コクシジウム剤を含むすべての餌内抗生物質の使用を禁止する決定を下した。したがって、将来的に、コクシジウム症を制御する実行可能な唯一の取り組みは、ワクチンを開発することである。
【0005】
Eimeria寄生虫は、腸管粘膜中において複雑なライフサイクルを経る。このライフサイクルは、媒介節足動物を欠く以外は、他の住血胞子虫目寄生虫(すなわち、プラスモディウム、バベシアなど)のライフサイクルに酷似している。胞嚢体は、敷き藁床上で胞子を形成し、各々が2つの種虫(したがって、胞子虫綱に属する)を含む4つのスポロシストを生成する。胞嚢体はニワトリによって摂取され、スポロシストは砂嚢を機械的に粉砕することによって放出される。次いで、腸内のタンパク質分解酵素によってスポロシスト壁が消化されて、スポロシストから種虫が放出される。次いで、移動性である種虫は、リンパ球に侵入し、次に上皮細胞に侵入し始め、そこで無性生殖期が始まる。寄生虫は、2〜4サイクルの複製と分裂(各々の種は一定の分裂回数を有する)を経て、多数の娘虫を生成する。最終サイクルの娘虫生成後、性周期が始まり、大配偶子母細胞(雌)及び小配偶子母細胞(雄)が生成する。大配偶子母細胞は壁形成体(wall forming bodies)の生成を特徴とし、一方、小配偶子母細胞は、細胞内寄生虫の表面から芽体となって母体から分離する小配偶子の形成に関与する成分を含有する。小配偶子は鞭毛をもち、大配偶子の受精に係わる。壁形成体の融合及び核の凝集によって胞嚢体に成熟する接合子が形成される。胞嚢体は糞便中に分泌され、それによってサイクルが完結する。
【0006】
過去数年にわたって、Eimeria maximaの有性(配偶子母細胞)世代由来の未変性抗原が産卵鶏を免疫するために使用されてきた。したがって、子孫のヒヨコは、母子免疫によってワクチン処置を受けていたことになる(防御性の母子抗体)。E.maxima配偶子母細胞において、分子量が250、82及び56kDaの3つの主要な感染防御抗原がこれまでに同定されている(欧州特許第0 256 536号、米国特許第5,496,550号及び米国特許第5,932,225号)。欧州特許第0 256 536号、米国特許第5,496,550号及び米国特許第5,932,225号を、本発明が関連する最新技術をより完全に記載するために、参照により本明細書に援用する。これらの抗原は、Eimeria種の中で良好に保存されており(Wallach 1995)、ブロイラーにおいてコクシジウム症を引き起こす3つの主要な種、E.maxima、E.tenella及びE.acervulinaに対して交叉免疫可能であることが判明した。さらに最近になって、フロアーペン試験において、これらの未変性配偶子母細胞抗原を用いてワクチン処置した雌鳥からのヒヨコは、現場条件下のEimeriaに対して保護されることが判明した(Wallach 1996)。この防御は、ブロイラーの性能にいかなる有害効果も起こさないレベルにまで、胞嚢体の放出ピークを下げる働きをする。上記結果に基づいて、これらの抗原がニワトリにおけるコクシジウム症に対して有効であり、シチメンチョウ、ガチョウ、ヒツジ、ウシ、ブタ及び魚を含めた他の家畜におけるコクシジウム症に対しても使用できる可能性があることも結論付けられた。
【0007】
これら3つの抗原は、分子レベルでも特徴が明らかにされた。これらをコードするRNA分子を同定するために無細胞の翻訳実験が実施された(Mencher等)。これらの抗原をコードするcDNA分子が、発現ベクターラムダzapにおいて作製されたcDNAライブラリの免疫スクリーニングによってクローン化された(4、米国特許第5,932,225号)。この手法によって、250kDa抗原をコードする遺伝子がクローン化され、配列決定された。米国特許第5,932,225号及び同5,496,550号では、クローンpEM 250/14が部分的に配列決定された。本願の図13aは、米国特許第5,932,225号及び同5,496,550号の図11を再現したものであって、クローンpEM 250/14の第1の293ヌクレオチドのDNA配列を描いたものである。本願の図13bは、米国特許第5,932,225号及び同5,496,550号の図12を再現したものであって、クローンpEM 250/14の最後の196ヌクレオチドのDNA配列を示したものである。また、米国特許第5,932,225号及び同5,496,550号において、56及び82kDa各抗原をコードする推定遺伝子がクローン化され、配列決定された。
【0008】
その後、Fried等は、pEM 250/14クローン全体の配列を決定し、この抗原が、これまで考えられてきた250kDaではなく230kDaの分子量を有することを見出した。Fried等は、230kDa遺伝子が反復の多いモチーフを含み、これらの繰り返しが遺伝子全体を通して含まれることを見出した(Fried等)。このクローンは、pATHプラスミドベクターを用いて細菌中で発現され、E.maximaに感染してから14日後に採取した回復期のニワトリ血清によって認識されることが判明した。最後に、この遺伝子は、大配偶子母細胞段階においてのみ発現することが判明し、大配偶子の壁形成体中に位置することが免疫蛍光によって見出された(Fried等)。
【0009】
56及び82kDa各抗原をコードするcDNAクローンは、56kDa抗原に対するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含むライブラリをスクリーニングすることによっても得られた。このモノクローナル抗体は、未処置のニワトリに受動免疫をもたらすことが以前に示された(Wallach 1990)。数個のクローンが得られ分析された。クローンの1つは、小さな10kDaの抗原をコードし、したがって所望のクローンではないことが判明した。別のクローンは、オープンリーディングフレーム(ORF)のほんのわずかな部分しか含まず、56及び82kDa各抗原に対するほぼ予想サイズの2つのmRNAとハイブリダイズすることがノーザンブロッティングによって判明した。したがって、これが所望のクローンであると結論付けられた。次いで、ゲノムライブラリをスクリーニングして完全長クローンを得た。しかし、このクローン中に存在する反復度が極めて高いGCAモチーフのために、完全長クローンを特異的に単離することはできなかった。完全長cDNA分子をクローン化する試みも、これらの反復のために成功しなかった。最後に、細菌中で部分的なcDNAクローンを発現させる試みも、おそらくはそれらの異常な配列のために同様に失敗し、妥当なレベルの遺伝子発現は得られなかった。56及び82kDa各抗原はグリコシル化されることが以前に示された(米国特許第5,932,225号)。これは、ダイズレクチンとのそれらの高い反応性に基づいている。したがって、グリコシレーションは、これらの遺伝子の良好な発現を得るために、また、遺伝子生成物の適切な構造のために必要かも知れない。
【0010】
56、82及び230kDa抗原に加え、胞嚢体壁の高度に精製された画分から得られる14kDa抗原が、コクシジウム症に対して考えられるワクチン候補として提案された(Eschenbacher等)。しかし、この仮説は検討されなかった。
【0011】
いくつかの研究室が、コクシジウム症に対するサブユニットワクチンに取り組んできた。これらの研究者の大部分は、ライフサイクルの細胞外無性世代、特に、免疫攻撃に最も脆弱と考えられる種虫及び娘虫の時期にその努力を集中させた。これまでの研究において、E.tenellaからの種虫抽出物によって、ブロイラーではこの寄生虫に対する攻撃感染に対して最高7週齢まで防御し得ることが見出された(Karkhanis等)。E.tenellaの種虫由来の抗原に対するモノクローナル抗体を用いて実施された研究によって、分子量25,000の抗原が同定され、クローン化され、配列決定された(欧州特許第0 164 176号、1985年12月11日)。いくつかの他の種虫遺伝子が同定され、それらの組換え抗原又はその形質転換された細菌自体の防御免疫が試験された(Danforth等)。その結果、これらの組換え体は、Eimeriaによる攻撃感染に対して比較的低レベルの防御しかもたらすことができず、重大な傷害の出現を常に防止するとは限らないことが示された。
【0012】
娘虫時期からの抗原を用いたワクチンも試験された(欧州特許第0 135 073号)。これらの抗原を用いて若いブロイラーを免疫して、もたらされる防御が比較的低いことが再度判明した(Danforth等)。
【0013】
1993年に、Eimeria maximaの230kDa娘虫抗原に対する母子抗体の出現は、配偶子母細胞とは異なり、防御母子免疫との間に相関があることが見出された(Smith等)。この防御は、しばしば90%を超え、(230kDaタンパク質との反応性は依然として高いが)母子抗体濃度が比較的低いときでも起こることが判明した。SDS−PAGEゲルから切り出された極めて少量の未変性230kDa娘虫抗原は、子孫のヒヨコにおけるE.maxima感染に対して、かなりのレベル(60%)の防御母子免疫を誘導できることも見出された。また、ウェスタンブロッティングから、このタンパク質がE.maximaの娘虫及び種虫の両方において発現され、Eimeria種の間でも良好に保存されていることが示された。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、56及び82kDaの分子量を有するアイメリア・マクシマ(Eimeria maxima)の主要な2つの配偶子母細胞抗原をコードする核酸を提供する。
【0015】
本発明は、配列番号35のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の30kDaタンパク質も提供する。
【0016】
本発明は、配列番号42のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の30kDaタンパク質も提供する。
【0017】
本発明は、配列番号37のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質も提供する。
【0018】
本発明は、配列番号39のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質も提供する。
【0019】
本発明は、配列番号41のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質も提供する。
【0020】
本発明は、組換え56kDa抗原のみを含む又は上述した任意のタンパク質の組合せを含む抗コクシジウム症ワクチンも提供する。
【0021】
本発明は、組換え82kDa抗原のみを含む又は上述した任意のタンパク質の組合せを含む抗コクシジウム症ワクチンも提供する。
【0022】
本発明は、アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis)、若しくはアイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対して被験者を免疫する方法であって、上記ワクチンのうち任意のワクチンを前記被験者に投与する工程を含む方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【0023】
本発明は、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、又は該核酸の相補物を提供する。
【0024】
ある実施態様において、前記ポリペプチドは、図4に示されたアミノ酸配列(配列番号3)を有する。
【0025】
別の実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも50%の同一性を有する。
【0026】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも60%の同一性を有する。
【0027】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも70%の同一性を有する。
【0028】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも75%の同一性を有する。
【0029】
さらに別の実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有する。
【0030】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも85%の同一性を有する。
【0031】
ある実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも90%の同一性を有する。
【0032】
別の実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも93%の同一性を有する。
【0033】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有する。
【0034】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも97%の同一性を有する。
【0035】
さらに別の実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも99%の同一性を有する。
【0036】
さらなる実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する図4に示されたヌクレオチド配列(配列番号1)と少なくとも50%の同一性を有する。
【0037】
別の実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも60%の同一性を有する。
【0038】
さらなる実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有する。
【0039】
ある実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有する。
【0040】
別の実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有する。
【0041】
さらなる実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも85%の同一性を有する。
【0042】
ある実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する。
【0043】
さらなる実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも93%の同一性を有する。
【0044】
別の実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を有する。
【0045】
さらなる実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも97%の同一性を有する。
【0046】
ある実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を有する。
【0047】
さらなる実施態様では、前記核酸はDNA分子である。
【0048】
さらに別の実施態様では、前記DNA分子はcDNA分子である。
【0049】
さらなる実施態様では、前記核酸は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する図4に示されたヌクレオチド配列(配列番号1)を有する。
【0050】
別の実施態様では、前記核酸はRNA分子である。
【0051】
ある実施態様では、前記単離された核酸は、RNA転写のプロモーターに作用可能に連結されている。
【0052】
本発明には、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含むベクターも包含される。
【0053】
ある実施態様では、前記ベクターは、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する図4に示されたヌクレオチド配列(配列番号1)を有する核酸を含む。
【0054】
別の実施態様では、前記ベクターはプラスミドである。
【0055】
さらなる実施態様では、前記プラスミドは、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する図4に示されたヌクレオチド配列(配列番号1)を有する核酸を含む。
【0056】
さらなる実施態様では、前記プラスミドは、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、又は該核酸の相補物を含む。
【0057】
さらに別の実施態様では、前記プラスミドは、56TRCHisb1プラスミドと命名されたプラスミドである(豪州政府分析研究所受託番号NM01/22400)。
【0058】
本発明は、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含むベクターを含む宿主細胞も包含する。
【0059】
ある実施態様では、前記宿主細胞は、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する図4に示されたヌクレオチド配列(配列番号1)を有する核酸を含むベクターを含む。
【0060】
別の実施態様では、前記宿主細胞は、細菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞からなる群から選択される。
【0061】
本発明は、さらに、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含む形質転換細胞を提供する。
【0062】
ある実施態様では、前記形質転換細胞は、細菌中のクローン56TRCHisb1と命名された形質転換細胞である(豪州政府分析研究所受託番号NM01/22401)。
【0063】
前記56kDaの抗原をコードするプラスミドは、2001年6月26日に、オーストラリア、ピンブルの豪州政府分析研究所に、受託番号NM01/22400で寄託した。前記56kDaの抗原で形質転換された細菌細胞は、2001年6月26日に、オーストラリア、ピンブルの豪州政府分析研究所に、受託番号NM01/22401で寄託した。何れの寄託も、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に従って為された。
【0064】
さらなる実施態様では、前記形質転換細胞は、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチド又は該ポリペプチドの相同体をさらに含む。
【0065】
本発明には、さらに、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の組換え56kDaポリペプチドを作製する方法であって、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又は前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含む形質転換細胞を培養することと、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の組換え56kDaポリペプチドを単離することと、を含む方法が含まれる。該方法によって作製された組換えポリペプチドも、本発明に包含される。
【0066】
本発明には、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix若しくはEimeria brunetti、Eimeria praecox、Eimeria mitis、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物に対するワクチンであって、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチド若しくは該ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含むワクチンも提供する。
【0067】
該ワクチンのある実施態様では、前記単離された核酸はプラスミドである。
【0068】
さらに、本発明は、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix若しくはEimeria brunetti、Eimeria praecox、Eimeria mitis、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物に対するワクチンであって、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチド若しくは該ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含む形質転換細胞を培養し、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の組換え56kDaポリペプチドを単離することによって作製されたEimeria maximaの配偶子母細胞由来の組換え56kDaポリペプチドを含むワクチンを提供する。
【0069】
別の実施態様では、該ワクチンは、本発明の単離された核酸と本発明の組換えポリペプチドの混合物から構成される。
【0070】
別の実施態様では、前記ワクチンは、本発明の単離された核酸と本発明の組換えポリペプチドとEimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を含むプラスミドとの混合物から構成される。
【0071】
さらなる実施態様では、前記ワクチンは、さらに第二の抗原を含む。
【0072】
ある実施態様では、前記第二の抗原は、Eimeria maxima由来の抗原をコードする核酸、このような核酸を含むプラスミド、このような核酸によってコードされるポリペプチドからなる群から選択される。
【0073】
別の実施態様では、前記第二の抗原は、配列番号35若しくは配列番号42のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の30kDaタンパク質、又は配列番号37、配列番号39、若しくは配列番号41のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質からなる群から選択される。
【0074】
さらに別の実施態様では、前記第二の抗原は、配列番号4のヌクレオチド配列を有する核酸、該核酸を含むプラスミド、又は該核酸によってコードされるポリペプチドである。
【0075】
さらなる実施態様では、前記ワクチンは、さらに第三の抗原を含む。
【0076】
本発明は、前記第三の抗原が、E.maxima由来の230kDaの種虫/娘虫抗原であるワクチンも提供する。
【0077】
前記230kDaの抗原は、胞子形成した胞嚢体中に存在する精製されたE.maximaの種虫(sporozoite)から単離された(上記のライフサイクルを参照)。単離操作では、胞子形成した胞嚢体からタンパク質を抽出し、DEAE−sephacel陰イオン交換カラム上で抽出した前記タンパク質を分離することを行った。これに続いて、ピーク画分のSDS−PAGEとウェスタンブロッティングによって230kDa抗原を同定した。さらに、精製された抗原の同一性を確認するために、ワクチン接種したメンドリと子孫の雛の両方から得た防御性母子抗血清を用いた。最後に、タンパク質配列決定とクローニングを行うために、前記230kDaタンパク質をPVDF膜フィルターから単離した。
【0078】
230kDa抗原のアミノ末端及びトリプシンペプチド消化産物の配列を決定した。トリプシン消化物から得られた配列を用いて、縮退PCRオリゴヌクレオチドプライマーをデザインした。該プライマーをRACE(rapid amplification of cDNA ends)PCRで使用して、遺伝子産物の一部を増幅した。これらの産物の配列から、遺伝子特異的なプライマーをデザインし、mRNAの3’及び5’末端を確定するために、RACE PCRにおいて使用した。次いで、5’及び3’末端に対してデザインした遺伝子特異的プライマーを用いたPCRによって、前記抗原をコードする完全長の7kb cDNAクローンを増幅した。このクローンを完全に配列決定すると、ネイティブタンパク質のN末端のアミノ酸配列と比較して、その5’末端に正しいDNA配列を含有していることが示された。このように、該核酸配列は、防御性の230kDa種虫/娘虫抗原をコードしており、コクシジウム症に対してニワトリにワクチン接種するための組換え抗原を与えるために使用することが可能となった。
【0079】
前記230kDaの抗原をコードするプラスミドは、2001年6月26日に、オーストラリア、ピンブルの豪州政府分析研究所に、受託番号NM01/22396で寄託した。前記230kDaの抗原で形質転換された細菌細胞は、2001年6月26日に、オーストラリア、ピンブルの豪州政府分析研究所に、受託番号NM01/22397で寄託した。何れの寄託も、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に従って為された。
【0080】
E.maximaの種虫/娘虫由来の抗原は230kDa抗原だと以前は考えられていた。しかし、本発明者らのその後の研究によって、前記抗原は、実際には、E.maximaの種虫/娘虫の250kDa抗原であることが明らかとなった。
【0081】
さらなる実施態様では、前記第三の抗原は、図12に示されているヌクレオチド配列(配列番号26)を有する核酸、該核酸を含むプラスミド、該核酸によってコードされるポリペプチドである。
【0082】
さらに別の実施態様では、前記ワクチンは、さらに第四の抗原を含む。
【0083】
ある実施態様では、前記第四の抗原は、230kDa乃至270kDaの分子量を有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来のポリペプチド、該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、又は該ヌクレオチド配列を含むポリペプチドである。
【0084】
さらなる実施態様では、前記抗原は、図13aに示されているアミノ酸配列(配列番号29)を有するポリペプチドをその5’末端に含むか、又は図13bに示されているアミノ酸配列(配列番号31)をその3’末端に含む。
【0085】
本発明は、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対して被験者を免疫する方法であって、本発明のワクチンを前記被験者に投与する工程を含む方法も提供する。
【0086】
ある実施態様では、前記被験者は、ウシ、ヒツジ、ブタ、及び魚からなる群から選択される種である。
【0087】
別の実施態様では、前記被験者は、鳥類種である。
【0088】
さらなる実施態様では、前記鳥類種は、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される。
【0089】
さらなる実施態様では、前記鳥類種はニワトリである。
【0090】
ある実施態様では、前記投与工程は、前記被験者の鼻孔に前記ワクチンを噴霧することを含む。
【0091】
さらなる実施態様では、前記投与は、静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む。
【0092】
別の実施態様では、前記投与は卵内に(in ovo)行われる。
【0093】
さらなる実施態様では、前記投与は卵の気嚢(air sac)に対して行われ、これにより、胚を前記ワクチンに接触させる。
【0094】
本発明は、本発明のワクチンが接種された気嚢を有する鳥類種由来の受精卵であって、孵化前又は孵化直後に、病原性型のEimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物に対する免疫応答を前記ワクチンが胚に誘導することができる、受精卵も包含する。
【0095】
ある実施態様では、前記鳥類種は、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル(duck)、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される。
【0096】
別の実施態様では、前記鳥類種はニワトリである。
【0097】
本発明は、さらに、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、又は該核酸の相補物を提供する。
【0098】
ある実施態様において、前記ポリペプチドは、図5に示されたアミノ酸配列(配列番号6)を有する。
【0099】
別の実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも50%の同一性を有する。
【0100】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも60%の同一性を有する。
【0101】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも70%の同一性を有する。
【0102】
別の実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも75%の同一性を有する。
【0103】
さらに別の実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有する。
【0104】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも85%の同一性を有する。
【0105】
ある実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも90%の同一性を有する。
【0106】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも93%の同一性を有する。
【0107】
さらに別の実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有する。
【0108】
ある実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも97%の同一性を有する。
【0109】
さらなる実施態様では、前記ポリペプチドの相同体は、配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも99%の同一性を有する。
【0110】
さらなる実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する図5に示されたヌクレオチド配列(配列番号4)と50%を超える同一性を有する。
【0111】
別の実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と60%を超える同一性を有する。
【0112】
さらなる実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも70%の同一性を有する。
【0113】
さらなる実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有する。
【0114】
別の実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有する。
【0115】
さらに別の実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも85%の同一性を有する。
【0116】
ある実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する。
【0117】
さらなる実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも93%の同一性を有する。
【0118】
別の実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を有する。
【0119】
さらなる実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも97%の同一性を有する。
【0120】
ある実施態様では、前記ヌクレオチド配列は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を有する。
【0121】
さらなる実施態様では、前記核酸はDNA分子である。
【0122】
さらに別の実施態様では、前記DNA分子はcDNA分子である。
【0123】
さらなる実施態様では、前記核酸は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列を有する。
【0124】
別の実施態様では、前記核酸はRNA分子である。
【0125】
ある実施態様では、前記単離された核酸は、RNA転写のプロモーターに作用可能に連結されている。
【0126】
本発明には、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含むベクターも包含される。
【0127】
ある実施態様では、前記ベクターは、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する図5に示されたヌクレオチド配列(配列番号4)を有する核酸を含む。
【0128】
別の実施態様では、前記ベクターはプラスミドである。
【0129】
さらなる実施態様では、前記プラスミドは、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する図5に示されたヌクレオチド配列(配列番号4)を有する核酸を含む。
【0130】
さらなる実施態様では、前記プラスミドは、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、又は該核酸の相補物を含む。
【0131】
さらに別の実施態様では、前記プラスミドは、82TRCHisb8プラスミドと命名されたプラスミド(豪州政府分析研究所受託番号NM01/22398)である。
【0132】
本発明には、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含むベクターを含む宿主細胞も包含される。
【0133】
ある実施態様では、前記宿主細胞は、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する図5に示されたヌクレオチド配列(配列番号4)を有する核酸を含むベクターを含む。
【0134】
別の実施態様では、前記宿主細胞は、細菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞からなる群から選択される。
【0135】
本発明は、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含む形質転換細胞も提供する。
【0136】
ある実施態様では、前記形質転換細胞は、クローン82TRCHisb8と命名された細菌中の形質転換細胞(豪州政府分析研究所受託番号NM01/22399)。
【0137】
前記82kDaの抗原をコードするプラスミドは、2001年6月26日に、オーストラリア、ピンブルの豪州政府分析研究所に、受託番号NM01/22398で寄託した。前記82kDaの抗原で形質転換された細菌細胞は、2001年6月26日に、オーストラリア、ピンブルの豪州政府分析研究所に、受託番号NM01/22399で寄託した。何れの寄託も、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に従って為された。
【0138】
さらなる実施態様では、前記形質転換細胞は、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチド又は該ポリペプチドの相同体をさらに含む。
【0139】
本発明には、さらに、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の組換え82kDaポリペプチドを作製する方法であって、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の組換え82kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又は前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含む形質転換細胞を培養することと、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の組換え82kDaポリペプチドを単離することと、を含む方法が含まれる。該方法によって作製された組換えポリペプチドも、本発明に包含される。
【0140】
本発明は、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物に対するワクチンであって、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチド若しくは該ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含むワクチンも提供する。
【0141】
該ワクチンのある実施態様では、前記単離された核酸はプラスミドである。
【0142】
さらに、本発明は、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物に対するワクチンであって、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチド若しくは該ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含む形質転換細胞を培養することと、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の組換え82kDaポリペプチドを単離することとによって作製されたEimeria maximaの配偶子母細胞由来の組換え82kDaポリペプチドを含むワクチンを提供する。
【0143】
別の実施態様では、該ワクチンは、本発明の単離された核酸と本発明の組換えポリペプチドの混合物から構成される。
【0144】
別の実施態様では、前記ワクチンは、本発明の単離された核酸と本発明の組換えポリペプチドとEimeria maximaの配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を含むプラスミドとの混合物から構成される。
【0145】
さらなる実施態様では、前記ワクチンは、さらに第二の抗原を含む。
【0146】
ある実施態様では、前記第二の抗原は、Eimeria maxima由来の抗原をコードする核酸、このような核酸を含むプラスミド、このような核酸によってコードされるポリペプチドからなる群から選択される。
【0147】
別の実施態様では、前記第二の抗原は、配列番号35若しくは配列番号42のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の30kDaタンパク質、又は配列番号37、配列番号39、若しくは配列番号41のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質からなる群から選択される。
【0148】
本発明は、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対して被験者を免疫する方法であって、本発明のワクチンを前記被験者に投与する工程を含む方法も提供する。
【0149】
ある実施態様では、前記被験者は、ウシ、ヒツジ、ブタ、及び魚からなる群から選択される種である。
【0150】
別の実施態様では、前記被験者は、鳥類種である。
【0151】
さらなる実施態様では、前記鳥類種は、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される。
【0152】
さらなる実施態様では、前記鳥類種はニワトリである。
【0153】
さらなる実施態様では、前記投与は、静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む。
【0154】
ある実施態様では、前記投与工程は、前記被験者の鼻孔に前記ワクチンを噴霧することを含む。
【0155】
別の実施態様では、前記投与は卵内に(in ovo)行われる。
【0156】
さらなる実施態様では、前記投与は卵の気嚢に対して行われ、これにより、胚を前記ワクチンに接触させる。
【0157】
本発明は、本発明のワクチンが接種された気嚢を有する鳥類種由来の受精卵であって、孵化前又は孵化直後に、病原性(virulent)型のEimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物に対する免疫応答を前記ワクチンが胚に誘導することができる、受精卵も包含する。
【0158】
ある実施態様では、前記鳥類種は、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ガチョウ、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される。
【0159】
別の実施態様では、前記鳥類種はニワトリである。
【0160】
本発明は、前記アミノ酸配列が配列番号3で示される、組換えポリペプチドも提供する。
【0161】
本発明は、前記アミノ酸配列が配列番号6で示される、組換えポリペプチドも提供する。
【0162】
本発明は、配列番号35のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の30kDaタンパク質も提供する。
【0163】
本発明は、配列番号42のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の30kDaタンパク質も提供する。
【0164】
本発明は、配列番号37のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質も提供する。
【0165】
本発明は、配列番号39のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質も提供する。
【0166】
本発明は、配列番号41のアミノ酸配列をN末端に有するEimeria maximaの配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質も提供する。
【0167】
上記タンパク質及びそれらの対応するヌクレオチド配列は、前記56kDa及び82kDaのタンパク質に関して上記したのと同様に使用することができ、被験者を免疫すること、及び前記タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有するプラスミドを宿主細胞中に取り込ませるために使用することが含まれる。
【0168】
本発明は、鳥類種の新生仔被験者に対して、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対する母子免疫(抗体)を付与する方法であって、受精卵の産卵に先立つ適宜の時点で本発明のワクチンを前記被験者の母親に投与することによって、母子免疫(maternal immunity)を介して、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対する保護を前記新生仔被験者に付与する工程を含む方法を提供する。
【0169】
さらなる実施態様では、前記鳥類種は、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される。
【0170】
さらなる実施態様では、前記投与は、静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む。
【0171】
本発明は、鳥類種の新生仔被験者から糞便中へのEimeriaの胞嚢体(oocyst)の排出を減少させる方法であって、受精卵の産卵に先立つ適宜の時点で本発明のワクチンを前記被験者の母親に投与することによって、免疫反応を惹起し、前記新生仔からの胞嚢体の排出が減少するように、母子抗体(maternal antibody)を前記新生仔に伝達させる工程を含む方法を提供する。
【0172】
さらなる実施態様では、前記鳥類種は、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される。
【0173】
さらなる実施態様では、前記投与は、静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む。
【0174】
本発明は、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対して被験者を免疫する方法であって、Eimeria maximaの配偶子母細胞から56kDa又は82kDaのポリペプチドを発現するする生きた非病原性微生物又は生ウイルスを含む生ワクチンを前記被験者に投与する工程を含む方法も提供する。
【0175】
ある実施態様では、前記生ウイルスはポックスウイルスである。
【0176】
ある実施態様では、前記被験者は、ウシ、ヒツジ、ブタ、及び魚からなる群から選択される種である。
【0177】
別の実施態様では、前記被験者は、鳥類種である。
【0178】
さらなる実施態様では、前記鳥類種は、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される。
【0179】
さらなる実施態様では、前記投与は、静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む。
【0180】
本発明は、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対して被験者を免疫する方法であって、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDa又は82kDaのポリペプチドを発現する細胞を有する植物を前記被験者に摂食させる工程を含む方法も提供する。
【0181】
ある実施態様では、前記植物は麦である。
【0182】
別の実施態様では、前記植物はトウモロコシである。
【0183】
ある実施態様では、前記被験者は、ウシ、ヒツジ、ブタ、及び魚からなる群から選択される種である。
【0184】
別の実施態様では、前記被験者は、鳥類種である。
【0185】
さらなる実施態様では、前記鳥類種は、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される。
【0186】
本発明には、Eimeria tenella、Eimeria maxima、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis、若しくはEimeria brunetti、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対して被験者を免疫する方法であって、Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56kDa若しくは82kDaポリペプチド若しくは該ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸又は該核酸の相補物を含むプラスミドを前記被験者に投与する工程を含む方法も提供する。
【0187】
ある実施態様では、前記被験者は、ウシ、ヒツジ、ブタ、及び魚からなる群から選択される種である。
【0188】
別の実施態様では、前記被験者は、鳥類種である。
【0189】
さらなる実施態様では、前記鳥類種は、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される。
【0190】
さらなる実施態様では、前記投与は、静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む。
【0191】
本発明の核酸の相同体は、該核酸によってコードされるポリペプチドと実質的に同じ生物活性を有するポリペプチドをコードする核酸である。本明細書で使用する「相同」という用語は、相補性の程度を指す。部分的に相同な場合と、完全に相同な(すなわち、同一の)場合がある。部分的な相補配列は、同一配列が標的核酸にハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害する配列であり、「実質的に相同の」という機能的な用語が用いられる。標的配列に対する完全な相補配列のハイブリダイゼーションが阻害されるかどうかは、低ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションアッセイ(サザン又はノーザンブロット、溶液ハイブリダイゼーションなど)を用いて検討することができる。実質的に相同な配列又はプローブは、低ストリンジェンシー条件下での標的配列への完全に相同な配列又はプローブの結合(すなわち、ハイブリダイゼーション)と競合し、それを阻害する。低ストリンジェンシー条件とは、非特異的結合が許容されるような条件であることは言うまでもない。すなわち、低ストリンジェンシー条件では、2つの配列の相互の結合が特異的(すなわち、選択的)相互作用であることが必要である。非特異的結合の欠如は、部分的な相補性(例えば、約30%未満の同一性)をも欠く第2の標的配列を使用することによって試験することができる。すなわち、非特異的結合の非存在下では、プローブは、第2の非相補標的配列にハイブリダイズしないはずである。
【0192】
当分野で知られているように、多数の等価な条件を使用して、低又は高ストリンジェンシー条件を構成することができる。配列の長さ及び性質(DNA、RNA、塩基組成)などの要因、標的の性質(DNA、RNA、塩基組成、溶液中での有無、又は固定化など)、並びに塩及び他の成分の濃度(例えば、ホルムアミド、デキストラン硫酸及び/又はポリエチレングリコールの有無)を考慮し、ハイブリダイゼーション溶液を変えて上記の条件とは異なるが等価である低又は高ストリンジェンシー条件を作成することができる。
【0193】
本発明の一目的は、Eimeria maximaの配偶子母細胞からの56及び82kDa各抗原をコードするヌクレオチド配列、及びそのために誘導されるアミノ酸配列を提供することである。特に例示的なコード配列を、誘導されるアミノ酸配列とともに図4及び5に示す。例示的なアミノ酸配列と同義であるすべてのコード配列は、本発明の範囲内にある。
【0194】
本発明の別の目的は、他のEimeria種からの等価な配列を含めて、機能的に等価なコード配列及びタンパク質配列を提供することである。Eimeria maximaの配偶子母細胞由来の56及び82kDa各抗原の機能的に等価なコード配列は、特異的に同定されたコード配列に望ましくは約50%〜約80%のヌクレオチド配列が相同(同一)であり、特に例示的なコード配列に約80%〜約95%、望ましくは約95%〜約100%のコード配列が同一である。
【0195】
特定のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件によって、別な種に由来するコード配列の相同体の同定、及び変異体配列の同定が可能になり、これらの相同体及び/又は変異体配列は、少なくとも50〜85%(50%を含む)、85〜100%(85%を含む)ヌクレオチド配列同一性、90〜100%(90%を含む)又は95〜100%(95%を含む)ヌクレオチド配列同一性を有する。各構成要素及び各指定範囲の各サブセットは、本明細書の範囲内にある。
【0196】
本発明のコード配列及び方法は、Eimeria maxima以外の種における相同なコード配列を含む。本明細書に開示された配列及び当分野で周知の実験技術を用いた本発明の方法において有用なEimeria tenella、Eimeria acervulina、Eimeria necatrix、Eimeria praecox、Eimeria mitis及びEimeria brunettiなどの他の種を含めて、ただしこれらだけに限定されない他の生物から、(例えば、cDNAからの)対応するコード配列を単離する方法を使用することができる。
【0197】
ストリンジェント条件下で開示された配列にハイブリダイズする、本明細書に例示されたもの以外の種に由来する配列は、特に本発明に含まれる。ストリンジェント条件とは、所与のプローブ長さ及びヌクレオチド組成に対して当分野で了解されている条件を意味し、ストリンジェント条件下でハイブリダイズ可能であるということは、無関係な配列のアニーリングには不利な傾向にある標準条件(すなわち、高温及び/又は低塩含量)下での対象ヌクレオチド配列又はその相補鎖へのアニーリングを意味する。
【0198】
「高ストリンジェンシー条件」は、65℃〜68℃、0.1xSSC及び0.1%SDSの(約95〜100%ヌクレオチド配列同一性/類似性を示す)ハイブリダイゼーション及び洗浄条件を意味する。ハイブリダイゼーションアッセイ及び条件は、Sambrook等(1989) Molecular Cloning、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Plainview、N.Y.にさらに詳しく記載されている。本明細書で使用する適度な(中程度の)ストリンジェンシー条件は、50〜65℃、1xSSC及び0.1%SDSの(ポジティブなハイブリダイゼーション結果が約80〜95%のヌクレオチド配列同一性を反映する)ハイブリダイゼーション及び洗浄条件である。低ストリンジェンシー条件は、通常、40〜50℃、6xSSC及び0.1%SDSの(約50〜80%のヌクレオチド配列同一性を反映する)ハイブリダイゼーション及び洗浄条件である。
【0199】
本発明のポリペプチドの相同体は、該ポリペプチドと実質的に同じアミノ酸配列及び生物活性を有するポリペプチドである。したがって、相同体は、本発明のポリペプチドとは、得られるポリペプチドが該ポリペプチドの生物活性を保持する限り、1つ又は複数の非必須アミノ酸残基の付加、欠失又は置換によって異なることができる。当業者は、どのアミノ酸残基が付加、欠失又は置換(どのアミノ酸とそのような置換が成され得るかを含めて)されたかを、例えば、対象ポリペプチドのポリペプチド相同体の細菌発現をコードするDNA配列の設計及び製造、部位特異的突然変異誘発技術によるcDNA及びゲノム配列の改変、組換えポリペプチド及び発現ベクターの構築、ポリペプチドの細菌発現、及び従来の生化学アッセイによるポリペプチドの生化学活性測定のための従来法を含めて、確立された周知の操作を用いて、容易に決定することができる。
【0200】
相同体の例は、対象ポリペプチドにおいて指定された残基のすべてに満たない残基を含有する欠失相同体、指定された1つ又は複数の残基が他の残基によって置換された置換相同体、及び1つ又は複数のアミノ酸残基がポリペプチドに付加した付加相同体である。このような相同体はすべて、本発明のポリペプチドの生物活性を共有する。
【0201】
「実質的に同一のポリペプチド」は、本明細書では、ポリペプチドのアミノ酸配列のN末端における4未満のアミノ酸の欠失、付加又は置換を包含すると定義される。また、ポリペプチドの生物活性を消失させない、配列の欠失、付加又は置換もあり得る。このような改変は、当業者には既知である。例えば、置換は、例えば、Lehninger、Biochemistry、第2版.Worth Pub.、New York(1975);Creighton、Protein Structure、a Practical Approach、IRL Press at Oxford Univ.Press、Oxford、England(1989);及びDayhoff、Atlas of Protein Sequence and Structure 1972、National Biomedical Research Foundation、Maryland(1972)に記載された相同又は等価な基と一致する最大10個の残基を包含することができる。
【0202】
本明細書で使用する「生物学的に活性」という用語は、天然分子の構造的機能、調節機能又は生化学機能を有するポリペプチドを指す。同様に、「免疫学的に活性」とは、天然、組換え又は合成ポリペプチド、あるいはそれらの任意のオリゴペプチド部分が、動物又は細胞において特異的免疫応答を誘発し、特異的抗体と結合する能力を指す。
【0203】
「実質的に同一の生物活性」とは、天然の分子と同じ生物活性を指し、当業者が依然として同一の生物活性であると認める程度又はレベルでわずかに異なり得る。
【0204】
(「所与のポリペプチドの一部」のように)ポリペプチドに関連して本明細書で使用する「部分」という用語は、該ポリペプチドの断片を指す。この断片は、4アミノ酸残基から、全アミノ酸配列−1アミノ酸までのサイズとすることができる。(「所与の核酸の一部」のように)核酸に関連して本明細書で使用する「部分」という用語は、該核酸の断片を指す。この断片は、12ヌクレオチド残基から、全核酸配列−1ヌクレオチドまでのサイズとすることができる。
【0205】
本明細書で使用する「欠失」とは、それぞれ1つ又は複数のアミノ酸又はヌクレオチド残基が欠けているアミノ酸又はヌクレオチド配列の変化を指す。
【0206】
本明細書で使用する「挿入」又は「付加」とは、天然の分子と比較して、それぞれ1つ又は複数のアミノ酸又はヌクレオチド残基が付加した結果となるアミノ酸又はヌクレオチド配列の変化を指す。
【0207】
本明細書で使用する「置換」とは、それぞれ異なるアミノ酸又はヌクレオチドによる1つ又は複数のアミノ酸又はヌクレオチドの置換を意味する。
【0208】
本発明は、主要なEimeria maxima配偶子母細胞抗原のうち、56及び82kDaの各分子量を有する2つの抗原の組換えクローニング及びシーケンシングを提供する。
【0209】
本発明は、E.coli発現系におけるプラスミドpTrcHisを用いたこれらの組換え抗原の発現も提供する。
【0210】
本発明は、組換え56kDa抗原を含む、コクシジウム症に対するワクチンも提供する。また、本発明は、組換え82kDa抗原を含む、コクシジウム症に対するワクチンも提供する。
【0211】
本発明は、主要なEimeria maxima配偶子母細胞抗原のうち、56及び82kDaの各分子量を有する2つの抗原のクローニング及びシーケンシングを提供する。
【0212】
56及び82kDa各糖タンパク質自体のアミノ酸配列決定を行うのに十分な配偶子母細胞抗原(すなわち、ミリグラム量の特異的抗原)を単離するために配偶子母細胞の生成をスケールアップした。このスケールアップ生成は、それ自体極めて困難な課題であり、配列解析を実施するのに十分な材料を用意するために数千のニワトリを感染させる必要があった。この目標を達成した後に、大規模スケールで2つの糖タンパク質の単離を開始するのに十分な親和性精製配偶子母細胞抗原(APGA)を生成することができた。
【0213】
精製した配偶子母細胞抗原糖タンパク質を2次元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分離した。染色による2次元ゲルの分析後、PVDFメンブレンフィルターに移し、APGAに対する抗血清を用いて免疫検出することによって56及び82kDa各抗原の位置を決定した。56及び82kDa各抗原を同定し、フィルターから除去した後、それらのN末端配列、並びにトリプシンペプチドから得られる内部タンパク質配列のアミノ酸配列決定を実施した。どの小さな特異的オリゴヌクレオチドプローブが合成されるかに基づいて、DNA配列を予測するために、これらのペプチド配列を用いた。
【0214】
特異的オリゴヌクレオチドプローブをRACE PCR(cDNA末端の迅速増幅(rapid amplification of cDNA ends))に用いて、56及び82kDa各抗原をコードする配偶子母細胞RNAからcDNA分子を調製した。この方法によって、所望のペプチドをコードするRNA配列をその中に含有するmRNA分子から、特異的に増幅された完全長cDNA分子を生成させることが可能になった。次いで、このcDNA生成物の完全な配列を決定し、上で配列決定した様々なペプチドの有無を確認した。驚くべきことに、本発明者らが得たcDNAクローンは、Wallach他、米国特許第5,932,225号に記載されたものとは無関係であることを本発明者らは見出した。したがって、Wallach他において、単離された56及び82kDa各抗原をコードすると考えられた抗体及びクローンを用いてcDNAライブラリをスクリーニングしたときに発生する人為産物は、実際にはこれらの抗原をコードしないと考えられる。
【0215】
最後に、2つの新しいcDNAクローンをサザン及びノーザンブロッティング実験におけるプローブとして用いて、56及び82kDa各抗原をコードする特異的遺伝子及びmRNA分子を同定した。以前にはブロットによって明確なバンドパターンが得られなかった(米国特許第5,932,225号)のに対し、2つの抗原をコードする遺伝子断片及びmRNA転写物の数及びサイズが明確に確認された。
【0216】
本発明は、(組換え抗原の精製に役立つ)ポリhisタグを含有する細菌発現ベクターpTrcHisに、56及び82kDa各抗原をクローニングするための方法もさらに提供する。次いで、特異的誘導分子(イソプロピル−α−D−チオガラクトピラノシド)を添加し、その後組換え56及び82kDa各抗原タンパク質をウェスタンブロッティングによって同定することによって、E.coli中でこの2つの遺伝子を発現させた。これらのブロットの結果、56及び82kDa各組換え抗原が、質量分析法による測定に基づく正確なサイズを有し、hisタグに対する抗体、並びに未変性56及び82kDa各配偶子母細胞抗原に対して産生された防御抗血清によって認識されることが示された。これらの結果から、クローンの同一性が確認され、これらの組換え抗原を用いて、ニワトリのコクシジウム症に対する母性ベースのワクチン中の未変性抗原を置換できることが示された。
【0217】
本発明は、56kDa配偶子母細胞抗原と30kDa胞嚢体タンパク質の関係についても述べる。この胞嚢体タンパク質は、免疫ブロットによって、56及び82kDa各配偶子母細胞抗原に対する抗血清と強く反応することが示された。30kDa胞嚢体タンパク質のアミノ末端配列を決定することによって、本発明者らは56kDa抗原のアミノ末端と正確に一致することを見出した。したがって、56kDa抗原は、配偶子母細胞から胞嚢体が発達する間に30kDaタンパク質に処理されると結論された。
【0218】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明するが、これらをさらに本発明を限定するものと決して解釈すべきではない。当業者は、考察した特定の方法及び結果が単に本発明を説明するためのものであり、その後の特許請求の範囲に、より完全に記載されていることを容易に理解できるはずである。
【実験の詳細】
【0219】
[実施例1]
Eimeria maxima配偶子母細胞の大規模スケールでの精製
極めて多量の配偶子母細胞を産生するために、4,000匹の重種ニワトリを10,000個の胞子形成したE.maximaの胞嚢体に感染させ、次いで、感染から6日(約134時間)後に屠殺した。ニワトリの腸を取り出し、PBSで洗浄し、長軸方向に切開した。次いで、1cm長の小片に切断し、0.5mg/mLヒアルロニダーゼ(Type III、Sigma、700単位/mg)を含有するSAC緩衝溶液(170mM NaCl、10mM Tris pH7、10mMグルコース、5mM CaCl、1%粉乳)に入れた。腸の小片を37℃で20分間インキュベートし、その後ガーゼフィルターの上に置いた。この小片を多量のSAC緩衝液ですすぎ、得られたろ液を回収した。次いで、このろ液を17ミクロンのポリモン(polymon)フィルター(Swiss Silk Bolting Cloth Mfg.Co.Ltd.、Zurich、Switzerland)を通してろ過し、次いで得られたろ液を10ミクロンフィルターを通してろ過した。配偶子母細胞を10ミクロンフィルター上から回収し、検査し、顕微鏡によって数え、遠心分離瓶に入れ、800Gで10分間回転させた。次いで、配偶子母細胞をSAC緩衝液で2回洗浄し、−70℃で凍結させた。
【0220】
[実施例2]
56、82及び230kDa各配偶子母細胞抗原の精製
凍結配偶子母細胞を室温で解凍し、既報(Wallach 1995)のようにしてタンパク質を抽出した。56及び82kDa各配偶子母細胞抗原を、56kDa抗原に対して産生されたモノクローナル抗体1E11−11を含有するセファロース4Bカラムにかけてタンパク質抽出物から単離した。配偶子母細胞抗原の複合物を、樹脂に付着したモノクローナル抗体と結合させ、非特異的材料を緩衝液を用いて洗い流し、親和性精製された配偶子母細胞抗原(APGA)をカラムから溶出させた。この精製APGAを凍結乾燥させた。少量のAPGA試料をSDS−PAGEによって分析すると、56及び82kDaの各未変性抗原が明瞭に可視化された(図1)。
【0221】
[実施例3]
APGAの2次元ゲル電気泳動及び主要な56及び82kDa各抗原の単離
56及び82kDa各配偶子母細胞抗原をAPGAから単離した。凍結乾燥APGAを実施例2に記載したように調製し、水に溶解させた。次いで、このタンパク質を2次元SDS−PAGEによって分離し(図2)、56及び82kDaの両方のタンパク質を認識するポリクローナルニワトリ抗APGA抗体を用いた免疫ブロットによって同定した。このタンパク質を同定し、2次元SDS−PAGEゲル上でのその位置を確定した後、PVDFメンブレンフィルターに移し、クーマシーブルーを用いて染色した(図3)。同時に免疫ブロットを実施し、2つのブロットを比較して56及び82kDaの各タンパク質を明確に同定した。56及び82kDaの各配偶子母細胞抗原に対応するスポットをメンブレンから切り出し、各抗原のアミノ末端の配列を決定した。
【0222】
[実施例4]
56及び82kDa各抗原のアミノ末端及び内部トリプシンペプチドのアミノ酸配列決定
56及び82kDa各タンパク質のアミノ末端配列を以下のように決定した。
56kDaタンパク質のアミノ末端:VPSTTPVENQVHPY−EM (配列番号7)
82kDaタンパク質のアミノ末端:−PTVLDTTTG−QVEDT (配列番号8)
【0223】
56及び82kDa各タンパク質の内部トリプシン消化断片のタンパク質配列を決定するために、APGA調製物を1次元SDS−PAGEによってまず分離し、クーマシーブルーにより染色した。次いで、このタンパク質をゲルから切り出し、トリプシン消化してその配列を決定した。
【0224】
いくつかのトリプシンペプチド配列が両方のタンパク質から得られた。結果を表1に要約する。
【0225】
表1 56及び82kDa各抗原から単離されたトリプシンペプチドのアミノ酸配列
【表1】

【0226】
得られたアミノ酸配列は、いかなる他の既知のタンパク質ともなんら相同性を示さなかった。
【0227】
[実施例5]
56及び82kDa各抗原をコードする各遺伝子のRACE PCRクローニング及び配列決定
56及び82kDa各タンパク質の遺伝子を、SMART RACE PCR技術(Clonetech)を用いて配偶子母細胞cDNAから増幅した。E.maxima配偶子母細胞からRNAを単離し、Dynalヒ゛ース゛(Dynal)を用いてmRNAを精製した。逆転写酵素Powerscript(Clonetech)を用いて製造者の指示による手順に従って、SMART ready cDNAを合成した。SMART RACE PCRマニュアルに記載された手順、DNAポリメラーゼ、Advantage Taq(Clonetech)、高忠実度酵素混合物を用いて、5’及び3’両末端の増幅を実施した。
【0228】
実施例1に示したように、配偶子母細胞をニワトリの腸から単離し、数回ろ過し、完全に洗浄した。ニワトリ腸の残留物がこの調製物中にまだ残っている懸念があった。すなわち、56及び82kDa各遺伝子のアミノ末端用に設計された縮重プライマー及び内部トリプシンペプチド断片用に設計された縮重プライマーを用いて実施したPCRによって、精製配偶子母細胞及び未感染ニワトリ細胞から調製された両方のcDNA試料におけるバンドが生じた。この状況において、臭化エチジウムを用いてアガロースゲル上で強く染色されたPCRバンドを精製し、pGEMT-Easy(Promega)中にクローン化し、その配列を決定した(SUPAMAC sequencing service、Sydney、Australia)。いくつかの例において、再配列が認められるとき、又はクローン断片の配列決定が困難なときは、直接PCR産物から配列を得た。PCR産物からのDNA配列データがトリプシンペプチドのアミノ酸配列のいずれかに翻訳される場合、PCR産物は寄生虫起源であり、配列決定を続けた。
【0229】
56及び82kDa各タンパク質の完全長配列を、それぞれ図4及び5に示す。230kDaタンパク質の完全長配列を図12に示す。
【0230】
56配偶子母細胞抗原のトリプシンペプチド及びN末端のアミノ酸配列は、対応するクローンDNAから生じる誘導アミノ酸配列に一致した。
【0231】
56kDaタンパク質の場合、9つのトリプシンペプチドの配列が決定された(表1)。sb56iを除くすべてのペプチドを、56kDaタンパク質に対応するクローン遺伝子に位置づけることができた(図4)。このトリプシン断片は、試料中に存在する混入バンドに対応し得る。詳細には、以下のとおりである。
−トリプシンペプチドsb56a、sb56b、sb56c、sb56d、sb56f及びsb56hは、クローンDNAによって予想される誘導アミノ酸配列に正確に一致した。
−トリプシンペプチドsb56gは、クローンDNAによって予想される誘導アミノ酸配列に正確には一致しなかった。トリプシン断片の配列を再分析すると、新しい配列はクローンDNAから誘導される予測配列により近いものであった。
【0232】
トリプシン消化断片sb56gオリジナル配列:RQ−−TAAWMDR−TA[L/I]EQEETT (配列番号23)
再分析sb56g配列:RGVQTAAWMDGVTA I EKEETT (配列番号24)
DNAから誘導されたaa配列:RGVQTAAWMNGVTA I EKEETT (配列番号25)
【0233】
このペプチドのアミノ酸10における不一致は依然残っており、タンパク質配列はDを示し、DNA配列はNを予想する。このDNAセグメントは4回配列決定され、毎回Nが予想された。
【0234】
トリプシンペプチドのアミノ酸及び82配偶子母細胞抗原のN末端の配列は、対応するクローンDNAから生じる誘導アミノ酸配列に一致する
【0235】
82kDaタンパク質の場合、7個のトリプシンペプチドの配列が決定された(表1)。sb82d及びsb82eの2つを除くすべてのペプチドを、82kDaタンパク質に対応するクローン遺伝子に位置づけることができた。このトリプシン消化断片は、試料中に存在する汚染バンドに対応している可能性がある。詳細は以下のとおりである。
−トリプシンペプチドsb82a、sb82b、sb82c、sb56d及びsb82fは、クローンDNAによって予想される誘導アミノ酸配列に正確に一致した。
−トリプシンペプチドsb82d及びsb82eは、クローンDNAによって予想される誘導アミノ酸配列に一致しなかった。
【0236】
上述の配列情報に加えて、
1)82kDaタンパク質の成熟形をコードするORFの予想サイズは、質量分析法によって決定して64,275Daであり、未変性タンパク質の真のサイズである62,236Daに対応する。
2)56kDaタンパク質の成熟形をコードするORFの予想サイズは、質量分析法によって決定して51,407Daであり、未変性タンパク質の真のサイズである52,450Daに対応する。
【0237】
最後に、2つのタンパク質とDNAの配列は、他のあらゆる既知の遺伝子又はタンパク質となんら相同性を示さなかった。
【0238】
[実施例6]
56及び82kDa cDNAクローンプローブを用いたサザン及びノーザンブロッティング。
最初に様々な制限酵素を用いてDNAを切断し、得られたDNA断片をアガロースゲル上で分離することによって、E.maxima及びニワトリDNAを用いたサザンブロッティングを実施した。その後、DNAをニトロセルロース紙に移し、P32標識cDNAプローブを用いて56(図6)又は82(図7)kDa抗原を探索し、オートラジオグラフィを実施した。その結果、56及び82kDaの両方の抗原に対して、2つのタンパク質をコードする2つの異なる単一コピー遺伝子が存在すると考えられた。
【0239】
RNA分子をアガロースゲル上で分離し、それをニトロセルロースフィルターに移し、P32標識56及び82各cDNAクローンを用いて探索することによって、E.maxima及びニワトリRNAを用いたノーザンブロッティングを実施した。その結果、56kDa mRNAが約1.9KBの分子量を有し、82kDa mRNAが約2.4KBの分子量を有することが示された(図8)。これらのサイズは、DNA配列から予測されるサイズに極めて類似している。
【0240】
[実施例7]
pTrcHisベクターを用いたE.coli中での組換え56及び82kDa抗原の発現及び未変性APGAに対する血清を用いたそれらの分析
82kDaタンパク質をコードする完全長遺伝子を、末端制限酵素切断部位を有する遺伝子特異的プライマーを用いてE.maxima配偶子母細胞cDNAから増幅して、発現ベクターpTRCHisb(Invitrogen)中への一定方向のクローニングを促進させた。完全長遺伝子は、成熟タンパク質のアミノ末端コード領域及び停止コドン(575 aa)までの(ただし、停止コドンを含まない)配列を含んでいた。56kDaタンパク質をコードする遺伝子の部分的断片を、末端制限酵素切断部位を有する遺伝子特異的プライマーを用いてE.maxima配偶子母細胞cDNAから増幅した。これは、タンパク質のアミノ末端、さらに配列の323アミノ酸、完全長成熟タンパク質よりも短い133アミノ酸を含んでいた。両方の遺伝子を市販のベクターpTrcHisb(Invitrogen)にクローン化した。
【0241】
1)pTrcHis Bにおける56kDa遺伝子の発現
形質転換された細菌を1mM IPTGを用いて誘導し、細菌溶解物を1D−SDS PAGE及び免疫ブロットによって分析した(図9)。組換えタンパク質のHis融合タグに対する市販の抗His抗体は、誘発条件下で40kDaの予想サイズのバンドを認識した(このクローンは、133アミノ酸に対するコード領域を欠いている)。非誘発条件下でも、このバンドと低レベルの反応性があり、遺伝子発現の漏出がある程度存在することを示している。次いで、組換え56kDaタンパク質を認識できるかどうかを、ニワトリポリクローナル抗APGA抗体を用いた免疫ブロットによって評価した。免疫ブロットから、抗APGA抗体は、1次元SDS−PAGEによって未変性タンパク質及び組換えタンパク質を認識することが示され、クローン遺伝産物が実際に56kDaタンパク質をコードすることが明確に実証された。
【0242】
2)pTrcHis Bにおける82kDa遺伝子の発現
形質転換された細菌を1mM IPTGを用いて誘導し、細菌溶解物を1次元SDS PAGE及び免疫ブロットによって分析した(図10)。組換えタンパク質のHis融合タグに対する市販の抗His抗体は、誘発条件下でも非誘発条件下でも82kDaの予想サイズのバンドを認識した。次いで、組換え82kDaタンパク質を認識できるかどうかを、ニワトリポリクローナル抗APGA抗体を用いた免疫ブロットによって評価した。精製配偶子母細胞から単離された未変性APGAを用いてニワトリを免疫することによってこの抗体を産生した。免疫ブロットから、抗APGA抗体は、1次元SDS−PAGEによって未変性タンパク質及び組換えタンパク質を認識することが1D SDS−PAGEによって示され、クローン遺伝産物が実際に82kDaタンパク質をコードすることが明確に実証された。
【0243】
上記結果、並びに実施例5に記載した配列分析に基づいて、本発明者らは、上述の2つのcDNAクローンが56及び82kDa各抗原をコードする真正な遺伝子であると結論した。また、未変性抗原に対して産生された抗血清との強い反応性から、これらの組換えタンパク質を用いてAPGAを置換し、コクシジウム症に対してニワトリを免疫化できることが示された。
【0244】
[実施例8]
E.maxima胞嚢体由来の56kDa抗原と30kDa抗原の相同性
APGAに対する抗体を用いて、胞嚢体抗原の2次元ブロット上で相同なタンパク質を検出した。本発明者らは、30kDaのタンパク質と極めて強い反応性があることを見出した(図11)。このスポットをメンブレンフィルターから切り出し、このタンパク質のN末端配列を決定した。得られたアミノ酸配列は、配偶子母細胞56kDa抗原のN末端配列に正確に対応した。この知見に基づいて、本発明者らは、配偶子母細胞56kDa抗原が処理されて、発達の胞嚢体時期の30kDaタンパク質になると結論した。
【0245】
[実施例9]
Eimeria maxima由来の56kDa配偶子母細胞抗原gam 56の発現
未変性タンパク質:Mr 56,000(分子サイジング(MS、molecular sizing)によって決定されたサイズ:52,450Da)
源:寄生虫:Eimeria maxima
ライフサイクル時期:大配偶子母細胞
遺伝子:5ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)断片にわたって存在する1,754塩基対配列。コード領域の約400bpを含む遺伝子の最後の約600bpを除いて、これらすべてをpGEMT−Easyにクローン化する。
5’UTR (1〜102bp)
ORF (103〜1,533bp)
3’UTR (1,534〜1,731bp)
ポリA配列(1,732〜1,754bp)
pI:配列から予想される4.8(2D SDS−PAGEによって、タンパク質はゲルの酸性末端方向に移動する)
【0246】
発現構築物
使用発現ベクター:pTRCHisb、pET25b
発現構築物:任意 p56TRCHisbl
発現ベクター中にクローン化された遺伝子断片:以下のプライマー対、すなわちTRCHisbのBamHI/EcorI部位への一定方向クローニング用SB74/SB75(172〜1137bp)を用いてcDNAからgam 56を増幅した。増幅された領域は、イニシエータメチオニン及びリーダー配列を除いて、成熟タンパク質のアミノ末端をコードする配列を含む。これは、チロシン−セリンリッチ領域を含み、プロリン−メチオニンリッチ領域を含まない。
【0247】
クローン化gam 56断片のアミノ酸組成:2システインが存在
pTRCHisb中にクローン化された遺伝子断片のアミノ酸組成:
S(12.7%) Y(11.5%) A( 8.7%) T( 8.4%) P( 7.2%)
R( 6.6%) E( 6.0%) M( 5.5%) L( 5.5%) V( 4.6%)
Q( 4.3%) N( 4.3%) G( 3.8%) D( 3.5%) W( 1.7%)
F( 1.4%) K( 1.4%) I( 1.4%) H( 0.9%) C( 0.6%)
【0248】
予想タンパク質サイズ:41kDa
【0249】
収率:0.9〜1.4μg/mL(ニッケルアガロース精製タンパク質/mL培地) クーマシーブルー染色ゲル上で未精製細菌溶解物中の誘導タンパク質を見ることは困難である。
【0250】
発現条件:プロモーターは漏出性があり、したがって本発明者らはIPTGの非存在下で発現を得ることができる。
1mM IPTG、0.01M Mg+SOB(LBよりもSOBが良い)中の0.1mg/mLアンピシリンを含むバッフル付きフラスコを37℃、4時間誘導で使用した。
【0251】
通常、1本の優勢な約42kDaのバンドが、精製及び銀染色検出後に得られる。主要な約42kDaバンドと同様に、いくつかの凝集体であり得る高分子量バンドが精製後に得られることが多い。このタンパク質は、−20℃及び4℃で凝集すると考えられ、精製後、本発明者らは脱塩し安定剤(3%乳糖、1%グルタミン酸一ナトリウム)を添加した。
【0252】
[実施例10]
ニワトリにおける組換え56kDa(r56)及び82kDa(r82)各配偶子母細胞抗原及び250kDa(r250)無性世代抗原の免疫化及び攻撃誘発試験
免疫化
動物
ニワトリ: − 84日齢(約12週)オーストラロープの若い雄鶏
− 薬用(ロベニデン(robenidene))食物を続けた
− すべてのニワトリに個別にタグを付け記録した
【0253】
抗原
pTRCHisb発現系における組換えタンパク質を0.01M Mg2+SOB中の0.1mg/mLアンピシリン中37℃で増殖させ、1mM IPTGを用いて4時間誘導した。このタンパク質をNi−アガロースカラム上で精製し、濃縮し、脱塩し、安定剤(3%乳糖、1%グルタミン酸一ナトリウム)を加えて凍結乾燥させた。すべての抗原に対して用いたタンパク質濃度を、Bradfordアッセイにより測定した。M.Wallachによって提供された親和性精製配偶子母細胞抗原(APGA)調製物を試験の正の対照として用いた。
【0254】
グループ及び投与量
− 1グループ当たり9匹のニワトリを使用;合計9グループ;合計81匹のニワトリを使用。
− ニワトリを、1匹当たり0.5ml抗原/フロイド不完全抗原(FIA)カクテル(0.25ml抗原/0.25ml FIA)で、筋肉内、ニワトリの片方のみに、以下の抗原を用いて免疫した:
グループ1 PBSのみ
グループ2 アジュバント(FIA)/PBS
グループ3 APGA(2.5g)
グループ4 r250タンパク質(1.0g)
グループ5 r250タンパク質(10.0g)
グループ6 r56タンパク質(0.5g)
グループ7 r56タンパク質(5.0g)
グループ8 r82タンパク質(0.5g)
グループ9 r82タンパク質(5.0g)
【0255】
免疫化スケジュール
免疫化1: 第1週
免疫化2: 第3週
出血: 第6週
出血: 第8週
出血/屠殺:第9週
【0256】
分析
− 採血(約1.5〜2ml/トリ)し、血清を分離し、ELISA及び免疫ブロットにより試験した
【0257】
結果
出血の結果を図14に示す。
【0258】
攻撃誘発
動物及び寄生虫
− 出血1のELISAによる結果に基づいて、各グループから抗体力価の最も高い5匹のニワトリ(148日齢;約4.5月)を使用した。PBS及びFIA対照の場合、抗体力価の最も低いニワトリを使用した
− E.maxima(Houghton菌株);
− 攻撃誘発の1週前に餌からロベニデンを除いた
【0259】
グループ
以下のグループ及びニワトリを上記の免疫化試験から採用し、攻撃誘発実験に使用した
グループ1 PBSのみ ニワトリ番号2、3、4、
6,8
グループ2 アジュバント(FIA)/PBS ニワトリ番号12〜16
グループ3 APGA(2.5g) ニワトリ番号20、22、
23、25、27
グループ5 r250タンパク質(10.0g) ニワトリ番号37、39、
41、44、45
グループ7 r56タンパク質(5.0g) ニワトリ番号57、59、
60、61、63
グループ9 r82タンパク質(5.0g) ニワトリ番号74、75、
76、79、80
【0260】
攻撃誘発スケジュール
ロベニンデンを除去した
トリ1匹当たり100個の胞子形成胞嚢体を用いて攻撃誘発した 第6日
【0261】
胞嚢体の回収及び計測スケジュール
第0日 感染後
第1日 感染後
第2日 感染後
第3日 感染後
第4日 感染後
【0262】
胞嚢体の結果に別の種が混入していないかどうかを検討した
プラスチックシートを交換して収集を開始した
【0263】
第5日 感染後 糞便を回収し、胞嚢体を数えた
第6日 感染後 糞便を回収し、胞嚢体を数えた
第7日 感染後 糞便を回収し、胞嚢体を数えた
第8日 感染後 糞便を回収し、胞嚢体を数えた
第9日 感染後 糞便を回収し、胞嚢体を数えた
第10日 感染後 糞便を回収し、胞嚢体を数えた
【0264】
【表2】

【0265】
[実施例11]
250kDa無性世代タンパク質の組換え断片の発現
予想された膜貫通領域/サイトゾル尾部及び上流の親水性領域をコードする250kDaタンパク質領域を発現試験用に選択した(図15)。この区域は、以下のいくつかの理由によって選択された:1)類似した3’親水性末端領域がいくつかのアピコンプレックス門ミクロネームタンパク質において同定され、このタンパク質ファミリーに固有と考えられる;2)このような領域は、免疫優性の主としてEimeria tenellaミクロネームタンパク質1(EtMIC1)及び表面抗原5401(EtMIC4)としても認識される他のミクロネームタンパク質においても同定された;3)類似の領域はE.tenella 5401抗原(EtMIC4)からも発現され、E.tenellaによる攻撃誘発に対して有意な防御をもたらすことが見出された(Danforth等、1988);4)他のタンパク質領域は、主としてEGF様及びTSP−1様ドメインからなる。これらのドメインタイプは、真核生物中に高度に保存されていることが見出され、したがって、それらの誘導自己免疫の可能性を考えなければならない。また、このようなドメインタイプが蔓延していることから、これらが強い免疫応答を誘導する原因であるとは考え難い。
【0266】
250kDaタンパク質をコードするcDNAクローンから、選択したDNA領域を増幅するように、PCRプライマーEP006(5’−TTGGATCCCGAATTGCACCCCA TTCC−3’)及びEP007(5’−TTGAATTCTGAATGTCGCCGCTGTCG−3’)を設計した。これらのプライマーには、BamHI(EP006)及びEcoRI(EP007)制限酵素切断部位が組み込まれており、選択した発現ベクターへのクローニングが容易になる。このプライマーを用いてその後生成されるPCR産物をゲル精製し、その同一性を配列決定によって確認した。
【0267】
細菌発現ベクターpTrcHisB(Invitrogen)を発現試験用に選択した。プラスミドベクターDNA及びゲル精製されたcDNA挿入断片を制限酵素BamHI及びEcoRIで消化し、消化されたDNA断片をゲル精製し連結した。この連結混合物を、平板培養しインキュベーションした後にE.coli菌株DH5−a中に形質転換し、得られたコロニーを選択し、培養し、プラスミド調製に用いた。選択された組換え体の同一性をDNA配列を決定することによって確認した。
【0268】
発現に備えて、発現構築物を含有するプラスミドDNAを、E.coli宿主発現菌株TOP10中に形質転換した。平板培養及びインキュベーション後、単一の細菌コロニーを選択し、それを用いてLB培地においてO/N培養物(O/N culture)を樹立した。ベクターのみの負の対照培養物を樹立した。次いで、一定量の各培養物を新鮮なLB培地に移し、細胞が対数期の中間部に到達するまでインキュベートし、そこで1mM IPTGを添加して発現を誘発させた。発現培養及び負の対照培養からの各試料を誘導から0、1、2、5及び24時間後に採取し、遠心して細菌細胞のペレットにした。続いて、すべてのペレットをTE緩衝液に再懸濁し、超音波処理し、遠心分離して、水溶性画分(上清)を不溶画分(ペレット)から分離させた。すべての画分を還元条件下SDS−PAGEゲルで分析し、続いてクーマシーブルーで染色した。負の対照試料と比較すると、45kDaマーカーのすぐ下に移動する過剰発現タンパク質が可溶画分中に検出された。pTrcHis発現産物の6×ヒスチジンタグと反応する抗体を用いた可溶画分のウェスタン分析によって、同じ見掛け分子量のタンパク質バンドが検出された。発現タンパク質の予想サイズは約30kDaであり、SDS−PAGEゲルで観測されたサイズよりもやや小さかった。このサイズの相違は、見掛け分子量の高いタンパク質を移動させることが知られ発現タンパク質中に高頻度で出現するプロリン残基によっておそらく説明することができる。
【0269】
免疫原性試験に備えて、Ni−NTAアガロースニッケル充填樹脂(QIAGEN)を用いて、製造者の推奨手順をわずかに変更してこの発現タンパク質を精製した。6xHisタグを含有する発現タンパク質は、この樹脂に結合し、溶出緩衝液中のイミダゾール濃度を増加させることによって置換される。手短に述べると、1mg/mLリゾチームを含有する溶解緩衝液(50mM NaHPO、300mM NaCl、10mMイミダゾール、pH8.0)中に細胞ペレットを再懸濁させた。この懸濁液を氷上で超音波処理し、遠心分離して不溶材料をペレットにした。次いで、可溶タンパク質を含有する上清をNi−NTA樹脂と混合し、使い捨て溶出カラムに入れた。このスラリーを静置し、次いで、洗浄緩衝液(50mM NaHPO、300mM NaCl、20mMイミダゾール、pH8.0)で洗浄し、溶出緩衝液(50mM NaHPO、300mM NaCl、250mMイミダゾール、pH8.0)で溶出させた。溶出画分の純度を、還元性SDS−PAGE及びクーマシーブルー染色によって分析した。
【0270】
免疫原性試験の詳細は、56kDa及び82kDa試験に関するものである。マウスの試験の場合、マウス1匹当たり0.5μg及び5μg用量の組換えタンパク質を用いた(6マウス/グループ)。ニワトリの試験の場合、トリ1羽当たり1μg及び10μg用量を用いた(9ニワトリ/グループ)。マウス及びニワトリ試験から収集した血清試料に対するELISAの結果をそれぞれ図16及び17に示す。
【0271】
[実施例12]
寄生虫(大配偶子母細胞)の有性世代に見られる前駆体タンパク質からEimeriaの胞嚢体壁が誘導される。この前駆体タンパク質は、プロセシングを受け、ジチロシン架橋されて寄生虫から排出された形の強化防御バリアを形成する。
【0272】
56kDa及び82kD各無性世代大配偶子母細胞抗原をコードする遺伝子をクローン化して、その配列を決定した。両方の遺伝子とも、異常なアミノ酸組成を示し、特に、両方ともチロシンリッチ領域を有する。すなわち、56kDaタンパク質は1つのチロシンリッチ領域を有し、82kDaタンパク質は2つのチロシンリッチ領域を有する。チロシンが豊富なタンパク質は、以前からE.acervulina及びE.tenellaにおける胞嚢体壁の形成に関係付けられている(Eschenbacher等)。したがって、胞嚢体壁形成における56kDa及び82kD各無性世代抗原中のチロシンリッチ領域の役割を、Eimeria maximaにおいて検討した。
【0273】
56kDaタンパク質の組換え体に対する抗体(抗r56)及び82kDaタンパク質の組換え体に対する抗体(抗r82)は、胞子形成しない胞嚢体及び胞子形成した胞嚢体中の約30kDaタンパク質、及び精製された壁断片中の約30kDaタンパク質を認識する(図18及び19参照)。これらは、配偶子母細胞抽出物におけるそれらの未変性体カウンターパートも認識する。精製胞嚢体壁断片において抗r82kDa抗体によって認識される約30kDaタンパク質は、抗r56によって認識される約30kDaタンパク質とは同一でなく、わずかに小さい。抗r56抗体によって認識される約30kDaタンパク質を精製し、そのN末端配列を決定した。約30kDaタンパク質のN末端は、56kDa配偶子母細胞抗原のN末端に正確に対応する(図20a参照)。
【0274】
別の研究者は、SDS−PAGE及びクーマシーブルー染色によって、Eimeriaの胞嚢体壁が14kDa及び30kDaの2つの優勢なタンパク質で構成されることを示した。より優れたSDS−PAGE分離技術を用いて、本発明者らは、14kDaタンパク質を約10〜14kDaの3つの成分に分解し、それらを14.1、14.2及び14.3と命名した。14.1は、SDS−PAGEゲル上で最も遅く移動したタンパク質であり、14.3は最も速く移動したタンパク質である(図18c参照)。本発明者らは、4つのタンパク質すべてのN末端配列を決定した。その結果を図20に示す。要約すると、30kDaタンパク質は、BLASTタンパク質探索を通して決定されたすでに特性の明らかなあらゆる他のタンパク質とはなんら類似性を示さない新規なタンパク質である(図20c参照)。タンパク質14.3のN末端は82kDaタンパク質のドメイン1におけるチロシンリッチ領域の開始部に対応し(図20b参照)、タンパク質14.2のN末端は82kDaタンパク質のドメイン2におけるチロシンリッチ領域の開始部に対応し(図20b参照)、タンパク質14.1のN末端は56kDaタンパク質中のチロシンリッチ領域の開始部に対応する(図20a参照)。
【0275】
まとめると、これらの結果から、Eimeriaの胞嚢体壁は、寄生虫の有性世代(大配偶子母細胞)の壁形成体中に見られる前駆体タンパク質から誘導されることがわかる。いくつかの情報伝達機構を通して、前駆体タンパク質は約30kDa及び約14kDaのいくつかのより短いタンパク質にタンパク質分解処理される。これまでの知見に反して、本発明者らのデータは、胞嚢体壁が2つを超えるタンパク質で構成されていることを示している。本発明者らの知見から、胞嚢体壁が寄生虫において異なる濃度で存在するいくつかのタンパク質で構成されることが示唆され、そのいくつかは多量に存在してSDS−PAGEゲルのクーマシーブルー染色によって認識され、低濃度で存在する他のタンパク質は、より高感度な技術である免疫ブロットによってのみ検出される。クーマシーブルー染色SDS−PAGEゲルにおいて見られる約30kDaタンパク質は、56kDa及び82kDa各配偶子母細胞抗原とは関係がないが、より小さな約10〜14kDaタンパク質は関係がある。ジチロシンが胞嚢体において0.00338mmol/mol程度の検出可能な濃度で存在するという本発明者らの最近の知見は、小さなチロシンリッチタンパク質がジチロシン架橋を含む機序を通して壁中におそらく保持されていることを示している。しかし、本発明者らは、すべてのタンパク質が壁中にこのように保持されているわけではないと考えており、現在それについて研究中である。
【参考文献】
【0276】

【図面の簡単な説明】
【0277】
【図1】アフィニティー精製された未変性配偶子母細胞抗原のクーマシーブルー染色されたSDS−PAGEゲルを表す図。矢印は56及び82kDa抗原を示す。分子量マーカータンパク質が示されている。
【図2】アフィニティー精製された未変性配偶子母細胞抗原を免疫ブロットし銀染色した後の2次元(2D)SDS−PAGEゲルを表す図。分子量マーカータンパク質が示されている。
【図3】2次元SDS−PAGEゲルから移しクーマシーブルーで染色されたPVDFフィルター、及び配列解析のために切り出されたスポットの同定。矢印は56及び82kDaの各抗原を示す。
【図4−1】56kDa配偶子母細胞抗原の完全長DNA配列を表す図。アミノ末端及び内部トリプシンペプチド断片が示されている。加えて、予想されるイニシエータメチオニン及びシグナルペプチド切断部位が示されている。コード配列、その相補配列及びアミノ酸配列が示されている(配列番号1−3)。
【図4−2】図4−1に同じ。
【図4−3】図4−1に同じ。
【図5−1】82kDa配偶子母細胞抗原の完全長DNA配列を表す図。アミノ末端及び内部トリプシンペプチド断片が示されている。加えて、予想されるイニシエータメチオニン及びシグナルペプチド切断部位が示されている。コード配列、その相補配列及びアミノ酸配列が示されている(配列番号4−6)。
【図5−2】図5−1に同じ。
【図5−3】図5−1に同じ。
【図5−4】図5−1に同じ。
【図6】56kDa抗原に対するcDNAクローンをプローブとして探索した配偶子母細胞及び対照用ニワトリDNAのサザンブロットを表す図。DNAの消化に用いた制限酵素及びキロベースでのマーカーバンドサイズが示されている。
【図7】82kDa抗原に対するcDNAクローンをプローブとして探索した配偶子母細胞及び対照用ニワトリDNAのサザンブロットを表す図。DNAの消化に用いた制限酵素及びマーカーバンドサイズが示されている。
【図8】82kDaのcDNAクローンをプローブとして探索した配偶子母細胞(G)及び対照(C)用ニワトリ総RNAのノーザンブロットを表す図。キロベースでのマーカーバンドのサイズが左側に示されている。
【図9】抗His抗体及びニワトリ抗APGAと、pTrcHisBに56kDa cDNAクローンを有しIPTGによる誘導及び非誘導(対照用)下のバクテリアにより発現されたタンパク質との反応性を示す免疫ブロットを表す図。さらなる負の対照として、未挿入のプラスミドpTrcHisBで形質転換した細胞を試験した。最後に、未変性APGAを抗APGA抗血清によるブロットの正の対照として用いた。タンパク質マーカーバンドのサイズが示されている。矢印は41kDa組換えタンパク質並びに56及び82kDa未変性タンパク質の位置を示す。
【図10】82kDaのcDNAをクローン化されたプラスミドpTrcHisBを有するバクテリア由来のタンパク質のクーマシーブルー染色されたゲル及び免疫ブロットを表す図。免疫ブロットは、IPTGによる誘導及び非誘導条件下で、誘導後様々な時間における、抗His抗体、ニワトリ抗APGA及び未感染ニワトリ(負の対照)血清の、82kDa組み換えタンパク質との反応性を示す。負の対照として、未挿入の同プラスミドで形質転換された細菌を用いた試験も実施した。正の対照として、未変性APGAも用いた。矢印は82kDa組換えタンパク質の位置を示す。タンパク質マーカーバンドのサイズが左側に示されている。
【図11】2次元SDS−PAGEゲルにより分離された、胞子未形成のE.maxima胞嚢体の全溶解物の免疫ブロットを表す図。ゲルをメンブレンフィルターにブロットし、抗APGA抗血清をプローブにして探索した。強く反応する30kDaのスポットを矢印で示してある。これはゲルから切り取り、配列解析にかけたスポットであった。
【図12−1】230kDa cDNA E.maximaクローンのDNA配列と60%の相同性を示すWO90/00403号の相同DNAの配列(配列番号26−27)とを並列した図。
【図12−2】図12−1に同じ。
【図12−3】図12−1に同じ。
【図12−4】図12−1に同じ。
【図12−5】図12−1に同じ。
【図12−6】図12−1に同じ。
【図12−7】図12−1に同じ。
【図12−8】図12−1に同じ。
【図12−9】図12−1に同じ。
【図12−10】図12−1に同じ。
【図12−11】図12−1に同じ。
【図13A】クローンpEM 250/14の最初の293ヌクレオチドのDNA配列を表す図。コード配列とそのアミノ酸配列が示されている(配列番号28−29)。
【図13B】クローンpEM 250/14の最後の196ヌクレオチドのDNA配列を表す図。コード配列とそのアミノ酸配列が示されている(配列番号30−31)。
【図14A】組換え型の56kDa及び82kDa配偶子母細胞抗原のニワトリ免疫原性試験に対するELISAの結果。すべての血清試料は1:1000に希釈して試験した。A)コーティング抗原:抗APGA血清の試験にはAPGA;PBS、FIA及び2回投与のr56により免疫化されたニワトリから採取した血清の試験には精製r56。B)コーティング抗原:抗APGA血清の試験にはAPGA;PBS、FIA及び2回投与のr82により免疫化されたニワトリから採取した血清の試験には精製r82。
【図14B】ニワトリに対する組み替え56kDa及び82kDa配偶子母細胞抗原のELISAによる免疫原性試験の結果。すべての血清試料は1:1000に希釈して試験した。A)コーティング抗原:抗APGA血清の試験にはAPGA;PBS、FIA及び2回投与のr56により免疫化されたニワトリから採取した血清の試験には精製r56。B)コーティング抗原:抗APGA血清の試験にはAPGA;PBS、FIA及び2回投与のr82により免疫化されたニワトリから採取した血清の試験には精製r82。
【図15】250kDa無性世代タンパク質から発現されたタンパク質断片のDNA及びコードされたアミノ酸の配列(配列番号32−33)。
【図16】250kDa無性世代タンパク質の組み換え断片によるマウスに対する免疫原性試験。 連続3回の出血に対する各グループの平均が標準誤差バーとともに示されている。すべての血清試料は1:1000に希釈して試験した。コーティング抗原は、正の対照用APGAグループから採取した血清に対しては100ngのAPGAであり、負の対照用PBS及びPBS/FIAグループ並びに2回投与の組換えタンパク質(r0.ZIG及びR5UG)に対しては100ngの組換えタンパク質であった。
【図17】250kDa無性世代タンパク質の組換え断片によるニワトリに対する免疫原性試験。連続3回の出血に対する各グループの平均が標準誤差バーとともに示されている。すべての血清試料は1:1000に希釈して試験した。コーティング抗原は、正の対照用APGAグループから採取した血清に対しては100ngのAPGA、あるいは負の対照用PBS及びPBS/FIAグループ並びに2回投与の組換えタンパク質(LP.G及びRLO>G)に対しては100ngの組換えタンパク質であった。
【図18】Eimeria.maximaにおける配偶子母細胞及び壁抗原の抗r56による認識。
【図19】Eimeria.maximaにおける配偶子母細胞及び壁抗原の抗r82による認識。
【図20】56kDa及び82kDa配偶子母細胞抗原と比較した接合子嚢壁各タンパク質のN末端配列(配列番号34−42)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、又は該核酸の相補物。
【請求項2】
前記ポリペプチドが配列番号3のアミノ酸配列を有する、請求項1の単離された核酸。
【請求項3】
前記ポリペプチドの前記相同体が配列番号3の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも50%の同一性を有する、請求項1の単離された核酸。
【請求項4】
前記ヌクレオチド配列が、第103ヌクレオチドから開始し且つ第1529ヌクレオチドで終結する配列番号1として示されたヌクレオチド配列と少なくとも50%の同一性を有する、請求項1の単離された核酸。
【請求項5】
前記核酸がDNA分子である、請求項1の単離された核酸。
【請求項6】
前記DNA分子がcDNA分子である、請求項5の単離された核酸。
【請求項7】
前記核酸が配列番号1のヌクレオチド配列を有する、請求項1の単離された核酸。
【請求項8】
前記核酸がRNA分子である、請求項1の単離された核酸。
【請求項9】
RNA転写のプロモーターに作用可能に連結されている、請求項1の単離された核酸。
【請求項10】
請求項1の核酸を含むベクター。
【請求項11】
請求項7の核酸を含むベクター。
【請求項12】
前記ベクターがプラスミドである、請求項10のベクター。
【請求項13】
前記ベクターがプラスミドである、請求項11のベクター。
【請求項14】
請求項1の核酸を含むプラスミド。
【請求項15】
豪州政府分析研究所受託番号NM01/22400で寄託され、56TRCHisb1プラスミドと命名された、請求項14のプラスミド。
【請求項16】
請求項10のベクターを含む宿主細胞。
【請求項17】
請求項12のベクターを含む宿主細胞。
【請求項18】
前記細胞が、細菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞からなる群から選択される、請求項17の宿主細胞。
【請求項19】
請求項1の核酸を含む形質転換細胞。
【請求項20】
豪州政府分析研究所受託番号NM01/22401で寄託され、クローン56TRCHisb1細菌と命名された、請求項19の形質転換細胞。
【請求項21】
アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の56kDaポリペプチド又は該ポリペプチドの相同体をさらに含む、請求項19の形質転換細胞。
【請求項22】
アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の組換え56kDaポリペプチドを作製する方法であって、請求項19の形質転換細胞を培養することと、アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の組換え56kDaポリペプチドを単離することと、を含む方法。
【請求項23】
請求項22の方法によって作製された組換えポリペプチド。
【請求項24】
配列番号35のアミノ酸配列をN末端に有するアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の30kDaタンパク質。
【請求項25】
配列番号42のアミノ酸配列をN末端に有するアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の30kDaタンパク質。
【請求項26】
配列番号37のアミノ酸配列をN末端に有するアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質。
【請求項27】
配列番号39のアミノ酸配列をN末端に有するアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質。
【請求項28】
配列番号41のアミノ酸配列をN末端に有するアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質。
【請求項29】
アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis)、若しくはアイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物に対するワクチンであって、請求項1の核酸、又は請求項14のプラスミド、又は請求項23の組換えポリペプチドを含むワクチン。
【請求項30】
第二の抗原をさらに含む請求項29のワクチン。
【請求項31】
前記第二の抗原が、アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)由来の抗原をコードする核酸、このような核酸を含むプラスミド、このような核酸によってコードされるポリペプチドからなる群から選択される、請求項30のワクチン。
【請求項32】
前記第二の抗原が配列番号4のヌクレオチド配列を有する核酸、該核酸を含むプラスミド、又は該核酸によってコードされるポリペプチドである、請求項31のワクチン。
【請求項33】
前記第二の抗原が、配列番号35若しくは配列番号42のアミノ酸配列をN末端に有するアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の30kDaタンパク質と配列番号37若しくは配列番号39若しくは配列番号41のアミノ酸配列をN末端に有するアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質とからなる群から選択される、請求項30のワクチン。
【請求項34】
第三の抗原をさらに含む請求項32のワクチン。
【請求項35】
前記第三の抗原が配列番号26のヌクレオチド配列を有する核酸、該核酸を含むプラスミド、又は該核酸によってコードされるポリペプチドである、請求項34のワクチン。
【請求項36】
第四の抗原をさらに含む請求項32のワクチン。
【請求項37】
前記第四の抗原が、230kDa乃至270kDaの分子量を有するアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来のポリペプチド、該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、又は該ヌクレオチド配列を含むプラスミドである、請求項36のワクチン。
【請求項38】
前記抗原が、その5’末端に配列番号29のアミノ酸配列又はその3’末端に配列番号31のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項37のワクチン。
【請求項39】
アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis)、若しくはアイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対して被験者を免疫する方法であって、請求項29乃至38の何れか1項のワクチンを前記被験者に投与する工程を含む方法。
【請求項40】
前記被験者が、ウシ、ヒツジ、ブタ、及び魚からなる群から選択される種である、請求項39の方法。
【請求項41】
前記被験者が鳥類種である、請求項39の方法。
【請求項42】
前記鳥類種が、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される種である、請求項41の方法。
【請求項43】
前記鳥類の種がニワトリである、請求項42の方法。
【請求項44】
前記投与工程が前記被験者の鼻孔に前記ワクチンを噴霧することを含む、請求項39の方法。
【請求項45】
前記投与が静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む、請求項39の方法。
【請求項46】
前記投与が卵内に(in ovo)行われる、請求項39の方法。
【請求項47】
前記投与が卵の気嚢に対して行われ、これにより、胚を前記ワクチンに接触させる、請求項46の方法。
【請求項48】
気嚢を有する鳥類種由来の受精卵であって、前記気嚢は請求項29乃至38の何れか1項のワクチンが接種され、孵化前又は孵化直後に、病原性型のアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis)、若しくはアイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物に対する免疫応答を前記ワクチンが胚に誘導することができる、受精卵。
【請求項49】
前記鳥類種が、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ガチョウ、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される、請求項48の受精卵。
【請求項50】
前記鳥類種がニワトリである、請求項49の受精卵。
【請求項51】
アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチドをコードするヌクレオチド配列若しくは前記ポリペプチドの相同体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸、又は該核酸の相補物。
【請求項52】
前記ポリペプチドが配列番号6に示されたアミノ酸配列を有する、請求項51の単離された核酸。
【請求項53】
前記ポリペプチドの前記相同体が配列番号6の配列を有する前記ポリペプチドと少なくとも50%の同一性を有する、請求項51の単離された核酸。
【請求項54】
前記ヌクレオチド配列が、第100ヌクレオチドから開始し且つ第1886ヌクレオチドで終結する配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも50%の同一性を有する、請求項51の単離された核酸。
【請求項55】
前記核酸がDNA分子である、請求項51の単離された核酸。
【請求項56】
前記DNA分子がcDNA分子である、請求項55の単離された核酸。
【請求項57】
前記核酸が配列番号4のヌクレオチド配列を有する、請求項51の単離された核酸。
【請求項58】
前記核酸がRNA分子である、請求項51の単離された核酸。
【請求項59】
RNA転写のプロモーターに作用可能に連結されている、請求項51の単離された核酸。
【請求項60】
請求項51の核酸を含むベクター。
【請求項61】
請求項57の核酸を含むベクター。
【請求項62】
前記ベクターがプラスミドである、請求項60のベクター。
【請求項63】
前記ベクターがプラスミドである、請求項61のベクター。
【請求項64】
請求項51の核酸を含むプラスミド。
【請求項65】
豪州政府分析研究所受託番号NM01/22398で寄託され、82TRCHisb8プラスミドと命名された、請求項64のプラスミド。
【請求項66】
請求項60のベクターを含む宿主細胞。
【請求項67】
請求項61のベクターを含む宿主細胞。
【請求項68】
前記細胞が、細菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞からなる群から選択される、請求項66の宿主細胞。
【請求項69】
請求項51の核酸を含む形質転換細胞。
【請求項70】
豪州政府分析研究所受託番号NM01/22399で寄託され、クローン82TRCHisb1細菌と命名された、請求項69の形質転換細胞。
【請求項71】
アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の82kDaポリペプチド又は該ポリペプチドの相同体をさらに含む、請求項69の形質転換細胞。
【請求項72】
アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の組換え82kDaポリペプチドを作製する方法であって、請求項69の形質転換細胞を培養することと、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の組換え82kDaポリペプチドを単離することと、を含む方法。
【請求項73】
請求項72の方法によって作製された組換えポリペプチド。
【請求項74】
アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis)、若しくはアイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物に対するワクチンであって、請求項51の核酸又は請求項64のプラスミド又は請求項73の組換えポリペプチドを含むワクチン。
【請求項75】
第二の抗原をさらに含む請求項74のワクチン。
【請求項76】
前記第二の抗原が、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)由来の抗原をコードする核酸、このような核酸を含むプラスミド、及びこのような核酸によってコードされるポリペプチドからなる群から選択される、請求項75のワクチン。
【請求項77】
前記第二の抗原が、配列番号35若しくは配列番号42のアミノ酸配列をN末端に有するアイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の30kDaタンパク質、又は配列番号37、配列番号39、若しくは配列番号41のアミノ酸配列をN末端に有するアイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)の配偶子母細胞由来の14kDaタンパク質からなる群から選択される、請求項75のワクチン。
【請求項78】
アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis)、若しくはアイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対して被験者を免疫する方法であって、請求項74乃至77の何れか1項のワクチンを前記被験者に投与する工程を含む方法。
【請求項79】
前記被験者が、ウシ、ヒツジ、ブタ、及び魚からなる群から選択される種である、請求項78の方法。
【請求項80】
前記被験者が鳥類種である、請求項78の方法。
【請求項81】
前記鳥類種が、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される、請求項80の方法。
【請求項82】
前記鳥類種がニワトリである、請求項81の方法。
【請求項83】
前記投与工程が前記被験者の鼻孔に前記ワクチンを噴霧することを含む、請求項78の方法。
【請求項84】
前記投与が静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む、請求項78の方法。
【請求項85】
前記投与が卵内に(in ovo)行われる、請求項80の方法。
【請求項86】
前記投与が卵の気嚢に対して行われ、これによって、胚を前記ワクチンに接触させる、請求項85の方法。
【請求項87】
請求項74のワクチンが接種された気嚢を有する鳥類種由来の受精卵であって、孵化前又は孵化直後に、病原性型のアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis)、若しくはアイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物に対する免疫応答を前記ワクチンが胚に誘導することができる、受精卵。
【請求項88】
前記鳥類種が、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ガチョウ、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される、請求項87の受精卵。
【請求項89】
前記鳥類種がニワトリである、請求項88の受精卵。
【請求項90】
前記アミノ酸配列が配列番号3で示される、組換えポリペプチド。
【請求項91】
前記アミノ酸配列が配列番号6で示される、組換えポリペプチド。
【請求項92】
アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis)、若しくはアイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対して被験者を免疫する方法であって、請求項24乃至28の何れか1項のタンパク質を前記被験者に投与する工程を含む方法。
【請求項93】
鳥類種の新生仔被験者に対して、アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis)、若しくはアイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対する母子免疫を付与する方法であって、受精卵の産卵に先立つ適宜の時点で請求項29乃至38又は請求項74乃至77の何れか1項に記載のワクチンを前記被験者の母親に投与することによって、母子免疫を介して、アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)、アイネリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis)、若しくはアイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、又は免疫学的に交叉反応する抗原を発現している微生物による感染に対する保護を前記新生仔被験者に付与する工程を含む方法。
【請求項94】
前記鳥類種が、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される、請求項93の方法。
【請求項95】
前記投与が静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む、請求項93の方法。
【請求項96】
鳥類種の新生仔被験者から糞便中へのアイメリア属(Eimeria)の胞嚢体の排出を減少させる方法であって、受精卵の産卵に先立つ適宜の時点で請求項29乃至38又は請求項74乃至77のワクチンを前記被験者の母親に投与することによって、免疫反応を惹起し、前記新生仔からの胞嚢体の排出が減少するように、母子抗体を前記新生仔に伝達させる工程を含む方法。
【請求項97】
前記鳥類種が、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、チャボ、ウズラ、及びハトからなる群から選択される種である、請求項96の方法。
【請求項98】
前記投与が静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む、請求項96の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図12−4】
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【図12−5】
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【図12−6】
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【図12−7】
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【図12−8】
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【図12−9】
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【図12−10】
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【図12−11】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−77713(P2009−77713A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−230091(P2008−230091)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【分割の表示】特願2003−510441(P2003−510441)の分割
【原出願日】平成14年7月3日(2002.7.3)
【出願人】(304045941)エービーアイシー・バイオロジカル・ラボラトリーズ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Abic Biological Laboratories Ltd.
【Fターム(参考)】