説明

アイライナー化粧料

【課題】化粧膜の均一性に優れ、高いツヤ感や発色を有し、にじみや剥がれがなく化粧効果の持続性に優れるアイライナー化粧料に関する。
【解決手段】軽質流動イソパラフィンに25℃で少なくとも30質量%溶解する新規なt−ブチル基含有アクリル系共重合体と揮発性油剤とを配合することにより、滑らかにラインを描くことができるため化粧膜の均一性が得られ、化粧膜は透明性が高いためツヤ感や発色の良いものが得られ、化粧膜の強度と柔軟性を併せ持つため、にじみや剥がれがなく化粧効果の持続性に優れたアイライナー化粧料を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なt−ブチル基含有アクリル系共重合体を配合するアイライナー化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アイライナー化粧料は、目の際に塗布することで、瞳を大きく見せ、目元をはっきりさせるといった化粧効果を持つ化粧料である。要求品質としては、塗布のしやすさという使用性の他に、化粧膜には、塗膜の均一性、高いツヤ感や発色、そして経時で化粧膜が剥がれ落ちないことやにじまないことが求められているが、それぞれの効果を持続させるために皮膜形成剤を配合している。
また、アイライナー化粧料は、目の際に塗布しやすく、塗布後は早く化粧膜を形成することが必要であるために、揮発性溶媒が用いられている。この代表的なものとしては、水、また軽質流動イソパラフィンやイソドデカン等のパラフィン系溶剤、環状オルガノポリシロキサンや低分子量オルガノポリシロキサン等のシリコーン系溶剤がある。
皮膜形成剤は、大きく分けて、これらの溶媒に溶解して用いるものと、溶媒に分散させて用いるものがある。ここで、溶媒に分散させたものとは、水中や有機溶媒中に高分子物質の微粒子が安定に分散した懸濁液で、界面活性剤で乳化させたモノマーを重合することによって得られる液や自然界に存在する乳状の樹液を含むものである。
溶媒に溶解させて皮膜形成剤を用いれば、目の際に均一につけることができ、溶媒に分散させて塗布すれば、化粧膜の形成を早くすることができる。
これらの配合技術の例としては、油溶性皮膜形成性樹脂とフッ素化合物処理粉体を用いることで使用性と化粧効果の持続性を向上させる技術(例えば、特許文献1参照)や、油中水型メーキャップ化粧料において、外相に油溶性樹脂を含有し、内相に皮膜形成能のあるエマルジョン樹脂を含有することで耐水性、耐汗性、耐皮脂性、耐油性に優れ、化粧持ちに優れる技術(例えば、特許文献2参照)、脂肪相に揮発性油を含み、水性相に特定の被膜形成ポリマーを分散し油中水型エマルションとすることで、適用しやすく、延ばしやすく、均一で、べたつかず、転移や拡散することのない技術(例えば、特許文献3参照)等が挙げられる。
一方、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル系樹脂は透明で硬い皮膜を形成し、加工性が良好なことから化粧料においても広く利用されている。しかしながらアクリル系樹脂は極性が高く、アセトンやトルエン、酢酸ブチル、クロロホルムなどの有機溶剤には溶解するが、軽質流動イソパラフィンやイソドデカンなどのパラフィン系溶剤には不溶である。そのため、極性溶媒を用いる美爪料では、溶媒に溶解して用いられていたが、その他の化粧料では水性分散物や、溶剤分散物として用いられていた(例えば、特許文献4、5参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−187715公報
【特許文献2】特許3393903号公報
【特許文献3】特開平10−203919号公報
【特許文献4】特開平8−268841号公報
【特許文献5】特開昭53−94041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、油溶性皮膜形成性樹脂とフッ素化合物処理粉体を用いることで、化粧膜の強度や耐水性を向上させ、化粧効果の持続性を向上させることができるが、化粧膜の透明性に欠けるため、着色剤の本来の色味を発揮できず、発色に乏しくなるといった欠点があった。また、特許文献2の技術のように油中水型メーキャップ化粧料の外相に油溶性樹脂、内相に皮膜形成能のあるエマルジョン樹脂を含有する場合は、化粧膜の剥がれやにじみを防止することができ、リムーバーでの化粧除去効果を向上させることができるものの、安定性を確保するためには、ワックスや天然粘土鉱物、もしくは界面活性剤を多量に配合しなければならず、その結果、化粧膜のにごりを生じ、発色の良い化粧膜が得られにくいといった欠点があった。特に、界面活性剤が多くなると、化粧膜のにじみを生じるといった欠点もある。更に、脂肪相に揮発性油を含み、水性相に特定の被膜形成ポリマーを分散し油中水型エマルションとすることで、べたつきのない、均一な化粧膜を形成する特許文献3の技術では、化粧膜の均一性は得られるものの、化粧膜が柔らかく、付着性が低いため、経時での化粧持ちの点で満足の行くものが得られなかった。
従来技術では、使用性が良く化粧膜を均一にすることができても、透明性に欠けると、ツヤ感、発色を得ることはできず、化粧膜の強度があがっても、強すぎると動きの大きい部位では、時間が経つと剥がれてしまい、化粧効果を失うことがあった。そこで、化粧膜の均一性があり、しかもツヤ感や発色が良く、化粧効果の持続性に優れたアイライナー化粧料が得られる技術の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情において、本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究した結果、新規なt−ブチル基含有アクリル系共重合体と揮発性油剤とを配合することにより、滑らかにラインを描くことができるため化粧膜の均一性が得られ、化粧膜は透明性が高いためツヤ感や発色の良いものが得られ、化粧膜の強度と柔軟性を併せ持つため、にじみや剥がれがなく化粧効果の持続性に優れたアイライナー化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B);
(A)t−ブチル基含有アクリル系共重合体
(B)揮発性油剤
を配合することを特徴とするアイライナー化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のアイライナー化粧料は、化粧膜の均一性に優れ、高いツヤ感や発色を有し、にじみや剥がれがなく化粧効果の持続性に優れるアイライナー化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体としては、成分(a1)t−ブチル基含有アクリレート及び/またはメタクリレート;と、成分(a2)炭素数8〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基を含有するアクリレート及び/またはメタクリレート;及び/または(a3)片末端にラジカル重合性基を含有するオルガノポリシロキシサンマクロモノマー;とを含むモノマーを重合して得られるアクリル系共重合体であって、構成モノマー総量中、成分(a1)の配合量が50〜90質量%(以下、単に「%」とする)、成分(a2)及び/または(a3)の配合量が10〜50%であり、且つ、軽質流動イソパラフィンに25℃で少なくとも30%溶解する共重合体であれば特に制限されず、例えば、成分(a1)と成分(a2)と成分(a3)と必要に応じて任意成分とを、それぞれ有機溶媒の存在下で水の非存在下、重合することにより得ることができ、より具体的には、成分(a1)50〜90%に対し、成分(a2)10〜50%を重合して得られるアクリル系共重合体や、成分(a1)50〜90%に対し、成分(a3)10〜50%を重合して得られるアクリル系共重合体や、成分(a1)50〜90%に対し、成分(a2)と(a3)の合計10〜50%を重合して得られるアクリル系共重合体を、好適に例示することができる。
また本発明において、軽質流動イソパラフィンとは、主にイソパラフィンからなる炭化水素の混合物であるが、その中でも25℃で少なくとも30%溶解する溶解度の基準として用いたものは、JIS K2254に規定される石油製品蒸留試験方法による初留温度が166℃であり、蒸留終点が202℃の蒸留性状を有し、37.8℃における動粘度が1.28mm/sのものである。
【0009】
本発明の成分(A)t−ブチル基含有アクリル系共重合体の構成モノマーのうち、成分(a1)のt−ブチル基含有アクリレート及び/またはメタクリレートは、親油性の重合性モノマーで、耐水性のある透明で硬い皮膜形成能を有する骨格を成すものである。具体例としては、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。とりわけt−ブチルメタクリレートは硬い皮膜を形成するための好適なガラス転移点を有する共重合体を得ることができ、特に好ましい。
【0010】
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の構成モノマーのうち、成分(a2)の炭素数8〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基を含有するアクリレート及び/またはメタクリレートは、親油性の重合性モノマーで、皮膜に柔軟性や付着性を付与し、軽質流動イソパラフィンへの溶解性を高める骨格を成すものである。具体例としては、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができるが、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートが好ましく、中でも2−エチルヘキシルメタクリレートが溶解性を向上することができ特に好ましい。
【0011】
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の構成モノマーのうち、成分(a3)の片末端にラジカル重合性基を含有するオルガノポリシロキサンマクロモノマーとしては、アクリル酸若しくはメタクリル酸に二価の炭化水素基を介してオルガノポリシロキサンを連結したエステル化合物を挙げることができ、皮膜に耐水性を付与し、軽質流動イソパラフィンへの溶解性を高める骨格を成すものである。具体的には、下記式(1)のオルガノポリシロキサンマクロモノマーを例示することができ、
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、mは1〜10、好ましくは1〜4、nは0〜200の整数、Rは、水素またはメチル基を示し、R〜Rは、炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
これらは一種単独でまたは二種以上混合して用いることができる。
より具体的には一般式(2)に示されるジメチルポリシロキサンマクロモノマーを挙げることができる。
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、nは0〜200の整数、Rは水素またはメチル基を示し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
ここで、Rは水素またはメチル基で、Rは炭素数1〜5のアルキル基、ジメチルポリシロキサン基の繰返し単位を示すnは0〜200であると、充分な耐水性が得られ、さらに透明で均一な皮膜が得られるため好ましい。nは、5〜150であると耐水性や均一な膜を得る点において更に好ましい。
【0016】
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体は、上記成分(a1)と成分(a2)及び/または成分(a3)とを構成モノマーとするが、成分(a1)50〜90%に対し、成分(a2)10〜50%を重合して得られるt−ブチル基含有アクリル系共重合体は、透明性に高い皮膜が形成され、成分(a1)50〜90%に対し、成分(a3)10〜50%を重合して得られるt−ブチル基アクリル系共重合体は、特に耐水性の良い皮膜が形成され、成分(a1)50〜90%に対し、成分(a2)と(a3)とを合計10〜50%で重合して得られるt−ブチル基含有アクリル系共重合体は、特に硬さと耐水性のある皮膜が形成される。
【0017】
また、本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記成分(a1)〜(a3)以外の重合性モノマーを任意成分として含有することができる。成分(a1)〜(a3)以外の重合性モノマーとしては特に限定はされないが、スチレン、置換スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、前記以外のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、無水マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、アクリロニトリル、フッ化オレフィン、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチルアクリルアミド、メチルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−ジメチルプロパンスルホン酸塩等を挙げることができる。
【0018】
上記成分(a1)〜(a3)や、任意の重合体モノマーの配合割合としては、成分(a1)の配合量は、構成モノマー総量の50〜90%であり、50〜80%が好ましい。50%未満では、充分な硬さの皮膜を得ることができず、また、90%を超えると軽質流動イソパラフィンへの溶解性が悪くなる。上記成分(a2)の配合量は、構成モノマー総量の10〜50%であり、15〜45%が好ましい。10%未満では、軽質流動イソパラフィンへの溶解性が悪くなり、また、50%を超えると充分な硬さの皮膜を得ることができず、べたつきやタック性、膜の不均一性などの欠点が生じる。上記成分(a3)の配合量は、構成モノマー総量の10〜50%であり、15〜45%が好ましい。10%未満であると軽質流動イソパラフィンへの溶解性が悪くなり、50%を超えると充分な硬さの皮膜を得ることができず、べたつきやタック性、膜の不均一性などの欠点が生じる。また、成分(a2)と成分(a3)を併用する場合については、その配合量の合計は、10〜50%であり、15〜45%が好ましい。成分(a2)と成分(a3)の配合量の合計が50%を超えると充分な硬さの皮膜を得ることができず、べたつきやタック性、膜の不均一性などの欠点がみられ、配合量の合計が10%未満であると軽質流動イソパラフィンへの溶解性が悪くなる。上記任意成分の配合量としては、構成モノマー総量の30%以下の範囲であればよく、20%以下が好ましく、例えば0.01〜10%配合することができる。
【0019】
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の重量平均分子量は特に制限されないが、1.0×10〜2.0×10の範囲のものが好ましい。前記重量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、直鎖ポリスチレン標準品で作成した校正曲線及び屈折率検出器を使用する液体ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。この重量平均分子量が1.0×10より小さいと皮膜形成性にやや劣り、2.0×10より大きいと軽質流動イソパラフィン中での溶解粘度が高く膜の均一性にやや劣り好ましくない。
【0020】
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体は、上記成分(a1)〜(a3)や、必要に応じて他の任意の重合体モノマーを構成モノマーとして用い、有機溶媒の存在下(水の非存在下)、公知の重合方法によるランダム重合により得ることができる。特に限定はされないが、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーキサイド等の有機過酸化物、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系重合開始剤等のラジカル重合開始剤の存在下で重合を行えばよく、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、沈殿重合法等を用いることができる。これらのうち、特に溶液重合法は、得られるt−ブチル基含有アクリル系共重合体の分子量を最適範囲に調整することが容易であるため好ましい。
【0021】
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の重合時に用いる有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロパノール、エタノール、メタノール等のアルコール類を挙げることができ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン等のパラフィン系溶剤中で重合することもできる。
【0022】
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の重合反応温度は、通常のラジカル重合開始剤の使用可能な温度範囲であれば特に制限はされないが、通常40〜120℃の範囲で実施される。反応温度は使用するラジカル重合開始剤、モノマーの種類、反応温度により異なるが、通常2〜24時間実施される。重合時間が短すぎると残存モノマー量が多く収率が低くなり好ましくない。
【0023】
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体は、反応させたときのパラフィン系溶剤中に溶解させたまま、または必要に応じて他の炭化水素やエステル、トリグリセライド等の油剤で希釈を行うことや、他の油剤へ溶媒置換を行うこともできる。このような油溶形態のt−ブチル基を含有するアクリル系共重合体組成物も本発明の成分(A)に包含される。また、溶液の溶媒を除去してt−ブチル基含有アクリル系共重合体を固体として取り出すことができ、さらに得られたt−ブチル基含有アクリル系共重合体を軽質流動イソパラフィンに溶解することによりt−ブチル基含有アクリル系共重合体溶液として使用することもできる。上記のt−ブチル基含有アクリル系共重合体及びその溶液は1種または2種以上混合して用いることもできる。
【0024】
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の溶解性は、軽質流動イソパラフィン(JIS K2254に規定される石油製品蒸留試験方法による初留温度が166℃であり、蒸留終点が202℃の蒸留性状を有し、37.8℃における動粘度が1.28mm/sのもの)を溶解度の溶媒とした場合、25℃において少なくとも30%溶解する必要がある。この溶解性を示せば、均一で透明感があり塗膜強度の高い皮膜を形成することができる。
【0025】
本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体のアイライナー化粧料への配合量としては、固形分として0.1〜40%、好ましくは1〜25%、より好ましくは2〜20%程度とすることができる。この範囲であれば、ラインが描き易く、均一で塗膜強度の高い化粧膜が形成され、ツヤ感や発色、そしてその持続性に優れたものが得られる。本発明の成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体は、成分(B)の揮発性油剤に溶解して用いることが好ましく、成分(B)の中でも軽質流動イソパラフィンに溶解して用いることが更に好ましく、濃度を15〜50%とすることが好ましい。
【0026】
本発明のアイライナー化粧料に用いられる成分(B)の揮発性油剤は、成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の溶媒として働き、系への配合を容易にし、均一な化粧膜が形成され、ツヤ感や発色、そしてその持続性を向上させることができる。
【0027】
本発明のアイライナー化粧料に用いられる成分(B)の揮発性油剤としては、1気圧、25℃において揮発性であり、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、具体的には、軽質流動イソパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、エチルトリシロキサン等が挙げられる。ここで軽質流動イソパラフィンは溶解度の基準として用いたものに限定されず用いることができる。
市販品として、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エッソ化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF−995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーン TMF−1.5(信越化学工業社製)、メチルポリシロキサンとしてはKF−96L−2CS(信越化学工業社製)、デカメチルテトラシロキサンとしてはKF−96L−1.5CS(信越化学工業社製)、エチルトリシロキサンとしてはSILSOFT ETS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。中でも、軽質流動イソパラフィンが、成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の溶解性がよく、均一な化粧膜が得らる点で好ましい。これらの揮発性油剤は、必要に応じてその1種または2種以上を用いることができる。
【0028】
成分(B)の揮発性油剤の配合量は特に限定されないが、1〜80%が好ましく、更に好ましくは1〜70%である。この範囲であれば、使用性が良く、均一で塗膜強度の高い皮膜が形成され、ツヤ感や発色、そしてその持続性に優れたものが得られる。
【0029】
本発明のアイライナー化粧料においては、更に、成分(C)として粉体を配合し、着色や、使用性を調整することができる。成分(C)の粉体としては、化粧料一般に使用される粉体であれば、球状、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、煙霧状、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。
成分(C)の粉体に無水ケイ酸を含有することにより、乾燥速度を速め、仕上がりのべたつきのなさや使用性の点でより良好なものが得られる。無水ケイ酸は化粧品一般に使用されるものであり、無定形構造のもの、疎水化処理したもの、あるいは結晶構造を有するものも好適に使用できる。粒子の大きさは特に限定されないが、体積平均粒子径レーザー回折式粒度分布測定装置により測定するとき、1nm〜50μmが好ましく、3nm〜30μmが更に好ましい。この範囲であると、使用感のより良好なものが得られる。
市販品としては、サイリシア550、サイリシア770、サイロスフェア C−1504(富士シリシア化学社製)、AEROSIL200、AEROSIL300、AEROSILR972(日本アエロジル社製)ニップシールE−220(東ソー・シリカ社製)、等があげられる。これらの無水ケイ酸は、必要に応じ1種または2種以上を用いることができる。
また、成分(C)の粉体に着色剤を含有することにより、着色効果を得て、瞳を大きく見せ、目元をはっきりさせることができ、これは膜の透明性があがるとより引き立つものである。着色剤としては、有色顔料や光輝性粉体を挙げることができ、具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、黒酸化鉄、チタン酸化チタン焼結物、チタンブラック、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、有機顔料処理雲母チタン、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の樹脂積層末等の光輝性顔料、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等を例示することができる。なお、これらは、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。これらの着色剤は、必要に応じ1種または2種以上を用いることができる。
その他の粉体成分としては、化粧料に一般に使用される粉体として用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、有機粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の体質粉体、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、ヘクトライト、モンモリロナイト等の粘土鉱物、及びそれらの有機変性物、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体等が挙げられる。これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。これら成分(C)の粉体は必要に応じ1種または2種以上を用いることができる。
【0030】
本発明のアイライナー化粧料への成分(C)の配合量は、特に限定されないが、0.1〜60%が好ましく、更に好ましくは0.5〜45%である。この範囲であれば、着色でき、使用性が良く、仕上がり時のベタツキがなく、均一で塗膜強度の高い皮膜が形成され、ツヤ感や発色、そしてその持続性に優れたものが得られる。また、成分(C)粉体中に、無水ケイ酸を3〜100%、更に好ましくは、6〜40%含有することによって、仕上がりのべたつきがなく使用性を向上することができるため好ましい。さらに、成分(C)粉体中に、着色剤を10〜100%、更にこの好ましくは、8〜40%含有することによって、発色を向上することができるため好ましい。
【0031】
本発明のアイライナー化粧料は、前記成分(A)〜(C)の他に、通常化粧料に使用される成分、例えば、成分(B)以外の油性成分、皮膜形成性分散物、界面活性剤、水性成分、繊維、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料、などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0032】
成分(B)以外の油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。
具体的には、エチレン・プロピレンコポリマー、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、ロジン酸ペンタエリスリット等のテルペン系樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、キャンデリラレジン(ここで、キャンデリラレジンとは、キャンデリラワックスを有機溶剤にて分別抽出して得られる樹脂分で、樹脂分が好ましくは65%以上、更に好ましくは85%以上の割合で含有されるものである。)、アクリル酸アルキルジメチコン共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリイソブチレン等の油溶性の皮膜形成樹脂類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0033】
皮膜形成性分散物としては、皮膜形成能を持つ重合体を水性溶媒に乳化した状態であるものや、油性溶媒中に分散した状態であるもので、通常化粧料に使用されるものであれば特に制限されず、いずれのものも使用することができる。例えば、水性溶媒中に乳化した状態であるものは、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、ポリ酢酸ビニルエマルション、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルションが挙げられ、市販品としては、ヨドゾール32A707、ヨドゾールGH810F、ヨドゾールGH800F(日本エヌエスシー社製)、プレキシトールB−500(ROHM GMBH社製)、ヨドゾールGH41F(日本エヌエスシー社製)、ビニブラン1080、ビニブラン1128C、ビニブラン1080M、ビニブラン1080T、ビニブランGV−5651、ビニブラン1108S/W(日信化学工業株式会社)、ANTARA430(ISP社製)が挙げられる。また、油性溶媒中に分散した状態ものは、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルションが挙げられ、市販品としては、ニッセツU−3700A(日本カーバイド工業社製)が挙げられる。
【0034】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0035】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、でんぷん糖、ラクチトール等の糖類、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、乳酸ナトリウム等の塩類、アロエベラ、ウィッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等及び水が挙げられる。
【0036】
繊維としては、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成繊維、レーヨン等の人造繊維、セルロース等の天然繊維、アセテート人絹等の半合成繊維や、ポリエチレンテレフタレートとナイロンを層状に重ねた複合繊維のように、1種または2種以上の複合化したものが挙げられ、一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができる。
【0037】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、1,2−ペンタンジオール、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0038】
本発明のアイライナー化粧料の剤型としては、油性、油中水、水中油型が挙げられ、油性型が好ましい。形態としては液状、半固形状、固形状等が挙げられる。本発明における油性型とは、液状、半固形状または固形状の油剤や油溶性化合物である油性成分を連続相とする化粧料で、実質的に水を含まないものである。
【0039】
本発明のアイライナー化粧料の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、成分(A)、(B)を含む油性成分と成分(C)の粉体を110℃程度で加熱混合したものを混練後、容器に充填することにより得ることができる。
【0040】
以下に、成分(A)の製造例、実施例を挙げて本発明を更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0041】
(製造例1)
[t−ブチル基含有アクリル系共重合体(1)]
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコ(以下、単に「フラスコ」ともいう。)にt−ブチルメタクリレート22.5g、2−エチルヘキシルメタクリレート7.5g及びトルエン70gを添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNとする)0.15gを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にメタノールと水を注入してアクリル系共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してt−ブチル基含有アクリル系共重合体固形分20.4gを得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は5.0×10であった。
【0042】
(製造例2)
[t−ブチル基含有アクリル系共重合体(2)]
上記フラスコにt−ブチルメタクリレート24g、2−エチルヘキシルメタクリレート6g及びトルエン70gを添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、AIBN0.15gを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にメタノールを注入してアクリル系共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してt−ブチル基含有アクリル系共重合体固形分21.6gを得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は5.4×10であった。
【0043】
(製造例3)
[t−ブチル基含有アクリル系共重合体(3)]
上記フラスコにt−ブチルメタクリレート21g、2−エチルへキシルメタクリレート9g及びトルエン70gを添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、AIBN0.15gを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にメタノールと水を注入してアクリル系共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してt−ブチル基含有アクリル系共重合体固形分を22.8g得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は5.0×10であった。
【0044】
(製造例4)
[t−ブチル基含有アクリル系共重合体(4)]
上記フラスコにt−ブチルメタクリレート21g、下記式(3)のメタクリル変性ジメチルポリシロキサンマクロモノマー9g及びトルエン70gを添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.15gを加えて5時間還流し重合させた。得られた反応物にメタノールと水を注入してアクリル系共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してt−ブチル基含有アクリル系共重合体固形分22.5gを得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は1.1×10であった。
【0045】
【化4】

【0046】
(製造例5)
[t−ブチル基含有アクリル系共重合体(5)]
上記フラスコにt−ブチルメタクリレート21g、下記式(4)のメタクリル変性ジメチルポリシロキサンマクロモノマー9g及びトルエン70gを添加して、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.15gを加えて5時間還流し重合させた。得られた反応物にメタノールと水を注入してアクリル系共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してt−ブチル基含有アクリル系共重合体固形分21.5gを得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は1.5×10であった。
【0047】
【化5】

【0048】
(製造例6)
[t−ブチル基含有アクリル系共重合体(6)]
上記フラスコにt−ブチルメタクリレート21g、2−エチルヘキシルメタクリレート6g、上記式(3)のメタクリル変性ジメチルポリシロキサンマクロモノマー3g及びトルエン70gを添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、AIBN0.15gを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にメタノールと水を注入してアクリル系共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してt−ブチル基含有アクリル系共重合体固形分21.8gを得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は4.6×10であった。
【実施例】
【0049】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0050】
実施例1〜4及び比較例1〜4:アイライナー(油性型液状)
表1に示す処方のアイライナーを下記製法により調製し、化粧膜の均一性について、化粧効果としてツヤ感、発色について、化粧膜の持続性として、にじみのなさ、剥がれ落ちのなさについて下記の方法により官能評価を行った。その結果も併せて表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
*1:IPソルベント1620(出光興産社製)
*2:製造例1で得られたt−ブチル基含有アクリル系共重合体(1)を軽質流動イソパラフィン(IPソルベント1620)に溶解し、40%溶液としたもの
*3:オパノールB−100(BASF社製)
*4:シリコンKF−9021(信越化学工業社製)(固形分50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)
*5:エステルガムHP(荒川化学工業社製)
*6:ニッセツU−3700A(日本カーバイド工業社製)(固形分50%軽質流動イソパラフィン溶液)
*7:フルオロアルキルアルコキシシラン3%処理
*8:AEROSIL R976S(日本アエロジル社製)
*9:AEROSIL 300(日本アエロジル社製)
【0053】
(製法)
実施例1〜4及び比較例1〜4
A.成分(1)〜(10)を110℃まで加熱し、均一に溶解する。
B.Aに成分(11)〜(16)を加え、均一に混合する。
C.Bを容器に充填して製品とする。
【0054】
(評価方法)
10名の官能評価パネルにより、各試料を下記a〜eの評価項目について、(1)絶対評価基準を用いて7段階に評価し、各試料の評点の平均値を(2)4段階判定基準を用いて判定した。尚、表1には、判定と( )内に評点の平均値を記載した。
また、評価項目d、eについては、試料を目の輪郭そって塗布した後、パネルに通常の生活をしてもらい、12時間経過後の化粧効果について評価した。
(評価項目)
a.化粧膜の均一性
b.ツヤ感
c.発色
d.にじみのなさ(持続性)
e.剥がれ落ちのなさ(持続性)
(1)絶対評価基準
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(2)4段階判定基準
(平均点) :(判定)
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超えて5点以下:良好 :○
1点を超えて3点以下:やや不良 :△
1点以下 :不良 :×
【0055】
表1の結果から明らかなように、本発明品である実施例1〜4のアイライナーは、比較例1〜4のアイライナーに比較し、滑らかにラインを描くことができるため化粧膜の均一性が得られ、ツヤ感、発色という化粧効果に優れ、12時間後もにじみや剥がれ落ちることがなく化粧効果が得られ、全ての面で、はるかに優れた特性を有していることがわかる。
一方、t−ブチル基含有アクリル系共重合体の代わりに、ポリイソブチレンを使用している比較例1では、使用時の滑らかさにかけるため、均一に付着させることが困難になり、化粧膜の均一性やツヤ感の点で満足のいくものが得られなかった。
また、t−ブチル基含有アクリル系共重合体の代わりに、トリメチルシロキシケイ酸溶液を使用している比較例2では、化粧膜の柔軟性に乏しく、目の際の動きに追従できないことにより、化粧膜の一部が剥がれ落ち、化粧膜の均一性も低下するため、ツヤ感、発色の点で満足のいくものが得られず、さらに滑らかさにかけるため、描きにくいといった使用性上の不具合がある。
また、t−ブチル基含有アクリル系共重合体の代わりに、ロジン酸ペンタエリスリトールを使用している比較例3では、使用時に化粧膜のベタツキがあり、化粧膜の均一性が悪くなり、ツヤ感も低下し満足のいくものが得られなかった。
さらに、t−ブチル基含有アクリル系共重合体の代わりに、アクリル−スチレン共重合樹脂の軽質流動イソパラフィン分散物を使用している比較例4では、化粧膜の厚みが十分得られないため、化粧膜の平滑性の点に欠け、化粧膜の透明性にも劣るため、ツヤ感や発色の点で満足のいくものが得られず、さらに滑らかさにかけるため、描きにくいといった使用性上の不具合がある。
【0056】
実施例1で用いたt−ブチル基含有アクリル系共重合体溶液のかわりに、製造例2〜6で得られたt−ブチル基含有アクリル系共重合体(2)〜(6)を軽質流動イソパラフィン(IPソルベント1620)に溶解し、40%溶液としたものを用い、実施例1と同様の製造方法で得たマスカラを評価したところ、化粧膜の均一性に優れ、高いツヤ感や発色を有し、剥がれやにじみがなく化粧効果の持続性に優れるものであった。表2に処方とその結果を示す。
【0057】
【表2】

【0058】
以下の実施例10〜11についても、実施例1〜4、比較例1〜4と同様に評価した。
実施例10:アイライナー(油性型液状)
(成分) (%)
(1)t−ブチル基含有アクリル系共重合体溶液*10 10
(2)パルミチン酸デキストリン 4
(3)ポリエチレンワックス 4
(4)パラフィンワックス 2
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(6)軽質流動イソパラフィン*1 13.5
(7)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト*11 2.5
(8)プロピレンカーボネイト 0.5
(9)デカメチルシクロペンタシロキサン*12 残量
(10)シリコーン系化合物処理黒酸化鉄*13 15
(11)フッ素系化合物処理処理セリサイト*7 5
(12)フッ素系化合物処理処理タルク*7 8
(13)シリコーン系化合物処理マイカ*13 0.5
(14)シリル化処理無水ケイ酸*8 2
(15)油溶性ローズマリーエキス 0.1
*10:製造例4で得られたt−ブチル基含有アクリル系共重合体(4)を軽質流動イソパラフィン(IPソルベント1620)に溶解し、15%溶液としたもの
*11:ジメチルジステアリルアンモニウム変性合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム:ルーセンタイトSAN(コープケミカル社製)
*12:シリコンKF−995(信越化学工業社製)
*13:ジメチルポリシロキサン4%処理
【0059】
(製造方法)
A.成分(1)〜(6)を加熱溶解する。
B.Aに成分(7)〜(15)を加え、均一に混合する。
C.Bを容器に充填して油性型アイライナーを得た。
【0060】
以上のようにして得られた実施例11の油性型液状のアイライナーは、化粧膜の均一性に優れ、高いツヤ感や発色を有し、剥がれやにじみがなく化粧効果の持続性に優れるものであった。
【0061】
実施例11:アイライナー(油中水型液状)
(成分) (%)
(1)t−ブチル基含有アクリル系共重合体溶液*14 20
(2)軽質流動イソパラフィン*1 残量
(3)シリル化処理無水ケイ酸*8 7
(4)無水ケイ酸*9 1
(5)ベンジルジメチルステアリルアンモニウム変性合成ケイ酸
ナトリウム・マグネシウム*15 0.5
(6)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト*16 0.5
(7)ジメチルポリシロキサン(20cs) 1
(8)PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン*17 0.1
(9)シリコーン系化合物処理黒酸化鉄*18 15
(10)精製水 2
(11)ビニルピロリドン・スチレン共重合体ポリマーエマルション*19 5
(12)フェノキシエタノール 0.1
(13)1,2−ペンタンジオール 0.1
(14)エチルアルコール 3
(15)酢酸トコフェロール 0.1
(16)油溶性ローズマリーエキス 0.1
*14:製造例1で得られたt−ブチル基含有アクリル系共重合体(1)を軽質流動イソパラフィン(IPソルベント1620)に溶解し、20%溶液としたもの
*15:ルーセンタイトSSN(コープケミカル社製)
*16:ベントン38V BC(エレメンティス社製)
*17:KF−6028P(信越化学工業社製)
*18:メチルハイドロジェンポリシロキサン2%処理
*19:ANTARA 430(ISP社製)
【0062】
(製法)
A.成分(1)〜(3)を110℃に加熱溶解し、(4)〜(9)を加え、混合する。
B.成分(10)〜(16)を加え、均一に混合溶解する。
C.AにBを添加し、乳化する。
D.Cを容器に充填して製品とする。
【0063】
以上のようにして得られた実施例12の油中水型のアイライナーは、化粧膜の均一性に優れ、高いツヤ感や発色を有し、剥がれやにじみがなく化粧効果の持続性に優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B);
(A)下記の成分(a1)と、成分(a2)及び/または(a3)とを含むモノマーを重合して得られるアクリル系共重合体であって、構成モノマー総量中、成分(a1)の配合量が50〜90質量%、成分(a2)及び/または(a3)の配合量が10〜50質量%であり、且つ、軽質流動イソパラフィンに25℃で少なくとも30質量%溶解することを特徴とするt−ブチル基含有アクリル系共重合体;
(a1)t−ブチル基を含有するアクリレート及び/またはメタクリレート;
(a2)炭素数8〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基を含有するアクリレート及び/またはメタクリレート;
(a3)片末端にラジカル重合性基を含有するオルガノポリシロキサンマクロモノマー
(B)揮発性油剤
を配合することを特徴とするアイライナー化粧料。
【請求項2】
さらに、成分(C)として、粉体を配合することを特徴とする請求項1に記載のアイライナー化粧料。
【請求項3】
成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体が、成分(a1)と成分(a2)とを重合して得られることを特徴とする請求項1または2に記載のアイライナー化粧料。
【請求項4】
成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体が、成分(a1)と成分(a3)とを重合して得られることを特徴とする請求項1または2に記載のアイライナー化粧料。
【請求項5】
成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体が、成分(a1)と成分(a2)と成分(a3)とを重合して得られることを特徴とする請求項1または2に記載のアイライナー化粧料。
【請求項6】
成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の構成モノマーである成分(a3)が、以下の一般式(1)で示されるジメチルポリシロキサンマクロモノマーであることを特徴とする請求項1、2、4または5の何れかに記載のアイライナー化粧料。
【化1】

(式中、mは1〜10、好ましくは1〜4、nは0〜200の整数、Rは、水素またはメチル基を示し、R〜Rは、炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【請求項7】
成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の構成モノマーである成分(a1)がt−ブチルメタクリレートであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のアイライナー化粧料。
【請求項8】
成分(A)のt−ブチル基含有アクリル系共重合体の液体ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算による重量平均分子量が1.0×10〜2.0×10であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のアイライナー化粧料。
【請求項9】
成分(C)の粉体が無水ケイ酸を含有するものであることを特徴とする請求項2〜8の何れかに記載のアイライナー化粧料。
【請求項10】
成分(C)の粉体が着色剤を含有するものであることを特徴とする請求項2〜8の何れかに記載のアイライナー化粧料。

【公開番号】特開2010−202535(P2010−202535A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47287(P2009−47287)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】