説明

アウトバウンドサービスのための情報発信システム及び方法

【課題】通信回線を使用して登録数の発信先への情報発信を行うことを内容とする複数のタスクを実行する際に、タスクの委託者間で不平等にならないようにする。
【解決手段】アウトバウンドサービスに関して登録したタスク毎に、割当可能な通信回線数の最大値を表す最大割当回線数及び最低限保障する通信回線数を表す保障割当回線数をタスク記憶部141に記憶しておく。発信先タスク決定部122は、実行時期に達したすべてのタスクに対して、保障割当回線数の通信回線を割り当てて情報発信を行う保障型処理を実行した後、既に行った各タスクの情報発信数の総和が、各タスクの最大割当回線数から保障割当回線数を差し引いたチャネル数の比に近づくように、割当可能な通信回線である空き回線の割当を行うベストエフォート型処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテレマーケティング、セールス、顧客獲得、各種督促、国政調査等のために、外部に向けて情報発信を行うアウトバウンド(Outbound)サービスのための情報発信システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンターのように外部からの情報を受け付けることが中心のインバウンド(Inbound)サービスから、外部に向けて情報発信を行うアウトバウンドサービスへの変革のニーズが高まってきている。このアウトバウンドサービスを既存のコールセンターにおいて導入する例も増えている。最近は、コスト増を考慮して、従前のオペレータが介在するサービスから自動応答までも行うアウトバウンドサービスシステムが検討され、しかも、このようなシステムを各社が個別に持つのではなく、「SaaS(Software as a Service)」のような一つのシステムを複数のテナントで共有できるサービスも登場している。
【0003】
例えば特許文献1には、音声通知サービスを提供するサービス提供者と音声サービスを利用するサービス利用者の双方が、インターネットのブラウザ経由でIVR(Interactive Voice Response)フローを生成することが可能なアウトバウンドシステムが開示されている。また、特許文献2には、複数種類のサービスのIVRで利用されている処理を部品化し、これらの部品を複数組み合わせたIVRフロー定義データを各種IVRについてデータベースに格納しておくことにより、複数種類のサービスのIVRを単一の情報処理システム上で実現可能とする音声受付・通知装置が開示されている。
【0004】
ところで、SaaS型のアウトバウンドサービスには大きく分けて2つの形態がある。
一つは保障型といわれるサービス形態であり、各テナントが回線を占有する契約を結ぶ。もう一つはベストエフォート型といわれるサービス形態であり、全回線を複数のテナントで共有する。保障型のサービス形態の場合、テナントが自己の占有回線を使用しない場合には未使用回線となって、無駄が生じてしまうのに対して、ベストエフォート型のサービス形態は、全回線を複数のテナントで共有するため、未使用回線の発生を防止できる。そのため、現在では、ベストエフォート型の形態が主流となりつつある。
【0005】
ベストエフォート型のサービス形態では、各テナント用に均等に回線を割り当てることが望まれる。そのための制御方式として、回線数を用いた制御方式と、発信数を用いた制御方式とがある。
【0006】
回線数を用いた制御方式は、実際に使用する回線数を基準に回線割当を行う方式である。しかしながら、回線数は整数であるため、テナントの数によっては、均等に割り振ることができない場合がある。例えば、全回線が5回線でテナント数が3つの場合に、回線数を均等に割り振ろうとすると、各テナントとも1.66になり、割当が不能となる。
【0007】
一方、発信数を用いた制御方式は、アウトバウンドサービスを実施した数、つまり発信数を基準に回線割当を行う方式である。この制御方式では、発信数を基準とするため、発信数は、各テナントで均等に割り振られることとなるが、一つの発信の際の処理時間が各テナント間で大きな差がある場合、実際に回線を占有した時間である総回線占有時間という点では、不平等となる。
この点に関連して、複数存在するサービスの進捗度を一定に保つように回線を割り振る技術も提案されている。例えば特許文献3には、アウトバウンドによりアンケートを収集する情報処理システムであって、電話アンケート支援サーバにより、CTIサーバで行われている電話発信処理の進捗度を算出し、この進捗度に基づいて次の発信先情報を抽出することにより、複数のグループの各々が同じ時期にアンケートを終了するように調節する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−009975
【特許文献2】特開2001−298540
【特許文献3】特開2004−304353
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1ないし3に代表される従来のアウトバウンドシステムでは、テナントが同じ料金を支払っているにもかかわらず、回線占有時間に着目すると、通信回線が混み合っているときの回線割当が不平等になる。例えば、テナントA及びテナントBの処理時間が1分、テナントCの処理時間が3分であったとすると、共に発信先を5つとすると、テナントA及びテナントBのために回線を占有する時間は5分であるのに対し、テナントCでは15分となる。これでは、著しく不平等となる。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑み、複数の通信回線を複数のテナントで共用して情報発信の自動化処理を行う際に、テナント間で通信回線の使用に際して不平等が生じないようにする、アウトバウンドサービスのための情報発信システム及び方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、テナントが委託したアウトバウンドサービスをタスクとして捉え、通信回線が混み合うときの通信回線の占有時間についてテナント間に不平等が生じないようにする情報発信システム及び方法により、上記課題を解決する。
本発明の情報発信システムは、それぞれ、予め定めた時期に通信回線の割当を受けて複数回の情報発信を行うことを内容とする複数のタスクの登録を受け付ける登録受付手段と、登録したタスク毎に、割当可能な通信回線数の最大値を表す最大割当回線数及び最低限保障する通信回線数を表す保障割当回線数を記憶する記憶装置と、実行時期に達したすべてのタスクに対して、前記記憶装置に記憶されている保障割当回線数の通信回線を割り当てて情報発信を行う保障型処理を実行した後、既に行った各タスクの情報発信数の総和が、前記記憶装置に記憶されている各タスクの最大割当回線数から前記保障割当回線数を差し引いたチャネル数の比に近づくように、割当可能な通信回線である空き回線の割当を行うベストエフォート型処理を実行する制御手段とを有する。
【0011】
保障型処理は、情報発信に際して必ず通信回線を割り当てる方式の情報処理であり、ベストエフォート型処理は、複数の通信回線を複数のタスクで共用する場合に、各タスクについてある基準で通信回線を割り振る方式の情報処理である。
この情報発信システムでは、保障割当回線数が多くなるほど、また、システムが保有する最大回線数が少なくなるほど、ベストエフォート型処理に割り振ることができるチャネル数が少なくなるので、保障型処理による情報発信数がベストエフォート型処理による場合よりも多くなる。つまり、通信回線数の割当がいずれかのタスクに偏ることがなく、タスク間の不平等が無くなるばかりでなく、タスクの委託者に対して、効率的な通信回線が可能となるベストエフォート型処理の利点と、優先的で確実なアウトバウンドの実行が可能になるという保障型処理の利点のどちらを優先させるかを選択させることができ、委託者の意図に即したアウトバウンドサービスが可能となる。
【0012】
ある実施の態様では、前記記憶装置に、さらに、使用している通信回線数を表す使用中回線数、前記残っている情報発信数を表す残発信数、及び、前記チャネル数が大きいほど小さくなる情報発信時の通信回線占有に関わるコストが、タスク毎に記憶されており、前記制御手段は、実行時期に達したすべてのタスクについて、割り当てられた通信回線で情報発信を行った後は、当該タスクについての前記残発信数を減少させるとともに前記使用中回線数と前記コストとを増加させる処理を、前記すべてのタスクにおける前記残発信数の総和が空き回線数に満たなくなるまで繰り返し、満たなくなった場合に前記コストが最も小さいタスクを次に実行すべきタスクとして決定することにより前記ベストエフォート処理を行う。
このような構成により、タスク実行のための空き回線が不足する場合に、チャネル数に基づいて算定されたコストが最も小さいタスクに対して通信回線が割り当てられるので、ベストエフォート型処理による通信回線のより平等な利用が可能となる。
【0013】
実行すべきタスクの決定の妥当性を高める観点からは、前記制御手段を、情報発信を行った後は、その情報発信による通信回線の占有時間を計測し、この計測結果に基づいて前記記憶装置に記憶されているコストを修正するように動作させる。これにより、情報発信後は実際の計測結果に基づくコストが修正されるので、通信回線割当に際して必要となるコストを、例えば経験値や統計値に基づいて算定したものを使用することができる。
あるいは、前記制御手段を、既存のタスクが登録されているときに新たにタスクが追加登録されたときは、当該時点で最小となるタスクの前記コストを前記新たに追加されたタスクと共に初期値に修正するとともに、他のタスクの前記コストを、修正されたタスクのコストとの差分に修正するように動作させる。新たに登録されたタスクのコストは必ず他の既存のタスクよりも小さいので、上記のように構成することにより、タスク間の回線割当の不平等を回避することができる。
【0014】
また、ある実施の態様では、前記記憶装置に、タスク毎に、情報発信の相手との間で自動応答を開始する時期及び自動応答の内容を定めた制御フローが記憶されており、前記制御手段は、前記時期に達したタスクを前記実行時期に達したタスクと認識し、認識したタスクを前記制御フローに従って実行可能にする。
この態様では、制御フローに従ってタスクが実行されるので、自動応答が可能になり、人手を介在させないアウトバウンドサービスが可能になる。
【0015】
本発明の情報発信方法は、それぞれ、通信回線の割当を受けて複数回の情報発信を行うことを内容とする複数のタスクを実行する情報処理システムが行う方法であって、複数のタスクの登録を受け付ける段階と、登録したタスク毎に、割当可能な通信回線数の最大値を表す最大割当回線数及び最低限保障する通信回線数を表す保障割当回線数を所定の記憶装置に記憶する段階と、実行時期に達したすべてのタスクに対して、前記記憶装置に記憶されている保障割当回線数の通信回線を割り当てて情報発信を行う保障型処理を実行する段階と、既に行った各タスクの情報発信数の総和が、前記記憶装置に記憶されている各タスクの最大割当回線数から前記保障割当回線数を差し引いたチャネル数の比に近づくように、割当可能な空き回線の割当を行うベストエフォート型処理を実行する段階とを有する、アウトバウンドサービスのための情報発信方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の通信回線を複数のテナント(タスクの委託者)で共用して情報発信の自動化処理を行う際に、テナント間で通信回線の使用に際して不平等が生じないようにする仕組みを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を、複数の通信回線(以下、単に「回線」と称する場合がある)を共用する契約を締結した複数のテナントより委託されたアンケート等のための情報発信及び自動応答の要求をそれぞれタスクとして捉え、これらのタスクの実行により、多数の顧客の公衆通信電話(固定電話、携帯電話等)との間で双方向通信を行うアウトバウンドサービスシステムに適用した場合の実施の形態例を説明する。
【0018】
[アウトバウンドサービスシステムの構成]
図1は、本実施形態のアウトバウンドサービスシステムの全体構成図である。このアウトバウンドサービスシステムは、タスクを委託するテナントA,Bに設けられる情報端末20、及び、アンケート等を受け取る複数の顧客の各々に設けられる電話(固定電話機、携帯電話無線機等:図示省略)と公衆回線L1,L2を通じて通信を行う情報発信システムを含んで構成される。以下の説明では、この情報発信システムをコールセンタプラットフォーム10と呼ぶ。
なお、図1の例では、テナントAにのみ情報端末20が存在するが、他のテナントBにも同様の情報端末が存在する。
【0019】
コールセンタプラットフォーム10は、発信サーバ11、タスク発信コントローラ12、Webサーバ13及び大容量の記憶装置を有するデータベースサーバ14により構成される。発信サーバ11、タスク発信コントローラ12及びWebサーバ13はサーバ機能を有するコンピュータであり、データベースサーバ14は大容量記憶装置を備えたコンピュータであり、それぞれ、プロセッサが所定のコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより、登録受付手段、制御手段その他の機能実現として動作する。
【0020】
本実施形態では、発信サーバ11を、発信先であるエンドユーザ(情報端末)との間で音声自動応答のための制御を行う発信制御部111として動作させる。また、Webサーバ13を、情報端末20からのタスクの設定及び登録を受け付けるタスク設定部131として動作させる。さらに、タスク発信コントローラ12を、登録受付部121、タスク発信先決定部122として動作させる。本発明の特徴的な情報発信を行うための制御手段は、タスク発信先決定部122と発信制御部111との連携により実現する。
データベースサーバ14には、それぞれデータベースの一種となるタスク記憶部141及びログ記憶部142が構築される。
なお、ここでは、4種類のコンピュータによりコールセンタプラットフォーム10を構成する場合の例を示しているが、上記の制御手段ないし種々の機能実現手段を単独のコンピュータで実現することで、コールセンタプラットフォーム10を構成しても良い。
【0021】
データベースサーバ14に構築されるタスク記憶部141及びログ記憶部142には、種々のアウトバウンドサービスの管理に必要な情報が例えばテーブル形式で更新自在に記憶される。タスク記憶部141の内容例を図2、ログ記憶部142の内容例を図3に示す。タスク記憶部141は、タスク情報管理テーブル(図2(a)参照)200、IVRフローテーブル(図2(b)参照)210、電話番号管理テーブル(図2(c)参照)220、システム情報管理テーブル(図2(d)参照)230、回線占有コスト管理テーブル(図2(f)参照)240、及び、使用中回線管理テーブル(図3参照)250を格納する。IVRは「音声自動応答システム」の略であり、IVRフローは、発信先(エンドユーザ)との間で行う音声自動応答の制御手順、各種定義情報を含む制御フローの一つである。
【0022】
タスク情報管理テーブル200は、テナントから委託されたタスク情報を管理するためのテーブルである。ここにいうタスクは、一つのまとまったアウトバウンド処理を指す。アンケートでいえば、1回のアンケートが1タスクである。このタスク情報管理テーブル200には、タスクを識別するためのタスクID(IDはidentificationの略、以下同じ)毎に、最大割当回線数、保障割当回線数、タスクの開始時刻、IVRフローを識別するためのIVRフローID、及び、登録電話番号が定義され、記憶される。「最大割当回線数」は、情報発信のために割当可能な回線数の最大値であり、「保障割当回線数」は、保障型処理のために割り当てることを保障する回線数である。最大割当回線数から保障割当回線数を差し引いた値が、ベストエフォート型処理で発信可能なチャネル数(以下、本願明細書では、単に「チャネル数」と呼ぶ)となる。
【0023】
IVRフローテーブル210は、IVRのシナリオを定義するテーブルである。例えば「○○に該当する方は1番のボタンを押して下さい」のようなシナリオを音声で再生し、発信先との応答を自動で行なうこと、ないし、そのためのシステムを表す。図2(b)の例では、IVRフローIDがAで識別されるIVRについてシナリオA、IVRフローIDがBで識別されるIVRについてシナリオB、IVRフローIDがCで識別されるIVRについてシナリオCが記憶される。
【0024】
電話番号管理テーブル220は、発信先(エンドユーザ)のアドレスの一例となる電話番号を管理するテーブルである。図2(c)の例では、タスクID毎に、電話番号を識別するための電話番号ID、電話番号、予測占有時間が定義される。予測占有時間は、情報発信のために回線を占有することが予想される時間である。
【0025】
システム情報管理テーブル230は、図2(d)に示されるように、システム全体、すなわちコールセンタプラットフォーム(PF)10全体が保有する回線の総数、つまりPF保有最大回線数を記憶する。
【0026】
回線占有コスト管理テーブル240は、ベストエフォート型処理時に、どのタスクを優先してアウトバウンドするかを決定するためのコスト情報を記憶する。ここにいう「コスト情報」は、図2(e)の例では、タスクID毎に、予測占有時間、総実占有時間、総コストが保持される。「予測占有時間」は、例えば経験値や統計値から導出される、情報発信を行う際に回線を占有する時間である。この予測占有時間の算出手法については、後述する。「総実占有時間」は、情報発信の際に実際に回線を占有した時間の総和である。「総コスト」は予測占有時間をチャネル数で除算した値の総和である。
【0027】
使用中回線管理テーブル250は、使用している回線を管理するためのテーブルであり、図2(f)の例では、タスクID毎に、残発信数、発信終了数、使用中回線数が保持される。「発信終了数」は実際に発信を終了した数であり、「残発信数」は、テナントが設定したトータルの発信数から発信終了数を差し引いた値である。「使用中回線数」は、保障型処理やベストエフォート型処理で現在発信中の回線数である。
【0028】
ログ記憶部142は、発信サーバ11が、タスク実行時の質問に対する発信先からの回答(アンケート)を受け取り、これをログとして記録するためのデータベースである。図3の例では、電話番号ID毎に、タスクID、質問番号、アンケート結果が記憶される。
【0029】
コールセンタプラットフォーム10の各部は、以下のように動作する。
Webサーバ13のタスク設定部131は、テナントから委託されたタスク情報をコールセンタプラットフォーム10に設定登録するための処理を行う。具体的には、テナントから情報端末20のGUI等を通じて入力されたタスク情報を、公衆回線L2を通じて受信し、受信したタスク情報をタスク発信コントローラ12に伝達する。
【0030】
タスク発信コントローラ12の登録受付部121は、タスク設定部131から伝達された上記のタスク情報を受け付け、このタスク情報をタスク記憶部141のタスク情報管理テーブル200に登録する。登録受付部121は、また、タスク毎に、その予測占有時間及び総コストを算出し、これらを回線占有コスト管理テーブル240に記録する。
予測占有時間は、例えば、IVRフローに定義されたDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)桁数、ガイダンス長、音声認識単語長、録音時間、ポーズ時間、転送時間をもとに、これまでの自動応答によって得られた経験値又は統計値に基づいて算出することができる。本例では、大容量記憶装置の所定領域に、変数と共に記録されている以下の演算式により算出する。
予測占有時間
=(DTMF桁数1+DTMF桁数2+・・・)×DTMF経験値
+(ガイダンス長1+ガイダンス長2+・・・)×ガイダンス長経験値
+(音声認識単語長1+音声認識単語長2+・・・)×音声認識経験値
+(録音時間1+録音時間2+・・・)×録音時間経験値
+(ポーズ時間1+ポーズ時間2+・・・)
+転送数×転送時間経験値
【0031】
上記演算式の変数は、例えば以下の内容のものである。
「DTMF桁数」は、自動応答の際に顧客が項目選択等のために電話のプッシュボタンを押して入力を行なう回数であり、複数のものが用意されている。桁数に幅がある場合には、(最大桁数−最小桁数)/2の演算結果を用いることができる。「DTMF経験値」は、顧客がDTMFの1桁を認識して入力するのに必要な時間の経験値である。「ガイダンス長」は、音声自動応答のガイダンスに用いる音声の長さであり、複数のものが用意されている。「ガイダンス長経験値」は、顧客が、ガイダンス音声を、省略せずに、最後まで聞く割合であり、統計値を用いることができる。「音声認識単語長」は、音声認識する単語の平仮名での長さであり、複数のものが用意されている。認識する単語の長さに幅がある場合は、全単語の平仮名での長さの平均を使用することができる。「音声認識経験値」は、顧客が平仮名一つを認識するのに必要な時間の経験値である。「録音時間」は、音声自動応答の際に、録音できる最大の時間であり、複数のものが用意される。「録音時間経験値」は、実際の録音時間/録音最大時間×100により算出される値である。「ポーズ時間」は、音声自動応答の際の停止時間の長さであり、複数のものが用意される。「転送数」は、一回のIVRフローで転送される回数である。「転送時間経験値」は、転送してから転送先が応答するまでの時間の経験値である。
【0032】
登録受付部121は、さらに、回線占有コスト管理テーブル240の「総実占有時間」、「総コスト」、使用中回線管理テーブル250の「残発信数」、「保障型発信数」及び「使用中回線数」に初期値を記録する初期化処理を行なう。初期値は、通常は0となる。
【0033】
タスク発信先決定部122は、各テナントの情報端末20を通じて委託された複数のタスクの中から、実行時期に達したすべてのタスクと、それらのタスクにおける情報発信数とを取得し、各タスクのタスクIDをもとにIVRフローをタスク情報管理テーブル200から取得するとともに、情報発信数分の電話番号を電話番号管理テーブル220から取得し、これらを発信サーバ11の発信制御部111に伝達する。また、各タスクのIVRフロー及び電話番号を発信制御部111に伝達したときは、使用中回線管理テーブル250に記憶されている該当数値を更新する。さらに、タスクの実行後に発信制御部111から受け取った実占有時間の情報をもとに、回線占有コスト管理テーブル240の総コスト、総実占有時間及び予測占有時間の数値を更新する。
なお、電話番号は、図示しない外部データベースより取得するようにしても良い。
【0034】
タスク発信先決定部122における発信タスクと情報発信数の決定は、以下のようにして行う。
まず、タスク情報管理テーブル200に登録されている複数のタスクの各々のIVRフローの開始時刻のフィールドに記録されている時刻を調べ、開始時刻に達したタスクを実行時期に達したタスクと認識する。そして、タスク情報管理テーブル200及び使用中回線管理テーブル250の情報から、開始時刻に達したすべてのタスクについて割当可能な回線数を算出する。タスクの一部に対しては保障型処理により回線を割り当て、残りのタスクに対してはベストエフォート型処理により回線を割り当てる。ベストエフォート型処理において、タスクの残発信数の総和が、割当可能な回線数を上回るために割当可能回線数が不足すると判定できる場合は、総コストの数値が最小となる一つのタスクを発信タスクとして決定し、回線割当を行う。
【0035】
発信サーバ11は、タスク発信先決定部122より伝達されたIVRフローに従って発信先の顧客に対する音声自動応答のための制御を行う。すなわち、発信制御部111が、発信先(エンドユーザ)の電話番号を呼び出して呼を確立するとともに、発信先(エンドユーザ)に対する応答を、図示しない音声処理手段等を起動して、IVRフローに含まれるシナリオに従って自動で行なうための制御を行う。
【0036】
発信制御部111は、また、IVRフローに従う音声自動応答に要した時間を計時機構を用いて計測し、計測結果を実回線占有時間の増分として、回線占有コスト管理テーブル240に記憶されている総実占有時間を更新する機能も有する。
【0037】
発信サーバ11は、発信制御部111による自動応答制御の後、発信タスクの実行に対する発信先からの回答を受け取り、受け取った回答を発信した情報の内容と関連付けてログ記憶部142に記録する機能も有する。この機能を実現するときの発信サーバ11は、回答管理手段として動作する。
【0038】
[コールセンタプラットフォームの動作]
次に、上記のように構成されるコールセンタプラットフォーム10の動作を説明する。図4〜図6は、コールセンタプラットフォーム10において実行されるアウトバウンドサービスのための情報発信の処理手順図である。
【0039】
[発信タスク登録時の動作]
図4は発信タスク登録時の処理手順図である。IVRフローテーブル210には、事前にデータが登録されているものとする。
【0040】
図4を参照し、コールセンタプラットフォーム10は、登録受付を行う(ステップS101)。すなわち、Webサーバ13のタスク設定部131で、タスク情報管理テーブル200に登録する情報(最大割当回線数、保障割当回線数、開始時間、IVRフローID、登録電話番号数)と、電話番号管理テーブル220に登録する電話番号の入力を受け付ける。これらの情報の受付は、例えば端末20上でブラウザにより行う。タスク設定部131は、受け付けたこれらの情報を登録受付部121に伝達する。
【0041】
登録受付部121は、登録処理を実行する(ステップS102)。すなわち、登録受付部121は、タスク情報管理テーブル200と電話番号管理テーブル220に新しく行を追加し、各種情報を記憶させる。但し、タスク情報管理テーブル200のタスクIDと電話番号管理テーブル220の電話番号IDは、それぞれ重複しない番号を自動で割り当てる。
登録受付部121は、その後、初期設定を行う(ステップS103)。初期設定は、回線占有コスト管理テーブル240と使用中回線管理テーブル250に行を新しく追加し、各行の情報を以下のように初期化する処理である。
・回線占有コスト管理テーブル240の情報
タスクID=タスク情報管理テーブル200に登録されたタスクID
予測占有時間=IVRフローから算出された値
総実占有時間=0
総コスト=0
・使用中回線管理テーブル250の情報
タスクID=タスク情報管理テーブル200に登録されたタスクID
残発信数=タスク情報管理テーブル200に登録された登録電話番号数
他は0を代入
【0042】
[発信開始時の動作]
図5は、発信開始時の処理手順図である。タスク発信コントローラ12のタスク発信先決定部122及び発信サーバ11の発信制御部111は、以下の手順で情報発信を行う。
まず、タスク発信先決定部122が、タスク情報管理テーブル200のIVRフローが開始時刻に達しているすべてのタスクを抽出する(ステップS201)。そして、抽出したタスクについて、発信制御部111と協働で保障型処理を行う(ステップS202)。すなわち、抽出した各タスクについて、以下の処理を繰り返す。
(1−1)タスク発信先決定部122で、タスク情報管理テーブル200に登録されている保障割当回線数から使用中回線管理テーブル250に保持されている使用中回線数を差し引いた値が0より大きいかどうかを判定し、大きい場合は、発信制御部111が、電話番号管理テーブル220から発信先の電話番号を取得し、呼を確立して発信する。
(1−2)発信制御部111は、発信後に、使用中回線管理テーブル250の残発信数を1減らし、同テーブル250の使用中回線数を1増やす。
(1−3)発信制御部111は、電話番号管理テーブル220の予測占有時間を回線占有コスト管理テーブル240の予測占有時間に更新するとともに、回線占有コスト管理テーブル240の総コストを、それまでの総コストに、同テーブル240の予測占有時間を、タスク情報管理テーブル200の最大割当回線数から同テーブル200の保障割当回線数を差し引いた値で除算した値を加算する。
【0043】
保障型処理を終えると、ベストエフォート型処理を行う(ステップS203)。
すなわち、タスク発信先決定部122で、システム情報管理テーブル230のPF保有最大回線数から使用中回線管理テーブル250の使用回線数の総和を差し引き、空き回線数を算出する。 そして、空き回線数が、実行時期に達したすべてのタスク(空き回線数がIVRフローが開始時刻に到達しているタスク)の残発信数(使用中回線管理テーブル250)の総和以上であれば、回線数に余裕があるので、各タスクのうち、まだ電話していない発信先を特定し、そのすべてに対して、発信制御部111と協働で、以下の処理を繰り返す。
(2−1)発信制御部111で呼を確立し、情報発信を行う。
(2−2)発信制御部111は、発信後に、使用中回線管理テーブル250の残発信数を1減らし、同テーブル250の使用中回線数を1増やす。
(2−3)発信制御部111は、電話番号管理テーブル220の予測占有時間を回線占有コスト管理テーブル240の予測占有時間に更新するとともに、回線占有コスト管理テーブル240の総コストを、それまでの総コストに同テーブル240の予測占有時間をチャネル数(タスク情報管理テーブル200の最大割当回線数から同テーブル200の保障割当回線数を差し引いた値)で除算した値を加算する。
【0044】
空き回線数が、開始時刻に到達しているタスクの残発信数(使用中回線管理テーブル250)の総和未満となった場合は、以下の処理を繰り返す。
(2−4)タスク発信先決定部122は、当該時点で総コストが最も小さいタスクを特定する。発信制御部111は呼を確立し、そのタスクの情報発信を行う。
(2−5)発信制御部111は、発信後に、使用中回線管理テーブル250の残発信数を1減らし、同テーブル250の使用中回線数を1増やす。
(2−6)発信制御部111は、電話番号管理テーブル220の予測占有時間を回線占有コスト管理テーブル240の予測占有時間に更新するとともに、回線占有コスト管理テーブル240の総コストを、それまでの総コストに、同テーブル240の予測占有時間をチャネル数で除算した値を加算する。
ベストエフォート型処理を終えた場合は、発信動作を終了する。
【0045】
[後処理]
図6は、発信終了時の処理手順図である。
発信動作を終了した場合、発信サーバ11の発信制御部111は、タスク記憶部141の情報を更新する(ステップS301)。すなわち、情報発信が終了した呼に対して使用中回線管理テーブル250の使用中回線数から1減らし、同テーブル250の発信終了数を1増やす。
【0046】
実占有時間は、発信制御部111で計測する。発信制御部111は、計測した実占有時間をチャネル数で除算するとともに、電話番号管理テーブル220の予測占有時間をチャネル数で除算する。計測した実占有時間をチャネル数で除算することにより得られるものを実コスト、電話番号管理テーブル220の予測占有時間をチャネル数で除算することにより得られるものを予測コストとすると、回線占有コスト管理テーブル240の総コストは、それまでの総コストから予測コストを差し引くとともに実コストを加算することにより算出した値となる。
【0047】
そして、回線占有コスト管理テーブル240の総実占有時間を、それまでの総実占有時間に実占有時間を加算した値に更新するとともに、同テーブル240の予測占有時間を、それまでの予測占有時間を使用中回線管理テーブル250の発信終了数で除算した値に更新する。
【0048】
タスク記憶部141の更新を終えると、発信制御部111は、ログ書出しを行う(ステップS302)。すなわち、ログ記憶部142の電話番号IDとして電話番号管理テーブル220の電話番号IDを書き出し、ログ記憶部142のタスクIDとしてタスク情報管理テーブルのタスクIDを書き出す。ログ記憶部142の質問番号は、IVRフロー実行時に自動生成したものを書き出す。ログ記憶部142のアンケート結果は、エンドユーザが電話で入力した値を書き出す。
【0049】
[第1実施例]
次に、本実施形態のコールセンタプラットフォーム10の実施例を具体的に説明する。
本例では、コールセンタプラットフォーム10の保有最大回線数が14回線で、3つのテナントが、タスクA、タスクB及びタスクCの順に、3つのタスクの実行を委託した場合の例を示す。
タスクAは、登録電話番号数が1000、予測占有時間が1分、最大割当回線数が6回線、保障型割当回線数が4回線で登録している。タスクBは、登録電話番号数が100、予測占有時間が1分、最大割当回線数が4回線、保障型割当回線数が0回線で登録している。タスクCは、登録電話番号数が150、予測占有時間が3分、最大割当回線数が6回線、保障型割当回線数が2回線で登録している。
従って、チャネル数(ベストエフォート型最大回線数)は、タスクAが2、タスクBが4、タスクCが4となる。
保有最大回線数の14回線から各タスクの保障型割当回線数の和である6を減算すると、残り8回線をベストエフォート型処理で発信することができる。本例では、すべてがベストエフォート型処理で発信を行うことを想定し、この8回線を、各タスクの総コストの小さい順に逐次割り当て、実際に回線を占有する時間が、上記のチャネル数の比、2:4:4に近づくように制御する。
なお、上述した図2(a)〜図2(f)に示したテーブル200〜250、及び図3に示したログ記憶部142に具体的に記録されている数値その他の情報は、上記事情を前提とするものである。
【0050】
まず、事前準備として、タスク記憶部141の各テーブル200〜250及びログ記憶部142の情報を初期化する。また、各タスクの予測コストを、予測占有時間/回線数で定量化する。本例では、予測コストA(=タスクAの予測コスト)が0.5、予測コストB(=タスクBの予測コスト)が0.25、予測コストC(=タスクCの予測コスト)が0.75であったとする。
【0051】
タスクA、タスクB、タスクCの情報発信は、図7のように実行される。図7にいう「1ch」、「2ch」・・・は、一つの情報発信毎に割り当てる回線の順番を表す。
タスクの実行に際して、総コストは最初は初期値(0)なので、総コストはすべて同じ値となる。この場合は、最先に登録されたタスクAの一つの情報発信を最初の回線(1ch)に割り当てるとともにタスクAの総コスト0に予測コスト0.5を加算する。次の回線(2ch)では、タスクBとタスクCの総コストが共に0であるが、タスクBの登録が早いので、タスクBの情報発信を実行するとともに、タスクBの総コスト0に予測コスト0.25を加算する。さらにその次の回線(3ch)では、タスクCの情報発信を実行するとともに、タスクCの総コスト0に予測コスト0.75を加算する。以後、8回線目(8ch)まで、同様の手順を繰り返す。
【0052】
1分後には、タスクAとタスクBの情報発信が終了し、タスクCの情報発信のみが実行中となるため、(8−2)回線の6回線を同様に割り当てることができる(図7の(1))。直前に記録されている総コスト(8ch)は、タスクAが1.0、タスクBが1.0、タスクCが1.5であるから、タスクAの情報発信を実行する。その結果、8回線割当後の次の6回線割当最初の回線(1ch)の総タスクは、タスクAが1.5、タスクBが1.0、タスクCが1.5に増加する。
【0053】
さらに1分後にもタスクA、タスクBの情報発信が終了し、タスクCの情報発信のみが実行中となるため、(6−1)回線を同様に割り当てることとなる。つまり、2分後に5回線を割り当てる(図7の(2))。直前の総コスト(6ch)は、タスクAが2.0、タスクBが1.75、タスクCが1.5であるから、タスクBの情報発信を実行する。その結果、次の6回線割当後の最初の回線(1ch)の総タスクは、タスクAが2.0、タスクBが1.75、タスクCが2.25に増加する。
【0054】
さらに1分後には、タスクA、タスクBのほか、タスクCの最初の2つの情報発信も終了するため、(5−1+2)回線を同様に割り当てることとなる。つまり、3分後には、6回線が割当可能となる(図7の(3))。直前の総コスト(5ch)は、タスクAが2.5、タスクBが2.5、タスクCが2.25であるから、タスクCの情報発信を実行する。以後、同様の処理を繰り返す。
【0055】
これにより、15分後には、タスクAの情報発信は7回実行されるため、タスクAのための回線占有時間は、7(回)×1(分)で7(分)となる。タスクBの情報発信は14回実行されるため、タスクBのための回線占有時間は、14(回)×1(分)で14(分)となる。タスクCの情報発信は5回実行されるため、タスクCのための回線占有時間は、5(回)×3(分)で15(分)となる。従って、回線占有時間の比は、タスクA、タスクB、タスクCで、7:14:15であり、回線数の比である2:4:4に近づくことになる。
【0056】
[第2実施例]
総コストは、実際にタスクが実行されたときに計測される実コストに基づいて更新される。つまり、予測コストが実コストで置き換えられる。第2実施例では、総コストが実コストに基づいて更新される様子を説明する。図8は、この第2実施例の説明図である。本例では、説明を単純化するため、予測コストA(=タスクAの予測コスト)が3、予測コストB(=タスクBの予測コスト)が2、予測コストC(=タスクCの予測コスト)が1であるものとする。
【0057】
図8において、総コストに基づき、タスクA、タスクB、タスクC、タスクCの順に実行され、それぞれ総コストが増加する要領は、第1実施例と同じである。図の下向矢印は、次の回線割当がなされるタスク、上向矢印は、更新される総コストである。
各タスクの情報発信が実行され、それにより実コストが算出されるまで、一定の時間がかかる。図8では、4chの情報発信が終了したときにタスクBの実コストが取得されている。この場合は、タスクBの実コストが1であったことが判明した時点で、それまでの予測コストB(=2)に基づく総コストを2から1に修正する。以後、タスクBを実行する度に、その総コストは、実コストである1ずつ増加する。
このように、総コストを実コストで逐次修正していくことにより、予測コストだけによる場合に比べて、実際に回線を占有する時間をタスク間で正しく調整することができる。
【0058】
[第3実施例]
既に複数のタスク、例えば第2実施例のようにタスクA、タスクB、タスクCを実行している途中で、事後的に新たなタスクDが追加されることは良くある。図9は、この場合の例(第3実施例)を示す説明図である。ここでは、予測コストD(=タスクDの予測コスト)が3であるものとする。
【0059】
図9において、総コストに基づき、タスクA、タスクB、タスクC、タスクCの順に実行され、それぞれ総コストが増加する要領は、第2実施例と同じである。但し、説明を簡単にするため、第2実施例のように、総コストが実コストにより修正されることについては、考慮しないものとする。
【0060】
タスクDが追加されたときは、タスクDの総コストを初期値(0)に設定するとともに、既存のタスクのうち、当該時点で最も小さい総コストを0に修正し、且つ、他の既存のタスクの総コストを、修正されたタスクの総コストの差分に修正する。図9の例では、総コストが最も小さいのは、タスクBとタスクCであるから、これらのタスクの総コストを、タスクDと共に0に修正する。タスクAについては、タスクB等との差分である1に修正される。
このように、新たにタスクが追加されたときは、既存のタスクとの総コストに大きな相違を生じさせないようにしたので、既存のタスクと追加されたタスクとの間の回線割当の不平等を回避することができる。
【0061】
[第4実施例]
タスクの一部が終了したときは、残ったタスクとの間で上記の情報発信を行うことになる。図10は、第2実施例の場合において、タスクCが終了した場合の例(第4実施例)を示す説明図である。総コストに基づき、タスクA、タスクB、タスクC、タスクCの順に実行され、それぞれ総コストが増加する要領は、第3実施例と同じである。
このように、タスクの一部が途中で終了したときは、残ったタスク間で回線割当の調整がなされるので、残ったタスクと終了したタスクとの間の回線割当の不平等を回避することができる。
【0062】
なお、各実施例において、IVRフローの内容が更新された場合は、更新されたIVRフローを持つタスクは、更新時点で追加されたタスクと同じ扱いとする。
【0063】
このように、コールセンタプラットフォーム10では、全回線のうち一部の回線を占有回線とし、残りの回線を回線占有時間を基準に各タスクに割り振る共有回線としたことから、ベストエフォート型のサービス形態の利点である回線の有効利用と、保障型のサービス形態の利点である優先的で確実なアウトバウンドサービスの実行とを併せ持つ仕組みを実現することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、情報端末20とコールセンタプラットフォーム10との間に公衆回線L1が介在し、他方、発信先とコールセンタプラットフォーム10との間に公衆回線L2が介在する例を示したが、これらの公衆回線L1、L2に代えて、専用回線、ネットワーク回線を介在させて良い。
【0065】
また、上記の説明では、回線割当開始時に、回線占有コストテーブル240の「総コスト」がいずれも初期値(0)の場合は、登録順に一つずつ発信タスクを決定するものとして説明したが、予測コストが算出された時点で総コストの比較ができる場合は、回線占有コストテーブル240に記録されている総コストによらず、算出結果を一次記憶している段階で、最初の回線を割り当てるタスクを決定するようにしても良い。例えば、図6に示した第1実施例の場合、回線占有コストテーブル240に記録されている各タスクの総コストが共に0であるからタスクAが選択されているが、回線占有コストテーブル240を更新する前の各タスクの総コストは、タスクAが0.5、タスクBが0.25、タスクCが0.75であるため、タスクBが選択されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態のアウトバウンドサービスシステムの全体構成図。
【図2】(a)はタスク情報管理テーブル、(b)はIVRフローテーブル、(c)は電話番号管理テーブル、(d)はシステム情報管理テーブル、(e)は回線占有コスト管理テーブル、(f)は使用中回線管理テーブルの内容例を示す図。
【図3】ログ記憶部の内容例を示す図。
【図4】タスク情報の登録時の処理手順図。
【図5】発信開始時の処理手順図。
【図6】発信終了時(後処理時)の処理手順図。
【図7】第1実施例の動作説明図。
【図8】第2実施例の動作説明図。
【図9】第3実施例の動作説明図。
【図10】第4実施例の動作説明図。
【符号の説明】
【0067】
10 コールセンタプラットフォーム
11 発信サーバ
12 タスク発信コントローラ
13 Webサーバ
14 データベースサーバ
20 情報端末
111 発信制御部
121 登録受付部
122 タスク発信先決定部
131 タスク設定部
141 タスク記憶部
142 ログ記憶部
200 タスク情報管理テーブル
210 IVRフローテーブル
220 電話番号管理テーブル
230 システム情報管理テーブル
240 回線占有コスト管理テーブル
250 使用中回線管理テーブル
L1,L2 公衆回線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、予め定めた時期に通信回線の割当を受けて複数回の情報発信を行うことを内容とする複数のタスクの登録を受け付ける登録受付手段と、
登録したタスク毎に、割当可能な通信回線数の最大値を表す最大割当回線数及び最低限保障する通信回線数を表す保障割当回線数を記憶する記憶装置と、
実行時期に達したすべてのタスクに対して、前記記憶装置に記憶されている保障割当回線数の通信回線を割り当てて情報発信を行う保障型処理を実行した後、既に行った各タスクの情報発信数の総和が、前記記憶装置に記憶されている各タスクの最大割当回線数から前記保障割当回線数を差し引いたチャネル数の比に近づくように、割当可能な通信回線である空き回線の割当を行うベストエフォート型処理を実行する制御手段と、
を有する、アウトバウンドサービスのための情報発信システム。
【請求項2】
前記記憶装置には、さらに、使用している通信回線数を表す使用中回線数、前記残っている情報発信数を表す残発信数、及び、前記チャネル数が大きいほど小さくなる情報発信時の通信回線占有に関わるコストが、タスク毎に記憶されており、
前記制御手段は、
実行時期に達したすべてのタスクについて、割り当てられた通信回線で情報発信を行った後は、当該タスクについての前記残発信数を減少させるとともに前記使用中回線数と前記コストとを増加させる処理を、前記すべてのタスクにおける前記残発信数の総和が空き回線数に満たなくなるまで繰り返し、満たなくなった場合に前記コストが最も小さいタスクを次に実行すべきタスクとして決定することにより前記ベストエフォート型処理を行う、
請求項1記載の情報発信システム。
【請求項3】
前記制御手段は、情報発信を行った後は、その情報発信による通信回線の占有時間を計測し、この計測結果に基づいて前記記憶装置に記憶されているコストを修正する、
請求項2記載の情報発信システム。
【請求項4】
前記制御手段は、既存のタスクが登録されているときに新たにタスクが追加登録されたときは、当該時点で最小となるタスクの前記コストを前記新たに追加されたタスクと共に初期値に修正するとともに、他のタスクの前記コストを、修正されたタスクのコストとの差分に修正する、
請求項3記載の情報発信システム。
【請求項5】
前記記憶装置には、タスク毎に、情報発信の相手との間で自動応答を開始する時期及び自動応答の内容を定めた制御フローが記憶されており、
前記制御手段は、前記時期に達したタスクを前記実行時期に達したタスクと認識し、認識したタスクを前記制御フローに従って実行可能にする、
請求項1ないし4のいずれかの項記載の情報発信システム。
【請求項6】
それぞれ、通信回線の割当を受けて複数回の情報発信を行うことを内容とする複数のタスクを実行する情報処理システムが行う方法であって、
前記複数のタスクの登録を受け付ける段階と、
登録したタスク毎に、割当可能な通信回線数の最大値を表す最大割当回線数及び最低限保障する通信回線数を表す保障割当回線数を所定の記憶装置に記憶する段階と、
実行時期に達したすべてのタスクに対して、前記記憶装置に記憶されている保障割当回線数の通信回線を割り当てて情報発信を行う保障型処理を実行する段階と、
既に行った各タスクの情報発信数の総和が、前記記憶装置に記憶されている各タスクの最大割当回線数から前記保障割当回線数を差し引いたチャネル数の比に近づくように、割当可能な空き回線の割当を行うベストエフォート型処理を実行する段階とを有する、
アウトバウンドサービスのための情報発信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−136171(P2010−136171A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310874(P2008−310874)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】