説明

アキュームレーターおよびパレタイザー

【課題】飲料用ボトルのキャップ等の小物物品をスムーズに整列配置できるアキュームレーターを提供する。
【解決手段】搬送手段により供給される複数の物品Wを搬路11上に一時滞留しておくアキュームレーターであって、搬路下流端部に設けられ、この搬路11上に滞留する物品Wを進退させて平面状に整列させる整列機構12を備える。整列機構12は、搬路11の幅方向に設けられて、その中央部を支点として搬路方向に揺動可能な可動部材13を備え、可動部材13の揺動にて、物品Wを進退させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の物品を整列配置させた状態で一時滞留しておくアキュームレーター、およびこれを用いたパレタイザーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、多数の物品を一括配送するに当たり、配送物品を整列配置状態に積み上げて梱包することが行われている。尚、物品を整列配置する装置として、パレタイザーが公知であり、例えば、特許文献1には、ビール樽をパレット上に整列させるパレタイザーが開示されている。
【0003】
他方、例えば、飲料用ボトルのキャップのような小物物品を配送する場合は、図7に示すように、多数のキャップWをビニール袋23等に袋詰めし、これを段ボール箱22に箱詰めして梱包することが行われている。
【0004】
ところが、このような梱包形態は、梱包に手間が掛かると共に、配送時の揺れや振動等によって袋詰めしたキャップW同士が相互に擦れ合いキャップ表面が削られて、微細なプラスチック粉や金属粉が発生するという問題があった。
【特許文献1】特開2005−112567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記不都合に鑑み成されたもので、飲料用ボトルのキャップ等のような小物物品を多数整列配置状態に保持しておくことができるアキュームレーターと、このアキュームレーターを用いたパレタイザーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1に記載の発明は、搬送手段により供給される複数の物品を搬路上に一時滞留しておくアキュームレーターであって、前記搬路の下流端部に設けられ、当該搬路上に滞留する物品を進退させて平面状に整列させる整列機構を備えることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアキュームレーターにおいて、前記整列機構は、前記搬路の幅方向に設けられて、その中央部を支点として搬路方向に揺動可能な可動部材を備え、当該可動部材の揺動にて、前記物品を進退させることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2の何れかに記載のアキュームレーターにおいて、前記搬路の下方よりエアを噴出して前記物品を浮遊・前進させるエア噴出機構を備えることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に記載のパレタイザーは、請求項1から請求項3までの何れかに記載のアキュームレーターと、前記アキュームレーターに整列配置された所定数の物品を一括吸着して移送する吸着移動機構と、前記吸着移動機構にて移送される物品群を平面整列状態で積載すると共に、物品積載毎に降下して物品積載位置を一定に維持する積層部と、前記積層部において積載された所定層数の物品を梱包する梱包部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、2に記載の発明によれば、物品の整列は、可動部材を揺動することによる物品の進退動作を利用して行うため、整列機構は極めて簡便であり、安価なアキュームレーターを提供することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明によれば、搬路上に部品を整列させるに当たり、物品を浮遊させるようにしたので、上記整列機構による物品の進退動作がスムーズに行われるようになり、これにより物品の倒れを無くし、安定した状態で整然と整列させることができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明によれば、上記した本発明のアキュムレーターを用いることにより、飲料用ボトルのキャップのような小物物品を整列配置させた状態で梱包することが可能となり、且つ、パレタイズから梱包までの作業が一連の工程において行われるため、作業工数を大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図1〜図6に基づいて本発明が適用されたパレタイザーの実施形態を説明する。
図1、図2は本実施形態によるパレタイザーのパレタイズ動作を示し、図3は同、パレタイザーの構成を示し、図4はアキュームレーターの整列機構による物品の整列動作を示し、図5はエア噴出機構の構成を示し、図6はパレタイザーによるキャップの積載状態を示している。
【0014】
図1〜図3に示すように、本実施形態によるパレタイザーは、物品W(飲料用ボトルのキャップを示し、以下、単にキャップWという)を一列状態で搬送する搬送手段1と、この搬送手段1により連続的に供給されるキャップWを縦横行列状に整列させて滞留させておくアキュームレーター2と、このアキュームレーター2に整列配置されたキャップW群を所定数吸着して移送する吸着移動機構3と、この吸着移動機構3にて移送されるキャップW群を平面整列状態で幾段にも積載する積層部4と、この積層部4において積載された所定層数のキャップWを一括梱包する梱包部5とで概略構成されている。
【0015】
本実施形態では、上記搬送手段1として、空気噴射式のコンベア1が用いられている。
この空気噴射式のコンベア1は、図5に示すように、上面に一列状態に配設された多数のエア噴出孔6を有するデッキプレート7(搬送路)が取り付けられたプレナム9(フレーム構成の空気ダクト)と、このデッキプレート7上のキャップWを両側より支持してデッキプレート7面に沿って誘導するガイド部材8とで構成されており、図示しない送風機等から、このプレナム9内に送り込まれる空気をデッキプレート7のエア噴出孔6から噴出し、その空気流にてデッキプレート上のキャップWを浮上させながら、ガイド部材8に沿って移送させていくものである。
【0016】
アキュームレーター2は、上記デッキプレート7より続く拡幅された水平搬路11を備え、この搬路11の下流端部、即ち、積層部4との接続部分にランダムな状態で平面状に滞留するキャップWを整列させる整列機構12が設けられている。
また、この搬路11におけるキャップWの搬送もまた、上述したエア搬送機構によるものであって、少なくともキャップWを3箇所からの噴出空気にて浮遊・前進し得るように、拡幅された搬路11の全面に多数のエア噴出孔6が併設されている。
【0017】
上記整列機構12は、搬路11の幅方向に設けられた細長板状の可動部材13と、この可動部材13を長手中央で支持する回動自在の支軸14とを備え、図示しない駆動手段により、この支軸14を所定の角度で円弧状に回動することにより、可動部材13は、支軸14を中心として搬路方向に揺動(シーソー動作)を行い、この揺動にてキャップWを搬路方向に進退させることにより、搬路11上に滞留するキャップW群を縦横行列状に整列させるようになっている。
【0018】
すなわち、搬送手段1より搬路11上に供給される多数のキャップWが、その搬路11を可動部材11にて閉鎖されて、ランダムな配列にて滞留されている状態において、先ず、図4(a)のように、支軸14を左回転して可動部材13を右肩上がりに傾斜させ、次いで、図4(b)のように、支軸14を右回転して可動部材13を左肩上がりに傾斜させる。
詳しくは、図4(c)のように搬路11の横方向(幅方向)を埋めるキャップWの個数をNとすると、図4(a)のように、可動部材13が右肩上がりに傾斜した時の斜め方向を埋めるキャップWの個数が少なくともN+1と増えるように、また、図4(b)のように、可動部材13が左肩上がりに傾斜した時の斜め方向を埋めるキャップWの個数が少なくともN+1と増えるように可動部材13を回動させる。
搬路11上のキャップWは、噴出エアによる前進力と、この可動部材13の揺動によって搬路11の幅方向を埋めるキャップW数を変えながら、搬路11上を進退し、それまでランダムに滞留していたキャップWが、図4(c)のように縦横行列状に整列させられる。
【0019】
尚、可動部材13の揺動角度は、整列させるキャップWの個数に応じて適宜設定されるものであるが、揺動の際、可動部材13の両端部とガイド部材8との間にギャップWが挟まれてしまうような大きな隙間が生じないようにする必要がある。また、可動部材13の揺動は図4(b)の次ぎに図4(a)となるように支軸14の回動を制御するようにしても勿論構わない。
【0020】
吸着移動機構3は、アキュームレーター2の上方に設けられ、摺動レール15上を水平移動(図1中の左右方向)に移動可能である。この吸着移動機構3がアキュームレーター2の搬路11と対向する部位に多数の真空吸着口を設けた吸着ヘッド10が設けられ、搬路11上に整列させられたキャップW群を一括吸着して移動し、積層部4に供給するようになっている。この吸着ヘッド10は、図示しない吸引ブロア等の負圧形成手段に接続されており、その吸引圧力でキャップWを吸引する。
【0021】
積層部4は、床面に設けたレール19上を水平移動(図1中の左右方向)する基礎フレーム16と、この基礎フレーム16上に設けた昇降装置17とで構成され、この昇降装置17にキャップ積載用のパレット18が載置され、昇降装置17の動作に応じて昇降するようになっている。
【0022】
そして、図1に示すように、アキュームレーター2において、滞留キャップ群Wは吸着移動機構3によって一括吸着されて、摺動レール15に沿って積層部4の上方位置に移送され、パレット18上において平面整列状態で積載されると共に、上述の昇降装置17の動作により、パレット18がキャップ積載毎に降下してキャップ積載位置を一定に維持するようになっている。
すなわち、一段目のキャップWの積載が終了した段階で、キャップWの高さ分だけ昇降装置17が作動してパレット18を降下させる。これにより、キャップWの高さ面を一定に維持し、第2段目以降のキャップに対しても常に一定積載位置にて整列積載が行えるようになっている。
【0023】
また、この積層部4の側方には、図3に示すように、仕切部材としてのセパレータシート21がスタックされたシート設置部20が設けられており、キャップ積載毎に側方よりセパレータシート21がキャップWの積載面に供給されるようになっている。これにより、図6に示すように、各積載層毎にセパレータシート21が介在されることになる。
【0024】
梱包部5は、積層部4の前方位置に配設され、梱包材22(この梱包材22内には予めビニール袋23が添装されている)を吊着可能なチャック機構24を備えて、図3に示すように、この梱包部5の側方よりベルトコンベア25等の搬送手段より供給されて来る梱包材22をこのチャック機構24で保持してキャップWの上方位置にて待機し、積層部4において積載が完了したキャップWを梱包するようになっている(図2参照)。尚、符号26は梱包を終えた梱包体を移送するためのベルトコンベアである。
【0025】
このように、本実施形態のアキュームレーター2では、キャップWの整列について、噴出エアによるキャップWの前進力と、可動部材13の揺動にて生じるキャップWの進退動作を利用して行うため、整列機構12は極めて簡便であり、安価なアキュームレーター2を提供することができる。
加えて、搬路11上に滞留するキャップWを浮遊させ、搬路11に対して非接触となるようにして搬路11との接触摩擦を無くしたので、上記整列機構12によるキャップWの進退動作がスムーズに行われるようになり、キャップWの倒れや乱れを無くし、安定した状態で整然と整列させることができる。
【0026】
従って、係るアキュームレーター2を用いて成る本実施形態のパレタイザーでは、キャップWを整列配置させた状態で梱包することが可能となり、且つ、パレタイズから梱包までの作業が一連の工程にて連続的に行われるため、梱包作業の手間が大幅に改善されると共に、梱包体の配送にあっては、配送時の振動によるキャップWのダメージが防止され、個々のキャップWを損傷させること無く配送できるようになる。
【0027】
以上、本実施形態では、パレタイザーについて説明したが、例えば、図1において、アキュームレーター2の整列機構12を除去(或いは、整列機構12の可動部材13を搬路11に直交する状態、すなわち、図4(c)の状態に固定しても良い)すると共に、搬送手段1とアキュームレーター2の搬路11におけるエア搬送方向を逆方向に変えることにより、このパレタイザーをデパレタイザーとして使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るパレタイザーのパレタイズ動作を示す図。
【図2】本発明に係るパレタイザーの図1とは別のパレタイズ動作を示す図。
【図3】本発明に係るパレタイザーを上方より見た図。
【図4】アキュームレーターの整列機構による物品の整列動作を示す説明図。
【図5】エア噴出機構を示す平面図。
【図6】本発明に係るパレタイザーによるキャップの積載状態を示す図。
【図7】従来の物品の梱包状態を示す図。
【符号の説明】
【0029】
1 搬送手段
2 アキュームレーター
3 吸着移動機構
4 積層部
5 梱包部
6 エア噴出機構(エア噴出孔)
11 搬路
12 整列機構
13 可動部材
W 物品(飲料用ボトルのキャップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により供給される複数の物品を搬路上に一時滞留しておくアキュームレーターであって、
前記搬路の下流端部に設けられ、当該搬路上に滞留する物品を進退させて平面状に整列させる整列機構を備えることを特徴とするアキュームレーター。
【請求項2】
前記整列機構は、前記搬路の幅方向に設けられて、その中央部を支点として搬路方向に揺動可能な可動部材を備え、当該可動部材の揺動にて、前記物品を進退させることを特徴とする請求項1に記載のアキュームレーター。
【請求項3】
前記搬路の下方よりエアを噴出して前記物品を浮遊・前進させるエア噴出機構を備えることを特徴とする請求項1または請求項2の何れか記載のアキュームレーター。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れかに記載のアキュームレーターと、
前記アキュームレーターに整列配置された所定数の物品を一括吸着して移送する吸着移動機構と、
前記吸着移動機構にて移送される物品群を平面整列状態で積載すると共に、物品積載毎に降下して物品積載位置を一定に維持する積層部と、
前記積層部において積載された所定層数の物品を梱包する梱包部とを備えることを特徴とするパレタイザー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−230744(P2007−230744A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56272(P2006−56272)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】