説明

アクセス制御機能付き記憶装置

【課題】予め内部に保持している利用規則管理テーブルの内容だけでなく、閲覧期間、閲覧時間帯又は閲覧場所などの現在の状態に応じてコンテンツへのアクセスを制御することができるアクセス制御機能付き記憶装置を得る。
【解決手段】本発明に係るアクセス制御機能付き記憶装置1は、コンテンツ2と、コンテンツ2へのアクセス条件を保持する利用規則管理テーブル3と、外部の無線ネットワーク8からアクセス制御情報を取得するアクセス制御情報取得部6と、制御部7とを有し、制御部7は、利用者からコンテンツ2へのアクセスの要求があった場合に、アクセス制御情報及び利用規則管理テーブル3の内容に応じて、コンテンツ2へのアクセスを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め内部に保持している利用規則管理テーブルの内容だけでなく、閲覧期間、閲覧時間帯又は閲覧場所などの現在の状態に応じてコンテンツへのアクセスを制御することができるアクセス制御機能付き記憶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
秘密保持契約に伴う関係者への情報開示や保守情報の提供など、外部へ情報(コンテンツ)を配布するケースが増加している。また、音楽や映像情報などのコンテンツをオンラインで販売するビジネスも盛んになっている。コンテンツを配布する方法として、メール、Webサーバなどネットワークを利用する方法(1)や、CD−ROMやUSBメモリなどのリムーバブル記憶装置に格納して配布する方法(2)がある。コンテンツの配布に当たり、情報漏洩防止や著作権保護の点から各種の対策が採られている。
【0003】
方法(1)の場合、許可された利用者しかコンテンツにアクセスできないようにするDRM(Digital Right Management)技術が知られている。例えば特許文献1では、あらかじめチケットサーバに利用者IDを登録し、文書ファイルを文書サーバに登録する際に、利用規則(利用者毎に設定された閲覧可否、印刷可否、編集可否などのルール)をチケットサーバに登録する。そして、利用者がダウンロードした文書ファイルは暗号化されており、利用者が暗号化されたファイルを開く操作を行うと、クライアントがチケットサーバに前記ファイルの文書IDと利用者の証明書(利用者IDが含まれている)を送信する。次に、チケットサーバは、利用者IDから前記文書に設定されている利用規則を決定し、クライアントに送信する。次に、クライアントは受信した利用規則に従い、文書を復号化して利用者に提示する。また、メールを利用する場合は、受信者しか内容を見られないように暗号化メールを利用する。
【0004】
方法(2)の場合、格納する情報を暗号化により秘匿する機能や、パスワードやバイオ情報を利用した本人認証をパスしないとリムーバブル記憶装置にアクセスさせないアクセス制御を行う機能が追加されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−30056号公報
【特許文献2】特開2001−35092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の方法では、コンテンツの暗号化機能やアクセス制御機能を利用しているため、第三者の不正利用からコンテンツを防御することは可能であった。しかし、コンテンツへのアクセスを許可された利用者は、一度コンテンツを入手すると永久に、かつ自由にコンテンツにアクセスできるという問題があった。即ち、閲覧期間、閲覧時間帯又は閲覧場所などの現在の状態に応じてコンテンツへのアクセスを制御することはできないという問題があった。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、予め内部に保持している利用規則管理テーブルの内容だけでなく、閲覧期間、閲覧時間帯又は閲覧場所などの現在の状態に応じてコンテンツへのアクセスを制御することができるアクセス制御機能付き記憶装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るアクセス制御機能付き記憶装置は、コンテンツと、コンテンツへのアクセス条件を保持する利用規則管理テーブルと、外部の無線ネットワークからアクセス制御情報を取得するアクセス制御情報取得部と、制御部とを有し、制御部は、利用者からコンテンツへのアクセスの要求があった場合に、アクセス制御情報及び利用規則管理テーブルの内容に応じて、コンテンツへのアクセスを制御する。本発明のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、予め内部に保持している利用規則管理テーブルの内容だけでなく、閲覧期間、閲覧時間帯又は閲覧場所などの現在の状態に応じてコンテンツへのアクセスを制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態に係るアクセス制御機能付き記憶装置を示すブロック図である。この記憶装置1は、コンテンツ2と、利用規則管理テーブル3と、アンテナ4と、受信機5と、アクセス制御情報取得部6と、制御部7とを有する。
【0011】
利用規則管理テーブル3は、コンテンツ2へのアクセス条件を保持する。そして、アクセス制御情報取得部6は、アンテナ4及び受信機5を介して、外部の無線ネットワーク8からアクセス制御情報を取得する。さらに、制御部7は、利用者である外部のコンピュータ9から、コンテンツ2へのアクセスの要求があった場合に、アクセス制御情報及び利用規則管理テーブル3の内容に応じて、コンテンツ2へのアクセスを制御する。
【0012】
なお、記憶装置1としては、パソコンに内蔵又は外付けされるハードディスク装置、HDDレコーダ、USBメモリ、MP3プレーヤ、ICレコーダ等が考えられる。また、アンテナ4及び受信機5は、外部の無線ネットワーク8からのアクセス情報の送信形態に対応している。
【0013】
次に、上記の記憶装置の動作について述べる。利用規則管理テーブル3は、コンテンツ2毎の「最大アクセス回数」を含む。そして、コンテンツ2へのアクセスが発生する毎に、コンテンツ2毎にアクセス回数をカウントして保持し、そのカウント数が「最大アクセス回数」を超えた場合に、コンテンツ2を消去する。
【0014】
また、本実施の形態1では、利用規則管理テーブル3は、コンテンツ2毎の「アクセス許可時間帯」及び「コンテンツの有効期限」を含む。そして、アクセス制御情報取得部6は、アンテナ4及び受信機5を介して、外部の無線ネットワーク8からアクセス制御情報として「現在の時刻」を取得する。
【0015】
ここで、「現在の時刻」は、電波時計と同様に、時間情報を乗せてある標準電波をアンテナ4で受信することにより取得する。具体的には、独立行政法人情報通信研究機構日本標準時グループによる約10台の原子時計によって創られた日本標準時と、福島県田村郡都路村と同双葉郡川内村境界の大鷹鳥谷山山頂付近にあるおおたかどや山標準電波送信所(認識符号:JJY、37°22′N、140°51′E)の原子時計は遠隔制御によって連動している。そして、この送信所からの標準電波をアンテナ4で受信する。さらに、受信した信号を受信機5で増幅し、アクセス制御情報取得部6で解読することで、「現在の時刻」を取得する。
【0016】
次に、制御部7は、「現在の時刻」が「アクセス許可時間帯」外である場合は、コンテンツ2へのアクセスを禁止する。そして、制御部7は、現在の時刻が利用規則管理テーブル3に記載された「コンテンツの有効期限」を過ぎている場合は、コンテンツ2へのアクセスを禁止するか又はコンテンツ2を消去する。
【0017】
以上説明したように、本発明の実施の形態1に係るアクセス制御機能付き記憶装置を用いれば、予め内部に保持している利用規則管理テーブルの内容だけでなく、閲覧期間などの現在の状態に応じてコンテンツへのアクセスを制御することができる。
【0018】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2では、利用規則管理テーブル3は、コンテンツ2毎の「アクセス利用可能エリア」を含む。そして、アクセス制御情報取得部6は、アンテナ4及び受信機5を介して、外部の無線ネットワーク8からアクセス制御情報として「現在の位置」を取得する。さらに、制御部7は、「現在の位置」が利用規則管理テーブル3に記載されたコンテンツ2の「アクセス利用可能エリア」外である場合、コンテンツ2へのアクセスを禁止するか又はコンテンツ2を消去する。これにより、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0019】
ここで、現在の利用エリア情報は、カーナビ、携帯電話やデジカメに搭載されているGPS(Global Positioning System)技術を利用することにより入手することができる。具体的には、地球の周回軌道を回る24個の衛星から発信される情報を利用して、受信機器とGPSの衛星の位置関係を測定し、現在地の緯度・経度を計算する。この衛星は米国国防総省が運営している。また、GPSによる測位だけでは、そこから得られる位置情報に数10〜数100メートルの誤差が生じる。そこで、全国に設置されたGPS基地局からの信号によって、その誤差を補正するディファレンシャルGPSを利用する。このディファレンシャル機能により、誤差約2〜5mを実現することができる。
【0020】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3では、利用規則管理テーブル3は、コンテンツ2毎の「ビーコン情報の受信取得」を含む。そして、アクセス制御情報取得部6は、アンテナ4及び受信機5を介して、外部の無線ネットワーク8からアクセス制御情報として「ビーコン情報」を取得する。さらに、制御部7は、利用規則管理テーブル3に「ビーコン情報」の取得が必須と記載されているにもかかわらず、アクセス制御情報取得部6が「ビーコン情報」を取得できない場合、コンテンツ2へのアクセスを禁止するか又はコンテンツ2を消去する。これにより、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0021】
ここで、ビーコン情報とは、カーナビなどに搭載されている情報端末に渋滞情報や旅行時間情報を送信する信号(一定間隔で送信するパケット)である。そして、無線によりビーコン情報の取得を試みることができる。例えば、オフィス(又は特定の居室)にビーコンを送信する装置を設置しておく。そして、ビーコンの受信機を搭載した機器(記憶装置1)をオフィスから持ち出すと、ビーコンを受信できなくなるので、アクセスを禁止する。
【0022】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4では、利用規則管理テーブル3は、コンテンツ2毎の「RFIDタグ情報の受信取得」を含む。そして、アクセス制御情報取得部6は、アンテナ4及び受信機5を介して、外部の無線ネットワーク8からアクセス制御情報として「RFIDタグ情報」を取得する。さらに、制御部7は、利用規則管理テーブル3に「RFIDタグ情報」の取得が必須と記載されているにもかかわらず、アクセス制御情報取得部6が「RFIDタグ情報」を取得できない場合、コンテンツ2へのアクセスを禁止するか又はコンテンツ2を消去する。これにより、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0023】
ここで、RFIDタグとは、物体の識別に利用される微小な無線ICチップであり、自身の識別コードなどの情報が記録されており、電波を使って管理システムと情報を送受信する能力を持つ。そして、無線によりRFIDタグ情報の取得を試みることができる。例えば、オフィス(又は特定の居室)の壁にRFIDタグを埋め込んでおく。そして、タグリーダを搭載した機器(記憶装置1)をオフィスから持ち出すと、信号を受信できなくなるので、アクセスを禁止する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係るアクセス制御機能付き記憶装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0025】
1 記憶装置
2 コンテンツ
3 利用規則管理テーブル
4 アンテナ
5 受信機
6 アクセス制御情報取得部
7 制御部
8 無線ネットワーク
9 コンピュータ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツと、
前記コンテンツへのアクセス条件を保持する利用規則管理テーブルと、
外部の無線ネットワークからアクセス制御情報を取得するアクセス制御情報取得部と、
制御部とを有し、
前記制御部は、利用者から前記コンテンツへのアクセスの要求があった場合に、前記アクセス制御情報及び前記利用規則管理テーブルの内容に応じて、前記コンテンツへのアクセスを制御することを特徴とするアクセス制御機能付き記憶装置。
【請求項2】
前記アクセス制御情報は現在の時刻であり、
前記制御部は、前記現在の時刻が前記利用規則管理テーブルに記載された前記コンテンツの有効期限を過ぎている場合、前記コンテンツへのアクセスを禁止するか又は前記コンテンツを消去することを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御機能付き記憶装置。
【請求項3】
前記アクセス制御情報は現在の位置であり、
前記制御部は、前記現在の位置が前記利用規則管理テーブルに記載された前記コンテンツのアクセス利用可能エリア外である場合、前記コンテンツへのアクセスを禁止するか又は前記コンテンツを消去することを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御機能付き記憶装置。
【請求項4】
前記アクセス制御情報はビーコン情報又はRFIDタグ情報であり、
前記制御部は、前記利用規則管理テーブルに前記ビーコン情報又は前記RFIDタグ情報の取得が必須と記載されているにもかかわらず、前記アクセス制御情報取得部が前記ビーコン情報又は前記RFIDタグ情報を取得できない場合、前記コンテンツへのアクセスを禁止するか又は前記コンテンツを消去することを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御機能付き記憶装置。


















【図1】
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【公開番号】特開2008−129625(P2008−129625A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310091(P2006−310091)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】