説明

アクセル踏力検知装置

【課題】複数の特定踏込み領域でアクセルペダルが過大なアクセル踏力で踏込まれた場合にもそのことを運転者に認識させ、しかも特定踏込み領域毎に変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれたことを検知できるようにする。
【解決手段】アクセル装置のアクセルペダルの踏込み領域として、通常踏込み領域と複数の特定踏込み領域とを設定する。アクセル踏力検知装置20は、アクセルペダルが各特定踏込み領域で踏込まれたときには、通常踏込み領域で踏込まれたときとは異なる傾向でアクセル反力を変化させることにより、特定踏込み領域毎のアクセル踏力に節度感を付与する節度機構21と、各特定踏込み領域に対応して設けられ、かつ節度機構21により特定踏込み領域毎に変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれたことを検知する検知部55,61とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者がアクセル装置のアクセルペダルを踏込むときのアクセル踏力を検知するアクセル踏力検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、運転者がアクセルペダルの踏込み量を加減することによって車載エンジンの出力を制御し、もって走行速度(車速)を制御するためのアクセル装置が設けられている。これに関連して、運転者がアクセル装置のアクセルペダルを踏込むときの力であるアクセル踏力を検知する装置(アクセル踏力検知装置)が種々提案されている。
【0003】
アクセル踏力検知装置には、アクセルペダルの踏込み領域として、通常踏込み領域と、その領域よりもアクセルペダルが多く踏込まれる特定踏込み領域とが設定され、特定踏込み領域で踏込まれるときには、通常踏込み領域で踏込まれたときとは異なる傾向でアクセル反力を変化させて、アクセル踏力に節度感を付与する節度機構が設けられたものがある。こうしたアクセル踏力検知装置の1つとしてキックダウンスイッチがある(例えば、特許文献1参照)。ここで、キックダウンは、車速に対してアクセルペダルの踏込み量が多くなると、自動変速機がシフトダウンする現象である。
【0004】
上記特許文献1に記載されたものを含め多くのキックダウンスイッチでは、アクセルペダルが強く踏込まれ、車速に対してアクセルペダルの踏込み量が通常踏込み領域よりも多くてキックダウンが生ずる踏込み領域が上記特定踏込み領域とされる。そして、アクセルペダルが上記特定踏込み領域で踏込まれたときには、節度機構により、通常踏込み領域で踏込まれたときとは異なる傾向でアクセル反力が変化させられる。そのため、運転者は、変化後のアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルを踏込むことで、アクセル踏力の変化から節度感を感ずることとなり、キックダウンが生じるか否かを節度感から認識することが可能となる。また、上記キックダウンスイッチの一態様として、節度機構により変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれた場合、そのことを検知するようにしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−013093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両では、上記のキックダウンが生ずる特定踏込み領域以外の特定踏込み領域においても、運転者がアクセルペダルを強いアクセル踏力で、通常踏込み領域よりも多く踏込む場合がある。しかしながら、上記従来のアクセル踏力検知装置では、アクセルペダルが1つの特定踏込み領域(キックダウンが生ずる特定踏込み領域)で踏込まれた場合に、変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれることで節度感が付与される。この節度感により、過大なアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれていることを運転者に認識させることができるにとどまる。また、上記従来のアクセル踏力検知装置では、上記1つの特定踏込み領域に対応して変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれたことを検知することができるにとどまる。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、複数の特定踏込み領域でアクセルペダルが過大なアクセル踏力で踏込まれた場合にもそのことを運転者に認識させ、しかも特定踏込み領域毎に変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれたことを検知することのできるアクセル踏力検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、車両に設けられたアクセル装置のアクセルペダルの踏込み領域として、通常踏込み領域と、前記アクセルペダルが前記通常踏込み領域よりも多く踏込まれる複数の特定踏込み領域とが設定され、前記アクセルペダルが前記各特定踏込み領域で踏込まれたときには、前記通常踏込み領域で踏込まれたときとは異なる傾向でアクセル反力を変化させることにより、前記特定踏込み領域毎のアクセル踏力に節度感を付与する節度機構が設けられ、前記節度機構により前記特定踏込み領域毎に変化させられた前記アクセル反力に抗したアクセル踏力で前記アクセルペダルが踏込まれたことを検知する検知部が前記各特定踏込み領域に対応して設けられていることを要旨とする。
【0009】
上記の構成によれば、アクセルペダルが複数の特定踏込み領域の各々において通常踏込み領域におけるよりも多く踏込まれる毎に、節度機構により、通常踏込み領域で踏込まれたときとは異なる傾向でアクセル反力が変化させられる。車両の運転者はこのアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルを踏込むことで、アクセル踏力の変化から節度感を感じ、通常踏込み領域ではなく特定踏込み領域でアクセルペダルを過大なアクセル踏力で踏込んでいることを認識させられる。また、上記節度機構により特定踏込み領域毎に変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれると、そのことが各特定踏込み領域に対応して設けられた検知部によって検知される。
【0010】
このように、請求項1に記載の発明によれば、複数の特定踏込み領域でアクセルペダルが過大なアクセル踏力で踏込まれた場合にもそのことを節度感により運転者に認識させることができるようになる。また、特定踏込み領域毎に変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれたことを、各特定踏込み領域に対応して設けられた検知部によって検知することができるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記節度機構は、中心軸線に沿う方向へ延びる収容室を有するとともに、前記収容室の壁面には、前記中心軸線に沿う方向について、前記アクセルペダルに近い側の第1壁面と、前記第1壁面よりも前記アクセルペダルから遠い側に位置し、かつ前記第1壁面よりも前記中心軸線との距離が短い第2壁面とを備える段差部が、前記各特定踏込み領域に対応して形成されたケーシングと、前記収容室内に前記中心軸線に沿う方向への移動可能に収容され、かつ踏込まれた前記アクセルペダルから押圧力を受ける操作ボタンと、前記操作ボタン内に、前記中心軸線に直交する方向への移動可能に収容される移動部材と、前記移動部材を前記中心軸線から遠ざかる側へ付勢して前記収容室の前記壁面に押付ける弾性部材とを備え、前記アクセルペダルの踏込みによる前記操作ボタンの移動に伴い前記移動部材が、前記段差部毎の前記第1壁面から前記第2壁面へ移動するときに前記アクセル反力を変化させることにより、前記特定踏込み領域毎の前記アクセル踏力に前記節度感を付与するものであることを要旨とする。
【0012】
上記の構成によれば、節度機構では、操作ボタン内に、中心軸線に直交する方向への移動可能に収容された移動部材が、弾性部材により同中心軸線から遠ざかる側へ付勢されて、収容室の壁面に押付けられる。そして、アクセルペダルが特定踏込み領域において通常踏込み領域におけるよりも強く踏込まれると、操作ボタンがアクセルペダルから押圧力を受け、ケーシングの収容室内を、中心軸線に沿う方向へ移動させられる。この操作ボタンの移動に伴い、移動部材がケーシングの収容室の壁面に押付けられた状態で中心軸線に沿って移動する。そして、移動部材が段差部毎の第1壁面から第2壁面へ移動するときにアクセル反力が変化させられ、特定踏込み領域毎のアクセル踏力に節度感が付与される。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記特定踏込み領域として、第1特定踏込み領域と、前記アクセルペダルが前記第1特定踏込み領域よりも多く踏込まれる第2特定踏込み領域とが設定され、前記検知部として、前記第1特定踏込み領域において前記節度機構により変化させられた前記アクセル反力に抗したアクセル踏力で前記アクセルペダルが踏込まれたことを検知する第1検知部と、前記第2特定踏込み領域において前記節度機構により変化させられた前記アクセル反力に抗したアクセル踏力で前記アクセルペダルが踏込まれたことを検知する第2検知部とが設けられ、前記第1検知部による前記アクセル踏力の検知結果は、前記アクセルペダルの過大なアクセル踏力での踏込みを警告する際の指標として用いられ、前記第2検知部による前記アクセル踏力の検知結果は、前記車両に搭載されたエンジンの出力を低下させる際の指標として用いられることを要旨とする。
【0014】
上記の構成によれば、アクセルペダルが第1特定踏込み領域において通常踏込み領域におけるよりも多く踏込まれると、節度機構によりアクセル反力がその第1特定踏込み領域に対応した態様で変化させられる。また、この変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれると、そのことが第1検知部によって検知される。この第1検知部による検知結果は、アクセルペダルの過大なアクセル踏力での踏込みを警告する際の指標として用いられる。この警告により、運転者は、アクセルペダルを過大なアクセル踏力で踏込んでいることを一層認識させられ、アクセルペダルを緩めて通常踏込み領域で踏込むべきことを促される。
【0015】
上記警告にも拘らず、アクセルペダルが第2特定踏込み領域において第1特定踏込み領域よりも多く踏込まれると、節度機構によりアクセル反力がその第2特定踏込み領域に対応した態様で変化させられる。また、この変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダルが踏込まれると、そのことが第2検知部によって検知される。この第2検知部による検知結果は、車両に搭載されたエンジンの出力を低下させる際の指標として用いられる。その結果、過大なアクセル踏力でのアクセルペダルの踏込みにも拘らずエンジンの出力が低下させられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を具体化した一実施形態におけるアクセル装置及びアクセル踏力検知装置の位置関係を示す側面図。
【図2】可動カバーがアクセルペダルによって押圧されていないときのアクセル踏力検知装置の内部構造を示す縦断面図。
【図3】図2のアクセル踏力検知装置の内部構造を示す平断面図。
【図4】アクセルペダルの踏込みにより、図2の移動部材が1段目の段差部の傾斜壁面を乗り越えた状態を示す縦断面図。
【図5】アクセルペダルの踏込みにより、図4の移動部材が2段目の段差部の傾斜壁面を乗り越えた状態を示す縦断面図。
【図6】アクセルペダルの踏込み量(ストローク)とアクセル踏力(アクセル反力)との関係を示す特性図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両には、運転者がアクセルペダル15の踏込み量を加減することによって、車載エンジン(図示略)の出力を制御し、もって走行速度(車速)を制御するためのアクセル装置11が設けられている。
【0018】
アクセル装置11は、ブラケット12を介して車両のボディ(図示略)に固定されたアクセル本体13を備えている。上記アクセルペダル15は、アクセル本体13に設けられた軸部14を支点として回動するアクセルペダルロッド16と、車両の床(図示略)に傾動可能に支持され、かつ前記アクセルペダルロッド16の下端部に連結されたパッド17とを備えている。アクセル本体13内には、アクセルペダルロッド16をブラケット12から遠ざかる方向(図1の反時計回り方向)へ付勢する弾性部材(図示略)が配置されている。
【0019】
上記アクセルペダル15では、運転者によってパッド17が車両前方(図1の左方)へ踏込まれると、アクセルペダルロッド16が軸部14を支点として、上記弾性部材の付勢力に抗し、図1の時計回り方向へ回動させられる。このように、パッド17が踏込まれてアクセルペダルロッド16が回動させられることを、本実施形態では、「アクセルペダル15が踏込まれる」と表現する。
【0020】
また、本実施形態では、アクセルペダル15の踏込み量(ストローク)の指標となる領域(踏込み領域)として、図6に示すように、車両の通常の走行時に採り得る通常踏込み領域と、アクセルペダル15が通常踏込み領域よりも多く踏込まれる複数の特定踏込み領域とが設定されている。ここでは、アクセル全閉からアクセル全開までの踏込み領域が通常踏込み領域とされている。アクセル全開は、車両の通常の走行状態においてアクセルペダル15の踏込み量(ストローク)が採り得る最大値である。また、複数の特定踏込み領域は、アクセルペダル15が通常踏込み領域(アクセル全開)よりも多く踏込まれる第1特定踏込み領域と、アクセルペダル15が第1特定踏込み領域よりもさらに多く踏込まれる第2特定踏込み領域とからなる。
【0021】
ここで、運転者がアクセルペダル15を踏込むときにアクセルペダル15に加える力を「アクセル踏力」といい、そのアクセル踏力に抗する力を「アクセル反力」というものとする。
【0022】
通常踏込み領域では、アクセルペダル15の踏込み量(ストローク)の増大に伴いアクセル踏力及びアクセル反力が徐々に増加する。また、後述する節度機構21によるアクセル反力の変化分がないとした場合において、第1特定踏込み領域及び第2特定踏込み領域では、アクセル踏力及びアクセル反力が、基本的には上記通常踏込み領域と同様の傾向を示す。ただし、第1特定踏込み領域では、アクセル踏力及びアクセル反力が通常踏込み領域よりも大きくなる。第2特定踏込み領域では、アクセル踏力及びアクセル反力が第1特定踏込み領域よりもさらに大きくなる。
【0023】
図1に示すように、上記アクセル本体13の下方であって、上記アクセルペダルロッド16の車両前方(図1の左方)には、アクセル踏力検知装置20が傾斜状態で取付けられている。なお、図2、図4及び図5では、アクセル踏力検知装置20が傾斜されていない姿勢で、すなわち、取付け状態とは異なる姿勢で図示されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、アクセル踏力検知装置20は、節度機構21及び2つの検知部(第1検知部55,第2検知部61)を備えている。節度機構21は、アクセルペダル15が上述した図6の各特定踏込み領域で踏込まれたときに、通常踏込み領域で踏込まれたときとは異なる傾向でアクセル反力を変化させることにより、特定踏込み領域毎のアクセル踏力に節度感を付与するためのものである。また、各検知部55,61は、節度機構21により特定踏込み領域毎に変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれることを検知するためのものである。
【0025】
次に、こうした節度機構21及び検知部55,61を備えたアクセル踏力検知装置20の詳細について説明する。
アクセル踏力検知装置20のケーシング22は、本体部23、底部24及びガイド壁部25を備えている。本体部23は、ケーシング22のうちアクセルペダル15に近い側(図2の上側)の部分を含む多くの部分を占める部材である。底部24は、ケーシング22のうちアクセルペダル15から遠い側(図2の下側)の部分を占める部材であり、上記本体部23に対し接合されている。これらの本体部23及び底部24は、例えば樹脂材料によって形成されている。
【0026】
本体部23と底部24との間には、ケーシング22の中心軸線CLに沿う方向(図2の上下方向)へ延びる収容室26が形成されている。この中心軸線CLが延びる方向は、アクセルペダル15の踏込み方向に沿う方向である。本体部23のアクセルペダル15側(図2の上側)の端部には、収容室26の内外を連通させる連通孔27があけられている。
【0027】
収容室26は、上記中心軸線CLを挟んで相対向する2箇所に、互いに平行の関係にある平面からなる対向壁面28を有している。両対向壁面28には、同対向壁面28を起点とし、中心軸線CLから遠ざかる側へ凹む溝部29がそれぞれ形成されている。上記ガイド壁部25は、炭素鋼等の金属によって形成されており、各溝部29に対し移動不能に嵌合されている。各ガイド壁部25の中心軸線CL側の面は、収容室26の壁面(対向壁面28)の一部を構成している。
【0028】
各ガイド壁部25の中心軸線CL側の面には、上記特定踏込み領域と同数(ここでは2つ)の段差部が形成されている。両段差部は、中心軸線CLに沿う方向の互いに異なる箇所に形成されている。これらの段差部を互いに区別するために、アクセルペダル15に近い側の段差部を「1段目の段差部A1」といい、アクセルペダル15から遠い側の段差部を「2段目の段差部A2」というものとする。
【0029】
ガイド壁部25毎の1段目の段差部A1は、中心軸線CLに沿う方向について、アクセルペダル15に近い側の第1壁面31と、第1壁面31よりもアクセルペダル15から遠い側に位置し、かつ第1壁面31よりも中心軸線CLとの距離が短い第2壁面32とを備えている。第1壁面31と第2壁面32との間は、第2壁面32に近付くに従い中心軸線CLとの距離が短くなるよう、同中心軸線CLに対し一定の角度で傾斜した傾斜壁面33となっている。この傾斜壁面33は、アクセルペダル15が上記図6の第1特定踏込み領域で踏込まれるときに、後述する移動部材49が乗り越える壁面である。
【0030】
ガイド壁部25毎の2段目の段差部A2は、中心軸線CLに沿う方向について、アクセルペダル15に近い側の第1壁面34と、第1壁面34よりもアクセルペダル15から遠い側に位置し、かつ第1壁面34よりも中心軸線CLとの距離が短い第2壁面35とを備えている。第1壁面34と第2壁面35との間は、第2壁面35に近付くに従い中心軸線CLとの距離が短くなるよう、同中心軸線CLに対し一定の角度で傾斜した傾斜壁面36となっている。この傾斜壁面36は、アクセルペダル15が上記図6の第2特定踏込み領域で踏込まれるときに、後述する移動部材49が乗り越える壁面である。
【0031】
上記1段目の段差部A1における第2壁面32と、2段目の段差部A2における第1壁面34とは、共通の壁面によって形成されている。
なお、2段目の段差部A2により変化させられるアクセル反力の最大値βは、1段目の段差部A1により変化させられるアクセル反力の最大値αよりも大きく設定されている(図6参照)。
【0032】
上記収容室26内には、樹脂材料等によって形成された操作ボタン41が、上記中心軸線CLに沿う方向への移動可能に収容されている。この移動をスムーズに行なわせるために、収容室26の各対向壁面28には、中心軸線CLに沿う方向へ延びるガイド溝42が一対ずつ形成されている。また、操作ボタン41において、ガイド溝42に対応する複数(4つ)の箇所には、中心軸線CLに沿って延びる突条43がそれぞれ形成されている。そして、各突条43が、対向壁面28の対応するガイド溝42に摺動可能に係合されている。そのため、各突条43がガイド溝42に沿って摺動することで、操作ボタン41の中心軸線CLに沿う方向への移動がガイド(案内)される。
【0033】
操作ボタン41は、踏込まれたアクセルペダル15から押圧力を受ける。すなわち、操作ボタン41が収容されたケーシング22は、上記中心軸線CLに沿う方向への移動可能に設けられた可動カバー45によってアクセルペダル15側(図2の上側)から覆われている。可動カバー45は、樹脂材料等によって形成されており、その天井部46を起点としてケーシング22側へ延びる突部47を有している。突部47はケーシング22の上記連通孔27に挿通され、上記操作ボタン41に連結されている。そのため、パッド17の踏込みにより、アクセルペダルロッド16が回動して可動カバー45の天井部46が押圧されると、その押圧力が同可動カバー45の突部47を通じて操作ボタン41に伝達される。
【0034】
操作ボタン41において、各対向壁面28に接近した箇所にはそれぞれ収容凹部48が形成されている。各収容凹部48内には、移動部材49が両対向壁面28の相対向する方向(図2及び図3の各左右方向)への移動可能に収容されている。ここでは、各移動部材49として、耐摩耗性に優れる材料、例えば鉄鋼材料等によって円柱状に形成されたもの(ローラ)が用いられている。そして、両移動部材49は、両対向壁面28に対し平行となる姿勢で、対応する収容凹部48内に配置されている。
【0035】
操作ボタン41内であって、中心軸線CLを挟んで相対向する箇所には、それぞれ両対向壁面28の相対向する方向(図2及び図3の各左右方向)に延びて上記両収容凹部48を連通させる一対の収容孔部51が形成されている。各収容孔部51内には、弾性部材として、圧縮コイルばねからなる横ばね52が配置されている。各横ばね52は、両移動部材49を中心軸線CLから遠ざかる側へそれぞれ付勢して、収容室26の対向壁面28(ガイド壁部25)に押付けるために用いられている。
【0036】
収容室26内であって、操作ボタン41と、ケーシング22の底部24との間には、圧縮コイルばね等からなる縦ばね53がリターンばねとして配置されている。縦ばね53は、操作ボタン41を中心軸線CLに沿う方向のうちアクセルペダル15側へ付勢している。
【0037】
上述したケーシング22、操作ボタン41、両移動部材49及び両横ばね52によって節度機構21が構成されている。この節度機構21は、アクセルペダル15の踏込みによる操作ボタン41の移動に伴い移動部材49が、段差部A1,A2毎の第1壁面31,34から第2壁面32,35へ移動するとき(傾斜壁面33,36を乗り越えるとき)にアクセル反力を変化させることにより、特定踏込み領域毎のアクセル踏力に節度感を付与する。
【0038】
図2に示すように、2つの検知部は、第1検知部55及び第2検知部61からなる。
第1検知部55は、操作ボタン41とともに移動する可動接点部56と、操作ボタン41とともに移動しない固定接点部57とを備えている。可動接点部56は例えば操作ボタン41に設けられ、固定接点部57は例えばケーシング22(ガイド壁部25)に設けられる。第1検知部55では、移動部材49が1段目の段差部A1における第2壁面32に接する位置(図4に示す位置)まで操作ボタン41が移動したときに可動接点部56が固定接点部57に接触して導通する。第1検知部55はこの導通により、第1特定踏込み領域において節度機構21により変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれたことを検知する。第1検知部55によるアクセル踏力の検知結果(可動接点部56が固定接点部57に接触して導通すること)は、アクセルペダル15の過大なアクセル踏力での踏込みを警告する際の指標として用いられる。
【0039】
第2検知部61は、操作ボタン41とともに移動する可動接点部62と、操作ボタン41とともに移動しない固定接点部63とを備えている。可動接点部62は例えば操作ボタン41に設けられ、固定接点部63は例えばケーシング22(ガイド壁部25)に設けられる。第2検知部61では、移動部材49が2段目の段差部A2における第2壁面35に接する位置(図5に示す位置)まで操作ボタン41が移動したときに可動接点部62が固定接点部63に接触して導通する。第2検知部61はこの導通により、第2特定踏込み領域において節度機構21により変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれたことを検知する。第2検知部61によるアクセル踏力の検知結果(可動接点部62が固定接点部63に接触して導通すること)は、車載エンジンの出力を低下させる際の指標として用いられる。
【0040】
次に、上記のように構成された本実施形態のアクセル踏力検知装置20の作用について説明する。
車両の運転者がアクセルペダル15を踏込んでいないとき、アクセルペダルロッド16はアクセル本体13内の弾性部材(図示略)により付勢されて図1に示す箇所に位置する。この箇所では、アクセルペダルロッド16は、アクセル踏力検知装置20の可動カバー45から車両後方へ離れている。このとき、アクセル踏力検知装置20では、操作ボタン41が、図2に示すように縦ばね53の弾性力を受けて、ケーシング22内において最もアクセルペダル15に近い側(図2の上側)に位置する。また、各収容凹部48に収容されている移動部材49は、横ばね52の弾性力を受けて、ガイド壁部25毎の1段目の段差部A1における第1壁面31に押付けられている。
【0041】
運転者が、図6の通常踏込み領域においてアクセルペダル15を踏込んでいくと、アクセルペダルロッド16は、図1において、軸部14を支点として時計回り方向へ回動し、徐々にアクセル踏力検知装置20に接近していく。アクセルペダルロッド16は、アクセル本体13内の弾性部材(図示略)により、アクセルペダル15が踏込まれる方向とは反対の方向(図1の反時計回り方向)へ付勢されている。従って、運転者によるアクセルペダル15の踏込みに伴いアクセルペダルロッド16の回転角度が大きくなるにつれて、アクセル反力は増大していく。
【0042】
運転者がさらにアクセルペダル15を踏込むと、アクセルペダルロッド16がアクセル踏力検知装置20の可動カバー45に接触する。運転者がさらにアクセルペダル15を踏込むと、操作ボタン41が底部24に近付く方向(図2の下方)へ移動しようとする。このとき、各移動部材49は、操作ボタン41から上記方向(図2の下方)の力を受ける。しかし、横ばね52の弾性力により移動部材49が押付けられている1段目の段差部A1における第1壁面31の第2壁面32側には傾斜壁面33が位置している。このため、移動部材49は、傾斜壁面33によって上記方向(図2の下方)への移動を制限される。これに伴い操作ボタン41の同方向への移動が規制される。
【0043】
運転者が、アクセルペダル15を、アクセル全開に対応する位置よりもさらに深く踏込もうとすると、上記操作ボタン41の移動規制により、アクセル反力が急激に増大してアクセルペダル15が一旦停止する。
【0044】
上記の位置から、アクセル踏力がアクセル全開時の値を越え、運転者がアクセルペダル15を図6の第1特定踏込み領域において通常踏込み領域におけるよりも多く踏込むと、節度機構21によりアクセル反力がその第1特定踏込み領域に対応した態様で変化させられる。詳しくは、移動部材49は横ばね52を圧縮させつつ第1壁面31から傾斜壁面33に沿って第2壁面32側へ移動することで、操作ボタン41の収容凹部48内を中心軸線CLに近付く側へ移動する。各移動部材49が傾斜壁面33を乗り越えて第2壁面32に至ると、傾斜壁面33による移動部材49の移動制限が解除される。この解除によりアクセル反力が急激に減少する。
【0045】
このように、運転者がアクセルペダル15を第1特定踏込み領域において通常踏込み領域におけるよりも多く踏込むと、節度機構21によりアクセル反力がその第1特定踏込み領域に対応した態様(アクセルペダル15が通常踏込み領域で踏込まれるときとは異なる傾向)で変化する。そして、このアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれることで、アクセル踏力の変化が、アクセルペダル15を踏んでいる足を通じて運転者に伝達されるため、運転者はこのアクセル踏力の変化から節度感を感じ、第1特定踏込み領域において過大なアクセル踏力でアクセルペダル15を踏込んでいることを認識させられる。
【0046】
各移動部材49が1段目の段差部A1における第2壁面32に接する位置まで操作ボタン41が移動すると、可動接点部56が固定接点部57に接触して導通する(図4参照)。この導通により、第1検知部55では、第1特定踏込み領域において節度機構21により変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれたことが検知される。そして、第1検知部55によるアクセル踏力の検知結果(可動接点部56が固定接点部57に接触して導通すること)は、アクセルペダル15を過大なアクセル踏力で踏込んでいることを警告する際の指標として用いられる。
【0047】
すなわち、第1検知部55により上記アクセル踏力でのアクセルペダル15の踏込みが検知されると、制御装置(図示略)により、例えば音(音声を含む)、光(映像を含む)、振動等を通じて、アクセルペダル15に対するアクセル踏力が過大であることを警告される。
【0048】
上記警告にも拘らず、運転者がさらにアクセルペダル15を踏込むと、各移動部材49は、操作ボタン41から底部24に近付く方向(図2の下方)の力を受ける。しかし、横ばね52の弾性力により移動部材49が押付けられている2段目の段差部A2における第1壁面34の第2壁面35側には傾斜壁面36が位置している。このため、移動部材49は、傾斜壁面36によって上記方向(図2の下方)への移動を制限される。これに伴い操作ボタン41の同方向への移動が規制される。
【0049】
運転者が、アクセルペダル15をさらに深く踏込もうとすると、上記操作ボタン41の移動規制により、アクセル反力が急激に増大してアクセルペダル15が一旦停止する。
運転者がアクセル踏力を増していくと、節度機構21によりアクセル反力が第2特定踏込み領域に対応した態様で変化させられる。詳しくは、移動部材49は、横ばね52を圧縮させつつ2段目の段差部A2における第1壁面34から傾斜壁面36に沿って第2壁面35側へ移動することで、操作ボタン41の収容凹部48内を中心軸線CLに近付く側へ移動する。
【0050】
各移動部材49が傾斜壁面36を乗り越えて第2壁面35に至る(図5参照)と、傾斜壁面36による移動部材49の移動制限が解除される。この解除によりアクセル反力が急激に減少する。
【0051】
このように、アクセルペダル15が第2特定踏込み領域において第1特定踏込み領域におけるよりも多く踏込まれると、節度機構21によりアクセル反力がその第2特定踏込み領域に対応した態様(アクセルペダル15が通常踏込み領域で踏込まれるときとは異なる傾向)で変化する。そして、このアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれることで、アクセル踏力の変化が、アクセルペダル15を踏んでいる足を通じて運転者に伝達されるため、運転者はこのアクセル踏力の変化から節度感を感じ、第2特定踏込み領域において過大なアクセル踏力でアクセルペダル15を踏込んでいることを認識させられる。
【0052】
各移動部材49が2段目の段差部A2における第2壁面35に接する位置まで操作ボタン41が移動すると、可動接点部62が固定接点部63に接触して導通する。この導通により、第2検知部61では、第2特定踏込み領域において節度機構21により変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれたことが検知される。そして、第2検知部61によるアクセル踏力の検知結果(可動接点部62が固定接点部63に接触して導通すること)は、車載エンジンの出力を低下させる際の指標として用いられる。
【0053】
すなわち、第2検知部61により上記アクセル踏力でのアクセルペダル15の踏込みが検知されると、制御装置(図示略)により、吸入空気量、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期等の調整を通じて、車載エンジンの出力を、例えばアイドリング時と同程度の出力にまで低下させるための制御が行なわれる。
【0054】
なお、アクセルペダル15が第2特定踏込み領域で踏込まれた後に、戻された場合のアクセル踏力及びアクセル反力は、図6において二点鎖線で示すように、アクセルペダル15の踏込み量(ストローク)の減少に伴い徐々に低下していく。
【0055】
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)車両に設けられたアクセル装置11のアクセルペダル15の踏込み領域として、通常踏込み領域と、アクセルペダル15が通常踏込み領域よりも多く踏込まれる複数の特定踏込み領域(第1特定踏込み領域、第2特定踏込み領域)とを設定する。アクセルペダル15が各特定踏込み領域で踏込まれたときには、通常踏込み領域で踏込まれたときとは異なる傾向でアクセル反力を変化させることにより、特定踏込み領域毎のアクセル踏力に節度感を付与する節度機構21を設ける。さらに、節度機構21により特定踏込み領域毎に変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれたことを検知する検知部(第1検知部55、第2検知部61)を各特定踏込み領域に対応して設けている。
【0056】
そのため、複数の特定踏込み領域でアクセルペダル15が過大なアクセル踏力で踏込まれた場合にもそのことを、節度機構21から付与された節度感によって運転者に認識させる(気付かせる)ことができるようになる。また、特定踏込み領域毎に変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれたことを、各特定踏込み領域に対応して設けられた検知部55,61によって検知することができる。
【0057】
なお、通常踏込み領域では、移動部材49が各段差部A1,A2の傾斜壁面33,36を乗り越えることがなく、アクセル反力が急激に増加・減少させられることはない。通常踏込み領域では、特定踏込み領域とは異なりアクセル踏力に節度感が付与されることがなく、節度感が原因で運転者に違和感を感じさせるおそれがない。
【0058】
(2)節度機構21として、ケーシング22、操作ボタン41、両移動部材49及び両横ばね52(弾性部材)を構成部材として備えるものを採用する。
ケーシング22内において中心軸線CLに沿う方向へ延びるように設けられた収容室26の対向壁面28に、第1壁面31,34及び第2壁面32,35を備える段差部(1段目の段差部A1、2段目の段差部A2)を、各特定踏込み領域(第1特定踏込み領域、第2特定踏込み領域)に対応して形成する。
【0059】
そして、アクセルペダル15の踏込みによる操作ボタン41の移動に伴い移動部材49が、段差部毎の第1壁面31,34から第2壁面32,35へ移動するとき(傾斜壁面33,36を乗り越えるとき)にアクセル反力を変化させるようにしている。
【0060】
そのため、このアクセル反力の変化により、特定踏込み領域毎のアクセル踏力に節度感を付与することができる。
(3)特定踏込み領域として、アクセルペダル15が通常踏込み領域よりも多く踏込まれる第1特定踏込み領域と、アクセルペダル15が第1特定踏込み領域よりもさらに多く踏込まれる第2特定踏込み領域とを設定する。
【0061】
検知部として、第1特定踏込み領域において節度機構21により変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれたことを検知する第1検知部55を設ける。これに加え、第2特定踏込み領域において節度機構21により変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれたことを検知する第2検知部61を設ける。
【0062】
そして、第1検知部55によるアクセル踏力の検知結果が、アクセルペダル15の過大なアクセル踏力での踏込みを警告する際の指標として用いられ、第2検知部61によるアクセル踏力の検知結果が、車載エンジンの出力を低下させる際の指標として用いられるようにしている。
【0063】
そのため、運転者が、アクセルペダル15を第1特定踏込み領域において通常踏込み領域におけるよりも多く踏込んだ場合には、その運転者に対し、アクセルペダル15を過大なアクセル踏力で踏込んでいることを一層認識させ、アクセルペダル15を緩めて通常踏込み領域で踏込むべきことを促すことができる。
【0064】
また、上記警告にも拘らず、運転者がアクセルペダル15を第2特定踏込み領域において第1特定踏込み領域よりも多く踏込んだ場合には、過大なアクセル踏力でのアクセルペダル15の踏込みにも拘らず、車載エンジンの出力を低下させることができる。
【0065】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
<節度機構21について>
・移動部材49としては、円柱状をなすもの(ローラ)に代えて、円筒状をなすもの(パイプ)や、球状をなすもの(ボール)が用いられてもよい。
【0066】
・一対の移動部材49は、共通の横ばね52(弾性部材)に代えて、別々の横ばね(弾性部材)によって付勢されて、収容室26の壁面(対向壁面28)に押付けられてもよい。
【0067】
・共通の横ばね52(弾性部材)によって一対の移動部材49を付勢する場合において、横ばね52(弾性部材)の数が「1」又は「3」以上に変更されてもよい。
・横ばね52(弾性部材)及び縦ばね53(リターンばね)として、圧縮コイルばねとは異なる種類のばねが用いられてもよい。
【0068】
・弾性部材として、ばね以外の弾性体が用いられてもよい。
・横ばね52と移動部材49との間に、耐摩耗性に優れ、かつ低摩擦係数を有する材料、例えば金属材料、樹脂材料等によって形成された板状のパッドが介在されてもよい。このパッドは、移動部材49と横ばね52との間の摩擦力を低減して、各移動部材49のスムーズな転動を実現したり、移動部材49及び横ばね52の摩耗を抑制したりするうえで有効である。
【0069】
・節度機構21における複数の段差部A1,A2の一方は、収容室26の対向壁面28に設けられ、他方は、収容室26の対向壁面28とは異なる壁面に設けられてもよい。この場合には、他方の段差部に対応する移動部材及び横ばね(弾性部材)が新たに必要となる。
【0070】
・1段目及び2段目の各段差部A1,A2において、第1壁面31,34と第2壁面32,35との間に、中心軸線CLに対し一定の角度で傾斜する傾斜壁面33,36に代えて、湾曲した曲面が形成されてもよい。この場合、曲面には、凸状に膨らむものや、凹状に窪むものが含まれる。
【0071】
・収容室26の中心軸線CLと、アクセルペダル15の踏込み方向とは必ずしも合致又は略合致しなくてもよい。
<特定踏込み領域について>
・アクセルペダル15の踏込み領域に3つ以上の特定踏込み領域が設定され、3つ以上の特定踏込み領域毎に段差部及び検知部が設けられてもよい。
【0072】
・アクセルペダル15が強く踏込まれ、車速に対してアクセルペダル15の踏込み量(ストローク)が通常踏込み領域よりも多くてキックダウンが生ずる踏込み領域が、複数の特定踏込み領域のうちの1つとして設定されてもよい。キックダウンは、背景技術の項において説明したように、車速に対してアクセル装置11の踏込み量(ストローク)が多くなると、自動変速機がシフトダウンする現象である。
【0073】
この場合、ケーシング22の収容室26の壁面(対向壁面28)に、第1壁面及び第2壁面を備えた段差部が新たに設けられる。上記特定踏込み領域でのアクセルペダル15の踏込みによる操作ボタン41の移動に伴い移動部材49が、上記新たな段差部における第1壁面から第2壁面へ移動する際にアクセル反力が変化させられて、アクセル踏力に節度感が付与される。
【0074】
また、上記特定踏込み領域において節度機構21により変化させられたアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれたことを検知する検知部が新たに設けられる。この検知部による検知結果が、キックダウンさせる際の指標として用いられる。
【0075】
このようにすると、アクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれることで、アクセル踏力の変化が、アクセルペダル15を踏んでいる足を通じて運転者に伝達される。そのため、運転者はアクセル踏力の変化から節度感を感じ、過大なアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれていてキックダウンが生ずることを認識させられる(気付かせられる)。また、節度機構21により変化させられたアクセル反力に抗したアクセル踏力でアクセルペダル15が踏込まれると、そのことが検知部によって検知される。その検知結果が指標として用いられることで、キックダウンが行なわれる。
【符号の説明】
【0076】
11…アクセル装置、15…アクセルペダル、20…アクセル踏力検知装置、21…節度機構、22…ケーシング、26…収容室、31,34…第1壁面、32,35…第2壁面、41…操作ボタン、49…移動部材、52…横ばね(弾性部材)、55…第1検知部、61…第2検知部、A1…1段目の段差部、A2…2段目の段差部、CL…中心軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられたアクセル装置のアクセルペダルの踏込み領域として、通常踏込み領域と、前記アクセルペダルが前記通常踏込み領域よりも多く踏込まれる複数の特定踏込み領域とが設定され、
前記アクセルペダルが前記各特定踏込み領域で踏込まれたときには、前記通常踏込み領域で踏込まれたときとは異なる傾向でアクセル反力を変化させることにより、前記特定踏込み領域毎のアクセル踏力に節度感を付与する節度機構が設けられ、
前記節度機構により前記特定踏込み領域毎に変化させられた前記アクセル反力に抗したアクセル踏力で前記アクセルペダルが踏込まれたことを検知する検知部が前記各特定踏込み領域に対応して設けられていることを特徴とするアクセル踏力検知装置。
【請求項2】
前記節度機構は、
中心軸線に沿う方向へ延びる収容室を有するとともに、前記収容室の壁面には、前記中心軸線に沿う方向について、前記アクセルペダルに近い側の第1壁面と、前記第1壁面よりも前記アクセルペダルから遠い側に位置し、かつ前記第1壁面よりも前記中心軸線との距離が短い第2壁面とを備える段差部が、前記各特定踏込み領域に対応して形成されたケーシングと、
前記収容室内に前記中心軸線に沿う方向への移動可能に収容され、かつ踏込まれた前記アクセルペダルから押圧力を受ける操作ボタンと、
前記操作ボタン内に、前記中心軸線に直交する方向への移動可能に収容される移動部材と、
前記移動部材を前記中心軸線から遠ざかる側へ付勢して前記収容室の前記壁面に押付ける弾性部材と
を備え、
前記アクセルペダルの踏込みによる前記操作ボタンの移動に伴い前記移動部材が、前記段差部毎の前記第1壁面から前記第2壁面へ移動するときに前記アクセル反力を変化させることにより、前記特定踏込み領域毎の前記アクセル踏力に前記節度感を付与するものである請求項1に記載のアクセル踏力検知装置。
【請求項3】
前記特定踏込み領域として、第1特定踏込み領域と、前記アクセルペダルが前記第1特定踏込み領域よりも多く踏込まれる第2特定踏込み領域とが設定され、
前記検知部として、前記第1特定踏込み領域において前記節度機構により変化させられた前記アクセル反力に抗したアクセル踏力で前記アクセルペダルが踏込まれたことを検知する第1検知部と、前記第2特定踏込み領域において前記節度機構により変化させられた前記アクセル反力に抗したアクセル踏力で前記アクセルペダルが踏込まれたことを検知する第2検知部とが設けられ、
前記第1検知部による前記アクセル踏力の検知結果は、前記アクセルペダルの過大なアクセル踏力での踏込みを警告する際の指標として用いられ、前記第2検知部による前記アクセル踏力の検知結果は、前記車両に搭載されたエンジンの出力を低下させる際の指標として用いられる請求項1又は2に記載のアクセル踏力検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−15125(P2013−15125A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150268(P2011−150268)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】