説明

アクチュエータアセンブリ

アクチュエータアセンブリ(1)は、作動ピストン(7)、第1ピストン(5)、および少なくとも1つの第2ピストン(6)が機能する本体(2)と、前記第1ピストン(5)と前記第2ピストン(6)のそれぞれが前記作動ピストン(7)に作用するための実質的に非圧縮性の流体を含むチャンバ(26)とを備える。前記第1ピストン(5)の後退位置から延長位置への移動は、前記流体を介して前記作動ピストン(7)を後退位置から動作位置に移動させるように作用し、第2ピストン(6)の後退位置から延長位置へのそれに続く移動は、前記流体を介して前記作動ピストン(7)の作動運動を起こすように作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクチュエータアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータは、デバイスを、それらの動作を実施するように活動化または配置するのに使用される。したがって多くの多様なタイプのアクチュエータが、それらが使用される広範囲の用途を遂行することが必要となる。アクチュエータによってデバイスに加えられる力の制御が重要な用途もあり、またデバイスによって移動される距離と、作動の敏速さとの制御がより重要である用途もある。例えば感熱プリント、特に大量感熱プリントの用途では、感熱プリントヘッドは、急速かつ精確に作動されることが可能でなければならない。さらに、アクチュエータは、精確さを損失せずに動作力に耐えるよう頑強でなければならない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、作動ピストン、第1ピストン、および少なくとも1つの第2ピストンが機能する本体と、上記第1ピストンと上記第2ピストンのそれぞれが上記作動ピストンに作用するための実質的に非圧縮性の流体を含むチャンバとを備えたアクチュエータアセンブリであって、上記第1ピストンの後退位置から延長位置への移動が、流体を介して上記作動ピストンを後退位置から動作位置に移動させるように作用するような構成であり、第2ピストンの後退位置から延長位置へのそれに続く移動が、流体を介して上記作動ピストンの作動運動を起こすように作用するアクチュエータアセンブリを提供するものである。
【0004】
この構成は、作動ピストンが最初に第1ピストンを使用して、後退位置から動作位置へと精確に移動するのを、次いで第2ピストンによって精確かつ急速に作動されるのを可能にする。作動ピストンによって移動される距離は、非圧縮性の流体を変位媒体として使用することによって制御される。
【0005】
非圧縮性の流体は油圧流体であることが好ましい。チャンバは都合良く密閉されて一定量を含む。
【0006】
第1ピストンと第2ピストンは任意の適切な方法で操作することができる。空気圧を使用してこれらのピストンを延長するのが好ましく、戻り移動はばねによってもたらされる。作動ピストンは、真空ばねまたは戻しばねなどの任意の適切な方法でその動作位置および後退位置に戻される。
【0007】
言うまでもなく、第2ピストンが作動ピストンをその作動運動で移動させるように、第1ピストンはその延長位置に留まらなくてはならない。したがって空気圧は、第1ピストンが、それが延長されたままとなるのを保証するように維持され、同時に空気圧は、作動ピストンの振動を起こすように間歇的に第2ピストンに供給される。
【0008】
第1ピストンと第2ピストンは、本体の穴の両端部にある。チャンバはそれらの間に画定される。作動ピストンは、チャンバから直角に延びる穴で機能する。第1ピストンと第2ピストンそれぞれのストロークは、穴の肩部によって限定される。
【0009】
複数の第2ピストンを、それぞれが作動ピストンを異なった量分移動させるように作用するように設けることができる。その結果、適切な第2のピストンを、任意の所与の用途で使用することができる。
【0010】
次に単なる例として、添付の図面を参照して本発明の詳しい説明を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は感熱印刷機用のプリントヘッドアクチュエータの形態のアクチュエータアセンブリ1を示す。アクチュエータアセンブリ1は、第1段付穴3と第2穴4とを有する本体2を備える。第1ピストン5は穴3の一方端部に滑動可能に取り付けられ、1つの第2ピストン6が他方端部に滑動可能に取り付けられる。作動ピストン7は第2穴4に取り付けられる。
【0012】
段付穴3は、肩部11、12によって分離された第1セクション8、狭い中央セクション9、および第2セクション10を備える。肩部11は第1セクション8と中央セクション9を分離し、肩部12は中央セクション9を第2セクション10から分離する。
【0013】
第1セクション8は第1ピストン5を含み、これがそこで端部プラグ13と肩部11の間で滑動可能である。同様に、第2ピストン6は、穴3の第2セクション10に取り付けられ、端部プラグ14と肩部12の間で滑動することができる。端部プラグ13、14は、それらが本体2の表面と同一平面になるように陥凹部15に取り付けられる。ピストン5、6はいずれも、Oリングシール17を受け取ってピストン5、6と穴3同士の密閉を行う円周溝16を有する。
【0014】
第2穴4は第1穴3と交差し、中央セクション9を直角に通過する。作動ピストン7は、それが後退位置(図1に示す)と動作位置(図3に示す)の間を移動できるように、穴4に取り付けられる。作動ピストン7は、ピストン部分18と、開口部20を通って穴4の外に延びるピストンロッド19を備える。ピストンロッド19は、感熱プリントヘッドなどのデバイスをその遠端部に取り付ける取付部分21を含む。Oリングシール22が、ピストン部分18の円周溝23内に取り付けられて、作動ピストン7と穴4同士を密閉する。第2穴4は、開口部20とは反対側のその端部に端部プラグ24も有する。プラグ24は、それが本体2と同一平面になるように陥凹部25に密閉して受け取られる。
【0015】
中央セクション9は、第1ピストン5、第2ピストン6、および作動ピストン7によって境界を定められる穴3および4で、チャンバ26の一部を画定する。チャンバ26は、使用中作動ピストン7の移動を制御するように第1ピストン5と第2ピストン6の移動を可能にする、油圧液体などの実質的に非圧縮性の一定量の流体を含む。
【0016】
図2に示すアクチュエータアセンブリは、アセンブリ上の横力を吸収する低摩擦線形滑台アセンブリ27を含む。アセンブリ27は交差ころ線形滑台を備えるが、線形玉軸受滑台または他の任意の適切な負荷軸受アセンブリであることができる。交差ころ線形滑台27は本体2に取り付けられ、作動ピストン7の取付部分21の一部に連結される。
【0017】
戻しばね28は穴3に取り付けられ、第1ピストン5と第2ピストン6とに当接する。ピストン5、6は、それぞれの後面29と30に作用する空気圧信号の供給によって移動するようにされる。この空気圧信号は、供給部(図示しない)から狭い空気穴を通って供給され、そこで第1空気穴31は第1ピストン5を制御し、第2空気穴32は第2ピストン6を制御する。
【0018】
使用では、アクチュエータアセンブリ1は、感熱プリントヘッド(図示しない)用のアクチュエータを備えることができ、プリントヘッドは取付部分21に取り付けられる。アセンブリ1を、印刷される品目を担持する搬送ベルトに隣接して位置付けることができる。空気圧信号が第1空気穴31から加えられ、維持されて、第1ピストン5をその休止位置(図1に示す)から、それが肩部11に当接する(図3に示す)位置へと移動する。ピストン5の移動は、チャンバ26の油圧流体を介して作動ピストン7を、その後退位置(図1に示す)からその動作位置(図3に示す)に約10mm移動させる。動作位置で、プリントヘッドは搬送装置上の品目の印刷距離内にある。次いで空気圧信号を空気穴32から加えて、第2ピストン6を戻しばね28の力に抗して移動させることができる。ピストン5が作動される間、ピストン6の移動は、作動ピストン7とプリントヘッドを、それらを開口部20の外にさらに6mm移動させることによって、搬送システム上の品目との印刷接触するように作動させる。空気穴32で空気圧信号が無くなると、ピストン6が戻しばね28によって図1に示す休止位置へと押される。これによって作動ピストン7とプリントヘッドは、チャンバ26によって作り出された真空によって動作位置へと引き戻る。したがって、搬送システムが、印刷される品目をプリントヘッドを過ぎて搬送しつつあるときに、作動ピストン7を、穴32で時限付空気圧力信号を加えることによって振動させて、プリントヘッドが連続的な品目に印刷できるようにする。本発明のアセンブリ1は、一般的に700回/分の速度でプリントヘッドを周期作動することができる。したがって、多数の品目を、それらが搬送システムに沿ってプリントヘッドを通過するごとに精確かつ迅速に印刷することができる。一旦印刷が完了すると、穴31と穴32へのいずれの空気圧信号も止められて、戻しばね28がピストン5、6を図1に示す位置へと戻すことを可能にし、それによって作動ピストン7をその後退位置へと引き戻す。作動ピストン7は、油圧流体の真空効果によって引き戻されるが、言うまでもなく、コイルばね(図示しない)を利用して、ピストン7をその後退位置に戻すこともできる。
【0019】
プリントヘッドが振動し、搬送装置上の各品目を打つにつれ、その接触時間が短いながら、アクチュエータアセンブリ1は、アセンブリ1の構成要素を消耗させる可能性のある横力を受けることになる。この横力は交差ころ線形滑台27によって吸収され、それによって作動ピストン7およびアセンブリの他の構成要素の耐用期間を延ばす。
【0020】
言うまでもなく、いくつかの第2ピストン6を、チャンバ26と連結する穴に設けることもでき、その場合、空気圧信号が加えられると様々な量の油圧流体を変位させるように、ピストンまたは穴は様々な寸法または長さとなる。したがって、作動ピストン7は、アセンブリ1が使用される用途に合うように、どの第2ピストン7が作動されたかに応じて様々な変位で振動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による後退位置のアクチュエータアセンブリの断面図である。
【図2】図1に示すアクチュエータアセンブリの側面図である。
【図3】本発明による動作位置のアクチュエータアセンブリの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動ピストン(7)、第1ピストン(5)、および少なくとも1つの第2ピストン(6)が機能する本体(2)と、前記第1ピストン(5)と前記第2ピストン(6)のそれぞれが前記作動ピストン(7)に作用するための実質的に非圧縮性の流体を含むチャンバ(26)とを備えたアクチュエータアセンブリであって、前記第1ピストン(5)の後退位置から延長位置への移動が、前記流体を介して前記作動ピストン(7)を後退位置から動作位置に移動させるように作用するような構成であり、第2ピストン(6)の後退位置から延長位置へのそれに続く移動が、前記流体を介して前記作動ピストン(7)の作動運動を起こすように作用するアクチュエータアセンブリ。
【請求項2】
前記非圧縮性の流体が油圧流体である、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項3】
前記チャンバ(26)が密閉されて一定量を含む、請求項1または2に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項4】
空気圧力を使用して前記ピストン(5、6)を延ばす、前記請求項のいずれかに記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項5】
前記ピストン(5、6)の戻り移動がばね(28)によってもたらされる、前記請求項のいずれかに記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項6】
前記作動ピストン(7)が、真空を加えることによってその後退位置に戻される、前記請求項のいずれかに記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項7】
前記作動ピストン(7)が、戻りばねによってその後退位置に戻される、請求項1から5のいずれかに記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項8】
前記第2ピストン(6)が前記作動ピストン(7)をその作動運動で移動させるように、前記第1ピストン(5)がその延長位置に留まる、前記請求項のいずれかに記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項9】
前記第1ピストン(5)と前記第2ピストン(6)が前記本体(2)の穴(3)の両端部にある、前記請求項のいずれかに記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項10】
前記チャンバ(26)が前記第1ピストン(5)と、前記第2ピストン(6)と、前記作動ピストン(7)とによって画定される、前記請求項のいずれかに記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項11】
前記作動ピストン(7)が、前記チャンバ(26)から直角に延びる穴(4)で機能する、前記請求項のいずれかに記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項12】
前記第1ピストン(5)と前記第2ピストン(6)のストロークが、前記穴(3)の肩部(11、12)によって限定される、請求項9に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項13】
複数の第2ピストン(6)が設けられ、それぞれが前記作動ピストン(7)を異なった量分移動させるように作用する、前記請求項のいずれかに記載のアクチュエータアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−501919(P2008−501919A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526545(P2007−526545)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002279
【国際公開番号】WO2005/121563
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(506348662)ノルグレン・リミテッド (9)
【Fターム(参考)】