アクチュエータ及び電子機器
【課題】電子機器ごとに発熱量に応じてきめ細かな冷却調節をし、各電子機器を動作推奨温度範囲に保つことを可能として、消費電力量を抑えた運転コストの低い温度調節を実現する。
【解決手段】所定温度を閾値として伸張を開始し、温度に敏感に反応して当該温度に応じた伸縮量を示す伸縮構造1と、伸縮構造1の伸縮により開口11a,12aの開度をきめ細かに調節することができるシャッタ機構4とを備えたアクチュエータ30を各電子機器21に搭載し、電子機器21ごとに冷却風量を自動的に調節して温度制御する。
【解決手段】所定温度を閾値として伸張を開始し、温度に敏感に反応して当該温度に応じた伸縮量を示す伸縮構造1と、伸縮構造1の伸縮により開口11a,12aの開度をきめ細かに調節することができるシャッタ機構4とを備えたアクチュエータ30を各電子機器21に搭載し、電子機器21ごとに冷却風量を自動的に調節して温度制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度により伸縮するアクチュエータ及びこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、コンピュータ等の電子機器を複数搭載するラックにおいては、ラック内の電子機器を動作推奨温度に保つ必要がある。その方法としては、例えばラックが設置されているマシン室の冷却設備を利用し、マシン室内の雰囲気温度を測定して、電子機器の動作推奨温度又は冷却設備の設定温度を大きく外れないように冷却設備を制御する等(例えば、特許文献1〜3を参照)が一般的である。
【0003】
コンピュータは年々高密度化、高容量化されるにつれてLSIの発熱密度が上昇する傾向がある。コンピュータの冷却は、冷却ファンにより風を送り込む強制空冷方式が用いられている。例えばブレードサーバ、ラックマウントサーバのような発熱密度の高いコンピュータは、冷却を考慮して部品を配置することが重要である。ブレードサーバ及びラックマウントサーバでは、コンピュータにより計算の負荷を変えて稼働するため、コンピュータ内部の空気の流れ設計が重要となる。
【0004】
ところが、上記の温度調節方法をラック内部の冷却に適用した場合、ラック内の各電子機器がその動作推奨温度範囲から逸脱こそしないものの、以下のような問題が生じる。
上記の温度調節方法では、推奨温度の低い電子機器に合わせてラック内部の全体を冷却したり、最も高い温度となった電子機器を設定温度まで冷却するためにラック内部の全体を冷却する等の手法を採る。そのため、冷却する必要のない電子機器も冷却しており、冷却効率が悪く、冷却用の消費電力量が必要以上に大きくなる。場合によっては、冷却能力のより高い冷却設備をマシン室に導入することが必要となる等、運転コストの増大を招くという問題がある。
【0005】
この問題に対処すべく、例えば特許文献4のように、ラック内に設置されたコンピュータごとに可動式のルーバを設け、冷却空気の流量を制御する技術が案出されている。また、例えば特許文献5のように、電子機器内の温度調節方法として、筐体に通風口を設け、形状記憶合金の弾性体を用いて通風口を開閉する技術が案出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−212674号公報
【特許文献2】特開2005−140479号公報
【特許文献3】特開平5−100063号公報
【特許文献4】特開2009−123887号公報
【特許文献5】特開平8−102591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4の技術では、コンピュータごとに可動式のルーバと、これらを制御する制御装置とを設けることが必須であり、装置構成として大掛かりとなり、ひいてはコンピュータの大型化を招きかねないという問題がある。また、各コンピュータごとに特許文献5の技術を適用しても、形状記憶合金の持つ性質に起因して、通風口の開閉の開度を細かく調節することはできない。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、所定温度を閾値として伸張を開始し、温度に敏感に反応して当該温度に応じた伸縮量を示し、当該伸縮により例えばシャッタ機構の開度等をきめ細かに調節することができるアクチュエータを提供することを目的とする。更には、このアクチュエータを適用することにより、例えばラックに収納された電子機器について、電子機器ごとに発熱量に応じてきめ細かな冷却調節をし、各電子機器を動作推奨温度範囲に保つことを可能として、消費電力量を抑えた運転コストの低い温度調節を実現する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
アクチュエータの一態様は、温度応答性の高分子樹脂を有する伸縮構造を備え、前記伸縮構造は、所定温度以上となると液体を吸い込んで伸張し、前記所定温度を下回ると吸い込んだ前記液体を脱液して収縮する。
【0010】
電気機器の一態様は、筐体内に、発熱源となる電子部品と、アクチュエータとを備えており、前記アクチュエータは、温度応答性の高分子樹脂を有し、所定温度以上となると液体を吸い込んで伸張し、前記所定温度を下回ると吸い込んだ前記液体を脱液して収縮する伸縮構造と、前記筐体の壁面に設けられ、前記筐体内を外気と通ずる開口を有し、前記開口の開度が調節自在とされたシャッタ機構とを含み、前記伸縮構造の伸縮により前記シャッタ機構の前記開口の開度を調節する。
【発明の効果】
【0011】
上記したアクチュエータの態様によれば、所定温度を閾値として伸張を開始し、温度に敏感に反応して当該温度に応じた伸縮量を示し、当該伸縮により例えばシャッタ機構の開度等をきめ細かに調節することができる。
上記した電子機器の態様によれば、このアクチュエータを適用することにより、例えばラックに収納された電子機器について、電子機器ごとに発熱量に応じてきめ細かな冷却調節をし、各電子機器を動作推奨温度範囲に保つことを可能として、消費電力量を抑えた運転コストの低い温度調節が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態によるアクチュエータの概略構成を示す模式図である。
【図2】伸縮構造の高分子樹脂の伸縮メカニズムを説明するための模式図である。
【図3】第1の実施形態によるアクチュエータを用いてシャッタ機構の開閉を調節する様子を示す模式図である。
【図4】第2の実施形態によるコンピュータを複数重ねて収納する電子機器用ラックを示す模式図である。
【図5】第2の実施形態によるコンピュータの内部構成の概略を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態では、温度に応じて伸縮するアクチュエータを開示する。
図1は、第1の実施形態によるアクチュエータの概略構成を示す模式図である。図2は、伸縮構造の高分子樹脂の伸縮メカニズムを説明するための模式図である。図3は、第1の実施形態によるアクチュエータを用いてシャッタ機構の開閉を調節する様子を示す模式図である。
【0015】
本実施形態によるアクチュエータは、図1に示すように、伸縮構造1、貯留槽2、及びヒートパイプ3を備えている。
【0016】
伸縮構造1は、少なくとも一部が中空の弾性部材、ここでは中空とされた蛇腹状の金属バネ内に、温度応答性の高分子樹脂が充填されてなる部材である。この高分子樹脂は、外部環境、例えば作動液の溶媒組成、温度、pH、特定分子、光、電場、磁場等の変化に応答して、形態(高次構造)及び/又は物性を変える、いわゆる刺激応答性高分子である。本実施形態では特に、刺激応答性高分子として、温度に対して応答性を有する温度応答性高分子を用いる。
【0017】
貯留槽2は、伸縮構造1の伸縮の作動液となる液体Lを貯留する部材であり、伸縮構造1の下端部が液体Lに浸漬するように設置される。液体Lとしては、伸縮構造1の高分子樹脂の膨張圧力の上昇に寄与する液体、例えば電解質溶液が好ましく、本実施形態では例えば食塩水を用いる。
【0018】
ヒートパイプ3は、発熱源10の熱を伸縮構造1及び貯留槽2に伝達するための部材であり、一端部が発熱源10と熱的に接続されており、他端部が伸縮構造1及び貯留槽2と熱的に接続されている。ヒートパイプ3を伸縮構造1及び貯留槽2の双方に接続することにより、伸縮構造1及び貯留槽2に同じ温度を伝達することができ、伸縮構造1が液体Lを吸収/脱液することによる高分子樹脂の温度変動が抑止される。
【0019】
このアクチュエータの動作について説明する。
発熱源10からヒートパイプ3により伝達された温度(伝達温度)が、伸縮構造1の高分子樹脂が伸張を開始する閾値である所定温度より低温では、アクチュエータは停止している。このとき、高分子樹脂は、図2(a)に示すように収縮した状態であり、疎水性を示す。そのため、高分子樹脂は作動液である液体Lを吸い込まない。発熱源10の温度が上昇して伝達温度が所定温度以上となると、アクチュエータは動作を開始する。伸縮構造1の高分子樹脂が貯留槽2の液体Lを吸い込み、伸縮構造1は伝達温度の上昇に敏感に応答して伸張してゆく。このとき、高分子樹脂には相転移が生じている。即ち、図2(b)に示すように、高分子樹脂は親水性となって液体Lを吸い込み、伝達温度の上昇に応答して高分子樹脂は徐々に膨張してゆく。発熱源10の温度が下降すると、伸縮構造1の高分子樹脂が液体Lを放出(脱液)し始め、伸縮構造1はその伝達温度の下降に敏感に応答して収縮してゆく。そして、伝達温度が所定温度を下回ると、高分子樹脂には相転移が生じ、高分子樹脂が図2(a)の状態となってアクチュエータは動作を停止する。
【0020】
温度応答性高分子である、伸縮構造1の高分子樹脂について以下で詳述する。
一般に、温度応答性高分子には以下のものがある。
(1)所定温度以上で疎水性相互作用によって凝集して、水溶液中から析出してくる性質を持つLCST(下限臨界共融温度)の高分子の架橋体
(2)所定温度以下で疎水性相互作用によって凝集して、水溶液中から析出してくる性質を持つUCST(上限臨界共融温度)の高分子の架橋体
(3)互いに水素結合する2成分の高分子のIPN(Interpenetrating Polymer Network:相互侵入網目構造体)であり、水素結合力の変化を利用して吸脱液体を吸収・放出して体積変化する高分子
(4)結晶性等の凝集性の側鎖を持つ高分子
【0021】
伸縮構造1の温度応答性の高分子樹脂としては、(3)の高分子が特に好ましい。なお「水素結合力の変化」とは、具体的には、高分子内の水素結合の形成/解離を意味するものである。
【0022】
上記したような水素結合力の変化を利用して吸脱液体を吸収・放出して体積変化する温度応答性高分子としては、水素結合力の変化を利用するものであれば特に限定されない。少なくとも水素結合性基を有する高分子のIPNゲル、少なくとも水素結合性基を有する高分子、互いに水素結合するモノマーユニットを持つブロック共重合体等が好ましい。水素結合力の変化を利用したこれらのポリマーは、一般的に水中、水と有機溶剤との混合溶媒中において低温で析出し高温で溶解するという特性(UCST:上限臨界溶液温度)を持つものが多い。
【0023】
水素結合性基を有する高分子としては、繰り返し単位中に、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド基、エステル基、エチレンオキシド等を含むものである。具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基等を含むポリビニルスルホン酸、ポリリン酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸等の酸性高分子、アミノ基を有するポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリ−L−リシン、ポリ(N−アルキル−4−ビニルピリジニウムクロライド)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド)、アミド基を有するポリ(メタ)アクリルアミドやポリアクリロイルグリシンアミド及びその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、これらを含む共重合体等が挙げられる。
【0024】
少なくとも水素結合性基を有する高分子のIPNゲルの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体を含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体及びその部分中和物、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体の架橋体とポリマレイン酸などの架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体を含む共重合体の架橋体とポリマレイン酸の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体の架橋体とポリフマル酸等の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体を含む共重合体の架橋体とポリフマル酸等の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)等が挙げられる。
【0025】
少なくとも水素結合性基を有する高分子のブロック共重合体ゲルの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
少なくともポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体とポリ(メタ)アクリル酸を含む共重合体とからなる架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体とポリマレイン酸を含む共重合体とからなる架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体とポリフマル酸を含む共重合体とからなる架橋体等が挙げられる。
【0026】
LCST(下限臨界共融温度)を持つ高分子の架橋体であるLCSTゲルは、高温において収縮し、UCSTゲル、IPNゲル及び結晶性ゲルでは、逆に高温で膨潤する特性を有している。前者の具体的な化合物としては、ポリN−イソプロピルアクリルアミド等の〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体又はN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸の共重合体及びその塩、又は(メタ)アクリルアミド、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の2成分以上の共重合体の架橋体、ポリビニルメチルエーテルの架橋物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のアルキル置換セルロース誘導体の架橋体等が挙げられる。〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体が、耐候性及び体積変化特性の観点から好ましい。例えば、 N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体又はN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸の共重合体及びその塩の架橋体であり、中でも、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体が好ましく、特に、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0027】
この熱応答性高分子ゲルの体積変化を示す温度(相転移温度)としては、高分子ゲルの構造、組成により種々の設計が可能である。なお、好ましい相転移温度は−30℃〜300℃の範囲から選択され、中でも、−20℃〜150℃の範囲が好ましく、特に、好ましくは20℃〜80℃の範囲である。
また、熱応答性高分子ゲルの体積変化量を増大させる目的で、イオン性官能基を高分子ゲル中に含有させることも好ましい。イオン性官能基としては、カルボン酸、スルホン酸、アンモニウム基、リン酸基等が挙げられる。耐候性、耐久の観点から、中でも、カルボン酸、スルホン酸が好ましく、特にカルボン酸が好ましい。イオン性官能基を高分子ゲル中に含有させる好ましい方法としては、以下のものがある。高分子ゲルを調製する際にこれら官能基を持つモノマーを共重合する方法、合成後の高分子ゲルにモノマーを含浸させて重合しIPN(相互侵入網目構造体)体とする方法、高分子ゲル中の官能基を部分的に加水分解又は酸化反応等の化学反応によって変換する方法等である。製造性の観点から、中でも、共重合する方法又はIPN体とする方法が好ましく、特に共重合する方法が好ましい。
【0028】
温度応答性高分子のIPNからなる高分子スポンジを基材に固定化する方法について説明する。
温度応答性高分子には、ポリアクリル酸とポリアクリルアミドからなるIPNを使用した。なお、このIPNの相転移温度は30〜40℃の温度範囲にあり、相転移温度よりも高い温度では、ポリアクリル酸とポリアクリルアミド間の水素結合が切れてコンプレックスが解離し、吸水して高分子鎖が膨張する。一方、相転移温度よりも低い温度では、ポリマー間のコンプレックス形成により脱水するために収縮する。
【0029】
基材としては、上記の温度応答性高分子を結合させることができるものであれば特に制限されない。基材は、温度応答性高分子の不溶化を主な目的として用いられる。
基材としては、例えば、金属材料、炭素材料、半導体材料及びその複合材料、無機材料、及び有機材料が挙げられる。金属材料としては、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウム、銀、水銀、タングステン、銅、及びこれらの化合物等が挙げられる。炭素材料としては、グラファイト、カ−ボンファイバー等が挙げられる。半導体材料及びその複合材料としては、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)等が挙げられる。無機材料としては、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライト、感光性ガラス等が挙げられる。有機材料としては高分子材料等が挙げられる。
【0030】
例えば基材として、有機材料であるポリプロピレンを選択する。
温度応答性高分子を基材に結合させる方法としては、高分子の合成分野において公知の方法を適宜用いることができる。温度応答性高分子は、基材にグラフト結合させることが好ましい。グラフト結合とは、幹となる基材、好ましくは高分子基材に、温度応答性高分子を枝状に結合させることを言う。温度応答性高分子を基材にグラフト結合させる方法としては、例えば、基材に放射線、電子線、プラズマ等を照射して表面近傍に活性種を発生させ、これを開始点としてモノマーを重合させる方法が挙げられる。基材表面に化学的処理を施して反応性基を発生させ、その反応性基と反応することができる官能基を有する温度応答性高分子と結合させる方法が挙げられる。更に、反応性基を持つ高分子で基材を構成し、その反応性基と反応することができる官能基を有する温度応答性高分子と結合させる方法等が挙げられる。反応性基としては、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、スルホン酸基、エポキシ基、イソシアネート基、酸クロリド基、ヒドロキシ基、チオール基、ジスルフィド基等の官能基が挙げられる。
【0031】
基材として高分子基材を用いる場合には、温度応答性高分子をグラフト結合させることにより、高分子基材と温度応答性高分子で構成されるグラフト共重合体が得られる。グラフト共重合体とは、幹となる単量体単位の所々に他種の単量体単位が側鎖として配列した構造を持つ共重合体を言う。
【0032】
基材への温度応答性高分子のグラフト結合について説明する。
基材には、ポリプロピレン製の不織布(PP不織布)を用いる。先ず、平均孔径10μmのPP不織布(ミリポア社製)に、アルゴン雰囲気下でプラズマを照射する。その後、これを脱気した3%アクリルアミド水溶液/メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)中に浸漬し、60℃の水浴中で重合反応(グラフト重合)を行う。次に、アルゴン雰囲気下でプラズマを照射した後、これを脱気した5%アクリル酸水溶液/メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)中に浸漬し60℃の水溶液中でグラフト重合する。
系内に大気を導入した後、反応容器からグラフト済PP不織布を取り出し、水−メタノール(1:1)混合溶媒で洗浄する。その後、グラフト済PP不織布を真空乾燥させ、IPN型の高分子を作製する。
【0033】
以下、このアクチュエータにシャッタ機構を付加し、シャッタ機構の開閉を調節する実施形態について説明する。
図3の各図に示すように、シャッタ機構4は、各々対応する部位に複数(ここでは18個)の開口11a,12aが形成された開口板11,12から構成される。開口板12は不図示の壁面等に固定され、伸縮構造1の上端部に開口板11が接続されている。伸縮構造1の伸縮により、開口板11が、固定された開口板12に対して上下方向に自在にスライドする。
【0034】
発熱源10が、上記した閾値である所定温度T0より低い温度T1である場合、図3(a)に示すように、伸縮構造1の高分子樹脂が伸張を開始することなく、アクチュエータは停止している。このとき、開口板11,12は、互いに開口11a,12aを塞ぎ合う状態で重なっており、シャッタ機構4は閉じられている。
【0035】
発熱源10が、上記した閾値である所定温度T0を超える温度T2に昇温すると、図3(b)に示すように、伸縮構造1の高分子樹脂が伸張し始め、アクチュエータは動作を開始する。このとき例えば、開口板12に対して開口板12が伸縮構造1の伸張により若干押し上げられ、開口11a,12aがある程度重なり合った開口状態となり、シャッタ機構4は所定の開度(例えば半開)となる。
【0036】
発熱源10が、温度T2を超える温度T3に昇温すると、図3(c)に示すように、伸縮構造1の高分子樹脂が更に伸張する。このとき例えば、開口板12に対して開口板12が伸縮構造1の更なる伸張により押し上げられ、開口11a,12aが例えば完全に重なり合った開口状態となり、シャッタ機構4は全開となる。
【0037】
発熱源10が温度T3から降温して温度T2となれば、シャッタ機構4は図3(b)と同じ半開状態となり、更に降温して温度T0を下回れば、シャッタ機構4は図3(a)と同じ閉状態となる。
【0038】
このように、本実施形態によるアクチュエータは、発熱源10の温度が所定温度T0より低いときには動作せずにシャッタ機構4は閉じている。そして、発熱源10の温度が所定温度T0以上で温度T2以下のときには、シャッタ機構4は開度0%から開度100%までの範囲で連続的に、当該温度に対応した開度にきめ細かく設定される。本実施形態では、シャッタ機構4により例えば冷却風を取り入れる場合を想定すれば、発熱源10を最大量の冷却風で冷却することを要する温度を温度T3に規定し、このときに開度が100%となるように開口板11,12を設置する。これにより、発熱源10の温度に応じたきめ細かな温度調節が可能となる。
【0039】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態によるアクチュエータを適用した電子機器であるコンピュータを開示する。
図4は、第2の実施形態によるコンピュータを複数重ねて収納する電子機器用ラックを示す模式図であり、(a)が正面図、(b)が側面図である。図5は、第2の実施形態によるコンピュータの内部構成の概略を示す模式図である。
【0040】
ラック20は、図4に示すように、床板20a上に筐体20cが載置固定されてなる。ラック20の筐体20cの内部に複数のコンピュータ21が積載されており、筐体20cの下面には所定の通気口が設けられている。コンピュータ21は、前面で吸気して背面で排気する構成を採る電子機器である。筐体20cの内部において、各コンピュータ21の背面に対向する位置には、複数の吸入ファン22が設置されている。
【0041】
ラック20においては、いわゆる床下空調を導入している。吸入ファン22を稼働して、図4の矢印で示すように、床板20aの流入口20bから流入する冷却風を筐体20cの内部に吸入し、各コンピュータ21の前面から背面へ冷却風を供給し、筐体20cに形成された各流出口20dから流出させる。
【0042】
コンピュータ21は、図5に示すように、筐体31内に、CPU等である発熱源10、ハードディスクドライブ(HDD)32、及び第1の実施形態によるシャッタ機構を備えたアクチュエータ30等が設けられている。
コンピュータ21の筐体31の前面には、冷却風の流入機構33が配されており、流入機構33には冷却風の流入口33aが形成されている。
【0043】
アクチュエータ30は、第1の実施形態で説明したように、伸縮構造1、貯留槽2、ヒートパイプ3、及びシャッタ機構4を備えている。
伸縮構造1は、中空とされた蛇腹状の金属バネ内に温度応答性の高分子樹脂が充填されている。伸縮構造1は、下端部が作動液である液体Lを貯蔵する貯留槽2に浸漬し、上端部がシャッタ機構4の開口板11と接続されている。
シャッタ機構4の開口板12は、コンピュータ21の筐体31の前面に設置固定されており、シャッタ機構4により冷却風の流出が調節される。
【0044】
図3を用いて説明したように、アクチュエータ30では、シャッタ機構4は開度0%から開度100%までの範囲で連続的に、発熱源10の温度に対応した開度にきめ細かく設定される。本実施形態では、発熱源10の温度に応じて、アクチュエータ30においてシャッタ機構4の開度が調節されて、コンピュータ21の筐体31内を通過する冷却風量を自動的に制御する。ラック20内に積載された各コンピュータ21は、各々の使用状態に応じて発熱量が異なる。本実施形態では、吸入ファン22を一定の回転速度で稼動させたままで、当該回転速度を制御する機構を設けることなく、アクチュエータ30によって各コンピュータ21ごとに冷却風量を自動調節する。これにより、各コンピュータ21の温度は、それぞれ動作推奨温度範囲内の適温に制御される。このように本実施形態では、簡素な構成で各コンピュータ21の消費電力量を抑え、運転コストの低い温度調節が実現する。
【0045】
なお、本実施形態では、コンピュータ21における冷却風の流出側にアクチュエータ30を設置し、冷却風の流出量を調節することでコンピュータ21の筐体31内を通過する冷却風量を制御する形態を例示した。この形態のみならず、コンピュータ21における冷却風の流入側にアクチュエータ30を設置し、冷却風の流入量を調節することでコンピュータ21の筐体31内を通過する冷却風量を制御するようにしても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 伸縮構造
2 貯留槽
3 ヒートパイプ
4 シャッタ機構
10 発熱源
11,12 開口板
11a,12a 開口
20 ラック
20a 床板
20b,33a 流入口
20d 流出口
21 コンピュータ
22 吸入ファン
31,20c 筐体
32 HDD
33 流入機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度により伸縮するアクチュエータ及びこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、コンピュータ等の電子機器を複数搭載するラックにおいては、ラック内の電子機器を動作推奨温度に保つ必要がある。その方法としては、例えばラックが設置されているマシン室の冷却設備を利用し、マシン室内の雰囲気温度を測定して、電子機器の動作推奨温度又は冷却設備の設定温度を大きく外れないように冷却設備を制御する等(例えば、特許文献1〜3を参照)が一般的である。
【0003】
コンピュータは年々高密度化、高容量化されるにつれてLSIの発熱密度が上昇する傾向がある。コンピュータの冷却は、冷却ファンにより風を送り込む強制空冷方式が用いられている。例えばブレードサーバ、ラックマウントサーバのような発熱密度の高いコンピュータは、冷却を考慮して部品を配置することが重要である。ブレードサーバ及びラックマウントサーバでは、コンピュータにより計算の負荷を変えて稼働するため、コンピュータ内部の空気の流れ設計が重要となる。
【0004】
ところが、上記の温度調節方法をラック内部の冷却に適用した場合、ラック内の各電子機器がその動作推奨温度範囲から逸脱こそしないものの、以下のような問題が生じる。
上記の温度調節方法では、推奨温度の低い電子機器に合わせてラック内部の全体を冷却したり、最も高い温度となった電子機器を設定温度まで冷却するためにラック内部の全体を冷却する等の手法を採る。そのため、冷却する必要のない電子機器も冷却しており、冷却効率が悪く、冷却用の消費電力量が必要以上に大きくなる。場合によっては、冷却能力のより高い冷却設備をマシン室に導入することが必要となる等、運転コストの増大を招くという問題がある。
【0005】
この問題に対処すべく、例えば特許文献4のように、ラック内に設置されたコンピュータごとに可動式のルーバを設け、冷却空気の流量を制御する技術が案出されている。また、例えば特許文献5のように、電子機器内の温度調節方法として、筐体に通風口を設け、形状記憶合金の弾性体を用いて通風口を開閉する技術が案出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−212674号公報
【特許文献2】特開2005−140479号公報
【特許文献3】特開平5−100063号公報
【特許文献4】特開2009−123887号公報
【特許文献5】特開平8−102591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4の技術では、コンピュータごとに可動式のルーバと、これらを制御する制御装置とを設けることが必須であり、装置構成として大掛かりとなり、ひいてはコンピュータの大型化を招きかねないという問題がある。また、各コンピュータごとに特許文献5の技術を適用しても、形状記憶合金の持つ性質に起因して、通風口の開閉の開度を細かく調節することはできない。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、所定温度を閾値として伸張を開始し、温度に敏感に反応して当該温度に応じた伸縮量を示し、当該伸縮により例えばシャッタ機構の開度等をきめ細かに調節することができるアクチュエータを提供することを目的とする。更には、このアクチュエータを適用することにより、例えばラックに収納された電子機器について、電子機器ごとに発熱量に応じてきめ細かな冷却調節をし、各電子機器を動作推奨温度範囲に保つことを可能として、消費電力量を抑えた運転コストの低い温度調節を実現する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
アクチュエータの一態様は、温度応答性の高分子樹脂を有する伸縮構造を備え、前記伸縮構造は、所定温度以上となると液体を吸い込んで伸張し、前記所定温度を下回ると吸い込んだ前記液体を脱液して収縮する。
【0010】
電気機器の一態様は、筐体内に、発熱源となる電子部品と、アクチュエータとを備えており、前記アクチュエータは、温度応答性の高分子樹脂を有し、所定温度以上となると液体を吸い込んで伸張し、前記所定温度を下回ると吸い込んだ前記液体を脱液して収縮する伸縮構造と、前記筐体の壁面に設けられ、前記筐体内を外気と通ずる開口を有し、前記開口の開度が調節自在とされたシャッタ機構とを含み、前記伸縮構造の伸縮により前記シャッタ機構の前記開口の開度を調節する。
【発明の効果】
【0011】
上記したアクチュエータの態様によれば、所定温度を閾値として伸張を開始し、温度に敏感に反応して当該温度に応じた伸縮量を示し、当該伸縮により例えばシャッタ機構の開度等をきめ細かに調節することができる。
上記した電子機器の態様によれば、このアクチュエータを適用することにより、例えばラックに収納された電子機器について、電子機器ごとに発熱量に応じてきめ細かな冷却調節をし、各電子機器を動作推奨温度範囲に保つことを可能として、消費電力量を抑えた運転コストの低い温度調節が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態によるアクチュエータの概略構成を示す模式図である。
【図2】伸縮構造の高分子樹脂の伸縮メカニズムを説明するための模式図である。
【図3】第1の実施形態によるアクチュエータを用いてシャッタ機構の開閉を調節する様子を示す模式図である。
【図4】第2の実施形態によるコンピュータを複数重ねて収納する電子機器用ラックを示す模式図である。
【図5】第2の実施形態によるコンピュータの内部構成の概略を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態では、温度に応じて伸縮するアクチュエータを開示する。
図1は、第1の実施形態によるアクチュエータの概略構成を示す模式図である。図2は、伸縮構造の高分子樹脂の伸縮メカニズムを説明するための模式図である。図3は、第1の実施形態によるアクチュエータを用いてシャッタ機構の開閉を調節する様子を示す模式図である。
【0015】
本実施形態によるアクチュエータは、図1に示すように、伸縮構造1、貯留槽2、及びヒートパイプ3を備えている。
【0016】
伸縮構造1は、少なくとも一部が中空の弾性部材、ここでは中空とされた蛇腹状の金属バネ内に、温度応答性の高分子樹脂が充填されてなる部材である。この高分子樹脂は、外部環境、例えば作動液の溶媒組成、温度、pH、特定分子、光、電場、磁場等の変化に応答して、形態(高次構造)及び/又は物性を変える、いわゆる刺激応答性高分子である。本実施形態では特に、刺激応答性高分子として、温度に対して応答性を有する温度応答性高分子を用いる。
【0017】
貯留槽2は、伸縮構造1の伸縮の作動液となる液体Lを貯留する部材であり、伸縮構造1の下端部が液体Lに浸漬するように設置される。液体Lとしては、伸縮構造1の高分子樹脂の膨張圧力の上昇に寄与する液体、例えば電解質溶液が好ましく、本実施形態では例えば食塩水を用いる。
【0018】
ヒートパイプ3は、発熱源10の熱を伸縮構造1及び貯留槽2に伝達するための部材であり、一端部が発熱源10と熱的に接続されており、他端部が伸縮構造1及び貯留槽2と熱的に接続されている。ヒートパイプ3を伸縮構造1及び貯留槽2の双方に接続することにより、伸縮構造1及び貯留槽2に同じ温度を伝達することができ、伸縮構造1が液体Lを吸収/脱液することによる高分子樹脂の温度変動が抑止される。
【0019】
このアクチュエータの動作について説明する。
発熱源10からヒートパイプ3により伝達された温度(伝達温度)が、伸縮構造1の高分子樹脂が伸張を開始する閾値である所定温度より低温では、アクチュエータは停止している。このとき、高分子樹脂は、図2(a)に示すように収縮した状態であり、疎水性を示す。そのため、高分子樹脂は作動液である液体Lを吸い込まない。発熱源10の温度が上昇して伝達温度が所定温度以上となると、アクチュエータは動作を開始する。伸縮構造1の高分子樹脂が貯留槽2の液体Lを吸い込み、伸縮構造1は伝達温度の上昇に敏感に応答して伸張してゆく。このとき、高分子樹脂には相転移が生じている。即ち、図2(b)に示すように、高分子樹脂は親水性となって液体Lを吸い込み、伝達温度の上昇に応答して高分子樹脂は徐々に膨張してゆく。発熱源10の温度が下降すると、伸縮構造1の高分子樹脂が液体Lを放出(脱液)し始め、伸縮構造1はその伝達温度の下降に敏感に応答して収縮してゆく。そして、伝達温度が所定温度を下回ると、高分子樹脂には相転移が生じ、高分子樹脂が図2(a)の状態となってアクチュエータは動作を停止する。
【0020】
温度応答性高分子である、伸縮構造1の高分子樹脂について以下で詳述する。
一般に、温度応答性高分子には以下のものがある。
(1)所定温度以上で疎水性相互作用によって凝集して、水溶液中から析出してくる性質を持つLCST(下限臨界共融温度)の高分子の架橋体
(2)所定温度以下で疎水性相互作用によって凝集して、水溶液中から析出してくる性質を持つUCST(上限臨界共融温度)の高分子の架橋体
(3)互いに水素結合する2成分の高分子のIPN(Interpenetrating Polymer Network:相互侵入網目構造体)であり、水素結合力の変化を利用して吸脱液体を吸収・放出して体積変化する高分子
(4)結晶性等の凝集性の側鎖を持つ高分子
【0021】
伸縮構造1の温度応答性の高分子樹脂としては、(3)の高分子が特に好ましい。なお「水素結合力の変化」とは、具体的には、高分子内の水素結合の形成/解離を意味するものである。
【0022】
上記したような水素結合力の変化を利用して吸脱液体を吸収・放出して体積変化する温度応答性高分子としては、水素結合力の変化を利用するものであれば特に限定されない。少なくとも水素結合性基を有する高分子のIPNゲル、少なくとも水素結合性基を有する高分子、互いに水素結合するモノマーユニットを持つブロック共重合体等が好ましい。水素結合力の変化を利用したこれらのポリマーは、一般的に水中、水と有機溶剤との混合溶媒中において低温で析出し高温で溶解するという特性(UCST:上限臨界溶液温度)を持つものが多い。
【0023】
水素結合性基を有する高分子としては、繰り返し単位中に、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド基、エステル基、エチレンオキシド等を含むものである。具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基等を含むポリビニルスルホン酸、ポリリン酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸等の酸性高分子、アミノ基を有するポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリ−L−リシン、ポリ(N−アルキル−4−ビニルピリジニウムクロライド)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド)、アミド基を有するポリ(メタ)アクリルアミドやポリアクリロイルグリシンアミド及びその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、これらを含む共重合体等が挙げられる。
【0024】
少なくとも水素結合性基を有する高分子のIPNゲルの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体を含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体及びその部分中和物、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体の架橋体とポリマレイン酸などの架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体を含む共重合体の架橋体とポリマレイン酸の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体の架橋体とポリフマル酸等の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体を含む共重合体の架橋体とポリフマル酸等の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)等が挙げられる。
【0025】
少なくとも水素結合性基を有する高分子のブロック共重合体ゲルの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
少なくともポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体とポリ(メタ)アクリル酸を含む共重合体とからなる架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体とポリマレイン酸を含む共重合体とからなる架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド或いはその誘導体とポリフマル酸を含む共重合体とからなる架橋体等が挙げられる。
【0026】
LCST(下限臨界共融温度)を持つ高分子の架橋体であるLCSTゲルは、高温において収縮し、UCSTゲル、IPNゲル及び結晶性ゲルでは、逆に高温で膨潤する特性を有している。前者の具体的な化合物としては、ポリN−イソプロピルアクリルアミド等の〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体又はN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸の共重合体及びその塩、又は(メタ)アクリルアミド、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の2成分以上の共重合体の架橋体、ポリビニルメチルエーテルの架橋物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のアルキル置換セルロース誘導体の架橋体等が挙げられる。〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体が、耐候性及び体積変化特性の観点から好ましい。例えば、 N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体又はN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸の共重合体及びその塩の架橋体であり、中でも、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体が好ましく、特に、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0027】
この熱応答性高分子ゲルの体積変化を示す温度(相転移温度)としては、高分子ゲルの構造、組成により種々の設計が可能である。なお、好ましい相転移温度は−30℃〜300℃の範囲から選択され、中でも、−20℃〜150℃の範囲が好ましく、特に、好ましくは20℃〜80℃の範囲である。
また、熱応答性高分子ゲルの体積変化量を増大させる目的で、イオン性官能基を高分子ゲル中に含有させることも好ましい。イオン性官能基としては、カルボン酸、スルホン酸、アンモニウム基、リン酸基等が挙げられる。耐候性、耐久の観点から、中でも、カルボン酸、スルホン酸が好ましく、特にカルボン酸が好ましい。イオン性官能基を高分子ゲル中に含有させる好ましい方法としては、以下のものがある。高分子ゲルを調製する際にこれら官能基を持つモノマーを共重合する方法、合成後の高分子ゲルにモノマーを含浸させて重合しIPN(相互侵入網目構造体)体とする方法、高分子ゲル中の官能基を部分的に加水分解又は酸化反応等の化学反応によって変換する方法等である。製造性の観点から、中でも、共重合する方法又はIPN体とする方法が好ましく、特に共重合する方法が好ましい。
【0028】
温度応答性高分子のIPNからなる高分子スポンジを基材に固定化する方法について説明する。
温度応答性高分子には、ポリアクリル酸とポリアクリルアミドからなるIPNを使用した。なお、このIPNの相転移温度は30〜40℃の温度範囲にあり、相転移温度よりも高い温度では、ポリアクリル酸とポリアクリルアミド間の水素結合が切れてコンプレックスが解離し、吸水して高分子鎖が膨張する。一方、相転移温度よりも低い温度では、ポリマー間のコンプレックス形成により脱水するために収縮する。
【0029】
基材としては、上記の温度応答性高分子を結合させることができるものであれば特に制限されない。基材は、温度応答性高分子の不溶化を主な目的として用いられる。
基材としては、例えば、金属材料、炭素材料、半導体材料及びその複合材料、無機材料、及び有機材料が挙げられる。金属材料としては、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウム、銀、水銀、タングステン、銅、及びこれらの化合物等が挙げられる。炭素材料としては、グラファイト、カ−ボンファイバー等が挙げられる。半導体材料及びその複合材料としては、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)等が挙げられる。無機材料としては、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライト、感光性ガラス等が挙げられる。有機材料としては高分子材料等が挙げられる。
【0030】
例えば基材として、有機材料であるポリプロピレンを選択する。
温度応答性高分子を基材に結合させる方法としては、高分子の合成分野において公知の方法を適宜用いることができる。温度応答性高分子は、基材にグラフト結合させることが好ましい。グラフト結合とは、幹となる基材、好ましくは高分子基材に、温度応答性高分子を枝状に結合させることを言う。温度応答性高分子を基材にグラフト結合させる方法としては、例えば、基材に放射線、電子線、プラズマ等を照射して表面近傍に活性種を発生させ、これを開始点としてモノマーを重合させる方法が挙げられる。基材表面に化学的処理を施して反応性基を発生させ、その反応性基と反応することができる官能基を有する温度応答性高分子と結合させる方法が挙げられる。更に、反応性基を持つ高分子で基材を構成し、その反応性基と反応することができる官能基を有する温度応答性高分子と結合させる方法等が挙げられる。反応性基としては、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、スルホン酸基、エポキシ基、イソシアネート基、酸クロリド基、ヒドロキシ基、チオール基、ジスルフィド基等の官能基が挙げられる。
【0031】
基材として高分子基材を用いる場合には、温度応答性高分子をグラフト結合させることにより、高分子基材と温度応答性高分子で構成されるグラフト共重合体が得られる。グラフト共重合体とは、幹となる単量体単位の所々に他種の単量体単位が側鎖として配列した構造を持つ共重合体を言う。
【0032】
基材への温度応答性高分子のグラフト結合について説明する。
基材には、ポリプロピレン製の不織布(PP不織布)を用いる。先ず、平均孔径10μmのPP不織布(ミリポア社製)に、アルゴン雰囲気下でプラズマを照射する。その後、これを脱気した3%アクリルアミド水溶液/メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)中に浸漬し、60℃の水浴中で重合反応(グラフト重合)を行う。次に、アルゴン雰囲気下でプラズマを照射した後、これを脱気した5%アクリル酸水溶液/メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)中に浸漬し60℃の水溶液中でグラフト重合する。
系内に大気を導入した後、反応容器からグラフト済PP不織布を取り出し、水−メタノール(1:1)混合溶媒で洗浄する。その後、グラフト済PP不織布を真空乾燥させ、IPN型の高分子を作製する。
【0033】
以下、このアクチュエータにシャッタ機構を付加し、シャッタ機構の開閉を調節する実施形態について説明する。
図3の各図に示すように、シャッタ機構4は、各々対応する部位に複数(ここでは18個)の開口11a,12aが形成された開口板11,12から構成される。開口板12は不図示の壁面等に固定され、伸縮構造1の上端部に開口板11が接続されている。伸縮構造1の伸縮により、開口板11が、固定された開口板12に対して上下方向に自在にスライドする。
【0034】
発熱源10が、上記した閾値である所定温度T0より低い温度T1である場合、図3(a)に示すように、伸縮構造1の高分子樹脂が伸張を開始することなく、アクチュエータは停止している。このとき、開口板11,12は、互いに開口11a,12aを塞ぎ合う状態で重なっており、シャッタ機構4は閉じられている。
【0035】
発熱源10が、上記した閾値である所定温度T0を超える温度T2に昇温すると、図3(b)に示すように、伸縮構造1の高分子樹脂が伸張し始め、アクチュエータは動作を開始する。このとき例えば、開口板12に対して開口板12が伸縮構造1の伸張により若干押し上げられ、開口11a,12aがある程度重なり合った開口状態となり、シャッタ機構4は所定の開度(例えば半開)となる。
【0036】
発熱源10が、温度T2を超える温度T3に昇温すると、図3(c)に示すように、伸縮構造1の高分子樹脂が更に伸張する。このとき例えば、開口板12に対して開口板12が伸縮構造1の更なる伸張により押し上げられ、開口11a,12aが例えば完全に重なり合った開口状態となり、シャッタ機構4は全開となる。
【0037】
発熱源10が温度T3から降温して温度T2となれば、シャッタ機構4は図3(b)と同じ半開状態となり、更に降温して温度T0を下回れば、シャッタ機構4は図3(a)と同じ閉状態となる。
【0038】
このように、本実施形態によるアクチュエータは、発熱源10の温度が所定温度T0より低いときには動作せずにシャッタ機構4は閉じている。そして、発熱源10の温度が所定温度T0以上で温度T2以下のときには、シャッタ機構4は開度0%から開度100%までの範囲で連続的に、当該温度に対応した開度にきめ細かく設定される。本実施形態では、シャッタ機構4により例えば冷却風を取り入れる場合を想定すれば、発熱源10を最大量の冷却風で冷却することを要する温度を温度T3に規定し、このときに開度が100%となるように開口板11,12を設置する。これにより、発熱源10の温度に応じたきめ細かな温度調節が可能となる。
【0039】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態によるアクチュエータを適用した電子機器であるコンピュータを開示する。
図4は、第2の実施形態によるコンピュータを複数重ねて収納する電子機器用ラックを示す模式図であり、(a)が正面図、(b)が側面図である。図5は、第2の実施形態によるコンピュータの内部構成の概略を示す模式図である。
【0040】
ラック20は、図4に示すように、床板20a上に筐体20cが載置固定されてなる。ラック20の筐体20cの内部に複数のコンピュータ21が積載されており、筐体20cの下面には所定の通気口が設けられている。コンピュータ21は、前面で吸気して背面で排気する構成を採る電子機器である。筐体20cの内部において、各コンピュータ21の背面に対向する位置には、複数の吸入ファン22が設置されている。
【0041】
ラック20においては、いわゆる床下空調を導入している。吸入ファン22を稼働して、図4の矢印で示すように、床板20aの流入口20bから流入する冷却風を筐体20cの内部に吸入し、各コンピュータ21の前面から背面へ冷却風を供給し、筐体20cに形成された各流出口20dから流出させる。
【0042】
コンピュータ21は、図5に示すように、筐体31内に、CPU等である発熱源10、ハードディスクドライブ(HDD)32、及び第1の実施形態によるシャッタ機構を備えたアクチュエータ30等が設けられている。
コンピュータ21の筐体31の前面には、冷却風の流入機構33が配されており、流入機構33には冷却風の流入口33aが形成されている。
【0043】
アクチュエータ30は、第1の実施形態で説明したように、伸縮構造1、貯留槽2、ヒートパイプ3、及びシャッタ機構4を備えている。
伸縮構造1は、中空とされた蛇腹状の金属バネ内に温度応答性の高分子樹脂が充填されている。伸縮構造1は、下端部が作動液である液体Lを貯蔵する貯留槽2に浸漬し、上端部がシャッタ機構4の開口板11と接続されている。
シャッタ機構4の開口板12は、コンピュータ21の筐体31の前面に設置固定されており、シャッタ機構4により冷却風の流出が調節される。
【0044】
図3を用いて説明したように、アクチュエータ30では、シャッタ機構4は開度0%から開度100%までの範囲で連続的に、発熱源10の温度に対応した開度にきめ細かく設定される。本実施形態では、発熱源10の温度に応じて、アクチュエータ30においてシャッタ機構4の開度が調節されて、コンピュータ21の筐体31内を通過する冷却風量を自動的に制御する。ラック20内に積載された各コンピュータ21は、各々の使用状態に応じて発熱量が異なる。本実施形態では、吸入ファン22を一定の回転速度で稼動させたままで、当該回転速度を制御する機構を設けることなく、アクチュエータ30によって各コンピュータ21ごとに冷却風量を自動調節する。これにより、各コンピュータ21の温度は、それぞれ動作推奨温度範囲内の適温に制御される。このように本実施形態では、簡素な構成で各コンピュータ21の消費電力量を抑え、運転コストの低い温度調節が実現する。
【0045】
なお、本実施形態では、コンピュータ21における冷却風の流出側にアクチュエータ30を設置し、冷却風の流出量を調節することでコンピュータ21の筐体31内を通過する冷却風量を制御する形態を例示した。この形態のみならず、コンピュータ21における冷却風の流入側にアクチュエータ30を設置し、冷却風の流入量を調節することでコンピュータ21の筐体31内を通過する冷却風量を制御するようにしても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 伸縮構造
2 貯留槽
3 ヒートパイプ
4 シャッタ機構
10 発熱源
11,12 開口板
11a,12a 開口
20 ラック
20a 床板
20b,33a 流入口
20d 流出口
21 コンピュータ
22 吸入ファン
31,20c 筐体
32 HDD
33 流入機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、発熱源となる電子部品と、アクチュエータとを備えており、
前記アクチュエータは、
温度応答性の高分子樹脂を有し、所定温度以上となると液体を吸い込んで伸張し、前記所定温度を下回ると吸い込んだ前記液体を脱液して収縮する伸縮構造と、
前記筐体の壁面に設けられ、前記筐体内を外気と通ずる開口を有し、前記開口の開度が調節自在とされたシャッタ機構と
を含み、
前記伸縮構造の伸縮により前記シャッタ機構の前記開口の開度を調節することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記伸縮構造は、少なくとも一部が中空の弾性部材を有し、前記弾性部材中に前記高分子樹脂が配されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記液体を貯留し、前記伸縮構造の一端部が前記液体に浸漬するように設置された貯留槽を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
温度応答性の高分子樹脂を有する伸縮構造を備え、
前記伸縮構造は、所定温度以上となると液体を吸い込んで伸張し、前記所定温度を下回ると吸い込んだ前記液体を脱液して収縮することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
前記伸縮構造は、少なくとも一部が中空の弾性部材を有し、前記弾性部材中に前記高分子樹脂が配されることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
開口を有し、前記開口の開度が調節自在とされたシャッタ機構を更に含み、
前記伸縮構造の伸縮により前記シャッタ機構の前記開口の開度を調節することを特徴とする請求項4又は5に記載のアクチュエータ。
【請求項1】
筐体内に、発熱源となる電子部品と、アクチュエータとを備えており、
前記アクチュエータは、
温度応答性の高分子樹脂を有し、所定温度以上となると液体を吸い込んで伸張し、前記所定温度を下回ると吸い込んだ前記液体を脱液して収縮する伸縮構造と、
前記筐体の壁面に設けられ、前記筐体内を外気と通ずる開口を有し、前記開口の開度が調節自在とされたシャッタ機構と
を含み、
前記伸縮構造の伸縮により前記シャッタ機構の前記開口の開度を調節することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記伸縮構造は、少なくとも一部が中空の弾性部材を有し、前記弾性部材中に前記高分子樹脂が配されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記液体を貯留し、前記伸縮構造の一端部が前記液体に浸漬するように設置された貯留槽を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
温度応答性の高分子樹脂を有する伸縮構造を備え、
前記伸縮構造は、所定温度以上となると液体を吸い込んで伸張し、前記所定温度を下回ると吸い込んだ前記液体を脱液して収縮することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
前記伸縮構造は、少なくとも一部が中空の弾性部材を有し、前記弾性部材中に前記高分子樹脂が配されることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
開口を有し、前記開口の開度が調節自在とされたシャッタ機構を更に含み、
前記伸縮構造の伸縮により前記シャッタ機構の前記開口の開度を調節することを特徴とする請求項4又は5に記載のアクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2011−199016(P2011−199016A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64282(P2010−64282)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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