説明

アクティブタグ

【課題】長期間使用しない場合において電池の浪費を低減することのできるアクティブタグを提供する。
【解決手段】無線通信を行うアクティブタグ10は、制御回路110、LF受信回路120及びUHF送信回路各回路140のそれぞれと電池150とが非接続状態である場合において操作ボタン180が押下されると、操作ボタン180に付された導電性接着シート15が、各回路と接続された接続線190の開放端190aと電池150と接続された接続線1901開放端191aとの双方に接着し、電池150と各回路とを接続状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブタグに関し、特に、内蔵電池の長寿命化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、部屋への入退出管理を行う個人認証システムとして、アクティブタグと、当該アクティブタグから送信される信号を受信して所有者の認証を行うリーダとから構成されているものがある。
【0003】
この個人認証システムを構成するアクティブタグは、常時、内蔵電池(以下、電池という。)からの電力供給を受けている。この電池は、タグ内に埋設されていて容易に交換することができないので、電池の寿命がタグの寿命に直結する。そのため、電池の長寿命化が強く要望されている。
【0004】
電池の長寿命化を図るための技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、アクティブタグがリーダと通信を行わない場合には、リーダとの通信の開始、終了を制御するための制御信号を受信する受信回路だけを駆動させ、他の回路を停止させておくことで電池の消費電力の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−72706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、通常、アクティブタグは、送受信回路が電池に電気的に接続された状態で製造が完了する。そのため、上記の特許文献1の技術を用いても、受信回路には電力の供給がされているので、製造が完了した以降において電池の電力を消費し続けていることとなる。
【0007】
つまり、製造後出荷までの間のように長時間使用しない状態であっても、電池の電力を消費してしまうこととなる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、長期間使用しない場合において電池の浪費を抑制することのできるアクティブタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、アクティブタグであって、電池から無線回路に至る配線路が一部欠落され、当該欠落部に対向するアクティブタグ表面部に当該欠落部に向けて押下するボタン部を有し、当該ボタン部を押下することで、ボタン部底面に付された導電性シートが前記欠落部に添着されて、前記配線路を導通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この構成によると、アクティブタグは、電池と無線回路に至る導通路が一部欠落している状態、つまり電池と無線回路とが非接続状態である場合においてボタン部が押下され前記導通路が導通しない限り、電池と無線回路とが接続状態となることはない。これにより、当該アクティブタグは、長期間使用しないで放置しても電池の浪費を抑制することができる。
【0010】
ここで、前記欠落部は、前記配線路のうち、前記電池に接続された導電路の第1の開放端と、前記無線回路に接続された導電路の第2の開放端との間に存在し、前記導電性シートは、前記第1の開放端及び前記第2の開放端の双方から離間した状態を保って配置されるとしてもよい。
【0011】
この構成によると、アクティブタグは、ボタン部底面の導電性シートは、第1及び第2の開放端と離間した状態を保って配置しているので、確実に電池と無線回路とを非接続状態に保つことができる。
【0012】
ここで、前記基板の主表面には、ゆるやかに凹んだ凹部が設けられており、前記導電性シートには、導電性の接着部材が付着しており、前記第1の開放端及び第2の開放端が凹部内まで延長されており、前記導電性シートが、前記第1の開放端及び第2の開放端を結ぶ線分を含むように前記凹部の表面に添着するとしてもよい。
【0013】
この構成によると、アクティブタグの基板には、凹部により、さらに、確実に電池と無線回路とを非接続状態に保つことができる。
ここで、前記凹部の平面視形状が、前記第1の開放端と前記第2の開放端とを結ぶ線分と平行な2辺を含む矩形状であるとしてもよい。
【0014】
この構成によると、アクティブタグの利用者は、どの方向に導電性シートが接着すれば、電池と無線回路とが接続状態になるかを凹部の形により知ることができる。
ここで、前記ボタン部の上面には、前記第1の開放端と前記第2の開放端とを結ぶ線分の向きを示すマークが付されているとしてもよい。
【0015】
この構成によると、アクティブタグの利用者は、どの方向に導電性シートが接着すれば、電池と無線回路とが接続状態になるかをマークにより知ることができる。
ここで、前記基板は、さらに、アクティブタグ本体の動作制御を行う制御回路を有しており、前記制御回路が有する入力端子と接続された接続線の第3の開放端及び出力端子と接続された接続線の第4の開放端が、前記凹部内まで延長されており、前記導電性シートは、前記第1の開放端から前記第4の開放端のうち前記第1及び前記第2の開放端のみを接続する形状をなしており、前記ボタン部の底面には、さらに、前記入力端子及び前記出力端子を接続するための導電性部材が、前記導電性シートとの絶縁状態を保って設けられており、前記導電性シートが前記第1及び前記第2の開放端を接続するよう添着した後、前記ボタン部が再度押下されることで、前記第3及び前記第4の開放端が前記導電性部材により接続して信号を流すことで操作指示を与えるとしてもよい。
【0016】
この構成によると、アクティブタグのボタン部は、電池と無線回路とを接続状態にするために用いるだけではなく、回路に指示を与えるボタンとしても利用することができる。
ここで、前記基板には、当該アクティブタグの動作を制御し、且つ前記無線回路と前記第2の開放端との間の配線路に制御回路を有し、前記電池と前記制御回路との間の配線路とは別の配線路が、前記第1の開放端と前記第2の開放端とから形成される配線路とは並列となるように配線され、前記別の配線路において、前記第1の開放端と前記第2の開放端とが非接続状態である場合には前記電池と前記制御回路とを非接続状態にし、前記第1の開放端と前記第2の開放端とが接続状態である場合において前記制御回路から電気信号が印加されると前記電池と前記制御回路とを接続状態とするスイッチ回路が配されたとしてもよい。
【0017】
この構成によると、アクティブタグは、電池と無線回路とを別の経路にて安定的に電力を供給することができる。
ここで、前記スイッチ回路を第1のスイッチ回路とし、前記無線回路は、LF周波数帯で信号を受信する受信回路を含み、第2のスイッチ回路が、前記第1の開放端と前記電池との配線路上であって、前記別の配線路の接続点と前記電池との間に配されており、前記第2のスイッチ回路は、前記電池が前記配線路及び前記別の配線路それぞれを介して前記無線回路に電力を供給している場合において、前記受信回路が外部装置から電池からの電力供給を停止する旨の命令を受信すると、前記接続点と前記電池との間を非導通とし、前記接続点と前記電池との間を非導通である場合には、前記受信回路が受信した無線信号を起電力として前記接続点と前記電池との間を導通する としてもよい。
【0018】
この構成によると、アクティブタグの第2のスイッチ回路は、電池と無線回路とが接続状態である場合において外部装置から電池からの電力供給を停止する旨の命令を受信すると、電池と無線回路とを非接続とする。これにより、アクティブタグを再度長時間使用しない場合には、電池と無線回路とを非接続の状態とするので、さらなる電池の浪費を防ぐことができる。
【0019】
また、受信回路が受信した無線信号を起電力として、非接続状態を接続状態へと切り替えるので、再度利用したい場合には電池と無線回路との接続を容易におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】アクティブタグ10とリーダ20との構成を示すブロック図である。
【図2】(a)はアクティブタグ10の外観を示す斜視図であり、(b)は平面図である。
【図3】(a)は操作ボタン180の押下前の状態についてx−x’方向の断面を拡大した断面図であり、(b)は操作ボタン180の押下中の状態についてx−x’方向の断面を拡大した断面図であり、(c)操作ボタン180の押下を止めた後の状態についてx−x’方向の断面を拡大した断面図である。
【図4】(a)はアクティブタグ10の分解斜視図であり、(b)は分解側面図である。
【図5】起動信号300及び識別信号310のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】アクティブタグ10の動作を示す流れ図である。
【図7】個人認証システム1の動作を示す流れ図である。
【図8】凹部の変形例を示す図である。
【図9】操作ボタンの構造の変形例を示す(a)斜視図、(b)平面図である。
【図10】(a)は操作ボタン180の押下前の状態についてx−x’方向の断面を拡大した断面図であり、(b)は操作ボタン180の押下中の状態についてx−x’方向の断面を拡大した断面図であり、(c)操作ボタン180の押下を止めた後の状態についてx−x’方向の断面を拡大した断面図である。
【図11】操作ボタンの構造の変形例において、(a)は表面板11について基体12と対向する面から見た平面図であり、(b)は主表面からみた平面図である。
【図12】操作ボタンの構造の変形例において、(a)は分解斜視図であり、(b)は分解側面図である。
【図13】アクティブタグ1100とリーダ1200との構成を示すブロック図である。
【図14】アクティブタグ1100の動作を示す流れ図である。
【図15】個人認証システム2の動作を示す流れ図である。
【図16】アクティブタグ2100とリーダ2200との構成を示すブロック図である。
【図17】スイッチオフ信号2400のデータ構造の一例を示す図である。
【図18】アクティブタグ2100の動作を示す流れ図である。
【図19】個人認証システム3の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.第1の実施の形態
1.1 概要
本実施の形態に係るアクティブタグ10は、長時間使用しない場合(例えば製造されてから出荷されるまでの間)においては、電池と各回路とを非接続状態としておいて電池からの電力供給を行わず、操作ボタンが押下されることで電池と各回路とを接続して電池からの電力を供給するものである。
【0022】
1.2 構成
以下、本実施の形態に係るアクティブタグ10を含んで構成される個人認証システム1の概略を図1に示す。
【0023】
個人認証システム1は、図1に示すように、アクティブタグ10とリーダ20とから構成される。ここで、リーダ20は、アクティブタグ10に対して低周波数帯(LF帯、例えば、135kHz帯)の起動信号を発信する。一方、アクティブタグ10は、当該LF信号を受信すると起動し、リーダ20に対して、自装置のID番号に関する情報を含む高周波数帯(UHF帯、例えば、426MHz帯)の識別信号を返信する。なお、この識別信号は、特定小電力UHF信号からなる。
【0024】
なお、リーダ20は、壁などに設置され電力は外部電源(図示せず)から供給されている。また、アクティブタグ10は、内蔵する電池150を電源とする。
(1)アクティブタグ10
アクティブタグ10は、図1に示すように、制御回路110と、LF受信回路120と、UHF送信回路140と、電池150と、操作ボタン180とを含む。
【0025】
アクティブタグ10本体は、図2(a)に示すように、表面板11と、回路基板100と電池150とが配置された基体12とからなり、基体12内の回路基板100及び電池150を覆い隠すように表面板11と基体12とを重ね合わせている。回路基板100には、制御回路110、LF受信回路120及びUHF送信回路140が組み込んである。
【0026】
表面板11は、ユーザが押下すると、押下方向へ湾曲する絶縁性の素材からなる。
(1−1)LF受信回路120
LF受信回路120は、リーダ20から送信されるLF信号を受信する。ここで、LF受信回路120は、アンテナA11を介してリーダ20から受信したLF信号を復調して起動信号を取得する。
【0027】
LF受信回路120は、取得したLF信号に対して誤まり検出処理を行った後に、当該LF信号の中に起動信号を示すデータが存在するか否かを確認する。
ここで、LF受信回路120は、受信したLF信号の中に起動信号を示すデータが存在すると認識すると、LF信号が起動信号であると認識し、制御回路110及びUHF送信回路140を起動する。そして、LF受信回路120は、更に、起動信号の中からリーダ20のID番号の情報を抽出して制御回路110に出力する。そして、LF受信回路120は、識別信号の送信が完了した旨の送信完了信号を制御回路110から受け取ると、再び、制御回路110及びUHF送信回路140を停止する。これにより、アクティブタグ10全体の消費電力の低減を図っている。
【0028】
なお、アンテナA11は、3つの独立したコイル(図示せず)を互いに直交する形で配置してなる3軸構成のアンテナである。これによりは、アクティブタグ10のリーダ20に対する向きによって受信感度が大きく変動するのを抑制することができる。
【0029】
(1−2)UHF送信回路140
UHF送信回路140は、UHF帯の識別信号をアンテナA12を介してリーダ20へUHF信号を送信する。この識別信号は、制御回路110から入力される識別情報を示す信号でUHF帯のキャリア信号を変調したものに相当する。
【0030】
なお、アンテナA12は、微小ループアンテナである。これにより、近くに人体があっても送信特性への影響を少なくすることができる。
(1−3)制御回路110
制御回路110は、CPU及びメモリ(図示せず)を備え、LF受信回路120及びUHF送信回路140の制御を行う。
【0031】
制御回路110は、LF受信回路120で抽出されたリーダ20のID番号の情報を受け取ると、アクティブタグ10のID番号等の識別情報を示す信号を生成してUHF送信回路140へ出力する。
【0032】
制御回路110は、識別信号の送信を完了すると、送信完了信号をLF受信回路120に通知する。
(1−4)電池150と各回路との接続構成
操作ボタン180は表面板11の一部領域に描かれたマークである。
【0033】
アクティブタグ10は、電池150と回路基板100とが非接続状態、つまり電池150と各回路(制御回路110、LF受信回路120、UHF送信回路140)とが非接続状態である場合において、操作ボタン180を表すマーク(以下、「ボタンマーク180」として記述する。)が押下されると、電池150と各回路とが接続状態となり、各回路に電池150から電力が供給されるよう構成されている。
【0034】
以下、その構成について説明する。
図2(a)、(b)それぞれはアクティブタグ10の外観を示す斜視図、及び平面図である。また、図3(a)はボタンマーク180を押下する前の状態、図3(b)はボタンマーク180を押下している状態、及び図3(c)はボタンマーク180の押下を止めて元に戻った状態それぞれについて、図2(b)で示すx−x’方向での断面を拡大した断面図である。さらには、図4(a)はアクティブタグ10の分解斜視図であり、図4(b)は分解側面図である。
【0035】
ボタンマーク180は、図2(a)、(b)、図4(a)に示すように、表面板11上において、回路基板100と接続された導電路190の一端(開放端)190aと、電池150と接続された導電路191の一端(開放端)191aとを覆う位置に円形状に描かれており、さらに開放端190aと開放端191aを結ぶ線分の方向を示すマーク(ここでは、両方向矢印のマーク)が円形状内に描かれている(図2(a)、図3(a)参照)。
【0036】
さらには、図3(a)、図4(a)、(b)に示すように、ボタンマーク180の基体12に対向する面には、導電性接着シート15が付されている。導電性接着シート15が開放端190a、191aと接着するために導電性接着シート15の基体12に対向する面には接着部材が付着している。なお、接着部材は、導電性のものであればよい。また、表面板11と導電性接着シート15とは、導電性接着シート15の基体12に対向する面に付着している接着部材の接着強度より弱い接着強度の接着部材により接着している。
【0037】
また、基体12において、導電性接着シート15と対向する位置には、すり鉢状になめらかに凹んだ凹部12aが設けられている。また、開放端190a、191aが凹部12a内まで延長されている(図3(a)、図4(a)、(b)参照)。ここで、すり鉢状の大きさは、少なくとも導電性接着シート15で覆われるくらいの大きさである。さらに、導電性接着シート15と凹部12aの表面とが接触しないように、表面板11の基体12に対向する面には突部11a、11bが設けられている(図3(a)、図4(b)参照)。これにより、ボタンマーク180を押下することなしに、導電性接着シート15と凹部12aとの接着、つまりは電池150と各回路との接続はされないことを確実に保証している。
【0038】
このような構成を有することで、ボタンマーク180が押下されると、押下位置が押下方向に湾曲して、導電性接着シート15が凹部12a、つまり開放端190a、191aと接着することができる(図3(b)参照)。そして、ユーザがボタンマーク180の押下を止めると、湾曲していた表面板11の押下位置(ボタンマーク180)が湾曲状態から元の状態に戻ろうとする復元力により当該導電性接着シート15と表面板11とは離れることとなる(図3(c))。
【0039】
また、ボタンマーク180内には両方向矢印のマークが付されているので、ユーザは、ボタンマーク180を押下しながら、この方向に沿ってなぞることで、導電性接着シート15と開放端190a、191aとの接着をより確かなものとすることができる。
【0040】
(2)リーダ20
リーダ20は、図1に示すように、制御回路210と、LF送信回路220と、UHF受信回路230とを含んで構成される。
【0041】
(2−1)LF送信回路220
LF送信回路220は、制御回路210から入力される起動信号を用いて変調したLF信号をアンテナA11を介してアクティブタグ10に送信する。
【0042】
(2−2)UHF受信回路230
UHF受信回路230は、アクティブタグ10から発信され、アンテナA22を介してアクティブタグ10から受信したUHF信号を復調して得られたID番号を含む識別信号を制御回路210に入力する。
【0043】
(2−3)制御回路210
制御回路210は、CPU及びメモリ(図示せず)を備え、LF送信回路220及びUHF受信回路230を制御する。
【0044】
ここで、制御回路210は、アクティブタグ10を起動させるための起動信号を生成し、LF送信回路220に入力する。また、制御回路210は、UHF受信回路230からアクティブタグ10のID番号に関する情報を含む識別信号が入力されると、認証処理を行う。この認証処理とは、例えば、リーダ20が入室が制限された部屋の入り口に設置されている場合、アクティブタグ10のID番号を照合して、当該アクティブタグ10の所持者が入室を許可できる者であるか否かを判別する処理である。
【0045】
更に、制御回路210は、認証処理で得られたデータを、リーダ20に接続された上位装置(例えば、ID番号を管理するサーバ等)に送信する。
1.3 信号のデータ構造
以下、本実施の形態に係る個人認証システム1で用いられる起動信号300及び識別信号310のデータ構造について、図5を用いて説明する。
【0046】
(1)起動信号300
起動信号300は、図5(a)に示すように、プリアンブル(PR)301と、ユニークワード(UW)302と、起動パターン(WAKE)303と、リーダ20のID番号からなる識別情報(ID1)304と、誤り検出符号(CRC)305とを有している。
【0047】
ここで、プリアンブル301は、起動信号の始まりを示すビット列(同期符号)であり、ユニークワード302は、いわゆるフレーム同期信号である。また、誤り検出符号305は、アクティブタグ10側で受信した起動信号に誤りが発生しているか否かを検出するためのビット列である。そして、起動パターン(WAKE)303は、LF信号が起動信号であることを識別するためのビット列のパターンある。なお、リーダ20の識別情報(ID1)304は、リーダ20の制御回路210に含まれるメモリ(図示せず)に予め記憶されている。
【0048】
(2)識別信号310
識別信号310は、図5(b)に示すように、プリアンブル(PR)311と、ユニークワード(UW)312と、リーダ20のID番号からなる識別情報(ID1)313と、アクティブタグ10のID番号からなる識別情報(ID2)314と、誤り検出符号(CRC)315とを有している。
【0049】
識別情報(ID1)313は、アクティブタグ10から発信された識別信号を受信したリーダ20が、受信した識別信号が自装置宛ての信号か否かを判別するために用いられる。また、識別情報(ID2)314は、リーダ20が自装置宛てに送信された識別信号がどのアクティブタグ10から送信されたものかを識別するために用いられる。
【0050】
ここで、プリアンブル(PR)311は、識別信号の始まりを示すビット列(同期符号)であり、ユニークワード(UW)312は、いわゆるフレーム同期信号である。また、誤り検出符号(CRC)315は、リーダ20側で受信した識別信号に誤りが発生しているか否かを検出するためのビット列である。なお、識別情報(ID2)314は、アクティブタグ10の制御回路110に含まれるメモリ(図示せず)に予め記憶されている。
【0051】
1.4 動作
本実施の形態に係るアクティブタグ10の動作について図6及び図7に基づいて説明する。
【0052】
まず、アクティブタグ10は、製造が完了した時点では電池150と各回路とは非接続状態となっている。
(1)アクティブタグ10の動作
以下、図6に示す流れ図を用いて、アクティブタグ10の動作について説明する。
【0053】
ボタンマーク180が押下されると導電性接着シート15が凹部12aに接着し(ステップS1)、電池150から供給される電力によりLF受信回路120だけが起動する(ステップS2)。
【0054】
そして、LF受信回路120は、リーダ20からアンテナA11を介してLF信号をいつでも受信できる状態で待機する(ステップS3)。
LF信号を受信した場合(ステップS3における「Yes」)、LF受信回路120は、受信したLF信号が起動信号である否かを判断する(ステップS4)。具体的には、LF受信回路120は、受信したLF信号に起動パターンWAKEが存在するか否かを判断する。
【0055】
LF信号が起動信号であると判断する場合(ステップS4における「Yes」)、LF受信回路120は、制御回路110及びUHF送信回路140を起動する(ステップS5)。
【0056】
続いて、制御回路110は、アクティブタグ10の識別情報をUHF送信回路140に入力する。UHF送信回路140は、入力された識別情報を用いて変調したUHF帯の識別信号をリーダ20に送信する(ステップS6)。
【0057】
制御回路110は、UHF信号の送信が完了すると、送信完了信号をLF受信回路120に入力する。そして、LF受信回路120は、送信完了信号が入力されると、制御回路110及びUHF送信回路140を再び停止させる(ステップS7)。その後、処理は、ステップS3に移行する。
【0058】
また、LF信号が起動信号でないと判断する場合(ステップS4における「No」)、処理は、ステップS3に移行する。
(2)個人認証システム1の動作
ここでは、個人認証システム1の動作概要について、図7に示す流れ図を用いて説明する。
【0059】
アクティブタグ10は、製造完了時からボタンマーク180が押下されるまでの間、電池150と各回路とは非接続の状態となっている。
アクティブタグ10は、ボタンマーク180が押下されると(T1)、図6に示すステップS2の動作により、LF受信回路120が起動する(T2)。
【0060】
ここで、リーダ20は、LF帯の起動信号を生成するとともに、常にアンテナA21を介して外部に当該起動信号を送出している(T21)。このとき、アクティブタグ10の所持者が、リーダ20からのLF信号の到達範囲内に侵入すると、LF受信回路120が、起動信号を受信する。
【0061】
アクティブタグ10のLF受信回路120が起動信号を受信すると、図6に示すステップS3からS5の動作により、制御回路110及びUHF送信回路140が起動される(T3)。
【0062】
アクティブタグ10は、図6に示すステップS6の動作により、識別信号をアンテナA11を介して外部(リーダ20)に送信する。そして、送信が完了すると、図6に示すステップS7の動作により、制御回路110及びUHF送信回路140が停止される(T4)。
【0063】
また、リーダ20では、識別信号を受信すると、認証処理を行う(T22)。そして、認証に成功すると、アクティブタグ10の所持者が入室を許可できる者であると特定して、ドアを開ける。認証に失敗すると、アクティブタグ10の所持者が入室を許可できる者ではないと特定して、ドアを閉めたままの状態にする。
【0064】
1.5 まとめ
以上によると、本実施の形態に係るアクティブタグは、製造終了の段階で、電池と各回路とを非接続状態としておけば、製造が完了してからアクティブタグのボタンマークが押下されるまでの間、電池150と各回路とを非接続状態で維持することができる。
【0065】
例えば、アクティブタグ10の製造後、倉庫に保管しておき、アクティブタグ10を実際に使用するときにボタンマーク180を押下することで、電池150と各回路とを接続状態とすることが可能となる。これにより、アクティブタグ10を長期間放置しても電池の消耗を抑制できるという利点がある。
【0066】
1.6 変形例
以上、実施の形態において、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態において、凹部12aの形状は円形状としたが、これに限定されない。
【0067】
例えば、図8に示すように、開放端190aと開放端191aとを結ぶ線分に沿った2辺をもつ矩形状であってよい。
矩形状にすることで、押下した後、どの方向になぞればよいかを直感的に知ることができる。
【0068】
(2)上記実施の形態では、ボタンマーク180は、電池150と各回路とを接続するためだけに用いたが、これに限定されない。
ボタンマーク180は、上記機能に加えて、アクティブタグ10の操作に用いるボタンマークとして利用してもよい。
【0069】
この場合の仕組みについて説明する。
図9(a)、(b)それぞれは、本変形例に係るアクティブタグ10Aの斜視図、平面図である。また、図10(a)、(b)及び(c)それぞれは、本変形例に係るアクティブタグ10Aのボタンマーク180を押下する前の状態、ボタンマーク180を押下している状態、及びボタンマーク180の押下を止めて元に戻った状態それぞれについて、図9(b)で示すx−x’方向での断面を拡大した断面図である。
【0070】
また、図11(a)はボタンマーク180において基体12と対向する面から見た図であり、図11(b)は図9(b)にて示す平面図のうちボタンマーク180に係る平面図である。さらには、図12(a)、(b)それぞれは、アクティブタグ10Aの分解斜視図及び分解側面図である。
【0071】
図9(a)、(b)、図12(a)に示すように、回路基板100に備えられた入力端子と接続された導電路192の一端(開放端)192aと、出力端子と接続された導電路193の一端(開放端)193aとが、開放端190a、191aと同様に、凹部12a内まで延長されている。
【0072】
また、ボタンマーク180の基体12と対向する面には、図10(a)に示すように、絶縁層17、及び導電性接着シート15の順に付されている。また、絶縁層17には、導電路16が設けられている。導電路16と導電性接着シート15とは、絶縁層17により、絶縁が保たれた状態となっている。さらには、図10(a)、図11(a)、(b)及び図12(a)、(b)に示すように、導電路16の両端は、導電性接着シート15と接しない状態で突出しており、ボタンマーク180が押下されることで、導電路16の一の端が開放端192aと、他の端と開放端193aとがそれぞれ接続する仕組みとなっている。ここで、導電性接着シート15の形状は、導電路16と接しないようにする必要があるので、図11(a)に示すように、開放端190aと開放端191aとを結ぶ線分に直交する線分をもつ形状となっている。
【0073】
アクティブタグ10Aは、上記に説明したような構成を有することで、ボタンマーク180が押下されると、導電性接着シート15が凹部12a内まで延長された開放端190a及び191aを結ぶように付着する(図10(b))。これにより、凹部12a内まで延長された開放端190a、191aとが、導電性接着シート15を介して接続される。
【0074】
また、ユーザがボタンマーク180の押下を止めると、湾曲していた表面板11の押下位置(ボタンマーク180)が湾曲状態から元の状態に戻ろうとする復元力により当該導電性接着シート15のみが表面板11と離れ、絶縁層17及び導電路16は表面板11に付着したままとなる(図10(c))。
【0075】
その後、ボタンマーク180が押下されることで、導電路16の一端が開放端192aと、他端と開放端193aとがそれぞれ接続して回路基板100に備えられた入力端子と出力端子とが導通するので、ボタンマーク180は操作用のボタンとしても活用できる。
【0076】
2.第2の実施の形態
2.1 概要
本実施の形態に係るアクティブタグ1100では、ボタンマーク180が押下された後、安定的な電力を供給する機構を備えるものである。
【0077】
2.2 構成
以下、本実施の形態に係るアクティブタグ1100を含んで構成される個人認証システム2の概略を図13に示す。以下の説明において、第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
個人認証システム2は、図13に示すように、アクティブタグ1100とリーダ1200とから構成される。
なお、アクティブタグ1100は、内蔵する電池150を電源とする。
【0079】
(1)アクティブタグ1100
アクティブタグ1100は、図13に示すように、制御回路1110と、LF受信回路120と、UHF送信回路140と、電池150と、ボタンマーク180と、スイッチ1300とを含んで構成される。
【0080】
以下、第1の実施の形態とは異なる制御回路1110と、スイッチ1300とについて説明する。
(1−1)スイッチ1300
スイッチ1300は、図13に示すように、その一端が各回路と開放端190aとを接続する導電路に接続され、他端が電池150と開放端191aとを接続する導電路に接続されており、ボタンマーク180で形成される導電路と並列の関係となるよう設けられている。
【0081】
スイッチ1300は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)とソリッドステートリレースイッチ(以下、端にスイッチという。)とから構成された回路である。
【0082】
スイッチは、制御回路1110から入力された電圧が続く限りオンの状態となり、電圧が入力されない場合にはオフの状態となるものである。
つまり、スイッチ1300は、制御回路1110から電力が入力されると、ASICの機能により入力された電圧はスイッチへ出力することで、電池150と各回路とを接続する。
【0083】
(1−2)制御回路1110
制御回路1110は、第1の実施の形態で示す機能に加えて、以下の機能をも有する。
制御回路1110は、電池150と接続された後、電池150からの電圧が入力されると降圧してからスイッチ1300に入力する降圧回路(図示せず)を備えている。制御回路1110は、ボタンマーク180が押下された後に電池150と接続されると、電池150から入力される電圧を降圧してスイッチ1300に入力し続ける。
【0084】
2.3 信号
本実施の形態で用いる信号は、第1の実施の形態で用いる信号(起動信号、識別信号)と同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0085】
2.4 動作
本実施の形態に係るアクティブタグ1100の動作について、図14及び図15に基づいて説明する。
【0086】
以下において、アクティブタグ1100の動作と個人認証システム2の動作とに分けて説明する。
(1)アクティブタグ1100の動作
以下、図14に示す流れ図を用いて、アクティブタグ1100の動作について説明する。
【0087】
ボタンマーク180が押下されると導電性接着シート15が凹部12aに接着し(ステップS51)、電池150から供給される電力によりLF受信回路120及び制御回路1110が起動する(ステップS52)。このとき、スイッチ1300もオン状態となっており、電池150は、スイッチ1300を介しても電力の供給を行っている。
【0088】
そして、LF受信回路120は、リーダ20からアンテナA11を介してLF信号をいつでも受信できる状態で待機する(ステップS53)。
LF信号を受信した場合(ステップS53における「Yes」)、LF受信回路120は、受信したLF信号が起動信号である否かを判断する(ステップS54)。具体的には、LF受信回路120は、受信したLF信号に起動パターンWAKEが存在するか否かを判断する。
【0089】
LF信号が起動信号であると判断する場合(ステップS54における「Yes」)、LF受信回路120は、UHF送信回路140を起動する(ステップS55)。
続いて、制御回路1110は、アクティブタグ1100の識別情報をUHF送信回路140に入力する。UHF送信回路140は、入力された識別情報を用いて変調したUHF帯の識別信号をリーダ20に送信する(ステップS56)。
【0090】
制御回路1110は、UHF信号の送信が完了すると、送信完了信号をLF受信回路120に入力する。そして、LF受信回路120は、送信完了信号が入力されると、UHF送信回路140を再び停止させる(ステップS57)。その後、処理は、ステップS53に移行する。
【0091】
また、LF信号が起動信号でないと判断する場合(ステップS54における「No」)、処理は、ステップS53に移行する。
(2)個人認証システム2の動作
ここでは、個人認証システム2の動作概要について、図15に示す流れ図を用いて説明する。
【0092】
アクティブタグ1100は、製造完了時からボタンマーク180が押下されるまでの間、電池150と各回路とは非接続の状態となっている。
アクティブタグ1100は、ボタンマーク180が押下されると(T51)、図14に示すステップS52の動作により、LF受信回路120及び制御回路1110が起動する(T52)。このとき、スイッチ1300もオン状態となっており、電池150は、スイッチ1300を介しても電力の供給を行っている。
【0093】
ここで、リーダ20は、LF帯の起動信号を生成するとともに、常にアンテナA21を介して外部に当該起動信号を送出している(T121)。このとき、アクティブタグ1100の所持者が、リーダ20からのLF信号の到達範囲内に侵入すると、LF受信回路120が、起動信号を受信する。
【0094】
アクティブタグ1100のLF受信回路120が起動信号を受信すると、図14に示すステップS53からS55の動作により、UHF送信回路140が起動される(T53)。
【0095】
アクティブタグ1100は、図14に示すステップS56の動作により、識別信号をアンテナA11を介して外部(リーダ20)に送信する。そして、送信が完了すると、図14に示すステップS57の動作により、UHF送信回路140が停止される(T54)。
【0096】
また、リーダ20では、識別信号を受信すると、認証処理を行う(T122)。そして、認証に成功すると、アクティブタグ1100の所持者が入室を許可できる者であると特定して、ドアを開ける。認証に失敗すると、アクティブタグ1100の所持者が入室を許可できる者ではないと特定して、ドアを閉めたままの状態にする。
【0097】
2.5 まとめ
以上により、本実施の形態に係るアクティブタグ1100は、ボタンマーク180が押下されると、導電性接着シート15で形成される導電路とは異なる導電路により電池150からの電力が供給される。
【0098】
導電性接着シート15では、接着の強度によっては接続状態となってからしばらくするとその強度が弱まり、開放端190a、191bから剥がれてしまうおそれがある。そこで、スイッチ1300により安定的な電力を供給することで、導電性接着シート15が開放端190a、191bから剥がれてしまっても、電池150から各回路への電力の供給を継続することができる。
【0099】
3.第3の実施の形態
3.1 概要
本実施の形態に係るアクティブタグ2100では、第2の実施の形態で示す機構を備えるとともに、ボタンマーク180が押下された後、再度電池150からの供給を停止する機構を備える。
【0100】
3.2 構成
以下、本実施の形態に係るアクティブタグ2100を含んで構成される個人認証システム2の概略を図16に示す。以下の説明において、第1及び第2の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0101】
個人認証システム2は、図16に示すように、アクティブタグ1100とリーダ2200とから構成される。ここで、リーダ2200は、アクティブタグ2100に対してLF周波数帯で起動信号及びスイッチオフ信号を発信する。ここで、スイッチオフ信号は、電池150と各回路とを非接続にする指示を内容とする信号である。一方、アクティブタグ2100は、当該LF信号を受信すると、リーダ20に対して識別信号を返信する。また、スイッチオフ信号を受信すると、電池150と各回路とを非接続にする。
【0102】
なお、リーダ2200は、壁などに設置され電力は外部電源(図示せず)から供給されている。また、アクティブタグ2100は、内蔵する電池150を電源とする。
(1)アクティブタグ2100
アクティブタグ2100は、図16に示すように、制御回路2110と、LF受信回路2120と、UHF送信回路140と、電池150と、ボタンマーク180と、スイッチ1300、2300とを含んで構成される。
【0103】
以下、第1及び第2の実施の形態とは異なる制御回路2110と、LF受信回路2120と、スイッチ2300とについて説明する。
(1−1)LF受信回路2120
LF受信回路2120は、 リーダ2200から送信されるLF信号を受信し、受信したLF信号を復調して起動信号やスイッチオフ信号を取得する。
【0104】
LF受信回路2120は、取得したLF信号に対して誤まり検出処理を行った後に、当該LF信号の中に起動信号を示す起動パターンWAKEやスイッチオフ信号を示すスイッチオフパターンDOFFが存在するか否かを確認する。
【0105】
ここで、LF受信回路2120は、LF信号の中に起動パターンWAKEが存在すると認識すると、LF信号が起動信号であると認識し、UHF送信回路140を起動する。そして、LF受信回路2120は、更に、起動信号の中からリーダ20のID番号の情報を抽出して制御回路110に出力する。そして、LF受信回路2120は、識別信号の送信が完了した旨の送信完了信号を制御回路2110から受け取ると、再び、UHF送信回路140を停止する。これにより、アクティブタグ2100全体の消費電力の低減を図っている。
【0106】
また、LF受信回路2120は、LF信号の中にスイッチオフパターンDOFFが存在すると認識すると、LF信号がスイッチオフ信号であると認識し、制御回路2110に対してスイッチオフコマンドを通知する。
【0107】
さらに、LF受信回路2120は、受信したLF信号(起動信号)により得られた電力を起電力として作動する。LF信号の電力で作動した場合には、LF受信回路2120は、さらに、制御回路2110を起動させるとともに、スイッチオンコマンドを起動した制御回路2110に対して通知する。
【0108】
(1−2)制御回路2110
制御回路2110は、第1及び第2の実施の形態で示す機能に加えて、以下の機能をも有する。
【0109】
制御回路2110は、LF受信回路2120からスイッチオフコマンドを受け取ると、当該スイッチオフコマンドを、スイッチ2300へ出力する。
また、制御回路2110は、LF受信回路2120からスイッチオンコマンドを受け取ると、当該スイッチオンコマンドを、スイッチ2300へ出力する。
【0110】
(1−3)スイッチ2300
スイッチ2300は、図16に示すように、導電路190上において、開放端191a及びスイッチ1300と直列に接続されるよう設けられている。
【0111】
スイッチ2300は、通常はオン状態、つまり電池と開放端191a及びスイッチ1300とが接続された状態になっている。
スイッチ2300は、制御回路2110からスイッチオフコマンドを受け取ると、オフ状態、つまり電池と、開放端191a及びスイッチ1300とを非接続状態にする。
【0112】
スイッチ2300は、制御回路2110からスイッチオンコマンドを受け取ると、オン状態、つまり電池と開放端191a及びスイッチ1300とを接続状態にする。
(2)リーダ2200
リーダ2200は、図16に示すように、制御回路2210と、LF送信回路2220と、UHF受信回路230とを含んで構成される。
【0113】
以下、第1及び第2の実施の形態とは異なる制御回路2210と、LF送信回路2220とについて説明する。
(2−1)LF送信回路2220
LF送信回路2220は、制御回路2210から入力される起動信号を用いて変調したLF信号をアンテナA11を介してアクティブタグ2100に送信する。
【0114】
また、LF送信回路2220は、制御回路2210から入力されるスイッチオフ信号を用いて変調したLF信号をアンテナA11を介してアクティブタグ2100に送信する。
(2−2)制御回路2210
制御回路2210は、CPU及びメモリ(図示せず)を備え、LF送信回路2220及びUHF受信回路230を制御する。
【0115】
ここで、制御回路2210は、起動信号を生成し、LF送信回路2220に入力する。また、制御回路2210は、UHF受信回路230からアクティブタグ10のID番号に関する情報を含む識別信号が入力されると、認証処理を行う。
【0116】
制御回路2210は、認証処理で得られたデータを、リーダ2200に接続された上位装置(例えば、ID番号を管理するサーバ等)に送信する。
また、リーダ2200は、アクティブタグ2100において電池150と各回路とを非接続とするためのスイッチオフ信号を送信する機能を有する。ここにおいて、ユーザがリーダ2200に対して所定の操作を行うと、LF送信回路2220を介して、スイッチオフ信号を送信する。
【0117】
3.3 信号のデータ構造
以下、本実施の形態に係る個人認証システム3で用いられるスイッチオフ信号2400のデータ構造について、図17を用いて説明する。なお、個人認証システム3で用いられる起動信号、識別信号は、第1の実施の形態と同一のデータ構造であるので、ここでの説明は省略する。
【0118】
スイッチオフ信号2400は、図17に示すように、プリアンブル(PR)2401と、ユニークワード(UW)2402と、電源オフパターン(DOFF)2403と、リーダ20のID番号からなる識別情報(ID1)2404と、誤り検出符号(CRC)2405とを有している。
【0119】
ここで、プリアンブル2401は、起動信号の始まりを示すビット列(同期符号)であり、ユニークワード2402は、いわゆるフレーム同期信号である。また、誤り検出符号2405は、アクティブタグ2100側で受信した起動信号に誤りが発生しているか否かを検出するためのビット列である。そして、電源オフパターン(DOFF)2403は、LF信号が電池150と各回路とを非接続にさせるためのスイッチオフ信号であることを識別するためのビット列のパターンある。なお、リーダ2200の識別情報(ID1)2404は、リーダ2200の制御回路2210に含まれるメモリ(図示せず)に予め記憶されている。
【0120】
3.4 動作
本実施の形態に係るアクティブタグ2100の動作について図18及び図19に基づいて説明する。
【0121】
以下において、アクティブタグ1100の動作と個人認証システム2の動作とに分けて説明する。
(1)アクティブタグ2100の動作
以下、図18に示す流れ図を用いて、アクティブタグ2100の動作について説明する。
【0122】
ボタンマーク180が押下されると導電性接着シート15が凹部12aに接着し(ステップS251)、電池150から供給される電力によりLF受信回路2120及び制御回路2110が起動する(ステップS252)。このとき、スイッチ1300もオン状態となっており、電池150は、スイッチ1300を介しても電力の供給を行っている。
【0123】
そして、LF受信回路2120は、リーダ2200からアンテナA11を介してLF信号をいつでも受信できる状態で待機する(ステップS253)。
LF信号を受信した場合(ステップS253における「Yes」)、LF受信回路2120は、受信したLF信号が起動信号である否かを判断する(ステップS254)。具体的には、LF受信回路2120は、受信したLF信号に起動パターンWAKEが存在するか否かを判断する。
【0124】
LF信号が起動信号であると判断する場合(ステップS254における「Yes」)、LF受信回路2120は、UHF送信回路140を起動する(ステップS255)。
続いて、制御回路2110は、アクティブタグ2100の識別情報をUHF送信回路140に入力する。UHF送信回路140は、入力された識別情報を用いて変調したUHF帯の識別信号をリーダ2200に送信する(ステップS256)。
【0125】
制御回路2110は、UHF信号の送信が完了すると、送信完了信号をLF受信回路2120に入力する。そして、LF受信回路2120は、送信完了信号が入力されると、UHF送信回路140を再び停止させる(ステップS57)。その後、処理は、ステップS253に移行する。
【0126】
一方、LF信号が起動信号でないと判断する場合(ステップS254における「No」)、LF受信回路2120は、受信したLF信号がスイッチオフ信号であるか否かを判断する(ステップS258)。具体的には、LF受信回路2120は、受信したLF信号にスイッチオフパターンDOFFが存在するか否かを判断する。
【0127】
LF信号がスイッチオフ信号でないと判断する場合(ステップS258における「No」)、処理は、ステップS253に移行する。
一方、LF信号がスイッチオフ信号であると判断する場合(ステップS258における「Yes」)、LF受信回路2120は、制御回路2110を介してスイッチ2300にスイッチオフコマンドを入力する。そして、スイッチ2300は、オフ状態となる(ステップS259)。
【0128】
なお、スイッチ2300がオフ状態の場合、つまりLF信号の電力を起電力とする場合には、図18で示す流れ図において、ステップS251で示す「ボタンマーク押下」の代わりに「LF信号を受信」に変更し、ステップS252の処理の実行後にスイッチ2300のスイッチをオンにする処理を追加することで、実現できる。
【0129】
(2)個人認証システム3の動作
ここでは、個人認証システム3の動作概要について、図19に示す流れ図を用いて説明する。
【0130】
アクティブタグ2100は、製造完了時からボタンマーク180が押下されるまでの間、電池150と各回路とは非接続の状態となっている。
アクティブタグ2100は、ボタンマーク180が押下されると(T251)、図18に示すステップS252の動作により、LF受信回路2120及び制御回路2110が起動する(T52)。このとき、スイッチ1300もオン状態となっており、電池150は、スイッチ1300を介しても電力の供給を行っている。
【0131】
ここで、リーダ2200は、LF帯の起動信号を生成するとともに、常にアンテナA21を介して外部に当該起動信号を送出している(T2121)。このとき、アクティブタグ2100の所持者が、リーダ2200からのLF信号の到達範囲内に侵入すると、LF受信回路2120が、起動信号を受信する。
【0132】
アクティブタグ2100のLF受信回路2120が起動信号を受信すると、図18に示すステップS253からS255の動作により、UHF送信回路140が起動される(T253)。
【0133】
アクティブタグ2100は、図18に示すステップS256の動作により、識別信号をアンテナA11を介して外部(リーダ2200)に送信する。そして、送信が完了すると、図18に示すステップS257の動作により、UHF送信回路140が停止される(T254)。
【0134】
また、リーダ2200では、識別信号を受信すると、認証処理を行う(T2122)。そして、認証に成功すると、アクティブタグ2100の所持者が入室を許可できる者であると特定して、ドアを開ける。認証に失敗すると、アクティブタグ2100の所持者が入室を許可できる者ではないと特定して、ドアを閉めたままの状態にする。
【0135】
その後、ユーザ操作により、リーダ2200は、スイッチオフ信号を生成し、アンテナA21を介して外部に送信する(T2123)。
アクティブタグ2100は、スイッチオフ信号を受信すると、図18に示すステップS258、S259の動作により、スイッチ2300がオフの状態になる(T255)。
【0136】
一方、LF帯の起動信号を生成するとともに、常にアンテナA21を介して外部に当該起動信号を送出している(T2124)。このとき、アクティブタグ2100の所持者がリーダ2200からのLF信号の到達範囲内に侵入すると、スイッチ2300がオフの状態であるアクティブタグ2100が送出された起動信号の電力を起電力としてLF受信回路2120及び制御回路2110を起動し(T256)、スイッチ2300のスイッチがオンの状態となる(T257)。その後、アクティブタグ2100は、例えば、受信した起動信号を用いて、図19に示すT253、T254の動作を実行し、リーダ2200はT2122を実行する。なお、再びスイッチオフ信号を受信しない限り、電池150と各回路とは接続状態を保ったままである。
【0137】
3.5 まとめ
以上により、本実施の形態に係るアクティブタグ2100は、製造が完了してからボタンマーク180が押下されるまでの間の電池150の消耗を防ぐだけでなく、例えばボタンマーク180の押下後で長時間使用しない場合において、スイッチ2300をオフの状態とすることで、さらなる電池150の消耗を防ぐことができる。
【0138】
3.6 変形例
以上、実施の形態において、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記第3の実施の形態において、LF受信回路2120は、制御回路2110を介してスイッチオフコマンド及びスイッチオンコマンドをスイッチ2300に対して通知したが、これに限定されない。
【0139】
LF受信回路2120は、スイッチオフコマンド及びスイッチオンコマンドを、直接スイッチ2300に対して通知してもよい。
(2)上記第3の実施の形態において、アクティブタグ2100は、スイッチ2300がオフ状態である場合、起動信号の電力を起電力としてLF受信回路2120及び制御回路2110を起動させると、直ちにスイッチ2300をオン状態にしたが、これに限定されない。
【0140】
アクティブタグ2100は、起動信号の電力を起電力としてLF受信回路2120及び制御回路2110を起動させた後、さらにリーダ2200からスイッチ2300をオンにする旨のLF帯の信号を受信するとスイッチ2300をオン状態にしてもよい。
【0141】
4.その他の変形例
以上、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は上記の実施に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
【0142】
(1)上記各実施の形態では、起動信号に起動パターンのみが含まれる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、起動信号を送信する期間や回数などを含むものであってもよい。
【0143】
この場合、起動制御部が、起動信号から送信時間等を取り出し、制御回路に指示することになる。
(2)上記各実施の形態では、アクティブタグの各構成が別個の回路で構成される例について説明したが、これに限定されるものではない。
【0144】
例えば、アクティブタグの複数の構成の全部又は一部を、1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよい。
これにより、アクティブタグの小型化を図ることができる。
【0145】
(3)上記各実施の形態において、導電性接着シート15を基体12の凹部12aに接着させる機構としてボタンを用いたが、これに限定されない。
導電性接着シート15を凹部12aに対して押し込むことで、凹部12aに接着させる機構であればよい。
【0146】
(4)上記各実施の形態で説明した制御回路、LF受信回路及びUHF送信回路を含む各回路の機能を実現するための処理をCPUに実行させる為のプログラムは、記録媒体に記録して頒布することもできる。この記録媒体としては、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。頒布されたプログラムは、機器におけるCPUで読み取り可能なメモリ等に格納され、その機器のCPUがそのプログラムを実行することにより各実施の形態で示した各機能を実現できる。
【0147】
(5)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【符号の説明】
【0148】
1、2、3 個人認証システム
10、1100、2100 アクティブタグ
15 導電性接着シート
20、1200、2200 リーダ
100、1100 回路基板
110、2110、2120 制御回路
120 LF受信回路
140 UHF送信回路
150 電池
180 操作ボタン(ボタンマーク、ボタン部)
210、2210 制御回路
220、2220 LF送信回路
230 UHF受信回路
1300 スイッチ回路
2300 スイッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池から無線回路に至る配線路が一部欠落され、当該欠落部に対向するアクティブタグ表面部に当該欠落部に向けて押下するボタン部を有し、当該ボタン部を押下することで、ボタン部底面に付された導電性シートが前記欠落部に添着されて、前記配線路を導通する
ことを特徴とするアクティブタグ。
【請求項2】
前記欠落部は、前記配線路のうち、前記電池に接続された導電路の第1の開放端と、前記無線回路に接続された導電路の第2の開放端との間に存在し、
前記導電性シートは、前記第1の開放端及び前記第2の開放端の双方から離間した状態を保って配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブタグ。
【請求項3】
前記基板の主表面には、ゆるやかに凹んだ凹部が設けられており、
前記導電性シートには、導電性の接着部材が付着しており、
前記第1の開放端及び第2の開放端が凹部内まで延長されており、
前記導電性シートが、前記第1の開放端及び第2の開放端を結ぶ線分を含むように前記凹部の表面に添着する
ことを特徴とする請求項2に記載のアクティブタグ。
【請求項4】
前記凹部の平面視形状が、前記第1の開放端と前記第2の開放端とを結ぶ線分と平行な2辺を含む矩形状である
ことを特徴とする請求項3に記載のアクティブタグ。
【請求項5】
前記ボタン部の上面には、前記第1の開放端と前記第2の開放端とを結ぶ線分の向きを示すマークが付されている
ことを特徴とする請求項2に記載のアクティブタグ。
【請求項6】
前記基板は、さらに、アクティブタグ本体の動作制御を行う制御回路を有しており、
前記制御回路が有する入力端子と接続された接続線の第3の開放端及び出力端子と接続された接続線の第4の開放端が、前記凹部内まで延長されており、
前記導電性シートは、前記第1の開放端から前記第4の開放端のうち前記第1及び前記第2の開放端のみを接続する形状をなしており、
前記ボタン部の底面には、さらに、前記入力端子及び前記出力端子を接続するための導電性部材が、前記導電性シートとの絶縁状態を保って設けられており、
前記導電性シートが前記第1及び前記第2の開放端を接続するよう添着した後、前記ボタン部が再度押下されることで、前記第3及び前記第4の開放端が前記導電性部材により接続して信号を流すことで操作指示を与える
ことを特徴とする請求項3に記載のアクティブタグ。
【請求項7】
前記基板には、当該アクティブタグの動作を制御し、且つ前記無線回路と前記第2の開放端との間の配線路に制御回路を有し、
前記電池と前記制御回路との間の配線路とは別の配線路が、前記第1の開放端と前記第2の開放端とから形成される配線路とは並列となるように配線され、
前記別の配線路において、前記第1の開放端と前記第2の開放端とが非接続状態である場合には前記電池と前記制御回路とを非接続状態にし、前記第1の開放端と前記第2の開放端とが接続状態である場合において前記制御回路から電気信号が印加されると前記電池と前記制御回路とを接続状態とするスイッチ回路が配された
ことを特徴とする請求項2に記載のアクティブタグ。
【請求項8】
前記スイッチ回路を第1のスイッチ回路とし、
前記無線回路は、LF周波数帯で信号を受信する受信回路を含み、
第2のスイッチ回路が、前記第1の開放端と前記電池との配線路上であって、前記別の配線路の接続点と前記電池との間に配されており、
前記第2のスイッチ回路は、
前記電池が前記配線路及び前記別の配線路それぞれを介して前記無線回路に電力を供給している場合において、前記受信回路が外部装置から電池からの電力供給を停止する旨の命令を受信すると、前記接続点と前記電池との間を非導通とし、
前記接続点と前記電池との間を非導通である場合には、前記受信回路が受信した無線信号を起電力として前記接続点と前記電池との間を導通する
ことを特徴とする請求項7に記載のアクティブタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−133546(P2012−133546A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284609(P2010−284609)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】