説明

アクリロニトリル製造用触媒及びその製造方法

【課題】良好なアクリロニトリル選択率を維持し、且つ、アクリロニトリルを高収率で得ることのできるアクリロニトリル製造用触媒を提供すること。
【解決手段】プロピレンのアンモ酸化反応に用いられるアクリロニトリル製造用触媒であって、以下の組成式(1)
MoBiFeNiSb(1)
(式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、f=0.1〜3、n=4〜10、s=0.01〜3、w=0〜3、q=0.1〜2、a=0.01〜0.5、e=0〜3であり、xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。)で表される複合金属酸化物を含み、
CuKα線をX線源として得られるX線回折パターンにおいて、2θ=26.5±0.3°の位置に現れるNiMoOの回折ピーク(h)の強度Phに対する、2θ=35.0±0.3°に現れる鉄アンチモネートの回折ピーク(i)の強度Piの比Ri=Pi/PhがRi≦0.05であり、
前記強度Phに対する、2θ=53.2±0.3°に現れる鉄アンチモネートの回折ピーク(j)の強度Pjの比Rj=Pj/PhがRj≦0.03である
アクリロニトリル製造用触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレンをアンモニア及び酸素と気相接触反応させてアクリロニトリルを製造する際に用いられるアクリロニトリル製造用触媒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレンをアンモニアの存在下に分子状酸素によって気相接触酸化してアクリロニトリルを製造する方法は、「アンモ酸化プロセス」として広く知られており、現在、工業的規模で実施されている。
工業的規模で一層効率的に実施することを目指し、アンモ酸化プロセスに用いる触媒について種々の検討が進められている。アンモ酸化用触媒としては、Mo−Bi−Fe系、Fe−Sb系、Mo−Bi−Fe−Ni系等の複合金属酸化物からなるものが知られているが、性能の向上を目指して、これらの必須金属にその他の成分を加えた組成も多く検討されている。
例えば、特許文献1には、モリブデン、ビスマス、鉄、アンチモン、ニッケル、クロム及びカリウムに加え、その他成分を添加した触媒が開示されている。
また、各金属成分の結晶構造も触媒性能に影響すると考えられており、特許文献2〜4には、触媒中に鉄アンチモネートFeSbOが結晶相として存在する触媒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4159729号公報
【特許文献2】特許第3142549号公報
【特許文献3】特許第3680115号公報
【特許文献4】特許第3796132号公報
【特許文献5】特許第3875011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献に開示された触媒について本発明者が検討したところ、鉄アンチモネートを含有する触媒は、アクリロニトリルの選択率が高いこと等、種々の利点を有するものの、収率の点では満足できるものとは言えないことが分かった。また、鉄アンチモネートの調製には極めて高い温度を要する他、触媒調製時に鉄アンチモネートを高分散化するために複雑な工程を要するという問題もある。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、良好なアクリロニトリル選択率を有し、且つ、アクリロニトリルを高収率で得ることのできるアクリロニトリル製造用触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、プロピレンのアンモ酸化反応に用いるモリブデン、ビスマス、鉄、ニッケル、クロム及び/又はインジウムを含有する触媒について鋭意検討した結果、これらの成分に加えてさらにSbを含有し、Sb成分が触媒中に高分散された触媒が、高いアクリロニトリルの選択率及び高いアクリロニトリル収率を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
プロピレンのアンモ酸化反応に用いられるアクリロニトリル製造用触媒であって、以下の組成式(1)
MoBiFeNiSb(1)
(式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、f=0.1〜3、n=4〜10、s=0.01〜3、w=0〜3、q=0.1〜2、a=0.01〜0.5、e=0〜3であり、xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。)で表される複合金属酸化物を含み、
CuKα線をX線源として得られるX線回折パターンにおいて、2θ=26.5±0.3°の位置に現れるNiMoOの回折ピーク(h)の強度Phに対する、2θ=35.0±0.3°に現れる鉄アンチモネートの回折ピーク(i)の強度Piの比Ri=Pi/PhがRi≦0.05であり、
前記強度Phに対する、2θ=53.2±0.3°に現れる鉄アンチモネートの回折ピーク(j)の強度Pjの比Rj=Pj/PhがRj≦0.03である
アクリロニトリル製造用触媒。
[2]
以下の組成式(1)
MoBiFeNiSb(1)
(式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、f=0.1〜3、n=4〜10、s=0.01〜3、w=0〜3、q=0.1〜2、a=0.01〜0.5、e=0〜3であり、xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。)で表される複合金属酸化物を含むアクリロニトリル製造用触媒の製造方法であって、
(i)金属成分を含有する原料スラリーを調製する工程、
(ii)前記原料スラリーを噴霧乾燥する工程、及び
(iii)前記噴霧乾燥により得られた噴霧乾燥粒子を焼成する工程、
を有し、
前記工程(i)が、Sb、Mo、W及び過酸化水素を含む溶液を調製する工程と、前記溶液とSb、Mo及びW以外の金属成分とを混合する工程と、を含む製造方法。
[3]
以下の組成式(1)
MoBiFeNiSb(1)
(式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、f=0.1〜3、n=4〜10、s=0.01〜3、w=0〜3、q=0.1〜2、a=0.01〜0.5、e=0〜3であり、xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。)で示される複合金属酸化物を有するアクリロニトリル製造用触媒の製造方法であって、
(i)金属成分を含有する原料スラリーを調製する工程、
(ii)前記原料スラリーを噴霧乾燥する工程、及び
(iii)前記噴霧乾燥により得られた噴霧乾燥粒子を焼成する工程、
を有し、
前記工程(i)が、Sbと、酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)とを含む溶液を調製する工程と、前記溶液とSb以外の金属成分とを混合する工程と、を含む製造方法。
[4]
前記酒石酸の添加量が、得られる触媒の量に対して2〜15質量%である、上記[3]記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアクリロニトリル製造用触媒は、プロピレンのアンモ酸化反応において、良好なアクリロニトリル選択率及び高い収率でアクリロニトリルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1、4、5、12、14、比較例1、2の触媒XRD回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施の形態」という。)について説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0011】
本実施の形態のアクリロニトリルの製造用触媒は、
プロピレンのアンモ酸化反応に用いられるアクリロニトリル製造用触媒であって、以下の組成式(1)
MoBiFeNiSb(1)
(式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、f=0.1〜3、n=4〜10、s=0.01〜3、w=0〜3、q=0.1〜2、a=0.01〜0.5、e=0〜3であり、xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。)で表される複合金属酸化物を含み、
CuKα線をX線源として得られるX線回折パターンにおいて、2θ=26.5±0.3°の位置に現れるNiMoOの回折ピーク(h)の強度Phに対する、2θ=35.0±0.3°に現れる鉄アンチモネートの回折ピーク(i)の強度Piの比Ri=Pi/PhがRi≦0.05であり、
前記強度Phに対する、2θ=53.2±0.3°に現れる鉄アンチモネートの回折ピーク(j)の強度Pjの比Rj=Pj/PhがRj≦0.03である
アクリロニトリル製造用触媒。
【0012】
本実施の形態のアクリロニトリル製造用触媒は、以下の組成式(1)で表される複合金属酸化物を有する。
MoBiFeNiSb(1)
【0013】
式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示す。
【0014】
m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、好ましくは0.2〜2、より好ましくは0.3〜1、f=0.1〜3、好ましくは0.5〜2.5、より好ましくは1.0〜2.0、n=4〜10、好ましくは4.5〜8、より好ましくは5〜6、s=0.01〜3、好ましくは0.05〜2、より好ましくは0.1〜1、w=0〜3、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1、q=0.1〜2、好ましくは0.1〜1.5、より好ましくは0.1〜1.0、a=0.01〜0.5、好ましくは0.04〜0.4、より好ましくは0.08〜0.3、e=0〜3、好ましくは1〜3、より好ましくは2〜3を示す。
【0015】
xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。
【0016】
組成式(1)で表される複合金属酸化物は各金属が複合した酸化物であり、Mo、Bi、Fe、Niに加え、アンチモン(Sb)を含有する。アンチモンを含有する触媒は、含有しないものと比較して、アクリロニトリルの製造反応を連続して実施する場合の収率が高くなる傾向にある。
【0017】
また、アクリロニトリルの選択率向上の観点から、アンチモンは触媒中に高分散していることが好ましい。ここで、アンチモンが触媒中に高分散している場合、触媒中のアンチモンの存在は後述する触媒のX線回折により確認することは困難であるが、蛍光X線(XRF)等の方法により確認することができる。
【0018】
本実施の形態におけるアクリロニトリル製造用触媒は、効率的な作用及び特性を得るために不可欠な成分Q(クロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素)を含有する。クロムを単独で用いる場合は、成分Qの原子比を示すqが1を超えないことが好ましい。また、成分Qの量は鉄に対する相対含量、すなわち、q/(q+f)が0.7以下になるように決定することが好ましく、0.5以下になるように決定することがより好ましく、0.3以下になるように決定することがさらに好ましい。
【0019】
本実施の形態における触媒は、任意成分としてタングステン(W)を含む。タングステンは触媒の反応活性及び選択率の向上効果を得るために、Moの原子比m=10〜14に対してw=0〜3の範囲で含有することができる。
【0020】
本実施の形態における触媒は、プロピレンからのアクリロニトリルへの高い選択率を達成するために、成分A(カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素)を含有する。ただし、成分Aの原子比を示すa=0.01〜0.5であり、この範囲を超えて成分Aを含有する触媒は、プロピレンの反応活性が低くなる傾向にある。成分Aとしてルビジウム又はセシウムを含有する場合は、カリウムを含有する場合よりも少ない原子比でアクリロニトリルの選択率が高い傾向にある。
【0021】
本実施の形態における触媒は、任意成分E(マンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素)を含む。成分Eは、触媒の反応活性、触媒性能の安定化及び劣化の抑制に影響する。成分Eは、マンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる二種以上の元素であることが好ましく、少なくともマグネシウム及びセリウムを含む二種以上の元素であることがより好ましい。マグネシウム及びセリウムを含む二種以上の元素を含有することで、複合金属酸化物の結晶構造を安定化することができると推定される。
【0022】
本実施の形態におけるアクリロニトリル製造用触媒は、Fe及びSbを含有するが、鉄アンチモネートの結晶相は確認できない。本発明者らは、Fe及びSbを含有し、かつSbが触媒中に高分散されていることで、アクリロニトリルの選択率が高いことを見出した。鉄アンチモネートは、CuKα線をX線源として得られるX線回折パターンにおいて、2θ=35.0±0.3°、及び、2θ=53.2±0.3°に回折ピークを示す。2θ=35.0±0.3°の位置に現れる回折ピークは、鉄アンチモネートの(101)に相当し、2θ=53.2±0.3°の位置に現れる回折ピークは、鉄アンチモネートの(211)に相当する。
【0023】
本実施の形態における触媒はX線回折パターンにおいてこれらのピークを示さない。これは、鉄アンチモネートを含有しないか、含有していても高分散状態であって、結晶を確認できないためと考えられる。本実施の形態においては、これらのピークを示さないことの定義は、次のとおりとする。すなわち、2θ=26.5±0.3°の位置に現れる回折ピーク(h)の強度Phに対する2θ=35.0±0.3°に現れる回折ピーク(i)の強度Piの比Ri=Pi/PhがRi≦0.05であり、強度Phに対する2θ=53.2±0.3°に現れる回折ピーク(j)の強度Pjの比Rj=Pj/PhがRj≦0.03であることにより、鉄アンチモネートの結晶相に由来するピークを示さないと定義する。
【0024】
2θ=26.5±0.3°の位置に現れる回折ピークは、NiMoOの(220)に相当する。本実施の形態における触媒はNiMoOのピークを示すので、この強度を基準とし、鉄アンチモネートに相当するピークの強度比Riが0.05以下であり、Rjが0.03以下である場合に、鉄アンチモネートを含まないか、含有していても高分散状態であると判断する。なお、判断基準とするRi及びRjの値は、鉄アンチモネートのX線回折ピークにおいてそれぞれ2θ=53.2±0.3°、2θ=26.5±0.3°に現れるピークの強度に基づいて設定している。鉄アンチモネートのピークは2θ=35.0±0.3°と、2θ=53.2±0.3°の2ヶ所に現れるので、Riが0.05以下であり、Rjが0.03以下であることを指標とするが、他の金属成分に由来するピークがこれらのいずれかの位置に現れる場合も想定される。しかし、鉄アンチモネートを含有するのであれば、前述の2ヶ所にピークが現れるので、その内の1ヵ所のみに現れたピークは「鉄アンチモネート」に由来する物ではないと判断することができる。つまり、「鉄アンチモネート」に由来する2θ=35.0±0.3°及び2θ=53.2±0.3°を指標としているのであって、このうち1ヵ所のピークの強度比が上述の指標より大きい場合、すなわち、「Ri≦0.05かつRj>0.03」又は「Ri>0.05かつRj≦0.03」である場合、鉄アンチモネートを含まないか、含有していても高分散状態であると判断(定義)する。
【0025】
本実施の形態における触媒には、Sbが高分散されており、Sbの単独酸化物の結晶相に由来するピークを示さないのが好ましい。Sbの単独酸化物としてはSb、Sb及びSbが知られており、X線回折パターンにおけるこれらのピークは次のとおりである。

2θ 強度比
Sb2O3 28.38±0.3° 100
28.60±0.3° 75
50.53±0.3° 20

Sb2O4 27.45±0.3° 100
35.02±0.3° 70
53.50±0.3° 65

Sb2O5 24.92±0.3° 100
28.96±0.3° 80
30.53±0.3° 90
36.11±0.3° 70

FeSbO4 27.21±0.3° 100
35.01±0.3° 71
53.25±0.3° 56

これらのうち、30.53±0.3°〜53.5±0.3°の位置に現れるピークが無いことを、Sbの単独酸化物を含有しないか、含有しても高分散であることの指標にすることができる。
【0026】
X線回折パターンの測定条件を次に示す。
X線源:CuKα1+CuKα2
検出器:シンチレーションカウンター
分光結晶:グラファイト
管電圧:40kV
管電流:150mA
発散スリット:1°
散乱スリット:1°
受光スリット:0.15mm
スキャン速度:1°/分
サンプリング幅:0.02°
スキャン法:2θ/θ法
XRDのピーク検出、解析にはMaterial Data. Inc.のJade 6.5.19を用いることができる。
【0027】
アクリロニトリルの製造を工業的に実施する場合、触媒は十分な強度を有していることが望ましいので、上述の複合金属酸化物は担体に担持されているのが好ましい。担体の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、シリカアルミナ及びシリカチタニア等が挙げられる。このうちアクリロニトリル収率の観点から、シリカ担体が好ましい。シリカに担持された触媒は、流動層アンモ酸化反応において優れた流動性を有する。耐摩耗性の観点から、複合金属酸化物とシリカの合計量に対して、シリカ含有量が40質量%以上であることが好ましい。また十分な触媒活性及び良好な選択率を示す観点から、シリカ含有量が60質量%以下であることが好ましい。
【0028】
本実施の形態におけるアクリロニトリル製造用触媒の製造方法は、
以下の組成式(1)
MoBiFeNiSb(1)
(式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、f=0.1〜3、n=4〜10、s=0.01〜3、w=0〜3、q=0.1〜2、a=0.01〜0.5、e=0〜3であり、xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。)で表される複合金属酸化物を含むアクリロニトリル製造用触媒の製造方法であって、
(i)金属成分を含有する原料スラリーを調製する工程、
(ii)前記原料スラリーを噴霧乾燥する工程、及び
(iii)前記噴霧乾燥により得られた噴霧乾燥粒子を焼成する工程、
を有し、
前記工程(i)が、Sb、Mo、W及び過酸化水素を含む溶液を調製する工程と、前記溶液とSb、Mo及びW以外の金属成分とを混合する工程と、を含む製造方法である。
【0029】
また、本実施の形態における別のアクリロニトリル製造用触媒の製造方法は、
以下の組成式(1)
MoBiFeNiSb(1)
(式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、f=0.1〜3、n=4〜10、s=0.01〜3、w=0〜3、q=0.1〜2、a=0.01〜0.5、e=0〜3であり、xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。)で示される複合金属酸化物を有するアクリロニトリル製造用触媒の製造方法であって、
(i)金属成分を含有する原料スラリーを調製する工程、
(ii)前記原料スラリーを噴霧乾燥する工程、及び
(iii)前記噴霧乾燥により得られた噴霧乾燥粒子を焼成する工程、
を有し、
前記工程(i)が、Sbと、酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)とを含む溶液を調製する工程と、前記溶液とSb以外の金属成分とを混合する工程と、を含む製造方法である。
【0030】
本実施形態の製造方法においては、触媒中にSbを高分散させる観点から、予めSbを含む溶液を調製しておく。本実施の形態において「溶液」とは、それに含まれる化合物が溶媒に溶解した状態になっていることにより、濁り、沈殿物が無い状態であることを意味する。濁り、沈殿物が無い状態であることは、目視で確認できる。
【0031】
Sb化合物は一般的には難溶性であるため、以下の(a)又は(b)の方法によりSbを含む溶液を調製する。
Sb化合物以外に
(a)Mo化合物、W化合物及び過酸化水素を加えて80℃〜沸点以下で加熱することにより、Sb、Mo、W及び過酸化水素を含む溶液を調製する。
(b)酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)を加えて80℃〜沸点以下で加熱することにより、Sb及び酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素水)を含む溶液を調製する。
以下、(a)及び(b)の方法について説明する。
【0032】
(a)Sb、Mo、W及び過酸化水素を含む溶液を調製する方法
(a)の方法は、触媒に含まれるSb、Mo及びWの量に相当するSb化合物、Mo化合物及びW化合物並びに過酸化水素を水に加え、80℃〜沸点以下で加熱することにより、Sb、Mo、W及び過酸化水素を含む溶液を調製する方法である。添加の順序は特に制限されず、Sb化合物、Mo化合物、W化合物及び過酸化水素と水とが混合されればよい。
【0033】
溶液を調製するための水量は、Sb化合物、Mo化合物及びW化合物の量や種類に応じ、これらが十分に溶解するのに十分な量を加えればよく、特に制限されないが、好ましくは、Sb化合物、Mo化合物及びW化合物の合計質量に対して100〜200質量%である。過酸化水素はSb化合物が十分に溶解するのに十分な量を加えればよく、Sbに対して5.0倍モル量以上であることが好ましい。
【0034】
Sb化合物の例としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンが挙げられる。
【0035】
Mo化合物の例としては、パラモリブデン酸アンモニウム、ジモリブデン酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウムが挙げられる。
【0036】
W化合物の例としては、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウムが挙げられる。
【0037】
Sb、Mo、W及び過酸化水素を含む溶液が生成したことは、これを目視し、濁り、沈殿物が無く透明な状態であることによって判断することができる。Sb化合物が溶け残って濁った状態である場合、或いは沈殿物が存在する場合は、その濁り、沈殿物が見られなくなるまで過酸化水素を追加すればよい。
【0038】
Sb、Mo、W及び過酸化水素が水に溶解して透明な溶液が得られた後、酒石酸をさらに加えてもよい。酒石酸を添加すると、得られる触媒の活性と転化率が向上するというメリットがある。酒石酸を添加する態様は後述する「(b)Sb及び酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)を含む溶液を調製する方法」と重複するようにも思われるが、この態様の場合は、過酸化水素と共存するMo、Sb及びWの価数のバランスでこれらが溶解状態になってから酒石酸を添加する点で方法(b)とは異なるものである。つまり、酒石酸の添加によりSbを溶解させるのではない。酒石酸の添加量は特に限定されないが、上述のメリットを十分に得る観点から、酒石酸の添加量が、得られる触媒の質量に対して、好ましくは2〜15質量%であり、より好ましくは3〜10質量%であり、さらに好ましくは4〜8質量%である。ただし、酒石酸を添加すると、Sb/Mo/W/過酸化水素水溶液が青色に変色し、その後長期間放置しておくと沈殿物が生じてしまう場合がある。本発明者らの推定によると、この変色は酒石酸が還元剤として働き、モリブデンブルーを生成することに起因すると考えられる。このように青色に変色した場合であっても、沈殿物が生じる前にスラリー調製を完了し、後述する噴霧乾燥を行うことで、酒石酸を添加しない場合と比較して、触媒活性とアクリロニトリル選択率の向上効果を得ることができる。
【0039】
(b)Sb及び酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)を含む溶液を調製する方法
(b)の方法は、触媒に含まれるSbの量に相当するSb化合物と酒石酸を水に加えて80℃〜沸点以下で加熱することにより、Sb及び酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)を含む溶液を調製する方法である。添加の順序は特に制限されず、Sb化合物、酒石酸及び水が混合されればよい。また、Sb化合物、酒石酸及び過酸化水素と水を混合し、80℃〜沸点以下で加熱してもよい。この場合も、添加の順序は特に制限されない。
【0040】
酒石酸の添加量は、Sb化合物を溶解し均一な溶液を得ることが可能な量であれば特に限定されず、Sbに対して3.0倍モル量以上であるのが好ましい。酒石酸の添加量は、過酸化水素を併用しない場合には、活性と選択率の高い触媒を得る観点から、得られる触媒の質量に対して好ましくは2〜15質量%であり、より好ましくは3〜10質量%であり、さらに好ましくは4〜8質量%である。
【0041】
酒石酸と過酸化水素を併用する場合には、酒石酸の添加量を減らすことができる。この場合、酒石酸の添加量は、Sbに対して1.5〜3.0倍モル量であることが好ましい。酒石酸の好適な添加量は、上記(過酸化水素を併用しない場合)と同様である。
【0042】
過酸化水素の添加量は、Sbに対して1.5倍モル量以上であることが好ましい。例えば、Sbに対して1.5倍モル量の酒石酸を加えた後、透明な溶液が得られるまで過酸化水素を添加することで必要十分な酸を含む透明な水溶液を得ることができる。
【0043】
Sb化合物の例は、上述した(a)の方法で挙げた化合物と同様である。
【0044】
[工程(i)]
本実施の形態のアクリロニトリル製造用触媒の製造方法における工程(i)は、金属成分を含有する原料スラリーを調製する工程である。工程(i)においては、(a)Sb、Mo、W及び過酸化水素を含む溶液を調製した後、又は(b)Sb及び酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)を含む溶液を調製した後、この溶液とその他の金属成分とを混合し、原料(混合)スラリーを得る。以下、触媒がシリカ担体を含有する場合を例にとって、原料スラリーを調製する方法について説明する。
【0045】
アンチモン以外の触媒の各成分の原料は、水又は硝酸に可溶な塩であることが好ましい。モリブデン、ビスマス、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムの各元素の元素源としては、水又は硝酸に可溶なアンモニウム塩、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、有機酸塩、無機酸を挙げることができる。特にモリブデン、タングステンの元素源としては、それぞれのアンモニウム塩が、ビスマス、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムの元素源としては、それぞれの硝酸塩が好ましい。硝酸塩は、取扱いが容易であることに加え、塩酸塩を使用した場合に生じる塩素の残留や、硫酸塩を使用した場合に生じる硫黄の残留を生じない点でも好ましい。各成分の原料の具体例としては、パラモリブデン酸アンモニウム、硝酸ビスマス、硝酸第二鉄、硝酸ニッケル、硝酸クロム、硝酸ルビジウム、硝酸セリウム及び硝酸マグネシウム等が挙げられる。シリカ源としてはシリカゾルが好適である。その他の成分が混合されていない原料の状態におけるシリカゾルの好ましい濃度は10〜50質量%である。後述する原料スラリーの噴霧乾燥に適した濃度になるように、シリカゾル濃度が小さい場合には、添加する水溶液等の濃度を大きくし、シリカゾル濃度が大きい場合には、添加する水溶液等の濃度を小さくすることができる。
【0046】
原料混合スラリーの調製において触媒成分を混合する順序は、特に限定されないが、例えば、以下の(1)及び(2)の順序が挙げられる。
(1)シリカゾルを撹拌しながら、(a)の方法により調製されたSb、Mo、W及び過酸化水素水を含む溶液を加え、次いでSb、Mo、W以外の成分の化合物(好ましくは硝酸塩)を水性溶媒(好ましくは硝酸水溶液)に溶解した液を加える。Sb、Mo及びW以外の成分は予め混合してから水性溶媒に溶解して添加してもよいし、それぞれを水性溶媒に溶解して添加してもよい。
(2)(b)の方法により調製されたSb、酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)を含む溶液を使用する場合には、先ずシリカゾルを攪拌しながらMo及びWを含む水溶液を加え、次いでSb、Mo及びW以外の金属成分の化合物(好ましくは硝酸塩)を水性溶媒(好ましくは硝酸水溶液)に溶解した液を加え、最後に、Sb、酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)を含む水溶液を加えることができる。Sb、Mo及びW以外の金属成分の化合物はそれぞれ水性溶媒中で溶解した後、予め混合しないでシリカゾルに加えてもよいし、Sb、Mo及びW以外の金属成分の化合物の水溶液と、Sb、酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)を含む水溶液とを混合してからシリカゾルに加えてもよい。
【0047】
[工程(ii)]
本実施の形態のアクリロニトリル製造用触媒の製造方法における工程(ii)は、前記原料スラリーを噴霧乾燥する工程である。本工程においては、原料混合スラリーを噴霧乾燥することによって流動層反応に適した球形微粒子を得ることができる。噴霧乾燥装置としては、回転円盤式、ノズル式等の一般的なものでよく、条件を調節することで、流動層触媒として好ましい粒径の触媒が得られるように噴霧乾燥を行う。流動層触媒として好ましい粒径とは25〜180μmである。好ましい粒径を有する触媒粒子を得るための条件の一例を記載すると、乾燥器上部の中央に設置された、皿型回転子を備えた遠心式噴霧化装置を用い、乾燥器の入口空気温度を250℃、出口温度を135℃に保持して行う噴霧乾燥が挙げられる。
【0048】
[工程(iii)]
本実施の形態のアクリロニトリル製造用触媒の製造方法における工程(iii)は、前記噴霧乾燥により得られた噴霧乾燥粒子を焼成する工程である。噴霧乾燥粒子が硝酸を含有する場合、焼成の前に脱硝処理することが望ましい。脱硝処理は300〜450℃で0.5〜2.0時間熱処理することによって行なうことができる。本工程においては、600〜800℃、好ましくは650〜750℃、より好ましくは670〜730℃の温度で噴霧乾燥粒子を焼成して触媒を得る。焼成温度が低過ぎるとプロピレンの反応活性は大きくなるが、アクリロニトリルへの選択率が小さくなるだけではなく、耐摩耗性も減少する傾向にある。一方、焼成温度が高過ぎるとプロピレンの反応活性が減少し、かつ次式によるアンモニアの燃焼が増大する傾向にある。
【0049】
【数1】

【0050】
好適な焼成温度は、600〜800℃の範囲から、アンモ酸化反応テストの結果をみて決定することができる。焼成時間は、通常1〜5時間である。
【0051】
本実施の形態におけるアクリロニトリル製造用触媒を用いて、プロピレンをアンモニア及び分子状酸素と気相で反応(気相接触アンモ酸化反応)させて、アクリロニトリルを製造することができる。
【0052】
アンモ酸化反応の原料であるプロピレン及びアンモニアは、必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのものを使用することができる。酸素源としては通常空気を用いる。プロピレンに対するアンモニアと空気の容積比は1:0.9〜1.7:7〜11、好ましくは1:1.0〜1.5:8〜10の範囲である。
【0053】
反応温度は400〜460℃、好ましくは410〜440℃の範囲である。反応圧力は常圧〜3気圧の範囲で行なうことができる。原料混合ガスと触媒との接触時間は1〜8秒、好ましくは2〜6秒である。
【実施例】
【0054】
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
<XRDの測定方法>
マックサイエンス(株)製MXP−18A型を用いて、得られた触媒のXRDを測定した。触媒をXRD測定用の試料台の表面にある窪み(長さ20mm、幅16mmの長方形状、深さ0.2mm)に乗せ、平板状のステンレス製スパチュラを用いて押し付け、表面を平らにして試料を調製した。X線回折は以下の条件で測定した。
X線源:CuKα1+CuKα2
検出器:シンチレーションカウンター
分光結晶:グラファイト
管電圧:40kV
管電流:150mA
発散スリット:1°
散乱スリット:1°
受光スリット:0.15mm
スキャン速度:1°/分
サンプリング幅:0.02°
スキャン法:2θ/θ法
XRDのピーク検出、解析はMaterial Data.Inc.のJade6.5.19を用いて行った。実施例1、4、5、12、14、比較例1、2の触媒XRD回折パターンを図1に示した。また、各触媒のPh、Pi、Pjのピーク強度と、強度比Ri、Rjを表2に示した。ピークが検出されなかった場合は、N.D.と表記した。
【0056】
[実施例1]
50質量%のシリカに担持された下記の組成式(2)で表される複合金属酸化物を含む触媒1を以下のように製造した。
Mo11.50Bi0.36Fe1.20Ni6.20Sb0.60Cr0.40Rb0.20Mg2.50Ce0.24Ox(2)
水714.7gに357.4gのパラモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4HO〕、15.4gの三酸化二アンチモン、59.9gの30%過酸化水素水を混合し、90℃の水浴下中、約75分間攪拌して溶解した水溶液を調製し、水溶液が黄色透明で沈殿物がないことを目視で確認した。
【0057】
398.6gの16.6%硝酸水溶液に、30.7gの硝酸ビスマス〔Bi(NO33・5H2O〕、85.6gの硝酸第二鉄〔Fe(NO33・9H2O〕、319.6gの硝酸ニッケル〔Ni(NO32・6H2O〕、28.3gの硝酸クロム〔Cr(NO33・9H2O〕、18.6gの硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕、112.9gの硝酸マグネシウム〔Mg(NO32・6H2O〕及び5.2gの硝酸ルビジウム〔RbNO3〕を溶解した混合液を調製した。
1500gの30%シリカゾルを攪拌しながら、予め調製したMo及びSbを含む水溶液を加え、さらにBi等を含有する硝酸混合液を加えて攪拌した。得られた原料混合液はスラリー状であり、pHは1.1であった。スラリーの噴霧化は乾燥器上部の中央に設置された、皿型回転子を備えた遠心式噴霧化装置を用いて行なった。乾燥器の入口空気温度を250℃に、出口温度を135℃に保持してスラリーの噴霧乾燥を行なった。得られた乾燥粉体をキルンに移し、先ず350℃で1時間脱硝し、次いで660℃で1時間焼成して触媒を得た。得られた触媒をX線回折した結果、鉄アンチモネートの存在は認められなかった。
【0058】
[実施例2]
50質量%のシリカに担持された下記の組成式(3)で表される複合金属酸化物を含む触媒2を以下のように製造した。
Mo11.50Bi0.36Fe1.20Ni6.20Sb0.60W0.30Cr0.40Rb0.20Mg2.50Ce0.24Ox(3)
水696.0gに348.0gのパラモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4H2O〕、15.0gの三酸化二アンチモン、14.9gのメタタングステン酸アンモニウム〔(NH46(H21240)・6H2O〕、58.3gの30%過酸化水素水を混合し、90℃の水浴下中、約75分間攪拌して溶解した水溶液を調製し、水溶液が黄色透明で沈殿物がないことを目視で確認した。
394.3gの16.6%硝酸水溶液に、29.9gの硝酸ビスマス〔Bi(NO33・5H2O〕、83.3gの硝酸第二鉄〔Fe(NO33・9H2O〕、311.2gの硝酸ニッケル〔Ni(NO32・6H2O〕、27.5gの硝酸クロム〔Cr(NO33・9H2O〕、18.1gの硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕、109.9gの硝酸マグネシウム〔Mg(NO32・6H2O〕及び5.0gの硝酸ルビジウム〔RbNO3〕を溶解した混合液を調製した。
1500gの30%シリカゾルを攪拌しながら、予め調製したMo、Sb及びWを含む水溶液を加え、さらにBi等を含有する硝酸混合液を加えて攪拌した。得られた原料混合液はスラリー状であり、pHは1.2であった。スラリーの噴霧化は乾燥器上部の中央に設置された、皿型回転子を備えた遠心式噴霧化装置を用いて行なった。乾燥器の入口空気温度を250℃に、出口温度を135℃に保持してスラリーの噴霧乾燥を行なった。得られた乾燥粉体をキルンに移し、先ず350℃で1時間脱硝し、次いで670℃で1時間焼成して触媒を得た。得られた触媒をX線回折した結果、鉄アンチモネートの存在は認められなかった。
【0059】
[実施例3]
50質量%のシリカに担持された下記の組成式(4)で表される複合金属酸化物を含む触媒3を以下のように製造した。
Mo11.50Bi0.36Fe1.20Ni6.20Sb0.46Cr0.40Rb0.20Mg2.50Ce0.24Ox(4)
水243.6gに、15.6gの三酸化二アンチモン〔Sb3〕、61.4gの酒石酸[C]を混合し、90℃の水浴下中約5時間攪拌して溶解した水溶液を調製した。水溶液が透明で、沈殿物の無いことを目視で確認した。
1500gの30%シリカゾルに、予め水800.5gに400.2gのパラモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4H2O〕を混合し溶解した液を攪拌下に加え、予め435.3gの16.6%硝酸水溶液に、34.4gの硝酸ビスマス〔Bi(NO33・5H2O〕、95.9gの硝酸第二鉄〔Fe(NO33・9H2O〕、357.9gの硝酸ニッケル〔Ni(NO32・6H2O〕、31.7gの硝酸クロム〔Cr(NO33・9H2O〕、20.8gの硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕、126.4gの硝酸マグネシウム〔Mg(NO32・6H2O〕及び5.8gの硝酸ルビジウム〔RbNO3〕を溶解した混合液を加え、予め調製しておいたアンチモンを含む水溶液を275.3g加えた。得られた原料混合液はスラリー状であり、pHは1.2であった。スラリーの噴霧化は乾燥器上部の中央に設置された、皿型回転子を備えた遠心式噴霧化装置を用いて行なった。乾燥器の入口空気温度を250℃に、出口温度を135℃に保持してスラリーの噴霧乾燥を行なった。得られた乾燥粉体をキルンに移し、先ず350℃で1時間脱硝し、次いで680℃で1時間焼成して触媒を得た。得られた触媒をX線回折した結果、鉄アンチモネートの存在は認められなかった。
【0060】
[実施例4]
50質量%のシリカに担持された下記の組成式(3)で表される複合金属酸化物を含む触媒4を以下のように製造した。
Mo11.50Bi0.36Fe1.20Ni6.20Sb0.60W0.30Cr0.40Rb0.20Mg2.50Ce0.24Ox(3)
水759.9gに、48.7gの三酸化二アンチモン〔Sb3〕、191.4gの酒石酸[C]を混合し、90℃の水浴下中約5時間攪拌して溶解した水溶液を調製した。水溶液が透明で、沈殿物の無いことを目視で確認した。
1500gの30%シリカゾルに、予め水695.9gに348.0gのパラモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4H2O〕を混合し溶解した液を攪拌下に加え、予め394.3gの16.6%硝酸水溶液に、29.9gの硝酸ビスマス〔Bi(NO33・5H2O〕、83.3gの硝酸第二鉄〔Fe(NO33・9H2O〕、311.2gの硝酸ニッケル〔Ni(NO32・6H2O〕、27.5gの硝酸クロム〔Cr(NO33・9H2O〕、18.1gの硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕、109.9gの硝酸マグネシウム〔Mg(NO32・6H2O〕及び5.0gの硝酸ルビジウム〔RbNO3〕を溶解した混合液を加え、予め調製しておいたアンチモンを含む水溶液を312.2g加えた。得られた原料混合液はスラリー状であり、pHは1.2であった。スラリーの噴霧化は乾燥器上部の中央に設置された、皿型回転子を備えた遠心式噴霧化装置を用いて行なった。乾燥器の入口空気温度を250℃に、出口温度を135℃に保持してスラリーの噴霧乾燥を行なった。得られた乾燥粉体をキルンに移し、先ず350℃で1時間脱硝し、次いで700℃で1時間焼成して触媒を得た。得られた触媒をX線回折した結果、鉄アンチモネートの存在は認められなかった。
【0061】
[実施例5〜14]
上記実施例3(触媒3)と同様の方法により、表1に記載された組成を有する触媒5〜14を製造した。各触媒の焼成温度を表1に示した。
【0062】
[比較例1]
50質量%のシリカに担持された下記の組成式(5)で表される複合金属酸化物を含む比較触媒1を以下のように製造した。
Mo11.50Bi0.36Fe1.20Ni6.20Cr0.40Rb0.20Mg2.50Ce0.24Ox(5)
1500gの30%シリカゾルに、予め水750gに375.1gのパラモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4H2O〕を混合し溶解した液を攪拌下に加え、さらに予め368.5gの16.6%硝酸水溶液に、30.9gの硝酸ビスマス〔Bi(NO33・5H2O〕、86.1gの硝酸第二鉄〔Fe(NO33・9H2O〕、321.5gの硝酸ニッケル〔Ni(NO32・6H2 O〕、28.4gの硝酸クロム〔Cr(NO33・9H2O〕、18.7gの硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕、113.6gの硝酸マグネシウム〔Mg(NO32・6H2O〕及び5.19gの硝酸ルビジウム〔RbNO3〕を溶解した混合液を加えた。得られた原料混合液はスラリー状であり、pHは0.3であった。スラリーの噴霧化は乾燥器上部の中央に設置された、皿型回転子を備えた遠心式噴霧化装置を用いて行なった。乾燥器の入口空気温度を250℃に、出口温度を135℃に保持してスラリーの噴霧乾燥を行なった。得られた乾燥粉体をキルンに移し、先ず350℃で1時間脱硝し、次いで600℃で1時間焼成して触媒を得た。得られた触媒をX線回折した結果、比較触媒1はSbを含有しないため鉄アンチモネートの存在は認められなかった。
【0063】
[比較例2]
50質量%のシリカに担持された下記の組成式(2)で表される複合金属酸化物を含む比較触媒2を以下のように製造した。
Mo11.50Bi0.36Fe1.20Ni6.20Sb0.60Cr0.40Rb0.20Mg2.50Ce0.24Ox(2)
最初に、鉄アンチモネート原料を以下のように製造した。予めイオン交換水400gに31.2gの三酸化二アンチモン〔Sb〕、85.7gの硝酸第二鉄〔Fe(NO・9HO〕を加えて攪拌し水性スラリーを調製した。このスラリーをよく攪拌しながら25%アンモニア水を添加してpHが約2となるように調整し、液温が約90℃となるように水浴中で約3時間加熱した。スラリーの噴霧化はホットプレート上で、小型噴霧化装置を用いて行なった。ホットプレートの表面温度を200℃に保持してスラリーの噴霧乾燥を行なった。得られた乾燥粉体を乳鉢上で軽く粉砕し、先ず350℃で1時間焼成し、次いで950℃で5時間焼成した。焼成した粒子を自動ライカイ器で約10時間粉砕し、粉体を得た。得られた粉体をX線回折した結果、鉄アンチモネートの存在が認められた。この粉体を、鉄アンチモネート原料粉体とした。
【0064】
1500gの30%シリカゾルに、予め水714.8gに351.5gのパラモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4HO〕を混合し溶解した液を攪拌下に加え、予め398.5gの16.6%硝酸水溶液に、30.7gの硝酸ビスマス〔Bi(NO・5HO〕、42.8gの硝酸第二鉄〔Fe(NO・9HO〕、319.6gの硝酸ニッケル〔Ni(NO・6HO〕、28.3gの硝酸クロム〔Cr(NO・9HO〕、18.6gの硝酸セリウム〔Ce(NO・6HO〕、112.9gの硝酸マグネシウム〔Mg(NO・6HO〕及び5.16gの硝酸ルビジウム〔RbNO〕を溶解した混合液を加えた。さらに、鉄アンチモネート原料粉体を25.6g添加した。得られた原料混合液はスラリー状であり、pHは0.4であった。スラリーの噴霧化は乾燥器上部の中央に設置された、皿型回転子を備えた遠心式噴霧化装置を用いて行なった。乾燥器の入口空気温度を250℃に、出口温度を135℃に保持してスラリーの噴霧乾燥を行なった。得られた乾燥粉体をキルンに移し、先ず350℃で1時間脱硝し、次いで600℃で1時間焼成して触媒を得た。得られた触媒をX線回折した結果、鉄アンチモネートの存在が認められた。
【0065】
[参考例1]
50質量%のシリカに担持された下記の組成式(2)で表される複合金属酸化物を含む参考触媒を以下のように製造した。
Mo11.50Bi0.36Fe1.20Ni6.20Sb0.60Cr0.40Rb0.20Mg2.50Ce0.24Ox(2)
1500gの30%シリカゾルに、予め水714.7gに357.4gのパラモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4H2O〕を混合し溶解した液を攪拌下に加え、予め398.6gの16.6%硝酸水溶液に、30.7gの硝酸ビスマス〔Bi(NO33・5H2O〕、85.6gの硝酸第二鉄〔Fe(NO33・9H2O〕、319.6gの硝酸ニッケル〔Ni(NO32・6H2O〕、28.3gの硝酸クロム〔Cr(NO33・9H2O〕、18.6gの硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕、112.9gの硝酸マグネシウム〔Mg(NO・6HO〕及び5.2gの硝酸ルビジウム〔RbNO〕を溶解した混合液を加え、15.4gの三酸化二アンチモン〔Sb〕を加えた。得られた原料混合液はスラリー状であり、pHは0.8であった。スラリーの噴霧化は乾燥器上部の中央に設置された、皿型回転子を備えた遠心式噴霧化装置を用いて行なった。乾燥器の入口空気温度を250℃に、出口温度を135℃に保持してスラリーの噴霧乾燥を行なった。得られた乾燥粉体をキルンに移し、先ず350℃で1時間脱硝し、次いで610℃で1時間焼成して触媒を得た。
【0066】
なお、実施例2〜14、比較例1及び2、参考例2における触媒の製造にあたっては、Mo、Bi、Fe、Ni、Cr、Ce、Mg、Sb及びSiO2源として触媒1と同じ原料を用いた。触媒成分にタングステン、インジウム、カリウム、セシウム、マンガン、亜鉛が含まれる場合は、それぞれタングステン〔(NH46(H21240)・6H2O〕、インジウム〔In(NO33・3H2O〕、硝酸カリウム〔KNO3〕、硝酸セシウム〔CsNO3〕、硝酸マンガン〔Mn(NO32・6H2O〕、硝酸亜鉛〔Zn(NO32・6H2O〕を用いた。これらの触媒の焼成は、それぞれ表1記載の温度で行なった。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
(プロピレンのアンモ酸化反応)
10メッシュの金網を1cm間隔で12枚内蔵した内径25mmのバイコールガラス製流動層反応管に50ccの触媒1をとり、反応温度430℃、反応圧力常圧下に、プロピレン9容積%の混合ガス(プロピレン:アンモニア:酸素:ヘリウムの容積比が1:1.2:1.85:7.06)を毎秒3.64cc(NTP換算)の流速で通過させた。この反応の結果を、下記式で定義されるプロピレン転化率、アクリロニトリル選択率、アクリロニトリル収率によって評価し、それらの値を表3に示した。
【0070】
【数2】

【0071】
触媒2〜14及び比較触媒1及び2について上記と同様の反応を行なった。これらの反応は、原料混合ガスのプロピレンを9容積%、プロピレンに対するアンモニアの容積比を1:1.2に固定し、プロピレンに対する酸素の容積比を1.8〜1.9の範囲から適宜選択して行った。また、各触媒のプロピレン反応活性に応じて、次式で定義される接触時間を適宜変更した。各触媒の反応成績を表3に示す。
【0072】
【数3】


ここで、
V:触媒量(cc)
F:原料混合ガス流量(cc−NTP/sec.)
T:反応温度(℃)
【0073】
【表3】

【0074】
表3の結果から明らかなように、本実施の形態のアクリロニトリル製造用触媒(実施例1〜14)を用いることにより、プロピレンのアンモ酸化反応において、良好な選択率かつ高収率でアクリロニトリルを得ることが可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンのアンモ酸化反応に用いられるアクリロニトリル製造用触媒であって、以下の組成式(1)
MoBiFeNiSb(1)
(式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、f=0.1〜3、n=4〜10、s=0.01〜3、w=0〜3、q=0.1〜2、a=0.01〜0.5、e=0〜3であり、xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。)で表される複合金属酸化物を含み、
CuKα線をX線源として得られるX線回折パターンにおいて、2θ=26.5±0.3°の位置に現れるNiMoOの回折ピーク(h)の強度Phに対する、2θ=35.0±0.3°に現れる鉄アンチモネートの回折ピーク(i)の強度Piの比Ri=Pi/PhがRi≦0.05であり、
前記強度Phに対する、2θ=53.2±0.3°に現れる鉄アンチモネートの回折ピーク(j)の強度Pjの比Rj=Pj/PhがRj≦0.03である
アクリロニトリル製造用触媒。
【請求項2】
以下の組成式(1)
MoBiFeNiSb(1)
(式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、f=0.1〜3、n=4〜10、s=0.01〜3、w=0〜3、q=0.1〜2、a=0.01〜0.5、e=0〜3であり、xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。)で表される複合金属酸化物を含むアクリロニトリル製造用触媒の製造方法であって、
(i)金属成分を含有する原料スラリーを調製する工程、
(ii)前記原料スラリーを噴霧乾燥する工程、及び
(iii)前記噴霧乾燥により得られた噴霧乾燥粒子を焼成する工程、
を有し、
前記工程(i)が、Sb、Mo、W及び過酸化水素を含む溶液を調製する工程と、前記溶液とSb、Mo及びW以外の金属成分とを混合する工程と、を含む製造方法。
【請求項3】
以下の組成式(1)
MoBiFeNiSb(1)
(式中、Qはクロム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Aはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Eはマンガン、マグネシウム、亜鉛及びセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、m、b、f、n、s、w、q、a及びeはそれぞれMo、Bi、Fe、Ni、Sb、W、Q、A及びEの原子比を示し、m=10〜14、b=0.1〜3、f=0.1〜3、n=4〜10、s=0.01〜3、w=0〜3、q=0.1〜2、a=0.01〜0.5、e=0〜3であり、xは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素原子の数を示す。)で示される複合金属酸化物を有するアクリロニトリル製造用触媒の製造方法であって、
(i)金属成分を含有する原料スラリーを調製する工程、
(ii)前記原料スラリーを噴霧乾燥する工程、及び
(iii)前記噴霧乾燥により得られた噴霧乾燥粒子を焼成する工程、
を有し、
前記工程(i)が、Sbと、酒石酸(又は酒石酸及び過酸化水素)とを含む溶液を調製する工程と、前記溶液とSb以外の金属成分とを混合する工程と、を含む製造方法。
【請求項4】
前記酒石酸の添加量が、得られる触媒の量に対して2〜15質量%である、請求項3記載の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−253414(P2010−253414A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107776(P2009−107776)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】