説明

アクロマチック位相維持ポンプリターン付きの光パラメトリック発振器

本発明は、ポンプレーザービーム(f)、信号ビーム(f)および補完的なビーム(f)が通過する非線形結晶(4)と、反射後に、信号周波数または補完的な周波数と独立した所与の機能モードの間に結晶から出てくる前記ビームが前記ビームの間に相対的な位相シフト値ΔΦarを発生するように、前記ビームを全反射または部分反射する装置(5)とを備える二重共振光パラメトリック発振器に適用され、反射装置(5)が金属ミラー、または、2枚の散乱ミラーおよび下流に設置された多層誘電体ミラーの組み合わせであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラメトリック発振器、特に、ポンプ放射のリターンとの二重共振による光パラメトリック発振器に関係する。
【背景技術】
【0002】
二次の非線形過程が一次源によって放出された周波数以外の周波数の放射を生成するため光学部品において使用される。したがって、一次放射が2個の周波数fおよびfで構成されているとき、周波数の和によって、f=f+fのような周波数fで放射を生成することが可能である。同様に、周波数の差によって、f=f−f(f>f)のような周波数fが得られる。(f=f)のような周波数の和を縮退させる過程である周波数倍増のような1つの一次周波数だけを利用する過程、または、一次周波数放射fが周波数fの光子雑音と相互作用する周波数差過程であるパラメトリック発生を考えることが可能である。パラメトリック発生では、慣用的に、ポンプを一次放射と呼び(f=f)、信号放射および補完的な放射を2個の関連したその他の放射と呼び(f=fおよびf=f)、f=f−fであり、慣例により、f>fである。
【0003】
これらの周波数変換過程は、二次の光非線形性を有している非中心対称結晶を介して異なる放射を伝搬することにより一般に使用される。周波数変換が効果的であるように、結晶は、周波数の変換から生じる放射が非線形結晶内でのこの放射の伝搬を通じて強め合って干渉するように、明確な条件(結晶配向性、温度など)の下で使用される。周波数変換過程に関与する異なる放射の波動ベクトルは、かくして、パラメトリック発生において、kが放射jに関連した波動ベクトルであるとして、k=k+kとして記述される条件である「位相整合」として知られている条件を検証する。位相整合条件は、屈折率が偏光に依存する複屈折結晶の特性を使用して検証され得る。これは「複屈折による位相整合」である。
【0004】
しかし、複屈折結晶だけに限定されないように、導波構造内の「モーダル位相整合」または「準位相整合」のようなその他のアプローチが開発されている。現在のところ最も広く普及しているアプローチである準位相整合に関して、放射伝搬は周期的な位相ジャンプをもつ非線形材料を介して行われる。非常に多くの場合、これらの位相ジャンプは、放射線がコヒーレント長(l)に等しい距離を移動するたびに生成され、ここで、lは、φが放射jに関連した位相であるとして、ΔΦ=φ−(φ+φ)によって与えられる放射の相対的な位相のずれΔΦがπから変化するように、これらの放射線が移動する距離として定義される。「準位相整合」条件は、このとき、kが|k|=π/lによって定義されるとして、k=k+k+kとして記述される。
【0005】
準位相整合は、現在、LN(ニオブ酸リチウム)と、LT(タンタル酸リチウム)と、KTP(チタン酸リン酸カリウム)およびKTPのKTA同形体(チタン酸ヒ酸カリウム)と、RTA(チタン酸ヒ酸ルビジウム)のような強誘電体結晶に広く適用されている。これらの材料に対して、πの位相ジャンプは、材料の強誘電体配向を周期的に反転することにより得られる(図1を参照)。各強誘電体ドメインの幅pは、あるドメインから次のドメインへの通過中に起こるπという位相ジャンプが、各ドメインを通る伝搬中に累積した相対的な位相のずれΔΦを打ち消すように、l、または、lの奇数倍における構造によって固定され、周波数の変換から生じる放射の間に強め合う干渉を維持する。周期的に反転させられている結晶は、PPLN、PPKTPなどの頭文字によって知られ、ここで、PPは「周期的分極」を表している。さらに、最近の研究は、準位相整合の技術を半導体に拡張している[K.L.Vodopyanov,O.Levi,P.S.Kuo,T.J.Pinguet,L.S.Harris,M.M.Fejer,B.Gerard,L.Becouarn,E.Lallier,“Optical parametric oscillation in quasi−phase−matched GaAs”,Opt.Lett.,29,No.16,pp.1912−1914(2004)]。
【0006】
利用される位相整合のタイプとは無関係に、同じ位相整合または準位相整合条件がパラメトリック発生過程f→(f,f)と、周波数和f+f→fのパラメトリック発生過程に当てはまることに注意することが重要である。2つの過程は、したがって、演繹的に共存し、非線形結晶内で互いに逆になること(再転換として知られている現象)さえある。実際に、結晶の所与の位置zで、本質的に位相のずれはΔΦ(z)=φ−[φ(z)+φ(z)]であり、ここで、φ(z)は横座標zに対する放射zの位相であり、エネルギー伝達の方向を定め、最終的に周波数変換過程の収率を定める。
【0007】
その結果として、数個の非線形結晶をカスケードすることにより、周波数倍増のような過程の効率を高めようとするとき、干渉が通過される各結晶内で強め合うように、放射の間で相対的な位相を維持する位相アダプテーション装置を異なる結晶の間に挿入することが不可欠である[S.H.Chakmakjian,M.T.Gruneisen,K.W.Koch III,G.T.Moore,“Phased cascading of multiple non−linear optical elements for frequency conversion”,米国特許第5,500,865号,(1996)]。拡張されたスペクトル域で用いるため、位相アダプテーションが利用される周波数を問わず検証されるべきであり、色収差的に維持されるべきである。装置は、プリズムまたは回折網がカスケード状に搭載されている結晶の間に挿入された分散素子から作られる[B.Richman,“Achromatic phase matching at third orders of dispersion”,米国特許第6,636,343B1号,(2003)]。
【0008】
結晶およびプリズム、または、カスケード状に動作するネットワークシステムを伴うアーキテクチャには依然として欠点があり、第一に、これらのアーキテクチャは損失をもたらし、高価であり、膨大である。これらのアーキテクチャの使用は必然的に少数個の結晶に限定される。さらに、これらのアーキテクチャの用途は、殆どの用途のため必要とされる10%を超える変換率を達成することが放射を多数回(典型的に、100回を超えて)干渉させることになる周波数パラメトリック発生の過程に限定されている。その結果として、多数の結晶をカスケード状にするのではなく、パラメトリック発生において続けられているアプローチは、外へ出て、そして、戻ってくる同じ結晶を通るパスを何回も重ねることで構成されている。この結晶は、放射が外へ出て、そして、戻ってくる多数回の移動を行う光学共振器の内部に設置されている。光学共振器に挿入された結晶は、光パラメトリック発振器(OPO)として知られている周波数同調可能な放射源を形成する。
【0009】
OPOの変換効率を最適化することは、3つの放射の共振器内での多数のパスの全体に亘る3つの放射の間の相対的な位相の値を考慮することを仮定している。この態様は、3つの放射が往路と戻り路とで全く同じように干渉する「ポンプリターン付きの二重共振OPO」として知られているOPOのカテゴリーの基本であり、変換効率は、特に、3つの放射の反射中に3つの放射の間に取り込まれた位相ジャンプΔΦarに依存している。位相ジャンプΔΦarは、ΔΦar=ΔΦ−ΔΦによって定義され、同時にΔΦ=φ−(φ+φ)であり、ここで、位相φが戻り路の間に結晶の裏面のレベルで測定され、ΔΦ=φ−(φ+φ)であり、ここで、位相φは往路の間に結晶の裏面のレベルで測定される。ΔΦarの関数としての変換効率の依存性は、複屈折によって位相整合に用いられる結晶に関して研究されている[J.E.Bjorkholm,A.Askhin,R.G.Smith,“Improvement of optical parametric oscillators by non−resonant pump reflection”,IEEE,J.of Quant.Electron.,QE−6,No.12,pp.797−799,(1970)]。OPOの変換効率は、正確な位相整合で、かつ、ΔΦar=0[モジュロー2π]に対して最大であることが実証された。しかし、ΔΦar=π[モジュロー2π]であるとき、効率は正確な位相整合より低く、一方、位相整合の外に位置している2個の最大を有している。図2は、従来技術から知られているこの挙動を示している。したがって、ΔΦarの値の制御およびマスタリングは、ポンプリターン付きの二重共振OPOの機能を最適化する。しかし、[J.E.Bjorkholm,A.Askhin,R.G.Smith,“Improvement of optical parametric oscillators by non−resonant pump reflection”,IEEE,J.of Quant.Electron.,QE−6,No.12,pp.797−799,(1970)]においてさらに強調されているように、OPOの効率曲線がΔΦarに依存することは、OPOの動作周波数の関数としてΔΦarの値を制御することが必要であり、ポンプリターン付きの二重共振タイプのOPOの実施をかなり複雑化するので、ポンプリターン付きの二重共振OPOの主な欠点である。
【0010】
したがって、ポンプリターン付きの二重共振OPOによって達成される性能は、ポンプ放射の全部[A.Bandilla,W.Brunner,R.Fischer,H.Paul,“Device for reducing pumping energy in the case of optical parametric oscillators”,FR2093928,(1971)]または一部[M.Lefebvre,A.Desormeaux,E.Rosencher,“doubly resonant parametric oscillator with adapted pump return”,WO2005/11711(A1),(2005)]で、位相が適合した(複屈折による正確な位相整合において最大効率を生じるためにΔΦar=0である)反射装置を共振器出口に設置することによって非常に十分に改善され得る。しかし、従来技術のポンプリターン装置で使用される誘電体多層ミラーの光屈折率分散が与えられると、放射の間の相対的な位相のずれの値ΔΦarは異なる誘電体層の積み重ねに依存し、OPOの動作周波数の関数として変化する。換言すると、ΔΦarを維持することはアクロマチックでない。同じことは、内部反射中に材料の光分散および3つの放射の間の位相のずれに起因して、全反射プリズムが使用されるとき[K.D.Zang,E.Margalith,“Broad tuning−range optical parametric oscillator”,US6,295,160(B1),(2001)]に当てはまる。
【0011】
したがって、構成によって、既存のOPO上で生成される周波数とは無関係に、ΔΦarの値を制御すること、および、ΔΦarがその最適値に維持されることを演繹的に保証することが可能である。その理由は、ΔΦarの値と、周波数に伴うΔΦarの値とその進展を制御するため、従来技術の装置は、たとえば、PID型(フェーズ、積分、微分)の制御ループのような調節手段を帰納的に用いる。異なる放射の間の相対的な位相の制御は、分離装置を使用して、戻り路の前に、ソースの複雑性を増加させ、製造コストを押し上げ、実施とセットアップをより困難にするパラメトリック変換の過程に関与する3つの放射のうちの少なくとも1つを必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術の装置によって設計されたポンプリターン付きの二重共振OPOは、拡大されたスペクトル域に亘って相対的な位相のずれΔΦarを一定に保つ簡単かつ小型の装置がないので、十分に満足できないことがこれまでの分析から明らかになる。本発明は、ΔΦarが構成によって、すなわち、使用中に調節手段に頼ることなく、周波数と無関係な値に固定されるように、アクロマチック位相を保持するポンプリターン装置を実施することにより、従来技術の限定の解決に寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によるポンプ放射のリターン付きの二重共振光パラメトリック発振器は、ポンプ放射の出力伝搬の方向に、
前面および後面を有している非線形結晶と、
結晶の後面の下流に位置し、結晶の前面の上流に位置している第1のミラーと共に信号放射のための第1の共振空洞を画定し、結晶の前面の上流に位置している第2のミラーと共に補完的な放射のための第2の共振空洞を画定し、2つの空洞のうちの少なくとも一方が排他的に単周波数または複周波数である発振器の動作モードを保証するために可変長である、装置と、
を備え、
周波数fのポンプ放射が、結晶の中に、結晶の前面を介して入り結晶の後面を介して出る往路と、その後に、装置上での反射後に、結晶の後面を介して入る戻り路とを作り、
周波数fの信号放射が第1の共振空洞に多数の往路および戻り路を作り、
周波数fの補完的な放射が第2の共振空洞に多数の往路および戻り路を作り、
前記3つの放射が、ΔΦ=φ−(φ+φ)という相対的な位相ずれで結晶の後面から出て、装置上の反射後に、ΔΦ=φ−(φ+φ)という相対的な位相ずれで結晶の後面を介して入り、相対的な位相ずれの散らばりの値ΔΦar=ΔΦ−ΔΦは、所与のタイプの位相整合に対し、発振器の単周波数動作モードまたは複周波数モードを決定する。
【0014】
発振器は、装置が2つの空洞に共通している金属ミラーであり、その結果、相対的な位相ずれの散らばりの値ΔΦarが、発振器の動作周波数とは無関係に、π(モジュロー2π)に等しいことを特徴とする。本発明は、したがって、低製造コストを有している。
【0015】
変形例として、発振器は、装置が、分散誘電体ミラーと標準的な誘電体ミラーの対を形成するように配置されている多層スタックによって構成された、2つの空洞に共通している広帯域ミラーであり、その結果、相対的な位相ずれの散らばりの値ΔΦarが発振器の動作周波数とは無関係に一定であることを特徴とする。
【0016】
放射のうちの1つが固定周波数である変形実施形態では、広帯域ミラーは、標準的な誘電体多層ミラーと関連付けられた、「二重チャープミラー」タイプ[R.Szipocs,F.Krausz,“Dispersive dielectric mirror”,US5,734,503,(1998)]の分散ミラーの対を形成するために同じ基材に堆積された誘電体層のスタックから構成されている。分散ミラーの対の誘電体層のスタックは、可変周波数の2つの放射の間の光分散を補償するために、慎重に計算され配置され、一方、固定周波数の第3の放射は標準的な誘電体多層ミラーによって反射される。この誘電体層の組立体は、ポンプ放射、信号放射、または、補完的な放射のうちの少なくとも1つへ部分的に反射されることがある。
【0017】
本発明の実施は、図3に示されているように、信号波および補完的な波が、好ましい動作モードに応じて選択され得る長さをもつ2つの別個の空洞内で発振するという事実を十分に利用する。したがって、第1の単周波数動作モードは、図3aに示されているように、パラメトリック利得曲線の中心に置かれた2つの空洞の間に単一のモード一致だけが存在するように、空洞の長さを選択することからなる。この第1の動作モードでは、広帯域ミラーの特性は、利得曲線が単一の中央最大値だけを有するように相対的な位相ずれの散らばりΔΦarを構成することにより固定される。第2の複周波数動作モードでは、空洞の長さは、図3bに示されているように、2つのモード一致がパラメトリック利得曲線の各最大値より下に位置するように選択される。この第2の動作モードでは、相対的な位相ずれの散らばりΔΦarは、2個の最大値をもつ利得曲線を実現するように構成することによって固定されている。この第2の動作モードは、2つの空洞の長さの関数として調節可能な間隔を有する2つの接近した信号周波数fおよびfを同時に放出する。
【0018】
結晶の後面は、アクロマチック位相の維持を伴うポンプリターンを保証することが可能である。この場合、金属コーティングまたは分散ミラーの誘電体層が非線形結晶の出口面に直接的に堆積され、結晶をもつ単一のブロックを形成する。
【0019】
有利な点は、非線形結晶が準位相整合に使用されることである。最後に通過されたドメインの厚さは、したがって、好ましい動作モードに応じて構成することにより固定される。
【0020】
準位相整合に使用される結晶の最後のドメインは、OPOの動作モードの素早い選択を可能にさせるため可変光学長を有している。
【0021】
準位相整合を使用する別のタイプの実施形態では、最後に通過されたドメインは、ポンプ放射に直交する方向における結晶の簡単な平行移動により異なる動作モードを実現するためにプリズム形式である。
【0022】
したがって、本発明で提案されているアクロマチック位相が維持されたポンプリターン付きの二重共振OPOは、OPOによって生成された周波数の関数としての放射の間の相対的な位相の制御装置の使用から解放されることにより、これらのOPOの実施を実質的に改善する。信号波および補完的な波のための2つの別個の空洞と組み合わされたOPOの実施は、信号放射が単一の周波数fまたは2つの接近した周波数fおよびfのいずれかを備える2つの単周波数または複周波数動作モードを生成し、たとえば、差分吸収を測定することが目的であるとき、後者の動作モードが特に有用である。
【0023】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の説明および非限定的な実施例から明らかになる。
【0024】
添付図面は本発明を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施の一般的な概要が図4に記載されている。レーザー1は、光アイソレータ2と、分離ブレード3と、次に、ミラー7または8と、入口(6A)面および出口(6B)面を介して非線形結晶4と、を連続的に通過する周波数fのポンプ放射を発信し、信号周波数放射fおよび補完的な周波数放射fが共通した広帯域ミラー5とそれぞれのミラー7および8との間の反射によって液晶4を通る多数の往路および戻り路を実現する。ポンプ放射、信号放射、および、補完的な放射は、結晶から出るときに完全または部分的に反射される。3つの放射の反射は、信号放射または補完的な放射とは無関係に、3つの出力放射の相対的な位相(ΔΦ)と、3つの反射された放射の相対的な位相(ΔΦ)との間の位相ずれ値ΔΦar=ΔΦ−ΔΦを維持する共通の広帯域ミラー5によって保証されている。周波数fにおける信号放射は、ブレード3を用いて変換されないポンプ放射から濾波された後に、OPOの上流で利用可能である。
【0026】
図5は、折り畳み式の幾何学的構成における本発明の初期的な実施を示している。3つの放射の反射は、非線形結晶4の出口面6Bの近くに設置された厚さが数マイクロメートルの金属堆積物9によって保証されている。補完的な放射はミラー8と金属表面9との間で発振し、一方、信号放射はミラー7と金属表面9との間で発振する。ミラー7および8は、光学空洞の長さを別々に変化させ、よって、OPOによって発信された周波数を微調整するために、圧電性シム10Aおよび10Bに取り付けられている。ポンプ放射、信号放射および補完的な放射は、ここでは複屈折による位相整合に使用される非線形結晶4を格納している共振器の共通部分で相互作用する。空洞内部では、分離ブレード3が信号放射と補完的な放射の分離を保証する。出口面6Bは、周波数に伴って変化する放射の間に位相ずれ(着色)を取り込むことになる反射防止加工に頼ることなく、フレネル損失を制限するため、信号放射および補完的な放射の入射角がブルースター入射の角度にできる限り近づくように向きが合わされている。これらの条件、および、表面6Bを表面9から分離する空隙の所与の弱い光分散性において、相対的な位相ずれΔΦarの値は、表面9上での3つの放射の金属反射中に出て行く波と戻り波との間に現れる相対的な位相ずれの散らばり(ΔΦ−ΔΦ)に全く等しい。
【0027】
図5の場合のように、OPOの動作モードを指定するため、金属ミラー9はアルミニウム堆積物によって作られている。OPOによって放出された周波数(信号または補完信号)の関数としての相対的な位相ずれΔΦarの進展は、[D.Y.Smith,E.Shiles,M.Inokuti,“The optical properties of Aluminium”,in E.D.Palik (ed.),Handbook of optical constants of solids,Academie Press,Orlando,369(1985)]に記載されているインデックスの値を使用して計算され得る。広い周波数範囲を対象とするため、ポンプ放射の3つの通常の波長は、非限定的に、1.55μm、1.064μmおよび0.532μmであると考えられる。図6は、異なるポンプ波長に対し、ΔΦarが、OPOによって放出された周波数とは無関係に、πの付近に留まることを明瞭に表し、本発明における好ましいアクロマチック特性を実証している。この場合に、結晶が複屈折による位相整合に使用され、かつ、ΔΦar≒πである、と仮定するならば、OPOの効率曲線は、図2に示されているように、正確な位相整合の両側に対称的に配置された2個の最大値を有している。信号空洞および補完的な空洞の長さは、2個の最大値の位置にある共振を生成し、したがって、図3において持ち込まれた第2の動作モードb)を達成するために、独立に調節され得る。
【0028】
図7は、準位相整合で使用される結晶の特有の特性を利用している本発明の第1のタイプの実施形態を示している。図7によれば、信号放射はミラー7とミラー9との間で発振し、一方、補完的な放射はミラー8とミラー9との間で発振し、これらのミラーはこの場合に重ね合わされた空洞と一体となって線形共振器を形成している。信号放射は、分離ブレード3を用いてポンプ放射から濾波される前にミラー7を通して抽出される。金属ミラー9は、最後の戻りドメイン11の出口面6Bに直接的に設置されている。この配置は、通過される最後のドメインの幅(δ)が、好ましい動作モードに従って表面6Bを多少削ることにより構成によって固定されていることを特徴とする。最後の戻りドメイン11を通過し、金属ミラー9で反射した後、3つの放射は、非線形結晶4内の戻り中に、相対的な位相ずれΔΦ=ΔΦar+2ΔΦ(δ)と相互作用し、ここで、ドメイン11を通る往路および戻り路が考慮されている。
【0029】
したがって、ΔΦの値は、選択されたδの値に応じて構成中に連続的に調整され得る。前述の通り、アルミニウム堆積物によって作られた金属ミラーを考慮に入れ、非線形結晶4がPPLNで形成されていると仮定するならば、[D.H.Jundt,“Temperature−dependent Sellmeier equation for the index of refraction,n,in congruent niobte”,Opt.Lett.,22,1553(1997)]に記載されたインデックスの値から、ニオブ酸リチウム/アルミニウム界面と関連付けられた相対的な位相ずれΔΦarを計算することが可能である。図8に表されているように、ΔΦarの値は、OPOの動作周波数とは無関係に、考慮された様々なポンプ波長に対して、πの近くに留まる。これらの条件で、放射は、ΔΦ≒π+2ΔΦ(δ)によって結晶内での戻り中に所与の相対的な位相と相互作用する。この関係は、PPKTP、PPKTAなどのような金属と様々な金属コーティング(Au、Ag、Cr、...)を関連付ける他の界面に対しても依然として有効である。2つの動作モードがこのようにしてδの値に応じて達成され得る。
【0030】
・nが1以上の奇数整数であるときに、δ=n×lであるならば、ΔΦはπ(モジュロー2π)に等しく、パラメトリック変換が、連続的な強誘電体ドメインの間にπの位相ジャンプの不連続性を伴うことなく、戻り中に維持される。この状況では、パラメトリック変換の効率は、lの値と、結晶の温度とによって定義されるOPOの機能の全範囲に亘って最適である。効率曲線は対称性のある「釣鐘」型を有している。信号空洞および補完的な空洞の長さは、かくして、図3の動作モードa)を達成するように選択される。
【0031】
・δ=(n+0.5)×lであるならば、ΔΦは0に等しい[モジュロー2π]。この状況では、効率曲線は、2つの波長で機能を生じる傾向がある「二重隆起」を有している。信号空洞および補完的な空洞の長さは図3の動作モードb)を達成するように選択される。
【0032】
中間的なδの値に対し、非対称型の「二重隆起」効率曲線が達成され、結果として異なる強度を有する2つの波長が放出される。
【0033】
したがって、図7によって概略的に示されているタイプの実施形態によれば、アクロマチック位相が維持されるポンプリターン付きの二重共振OPOが達成され得る。構成により、結晶内での戻り中に相互作用する3つの放射の間の相対的な位相ずれの値(ΔΦ)は、好ましい動作モードと、その結果として選択された空洞の長さとに応じて固定され得る。装置のアクロマチック特性が与えられると、位相の電子制御はもはや必要とされない。その上、金属堆積物9は、誘電体多層堆積過程と関連したコストより十分に低いコストで行われ得る。
【0034】
本発明の装置は広い周波数範囲に亘ってΔΦarの値を一定に保つために全く制御を必要としないので、発振器の動作モードの変更は最後のドメインの長さδを修正することにより可能になる。
【0035】
図9は、ΔΦの値を電気的に選択する可能性がある準位相整合において、PPLN結晶を使用する第2のタイプの実施形態を表している。このため、最後の戻りドメイン11は、十分に大きな幅δ(典型的に10ミリメートル)を有しており、したがって電気光学効果によって、数μmに亘って最後の戻りドメインの光学長を、よって、OPOの動作モードを実質的に修正することが可能である。結晶の結晶軸に従って電界を与える2個の電極12Aおよび12Bがドメイン11の両側に設置されている。電極12Aおよび12Bに印加されるHV1電圧の値を調整することは、相対的な位相ずれΔΦが戻り中に非常に急速に修正されること、したがって、OPOの動作モードが位相戻りのアクロマチック特性を維持したまま修正されることを可能にさせる。
【0036】
図10は、相対的な位相ずれΔΦの値がポンプ放射に対する結晶の横方向位置に応じて修正され得るように、表面6Bが強磁性体ドメインの配向に対して(数ミリラジアンのオーダーの)傾斜角αで研磨されていることを特徴とする本発明の別のタイプの実施形態を表している。準位相整合で使用される結晶に適用されるこのタイプの実施形態は、効率曲線の型を選択し、したがって、方向Xに沿った結晶の簡単な平行移動によりOPOの動作モードを変更する。
【0037】
上述されている様々なタイプの実施形態の利点は、金属コーティングを使用することによる低い製造コストである。しかし、金属反射のパラメータ(モジュールおよび位相)は殆ど修正できない。好ましいアクロマチック特性を維持しながら、これらのパラメータの値を制御するため、3つの放射は、標準的な誘電体ミラーと関連付けられた「二重チャープ」タイプの分散誘電体ミラーの組み合わせから作られた広帯域ミラーによって反射される方が有利であろう。[G.Steinmeyer,“Femtosecond dispersion compensation with multilayer coatings:toward the optical octave”,Appl.opt.,45,n°7,1484(2006)]に主要な特性が詳述されている分散誘電体ミラーは、特に、フェムト秒スケールの非常に短い光パルスの生成のため開発された。分散誘電体ミラーは、特に、環状空洞と、同期した衝撃的なポンピングの下で、単に共振作用しているOPO結晶内の群速度の光分散を補償するために使用され、この点について、[J.Hebling,H.Giessen,S.Linden,J.Khuhl,“Mirror−dispersion−compensated femtosecond optical parametoric oscillator”,Opt.Comm.,141,229(1997)]を参照のこと。より短いパルスの生成は、量が波動の関数として位相の2次微分に依存する光パルスの群遅延分散
【数1】

を制御する目的で、これらのミラーの開発に非常に寄与した。
【0038】
本発明で提案されているアクロマチック特性の探索は、放射の間の位相変化
【数2】

または、周波数の線形関数のような条件に置かれることを取り上げる。このことは、
【数3】

または、ωとは独立しているような装置を探索する原因、したがって、特有の分散ミラーの組み合わせを使用する原因となる。
【0039】
図11は、ポンプ周波数が同調可能であるか否かに依存して、分散誘電体ミラーおよび標準的な多層ミラーを組み合わせることにより、考えられ得る3つの広帯域ミラーを表している。
【0040】
・図11の配置a)は、「二重チャープ」型の2つの分散ミラー13Aおよび14Aと、標準的な多層ミラー16Aとから構成されている。ミラー16Aは、周波数が固定されることになっているポンプ放射を完全または部分的に反射するように設計され、一方、分散ミラー13Aおよび14Aは、それぞれ、信号放射および補完的な放射を反射する。信号周波数および補完的な周波数が連続的に同調可能であるこのタイプの作用の場合、ミラー13Aおよび14Aは逆の群遅延分散を有している。ミラー13Aとミラー14Aとの間の距離Lは、誘電体層を堆積させる手順中に層15Aの厚さを調整することにより固定される。分散ミラーのスペクトル特性(反射範囲、群遅延分散)および距離Lは、反射時に、位相ジャンプの合計φar+φar=(φ−φ)+(φ−φ)が信号周波数および補完的な周波数と無関係の値を有している。これらの条件において、かつ、ポンプ周波数が固定されていると仮定するならば、放射の間の相対的な位相ずれΔΦarは反射を通じて一定に保たれる。分散ミラーのスペクトル特性が(1オクターブまでの)非常に拡張された範囲に亘って制御可能であると仮定するならば、アクロマチック位相が維持されるポンプリターンが広いスペクトルドメインに亘って保証される。
【0041】
・配置b)は固定した補完的な周波数での動作のタイプを対象としている。この場合に、標準的な多層ミラー16Bは補完的な放射を完全または部分的に反射し、一方、分散ミラー13Bおよび17は、同調可能な周波数の信号放射およびポンプ放射を反射する。分散ミラー13Bおよび17のスペクトル特性と、層15Bの厚さとは、この場合、反射時に、位相差φ−φがポンプ周波数および信号周波数に依存しないように選択される。これらの条件において、かつ、補完的な周波数が固定に保たれていると仮定すると、放射間の相対的な位相ずれΔΦarは反射の全体を通じて一定に保たれる。
【0042】
・配置c)は固定した信号の動作のタイプを対象としている。この配置は、補完的な放射が分散ミラー14Bによって反射され、信号が標準的な誘電体ミラー16Cによって完全または部分的に反射される、事例b)と区別される。上述の通り、相対的な位相ずれΔΦarをポンプ周波数および補完的な周波数から独立させるために、ミラー17および14Bのスペクトル特性と、層15Cの厚さとを固定することが可能である。
【0043】
これらの様々な配置に対し、簡略化されたモデルは、反射時に、相対的な位相ずれΔΦarを維持させるために満たされるべき条件を指定する。
【0044】
φarが図11の様々な配置のうちの1つで反射された放射jの往路と戻り路との間の位相ずれであるとする。簡略モデルに基づいて、目的は、反射中にポンプ放射と信号放射と補完的な放射との間に現れ、アクロマチック位相が維持されたポンプリターン付きの機能を生じるため満たされるべき条件を推論する根拠である相対的な位相ずれΔΦar=φar−(φar+φar)の値を指定することである。
【0045】
図11の配置a)に関して、ポンプ周波数が固定されていると仮定するならば、反射位相変化は一定であり、φar=φがこの変化した位相の値である。信号放射位相および補完的な放射位相は、それぞれ、
【数4】

【数5】

として記述される。
【0046】
これらの2つの式において、ωは放射jの波動であり、cは高速であり、nは、放射jが分散ミラーを構成する高屈折率nおよび低屈折率nの様々な層と交差するときに影響を受ける平均屈折率
【数6】

であり、Lは、補完的な放射が補完的な分散ミラーに到達する前に横切る光学的厚さであり、L(ω)は、放射jを反射する分散ミラーの中を通る放射jの侵入深さである。ωの関数L(ω)として侵入の深さが線形変化する場合、
【数7】

であり、式中、Ωは放射jを反射する分散ミラーの反射範囲の下限であり、Dは、
【数8】

によって定義される放射jの群遅延分散である。
【0047】
相対的な位相ずれΔΦarは、したがって、
【数9】

によって与えられる。
【0048】
アクロマチック位相が維持されるポンプリターンの条件は、ωおよびωに関するフック間の量の微分が零であるときに確認され、以下の条件、すなわち、
+D=0
Ω+Ω=ω
および
【数10】

を与える。
【0049】
これらの式は、信号放射および補完的な放射を反射する分散ミラーが、信号周波数および相補的な周波数が変化するときに補償されるように、逆の群遅延分散を有することを必要とする。距離Lは分散ミラーのスペクトル特性に依存している。一例として、信号放射の群遅延分散(D)が100fsであるならば、1μmのポンプ周波数に対し、Lはおよそ15μmである。
【0050】
図11の配置b)に関して、上述の手順に従うと、色消し条件は、
−D=0
Ω−Ω=ω
および
【数11】

である。
【0051】
今度は、信号周波数およびポンプ周波数が同じ方向に変化すると仮定するならば、2つの分散ミラーは同じ群遅延分散を有しているであろう。
【0052】
等価的な関係が図11の配置c)に対して得られる。
【0053】
勿論、図11の様々な広帯域ミラーを使用することは、反射係数と、様々な放射の相対的な位相ずれΔΦarを固定することが可能であるという利点を伴って、金属反射を使用する上述のタイプの実施形態に当然に当てはまる。この可能性は、簡単な金属反射によってアクセスできなかった動作モードを考えることを可能にさせる。したがって、図12は、複屈折結晶4、および、図11の配置a)に従って設計された広帯域ミラーを使用する動作モードを有している。信号放射および補完的な放射は、それぞれ、ミラー13Aおよび14Aが分散ミラーであるミラー7−13Aとミラー8−14Aの対の間で発振する。ポンプ放射は、ポンプ周波数で部分的に反射する多層ミラー16Aによって反射される。[M.Lefebvre,A.Desormeaux,E.Rosencher,“Doubly resonant parametric oscillator with adapted pump return”,WO2005/111711(A1),(2005)]によれば、ポンプ周波数での反射係数は20%のオーダーである。2個の圧電性シム10Aおよび10Bは、OPOによって放出された周波数を同調させるために信号空洞および補完的な空洞の長さを精細に修正するのに役立つ。さらに、結晶の出口面6B、および、分散ミラー13Aは、表面6Bとミラー13Aの外面との間で、フレネル損失、および、寄生的なファブリ・ペロー効果を制限するために反射防止層18Aおよび18Bで覆われている。
【0054】
図13は、図11の配置b)を利用する一体鋳造型の実施形態を有している。信号放射はミラー7とミラー13Bとの間で発振し、補完的な放射はミラー8とミラー16Bとの間で発振し、ポンプ放射は分散ミラー17によって反射される。ミラー7は、外部使用への連結を保証するために信号を部分的に反射する。電気光学材料によって構成されているディスク20は、ミラー7とミラー8との間に挿入されている。したがって、ディスク20の両側に設置された2個の電極21Aおよび21Bを用いて高電圧HV2を印加することにより、信号空洞の光学長、よって、信号周波数を修正することが可能である。信号の連続的な同調を行うため、ポンプ周波数自体が同調可能である。ポンプ周波数は、たとえば、ファイバーレーザーによって生成され得る。図13の実施形態のタイプでは、誘電体ミラー16Bが電気光学ディスク19の外面23に設置されている。このディスク19は、従来技術から知られている付着および固着の技術に従って分散ミラー13Bの上に直接的に設置されている。2個の電極22Aおよび22Bは、ディスク19の光学長、したがって、ポンプ放射および信号放射に対する補完的な放射の相対的な位相ずれを修正する高電圧HV3を印加するためにディスク19の両側に設置されている。
【0055】
このようにして、相対的な位相ずれΔΦarの値は非常に急速に変更可能であり、このことは特定の用途に応じてOPOの動作モードを変化させることを可能にする。
【0056】
当然ながら、提案されたタイプの実施形態は可能な実施形態の排他的な一覧を表していない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】強誘電体ドメインの周期的リターンによる準位相整合の実行を示す図である。
【図2】相対的な位相ずれΔΦarの2個の値に対し、2つの波動ベクトルの間の離調Δk=k−(k+k)の関数として、複屈折による位相整合のため取得された、位相パラメトリック変換の効率への依存性を表す曲線を示す図である。
【図3】本発明により利用可能であるa)(単周波数)およびb)(複周波数)の2つの動作モードを示す図である。
【図4】本発明の実施を概略的に示す図である。
【図5】折り畳み式の幾何学的構成に従って配置され、複屈折による位相整合の際に機能し、2つの別個の空洞を使用する二重共振OPOのための本発明の実施に関係している図である。
【図6】空気/アルミニウム界面上での反射中に、信号波長または補完的な波長の関数として、ポンプ放射、信号放射、および、補完的な放射の間の相対的な位相ずれΔΦarの変化の進展を示す図である。様々な曲線は1.55、1.06および0.532μmという様々なポンプ波長に対し計算されている。
【図7】直線的な幾何学的性質にある準位相整合の際に使用される結晶および2つの別個の空洞のための本発明の実施を示す図である。
【図8】ニオブ酸リチウム/アルミニウム界面上での反射中に、信号波長または補完的な波長の関数として、ポンプ放射、信号放射、および、補完的な放射の間の相対的な位相ずれΔΦarの進展を示す図である。様々な曲線は1.55、1.06および0.532μmという様々なポンプ波長に対し計算されている。
【図9】OPOの動作モードを電気的に選択する可能性がある準位相整合における本発明の実施を示す図である。
【図10】非線形結晶の平行移動によりOPOの動作モードを固定する可能性がある準位相整合における本発明の実施を示す図である。
【図11】アクロマチック位相の維持を伴うポンプリターンを保証する分散ミラーおよび多層ミラーの異なる配置で作られた3つの広帯域ミラーを示す図である。
【図12】ポンプ放射を部分的に反射する2個の分散ミラーおよび多層ミラーの組み合わせを使用する本発明の実施を示す図である。
【図13】可変光学長のディスクによって分離された2個の分散ミラーおよび多層ミラーを使用する本発明の一体鋳造型の具現化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面(6A)および後面(6B)を有する非線形結晶(4)と、
前記結晶の前記後面(6B)の下流に位置し、前記結晶の前記前面(6A)の上流に位置している第1のミラー(7)と共に信号放射のための第1の共振空洞を画定し、前記結晶の前記前面(6A)の上流に位置している第2のミラー(8)と共に補完的な放射のための第2の共振空洞を画定し、前記2つの空洞のうちの少なくとも一方が単周波数または複周波数の何れか一方である発振器の動作モードを保証するために可変長である、装置(5)と、
をポンプ放射の出力伝搬方向に備え、
周波数fの前記ポンプ放射が、前記結晶(4)の中に、前記結晶の前記前面(6A)を介して入り、前記結晶の前記後面(6B)を介して出る往路と、その後に、前記装置(5)上での反射後に、前記結晶の前記後面(6B)を介して入る戻り路とを作り、
周波数fの前記信号放射が前記第1の共振空洞に多数の往路および戻り路を作り、
周波数fの前記補完的な放射が前記第2の共振空洞に多数の往路および戻り路を作り、
前記3つの放射が、ΔΦ=φ−(φ+φ)という相対的な位相ずれで前記結晶の前記後面(6B)から出て、前記装置(5)上の反射後に、ΔΦ=φ−(φ+φ)という相対的な位相ずれで前記結晶の前記後面(6B)を介して入り、相対的な位相ずれの散らばりの値ΔΦar=ΔΦ−ΔΦが、所与のタイプの位相整合に対し、前記発振器の単周波数動作モードまたは複周波数モードを決定する、
ポンプ放射のリターン付きの二重共振光パラメトリック発振器において、
前記相対的な位相ずれの散らばりの値ΔΦarが前記発振器の動作周波数とは無関係にπ(モジュロー2π)に等しくなるように、前記装置(5)が前記2つの空洞に共通している金属ミラーであることを特徴とする、二重共振光パラメトリック発振器。
【請求項2】
フレネル損失が制限されるように、前記結晶の後面(6B)がブルースター入射に従って傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載の二重共振光パラメトリック発振器。
【請求項3】
前記非線形結晶が準位相整合に使用されること、および、前記動作モードが変更されるように、最後のドメイン(11)が可変光学長を有することを特徴とする、請求項1に記載のパラメトリック発振器。
【請求項4】
前記動作モードが前記ポンプ放射と直交する方向における前記結晶の平行移動によって変更されるように、前記可変光学長が前記最後のドメインのプリズム形式に由来することを特徴とする、請求項3に記載のパラメトリック発振器。
【請求項5】
電界が前記光学長を変更するために前記結晶の結晶軸に沿って印加されることを特徴とする、請求項3に記載のパラメトリック発振器。
【請求項6】
前面(6A)および後面(6B)を有する非線形結晶(4)と、
前記結晶の前記後面(6B)の下流に位置し、前記結晶の前記前面(6A)の上流に位置している第1のミラー(7)と共に信号放射のための第1の共振空洞を画定し、前記結晶の前記前面(6A)の上流に位置している第2のミラー(8)と共に補完的な放射のための第2の共振空洞を画定し、前記2つの空洞のうちの少なくとも一方が単周波数または複周波数の何れか一方である発振器の動作モードを保証するために可変長である、装置(5)と、
をポンプ放射の出力伝搬方向に備え、
周波数fの前記ポンプ放射が、前記結晶(4)の中に、前記結晶の前記前面(6A)を介して入り、前記結晶の前記後面(6B)を介して出る往路と、その後に、共通したミラー上での反射後に、前記結晶の前記後面(6B)を介して入る戻り路とを作り、
周波数fの前記信号放射が前記第1の共振空洞に多数の往路および戻り路を作り、
周波数fの前記補完的な放射が前記第2の共振空洞に多数の往路および戻り路を作り、
前記3つの放射が、ΔΦ=φ−(φ+φ)という相対的な位相ずれで前記結晶の前記後面(6B)から出て、前記装置(5)上の反射後に、ΔΦ=φ−(φ+φ)という相対的な位相ずれで前記結晶の前記後面(6B)を介して入り、相対的な位相ずれの散らばりの値ΔΦar=ΔΦ−ΔΦが、所与のタイプの位相整合に対し、前記発振器の単周波数動作モードまたは複周波数モードを決定する、
ポンプ放射のリターン付きの二重共振光パラメトリック発振器において、
前記装置(5)が、前記相対的な位相ずれの散らばりの値ΔΦarが前記発振器の前記動作周波数とは無関係に一定であるように、分散誘電体ミラーと標準的な誘電体ミラーの対を形成するために配置された多層スタックを備える前記2つの空洞に共通している広帯域ミラーであることを特徴とする、二重共振光パラメトリック発振器。
【請求項7】
前記動作モードが変更されるように、前記分散誘電体ミラーと前記標準的な誘電体ミラーの前記対が可変光学長の材料によって連結されていることを特徴とする、請求項6に記載のパラメトリック発振器。
【請求項8】
前記非線形結晶が準位相整合に使用されること、および、前記動作モードが変更されるように、最後のドメイン(11)が可変光学長を有することを特徴とする、請求項6に記載のパラメトリック発振器。
【請求項9】
前記動作モードが前記ポンプ放射と直交する方向における前記結晶の平行移動によって変更されるように、前記可変光学長が前記最後のドメインのプリズム形式に由来することを特徴とする、請求項8に記載のパラメトリック発振器。
【請求項10】
電界が前記光学長を変更するために前記結晶の結晶軸に沿って印加されることを特徴とする、請求項8に記載のパラメトリック発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3a)】
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【図3b)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a)】
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【図11b)】
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【図11c)】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−541807(P2009−541807A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517195(P2009−517195)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056438
【国際公開番号】WO2008/000773
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(593024391)オフィス ナシオナール デチュード エ ド ルシェルシュ アエロスパシアル (4)
【Fターム(参考)】