説明

アスファルト舗装廃材の加熱再生方法及び装置

【課題】 再生ドライヤのドラム内面に廃材が付着するのを極力少なくする。
【解決手段】 再生ドライヤ1のバーナ8側の一端部には廃材を再生ドライヤに供給するベルトコンベヤ12を配設すると共に、再生ドライヤ1の略中央部には廃材を再生ドライヤ略中央部に供給するベルトコンベヤ14を配設する。そして、アスファルト含有量の少ない廃材粗粒分をベルトコンベヤ12を介して再生ドライヤ1の一端部より供給する一方、アスファルト含有量の多い廃材細粒分をベルトコンベヤ14を介して再生ドライヤ1の略中央部に供給する。これによって、廃材粗粒分中のアスファルト分が加熱によって粘着性を高めたところに廃材細粒分を供給することで廃材細粒分を廃材粗粒分に付着増粒させることとなり、廃材細粒分の再生ドライヤ1のドラム内面への付着を極力少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事等によって掘り起こされたアスファルト舗装廃材を加熱再生する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)は、再生ドライヤにて所定温度まで加熱して再利用されている。ところで、再生ドライヤにて廃材を加熱すると、廃材に付着するアスファルト分が粘着性を高め、廃材が掻き上げ羽根等に徐々に付着残留して成長し、ついには掻き上げ羽根の機能を損なうことがある。このため、先端に可動部材が取り付けられた索状体をドラムの内周面に取り付け、ドラムの回転時に可動部材をずれ落ちさせて掻き上げ羽根をこすることで掻き上げ羽根表面の付着物をはがしたり(特許文献1参照)、板状の掻き上げ羽根の基部を湾曲させてドラム内周面に取り付け、廃材が円滑に流れるようにして掻き上げ羽根とドラムとの接続部に廃材が付着することを抑えたり(特許文献2参照)、掻き上げ羽根とドラム内周壁との間に隙間を持たせて取り付け、掻き上げ羽根とドラム内周壁との接続箇所で廃材を付着保持させないようにしたり(特許文献3参照)、廃材の付着防止に種々の工夫を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録2500587号公報
【特許文献2】特開平11−131418号公報
【特許文献3】特開2002−227118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように再生ドライヤのドラム内部に廃材付着防止のための種々の工夫を施すものの、多かれ少なかれドラム内面に廃材が付着残留する現象が起こっており、その付着を極力少なくする方法が常に要望されている。
【0005】
本発明は上記の点に鑑み、再生ドライヤのドラム内面に廃材が付着するのを極力少なくするようにしたアスファルト舗装廃材の加熱再生方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明者は、廃材粗粒分よりも粒径が細かくてアスファルト含有量の多い廃材細粒分の方が再生ドライヤのドラム内面に付着しやすいことに着目し、本発明をなすに至った。即ち、請求項1記載のアスファルト舗装廃材の加熱再生方法は、回転自在に傾斜支持した再生ドライヤの一端部にバーナを備え、該バーナ側の再生ドライヤの一端部には廃材を再生ドライヤに供給する第一の供給手段を配設すると共に、再生ドライヤの略中央部には廃材を再生ドライヤ略中央部に供給する第二の供給手段を配設し、アスファルト含有量の少ない廃材粗粒分を前記第一の供給手段より再生ドライヤの一端部から供給する一方、アスファルト含有量の多い廃材細粒分を前記第二の供給手段より再生ドライヤの略中央部に供給し、廃材粗粒分中のアスファルト分が加熱によって粘着性を高めたところに廃材細粒分を供給することで廃材細粒分を廃材粗粒分に付着増粒させて再生ドライヤのドラム内面への廃材細粒分の付着を抑制しながら加熱再生したことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2記載のアスファルト舗装廃材の加熱再生方法は、第一の供給手段にて再生ドライヤの一端部に供給する廃材粗粒分は5mm粒径オーバーのものとし、第二の供給手段にて再生ドライヤの略中央部に供給する廃材細粒分は5mm粒径アンダーのものとすることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3記載のアスファルト舗装廃材の加熱再生装置は、回転自在に傾斜支持した再生ドライヤの一端部にバーナを備え、該バーナ側の再生ドライヤの一端部には廃材を再生ドライヤに供給する第一の供給手段を配設すると共に、再生ドライヤの略中央部には廃材を再生ドライヤ略中央部に供給する第二の供給手段を配設し、第一及び第二の供給手段より供給した廃材は合流して再生ドライヤの他端部から排出されるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1記載のアスファルト舗装廃材の加熱再生方法によれば、回転自在に傾斜支持した再生ドライヤの一端部にバーナを備え、該バーナ側の再生ドライヤの一端部には廃材を再生ドライヤに供給する第一の供給手段を配設すると共に、再生ドライヤの略中央部には廃材を再生ドライヤ略中央部に供給する第二の供給手段を配設し、アスファルト含有量の少ない廃材粗粒分を前記第一の供給手段より再生ドライヤの一端部から供給する一方、アスファルト含有量の多い廃材細粒分を前記第二の供給手段より再生ドライヤの略中央部に供給し、廃材粗粒分中のアスファルト分が加熱によって粘着性を高めたところに廃材細粒分を供給することで廃材細粒分を廃材粗粒分に付着増粒させて再生ドライヤ内面への廃材細粒分の付着を抑制しながら加熱再生したので、再生ドライヤのドラム内面への廃材付着を極力少なくできる。
【0010】
また、請求項2記載のアスファルト舗装廃材の加熱再生方法によれば、第一の供給手段にて再生ドライヤの一端部に供給する廃材粗粒分は5mm粒径オーバーのものとし、第二の供給手段にて再生ドライヤの略中央部に供給する廃材細粒分は5mm粒径アンダーのものとするので、加熱により粘着性を高めた廃材粗粒分にアスファルト含有量が多くて付着しやすい5mm粒径アンダーの廃材細粒分を混入することで廃材細粒分を廃材粗粒分に付着増粒させることができ、これによって再生ドライヤのドラム内面への廃材付着を極力少なくできる。
【0011】
また、請求項3記載のアスファルト舗装廃材の加熱再生装置によれば、回転自在に傾斜支持した再生ドライヤの一端部にバーナを備え、該バーナ側の再生ドライヤの一端部には廃材を再生ドライヤに供給する第一の供給手段を配設すると共に、再生ドライヤの略中央部には廃材を再生ドライヤ略中央部に供給する第二の供給手段を配設し、第一及び第二の供給手段より供給した廃材は合流して再生ドライヤの他端部から排出されるように構成したので、アスファルト含有量の少ない廃材粗粒分を第一の供給手段より再生ドライヤの一端部より供給する一方、アスファルト含有量の多い廃材細粒分を第二の供給手段より再生ドライヤの略中央部に供給すれば、廃材細粒分を粘着性を高めた廃材粗粒分に付着増粒させることができ、これによって再生ドライヤのドラム内面への廃材付着を極力少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るアスファルト舗装廃材の加熱再生装置の一実施例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のアスファルト舗装廃材の加熱再生装置にあっては、回転自在に傾斜支持した再生ドライヤの一端部にバーナを備え、該バーナ側の再生ドライヤの一端部には廃材ホッパより切り出した廃材を再生ドライヤに供給するベルトコンベヤ等から成る第一の供給手段を配設する。また、再生ドライヤの略中央部には廃材ホッパより切り出した廃材を再生ドライヤ略中央部に供給するベルトコンベヤ等から成る第二の供給手段を配設する。前記第一及び第二の供給手段より供給される廃材は、再生ドライヤ略中央部にて合流して再生ドライヤの他端部から排出されるように構成する。
【0014】
そして、前記再生ドライヤにて廃材を加熱するときには、好ましくは5mm粒径オーバーのアスファルト含有量の少ない廃材粗粒分を第一の供給手段によって再生ドライヤの一端部から所定量ずつ供給する。また、好ましくは5mm粒径アンダーのアスファルト含有量の多い廃材細粒分を第二の供給手段より再生ドライヤの略中央部から所定量ずつ供給する。
【0015】
再生ドライヤに供給される廃材粗粒分は、再生ドライヤ内を加熱されながら転動流下する間に含有するアスファルト分の粘着性を高めて再生ドライヤの略中央部に達する。一方、廃材細粒分は再生ドライヤの略中央部に供給され、粘着性を高めた廃材粗粒分と合流することで、粘着性の高い廃材粗粒分に付着して増粒しながら転動流下していき、所定温度まで加熱されて排出される。
【0016】
このように、アスファルト含有量の多くて再生ドライヤのドラム内面に付着しやすい廃材細粒分を廃材粗粒分に付着増粒させることで、再生ドライヤのドラム内面への廃材細粒分の付着を抑制することができ、再生ドライヤのドラム内面への廃材付着を極力少なくできる。また、廃材細粒分を熱風温度の低下した再生ドライヤ略中央部に供給することで、廃材細粒分が高温に晒されないために熱容量の小さい廃材細粒分、特に廃材微粒分(0.6mmアンダー)が過度に熱せられることがなくてアスファルト分の熱劣化も抑えられる。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0018】
図中の1は廃材を加熱再生する装置である再生ドライヤであって、直列配置された第一のドラム2と第二のドラム3から成っており、第一のドラム2の排出側を第二のドラム3内に挿入し、第一のドラム2を通過した廃材は第二のドラム3に供給される構成となっている。
【0019】
第一のドラム2、第二のドラム3は、内周部に多数の掻き上げ羽根(図示せず)を周設され、機台4、5上に回転自在に傾斜支持され、別個の駆動装置により所定の速度で回転させている。再生ドライヤ1の一端の投入ホッパ6側には燃焼室7を介してバーナ8を配設しており、該バーナ8によって燃焼室7内に火炎を形成して第一のドラム2、第二のドラム3に熱風を送り込む一方、他端部の排出ホッパ9に連結した排気煙道10末端の排風機(図示せず)で排ガスを吸引することによって第一のドラム2、第二のドラム3内を通過する高温ガス流を維持している。
【0020】
11は廃材、特に比較的粒径の大きい廃材粗粒分を貯留する廃材ホッパであり、第一の供給手段であるベルトコンベヤ12によって廃材ホッパ11に貯留する廃材粗粒分を投入ホッパ6より第一のドラム2内に供給するようにしている。また、13は廃材、特に粒径の小さい廃材細粒分を貯留する廃材ホッパであり、第二の供給手段であるベルトコンベヤ14によって廃材ホッパ13に貯留する廃材細粒分を第二のドラム3内に供給するようにしている。
【0021】
上記構成より成る再生ドライヤ1によって廃材を加熱再生するときには、先ず、廃材中のアスファルト含有量の少ない粗粒分、例えば略5mm粒径オーバーの廃材を廃材ホッパ11に貯留する一方、アスファルト含有量の多い細粒分、例えば略5mm粒径アンダーの廃材を廃材ホッパ13に貯留しておく。
【0022】
そして、バーナ8から熱風を送り込む一方、廃材ホッパ11から廃材粗粒分を所定量ずつ切り出してベルトコンベヤ12を介して第一のドラム2内に供給していく。供給された廃材粗粒分は、第一のドラム2内を転動流下する間に熱風と接触して加熱され、廃材中のアスファルト分の粘着性が高められて再生ドライヤ1の略中央部に達し、第二のドラム3へと供給される。
【0023】
一方、廃材ホッパ13からは廃材細粒分を所定量ずつ切り出し、ベルトコンベヤ14を介して第二のドラム3内へと供給して廃材粗粒分と合流させる。合流した廃材細粒分は、粘着性の高い廃材粗粒分に付着して増粒しながら転動流下していき、所定温度まで加熱されて排出ホッパ9へと排出される。
【0024】
このように、廃材細粒分を粘着性の高い廃材粗粒分に付着増粒させながら加熱再生するので、アスファルト分の多い廃材細粒分が再生ドライヤ1のドラム内面に付着するのを抑制することができ、再生ドライヤ1のドラム内面への廃材付着を極力少なくできる。また、廃材細粒分を熱風温度の低下した領域に供給することで、廃材細粒分、特に廃材微粒分が過度に熱せられることがなくてアスファルト分の熱劣化も抑えられる。
【0025】
なお、本実施例においては、第一のドラム2と第二のドラム3の二つのドラムを使用したが、一つのドラムにてドラム中央部に廃材細粒分の供給口を備えた再生ドライヤとしてもよいこと等、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
1…再生ドライヤ 2…第一のドラム
3…第二のドラム 6…投入ホッパ
7…燃焼室 8…バーナ
9…排出ホッパ 11、13…廃材ホッパ
12…ベルトコンベヤ(第一の供給手段)
14…ベルトコンベヤ(第二の供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に傾斜支持した再生ドライヤの一端部にバーナを備え、該バーナ側の再生ドライヤの一端部には廃材を再生ドライヤに供給する第一の供給手段を配設すると共に、再生ドライヤの略中央部には廃材を再生ドライヤ略中央部に供給する第二の供給手段を配設し、アスファルト含有量の少ない廃材粗粒分を前記第一の供給手段より再生ドライヤの一端部から供給する一方、アスファルト含有量の多い廃材細粒分を前記第二の供給手段より再生ドライヤの略中央部に供給し、廃材粗粒分中のアスファルト分が加熱によって粘着性を高めたところに廃材細粒分を供給することで廃材細粒分を廃材粗粒分に付着増粒させて再生ドライヤのドラム内面への廃材細粒分の付着を抑制しながら加熱再生したことを特徴とするアスファルト舗装廃材の加熱再生方法。
【請求項2】
第一の供給手段にて再生ドライヤの一端部に供給する廃材粗粒分は5mm粒径オーバーのものとし、第二の供給手段にて再生ドライヤの略中央部に供給する廃材細粒分は5mm粒径アンダーのものとすることを特徴とする請求項1記載のアスファルト舗装廃材の加熱再生方法。
【請求項3】
回転自在に傾斜支持した再生ドライヤの一端部にバーナを備え、該バーナ側の再生ドライヤの一端部には廃材を再生ドライヤに供給する第一の供給手段を配設すると共に、再生ドライヤの略中央部には廃材を再生ドライヤ略中央部に供給する第二の供給手段を配設し、第一及び第二の供給手段より供給した廃材は合流して再生ドライヤの他端部から排出されるように構成したことを特徴とするアスファルト舗装廃材の加熱再生装置。

【図1】
image rotate