説明

アスファルト舗装廃材再生用ドライヤ

【課題】 ドラム端部からの廃材の溢れ落ちを極力阻止できるようにしたアスファルト舗装廃材再生用ドライヤを提供する。
【解決手段】 ドラム3の材料投入側端部3aに熱風供給用バーナ4と供給コンベヤ5とを有する隔壁体6を備え、この隔壁体6をドラム3径より若干小径の円筒形状としてその先端部をドラム3内に貫入する一方、ドラム3の材料投入側端部3aの内周面には適宜高さの堰板12を周設する。また、この堰板12の頂部に外気吸引防止用のシール材15の基端部を固着すると共に、このシール材15の遊端部をドラム6内方側に臨ませかつ隔壁体6の外周面に当接させるように構成する。そして、ドラム6の材料投入側端部3a付近に廃材Aの付着・滞留が生じて続いて投入される廃材が堰板6を乗り越えそうになってもシール材15にてドラム6内方側に跳ね返すことができ、廃材の溢れ落ちを極力阻止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト舗装廃材を加熱再生処理するアスファルト舗装廃材再生用ドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト混合物製造装置には、新規骨材(以下「新材」という)を加熱処理する新材ドライヤと、アスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)を加熱再生処理する廃材ドライヤがある。前記新材ドライヤは、例えば、特許文献1(特開2000−273814号)に記載のように、円筒状のドラムを回転自在に傾斜支持し、該ドラムの材料排出側端部に熱風供給用バーナを有するホットホッパを備え、材料投入側端部に新材供給手段と排ガス導出用の排気煙道とを有するコールドホッパを備えて成り、前記ホットホッパのバーナからドラム内に熱風を供給してコールドホッパの排気煙道から排ガスを導出する一方、このコールドホッパ側から新材をドラム内に投入して転動流下させる間に向流の熱風に晒して所定温度まで加熱乾燥処理している。
【0003】
前記新材ドライヤにおいて、固定されたホッパと回転するドラムとの間には構造上どうしても若干の隙間が生じることとなるが、この隙間から外気をドラム内に吸引してしまうと、熱風温度を低下させてドライヤの加熱効率が落ちてしまうため、特許文献1に記載のように、ホッパ側に耐熱性のシール材の基端部をドラムと略同心円状となるように固着すると共に、該シール材の遊端部をドラムの外周面に当接させるようにしてホッパとドラムとの隙間を少なくして外気の吸引を極力阻止するように図っている。
【0004】
一方、廃材ドライヤも前記新材ドライヤと略同様の構成としており、回転自在に傾斜支持した円筒状のドラムの材料排出側端部に排気煙道を有するコールドホッパを備え、材料投入側端部にバーナと廃材供給手段とを有する隔壁体を備えて成り、該隔壁体のバーナからドラム内に熱風を供給してコールドホッパの排気煙道から排ガスを導出する一方、前記隔壁体側から廃材をドラム内に投入して転動流下させる間に並流の熱風に晒して所定温度まで加熱再生処理している。
【0005】
そして、前記廃材ドライヤにおいても、例えば図3に示すように、固定されたホッパや隔壁体106と回転するドラム103との隙間114から外気が吸引されるのを防ぐために、隔壁体106端部にシール材115の基端部をボルト・ナット116にて固着していると共に、該シール材115の遊端部をドラム103の外周面に当接させてシール機構113を形成している。また、この廃材ドライヤでは、供給コンベヤ105より隔壁体106の開口部111を介してドラム103内に投入される廃材Aがドラム103の材料投入側端部103a付近にて付着・滞留を起こし易く、そうなると続いて投入される廃材が図中の矢印Xの下流へと流れずに、ドラム103端部より溢れ落ちるおそれがあるため、ドラム103の材料投入側端部103aの内周面に適宜高さの堰板112を周設し、ドラム103端部からの廃材の溢れ落ちを未然に防ぐように図っている。
【特許文献1】特開2000−273814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記のように堰板112を周設してもなお、廃材Aの付着量が多くなると図中の矢印Yのように堰板112を乗り越えてドラム103端部より溢れ落ちることがあり、この溢れ落ちた廃材はシール材115とドラム103外周面との隙間114に溜まっていくことになる。そして、この量が多くなってくると、回転するドラム103外周面と擦れて異音や摩耗を生じたり、最終的にドラム103外部へと溢れ落ちて周辺部を汚してしまうという問題を有していた。
【0007】
本発明は上記の点に鑑み、ドラム端部からの廃材の溢れ落ちを極力阻止できるようにしたアスファルト舗装廃材再生用ドライヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本来、廃材ドライヤのドラムと隔壁体との隙間を塞いで外気の吸引を防ぐために設けられたシール機構を上手く利用することにより、ドラム端部からの廃材の溢れ落ちも極力阻止できるようになるのではないかと考えた。
【0009】
即ち、上記の課題を解決するために、本発明に係るアスファルト舗装廃材再生用ドライヤでは、回転自在に傾斜支持した円筒状のドラムの材料投入側端部に熱風供給用バーナと廃材供給手段とを有する隔壁体を備え、材料排出側端部に排ガス導出用の排気煙道を有するコールドホッパを備えたアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記隔壁体をドラム径より若干小径の円筒形状としてその先端部をドラム内に貫入する一方、ドラムの材料投入側端部の内周面には所定高さの堰板を周設し、該堰板の頂部に外気吸引防止用のシール材の基端部を固着すると共に、該シール材の遊端部をドラム内方側に臨ませかつ前記隔壁体の外周面に当接させるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るアスファルト舗装廃材再生用ドライヤによれば、隔壁体をドラム径より若干小径の円筒形状としてその先端部をドラム内に貫入する一方、ドラムの材料投入側端部の内周面には所定高さの堰板を周設し、該堰板の頂部に外気吸引防止用のシール材の基端部を固着すると共に、該シール材の遊端部をドラム内方側に臨ませかつ前記隔壁体の外周面に当接させるように構成したので、材料投入側のドラム端部付近に廃材の付着・滞留が生じて続いて投入される廃材が堰板を乗り越えそうになってもシール材によってドラム内方側に跳ね返すことができ、ドラム端部からの廃材の溢れ落ちを極力阻止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係るアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにあっては、廃材ドライヤのドラムの材料投入側端部に設置される隔壁体をドラム径よりも若干小径の円筒形状とし、その先端部をドラム内に貫入している一方、ドラムの材料投入側端部の内周面には適宜高さの堰板を周設している。また、外気の吸引を防止するシール機構として、前記堰板の頂部に耐熱性のシール材の基端部を固着していると共に、該シール材の遊端部をドラム内方側に臨ませ、かつ前記隔壁体の外周面に当接させるように構成している。
【0012】
そして、前記廃材ドライヤのドラム内に廃材を投入するとき、材料投入側のドラム端部付近で付着・滞留を起こすと、続いて投入される廃材が堰板を容易に乗り越えかねない状態となるが、堰板の頂部に備えた外気吸引防止用のシール材によって堰板を乗り越えようとする廃材の殆どをドラム内方側に跳ね返すことができ、ドラム端部からの廃材の溢れ落ちを極力抑えることができてドラム周辺部を清浄に維持することが可能となる。また、例え、ごく一部の廃材が堰板を乗り越えて材料投入側のドラム端部から溢れ落ちたとしても、従来装置のように、その廃材がシール材とドラム外周面との間に溜まるようなことはないので、ドラム外周面と擦れて生じる異音や摩耗の原因となるおそれはなく、メンテナンス面においても好適である。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】
図中の1は廃材を加熱再生処理するアスファルト舗装廃材再生用ドライヤであって、基台2上に円筒状のドラム3を回転自在に傾斜支持し、駆動装置(図示せず)により所定の速度で回転させるようにしている。また、前記ドラム3の材料投入側端部3aに、熱風供給用バーナ4と、廃材供給手段である供給コンベヤ5とを有する隔壁体6を備えている一方、ドラム3の材料排出側端部3bには、排ガス導出用の排気煙道7を有するコールドホッパ8を備えている。
【0015】
ドラム3内部には多数の掻き上げ羽根9を周設しており、前記供給コンベヤ5よりドラム3内に投入される廃材をこの掻き上げ羽根9にて掻き上げてドラム3内を転動流下させる間に、前記バーナ4よりドラム3内に供給される並流の熱風に晒して所定温度まで加熱乾燥処理するようにしている。なお、前記掻き上げ羽根9は、図1に示すように、廃材が付着・滞留を生じやすい領域であるドラム3の材料投入側付近には設けずに、略中間部付近から下流側に掛けて設けている。
【0016】
前記隔壁体6は、ドラム径より若干小径の円筒形状としてその先端部をドラム6内に貫入しており、この先端部の大部分は隔壁10にて密閉してドラム6内部と外気とを遮断している一方、隔壁10の一部に開口部11を穿設し、該開口部11を介してバーナ4からの熱風導入と、供給コンベヤ5からの廃材投入を行うようにしている。
【0017】
また、ドラム3の材料投入側端部3aには、適宜高さの堰板12を周設しており、供給コンベヤ5よりドラム3内に投入した廃材Aが、図2に示すように、材料投入側端部3a付近にて付着・滞留を起こした場合等に、続いて投入される廃材が材料投入側端部3aより溢れ落ちるのを防ぐようにしている。
【0018】
13はドラム3と隔壁体6との隙間14を閉塞してドラム3内に外気が極力吸引されないようにするためのシール機構であって、図2に示すように、前記堰板12の頂部に設けたフランジ12aに耐熱性のシール材15の基端部をボルト・ナット16にて固着していると共に、シール材15の遊端部をドラム3内方側に臨ませかつ隔壁体6の外周面に当接させており、ドラム3回転時にはシール材15の遊端部が隔壁体6の外周面と摺動するように構成している。
【0019】
また、ドラム3とコールドホッパ8との隙間からもドラム3内に外気が吸引されないようにするためにシール機構17を備えており、図1に示すように、コールドホッパ8側に基端部を固着した耐熱性のシール材18の遊端部をドラム3の外周面に当接させている。
【0020】
そして、上記構成のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤ1にて廃材を加熱再生処理するときには、ドラム3を所定速度にて回転させると共に、バーナ4よりドラム3内に熱風を供給する一方、供給コンベヤ5よりドラム3内に廃材を投入し、ドラム3内を転動流下させる間に並流する熱風に晒して所定温度まで加熱して再生処理していく。このとき、ドラム3の材料投入側端部3a付近では、図2に示すように、廃材が付着・滞留を起こしやすく、この付着・滞留した廃材Aの上から続いて投入されてくる廃材が、図中の矢印Xのようにドラム3下流へと流れずに、矢印Yのように跳ねて溢れ落ち防止用に設けられた堰板12を容易に乗り越えかねない状態となるものの、この堰板12の頂部に備えた外気吸引防止用のシール材15により、矢印Zにて示すように、堰板12を乗り越えようとする廃材の殆どをドラム3内方側に跳ね返すことができる。
【0021】
このように、本発明のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤ1においては、ドラム3の材料投入側端部3aからの廃材の溢れ落ちを極力抑えることができ、ドラム3周辺部を清浄に維持することが可能となる。また、例え、ごく一部の廃材がシール材15と隔壁体6との間を擦り抜けてドラム3の材料投入側端部3aから溢れ落ちるようなことがあったとしても、従来装置のように、その溢れ落ちた廃材がシール材15とドラム3外周面との間に溜まってしまうようなことはないので、ドラム3外周面と擦れて生じる異音や摩耗の原因となるおそれはなく、メンテナンス面においても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るアスファルト舗装廃材再生用ドライヤの一実施例を示す一部切り欠き正面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】従来例を示す図2に相当する図である。
【符号の説明】
【0023】
1…アスファルト舗装廃材再生用ドライヤ
3…ドラム 4…バーナ
5…供給コンベヤ(廃材供給手段) 6…隔壁体
7…排気煙道 8…コールドホッパ
10…隔壁 12…堰板
13…シール機構 15…シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に傾斜支持した円筒状のドラムの材料投入側端部に熱風供給用バーナと廃材供給手段とを有する隔壁体を備え、材料排出側端部に排ガス導出用の排気煙道を有するコールドホッパを備えたアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記隔壁体をドラム径より若干小径の円筒形状としてその先端部をドラム内に貫入する一方、ドラムの材料投入側端部の内周面には所定高さの堰板を周設し、該堰板の頂部に外気吸引防止用のシール材の基端部を固着すると共に、該シール材の遊端部をドラム内方側に臨ませかつ前記隔壁体の外周面に当接させるように構成したことを特徴とするアスファルト舗装廃材再生用ドライヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate