説明

アスベスト処理剤およびアスベスト処理方法

【課題】人体、建造物及び周囲の環境に対する影響が少なく分厚い壁やスレートに対しても内部まで均一にアスベスト無害化処理を行うことができるアスベスト処理剤およびアスベスト処理方法を提供する。
【解決手段】0.5〜3.0重量%のリン酸と、3〜20重量%の過酸化水素と、0.5〜20重量%のアルコールと、純水とを含有するアスベスト処理剤および、アスベストを含有する被処理物に浸透させ、その後被処理物を洗浄水によって洗浄除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスベストを変性させ無害化する処理に用いるアスベスト処理剤およびそれを用いたアスベストを無害化する処理の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスベストは、特に建材として広く利用され、その用途としては、壁を被覆する被覆材、吸音材料、断熱材料および成型板のスレート材などがあった。しかしながら、アスベストは剥離した繊維が針状の粉塵となって、肺癌、肺繊維症および中皮種を引き起こすおそれがあるなど、人体健康に悪影響を及ぼすことから、使用が禁止もしくは制限されるに至っている。
【0003】
しかしながら、アスベストは使用が禁止される以前に建造された建造物の建材にも含まれているので、これらの建造物の使用者の健康が悪影響を受ける可能性もある。さらに、これらの建造物を解体する際にもアスベストの繊維の飛散が起こるので、アスベストによる解体作業者の健康への影響のおそれと周辺環境への汚染等はさらに深刻なものとなる。したがって、アスベストを無害化処理する手段が強く求められている。
【0004】
アスベストを無害化処理する方法は、無害化処理を行いつつ処理作業者にとって安全であることが求められる。さらに、使用が禁止される前に建造物に用いられたアスベストや、その他の用途に使用されたアスベストの量が莫大であるため、無害化処理に使用する機器および薬剤や使用する作業に要するコストは最小限であることが望まれる。
【0005】
特許文献1は、リン酸水溶液を0.5〜50重量%含むアスベスト処理剤を用い、建築構造物の壁や天井等を被覆しているアスベストを含有する建材に対して、このアスベスト処理剤を噴霧または塗布して、建材のアスベストを針状から塊状へと改質する技術を開示している。
【0006】
特許文献2は、リン酸を30〜50%含む水溶液に過酸化水素を3〜5重量%となるよう添加したアスベスト処理剤を用い、アスベストを含有する建材に対してこのアスベスト処理剤を噴射もしくは塗布し、またはこの処理剤に建材を投入する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平07−012986号公報
【特許文献2】特開2007−295943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の技術では、建材をアスベスト処理剤で処理した際に、建材に未反応物のむら(ダマ)が残る現象が発生することがある。また、建材に対してアスベスト処理剤を噴霧または塗布した際に、異臭や健康への問題を伴う反応ガスが生じる場合がある。これらの問題は、このアスベスト処理剤が建材に対して均一に浸透しにくく、建材に浸透したリン酸の濃度にむらができ、濃度の高い部分では過剰に反応するために生じていると思われた。
【0009】
これを防ぐためには、特許文献1に記載のアスベスト処理剤を用いた場合、リン酸の濃度を高くし、処理の際に建材全体のリン酸の濃度を高めて強制的に反応させることで、未反応物のむらを減らさなければならない。しかし、本発明者らの試験によると、リン酸の濃度が高くなると、アスベスト処理剤の安全性が確保できなくなる。例えばリン酸濃度を4.0重量%とすると、人体に接触した際に皮膚への火傷などを生じる場合がある。そのため、建材に対して噴射や塗布を行う作業や、建材を処理剤に投入する作業において、作業者の安全性の問題が生ずる。さらに、アスベスト処理剤に含まれる高濃度のリン酸は、アスベストの無害化処理後に水洗などで除去するのが難しく、続く作業の作業者や建造物の使用者に対して酸による危険性が残るおそれがある。
【0010】
さらに、アスベスト処理剤に含まれる高濃度のリン酸が建造物に残存すると、鉄筋などに対して酸による腐食のおそれがある。作業後にリン酸をアルカリ性の薬剤で中和することで無害化することも考えられるが、リン酸の濃度が高いため、多量の薬剤を必要とし、この薬剤自体のアルカリ性による作業の安全性、薬剤や作業に対するコストなどの新たな問題が生じる。
【0011】
また、処理剤に含まれるリン酸の濃度を高めると、処理の際の過剰な反応による反応ガスの発生は抑制することができない。様々な無機元素や無機化合物が含まれる建造物の素材を強い酸に投入すると、様々なガスが発生する可能性があり、ガスによっては人体、建造物又は周囲の環境に影響を及ぼす可能性がある。特に、人体に影響が大きく、腐食などを促進するフッ化物、特にフッ化水素が発生することが強く懸念される。その他のガスで人体に直接的な影響はなくとも悪臭や刺激臭のあるものは、発生するとアスベスト処理の作業を困難にすることがある。
【0012】
一方で、特許文献2に記載の技術では、アスベスト処理剤に過酸化水素を添加することで、アスベストの溶解量が増加し、未反応物のむら、反応ガスの発生を抑制している。しかしながら、過酸化水素は水溶液中では安定して存在しにくいので、アスベスト処理剤中から急速に失われてしまう。そのため、処理が長時間にわたると、未反応物のむら、反応ガスが生じてくる。
【0013】
このアスベスト処理剤は、含有するリン酸濃度が30〜50%と高いので、短時間の激しい反応によって処理が行われる。しかし、厚みが1〜3センチ以上の被覆材やスレート材などの建材に対してアスベスト処理剤を添加すると、アスベスト処理剤が建材にしみこむまでに長時間を要してしまい、それまでに過酸化水素が失われるので、未反応物のむら、反応ガスの発生の問題は解決できない。さらに、リン酸濃度が高い処理剤を用いているために、安全性の問題は解決されていない。
【0014】
本発明は、上述した点にかんがみ案出されたもので、その目的とするところは、人体、建造物及び周囲の環境に対する影響が少なく、壁を分厚く被覆する被覆材やスレート材などの被処理物に対しても内部まで均一に浸透してむらなくアスベスト無害化処理を行うことができるアスベスト処理剤およびアスベスト処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のアスベスト処理剤は、0.5〜3.0重量%のリン酸と、3〜20重量%の過酸化水素と、0.5〜20重量%のアルコールと、残部の純水とを含有する。
【0016】
0.5〜3.0重量%のリン酸によってアスベストが無害化処理され、3〜20重量%の過酸化水素によってリン酸によるアスベストの反応にむらが生じず、さらに0.5〜20重量%のアルコールによって処理溶液中の過酸化水素が長時間安定に維持される。残部が純水であることで水中の不純物とリン酸等が反応してアスベスト処理能力が低下することもない。これらの働きのため、アスベスト処理剤は長時間むらなくアスベストの処理を行うので、高濃度のリン酸で強制的に未反応物を反応させたり短時間で反応させる必要がなく、0.5〜3.0重量%という低濃度のリン酸が含有されている。リン酸が低濃度なので、人体に対する安全性が高い。これらの作用によって、分厚いスレート材や壁の被覆材などの被処理物が処理され、かつ安全性の高いアスベスト処理剤が得られる。
【0017】
純水は電気伝導率が2.0mS/m以下であることが好ましい。純水に不純物が少ないことでアスベスト処理剤の処理能力が維持される。
【0018】
リン酸は1.0〜2.5重量%、過酸化水素は2.0〜6.0重量%、アルコールはエタノールで1.0〜5.0重量%であることが好ましい。
【0019】
1.0〜5.0重量%の濃度のエタノールは、安全性が高く作業に適しており安価で、過酸化水素を安定化しアスベスト処理剤の浸透性を高めるのに充分な濃度である。さらに、1.0〜2.5重量%という濃度のリン酸を含有することにより、溶液の変質または溶液の一部の蒸発などで濃度の変動があっても、リン酸の反応性と安全性が両立され、2.0〜6.0重量%の濃度の過酸化水素は、リン酸の反応のむらを防ぐのに充分な濃度であり、かつ高すぎる濃度ではないので過酸化水素の腐食性に対して安全性が確保される。
【0020】
本発明のアスベスト処理方法は、0.5〜3.0重量%のリン酸と、3〜20重量%の過酸化水素と、0.5〜20重量%のアルコールと、純水とを含有するアスベスト処理剤を、アスベストを含有する被処理物に浸透させ、然る後にこの被処理物のアスベスト処理剤を洗浄用水によって洗浄除去する。
【0021】
このように、人体に対する安全性の高い濃度のリン酸によってアスベストが無害化処理され、このときに過酸化水素によってアスベストの反応にむらが生じず、アルコールによって処理溶液中の過酸化水素が長時間安定に維持され、スレートや壁などのアスベストを主に用いる資材への浸透性が高い。その後に被処理物に残ったリン酸が洗浄除去されるので、被処理物をこの後にさらに処理、再利用する際に安全となる。
【0022】
リン酸は1.0〜2.5重量%、過酸化水素は2.0〜6.0重量%、アルコールはエタノールで1.0〜5.0重量%であることが好ましい。純水は電気伝導率が2.0mS/m以下であることが好ましい。
【0023】
洗浄用水はpHが7.0を超えるものを用いることが好ましい。
【0024】
アルカリ性の洗浄用水を用いることで、アスベスト処理剤に含まれる酸性成分、主にリン酸が中和されて有効に洗浄される。
【0025】
被処理物がアスベストを含有する建材で、アスベスト処理剤をこの建材に散布することによって浸透させ、然る後にリン酸洗浄用水をこの建材に対して散布することによってアスベスト処理剤を洗浄除去することが好ましい。
【0026】
このように、アスベスト処理剤を建造物の建材に散布することで、建材に含まれるアスベストが無害化される。リン酸洗浄用水を散布することで、建材に残るアスベスト処理剤が洗い流され、特にリン酸が洗浄される。アスベストが無害化され、さらに酸性の成分が除去される。
【0027】
被処理物がアスベストを含有する建材で、アスベスト処理剤にこの建材を浸漬することによって浸透させ、然る後にリン酸洗浄用水にこの建材を浸漬することによってアスベスト処理剤を洗浄除去することが好ましい。
【0028】
このように、アスベスト処理剤に建材を浸漬することにより、建材に含まれるアスベストが無害化される。このアスベスト処理剤は、リン酸と過酸化水素とアルコールを含有することによって、建材のアスベストがむらなく無害化されその作用が長時間持続するので、大型の建材も長時間の浸漬によって無害化処理される。リン酸洗浄用水に浸漬することで、建材に残るアスベスト処理剤が染み出して洗い流され、特にリン酸が洗浄される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、0.5〜3.0重量%のリン酸と、3〜20重量%の過酸化水素と、0.5〜20重量%のアルコールとによって、人体に火傷などの影響を及ぼすことなくむらなく均一にアスベスト無害化処理され長時間無害化処理の作用が持続する。残部が純水であることで水中の不純物とリン酸等が反応してアスベスト処理能力が低下することもない。そのため建材などの被処理物を有効に処理できかつ安全性が高い。
【0030】
また、リン酸の濃度が低いので酸性成分の除去工程のためのアルカリなどの薬剤を多量に必要としない。さらに、薬剤の濃度が低いことでアスベスト処理剤自体のコストが安く、しかも安全性が高いので無害化処理の作業コストを低く抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1のアスベスト無害化処理後の建材の電子顕微鏡写真である。
【図2】比較例1のアスベスト無害化処理前の建材の電子顕微鏡写真である。
【図3】アスベスト処理剤に含まれるリン酸濃度が魚肉・豚肉に及ぼす影響を示す写真である。
【図4】比較例2のアスベスト無害化処理後の建材の電子顕微鏡写真である。
【図5】アスベスト処理剤を調整後安置した後の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態に係るアスベスト処理剤について説明する。
[第一の実施形態]
第一の実施形態に係るアスベスト処理剤は、0.5〜3.0重量%のリン酸と、3〜20重量%の過酸化水素と、0.5〜20重量%のアルコールと、純水とを含有する。
【0033】
リン酸は、HPOで表される化合物のほか、ここでは水中でリン酸イオンの形をとってイオン化するもので、リン酸基を持ついわゆるリン酸類などを広く含む。こうしたリン酸には、正燐酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸又は同様のイオンを生じる金属の酸性リン酸塩などがある。
【0034】
リン酸の濃度は、0.5重量%を下回るとアスベストに対する反応性が充分でない。3.0重量%より上回るとリン酸の人体への安全性が充分でない。このアスベスト処理剤において、リン酸の濃度が3.0重量%を超えた場合、皮膚に火傷に似た現象、白化、激痛を及ぼすことを本願発明者らは見出している。
【0035】
リン酸濃度は、誤差や温度、調製後の反応などによって起こり得る濃度の変化を加味して、反応性の確実さを確保するには1.0重量%以上が特に好ましい。また、2.5重量%以下に調製することで、飛散などで皮膚に数分間まで接触しても影響がほとんどないので特に好ましい。
【0036】
この第一の実施形態では、リン酸濃度はアスベスト処理剤を建造物の建材への吹きつけ作業などに用いるために、吹きつけの操作でもリン酸の反応性を確実とする面から、2.0重量%以上、吹きつけ作業で人体に飛散する可能性などを考え安全性を確保する面から2.5重量%以下としている。
【0037】
過酸化水素は、Hで表される化合物である。過酸化水素の濃度は、1重量%を下回ると、リン酸の反応にむらが生じるのを防ぐ効果が充分に得られない。過酸化水素の濃度が高いとむらを防ぐ効果が高く、このアスベスト処理剤ではアルコールの作用によって過酸化水素の濃度が急速に失われることがないので、およそ20重量%まで濃度を高めることができる。20重量%を超えると、他の成分の濃度を調整することが難しくなることがある。過酸化水素は水中から徐々に失われるが、ある程度失われても反応性を確保するために2重量%以上が特に好ましい。また、過酸化水素は腐食性によって周囲の環境に影響を及ぼす可能性もあることから、影響を少なくする目的から6重量%以下が特に好ましい。なお、比較的狭い範囲の処理で周囲への影響の問題が少ない場合や、処理に特に長時間を要する場合は、過酸化水素を6〜20重量%としたものを用いることができる。
【0038】
この第一の実施形態では、過酸化水素水の濃度は3.5〜4.5重量%としている。3.5重量%以上とするのは、リン酸の濃度に対して、吹きつけに用いるためのある程度高い反応性の確保、また建材にしみ込むまでの長時間で徐々に過酸化水素が失われることによって反応性が落ちない下限である。4.5重量%以下としたのは、吹きつけで処理剤を多量に用いるコストの兼ね合いである。
【0039】
アルコールは、OH基を持つ化学物質である。アルコールの種類は問わないが、水との親和性の高さ、純度の確保しやすさ、入手しやすさ、コストなどの面から低級アルコールが好適に用いられる。純度は大きくは問題とされないが、不純物がリン酸と反応することは好ましくないので、純度90%以上のものを用いることが望ましい。こうした性質を確保できるアルコールの中では、特に入手のしやすさや安全性からエタノールが好適である。
【0040】
アルコールの濃度は0.5〜20重量%である必要がある。0.5重量%を下回ると、過酸化水素が失われるのを防ぐ効果が得られない。アルコールの濃度が高すぎると、水中の不純物の析出を招く場合や、他の成分の濃度を調整することが難しくなる場合があるので、目安として20重量%以下である必要がある。
【0041】
エタノールの場合は、反応性から1.0〜5.0重量%が望ましく、ここではアスベスト処理剤が建材に散布ししみ込むまでに過酸化水素が失われるのを防ぐために、2.0〜3.0重量%のエタノールを用いている。
【0042】
アスベスト処理剤に用いる純水は、他の成分の残部で、およそ67〜98重量%を占める。不純物が他の成分を阻害しないためにはイオン強度が弱い純水である必要があり、脱イオン水、RO水、蒸留水、精製水などが望ましい。
【0043】
純水の純度の目安として、水は電気伝導率(mS/m)が小さくなるほど(または、抵抗率Ω・cmが大きくなるほど)純度が高くなるが、本実施形態で用いる純水は電気伝導率2.0mS/m以下、望ましくは工業用品や食品の製造の分野で一般に純水と呼ばれる1.0mS/m以下である。
【0044】
次に、第一の実施形態のアスベスト処理剤の作用について説明する。
【0045】
アスベスト処理剤は、アスベストを含有する被処理物に接触させると、被処理物に対してしみ込んでゆく。この際、過酸化水素水やアルコールが、アスベスト処理剤を被処理物に対してしみ込みやすくし、また均一に浸透しやすくする。数センチ厚の建材に対してアスベスト処理剤がしみ込むには、15分〜1時間を要することがあるが、アルコールによって、不安定な過酸化水素水が溶液中から失われることが防がれる。そのため、リン酸の濃度がアスベスト無害化の反応に必要な最低限まで薄くても、長時間の間処理剤の作用が持続するので、充分にアスベストの無害化が可能である。
【0046】
アスベスト処理剤が被処理物にしみ込み、被処理物に含まれるアスベストと接触すると、アスベストの繊維を変質させ、結晶状に変えて無害化する。この原理は、リン酸はアスベストに含まれる金属イオン部分と反応することで、アスベストの成分とリン酸塩を形成し、アスベストを変性、無害化することができると考えられている。
【0047】
本願発明者らは、0.5〜3.0重量%のリン酸と、3〜20重量%の過酸化水素と、0.5〜20重量%のアルコールとを兼ね備えることで、リン酸によるアスベストの無害化処理作用、過酸化水素による被処理物への均一な浸透性、アルコールによる被処理物へ浸透する際の過酸化水素の維持を兼ね備えることを見出した。過酸化水素がリン酸による反応を防ぐことや、アルコールが過酸化水素を維持することについての機序の詳細はわかっていないが、各成分のこれらの割合によって好適に各成分の作用を兼ね備えることは、無害化処理の試行によって実験的に求まったものである。この濃度により、各成分が人体に対して危険性がない濃度で含まれたアスベストの処理剤が得られる。
【0048】
本実施形態のアスベスト処理剤は、水として純水を用いていることでリン酸、過酸化水素及びアルコールを混合した後も、少なくとも10日〜1か月の間、アスベスト処理能力を保つ。本発明者らは、水として水道水を用いた場合は、放置すると間もなくアスベスト処理剤の液中に白濁が生じ、アスベストの処理能力が低下することを確認している。この現象の詳細は明らかではないが、水道水に含まれるカルシウムなどの金属イオンを主とする不純物がリン酸などと反応して起こることなどが予想される。純水を用いた場合は、こうした白濁の生じるような反応が起こることがなく、調整後長期間保存ができる。
【0049】
次に、第一の実施形態のアスベスト処理剤を用いた、アスベスト処理方法について説明する。ここでは、アスベストを含有する建材に対してアスベスト処理剤を散布して、アスベスト無害化処理を行う場合について説明する。
【0050】
この方法では、0.5〜3.0重量%のリン酸と、3〜20重量%の過酸化水素と、0.5〜20重量%のアルコールと、純水とを含有するアスベスト処理剤を用いる。
【0051】
第一の実施形態では、アスベスト処理剤を調製するために、2.0〜2.5重量%のリン酸、3.0〜4.0重量%の過酸化水素、2.0〜3.0重量%のエタノール、およそ残りの割合の純水に混合する。混合する純水は、pHが調整されたものを用いてもよいが、pHが7.0未満であるものを用いる。純水がアルカリ性であるとリン酸が中和されてアスベスト無害化処理の働きが弱くなるため、アルカリ性でないことが望ましいためである。pH6.0未満の弱酸性の水溶液を用いてもよく、さらに確実にはpH4.0未満の水溶液を用いてもよい。
【0052】
このアスベスト処理剤を、アスベストを含有する被処理物に散布する。被処理物は、アスベストを含む物を広く指し、建材や、車両用の部品で主にシール材などがある。ここでは、被処理物となるのは建材であり、建造物の壁や天井に用いられているモルタル、石膏やコンクリートなどの素材で、石膏板、化粧板、合成スレート、耐火や断熱のための被覆材などを含む。また建造物に使用中であるものの他、剥離除去された建築材料や未使用の余剰建材などを指す語である。第一の実施形態では、被処理物の建材は建造物に使用中の、建造物の壁を被覆しているアスベストを含有する被覆材である。
【0053】
アスベスト(石綿)は、クリソタイル(白石綿)が広く使用されているが、その他にアモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)、アンソフィライト(直閃石綿)、トレモライト(透角閃石綿)、アクチノライト(陽起石綿)などを含む。
【0054】
アスベスト処理剤を建材に散布する際は、具体的には噴霧や塗布により、建材全体にアスベスト処理剤がほぼ均一に分散するように実施される。ここでは、コンプレッサーと噴霧用ノズルを用いて噴霧を行っている。噴霧によって広い面積に容易に施工することができる。なお、狭い面積に対しては刷毛などを用いて塗布することができる。後者の場合、アスベスト処理剤が作業者に対して飛散する危険性が低いため、リン酸の濃度を最大3.0重量%まで上げて、反応性を高めてもよい。散布する量は、建材の厚み全体にわたって染み込ませることが必要で、例えば建材が湿潤して見えるまでの量を散布する手段があるが、目安として被処理物の建材の体積と等量以上と思われる量を散布すれば充分である。本実施形態の処理剤は安全性が高く、洗浄除去も容易なので、より多め、例えば建材の2〜3倍までの処理剤を散布しても構わない。
【0055】
次いで、アスベスト処理剤を被処理物である建材に対してしみ込ませ、建材に含まれるアスベストと接触させ反応させるために時間を置く。アスベストを含む建材が2〜3cmであると、5〜30分程度でしみ込むが、3〜5cmであると、処理剤がしみ込むまでに30〜90分を要することがある。
【0056】
その後、アスベスト処理剤によって無害化した被処理物を、リン酸洗浄用水によって洗浄する。この実施形態のアスベスト処理剤は、建造物などにそのまま残留していてもほとんど危険はないが、処理した資材を再利用する際の便宜や、周囲の環境への影響からアスベスト処理剤を洗浄し、また酸性の成分を除去しておくことがより望ましいために、この洗浄を行う。リン酸洗浄用水は、水または水にpH調製成分等を添加した水溶液などである。リン酸洗浄用水に用いる水については、純度は問わず、例えばアスベスト処理剤の調製に用いた純水でもよいが、純度が低くコストの安い水道水や工業用水でも構わない。アスベスト処理剤を洗浄するとともに酸性成分を中和することが望ましいので、pHが7.0を超えることが望ましい。この実施形態のアスベスト処理剤は、高濃度の酸性成分は含まないので、高濃度の中和剤を必要とすることはなく、逆に中和剤を用いるとアルカリ成分が残留するので安全性のために望ましくない。そのため、リン酸洗浄用水は弱アルカリ性のpH8〜9前後であることが望ましい。
【0057】
これらの操作によって、被処理物である建材はアスベストが無害化され、さらにアスベスト処理剤が洗浄される。その後、建材に被覆されている壁はそのままの状態又は上塗りなどを行った状態で安全に利用できる。また、その後の建造物解体などの処理も安全に行うことが可能となる。
【0058】
[第二の実施形態]
第二の実施形態では、被処理物はアスベストを含有する建材であり、アスベスト処理剤に建材を浸漬することによってこのアスベスト処理剤をアスベストに接触させ、その後リン酸洗浄用水に建材を浸漬することによってこのアスベスト処理剤を洗浄除去する。なお、第一の実施形態の場合と同様の構成については説明を省略する。
【0059】
ここでの建材は、コンクリートやモルタルのスレート材である。このスレート材は、構造を強化するのを主な目的としてアスベストを含有しているものである。なお、アスベスト処理剤への浸漬によって浸透が可能であるためには、厚みが最大5cm以下であることが望ましい。15〜30分未満の迅速な反応と、それによる均一で確実なアスベスト無害化処理を確保するためには、厚みが最大3cm以下であることがさらに望ましい。定寸(厚みが約0.8〜1.0cm、面積が約90×180cm)のスレート材に対しては問題なく使用できる。
【0060】
第二の実施形態に係るアスベスト処理剤は、2.5〜3.0重量%のリン酸と、4.0〜6.0重量%の過酸化水素と、2.0〜3.0重量%のアルコールと、純水とを含有する。
【0061】
本実施形態ではアスベスト処理剤に建材を浸漬するので、散布などのように飛散して作業者に危険を及ぼす可能性が少ない。そのため、リン酸、過酸化水素水、アルコールは安全性を失わない範囲で高い濃度が選択され、反応性を高められている。浸漬する容積が少なく、作業が小規模で飛散の可能性がないときは、過酸化水素水は6.0〜10重量%、アルコールは3.0〜6.0重量%前後に濃度を高めてもよい。
【0062】
まず、このような組成のアスベスト処理剤を用意し、次いで、被処理物である建材をこのアスベスト処理剤中に浸漬する。建材に対するアスベスト処理剤の量は、浸漬できるに充分な量があればよいので、建材の体積にして等量以上である。目安として、建材の体積の2倍から5倍以上あればよい。浸漬する方法としては、定寸のスレートなどの大型の建材に対しては、タンクなどの容器に建材を入れ、アスベスト処理剤を注入する方法などが使用できる。一方でアスベスト処理剤が満たされたタンク等に建材を投入して浸漬する、建材をワイヤーや網等で支えつつ浸漬するといった手段もとることができ、取り扱いやすい小型の建材の場合は、建材の全面から同時に処理剤が接触するようにできるため有効である。
【0063】
この浸漬した状態を維持することでアスベスト処理剤を被処理物内にしみ込ませ、被処理物に含まれるアスベストと反応させる。アスベストを含む建材の厚さが0.8〜3cm程度であると、5〜15分程度でしみ込むが、3〜5cmであると、アスベスト処理剤がしみ込むまでに15〜60分を要することがある。
【0064】
次いで、被処理物である建材をリン酸洗浄用水に浸漬する。建材に対するリン酸洗浄用水の量は、浸漬できるに充分な量があればよいが、洗浄を行うのでより多い方が望ましく、目安として建材の体積の3倍から10倍程度があればよい。リン酸洗浄用水が建材にしみ込み洗浄されるまで時間を置くのが望ましいが、120〜180分程度あれば充分に洗浄が行われる。リン酸洗浄用水を除去するために、さらに水で洗浄を行ってもよい。
【0065】
本実施形態によれば、建材のアスベストが無害化され、さらに酸性の成分が除去されるので、建材を安全に処理、再利用することが可能となる。例えばこの後に建材を乾燥し、粉砕などを行って再利用することができる。アスベスト処理剤が洗浄除去されているので、粉砕に用いる機器に酸による錆などの破損が生じることがない。
【実施例】
【0066】
[試験例1]
市販のリン酸水溶液(75〜80重量%)を希釈した2.0重量%のリン酸、市販の約30重量%の水溶液すなわち過酸化水素水を希釈して4重量%とした過酸化水素、および1重量%のエタノール、93重量%の純水を混合してアスベスト処理剤を調製した。アスベストを含有する被処理物の建材としてセメントのスレート(定寸の1×90×180cm)をこのアスベスト処理剤に20分間浸漬した。その後、このスレートを30分間水に浸漬し、乾燥させ、実施例1とした。
【0067】
この実施例1と、アスベスト無害化処理を行っていない同じスレートの比較例1とを、乳鉢で粉砕したものを試料として、X線解析(XRD)による定性分析(JIS A 1481:2008)を行った。
【0068】
実施例1は、XRDの結果、試料からは石英が検出され、アスベストとして知られるクリソタイル、アモサイト、クロシドライト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトのピークはいずれも不検出であった。対して比較例1は、クリソタイルが含まれる可能性があるブラウンミレライトが検出され、クリソタイルが含有されている可能性が認められた。
【0069】
また、実施例1と比較例1に対して、それぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察を行った。測定装置は日本電子(株)製JSM−5610LVを用いてゴールドスパッタリングで行った。
【0070】
倍率10000倍でのSEM写真を図1(実施例1)および図2(比較例1)に示す。実施例1の試料には多数の粒状物質が認められたが、アスベストに特有の針状結晶形状の物質は認められなかった。それに対して、比較例1の試料には符号Nに示す、アスベストに特有の針状結晶形状の物質がごくわずかに認められた。
【0071】
以上の結果から、実施例1の試料にはアスベストは含まれていないと判断された。一方で比較例1にはアスベストの一種であるクリソタイルが含まれている可能性があると判断された。
【0072】
[試験例2]
種々の濃度のリン酸、4重量%の過酸化水素、および1重量%のエタノールを純水に混合した処理剤サンプルを調製した。これら各サンプルのアスベストへの反応性と、皮膚に対する影響を表1に示した。
【0073】
【表1】

アスベストへの反応性
◎:浸漬とほぼ同時に急速にスレートの色や表面の質が変わるのが目視できる。電子顕微鏡ではアスベスト結晶が無くなっていることが確認できる。
○:浸漬後数分までにスレートの色や表面の質が変わるのが目視できる。電子顕微鏡ではアスベスト結晶が無くなっていることが確認できる。
△:スレートの色や表面の質の変化が少ない。電子顕微鏡ではスレートの内部にアスベスト結晶が残留している。
皮膚に対する影響
○:影響なし。
△:手に付着すると痛みがある、水で洗浄すると治る。
×:火傷をしたようになり皮膚が白化、激痛を生じる。
【0074】
表1より明らかなように、リン酸濃度(重量%)は0.5を下回る範囲ではアスベストへの反応性が低く実用的でなく、3.0を超えると皮膚に対する影響が大きすぎて好適でない。アスベストへの反応性と皮膚に対する影響の両立という面からは、リン酸濃度(重量%)は1.0〜2.5の範囲が好適に使用でき、2.0〜2.5前後が最適である。
【0075】
[試験例3]
アスベスト処理剤中のリン酸濃度による人体への影響を調べるため、皮膚などの人体組織にかえて、同じ生物組織(タンパク質)であるマグロ赤身および豚肉の種々のリン酸濃度とした処理剤に浸漬し、組織の変質について調べた。重量%濃度で4重量%の過酸化水素、1重量%のエタノールに、それぞれ2、30、50%のリン酸を加え、残りを工業用水とした水溶液の処理剤を調製した。これらの処理剤にマグロ赤身・豚肉を3分間浸漬した結果を、表2と図3に示した。図3の符号は、浸漬前(マグロ赤身1、豚肉2)、2%に浸漬(マグロ赤身3、豚肉4)、30%に浸漬(マグロ赤身5、豚肉6)、50%に浸漬(マグロ赤身7、豚肉8)に示した。
【0076】
【表2】

マグロ赤身、豚肉に対する処理剤の影響
○:変化なし。
×:表面全体に白化が起こり、タンパク質の変性が起こっているのが目視できる。
【0077】
2%のリン酸を含む処理剤は、作業に用いて皮膚などに接触してもほとんど影響がないと思われる。それに対して、30%や50%のリン酸を含む処理剤は人体の皮膚等にも影響が大きいことが考えられる。
【0078】
[試験例4]
試験例1と同じ条件で、純水にかえて水道水(電気伝導率10mS/m)を用いてアスベスト処理剤を調整し、このアスベスト処理剤にて試験例1と同様に処理したスレート試料を比較例2とした。この比較例2についてX線解析(XRD)による定性分析(JIS A 1481:2008)を行った。
【0079】
定性分析の結果によると、比較例2は、クリソタイルが含まれる可能性があるブラウンミレライトが検出され、クリソタイルが含有されている可能性が認められた。
【0080】
また、比較例2に対して、それぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察を行った。倍率10000倍でのSEM写真を図4に示す。比較例2の試料には符号10に示す、アスベストに特有の針状結晶形状の物質が認められた。
【0081】
以上の結果から、比較例2にはアスベストの一種であるクリソタイルが含まれている可能性があると判断された。このため、純水にかえて水道水を用いてアスベスト処理剤を調整した場合には、アスベスト処理能力が充分に得られないことが示された。
【0082】
[試験例5]
試験例1及び試験例4と同じ条件で、純水及びそれにかえて水道水を用いたアスベスト処理剤を調整し、およそ20日間安置して、外観を観察した。その結果を図5に示す。
【0083】
図5(a)に示す純水を用いたものには変化が見られなかったが、(b)に示す水道水を用いたものには白濁が確認され、なんらかの性質の変化が起こっていることが示された。水道水に含まれるカルシウム等の不純物が、リン酸と反応することで白濁の原因になっていると考えられ、アスベスト処理剤の処理能力に影響する可能性が考えられる。純水を用いることで、アスベスト処理剤の性質に変化がないまま維持することができ、長期間の保存や輸送が可能であることが示された。
【0084】
[試験例6]
アスベスト処理剤とスレートの反応によるフッ化水素及び悪臭等を生じるガスの発生について調査した。リン酸の濃度をそれぞれ2、3、5、10重量%とした他は試験例1と同様にアスベスト処理剤を調整し、スレートを浸漬した。
【0085】
処理後のアスベスト処理剤の周辺の気体を検知管式測定器(株式会社ガステック 短時間用検知管、フッ化水素用No.17L、検知範囲0.09〜72ppm)を用いて測定した。その結果、いずれのリン酸の濃度でもフッ化水素の発生は検出できなかった。
【0086】
処理後のアスベスト処理剤の周辺では、リン酸濃度2及び3重量%の処理剤では特に変化は見られなかったが、リン酸濃度5及び10重量%の処理剤では、刺激の強い悪臭が確認された。この悪臭は、スレートの成分と酸の反応により生じているものと推測される。
【0087】
以上の結果から、本発明のアスベスト処理剤はリン酸の濃度に関わらず処理においてフッ化水素が発生しないことが示された。また、リン酸の濃度が3重量%以下では悪臭等も発生せず作業への支障もきたさないことが示された。
【0088】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明はアスベストの処理および再利用に役立てることができ、主に建築産業に広く役立つほか、アスベストが用いられる部品の処理や再利用など工業上広く役立つものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5〜3.0重量%のリン酸と、1〜20重量%の過酸化水素と、0.5〜20重量%のアルコールと、純水とを含有することを特徴とするアスベスト処理剤。
【請求項2】
前記純水は電気伝導率が2.0mS/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のアスベスト処理剤。
【請求項3】
前記リン酸は1.0〜2.5重量%、前記過酸化水素は2.0〜6.0重量%、前記アルコールはエタノールで1.0〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアスベスト処理剤。
【請求項4】
0.5〜3.0重量%のリン酸と、3〜20重量%の過酸化水素と、0.5〜20重量%のアルコールと、純水とを含有するアスベスト処理剤を、アスベストを含有する被処理物に浸透させ、
然る後に前記被処理物の前記アスベスト処理剤を洗浄用水によって洗浄除去することを特徴とするアスベスト処理方法。
【請求項5】
前記純水は電気伝導率が2.0mS/m以下であることを特徴とする請求項4に記載のアスベスト処理方法。
【請求項6】
前記リン酸は1.0〜2.5重量%、前記過酸化水素は2.0〜6.0重量%、前記アルコールはエタノールで1.0〜5.0重量%であることを特徴とする請求項4又は5に記載のアスベスト処理方法。
【請求項7】
前記洗浄用水はpHが7.0を超えるものを用いることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載のアスベスト処理方法。
【請求項8】
前記被処理物がアスベストを含有する建材で、
前記アスベスト処理剤を前記建材に散布することによって該建材に浸透させ、
然る後に前記リン酸洗浄用水を前記建材に対して散布することによって前記アスベスト
処理剤を洗浄除去することを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載のアスベスト処理方法。
【請求項9】
前記被処理物がアスベストを含有する建材で、
前記アスベスト処理剤に前記建材を浸漬することによって該建材に浸透させ、
然る後に前記リン酸洗浄用水に前記建材を浸漬することによって前記アスベスト処理剤を洗浄除去することを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載のアスベスト処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−125685(P2011−125685A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233955(P2010−233955)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(300087949)サンテク株式会社 (2)
【Fターム(参考)】