説明

アズレン誘導体及びその塩

本発明の下記式(I)で示されるアズレン誘導体及びその塩は、Na−グルコース共輸送体阻害剤として、例えば、糖尿病等の治療剤、特にインスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)、インスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)等の糖尿病の他、インスリン抵抗性疾患、及び肥満を含む各種糖尿病関連疾患の治療剤として有用な化合物であり、アズレン環が、直接、又はハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルキレンを介して、ベンゼン環と結合し、そのベンゼン環が糖残基と直接結合することを特徴とする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、特定の一般式で示されるアズレン誘導体及びその塩に関する。さらに詳しくは、医薬、特に、Na−グルコース共輸送体阻害剤として、例えば、インスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)、インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)等の糖尿病の他、インスリン抵抗性疾患、及び肥満を含む各種糖尿病関連疾患の治療、並びにこれらの予防に有効なアズレン誘導体及びその塩に関する。
【背景技術】
近年、高血糖を速やかに正常化し、同時に体内のエネルギーバランスを改善する抗糖尿病薬として、腸管及び腎臓での糖再吸収を行うNa−グルコース共輸送体(SGLT)を阻害する薬剤(Na−グルコース共輸送体阻害剤)が求められている。このようなNa−グルコース共輸送体阻害剤は、インスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)、インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)等の糖尿病の他、インスリン抵抗性疾患、及び肥満を含む各種糖尿病関連疾患の優れた治療剤並びに予防剤として期待されている。
従来、Na−グルコース共輸送体阻害剤として用いられる化合物としては、例えば、Welch C.A.et al.,J.Natr.,1989,119(11)1698に記載されたフロリジンや、例えば、Hongu,M.et al.,Chem.Pharm.Bull.1998,46(1)22、及び特開平11−21243号公報に記載された合成O−配糖体が知られている。これらの化合物は、腎臓に存在するNa−グルコース共輸送体を阻害することにより、過剰の糖を尿糖として体外に排泄し、血糖を降下させることが報告されている。
しかしながら、これらの化合物は、いずれも糖とアグリコン部とがO−グルコシド結合してなるO−配糖体であり、経口吸収されると小腸に存在するグルコシダーゼ等により加水分解され、作用が消減してしまうという問題があった。
また、フロリジンの場合、アグリコン部であるフロレチンは促進拡散型の糖輸送体を強力に阻害することが知られている。例えば、ラット静脈にフロレチンを投与すると脳内グルコース濃度が減少するという悪影響が報告されている(例えば、Stroke,1983,14,388)。更に、フロレチンはビタミンCのトランスポーターを阻害することも知られている(wang,Y et.al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,2000,267,488−494)。
そこで、O−配糖体のグルコシド結合の酸素を炭素に変換したC−配糖体をNa−グルコース共輸送体阻害剤として用いることが試みられている。
例えば、特開2001−288178号公報(特許文献1)には、下記一般式で示される化合物がNa−グルコース共輸送体阻害作用を有し、糖尿病の治療剤、予防剤及び血糖降下剤として有用であることが記載されている。
(化学式)

(上記式中、RはH、OH、低級アルキル基、−O−低級アルキル基等を、RはH、−COO−低級アルキル基等を、Rは−CHOH、−CHOCOO−低級アルキル基等を、Aはピリジン、フラン、チオフェン、キノリン、インドール等を、nは0〜3の整数を、mは0又は1の整数をそれぞれ示す。上記式中の記号の詳細は特許文献1参照)
また、国際公開第01/27128号パンフレット(特許文献2)には、下記一般式で示される化合物をNa−グルコース共輸送体阻害剤として、肥満や2型糖尿病の治療に用いることができると記載されている。
(化学式)

(上記式中、R、R及びR2aは、独立して、水素原子、OH、OR、アルキル、CF、OCHF、OCF等を、R及びRは、独立して、水素原子、OH、OR5a、−O−アリール、−O−CH−アリール、アルキル、シクロアルキル、CF等を、AはO、S、NH、又は(CH)nを、nは0〜3の整数をそれぞれ示す。上記式中の記号の詳細は特許文献2参照)
以上説明したように、上記のC−配糖体はNa−グルコース共輸送体阻害作用を有しており、糖尿病の治療等に一定の有用性を発揮するものである。しかしながら、糖尿病が生活習慣病として国民病といわれるほど増加している昨今、糖尿病の治療等の現場においては、従来の化合物とは化学的構造が異なり、かつ、より迅速で顕著なNa−グルコース共輸送体阻害作用を発揮する化合物に対する要望が高まっているのが現状である。
【発明の開示】
本発明者等は、Na−グルコース共輸送体阻害作用を有する、ベンゼン環が糖残基と直接結合する化合物について鋭意研究を行った結果、アズレン環が、直接、又はハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルキレン(−A−)を介してベンゼン環と結合していることを特徴とする、下記一般式(I)で示される化合物(アズレン誘導体)が、顕著なNa−グルコース共輸送体阻害作用を有することを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明によれば、下記一般式(I)で示される化合物及びその塩(以下、「本発明化合物」と記す)が提供される。本発明化合物は、それらを有効成分とするNa−グルコース共輸送体阻害剤、特に糖尿病の治療剤又はその予防剤として好適に利用することができる。
なお、本発明化合物と特許文献1及び2に記載された化合物とは、本発明化合物がアズレン環を有する点等において、特許文献1及び2に記載された化合物とは化学的構造を異にするものである。
(式(I))

(上記式(I)中の記号は、それぞれ以下の意味を有する。
〜R:同一又は異なって、水素原子、置換基を有しても良い低級アルキル、−C(=O)−置換基を有しても良い低級アルキル、又は−置換基を有しても良い低級アルキレン−置換基を有しても良いアリール、
〜R12:同一又は異なって、水素原子、置換基を有しても良い低級アルキル、ハロゲン原子、−OH、−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−置換基を有しても良い低級アルキレン−OH、−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−O−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−O−置換基を有しても良い低級アルキレン−置換基を有しても良いアリール、−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−C(=O)−置換基を有しても良い低級アルキル、−COOH、ニトロ、シアノ、アミノ、置換アミノ、又は−C(=O)−O−置換基を有しても良い低級アルキル、
A:結合、置換基を有しても良い低級アルキレン、(但し、−A−は、アズレン環の1位〜8位の何れの位置に結合していても良く、また、R、R及びRのうちの何れか2つは、隣接する炭素原子と一体となって、ベンゼン環を形成していても良い。))
なお、前記式(I)中の記号R〜R、R〜R12、Aで示される基における「置換基を有しても良い」とは、置換基(ハロゲン原子、−OH、−低級アルキレン−OH、−COOH、−C(=O)−O−低級アルキル、ニトロ、シアノ、アミノ又は置換アミノ)を有するもの又は置換基を有しないもののいずれをも含む概念を意味する。置換基としては、ハロゲン原子、−OH、−COOHが好ましい。
本発明化合物においては、前記式(I)中の記号R〜Rで示される、置換基を有しても良い低級アルキル、−C(=O)−置換基を有しても良い低級アルキル、−置換基を有しても良い低級アルキレン−置換基を有しても良いアリールが、それぞれ、低級アルキル、−C(=O)−低級アルキル、−低級アルキレン−アリールであり、また、前記式(I)中の記号R〜R12で示される、置換基を有しても良い低級アルキル、−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−置換基を有しても良い低級アルキレン−OH、−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−O−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−O−置換基を有しても良い低級アルキレン−置換基を有しても良いアリール、−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−C(=O)−置換基を有しても良い低級アルキル、−C(=O)−O−置換基を有しても良い低級アルキルが、それぞれ、低級アルキル又はハロゲン置換低級アルキル、−O−低級アルキル、−低級アルキレン−OH、−低級アルキレン−O−低級アルキル、−O−低級アルキレン−O−低級アルキル−O−低級アルキレン−アリール、−低級アルキレン−O−C(=O)−低級アルキル、−C(=O)−O−低級アルキルであり、さらに前記式(I)中の記号Aで示される、置換基を有しても良い低級アルキレンが、低級アルキレン又はハロゲン置換低級アルキレンであることが好ましい。
また、本発明化合物においては、前記式(I)中の記号Aで示される基が、低級アルキレンであることがさらに好ましく、中でも、メチレンであることが特に好ましい。
また、前記式(I)中の記号R〜Rで示される基が、水素原子であることがさらに好ましい。
また、前記式(I)で示されるアズレン誘導体が、1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)フェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−メトキシフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)−5−メトキシフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)−4−メトキシフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5(アズレン−2−イルメチル)−2−エトキシフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5(アズレン−2−イルメチル)−2−メチルフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−ヒドロキシフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−フルオロフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2,4−ジメトキシフェニル]ヘキシトール及び1,5−アンヒドロ−1−[4−(アズレン−2−イルメチル)−1−メトキシ−2−ナフチル]ヘキシトールからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物であることがさらに好ましい。
また、本発明によれば、上述のアズレン誘導体又はその塩を含有する医薬組成物が提供される。
本発明の医薬組成物は、Na−グルコース共輸送体阻害剤又は糖尿病及びその合併症の予防剤もしくは治療剤として有効に用いられる。
また、本発明によれば、Na−グルコース共輸送体阻害剤又は糖尿病及びその合併症の予防剤もしくは治療剤の製造のための上述のアズレン誘導体又はその塩の使用が提供される。
さらに、本発明によれば、上述のアズレン誘導体又はその塩の治療有効量を患者に投与することを含む、糖尿病及びその合併症の治療方法が提供される。
本明細書中の一般式の定義において「低級」なる用語は、特に断らない限り、炭素数が1〜6の直鎖又は分枝状の炭素鎖を意味する。従って「低級アルキル」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等の直鎖又は分枝状のC1−6アルキルが挙げられる。これらの中では炭素数1〜3のものが好ましく、メチル、エチルが特に好ましい。
「低級アルキレン」としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン等の他、分枝を有した低級アルキレンでも良い。メチレン及びエチレンが好ましく、メチレンが特に好ましい。
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、中でも、塩素原子及び臭素原子が好ましい。「ハロゲン置換低級アルキル」、又は「ハロゲン置換低級アルキレン」としては、上記ハロゲン原子によって置換された上記低級アルキル、又は上記低級アルキレンが挙げられ、特にフッ素原子で置換されたものが好ましい。
「アリール」とは、炭素数が6〜14個の1〜3環系芳香族炭化水素環基を意味する。例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、又はフェナントリル等が挙げられ、特に、フェニル及びナフチルが好ましい。「−低級アルキレン−アリール」としては、ベンジル及びフェネチルが好ましい。
「置換アミノ」としては、アミノ基中の水素原子1乃至2個が上記低級アルキル、アシル、カルバモイル、又はカルバメート(HN−C(=O)−O−)で置換されたものが挙げられる。
「アシル」としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、ピバロイル等が挙げられ、特に、アセチルが好ましい。
なお、上記式(I)における−A−は、アズレン環の1位〜8位の何れの位置に結合していても良い。
また、本発明化合物には、互変異性体、光学異性体等の各種の立体異性体の混合物や単離されたものが含まれる。
本発明化合物は、酸付加塩を形成する場合がある。また、置換基の種類によっては塩基との塩を形成する場合もある。かかる塩としては、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との酸付加塩;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基;メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン等の有機塩基;リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
更に、本発明化合物には、水和物、製薬学的に許容可能な各種溶媒和物や結晶多形等も含まれる。
なお、当然のことながら、本発明化合物は後述する実施例に記載された化合物に限定されるものではなく、上記式(I)で示される化合物(アズレン誘導体)及びその製薬学的に許容される塩の全てを包含するものである。
また、本発明化合物には、生体内において代謝されて上記式(I)に変換される化合物、及びその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて含むものである。本発明化合物のプロドラッグを形成する基としては、Prog.Med.5:2157−2161(1985)に記載されている基や、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163〜198頁に記載されている基が挙げられる。
本発明化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩は、その基本骨格或いは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、この官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基、即ち、容易にこの官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上、効果的な場合がある。しかるのち、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えば水酸基やカルボキシル基等を挙げることができ、それらの保護基としては例えばグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis」第2版に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。
(製造例)
以下に本発明化合物の代表的な製造法の例を説明する。
(製造例1)
製造例1は、下記反応式に示すように、アズレン化合物(1)をフリーデルークラフツ(Friedel−Crafts)反応に付した後、還元し、化合物(2)を得、次いで、化合物(3)に対する付加反応を行って化合物(4)を得、再び還元を行って化合物(I)を得、脱保護を行って化合物(I’)を得る方法である。
(反応式)

(上記式中、R〜R12、Aは前掲と同じものを意味する。)
Friedel−Crafts反応は適当なルイス酸の存在下、溶媒の不存在下又は適当な溶媒中で行われる。ルイス酸の具体例としては、塩化アルミニウム、三塩化ホウ素、塩化亜鉛、塩化バナジウム、塩化第二鉄、塩化第二スズなどを用いる。溶媒の具体例としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンのようなハロアルキル類;ジメチルホルムアミド、ヂメチルスルホキシド;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約20℃〜約180℃、好ましくは約20℃〜約40℃である。
続く還元反応は適当な還元剤及び酸触媒の存在下適当な溶媒中で行われる。還元剤の具体例としては水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムなどを用い、酸の具体例としては三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸などを用いる。溶媒の具体例としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライムなどのエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンのようなハロアルキル類;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約0℃〜約180℃、好ましくは約0℃〜約60℃である。
続く化合物(3)への付加反応はn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム試薬の存在下適当な溶媒中で行われる。溶媒の具体例としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライムなどのエーテル類が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約−100℃〜約180℃、好ましくは約−80℃〜約30℃である。また、化合物(4)は化合物(2)とマグネシウムなどの金属試薬を用いて調製したグリニャール(Grignald)試薬を用いて適当な溶媒中で反応させることによっても得ることができる。溶媒の具体例としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライムなどのエーテル類がが挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約20℃〜約180℃、好ましくは約20℃〜約80℃である。
続く還元反応は適当な還元剤及び酸触媒の存在下適当な溶媒中で行われる。還元剤の具体例としてはトリエチルシラン、トリイソプロピルシラン、tert−ブチルジメチルシランなどを用い、酸触媒としては三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルなどを用いる。溶媒の具体例としてはクロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンのようなハロアルキル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライムなどのエーテル類アセトニトリル;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約−100℃〜約180℃、好ましくは約−40℃〜約20℃である。
脱保護はパラジウム/炭素、水酸化パラジウム、白金/炭素などの金属触媒の存在下適当な溶媒中水素雰囲気下で行うか、あるいは適当なルイス酸存在下適当な溶媒中で行われる。ルイス酸の具体例としては三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三塩化アルミニウムなどが挙げられ、溶媒の具体例としてはテトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;アセトニトリル;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約−80℃〜約30℃である。
(製造例2)
製造例2は、下記反応式に示すように、化合物(3)と化合物(5)から化合物(6)を得、これを還元して化合物(7)を得た後にハロゲン化を行い化合物(7’)を得、アズレン誘導体(8)との反応から化合物(I)を得、脱保護を行って化合物(I’)を得る方法である。
(反応式)

(上記式中Xはハロゲン、B(OR13(R13はH又は低級アルキル)あるいはSnR14(R14は低級アルキル)を意味する。)
化合物(3)と化合物(5)の反応は製造例1で示した化合物(2)と化合物(3)の反応と同様にして行われる。
続く化合物(7)を得る還元反応は製造例1で示した化合物(4)の還元反応と同様にして行われる。続く化合物(7)をハロゲン化して化合物(7’)とする場合のハロゲン化は適当なハロゲン化剤の存在下適当な溶媒中で行われる。ハロゲン化剤の具体例としてはN−ブロモコハク酸イミド、臭素、臭化水素などが挙げられ、溶媒の具体例としては塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化アルキル類;酢酸エチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ジメチルスルホキシド;酢酸;水;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約0℃〜約100℃である。
続く化合物(7’)と化合物(8)の反応は、適当なパラジウム触媒或いは適当なパラジウム触媒と適当なホスフィンの存在下、適当な溶媒中で行われる。触媒の具体的な例としてはテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(O)、酢酸パラジウム、ビストリフェニルホスフィンジクロロパラジウム(II)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノエタン)ジクロロパラジウム(II)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(O)などが挙げられる。ホスフィンの具体的な例としてはトリフリルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルフォスフィノ)ビフェニル、トリ(tert−ブチル)ホスフィンなどが挙げられる。溶媒の具体例としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;ベンゼン;トルエン;水;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約0℃〜約100℃である。
また本反応は化合物(7’)と金属とを適当な溶媒中で反応させ金属試薬を調製した後、パラジウム触媒の存在下化合物(8)とを反応させることによっても行うことができる。金属の具体例としては銅、亜鉛、鉄、マグネシウムなどが挙げられ、パラジウム触媒、溶媒、反応温度に関しては上記と同様である。
脱保護は適当な塩基の存在下、適当な溶媒中で行われる。塩基の具体的な例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどが挙げられる。溶媒の具体例としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトニトリル;水;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約0℃〜約100℃である。
また、この脱保護は適当なルイス酸存在下適当な溶媒中で行うこともできる。ルイス酸の具体例としては三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三塩化アルミニウムなどが挙げられ、溶媒の具体例としてはテトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチルなどのエステル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;アセトニトリル;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約−80℃〜約60℃である。
(製造例3)
製造例3は、下記反応式に示すように、アルコール誘導体(9)を保護した後、化合物(3)との反応から化合物(10)を得、これを還元し、脱保護を行って化合物(11)を得た後にハロゲン化を行い化合物(7’)を得、アズレン誘導体(8)との反応から化合物(I)を得、脱保護を行って化合物(I’)を得る方法である。
(反応式)

(上記式中Pは保護基を意味する。Xはハロゲン、B(OR13(R13はH又は低級アルキル)又はSnR14(R14は低級アルキル)を意味する。)
アルコール誘導体(9)は定法に従って適当な保護基例えばtert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、テトラヒドロピラニル基などで保護する。続く化合物(3)との反応は製造例1で示した化合物(2)と化合物(3)の反応と同様にして行われる。
続く還元反応は製造例1で示した化合物(4)の還元反応と同様にして行われる。続く脱保護は適当な触媒の存在下適当な溶媒中で行われる。触媒の具体例としてはテトラブチルアンモニウムフルオリド、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、フッ化水素、酢酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられ、溶媒の具体例としてはテトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;水;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約20℃〜約80℃である。
続くハロゲン化はハロゲン化剤とトリフェニルホスフィンの存在下適当な溶媒中で行われる。ハロゲン化剤の具体例としてはN−ブロモコハク酸イミド、臭素、四臭化炭素、臭化銅(II)などが挙げられる。溶媒の具体例としては塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化アルキル類;酢酸エチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ベンゼン;トルエン;ジメチルスルホキシド;酢酸;水;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約0℃〜約100℃である。
続く化合物(7’)と化合物(8)の反応及び脱保護は製造例2で示した方法と同様にして行われる。
(製造例4)
製造例4は、下記反応式に示すように、ブロモベンゼン誘導体(12)と化合物(3)との反応から化合物(13)を得、これを還元し化合物(14)を得た後にトリアルキルスズ誘導体(15)へと変換し、アズレン誘導体(16)と反応させて化合物(I)を得、脱保護を行って化合物(I’)を得る方法である。
(反応式)

(上記式中Yはハロゲンを、R15は低級アルキルを意味する。)
ブロモベンゼン誘導体(12)と化合物(3)との反応は製造例1で示した化合物(2)と化合物(3)の反応と同様にして行われる。
続く還元反応は製造例1で示した化合物(4)の還元反応と同様にして行われる。続くトリアルキルスズ誘導体への変換はヘキサアルキルジチンと適当なパラジウム触媒の存在下適当な溶媒中で行われる。パラジウム触媒の具体的な例としてはテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(O)、酢酸パラジウム、ビストリフェニルホスフィンジクロロパラジウム(II)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノエタン)ジクロロパラジウム(II)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウム(II)などが挙げられる。溶媒の具体例としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;ベンゼン;トルエン;水;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約0℃〜約100℃である。
続くアズレン誘導体(16)との反応は適当なパラジウム触媒或いは適当なパラジウム触媒と適当なホスフィンの存在下、適当な溶媒中で行われる。触媒の具体的な例としてはテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(O)、酢酸パラジウム、ビストリフェニルホスフィンジクロロパラジウム(II)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノエタン)ジクロロパラジウム(II)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(O)などが挙げられる。ホスフィンの具体的な例としてはトリフリルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルフォスフィノ)ビフェニル、トリ(tert−ブチル)ホスフィンなどが挙げられる。溶媒の具体例としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;ベンゼン;トルエン;水;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約0℃〜約100℃である。脱保護は製造例2で示した方法と同様にして行われる。
(製造例5)
製造例5は、下記反応式に示すように、フェニル酢酸誘導体(17)をブロモ化し化合物(18)を得た後にフェニルアセトン誘導体(19)へ変換し、化合物(20)との環化反応から化合物(2)を得、これの化合物(3)に対する付加反応から化合物(4)を得た後に還元して化合物(I)を得、これを脱保護して化合物(I’)を得る方法である。
(反応式)

フェニル酢酸誘導体(17)のブロモ化は適当なブロモ化剤の存在下適当な溶媒中で行われる。ブロモ化剤の具体例としてはN−ブロモコハク酸イミド、臭素、臭化水素などが挙げられ、溶媒の具体例としては塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化アルキル類;酢酸エチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ジメチルスルホキシド;酢酸;水;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約0℃〜約100℃である。
続くフェニルアセトン誘導体(19)への誘導は適当な塩基の存在下、適当な溶媒中で行われる。塩基の具体例としては酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ピリジンなどが挙げられる。溶媒の具体例としては無水酢酸が挙げられ、反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約30℃〜約150℃である。
続く環化反応はまず化合物(19)と適当なアミンを適当な脱水剤の存在下、適当な溶媒中で反応させ、次いで化合物(20)と適当な溶媒中で反応させることによって行われる。アミンの具体例としてはモルホリン、ピロリジン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミンなどが挙げられる。脱水剤の具体例としては硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。溶媒の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化アルキル類;酢酸エチルなどのエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;ベンゼン;トルエン;アセトニトリル;水;これらの混合溶媒が挙げられ、反応基質の種類、反応条件に応じて適宜選択される。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常、約−100℃〜約180℃、好ましくは約20℃〜約120℃である。
続く化合物(3)への付加反応、還元は製造例1で示した付加反応、還元と同様にして行われる。
脱保護は製造例2で示した方法と同様にして行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
以下、本発明化合物を実施例によってさらに具体的に説明する。なお、本発明化合物の原料化合物には新規な化合物も含まれているため、これらの製造方法を参考例として記載する。
(参考例1)
1−メチルアズレン(2g)の塩化メチレン(20mL)溶液に0℃にて塩化アルミニウム(1.87g)を加え、15分間撹拌した。次いで0℃にて3−ブロモベンゾイルクロリド(1.86mL)の塩化メチレン(5mL)溶液を滴下し、1時間撹拌した。反応液を、氷冷下の10%塩酸水溶液にあけて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(3−ブロモフェニル)(3−メチルアズレン−1−イル)メタノン(1.2g)を得た。
(参考例2)
(3−ブロモフェニル)(1−メチルアズレン−2−イル)メタノン(0.5g)のジグライム:エーテル(1:1)(2.0mL)溶液に0℃にて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(1.17mL)を加え、20分撹拌した。次いで水素化ホウ素ナトリウム(0.68g)を反応液を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液を氷水にあけて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−エーテル)で精製し、1−(3−ブロモベンジル)−3−メチルアズレン(0.21g)を得た。
(参考例3)
2−(3−ブロモベンジル)−1−メチルアズレン(1.2g)のTHF(8.0mL)溶液に−78℃にてn−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(2.44mL)を滴下し、1時間撹拌した。次いで2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−(+)−グルコノ−1,5−ラクトン(2.08g)のTHF(8.0mL)溶液を滴下し1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[3−[(3−メチルアズレン−1−イル)メチル]フェニル]−D−グルコピラノース(1.74g)を得た。
参考例4、5、6はそれぞれ参考例1、2、3と同様に得た。
(参考例7)
3−ブロモ−4−エトキシトルエン(3.6g)のTHF(50mL)溶液に−78℃にてn−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(11mL)を滴下し、15分間撹拌する。次いで2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−(+)−グルコノ−1,5−ラクトン(7.6g)のTHF(10mL)溶液を滴下し2.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、析出した結晶を濾取して、2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−(2−エトキシ−5−メチルフェニル)−D−グルコピラノース(3.53g)を得た。
(参考例8)
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−(2−エトキシ−5−メチルフェニル)−D−グルコピラノース(3.5g)の塩化メチレン(15mL)溶液に−50℃にて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.6mL)、トリエチルシラン(1.7mL)を滴下し、2時間撹拌した。飽和炭酸カリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−(2−エトキシ−5−メチルフェニル)−D−グルシトール(3.4g)を得た。
(参考例9)
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−(2−エトキシ−5−メチルフェニル)−D−グルシトール(3.4g)の塩化メチレン(50mL)溶液に、−78℃にて三塩化ホウ素の1.0M塩化メチレン溶液(31.0mL)を滴下し30分間撹拌した。反応液にメタノール(10mL)を加え、10分間撹拌後、濃縮した。残渣をピリジン(20mL)に溶解し、室温にて無水酢酸(10mL)を加えて、12時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで稀釈し、10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−(2−エトキシ−5−メチルフェニル)−D−グルシトール(1.3g)を得た。
(参考例10)
(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−(2−エトキシ−5−メチルフェニル)−D−グルシトール(3.7g)の四塩化炭素(30.0mL)溶液に、N−ブロモコハク酸イミド(1.7g)、過酸化ベンゾイル(0.1g)を加えて1時間加熱環流した。反応液をクロロホルムで稀釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、析出した結晶を濾取して、(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−[5−(ブロモメチル)−2−エトキシフェニル]−D−グルシトール(1.4g)を得た。
(参考例11)
金属マグネシウム片(0.22g)のTHF(5.0mL)懸濁液に、アルゴン雰囲気下触媒量のヨウ素を加えた後、化合物のTHF(5.0mL)溶液を滴下し、1時間加熱環流した。3−ブロモ−4−メチルベンズアルデヒドジメチルアセタール(2.45g)のTHF(5.0mL)溶液に、0℃にて先のグリニャール試薬を滴下し1時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[5−(ジメトキシメチル)−2−メチルフェニル]−D−グルコピラノース(2.4g)を得た。
(参考例12)
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[5−(ジメトキシメチル)−2−メチルフェニル]−D−グルコピラノース(2.4g)のアセトン:水=5:1(12mL)溶液に室温にてスルファミン酸(0.4g)と亜塩素酸ナトリウム(0.4g)を加え、3時間撹拌した。アセトンを留去し水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、4−メチル−3−[(3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]−2−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]安息香酸(1.5g)を得た。
参考例13は参考例8と同様に得た。
(参考例14)
4−メチル−3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]安息香酸(1.5g)のDMF(10mL)溶液に、室温にてヨウ化メチル(0.17mL)との炭酸カリウム(0.4g)を加え、3時間攪拌した。不溶物を濾別し、濾液を酢酸エチルで稀釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、4−メチル−3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]安息香酸メチルエステル(1.3g)を得た。
(参考例15)
4−メチル−3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]安息香酸 メチルエステル(1.3g)のTHF(10mL)溶液に、0℃にて水素化リチウムアルミニウム(73mg)を加え、1時間撹拌した。反応液を氷水にあけて不溶物を濾別し、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[5−(ヒドロキシメチル)−2−メチルフェニル]−D−グルシトール(1.0g)を得た。
(参考例16)
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[5−(ヒドロキシメチル)−2−メチルフェニル]−D−グルシトール(1.0g)の塩化メチレン(10mL)溶液に、室温にて四臭化炭素(0.62g)とトリフェニルホスフィン(0.49g)を加えて、1時間撹拌した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[5−(ブロモメチル)−2−メチルフェニル]−D−グルシトール(0.8g)を得た。
参考例17、18はそれぞれ参考例1、2と同様に得た。
(参考例19)
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[3−ブロモ−5−(メトキシメチル)フェニル]−D−グルシトール(7.8g)のTHF(5.0mL)溶液に、アルゴン雰囲気下−78℃にてn−ブチルリチウムの1.6M n−ヘキサン溶液(14.0mL)を滴下し、30分間撹拌後、DMF(1.0mL)を滴下し4時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、3−メトキシメチル−5−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンズアルデヒド(2.6g)を得た。
(参考例20)
3−メトキシメチル−5−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンズアルデヒド(2.6g)のメタノール:THF=1:1(10mL)溶液に、0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(0.15g)を加えて、1時間撹拌した。アセトン(5.0mL)を加えて10分間撹拌後、水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[3−(ヒドロキシメチル)−5−(メトキシメチル)フェニル]−D−グルシトール(2.1g)を得た。
参考例21、22、23はそれぞれ参考例6、11、実施例1と同様に得た。
(参考例24)
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[3−([[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ]メチル)フェニル]−D−グルシトール(1.7g)のTHF(10.0mL)溶液に、室温にてフッ化テトラブチルアンモニウムの1.0M THF溶液(3.8mL)を加えて、2時間撹拌した。更に、10%水酸化ナトリウム水溶液(3.0mL)を加えて1時間還流撹拌した。反応液に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−D−グルシトール(0.7g)を得た。
参考例25は参考例16と同様に得た。
(参考例26)
5−ブロモ−2−メトキシベンジルアルコール(10.0g)のDMF(100mL)溶液に、氷冷下にてイミダゾール(3.45g)とtert−ブチルジメチルクロロシラン(17.6g)を加えて2時間撹拌した。反応液を氷水にあけて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、[(5−ブロモ−2−メトキシベンジル)オキシ](tert−ブチル)ヂメチルシラン(15.2g)を得た。
参考例27、28、29、30、31はそれぞれ参考例3、実施例1、参考例16、11、実施例1と同様に得た。
(参考例32)
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−(3−ブロモフェニル)−D−グルシトール(5.0g)のトルエン(8.0mL)溶液に、アルゴン雰囲気下ヘキサブチルジチン(10.0g)とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.24g)を加えて17時間還流撹拌する。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[3−(トリブチルスタニル)フェニル]−D−グルシトール(4.0g)を得た。
(参考例33)
参考例24で得られた(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]−D−グルシトール(6.8g)のクロロホルム(100mL)溶液に、二酸化マンガン(20.4g)を加え、1.5時間還流撹拌した。反応液を室温にして不溶物をセライト濾過にて濾別した後、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンズアルデヒド(6.8g)を得た。
(参考例34)
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(11.6g)のTHF(100mL)溶液に室温にてカリウムtert−ブトキシド(3.6g)を加え、10分間撹拌した。次いで、3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンズアルデヒド(6.8g)のTHF溶液を滴下し、室温にて1時間撹拌した。反応液に、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−(3−ビニルフェニル)−D−グルシトール(6.8g)を得た。
参考例35、36、37、38、39、40はそれぞれ参考例26、3、実施例1、参考例16、3、実施例1と同様に得た。
(参考例41)
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−(3−ブロモ−5−メトキシフェニル)−D−グルシトール(10.0g)のTHF:メタノール=1:1(100mL)溶液に5%パラジウム/炭素(1.0g)を加え、更に1M塩酸水溶液2滴を加えて水素雰囲気下30分間撹拌した。反応液を濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−(3−ブロモ−5−メトキシフェニル)−D−グルシトール(2.9g)を得た。
参考例42、43、44、45、46はそれぞれ実施例37、参考例32、41、実施例37、参考例32と同様に得た。
(参考例47)
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−O−(トリフルオロアセチル)−α−D−グルコピラノース(20.0g)の塩化メチレン(100mL)溶液に1−ブロモ−2,4−ジメトキシベンゼン(9.1mL)を加え、10分間撹拌後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(3.9mL)を加えて、室温にて12時間撹拌した。反応液に水を加えて、塩化メチレンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−(5−ブロモ−2,4−ジメトキシフェニル)−D−グルシトール(17.0g)を得た。
参考例48は参考例41と同様に得た。
(参考例49)
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−(5−ブロモ−2,4−ジメトキシフェニル)−D−グルシトール(1.35g)の塩化メチレン(15mL)溶液に0℃にてジイソプロピルエチルアミン(2.98g)とクロロメチルメチルエーテル(1.3mL)を加え、室温にて12時間環流した。反応液を氷水にあけて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−(5−ブロモ−2,4−ジメトキシフェニル)−2,3,4,6−テトラキス−O−(メトキシメチル)−D−グルシトール(0.7g)を得た。
参考例50は参考例32と同様に得た。
(参考例51)
6−イソプロピルアズレン−2−カルボアルデヒド(1.4g)のメタノール(30mL)溶液に0℃のて水素化ホウ素ナトリウム(0.26g)を加えて1時間撹拌した。反応液にアセトンを加えて15分間撹拌し、反応液を濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(6−イソプロピルアズレン−2−イル)メタノール(1.15g)を得た。
(参考例52)
(6−イソプロピルアズレン−2−イル)メタノール(0.5g)の四塩化炭素(10.0mL)溶液にトリフェニルホスフィン(0.66g)を加えて15時間加熱環流した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−ジエチルエーテル)で精製し、2−(クロロメチル)−6−イソプロピルアズレン(0.38g)を得た。
参考例53は参考例52と同様に得た。
(参考例54)
2−クロロアズレン−1−カルボン酸メチルエステル(11.38g)、ヘキサメチルジチン(35.9g)の1,4−ジオキサン(272ml)溶液に室温にて、[1,2−ビス(ジフェニルフォスフィノ)エタン]ジクロロパラジウム(II)(1.48g)を加え、60℃に昇温し38時間撹拌した。減圧下溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、2−(トリブチルスタニル)アズレン−1−カルボン酸メチルエステル(12.36g)を得た。
(参考例55)
1,2,3,4,6−ペンタ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース(6.41g)、1,2−ジエトキシ−4−メチルベンゼン(2.47g)、トリフルオロ酢酸銀(3.63g)の1,2−ジクロロエタン(70mL)懸濁溶液に0℃にて、四塩化スズの1.0Mジクロロメタン溶液(16.5mL)を加え、1時間同温にて撹拌した。室温に昇温して15時間撹拌した後、飽和重曹水を加えた。反応溶液をセライトろ過した後、クロロホルムで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後減圧下溶媒を留去し、得られた残渣にメタノール(200mL)と触媒量のナトリウムメトキシドを加え、室温で一晩撹拌した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製した。得られた残渣にピリジン(30mL)、無水酢酸(5mL)と触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを加え、2日間室温にて撹拌した。反応液にトルエンを加え、減圧下溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−n−ヘキサン)で精製し、(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−(2,3−ジエトキシ−5−メチルフェニル)−D−グルシトール(2.51g)を得た。
(参考例56)
(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−(2,3−ジエトキシ−5−メチルフェニル)−D−グルシトール(500mg)とN−ブロモコハク酸イミド(209mg)の四塩化炭素(10mL)懸濁溶液を加熱還流し、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(80mg)を加えた。還流下30分間撹拌した後、室温に放冷した。減圧下溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−n−ヘキサン)で精製し、(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−[5−(ブロモメチル)−2,3−ジエトキシフェニル]−D−グルシトール(464mg)を得た。
参考例57、58はそれぞれ参考例55、56と同様に得た。
(参考例59)
カリウムtert−ブトキシド(625mg)のTHF(11mL)懸濁溶液に、−78℃でn−ブチルリチウムの1.56M n−ヘキサン溶液(3.57mL)と、次いで2−フルオロトルエン(0.66mL)を加え、同温で1.5時間撹拌した。2,3,4,6−テトラ−O−ベンジルグルコノラクトン(3.00g)のTHF(10mL)溶液を滴下し、同温で30分間撹拌した。1M塩酸水溶液を加えた後、室温に昇温した。反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後減圧下溶媒を留去し、濃縮乾固した。得られた残渣をジクロロエタン(5mL)とアセトニトリル(25mL)に溶解し、−30℃でトリイソプロピルシラン(2.27mL)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.85mL)を加えた。同温で30分撹拌後、反応溶液に飽和重曹水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−n−ヘキサン)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−(2−フルオロ−3−メチルフェニル)−D−グルシトール(559mg)を得た。
(参考例60)
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−(2−フルオロ−3−メチルフェニル)−D−グルシトール(550mg)と20%水酸化パラジウム/炭素(300mg)のTHF(10mL)−メタノール(5mL)懸濁溶液を水素雰囲気下(1気圧)で2.5日間撹拌した。反応液をセライト濾過し、濾液を濃縮後得られた残渣にピリジン(5mL)と無水酢酸(2mL)及び触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを加え、室温で1時間撹拌した。減圧下溶媒を留去後、トルエンと共沸し得られた残渣をジエチルエーテルに溶解した。この溶液を1M塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下濃縮して(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−(2−フルオロ−3−メチルフェニル)−D−グルシトール(335mg)を得た。
参考例61、62、63、64、65はそれぞれ参考例56、55、56、55、56と同様に得た。
(参考例66)
3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル酢酸(28.5g)の無水酢酸(100mL)溶液に酢酸ナトリウム(50.5g)を加えて21時間加熱環流した。反応液を室温に戻し、20%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH=11とし、1時間加熱環流した。反応液を室温に戻し10%塩酸水溶液を加えてpH=6とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−n−ヘキサン)で精製して1−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アセトン(22.2g)を得た。
(参考例67)
1−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アセトン(4.0g)のDMF(40mL)溶液に炭酸カリウム(2.7g)、ベンジルブロミド(2.3mL)を加えて室温にて6時間撹拌した。反応液を水に空けて酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−n−ヘキサン)で精製して1−[4−(ベンジルオキシ)−3−ブロモフェニル]アセトン(3.65g)を得た。
(参考例68)
1−[4−(ベンジルオキシ)−3−ブロモフェニル]アセトン(3.65g)のジエチルエーテル(30mL)溶液にピロリジン(1.9mL)、硫酸マグネシウム(2.74g)を加え、室温にて12時間撹拌した。濾過後減圧下溶媒を留去し、得られた残渣を減圧下乾燥し、エタノール(30mL)に溶解し、2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン(0.5g)を加え8時間加熱環流した。反応液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−n−ヘキサン)で精製して2−[4−(ベンジルオキシ)−3−ブロモベンジル]アズレン(0.84g)を得た。
(参考例69)
2−[4−(ベンジルオキシ)−3−ブロモベンジル]アズレン(0.17g)のTHF(3.0mL)溶液に−55℃にてn−ブチルリチウムの1.6M n−ヘキサン溶液(0.32mL)を滴下し、10分間同温で撹拌した。この溶液に2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−グルコノ−1,5−ラクトン(0.12g)のTHF(3.0mL)溶液を滴下し、30分間同温にて撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−−ヘキサン)で精製して1−C−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−(ベンジルオキシ)フェニル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルコピラノース(0.9g)を得た。
【実施例1】
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[3−[(3−メチルアズレン−1−イル)メチル]フェニル]−D−グルコピラノース(2.3g)のアセトニトリル(40mL)溶液に−40℃にて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.39mL)、トリイソプロピルシラン(1.23mL)を滴下し、2時間撹拌した。飽和炭酸カリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[3−[(3−メチルアズレン−1−イル)メチル]フェニル]−D−グルシトール(1.47g)を得た。
【実施例2】
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[3−[(3−メチルアズレン−1−イル)メチル]フェニル]−D−グルシトール(0.76g)の塩化メチレン(20mL)溶液に、−78℃にて三臭化ホウ素の1M n−ヘプタン溶液(20mL)を滴下し30分撹拌した。反応液に塩化メチレン:トルエン=2:1(60mL)を加え、更にメタノール(6mL)を加えた。室温に戻し反応液を半量まで濃縮した後、再度メタノール(25mL)を加え濃縮し、この操作を3回繰り返し行った。濃縮して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[3−[(3−メチルアズレン−1−イル)メチル]フェニル]−D−グルシトール(0.068g)を得た。
実施例3、4はそれぞれ実施例1、2と同様に得た。
【実施例5】
亜鉛粉末(0.17g)のTHF(5.0mL)溶液にアルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモエタン2滴を加え5分間加熱環流した。室温に戻し、クロロトリメチルシラン2滴を加え、室温で15分間撹拌した。次いで、(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−[5−(ブロモメチル)−2−エトキシフェニル]−D−グルシトール(1.4g)を加えて1時間加熱環流した。反応液を室温に戻し、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.27g)と2−クロロアズレン−1−カルボン酸メチルエステル(0.28g)を加えて6時間加熱環流した。反応液を室温に戻し、氷冷下で10%塩酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、2−(4−エトキシ−3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(アセチルオキシ)−6−[(アセチルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル)アズレン−1−カルボン酸 メチルエステル(0.58g)を得た。
【実施例6】
2−(4−エトキシ−3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(アセチルオキシ)−6−[(アセチルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル)アズレン−1−カルボン酸 メチルエステル(0.58g)のメタノール(5.0mL)溶液に、室温にて10%水酸化ナトリウム水溶液(5.0mL)を滴下し30分撹拌後、更に6時間加熱環流した。反応液を氷冷し10%塩酸水溶液を加えて中和後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、2−(4−エトキシ−3−[(2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリス(アセチルオキシ)−6−[(アセチルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル)アズレン−1−カルボン酸(0.4g)を得た。
【実施例7】
2−(4−エトキシ−3−[(2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリス(アセチルオキシ)−6−[(アセチルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル)アズレン−1−カルボン酸(0.36g)のベンゼン(10mL)懸濁液に、p−トルエンスルホン酸1水和物(40mg)を加え、15分間加熱環流した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−エトキシフェニル]−D−グルシトール(203mg)を得た。
実施例8は実施例5と同様に得た。
【実施例9】
2−(4−メチル−3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル)アズレン−1−カルボン酸メチルエステル(0.39g)の塩化メチレン(10mL)溶液に、−78℃にて三塩化ホウ素の1.0M塩化メチレン溶液(3.0mL)を滴下し15分間撹拌した。反応液にメタノール(10mL)を加え、10分間撹拌後、濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、2−(4−メチル−3−[(2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル)アズレン−1−カルボン酸 メチルエステル(0.08g)を得た。
実施例10、11はそれぞれ実施例6、7と同様に得た。
【実施例12】
2−(4−メチル−3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル)アズレン−1−カルボン酸メチルエステル(0.39g)の塩化メチレン(10mL)溶液に、−78℃にて三塩化ホウ素の1.0M塩化メチレン溶液(3.0mL)を滴下し15分間撹拌した。反応液にメタノール(10.0mL)を加え、10分間撹拌後、濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、3−ベンジル−2−(4−メチル−3−[(2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル)アズレン−1−カルボン酸 メチルエステル(0.06g)を得た。
実施例13、14、15、16はそれぞれ実施例6、7、5、9と同様に得た。
【実施例17】
2−[3−(クロロメチル)−5−[(2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル]アズレン−1−カルボン酸 メチルエステル(0.06g)のメタノール(3.0mL)溶液に、室温にてナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液(0.5mL)を加えて、1時間撹拌した。更に、10%水酸化ナトリウム水溶液(3.0mL)を加えて1時間加熱環流した。反応液を室温に戻し、10%塩酸水溶液を加えて中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)−5−(メトキシメチル)フェニル]−D−グルシトール(0.02g)を得た。
実施例18、19、20、21、22はそれぞれ実施例5、9、6、7、5と同様に得た。
実施例23、24、25、26、27はそれぞれ実施例2、6、7、5、6と同様に得た。
実施例28、29、30、31、32はそれぞれ実施例7、5、9、6、7と同様に得た。
【実施例33】
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[3−(トリブチルスタニル)フェニル]−D−グルシトール(0.5g)と2−クロロアズレン−1−カルボン酸メチルエステル(0.1g)の1,4−ジオキサン(3.0mL)溶液に、炭酸カリウム(0.15g)とビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(0.04g)を加えて15時間加熱環流した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、2−(3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]フェニル)アズレン−1−カルボン酸 メチルエステル(0.25g)を得た。
実施例34、35、36はそれぞれ実施例2、6、7と同様に得た。
【実施例37】
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)フェニル]−D−グルシトール(0.24g)のピリジン(5.0mL)溶液に、室温にて無水酢酸(0.3mL)を加えて、15時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで稀釈し、10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)フェニル]−D−グルシトール(0.34g)を得た。
【実施例38】
(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)フェニル]−D−グルシトール(0.20g)の塩化メチレン(20mL)溶液に0℃にて塩化アルミニウム(0.24g)を加え、30分間撹拌した。次いで0℃にて無水酢酸(0.17mL)を滴下し、室温にて30分間、更に16時間還流撹拌した。反応液を、氷冷下の10%塩酸水溶液にあけて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、(2S,3S,4R,5R,6R)−2−[3−[(1−アセチルアズレン−2−イル)メチル]フェニル]−6−[(アセチルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイル トリアセテート(0.09g)を得た。
【実施例39】
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−[3−[(1−アセチルアズレン−2−イル)メチル]フェニル]−6−[(アセチルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイル トリアセテート(0.09g)のTHF:メタノール=1:1(6.0mL)溶液に0℃にナトリウムメトキシド(16mg)を加え、2時間撹拌した。反応液を陽イオン交換樹脂にて中和した後、氷冷下の10%塩酸水溶液にあけて濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、1−(2−[3−[(2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル]アズレン−1−イル)エタノン(0.06g)を得た。
実施例40、41はそれぞれ参考例2、実施例39と同様に得た。
【実施例42】
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−(3−ビニルフェニル)−D−グルシトール(1.0g)に9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナンのTHF溶液(8.0mL)を加え、4時間加熱環流した。次いで、3Mリン酸カリウム水溶液(1.3mL)とDMF(12mL)を加え、更に2−クロロアズレン−1−カルボン酸メチルエステル(0.35g)と1,1’−ジフェニルホスフィノフェロセンジクロロパラジウム(0.12g)を加えて50℃にて2時間撹拌した。反応液を室温に戻し、氷水にあけて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、2−[2−(3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−6−[(ベンジルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]フェニル)エチル]アズレン−1−カルボン酸 メチルエステル(0.88g)を得た。
実施例43、44、45、46、47、48はそれぞれ実施例2、6、7、5、2、6と同様に得た。
実施例49、50、51、52、53、54はそれぞれ実施例7、33、39、2、6、7と同様に得た。
実施例55、56、57、58、59はそれぞれ実施例33、39、33、39、33と同様に得た。
【実施例60】
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2,4−ジメトキシフェニル]−2,3,4,6−テトラキス−O−(メトキシメチル)−D−グルシトール(0.09g)のメタノール(2.0mL)溶液に10%塩酸水溶液(0.5mL)を加え、30分間加熱環流した。反応液を氷水にあけて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2,4−ジメトキシフェニル]−D−グルシトール(0.02g)を得た。
【実施例61】
(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−[4−(ブロモメチル)−1−メトキシ−2−ナフチル]−D−グルシトール(0.62g)と2−(トリブチルスタニル)アズレン−1−カルボン酸メチルエステル(0.25g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.05g)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(0.05g)、フッ化カリウム(0.09g)、炭酸セシウム(0.35g)の1,4−ジオキサン(20.0mL)懸濁液を60℃で8時間、次いで85℃で14時間攪拌した。不溶物を濾去し、溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2−[(4−メトキシ−3−[(2S,3S,4R,5R,6R)−3,4,5−トリス(アセチルオキシ)−6−[(アセチルオキシ)メチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]−1−ナフチル)メチル]アズレン−1−カルボン酸 メチルエステル(0.34g)を得た。
実施例62は実施例39と同様に得た。
【実施例63】
2−[3−[(1S)−1,5−アンヒドロ−D−グルシトール−1−イル]−4−メトキシ−1−ナフチル]メチルアズレン−1−カルボン酸メチルエステル(0.23g)のメタノール(8.0mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(12mL)を滴下し、3時間加熱還流した。反応溶液に氷例下で1M塩酸水溶液(12mL)を加えて溶媒を留去して得られた残渣をアセトニトリル(15mL)に懸濁し、塩酸の4M 1,4−ジオキサン溶液(0.4mL)を滴下して15分加熱還流した。不溶物を濾去し、溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、次いで逆相カラムで精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[4−(アズレン−2−イルメチル)−1−メトキシ−2−ナフチル]−D−グルシトール(0.08g)を得た。
実施例64、65、66はそれぞれ実施例61、39、63と同様に得た。
【実施例67】
(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−[5−(ブロモメチル)−2−エトキシ−3−メトキシフェニル]−D−グルシトール(327mg)と2−(トリブチルスタニル)アズレン−1−カルボン酸メチルエステル(180mg)の1,4−ジオキサン(10mL)溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(O)(17mg)、2−(ジシクロヘキシルフォスフィノ)ビフェニル(22mg)、フッ化カリウム(44mg)及び炭酸セシウム(247mg)を加え、90℃で14時間激しく撹拌した。反応液に1M塩酸水溶液を加えた後、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下濃縮して得られた残渣をTHF(4ml)とMeOH(2ml)に溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液(0.5ml)を室温で加えた。30分間撹拌後、更に1M水酸化ナトリウム水溶液(0.5ml)を加え30分間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製した。得られた残渣(133mg)にメタノール(2.5ml)と10%水酸化ナトリウム水溶液(2.5ml)を加え、1時間加熱還流した。減圧下溶媒を留去した後、エタノールを加え、濾過した。得られた濾液を減圧下濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、2−[4−エトキシ−3−メトキシ−5−[(2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル]アズレン−1−カルボン酸(51mg)を得た。
【実施例68】
2−[4−エトキシ−3−メトキシ−5−[(2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル]アズレン−1−カルボン酸(50mg)にアセトニトリル(5mL)と塩酸の4M酢酸エチル溶液(0.02mL)を加え10分間加熱還流後、更に塩酸の4M酢酸エチル溶液(0.02mL)を加え30分間加熱還流した。反応液を減圧下濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−エトキシ−3−メトキシフェニル]−D−グルシトール(42mg)を得た。
実施例69、70、71はそれぞれ実施例61、39、63と同様に得た。
【実施例72】
(1S)−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−1−[3−(ブロモメチル)−2−フルオロフェニル]−D−グルシトール(198mg)と2−(トリブチルスタニル)アズレン−1−カルボン酸メチルエステル(180mg)の1,4−ジオキサン(10mL)溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(O)(17mg)、2−(ジシクロヘキシルフォスフィノ)ビフェニル(22mg)、フッ化カリウム(44mg)及び炭酸セシウム(247mg)を加え、90℃で15時間激しく撹拌した。反応液をセライト濾過し、減圧下濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−n−ヘキサン)で精製した。得られた残渣(71mg)をTHF:メタノール=1:1(6.0mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(30mg)を加え、室温で一晩撹拌した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、2−[2−フルオロ−3−[(2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル]アズレン−1−カルボン酸メチルエステル(19mg)を得た。
【実施例73】
2−[2−フルオロ−3−[(2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]ベンジル]アズレン−1−カルボン酸 メチルエステル(19mg)のメタノール(2mL)溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液(2mL)を加え、2時間加熱還流した。塩酸の4M酢酸エチル溶液を加え中和した後、減圧下溶媒を留去した得られた残渣にアセトニトリル(5mL)と塩酸の4M酢酸エチル溶液(1mL)を加え30分間加熱還流した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)−2−フルオロフェニル]−D−グルシトール(10mg)を得た。
実施例74は参考例8と同様に得た。
【実施例75】
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−(ベンジルオキシ)フェニル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトール(0.07g)の塩化メチレン(5mL)溶液に塩化アルミニウム(0.12g)とアニソール(4.0mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応液を氷水に空け、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−ヒドロキシフェニル]−D−グルシトール(0.01g)を得た。
上記参考例化合物及び実施例化合物の、構造式及び物理化学的性状を、表1〜22として、本明細書の最後にまとめて示す。
なお、表中の記号は以下の意味を有する。
Rf.:参考例番号、Ex.:実施例番号、Structure:構造式、Ac:アセチル基、Bn:ベンジル基、Bu:ブチル基、Data:物性データ、NMR:核磁気共鳴スペクトル(TMS内部標準)、MS:質量分析値
また、表23に記載した化合物は、上記実施例又は製造方法に記載の方法と同様にして、又はそれらに当業者に自明の若干の変法を適用して容易に製造することができる。なお、表23は、表1〜22の後に示す。
【産業上の利用可能性】
本発明のアズレン誘導体及びその塩(本発明化合物)は、Na−グルコース共輸送体阻害作用及び血糖降下作用を有するため、医薬、特に、Na−グルコース共輸送体阻害剤として、例えば、インスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)、インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)、インスリン抵抗性疾患及び肥満の治療、並びにこれらの予防に有効である。
本発明化合物の顕著なNa−グルコース共輸送体阻害作用及び血糖降下作用は、以下に示す[薬理試験](試験例1及び試験例2)により確認された。
(試験例1)
[ヒトNa−グルコース共輸送体(ヒトSGLT2)活性阻害作用確認試験]
1)ヒトSGLT2発現ベクターの作製
まず、Superscript II(Gibco社製)とランダムヘキサマーを用いて、ヒト腎臓由来の全RNA(Clontech社製)から1本鎖cDNAを逆転写した。次に、これを鋳型とし、Pyrobest DNAポリメラーゼ(Takara社製)を用いたPCR反応により、ヒトSGLT2(Wells R.G.et al.,Am.J.Physiol.,1992,263(3)F459)をコードするDNA断片を増幅した(このDNA断片の5’側にHind IIIサイトが、3’側にEcoRIサイトが導入されるようなプライマーを用いた)。
増幅された断片をTopo TA Cloningキット(Invitrogen社製)を用いてpCR2.1−Topoベクターにクローニングし、大腸菌JM109株のコンピテントセルに導入して、アンピシリン耐性を示すクローンをアンピシリン(100mg/L)を含むLB培地中で増殖した。増殖した大腸菌からHanahanの方法(Maniatisら、Molecular Cloningを参照)によりプラスミドを精製し、このプラスミドをHindIII、EcoRI消化して得られるヒトSGLT2をコードするDNA断片を、発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen社製)の同サイトにT4 DNAリガーゼ(Roche Diagonostics社製)を用いてライゲーションし、クローニングした。ライゲーションしたクローンを、上記と同様に大腸菌JM109株のコンピテントセルに導入し、アンピシリンを含むLB培地中で増殖させ、Hanahanの方法によりヒトSGLT2発現ベクターを取得した。
2)ヒトSGLT2安定発現細胞の作製
ヒトSGLT2発現ベクターをLipofectamine2000(Gibco社製)を用いてCHO−K1細胞に導入した。遺伝子導入後、細胞をペニシリン(50IU/mL。大日本製薬社製)、ストレプトマイシン(50μg/mL。大日本製薬社製)、Geneticin(40μg/mL。Gibco社製)と10%ウシ胎児血清を含むHam’s F12培地(日水製薬社製)中で、37℃、5%CO2存在下で2週間ほど培養し、Geneticin耐性のクローンを得た。これらのクローンの中からヒトSGLT2を安定発現する細胞を、定常レベルに対するナトリウム存在下の糖取り込みの比活性を指標に選択し、取得した(糖取り込みの測定方法の詳細は次項以降参照)。
3)メチル−α−D−グルコピラノシド取り込み阻害活性の測定
ヒトSGLT2安定発現CHO細胞の培地を除去し、1ウェルあたり前処置用緩衝液(塩化コリン140mM、塩化カリウム2mM、塩化カルシウム1mM、塩化マグネシウム1mM、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸10mM、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン5mMを含む緩衝液pH7.4)を100μL加え、37℃で20分間静置した。
試験化合物を含む取り込み用緩衝液(塩化ナトリウム140mM、塩化カリウム2mM、塩化カルシウム1mM、塩化マグネシウム1mM、メチル−α−D−グルコピラノシド50μM、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸10mM、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン5mMを含む緩衝液pH7.4)1000μLに11μLのメチル−α−D−(U−14C)グルコピラノシド(Amersham Pharmacia Biotech社製)を加え混合し、取り込み用緩衝液とした。対照群に試験化合物を含まない取り込み用緩衝液を調製した。また、試験化合物及びナトリウム非存在下の基礎取り込み測定用に塩化ナトリウムに替えて140mMの塩化コリンを含む基礎取り込み用緩衝液を同様に調製した。
前処置用緩衝液を除去し、取り込み用緩衝液を1ウェルあたり25μLずつ加え37℃で2時間静置した。取り込み用緩衝液を除去し、洗浄用緩衝液(塩化コリン140mM、塩化カリウム2mM、塩化カルシウム1mM、塩化マグネシウム1mM、メチル−α−D−グルコピラノシド10mM、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸10mM、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン5mMを含む緩衝液pH7.4)を1ウェルあたり200μLずつ加え、すぐに除去した。この洗浄操作を更に1回行い、0.5%ラウリル硫酸ナトリウムを1ウェルあたり25μLずつ加え、細胞を可溶化した。ここに75μLのマイクロシンチ40(Packard社製)を加えマイクロシンチレーションカウンター トップカウント(Packard社製)にて放射活性を計測した。対照群の取り込み量から基礎取り込み量を差し引いた値を100%とし、取り込み量の50%阻害する濃度(IC50値)を濃度−阻害曲線から最小二乗法により算出した。その結果、本発明化合物は、顕著なNa−グルコース共輸送体阻害作用を示した。本発明の代表的化合物のIC50値を、表24に示す。

(試験例2)
[血糖降下作用確認試験]
実験動物として非絶食のKK−Aマウス(日本クレア、雄性)を用いた。試験化合物を0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁させ、3mg/10mlの濃度とした。マウスの体重を測定し、試験化合物懸濁液を10ml/kgの用量で強制経口投与し、対照群には0.5%メチルセルロース水溶液のみを投与した。1群当たりの匹数は6匹とした。採血は薬物投与直前及び薬物投与後1、2,4及び8時間において尾静脈から行い、血糖値をグルコースCIIテストワコー(和光純薬)を用いて測定した。血糖降下作用強度は、各試験化合物投与群の0から8時間での経時的血糖値よりtrapezoidal法を用いて血糖値−時間曲線下面積(AUC)を算出し、対照群のそれに対する降下の割合(%)で表記した。
その結果、本発明化合物は強い血糖降下作用を示した。本発明の代表的化合物の血糖降下作用を表25に示す。

本発明化合物や、その製薬学的に許容される塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、通常用いられている製剤用の担体や賦形剤、その他の添加剤を用いて、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、液剤、注射剤、坐剤、軟膏、貼付剤等に調製され、経口的又は非経口的に投与される。
本発明化合物のヒトに対する臨床投与量は適用される患者の症状、体重、年齢や性別等を考慮して適宜決定されるが、通常成人1日当たり経口で0.1〜500mg、非経口で0.01〜100mgであり、これを1回或いは数回に分けて投与する。投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。
本発明化合物の経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤や繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸のような可溶化剤又は溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エチルアルコールを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、溶解補助剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えば注射剤用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油;エチルアルコールのようなアルコール類;ポリソルベート80(商品名)等がある。
このような組成物は、更に等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えば、ラクトース)、可溶化剤又は溶解補助剤のような添加剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
























【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示されるアズレン誘導体及びその塩。

(上記式(I)中の記号は、それぞれ以下の意味を有する。
〜R:同一又は異なって、水素原子、置換基を有しても良い低級アルキル、−C(=O)−置換基を有しても良い低級アルキル、又は−置換基を有しても良い低級アルキレン−置換基を有しても良いアリール、
〜R12:同一又は異なって、水素原子、置換基を有しても良い低級アルキル、ハロゲン原子、−OH、−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−置換基を有しても良い低級アルキレン−OH、−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−O−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−O−置換基を有しても良い低級アルキレン−置換基を有しても良いアリール、−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−C(=O)−置換基を有しても良い低級アルキル、−COOH、ニトロ、シアノ、アミノ、置換アミノ、又は−C(=O)−O−置換基を有しても良い低級アルキル、
A:結合、置換基を有しても良い低級アルキレン、(但し、−A−は、アズレン環の1位〜8位の何れの位置に結合していても良く、また、R、R及びRのうちの何れか2つは、隣接する炭素原子と一体となって、ベンゼン環を形成していても良い。))
【請求項2】
前記式(I)中の記号R〜Rで示される、置換基を有しても良い低級アルキル、−C(=O)−置換基を有しても良い低級アルキル、−置換基を有しても良い低級アルキレン−置換基を有しても良いアリールが、それぞれ、低級アルキル、−C(=O)−低級アルキル、−低級アルキレン−アリールであり、また、
前記式(I)中の記号R〜R12で示される、置換基を有しても良い低級アルキル、−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−置換基を有しても良い低級アルキレン−OH、−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−O−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−置換基を有しても良い低級アルキル、−O−置換基を有しても良い低級アルキレン−置換基を有しても良いアリール、−置換基を有しても良い低級アルキレン−O−C(=O)−置換基を有しても良い低級アルキル、−C(=O)−O−置換基を有しても良い低級アルキルが、それぞれ、低級アルキル又はハロゲン置換低級アルキル、−O−低級アルキル、−低級アルキレン−OH、−低級アルキレン−O−低級アルキル、−O−低級アルキレン−O−低級アルキル、−O−低級アルキレン−アリール、−低級アルキレン−O−C(=O)−低級アルキル、−C(=O)−O−低級アルキルであり、さらに
前記式(I)中の記号Aで示される、置換基を有しても良い低級アルキレンが、低級アルキレン又はハロゲン置換低級アルキレンである請求の範囲第1項記載のアズレン誘導体及びその塩。
【請求項3】
前記式(I)中の記号Aで示される基が、低級アルキレンである請求の範囲第1項又は第2項記載のアズレン誘導体及びその塩。
【請求項4】
前記式(I)中の記号Aで示される基が、メチレンである請求の範囲第3項記載のアズレン誘導体及びその塩。
【請求項5】
前記式(I)中の記号R〜Rで示される基が、水素原子である請求の範囲第1項又は第2項記載のアズレン誘導体及びその塩。
【請求項6】
前記式(I)で示されるアズレン誘導体が、1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)フェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−メトキシフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)−5−メトキシフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[3−(アズレン−2−イルメチル)−4−メトキシフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−エトキシフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−メチルフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−ヒドロキシフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2−フルオロフェニル]ヘキシトール、1,5−アンヒドロ−1−[5−(アズレン−2−イルメチル)−2,4−ジメトキシフェニル]ヘキシトール及び1,5−アンヒドロ−1−[4−(アズレン−2−イルメチル)−1−メトキシ−2−ナフチル]ヘキシトールからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求の範囲第1項又は第2項記載のアズレン誘導体及びその塩。
【請求項7】
請求の範囲第1項又は第2項記載のアズレン誘導体又はその塩を含有する医薬組成物。
【請求項8】
Na−グルコース共輸送体阻害剤である請求の範囲第7項記載の医薬組成物。
【請求項9】
糖尿病の治療剤である請求の範囲第7項記載の医薬組成物。
【請求項10】
Na−グルコース共輸送体阻害剤又は糖尿病の治療剤の製造のための請求の範囲第1項又は第2項記載のアズレン誘導体又はその塩の使用。
【請求項11】
請求の範囲第1項項又は第2項記載のアズレン誘導体又はその塩の治療有効量を患者に投与することを含む、糖尿病の治療方法。

【国際公開番号】WO2004/013118
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【発行日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−525831(P2004−525831)
【国際出願番号】PCT/JP2003/009868
【国際出願日】平成15年8月4日(2003.8.4)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【出願人】(592086318)壽製薬株式会社 (24)
【Fターム(参考)】