説明

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤

【課題】本発明は、植物の精油を有効成分とする新規なAChE阻害剤及びその用途を提供する。
【解決手段】ティートリーオイルを有効成分として含有するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤等に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティートリーオイル(tea tree oil)を有効成分として含有するアセチルコリンエステラーゼ(以下「AchE」とも表記する)阻害剤、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会が進展し、老人性痴呆患者の増加、その中でもアルツハイマー型痴呆患者が増加している。このアルツハイマー型痴呆症は、その原因は未解明であるが、患者の脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンのレベルの低下が認められるため、コリン作動性神経の機能低下が原因の一つであると考えられている(非特許文献1)。そのため、アルツハイマー型痴呆症に対しては、アセチルコリンの濃度を高めてコリン作動性神経の機能低下を防ぐことを目的とする治療方法が主流となっている。
【0003】
アセチルコリンは、アセチルコリントランスフェラーゼによって合成され、アセチルコリンエステラーゼにより分解されることにより一定の濃度に保たれている。そのため、アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害してアセチルコリンの分解を抑制してアセチルコリンの減少を抑える方法である。この方法では、症状を完全に治療することはできないものの、症状を改善したり症状の進行を遅らせることができることが分かっている。
【0004】
ところで、植物の精油の香りは、抗菌作用、心理作用及び生体リズムの調節作用を示すことが知られており、植物の香りによって心と体を癒すアロマセラピー(芳香療法)が注目されている。
【0005】
近年、ハッカ、ラベンダー又はグレープフルーツの精油といった植物の香気成分が、その芳香だけでなくAchE阻害活性を示すことが報告されている(非特許文献2)。また、イチョウ葉エキスが、アルツハイマー型痴呆症の症状を改善する効果を有するともいわれている。
【0006】
このような天然由来の成分が、アルツハイマー型痴呆症の治療と関連づけられるAchE阻害活性を有することが確認されたことは非常に興味深いものである。
【0007】
ところで、オーストラリア産のティートリーオイル(精油)は、防腐性、抗菌活性、消臭活性等の生物活性を有するため(非特許文献3及び4)、香水や化粧品として利用されており、商業的にその重要性が増大している。しかし、これまでにティートリーオイルが、AchE阻害活性を有することについて報告例はない。
【非特許文献1】Weinstock M.: Neurodegeneration, 4, pp.349-356, 1995
【非特許文献2】Miyazawa M.: Nat. Prod. Lett., 15, pp.205-210, 2001
【非特許文献3】Laakso P. V. Proc. 25 th Congr. Pharm. Sci. 1965; pp485-492
【非特許文献4】Altman P. M. Aust, J. Pharm. Sci. 1988; pp276-278
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、植物の精油を有効成分とする新規なAChE阻害剤及びその用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特定の植物の精油成分(例えば、ティートリーオイル(tea tree oil))が、強いAChE阻害活性を示すことを見出し、さらにこれに検討を加えて、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は以下のアセチルコリンエステラーゼ阻害等を提供する。
【0011】
項1.ティートリーオイルを有効成分として含有するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【0012】
項2.テルピネン−4−オール、γ−テルピネン、α−テルピネン、p−シメン及び1,8−シネオールを有効成分として含有するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【0013】
項3.テルピネン−4−オール30〜40重量部、γ−テルピネン15〜25重量部、α−テルピネン4〜12重量部、p−シメン3〜11重量部及び1,8−シネオール2〜6重量部を含有する項2に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【0014】
項4.1−メチルシクロヘキセン骨格を有しヘテロ原子を含まないビシクロモノテルペンを有効成分として含有するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【0015】
項5.(+)−2−カレン又は(+)−3−カレンを有効成分として含有する項4に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【0016】
項6.ティートリーオイルと1−メチルシクロヘキセン骨格を有しヘテロ原子を含まないビシクロモノテルペンとを有効成分として含有するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【0017】
項7.項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含有する老人性痴呆症の予防又は治療薬。
【0018】
項8.項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含有するアルツハイマー型痴呆症の予防又は治療薬。
【0019】
項9.老人性痴呆症の予防薬又は治療薬の製造のための項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の使用。
【0020】
項10.老人性痴呆症の患者に、製剤学的有効量の項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を投与することを特徴とする老人性痴呆症の予防又は治療方法。
【0021】
項11.項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含有する芳香剤。
【0022】
項12.項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含有するアロマテラピー用エッセンシャルオイル。
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0024】
本発明のAchE阻害剤は、ティートリーからの抽出物である精油(ティートリーオイル)を有効成分として含有する。
【0025】
本発明で用いられるティートリーオイル(tea tree oil)は、フトモモ科メラレウカ属のメラレウカ アルテルニフォリア(Melaleuca alternifolia Cheel)から得られ、その組成は主としてテルペノイドの混合物で構成されている。
【0026】
本発明のティートリーオイルは、ティートリーから抽出される成分を意味し、根、茎、葉、花、実、種等いずれの部位から抽出されたものでもよい。中でも、キダチコンギクの地上部分(茎、葉、花、実、種等)から抽出したものが好ましい。ティートリーは、そのまま抽出に供することができるが、乾燥した後粉砕したうえで抽出に供してもよい。
【0027】
ティートリーオイルの抽出方法としては、精油成分の沸点が低いことから、水蒸気蒸留法、圧搾法、溶剤抽出法等の公知の方法が用いられる。中でも、水蒸気蒸留法が好ましく採用される。
【0028】
上記した方法によってティートリーから精油を得た後、本発明では得られた抽出液をそのままAchE阻害剤として用いることが可能である。或いは、必要に応じて、濾過、遠心分離等の常法によって残渣と固液分離することによって、精油を得ることができる。
【0029】
更に、必要に応じて、アルミナカラムクロマトグラフィーやシリカゲルクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の適当な分離精製手段を1種若しくは2種以上組み合わせて、AchE阻害活性のある画分又は化合物を取り出して、AchE阻害剤とすることができる。溶出溶媒は、公知のものを用いればよいが、沸点が低い無極性有機溶媒を主成分とするのが好適である。これにより、少量の精油で優れた活性を発揮させることができる。
【0030】
ティートリーオイルは、それ自身で強いAchE阻害活性を有している。該ティートリーオイルには、主要成分としてテルピネン−4−オール、γ−テルピネン、α−テルピネン、p−シメン、1,8−シネオール等の個々のテルペノイドが含まれており、これらのテルペノイドは、それぞれティートリーオイルに比してやや低いものの、強いAchE阻害活性を有している。
【0031】
これらのテルペノイドは、所定の混合比で混合することによりティートリーオイルとほぼ同等の高いAchE阻害活性が発揮される。上記の所定の混合比とは、ティートリーオイル中に含まれる各テルペノイドの含有比(テルピネン−4−オール、γ−テルピネン、α−テルピネン、p−シメン、1,8−シネオール=36:20:8:7:4、重量比)に近似させたものであり、テルピネン−4−オール30〜40重量部、γ−テルピネン15〜25重量部、α−テルピネン4〜12重量部、p−シメン3〜11重量部及び1,8−シネオール2〜6重量部を含有する混合物が強いAchE阻害活性を示し、特に、テルピネン−4−オール34〜38重量部、γ−テルピネン18〜22重量部、α−テルピネン6〜10重量部、p−シメン5〜9重量部及び1,8−シネオール3〜5重量部を含有する混合物がより強い活性を示す。
【0032】
これは、ティートリーオイルを構成する個々のテルペン類のAchE阻害作用は、ティートリーオイルに必ずしも及ばないが、これらを上記の混合比で混合した場合にはティートリーオイルと同等のAchE阻害作用が発揮される。これは、ティートリーオイルに含まれる単独の強い活性成分により発現されるものではなく、精油成分間の相乗作用によるものと考えられる。かかる知見は、本発明者らが初めて見出したものであり、極めて興味深い挙動といえる。この点は、例えば、実施例1の記載から容易に理解できる。
【0033】
ティートリーオイル及び所定の混合比で混合されたテルペノイド混合物は、強いAchE阻害活性を有するため広くAchE阻害剤として用いられる。
【0034】
また、各種テルペノイドについてAchE阻害作用をスクリーニングした結果、1−メチルシクロヘキセン骨格を有するヘテロ原子を含まないビシクロモノテルペンが、極めて高いAchE阻害作用を有することが明らかとなった。具体的な化合物として、(+)−α−ピネン、(−)−α−ピネン、(+)−2−カレン及び(+)−3−カレンが挙げられる。中でも、活性の点から、(+)−2−カレン及び(+)−3−カレンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に(+)−3−カレンを含むものが好ましい。
【0035】
1−メチルシクロヘキセン骨格を有するヘテロ原子を含まないビシクロモノテルペンは、強いAchE阻害活性を有するため広くAchE阻害剤として用いられる。
【0036】
なお、上記したティートリーオイル、所定の混合比で混合されたテルペノイド混合物、及び1−メチルシクロヘキセン骨格を有しヘテロ原子を含まないビシクロモノテルペンは、必要に応じ混合してAchE阻害剤として用いることもできる。混合した場合における各成分の混合割合は、特に限定はないが、1−メチルシクロヘキセン骨格を有しヘテロ原子を含まないビシクロモノテルペン(特に、(+)−3−カレン)を、混合物中に1〜95重量%(特に、50〜95重量%)程度含有するのが好ましい。
【0037】
上記した本発明のAchE阻害剤は、各種用途に用いることができる。
【0038】
例えば、本発明のAchE阻害剤を医薬品として用いる場合、哺乳動物(特に、ヒト)における老人性痴呆患症の予防薬又は治療薬、特にアルツハイマー型痴呆症の予防薬又は治療薬として用いられる。
【0039】
本発明のAchE阻害剤は、慣用されている方法により錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤等の剤に製剤化することができる。
【0040】
製剤化には通常用いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤や、および必要により安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調製剤、防腐剤、抗酸化剤などを使用することができ、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分及び配合量を適宜選択して常法により製剤化される。
【0041】
本発明の医薬製剤を投与する場合、その形態は特に限定されず、通常用いられる方法であればよく、経口投与でも非経口投与でもよい。本発明にかかる医薬の投与量は、症状の程度、年齢、性別、体重、投与形態・塩の種類、疾患の具体的な種類等に応じて、製剤学的な有効量を適宜選ぶことができる。
【0042】
また、本発明のAchE阻害剤は、強いAchE阻害活性を有することから、例えば、入浴剤、石鹸、芳香剤、アロマテラピー用エッセンシャルオイル、香水、整髪料等の製品に加えて用いることができる。
【0043】
本発明のAchE阻害剤は、各製品全体に対し、通常0.01〜100重量%程度(好ましくは、0.1〜5重量%程度)含有していればよい。
【0044】
本発明のAchE阻害剤を含む上記の製品を用いた場合には、精油の香りによるリラクゼーション効果、リフレッシュ効果が発揮され、またストレスの多い現代社会において心身の癒し効果が発揮される。上記の製品を、高齢者、病人などが生活する環境で用いることにより、老人性痴呆症の予防・改善効果も発揮される。もちろん、ティートリーオイルが有する防腐効果、抗菌効果なども発揮される
また、本発明のAchE阻害剤は、アロマテラピー用エッセンシャルオイルとして用いた場合、他の天然植物精油と混合して用いることもできる。また、該アロマテラピー用エッセンシャルオイルを所定の場所に撒布、拡散して、吸入し得る形態で使用することもできる。該オイルは、拡散器(ディフューザー)等を用いて撒布、拡散してもよい。撒布・拡散場所としては、例えば、家庭の部屋内、ホテルの部屋、会議室、病室の他、人の集まる催し物会場、休憩広場、各種リラクゼーション施設等に撒布することができる。特に、老人性痴呆症の患者が生活する病院、施設などで用いることが好ましい。
【0045】
また、本発明のAchE阻害剤は、例えば、清涼飲料、乳製品(加工乳、ヨーグルト)、菓子類(ゼリー、チョコレート、ビスケット、ガム、錠菓)等の各種飲食品に配合することもできる。
【発明の効果】
【0046】
本発明のAChE阻害剤は、ティートリーオイル、(+)−3−カレンなどを含み、強いAChE阻害活性を有しており、老人性痴呆症、特に、アルツハイマー型痴呆症の治療薬又は予防薬として有用である。また、本発明のAChE阻害剤は、芳香剤、入浴剤、アロマテラピーエッセンシャルオイル等に含有させて、リラクゼーション効果、リフレッシュ効果等の心身の癒し効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
次に、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0048】
実施例1
(1)ティートリーオイル(山本香料株式会社製)を下記の表1の条件でGC−MSを用いて成分検索を行ったところ、モノテルペンの炭化水素化合物が主な構成成分であることが分かった(表2)。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
(2)AChE阻害試験法は、G. L.Ellman, K. D. Courtney, V. Andres. Jr., R. M. Featherstone. Biochem. Pharmacol. 7, 88-95 (1961)の方法に従って行った。0.04 unit/mL AChE溶液、0.1Mリン酸緩衝液、阻害剤(ティートリーオイル又はモノテルペン)及び発色剤 (5,5’-ジチオビス(2-ニトロベンゾイックアシッド;DTNB)を試験管内にて25 ℃、5分間プレインキュベーション後、基質 (アセチルチオコリン アイオダイド;ATC)を加え、25 ℃、20分間インキュベーションした。その後、AchEによる基質の加水分解反応により生じる黄色に呈色するアニオン(TNB)の412nmにおける吸光度を測定した(図1を参照)。精油未添加のものをコントロールの値とし、その値と比較することにより阻害活性の値を算出した。各サンプルについて少なくとも3回測定を行いその平均値を示した。
【0052】
なお、AchEは、シグマ株式会社(Sigma Co. Ltd.)製のウシ赤血球のAchEを用いた。DTNB及びATCは、東京化成株式会社(Tokyo Chemical Industry Co. Ltd. (TCI)) 製を用いた。テルペノイドは、東京化成株式会社及び和光純薬株式会社製を用いた。
(3)まず、精油と、精油をカラムクロマトグラフィーで分画して得られた極性の低い炭化水素分画及び極性の高い含酸素分画の酵素阻害試験の結果を、表3及び図2に示す。精油は強い阻害活性を示し、50%阻害濃度であるIC50値は51.2μg/mLであった。また、炭化水素分画及び含酸素分画の阻害活性は、いずれもティートリーオイルの阻害活性には及ばなかった。
【0053】
次に、炭化水素画分の活性成分を検索したところ、ティートリーオイルの主成分である、テルピネン−4−オール、γ−テルピネン、α−テルピネン、p−シメン及び1,8−シネオールの5成分が比較的強い阻害活性を示していることが明らかとなった(表3及び図2を参照)。しかし、1,8−シネオールを除く各成分単独の活性値は、精油には及ばないことが分かった。
【0054】
【表3】

【0055】
(4)ティートリーオイルの主成分である、テルピネン−4−オール、γ−テルピネン、α−テルピネン、p−シメン及び1,8−シネオールの5化合物について、精油中での存在比36:20:8:7:4(重量比)と同様の混合物を調製し阻害試験を行った結果、IC50値は65.5μg/mLであった。該混合物の阻害活性は、ティートリーオイルの阻害活性よりも少し弱かったが、各成分単独よりも高いことが分かった。(表3及び図3を参照)。このことから、ティートリーオイルのAcnE阻害活性は、単独の強い阻害活性成分によるものではなく、精油成分間の相乗作用(synergistic effect)によるものであることが示唆された。
(5)次に、ティートリーオイルの酵素阻害形式を検討した。方法は、速度論法に汎用される、Lineweaver-Burk plot法及びDixon plot法を用いた。その結果を表4に示す。
【0056】
ティートリーオイルは、Lineweaver-Burk plotの交差よりAchEの混合型阻害を示し、Dixon plotの交差よりその阻害定数は、54.7 μg/mLであった。これに対し、主なテルペノイドは、Dixon plotの交差より基質濃度の減少に伴い阻害活性が増加するAchEの拮抗型阻害を示した。各テルペノイドと混合物は、酵素の活性中心で基質と拮抗していた。
【0057】
【表4】

【0058】
以上のように、ティートリーオイルは、AchE阻害剤として好適に用いることができる。
【0059】
実施例2
(1)植物の精油に含まれる17種の双環性モノテルペノイドについて、実施例1(2)と同様にしてAChE阻害試験を行った。その結果を、表5に示す。
【0060】
【表5】

【0061】
(2)また、実施例1(5)と同様にして、上記4化合物の阻害定数を測定した。その結果を表6に示す。
【0062】
【表6】

【0063】
上記の結果より、(+)−α−ピネン、(−)−α−ピネン、(+)−2−カレン及び(+)−3−カレンが強いAChE阻害作用を示し、特に、(+)−3−カレンの活性が高いことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1で用いられるAchE阻害活性試験の概略を示す図である。
【図2】実施例1におけるティートリーオイルとその主成分のAchE阻害活性試験の結果を示す図である。
【図3】実施例1におけるティートリーオイルと5化合物の混合物のAchE阻害活性試験の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティートリーオイルを有効成分として含有するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【請求項2】
テルピネン−4−オール、γ−テルピネン、α−テルピネン、p−シメン及び1,8−シネオールを有効成分として含有するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【請求項3】
テルピネン−4−オール30〜40重量部、γ−テルピネン15〜25重量部、α−テルピネン4〜12重量部、p−シメン3〜11重量部及び1,8−シネオール2〜6重量部を含有する請求項2に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【請求項4】
1−メチルシクロヘキセン骨格を有しヘテロ原子を含まないビシクロモノテルペンを有効成分として含有するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【請求項5】
(+)−2−カレン又は(+)−3−カレンを有効成分として含有する請求項4に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【請求項6】
ティートリーオイルと1−メチルシクロヘキセン骨格を有しヘテロ原子を含まないビシクロモノテルペンとを有効成分として含有するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含有する老人性痴呆症の予防又は治療薬。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含有するアルツハイマー型痴呆症の予防又は治療薬。
【請求項9】
老人性痴呆症の予防薬又は治療薬の製造のための請求項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の使用。
【請求項10】
老人性痴呆症の患者に、製剤学的有効量の請求項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を投与することを特徴とする老人性痴呆症の予防又は治療方法。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含有する芳香剤。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含有するアロマテラピー用エッセンシャルオイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−131589(P2006−131589A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325219(P2004−325219)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】