説明

アセナピンの調製方法および前記方法において使用される中間生成物

本発明は、アセナピン、すなわちtrans−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールの調製のための新規な方法に関し、加えて前記方法における使用のための新規な中間生成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、trans−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールの調製のための新規な方法に関し、加えて前記方法における使用のための新規な中間生成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にアセナピンとして知られているtrans−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールは、中枢神経系(CNS)抑制活性を有し、抗ヒスタミン活性および抗セロトニン活性を有する化合物である(van den Burgの米国特許第4,145,434号)。アセナピンの薬理学的プロファイル、その動態および代謝、ならびにヒトのボランティアおよび統合失調症患者における応急安全性および有効性の研究がレビューされてきた(De Boerら、Drugs of the Future、18巻(12号)、1117−1123頁、1993年)。Org 5222として知られているアセナピンのマレイン酸塩は、幅広いスペクトル、高効力のセロトニン、ノルアドレナリンおよびドーパミン拮抗薬であることが立証されている。
【0003】
【化1】

【0004】
アセナピンは抗精神病活性を有する可能性があることを示し、うつ病の治療において有用であり得る(国際特許出願WO99/32108を参照されたい。)。アセナピンマレイン酸塩の舌下または口腔内投与のために適当な医薬製剤が国際特許出願WO95/23600(Akzo Nobel N.V.)に記載されている。アセナピンマレイン酸塩は、今では臨床研究の主題であり、この原体の大規模合成を必要としている。
【0005】
アセナピンの調製のための一般的な方法は、米国特許第4,145,434号に開示されている。原体Org 5222の物理化学的諸性質は報告されている(Funkeら、Arzneim.−Forsch/Drug.Res.40巻、536−539頁、1990年)。Org 5222およびこれの放射線標識された誘導体の調製のためのさらなる合成方法も記載されている(Vaderら、J.Labelled Comp.Radiopharm.34巻、845−869頁、1994年)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,145,434号明細書
【特許文献2】国際公開第99/32108号
【特許文献3】国際公開第95/23600号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】De Boerら、Drugs of the Future、18巻(12号)、1117−1123頁、1993年
【非特許文献2】Funkeら、Arzneim.−Forsch/Drug.Res.40巻、536−539頁、1990年
【非特許文献3】Vaderら、J.Labelled Comp.Radiopharm.34巻、845−869頁、1994年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
工業規模で信頼して行われ得るアセナピンの調製のための合成手順に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式Iのtrans−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(アセナピン)
【0010】
【化2】

または薬学的に許容されるこの塩の調製のための方法であって、式II
【0011】
【化3】

[式中、RはF、Br、またはIであり;RおよびRは異なって、それぞれHおよびClから選択され;RはHまたはヒドロキシ保護基である。]
のE−スチルベン誘導体が、式A
【0012】
【化4】

[式中、Rはアミノ保護基を表す。]
の前駆体第三級アミンから生成されたアゾメチンイリドと反応させられて、式III
【0013】
【化5】

のtrans−ピロリジン誘導体をもたらし、
該誘導体からヒドロキシ保護基Rが、存在する場合には取り除かれ、該誘導体は続いて分子内閉環反応を起こす条件下において処理されて、式IV
【0014】
【化6】

のオキセピノ化合物をもたらし、
このときアミノ保護基Rがメチル基によって置き換えられ、もたらされる式Iのアセナピンは薬学的に許容されるこの塩に必要に応じて転化される
ことを特徴とする方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の1つの好ましい方法は、Rが式−CHXYのアミノ保護基
[式中、Xは(C1−6)アルキル、ビニル(ハロゲンで置換されていてもよい。)またはフェニル((C1−3)アルキル、(C1−3)アルコキシ、NO、CNもしくはハロゲンで置換されていてもよい。)であり;YはHもしくはフェニルであり;またはXはCOORであり、YはH、(C1−6)アルキル、フェニルもしくはベンジルであり;
は(C1−4)アルキルである。]を表し、該アミノ保護基が、1−クロロエチルクロロホルメートとの反応によって式Vの化合物をもたらし、この式Vの化合物はメチル化によって式Iの化合物に転化される、またはエチル−もしくはメチルクロロホルメートとの反応によって式VIの化合物をもたらし、この式VIの化合物は水素化物還元剤を用いる反応によって式Iの化合物に転化されるかのいずれかで、メチル基によって置き換えられる方法である
【0016】
【化7】

[式中、Rはエチルまたはメチルである。]。
【0017】
式IIの定義において、Rは式IIIのtrans−ピロリジン誘導体に導く反応条件下において安定なヒドロキシ保護基であればよい。かかる保護基の例はテトラヒドロピラニル基、シリル保護基またはアシル基である。さらなる例は当技術分野において知られている。例えば、Wuts,P.G.M.およびGreene,T.W.:Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、New York、1999年を参照されたい。1つの好ましい保護基はアシル基であり、アシル基は(C1−6)アルキルカルボン酸から誘導されるアシル基、ヘキサノイル、ペンタノイル、ブタノイル、プロピオニル、アセチルおよびホルミルなどである。特に好ましいものはアセチル基である。
【0018】
式1の定義において使用されている(C1−6)アルキルという用語は、分岐または非分岐1−6個の炭素原子を有するアルキル基、ヘキシル、ペンチル、ネオペンチル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、プロピル、イソプロピル、エチルおよびメチルなどを意味する。
【0019】
同様に(C1−4)アルキルという用語は、分岐または非分岐1−4個の炭素原子を有するアルキル基、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、プロピル、イソプロピル、エチルおよびメチルなどを意味する。
【0020】
(C1−3)アルキルという用語は、分岐または非分岐1−3個の炭素原子を有するアルキル基、プロピル、イソプロピル、エチルおよびメチルなどを意味する。
【0021】
(C1−3)アルキルオキシという用語において、(C1−3)アルキルは上記で定義された意味を有する。
【0022】
ハロゲンという用語はF、Cl、BrまたはIを意味する。
【0023】
式A、III、IVおよびVIIの定義において使用されているアミノ保護基という用語は、式VIIにおいて示されているアゾメチンイリドの形成を可能にするアミノ保護基を意味し、アゾメチンイリドは式IIIのtrans−ピロリジン誘導体に導く反応条件下において、また式IVのオキセピン化合物に導く反応条件下において安定である。
【0024】
本開示を通して、例えば化合物(I)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の式において示されている太線および破線のくさび形結合の対を有する構造式によって表されている化合物は、「トランス」ジアステレオ異性体を表している。化合物のそれぞれは、くさび形結合によって表示されている絶対立体化学配置を有する、または逆の絶対配置を有する単一のエナンチオマーとして、もしくはくさび形結合によって表示される相対立体化学配置を有するエナンチオマーの混合物(例えばラセミ体)として存在し得る。
【0025】
本発明の方法の第1の反応ステップにおいて、式IIのE−スチルベン誘導体が反応系内で生成された式VIIのアゾメチンイリドとの[3+2]双極性環化付加反応において反応させられて式IIIのtrans−ピロリジン誘導体をもたらす。この反応は、すべての結合が同時に作り出される協奏的な態様で進行すると考えられている。その結果、立体化学が生成物中に保存される。E−スチルベン誘導体との反応が開始されると、trans−ピロリジン環だけが形成される。本発明の方法における双極性付加ステップの立体選択性は、本方法の良好な全収率に関して大きい利点を意味する。
【0026】
双極性構造VII
【0027】
【化8】

によって表される必要とされるアゾメチンイリドは、前駆体の式A
【0028】
【化9】

[式中、Rはアミノ保護基を表す。]の第三級アミンからジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、エーテルおよび酢酸エチルなどのエステルのような非プロトン性溶媒中におけるトリフルオロ酢酸またはフッ化セシウムを用いる活性化を経て反応系内で生成され得る(Hosomi,A.ら、Chem.Lett.、1117−1120頁、1984年)。
【0029】
本発明の好ましい一実施形態において、Rは式−CHXYのアミノ保護基を表し、
ここでXは(C1−6)アルキル、ビニル(ハロゲンで置換されていてもよい。)またはフェニル((C1−3)アルキル、(C1−3)アルコキシ、NO、CNもしくはハロゲンで置換されていてもよい。)であり;YはHまたはフェニルであり;または
XはCOORであり、YはH、(C1−6)アルキル、フェニルもしくはベンジルであり;
は(C1−4)アルキルである。
【0030】
特に好ましいアミノ保護基Rは、ベンジル、2−メトキシベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジルおよびアリル基である。これらの基は、対応する式Aの第三級アミンの、市販出発原料を使用する容易で安価な調製を可能にする。
【0031】
式Aの第三級アミンは、適切なアミンR−NHの(Rは先に定義された−CHXYの意味を有する。)、[(C1−4)アルキル]シリルメチルクロリドによる第二級アミンをもたらすためのアルキル化から調製され得る(この第二級アミンは続いてホルムアルデヒドを用いて(C1−4)アルコール溶液中で処理され得る。)。
【0032】
本発明の方法における使用のための好ましい第三級アミンは式
【0033】
【化10】

によるものであり、これは適切なアミンR−NHの(クロロメチル)トリメチルシランによるアルキル化によって第二級アミンをもたらし、これが続いてホルムアルデヒドを用いてメタノール溶液中で処理されることによって調製される。
【0034】
好ましい一実施形態において、双極性付加反応はRが保護基を表す式IIのスチルベン誘導体を使用して行われる。このアセチル基などの保護基は、ヒドロキシ−フェニル基を双極性付加反応と競合し得る求電子的芳香族置換反応に関して失活させて式IIのピロリジンに導く。結果として副生成物の発生が最小化され得る。
【0035】
本方法の第2のステップにおいて、式IIIA
【0036】
【化11】

のtrans−ピロリジン誘導体は、trans−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(アセナピン、式I)を生成する分子内閉環反応を起こす条件下において処理される。
【0037】
アセナピンの7員のオキセピン環を形成する分子内閉環反応は、Ullmann型反応、すなわち式IIIAの化合物の、溶媒中において銅(0)粉末を用いる、銅(I)塩を用いるまたは銅(II)塩を用いる、塩基の存在下の高められた温度における処理を用いて行われ得る(Ma,D.、Cai,Q.、Organic Letters、5巻、3799−3802頁、2003年;Buck,E.ら、Organic Letters 4巻、1623−1626頁、2002年;Sawyer,J.S.、Tetrahedron 5045−5065頁、2002年)。N,N−ジメチルグリシン、2,2,4,4−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(TMHD)または8−ヒドロキシキノリンなどの添加物が、銅イオンの溶解度を増大させるために使用され得る。適当な塩基は、CsCO、KCO、ピリジン、NaOH、KOHまたはCsFを含む。有用な銅源は、Cu粉末、CuI、CuBr、CuCl、CuCO(炭酸銅(II))、Cu(OAc)(酢酸銅(II))、Cu(OTf)(トリフルオロメタンスルホン酸銅(II))、CuOまたはCuSOを含む。
【0038】
式IIIAの化合物のオキセピン誘導体への完全な転化のための適当な条件は、CuCl(0.25当量)、N,N−ジメチルグリシン(0.25当量)およびCsCO(1.1当量)の、還流下のジオキサン中における約24時間の使用である。約80−110℃の間の温度における工業規模のUllmann環化反応における使用のための溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)、ピリジン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、2−メチルテトラヒドロフランなどである。
【0039】
工業規模のUllmann環化反応のための好ましい反応条件は、溶媒系としてのジメチルアセトアミドまたはこれのトルエンとの混合物の使用、塩基としてのCsCO、NaOH、KOHまたはKCOの使用、および触媒としての塩化銅(I)と組み合わせたジメチルグリシンの使用である。
【0040】
本発明の特に有用な実施形態は、式Iのアセナピン
【0041】
【化12】

またはこれの塩の調製のための方法であり、この方法において(E)−2−(2−ブロモスチリル)−4−クロロフェニルアセテート
【0042】
【化13】

がトルエンなどの不活性溶媒中でN−メトキシメチル−N−トリメチルシリルメチル−N−R−アミン
[式中、Rは式−CHXYのアミノ保護基を表し、
ここでXは(C1−6)アルキル、ビニル(ハロゲンで置換されていてもよい。)またはフェニル((C1−3)アルキル、(C1−3)アルコキシ、NO、CNまたはハロゲンで置換されていてもよい。)であり;YはHまたはフェニルであり;または
XはCOORでありYはH、(C1−6)アルキル、フェニルもしくはベンジルであり;Rは(C1−4)アルキルである。]
から反応系内で生成されるアゾメチンイリドと、トリフルオロ酢酸を用いて反応させられてtrans−N−R−4−(2−ブロモフェニル)−3−(2−アセトキシ−5−クロロフェニル)−ピロリジン
【0043】
【化14】

を提供する。
【0044】
このピロリジン誘導体は、アセチル基を除去するためにアルカリ水溶液などの塩基性条件下において処理される。これに続くこの脱保護されたピロリジン誘導体のUllmann条件化における分子内閉環を起こすために銅(I)塩の助けを借りる処理はtrans−5−クロロ−2−R−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール
【0045】
【化15】

をもたらし、ここでRは上記で与えられた意味を有する。
【0046】
保護基Rは、この化合物から1−クロロエチルクロロホルメートを用いて除去されることができてtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールをもたらし、これは、例えばギ酸の存在下におけるホルムアルデヒドを用いる処理を経て還元アミノ化(Eschweiler−Clarke反応)を使用するメチル化によってアセナピン(式I)に転換され得る。
【0047】
あるいは、保護基Rは、クロロギ酸エチルまたはクロロギ酸メチルとの反応によって除去されることができて、trans−5−クロロ−2−エトキシ(またはメトキシ)カルボニル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールをもたらす。この化合物は、水素化物還元剤、好ましくは反応系内で水素化リチウムアルミニウムおよび塩化アルミニウムから生成されたアランを用いる処理によってアセナピン(式I)に転化され得る。
【0048】
したがって、1つの態様において本発明は、Rがエチル基またはメチル基である式VIの新規なtrans−オキセピン誘導体を提供する。
【0049】
【化16】

本発明のさらなる1つの態様は、式VIの化合物からの水素化物還元剤を用いる反応によるアセナピン(式I)の調製である。
さらにもう1つの態様において、本発明は式IVの新規なtrans−オキセピン誘導体
【0050】
【化17】

[式中、Rは式−CHXYアミノ保護基を表し、
ここでXは(C1−6)アルキル、ビニル(ハロゲンで置換されていてもよい。)もしくはフェニル((C1−3)アルキル、(C1−3)アルコキシ、NO、CN、ハロゲンで置換されていてもよい。)であり;
およびYはHもしくはフェニルであり;またはXはCOORでありおよびYはH、(C1−6)アルキル、フェニルもしくはベンジルであり;Rは(C1−4)アルキルである。]またはこれの塩を提供する。
【0051】
本発明の1つのさらなる態様は、式IIIの新規なtrans−ピロリジン誘導体
【0052】
【化18】

[式中、RはF、BrまたはIであり;RおよびRは異なって、それぞれHおよびClから選択され;RはHまたはヒドロキシ保護基であり;Rは先に定義された通りのアミン保護基である。]またはこれの塩を提供する。
【0053】
本発明はさらに、式IIのE−スチルベン誘導体
【0054】
【化19】

[式中、RはF、BrまたはIであり;RおよびRは異なって、それぞれHおよびClから選択され;Rは先に定義された通りのHまたはヒドロキシ保護基である。]を提供する。これらのスチルベン誘導体は、薬剤として活性な式Iの化合物、すなわちアセナピンを工業的に製造するのに有用な中間体である。
【0055】
式IIのE−スチルベン誘導体は、例えばWittig反応を使用して調製されることができ、この方法では下記の式IXのトリフェニルホスホニウムハロゲニドが適切な式Xのサリチルアルデヒドと、還流下のクロロホルム、テトラヒドロフランまたはこれらのエタノールとの混合物などの溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、DABCO、カリウムtert−ブトキシドまたはナトリウムエトキシドなどの塩基の当量の存在下において反応させられる。式IXおよびX中のR、RおよびRは、それぞれ上記において式IIおよびIIIに関して定義された通りである。Wittig反応は通常E−およびZ−異性体の混合物をもたらし、最良の比率は約70:30である。純粋なE−異性体(式II)はクロマトグラフィーによって単離され得る。
【0056】
【化20】

【0057】
式IXのトリフェニルホスホニウムハロゲニドは、RがF、BrまたはIであり、RがHまたはClであり、Xがハロゲン、好ましくはClまたはBrである式VIIIの化合物のトリフェニルホスフィンを用いる還流下のトルエン中における処理によって調製され得る。
【0058】
式IIのE−スチルベン誘導体を合成する1つの好ましい方法は、下記の式XIを有するホスホン酸エステル誘導体を使用する。ホスホン酸エステル誘導体は、式VIIIの化合物を、溶媒なしでまたはトルエンなどの溶媒を使用して、当モル量のトリエチルホスファイト(亜リン酸トリエチル)と一緒に加熱することによって調製され得る(Davidsen,S.K.、Phllips,G.W.、Martin,S.F.Organic Syntheses、Coll.8巻、451頁(1993年);65巻、119頁)。
【0059】
【化21】

【0060】
これに続くWittig−Horner反応において(T.Kawasakiら、J.Org.Chem.、66巻、1200−1204頁、2001年;Tet.Lett.43巻、2449頁、2001年)、式XIのホスホン酸エステルがテトラヒドロフランなどの溶媒中で、カリウムtert−ブトキシド、ブチルリチウム、水素化ナトリウムまたはナトリウムメトキシドなどの塩基を用いて処理されて中間体の安定化されたホスホン酸アニオンを生成し、これは式Xのサリチルアルデヒド誘導体と反応して選択的に式IIのE−スチルベンをもたらす。
【0061】
式Iのアセナピンの適当な酸付加塩および式IIIのtrans−ピロリジン誘導体の適当な酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸および硫酸などの鉱酸を用いる処理または例えばアスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、グリコール酸、コハク酸、プロピオン酸、酢酸およびメタンスルホン酸などの有機酸を用いる処理から得ることができる。式Iのアセナピンの好ましい酸付加塩は、マレイン酸塩、すなわちOrg 5222である。
【0062】
実施例
以下の実施例は、例示的および非限定的であり、本発明の具体的な実施形態を表す。下記の実施例のそれぞれにおいて、化合物アセナピン(式I)およびこの前駆体である式IIIのtrans−ピロリジン誘導体はラセミ体であり、これらの構造式中で使用されている太いくさび形結合または太いくさび形点線結合の対は相対立体化学配置を示している。
【0063】
一般的方法:
NMRスペクトルはBruker DPX 400で記録した。化学シフトは百万分率(ppm)で記載されている。H−NMR化学シフトは内部標準としてのTMSを基準としている(略記 s シングレット;d ダブレット;t トリプレット;dd ダブルダブレット;m マルチプレット)。質量スペクトルは、PE SCIEX API 165で記録した。GC クロマトグラムは、Restek RTX−カラムを備えたAgilent HP6890Nガスクロマトグラフを使用して得た。HPLCクロマトグラムは、Agilent HP1100液体クロマトグラフを使用して得た。
【実施例1】
【0064】
(E)−2−(2−ブロモスチリル)−4−クロロフェニルアセテート
臭化2−ブロモベンジル(25g、0.100mol)およびトルエン(25ml)を100℃まで加熱した。次に、トリエチルホスファイト(19.3ml、0.108mol)を30分間かけて加え、その間温度を116℃未満に保った。この混合物を115℃において4時間撹拌し、その間トルエンを留出させた。混合物を室温まで冷却し、テトラヒドロフラン(THF;16.5ml)で希釈した。KOtBu(30.5g、0.250mol)をTHF(176ml)中に溶解させ、−10℃まで冷却した。(2−ブロモベンジル)−ホスホン酸ジエチルエステル溶液を−5℃において加えた。次にTHF(62ml)中のクロロサリチルアルデヒド(17.2g、0.110mol)を−10℃において加えた。この混合物を−5℃から0℃において1時間撹拌した。反応が完了したら無水酢酸(24.5ml、0.36mol)を加え、温度を20℃まで上昇させた。反応混合物をさらに15分間撹拌し、次いで5℃まで冷却した。反応混合物のpHを1NのHCl(200ml)の投入によって5に調節した。有機層を分液し、飽和NaCl溶液(200ml)を用いて洗浄した。有機層を減圧下において50℃で蒸発させて(E)−2−(2−ブロモスチリル)−4−クロロフェニルアセテート25.8gをもたらした(73%)。
【0065】
【化22】

H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.38(3H,s,H−11);6.87(1H,d,H−9)、7.19+7.34(2×1H,2×t,H−2+H−3)、7.26(1H,d,H−6)、7.46(1H,d,H−8)、7.60(2H,dd,H−1+H−4)、7.68(1H,d,H−5)。
【実施例2】
【0066】
2−メトキシ−N−(メトキシメチル)−N−[(トリメチルシリル)メチル]−ベンゼンメタンアミン
【0067】
【化23】

A:2−メトキシ−N−[(トリメチルシリル)メチル]ベンゼンメタンアミン
アセトニトリル(140ml)中の2−メトキシベンジルアミン(25g、182.2mmol)およびトリメチルシリルメチルクロリド(11.2g、91.1mmol)の混合物を一晩還流させた。次いですべての揮発性物質を除去するためにロータリーエバポレーターを用いて混合物を真空下において70℃で濃縮させた。白色の残留物をn−ヘプタン(250ml)と混合し、ガラスフィルターを通してろ過した。塩残留物をn−ヘプタン(2×25ml)を用いて洗浄した。合わせたヘプタンろ液を真空下において濃縮し粗生成物2−メトキシ−N−[(トリメチルシリル)メチル]ベンゼンメタンアミンを透明の油状物(21.5g、>100%)として定量的収率で得た。生成物(GC−MSによる純度92%)はこれ以上の精製を行うことなく使用した。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.02 9H,s,(CHSi;2.00 2H,s,CHSi;3.79 2H,s,CH;3.83 3H,s,OCH;6.89 2H,m,ArH;7.23 2H,m,ArH。
B:2−メトキシ−N−(メトキシメチル)−N−[(トリメチルシリル)メチル]−ベンゼンメタンアミン
前記粗アミン(21.5g、理論的最大91.1mmol)を少量ずつ30分間かけて37%のホルムアルデヒド水溶液(9.4g、115.5mmol、1.2当量)およびメタノール(3.7g、115.5mmol、1.2当量)に0℃において撹拌しながらゆっくり加えた。2時間後、KCO(12g、86.8mmol)を加え、混合物をさらに2時間撹拌した。有機層をデカンテーションした。粘着性の水性KCO層をtBME(50ml)を用いて洗浄した。合わせた有機画分をNaSOで乾燥し、ろ過し、真空下において濃縮して粗製の標題化合物を油状物(21.5g、80.4mmol)として2ステップを通じて88%のc.y.で得た。生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.03 9H,s,(CHSi;2.25 2H,s,CHSi;3.25 3H,s,OCH;3.80 5H,m,CHおよびOCH;4.03 2H,s,CH;6.86 1H,d,J=8.4Hz;6.93 1H,dt,J=1.2および7.5Hz;7.22 1H,dt,J=1.8および7.8Hz;7.38 1H,dd,J=1.8および7.5Hz。
【実施例3】
【0068】
実施例2の方法をさらに次の化合物を調製するために使用した。
3A:4−メトキシ−N−(メトキシメチル)−N−[(トリメチルシリル)メチル]−ベンゼンメタンアミン
H−NMR(CDCl)δ:0.03 9H,s,(CHSi;2.17 2H,s,CHSi;3.23 3H,s,OCH;3.69 2H,s,CH;3.80 3H,s,OCH;3.98 2H,s,CH;6.83 2H,m,ArH;7.24 2H,m,ArH。
3B:2,4−ジメトキシ−N−(メトキシメチル)−N−[(トリメチルシリル)メチル]−ベンゼンメタンアミン
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.05 9H,s,(CHSi;2.22 2H,s,CHSi;3.23 3H,s,OCH;3.71 2H,s,CH;3.77 3H,s,OCH;3.80 3H,s,OCH;3.99 2H,s,CH;6.46 2H,m,ArH;7.25 1H,d,J=8.1Hz ArH。
【実施例4】
【0069】
N−(メトキシメチル)−N−((トリメチルシリル)メチル)プロプ−2−エン−1−アミン
【0070】
【化24】

A:N−((トリメチルシリル)メチル)プロプ−2−エン−1−アミン
アリルアミン(29.5ml、392.5mmol)を窒素雰囲気下において40℃まで温めた。クロロメチルトリメチルシラン(25.0ml、180mmol)をアリルアミンに撹拌しながら極めてゆっくり加えた。投入が完了した後、混合物を24時間かけて70℃まで温めた。混合物を0℃まで冷却し、水(25ml)を加え、続いて2NのNaOH溶液(75ml)を加えた。混合物を1時間撹拌し、次いでtert−ブチルメチルエーテル(tBME、2×100ml)を用いて抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、次いで300mbarの真空下において70℃で濃縮して純粋なN−((トリメチルシリル)メチル)プロプ−2−エン−1−アミン(21g、146.5mmol)を81%のc.y.で得た。H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.05 9H,s,(CHSi;2.06 2H,s,CH;3.24 2H,d,J=6Hz,CH;5.12 2H,m;5.88 1H,m。生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。
B:N−(メトキシメチル)−N−((トリメチルシリル)メチル)プロプ−2−エン−1−アミン
N−((トリメチルシリル)メチル)プロプ−2−エン−1−アミン(21g、146.5mmol)にホルムアルデヒド水溶液(20g、37重量/重量%)を室温において撹拌しながらゆっくり加えた。さらに5分間撹拌後、メタノール(8g)を加え、続いてKCO(24g)を加えた。反応混合物を室温において一晩撹拌した。水(100ml)を加え、続いてtert−ブチルメチルエーテル(75ml)を加えた。有機層を分離した。水層をtert−ブチルメチルエーテル(75ml)を用いて抽出した。合わせた有機抽出液をNaSOで乾燥した。真空下において濃縮してN−(メトキシメチル)−N−((トリメチルシリル)メチル)プロプ−2−エン−1−アミンを透明油状物(24g、128.1mmol)として87%のc.y.で得た。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.05 9H,s,(CHSi;2.16 2H,s,CH;3.24 3H,s,OCH;4.03 2H,s,CH;5.12 2H,m;5.81 1H,m。生成物はこれ以上の精製をすることなく使用した。
【実施例5】
【0071】
N−(メトキシメチル)ジフェニル−N−((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン
【0072】
【化25】

A:ジフェニル−N−((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン
アセトニトリル(105ml)中のベンズヒドリルアミン(25g、136.4mmol)およびトリメチルシリルメチルクロリド(8.39g、68.4mmol)の混合物を一晩還流させた。次いですべての揮発性物質を除去するためにロータリーエバポレーターを用いてこの混合物を真空下において70℃で濃縮した。白色の残留物をn−ヘプタン(150ml)と混合し、ガラスフィルターを通してろ過した。塩残留物をn−ヘプタン(2×25ml)で洗浄した。合わせたヘプタンろ液を真空下において濃縮して粗生成物を透明で淡黄色の油状物(23g、>100%)として得た。シリカゲル(700ml)上のクロマトグラフィーによる精製は、n−ヘプタン(2000ml)に続いてn−ヘプタン:酢酸エチル(10:1)によって溶離して、純粋なジフェニル−N−((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン(5.5g、20.4mmol、30%)をもたらした。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.05 9H,s,(CHSi;2.02 2H,s,CHSi;4.71 1H,s,CH;7.17−7.42 10H,m,ArH。
B:N−(メトキシメチル)ジフェニル−N−((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン
ジフェニル−N−((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン(5.5g、20.4mmol)を、37%のホルムアルデヒド水溶液(2.9g)およびメタノール(1.5g)の混合物に0℃において撹拌しながら滴加した。滴加完了後、反応混合物を0℃において2時間撹拌した。KCO(3g)を加え、固化した混合物を室温まで温めた。メタノール(4ml)を加えた。室温において1時間撹拌後、tBME(50ml)および水(5ml)を加えた。有機層を分離し、NaSOで乾燥した。真空下における蒸発は粗生成物N−(メトキシメチル)ジフェニル−N−((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン(7.05g、最大20.4mmol)を油状物としてもたらした。これは室温において一晩放置すると固化した。この生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.08 9H,s,(CHSi;2.23 2H,s,CHSi;3.00 3H,s,OMe;3.97 2H,s,CHO;7.16−7.42 10H,m,ArH。
【実施例6】
【0073】
N−(メトキシメチル)−N−((トリメチルシリル)メチル)ブタン−1−アミン
【0074】
【化26】

A:N−(トリメチルシリル)メチル−1−ブタンアミン
密封管中のn−ブチルアミン(25g、341.8mmol)およびトリメチルシリルメチルクロリド(8.1g、66.0mmol)の混合物を200℃において16時間加熱した。室温まで冷却後、ゼリー状の混合物を15%のNaOH水溶液(50ml)と混合した。n−ヘプタン(100ml)を用いる抽出および有機層のNaSOを用いる乾燥は、有機溶媒の75℃、450mbarにおける蒸発後に粗製のN−(トリメチルシリル)メチル−1−ブタンアミン(12.5g、最大66.0mmol)を透明の油状物としてもたらした。この生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.03 9H,s,(CHSi;0.90 3H,t,CH;1.25−1.51 5H,m,2×CHおよびNH;2.06 2H,s,CHSi;2.59 2H,t,NCH
B:N−(メトキシメチル)−N−((トリメチルシリル)メチル)ブタン−1−アミン
N−(トリメチルシリル)メチル−1−ブタンアミン(12.5g、最大66.0mmol)を37%のホルムアルデヒド水溶液(5.4g)およびメタノール(2.2g)の混合物中に撹拌しながら0℃において滴加した。滴加が完了した後、反応混合物を0℃において90分間撹拌した。KCO(6g)を加え、混合物をさらに2時間撹拌した。次いでtBME(100ml)を加え、有機層を分離した。水層をtBME(50ml)を用いて洗浄した。合わせた有機層をNaSOで乾燥した。450mbarの真空下の75℃における蒸発は、粗生成物N−(メトキシメチル)−N−((トリメチルシリル)メチル)ブタン−1−アミン(13.5g)を油状物として定量的収率でもたらした。生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.05 9H,s,(CHSi;0.90 3H,t,CH;1.19−1.45 4H,m,2×CH;2.15 2H,s,CHSi;2.58 2H,t,NCH;3.24 3H,s,OMe;4.02 2H,s,CHO。
【実施例7】
【0075】
(R)−メチル2−((メトキシメチル)((トリメチルシリル)メチル)アミノ)−2−フェニルアセテート
【0076】
【化27】

A:(R)−メチル2−フェニル−2−((トリメチルシリル)メチルアミノ)アセテート
(R)−フェニルグリシンメチルエステル塩酸塩(2.1g、10.4mmol)、トリメチルシリルメチルクロリド(1.29g、10.6mmol)、KCO(2.7g、19.5mmol)およびKI(3.9g、23.5mmol)のDMF(40ml)中混合物を、窒素雰囲気下において18時間かけて80℃まで加熱した。この混合物を真空下において濃縮した。水(25ml)および酢酸エチル(75ml)を加えた。有機層を分離した。水層を酢酸エチル(50ml)を用いて抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、真空下において濃縮して粗生成物を赤色の油状物として得た。シリカゲル(500ml)上のクロマトグラフィーによる精製は、酢酸エチル:n−ヘプタン(1:3)を用いて溶離して(R)−メチル2−フェニル−2−((トリメチルシリル)メチルアミノ)アセテート(1.0g、3.98mmol)を黄色の油状物として38%のc.y.でもたらした。質量:M+1=252(実測値)。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.04 9H,s,(CHSi;1.72 1H,br s,NH;1.95 2H,dd,CHSi;3.69 3H,s,OCH;4.30 1H,s,CH;7.27−7.36 5H,m,ArH。
B:(R)−メチル2−((メトキシメチル)((トリメチルシリル)メチル)アミノ)−2−フェニルアセテート
(R)−メチル2−フェニル−2−((トリメチルシリル)メチルアミノ)アセテート(1.0g、3.98mmol)を、37%ホルムアルデヒド水溶液(784mg)およびメタノール(310mg)の混合物に0℃において撹拌しながら加えた。2時間後KCO(1.0g)を加え、混合物をさらに1時間撹拌した。次いで、水(10ml)を加え、混合物を酢酸エチル(2×50ml)を用いて抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空下における濃縮は粗製の(R)−メチル2−((メトキシメチル)((トリメチルシリル)メチル)アミノ)−2−フェニルアセテートを油状物としてもたらした(理論的最大3.98mmol)。生成物はこれ以上の精製を行うことなく直接次のステップにおいて使用した。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.03 9H,s,(CHSi;2.21 2H,dd,CHSi;3.06 3H,s,OMe;3.69 3H,s,OCH;4.15 2H,m,OCH;4.74 1H,s,CH;7.26−7.42 5H,m,ArH。
【実施例8】
【0077】
A:ラセミ体のtrans−2−(1−ベンジル−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェニルアセテート
【0078】
【化28】

N−ベンジル−N−メトキシメチル−N−(トリメチルシリルメチル)アミン(5.0g、21.06mmol)を、(E)−2−(2−ブロモスチリル)−4−クロロフェニルアセテート(実施例1;7.0g、19.9mmol)のトリフルオロ酢酸(3滴)を含有しているトルエン(25ml)中懸濁液に室温において撹拌しながらシリンジを用いて30分かけて滴加した。さらに1時間撹拌後、水(10ml)を加えた。トルエン層を分離した。水層をトルエン(25ml)を用いて抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、真空下において蒸発させて粗製の環状付加物を透明で無色の油状物として、10.76g(>100%)の定量的収率で得た。
MS:M+1=484、486 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.36 3H,s;2.64 1H,dd,J=6.9および9.0Hz;2.89 1H,dd,J=6.0および9.6Hz;3.08 1H,t,J=8.4Hz;3.29 1H,t,J=9.0Hz;3.55 1H,m;3.66 1H,d,J=12.9Hz;3.76 1H,d,J=12.9Hz;3.87 1H,m;6.88−7.67 12H,m,ArH。
B:ラセミ体のtrans−2−(1−ベンジル−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール
【0079】
【化29】

エタノール(20ml)を上記からの粗製環状付加物(10.7g)に加えた。この溶液を真空下において濃縮した。メタノール(50ml)を残留物に加え、続いて希KOH水溶液(水12.5ml中のKOH2.5g)を加えた。黄色溶液が得られた。15分間撹拌後、pHを2NのHClを用いてpH約8に調節した。5分後に粘着性の白色のガムが沈殿した。アセトン(15ml)を加え、得られた混合物を室温において一晩撹拌した。混合物をトルエン(2×50ml)、酢酸エチル(2×50ml)および再度トルエン(50ml)を用いて抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、真空下において濃縮して粗製の標題生成物を透明の油状物9.3g(21.0mmol)として、定量的収率で得た。H−NMRによれば何らかの少量の不純物が存在していた。
【0080】
シリカゲル(600ml)上のカラムクロマトグラフィーによる精製は、酢酸エチル:n−ヘプタン=1:9(R約0.2)を用いて溶離して、純粋な化合物(3.0g、6.8mmol)を34%のc.y.でもたらした。濃縮したより純度の低いカラム画分からさらなる生成物(1.8g、4.1mmol)をアセトンから一晩の結晶化によって20%のc.y.で得た。全収率は54%である。DSC解析:融点132.9℃;純度97.8%。
MS:M+1=442、444;M−1=440、442 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.34 1H,t,J=9.9Hz;2.99 1H,dd,J=8.1およびJ=9.9Hz;3.31 2H,m;3.59 1H,t,J=8.7Hz;3.70 1H,d,J=12.6Hz;3.95 1H,d,J=12.6Hz;4.02 1H,m;6.75 1H,d,J=2.7Hz;6.85 1H,d,J=8.4Hz;7.07 2H,m;7.26 7H,m;7.52 1H,d,J=7.8Hz;12.34 1H,br s,OH。
【実施例9】
【0081】
実施例8の方法を、実施例2、3、4、5、6および7に記載された適切な第三級アミンを使用して以下の化合物を調製するためにさらに応用した。
9A:ラセミ体のtrans−2−(1−(2−メトキシベンジル)−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール
【0082】
【化30】

MS:M+1=472、474;M−1=470、472 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.37 1H,t,J=9.7Hz;2.98 1H,t,J=9.7Hz;3.25 2H,m;3.59 1H,m;3.80 1H,d,J=12.4Hz;3.87 3H,s,OMe;3.91 1H,d,J=12.4Hz;4.00 1H,m;6.71 1H,d,J=2.7Hz;6.81 1H,d,J=8.4Hz;6.93 2H,m;7.07 2H,m;7.31 4H,m;7.50 1H,d,J=8.4Hz。
9B:ラセミ体のtrans−2−(1−(4−メトキシベンジル)−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール
【0083】
【化31】

MS:M+1=472、474;M−1=470、472 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.34 1H,t,J=9.9Hz;2.98 1H,dd,J=7.8HzおよびJ=9.9Hz;3.26 1H,d,J=9.9Hz;3.31 1H,dd,J=4.5HzおよびJ=7.8Hz;3.63 1H,t,J=7.8Hz;3.66 1H,d,J=12.4Hz;3.82 3H,s,OMe;3.90 1H,d,J=12.4Hz;4.03 1H,m;6.78 1H,d,J=2.7Hz;6.87 2H,m;7.09 2H,m;7.31 5H,m;7.53 1H,d,J=7.8Hz。
9C:ラセミ体のtrans−2−(1−(2,4−ジメトキシベンジル)−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール
【0084】
【化32】

MS:M+1=502、504;M−1=500、502 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.34 1H,t,J=9.9Hz;2.94 1H,dd,J=7.8HzおよびJ=9.9Hz;3.24 2H,m;3.57 1H,t,J=7.8Hz;3.80−3.95 8H,m,2×OMeおよびCH;1H,d,J=12.4Hz;3.82 3H,s,OMe;3.90 1H,d,J=12.4Hz;4.02 1H,m;6.43 2H,m;6.73 1H,d,J=2.7Hz;6.80 1H,d,J=8.4Hz;7.00−7.10 2H,m;7.16 1H,d,J=7.8Hz;7.32 2H,m;7.50 1H,d,J=7.8Hz。
9D:trans−2−(1−アリル−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール
【0085】
【化33】

MS:M+1=392、394;M−1=390、392 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.33 1H,dd;2.90 1H,dd;3.30 4H,m;3.71 1H,dd;4.04 1H,m;5.25 2H,m;5.95 1H,m;6.79 2H,m;7.00−7.55 7H,m,ArH。
【実施例10】
【0086】
trans−2−(1−ベンズヒドリル−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール
【0087】
【化34】

N−(メトキシメチル)ジフェニル−N−((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン(7.05g、最大20.4mmol)をジクロロメタン(10ml)中に溶解させた。得られた溶液を、TFA3滴を含有しているトルエン(25ml)中の(E)−2−(2−ブロモスチリル)−4−クロロフェニルアセテート(7.0g、19.9mmol)の溶液に室温において撹拌しながら5分間かけて加えた。投入完了後、この混合物を室温において2時間撹拌して透明な溶液を得た。水(10ml)を加え、続いてトルエン(50ml)を加えた。有機層を分離し、NaSOで乾燥した。真空下における濃縮はアセテートをもたらした(12.2g;MS:M+1=560、562(実測値))。メタノール(50ml)を加え、続いて水(12.5ml)中のKOH(2g)を加えた。黄色の溶液を得た。15分間撹拌後、2NのHCl水溶液をpH約8まで加えた。ジクロロメタン(2×100ml)での抽出、合わせた有機層のNaSOでの乾燥および真空下における濃縮は粗生成物を粘着性の黄色の油状物(9.5g)としてもたらした。シリカゲル(700ml)上のクロマトグラフィーによる精製は、酢酸エチル/n−ヘプタン=1:9を用いて溶離して(TLC;溶離液:酢酸エチル/n−ヘプタン:Rf=0.25;ヨウ素蒸気での染色)、trans−2−(1−ベンズヒドリル−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール(3.3g、6.36mmol)を32%のc.y.でもたらした。
MS:M+1=518、520;M−1=516、518 実測値。H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.38 1H,dd;2.92 1H,dd;3.16 1H,d;3.31 1H,m;3.67 1H,dd;4.16 1H,m;4.44 1H,d;6.76 1H,d;6.96 1H,d;7.06−7.55 16H,m,ArH;12.46 1H,br s。
【実施例11】
【0088】
trans−2−(4−(2−ブロモフェニル)−1−ブチルピロリジン−3−イル))−4−クロロフェノール
【0089】
【化35】

N−(メトキシメチル)−N−((トリメチルシリル)メチル)ブタン−1−アミン(13.5g、最大66mmol)を、トルエン(50ml)中に溶解させた。得られた溶液を(E)−2−(2−ブロモスチリル)−4−クロロフェニルアセテート(23.1g、65.7mmol)のTFA5滴を含有しているトルエン(80ml)中溶液に室温において撹拌しながら15分間かけて加えた。投入完了後、混合物を室温において2時間撹拌して透明な溶液を得た。水(25ml)を加え、有機層を分離した。水相をトルエン(50ml)を用いて抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空下における濃縮はアセテートをもたらした(MS:M+1=450、452(実測値))。メタノール(150ml)を加え、続いて水(40ml)中のKOH(6.6g)を加えた。黄色の溶液を得た。15分間撹拌後、2NのHCl水溶液をpH約8まで加えた。ジクロロメタン(2×150ml)を用いる抽出、合わせた有機層のNaSOを用いる乾燥および真空下における濃縮は粗製のtrans−2−(4−(2−ブロモフェニル)−1−ブチルピロリジン−3−イル))−4−クロロフェノールを黄色の油状物(23g、56.3mmol)として86%のc.y.でもたらした。生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。MS:M+1=408、410;M−1=406、408 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.94 3H,t,CH;1.35−1.65 4H,m,2×CH;2.72 1H,t;2.57−2.74 2H,m;2.88 1H,dd;3.29 2H,m;3.74 1H,t;4.04 1H,m;6.76−7.69 7H,m,ArH。
【実施例12】
【0090】
2−((3S,4S)−4−(2−ブロモフェニル)−1−((R)−1−フェニルエチル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノールおよび2−((3R,4R)−4−(2−ブロモフェニル)−1−((R)−1−フェニルエチル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール
【0091】
【化36】

R(+)−N−メトキシメチル−N−(トリメチルシリル)メチル−1−フェニルエチルアミン(5.0g、19.88mmol、工業用85%)を、(E)−2−(2−ブロモスチリル)−4−クロロフェニルアセテート(7.0g、19.9mmol)のTFA3滴を含有しているトルエン(25ml)中溶液に室温において撹拌しながら滴加した。2時間後、水(10ml)を加え、混合物をトルエン(2×50ml)を用いて抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、次いで真空下において蒸発させて粗製の環状付加物を油状物として得た(粗製物11.2g)。メタノール(50ml)を加え、続いてKOH(2.5g)の水(12.5ml)中溶液を加えた。室温において30分間撹拌後、混合物を2NのHCl水溶液(約10ml)を用いて中和した。この混合物をトルエン(2×75ml)で抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥し、次いで真空下において蒸発させて粗生成物をジアステレオマーである2つの標題化合物の1:1混合物として得た(粗製物9.8g)。シリカゲル(600ml)上のクロマトグラフィーによる両ジアステレオマーの精製および部分的分離は、酢酸エチル:n−ヘプタン=2.5:97.5を用いて溶離して(TLC:R=0.35−0.40酢酸エチル:n−ヘプタン=1:9)、一方の富化されたジアステレオマーを含有している画分(72%d.e;NMRによる)50mg、両ジアステレオマーの47:53混合物3.0gおよびもう一方のジアステレオマーで富化された画分(74%d.e.)を得た。最初におよび二番目に溶離する異性体の絶対配置は不明である。MS:M+1=456、458;M−1=454、456 実測値。H−NMR(CDCl)δ(ppm)第1の溶出異性体:1.55 3H,d,CH;2.24 1H,t;2.96 1H,t;3.32 2H,m;3.53 2H,m;3.93 1H,m;6.79 1H,d,J=2.4Hz;6.87−7.37 10H,m,ArH;7.47 1H,d,J=8.1Hz。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)第2の溶出異性体:1.55 3H,d,CH;2.40 1H,t;2.78 1H,t;2.92 1H,d;3.20 1H,m;3.55 1H,m;3.93 1H,t;4.13 1H,m;6.71 1H,d,J=2.4Hz;6.78−7.36 10H,m,ArH;7.53 1H,d,J=8.1Hz。
【実施例13】
【0092】
(R)−メチル2−((3S,4S)−3−(2−ブロモフェニル)−4−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)ピロリジン−1−イル)−2−フェニルアセテートおよび(R)−メチル2−((3R,4R)−3−(2−ブロモフェニル)−4−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)ピロリジン−1−イル)−2−フェニルアセテート
【0093】
【化37】

粗製の(R)−メチル2−((メトキシメチル)((トリメチルシリル)メチル)アミノ)−2−フェニルアセテート(理論的最大3.98mmol)を、TFA3滴を含有しているトルエン(5ml)中の(E)−2−(2−ブロモスチリル)−4−クロロフェニルアセテート(1.32g、3.75mmol)溶液に室温において加えた。この混合物を室温において一晩撹拌した。この反応混合物を真空下において濃縮して粗製のアセテートを淡黄色の固体として得た。室温において撹拌しながらメタノール(25ml)を加え、続いてKOH(1.0g)の水(5ml)中溶液を加えた。15分後に黄色の混合物を2NのHCl水溶液で中和した。この混合物をジクロロメタン(3×75ml)を用いて抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空下における濃縮は粗製の油性生成物をジアステレオマーである2つの標題化合物の混合物としてもたらした。LC−MS分析によれば所望の生成物13%が存在していた。シリカゲル(600ml)上のクロマトグラフィーによる精製は、酢酸エチル:n−ヘプタン(1:9;R約0.2)で溶離して何らかの不純物を含有している画分580mgおよび下記に示されている標題化合物の75:25混合物を含有している画分150mgをもたらした。質量:M+1=500、502 実測値;M−1=500、498 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.30 0.75H,t;2.59 0.25H,t;2.89 1H,m;3.07 0.75H,t;3.23 0.25H,t;3.36 1.25H,m;3.51 0.75H,d;3.70 2.25H,s,OCH;3.74 0.75H,s,OCH;3.85 0.25H,t;4.02 0.75H,m;4.15 0.25H,m;4.18 0.75H,s;4.22 0.25H,s;6.79−7.69 12H,m,ArH。
【実施例14】
【0094】
trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−ベンジル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ−[4,5−c]ピロール
【0095】
【化38】

ラセミ体のtrans−2−(1−ベンジル−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール(1.8g、4.07mmol)、炭酸セシウム(2.65g、8.13mmol、2.0当量)、N,N−ジメチルグリシン(165mg、1.6mmol、0.4当量)およびCuI(310mg、1.6mmol、0.4当量)のジオキサン(20ml)中混合物を不活性窒素雰囲気下において撹拌しながら還流温度まで加熱した。1時間後、質量分析によれば標題生成物が形成された(M+1=362、364(実測値))が、転化はまだ完全ではなかった。一晩加熱を継続してLC−MSによる転化率98%がもたらされた。この反応混合物を室温まで冷却し、次いでガラスフィルターを通してろ過した。残留塩はジオキサン(25ml)で洗浄した。合わせたろ液を真空下において濃縮して粗生成物を茶色の油状物として得た。トルエン(150ml)を加え、得られた溶液を濃アンモニア水(25ml、25%)で洗浄した。トルエン層を分離し、NaSOで乾燥した。真空下における濃縮は、標題化合物(1.47g、4.06mmol)を定量的収率でLC―MS分析によって約78%純度を有する茶色の油状物としてもたらした。生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。MS:M+1=362、364 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)3.17 2H,m;3.28 2H,m;3.76 2H,m;3.79 1H,d,J=13.2Hz;3.92 1H,d,J=13.2Hz;6.98−7.42 12H,m,ArH。
【実施例15】
【0096】
実施例15の方法を、実施例8、9、10および11に記載されている適切なピロリジン誘導体を使用して以下の化合物を調製するためにさらに応用した。
15A:trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(2−メトキシベンジル)−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール
【0097】
【化39】

H−NMR(CDCl)δ(ppm)3.21 2H,m;3.36 2H,m;3.65 2H,m;3.87 3H,s,OMe;3.91 2H,s;6.90−7.46 11H,m,ArH。
15B:trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(4−メトキシベンジル)−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール
【0098】
【化40】

MS:M+1=392、394 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)3.14 2H,m;3.26 2H,m;3.63 2H,m;3.72 1H,d,J=12.6Hz;3.83 3H,s,OMe;3.85 1H,d,J=12.6Hz;6.89−7.34 11H,m,ArH。
15C:trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(2,4−ジメトキシベンジル)−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール
【0099】
【化41】

ラセミ体のtrans−2−(1−(2,4−ジメトキシベンジル)−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール(6.8g、13.54mmol)、炭酸セシウム(8.83g、27.1mmol、2.0当量)、N,N−ジメチルグリシン(558mg、5.42mmol;0.4当量)およびCuI(1.03g、5.42mmol;0.4当量)のジオキサン(75ml)中混合物を、不活性窒素雰囲気下において撹拌しながら還流温度まで一晩加熱して、LC−MS(M+1=422、424(実測値))によって90%の転化率を得た。反応混合物を室温まで冷却し、次いでガラスフィルターを通してろ過した。残留塩をジオキサン(25ml)で洗浄した。合わせたろ液を真空下において濃縮して粗生成物を茶色の油状物として得た。トルエン(150ml)を加え、得られた溶液を濃アンモニア水(25ml;25%)で洗浄した。トルエン層を分離し、NaSOで乾燥した。真空下における濃縮は、粗製のtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(2,4−ジメトキシベンジル)−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(6.2g)を定量的収率でLC−MS分析によって純度約70%を有する茶色の油状物としてもたらした。生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。
MS:M+1=422、424 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)3.18 2H,m;3.32 2H,m;3.63 2H,m;3.80 2H,m;3.83 3H,s,OMe;3.85 3H,s,OMe;6.52 1H,m;7.02−7.33 9H,m,ArH。
15D:trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−アリル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール
【0100】
【化42】

MS:M+1=312、314 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)3.13 2H,m;3.31 4H,m;3.63 2H,m;5.22 2H,m;5.97 1H,m;7.03−7.26 7H,m,ArH。生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。
15E:trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−ベンズヒドリル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール
【0101】
【化43】

trans−2−(1−ベンズヒドリル−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール(1.0g、1.93mmol)、炭酸セシウム(1.26g、3.85mmol、2.0当量)、N,N−ジメチルグリシン(79.5mg、0.77mmol、0.4当量)およびCuI(147mg、0.77mmol、0.4当量)のジオキサン(10ml)中混合物を、不活性窒素雰囲気下において撹拌しながら一晩加熱還流した。この反応混合物をガラスフィルター上のセライトを通してろ過した。残留固体をジオキサン(15ml)で洗浄した。合わせたろ液を真空下において濃縮して標題化合物を油状物として0.9g定量的収率で得た。LC−MSによる純度は72%であった。生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。MS:M+1=437、439 実測値。H−NMR(CDCl)δ(ppm)3.01−3.20 4H,m;3.65 2H,m;4.61 1H,m;6.93−7.55 17H,m,ArH。
15F:trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−n−ブチル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール
【0102】
【化44】

粗製のtrans−2−(1−ブチル−4−(2−ブロモフェニル)ピロリジン−3−イル)−4−クロロフェノール(16.2g、39.63mmol)、炭酸セシウム(25.8g、79.3mmol、2.0当量)、N,N−ジメチルグリシン(1.63g、15.9mmol、0.4当量)およびCuI(3.02g、15.9mmol、0.4当量)のジオキサン(200ml)中混合物を、不活性窒素雰囲気下において撹拌しながら5時間加熱還流した。この反応混合物をガラスフィルター上のセライトを通してろ過した。残留固体をジオキサン(50ml)で洗浄した。合わせたろ液を真空下において濃縮して標題化合物を油状物として16.3g定量的収率で得た。LC−MSによる純度は79%であった。生成物はこれ以上の精製を行うことなく使用した。MS:M+1=328、330 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.96 3H,t,CH;1.25−1.62 4H,m,2×CH;2.58−2.76 2H,m;3.12 2H,m;3.26 2H,m;3.61 2H,m;7.02−7.26 7H,m,ArH。
【実施例16】
【0103】
trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(4−メトキシベンジル)−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(実施例15B)からのtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(デスメチルアセナピン)
【0104】
【化45】

クロロギ酸α−クロロエチル(15ml)をtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(4−メトキシベンジル)−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(4.2g、10.7mmol)のジクロロメタン(100ml)中溶液に室温において撹拌しながら滴加した。90分後にこの反応混合物を真空下において濃縮して発泡体を得た。メタノール(50ml)を加え、混合物を1時間加熱還流した。真空下における蒸発は粗製のデスメチルアセナピン塩酸塩をもたらした。アセトン(100ml)を加えて混合物を30分間撹拌した。TBME(300ml)を加えて混合物を室温において1時間撹拌した。沈殿した塩をガラスフィルターを通してろ過し、真空下において乾燥してデスメチルアセナピン塩酸塩(1.9g、6.16mmol)をLC−MSによる純度98%を有する白色固体として58%のc.y.で得た。
MS:M+1=272、274 実測値。
H−NMR(dmso−d6)δ(ppm)3.43 2H,m;3.66 2H,m;3.90 2H,m;7.14−7.36 7H,m;9.69 1H,br s。
同じ手順はデスメチルアセナピン塩酸塩を
−trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−ベンジル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(実施例14)から;
−trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(2−メトキシベンジル)−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(実施例15A)から;
−trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(2,4−ジメトキシベンジル)−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(実施例15C)から;
調製するために使用した。
【実施例17】
【0105】
trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−アリル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(実施例15D)からのtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(デスメチルアセナピン)
トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド(224mg、0.24mmol、1.9モル%)を、アセトニトリル(85ml)および水(15ml)の混合物中のtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−アリル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(4.0g、12.83mmol)の撹拌混合物に不活性窒素雰囲気下において室温で加えた。次いでこの混合物を90℃において3時間、MS分析による反応の完了まで(M+1=272、274(実測値);出発原料が検出されない。)撹拌した。残留物にアセトン(75ml)を加え、溶液を再度真空下において濃縮して粗製のデスメチルアセナピンを油状物(5g)として得た。次いでジオキサン(50ml)中4MのHClを粗生成物に加え、混合物を75℃において30分間撹拌した。すべての揮発性物質の真空下における蒸発はデスメチルアセナピンをHCl塩としてもたらした。tert−ブチルメチルエーテル(100ml)およびアセトン(10ml)を加え、混合物を室温において4時間撹拌した。この懸濁液をガラスフィルターを通してろ過し、残留塩をtBME(50ml)およびアセトン(10ml)の混合物で洗浄した。真空下における乾燥はデスメチルアセナピン塩酸塩(3.84g、12.5mmol)をベージュ色の固体としてもたらした。H−NMR(dmso−d6)δ(ppm)は上記と同一。
【実施例18】
【0106】
trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−エトキシカルボニル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール
【0107】
【化46】

クロロギ酸エチル(5ml)をtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−ベンジル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(470mg、1.3mmol)のトルエン(30ml)中溶液に加えた。反応混合物を不活性窒素雰囲気下において一晩加熱還流し、完全な転化をもたらした。得られた暗色の反応混合物を真空下において濃縮して粗製の標題化合物を黒色の油状物として得た。
MS:M+1=344 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)1.33 3H,t,J=6.9Hz,CH;3.64 4H,m;4.10 2H,m;4.22 2H,q,J=6.9Hz,CH;7.08−7.28 7H,m,ArH。
同様にtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−エトキシカルボニル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロールは、
−trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(2−メトキシベンジル)−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(実施例15A;定量的収率)から;
−trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(4−メトキシベンジル)−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(実施例15B;定量的収率)から;
−trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−(2,4−ジメトキシベンジル)−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(実施例15C;定量的収率)から;および
−trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−アリル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(実施例15D;定量的収率)から;
調製された。
【実施例19】
【0108】
デスメチルアセナピンからのtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(アセナピン)
方法I(エシュバイラー−クラーク還元的アミノ化)
デスメチルアセナピン塩酸塩(実施例16;1.4g、4.55mmol)を、過剰のギ酸(6g、130mmol)および水(12ml)と混合した。ホルムアルデヒド水溶液(37%;7g、233mmol)を加え、この溶液を一晩撹拌しながら還流させた。得られた透明無色の溶液を真空下において濃縮した。ジクロロメタン(100ml)を加え、続いて50%のNaOH水溶液を加えた。塩基性化された水層をジクロロメタン(2×50ml)で2回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空下における濃縮は純粋なtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(アセナピン)を透明な淡黄色の油状物(1.1g、3.85mmol)として85%の収率および98%のLC−MSによる純度でもたらした。MS:M+1=286、288 実測値。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.56 3H,s,CH;3.15 2H,m;3.25 2H,m;3.64 2H,m;7.08 3H,m,ArH;7.13 2H,m,ArH;7.18 2H,m,ArH。
方法II(還元的アミノ化)
水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(3.0g、14.0mmol、4.3当量)を、デスメチルアセナピン塩酸塩(実施例16;1.0g、3.25mmol)およびホルムアルデヒド水溶液(1.3ml、5当量)のジクロロメタン(20ml)中溶液に室温において少しずつ加えた。この反応混合物を90分間撹拌し、次いで真空下において乾固するまで濃縮した。飽和NaHCO水溶液(200ml)およびジクロロメタン(300ml)を残留物に加えた。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(25ml)を用いて抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空下における蒸発は粗製のLC−MSによる純度81%を有するtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(アセナピン)をもたらした。MS:M+1=286、288(実測値)。H−NMRデータは上記と同一。
【実施例20】
【0109】
trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−エトキシカルボニル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロールからの
trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(アセナピン)
三塩化アルミニウム(4.1g、30.8mmol、2当量)を、不活性窒素雰囲気下においてアイスバスで冷却しながら0℃において、撹拌しながらTHF(20ml)に加えた。次いでLiAlH(3.6g、94.7mmol、6当量)を撹拌しながら15分間かけて少しずつ加えた。投入完了後、得られたグレーの混合物を氷−アセトンバスで冷却しながら−10℃において15分間撹拌した。さらなるTHF(10ml)を加えた。次いで、trans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−エトキシカルボニル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(実施例18;5.4g、15.7mmol)のTHF(20ml)中溶液を、反応系内で調製されたアラン試薬に、撹拌し−10℃で冷却しながら15分間かけて滴加した。投入完了後、反応混合物を−10℃においてさらに1時間撹拌し、次いで室温まで温めながら30分間撹拌した。得られた反応混合物を、少しずつ注意深く1000mlの三角フラスコ中の希NaOH水溶液(30%NaOH75mlおよび水175ml)に注いだ。15分間撹拌後、混合物をトルエン(3×150ml)を用いて抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥した。真空下における蒸発は粗製のtrans−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンズ[2,3:6,7]−オキセピノ[4,5−c]ピロール(アセナピン)(3.26g、11.44mmol)を73%のc.y.で茶色の油状物としてもたらした。LC−MSによる純度約60%。MS:M+1=286、288(実測値)。H−NMR(CDCl)δ(ppm)は上記と同一データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのアセナピン
【化1】

または薬学的に許容されるこの塩の調製のための方法であって、式II
【化2】

[式中、RはF、Br、またはIであり;RおよびRは異なって、それぞれHおよびClから選択され;RはHまたはヒドロキシ保護基である。]
のE−スチルベン誘導体が、式A
【化3】

[式中、Rはアミノ保護基を表す。]の前駆体第三級アミンから生成されたアゾメチンイリドと反応させられて、式III
【化4】

のtrans−ピロリジン誘導体をもたらし、該誘導体からヒドロキシ保護基Rが、存在する場合は、取り除かれ、続いて該誘導体が分子内閉環反応を起こす条件下において処理されて、式IV
【化5】

のオキセピノ化合物をもたらし、
このときアミノ保護基Rがメチル基によって置き換えられ、もたらされる式Iのアセナピンは薬学的に許容されるこの塩に必要に応じて転化されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
が式−CHXYのアミノ保護基
[式中、Xは(C1−6)アルキル、ビニル(ハロゲンで置換されていてもよい。)またはフェニル((C1−3)アルキル、(C1−3)アルコキシ、NO、CNもしくはハロゲンで置換されていてもよい。)であり;ならびにYはHもしくはフェニルであり;
または
XはCOORであり、ならびにYはH、(C1−6)アルキル、フェニルもしくはベンジルであり;
は(C1−4)アルキルである。]
を表し、該基は、1−クロロエチルクロロホルメートとの反応によって式Vの化合物をもたらし、この式Vの化合物がメチル化によって式1の化合物に転化される、またはエチル−またはメチルクロロホルメートとの反応によって式VIの化合物をもたらし、この式VIの化合物が水素化物還元剤を用いる反応によって式Iの化合物に転化されるかのいずれかで、メチル基によって置き換えられる
【化6】

[式中、Rはエチルまたはメチルである。]、
請求項1の方法。
【請求項3】
が、BrまたはIである、請求項1または2の方法。
【請求項4】
が、Brであり、Rが、Hであり、ならびにRがClである、請求項3の方法。
【請求項5】
アゾメチンイリドが、式
【化7】

[式中、Rは−CHXYを表し、
ここでXはビニル(ハロゲンで置換されていてもよい。)またはフェニル((C1−3)アルキル、(C1−3)アルコキシ、NO、CNもしくはハロゲンで置換されていてもよい。)であり;ならびにYはHである。]
の前駆体第三級アミンから反応系内で生成される、請求項1から4のいずれか一項の方法。
【請求項6】
アゾメチンイリドが、非プロトン性溶媒中においてトリフルオロ酢酸を用いて生成される、請求項1から5のいずれか一項の方法。
【請求項7】
式I
【化8】

の化合物または薬学的に許容されるこの塩を調製するための方法であって、(E)−2−(2−ブロモスチリル)−4−クロロフェニルアセテート
【化9】

が不活性溶媒中において式
【化10】

[式中、Rは式−CHXYのアミノ保護基を表し、
ここでXは(C1−6)アルキル、ビニル(ハロゲンで置換されていてもよい。)またはフェニル((C1−3)アルキル、(C1−3)アルコキシ、NO、CNもしくはハロゲンで置換されていてもよい。)であり;ならびにYはHまたはフェニルであり;または
XはCOORであり、ならびにYはH、(C1−6)アルキル、フェニルもしくはベンジルであり;
は(C1−4)アルキルである。]
の前駆体第三級アミンから反応系内で生成されるアゾメチンイリドと、トリフルオロ酢酸を用いて反応させられて、式
【化11】

のtrans−N−R−2−ブロモフェニル−3−(2−アセトキシ−5−クロロフェニル)−ピロリジン誘導体をもたらし、
該ピロリジン誘導体はアセチル基を除去するために処理され、続いてUllmann条件下において分子内閉環を起こさせるために銅(I)塩を用いて処理されてtrans−5−クロロ−2−RI−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール誘導体
【化12】

をもたらし、
該ピロール誘導体からR基が1−クロロエチルクロロホルメートを使用することによって除去されてtrans−5−クロロ−2−アルキル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールをもたらし、これは続いてN−メチル化によって式Iの化合物に転化されるか;または
前記ピロール誘導体からR基がメチル−またはエチルクロロホルメートとの反応によって除去されてtrans−5−クロロ−2−メトキシ(またはエトキシ)カルボニル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールをもたらし、これは水素化物還元剤を使用する還元によって式Iの化合物に転化されるかのいずれかであり;さらに式Iの化合物を薬学的に許容されるこの塩に必要に応じて転化させる、方法。
【請求項8】
【化13】

[式中、Rは、F、BrまたはIであり;
およびRは異なって、それぞれHおよびClから選択され;
式中のRは、式−CHXYのアミノ保護基を表し、
ここでXは、(C1−6)アルキル、ビニル(ハロゲンで置換されていてもよい。)またはフェニル((C1−3)アルキル、(C1−3)アルコキシ、NO、CN、ハロゲンで置換されていてもよい。)であり;ならびにYは、Hもしくはフェニルであり;または
Xは、COORであり、ならびにYは、H、(C1−6)アルキル、フェニルまたはベンジルであり;
は(C1−4)アルキルである。]
のtrans−ピロリジン誘導体またはこの塩。
【請求項9】
がBrであり;RがHであり;RがClである、請求項7に記載のtrans−ピロリジン誘導体。
【請求項10】
式IV
【化14】

[式中、Rは、式−CHXYのアミノ保護基を表し、
ここでXは、(C1−6)アルキル、ビニル(ハロゲンで置換されていてもよい。)またはフェニル((C1−3)アルキル、(C1−3)アルコキシ、NO、CN、ハロゲンで置換されていてもよい。)であり;ならびにYは、Hもしくはフェニルであり;または
Xは、COORであり、ならびにYは、H、(C1−6)アルキル、フェニルまたはベンジルであり;
は(C1−4)アルキルである。]
のオキセピン誘導体またはこの塩。
【請求項11】
式VI
【化15】

[式中、Rはメチル基またはエチル基である。]
のオキセピン誘導体。

【公表番号】特表2011−508751(P2011−508751A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541050(P2010−541050)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068187
【国際公開番号】WO2009/087058
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(398057282)ナームローゼ・フエンノートチヤツプ・オルガノン (93)
【Fターム(参考)】