説明

アゾピリドン分散染料、それらの調製法、及び使用

本発明は、一般式(I)
【化1】


[式中、D、R〜R、及びXはそれぞれ、請求項1で定義されたものである]
の染料、それらを調製するためのプロセス、及びそれらの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その中でフェナシルエステルがピリドン発色基に結合されている分散アゾ染料に関する。
【背景技術】
【0002】
単純なアルキルエステルを含む染料は公知であり、たとえば、特許文献1及び特許文献2に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−19664号公報
【特許文献2】ポーランド国特許第129345号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の分散アゾ染料が傑出した性質を有していること、及びそれを用いて調製した染色物が良好な洗濯堅牢性と傑出した昇華堅牢性を特徴とすることが今や見出された。より詳しくは、そのような染色物は、洗浄サイクルの後で織物が高温に暴露される、工業的洗濯方法における特殊な要件を満たす。
【0005】
本発明は、一般式(I)
【化1】

[式中、
Dは、ジアゾ成分の残基であり;
Xは、(C〜C)−アルキレン又は酸素で中断された(C〜C)−アルキレンであり;
は、メチル、エチル又はフェニルであり;
は、水素、シアノ又はカルボキサミドであり;
は、フェニル又は置換されたフェニルであり;
は、水素又はメチルであるか、又は
とRとが、それらが結合している原子と組み合わさって、5員環若しくは6員環を形成している]
の染料を提供する。
【0006】
ジアゾ成分の残基Dは、特に、分散染料の分野において慣用される残基であって、当業者には公知である。
【0007】
好ましくは、Dは、
一般式(IIa)
【化2】

[式中、
、T及びTは、独立して、水素、ハロゲン、−SCN、ヒドロキシル、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、置換された(C〜C)−アルコキシ、フェノキシ、シアノ、−SO(C〜C)−アルキル、−OSO(C〜C)−アルキル、−SOアリール、−OSOアリール、−OCO(C〜C)−アルキル、−OCOアリール、−OCO(C〜C−アルキル)、−OCOアリール、−CO(C〜C−アルキル)、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは置換されている]、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断されている]、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断され、置換されている]、−COアリール、−NHCO(C〜C−アルキル)、−NHCO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断されている]、−CONH(C〜C−アルキル)、−CONH(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断されている]、−NHSO(C〜C−アルキル)、−SONH(C〜C−アルキル)、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメトキシ、又はニトロであり;そして
は、T〜Tとは独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、−SOCH、−SCN、又はニトロである]
の基を表すか;
又は、一般式(IIb)
【化3】

[式中、Tは、水素又は臭素である]
の基を表すか;
又は、式(IIc)
【化4】

の基を表す。
【0008】
(C〜C)−アルキル基は、直鎖であっても分岐状であってもよく、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル又はn−ヘキシルである。(C〜C)−アルキル基はさらにたとえばn−ヘプチル又はn−オクチルであってもよい。同様の考えはアルコキシ基にもあてはまり、それらはたとえば、メトキシ又はエトキシである。(C〜C)−アルキレン基は、直鎖であっても分岐していてもよく、たとえばエチレン、プロピレン、ブチレン、i−プロピレン、又はi−ブチレンである。(C〜C)−アルキレン基はさらにメチレンであってもよい。
【0009】
酸素で中断された(C〜C)−アルキレンは、たとえば式−(CH−O−(CH−[式中、n及びmはそれぞれ1〜5であり、n+mは2〜6である]を有する。
【0010】
酸素で中断された(C〜C)−アルキルは、たとえば式−(CH−O−(CH−CH[式中、pは1〜5であり、qは0〜4であり、n+mは2〜6である]を有する。
【0011】
置換された(C〜C)−アルコキシ若しくはアルキルである、T、T又はTは、具体的には、フェニル、フェノキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ又はシアノによって置換されている。
【0012】
ハロゲンは、具体的には、フッ素、塩素又は臭素である。
【0013】
アリールは、具体的には、フェニル又はナフチルである。
【0014】
置換されたフェニルのRは、具体的には、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、フェニル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ニトロ、シアノ、メチルスルホニル、及びトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基を有している。インダノン又はα−テトラロンは、RとRがそれらが結合している原子と組み合わさって形成される5員環又は6員環の例である。
【0015】
Xは、好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン又はペンチレンであり;
は、好ましくは、メチルであり;
は、好ましくは、シアノであり;
は、好ましくは、フェニル、4−クロロフェニル又は4−メトキシフェニル、より好ましくはフェニルであり;
は、好ましくは、水素である。
【0016】
本発明の好ましい染料は、一般式(Ia)
【化5】

[式中、T〜T、R、R及びXはそれぞれ、先に定義されたものである]
の形を有する。
【0017】
本発明によるこのタイプの特に好ましい染料は、一般式(Iaa)
【化6】

[式中、
、T及びTは、独立して、水素、ニトロ、メチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、ヒドロキシル、シアノ、クロロ、トリフルオロメチル、臭素、メチル、エチル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、フェニルスルホニルオキシ、−CO(C〜C−アルキル)、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは置換されている]、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断されている]、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断され、置換されている]、置換された(C〜C−(酸素で中断されたアルキル))オキシカルボニル又は(C〜Cアルキルアミノ)カルボニル、(C〜C−アルキルアミノ)スルホニルであり;
は、水素、シアノ、ニトロ、塩素、臭素、又はトリフルオロメチルであり;
Xは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、又はペンチレンである]
の形を有する。
【0018】
本発明のさらに好ましい染料は、一般式(Ib)
【化7】

[式中、R、T及びXはそれぞれ、先に定義されたものである]
の形を有する。
【0019】
本発明のさらに好ましい染料は、一般式(Ic)
【化8】

[式中、R及びXはそれぞれ、先に定義されたものである]
の形を有する。
【0020】
本発明による一般式(I)の染料は、当業者に公知の方法によって調製することができる。
【0021】
たとえば、一般式(V)
【化9】

[式中、R、R、D及びXはそれぞれ、先に定義されたものである]
の化合物を、一般式(VI)
【化10】

[式中、Yは塩素又は臭素であり、R及びRはそれぞれ、先に定義されたものである]
のハロケトンと反応させる。
【0022】
その反応は、有機溶媒中、水中、又は水性有機媒体中、無機又は有機塩基の存在下、20〜120℃の温度、好ましくは50〜100℃の温度で有利に実施することができる。
【0023】
一般式(V)及び(VI)の化合物は公知であり、公知の方法により調製することができる。
【0024】
本発明による一般式(I)の染料は、疎水性の材料を染色及び捺染するためには極めて有用であり、得られる染色物及び捺染物は、均質な色調と高い使用堅牢性を特徴としている。特筆すべきは、特に極めて良好な昇華堅牢性と組み合わさった良好な洗濯堅牢性である。
【0025】
本発明の分散染料が、たとえば作業服に使用されるようなポリエステル−綿ブレンド物を連続染色するのに特に有用であるということもさらに見出された。特に、この用途に特に関連しており、染色した材料を温度190℃に5分間暴露させてからISO 105 C05試験にかける「ヘキスト組合せ試験」で達成される湿潤堅牢性は並はずれたものである。
【0026】
したがって、本発明はさらに、疎水性の材料を染色及び捺染するための一般式Iの染料の使用、及び慣用される手順においてそのような材料を染色及び捺染するためのプロセスも提供するが、その場合、本発明による一般式(I)の1種又は複数の染料を着色剤として使用する。
【0027】
上述の疎水性の材料は、合成由来のものであっても、セルロース系由来のものであってもよい。考慮の対象となる疎水性の材料としては、たとえば二級セルロースアセテート、セルローストリアセテート、ポリアミド、ポリラクチド、特に高分子量ポリエステルなどが挙げられる。高分子量ポリエステルからなる材料としては、特にポリエチレンテレフタレート又はポリトリメチレンテレフタレートをベースとするものが挙げられる。たとえばポリエステル−綿又はポリエステル−エラスタンのような、ブレンドした布地及び繊維のブレンド物もまた対象として考えられる。それらの疎水性の合成材料は、シート形状又は糸の形状の構造であってよく、糸又は織物若しくは編物に加工されていてもよい。繊維質織物材料が好ましく、それらはたとえばミクロ繊維の形態で存在していてもよい。
【0028】
本発明による用途における染色は、従来の方法に従って、好ましくは水性分散体から、適切であればキャリアの存在下に、吸尽法によって80〜約110℃の間で、又はHT法によって染色オートクレーブ中110〜140℃で、さらには、染液を用いて布地をパジングし次いで約180〜230℃で固着/セットさせる、いわゆる熱固着法によって実施することができる。
【0029】
上述の材料の捺染は、本発明の一般式(I)の染料を捺染糊の中に組み入れ、それを用いて捺染すべき布地を、180〜230℃の間の温度でHTスチーム、高圧スチーム、又は乾熱を用い、適切であればキャリアの存在下に処理して染料を固着させることにより、それ自体公知の方法で実施することができる。
【0030】
本発明の一般式(I)の染料は、それらを染液、パジング液、又は捺染糊の中で使用する場合には、きわめて微細分散状態とするべきである。
【0031】
それらの染料は従来の方法に従って、加工されたままの染料を液状媒体中、好ましくは水中で分散剤とともにスラリー化させ、その混合物に剪断力の作用を与えて、元の染料粒子を機械的に微粉化させて、最適な比表面積が得られ染料の沈降が最小となるようにすることによって、微細分散状態とする。これは、適切なミル、たとえばボールミル又はサンドミル中で実施される。染料の粒径は一般に、0.5〜5μmの間、好ましくは約1μmに等しい。
【0032】
ミリング操作において使用される分散剤は、ノニオン性であってもアニオン性であってもよい。ノニオン性分散剤としてはたとえば、アルキレンオキシドたとえばエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと、アルキル化可能な化合物たとえば脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪酸、フェノール、アルキルフェノール及びカルボキサミドとの反応生成物が挙げられる。アニオン性分散剤としてはたとえば、リグノスルホネート、アルキル−若しくはアルキルアリールスルホネート、又はアルキルアリールポリグリコールエーテルスルフェートが挙げられる。
【0033】
そのようにして得られた染料調製物は、ほとんどの用途では、流し込みが可能となるようにするべきである。したがって、染料と分散剤の含量は、それらの場合においては限定される。一般的には、分散体を調節して、染料含量が50重量パーセントまでとなるように、そして分散剤含量が約25重量パーセントまでとなるように調節する。経済的な理由から、染料含量は多くの場合、15重量パーセント以上である。
【0034】
分散体には、さらなる助剤が含まれていてもよいが、そのようなものとしてはたとえば、酸化剤として機能するものたとえばm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、又は殺かび剤たとえばナトリウムo−フェニルフェノキシド及びナトリウムペンタクロロフェノキシド、特にいわゆる「酸供与体」たとえば、ブチロラクトン、モノクロロアセトアミド、クロロ酢酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ナトリウム、3−クロロプロピオン酸のナトリウム塩、モノスルフェートエステルたとえば、ラウリルスルフェート、並びにエトキシル化及びプロポキシル化アルコールの硫酸エステルたとえば、ブチルグリコールスルフェートなどが挙げられる。
【0035】
このようにして得られた染料分散体は、染液及び捺染糊を製造するには極めて好適である。
【0036】
粉体の調製物が好ましいような、ある種の用途分野も存在する。そのような粉体には、染料、分散剤及びその他の助剤、たとえば、濡れ剤、酸化剤、保存剤及び防塵加工剤、並びに上述の「酸供与体」などが含まれる。
【0037】
染料の粉末状調製物を製造するための好適な方法は、上述の液状染料分散体から、それらの液をたとえば真空乾燥、凍結乾燥、又はドラム乾燥器上の乾燥によってストリッピングさせることからなるが、噴霧乾燥によるのが好ましい。
【0038】
それらの染液は、必要量の上述の染料調製物を、染色媒体、好ましくは水を用いて希釈して、5:1から50:1までの染色のための液比が得られるようにすることによって製造される。さらに、一般的にはその液中に、さらなる染色助剤、たとえば分散剤、濡れ剤、及び固着助剤が含まれているのが普通である。有機酸及び無機酸、たとえば酢酸、コハク酸、ホウ酸又はリン酸を加えて、pHを4〜5、好ましくは4.5に設定する。pHの設定を緩衝化させるのが有利であり、充分な量の緩衝系を添加する。酢酸/酢酸ナトリウムの系が、有利な緩衝系の一例である。
【0039】
織物の捺染においてこれらの染料又は染料混合物を使用するために、必要量の上述の染料調製物を、増粘剤たとえばアルギン酸アルカリ金属など、及び適切であるならばさらなる添加物たとえば固着促進剤、濡れ剤、及び酸化剤と共に、従来の方法に従って混練して捺染糊を得る。
【0040】
本発明はさらに、インクジェットプロセスによるデジタル織物捺染のための、本発明の一般式(I)の染料を含むインキもまた提供する。
【0041】
本発明のインキは水性であるのが好ましく、本発明の一般式(I)の染料の1種又は複数を、インキの全重量を基準にして、たとえば0.1%〜50重量%の量、好ましくは1%〜30重量%の量、より好ましくは1%〜15重量%の量で含む。それらには、特に0.1%〜20重量%の分散剤をさらに含む。好適な分散剤は当業者には公知であって、市場で入手することができ、たとえば以下のようなものが挙げられる:スルホン化若しくはスルホメチル化リグニン、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合反応生成物、置換若しくは非置換フェノールとホルムアルデヒドとの縮合反応生成物、ポリアクリレート及び対応するコポリマー、改質ポリウレタン、並びに、アルキレンオキシドと、アルキル化可能な化合物、たとえば脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪酸、カルボキサミド及び置換若しくは非置換フェノールとの反応生成物。
【0042】
本発明のインキは、慣用される添加剤をさらに含んでいてもよく、たとえば粘度調整剤を用いて、温度範囲20〜50℃における粘度を1.5〜40.0mPasの範囲とする。好ましいインキは1.5〜20mPasの範囲の粘度を有し、特に好ましいインキは1.5〜15mPasの範囲の粘度を有する。
【0043】
有用な粘度調整剤としては、レオロジー添加物たとえば、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピロリドン及びさらにはそれらのコポリマー、ポリエーテルポリオール、連合増粘剤(associative thickener)、ポリウレア、アルギン酸ナトリウム、変性ガラクトマンナン、ポリエーテルウレア、ポリウレタン、及びノニオン性セルロースエーテルなどが挙げられる。
【0044】
さらなる添加物としては、本発明のインキには、界面張力を20〜65mN/mの範囲に設定するための界面活性剤を含んでいてもよいが、それらは、適切であれば、使用されるプロセス(加熱式、ピエゾ式)に応じて合わせる。
【0045】
有用な界面活性剤としては、たとえば、各種の界面活性剤、好ましくはノニオン性界面活性剤のブチルジグリコール及び1,2−ヘキサンジオールが挙げられる。
【0046】
このインキにはさらに、通常使用される添加物たとえば真菌や細菌の成長を抑制するための化学種を、インキの全重量を基準にして0.01%〜1重量%の量で加えることができる。
【0047】
本発明のインキは、従来の方法に従って、成分を水と混合させることによって調製することができる。
【実施例】
【0048】
実施例1
250mLのアセトンの中で、32.0gの4−[3−シアノ−6−ヒドロキシ−5−(4−メトキシ−2−ニトロフェニルアゾ)−4−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル]酪酸を、10.8gの炭酸カリウム及び17.2gの臭化フェナシルと共に、50℃で5時間撹拌する。その混合物を冷却して室温とし、滴下により1250mLの水を加える。そのバッチを濾過し、水を用いてその濾過残渣を洗浄し、真空中で乾燥させると、38.3gの式(Iab)
【化11】

(λmax[DMF]=474nm)の染料が得られ、これは、ポリエステル上に良好な洗濯堅牢性と昇華堅牢性とを有するゴールデンイエローの色調を与える。
【0049】
実施例2
100mLのアセトンの中で、14.3gの[3−シアノ−5−(3,4−ジクロロフェニルアゾ)−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル]酢酸を、5.3gの炭酸ナトリウム及び10.0gの臭化フェナシルと共に、50℃で4時間撹拌する。その混合物を冷却して室温とし、滴下により500mLの水を加える。得られた沈殿物を濾去し、水を用いて洗浄すると、16.4gの式(Iac)
【化12】

(λmax[DMF]=432nm)の染料が得られ、これは、ポリエステル上に良好な洗濯堅牢性と優れた昇華堅牢性とを有する緑色がかったイエローの色調を与える。
【0050】
同様にして、表1の実施例3〜31を調製した。
【0051】
【表1】

【0052】
実施例32
70mLのジメチルホルムアミドの中で、11.8gの4−[3−シアノ−5−(9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−1−イルアゾ)−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル]酪酸を、2.7gの炭酸ナトリウム及び5.0gの臭化フェナシルと共に60℃で7時間撹拌する。その混合物を冷却して室温とし、その沈殿物を濾去し、少量のジメチルホルムアミドを用いて洗浄する。その粗反応生成物を200mLの水の中に懸濁させ、再度濾去し、水を用いて洗浄し、真空中で乾燥させると、4.0gの式(Ica)
【化13】

(λmax[DMF]=462nm)の染料が得られ、これは、ポリエステルを黄色に染色し、極めて良好な洗濯堅牢性、昇華堅牢性、及び耐光堅牢性を有している。
【0053】
実施例33
ポリエステルからなる織布を、50g/Lの8%アルギン酸ナトリウムの溶液、100g/Lの8〜12%イナゴマメ粉エーテル溶液、及び5g/Lのリン酸一ナトリウム(水中)からなる液を用いてパジングしてから、乾燥させる。湿時ピックアップは70%である。
【0054】
次いで、そのようにして前処理された織物を、以下のもの
3.5%の実施例1の染料、
2.5%のDisperbyk 190分散剤、
30%の1,5−ペンタンジオール、
5%のジエチレングリコールモノメチルエーテル、
0.01%のMergal K9N殺生剤、及び
58.99%の水
を含み、先に説明したようにして調製した水性インキを用い、ドロップ・オン・デマンド(ピエゾ)インクジェット印刷ヘッドを使用して染色する。捺染物は完全に乾燥させる。過熱水蒸気によって175℃で7分間の加熱により固着させる。次いでその捺染物を、アルカリ性の還元洗浄にかけ、温水ですすいでから、乾燥させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[式中、
Dは、ジアゾ成分の残基であり;
Xは、(C〜C)−アルキレン又は酸素で中断された(C〜C)−アルキレンであり;
は、メチル、エチル又はフェニルであり;
は、水素、シアノ又はカルボキサミドであり;
は、フェニル又は置換されたフェニルであり;
は、水素又はメチルであるか、又は
とRとが、それらが結合している原子と組み合わさって、5員環若しくは6員環を形成している]
の染料。
【請求項2】
Dが、一般式(IIa)
【化2】

[式中、
、T及びTは、独立して、水素、ハロゲン、−SCN、ヒドロキシル、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、置換された(C〜C)−アルコキシ、フェノキシ、シアノ、−SO(C〜C)−アルキル、−OSO(C〜C)−アルキル、−SOアリール、−OSOアリール、−OCO(C〜C)−アルキル、−OCOアリール、−OCO(C〜C−アルキル)、−OCOアリール、−CO(C〜C−アルキル)、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは置換されている]、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断されている]、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断され、置換されている]、−COアリール、−NHCO(C〜C−アルキル)、−NHCO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断されている]、−CONH(C〜C−アルキル)、−CONH(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断されている]、−NHSO(C〜C−アルキル)、−SONH(C〜C−アルキル)、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメトキシ、又はニトロであり;そして
は、T〜Tとは独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、−SOCH、−SCN、又はニトロである]
の基を表すか;
又は、一般式(IIb)
【化3】

[式中、Tは、水素又は臭素である]
の基を表すか;
又は、式(IIc)
【化4】

の基を表す、請求項1に記載の染料。
【請求項3】
Xが、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン又はペンチレンであり;
が、メチルであり;
が、シアノであり;
が、フェニル、4−クロロフェニル又は4−メトキシフェニルであり;そして
が、水素である、
請求項1又は2に記載の染料。
【請求項4】
一般式(Ia)
【化5】

[式中、T〜T、R、R及びXはそれぞれ、請求項2において定義されたものである]
に合致する、請求項2に記載の染料。
【請求項5】
一般式(Iaa)
【化6】

[式中、
、T及びTは、独立して、水素、ニトロ、メチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、ヒドロキシル、シアノ、クロロ、トリフルオロメチル、臭素、メチル、エチル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、フェニルスルホニルオキシ、−CO(C〜C−アルキル)、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは置換されている]、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断されている]、−CO(C〜C)−アルキル[ここで、そのアルキルラジカルは酸素で中断され、置換されている]、置換された(C〜C−(酸素で中断されたアルキル))オキシカルボニル又は(C〜Cアルキルアミノ)カルボニル、(C〜C−アルキルアミノ)スルホニルであり;
は、水素、シアノ、ニトロ、塩素、臭素、又はトリフルオロメチルであり;
Xは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、又はペンチレンである]
に合致する、請求項4に記載の染料。
【請求項6】
一般式(Ib)
【化7】

[式中、R、T及びXはそれぞれ、請求項2において定義されたものである]
に合致するか、又は
一般式(Ic)
【化8】

[式中、R及びXはそれぞれ、請求項1で定義されたものである]
に合致する、請求項2に記載の染料。
【請求項7】
一般式(I)の染料を調製するためのプロセスであって、一般式(V)
【化9】

[式中、R、R、D及びXはそれぞれ、請求項1で定義されたものである]
の化合物を、一般式(VI)
【化10】

[式中、Yは塩素又は臭素であり、R及びRはそれぞれ、請求項1で定義されたものである]
のハロケトンと反応させることを含む、プロセス。
【請求項8】
疎水性の材料を染色及び捺染するための、請求項1に記載の一般式(I)の染料の使用。
【請求項9】
請求項1に記載の一般式(I)の染料を含む、インクジェットプロセスによってデジタル織物捺染をするための、インキ。

【公表番号】特表2011−518895(P2011−518895A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501178(P2011−501178)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053174
【国際公開番号】WO2009/118260
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(310020183)ダイスター・カラーズ・ドイッチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (11)
【Fターム(参考)】