説明

アッケシソウ抽出物を含むミエロイド系白血病治療及び免疫増強用組成物

本発明は、アッケシソウ抽出物を含むミエロイド系白血病治療及び免疫増強用組成物に関し、骨髄細胞に対する毒性のような根源的な副作用がないと共に、治療効果が優れているミエロイド系白血病治療用組成物及び多様な疾病の治療、及び予防に活用できる免疫増強用組成物を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッケシソウ(厚岸草)抽出物を含むミエロイド系白血病治療及び免疫増強用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アッケシソウ(Salicornia herbacea L.)は、大韓民国西海岸の干潟で群落を成して自生する塩生植物である。アッケシソウは化石植物の性状を有していて、一般植物では生きていけない不毛の環境でよく育つ。アッケシソウは各種のミネラルと塩気が多く含まれている干潟で育つため塩辛い。アッケシソウに含まれている塩は、人間の生命を維持させる新陳代謝作用に非常に良い。また、国立海洋水産研究所で発表した研究報告書によると、アッケシソウには人体に有用な様々な種類の有機物と鉄、カルシウム、マグネシウム、リンのような無機物と各種ミネラルが多く含まれている。アッケシソウは腸内宿便を除去するため腸清掃効果が優れており、様々な炎症及び関節炎による腫れを緩和させる。アッケシソウは、腰痛、糖尿、甲状腺炎、気管支炎にも優れた薬効を示す。アッケシソウには卓越した効能を有する物質が多様に含有されている。汗をかき疲れたときにアッケシソウを噛んで食べると直ぐに元気が出ることが感じられ、昔から食用として使われてきた。
【0003】
ヒトの白血病の場合、最も発現頻度が高いものはミエロイド系白血病であり、白血病は手術が不可能なため抗癌化学療法剤を用いて治療したり、放射線照射を利用して治療している。しかし、抗癌化学療法剤は骨髄細胞に対する根源的毒性を有していて、放射線療法も骨髄細胞に対する毒性を避けることができない。
【0004】
骨髄筋幹細胞は、単芽球(monoblast)、前単球(promonocyte)、単球(monocyte)、マクロファージの順に分化すると知られている。ミエロイド系白血病細胞は、骨髄筋幹細胞(stem cell)がマクロファージに分化する途中のある段階で癌細胞に変異したものである。マクロファージは最終的に分化が完了した細胞(end stage cell)であり、これ以上増殖できない特性を有している。よって、ミエロイド系癌細胞をマクロファージに分化させることができる薬物が開発されれば、これは白血病治療の新しい薬物として活用度がとても高いものと予想されるが、まだそのような薬物が開発されて臨床に使用されていないのが実情である。
【0005】
癌の治療において免疫反応の増強は、抗癌化学療法剤や放射線治療法のような他の如何なる治療法に劣らず非常に重要である。免疫反応の増強は、私達自身が持っている生体防御力を増強させるもののため、骨髄細胞に対する毒性のような根源的な副作用がない治療法として開発することができるものと予想されるだけでなく、大部分の癌患者において免疫機能が低下し、免疫反応の低下と癌の発生頻度が反比例するという事実は、生体防御力の強化がこれら疾病の予防及び完治のために必須的に重要であることをあらわしている。
【0006】
マクロファージは全ての生体組織に分布し、貪食作用が強力なため病原菌及び死んだ細胞の除去者(scavenger)として重要なだけでなく、抗原提示細胞として作用して特異的免疫反応(specific immunity)の誘導に必須的に関与する細胞である。免疫反応の誘導において、マクロファージの重要性は現在開発された大部分の免疫増強剤が、一次的にマクロファージの機能を活性化して免疫増強作用をあらわすということを立証している。
【0007】
よって、白血病治療において白血病癌細胞の分化誘導効果と、マクロファージ機能を活性化する効果を有する薬物は、骨髄細胞に対する毒性のような根源的な副作用がない治療法として非常に有用に活用できるため、そのような薬物を開発することは当業界に与えられた重要な課題だと言える。
【0008】
本発明者らは、アッケシソウ抽出物の効能を研究していた最中、アッケシソウ抽出物がミエロイド系白血病癌細胞の分化誘導効果とマクロファージの機能を活性化する効果を有することを確認して本発明を完成させた。
【0009】
よって本発明は、骨髄細胞に対する毒性のような根源的な副作用がないと共に、治療効果が優れたミエロイド系白血病治療用組成物を提供することを目的とする。
【0010】
また本発明は、マクロファージの機能を活性化する効果が優れた免疫増強用組成物を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、アッケシソウ抽出物を含むミエロイド系白血病治療及び免疫増強用組成物に関する。
【0012】
本発明の組成物は、白血病治療用組成物であって、単独で又は他の白血病治療用医薬品と併用して投与することができる。
【0013】
また本発明の組成物は、免疫増強用組成物であって、単独で又は他の薬物と一緒に併用して多様な疾病の治療及び予防に活用できる。
【0014】
アッケシソウ抽出物は、ヒトの白血病で最も発現頻度が高いミエロイド系癌細胞の分化誘導とマクロファージ機能を活性化する効果を有する。マクロファージは全ての生体組織に分布し、貪食作用が強力なため病原菌及び死んだ細胞の除去者(scavenger)として重要なだけでなく、抗原提示細胞として作用して特異的免疫反応(specific immunity)を誘導するのに必須的に関与する細胞である。
【0015】
本発明でアッケシソウ抽出物は、アッケシソウ汁形態と高分子糖蛋白質形態で抽出される。
【0016】
先ず、アッケシソウ汁形態の抽出物は、i)アッケシソウを飲用水で2〜3回きれいに洗って粉砕機にかける段階、ii)粉砕機にかけて細かく砕かれたアッケシソウ液とアッケシソウ粉砕物を麻袋に入れて高圧湯煎滅菌機に入れ、圧力をかけず1〜2時間加熱した後、1〜2の気圧下で20分〜60分程度80〜110℃の熱を加えて湯煎する段階、iii)湯煎したアッケシソウと液汁をプレスで搾った後、その液汁のみを自動ロール包装機に移送して包装する段階、iv)包装された液汁を100℃の熱水で5〜30分間消毒する段階を経て得る。
【0017】
搾汁液を包装する場合は、その過程で泡がかなり多く発生するため、液汁が容器に入れられるときに発生する泡の量を最小化することができるロール包装機を使用することが好ましい。泡がないほど空気が入る確率が落ちることから、長期間変質せずに保管し易くなる。
【0018】
搾汁過程で利用された粉砕機は、チタニウム合金からなる刃が食い違って回るように製作されたものであり、芯が硬くでこぼこしている7月末〜9月初めに収穫したアッケシソウを効率的に粉砕することができ、高濃度の塩分に長時間持続的に露出しても人体に全く無害な材質で製作されたものである。
【0019】
アッケシソウの高分子糖蛋白質形態の抽出物は、i)アッケシソウを熱風乾燥して乾燥粉末を得る段階、ii)乾燥粉末の重量の5〜10倍になる蒸留水を加えて90〜100℃で3時間加熱した後ろ過して水層を分離し、35〜45℃で真空減圧濃縮する段階、iii)1〜5倍のエタノールを加えて低温に10〜14時間放置して高分子沈殿物を収得する段階、iv)遠心分離により沈殿物を収得した後、凍結乾燥する段階を経て得られる。
【0020】
このような方法で得られた免疫増強活性物資は、分子量が30,000ダルトン(dalton)より大きい高分子物質であり、ガラクトース(galactose)が主要単糖類で、アラニン(alanine)が主要アミノ酸である。
【0021】
本発明の組成物は、白血病治療用組成物であって、単独で又はイマチニブ(Imatinib)、トレチノイン(Tretinoin)等の他の白血病治療用医薬品と併用して投与することが可能で、このような場合さらに効率的に白血病を治療することができる。
【0022】
本発明の組成物は、免疫増強用組成物であって、マクロファージの機能を活性化するため、単独で又は他の形態の医薬品と併用して多様な疾病の治療及び予防に活用できる。例えば、インターフェロン−ガンマ(interferon-γ)と一緒に投与される場合に上昇的な免疫増強効果をあらわす。
【0023】
本発明の白血病治療用組成物及び免疫増強用組成物は、患者の年齢、性別、体重によって異なり得るが、1日1〜4回投与することができ、アッケシソウ抽出物の1回の投与量は、抽出物の形態によってアッケシソウ汁は10〜200ml、高分子糖蛋白質は0.05〜4.0gが好ましい。
【0024】
本発明の白血病治療及び免疫増強用組成物は、アッケシソウ抽出物だけで構成することができ、また薬剤学的に許容可能な担体、賦形剤及び/又は添加剤を含む場合は、多様な形態の剤形で製剤化できる。即ち、本発明の白血病治療及び免疫増強用組成物は、ラクトース、澱粉等の賦形剤、マグネシウムステアレート等の潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、等張化剤及び安定剤、緩衝液等を含むことができ、場合に応じて甘味剤、腸吸収促進剤及び/又は香味剤を含むことができる。また本発明に係る組成物は、経口用または非経口用剤形で製剤化することができる。即ち、本発明に係る組成物は通常の錠剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤等の経口剤形の形態で製剤化されることができ、注射剤等の非経口剤形の形態で製剤化することができる。
【0025】
本発明の白血病治療及び免疫増強用組成物は、飲料形態に製造することができる。飲料形態の組成物は、上記のアッケシソウ汁又は高分子糖蛋白質の1回の投与量に該当するものを蒸留水で希釈して10〜80%(v/v)含有することが好ましい。添加剤としては、液状果糖及びクエン酸を混合して使用することができる。また、液状果糖の代りに砂糖又はブドウ糖を、クエン酸の代りに酢酸又はリンゴ酸をそれぞれ使用したり、又はこれらを混合して使用することができる。飲料形態の本発明の組成物は、白血病予防、治療及び免疫増強の用途として使用され得る。
【0026】
また、本発明の組成物は飲料以外にも多様な食品類にも利用することができる。アッケシソウ抽出物を添加することができる食品としては、例えば、茶、健康補助食品等が挙げられる。
【0027】
アッケシソウは、昔から食用として使用されてきたものであり、人体に安全な植物のため、細胞毒性等の副作用に対する恐れはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、実施例により本発明をより詳しく説明する。
下記の実施例は本発明を例示するものであり、本発明の範囲が実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
アッケシソウ汁の製造
アッケシソウを飲料水で2〜3回きれいに洗った後、粉砕機でアッケシソウを細かく砕く。この過程で出たアッケシソウ液とアッケシソウ粉砕物を麻袋に入れ、高圧湯煎滅菌機にて無圧力で1時間加熱する。圧力を1.5気圧にし、約110℃で25分間さらに加熱する。この過程を経た内容物をプレスに入れて圧力を加え搾汁した後、搾った液汁を自動包装機に移送して包装する。包装された液汁を100℃の熱水で10分間消毒する。
【実施例2】
【0030】
アッケシソウから高分子糖蛋白質の分離
アッケシソウを熱風乾燥して乾燥粉末を得、乾燥粉末の重量の10倍になる蒸留水を添加して100℃で3時間加熱した後、ろ過して水層を分離し、45℃で真空減圧濃縮した後、1〜2倍のエタノールを加えて低温に12時間程度放置して沈殿物を得た。遠心分離により沈殿物を収得した後、凍結乾燥した。
【0031】
製剤例1:錠剤
実施例2のアッケシソウ抽出物 250.0mg
ラクトースBP 250.0mg
澱粉BP 30.0mg
前ゼラチン化トウモロコシ澱粉BP 15.0mg
マグネシウムステアレート 1.0mg
実施例2のアッケシソウ抽出物を篩い、ラクトース、澱粉及び前ゼラチン化トウモロコシ澱粉と混合した後、適した容積の精製水を添加し粉末に顆粒化させた。顆粒を乾燥させた後、マグネシウムステアレートと混合し圧着して錠剤を製造した。
【0032】
製剤例2:カプセル剤
実施例2のアッケシソウ抽出物 250.0mg
澱粉1500 100.0mg
マグネシウムステアレートBP 1.0mg
実施例2のアッケシソウ抽出物を篩い、澱粉及びマグネシウムステアレートと混合した後、ゼラチンカプセル中に充填してカプセル剤を製造した。
【0033】
製剤例3:シロップ剤
実施例2のアッケシソウ抽出物 100.0g
白糖 637.5g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0g
メチルパラベン 0.28g
プロピルパラベン 0.12g
エタノール 20ml
精製水500mlに白糖を溶解させた溶液に、カルボキシメチルセルロースナトリウムを精製水400mlに溶解させた溶液を加えて混合した。ここにメチルパラベンとプロピルパラベンを加えて溶解させた後、エタノールを加え精製水をさらに加えて1000mlにした。ここに篩った実施例2のアッケシソウ抽出物を懸濁させてシロップ剤を製造した。
【0034】
製剤例4:注射剤
実施例2のアッケシソウ抽出物 100.0mg
薄い水酸化ナトリウム pH7.5〜8.5
注射用塩化ナトリウムBP 最大 2ml
実施例2のアッケシソウ抽出物を適当な容積の薄い水酸化ナトリウム溶液に溶解してpH7.5〜8.5に調節し、続いて注射用塩化ナトリウムBPを使用して容積を調節し、十分に混合した。溶液を透明ガラスからなる2mlタイプのアンプル中に充填させ、ガラスを溶融させることで空気の上部格子下に封入し、続いてオートクレーブで殺菌して注射剤を製造した。
【0035】
製剤例5:飲料
アッケシソウ汁10mlを蒸留水で希釈して80mlにした後、ここに液状果糖を7〜10重量%、クエン酸を0.1〜0.2重量%加えて100mlの混合飲料を製造した。
【0036】
製剤例6:飲料
高分子糖蛋白質0.1gを蒸留水で希釈して80mlにした後、ここに液状果糖を7〜10重量%、クエン酸を0.1〜0.2重量%加えて100mlの混合飲料を製造した。
【0037】
実験例1:アッケシソウから抽出された高分子糖蛋白質の理化学的特性
実施例2で抽出された高分子糖蛋白質の理化学的特性を調査した。
(1)分子量の推定
試料をHOに溶解させてマイクロ分割システム(micropartition system(MPS-1))でろ過して活性物質の分子量を推定した。この結果、この活性物質は30,000ダルトンより分子量が大きい高分子物質であることが分かった。
【0038】
(2)糖の組成
試料に含有された単糖類の組成を測定するための前処理方法として、アミノ糖(amino sugar)の加水分解のために6N HClで100℃で4時間処理し、中性糖(neutral sugar)の加水分解のために2Mトリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)で100℃でさらに4時間処理した。分析は、米国ダイオネクス(Dionex)社のバイオ−エルシー ディーエックス−300(Bio-LC DX-300)を使用し、カラムはカルボパックピーエイワン(Carbopac PA1,(4.5×50mm))を使用し、検出は統合アンペロメトリーが取り付けられたピーイーディーツー(PED2 with integrated amperometry)で行った。この結果は表1に取りまとめて示した。
【表1】

【0039】
(3)アミノ酸の組成
試料に含有されたアミノ酸の組成は、ピコ−タグ(PICO-tag)方法を利用して加水分解及びPITC標識して分析した。分析機器はHPLCを使用し、検出機はウォータース996配列光ダイオード検出機(waters 996 photodiode array detector(PDA,254nm))にし、カラムはウォータースピコ−タグカラム(waters Pico-tag column(3.9×300mm,4μm))を使用した。この結果は表2に取りまとめて示した。
【表2】

【0040】
実験例2:ミエロイド系癌細胞に対する分化誘導効果
ミエロイド系癌細胞であるRaw264.7に対する分化誘導活性を観察した。24−ウェル培養皿に5×10cells/wellで細胞を加えた後、実施例1と2の抽出物を培養液と対比してそれぞれ0.05%(v/v)、10μg/mlの量で添加した。48時間培養した後、光学顕微鏡を利用して検鏡した。
【0041】
その結果、図1のアッケシソウ汁の処理前(A)及び処理後(B)、及び図2の高分子糖蛋白質の処理前(A)及び処理後(B)の形で、ミエロイド系癌細胞はアッケシソウ汁原液又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質(10μg/ml)により分化が誘導され、その形が繊維芽細胞(fibroblast)類似形に変わり、プラスチック表面に対する付着性が強力になり、たくさんの液胞が生成されることが観察できた。ミエロイド系癌細胞は、マクロファージで分化されればこれ以上増殖できないようになる。
【0042】
実験例3:ミエロイド系癌細胞に対する増殖抑制効果
ミエロイド系癌細胞であるRwa264.7に対する分化誘導活性を観察した。96−ウェルマイクロタイタープレート(well microtiter plate)に2×10cells/wellで細胞を加えた後、実施例1の抽出物をそれぞれ1,1/3,1/9,1/27,1/81,1/243及び1/729倍で希釈して培養液と対比して0.05%(v/v)で添加し、実施例2の抽出物をそれぞれ200,70,20,7,2.5,0.8及び0.3μg/mlの濃度で添加して2日間培養した。細胞の増殖程度は[3H]−チミジン(thymidine)を細胞培養液に加えた後、6時間さらに培養し、細胞を収得して細胞内に流入された[3H]−チミジンの量をマイクロベータカウンター(microbetacounter)で測定した。
【0043】
その結果、図3及び図4に見られるように、アッケシソウ汁又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質は、濃度依存的で癌細胞の増殖を抑制した。よって、本発明で記述したアッケシソウ汁又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質は、ミエロイド系癌細胞であるRaw264.7の分化を誘導して増殖を抑制することを確認した。
【0044】
実験例4:貪食力の促進効果
ミエロイド系癌細胞であるRaw264.7を2−ウェルチャンバースライド(well chamber slide)に1×10cell/mlで加えた後、実施例1と2の抽出物を培養液と対比してそれぞれ0.05%(v/v)、10μg/mlの量で添加して48時間培養しマクロファージに分化させた。ここに感作綿羊赤血球(綿羊赤血球に対する抗体を1:256濃度に希釈して加え、37℃で30分間反応させた後、リン酸緩衝液(PBS)で2回洗浄し、リン酸緩衝液に1%で懸濁させたもの)を50μl添加して37℃で1時間培養した後、ACKライシス緩衝溶液(lysis buffer)で貪食されていない綿羊赤血球を除去し、ライト(Wright)とギムサ(Giemsa)溶液で染色して貪食された綿羊赤血球を顕微鏡で観察した。
【0045】
その結果、図5のアッケシソウ汁の処理前(A)及び処理後(B)、及び図6の高分子糖蛋白質の処理前(A)及び処理後(B)の形で、アッケシソウ汁原液又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質(10μg/ml)により綿羊赤血球に対する貪食力が強力に増加することが確認できた。よって、本発明で記述したアッケシソウ汁又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質は、マクロファージの最も代表的な機能の一つである貪食力を強力に増強させ、免疫反応の誘導を促進して抗癌効果をあらわすものと予想される。
【0046】
実験例5:IL-1β生産促進効果
ミエロイド系癌細胞であるRaw264.7に試料を添加し、48時間培養してマクロファージに分化させた。即ち、24−ウェル培養プレートに5×10cells/wellで細胞を加えた後、実施例1の抽出物をそれぞれ1,1/3,1/9,1/27及び1/81倍に希釈して培養液と対比して0.05%(v/v)で添加し、実施例2の抽出物をそれぞれ100,33,11,3.7及び1.2μg/mlの濃度で添加した。48時間培養した後、培養ろ液を収得した。培養ろ液に含有されているIL-1βの含量は、R&D社のエリサキット(ELISA kit)を利用して測定した。
【0047】
その結果、図7及び図8に示したように、アッケシソウ汁又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質は、濃度依存的にIL-1βの生成を促進した。よって、本発明で記述したアッケシソウ汁又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質は、マクロファージによりIL-1βの生産を誘導せしめて抗癌効果をあらわすものと予想される。
【0048】
実験例6:TNF−α生産促進効果
ミエロイド系癌細胞であるRaw264.7に試料を添加し、48時間培養してマクロファージに分化させた。即ち、24−ウェル培養プレートに5×10cells/wellで細胞を加えた後、実施例1の抽出物をそれぞれ1,1/3,1/9,1/27,1/81及び1/243倍に希釈して培養液と対比して0.05%(v/v)で添加し、実施例2の抽出物をそれぞれ100,33,11,3.7,1.2及び0.4μg/mlの濃度で添加した。48時間培養した後、培養ろ液を収得した。培養ろ液に含有されているTNF−αの含量は、ファーミンジェン(Pharmingen)社のエリサキット(ELISA kit)を利用して測定した。
【0049】
その結果、図9及び図10に示したように、アッケシソウ汁又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質は、濃度依存的にTNF−αの生成を促進した。よって、本発明で記述したアッケシソウ汁又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質は、マクロファージによりTNF−αの生産を誘導せしめて抗癌効果をあらわすものと予想される。
【0050】
実験例7:NO生産促進効果
ミエロイド系癌細胞であるRaw264.7に試料を添加し、48時間培養してマクロファージに分化させた。即ち、24−ウェル培養プレートに5×10cells/wellで細胞を加えた後、実施例1の抽出物をそれぞれ1,1/3,1/9,1/27,1/81,1/243及び1/729倍に希釈して培養液と対比して0.05%(v/v)で添加し、実施例2の抽出物をそれぞれ100,33,11,3.7,1.2,0.4及び0.14μg/mlの濃度で添加した。48時間培養後、培養ろ液を収得した。培養ろ液に含有されているNOの含量は、細胞培養液50μlと同量のグリース試薬(Griess reagent)(2.5%HPO中、0.5%スルフォニルアミド、0.05%N−(1−ナフチル)−エチレンジアミンジヒドロクロリド)を96−ウェルマイクロタイタープレートに混合して常温で5分間反応させた後、エリサ判読機(ELISA reader)を利用して550nmで測定した。
【0051】
その結果、図11及び図12に示したように、アッケシソウ汁又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質組成物は、濃度依存的にNOの生成を促進した。よって、本発明で記述したアッケシソウ汁又はアッケシソウから分離した高分子糖蛋白質は、マクロファージによりNOの生成を誘導せしめて抗癌効果をあらわすものと予想される。
【0052】
実験例8:インターフェロン−ガンマ(interferon-γ)との併用効果
ミエロイド系癌細胞であるRaw264.7細胞を24−ウェル培養プレートに5×10cells/wellで細胞を加えた後、実施例2の抽出物を培養液と対比してそれぞれ100,33,11,3.7,1.2及び0.4μg/mlの濃度で添加したり、実施例2の抽出物をそれぞれ100,33,11,3.7,1.2及び0.4μg/mlの濃度で添加したものに、インターフェロン−ガンマを10units/mlでさらに添加した。48時間培養後、培養ろ液を収得した。培養ろ液に含有されているNOの含量は、細胞培養液50μlと同量のグリース試薬(Griess reagent)(2.5%HPO中、0.5%スルフォニルアミド、0.05%N−(1−ナフチル)−エチレンジアミンジヒドロクロリド)を、96−ウェルマイクロタイタープレートに混合し常温で5分間反応させた後、エリサ判読機(ELISA reader)を利用して550nmで測定した。
【0053】
その結果、図13に示したように、アッケシソウから分離した高分子糖蛋白質組成物は、インターフェロンとの併用によりNOの生成を促進した。インターフェロン−ガンマとの併用によるNO生産増強効果は、アッケシソウから分離した高分子糖蛋白質組成物の濃度が非常に低い状況でよりはっきりあらわれた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
上記の実験例から分かるように、アッケシソウ抽出物はミエロイド系癌細胞の分化促進及びマクロファージ機能活性化効果を有する。よって、本発明は骨髄細胞に対する毒性のような根源的な副作用がないと共に、治療効果が優れているミエロイド系白血病治療用組成物及び多様な疾病の治療及び予防に活用できる免疫増強用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】アッケシソウ汁によるミエロイド系癌細胞の分化誘導による形態学的変化を示すものである(アッケシソウ汁処理前(A)及び処理後(B))。
【図2】アッケシソウから分離した高分子糖蛋白質によるミエロイド系癌細胞の分化誘導による形態学的変化を示すものである(高分子糖蛋白質処理前(A)及び処理後(B))。
【図3】アッケシソウ汁によるミエロイド系癌細胞の分化誘導による増殖抑制効果を示すものである。
【図4】アッケシソウから分離した高分子糖蛋白質によるミエロイド系癌細胞の分化誘導による増殖抑制効果を示すものである。
【図5】アッケシソウ汁の貪食力増強効果を示すものである(アッケシソウ汁処理前(A)及び処理後(B))。
【図6】アッケシソウから分離した高分子糖蛋白質の貪食力増強効果を示すものである(高分子糖蛋白質処理前(A)及び処理後(B))。
【図7】アッケシソウ汁のIL-1β生産促進効果を示すものである。
【図8】アッケシソウから分離した高分子糖蛋白質のIL-1β生産促進効果を示すものである。
【図9】アッケシソウ汁のTNF−α生産促進効果を示すものである。
【図10】アッケシソウから分離した高分子糖蛋白質のTNF−α生産促進効果を示すものである。
【図11】アッケシソウ汁のNO生産促進効果を示すものである。
【図12】アッケシソウから分離した高分子糖蛋白質のNO生産促進効果を示すものである。
【図13】アッケシソウから分離した高分子糖蛋白質とインターフェロン−ガンマ(interferon-γ)を併用投与したときのNOの生産増加を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッケシソウ抽出物を含むミエロイド系白血病治療及び免疫増強用組成物。
【請求項2】
アッケシソウ抽出物が、i)アッケシソウを飲用水で2〜3回きれいに洗って粉砕機にかける段階、ii)粉砕機にかけて細かく砕かれたアッケシソウ液とアッケシソウ粉砕物を麻袋に入れて高圧湯煎滅菌機に入れ、圧力をかけず1〜2時間加熱した後、1〜2の気圧下で20〜60分程度80〜110℃の熱を加えて湯煎する段階、iii)湯煎したアッケシソウと液汁をプレスで搾った後、その液汁のみを自動ロール包装機に移送して包装する段階、iv)包装された液汁を100℃の熱水で5〜30分間消毒する段階を経て搾汁されたものであることを特徴とする請求項1記載のミエロイド系白血病治療及び免疫増強用組成物。
【請求項3】
アッケシソウ抽出物が、i)アッケシソウを熱風乾燥して乾燥粉末を得る段階、ii)乾燥粉末重量の5〜10倍になる蒸留水を加えて90〜100℃で3時間加熱した後、ろ過して水層を分離し、35〜45℃で真空減圧濃縮する段階、iii)1〜5倍のエタノールを加え低温に10〜14時間放置して高分子沈殿物を収得する段階、iv)遠心分離により沈殿物を収得した後、凍結乾燥する段階を経て分離された高分子糖蛋白質であることを特徴とする請求項1記載のミエロイド系白血病治療及び免疫増強用組成物。
【請求項4】
飲料の形態で製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の白血病治療及び免疫増強用組成物。
【請求項5】
請求項1記載の組成物を、治療上効果的な量で投与することを含むミエロイド系白血病を治療する方法。
【請求項6】
請求項1記載の組成物を治療上効果的な量で投与することを含む免疫増強方法。

【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−506370(P2006−506370A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545003(P2004−545003)
【出願日】平成14年10月16日(2002.10.16)
【国際出願番号】PCT/KR2002/001933
【国際公開番号】WO2004/035073
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成14年4月18日韓国薬学会発行の「韓国薬学会春期大会予稿集Vol.3 151ページ」に発表
【出願人】(505097974)
【出願人】(505097985)
【Fターム(参考)】