説明

アテローム性動脈硬化症プラークと闘うためのフェニルアルキルN−ヒドロキシ尿素

アテローム性動脈硬化症プラークおよび心臓血管疾患と闘うための、フェニルアルキルN−ヒドロキシ尿素誘導体を投与することにより患者を処置する方法およびこの使用のための組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アテローム性動脈硬化症プラークおよび心臓血管疾患を予防および処置する分野にある。
【0002】
発明の背景
アテローム性動脈硬化症プラークとして血管壁上の脂肪を帯びた沈着物の蓄積は、頸動脈または冠状動脈におけるような血管の進行性狭窄を引き起こす。最終的には、血管内の内腔または血流は、心筋または脳組織などの組織が酸素運搬血液不足を来して、心臓発作、卒中(stroke)または末梢虚血(足または脚への減少した血流)をもたらす心臓血管疾患を生じるようなレベルに減少する。この過程において、低密度リポタンパク質(LDLs)および免疫系細胞が血管壁に蓄積し、その上血管壁に免疫系細胞を引き寄せる。免疫系細胞は変成したLDLsを取り込み、脂肪小滴を生じ、これはプラークの脂質コアを形成する。免疫系細胞は、プラークの線維性キャップのコラーゲンを分解する酵素を分泌しそしてキャップ損傷を修復するための新規なコラーゲン線維の発達を阻止する。キャップの脆弱化はブラーク破裂をもたらし、その期間に内腔の血液は、血液凝固を促進するタンパク質に富んだ脂質コアと入り混じる。結果として、血餅が形成され、血管が閉塞されうる。血管のこの突然の閉塞は、組織への血流を減少または停止させ、それにより心臓発作または卒中をもたらす酸素運搬血液の不足による心筋または脳組織の死をもたらす。プラーク破裂に関係するこれらの急性事象は、心臓血管疾患に罹患している患者の罹患率及び死亡率の主要な原因である。
【0003】
動脈におけるプラークの構成は、急性冠症候群のリスクを示す。柔軟なプラークは高い脂質濃度、薄い線維性キャップ及び炎症性細胞を含む。これらの特徴を持つプラークは、破裂および関連した急性事象の増加したリスクを持つ。
【0004】
過去において、アテローム性動脈硬化症プラークの蓄積は、抗高コレステロール血症薬および抗高脂血症薬の使用により処置されて血液コレステロールの蓄積を阻止していた。これらの作用薬は、血液中のコレステロールおよび脂質のレベルを減少させるのには成功したが、急性事象のリスクをもたらすプラーク破裂の基礎をなす原因を直接処置していない。したがって、現存の作用薬で処置された患者は、依然としてプラーク破裂および急性事象を引き起こす傾向がありうる。ある症例ではアテローム性動脈硬化症プラークは、インフルエンザウイルスにより引き起こされると信じられて、アテローム性動脈硬化症プラークを処置するための抗ウイルス薬が推奨されたことがある。Thumpey, Bassler, et al Science vol. 310 pg.77(October 7 2005)参照。更に、以前にChlamydia pneumoniaによるバクテリア感染がアテローム性動脈硬化症および冠状動脈疾患の進展に関係があるとされて、ガチフロキサシン(N Engl J Med. 2005 Apr 21; 352(16):1645-54)またはアジスロマイシン(Circulation 2000 Oct 10, 102(15):1755-60)などの抗生物質がアテローム性動脈硬化症プラークの処置のために推奨された。しかしながら、これらの作用薬は、プラーク蓄積を阻止および逆転させるのに有効であることは証明されなかった。したがって、アテローム性動脈硬化症プラークを安定させることによりアテローム性動脈硬化症プラークにより引き起こされる心臓血管疾患を予防および処置するのに有効でありそしてアテローム性動脈硬化症プラークの形成を予防し、それによりプラークの破裂および急性事象のリスクを減少させるのに有効な作用薬を提供することが所望されて久しい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明に従っておよびビヒクルプラセボにより更に28日間処理された12週齢のApoE欠失マウスの大動脈の病理学的評価および用量応答の結果を示すグラフである。
【図2】本発明に従っておよびプラセボにより更に28日間処理された28週齢のApoE欠失マウスの大動脈の病理学的評価および用量応答の結果を示すグラフである。
【図3】本発明によりそしてビヒクルにより更に28日間処理された28週齢のApoE欠失マウスの大動脈根におけるアテローム性動脈硬化症病変の組織病理学的程度のグラフである。
【0006】
発明の要約
本発明に従えば、式
【化1】


(式中、Rは水素、低級アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、低級アルコキシまたはヒドロキシであり;Yは−O−または−S−であり;Lは低級アルキレンおよび低級アルケニレンであり;そしてXは分岐状または直鎖低級アルキレンであり、そしてMは水素、薬学的に許容されうるカチオンまたは薬学的に許容されうる代謝的に開裂されうる基である)
で示される化合物またはその薬学的に許容されうる塩の患者への投与は、アテローム性動脈硬化症プラークの蓄積を安定化および/または逆転させることによりおよびアテローム性動脈硬化症プラークの形成を予防することにより、アテローム性動脈硬化症プラークを予防または処置することにより闘うのに有効であることが見出された。このように、式Iの化合物およびそれらの塩は、心臓血管疾患の原因の1つであるアテローム性動脈硬化症プラークを処置および予防するのに有効である。
【0007】
更に、式Iの化合物およびその薬学的に許容されうる塩は、呼吸不足および胸痛などの心臓血管疾患の他の症候を処置するのに有効であることが見出された。この効果は、式Iの化合物およびその塩を、一般に心臓血管疾患と闘うのに有効にする。
【0008】
式IのN−ヒドロキシ尿素は、アレルギー疾患状態および炎症性疾患状態の処置に有用であることが見出された、5−リポキシゲナーゼ活性およびロイコトリエン生合成の阻害剤として、Brooks et al., U.S. Patent 5,288,751, February 222, 1994に開示されている。実際、ある種のN−ヒドロキシ尿素化合物は、喘息を処置するのに使用された。特に、ジロイトンなどのN−ヒドロキシ尿素は、喘息を処置するのに有用であることが見出された。しかしながら、ジロイトンなどの喘息を処置するために使用されるこれらのN−ヒドロキシ尿素と違って、式IのN−ヒドロキシ尿素は、プラークと闘うために使用されるとき、高い毒性を持たない。
【0009】
詳細な説明
本発明に従えば、式Iの化合物、その薬学的に許容されうる塩または その薬学的に許容されうる加水分解可能なエステルの患者への投与は、アテローム性動脈硬化症プラークにより引き起こされる心臓発作、卒中または末梢動脈疾患に感受性の患者を、アテローム性動脈硬化症プラーク形成と闘うことにより処置するのに有効であることが発見された。このように前記患者を処置するための式Iの特に好ましい化合物は、化合物:式
【化2】


を有するN−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である。式I−Aの化合物の最も好ましい態様は、1−R立体配置を有する式I−Aの異性体化合物である。
【0010】
前記したとおり、式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩は、アテローム性動脈硬化症プラークを有すると診断さされた患者においてアテローム性動脈硬化症プラークの形成を予防することにより、またはアテローム性動脈硬化症プラークを安定化させることにより、そしてプラーク破裂および急性事象のリスクを減少させることにより、アテローム性動脈硬化症プラークの蓄積または形成により引き起こされる心臓発作および卒中などの心臓血管疾患と闘う。このように、式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩は、アテローム性動脈硬化症プラークの蓄積または形成により引き起こされる心臓発作および卒中などの心臓血管疾患の予防または処置として作用する。
【0011】
更に、患者への式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩の投与は、アテローム性動脈硬化症プラークと闘うのみならず、心臓血管疾患の他の原因および症候を減少および/または安定化させる。この効果は、心臓血管疾患を診断および監視するのに使用される標準マーカーにより示されるこれらの原因および症候の減少により示される。したがって、式Iの化合物およびその薬学的に許容されうる塩は、心臓血管疾患を処置または予防するのに使用することができる。心臓血管疾患は、もし処置しないでおれば、心臓発作、卒中または四肢または他の器官(例えば腎臓)への損傷をもたらす可能性のある、心疾患または動脈疾患および末梢血管疾患を含む。
【0012】
用語「患者」は、心臓血管疾患に感受性の任意のヒトまたは哺乳動物被検体を含む。これらは、アテローム性動脈硬化症プラークを有すると診断された患者、心臓発作および/または卒中および/または末梢動脈疾患の他の発現をすでに有している患者および他には、家族歴、遺伝的試験に照らしてまたは他のリスク因子(例えば喫煙、高血圧、高コレステロール、糖尿病、肥満)の存在に照らして心臓発作または卒中などの心臓血管疾患に感受性の患者を含む。心臓発作および/または卒中に感受性であり、アテローム性動脈硬化症プラークを有すると診断とされてはいないが心臓血管疾患、例えば心臓発作または卒中の病歴を有しているか、または、遺伝的試験、家族歴または追加のリスク因子の存在のような手段により決定されるこのような心臓疾患、心臓発作または卒中に対する感受性を有する患者において、式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩が心臓発作と闘うために使用されるとき、式Iの化合物は、これらの患者における心臓発作および卒中などのこのような心臓血管疾患の防止のための予防として使用される。他方、患者がアテローム性動脈硬化症プラークを有すると診断されている場合には、式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩の投与は、このようなアテローム性動脈硬化症プラークを処置して更なる蓄積を予防し、患者のアテローム性動脈硬化症プラークを安定化および/または減少させ、そしてプラーク破裂および急性事象のリスクを減少させる。本発明の好ましい態様に従えば、患者はヒト患者である。
【0013】
本発明に従えば、式Iの化合物またはその塩が患者に投与されるとき、式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩は、その効果を示しそしてある種のN−ヒドロキシ尿素と一般に関連した毒性または不利な効果を最小にするかまたは消失することが発見される。これは、式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩が、高い投薬量においてすら、ある種のN−ヒドロキシ尿素と関連した毒性または毒性の程度および付随するレベルの不利な効果を生じることなくヒト患者に投与されることを可能とする。
【0014】
患者は、多くの慣用の手段により、特にこの目的で使用される種々のイメージングシステムを使用することによりアテローム性動脈硬化症プラークの存在および/または量について診断されうる。アテローム性動脈硬化症プラークを検出または診断するための最も普通の方法の1つは、血管造影法である。ヒト動脈内のアテローム性動脈硬化症プラークの成分を検出するための他の手段は、コンピュータトモグラフィー、心電図記録法、超音波検査法、核イメージング、ストレス試験および物理的検査を使用することである。
【0015】
心臓血管疾患およびアテローム性動脈硬化症プラーク形成を防止することに関して、血清バイオマーカーの測定は、心臓血管疾患およびアテローム性動脈硬化症プラークのリスクにある患者を同定するための追加の手段を提供する。メカニズムの研究によって、アテローム性動脈硬化症プラークの形成により引き起こされる心臓血管疾患に関連付けられる多数の遺伝子も同定された。Glass and Witzturn(2001), Cell, 104:503-16; Breslow(1996), Science, 272: 685-88; Lussis(2000), Nature, 407:233-41参照。アテローム性動脈硬化症プラークとの既知の関連を有する遺伝子を利用して患者、ヒトおよび動物のアテローム性動脈硬化症プラーク形成のリスクへの感受性を予測することができる。Wuttage et al. (2001), Mol. Med., 7: 383-92; Archachi et al. (2003), Physical. Genomics, 15: 65-74; Faber et al. (2002), Curr. Opin. Lipidol., 13:545-552; McCaffrey et al. (2000), J.Clin. Invest., 105: 653-662 and Seo et al. (2004), Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 24: 1922-7を参照されたい。疾患関連遺伝子発現のマイクロアレイを使用して、疾患進展期間中の個々の遺伝子の発現に対する個々のリスク因子およびパーターベーション(perturbation)の影響を、遺伝子同定の先天的知見なしに系統的に研究することができる。次いで遺伝子の一過性発現パターンを、アテローム性動脈硬化症プラークの進行およびプラーク破裂の危険のよく説明された疾患状態と相関させることができる。
【0016】
患者は、アテローム性動脈硬化症プラークにより引き起こされる心臓血管疾患を処置または予防するのに十分な有効量で式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩を患者に投与することにより該化合物で処置され、そしてアテローム性動脈硬化症プラークを有すると診断される患者、または心臓血管疾患の既往歴を有する患者、またはアテローム性動脈硬化症プラークまたはアテローム性動脈硬化症プラークの追加のリスク因子の存在に関連付けられる心臓疾患の家族歴を有する患者、または遺伝子試験によって、アテローム性動脈硬化症プラークの形成により引き起こされる心臓血管疾患に関連付けられる遺伝子を有する患者であることができる。そのように処置された患者は、アテローム性動脈硬化症プラークおよび心臓血管疾患の他の症候に関する処置の前、期間中および後に監視されうる。上記したとおり、血管造影は、式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩で処置されている患者におけるアテローム性動脈硬化症プラークを検出または診断するための最も普通の方法である。心臓血管疾患の他の症候を監視することによる、式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩を投与されている心臓血管患者の処置の進行を診断および決定するための種々の手段が存在する。血管炎症などの心臓血管疾患のこれらの他の症候を監視するための手段は、下記のバイオマーカーによる:
●全血中のEx−vivoロイコトリエンB4(LTB4)合成
●尿中のロイコトリエンE4(LTE4)
●高感度C−反応性タンパク質(hsCRP)
●ミエロペルオキシダーゼ(MPO)
●単球走化性タンパク質(MCP1)
●M−CSF(CSF−1)
●MIP−2(Cxcl2)
●オステオポンチン(Spp1)
●末梢血RNA発現
●DNA遺伝子型
【0017】
処置は、アテローム性動脈硬化症プラークの存在および/または量を決定することおよび/または式Iの化合物またはその塩による処置の前、後および期間中にこれらのバイオマーカーを評価することにより疾患の遅延を決定することにより、患者を処置する際の式Iの化合物またはその薬学的に許容されうる塩の有効性を決定することによって、医師により追跡調査されうる。処置は、処置期間中患者におけるアテローム性動脈硬化症プラークの存在および/または量によりおよび/またはこれらの診断ツールにより決定される患者の要件に従って医師により行うことができる。
【0018】
用語「アルキル」は、1個の水素原子の除去による直鎖または分岐鎖飽和炭化水素に由来する一価の炭化水素基を指す。低級アルキル基は、1〜6個の炭素原子を含有し、そしてメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル等により例示される。
【0019】
用語「低級アルキレン」は、2個の水素原子の除去による直鎖または分岐鎖飽和炭化水素に由来する二価の基を示し、該低級アルキレン基は、1〜6個の炭素原子を含有する。低級アルキレン基は、メチレン、1,2−エチレン、1,1−エチレン、1,3−プロピレン、2,2−ジメチルプロピレン等を含む。
【0020】
用語「低級アルケニレン」少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有し、炭素−炭素結合の残りは飽和しておりそして2〜6個の炭素原子を含有する、直鎖または分岐鎖炭化水素に由来する二価の基を示す。
【0021】
用語「低級アルコキシ」は、酸素原子を通じて分子部分に結合している、低級アルキルが上記に定義されているアルコキシ基を示す。代表的な低級アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等を含む。
【0022】
用語「ハロゲン」は、すべてのハロゲン、特に臭素、塩素、フッ素およびヨウ素を含む。
【0023】
用語「代謝的に開裂可能な基」は、in vivoで切断されて、Mが水素である上記した構造式の親分子を生じる基を示す。代謝的に切断可能な基の例は、―COR、−COOR、−CONRRおよび−CHOR基(式中、Rは各場合に独立に、アルキル、トリアルキルシリル、炭素環式アリール、または1個以上のC〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはC〜Cアルコキシで置換されている炭素環式アリールから選ばれる)を含む。代表的な代謝的に切断可能な基の特定の例は、アセチル、メトキシカルボニル、ベンゾイル、メトキシメチルおよびトリメチルシリル基を含む。
【0024】
「薬学的に許容されうる塩」とは、根拠のある医学的判定の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等なしにヒトおよび下級動物の組織と接触して使用するのに適当なそして合理的な利益/リスク比と釣り合ったこれらの塩を意味する。
薬学的に許容されうる塩は、当技術分野で周知である。例えば、S.M.Berg, et alは、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 669: 1-19に詳細に薬学的に許容されうる塩を説明している。塩は本発明の化合物の最後の単離および精製期間中にin situで製造されうるか、または別に遊離塩基官能基を適当な有機酸と反応させることにより製造されうる。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を含む。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等、ならびに無毒性アンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオンを含み、これらは、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含むが、それらに限定されない。
【0025】
本発明に従って使用される式(I)の化合物またはその薬学的に許容されうる塩は、化合物における1個以上の不斉中心またはキラル中心の存在によって立体異性を示すことができる。本発明は、種々の立体異性体およびその混合物を意図する。所望のエナンチオマーは当技術分野で周知の方法によって市販のキラル出発物質からキラル合成により得られるか、またはエナンチオマーの混合物から既知の技術を使用する分割により得ることができる。
【0026】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容されうる塩を投与することにより患者の心臓血管疾患を予防および処置することにおいて、およびアテローム性動脈硬化症プラークの蓄積を安定化および/または逆転させるため及びアテローム性動脈硬化症プラークの形成を遅らせるために、式(I)の化合物またはその薬学的に許容されうる塩を注射によりまたは経口的に全身系に投与することができる。一般に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容されうる塩を、ヒト患者の心臓血管疾患を予防および処置するのに有効な任意の量およびヒト患者のアテローム性動脈硬化症プラークの蓄積を安定化および/または逆転させるのに有効な任意の量およびヒト患者のアテローム性動脈硬化症プラークの形成を遅らせるのに有効な任意の量でヒト患者に投与することができる。このような処置および予防を行う際に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容されうる塩は、好ましくは、1日当たり患者の体重kg当たり約0.2〜約3.0mgの投薬量で経口的に投与される。この投薬量は、カプセル剤、錠剤、糖剤、丸剤、散剤、顆粒剤などの固体経口単位剤形および溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤などの液体経口剤形において経口的に投与されうる。一般に、単位剤形は、約25〜200mgの量で式(I)の化合物またはその薬学的に許容されうる塩を含有するべきである。単位経口剤形のうち、カプセル剤および錠剤は特に好ましい。薬物が経口的に投与されるとき、それは一般に、規則的な間隔で、便利には食事時間にまたは1日に1回または2回投与される。
【0027】
式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容されうる塩が、心臓血管疾患を有すると診断されていないかまたはアテローム性動脈硬化症プラークを有すると診断されていないが、家族歴または他のリスク印紙の存在によりまたは既往の心臓発作または卒中を有することにより、心臓血管疾患に感受性であると診断されている患者に投与されるとき、式(I)の化合物またはその薬学的に許容されうる塩は、心臓血管疾患を予防するのにまたはアテローム性動脈硬化症プラークの形成を予防するのに有効である。式(I)の化合物またはその薬学的に許容されうる塩を予防薬として投与する際に、心臓血管疾患を処置するために利用されうる同じ経口剤形が使用される。
【0028】
上記式(I)の化合物およびその薬学的に許容されうる塩は、診断された心臓血管疾患を処置するための式(I)の化合物およびその薬学的に許容されうる塩の使用について説明した方式と同じ方式で経口的に投与される。
【0029】
式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容されうる塩は、非経口的に投与されうる。用語「非経口的投与」は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下および動脈内注射および灌流(infusion)を含む投与方式を指す。非経口的投与用の医薬組成物は、薬学的に許容されうる無菌の水性もしくは非水性溶液剤、分散液剤(dispersions)、懸濁剤または乳剤、ならびに使用する直前に無菌の注射溶液剤または注射分散液剤に再構成するための無菌の散剤を含む。適当な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等およびその適当な混合物、植物油、例えばオリーブ油、および注射可能な有機エステル、例えばエチオールオレエート(ethyol oleate)を含む。
【0030】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容されうる塩の非経口的投与は、卒中または心臓発作などの心臓血管疾患を処置または予防するために、経口投与の場合と同じ日量で、一般に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容されうる塩1日当たりkg当たり約0.2〜約3.0mgで投与されうる。
【0031】
投薬量は、全身系投与の場合には、処置する医師により決定される個々の患者の要件に従って変わる。しかしながら、一般に、患者の体重kgあたり0.2〜約3.0mgの毎日の全身系用量が好ましい。この投薬量は、患者の要件に従って医師により決定された投薬計画に適応した一回の投薬量としてまたはいくつかの分割された投薬量で投与されうる。このような全身系投与用の組成物を調製する際に、これらの組成物は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容されうる塩ならびに該化合物またはその塩と適合性の薬学的に許容されうる担体を含有する。このような組成物を調製する際に、任意の慣用の薬学的に許容される担体を利用することができる。
【0032】
指摘されたとおり、経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。このような固体剤形においては、有効化合物を、少なくとも1種の不活性な薬学的に許容されうる賦形剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/またはa)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアラビアゴム、c)保湿剤(humectants)、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えは寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイトクレー、およびi)滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物と混合させる。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合には、剤形は緩衝化剤を含むこともできる。
【0033】
同様なタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤および高分子量ポリエチレングリコール等を使用して軟充填ゼラチンカプセルおよび硬充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用することもできる。
【0034】
錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、医薬配合技術において周知の腸溶コーティングおよび他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを伴って調製されうる。それらは、場合により不透明化剤を含有することができ、そして腸管のある部分においてのみまたは腸管のある部分において優先的に、場合により遅延した方式で、有効成分(1つまたは複数)を放出する組成物であることもできる。使用されうる包埋組成物の例はポリマー物質およびワックスを含む。
【0035】
有効化合物は、適当ならば、1種以上の前記した賦形剤を伴うマイクロカプセル化された形態にあることもできる。
【0036】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容されうる乳剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。有効化合物に加えて、液体剤形は、当技術分野で普通に使用される不活性希釈剤、例えば、水もしくは他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルおよびそれらの混合物を含有することができる。
【0037】
不活性希釈剤のほかに、経口組成物は、佐剤、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤および付香剤(perfuming agents)を含むこともできる。
【0038】
懸濁剤は、有効成分に加えて、懸濁化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカントおよびそれらの混合物を含有することができる。
【0039】
実施例
実施例1および2において、タンパク質アポリポタンパク質E(apoE)を産生することを欠失したノックアウトマウスを使用した。ApoE欠失マウスは、12〜16週でアテローム性動脈硬化症プラークを自然に発生することが知られており、このプロセスはマウスに高脂肪食を与えることにより促進される。これらのマウスにおいて見出されるアテローム性動脈硬化症病変は、ヒトで見出さされるアテローム性動脈硬化症病変に組織学的に類似しているので、ApoE欠失マウスは、ヒトにおけるアテローム性動脈硬化症プラークに対する薬物の効果を評価するためのモデルとして使用される。
【0040】
実施例において、化合物Xは化合物:N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素を示す。
【0041】
実施例1
この実施例は、約12週で起こるアテローム性動脈硬化症プラークの正常な発生前にあるApoE欠失ノックアウトマウスで行われて、化合物X、即ち化合物:N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素のプラーク形成の防止に対する効果を測定した。
【0042】
4週齢雌ApoEノックアウトマウスに8週間の期間にわたり高脂肪食(21%無水乳脂および0.5%コレステロール)を与えた。次いで12週齢ApoE欠失マウスは、無作為化されて、ビヒクル(5mL/kgで投与された0.9%無菌食塩水)または化合物X(3つの異なる用量:それぞれ1、10または50mg/kgで、各々5mL/kgの量で(それぞれ0.2、2、10mg/mLの濃度から)投与された))を、連続した28日間毎日投与された。食塩水ビヒクルおよび化合物Xの用量は、すべて毎日新たに調製されそして22G胃管栄養注射器で経口投与された。用量は、最も最近得られた体重に基づいて調節された。
【0043】
2つの処理群がありそして下記のとおり処理された:
●処置群I
16匹の雌マウス/化合物Xの各投薬量のためのセット、および食塩水ビヒクルのための組、16匹マウスの3組の投薬量は下記のとおりであった:1mg/kg投薬量の化合物X、10mg/kgの投薬量の化合物Xおよびビヒクル中に化合物Xなし;および
処置群2
16匹の雌マウス/化合物Xの各投薬量のためのセット、および食塩水ビヒクルのための組、16匹マウスの各組の投薬量は下記のとおりであった:1mg/kgの化合物X、50mg/kgの化合物Xおよびビヒクル中に化合物Xなし。
【0044】
投薬の14日目および最終の犠牲時(最初の投薬から28日目)に眼窩後部出血(retroorbital bleeding)によりすべてのマウスから血液サンプルを採集した。最終犠牲時に、胸郭および腹腔を開いて左心室を通して心臓のカニューレ挿入を可能とした。心臓を0.9%生理食塩水で灌流し、そして動物を、後部大静脈(posterior vena cava)に作った切り目を通じて瀉血した。灌流の後、心臓を心臓/大動脈接合部で大動脈から単離し、大動脈を心臓から腸骨接合部まで単離しそして脂肪を除去した。次いで心臓および大動脈を氷上の食塩水に入れ、そして脂肪および連結組織がなくなるまで、解剖顕微鏡下に洗浄した。
【0045】
図1で与えられたすべてのマウスから得られた動脈に関して全体的定性的アテローム性動脈硬化症病変解析を行いそして動脈のすべての検査の結果は処理アームに対して盲検化されたオペレータにより行われた。表1に与えられたアテローム性動脈硬化症過程の定性的評価のために、大動脈に存在するアテローム性動脈硬化症プラークの程度および質に基づく標準化されたスコアリングシステムを使用した。病変を1〜4:下記表から分かるとおり、1−僅か、2−中程度、3−重度 4−極めて重度、のスケールで等級付けた。
【0046】
【表1】

【0047】
図1に示されている結果は、一元配置分散分析(ANOVA)および各処理アームを適切なコントロールアームと比較するスチューデントの不対t検定(Student’s unpaired t-test)により分析された。
【0048】
図1から分かるとおり、アテローム性動脈硬化症のこのマウスモデルからの結果は、1、10および50mg/kg/日の用量での化合物Xの1日1回の投与は、図1の結果を作成するために使用されたApoE欠失マウスの近位大動脈におけるプラークの程度の減少をもたらすことを証明する。図1から分かるとおり、化合物Xの最大用量(50mg/kg/日)で、ビヒクルと比較してプラーク形成の有意な減少が(約40%減少、p<0.03)近位大動脈において観察された。したがって、近位大動脈における全体の病理学的評価に基づくプラーク形成の程度の一般に用量依存性の減少は、疾患の早期段階におけるプラーク形成および疾患進行の両方の関連した減少と合致している。これらの図1の結果は、化合物Xがアテローム性動脈硬化症プラークの蓄積を予防するのに有効であることを証明する。
【0049】
実施例2
この実施例は、マウスを処置するために化合物Xが使用される前にアテローム性動脈硬化症プラークが発生したApoE欠失ノックアウトマウスにおける化合物Xの効果を証明する。
【0050】
4週齢雌ApoE欠失ノックアウトマウスに24週間実施例1に記載の高脂肪食を与えてアテローム性動脈硬化症プラークを蓄積させた。次いで28週齢のApoE欠失マウスは、無作為化されて、5mL/kgで投与されたビヒクル(0.9%無菌食塩水)または2つの異なる用量、10mg/kgおよび50mg/kgで、各々5mL/kgの容積において(各々0.2および10mg/Lの濃度から)投与された化合物Xを、連続した28日間毎日投与された。食塩水ビヒクルおよび化合物Xは、すべて毎日新たに調製されそして22G胃管栄養注射器で経口投与された。用量を、最も最近得られた体重に基づいて調節した。下記の2つの処置群を試験しそして比較した:1)第1の処置群は、食塩水でのみ処置された20匹の雌マウスおよび10mg/kgの化合物Xで処置された20匹の雌マウスからなり、そして2)第2の処置群は、ビヒクルで処置された20匹の雌マウスおよび50mg/kgの化合物Xで処置された20匹の雌マウスからなっていた。
【0051】
1日に1回28日間マウスにビヒクルまたは投薬量を投与することにより全体の処置を行った。この処置期間中、血液サンプルを投薬の14日目および投薬の開始から28日後である最終の犠牲の日に、眼窩後部の出血により血液サンプルを採集した。最終の犠牲時に、大動脈を処置群の各々における16匹のマウスから回収しそして全体的に評価し、群当たり残りの4匹のマウスからの選ばれた組織を全体的に評価しそして組織病理学的解析及びプラーク負荷(plaque burden)の定量的決定のために固定しそして処理した。結果を図2および3に示す。
【0052】
アテローム性動脈硬化症過程の定量的評価のために、図2および図3において、マウス大動脈樹を作成しそしてTabibiazar, Wagner, et al. Physiol genomics 22(2):213-226(2005)により記載された。大動脈根および全体の大動脈におけるプラーク/病変区域の量を測定した。百分率病変区域を、全表面積で割った全病変区域として計算した。
【0053】
図2および図3に示された結果を得るために、各処置プロトコールについて4匹のマウスから得られた大動脈および心臓サンプルをパラホルムアルデヒドで灌流しそして組織病理学的分析のために移送した。すべての分析は盲検式で行われた。心臓の上半部を解剖し、ホルマール−スクロース中に一夜固定しそしてパラフィン包埋した。順次に7μm厚さの切片を、大動脈弁小葉部(aortic valve leaflets)が現れるまで心臓の尖(apex)から基底(base)に向かって切り出した。この点から、238μmの距離にわたりすべての第2連続切片を表す17の切片を集めそしてヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。アテローム性動脈硬化症疾患のこのマウスモデルに関して、図2および3における、上記手順の実施により達成された結果は、10および50mg/kg/日の化合物Xの毎日の経口投与は、ビヒクルに比較して、近位大動脈および大動脈弓におけるプラーク断面積(plaque burden)の統計的に有意な減少をもたらすことを証明した。図2は、大動脈の全体的病理学的評価の結果を与える。それは、大動脈、大動脈弓および近位大動脈におけるプラーク疾患の結果を示す。番号0〜3は、表1に示されたとおりである。図2に示されたとおり、ビヒクルと比較して、10mg/kg/日または50mg/kg/日で化合物Xによりマウスが処理されるとき、マウスの近位大動脈、大動脈弓ならびに胸大動脈および腸大動脈におけるアテローム性動脈硬化症病変の実質的な減少があった。最も有意な減少は、化合物Xの50mg/kg/日の用量を受け取るマウスの大動脈の近位弓に主として認められる。
【0054】
図3のアテローム性動脈硬化症過程の定量的評価のために、大動脈根および全体の大動脈におけるプラーク/病変区域の量を測定した。百分率病変区域は、全表面積で割った全病変区域で計算された。
【0055】
ApoE欠失マウスの大動脈根の組織病理学的評価は、ビヒクル動物と比較して、化合物X、10mg/kg用量(p<0.07)および50mg/kg用量(p<0.001)におけるアテローム性動脈硬化症プラーク形成の用量依存性減少を証明した。図2から分かるとおり、ビヒクルに比較して50mg/kgの化合物Xを投与されたマウスの平均病変区域の統計的に有意な減少は約45%であった。
【0056】
大動脈におけるプラーク形成の程度を、ビヒクルを受け取るApoE欠失マウスにおいて10および50mg/kg/日の投薬量で化合物Xを投与されたマウスと定量的に比較した。図3は、化合物Xを受け取るマウスの大動脈における百分率プラーク区域は、ビヒクルを投与されたマウスからの大動脈に比較して実質的により少なかったことを示す。ビヒクルマウスの百分率プラーク病変区域は、第1実験群に比較して第2実験群においてより大きかった。図3は、各実験群においてビヒクルと化合物Xで処理されたマウスとの比較は、百分率プラーク病変区域の顕著な減少を示しそしてこの応答は用量依存性であることを証明する。
【0057】
結果は、経口投与された化合物Xは、プラーク進行を遅延させおよび/またはプラークの退行を引き起こすことにより減少したアテローム性動脈硬化症プラークと関連していることを示唆する。
【0058】
実施例3
この実施例は、患者においてアテローム性動脈硬化症プラークおよび心臓血管疾患を減少させることにおける化合物Xによる処置の有効性を証明する。この研究では、プラークレベルは、急性冠症候群(ACS)に罹患している男性および女性患者におけるこのようなプラークを示す多重検出器(64スライス冠動脈)コンピュータトモグラフィー(MDCT)スキャン(Multidetector(64 slice coronary) Computerized Tomogrphy(MDCT) scan)の使用により決定された。心臓血管疾患の効果を減少させることにおけるこの処置の有効性は、この疾患のバイオマーカーの使用により決定された。この無作為化二重盲検プラセボコントロール試験(randomized, double blind, placebo-controlled study)のために、各々、先行する21日(±3日)間にACS事象に罹患している30歳〜80歳齢の50人の臨床的に安定な患者を含む4つの群を、化合物Xの経口投与により処置する。
【0059】
この処置の研究は、化合物Xを3つの処置群に経口投与することにより行い、その際第1の処置群は25mg/日の用量である。第2処置群には、化合物Xを50mg/日の用量で経口投与する。第3の処置群には、化合物Xを100mg/日の用量で経口投与する。第4の群には、プラセボを経口投与する。これらの用量およびプラセボのすべては1日に1回投与された。総計200人の患者がこの処置研究に登録される。
【0060】
ベースライン評価は、処置の開始時に行われ、そしてこのベースライン結果が、この処置研究期間中種々の追跡調査期間における反復評価と比較される。処置の研究は、以下に示される場合を除いて、12週間行われた。24週の期間の終わりに、患者のプラークを、多重検出器(64スライス冠動脈)コンピュータトモグラフィー(MDCT)スキャンを使用して分析する。ベースラインMDCTスキャンにより主要冠状動脈において直径少なくとも1mmの1つ以上の冠非石灰化プラークインデックス病変(coronary noncalcified plaque index lesions)が同定される患者では、化合物Xまたはプラセボの投薬は治療の開始から総計6か月間続けられる。
【0061】
患者は、実施例5で調製された2つのカプセル剤を12週間または24週間投与することにより、25mg、50mg、または100mgの化合物Xまたはマッチするプラセボの1日1回の経口用量を受け取る。二重ダミーデザインを使用して、正しい盲検化および必要な投薬量を達成する。かくして、研究医薬の各日の投与で下記のマッチするカプセル剤を摂取する。
●プラセボ:2つのブラセボカプセル
●25mg用量:1つのプラセボカプセル+1つの25mgカプセル
●50mg用量:1つのプラセボカプセル+1つの50mgカプセル
●100mg用量:2つの50mgカプセル
【0062】
患者の各々における下記のベースライン評価を研究の前に行った:病歴および完全な身体検査;的を絞った病歴聴取(focused physical exam)(出血性障害の徴候について);12誘導心電図(12−Lead ECG)、炎症性バイオマーカーの測定(トラフで測定されたLTB4(ex−vivo);尿中LTE4;hsCRP;MPO;MCP1(CCL2);M−CSF(CSF−1);MIP−2(CxcI2);オステオポンチン(Spp1));血液学;化学;尿検査;妊娠の可能性のある婦人の血清妊娠試験およびコントラストを有する64スライス冠動脈MDCTイメージング(64-slice coronary MDCT imaging)。
【0063】
この研究に従う医薬の投与期間中下記の評価を2〜4週間毎に行う:的を絞った身体診査(出血性障害の徴候について);12誘導心電図、炎症性バイオマーカーの測定;血液学;化学;尿検査;不利な事象の評価。
【0064】
研究医薬の投与の完了後、患者は最後の投与から1か月後検査されそして下記の試験が完了した:病歴および完全な身体検査;的を絞った身体診査(出血性障害の徴候ついて);12誘導心電図、;血液学;化学;尿検査;妊娠の可能性のある婦人の血清妊娠試験;不利な事象の評価。ベースライン64スライス冠動脈MDCTスキャンにより主要冠状動脈において直径少なくとも1mmの1つ以上の冠非石灰化プラークインデックス病変が同定される患者も、処置の完了後64スライスMDCTスキャンされる。
【0065】
心臓血管疾患の処置の有効性を決定するためのバイオマーカーアウトカム評価項目(biomarker outcome measures)が、下記のバイオマーカーの12週の投薬後のベースラインからの変化として定義された:LTB4、LTE4(尿)、hsCRP;MPO;MCP1およびM−CSF、MIP−2およびオステオポンチン。
【0066】
結果に基づいて、研究の終りに、化合物で処置された群におけるより大きい百分率の患者は、プラセボ群に比較して、12週の投薬にわたり心臓血管疾患の炎症性バイオマーカーのレベルの減少、および24週の投薬後の64スライスMDCTにより同定される冠非石灰化プラークインデックス病変の密度および/またはプラーク容積の変化を示す。これは、アテローム性動脈硬化症プラークの処置における化合物Xの有効性を証明する。
【0067】
実施例4
この研究は、選択的頚動脈内膜切除(CEA)手術を受けている頚動脈狭窄を有する男性および女性患者における心臓血管疾患およびアテローム性動脈硬化症プラークの安定化における化合物Xによる処置の有効性を証明する。この無作為化二重盲検プラセボコントロール研究において、選択的頚動脈内膜切除を受けている頚動脈狭窄を有する30〜80歳齢の40人の臨床的に安定な患者の群を、化合物X、100mgまたはプラセボを経口投与することにより処置する。総計80人の患者が登録される。ベースライン評価を処置の開始時に行い、そしてこれらのベースライン結果を処置の種々の追跡調査期間中の反復評価と比較する。処置を少なくとも12週間行い、その時点でこれらのベースライン評価を行いそして比較する。
【0068】
患者は、実施例5で製造された2つのカプセル剤を投与することにより、100mgの1日1回の総経口用量の化合物Xまたはマッチしたプラセボを12週間投与される。
【0069】
患者の各々の下記のベースライン評価を行う:病歴および完全な身体検査;12誘導心電図;頸動脈超音波;DWI−脳MRI;全血中のex vivoLTB4の測定;LTE4の測定のためのスポット尿;他の炎症性バイオマーカー(hsCRP;MPO;MCP1(CCL2);M−CSF(CSF−1);MIP−2(CxcI2);オステオポンチン(Spp1))の測定;出血性障害の徴候について的を絞った身体診査;血液学;化学;尿検査および妊娠の可能性のある婦人の血清妊娠試験。
【0070】
化合物Xまたはプラセボの投与期間中および化合物Xの最後の投与の後にしかし頸動脈内膜切除を受ける前に、下記の評価を2〜4週毎に行う:12誘導心電図;全血中のex vivoLTB4の測定;LTE4の測定のためのスポット尿;他の炎症性バイオマーカーの測定;頸動脈超音波;出血性障害の徴候について的を絞った身体診査;血液学;化学;尿検査および不利な事象の評価。
【0071】
プラークサンプルは、頸動脈内膜切除の後の患者から得られ、そしてサンプルを解析してプラーク組織炎症のレベルを決定する。頸動脈内膜切除を受けて3日後に下記の評価を行う:DWI−MRI;化学;出血性障害の徴候について的を絞った身体診査;および不利な事象の評価。頸動脈内膜切除を受けて4週後に下記の評価を行う:病歴および完全な身体検査;血液学;化学;尿検査および不利な事象の評価。
【0072】
共主要有効性変数(co-primary efficacy variables)は、研究医薬の投与の12週後に全血中のex vivoプラークLTB4合成およびex vivoプラークLTB4濃度のベースラインからの変化である。共変量として全血中のex vivo LTB4合成のベースラインレベルを使用する共分散分析(ANOCOVA)を使用して、第1の共主要アウトカム(co-primary outcome)の有意性を評価する。ex vivoプラークLTB4濃度に関する群間の差の有意性をt検定により評価する。Hochbergの方法[Benjamai, Hochberg, Journal of the Royal Statistical Society, SeriesB. 57:289-300(1995)]を使用して、共主要アウトカムの有意性を評価する。これらの共主要分析を、少なくとも1つの用量の研究医薬を摂取する患者およびプロトコールガイドラインに従って12週の研究を完了する患者からなる評価可能な患者集団に関して行う。この分析を、すべての無作為化された患者からなる処置することを意図する(ITT)集団(intent to treat (ITT) population)において繰り返し、そして直前に計測した値による補完(LOCF)法を任意の欠損データのために使用する。
【0073】
プラークにおける百分率マクロファージ断面積(percent macrophage sectional area)およびTリンパ球の数の第2のアウトカム評価項目(secondary outcome measures)を、0.05α水準でのt検定(両側)を使用して分析する。ベースラインからの変化である二次アウトカム評価項目、LTE4、hsCRP、MPOおよびMCP1を、共変量としてベースライン値によるANCOVAを使用して分析する。検定は0.05のαレベルで行うる(両側)。評価可能な患者集団およびITT患者集団を、共主要アウトカム評価項目の場合と同じように使用する。
【0074】
第三の有効性パラメーター(tertiary efficacy parameter)、即ち、DWIを使用して脳MRIにより評価された虚血病変の数および容積を、ノンパラメトリックウイルコクソン順位和法を使用して分析する。0.05のα水準(両側)を有意として仮定する。評価可能な患者集団を使用する。ITT分析も行う。
【0075】
結果に基づいて、研究の終りに、化合物Xで処置された群のより大きい百分率の患者は、プラセボ群に比較して、12週の投薬にわたりバイオマーカーおよびプラーク組織炎症のレベルの減少、およびDWIを使用する脳MRIにより評価された頸動脈内膜切除後の虚血病変[アテローム性動脈硬化症プラーク]の数の減少により決定される心臓血管疾患のレベルの減少を示す。
【0076】
実施例5
化合物Xのカプセル剤を下記の手順により製造した。
化合物Xのカプセル剤は3つの強度:25mg、50mgおよび75mgにおいて製造された。これらのカプセル剤は、50%活性処方の3つの異なる充填重量で充填されて前記3つの強度を達成した。成分およびパッケージング成分はすべての3つの強度について同じであった。
【0077】
50%化合物X、ラクトース一水和物、プレゼラチン化デンプン(pregelatinized starch)、デンプングリコール酸ナトリウム、ポビドンおよびUSP水を含有する7つのサブバッチからなる普通の湿式造粒法を使用して化合物Xカプセル剤を製造した。7つのサブバッチを乾燥し、粉砕しそしてクロスポビドン、ベヘン酸グリセリンおよびステアリン酸マグネシウムとブレンドした。粉砕されそしてブレンドされた物質を次いで指示された充填重量にカプセル化した。普通の顆粒化のバッチ組成は表2に示される。化合物Xカプセル剤25mgのバッチ組成は表3に示され、化合物Xカプセル剤25mgのバッチ組成は表4に示され、化合物Xカプセル剤75mgのバッチ組成は表5に示される。
【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化3】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、低級アルコキシまたはヒドロキシであり;Yは、−O−または−S−であり;Lは、低級アルキレンおよび低級アルケニレンであり;そしてXは、分岐状または直鎖低級アルキレンであり、そしてMは、水素、薬学的に許容されうるカチオンまたは薬学的に許容されうる代謝的に開裂されうる基である)
で示される化合物またはその薬学的に有効な塩を含有する組成物を患者に投与することを含み、該化合物がアテローム性動脈硬化症プラークと闘うために有効な量で投与される、ヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症プラークと闘うための方法。
【請求項2】
前記投与が、アテローム性動脈硬化症プラークを有すると診断されている患者を処置するためである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処置が、更なるアテローム性動脈硬化症プラークの形成を安定化および/または遅延させるためである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物を経口投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物を、約0.2〜約3.0mg/kg体重の日量で前記患者に経口投与する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記投与が、以前にアテローム性動脈硬化症プラークにより引き起こされた心臓発作または卒中に罹ったことがある患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
投与が、アテローム性動脈硬化症プラークの形成を予防または遅延させるためである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物を経口投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物を、約0.2〜約3.0mg/kg体重の日量で前記患者に経口投与する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記投与が、心臓血管疾患に感受性である患者にである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記投与が、アテローム性動脈硬化症プラークの形成を遅延させるかまたは予防するためである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物を経口投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物を、約0.2〜約3.0mg/kg体重の日量で患者に経口投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
式:
【化4】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、低級アルコキシまたはヒドロキシであり;Yは、−O−または−S−であり;Lは、低級アルキレンおよび低級アルケニレンであり;そしてXは、分岐状または直鎖低級アルキレンであり、そしてMは、水素、薬学的に許容されうるカチオンまたは薬学的に許容されうる代謝的に開裂されうる基である)
で示される化合物またはその薬学的に有効な塩を含有する組成物を患者に投与することを含み、該化合物が心臓血管疾患と闘うのに有効な量で投与される、ヒト患者における心臓血管疾患と闘うための方法。
【請求項21】
前記投与が、心臓血管疾患を有すると診断されている患者を処置するためである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物を経口投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物を、約0.2〜約3.0mg/kg体重の日量で前記患者に経口投与する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記投与が、以前に心臓発作、卒中または末梢動脈疾患に罹ったことがある患者に前記組成物を投与することにより、心臓血管疾患を処置するためである、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物を経口投与する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物を、約0.2〜約3.0mg/kg体重の日量で前記患者に経口投与する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記投与が、心臓血管疾患を予防するために、心臓血管疾患に感受性である患者にである、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物を経口投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物を、約0.2〜約3.0mg/kg体重の日量で患者に経口投与する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
式:
【化5】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、低級アルコキシまたはヒドロキシであり;Yは、−O−または−S−であり;Lは、低級アルキレンおよび低級アルケニレンであり;そしてXは、分岐状または直鎖低級アルキレンであり、そしてMは、水素、薬学的に許容されうるカチオンまたは薬学的に許容されうる代謝的に開裂されうる基である)
で示される化合物またはその薬学的に許容されうる塩を有効成分として含み、該有効成分が約25mg〜約200mgの量で存在する、経口投与用の単位剤形の組成物。
【請求項37】
前記有効成分が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記単位経口剤形が、錠剤またはカプセル剤である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記有効成分が、N−[3−[5−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−チエニル]−1−メチル−2−プロピニル]−N−ヒドロキシ尿素である、請求項38に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−500347(P2010−500347A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523758(P2009−523758)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/016030
【国際公開番号】WO2008/020939
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(509037640)ブイアイエイ・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】VIA PHARMACEUTICALS,INC.
【Fターム(参考)】