説明

アナタース型八面体酸化チタン微粒子の製造方法および酸化チタン微粒子群

【課題】単分散状態の八面体酸化チタン微粒子を簡便かつ再現性よく高収率で製造する方法を提供すること。
【解決手段】原料の長繊維状のチタン酸または長繊維状の酸化チタンと純水を耐圧容器に入れて、140〜190℃で12〜48時間水熱処理を行う。水熱処理を終えた後、耐圧容器内の混合物から水熱処理により生成した酸化チタン微粒子を遠心分離などにより回収する。回収された酸化チタン微粒子は、結晶性が高くかつ比表面積が大きいアナタース型八面体酸化チタン微粒子であり、光触媒の材料として好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナタース型八面体酸化チタン微粒子の製造方法、およびアナタース型八面体酸化チタン微粒子を含む酸化チタン微粒子群に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタン微粒子は、大気汚染物質や水質汚濁物質などを分解する光触媒作用を示すことが知られている。一般的に、酸化チタン微粒子は、比表面積の大きなものほど分解対象物に対して高い吸着性能を有するため、比表面積の大きなものほど優れた分解特性を示す。酸化チタンには、アナタース、ルチル、ブルッカイトなどの結晶構造がある。このうちアナタース型酸化チタンは、結晶性が高く、優れた分解特性を示すことが知られている。
【0003】
天然のアナタース型酸化チタンの結晶(鋭錐石)は、八つの等価な結晶面({101}面)を有する八面体の形状を有する。しかし、天然の八面体酸化チタン結晶は、(1)その大きさが数ミリ程度と大きいため、その比表面積が小さいこと、(2)他の結晶相と共生していたり、他の成分が混在していたりするため、アナタース型酸化チタンの純度が低いこと、(3)表面がルチル型構造に置換されていたりするため、有色または不透明であることが多いこと、(4)結晶微粒子が鉱石に取り込まれておりかつその数が少ないため、結晶微粒子として精製するのが困難であること、などの理由により光触媒の材料としては適切ではない。そこで、結晶性が高くかつ比表面積が大きいアナタース型酸化チタン微粒子の製造方法を確立することが望まれている。
【0004】
非特許文献1には、ガラス基板上に八面体酸化チタン微粒子を配向させた膜を製造する方法が開示されているが、八面体酸化チタン微粒子を高収率かつ単分散状態で製造する方法は開示されていない。
【0005】
一方、非特許文献2には、ナノサイズのアナタース型酸化チタン微粒子を水熱処理(100〜250℃,15〜40バール)することにより、アナタース結晶の{101}面を選択的に成長させた八面体酸化チタン微粒子を得られることが開示されている。
【非特許文献1】Donghai Wang, Jun Liu, QishengHuo, Zimin Nie, Weigang Lu, Rick E. Williford, and Ying-Bing Jiang, "Surface-Mediated Growth of Transparent, Oriented, and Well-Defined Nanocrystalline Anatase Titania Films", Journal of the American Chemical Society, Vol. 128, No. 42, 2006, pp. 13670-13671.
【非特許文献2】R. Lee Penn and Jillian F. Banfield, "Morphology development and crystal growth in nanocrystallineaggregates under hydrothermal conditions: insights from titania", Geochimica et Cosmochimica Acta, Vol. 63, No. 10, 1999, pp. 1549-1557.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献2の方法には、単分散状態の八面体酸化チタン微粒子を高収率で製造できないという問題がある。
【0007】
すなわち、非特許文献2の方法では、単分散状態の八面体酸化チタン微粒子だけでなく、{101}面以外の結晶面を含む酸化チタン微粒子や、八面体酸化チタン粒子同士が{112}面で連結したものなども生成されてしまうのである。また、非特許文献2の方法は、八面体酸化チタン微粒子だけでなく球状の酸化チタン微粒子も生成してしまうため、単分散状態の八面体酸化チタン微粒子の収率が低いのである。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、単分散状態の八面体酸化チタン微粒子を簡便かつ再現性よく高収率で製造する方法、および単分散状態の八面体酸化チタン微粒子を高い割合で含む酸化チタン微粒子群を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、長繊維状のチタン酸または長繊維状の酸化チタンを水熱処理することで上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の製造方法に関する。
【0010】
[1]長繊維状のチタン酸または長繊維状の酸化チタンを水熱処理するステップを含む、アナタース型八面体酸化チタン微粒子の製造方法。
[2]前記長繊維状のチタン酸は、チタン酸ナノチューブ、チタン酸ナノワイヤー、チタン酸ナノリボンまたはチタン酸ナノロッドのいずれかであり、前記長繊維状の酸化チタンは、酸化チタンナノチューブ、酸化チタンナノワイヤー、酸化チタンナノリボンまたは酸化チタンナノロッドのいずれかである、[1]に記載の製造方法。
[3]前記水熱処理は、140〜190℃で12〜48時間行われる、[1]または[2]に記載の製造方法。
【0011】
また、本発明は、以下の酸化チタン微粒子群に関する。
【0012】
[4]複数のアナタース型八面体酸化チタン微粒子を含む酸化チタン微粒子群であって、前記アナタース型八面体酸化チタン微粒子の数の割合が60%以上である、酸化チタン微粒子群。
[5]複数のアナタース型八面体酸化チタン微粒子を含む酸化チタン微粒子群であって、前記アナタース型八面体酸化チタン微粒子は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定された粒子径の平均値が50〜250nmの範囲内で、かつその対数スケールの標準偏差が150nm以下である、[4]に記載の酸化チタン微粒子群。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、単分散状態の八面体酸化チタン微粒子を簡便かつ再現性よく高収率で製造することができる。本発明により製造される酸化チタン微粒子は、結晶性が高くかつ比表面積が大きいアナタース型八面体酸化チタン微粒子であるため、本発明により、光触媒の材料として好適な酸化チタン微粒子を容易に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1.本発明のアナタース型八面体酸化チタン微粒子の製造方法
[製造方法について]
本発明の八面体酸化チタン微粒子の製造方法は、長繊維状のチタン酸または長繊維状の酸化チタンを水熱処理するステップを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の製造方法では、原料として長繊維状のチタン酸(一般式TiO・nH0)または長繊維状の酸化チタンを使用する。ここで「長繊維状のチタン酸」とは、チタン酸またはチタン酸塩(一般式TiO・nA0;Aはナトリウムやカリウムなどのアルカリイオン)の高アスペクト比のナノ構造体を意味し、「長繊維状の酸化チタン」とは、酸化チタンの高アスペクト比のナノ構造体を意味する。「高アスペクト比のナノ構造体」とは、直径5〜50nm程度、長さ100μm以上のナノ構造体を意味する。高アスペクト比のナノ構造体の例には、ナノチューブ、ナノワイヤー、ナノリボン、ナノロッドなどが含まれる。長繊維状のチタン酸および長繊維状の酸化チタンは、ナノレベルの非常に細かい結晶構造を有し、大きな比表面積(例えば、150m−1以上)を有しているため、比表面積が大きい八面体酸化チタン微粒子を製造する原料として好ましい。
【0016】
本発明の製造方法では、上記原料(長繊維状のチタン酸または長繊維状の酸化チタン)を水熱処理して八面体酸化チタン微粒子を製造する。水熱処理を行う方法は特に限定されず、例えば耐圧容器(オートクレーブ)に原料および水を入れ、耐圧容器を密閉した状態で耐圧容器を加熱すればよい。このとき、原料の種類によっては、原料と水との混合物に水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどのアルカリを少量添加することが好ましい。水熱処理の条件は特に限定されず、原料の量や種類に応じて適宜設定すればよい。例えば、長繊維状のチタン酸または長繊維状の酸化チタン0.1gに超純水を30mL程度加えたものを容積100mL程度の耐圧容器に入れて(空隙率70%)、140〜190℃程度の温度で12〜48時間程度(好ましくは、170℃で24時間)加熱することで、八面体酸化チタン微粒子を高収率で製造することができる。
【0017】
本発明の製造方法は、例えば以下の手順により行われる。
【0018】
まず、原料(長繊維状のチタン酸または長繊維状の酸化チタン)および純水をテフロン(登録商標)容器に入れ、これらを十分に混合する。次いで、このテフロン容器を耐圧容器(オートクレーブ)に入れて、耐圧容器を密閉する。密閉した耐圧容器を乾燥機内に配置し、140〜190℃程度の温度で12〜48時間程度加熱して水熱処理を行う。水熱処理を終えた後、テフロン容器内の混合物から水熱処理により生成した八面体酸化チタン微粒子を遠心分離などにより回収する。
【0019】
後述する実施例に示すように、本発明の製造方法は、単分散状態のアナタース型八面体酸化チタン微粒子を再現性よく高収率(60%以上)に製造することができる。すなわち、本発明の製造方法は、後述する本発明の酸化チタン微粒子群を製造することができる。
【0020】
[アナタース型八面体酸化チタン微粒子について]
本発明の製造方法で製造される酸化チタン微粒子(以下、「本発明の(八面体)酸化チタン微粒子」ともいう)は、両四角錐(八面体)の形状を有し、かつ単分散状態で存在していることを特徴とする。
【0021】
図1および図2は、本発明の酸化チタン微粒子の典型的な形状を示す模式図である。図1は、図2の矢印210の方向から見た酸化チタン微粒子100を示す図であり、図2は、図1の矢印200の方向から見た酸化チタン微粒子100を示す図である。このように、本発明の酸化チタン微粒子は、両四角錐の形状を有しており、また、他の酸化チタン微粒子と連結せずに単分散状態で存在している。なお、両四角錐の各頂点は、図1および図2に示すように先端まで尖っている必要は必ずしもなく、例えば、丸みを帯びた形状であったり、先端が削られた形状であったりしてもよい。酸化チタン微粒子の形状が八面体であるかどうかは、例えば走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで観察することで調べることができる。同様に、酸化チタン微粒子が単分散状態で存在しているかどうかも、例えば走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで観察することで調べることができる(実施例参照)。
【0022】
本発明の八面体酸化チタン微粒子は、(101),(−101),(10−1),(−10−1),(011),(0−11),(01−1),(0−1−1)の八つの等価な結晶面({101}面)を有する。本発明の八面体酸化チタン微粒子は、特定の結晶面({101}面)が選択的に成長することにより形成されたものであり、アナタース型の結晶構造を有している。このようなアナタース型の酸化チタン粒子は、結晶性が高く、電子と正孔との再結合が抑制されるため、光触媒として優れている。酸化チタン微粒子の結晶構造がアナタース型であるかどうかは、例えばX線回折法により調べることができる(実施例参照)。
【0023】
本発明の八面体酸化チタン微粒子の大きさは、長軸方向の長さで概ね200nm以下であり、従来の製造方法で得られた酸化チタン微粒子に比べてバラつきが少ないことを特徴とする。これは、本発明の製造方法は、収率が60%以上と高く、八面体酸化チタン微粒子以外の酸化チタン微粒子(例えば、球状の酸化チタン微粒子や連結構造の酸化チタン微粒子など)をほとんど生成しないためである(後述)。
【0024】
後述する実施例に示すように、本発明の八面体酸化チタン微粒子は、汚染物質の分解に対して高い光触媒活性を示す。これは、本発明の八面体酸化チタン微粒子は、その大きさ(長軸方向の長さ)が概ね200nm以下であるため、比表面積が大きく(10m−1以上)、分解対象の汚染物質の吸着性能に優れているためである。
【0025】
2.本発明の酸化チタン微粒子群
本発明の酸化チタン微粒子群は、前述のアナタース型八面体酸化チタン微粒子を含む酸化チタン微粒子群であって、以下の特徴を有する。
【0026】
本発明の酸化チタン微粒子群は、すべての酸化チタン微粒子の数に対するアナタース型八面体酸化チタン微粒子の数の割合が60%以上であることを特徴とする。すべての酸化チタン微粒子の数に対するアナタース型八面体酸化チタン微粒子の数の割合を調べるには、例えば走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで観察することで調べることができる(実施例参照)。
【0027】
また、本発明の酸化チタン微粒子群は、それに含まれるアナタース型八面体酸化チタン微粒子の多くが単分散状態で存在していることを特徴とする。ここで「単分散状態」とは、アナタース型八面体酸化チタン微粒子が他の酸化チタン微粒子と連結していないことを意味する。前述のように、酸化チタン微粒子が単分散状態で存在しているかどうかは、例えば走査電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで観察することで調べることができる(実施例参照)。
【0028】
また、酸化チタン微粒子が単分散状態で存在しているかどうかは、実施例に示すように、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて酸化チタン微粒子の粒度分布を測定することでも確認することができる。具体的には、酸化チタン微粒子群に含まれる酸化チタン微粒子の粒度分布をレーザ回折式粒度分布測定法で測定して、粒子径の平均値が50〜250nmの範囲内で、かつその対数スケールの標準偏差が150nm以下であるかどうかを調べればよい。これらの範囲よりも粒子径が大きい(例えば、800nm以上)粒子が検出された場合は、酸化チタン微粒子が単分散状態ではなく他の酸化チタン微粒子と連結した状態で存在していると考えられる。
【0029】
本発明のアナタース型八面体酸化チタン微粒子群は、例えば、上記本発明の製造方法により製造されうる。
【0030】
本発明のアナタース型八面体酸化チタン微粒子群は、高い光触媒活性を有するアナタース型の八面体酸化チタン微粒子を高い割合で有するため、光触媒の材料として好適である。
【0031】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【実施例】
【0032】
本実施例では、長繊維状のチタン酸を原料としてアナタース型八面体酸化チタン微粒子(を含む酸化チタン微粒子群)を製造した例を示す。
【0033】
[八面体酸化チタン微粒子の製造]
まず、原料の長繊維状チタン酸(アースクリーン東北製)0.1gおよび純水32mLをガラス容器に入れ、攪拌および超音波照射して十分に混合した。長繊維状のチタン酸は、平均直径が5〜30nm、長さが100nm以上、比表面積が約350〜400m−1であった。得られた混合液を内容積100mLのテフロン(登録商標)容器(三愛科学)内に入れて、テフロン容器を密閉した。次いで、密閉したテフロン容器を耐圧分解容器(オートクレーブ;三愛科学)内に入れて、耐圧分解容器を密閉した。密閉した耐圧分解容器を乾燥機内に配置し、170℃で12〜48時間加熱して水熱処理を行った。
【0034】
水熱処理を終えた後、テフロン容器内の混合物を遠心分離して、水熱処理により生成した沈殿物を回収した。回収した沈殿物を120℃で乾燥させて白色粉末を得た。
【0035】
図3は、得られた白色粉末を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。図3に示すように、原料の長繊維状チタン酸は観察されず、すべての長繊維状チタン酸は形態変化しており、主に八面体の形状を有する微粒子に形態変化していた。これら八面体微粒子の大きさ(長軸方向の長さ)は200nm以下であった。形状が不明瞭な微粒子が部分的に含まれているが、すべての微粒子に対する八面体微粒子の数の割合は60%以上(60〜70%の間)であった。
【0036】
図4は、得られた試料(白色粉末)のX線回折パターンを示す図である。図4では、アナタース型酸化チタン由来の回折ピーク(図中◆で示す)のみが見られることから、得られた試料はすべてアナタース型酸化チタンであることが確認された。水熱処理を24時間以上行って得られた試料には、原料のチタン酸は含まれていなかった。これらの結果から、得られた試料におけるアナタース型八面体酸化チタン微粒子の数の割合は60%以上であることが確認された。
【0037】
また、水熱処理を0時間(未処理),24時間,48時間行って得られた試料について、それぞれの比表面積をBET法による窒素吸着測定により求めた。表1は、その結果を示す表である。水熱処理時間が0時間の試料とは、長繊維状チタン酸を意味する。表1に示すように、本実施例で得られた八面体酸化チタン微粒子の比表面積は、15m−1以上であった。
【表1】

【0038】
さらに、得られた試料の粒度分布を、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所、SALD−7000)を用いて測定した。水熱処理を24時間行って得られた試料10mgを純水10mLに加え、超音波処理により分散させ、純水で測定適正濃度に希釈したものを測定試料とした。粒度分布計算には、アナタース型酸化チタンの屈折率を用いた。
【0039】
図5は、粒度分布の測定結果を示すグラフである。本測定法により見積もられた粒子径の平均213nmであり、その対数スケールの標準偏差は129nmであった。本測定法により見積もられた平均粒子径(213nm)が前記走査型電子顕微鏡により観察された粒子径(200nm以下)よりも大きいのは、本測定法では粒子形状を真球状と仮定して粒度分布計算しており、八面体酸化チタン微粒子の粒度分布計算に誤差が生じているためと考えられる。本実施例で製造された八面体酸化チタン微粒子は、単分散状態であり、ほとんど二次粒子を形成していないことが確認された。
【0040】
[光触媒活性評価]
本実施例で製造した八面体酸化チタン微粒子の光触媒作用による汚染物質分解活性を、酢酸水溶液中の酢酸分子を汚染物質として以下に示す方法で評価した。また、比較例として市販の高活性酸化チタン微粒子(日本アエロジル:P25)についても同様の評価を行った。
【0041】
まず、内径15mmの密閉容器に、5体積%の酢酸水溶液5mLおよび八面体酸化チタン微粒子50mgを入れた。次いで、スターラーチップを用いて懸濁させた八面体酸化チタン微粒子含有酢酸水溶液に高圧水銀灯による紫外光を照射し、水溶液から1時間あたりに発生する二酸化炭素(CO)の量を測定した。このCO生成速度(1時間あたりのCO発生量)を光触媒作用による汚染物質分解活性として、本実施例で製造した八面体酸化チタン微粒子および比較例の酸化チタン微粒子の汚染物質分解活性を評価した。
【0042】
表2は、本実施例で製造した八面体酸化チタン微粒子の汚染物質分解活性(光触媒活性)を示す表である。比較例の酸化チタン微粒子の比表面積は48.2m−1であり、CO生成速度は38.3μmol h−1であった。以上のことから、本発明の八面体ナノ構造酸化チタン微粒子(CO生成速度:54.2μmol h−1)は、市販の高活性酸化チタン微粒子(CO生成速度:38.3μmol h−1)に比べて優れた光触媒活性を有することがわかる。
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、優れた性能を有する光触媒として利用可能な酸化チタン微粒子の提供に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の八面体酸化チタン微粒子の形状を示す模式図
【図2】本発明の八面体酸化チタン微粒子の形状を示す別の模式図
【図3】実施例で製造した八面体酸化チタン微粒子を示す写真
【図4】実施例で製造した八面体酸化チタン微粒子のX線回折パターンを示す図
【図5】実施例で製造した八面体酸化チタン微粒子の粒子径の分布を示すグラフ
【符号の説明】
【0045】
100 アナタース型八面体酸化チタン微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長繊維状のチタン酸または長繊維状の酸化チタンを水熱処理するステップを含む、アナタース型八面体酸化チタン微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記長繊維状のチタン酸は、チタン酸ナノチューブ、チタン酸ナノワイヤー、チタン酸ナノリボンまたはチタン酸ナノロッドのいずれかであり、前記長繊維状の酸化チタンは、酸化チタンナノチューブ、酸化チタンナノワイヤー、酸化チタンナノリボンまたは酸化チタンナノロッドのいずれかである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記水熱処理は、140〜190℃で12〜48時間行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
複数のアナタース型八面体酸化チタン微粒子を含む酸化チタン微粒子群であって、
前記アナタース型八面体酸化チタン微粒子の数の割合が60%以上である、酸化チタン微粒子群。
【請求項5】
複数のアナタース型八面体酸化チタン微粒子を含む酸化チタン微粒子群であって、
前記アナタース型八面体酸化チタン微粒子は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定された粒子径の平均値が50〜250nmの範囲内で、かつその対数スケールの標準偏差が150nm以下である、請求項4に記載の酸化チタン微粒子群。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−297147(P2008−297147A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143915(P2007−143915)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【出願人】(507177836)株式会社アースクリーンテクノ (2)
【Fターム(参考)】