説明

アニオン染料の安定な液体配合物

本発明は、下記式(I)(置換基は各々請求項1に規定されるとおりである)のアニオン染料の塩及び/又は遊離酸及び2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールを含む、アニオンジアゾ染料の濃縮水溶液に関し、また、ヒドロキシル含有基材を染色及び/又はプリントするためのこれらの溶液の使用及びインクジェットインクの製造のためのこれらの溶液の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は濃縮された貯蔵安定な水性染料溶液、特に、アニオンジアゾ染料を含む、濃縮された貯蔵安定な水性染料溶液に関する。本発明は、さらに、本発明の濃縮された染料溶液の使用であって、もし適切ならば水で希釈された後に、特に、カード及びボードを含む紙を染色及びプリントするための使用に関する。本発明は、また、本発明の濃縮された染料溶液を用いることによる、印刷インク、特に、インクジェット印刷インクの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
工業染色及びプリントは水性媒体中で慣用的に行われている。そのため、微細染料を最初に、通常には暖水又は熱水中に溶解し、プリント又は染色するために使用することができるようにしなければならない。
【0003】
重量又は体積的に染料の添加を制御するための計量装置が近年開発されてきた。そして粉末又は粒剤でなく、安定した染料溶液がしばしば要求されている。
【0004】
このような染料溶液はほこりにならず、また、費用を要する溶解操作を必要としないという利点もある。
【0005】
このような溶液は、特定の安定性を有し、そのため、輸送又は保管の際に沈殿しない。通常、0〜5℃において長期にわたって安定であるべきであり、50℃付近でも安定であるべきである。また、凍結された溶液は解凍後に安定であるべきであり、ポンピングの際に安定性の問題を呈するべきでない。沈殿物を含む溶液はポンピング又は計量装置を混乱させることがあり、そして許容されない機械の停止及び費用のかかる洗浄及びメインテナンスをもたらすことがある。
【発明の開示】
【0006】
したがって、本発明は、下記式のアニオン染料の塩及び/又は遊離酸及び2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールを含む、アニオンジアゾ染料の濃縮水溶液を提供する。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Dは下記式(a)
【化2】

【0009】
であり、R、R及びRは、独立に、H、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−SOH、−OHもしくは−CN、又は、独立に、−SO−Yもしくは−O−Yであり、Yは置換されていないC1−4アルケニル基又は置換されていないC1−4アルキル基であり、又は、YはNC−、HO−、HOSO−、ハロゲン置換されたC1−4アルケニル基もしくはNC−、HO−、HOSO−、ハロゲン置換されたC1−4アルキル基であり、又は、Yは−NR1112であり、R11及びR12は独立にH、C1−4アルキル基もしくは置換されたC1−4アルキルであり、又は、間に配置される窒素と一緒に組み合わせて5もしくは6員環を形成し、その環は1個又は2個又は3個のヘテロ原子(前記窒素のほか、1個又は2個のN,O又はS原子)を含んでよく、その場合、該複素環は置換されていないか又は該複素環は1個又は2個のC1−4アルキル基で置換されており、又は、
Dは二環式の環系であり、それは、C1−4アルコキシ基、−SOH、−OHもしくは−CN、又は、独立に−SO−Yもしくは−O−Yによって置換されていてよく、Yは置換されていないC1−4アルケニル基又は置換されていないC1−4アルキル基であり、又は、YはNC−、HO−、HOSO−、ハロゲン置換されたC1−4アルケニル基もしくはNC−、HO−、HOSO−、ハロゲン置換されたC1−4アルキル基であり、又は、Yは−NR1112であり、R11及びR12は上記に規定したとおりであり、前記環の各々は独立に5もしくは6員環であってよく、該5もしくは6員環は1個又は2個又は3個のヘテロ原子(前記窒素のほか、1個又は2個のN,O又はS原子)を含んでよく、該二環式の環系はアゾ基を介して結合された置換基によってさらに置換されておらず、
Mは橋かけフェニル基であり、それは置換されていなくても又はC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホ、シアノ又はハロゲンによって置換されていてもよく、
nが1であるときには、Bは水素、置換されてないアリール基、置換されたアリール基、又は、下記式を有するトリアジン誘導体、
【化3】

であり、X及びXは独立に、置換されていないアミン−NH又は置換されたアミン−NR2122であり、R11及びR22は独立に以下の意味である:H、C1−4アルキル基もしくは置換されたC1−4アルキルであり、又は、間に配置される窒素と一緒に組み合わせて5もしくは6員環を形成し、その環は1個又は2個又は3個のヘテロ原子(前記窒素のほか、1個又は2個のN,O又はS原子)を含んでよく、その場合、該複素環は置換されていないか又は該複素環は1個又は2個のC1−4アルキル基で置換されており、又は、
nが2であるときには、Bは下記式の橋かけ基
【化4】

又は下記式の橋かけ基
【化5】

であり、Xは上記のとおりである)。
【0010】
本明細書中に使用されるときに、アルキルは一般に直鎖又は枝分かれのアルキル基を意味すると理解されるべきである。それは好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。それは、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルである。
【0011】
適切なアルコキシ基は好ましくは1〜4個の炭素原子であり、たとえば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ又はtert−ブトキシである。
【0012】
アリール基及び/又はフェニル基についての適切な置換基は、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホ、シアノ又はハロゲンである。
【0013】
ハロゲンはフッ素、臭素、ヨウ素又は塩素である。塩素は好ましいハロゲンである。
【0014】
アリール基は芳香族炭素環又は複素環基を構成し、たとえば、二環式であることができ、たとえば、ピリジル、ナフチル又はフェニルであることもできる。フェニルは特に好ましい。二環式の環系の場合において、環の各々は、独立に、1個又は2個又は3個のヘテロ原子(窒素のほか、1個又は2個のN,O又はS原子)を含んでよい5もしくは6員環であることができ、単環式の置換基と同様に、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−SOH、−OHもしくは−CN、又は、独立に−SO−Yもしくは−O−Yによって置換されていてよく、Yは置換されていないC1−4アルケニル基又は置換されていないC1−4アルキル基であり、又は、YはNC−、HO−、HOSO−、ハロゲン置換されたC1−4アルケニル基もしくはNC−、HO−、HOSO−、ハロゲン置換されたC1−4アルキル基であり、又は、Yは−NR1112であり、R11及びR12は独立にH、C1−4アルキル基もしくは置換されたC1−4アルキルであり、又は、間に配置される窒素と一緒に組み合わせて5もしくは6員環を形成し、その環は1個又は2個又は3個のヘテロ原子(前記窒素のほか、1個又は2個のN,O又はS原子)を含んでよく、その場合、該複素環は置換されていないか又は該複素環は1個又は2個のC1−4アルキル基で置換されている。
【0015】
適切なアニオンジアゾ染料は好ましくは下記式
【化6】

【0016】
であり、置換基は各々上記に規定されたとおりである。
【0017】
好ましい態様において、置換基は以下の意味を有する:Dは下記式(a’)の基
【化7】

【0018】
であり、R、R及びRは独立にH、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−SOH、−OH又は−CNであり、
Mは橋かけフェニル基であり、それは置換されていなくても又はC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、スルホ、カルボキシル又はヒドロキシルによって置換されていてもよく、そして
BはH、置換されていないフェニル基もしくは置換されたフェニル基又は下記式の置換されたトリアジン誘導体、
【0019】
【化8】

【0020】
であり、X及びXは独立に上記に規定したとおりであり、nは1である。
好ましくは、BはH、置換されていないフェニル基又は置換されたフェニル基である。
【0021】
特に非常に好ましいのは式(I’)のアニオンジアゾ染料であり、
Dは下記式のフェニル基(a”)
【化9】

であり、R、R及びRは独立にH、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、−SOHであり、Mは橋かけフェニル基であり、それはC1−2アルキル、C1−2アルコキシ及びスルホによって置換されていてもよく、そしてBは置換されたフェニル基であり、nは1である。
【0022】
特に好ましいアニオンジアゾ染料において、フェニル基Dにスルホ基がある。特に好ましいアニオンジアゾ染料において、アルキル基はメチル基であり、アルコキシ基はメトキシ基である。
【0023】
特に好ましいアニオンジアゾ染料において、中間要素はパラ置換されたフェニル基であり、すなわち、1−4位にある橋かけである。
【0024】
本発明による溶液はさらなる成分を含んでよく、たとえば、水溶性有機可溶化剤及び/又は殺生物剤をさらに含んでよい。
【0025】
適切な水溶性有機可溶化剤は、たとえば、尿素、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、水混和性多価アルコール、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、アルカノールアミン、たとえば、エタノールアミン、トリエタノールアミンである。好ましい水溶性有機可溶化剤はトリエタノールアミンである。
【0026】
適切な水溶性有機可溶化剤は0〜15質量%の量で添加され、より好ましくは2〜10質量%、最も好ましくは3〜6質量%の量で添加される。
【0027】
いかなる殺生物剤も適切である。しかし、FDA及び/又はBGVV認可のある殺生物剤を用いるのが好ましい。グラムポジティブ又はグラムネガティブバクテリア、イースト及び菌類の成長を抑制することができる殺生物剤は本発明の溶液中に使用されてよい。適切な殺生物剤は、たとえば、チアゾール−3−オン誘導体、たとえば、アルキル及び/又は塩素化チアゾール−3−オン誘導体又はその混合物である。通常、殺生物剤は、組成物100万質量部あたり15質量部(ppm)の量から1000ppm以下の量で使用され、特に好ましいのは50ppm〜500ppm(使用可能に製造された組成物あたりの質量部)である。
【0028】
本発明の濃縮された溶液は、均質な溶液が形成するまで、水と2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールとの混合物とともに、遊離酸染料を攪拌することで一般に製造される。
【0029】
混合物中のポリグリコールアミンの量は、(完全な塩の形成に要求される量と比較して)欠乏又は過剰で存在するように、広い制限値の範囲で変更することができる。しかし、好ましくは、完全な塩を形成するのに要求される量以上の量が用いられる。
【0030】
本発明の安定な溶液は、好ましくは10質量%以上の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールを含む。特に好ましい態様において、本発明の安定な溶液は10質量%以上の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールを含み、そして3質量%以上の水溶性可溶化剤を含む。
【0031】
溶液は、一般に、
5〜40質量%のアニオン染料(遊離酸として計算)、
5〜40質量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール及び
20〜90質量%の水を含む。
【0032】
好ましい濃縮溶液は、
10〜30質量%の染料、
10〜30質量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール及び、
40〜80質量%の水を含む。
【0033】
本発明の溶液が可溶化剤をさらに含む場合には、本発明による溶液の組成物は一般に、
5〜40質量%の染料(遊離酸として計算)、
5〜40質量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール及び、
3〜10質量%の水溶性有機可溶化剤ならびに
10〜88質量%の水を含む。
【0034】
好ましい濃縮溶液は、
10〜30質量%の染料、
10〜30質量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール及び、
3〜6質量%の水溶性有機可溶化剤ならびに
34〜77質量%の水を含む。
【0035】
本発明の濃縮溶液は貯蔵時の優れた安定性、室温及び室温を下回る温度、たとえば、0〜5℃での低い粘度が特に顕著である。より特には、本発明の濃縮溶液は−20℃で2日間冷凍した際にも安定であり、そして解凍後に0〜5℃で安定のままであり、さらに、25℃及び50℃で14日間安定であり、沈殿の兆候を示さない。わずかに冷凍点より低く冷却したときに、本発明による濃縮溶液の粘度は、あったとしてもほんのわずかにしか上昇を示さず、そのため、低温でも常温でも容易に計量を行うことができる。
【0036】
本発明の濃縮染料溶液は、適切ならば水で希釈した後に使用されて、ヒドロキシル含有基材を染色及び/又はプリントする。より特には、本発明の溶液は、カード及びボードを含む紙を染色するために使用され、これらの材料はパルプ中で、たとえば、コーティング又はディッピングによって染色可能である。さらに、このような液体配合物は、また、テキスタイル材料、特にセルロースのための連続又はバッチ染色法にも使用されうる。
【0037】
本発明は、また、適切ならば水で希釈した後に本発明の濃縮溶液で染色及び/又はプリントされたヒドロキシル含有基材を含む。より特には、本発明は、また、本発明の濃縮染料溶液で染色及び/又はプリントされた、カード及びボードを含む紙を含む。さらに、このような液体配合物は、また、テキスタイル材料、特にセルロースのための連続又はバッチ染色法にも使用されうる。
【0038】
さらに、本発明の濃縮染料溶液は水性及び非水性インクジェットインク、また、ホットメルトインク中の着色剤として有用である。
【0039】
インクジェットインクは、一般に、合計で0.5〜15質量%、好ましくは1.5〜8質量%(乾燥基準、すなわち、純粋な染料含有分に計算しなおして)の1以上の本発明の濃縮染料溶液を含む。
【0040】
マイクロエマルジョンインクは有機溶剤及び水をベースとし、追加のヒドロトロピー性物質(界面メディエータ)を含む又は含まない。マイクロエマルジョンインクは、一般に、0.5〜15質量%、好ましくは1.5〜8質量%の1以上の本発明の濃縮染料溶液、5〜99質量%の水及び0.5〜94.5質量%の有機溶剤及び/又はヒドロトロピー性化合物を含む。
【0041】
溶剤型インクジェットインクは好ましくは0.5〜15質量%の1以上の本発明の濃縮染料溶液、85〜99.5質量%の有機溶剤及び/又はヒドロトロピー性化合物を含む。
【0042】
ホットメルトインクは、通常、ワックス、脂肪酸、脂肪族アルコール又はスルホンアミドをベースとし、それは室温で固体であり、加熱時に液化し、好ましい融点範囲は約60℃〜約140℃である。ホットメルトインクジェットインクは、たとえば、20〜90質量%のワックス、1〜10質量%の本発明の1以上の濃縮染料溶液から本質的になる。それは0〜20質量%の追加のポリマー(染料溶解剤)、0〜5質量%の分散助剤、0〜20質量%の粘度調節剤、0〜20質量%の可塑化剤、0〜10質量%の粘着付与剤、0〜10質量%の透明安定化剤(たとえば、ワックスの結晶化を抑制する)、及び、0〜2質量%の酸化防止剤を含むことができる。本発明の濃縮染料溶液は、さらに、加色だけでなく、減色による色生成のための、カラーフィルターのための着色剤として有用であり、エレクトロニクスインク(e−インク)又はエレクトロニクスペーパー(e−ペーパー)のための着色剤としても有用である。
【実施例】
【0043】
以下の実施例は本発明を例示する。記載及び実施例中の全ての%は特に指示がないかぎり、質量基準と理解されるべきである。
例1
400gの下記式の染料
【化10】

をpHが8〜9となるために十分なトリエタノールアミンの添加によって6000mlの脱イオン水中に溶解させ、脱塩し、そして20〜50℃、好ましくは30〜40℃、10〜40バール、より好ましくは20〜30バールの圧力で膜ろ過によって3045gの重量に濃縮する。
【0044】
その後、410gの濃縮染料溶液を75gの2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、15gのトリエタノールアミン及び0.75gの殺生物剤(Proxel GXL(商標);ProxelはZeneca AG Products, Inc.の商品名であり、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(CAS No.2634-33-5)を含む)と混合し、脱イオン水で500gに希釈し、均一になるまで攪拌する。
【0045】
得られる溶液は以下の条件下:2日間、−20℃及び解凍、14日間、0〜5℃、25℃及び50℃で増粘も分離もしない点で貯蔵時に安定である。
【0046】
例2
410gの例1の濃縮染料溶液を、50gの2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、25gのトリエタノールアミン及び0.75gの殺生物剤と混合し、脱イオン水で500gに希釈し、均一になるまで攪拌する。
【0047】
得られる溶液は試験条件下で増粘も分離もしない点で貯蔵時に安定である。
【0048】
以下の染料の安定な濃縮溶液は例1及び2に記載されるのと同様に調製することができる。
【0049】
【表1】

【表2】

【表3】

【0050】
染色処方A
70部の化学漂白したパインウッドスルフィットセルロースと30部の化学漂白したバーチウッドスルフィットセルロースをホランダー(hollander)内で2000部の水中に混ぜ合わせる。それに1.5部の例1の液体染料調剤を加える。20分間の混合の後にそれから紙を製造する。このように得られる吸収性紙は青紫色である。
【0051】
染色処方B
1.5部の例1の液体染料調剤を、ホランダー(hollander)内で2000部の水中に混ぜ合わせた100部の化学漂白したスルフィットセルロースに加える。15分間の混合の後に、樹脂サイズ及び硫酸アルミニウムを用いて慣用のサイジング処理を行う。この材料から製造した紙は各々の場合に青紫色を示す。
【0052】
染色処方C
サイジング処理していない吸収性紙を、95部の水と5部の例1の本発明の染料溶液からなる染料水溶液に40〜50℃で通す。
【0053】
過剰の染料溶液を2つのロールで搾る。乾燥した紙のウェブは各々の場合に青紫色である。
【0054】
例2〜18の染料調剤は処方A〜Cと同様に染色のために使用することができる。
【0055】
染色処方D
5部の例1の染料調剤を、4000部の軟化された水に室温で計量供給する。100部の予備湿潤化した織物綿布を浴に導入し、30分にわたって沸騰加熱する。浴を1時間沸騰で維持し、その間に、蒸発した水は時間とともに十分に製造される。その後、染色物をリカーから取り出し、水で濯ぎ、乾燥する。得られる染色物は青紫色である。
【0056】
例2〜18の染料調剤は同様に綿を染色するために使用することができる。
【0057】
染色処方E
100部の新たになめし処理され、中和されたクロムグレイン皮革を、55℃の250部の水と0.5部の例1により製造された染料調剤のフロート中で30分間ドラミングし、同浴中で、スルホン化された魚油をベースとするアニオンファットリカー2部でさらに30分間処理する。皮革を慣用法で乾燥し、仕上げる。得られる皮革は均一な深紅色(スカーレット)である。
【0058】
さらに低い親和性の植物油なめし処理した皮革も同様に既知の方法によって染色されうる。
【0059】
例2〜18の染料で同様に染色を行なうことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式のアニオン染料の塩及び/又は遊離酸及び2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールを含む、アニオンジアゾ染料の濃縮水溶液。
【化1】

(式中、Dは下記式(a)
【化2】

であり、R、R及びRは、独立に、H、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−SOH、−OHもしくは−CN、又は、独立に、−SO−Yもしくは−O−Yであり、Yは置換されていないC1−4アルケニル基又は置換されていないC1−4アルキル基であり、又は、YはNC−、HO−、HOSO−、ハロゲン置換されたC1−4アルケニル基もしくはNC−、HO−、HOSO−、ハロゲン置換されたC1−4アルキル基であり、又は、Yは−NR1112であり、R11及びR12は独立にH、C1−4アルキル基もしくは置換されたC1−4アルキルであり、又は、間に配置される窒素と一緒に組み合わせて5もしくは6員環を形成し、その環は1個又は2個又は3個のヘテロ原子(前記窒素のほか、1個又は2個のN,O又はS原子)を含んでよく、その場合、該複素環は置換されていないか又は該複素環は1個又は2個のC1−4アルキル基で置換されており、又は、
Dは二環式の環系であり、それは、C1−4アルコキシ基、−SOH、−OHもしくは−CN、又は、独立に−SO−Yもしくは−O−Yによって置換されていてよく、Yは置換されていないC1−4アルケニル基又は置換されていないC1−4アルキル基であり、又は、YはNC−、HO−、HOSO−、ハロゲン置換されたC1−4アルケニル基もしくはNC−、HO−、HOSO−、ハロゲン置換されたC1−4アルキル基であり、又は、Yは−NR1112であり、R11及びR12は上記に規定したとおりであり、前記環の各々は独立に5もしくは6員環であってよく、該5もしくは6員環は1個又は2個又は3個のヘテロ原子(前記窒素のほか、1個又は2個のN,O又はS原子)を含んでよく、該二環式の環系はアゾ基を介して結合された置換基によってさらに置換されておらず、
Mは橋かけフェニル基であり、それは置換されていなくても又はC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホ、シアノ又はハロゲンによって置換されていてもよく、
nが1であるときには、Bは水素、置換されてないアリール基、置換されたアリール基、又は、下記式を有するトリアジン誘導体、
【化3】

であり、X及びXは独立に、置換されていないアミン−NH又は置換されたアミン−NR2122であり、R11及びR22は独立に以下の意味である:H、C1−4アルキル基もしくは置換されたC1−4アルキルであり、又は、間に配置される窒素と一緒に組み合わせて5もしくは6員環を形成し、その環は1個又は2個又は3個のヘテロ原子(前記窒素のほか、1個又は2個のN,O又はS原子)を含んでよく、その場合、該複素環は置換されていないか又は該複素環は1個又は2個のC1−4アルキル基で置換されており、又は、
nが2であるときには、Bは下記式の橋かけ基
【化4】

又は下記式の橋かけ基
【化5】

であり、Xは上記のとおりである)。
【請求項2】
式Iの染料は下記式(I’)
【化6】

の染料であることを特徴とする、請求項1記載のアニオンジアゾ染料の濃縮水溶液。
【請求項3】
Dは下記式(a’)の基
【化7】

であり、R、R及びRは独立にH、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−SOH、−OH又は−CNであり、
Mは橋かけフェニル基であり、それは置換されていなくても又はC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、スルホ、カルボキシル又はヒドロキシルによって置換されていてもよく、そして
BはH、置換されていないフェニル基もしくは置換されたフェニル基又は下記式の置換されたトリアジン誘導体、
【化8】

であり、X及びXは独立に上記に規定したとおりであり、nは1であることを特徴とする、請求項1記載のアニオンジアゾ染料の濃縮水溶液。
【請求項4】
5〜40質量%の式Iの染料、5〜40質量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール及び20〜90質量%の水を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の濃縮水溶液。
【請求項5】
5〜40質量%の式Iの染料、5〜40質量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール及び3〜10質量%の水溶性有機可溶化剤ならびに10〜88質量%の水を含むことを特徴とする、請求項4記載の濃縮水溶液。
【請求項6】
10〜30質量%の式Iの染料、10〜30質量%の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール及び3〜6質量%の水溶性有機可溶化剤ならびに34〜77質量%の水を含むことを特徴とする、請求項5記載の濃縮水溶液。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の溶液を含むことを特徴とする、インクジェットインク。
【請求項8】
ヒドロキシル含有基材を染色及び/又はプリントするための、及び、インクジェットインクを製造すするための、請求項1〜6のいずれか1項記載の溶液の使用。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項記載の溶液で染色され又はプリントされたことを特徴とする、ヒドロキシル含有基材。
【請求項10】
前記ヒドロキシル含有基材は紙であることを特徴とする、請求項9記載のヒドロキシル含有基材。

【公表番号】特表2007−538128(P2007−538128A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517497(P2007−517497)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001400
【国際公開番号】WO2005/113684
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(596033657)クラリアント インターナショナル リミティド (48)
【Fターム(参考)】