説明

アフィニティリガンドの製造法

本発明は、チオール基とカルボニル基とアミン基を含む環状骨格を準備する段階と、親和性相互作用し得る官能基又は標的分子と第二の相互作用をなし得る官能基を有する求電子試薬で、上記骨格のアミン基を誘導体化する段階と、誘導体化された骨格を開環し、標的分子との第二の相互作用をなし得る官能基又は親和性相互作用し得る官能基を有するアミンを付加する段階とを含む、アフィニティリガンドの製造方法である。この方法は、親和性相互作用及び第二の種類の相互作用が可能なアフィニティリガンドを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適化されたアフィニティリガンドの製造法及びベースマトリックスへの固定化によって前記リガンドから分離物を製造する方法に関する。本発明はまた、本発明に従って製造されたリガンド及び分離媒体も含む。さらに、本発明はアフィニティリガンド製造用キットも含む。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィーという用語は、密接に関連した一群の分離法を包含する。他の大半の理化学的分離法と区別されるクロマトグラフィーの特徴は、非混和性の2つの相を接触させ、一方の相を固定相とし、他方を移動相とすることである。移動相に導入された試料混合物は、移動相によって系内を運搬される際に固定相と移動相の間で何度も一連の相互作用(分配)を受ける。相互作用は試料中の成分の理化学的性質の差異を利用する。こうした差異が、固定相を収容したカラム内を移動する移動相の影響下での各成分の移動速度を支配する。分離された成分は、固定相との相互作用の低いものから高いものへと順次流出する。妨害の最も少ない成分が最初に溶出し、最も強く保持された物質が最後に溶出する。分離は、試料成分がカラムから溶出する際に、ある成分の流出速度が隣接する溶質のゾーンと重ならないように十分に遅くなった場合に達成される。
【0003】
生物工学的用途に幅広く使用されているクロマトグラフィーの1種は、親和性クロマトグラフィーである。さらに具体的には、親和性クロマトグラフィーとは、受容体に結合する酵素と同様な、鍵と鍵穴の認識の原理によって、生物学的に特異的なリガンドと目標物質の間の分子認識プロセスが行われる、非常に特異的なモードのクロマトグラフィーである。親和性クロマトグラフィーの原理の総説については、例えばWilchek, M., and Chaiken, I. 2000.「An overview of affinity chromatography」Methods Mol. Biol. 147: 1−6を参照のこと。
【0004】
アフィニティリガンドの有利な一クラスは、アミン基又は酸基を含むものである。かかるリガンドの製造では、アミン基又は酸基は、しばしばカルボン酸の活性化を経てアミド結合を形成することによって固体支持体に結合される。どちらの場合も、このタイプの化学的結合の形成はあまり効率的ではなく、副生成物及び均質性が不良な媒体が得られる。例えば、NHSエステル活性化リガンドのアミン誘導体化支持体への固定化は、完全に完結することはなく、未反応のアミン基が一部残存する。リガンドを含むアミンをエステル活性化誘導体化支持体に固定化する場合にも、同じ問題が生じる。この場合には、未反応の酸基が最終媒体中に残存している。これらの基を保護することも同様に可能であるが、最終生成物はやはり不均質のままとなる。
【0005】
したがって、新規なアフィニティリガンドの生成及びその分離媒体の製造のための代替方法が当技術分野で必要である。既知のアフィニティリガンドの結合特性を最適化する必要もある。
【0006】
最後に、Feistoy及びDanna(“Sulfhydryl cellulose: A New Medium for Chromatography of Mercurated Polynucleotides”, Patricia L. Feist and Kathleen J. Danna, Biochemistry,20(15), p.4243−4246)は、アミノエチルセルロースをN−アセチルホモシステインチオラクトンと混合することを含むスルフヒドリルセルロースの製造法を開示している。
【特許文献1】国際公開第88/07414号
【非特許文献1】Wilchek, M., and Chaiken, I. 2000.「An overview of affinity chromatography」Methods Mol. Biol. 147: 1−6
【非特許文献2】「Sulfhydryl cellulose: A New Medium for Chromatography of Mercurated Polynucleotides」Patricia L. Feist and Kathleen J. Danna, Biochemistry, 20(15), p. 4243−4246
【非特許文献3】「Immobilized Affinity Ligand Techniques」Hermanson et al, Greg T. Hermanson, A. Krishna Mallia and Paul K. Smith, Academic Press, INC, 1992.
【非特許文献4】S Hjerten: Biochim Biophys Acta 79(2), 393−398 (1964)
【非特許文献5】「Styrene based polymer supports developed by suspension polymerization」(R Arshady: Chimica e L’Industria 70(9), 70−75 (1988)
【非特許文献6】Koehler, Michael F.T. et al., Bio. Med. Chem. Letters, 2002, 12, 2883−2886
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、特異性及び選択性を改変させたリガンドを製造することができるアフィニティリガンドの製造法を提供することである。これは、請求項1に定義される方法で実現することができる。
【0008】
本発明の特定の目的は、すでに定義されたアフィニティリガンドの特性を改変することである。これは、本発明に従って、標的分子の、既知のリガンドの相互作用部位から離れた部位に対して特異的な別の相互作用を既知のアフィニティリガンドに加えることによって実現することができる。
【0009】
別の目的は、簡単な合成経路を提供し、また様々な異なるリガンドの製造を可能にするかかる方法を提供することである。
【0010】
さらに別の目的は、分離媒体を製造するために、ベースマトリックスに固定化することの容易なリガンドを生ずるかかる方法を提供することである。
【0011】
したがって、本発明の追加の一目的は、均質媒体を生ずる親和性分離媒体を提供することである。
【0012】
本発明の以上の目的は、上記請求項のいずれか1以上によって達成できる。本発明のその他の目的、利点及び実施形態は、以下の詳細な説明から明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一の態様では、本発明は、1以上のアフィニティリガンドの製造方法であって、
(a)チオール基とカルボニル基とアミン基を含む環状骨格を準備する段階、
(b)標的分子と親和性相互作用し得る官能基又は第二の相互作用をなし得る官能基を有する求電子試薬で上記骨格のアミン基を誘導体化する段階、及び
(c)この誘導体化骨格の環構造を開環して、標的分子との第二の相互作用をなし得る官能基又は親和性相互作用し得る官能基を有するアミンをカルボニル炭素に付加する段階とを含み、
標的分子の一部位と親和性相互作用し得るリガンドと同一標的分子の別の部位と相互作用し得る第二の官能基を与える方法である。すなわち、本発明に従って製造されるリガンドは、1種の相互作用が親和性に基づくものであるマルチモードリガンドである。
【0014】
定義
「分離媒体」という用語は、本明細書では、例えばクロマトグラフィーカラムの充填材として有用な材料、具体的には、ベースマトリックスに1以上のリガンドが結合したものからなる材料に用いる。ベースマトリックスは担体として作用し、リガンドはクロマトグラフィーで目標物質と相互作用する官能基を与える。
【0015】
「スペーサー」という用語は、ベースマトリックスからリガンドを離隔するための化学物質に用いる。
【0016】
「リガンド」という用語は、本明細書では、目標物質に結合し得る化学物質をいう。かかる目標物質は、クロマトグラフィーでの単離又は除去が望まれる化合物でもよいし、或いは分析の目標物質でもよい。
【0017】
本明細書では、「官能基」という用語は、標的分子又は標的化合物と相互作用することができるという意味で官能性である基又は分子に使用される。
【0018】
この明細書では、「標的分子」という用語は、しばしば相互作用の文脈中で使用される。当業者には自明であろうが、標的は、分子でも、化合物でもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この方法の好ましい一実施形態では、親和性相互作用を与える官能基は、本明細書で既知のリガンドと呼ばれることもあるすでに定義されたアフィニティリガンドである。したがって、既知のリガンドの諸特性、例えば特異性を最適化する方法としてこの方法を使用すると有利である。例えば吸着又は脱着を改善する目的で、リガンドの結合強度をそれぞれ高める又は下げるために、アフィニティリガンドの諸特性を任意の所望の方式で改変することができる。
【0020】
この方法の一実施形態では、段階(b)は、親和性相互作用し得る官能基を有する求電子性カルボキシル酸による誘導体化であり、段階(c)では、第二の官能基を有するアミンを付加する。
【0021】
この方法の別の実施形態では、段階(b)は、第二の官能基を有する求電子試薬による誘導体化であり、段階(c)では、親和性相互作用し得る官能基を有するアミンを付加する。
【0022】
さらに具体的には、この方法の一実施形態では、段階(a)において、骨格は、一般式(I)で定義される。
【0023】
【化1】

【0024】
式中、
A、B及びXは互いに独立に炭素原子又はヘテロ原子、例えば酸素、硫黄、窒素及び/又はシリカであり、mは0〜4の整数、例えば1〜3、好ましくは1又は2であり、官能基Nは窒素であって、いずれかのXを置換或いはA、B及びXのいずれかに結合している。
【0025】
有利な一実施形態では、式(I)において、A、B及びXは、炭素原子である。現時点で最も好ましい実施形態では、式(I)において、mは1であり、骨格はホモシステインチオラクトンである。しかし、リガンドの所望のサイズに応じて、mの値を、例えば5〜10など2〜100の幅広い範囲内で変えることができる。
【0026】
段階(b)では、求電子試薬は、炭素−炭素二重結合、C−Y(ただし、Yは例えばBr、I、Clなどのハロゲン、メシレート基又はトシレート基を表す)又はWC=OやWS(O)などの酸もしくは活性化酸(ただし、Wは例えばハロゲン原子、N−ヒドロサクシンイミド、ペンタフルオロフェノール、パラ−ニトロフェノール又はクロロギ酸イソプロピルからなる)からなる群から選択される。したがって、特定の一実施形態では、求電子試薬はカルボン酸である。
【0027】
親和性相互作用は、親和性対(affinity pair)の適切な任意のメンバーを利用することができる。かかる親和性対の多くは、当技術分野ではよく知られているが、慎重なスクリーニングによって同定されたあまり知られていないメンバーを使用することも可能である。したがって、一実施形態では、親和性相互作用し得る官能基は、アビジン−ビオチン;脂肪族酸/BSAなどからなる群から選択される、親和性対の片方のメンバーである。
【0028】
さらに、同じ標的分子の別の部位と相互作用することができる第二の官能基は、親和性対の追加のメンバーとすることができ、それは、標的分子の、上記で論じた親和性相互作用し得る官能基とは別の部位に対するものである。したがって、一実施形態では、この方法は、上記に記載したものから選択され得る2種の親和性基を含むリガンドを与える。
【0029】
別の実施形態では、同じ標的分子の別の部位と相互作用することができる第二の官能基によって、荷電基、疎水基、親水基、水素結合、電子供与体/受容体など、親和性とは異なる性質の相互作用が得られる。
【0030】
したがって、この第二の官能基によって、エンハンサ、すなわち標的結合を高める役割、ディスクリミネータ、すなわち選択性を高める役割又はモジュレータ、すなわち溶出条件を改変する役割を果たすことができる追加の相互作用中心が導入される。
【0031】
したがって、所望の標的分子に応じて、既知の又は以前に同定されたアフィニティリガンド単独の場合よりも標的分子との3D相互作用が大きいアフィニティリガンドを、当業者は容易に設計することができる。したがって、互いに結合させて、より大きな断片を生成し、新しい相互作用中心を導入することによって、親和性及び選択性が改善された、或いは特性が改変されたリガンドを製造することが可能となる。
【0032】
この方法の一実施形態では、誘導体化骨格を与えるため段階(a)及び(b)を前もって実施しておく。したがって、その場合、出発材料は、より早期にさらには他の場所で誘導体化された骨格である。
【0033】
上記から明らかなように、段階(c)は、アミノリシス反応である。かかる反応を行うための条件は、使用するアミンのpKa及び求核性を十分考慮した上で、当業者によって容易に決定される。
【0034】
有利な一実施形態では、本発明に従って製造された複数のアフィニティリガンドを含む親和性分離媒体を生成するために、段階(c)から得られた生成物をそのチオール基を介してベースマトリックスに固定化する。チオール基は求核性が強いので、上記に記載したように製造されたリガンドを容易に固定化することができ、置換レベルを難なく制御し得る均質媒体を得ることができる。さらに、本発明は、特異的な一親和性基を同定した後、第二の相互作用を導入することによって、より特異的な特性のための汎用スクリーニングを可能にする。したがって、本発明による分離媒体を、特定の用途向けに又は特定の条件向けに最適化することができる。この方法の別の利点は、均質媒体が得られ、副生成物がほとんどないことであり、事実上、唯一の副生成物は、親和性相互作用を妨げるはずのないグリセロール誘導体である。
【0035】
一実施形態では、製造されたリガンドのチオール基を、ベースマトリックスのアリル基に結合させる。(固定化技法の全般的な概説については、「Immobilized Affinity Ligand Techniques」Hermanson et al, Greg T. Hermanson, A. Krishna Mallia and Paul K. Smith, Academic Press, INC, 1992.を参照のこと)
第二の態様では、本発明は、標的分子の一部位と親和性相互作用し得る第一の官能基及び同じ標的分子の別の部位と相互作用することができる第二の官能基を含む1以上のアフィニティリガンドの製造における出発材料としてのホモシステインチオラクトンの使用に関する。ホモシステインチオラクトンは、例えばAldrichからカタログ番号H1,580−2及びCAS番号6038−19−3で市販されている。
【0036】
また、本発明は、ホモシステインチオラクトンなどの骨格、1種以上の誘導体化剤及び開環に適した1種以上のアミンをその使用説明書とともに含むキットも包含する。かかる説明書は、本発明による方法に関して上記に記述した詳細の1以上を含んでもよい。別の実施形態では、このキットは、誘導体化された骨格及び開環に適したアミンをその使用説明書とともに含む。
【0037】
第三の態様では、本発明は、標的分子の一部位と親和性相互作用し得る第一の官能基及び同じ標的分子の別の部位と相互作用することができる第二の官能基を含むアフィニティリガンドである。一実施形態では、このリガンドは、上記に記載したように製造された。本発明によるリガンドは、親和性相互作用し得る部位及び追加の相互作用が可能な第二の部位を含むマルチモードリガンドである。
【0038】
第四の態様では、本発明は、ベースマトリックスに固定化された本発明によるリガンドを複数含む分離媒体である。この分離媒体は、分析目的などで、所望の目標物質の単離、所望の液体からの所望でない目標物質の除去に有用である。目標物質の例は、例えば、抗体などのタンパク質、ペプチド、DNAやRNAなどの核酸、プラスミド、オリゴヌクレオチド、ウィルス、細胞などの生体分子である。所望でない目標物質の例は、発熱性物質、毒素などである。
【0039】
したがって、分離媒体が親和性クロマトグラフィーに使用されるためのものである場合、ベースマトリックスは通常、ゲルなどビーズの形又はモノリシックな形である。一代替実施形態では、ベースマトリックスは、例えばメンブラン、フィルター、1以上のチップ、表面、キャピラリーなどとすることができる。
【0040】
一実施形態では、ベースマトリックスは、逆懸濁ゲル化(inverse suspension gelation)(S Hjerten: Biochim Biophys Acta 79(2), 393−398 (1964))や回転ディスク技法(spinning disk technique)(例えば、国際公開第88/07414号(Prometic Biosciences Inc)を参照のこと)などの標準方法に従って、当業者が容易に行う、好ましくは多孔質ビーズの形の天然高分子である。或いは、天然高分子ビーズを、スウェーデンウプサラのAmersham Biosciences ABなどの供給業者から得る。かかる有用な天然高分子ビーズの商標名の例は、例えばSepharose(登録商標)やSephadex(登録商標)として知られている種類のものである。
【0041】
別の実施形態では、ベースマトリックスは、スチレン又はスチレン誘導体、ジビニルベンゼン、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエステル、ビニルアミドなどの架橋合成高分子からなる、好ましくは多孔質ビーズの形の合成高分子である。かかる高分子は、標準方法に従って容易に生成される。例えば、「Styrene based polymer supports developed by suspension polymerization」(R Arshady: Chimica e L’Industria 70(9), 70−75 (1988))を参照のこと。或いは、Source(登録商標)(スウェーデンウプサラのAmersham Biosciences AB)などの市販の製品を、本発明に従って表面改質することもできる。
【0042】
反応性アリル基など適切な反応性基を有するベースマトリックスを提供する方法及びその活性化は、当技術分野でよく知られている。
【0043】
最後の態様では、本発明は、上記に記載する分離媒体を充填したクロマトグラフィーカラムである。このカラムは、大規模生産や実験室規模生産など任意の所望のサイズとすることができ、或いは分析目的に適したものとすることもできる。特定の一実施形態では、本発明によるカラムは、ルアーアダプタ、チュービングコネクタ及びドーム型ナットを備えている。クロマトグラフィーカラム、本明細書で記載されたマルチモードリガンドを含む分離媒体及び場合によっては液体を別々の区画に、生体分子単離用キットの使用を記載する説明書とともに含むキットも包含する。このキットの別の実施形態では、このクロマトグラフィーカラムを、回分法に適した容器で置き換える。
【0044】
最後に、本発明はまた、標的分子を液体から分離する方法も包含する。この方法では、前記液体を本発明による分離媒体に接触させて、それに標的分子を吸着させ、続いて前記媒体を溶出液に接触させ、標的分子を媒体から放出させる。一実施形態では、第一段階で、標的分子を含む液体を、リガンドへの標的分子の吸着を可能とする条件下で分離媒体に通す。かかる条件は、例えばpH及び/又は塩濃度、すなわち溶液のイオン強度によって制御される。媒体の能力を越えないよう注意を払うべきである。すなわち満足できる吸着が可能となるように流量を十分遅くするべきである。この段階では、溶液の他の成分は、原理上は妨げられずに通過する。保持されかつ/或いは緩やかに結合した物質を除去するために、場合によっては次いで媒体を例えば水溶液で洗浄する。次の段階では、溶出液と呼ばれる第二の液体を、標的分子を脱着、すなわち放出させる条件下で媒体に通す。かかる条件は通常、pH、塩濃度、すなわちイオン強度、疎水性などの変化によって得られる。傾斜溶出や階段溶出など様々な溶出スキームが知られている。また、媒体上の標的分子に置き換わる競合物質を含む溶液によって溶出することもできる。
【0045】
上記で論じた目標物質分離用クロマトグラフィーの一般原則は当技術分野でよく知られており、この方法を使用するために必要なパラメータを当業者は容易に使用することができる。一代替実施形態では、この方法は、液体を容器中の媒体と適切な時間接触させる回分法である。特定の一実施形態では、本発明は、流動床を利用する。この実施形態では、流動床技術でよく知られているように、ベースマトリックスは、ステンレス鋼又はガラスなどの高密度充填剤が装填されている。かかるベースマトリックスはよく知られており、また市販されている。
【0046】
図面の詳細な説明
図1は、既知のリガンドの相互作用部位とは異なる部位で標的分子と相互作用する第二の基(四角)の付着によって、既知のアフィニティリガンドの特性を改変する、本発明に使用される多点付着の概念を示している。さらに具体的には、左図は、標的化合物の一部位しか媒体と相互作用をしない通常のアフィニティ媒体を示している(媒体は楕円形で示し、リガンドの相互作用部位は六面体である)。右図は、第二の部位(四角)を介してさらに相互作用する、本発明によるマルチモードアフィニティ媒体を示している。
【0047】
図2は、ホモシステインチオラクトンを骨格として使用する本発明の方法を用いて、リガンドのライブラリーをどのように生成できるかを例によって示している。アフィニティリガンドは長方形で示し、楕円形は第二の相互作用を示している。左から右に向かう矢印で示すように、HN残基−第二の相互作用を付加することによって多様性が生まれる。本発明によるライブラリーは、例えば最適化の研究に有用である。
【0048】
図3aは、通常の不均質アフィニティ媒体の製造法を概略的に示し、図3bは、均質アフィニティ媒体を本発明に従ってどのように製造できるかを概略的に示している。明らかにわかる通常の製造法の短所は、ベースマトリックスが通常の経路の最初から存在し、より大きな容積、したがってよりコストのかかる装置及び手順が必要となることである。
【0049】
図4は、実施例に説明するようにウシ血清アルブミン(BSA)の溶出を行ったクロマトグラムを示している。ゲルは、左から右に、ゲル4、ゲル2b(上段)、ゲル3、ゲル2a(中段)及びゲル1(下段)である。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は、例示を目的としたものにすぎず、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書のいずれかの箇所で引用した文献の記載内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0051】
D,L−ホモシステインチオラクトンを骨格として使用して、親和性クロマトグラフィー用の新規媒体を生成する一般的方法:
【0052】
【化2】

【0053】
中間体化合物全ての純度及び構造アイデンティティをLC−MS及びNMRを使用して確立した。
【0054】
一般的方法
段階1
D,L−ホモシステインチオラクトンIa及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)のジクロロメタン(DCM)溶液Aを0℃に冷却した。塩化アシル又は塩化スルホニル又は酸無水物又は活性化酸を含むDCM溶液Bを0℃に冷却し、0〜5℃に維持した溶液Aに滴下した。混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を真空下で除去した。必要なら、得られた生成物を酢酸エチルに溶解し、クエン酸(10w/w%水溶液)溶液及び炭酸カリウム(10w/w%水溶液)溶液で洗浄することができる。有機相を水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させた。
【0055】
段階2
得られた生成物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、窒素バブリングによって、10分間脱気した。この溶液に、THFに溶解させたアミンを室温で添加した。反応混合物をさらに17時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、残渣を酢酸エチル及びクエン酸(10w/w%水溶液)で抽出した。有機相を水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させた。必要な場合は、段階3の前に、生成物をHPLCで精製した。
【0056】
段階3
Sepharose(登録商標)6 Fast Flow(スウェーデンウプサラのAmersham Biosciences)(ドレインドゲル100ml)を、4.6M NaOH(30ml、0.137モル)及び1,4 ビス−(2,3 エポキシプロポキシ)ブタン(200ml)と混合した。この混合物を30℃で機械的撹拌装置を用いて2時間撹拌した。濾過した後、ゲルを水(5×500ml)で洗浄し、pH紙を用いて、ゲルのpHを確認した(pH6)。50%(w/w)Na・5HO水溶液と反応させた後、エポキシドの置換レベルを滴定で測定した。エポキシドの置換レベルを15μmol/ゲル1mlと推定した。
【0057】
上記で得られたエポキシ活性化ゲルを、段階2から生じた生成物のアルカリ溶液(エポキシド基1個当たり2.5当量のリガンド)と混合し、pHを12に調整し、混合物を終夜50℃まで温めた。反応した後、ゲル(1体積)を濾過し、水(2×15体積)、エタノール(2×15体積)、酢酸0.2M(2×15体積)及び水(2×15体積)で洗浄した。元素分析で、ゲルに固定化されたリガンドの置換レベルを窒素原子及び硫黄原子の百分率から推定した。
【0058】
実施例1〜9
以下の実施例1では、Rは、Kohlerらによってウシ血清アルブミン(BSA)に対して親和性を有すると記述された2−ナフタレンスルホニル部分である[Koehler, Michael F.T. et al., Bio. Med. Chem. Letters, 2002, 12, 2883−2886]。以下の実施例は、D,L−ホモシステインチオラクトンIaを骨格として使用し、また記載した化学反応を使用している(上記のスキーム1を参照のこと)。ホモシステインチオラクトンIaを2−ナフタレンスルホニルクロリドと反応させることによって結合されたスルホンアミドを形成した後、アミンでチオラクトンの開環を実現し、得られた化合物をさらに、エポキシ活性化Sepharose(登録商標)6 Fast Flowに結合させた。
【0059】
実施例1
段階1:D,L−ホモシステインチオラクトン塩酸塩6.8g(44.1mmol)を、DCM100ml及びDIPEA16.1ml(92.6mmol)に溶解し、0℃まで冷却した。この溶液に、DCM50ml中の2−ナフタレンスルホニルクロリド10.0g(44.1mmol)を段階1に従って室温で徐々に添加し、反応混合物をさらに16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、酢酸エチル(300ml)を添加した。有機相をクエン酸(10w/w%水溶液)(2×100ml)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した後、蒸発させ、白色粉末13.1gを回収した。収率:96%。
【0060】
段階2:段階1から生じた生成物260mg(0.70mmol)をTHF6mlに溶解した。この脱気させた溶液(窒素バブリング10分間)に、n−ブチルアミン0.334ml(3.4mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を除去し、粗物質をメタノール1mlに溶解し、10分間で100%水から100%アセトニトリルの勾配をかけた逆相HPLCで精製した。白色粉末265mgを回収した。収率:84%。
【0061】
段階3:段階2の生成物38mg(0.1mmol)を1N NaOH5mlに溶解した。このリガンド溶液に、エポキシ活性化Sepharose(登録商標)8ml(導入率15μmol/ゲル1ml)を添加し、反応混合物を終夜50℃で振盪板上に置いた。次いで、このゲル1を水、エタノール、水、酢酸0.2M及び水で洗浄した。
【0062】
実施例2
段階1:DCM5ml中の塩化ベンゾイル(0.87ml、7.5mmol)溶液を、ジクロロメタン(DCM、15ml)中のD,L−ホモシステインチオラクトン(1.15g、7.5mmol)及びDIPEA(2.6ml、15mmol)の溶液に0℃で滴下した。混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、反応残渣を酢酸エチル(30ml)で抽出した。有機相をクエン酸水溶液10%(w/w、20ml)、KCO水溶液10%(20ml)、水(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過した後、溶媒を除去して、白色固体を得る(1.37g、83%)。
【0063】
段階2:アニリン(3.125ml、34.67mmol)及び上記の化合物(750mg、3.39mmol)を窒素雰囲気中100℃で混合し、撹拌した。反応をLC−MSで監視し、6時間後に、混合物を室温まで冷却させた。EtOAcとシクロヘキサン(1:2)を開始移動相として使用したフラッシュクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、化合物5として明桃色固体(700mg、65%)を得た。
【0064】
段階3:一般的な記述に従って、カップリングを行った。
【0065】
実施例3
段階1:実施例2の段階1に記載したのと同様の手順を使用した。
【0066】
段階2:段階1からの化合物(0.194g、0.875mmol)及び3,4−ジヒドロキシベンジルアミン臭化水素酸塩(0.963g、4.38mmol)を、窒素雰囲気中で、THF(100ml)中のDIPEA(1.55ml)とともに混合した。この不均質混合物を100℃で還流し、反応をLC−MSで監視した。24時間後に、混合物を室温まで冷却させ、溶媒を真空下で蒸発させ、黄色固体を得た。EtOAcとシクロヘキサン(1:2)を開始移動相として使用したフラッシュクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、白色固体(120mg、38%)を得た。
【0067】
段階3:一般的な記述に従って、カップリングを行った。
【0068】
実施例4
段階1:実施例2の段階1に記載したのと同様の手順を使用した。
【0069】
段階2:3−アミノフェノール(2.96g、27.12mmol)を乾燥THF(10ml)と混合し、0℃に冷却した。トルエン(4.2ml、4.2mmol)中のDIBAL−H(1.0M)を、アルゴン雰囲気中で添加した。反応混合物を氷浴中に置いた。2時間後、反応混合物は部分的に固体になり、上記で得られた化合物(1.0g,4.52mmol)の乾燥THF(9.5ml)溶液を室温で30分間で滴下した。滴下した後、反応混合物を2時間撹拌した。段階1からの化合物を添加してから6時間後に、混合物を0℃に冷却し、水(2.5ml)を添加することによって、反応を止めた。1M KHSO水溶液(5.5ml)を添加することによって、pHを6から4.5に調整した。白色結晶が沈殿し、反応混合物をEtOAc(50ml)で抽出し、pH3のクエン酸水溶液(3×40ml)で洗浄し、水(40ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。EtOAc:シクロヘキサン(1:2)を移動相として使用したフラッシュクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、黄色固体(790mg、53%)を得た。
【0070】
段階3:一般的な記述に従って、カップリングを行った。
【0071】
実施例5
段階1:実施例2の段階1に記載したのと同様の手順を使用した。
【0072】
段階2:段階1からの化合物(1.0g、4.52mmol)を窒素雰囲気中でTHF(60ml)に溶解した。エタノールアミン(1.37ml、22.60mmol)を、室温で反応混合物に慎重に添加した。6時間後に、溶媒を真空下で蒸発させ、桃色オイルを得た。EtOAcを開始移動相として使用したフラッシュクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、白色固体(1.1g、83%)を得た。
【0073】
段階3:一般的な記述に従って、カップリングを行った。
【0074】
実施例6
段階1:D,L−ホモシステインチオラクトン塩酸塩(10g、65mmol)を、DIPEA(22.6ml、130mmol)とともにDCM(150ml)に溶解した。混合物を0℃に冷却した後、塩化3−メトキシベンゾイル(9.1ml、65mmol)を添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、得られた残渣をEtOAc(300ml)に溶解し、10%(w/w)クエン酸溶液(2×100ml)で抽出した。有機相を10%(w/w)KCO水溶液(2×100ml)、水(2×100ml)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させ、白色固体(15.4g、94%)を得た。
【0075】
段階2:段階1で得られた化合物(3.0g、11.94mmol)及びベンジルアミン(6.52ml、59.69mmol)を窒素雰囲気中室温でTHF(50ml)中で混合して、黄色透明溶液を形成した。4時間後、溶媒を真空下で除去して、粗生成物として黄色オイルを得た。EtOAcとシクロヘキサン(1:2)を開始移動相として使用したフラッシュクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、白色固体(3.41g、80%)を得た。
【0076】
段階3:一般的な記述に従って、カップリングを行った。
【0077】
実施例7
段階1:実施例6の段階1に記載したのと同様の手順を使用した。
【0078】
段階2:3−アミノフェノール(1.3g、11.94mmol)を、乾燥THF(10ml)と混合し、0℃に冷却した。トルエン(10ml、10mmol)中のDIBAL−H(1.0M)をアルゴン雰囲気中で添加した。黄色透明溶液が形成され、15分後に暗緑色になった。2時間後に、段階1から得られた化合物(1.0g、3.98mmol)の乾燥THF(13ml)溶液を室温で滴下した。滴下後、反応混合物を2時間撹拌した。段階1からの化合物を添加して4時間後に、混合物を0℃に冷却し、水(4ml)を添加することによって、反応を止めた。橙色固体が形成された。1M KHSO水溶液(5.5ml)を添加することによって、混合物のpHを6から4.5に調整した。反応混合物をEtOAc(50ml)で抽出し、pH3のクエン酸緩衝液(4×40ml)で抽出した。有機相を水(40ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、黄色がかった粘性固体を得た。EtOAcとシクロヘキサン(1:2)を使用したフラッシュクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、白色固体(920mg、64%)を得た。
【0079】
段階3:一般的な記述に従って、カップリングを行った。
【0080】
実施例8
段階1:D,L−ホモシステインチオラクトン塩酸塩(10g、65mmol)及びDIPEA(22.6ml、130mmol)をDCM(120ml)に溶解した。混合物を0℃に冷却した後、DCM(30ml)中の塩化1−ナフトイル(12.4g、65mmol)を添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、粗生成物をEtOAc(300ml)で再び溶かし、10%(w/w)クエン酸溶液(4×100ml)、10%(w/w)KCO水溶液(4×100ml)、水(100ml)で抽出し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させ、白色固体(12.8g、73%)を得た。
【0081】
段階2:3−アミノフェノール(1.21g、11.06mmol)を、乾燥THF(10ml)と混合し、0℃に冷却した。トルエン(9.21ml、9.21mmol)中のDIBAL−H(1.0M)を、アルゴン雰囲気中で添加した。2時間後に、段階2からの化合物(1.0g、3.69mmol)の乾燥THF(27ml)溶液を、室温で滴下した。反応混合物を2時間撹拌した。段階1からの化合物を添加して3時間後に、混合物を0℃に冷却し、水(4ml)を添加することによって、反応を止めた。1M KHSO水溶液(7.5ml)を添加することによって、混合物のpHを6から5に調整した。反応混合物を、EtOAc(55ml)及びpH3のクエン酸水溶液(4×40ml)で抽出した。有機相を水(40ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、黄色固体を得た。EtOAcとシクロヘキサン(1:2)を使用したフラッシュクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、白色固体(850mg、61%)を得た。
【0082】
段階3:一般的な記述に従って、カップリングを行った。
【0083】
実施例9
段階1:3−ヒドロ安息香酸(1.0g、7.24mmol)をアルゴン雰囲気中で乾燥DMF(56ml)に溶解した。N−メチルモルホリン(1.0ml、1.23mmol)を添加し、透明溶液を0℃に冷却した後、クロロギ酸イソブチル(0.94ml、7.24mmol)を滴下した。混合物を60分間撹拌し、橙色溶液を形成した。反応混合物に、D,L−ホモシステインチオラクトン塩酸塩(1.34g、8.69mmol)、乾燥DMF(30ml)、ジメチルアミノピリジン(63mg、0.52mmol)及びN−メチルモルホリン(1.38ml、12.53mmol)の溶液を45分間で滴下した。4時間後に、飽和したNHCl(400ml)を混合物に添加した。溶液をよく混合し、EtOAc(3×100ml)で抽出した。有機層を合わせ、10%(w/w)クエン酸溶液(3×100ml)、10%(w/w)KCO(3×100ml)、水で抽出し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させ、黄色オイルを得た。それを、EtOAcとシクロヘキサン(1:2)を使用したフラッシュクロマトグラフィーにかけ、白色固体(530mg、31%)を得た。
【0084】
段階2:DIBAL−H(1.0M)のトルエン(5ml、5mmol)溶液を、アルゴン雰囲気中0℃で、3−アミノフェノール(0.65g、5.94mmol)の乾燥THF(5ml)溶液に添加した。2時間後に、段階1で得られた化合物(0.47g、1.98mmol)の乾燥THF(6ml)溶液を室温で滴下した。段階1からの化合物を添加して2時間後に、混合物を0℃に冷却し、水(2ml)を添加することによって、反応を止めた。橙色固体が形成された。1M KHSO水溶液(3ml)を添加することによって、混合物のpHを5から4に調整した。反応混合物をEtOAc(20ml)と混合し、pH3のクエン酸緩衝液(4×20ml)で抽出した。有機相を水(40ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、黄色固体を得た。EtOAcとシクロヘキサン(4:1)を開始移動相として使用したフラッシュクロマトグラフィーで粗生成物を精製した。生成物は、まだ3−アミノフェノールを含んでいたので、AcOEt(40ml)を添加し、HCl 1Mでもう一回抽出を行った。有機相をpH7の水(2×40ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、化合物11として白色固体(210mg、10%)を得た。
【0085】
段階3:一般的な記述に従って、カップリングを行った。
【0086】
【表1】

【0087】
親和性試験のための実験参考手順
クロマトグラフィーシステム
実験は全て、Unicorn 3.1ソフトウェアを装備したAKTA(登録商標)Explorer 100クロマトグラフィーシステム(Amersham Biosciences AB)を使用して室温で行った。
【0088】
試験1:デオキシコルチコステロン
注入量:10μl(溶出液A中のBSA10mg)
流量:0.3ml/min
溶出液A:MQ Milli−Q水中の20mMリン酸塩、pH7.2
溶出液B:MQ Milli−Q水中の20mMリン酸塩及び2M NaCl、pH7.2
溶出:直線勾配(0−100%B)
勾配条件:カラム平衡化=5カラム体積(CV)、勾配体積=10CV、(勾配後の)100%Bによるカラム洗浄=2CV
検出波長:215、254、280nm
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】別の部位を与える、本発明に使用される付着の概念を示す図である。
【図2】本発明の方法を用いて、リガンドのライブラリーをどのように生成できるかを例によって示す図である。
【図3a】通常の不均質アフィニティ媒体の製造法の概略図である。
【図3b】均質アフィニティ媒体を本発明に従ってどのように製造できるかを示す概略図である。
【図4】実施例に詳細に記載の通り得られたクロマトグラムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のアフィニティリガンドの製造方法であって、
(a)チオール基とカルボニル基とアミン基を含む環状骨格を準備する段階、
(b)標的分子と親和性相互作用し得る官能基又は第二の相互作用をなし得る官能基を有する求電子試薬で上記骨格のアミン基を誘導体化する段階、及び
(c)誘導体化骨格の環構造を開環して、標的分子との第二の相互作用をなし得る官能基又は親和性相互作用し得る官能基を有するアミンをカルボニル炭素に付加する段階とを含み、
標的分子の一部位と親和性相互作用し得るリガンドと同一標的分子の別の部位と相互作用し得る第二の官能基を与える方法。
【請求項2】
親和性相互作用を与える官能基が既知のアフィニティリガンドであり、前記方法が前記既知のアフィニティリガンドに比べて諸特性が改変されたリガンドをもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項3】
段階(b)が親和性相互作用し得る官能基を有する求電子性カルボキシル酸による誘導体化であり、段階(c)では第二の官能基を有するアミンを付加する、請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
段階(b)が第二の官能基を有する求電子試薬による誘導体化であり、段階(c)では、親和性相互作用し得る官能基を有するアミンを付加する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
骨格が一般式(I)で定義される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
【化1】

(式中、A、B及びXは互いに独立に炭素原子又はヘテロ原子、例えば酸素、硫黄、窒素及び/又はシリカであり、mは0〜4の整数、例えば1〜3、好ましくは1又は2であり、官能基Nは窒素であって、いずれかのXを置換或いはA、B及びXのいずれかに結合している。)
【請求項6】
式(I)において、A、B及びXが炭素原子である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
式(I)において、mが1であり、骨格がホモシステインチオラクトンである、請求項5又は請求項6記載の方法。
【請求項8】
求電子試薬が、炭素−炭素二重結合、C−Y(ただし、Yは例えばハロゲン、メシレート基又はトシレート基を表す)又は酸もしくは活性化酸からなる群から選択される、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
親和性相互作用し得る官能基が親和性対の片方のメンバーである、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
第二の官能基が親和性とは別の相互作用によって標的分子と相互作用することができる、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
誘導体化骨格を与えるため段階(a)及び(b)を前もって実施しておく、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
複数のアフィニティリガンドを含む親和性分離媒体を生成するために、段階(c)から得られた生成物をそのチオール基を介してベースマトリックスに固定化する、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
チオール基がベースマトリックスのアリル基に結合している、請求項12記載の方法。
【請求項14】
標的分子の一部位と親和性相互作用し得る第一の官能基及び同じ標的分子の別の部位と相互作用することができる第二の官能基を含む1以上のアフィニティリガンドの製造における出発材料としてのホモシステインチオラクトンの使用。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項に従って製造されたアフィニティリガンド。
【請求項16】
ベースマトリックスに固定化された請求項15記載のリガンドを複数含む分離媒体。
【請求項17】
請求項16記載の分離媒体を充填したクロマトグラフィーカラム。
【請求項18】
1種以上の標的分子を液体から分離する方法であって、前記液体を請求項17で定義された分離媒体に接触させて、それに標的分子を吸着させる方法。
【請求項19】
媒体と溶出液を接触させ、標的分子を媒体から放出させ、場合によっては1種以上の標的分子を溶出液の一分画から回収する後続段階をも含む、請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−522332(P2006−522332A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507944(P2006−507944)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000315
【国際公開番号】WO2004/078310
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(597064713)ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ (109)
【Fターム(参考)】