説明

アポトーシスシグナル伝達キナーゼ関連キナーゼ(ASKRK)を用いた化合物およびその使用法

本発明は、アポトーシスシグナル伝達キナーゼ関連キナーゼ(ASKRK)核酸およびポリペプチド配列、ならびにそれらの配列を用いてASKRKのモジュレーターを同定する方法を提供する。そのようなモジュレーターは、糖尿病の処置のために、または糖尿病の発症を遅らせるために、用いられうる。本発明はまた、ASKRK核酸およびタンパク質の検出に基づいて、糖尿病または前糖尿病を診断する方法ならびに予測を行う方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年11月4日に提出された米国特許仮出願第60/517,477号の恩典を主張するものであり、前記の出願は参照として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
II型糖尿病においては、インスリン耐性が進行する中でβ細胞中でインスリン分泌機能の低下が進行する。現在利用可能な治療法は、この低下を防止することができない(Diabetes 44:1249-1258, 1995; DeFronzo, Diabetes 37: 667-687, 1988)。インスリン耐性単独ではII型糖尿病を引き起こすのに十分でなく、実際に、多くの個体は、インスリン分泌の増加による効果的代償によって糖尿病になることなく、長期間インスリン耐性を維持する(Polonsky, Int J Obes Relat Metab Disord 24 Suppl 2: S29-31, 200)。インスリン耐性ラットおよびマウスは、β細胞量の代償性増加を示す(Hribal, et al., Am J Physiol Endocrinol Metab 282: E977-981, 2002);同じ現象は、インスリン耐性だが非糖尿病(通常は肥満)のヒトで起こると考えられている(Kloppel, et al., Surv Synth Pathol Res 4:110-125, 1985; Butler, et al., Diabetes 52: 102-110, 2003)。げっ歯類において、β細胞量はβ細胞の複製および新生の陽性効果とβ細胞アポトーシスの陰性効果の間のバランスが変化することにより調節されると考えられる(Bonner-Weir, J Mol Endocrinol 24: 297-302, 2000; Bonner-Weir, Trends Endocrinol Metab 11: 375-378, 2000; Pick, et al., Diabetes 47: 358-364, 1998; Finegood, et al., Diabetes 50: 1021-1029, 2001)。ヒトでは、β細胞量の不十分な増加(または事実上の減少)によるII型糖尿病の発症は、明らかに非糖尿病性のインスリン耐性の個体と比べて増加しているβ細胞アポトーシスによる(Butler, et al., Diabetes 52: 102-110, 2003)。従って、このβ細胞アポトーシスの増加を特異的に防ぐことができる作用物質は、インスリン耐性の個体がII型糖尿病を発症するのを防ぐことができる。
【0003】
β細胞死およびアポトーシスはまたI型糖尿病の発症の中心であるが、β細胞量の低下につながる機構は、I型においては主にT細胞によって媒介され、大多数のII型症例ではそうではない(Mathis, et al., Nature 414: 792-798, 2001)。I型糖尿病において、T細胞およびマクロファージの動員および活性化は、それぞれインビトロでβ細胞アポトーシスを促進することができる、サイトカイン(インターロイキン(IL)1-β、インターフェロン(IFN)-γ、および腫瘍壊死因子(TNF)-α)、活性酸素種、ならびに一酸化窒素(NO)に富む、膵島内環境へとつながる(Eizirik and Darville, Diabetes 50 Suppl 1: S64-69, 2001)。生理学的なβ細胞アポトーシスは、大規模な膵島の破壊をもたらす免疫応答を実際に誘発することができる(Mathis, et al., Nature 414:792-798, 2001)。
【0004】
β細胞アポトーシスの増加につながる機構は複数かつ組み合わさっており、依然として不完全にしか理解されていない。腫瘍壊死因子(TNF)-αは、その膜結合型および可溶型の両方において受容体TNF-RIおよびTNF-RIIと相互作用し、インビトロでβ細胞死の一因となりうる(Kaneto, et al., Diabetes 44:733-738, 1995; Mandrup-Poulsen, et al., J Immunol 139:4077-4082, 1987)。I型糖尿病のNODマウスモデルにおいて、TNF-RI欠損は、おそらくβ細胞死またはアポトーシスの減少により、糖尿病の発症を予防することができる(Kagi, et al., J Immunol 162:4598-4605, 1999)。 様々な様式のストレスもまた、β細胞アポトーシスの一因となりうる(Zhou, et al., J Clin Invest 101:1623-1632, 1998)。
【0005】
β細胞に比較的固有であるアポトーシス様式が存在する可能性が高いが、IL-1βおよびTNF-αのような炎症誘発性のサイトカインに対する応答と同様に、UV照射、X線、熱および浸透圧ショック、小胞体(ER)ストレスに対する細胞障害性応答のための基本的な経路を形成する、多くの細胞および組織において起こるプログラム細胞死のいくつかの一般的な機構が存在する。これらの経路のいくつかはマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPキナーゼ)のカスケードにより構成される(Kyriakis and Avruch, Physiol Rev 81:807-869, 2001)。細胞毒性ストレスはMAPキナーゼキナーゼキナーゼ(MAPKKK)を活性化し、MAPKKKはMAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)をリン酸化して活性化し、MAPKKは次にERK、JNK1-3、およびp38のようなMAPキナーゼをリン酸化して活性化する(Johnson and Lapadat, Science 298:1911-1912, 2002; Tibbles and Woodgett, Cell Mol Life Sci 55:1230-1254, 1999)。他の基質の中で転写因子c-Junをリン酸化して活性化するJNKは、アポトーシスの重要な媒介物である(Tournier, et al., Science 288:870-874, 2000)。
【0006】
アポトーシスシグナル伝達キナーゼ(ASK)-1/MAPKKK5は、JNKおよびp38を活性化するキナーゼカスケードの広く発現している成分である(Takeda, et al., Cell Struct Funct 28:23-29, 2003)。ASK1はMKK4(SEK1)/MKK7およびMKK3/MKK6を直接リン酸化し、次にこれらはJNKおよびp38をリン酸化する(Ichijo, et al., Science 275:90-94, 1997)。ASK1の構成的な活性型は、N末端調節ドメインを切断することによって得られ;この活性キナーゼの発現はミトコンドリア依存性カスパーゼ活性化によるアポトーシスをもたらす(Hatai, et al., J Biol Chem 275:26576-26581, 2000)。ASK1を欠くマウス由来の細胞は、酸化ストレスとTNF-αのアポトーシス作用に対して耐性を有する(Tobiume, et al., EMBO Rep 2:222-228, 2001)。
【0007】
酸化ストレスにより開始されるアポトーシスにおけるASK1の役割は、酸化還元調節タンパク質チオレドキシン(TRX)との直接的な物理的相互作用によって部分的に媒介されうる(Saitoh, et al., Embo J 17:2596-2606, 1998)。Trxは、ASK1の構成的活性型では欠如しているN末端ドメインに結合すると、ASK1キナーゼ活性を阻害する。ASK1とTrx間の相互作用は、還元型で存在するTrxに依存し;これは細胞の酸化還元状態がASK1キナーゼ活性を調節することができる機構を提供する(Liu and Min, Circ Res 90:1259-1266, 2002)。従って、H202のような活性酸素種はTrx-ASK1複合体の解離を引き起こし、ASK1の活性化につながる(Gotoh and Cooper, J Biol Chem 273: 17477-17482, 1998; Tobiume, et al., J Cell Plysiol 191:95-104, 2002)。
【0008】
ASK1が小胞体(ER)ストレスを受けている細胞中でアポトーシスを促進するという証拠もある。ERタンパク質IRE1は、ERストレスを受けている細胞中でASK1とTNF受容体相互作用タンパク質TRAF2との複合体を形成し、これはASK1-JNK経路の活性化をもたらす。この経路により開始されるアポトーシスは、ASK1を欠く細胞中で減少する(Nishitoh, et al., Genes Dev 16:1345-1355, 2002)。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、ランゲルハンス島中に豊富に存在するが、大部分の他の組織中では発現されない、新規のヒトプロテインキナーゼの発見に基づく。このキナーゼは、アポトーシスシグナル調節キナーゼ関連キナーゼ(ASKRK)であり、膵臓のβ細胞内の細胞死を促進する。従って本発明は、ASKRK活性の阻害剤をスクリーニングするための組成物およびこのような組成物を使用する方法を提供する。ASKRKの阻害剤は、β細胞死を調節するためおよび糖尿病を処置するために使用することができる。
【0010】
このように一つの局面では、本発明はSEQ ID NO:2に対して少なくとも90%、しばしば少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離された核酸を提供する。典型的に、核酸はSEQ ID NO:2を含むポリペチドをコードする。一つの態様において、ポリペチドはSEQ ID NO:1に示される配列を含む核酸によってコードされる。
【0011】
別の局面において、本発明は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペチドをコードする、単離された核酸を提供する。核酸は、多くの場合SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。一つの態様において、核酸はSEQ ID NO:3の配列を含む。
【0012】
もう一つの局面において、本発明は糖尿病または前糖尿病の個体を処置するための作用物質を同定する方法を提供し、本方法は以下の段階を含む:(i)SEQ ID NO:2の少なくとも50個の連続したアミノ酸を含む、キナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸を発現する膵臓細胞または肝臓細胞に、候補作用物質を接触させる段階;(ii)ポリペプチドの活性を測定する段階;および(iii)ポリペプチドの活性を阻害する作用物質を選択し、それにより、糖尿病または前糖尿病の個体を処置するための作用物質を同定する段階。いくつかの態様では、ポリペプチドはSEQ ID NO:2 またはSEQ ID NO:4を含む。加えて、ポリペプチドは正常と比較して過剰発現されうる。
【0013】
細胞は、例えば糖尿病の動物由来の膵臓細胞でありうる。
【0014】
いくつかの態様では、ポリペプチドの活性を測定する段階は、ポリペプチドが基質をリン酸化する能力を測定すること、アポトーシスのレベルを測定すること、またはイムノアッセイを用いて存在するタンパク質の量を測定することを含む。
【0015】
他の態様において、作用物質はsiRNAまたはアンチセンスRNAである。
【0016】
もう一つの局面において、本発明は糖尿病または前糖尿病の個体を処置するための作用物質を同定する方法を提供し、本方法は以下の段階を含む:(i)SEQ ID NO:2の少なくとも50個の連続したアミノ酸を含む、リン酸化活性を有するポリペプチドをコードする核酸を発現する腎臓または膵臓細胞に、候補作用物質を接触させる段階;(ii)ポリペプチドをコードするRNAのレベルを測定する段階;および(iii)正常と比較してRNAレベルを阻害する作用物質を選択し、それにより、糖尿病または前糖尿病の個体を処置するための作用物質を同定する段階。 いくつかの態様において、膵臓細胞は、糖尿病の動物由来であってよい。多くの場合、ポリペプチドはSEQ ID NO:2 またはSEQ ID NO:4を含む。RNAレベルを測定する段階は、増幅反応を含みうる。 いくつかの態様において、作用物質はsiRNAまたはアンチセンスRNAである。
【0017】
いくつかの態様において、本方法は以下の段階をさらに含む:膵臓のβ細胞集団に作用物質を投与する段階;前記集団におけるアポトーシスのレベルを測定する段階;およびアポトーシスのレベルを低下させる候補作用物質を選択する段階。
【0018】
もう一つの局面において、本発明は糖尿病または前糖尿病の個体を処置するための作用物質を同定する方法を提供し、本方法は以下の段階を含む:(i)SEQ ID NO:2の少なくとも50個の連続したアミノ酸を含む、リン酸化活性を有するポリペプチドに、候補作用物質を接触させる段階;(ii)前記ポリペプチドへの作用物質の結合を測定する段階;(iii)前記ポリペプチドに結合する作用物質を選択する段階;(iv)膵臓β細胞集団に前記作用物質を投与する段階;(v)膵臓β細胞の対照集団に対する、前記集団におけるアポトーシスのレベルを測定する段階;および(vi)アポトーシスを低下させる作用物質を選択する段階。多くの場合、ポリペプチドはSEQ ID NO:2 またはSEQ ID NO:4を含む。一つの態様では、ポリペプチドへの作用物質の結合を測定する段階が、ポリペプチドのリン酸化活性を測定することを含む。
【0019】
もう一つの局面において、本発明は、糖尿病の動物または前糖尿病の動物、例えば糖尿病または前糖尿病のヒトにおいてインスリン応答を改善する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載された方法により同定された作用物質の治療的有効量を動物に投与する段階を含む。いくつかの態様において、作用物質は、膵臓組織に投与されうる。
【0020】
本発明はまた、膵臓細胞へ発現カセットを導入する方法を提供し、本方法は、発現されると、SEQ ID NO:2の少なくとも50個の連続したアミノ酸を含むリン酸化活性を有するポリペプチドをコードする核酸の発現を阻害する核酸を含む発現ベクターを細胞へ導入する段階を含む。しばしば、ポリペプチドは、SEQ ID NO:2を含む。いくつかの態様において、細胞は、糖尿病の動物、典型的にはヒトに導入される。
【0021】
発明の詳細な説明
定義
ASKRK核酸またはポリペプチドは、多型変異体、対立遺伝子、突然変異体、および種間の相同体、ならびにそれらのASKRKドメインを指し、これらは、(1)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4の配列に対して、好ましくは少なくとも約25個、50個、100個、200個、500個、1000個またはそれ以上のアミノ酸のウィンドウ上で、約65%を上回るアミノ酸配列同一性、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有するか;(2)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列および保存的に改変されたその変異体を含む免疫原に対して産生された抗体に結合するか;(3)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4の、少なくとも15個の連続したアミノ酸、より多くの場合、少なくとも20個、30個、40個、50個または100個の連続したアミノ酸を有するか;(4)SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3の配列および保存的に改変されたそれらの変異体の配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で(少なくとも約100個、好ましくは少なくとも約500個、または1000個のヌクレオチドのサイズで)特異的にハイブリダイズするか; (5)SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3に対して、好ましくは少なくとも約50個、100個、200個、500個、1000個またはそれ以上のヌクレオチドの領域において、約95%を上回る、好ましくは約96%、97%、98%、99%またはそれ以上を上回るヌクレオチド配列同一性を有する核酸配列を有するか;または (6)SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするプライマーにより増幅される。この用語はまた、ASKRKのドメイン、または異種性タンパク質に連結されたASKRKのドメインを含む融合タンパク質を指す。本発明のASKRKポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、典型的にはヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、または任意の哺乳動物を含むがこれらに限定されない、哺乳動物由来である。「ASKRKポリヌクレオチド」および「ASKRKポリペプチド」はどちらも天然に存在するかまたは組換え型である。
【0022】
本明細書で使用される「キナーゼドメイン」は、触媒活性を有する、すなわちリン酸を高エネルギーリン酸供与体分子から基質へ転移させる、ASKRKポリペプチドの領域を指す。
【0023】
ASKRKポリペプチドの「活性」とは、その天然の細胞または組織におけるポリペプチドの構造的、調節的、または生化学的な機能を指す。ASKRKの活性は、直接的活性および間接的活性の両方を含む。直接的活性の例は触媒活性、すなわちリン酸化活性である。間接的活性の例は、表現型の変化または細胞もしくは組織における、ポリペプチドの直接活性への応答、例えばアポトーシスとして観察される。触媒活性は、例えばリン酸化される基質の量を決定することにより測定しうる。他の活性、例えばアポトーシスは、ASKRK活性の尺度として評価してもよい。
【0024】
「糖尿病についての素因」は、人が糖尿病を発症するリスクが高い場合、人に存在している。多数のリスク因子は、当業者に知られており、以下のものを含む:遺伝的因子(例えば、結果として、平均個体群においてより高い糖尿病の出現率を生じる対立遺伝子を所有すること、または親もしくは兄弟が糖尿病を有すること);体重超過(例えば、25 kg/m2以上の肥満度指数(BMI));常習的運動不足;人種/民族性(例えば、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、アメリカ先住民、アジア系アメリカ人、太平洋諸島系);以前に同定された、空腹時の糖の障害もしくは糖耐能異常;高血圧症(例えば、成人において140/90 mmHg以上);35 mg/dl以下のHDLコレステロール;250 mg/dl以上の中性脂肪レベル;妊娠性糖尿病もしくは9ポンドを超える赤ん坊の出産歴;および/または多嚢性卵巣症候群。例えば、"Report of the Expert Committee on the Diagnosis and Classification of Diabetes Mellitus"および"Screening for Diabetes" Diabetes Care 25(1):S5-S24 (2002)を参照されたい。
【0025】
「非糖尿病の個体」(本明細書では、「脂肪のない」個体とも呼ばれる)とは、患者由来の試料と比較するために用いられる場合、空腹時血糖値が110 mg/dl未満、または2時間PGの読み取り値が140 mg/dlである成人を指す。「空腹時」とは、少なくとも8時間のカロリー非摂取を指す。「2時間PG」とは、水に溶解された75 g 無水グルコースの等価物を含むグルコース負荷を患者に投与した後の血糖のレベルを指す。全体試験は、一般的に、経口グルコース負荷試験(OGTT)と呼ばれる。例えば、Diabetes Care, Supplement 2002, American Diabetes Association: Clinical Practice Recommendations 2002を参照されたい。非糖尿病の個体におけるポリペプチドのレベルは、単一の個体からの読み取り値でありうるが、典型的には、非糖尿病の個体の群からの統計学的関連性のある平均値である。非糖尿病の個体におけるポリペプチドのレベルは、例えばコンピュータープログラムにおける値により表されうる。
【0026】
「前糖尿病の個体」とは、患者由来の試料と比較するために用いられる場合、空腹時血糖値が110 mg/dlを上回るが126 mg/dl未満である、または、2時間PGの読み取り値が140 mg/dlを上回るが200 mg/dl未満である成人を指す。「糖尿病の個体」とは、患者由来の試料と比較するために用いられる場合、空腹時血糖値が126 mg/dlを上回る、または、2時間PGの読み取り値が200 mg/dlを上回る成人を指す。
【0027】
「アンタゴニスト」または「阻害剤」とは、ASKRKに結合する、部分的もしくは完全に刺激を遮断する、ASKRKの活性もしくは発現を減少させる、阻止する、活性化を遅らせる、不活性化する、脱感作する、またはダウンレギュレートする作用物質を指す。
【0028】
「抗体」とは、免疫グロブリン遺伝子により実質的にコードされるポリペプチド、または分析物(抗原)を特異的に結合かつ認識するそれらの断片を指す。認められている免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμの定常領域遺伝子、加えて無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεとして分類され、次には、それぞれ、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを定義している。
【0029】
例示的な免疫グロブリン(抗体)の構造的単位は、四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25 kD)および1つの「重」鎖(約50 kD〜70 kD)を有する。各鎖のN末端は、主として抗原認識に関与する約100個〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を定義する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれ、これらの軽鎖および重鎖を指す。
【0030】
抗体は、例えば、無傷の免疫グロブリンとして、または様々なペプチダーゼでの消化により生成される多数の十分特徴付けられた断片として、存在する。このように、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合より下で抗体を消化し、F(ab)'2、ジスルフィド結合によりVH-CH1に連結された、それ自身軽鎖であるFabの二量体を生成する。F(ab)'2は、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合を切断するように穏やかな条件下で還元され、それによりF(ab)'2二量体をFab'単量体へと変換しうる。Fab'単量体は、本質的に、ヒンジ領域の一部を有するFabである(Paul(Ed.) Fundamental Immunology, 第3版, Raven Press, NY (1993)を参照)。様々な抗体断片は無傷の抗体の消化によって定義されるが、当業者は、そのような断片が化学的にか、または組換えDNA方法を利用することにより、新たに合成されうることを認識しているものと思われる。従って、本明細書に用いられる場合、抗体という用語はまた、抗体全体の改変により作製される抗体断片か、または組換えDNA方法を用いて新たに合成されるもの(例えば、一本鎖Fv)を含む。
【0031】
「ペプチド模倣体」および「模倣体」という用語は、実質的に、本発明のアンタゴニストまたはアゴニストの同じ構造的および機能的特徴を有する合成化合物を指す。ペプチド類似体は、鋳型ペプチドのと類似した性質を有する非ペプチド薬物として製薬工業において一般に用いられる。非ペプチド化合物のこれらの型は、「ペプチド模倣体("peptide mimetics"または"peptidomimetics")」と呼ばれる(Fauchere, J. Adv. Drug Res. 15:29 (1986); Veber and Freidinger TINS p. 392 (1985);およびEvans et al. J. Med. Chem. 30:1229(1987)、参照として本明細書に組み入れられている)。治療的に有用なペプチドと構造的に似ているペプチド模倣体は、等価もしくは増強された治療的または予防的効果を生じるために用いられうる。一般的に、ペプチド模倣体は、本出願に例示されたポリペプチドのような模範的ポリペプチドと構造的に似ているが、例えば、-CH2NH-、-CH2S-、-CH2-CH2-、-CH=CH-(シスおよびトランス)、-COCH2-、-CH(OH)CH2-、および-CH2SO-からなる群より選択される結合により任意に置換された1つまたは複数のペプチドを有する。模倣体は、合成の、非天然のアミノ酸類似体から完全に構成されうるか、または一部は天然ペプチドアミノ酸、および一部は非天然のアミノ酸類似体のキメラ分子であるかのいずれかである。模倣体はまた、そのような置換体もまた模倣体の構造および/または活性を実質的に変化させない限りは、任意の量の天然のアミノ酸保存的置換を組み入れられうる。例えば、模倣体組成物は、本発明のポリペプチドのアゴニストもしくはアンタゴニストの結合または他の活性を実行する能力がある場合には、本発明の範囲内である。
【0032】
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖を産生することに関与するDNAのセグメントを意味する;それは、コード領域に先立つおよび次に続く領域(リーダーおよびトレーラー)、加えて、個々のコードセグメント(エキソン)の間の介在配列(イントロン)を含む。
【0033】
核酸またはタンパク質に適用される場合、「単離された」という用語は、核酸またはタンパク質が、それの天然の状態において付随している他の細胞成分を本質的に含まないことを意味する。それは、好ましくは、均一な状態であるが、乾燥されているかまたは水溶液中のいずれかでありうる。純度および均一性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーのような分析的化学技術を用いて測定される。調製物に存在する主な種であるタンパク質が、実質的に精製される。特に、単離された遺伝子は、その遺伝子に隣接する、および関心対象のその遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離される。「精製された」という用語は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じさせることを意味する。特に、核酸またはタンパク質が、少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、および最も好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味する。
【0034】
「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖型または二本鎖型のいずれかである、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらのポリマーを指す。特に限定がない限り、その用語は、参照核酸と類似した結合性質をもち、天然に存在するヌクレオチドと類似した様式で代謝される天然ヌクレオチドの既知の類似体を含む核酸を含む。他に規定がない限り、特定の核酸配列は、明確に示された配列に加えて、保存的に改変されたその変異体(例えば、縮重コドン置換)、および相補的配列も暗に意味するものとして含まれる。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの第三位が混合された塩基および/またはデオキシイノシン残基と置換されている配列を生じることにより達成されうる(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985);およびCassol et al. (1992); Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、および、遺伝子によりコードされるmRNAと交換可能に用いられる。
【0035】
「siRNA」とは、細胞、例えば哺乳動物細胞(ヒト細胞を含む)、および身体、例えば哺乳動物の身体(ヒトを含む)における特定の遺伝子の転写後サイレンシングを引き起こすことができる小さな干渉RNAを指す。RNA干渉の現象は、Bass, Nature 411:428-29(2001); Elbahir et al., Nature 411:494-98 (2001);およびFire et al., Nature 391:806-11 (1998);およびWO 01/75164に記載かつ考察されており、干渉RNAを作製する方法もまた考察されている。本明細書に開示された遺伝子産物をコードする配列および核酸に基づいたsiRNAは、典型的には、100塩基対未満であり、例えば、約30 bpsまたはそれより短くてよく、相補的DNA鎖の使用または合成的アプローチを含む、当技術分野において公知のアプローチにより作製されうる。本発明による例示的siRNAは、29 bps、25 bps、22 bps、21 bps、20bps、15 bps、10 bps、5 bps、またはそれくらいのもしくはそれらの間の任意の整数まででありうる。最適な阻害性siRNAを設計するためのツールは、DNAengine Inc.(Seattle, WA)およびAmbion, Inc.(Austin, TX)から入手できるものを含む。
【0036】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書で交換可能に用いられる。その用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーに加えて、1個またはそれ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣体であるアミノ酸ポリマーに適用する。本明細書に用いられる場合、その用語は、アミノ酸残基が共有結合性ペプチド結合により連結されている、完全長タンパク質(すなわち、抗原)を含む、任意の長さのアミノ酸鎖を含む。
【0037】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在する、および合成のアミノ酸、加えて、天然に存在するアミノ酸と類似した様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によりコードされるもの、加えて後で修飾されているそれらのアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合しているα炭素を有する化合物を指し、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムである。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチドバックボーンを有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。「アミノ酸模倣体」とは、アミノ酸の一般的な化学構造と異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と類似した様式で機能する、化合物を指す。
【0038】
アミノ酸は、一般に知られている3文字記号またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨されている1文字記号のいずれかにより本明細書に指示されうる。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般に是認されている1文字コードにより指示されうる。
【0039】
「保存的に改変された変異体」は、アミノ酸および核酸配列の両方に適用する。特定の核酸配列に関して、「保存的に改変された変異体」とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一の配列を指す。遺伝暗号の縮重のため、多数の機能的に同一の核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。従って、アラニンがコドンによって特定されているあらゆる位置において、コドンは、コードされたポリペプチドを変化させることなく、記載された対応するコドンのいずれかへ変えられうる。そのような核酸変異は、保存的に改変された変異の1つの種類である、「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする本明細書でのあらゆる核酸配列はまた、その核酸のあらゆる可能なサイレント変異を記載する。当業者は、核酸における各コドン(通常、メチオニンについての唯一のコドンであるAUG、および通常、トリプトファンについての唯一のコドンであるTGGを除く)が機能的に同一の分子を生じるように改変されうることを認識しているものと思われる。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、各記載された配列に潜在的に含まれている。
【0040】
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされた配列において単一のアミノ酸もしくはわずかなパーセンテージのアミノ酸を変える、付加するまたは欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加が、その変化が結果として、アミノ酸の代わりに化学的に類似したアミノ酸を用いる置換を生じる「保存的に改変された変異体」であることを認識しているものと思われる。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当技術分野においてよく知られている。そのような保存的に改変された変異体は、本発明の多型変異体、種間相同体および対立遺伝子に加えられるのであり、それらを排除しない。
【0041】
以下の8群はそれぞれ、お互いについて保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、トレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照)。
【0042】
「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウに対して2つの最適に整列された配列を比較することにより決定され、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために付加または欠失を含まない参照配列(例えば、本発明のポリペプチド)と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含みうる。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列に存在する位置の数を測定し、一致した位置の数を得て、一致した位置の数を比較のウィンドウにおける位置の総数で割り、その結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算される。
【0043】
2つもしくはそれ以上の核酸またはポリペプチド配列に関して、「同一の」または%「同一性」という用語は、同じ配列である、または、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いて、もしくは手作業のアラインメントおよび目視検査により測定されるように、比較ウィンドウもしくは指定された領域に対して、最大限の一致のために比較かつ整列された場合、2つの配列が、同じであるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの特定されたパーセンテージ(すなわち、特定された領域に対して、または特定されない場合、配列全体に対して、60%同一性、任意で65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の同一性)を有する場合には、実質的に同一である、2つもしくはそれ以上の配列または部分配列を指す。本発明は、本明細書でSEQ ID NO:1および2に例示された、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、それぞれに、実質的に同一であるポリペプチドまたはポリヌクレオチドを提供する。この定義はまた、試験配列の相補体にもあてはまる。任意で、同一性は、少なくとも約50ヌクレオチド長である領域に対して、またはより好ましくは、100から500まで、または1000もしくはそれ以上までのヌクレオチド長である領域に対して、存在する。
【0044】
配列比較について、典型的には、1つの配列が参照配列としての役割を果たし、試験配列がそれに対して比較される。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列および参照配列は、コンピューターへ入力され、必要な場合には部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。デフォルトプログラムパラメータが用いられうる、または代替パラメータが指定されうる。配列比較アルゴリズムは、その後、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列についての%配列同一性を計算する。
【0045】
本明細書に用いられる場合、「比較ウィンドウ」は、20から600まで、通常には約50〜約200、より通常には約100〜約150からなる群より選択される連続した位置の数のいずれか1つのセグメントへの参照を含み、2つの配列が最適に整列された後、連続した位置の同じ数の参照配列と配列が比較されうる。比較のための配列のアラインメントの方法は、当技術分野においてよく知られている。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith and Waterman (1970) Adv. Appl. Math. 2:482cの局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson and Lipman (1988) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性検索方法により、コンピューター化されたこれらのアルゴリズムの実施(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)により、または手作業のアラインメントおよび目視検査(例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1995 別冊)を参照)により行われうる。
【0046】
%配列同一性および配列類似性を決定するために適したアルゴリズムの2つの例は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、Altschul et al. (1977) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402、およびAltschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410、それぞれに記載されている。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公的に利用できる。このアルゴリズムは、まず、データベース配列において同じ長さのワードについて整列された場合、いくらかの正の数の閾値スコアTに合うまたは満たすかのいずれかである、問い合わせ配列における長さWの短いワードを同定することにより高スコア配列ペア(HSP)を同定することを含む。Tは、近傍ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschul et al.、前記)。これらの最初の近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するための種として働く。ワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加しうる限りの間、各配列に沿って両方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一致の残基のペアについての報酬スコア;常に>0)およびN(不一致の残基についてのペナルティスコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列について、スコア行列が累積スコアを計算するために用いられる。各方向におけるワードヒットの拡張は、以下の場合に停止される:累積アラインメントスコアが、それの最大達成値から量Xだけ低下する;累積スコアが、1つまたは複数の負のスコアの残基アラインメントの蓄積のために、ゼロもしくはそれ未満まで進む;またはいずれかの配列の末端に到達する。BLASTアルゴリズムパラメータ、W、TおよびXは、アラインメントの検出感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとして、ワード長11、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両方の鎖の比較を用いる。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコア行列(Henikoff and Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915参照)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両方の鎖の比較を用いる。本特許出願の目的のため、配列比較はデフォルトパラメータを用いたBLASTを用いて行われる。
【0047】
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計学的解析を実行する(例えば、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787を参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の一致が偶然に起こる確率の表示を提供する、最小総確率(P(N))である。例えば、試験核酸の参照核酸との比較における最小総確率が、約0.2未満、より好ましくは約0.1未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合には、核酸は参照配列と類似しているとみなされる。
【0048】
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一である指標は、下記のように、第一核酸によりコードされるポリペプチドが第二核酸によりコードされるポリペプチドに対して産生される抗体と免疫学的に交差反応性であることである。このように、ポリペプチドは、典型的には、例えば、2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、第二ポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるというもう一つの指標は、下記のように、2つの分子またはそれらの相補体がストリンジェントな条件下でお互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらにもう一つの指標は、同じプライマーが配列を増幅するために用いられうることである。
【0049】
「選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする」という語句は、配列が複雑な混合物(例えば、全細胞もしくはライブラリーのDNAまたはRNA)に存在する場合、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特定のヌクレオチド配列のみとの分子の結合、二重鎖形成、またはハイブリダイズを指す。
【0050】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という語句は、典型的には核酸の複雑な混合物において、プローブがそれの標的部分配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない、条件を指す。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、環境が異なれば異なる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの広範な手引きは、Tijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Probes, "Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays" (1993)に見出される。一般的に、ストリンジェントな条件は、定義済みのイオン強度pHにおける特定の配列についての温度融点(Tm)より約5℃〜10℃低いように選択される。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする(Tmにおいて標的配列が過剰に存在する場合、プローブの50%が平衡状態で占有される)、温度(定義済みのイオン強度、pHおよび核酸濃度下において)である。ストリンジェントな条件とは、塩濃度が、pH 7.0〜8.3において、約1.0 M未満のナトリウムイオン、典型的には約0.01M〜1.0 Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、かつ温度が、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドより大きい)について少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような不安定化剤の添加で達成されうる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションについて、正のシグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、任意でバックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。例示的ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下のとおりでありうる:55℃、60℃、もしくは65℃での0.2×SSCおよび0.1% SDSにおける洗浄を伴う、42℃で50% ホルムアミド、5×SSCおよび1% SDSとのインキュベート、または、65℃で5×SSC、1% SDSとのインキュベート。そのような洗浄は、5分間、15分間、30分間、60分間、120分間またはそれ以上行われうる。
【0051】
ストリンジェントな条件下でお互いにハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合には、なお実質的に同一である。これは、例えば、核酸のコピーが遺伝暗号により許される最大コドン縮重を用いて作製される場合に起こる。そのような場合、核酸は、典型的には、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。例示的な「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、40% ホルムアミド、1 M NaCl、1% SDSの緩衝液における37℃でのハイブリダイゼーション、および1X SSCにおける45℃での洗浄を含む。そのような洗浄は、5分間、15分間、30分間、60分間、120分間またはそれ以上行われうる。正のハイブリダイゼーションは、バックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者は、代替のハイブリダイゼーションおよび洗浄条件が類似したストリンジェント性の条件を与えるために利用されうることを容易に認識しているものと思われる。
【0052】
「コードする核酸配列」という語句は、rRNA、tRNAのような構造的RNA、または特定のタンパク質もしくはペプチドの一次アミノ酸配列、またはトランス作用性調節因子のための結合部位についての配列情報を含む核酸を指す。この語句は、具体的には、天然の配列の縮重コドン(すなわち、単一のアミノ酸をコードする異なるコドン)、特定の宿主細胞におけるコドン優先に適合させるように導入されうる配列を含む。
【0053】
例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関して用いられる場合、「組換え」という用語は、細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種性核酸もしくはタンパク質の導入または天然の核酸もしくはタンパク質の変化により改変されていること、または細胞が、そのように改変された細胞由来であることを示す。このように、例えば、組換え細胞は、細胞の天然(非組換え)型内では見出されない遺伝子を発現させる、またはさもなければ、異常に発現される、発現不足である、または全く発現されない天然の遺伝子を発現させる。
【0054】
核酸の部分に関して用いられる場合、「異種性」という用語は、核酸が、天然でお互いに同じ関係において見出されない2つまたはそれ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、核酸は、典型的には、新しい機能性核酸を構成するように並べられた関連のない遺伝子由来の2つまたはそれ以上の配列、例えば、1つの源由来のプロモーターおよび別の源由来のコード領域を有して、組換え的に作製される。同様に、異種性タンパク質は、タンパク質が、天然でお互いに同じ関係において見出されない2つまたはそれ以上の部分配列を含むことを示す(例えば、融合タンパク質)。
【0055】
「発現ベクター」とは、宿主細胞において特定の核酸の転写を可能にする一連の特定化された核酸エレメントを含む、組換え的にまたは合成的に作製される核酸構築物である。発現ベクターは、プラスミド、ウイルスまたは核酸断片の一部でありうる。典型的には、発現ベクターは、プロモーターに実施可能に連結された、転写されうる核酸を含む。
【0056】
タンパク質またはペプチドに言及する場合、「特異的に(または選択的に)抗体に結合する」または「特異的(または選択的)免疫反応性の」という語句は、タンパク質および他の生物製剤の不均一な集団の存在において、そのタンパク質の存在を決定する結合反応を指す。このように、指定されたイムノアッセイ条件下において、特定化された抗体は、特定のタンパク質に結合し、試料に存在する他のタンパク質に有意な量では結合しない。そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質への特異性について選択される抗体を必要としうる。例えば、本発明のポリヌクレオチドのいずれかによりコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質に対して産生される抗体は、そのタンパク質と特異的免疫反応性であり、かつ多型変異体を除く他のタンパク質と特異的免疫反応性ではない抗体を得るように選択されうる。様々なイムノアッセイ形式は、特定のタンパク質と特異的免疫反応性である抗体を選択するために用いられうる。例えば、固相ELISAイムノアッセイ、ウェスタンブロット、または免疫組織化学は、タンパク質と特異的免疫反応性であるモノクローナル抗体を選択するために日常的に用いられる。特異的な免疫反応性を測定するために用いられうるイムノアッセイ形式および条件の説明について、Harlow and Lane Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, NY (1988)を参照されたい。典型的には、特異的または選択的反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10倍〜100倍を上回る。
【0057】
発現または活性の「阻害剤」または「モジュレーター」は、ASKRK活性または発現を減少させる阻害性分子を指すために用いられる。そのようなモジュレーターは、発現または活性についてのインビトロおよびインビボのアッセイを用いて同定される。モジュレーターは、例えば、アンタゴニストならびにそれらの相同体および模倣体を含む。阻害剤は、例えば、ASKRKの発現を阻害する、または結合する、部分的にもしくは完全に刺激を遮断する、減少させる、阻止する、活性化を遅らせる、不活性化する、脱感作する、またはASKRKの活性をダウンレギュレートする作用物質である。モジュレーターは、天然に存在するおよび合成のリガンド、アンタゴニスト、化学低分子などを含む。阻害剤についてのアッセイ、例えば、上記のように、推定のモジュレーター化合物をASKRKを発現させる細胞へ適用し、その後、活性への機能的効果を測定すること。可能性のあるモジュレーターで処理されたASKRKポリペプチドを含む試料またはアッセイは、効果の程度を調べるためにモジュレーター無しの対照試料と比較される。対照試料(モジュレーターで処理されていない)は、100%の相対的活性値を割り当てられる。本発明のポリペプチドの阻害は、対照に対するポリペプチド活性値が約80%、任意で50%または25%、10%、5%または1%である場合、達成される。
【0058】
序論
本発明はASKRKが膵臓のβ細胞のアポトーシスにおいて役割を果たすという発見に基づく。ASKRKは主に膵臓のβ細胞中で発現される。従って、ASKRK発現または活性の阻害剤はグルコース代謝に関連する疾患、例えば糖尿病を処置するために用いることができる。糖尿病または前糖尿病の個体におけるASKRKの阻害により、例えば膵臓のβ細胞生存率を促進することができる。ASKRKの発現または活性の調節は、糖尿病、前糖尿病、または肥満のインスリン耐性の非糖尿病患者の処置において、有益でありうる。
【0059】
一般的組換え核酸方法
本発明の多数の態様において、ASKRKポリペプチドをコードする核酸は、組換え方法を用いて単離かつクローニングされる。そのような態様は、例えば、タンパク質発現のために、または変異体、誘導体もしくは他のASKRK配列の作製のために、SEQ ID NO:1に同一または実質的に同一である配列を含むポリヌクレオチドを単離するために用いられる。組換え方法はまた、発現カセットを作製するために、遺伝子発現をモニタリングするために、異なる種における配列の単離もしくは検出のために、患者における診断的目的のために、例えば、ASKRKポリヌクレオチドもしくはポリペプチドにおける突然変異を検出するために、またはASKRK核酸もしくはポリペプチドの発現レベルを検出するために、用いられうる。いくつかの態様において、そのポリペプチドをコードするASKRK配列は、異種性プロモーターに実施可能に連結されている。一つの態様において、ASKRK核酸は、任意の哺乳動物由来であり、特に、例えば、ヒト、マウス、ラットなどを含む。
【0060】
一般的組換え核酸方法
本発明に用いられる組換え方法は、組換え遺伝学の分野において日常的である。一般的な方法を開示する基本的なテキストは、Sambrook & Russell, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (第3版、2001); Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);およびCuurent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al., eds., 1994))を含む。
【0061】
核酸について、サイズは、キロベース(kb)または塩基対(bp)のいずれかで示される。これらは、アガロースもしくはアクリルアミドゲル電気泳動から、シーケンシングされた核酸から、公開されたDNA配列から導かれる推定値である。タンパク質について、サイズは、キロダルトン(kDa)またはアミノ酸残基数で示される。タンパク質サイズは、ゲル電気泳動から、シーケンシングされたタンパク質から、由来するアミノ酸配列から、公開されたタンパク質配列から、推定される。
【0062】
商業的に入手できないオリゴヌクレオチドは、Van Devanter et al., Nucleic Acids Res. 12:6159-6168 (1984)に記載されているように、自動合成機を用いて、Beaucage & Caruthers, Tetrahedron Letts. 22:1859-1862 (1981)により最初に記載された、固相ホスホラミダイトトリエステル方法に従って化学的に合成されうる。オリゴヌクレオチドの精製は、典型的には、本来のアクリルアミドゲル電気泳動によるか、またはPearson & Reanier, J. Chrom. 255:137-149 (1983)に記載されているように、陰イオン交換HPLCによるかのいずれかである。
【0063】
クローニングされた遺伝子および合成オリゴヌクレオチドの配列は、クローニング後、例えば、Wallace et al., Gene 16:21-26 (1981)の二本鎖鋳型をシーケンシングするためのチェーンターミネーション法を用いて検証されうる。
【0064】
所望のタンパク質をコードするヌクレオチド配列の単離のためのクローニング方法
一般的に、ASKRKタンパク質をコードする核酸は、cDNAまたはゲノムのライブラリーからクローニングされる。特定の配列は、例えば、プローブとハイブリダイズさせることにより同定されうるのだが、プローブの配列は、本明細書に開示された配列由来でありうり、それは、PCRプライマーについての参照を提供し、ASKRKポリヌクレオチドに特異的なプローブを単離するための適切な領域を限定する。または、配列が発現ライブラリーへクローニングされる場合、発現された組換えタンパク質は、ASKRKポリペプチド、例えばSEQ ID NO:2に対して作製された抗血清または精製抗体で免疫学的に検出されうる。cDNAおよびゲノムのライブラリーを構築する方法は、当技術分野においてよく知られている(例えば、Sambrook & Russell、上記;およびAusubel et al.、前記)。
【0065】
ASKRK核酸およびそれらの相同体を単離する代替方法は、合成オリゴヌクレオチドプライマーの使用およびRNAまたはDNA鋳型の増幅を組み合わせる(例えば、米国特許第4,683,195号および第4,683,202号; PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innis et al., eds., 1990)を参照)。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびリガーゼ連鎖反応(LCR)のような方法は、mRNAから、cDNAから、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから直接的にASKRK核酸配列を増幅するために用いられうる。縮重オリゴヌクレオチドは、本明細書に提供された配列を用いてASKRK相同体を増幅するために設計されうる。制限エンドヌクレアーゼ部位は、プライマーへ組み入れられうる。ポリメラーゼ連鎖反応または他のインビトロ増幅方法はまた、例えば、発現されるべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングするために、生理学的試料においてASKRKコード化mRNAの存在を検出するためのプローブとして用いる核酸を作製するために、核酸シーケンシングのために、または他の目的のために、有用でありうる。PCR反応により増幅された遺伝子は、アガロースゲルから精製され、適当なベクターへクローニングされうる。
【0066】
合成オリゴヌクレオチドは、プローブとしての使用のための、またはタンパク質の発現のための組換えASKRK遺伝子を構築するために用いられうる。この方法は、遺伝子のセンス鎖およびナンセンス鎖の両方を表している、通常は長さが40 bp〜120 bpの一連の重複オリゴヌクレオチドを用いて行われる。これらのDNA断片は、その後、アニール、ライゲーションおよびクローニングされる。または、増幅技術は、ASKRK核酸の特定の部分配列を増幅する正確なプライマーを使って用いられうる。特定の部分配列は、その後、発現ベクターへライゲーションされる。
【0067】
ASKRKをコードする核酸は、典型的には、複製および/または発現のための原核または真核細胞への形質転換の前に中間ベクターへクローニングされる。これらの中間ベクターは、典型的には、原核生物ベクター、例えば、プラスミドまたはシャトルベクターである。
【0068】
任意で、ASKRKまたはそのドメインを含むキメラタンパク質をコードする核酸は、標準的技術に従って作製されうる。例えば、活性部位を含むドメインは、異種性タンパク質に共有結合性に連結されうる。
【0069】
SEQ ID NO:2をコードするcDNAのようなASKRK核酸の高レベルの発現を得るために、典型的には、そのタンパク質をコードする核酸配列を、転写を指揮するプロモーター、典型的には異種性プロモーター、転写/翻訳ターミネーター、および翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクターへサブクローニングする。適したプロモーターは、当技術分野においてよく知られており、例えば、Sambrook & RussellおよびAusubel et al.に記載されている。タンパク質を発現させるための細菌発現系は、例えば、大腸菌(E. coli)、バチルス種(Bacillus sp.)およびサルモネラ(Salmonella)において利用できる(Palva et al., Gene 22:229-235 (1983); Mosbach et al., Nature 302:543-545 (1983))。標準細菌発現ベクターは、pBR322に基づいたプラスミド、pSKF、pET23Dのようなプラスミド、ならびにGSTおよびLacZのような融合発現系を含む。エピトープタグもまた、単離の便利な方法を提供するために組換えタンパク質に付加されうる、例えば、c-myc。そのような発現系のためのキットは商業的に入手できる。
【0070】
哺乳動物細胞、酵母および昆虫細胞についての真核生物発現系もまた、当技術分野においてよく知られており、商業的に入手できる。例えば、例示的なベクターは、SV40に基づいたベクター、パピローマウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、および真核生物のプロモーター、例えばSV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腺腫ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、または真核細胞における発現に有効と示された他のプロモーターの指揮下でタンパク質の発現を可能にする他のベクターを含む。一つの態様において、真核生物の発現ベクターは、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクターまたはレトロウイルスベクターである。
【0071】
宿主細胞へ外来のヌクレオチド配列を導入するための多くのよく知られた手順のいずれかが用いられうる。これらは、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、電気穿孔法、リポソーム、マイクロインジェクション、プラズマベクター、ウイルスベクターの使用、および宿主細胞へクローニングされたゲノムDNA、cDNA、合成DNAまたは他の外来遺伝物質を導入するための他のよく知られた方法を含む(例えば、Russell & Sambrook、前記を参照)。用いられる特定の遺伝子工学的手法が、ASKRKを発現させる能力がある宿主細胞へ少なくとも1つの遺伝子をうまく導入することができることだけが、必要である。
【0072】
発現ベクターが細胞へ導入された後、トランスフェクションされた細胞は、そのタンパク質の発現に有利である条件下で培養され、下で同定された標準的技術を用いて培養物から回収される。
【0073】
ASKRKの追加のコピーおよび/または改変されたもしくは突然変異したASKRK導入遺伝子を含んでいる、ノックアウトトランスジェニック動物を含む、トランスジェニック動物もまた作製されうる。「トランスジェニック動物」は、1つまたは複数の細胞が、当技術分野においてよく知られたトランスジェニック技術を用いて導入された異種性核酸を含む、任意の動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、トリまたは両生類)、好ましくは非ヒトの哺乳動物を指す。核酸は、マイクロインジェクションによるまたは組換えウイルスの感染によるような、意図的な遺伝子操作として、細胞の前駆体への導入により、直接的にまたは間接的に細胞へ導入される。遺伝子操作という用語は、古典的な交雑育種またはインビトロの受精を含まず、むしろ、組換えDNA分子の導入に向けられる。この分子は、染色体内に組み込まれうる、またはそれは、染色体外的に複製するDNAでありうる。
【0074】
他の態様において、ASKRKの発現が沈黙させられているトランスジェニック動物が作製される。相同組換えによる遺伝子ノックアウトは、トランスジェニック動物を作製するために一般に用いられる方法である。トランスジェニックマウスは、当業者にとって公知の方法を用いて得られうるが、例えば、Hogan et al., Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual, (1988); Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, Robertson, ed., (1987);およびCapecchi et al., Science 244:1288(1989)を参照されたい。
【0075】
ASKRKタンパク質の精製
天然に存在するまたは組換えのASKRKポリペプチドのいずれかが、機能アッセイにおける使用のために精製されうる。本発明の天然に存在するASKRKポリペプチドは、任意の源(例えば、オーソログを発現させる生物体の組織)から精製されうる。組換えポリペプチドは、任意の適した発現系から精製されうる。ASKRKポリペプチドは、硫酸アンモニウムのような物質での選択的沈殿;カラムクロマトグラフィー、免疫精製方法などを含む、標準的技術により実質的純粋へ精製される(例えば、Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (1982);米国特許第4,673,641号;Ausubel et al.、前記;およびSambrook & Russel、前記を参照)。
【0076】
組換えポリペプチドが精製されるべき場合、多数の方法が用いられうる。例えば、確立された分子接着性質を有するタンパク質は、本発明のポリペプチドに可逆的に融合されうる。適切なリガンドを用いて、いずれかのタンパク質が精製カラムへ選択的に吸着され、その後、相対的に純粋な形でカラムから遊離されうる。融合されたタンパク質は、その後、酵素活性により除去されうる。最後に、ポリペプチドは、免疫親和性カラムを用いて精製されうる。
【0077】
発現は恒常的であってもよいが、組換えタンパク質が、典型的にはプロモーター誘導後、形質転換された細菌により大量に発現されている場合、タンパク質は不溶性凝集体を形成しうる。タンパク質封入体の精製に適しているいくつかのプロトコールがある。例えば、典型的には、凝集したタンパク質(以下封入体と呼ぶ)の精製は、典型的には、これに限定されるわけではないが、約100 μg/ml〜150 μg/ml リゾチームおよび0.1% ノニデットP40、非イオン性界面活性剤の緩衝液におけるインキュベーションによる細菌細胞の破壊による、封入体の抽出、分離および/または精製を含む。細胞懸濁液は、ポリトロン(Polytron)粉砕機(Brinkman Instruments, Westbury, NY)を用いて粉砕されうる。または、細胞は氷上で超音波処理されうる。細菌を溶解させる代替方法は、Ausubel et al.およびSambrook et al.、両方とも前記に記載されており、当業者にとって明らかであると思われる。
【0078】
または、細菌周辺質からタンパク質を精製することが可能である。タンパク質が細菌の周辺質へ搬出されている場合、細菌の周辺質画分は、当業者に公知の他の方法に加えて寒冷浸透圧衝撃により単離されうる(Ausubel et al.、前記を参照)。
【0079】
タンパク質はまた、例えば、Fernandez and Hoeffler, Gene Expression Systems (1999)に記載されているように、真核生物遺伝子発現系から精製されうる。いくつかの態様において、バキュロウイルス発現系は、本発明のタンパク質を単離するために用いられる。組換えバキュロウイルスは、一般的に、バキュロウイルスのポリヘドリン(polyhedrin)のコード配列を発現されるべき遺伝子(例えば、本発明のポリペプチドをコードする)と置換することにより作製される。ポリヘドリン遺伝子欠損ウイルスは、認識を容易にさせる特有のプラーク形態を有する。いくつかの態様において、組換えバキュロウイルスは、まず、ポリヌクレオチドがポリヘドリンプロモーターに実施可能に連結されるように、トランスファーベクター(例えば、pUCに基づいたベクター)へ関心対象のポリヌクレオチドをクローニングすることにより、作製される。トランスファーベクターは、野生型DNAと共に昆虫細胞(例えば、Sf9、Sf21、またはBT1-TN-5B1-4細胞)へトランスフェクションされ、結果として、相同組換え、および野生型ウイルスDNAにおけるポリヘドリン遺伝子の、関心対象のポリヌクレオチドとの置換を生じる。その後、ウイルスが生成され、プラークが精製されうる。タンパク質発現は、昆虫細胞のウイルス感染により、結果として生じる。発現されたタンパク質は、分泌されている場合には細胞上清から、または細胞内にある場合には細胞可溶化物から、収集されうる。例えば、Ausubel et al.およびFernandez and Hoeffler、前記を参照されたい。
【0080】
タンパク質は、例えば、初期塩分画を含む標準的技術を用いて精製される。寒冷エタノール沈殿のようなタンパク質の溶解度に頼る他の方法は、当業者によく知られており、複雑なタンパク質混合物を分画するために用いられうる。
【0081】
タンパク質はまた、限外濾過およびカラム上でのサイズ分離のような技術を用いて、計算される分子量に基づいて分離されうる。関心対象のタンパク質はまた、それらのサイズ、正味の表面電荷、疎水性およびリガンドへの親和性を基礎として他のタンパク質から分離されうる。さらに、タンパク質に対して産生される抗体は、カラムマトリックスへ結合され、タンパク質が免役精製されうる。これらの方法のすべては当技術分野においてよく知られている。
【0082】
血球凝集素(HA)、FLAG、Xpress、Myc、ヘキサヒスチジン(His)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)などのような様々な親和性タグに対して産生された抗体を用いる免疫アフィニティークロマトグラフィーが、ポリペプチドを精製するために用いられうる。Hisタグはまた、特定の金属(例えば、Ni)についてのキレート剤として働き、従って、その金属もまた、His含有ポリペプチドを精製するために用いられうる。精製後、タグは、任意で、特異的なタンパク質分解性切断により除去される。
【0083】
ASKRKポリヌクレオチドの検出
当業者は、ASKRKポリヌクレオチドおよびポリペプチドの発現の検出が多くの用途を有することを認識しているものと思われる。例えば、本明細書に考察されているように、患者における本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドのレベルの検出は、糖尿病または糖尿病の病理学的影響の少なくとも一部についての素因を診断するのに有用でありうる。さらに、遺伝子発現の検出は、ASKRKポリヌクレオチドおよびポリペプチドの発現のモジュレーター、例えば、阻害剤を同定するために有用である。
【0084】
遺伝子発現は、当技術分野において公知の技術下でさらに記載されているが、例えば、mRNAの逆転写および増幅、全RNAまたはポリA+RNAの単離、ノーザンブロッティング、ドットブロッティング、インサイチューハイブリダイゼーション、リボヌクレアーゼプロテクション、探索DNAマイクロチップアレイなどにより分析されうる。
【0085】
核酸ハイブリダイゼーション技術を用いる特定のDNAおよびRNA測定の様々な方法は、当業者に知られている(Sambrook、前記を参照)。いくつかの方法は、電気泳動の分離を含むが(例えば、DNAを検出するためのサザンブロット、およびRNAを検出するためのノーザンブロット)、DNAおよびRNAの測定は、電気泳動の分離がない場合でも行われうる(例えば、ドットブロットにより)。ゲノムDNA(例えば、ヒト由来の)のサザンブロットは、本発明のポリペプチドに影響を及ぼす遺伝的疾患の存在を検出するために制限断片長多型(RFLP)についてスクリーニングするために用いられうる。
【0086】
核酸ハイブリダイゼーション形式の選択は重要ではない。様々な核酸ハイブリダイゼーション形式が当業者に知られている。例えば、一般の形式は、サンドイッチアッセイおよび競合または置換アッセイを含む。ハイブリダイゼーション技術は、一般的に、Hames and Higgins, Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach, IRL Press (1985); Gall and Pardue, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 63:378-383 (1969);およびJohn et al., Nature, 223:582-587 (1969)に記載されている。
【0087】
ハイブリダイゼーション複合体の検出は、標的およびプローブのポリヌクレオチドまたは核酸の二重鎖へのシグナル発生複合体の結合を必要とする場合がある。典型的には、そのような結合は、リガンド結合プローブと、シグナルを結合した抗リガンドとの間のように、リガンドと抗リガンド相互作用を通して生じる。シグナル発生複合体の結合はまた、超音波エネルギー照射による促進を容易に受け入れられる。
【0088】
標識もまた、ハイブリダイゼーション複合体の間接的検出を可能にしうる。例えば、標識がハプテンまたは抗原である場合、試料は、抗体を用いて検出されうる。これらの系において、シグナルは、抗体へ蛍光もしくは酵素分子を付着させることにより、またはいくつかの場合には放射性標識への付着により、発生する(例えば、Tijssen, "Practice and Theory of Enzyme Immunoassays," Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Burdon and van Knippenberg Eds., Elsevier (1985), pp. 9-20を参照)。
【0089】
プローブは、典型的には、同位元素、発色団、ルミフォア、色原体を用いるなど直接的に、または、ストレプトアビジン複合体が後で結合しうるビオチンを用いるなど間接的に、標識される。このように、本発明のアッセイに用いられる検出可能な標識は、一次標識(標識が、直接的に検出される、または直接的に検出可能な要素を生じる、要素を含む場合)または二次標識(検出される標識が一次標識に結合する場合、例えば、免疫学的標識によくあるような)でありうる。典型的には、標識されたシグナル核酸は、ハイブリダイゼーションを検出するために用いられる。相補性核酸またはシグナル核酸は、ハイブリダイズされたポリヌクレオチドの存在を検出するために典型的に用いられるいくつかの方法のいずれか1つにより標識されうる。検出の最も一般的な方法は、3H、125I、35S、14C、32P標識プローブなどでのオートラジオグラフィーの使用である。
【0090】
他の標識は、例えば、標識された抗体に結合するリガンド、フルオロフォア、化学発光剤、酵素、および標識されたリガンドについての特異的な結合ペアメンバーとしての役割を果たすことができる抗体を含む。標識概論、標識方法および標識の検出は、Polak and Van Noorden, Introduction to Immunocytochemistry、第2版、Springer Verlag, NY (1997);およびHaugland, Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals、Molecular Probes, Inc. (1996)により出版されたハンドブックおよびカタログの組み合わせに見出される。
【0091】
一般的に、特定のプローブまたはプローブ組み合わせをモニタリングする検出器が、検出試薬標識を検出するために用いられる。典型的な検出器は、分光光度計、光電管およびフォトダイオード、顕微鏡、シンチレーションカウンター、カメラ、フィルムなど、加えてそれらの組み合わせを含む。適した検出器の例は、当業者に公知の様々な商業的供給源から幅広く入手できる。一般には、結合した標識部分を含む基質の光学的画像が、その後のコンピューター解析のためにデジタル化される。
【0092】
例えばASKRK RNAの量は、検出試薬の結合により固体支持体に固定された標識の量を定量化することにより測定される。典型的には、インキュベーション中のモジュレーターの存在は、モジュレーターを含まない対照インキュベーションに対して、または特定の反応型について確立されたベースラインと比較して、固体支持体に固定された標識の量を増加させるまたは減少させる。標識を検出および定量化する方法は、当業者によく知られている。
【0093】
いくつかの態様において、標的核酸またはプローブは、固体支持体に固定化される。本発明のアッセイにおける使用に適した固体支持体は、当業者に知られている。本明細書に用いられる場合、固体支持体は、実質的に固定された配置での物質のマトリックスである。
【0094】
様々な自動化固相アッセイ技術もまた適切である。例えば、非常に大量の固定化ポリマーアレイ(VLSIPS(商標))、すなわち、サンタクララ、CAのAffymetrix, Inc.から入手できる、遺伝子チップまたはマイクロアレイが、同じ調節経路に関与する複数の遺伝子の発現レベルにおける変化を同時に検出するために用いられうる。Tijssen、前記、Fodor et al. (1991) Science, 251:767-777;Sheldon et al. (1993) Clinical Chemistry 39(4):718-719、およびKozal et al. (1996) Nature Medicine 2(7):753-759を参照。同様に、スポットされたcDNAアレイ(ナイロン、ガラスまたは別の固体支持体に結合したcDNA配列のアレイ)もまた、複数の遺伝子の発現をモニタリングするために用いられうる。
【0095】
典型的には、アレイエレメントは、各エレメントが基板上の特定化された位置に存在するように、規則正しい様式で組織化されている。アレイエレメントは基板上の特定化された位置にあるため、ハイブリダイゼーションパターンおよび強度(合わせて、固有の発現プロファイルを作成する)が、特定の遺伝子の発現レベルに置き換えて解釈されうり、特定の疾患もしくは状態または治療と相互に関連づけられうる。例えば、Schena et al., Science 270:467-470 (1995)およびLockhart et al., Nature Biotech. 14:1675-1680 (1996)を参照されたい。
【0096】
ハイブリダイゼーション特異性は、特異性調節ポリヌクレオチド配列の、既知の量で試料に加えられた特異性調節ポリヌクレオチドプローブへのハイブリダイゼーションを比較することにより評価されうる。特異性調節標的ポリヌクレオチドは、対応するポリヌクレオチド配列と比較して1つまたは複数の配列ミスマッチをもちうる。この様式において、相補性標的ポリヌクレオチドのみがポリヌクレオチド配列にハイブリダイズしているかどうか、またはミスマッチしたハイブリッド二重鎖が形成されているかどうかが測定される。
【0097】
ハイブリダイゼーション反応は、絶対的または示差的ハイブリダイゼーション形式で行われうる。絶対的ハイブリダイゼーション形式において、1つの試料由来のポリヌクレオチドプローブがマイクロアレイ形式における配列にハイブリダイズし、ハイブリダイゼーション複合体形成後検出されるシグナルが、試料におけるポリヌクレオチドプローブレベルと相関する。示差的ハイブリダイゼーション形式において、2つの生物試料における一連の遺伝子の示差的発現が分析される。示差的ハイブリダイゼーションについて、両方の生物試料由来のポリヌクレオチドプローブが調製され、異なる標識部分で標識される。2つの標識されたポリヌクレオチドプローブの混合物がマイクロアレイへ加えられる。その後、マイクロアレイは、2つの異なる標識からの発光が個々に検出できる条件下で調べられる。両方の生物試料由来のポリヌクレオチドプローブの実質的に等しい数にハイブリダイズするマイクロアレイにおける配列は、別個の合わせた蛍光を示す(Shalon et al. WO95/35505)。いくつかの態様において、標識は、Cy3およびCy5フルオロフォアのような区別可能な発光スペクトルを有する蛍光標識である。
【0098】
ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイは、ハイブリダイズしていない核酸を除去するために洗浄され、ハイブリダイズ可能なアレイエレメントとポリヌクレオチドプローブの間の複合体形成が検出される。複合体形成を検出するための方法は、当業者によく知られている。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドプローブは、蛍光標識で標識され、複合体形成を示す蛍光のレベルおよびパターンの測定は、共焦点蛍光顕微鏡法のような蛍光顕微鏡法により達成される。
【0099】
示差的ハイブリダイゼーション実験において、2つまたはそれ以上の異なる生物試料由来のポリヌクレオチドプローブは、異なる発光波長を有する2つまたはそれ以上の異なる蛍光標識で標識される。蛍光シグナルは、特定の波長を検出するように設定された異なる光電子増倍管で別々に検出される。2つまたはそれ以上の試料におけるポリヌクレオチドプローブの相対的存在量/発現レベルが得られる。
【0100】
典型的には、マイクロアレイ蛍光強度は、1つより多いマイクロアレイが類似した試験条件下で用いられる場合のハイブリダイゼーション強度における変動を考慮に入れるように標準化されうる。いくつかの態様において、個々のポリヌクレオチドプローブ/標的複合体ハイブリダイゼーション強度は、各マイクロアレイ上に含まれる内部標準化対照由来の強度を用いて標準化される。
【0101】
核酸の検出もまた、例えば、二重鎖核酸に特異的に結合する標識された検出部分(例えば、RNA-DNA二重鎖に特異的である抗体)を用いることにより、達成されうる。一つの例は、抗体が酵素に連結されている(典型的には、組換えまたは共有結合性化学結合により)、DNA-RNAヘテロ二重鎖を認識する抗体を用いる。抗体は、酵素がそれの基質と反応して、検出可能な生成物を生じる場合、検出される。Coutlee et al. (1989) Analytical Biochemistry 181:153-162; Bogulavski (1986) et al. J. Immunol. Methods 89:123-130; Prooijen-Knegt (1982) Exp. Cell Res. 141:397-407; Rudkin (1976) Nature 265:472-473, Stollar (1970) PNAS 65:993-1000; Ballard (1982) Mol. Immunol. 19:793-799; Pisetsky and Caster (1982) Mol. Immunol. 19:645-650; Viscidi et al. (1988) J. Clin. Microbial. 41:199-209; およびKiney et al. (1989) J. Clin. Microbiol. 27:6-12は、ホモおよびヘテロ二重鎖を含むRNA二重鎖に対する抗体を記載する。DNA:RNAハイブリッドに特異的な抗体を含むキットは、例えば、Digene Diagnostics, Inc. (Beltsville, MD)から入手できる。
【0102】
入手可能な抗体に加えて、当業者は、現行の技術を用いて核酸二重鎖に特異的な抗体を容易に作製することができる、または商業的にもしくは公的に入手できるそれらの抗体を改変することができる。上で言及された技術に加えて、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を作製するための一般的な方法は、当業者に知られている(例えば、Paul (ed) Fundamental Immunology, Third Edition Raven Press, Ltd., NY (1993); Coligan Current Protocols in Immunology Wiley/Greene, NY (1991); Harlow and Lane Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Press, NY (1989); Stites et al. (eds.) Basic and Clinical Immunology (4th ed.) Lange Medical Publications, Los Altos, CAおよび引用された参考文献; Goding Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2d ed.) Academic Press, New York, NY, (1986); ならびにKohler and Milstein Nature 256:495-497 (1975))。抗体調製のための他の適切な技術は、ファージまたは類似したベクターにおける組換え抗体のライブラリーの選択を含む(Huse et al. Science 246:1275-1281 (1989);およびWard et al. Nature 341:544-546 (1989)を参照)。特異的なモノクローナルおよびポリクローナル抗体ならびに抗血清は、通常、少なくとも約0.1 μM、好ましくは少なくとも約0.01 μMまたはそれ以上、および最も典型的かつ好ましくは0.001 μMまたはそれ以上のKDを以て結合する。
【0103】
本発明に用いられるASKRK核酸は、正または負のいずれかのプローブでありうる。正のプローブは、それらの標的に結合し、二重鎖形成の存在が標的の存在の証拠である。負のプローブは、疑わしい標的に結合することができず、二重鎖形成の非存在が標的の存在の証拠である。例えば、野生型特異的核酸プローブまたはPCRプライマーの使用は、関心対象のヌクレオチド配列のみが存在するアッセイ試料において、負のプローブとしての役割を果たしうる。
【0104】
ハイブリダイゼーションアッセイの感度は、検出されるべき標的核酸を増加させる核酸増幅システムの使用を通して増強されうる。そのようなシステムの例は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)システムおよびリガーゼ連鎖反応(LCR)システムを含む。当技術分野において最近、記載された他の方法は、核酸配列に基づく増幅(NASBA, Cangene, Mississauga, Ontario)およびQβレプリカーゼシステムである。これらのシステムは、PCRまたはLCRプライマーが、選択された配列が存在している場合のみ伸長またはライゲーションされるように設計されている、突然変異体を直接的に同定するために用いられうる。または、選択された配列が、例えば、非特異的なPCRプライマーを用いて一般的に増幅され、増幅された標的領域は、後で、突然変異を示す特定の配列について探索されうる。Taqmanおよび分子ビーコンプローブを含む様々な検出プローブが、増幅反応産物を、例えばリアルタイムで、モニタリングするために用いられうることは、理解されている。
【0105】
本発明の核酸の発現のレベルを測定するための代替方法は、インサイチューハイブリダイゼーションである。インサイチューハイブリダイゼーションアッセイは、よく知られており、一般的には、Angerer et al., Methods Enzymol. 152:649-660 (1987)に記載されている。インサイチューハイブリダイゼーションアッセイにおいて、細胞、優先的には小脳または海馬由来のヒト細胞が固体支持体、典型的にはスライドガラスに固定される。DNAが探索されるべき場合には、細胞は、熱またはアルカリで変性される。その後、細胞は、標識されている特異的なプローブのアニーリングを可能にするように中位の温度でハイブリダイゼーション溶液と接触させられる。プローブは、好ましくは、放射性同位元素または蛍光レポーターで標識される。
【0106】
一塩基多型(SNP)分析もまた、ASKRK対立遺伝子間の差異を検出するために有用である。本発明のポリペプチドをコードする遺伝子に結びつけられたSNPは、例えば、糖尿病、または発生が本発明の遺伝子配列に結びつけられている糖尿病の素因の診断に有用である。例えば、個体が、本発明の遺伝子配列の疾患関連対立遺伝子に結びつけられた少なくとも1つのSNPを有する場合には、個体は、それらの疾患の1つまたは複数に罹る可能性が高い。個体が、疾患に結びつけられたSNPにとって同種接合である場合には、個体は、特に、その疾患(例えば、糖尿病)の発生に傾く。いくつかの態様において、本発明の遺伝子配列に関連したSNPは、その遺伝子配列から300,000;200,000;100,000;75,000;50,000;または10,000塩基対内に位置する。
【0107】
例えば、Taqmanまたは分子ビーコンに基づいたアッセイを含む様々なリアルタイムPCR方法(例えば、米国特許第5,210,015号; 同第5,487,972号; Tyagi et al., Nature Biotechnology 14:303 (1996);およびWO 95/13399)は、SNPの存在または非存在についてモニタリングするのに有用である。追加のSNP検出方法は、例えば、DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、ドットブロッティング、オリゴヌクレオチドアレイ(DNAチップ)ハイブリダイゼーション分析を含む、または、例えば、米国特許第6,177,249号; Landegren et al., Genome Research, 8:769-776 (1998); Botstein et al., Am J Human Genetics 32:314-331 (1980); Meyers et al., Methods in Enzymology 155:501-527 (1987); Keen et al., Trends in Genetics 7:5 (1991); Myers et al., Science 230:1242-1246 (1985);およびKwok et al., Genomics 23:138-144 (1994)に記載されている。
【0108】
ASKRKポリペプチドの免疫検出
核酸ハイブリダイゼーション技術を用いるASKRKポリヌクレオチドおよび遺伝子発現の検出に加えて、ASKRKポリペプチドを検出するためにイムノアッセイを用いることもできる。イムノアッセイは、本発明のポリペプチドを定性的にまたは定量的に分析するために用いられうる。適用可能な技術の一般的な概観は、例えば、Harlow & Lane, Antibodies: A Laboratory Manual (1988)およびHarlow & Lane, Using Antibodies (1999)に見出されうる。
【0109】
ASKRKタンパク質または他の免疫原に対する抗体
ASKRKタンパク質または他の免疫原と特異的に反応するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を作製するための方法は、当業者に知られている(例えば、Coligan、前記;およびHarlow and Lane、前記;Stites et al.、前記およびそこに引用された参照文献;Goding、前記;およびKohler and Milstein Nature, 256:495-497 (1975)を参照)。そのような技術は、ファージまたは類似したベクターにおける組換え抗体のライブラリーからの抗体の選択による抗体調製を含む(Huse et al.、前記;およびWard et al.、前記を参照)。例えば、イムノアッセイでの使用のための抗血清を作製するために、関心対象のタンパク質またはその抗原性断片が本明細書に記載されているように単離される。例えば、組換えASKRKタンパク質は、形質転換された細胞系において産生される。マウスまたはウサギの近交系は、フロイントのアジュバントのような標準アジュバントおよび標準免疫化プロトコールを用いて、そのタンパク質で免疫される。または、本明細書に開示されたASKRK配列由来の合成ペプチドが担体タンパク質に結合され、免疫原として用いられる。
【0110】
ポリクローナル抗血清は収集され、イムノアッセイ、例えば、固体支持体上に固定化された免疫原との固相イムノアッセイにおいて免疫原に対して力価測定される。104またはそれ以上の力価を有するポリクローナル抗血清が選択され、競合結合イムノアッセイを用いて、本発明のポリペプチド以外のタンパク質または他の生物体由来の他の相同性タンパク質までもに対するそれらの交差反応性について試験される。特異的なモノクローナルおよびポリクローナル抗体ならびに抗血清は、通常、少なくとも約0.1 mM、より通常には少なくとも約1 μM、好ましくは少なくとも約0.1 μMまたはそれ以上、および最も好ましくは0.01 μMまたはそれ以上のKDを以て結合する。
【0111】
組換えタンパク質は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の産生のための好ましい免疫原である。天然に存在するタンパク質もまた、純粋または不純のどちらの形でも用いられうる。本明細書に記載されたタンパク質配列を用いて作製される合成ペプチドもまた、タンパク質に対する抗体の産生のための免疫原として用いられうる。組換えタンパク質は、一般的に上で記載されているように、真核または原核細胞において発現され、精製されうる。その後、その産物は、抗体を産生する能力がある動物へ注射される。モノクローナルまたはポリクローナルのいずれかの抗体が、タンパク質を測定するイムノアッセイにおけるその後の使用のために作製されうる。
【0112】
ポリクローナル抗体の作製の方法は、当業者に知られている。簡単には、免疫原、好ましくは精製されたタンパク質がアジュバントと混合され、動物が免疫される。免疫原調製物に対する動物の免疫応答は、被験血液を採取し、本発明のポリペプチドに対する反応性の力価を測定することによりモニタリングされる。免疫原に対する抗体の高力価が適切に得られた場合、動物から血液が採取され、抗血清が調製される。そのタンパク質に対して反応する抗体について濃縮するための抗血清のさらなる分画が、必要に応じて行われうる(Harlow and Lane、前記を参照)。
【0113】
モノクローナル抗体は、当業者によく知られている様々な技術を用いて得られうる。典型的には、所望の抗原で免疫された動物由来の脾臓細胞が、一般的には骨髄腫細胞との融合により不死化される(Kohler and Milstein, Eur. J. Immunol. 6:511-519 (1976)を参照)。不死化の代替方法は、例えば、エプスタインバーウイルス、オンコジーンもしくはレトロウイルスでの形質転換、または当技術分野においてよく知られた他の方法を含む。単一の不死化細胞から生じたコロニーは、抗原に対する所望の特異性および親和性の抗体の産生についてスクリーニングされ、そのような細胞により産生されたモノクローナル抗体の収量は、脊椎動物宿主の腹膜腔への注射を含む様々な技術により増加されうる。または、Huse et al.、前記により概説されている一般的なプロトコールに従って、ヒトB細胞からDNAライブラリーをスクリーニングすることによりモノクローナル抗体またはその結合断片をコードするDNA配列を単離しうる。
【0114】
いったん標的免疫原特異的抗体が入手できたならば、免疫原は様々なイムノアッセイ方法により測定されうり、定性的および定量的結果が臨床医に利用可能となる。一般的な免疫学的およびイムノアッセイ方法の概説については、Stites、前記を参照されたい。さらに、本発明のイムノアッセイは、いくつかの形態のいずれにおいても行われうり、Maggio Enzyme Immunoassay, CRC Press, Boca Raton, Florida (1980); Tijssen、前記;およびHarlow and Lane、前記に幅広く概説されている。
【0115】
ヒト試料において標的タンパク質を測定するイムノアッセイは、本発明の完全長ポリペプチドまたはその断片に対して産生されたポリクローナル抗血清を用いうる。この抗血清は、他のタンパク質に対して低い交差反応性を有するように選択され、いずれのそのような交差反応性も、イムノアッセイでの使用の前の免疫吸収により除去される。
【0116】
イムノアッセイ
いくつかの態様において、関心対象のタンパク質は、多数のよく知られた免疫学的結合アッセイのいずれかを用いて検出および/または定量化される(例えば、米国特許第4,366,241号; 同第4,376,110号; 同第4,517,288号;および同第4,837,168号を参照)。一般的なイムノアッセイの概説については、Asai Methods in Cell Biology Volume 37: Antibodies in Cell Biology, Academic Press, Inc. NY (1993); Sites、前記も参照されたい。免疫学的結合アッセイ(またはイムノアッセイ)は、典型的には、分析物(例えば、本発明の完全長ポリペプチド、またはその抗原性部分配列)を特異的に結合する、およびしばしば固定する「捕獲剤」を利用する。捕獲剤は、分析物に特異的に結合する部分である。抗体は、当業者によく知られた、および上記のような、多数の方法のいずれかにより作製されうる。
【0117】
イムノアッセイはまた、しばしば、捕獲剤および分析物により形成された結合複合体に特異的に結合しかつ標識する標識剤を利用する。標識剤は、それ自身、抗体/分析物複合体を含む部分の1つでありうる。または、標識剤は、抗体/タンパク質複合体に特異的に結合する、別の抗体のような、第三の部分でありうる。
【0118】
好ましい態様において、標識剤は、標識を有する第二抗体である。または、第二抗体は、標識を欠いてもよいが、次には、第二抗体が由来している種の抗体に特異的な標識された第三抗体により結合されうる。第二抗体は、第三の標識された分子、例えば酵素標識されたストレプトアビジンが特異的に結合することができる、検出可能な部分、例えばビオチン、で修飾されうる。
【0119】
プロテインAまたはプロテインGのような、免疫グロブリン定常領域を特異的に結合する能力がある他のタンパク質もまた、標識剤として用いられうる。これらのタンパク質は、連鎖球菌の細菌の細胞壁の正常成分である。それらは、様々な種由来の免疫グロブリン定常領域と強い非免疫原性反応性を示す(一般的に、Kronval, et al. J. Immunol., 111:1401-1406 (1973);およびAkerstrom, et al. J. Immunol., 135:2589-2542 (1985)を参照)。
【0120】
アッセイを通じて、インキュベーションおよび/または洗浄段階が、試薬の配合後ごとに必要とされうる。インキュベーション段階は、約5秒間から数時間まで、好ましくは約5分間から約24時間まで、変わりうる。インキュベーション時間は、アッセイ形式、分析物、溶液の容量、濃度などに依存するものである。通常、アッセイは、周囲温度で実施されるが、10℃〜40℃のような温度の範囲に渡って行われうる。
【0121】
組織試料からASKRKタンパク質または関心対象の他の分析物を検出するためのイムノアッセイは、競合的または非競合的のどちらでもよい。非競合的イムノアッセイは、捕獲されたタンパク質または分析物の量が直接的に測定されるアッセイである。一つの好ましい「サンドイッチ」アッセイにおいて、例えば、捕獲剤(例えば、本発明のポリペプチドに特異的な抗体)が、それが固定される固体支持体に直接的に結合しうる。これらの固定された抗体は、その後、被験試料に存在するポリペプチドを捕獲する。このように固定された本発明のポリペプチドは、その後、そのポリペプチドに特異的な第二の標識された抗体のような標識剤により結合される。または、第二抗体は、標識を欠いてもよいが、次には、第二抗体が由来している種の抗体に特異的な標識された第三抗体により結合されうる。第二抗体は、第三の標識された分子、例えば酵素標識されたストレプトアビジンが特異的に結合することができる、検出可能な部分、例えばビオチン、で修飾されうる。
【0122】
いくつかの態様において、ウェスタンブロット(免疫ブロット)分析が、試料において本発明のポリペプチドの存在を検出および定量化するために用いられる。技術は、一般的に、ゲル電気泳動により試料タンパク質を分離する段階、適した固体支持体に分離されたタンパク質を移す段階、および試料を、関心対象のタンパク質を特異的に結合する抗体とインキュベートする段階を含む。これらの抗体は、直接的に標識されうる、または代わりに、その後に、関心対象のタンパク質に対する抗体に特異的に結合する標識された抗体(標識されたヒツジ抗マウス抗体)を用いて検出されうる。
【0123】
他のアッセイ形式は、特定の分子(例えば、抗体)を結合し、かつカプセル化された試薬またはマーカーを放出するように設計されたリポソームを用いる、リポソームイムノアッセイ(LIA)を含む。放出された化学物質は、その後、標準的技術に従って検出される(Monroe et al. (1986) Amer. Clin. Prod. Rev. 5:34-41を参照)。
【0124】
競合的アッセイにおいて、試料に存在するタンパク質または分析物の量は、試料に存在するタンパク質または分析物により特異的な捕獲剤(例えば、本発明のポリペプチドに特異的な抗体)から外された(競合して離された)、追加の(外因性の)タンパク質または分析物の量を測定することにより間接的に測定される。抗体に結合した免疫原の量は、試料に存在する免疫原の濃度に逆比例する。特に好ましい態様において、抗体は、固体支持体に固定される。分析物の量は、標識された分析物分子を供給することにより検出されうる。標識は、例えば、放射性標識、加えて、抗体のような検出試薬により認識されうるペプチドまたは他のタグを含みうることは、理解されている。
【0125】
競合的結合形式におけるイムノアッセイは、交差反応性測定に用いられうる。例えば、本明細書に記載された配列によりコードされたタンパク質は、固体支持体上に固定されうる。タンパク質がアッセイに加えられ、固定された抗原への抗血清の結合と競合する。固定されたタンパク質への抗血清の結合と競合する上記タンパク質の能力が、本明細書に記載された配列のいずれかによりコードされたタンパク質のそれと比較される。上記タンパク質についての%交差反応性は、標準的計算を用いて計算される。上で列挙されたタンパク質のそれぞれと10%未満の交差反応性を有する抗血清が選択され、プールされる。交差反応する抗体は、任意で、考えられるタンパク質、例えば、遠い関連性の相同体、での免疫吸収によりプールされた抗血清から除去される。
【0126】
免疫吸収され、プールされた抗血清は、その後、おそらく本発明のタンパク質であると考えられる、第二のタンパク質を免疫原タンパク質と比較するために、上記のように競合的結合イムノアッセイにおいて用いられる。この比較を行うために、2つのタンパク質は、それぞれ、広い範囲の濃度でアッセイされ、抗血清の固定されたタンパク質への結合の50%を阻害するために必要とされる各タンパク質の量が測定される。必要とされる第二タンパク質の量が、必要とされる、本明細書での配列により部分的にコードされたタンパク質の量の10倍未満である場合には、第二タンパク質は、標的タンパク質からなる免疫原に対して産生された抗体に特異的に結合すると言われる。
【0127】
標識
様々なアッセイに用いられる特定の標識または検出可能な群は、それがアッセイに用いられる抗体の特異的な結合に有意には干渉しない限り、本発明の重要な局面ではない。検出可能な群は、検出可能な物理的または化学的な性質を有する任意の物質でありうる。そのような検出可能な標識は、イムノアッセイの分野において十分開発されており、一般的には、そのような方法において有用なたいていの標識が、本発明に適用されうる。このように、標識は、分光、光化学、生化学、免疫化学、電気、光学、または化学の手段により検出できる任意の組成物である。本発明において有用な標識は、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射標識(例えば、3H、125I、35S、14Cまたは32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAに一般に用いられる他のもの)、およびコロイド金または着色ガラスもしくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)のビーズを含む。
【0128】
標識は、当技術分野においてよく知られた方法に従って、アッセイの所望の構成要素に直接的にまたは間接的にカップリングされうる。上で指摘されているように、幅広い種類の標識が用いられうり、標識の選択は、必要とされる感度、化合物との結合の容易さ、安定性要求、利用できる機器類、および廃棄規定に依存する。
【0129】
非放射性標識は、しばしば、間接的手段により付着させられる。分子はまた、シグナル発生化合物へ直接的に結合されうる、例えば、酵素または蛍光化合物との結合による。様々な酵素および蛍光化合物が、本発明の方法に関して用いられうり、当業者にはよく知られている(用いられうる様々な標識またはシグナル生成システムの概説について、例えば、米国特許第4,391,904号を参照)。
【0130】
標識を検出する手段は当業者によく知られている。このように、例えば、標識が放射性標識である場合、検出のための手段は、シンチレーションカウンターまたはオートラジオグラフィーにおいてのような写真フィルムを含む。標識が蛍光標識である場合、適切な波長の光で蛍光色素を励起し、その結果生じた蛍光を検出することにより、検出されうる。蛍光は、写真フィルムによって、電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管などのような電子感知器の使用によって、視覚的に検出されうる。同様に、酵素標識は、酵素についての適切な基質を供給し、その結果生じた生成物を検出することにより検出されうる。最後に、単純比色標識は、標識に付随した色を観察することにより直接的に検出されうる。例えば、様々なディップスティックアッセイにおいて、結合される金は、しばしば、ピンク色に見え、一方、様々な結合されるビーズは、ビーズの色に見える。
【0131】
いくつかのアッセイ形式は、標識された構成要素の使用を必要としない。例えば、凝集アッセイは、標的抗体の存在を検出するために用いられうる。この場合、抗原でコーティングされた粒子が、標的抗体を含む試料により凝集する。この形式において、構成要素のいずれも、標識される必要はなく、標的抗体の存在は、単純な目視検査により検出される。
【0132】
ASKRKのモジュレーターの同定
ASKRKの阻害剤、すなわち、ASKRK活性または発現の阻害剤は、糖尿病を含むグルコース代謝に関連した多数のヒト疾患を処置するために有用である。例えば、阻害剤の投与は、糖尿病患者または前糖尿病の個体を、糖尿病に関連した進行およびそれによる症状を防ぐように処置するために用いられうる。
【0133】
A. ASKRKポリペプチドを調節する作用物質
本発明のポリペプチドのモジュレーターとして試験される作用物質は、任意の低分子化合物、またはタンパク質、糖、核酸もしくは脂質のような生物学的存在物でありうる。典型的には、被験化合物は、化学低分子およびペプチドである。本質的に、任意の化合物が本発明のアッセイにおいて可能性のあるモジュレーターまたはリガンドとして用いられうるが、ほとんどの場合、水性または有機(特に、DMSOを主材料とした)溶液に溶解されうる化合物が用いられる。アッセイは、アッセイ段階を自動化し、任意の便利な源由来の化合物をアッセイ、典型的には並行して実行されるのだが(例えば、ロボット利用のアッセイにおいてマイクロタイタープレート上でのマイクロタイター形式で)に供給することにより、大きな化学的ライブラリーをスクリーニングするように設計される。モジュレーターはまた、ASKRKポリペプチドをコードするmRNAのレベルを低下させる(例えば、アンチセンス分子、リボザイム、DNAザイム、低分子阻害性RNAなど)またはmRNAからの翻訳のレベルを低下させる(例えば、mRNA分子における翻訳開始または他の配列に相補的であるアンチセンス分子のような翻訳ブロッカー)ように設計された作用物質を含む。モジュレーターはまた、ASKRKポリペプチドの変異体または突然変異体タンパク質でありうる。Sigma(St. Louis, MO)、Aldrich(St. Louis, MO)、Sigma-Aldrich(St. Louis, MO)、Fluka Chemika-Biochemica Analytika(Buchs, Switzerland)などを含む化合物の多くの供給業者があることは、認識されているものと思われる。
【0134】
いくつかの態様において、高処理量スクリーニング方法は、多数の可能性のある治療的化合物(可能性のあるモジュレーター化合物)を含むコンビナトリアルケミストリーまたはペプチドのライブラリーを供給することを含む。そのような「コンビナトリアルケミストリーのライブラリー」または「リガンドライブラリー」は、その後、所望の特有の活性を示すそれらのライブラリーメンバー(特に化学種またはサブクラス)を同定するために、本明細書に記載されているように、1つまたは複数のアッセイにおいてスクリーニングされる。このように同定された化合物は、通常の「リード化合物」としての役割を果たしうる、またはそれ自身、可能性のあるまたは実際の治療用物質として用いられうる。
【0135】
コンビナトリアルケミストリーのライブラリーは、多数の、試薬のような化学的「構成単位」を組み合わせることにより、化学的合成または生物学的合成のいずれかによって作製された多様な化合物の収集物である。例えば、ポリペプチドライブラリーのような直線状のコンビナトリアルケミストリーのライブラリーは、与えられた化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物におけるアミノ酸の数)についてあらゆる可能なやり方で一連の化学的構成単位(アミノ酸)を組み合わせることにより形成される。何百万という化合物は、そのような化学的構成単位の組み合わせ混合を通して合成されうる。
【0136】
コンビナトリアルケミストリーのライブラリーの調製およびスクリーニングは、当業者によく知られている。そのようなコンビナトリアルケミストリーのライブラリーは、限定されるものではないが、ペプチドライブラリー(例えば、米国特許第5,010,175号, Furka, Int. J. Pept. Prot. Res. 37:487-493 (1991)およびHoughton et al., Nature 354:84-88 (1991)を参照)を含む。化学的多様性ライブラリーを作成するための他の化学もまた用いられうる。そのような化学は、限定されるものではないが、以下のものを含む:ペプトイド(例えば、WO 91/19735)、コード化ペプチド(例えば、WO 93/20242)、ランダムバイオオリゴマー(例えば、WO 92/00091)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、およびジペプチド等のダイバーソマー(diversomer)(Hobbs et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90:6909-6913 (1993))、ビニル性ポリペプチド(Hagihara et al., J. Amer. Chem. Soc. 114:6568 (1992))、グルコース足場を有する非ペプチド性ペプチド模倣体(Hirschmann et al., J. Amer. Chem. Soc. 114:9217-9218 (1992))、低分子化合物ライブラリーの類似有機合成(Chen et al., J. Amer. Chem. Soc. 116:2661 (1994))、オリゴカルバメート(Cho et al., Science 261:1303 (1993))、および/またはペプチジルホスホネート(Campbell et al., J. Org. Chem. 59:658 (1994))、核酸ライブラリー(Ausubel, BergerおよびSambrook、すべて前記を参照)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号を参照)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughn et al., Nature Biotechnology, 14(3):309-314 (1996)およびPCT/US96/10287)、炭水化物ライブラリー(例えば、Liang et al., Science, 274:1520-1522 (1996)および米国特許第5,593,853号)、低分子有機分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum C&EN、Jan 18、33ページ (1993);イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノンおよびメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号および同第5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、第5,288,514号など)を含む。
【0137】
コンビナトリアルライブラリーの調製のための装置は、商業的に入手できる(例えば、357 MPS, 390 MPS, Advanced Chem Tech, Louisville KY, Symphony, Rainin, Woburn, MA, 433A Applied Biosystem, Foster City, CA, 9050 Plus, Millipore, Bedford, MAを参照)。さらに、多数のコンビナトリアルライブラリーは、それ自身、商業的に入手できる(例えば、ComGenex, Princeton, N.J., Tripos, Inc., St. Louis, MO, 3D Pharmaceuticals, Exton, PA, Martek Biosciences, Columbia, MDなど)。
【0138】
B. 本発明のポリペプチドのモジュレーターについてのスクリーニングの方法
多数の異なるスクリーニングプロトコールが、細胞、具体的には哺乳動物細胞、および特にヒト細胞において本発明のポリペプチドのポリヌクレオチドの発現または活性のレベルを調節する作用物質を同定するために利用されうる。大まかに言えば、スクリーニング方法は、例えば、ポリペプチドに結合すること、阻害剤もしくは活性化剤がポリペプチドに結合するのを防ぐこと、阻害剤もしくは活性化剤のポリペプチドとの会合を増加させること、またはポリペプチドの発現を活性化もしくは阻害することにより、本発明のポリペプチドの活性を調節する作用物質を同定するように複数の作用物質をスクリーニングすることを含む。
【0139】
本発明の完全長ポリペプチドまたはその断片を発現させる任意の細胞は、モジュレーターを同定するために用いられうる。いくつかの態様において、細胞は、異種性ASKRKポリペプチドを発現させるように形質転換された真核生物細胞系(例えばHEK293)である。いくつかの態様において、内因性ASKRKポリペプチドを発現させる細胞、例えば膵臓細胞または副腎細胞が、スクリーニングに用いられる。
【0140】
1. ポリペプチド結合アッセイ
予備スクリーニングは、ASKRKポリペプチドに結合する能力がある作用物質についてスクリーニングすることにより行われうり、そのように同定された作用物質の少なくとも一部が本発明のポリペプチドのモジュレーターである可能性が高い。結合アッセイはまた、例えば、ASKRKと相互作用する内因性タンパク質を同定するために、有用である。例えば、本発明のポリペプチドを結合する抗体または他の分子が結合アッセイにおいて同定されうる。
【0141】
結合アッセイは、通常、ASKRKポリペプチドを1つまたは複数の被験作用物質と接触させる段階、ならびにタンパク質および被験作用物質が結合複合体を形成する時間を十分にとる段階を含む。形成された任意の結合複合体は、多数の確立された分析技術のいずれかを用いて検出されうる。タンパク質結合アッセイは、限定されるものではないが、非変性SDS-ポリアクリルアミドゲル上の共沈殿または共移動、ウェスタンブロット上の共移動を測定する方法を含む(例えば、Neurotransmitter Receptor Binding (Yamamura, H.I., et al. eds.), pp.61-89におけるBennet, J.P. and Yamamura, H.I. (1985) "Neurotramsmitter, Hormone or Drug Receptor Binding Methods"を参照)。他の結合アッセイは、ASKRKポリペプチドに結合した分子もしくは標識された基質の置換を同定する、質量分析法またはNMR技術の使用を含む。これらのアッセイに用いられるASKRKポリペプチドは、天然で発現されうる、クローニングされうる、または合成されうる。
【0142】
さらに、哺乳動物または酵母ツーハイブリッドのアプローチ(例えば、Bartel, P.L. et. al. Methods Enzymol, 254:241 (1995)を参照)が、宿主細胞において共に発現されると、ASKRKと相互作用するもしくは結合するポリペプチドまたは他の分子を同定するために用いられうる。
【0143】
2. ポリペプチド活性
ASKRK活性は、機能的、化学的および物理的効果を測定する様々なインビトロおよびインビボのアッセイを用いて評価されうる。これらのアッセイは、例えば基質の触媒的リン酸化のモニタリングを含む。キナーゼアッセイの例を実施例中に示す。簡潔には、ASKRKがMAPキナーゼキナーゼ(MKK6)をリン酸化する能力は、32P-γATPを有する緩衝液中でASKRKポリペチドと共に基質をインキュベートして、リン酸された基質の量を測定することにより試験する。
【0144】
高処理量使用に形式を定められたアッセイもまた用いられうる。例えば、キナーゼは、陽子の放出を伴って、γ-ホスホリル基のATPから適切なヒドロキシルアクセプターへの転移を触媒する。適切に適合した緩衝液/指標系を用いてこの陽子の検出に基づいたアッセイは、それゆえに、活性を検出するために用いられうる(例えば、Chapman & Wong Bioorg Med Chem 10:551-5, 2002)。
【0145】
または、ASKRKによって媒介されるアポトーシスは、ASKRK活性をアッセイするのに使用することができる。このようなアッセイでは、アポトーシスの特徴、例えばDNA断片化、細胞生存率が測定される。比色または蛍光による生存率アッセイのような、ハイスループット・スクリーニング方式に適したアッセイを使用して、細胞生存率を測定することができる。例えば、アラマーブルー(AB)アッセイは、代謝活性に応答して色または蛍光を変化させる酸化還元指示薬を含む。アラマーブルーは、生存細胞の存在下では蛍光を発するが、死細胞では発しない。このようなアッセイは、マイクロタイタープレート中で、またはフローサイトメトリーにより、都合よく読み取ることができる。MTT(3-(4,5-ジメチル)チアゾール-2-イル-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)のホルマザンへの還元を測定する、MTTアッセイのような比色アッセイは、細胞の生存率および増殖を測定するためのハイスループット方式においても都合よく使用することができる。
【0146】
細胞数を測定する他のアッセイも使用することができる。これらは、細胞のDNAへの色素のインターカレーションを測定するアッセイを含む。インターカレートした色素量は細胞数に正比例する。例えば細胞は、生体細胞のDNA中にインターカレートする、ヘキスト33342のような色素で染色することができ、蛍光量を測定することにより細胞数が決定される。細胞はまた、直接計数してもよい。
【0147】
アッセイのASKRKポリペプチドは、SEQ ID NO:2または他の保存的に改変されたその変異体の配列と実質的同一性を有するポリペプチドから選択される。一般的に、アミノ酸配列同一性は、本明細書に例示されたASKRKポリペプチドと少なくとも70%、任意で少なくとも85%、任意で少なくとも90%〜95%である、またはポリペプチドは、SEQ ID NO:2の少なくとも10個の連続したアミノ酸、よりしばしば、20個、25個、30個、35個、50個もしくは100個の連続したアミノ酸を有する。任意で、活性アッセイに用いられるASKRKポリペプチドは、キナーゼドメインなどのような本発明のポリペプチドの断片を含む。本発明のポリペプチドまたはそのドメインのいずれかが、本明細書に記載されたアッセイに用いられるキメラタンパク質を作製するように異種性タンパク質に共有結合性に連結されうる。本発明のポリペプチドは、対照に対して、110%、任意で150%、200%、300%、400%、500%、1000%〜2000%の活性値を有する場合に活性である。
【0148】
ASKRKの候補阻害剤は、組換え型または天然のポリペプチドのいずれかを用いて試験される。タンパク質は、組換え型または天然で単離されうり、細胞内で発現されうり、細胞由来の膜内で発現されうり、組織または動物において発現されうる。例えば、組織切片、例えば本発明のポリペプチドを発現させる組織から分離された細胞、形質転換された細胞、または膜が用いられうる。阻害は、本明細書に記載されたインビトロまたはインビボのアッセイの1つを用いて試験される。
【0149】
本発明のポリペプチドに結合する被験化合物、ドメイン、またはキメラタンパク質が、溶液、固相に付着した二分子膜、脂質単分子層、または小胞において試験されうる。被験化合物の結合は、例えば、分光学的特性(例えば、蛍光、吸光度、屈折率)、水力学的(例えば、形)、クロマトグラフ的または溶解性性質を用いて試験されうる。
【0150】
可能性のある阻害剤(例えば、「被験化合物」)について試験される試料またはアッセイは、調節の程度を調べるために、被験化合物を含まない対照試料と比較される。対照試料(候補化合物で処理されていない)は、100の相対活性値を割り当てられる。本発明のポリペプチドの阻害は、対照に対する活性値が、約90%、任意で50%、任意で25%〜0%である場合、達成されうる。
【0151】
3. 発現アッセイ
ASKRKポリヌクレオチドおよびポリペプチドの発現を調節する化合物についてのスクリーニングアッセイもまた提供される。スクリーニング方法は、一般的に、被験化合物がASKRKを発現させる1つまたは複数の細胞と接触させられ、その後、発現(転写産物または翻訳産物)における増加または減少を検出する、細胞に基づいたアッセイを行うことを含む。アッセイは、ASKRKポリペプチドを発現させる任意の細胞で行われうる。いくつかのアッセイは、ASKRKを高レベルで発現させる細胞、例えば、膵臓β細胞または膵島細胞を用いうる。
【0152】
発現は、多数の異なる様式で検出されうる。下に記載されているように、ASKRKポリヌクレオチドの発現レベルは、ASKRK転写産物(またはそれ由来の相補的核酸)と特異的にハイブリダイズするプローブで細胞において発現されたmRNAを探索することにより測定されうる。または、ASKRKポリペプチドは、免疫学的方法、例えば、細胞可溶化物がポリペプチドに特異的に結合する抗体で探索されるアッセイを用いて検出されうる。
【0153】
レポーター系もまた、ASKRK発現のモジュレーターを同定するために用いられうる。様々な異なる細胞型がレポーターアッセイにおいて利用されうる。内因的にASKRKポリペプチドを発現させない細胞は、原核生物でありうるが、好ましくは真核生物である。真核細胞は、組換え核酸構築物を含む細胞を作製するのに典型的に利用される細胞のいずれかでありうる。例示的真核細胞は、限定されるものではないが、酵母、ならびにHEK293、HepG2、COS、CHOおよびHeLa細胞系のような様々な高等真核細胞を含む。
【0154】
レポーター構築物を欠く細胞との、または被験化合物を有するレポーター構築物を含む細胞を接触させないことによる、並行反応を実行することを含む、様々な対照が、観察された活性が真正であることを保証するために行われうる。化合物はまた、下で記載されているように、さらに確証されうる。
【0155】
4. 確証
前記のスクリーニング方法のいずれかにより最初に同定された作用物質は、活性を確証するためにさらに試験されうる。さらなる研究について選択されるモジュレーターは、様々な細胞、例えば、β細胞系HIT-T15、RiNm5、βTC3、βHC9およびINS1のような膵臓細胞において試験されうる。ASKRKを発現させるように操作された細胞もまた用いられうる。例えば、ASKRKを過剰発現させる線維芽細胞が、候補モジュレーターの活性をさらに確証するために用いられうる。そのような分析の例において、ASKRKを発現させる細胞が、モジュレーターと前インキュベートされ、アポトーシス活性について試験される。
【0156】
そのような研究後、モジュレーターの確証は、適した動物モデルにおいて試験される。そのような方法の基本的形式は、最初のスクリーニングの間で同定されたリード化合物を、ヒトについてのモデルとしての役割を果たす動物へ投与し、その後、ASKRKの発現または活性が、実際、調節されているかどうかを測定することを含む。
【0157】
化合物の効果は、糖尿病の動物においてまたは食餌誘発性インスリン抵抗性動物においてのいずれかで評価される。血糖およびインスリンレベルが測定される。確証研究に利用される動物モデルは、一般的に任意の種類の哺乳動物である。適した動物の具体的な例は、限定されるものではないが、霊長類、マウスおよびラットを含む。例えば、糖尿病の一遺伝子のモデル(例えば、ob/obおよびdb/dbマウス、ズッカー(Zucker)ラットならびにズッカー糖尿病性脂肪(Zucker Diabetic Fatty)ラットなど)または糖尿病の多遺伝子のモデル(例えば、OLETFラット、GKラット、NSYマウスおよびKKマウス)が、糖尿病またはインスリン抵抗性動物において本発明のポリペプチドの調節を確証するために有用でありうる。さらに、ヒトASKRKポリペプチドを発現させるトランスジェニック動物が、薬物候補をさらに確証するために用いられうる。
【0158】
典型的には、β細胞生存率を増加させるまたは膵島機能を改善する化合物が、選択される。インスリン感受性および膵島機能を評価するアッセイは、空腹時血糖アッセイ、空腹時インスリンレベルアッセイ、経口または腹腔内グルコース負荷試験中のグルコースレベルの評価、経口もしくは腹腔内グルコース負荷試験中のインスリンまたはC-ペプチドレベルの評価を含む。他の分泌促進物質、例えば、アルギニンまたはグリブリド、もまた、膵島機能における改善のグルコース特異性について試験するために用いられうる。
【0159】
C. 固相および可溶性高処理量アッセイ
本発明の高処理量アッセイにおいて、たった1日で数千個までの異なるモジュレーターまたはリガンドをスクリーニングすることが可能である。具体的には、マイクロタイタープレートの各ウェルが、選択された可能性のあるモジュレーターに対して別々のアッセイを実行するために用いられうる、または、濃度もしくはインキュベーション時間の効果が観察されるべき場合には、5〜10ウェルごとに単一のモジュレーターを試験することができる。このように、単一の標準マイクロタイタープレートは、約100個(例えば、96個)のモジュレーターについてアッセイすることができる。1536ウェルのプレートが用いられる場合には、単一プレートは、約100個から約1500個までの異なる化合物を容易にアッセイすることができる。1日あたり数個の異なるプレートをアッセイすることが可能である;約6,000個〜20,000個またはそれ以上までの異なる化合物についてのアッセイスクリーニングは、本発明の集積システムを用いて可能である。さらに、試薬操作へのマイクロ流体アプローチが用いられうる。
【0160】
関心対象の分子(例えば、ASKRKポリペプチドもしくはポリヌクレオチドまたはそのモジュレーター)は、共有結合性または非共有結合性結合を介して、例えばタグを介して、直接的にまたは間接的に、固体素子に結合されうる。タグは、様々な成分のいずれかでありうる。一般的に、タグを結合する分子(タグ結合因子)は、固体支持体に固定され、タグを付けられた関心対象の分子は、タグとタグ結合因子の相互作用により固体支持体に付着している。
【0161】
多数のタグおよびタグ結合因子は、文献で十分記載されている既知の分子相互作用に基づいて用いられうる。例えば、タグが天然の結合因子を有する、例えば、ビオチン、プロテインAまたはプロテインGの場合、それは、適切なタグ結合因子(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン、免疫グロブリンのFc領域、ポリ-Hisなど)と共に用いられうる。ビオチンのような天然の結合因子を有する分子に対する抗体もまた、幅広く利用でき、および適切なタグ結合因子(SIGMA Immunochemicals 1998カタログSIGMA, St. Louis MOを参照)。
【0162】
同様に、任意のハプテンまたは抗原性化合物が、タグ/タグ結合因子ペアを形成するように適切な抗体と組み合わせて用いられうる。何千という特異的な抗体は、商業的に入手可能であり、多くの追加の抗体が文献に記載されている。例えば、一つの共通した構成において、タグが第一抗体であり、タグ結合因子が一次抗体を認識する二次抗体である。抗体-抗原相互作用に加えて、レポーター-リガンド相互作用もまた、タグおよびタグ結合因子のペアとして適切であり、例えば、アゴニストおよび細胞膜受容体のアンタゴニスト(例えば、トランスフェリン、c-キット、ウイルス受容体リガンド、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン受容体および抗体、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリーなど;例えば、Pigott & Power, The Adhesion Molecule Facts Book I (1993)を参照)である。同様に、毒素および毒液、ウイルスのエピトープ、ホルモン(例えば、アヘン剤、ステロイドなど)、細胞内受容体(例えば、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイドおよびビタミンD;ペプチドを含む様々な低分子リガンドの作用を仲介する)、薬物、レクチン、糖、核酸(線状および環状の両方のポリマー構造)、オリゴ糖、タンパク質、リン脂質および抗体はすべて、様々な細胞受容体と相互作用することができる。
【0163】
ポリウレタン、ポリエステル、ポリカルボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミドおよびポリアセテートのような合成ポリマーもまた、適切なタグまたはタグ結合因子を形成することができる。この開示を検討すれば、当業者にとって明らかであろうが、多くの他のタグ/タグ結合因子のペアもまた、本明細書に記載されたアッセイ系において有用である。
【0164】
ペプチド、ポリエーテルなどのような一般的なリンカーもまた、タグとしての役割を果たすことができ、約5アミノ酸から200アミノ酸の間のポリ-gly配列のようなポリペプチド配列を含む。そのような柔軟なリンカーは、当業者に知られている。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers, Inc., Huntsville, Alabamaから入手できる。これらのリンカーは、任意で、アミド結合、スルフィドリル結合またはヘテロ官能基性結合を有する。
【0165】
タグ結合因子は、現在利用可能な様々な方法のいずれかを用いて固体基板に固定される。固体基板は、一般的に、タグ結合因子の一部と反応性である表面へ化学基を固定する化学試薬に、基板の全部または一部を曝すことにより誘導体化または官能基化される。例えば、より長い鎖部分への付着に適している基は、アミン、ヒドロキシル、チオールおよびカルボキシル基を含むと思われる。アミノアルキルシランおよびヒドロキシアルキルシランは、ガラス表面のような様々な表面を官能基化するために用いられうる。そのような固相生体高分子アレイの構築は、文献で十分に記載されている(例えば、Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85:2149-2154 (1963)(例えば、ペプチドの固相合成を記載する);Geysen et al., J. Immun. Meth. 102:259-274 (1987)(ピンにおける固相構成要素の合成を記載する);Frank and Doring, Tetrahedron 44:6031-6040 (1988)(セルロースディスクにおける様々なペプチド配列の合成を記載する);Fodor et al., Science, 251:767-777 (1991);Sheldon et al., Clinical Chemistry 39(4):718-719 (1993);およびKozal et al., Nature Medicine 2(7):753-759 (1996)(すべて、固体基板に固定された生体高分子のアレイを記載する)を参照)。タグ結合因子を基板へ固定するための非化学的アプローチは、熱、UV放射による架橋結合などのような他の一般的な方法を含む。
【0166】
本発明は、ASKRKの発現または活性を調節することができる化合物を高処理量形式で同定するためのインビトロアッセイを提供する。可能性のあるモジュレーターを含まない反応において細胞におけるASKRK活性を測定する対照反応は、アッセイが高度に均一であるため、任意である。そのような任意の対照反応が適当であり、アッセイの信頼性を増加させる。従って、いくつかの態様において、本発明の方法は、そのような対照反応を含む。記載されたアッセイ形式のそれぞれに対して、モジュレーターを含まない「モジュレーターなし」の対照反応は、結合活性のバックグラウンドレベルを提供する。
【0167】
いくつかのアッセイにおいて、正の対照を有することが望ましい。正の対照の少なくとも2つの型が適当である。第一に、ASKRKの既知の活性化剤が、アッセイの1つの試料とインキュベートされうり、ASKRKポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの発現レベルまたは活性の増加に起因する、結果として生じるシグナルの増加が、本明細書の方法に従って測定される。第二に、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの既知の阻害剤が加えられうり、ASKRKポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの発現または活性について結果として生じるシグナルの減少が、同様に検出されうる。モジュレーターがまた、ASKRKポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの既知のモジュレーターの存在によりさもなくば引き起こされる増加または減少を阻害するモジュレーターを見出すために、活性化剤または阻害剤と併用されうることは、認識されているものと思われる。
【0168】
組成物、キットおよび集積システム
本発明は、ASKRK核酸またはポリペプチド、抗体などを用いて本明細書に記載されたアッセイを実施するための組成物、キットおよび集積システムを提供する。
【0169】
本発明は、固相アッセイでの使用のためのアッセイ組成物を提供する;そのような組成物は、例えば、固体支持体に固定されたASKRKをコードする1つまたは複数の核酸、および標識試薬を含みうる。各場合において、アッセイ組成物はまた、ハイブリダイゼーションに望ましい追加の試薬を含みうる。ASKRK発現または活性のモジュレーターもまた、アッセイ組成物に含まれうる。
【0170】
本発明はまた、本明細書に記載されたアッセイを実施するためのキットを提供する。キットは、典型的には、ASKRKポリペプチドまたはASKRKポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を特異的に結合する抗体を含むプローブ、およびプローブの存在を検出するための標識を含む。キットは、上で示された組成物のいずれかを含み、任意で、ASKRK発現または活性への効果についてアッセイする高処理量方法を実施するための使用説明書、1つもしくは複数のコンテナまたはコンパートメント(例えば、プローブ、標識などを保持するための)、ASKRK発現または活性の対照モジュレーター、キット成分を混合するためのロボットアーマチュアなどをさらに含みうる。
【0171】
本発明はまた、ASKRK発現または活性への効果についての可能性のあるモジュレーターの高処理量スクリーニングのための集積システムを提供する。システムは、流体を供給源から目的地まで移送するロボットアーマチュア、ロボットアーマチュアを制御するコントローラー、標識検出器、標識検出を記録するデータ記憶装置、および反応混合物または固定された核酸もしくは固定化部分を含む基板を有するウェルを含むマイクロタイターディッシュのようなアッセイ構成要素を含みうる。
【0172】
多数のロボット利用の流体移送システムが利用できる、または現存する構成要素から容易に作製されうる。例えば、Microlab 2200(Hamilton; Reno, NV)ピペッティングステーションを用いるZymate XP(Zymark Corporation; Hopkinton, MA)自動化ロボットが、数個の並行同時結合アッセイを構成する96ウェルマイクロタイタープレートへ並列試料を移送するために用いられうる。
【0173】
カメラまたは他の記録装置(例えば、光ダイオードおよびデータ記憶装置)により見られる光学的画像は、任意で、本明細書の態様のいずれかにおいて、例えば、コンピューター上で画像をデジタル化し、かつ画像を保存および解析することにより、さらに処理される。様々な商業的に入手可能な周辺機器およびソフトウェアは、デジタル化する、デジタル化ビデオまたはデジタル化光学的画像を保存および解析するために利用できる。
【0174】
一つの通常のシステムは、当技術分野においてよく使われている、冷却電荷結合素子(CCD)カメラへ検体領域から光を送る。CCDカメラは、画像素子(ピクセル)のアレイを含む。検体からの光は、CCD上で画像化される。検体の領域(例えば、生体高分子のアレイにおける個々のハイブリダイゼーション部位)に対応する特定のピクセルは、各位置についての光度読み取り値を得るためにサンプリングされる。多数のピクセルが、速度を増加させるために並行して処理される。本発明の装置および方法は、任意の試料を調べるために、例えば、蛍光または暗視野顕微鏡技術により、容易に用いられる。
【0175】
投与および薬学的組成物
ASKRKモジュレーター、例えば阻害剤はインビボで、本発明のポリペプチドの活性の調節のために哺乳動物対象へ直接的に投与されうる。投与は、処置されるべき組織との最終的な接触へとモジュレーター化合物を導入するために通常用いられる経路のいずれかにより、当業者にはよく知られている。1つより多い経路が特定の組成物を投与するために用いられうるが、特定の経路が、しばしば、別の経路より迅速かつ効果的な反応を提供することができる。
【0176】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含みうる。薬学的に許容される担体は、投与されるべき特定の組成物により、および組成物を投与するために用いられる特定の方法により、部分的に決定される。従って、本発明の薬学的組成物の幅広い種類の適切な製剤がある(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第17版、1985を参照)。
【0177】
単独または他の適した成分と併用した、ASKRKの発現または活性の阻害剤は、注射用にまたはポンプ装置での使用のために調製されうる。ポンプ装置(「インスリンポンプ」としても知られている)は、通常、インスリンを患者へ投与するために用いられ、それゆえに、本発明の組成物を含むように容易に適応しうる。インスリンポンプの製造会社は、Animas、DisetronicおよびMiniMedを含む。
【0178】
単独または他の適した成分と併用してのASKRK阻害剤はまた、吸入により投与されるようにエアゾール製剤(すなわち、それらは「噴霧され」うる)へと作製されうる。エアゾール製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などのような加圧された許容される噴霧剤へ置かれうる。
【0179】
投与に適した製剤は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を等張性にする溶質を含みうる、水性および非水性溶液、等張滅菌溶液、ならびに、沈殿防止剤、可溶化剤、濃化剤、安定化剤および保存剤を含みうる水性および非水性滅菌懸濁液を含む。本発明の実施において、組成物は、例えば、経口で、鼻に、局所的に、静脈内に、腹腔内に、または髄腔内に投与されうる。化合物の製剤は、アンプルおよびバイアルのような単位用量または複数用量のシール容器において提供されうる。溶液および懸濁液は、前に記載されたような滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製されうる。モジュレーターはまた、調製された食物または薬物の一部として投与されうる。
【0180】
本発明に関して、患者へ投与される用量は、ゆっくり時間をかけて対象において有益な応答を誘導するのに十分であるべきである。任意の患者についての最適な用量レベルは、使用される特定のモジュレーターの効力、患者の年齢、体重、身体的活動および食事を含む様々な因子に、他の薬物との可能性のある併用に、ならびに糖尿病の症例の重症度に依存するものである。モジュレーターの1日の服用量は、既知のインスリン組成物についてと同様の方法で当業者により、各個々の患者について決定されることが推奨される。用量の大きさはまた、特定の対象において、特定の化合物またはベクターの投与に伴う何かの有害副作用の存在、性質および程度により決定される。
【0181】
投与されるべきモジュレーターの有効量を決定する際、医師は、モジュレーターの循環血漿レベル、モジュレーター毒性および抗モジュレーター抗体の産生を評価する場合がある。一般的に、モジュレーターの用量当量は、典型的対象について約1 ng/kgから10 mg/kgまでである。
【0182】
投与については、本発明のモジュレーターは、モジュレーターのLD-50、ならびに、対象の質量および健康全般に適用されることだが、様々な濃度でのモジュレーターの副作用により、決定された率で投与されうる。投与は、単一または分割用量により達成されうる。
【0183】
本発明の化合物はまた、望ましい標的治療に依存して1つまたは複数の追加の活性薬剤と組み合わせて効果的に用いられうる(例えば、Turner, N. et al. Prog. Drug Res. (1998) 51:33-94; Haffner, S. Diabetes Care (1998) 21:160-178;およびDeFronzo, R. et al. (eds.), Diabetes Reviews (1997) Vol. 5 No. 4を参照)。多数の研究により、経口薬剤との併用療法の利点が調べられている(例えば、Mahler, R., J. Clin. Endocrinol. Metab. (1999) 84: 1165-71; United Kingdom Prospective Diabetes Study Group: UKPDS 28, Diabetes Care (1998) 21: 87-92; Bardin, C. W.,(ed.), Current Therapy In Endocrinology And Metabolism, 6th Edition (Mosby - Year Book, Inc., St. Louis, MO 1997); Chiasson, J. et al., Ann. Intern. Med. (1994) 121: 928-935; Coniff, R. et al., Clin. Ther. (1997) 19: 16-26; Coniff, R. et al., Am. J. Med. (1995) 98: 443-451; およびIwamoto, Y. et al., Diabet. Med. (1996) 13 365-370; Kwiterovich, P. Am. J. Cardiol (1998) 82(12A): 3U-17Uを参照)。これらの研究は、他の疾患の中でも糖尿病の調節が、治療計画への第二の薬剤の追加によりさらに改善されうることを示している。併用療法は、本発明のモジュレーターおよび1つまたは複数の追加の活性薬剤を含む単一の薬学的製剤の投与、加えて、それぞれ別々の薬学的製剤におけるモジュレーターおよび各活性薬剤の投与を含む。例えば、モジュレーターおよびチアゾリジンジオンが、錠剤もしくはカプセルのような単一の経口製剤組成物として合わせて、ヒト対象へ投与されうる、または各薬剤が別々の経口製剤として投与されうる。別々の製剤が用いられる場合、モジュレーターおよび1つまたは複数の追加の活性薬剤は、本質的に同じ時間に(すなわち、同時に)、または別々にずらした時間に(すなわち、逐次的に)、投与されうる。併用療法は、これらの療法すべてを含むものと理解される。
【0184】
併用療法の一つの例は、前糖尿病個体(例えば、2型糖尿病への進行を防ぐために)または糖尿病個体を処置する(または、糖尿病ならびにそれの関連した症状、合併症および疾患を処置する)ことにおいて見られうり、モジュレーターは、例えば、スルホニル尿素(クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリブリド、グリクラジド、グリナーゼ、グリメピリドおよびグリピジドのような);ビアグアニド(メトホルミンのような);PPARβδアゴニスト;チアゾリジンジオン(シグリタゾン、ピオグリタゾン(例えば、米国特許第6,218,409号を参照)、トログリタゾンおよびロシグリタゾン(例えば、米国特許第5,859,037号を参照)のようなPPARγのリガンドまたはアゴニスト;クロフィブレート、ゲムフィブロジル、フェノフィブレート、シプロフィブレートおよびベザフィブレートのようなPPARαアゴニスト;デヒドロエピアンドロステロン(DHEAまたはそれの抱合型硫酸エステル、DHEA-SO4とも呼ばれる);アンチグルココルチコイド;TNFα阻害剤;α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ミグリトールおよびボグリボースのような);アミリンおよびアミリン誘導体(プラムリニチドのような、(米国特許第5,902,726号; 同第5,124,314号; 同第5,175,145号; および同第6,143,718号も参照));インスリン分泌促進物質(レパグリニド、グリクイドンおよびナテグリニドのような(米国特許第6,251,856号; 同第6,251,865号; 同第6,221,633号; 同第6,174,856号も参照))、およびインスリンと組み合わせて効果的に用いられうる。
【0185】
遺伝子治療
ウイルスおよび非ウイルスに基づいた通常の遺伝子移入方法が、哺乳動物細胞もしくは標的組織において、操作されたASKRKポリペプチド、例えばドミナントネガティブポリペプチドをコードする核酸、または代わりに、ASKRK活性の阻害剤である核酸、例えば、siRNA、アンチセンスRNA、もしくはリボザイムなどを導入するために用いられうる。そのような方法は、インビトロで核酸を投与するために用いられうる。いくつかの態様において、本発明のポリペプチドをコードする核酸が、インビボまたはエキソビボの遺伝子治療の使用として投与される。非ウイルスベクター送達系は、DNAプラスミド、裸の核酸、およびリポソームのような送達媒体と複合体化された核酸を含む。ウイルスベクター送達系は、エピソームゲノムまたは細胞への送達後に組み込まれるゲノムのいずれかを有する、DNAおよびRNAウイルスを含む。遺伝子治療手順の概説については、Anderson, Science 256:808-813 (1992); Nabel & Felgner, TIBTECH 11:211-217 (1993); Mitani & Caskey, TIBTECH 11:162-166 (1993); Dillon, TIBTECH 11:167-175 (1993); Miller, Nature 357:455-460 (1992); Van Brunt, Biotechnology 6(10):1149-1154 (1988); Vigne, Restorative Neurology and Neuroscience 8:35-36 (1995); Kremer & Perricaudet, British Medical Bulletin 51(1):31-44 (1995); Haddada et al., in Current Topics in Microbiology and Immunology Doerfler and Bohm (eds) (1995); およびYu et al., Gene Therapy 1:13-26 (1994)を参照されたい。
【0186】
いくつかの態様において、低分子干渉RNAが投与される。哺乳動物細胞において、長いdsRNA(>30 nt)の導入は、しばしば、タンパク質合成の非特異的阻害およびRNA分解に例示される、強力な抗ウイルス応答を惹起する。RNA干渉の現象は、例えば、Bass, Nature 411:428-29 (2001); Elbahir et al., Nature 411:494-98 (2001);およびFire et al., Nature 391:806-11 (1998)に記載および考察されており、干渉RNAを作製する方法もまた考察されている。本明細書に開示されたASKRK配列に基づいたsiRNAは、100塩基対未満、典型的には、30 bpsまたはそれより短くあり、当技術分野において公知のアプローチにより作製される。本発明による例示的siRNAは、29 bps、25 bps、22 bps、21 bps、20 bps、15 bps、10 bps、5 bpsまたは任意のそのあたりもしくはそれらの間の整数までである。
【0187】
非ウイルス送達方法
本発明の操作されたポリペプチドをコードする核酸の非ウイルス送達の方法は、リポフェクション、マイクロインジェクション、微粒子銃、ビロソーム、リポソーム、イムノリポソーム、ポリカチオン、または脂質:核酸結合体、裸のDNA、人工ビリオン、および作用物質で促進されるDNAの取り込みを含む。リポフェクションは、例えば、US 5,049,386、US 4,946,787;およびUS 4,897,355に記載されており、リポフェクション試薬は、商業的に販売されている(例えば、Transfectam(商標)およびLipofectin(商標))。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに適している陽イオン性および中性脂質は、Felgner、WO 91/17424、WO 91/16024のそれらを含む。送達は、細胞(エキソビボ投与)または標的組織(インビボ投与)へでありうる。
【0188】
イムノリピド複合体のような標的に向けられるリポソームを含む、脂質:核酸複合体の調製は、当業者によく知られている(例えば、Crystal, Science 270:404-410 (1995); Blaese et al., Cancer Gene Ther. 2:291-297 (1995); Behr et al., Bioconjugate Chem. 5:382-389 (1994); Remy et al., Bioconjugate Chem. 5:647-654 (1994); Gao et al., Gene Therapy 2:710-722 (1995); Ahmad et al., Cancer Res. 52:4817-4820 (1992); 米国特許第4,186,183号、同第4,217,344号、同第4,235,871号、同第4,261,975号、同第4,485,054号、同第4,501,728号、同第4,774,085号、同第4,837,028号、および同第4,946,787号を参照)。
【0189】
ウイルス送達方法
操作されたASKRKポリペプチドをコードする核酸または核酸の送達のためのRNAまたはDNAウイルスに基づいた系の使用は、身体において特定の細胞へウイルスを向けることおよび核へウイルスのペイロードを輸送することについての高度に進化した過程を利用している。ウイルスベクターは、患者へ直接的に投与されうる(インビボ)、またはそれらは、インビトロで細胞を処理するために用いられうり、改変された細胞が患者へ投与される(エキソビボ)。本発明のポリペプチドの送達のための通常のウイルスに基づいた系は、遺伝子移入のためのレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよび単純ヘルペスウイルスベクターを含みうる。ウイルスベクターは、現在、標的細胞および組織における遺伝子移入の最も効率的かつ多用途の方法である。宿主ゲノムにおける組み込みは、レトロウイルス、レンチウイルスおよびアデノ随伴ウイルスの遺伝子移入方法で可能であり、しばしば、結果として、挿入された導入遺伝子の長期間発現を生じる。さらに、高い形質導入効率が、多くの異なる細胞型および標的組織において観察されている。
【0190】
レトロウイルスの向性は、外来エンベロープタンパク質を組み入れることにより変えられうり、標的細胞の可能性のある標的集団を拡大することができる。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞を形質導入するまたは感染させることができ、典型的には、高ウイルス価を生じるレトロウイルスベクターである。レトロウイルスの遺伝子移入系の選択は、それゆえに、標的組織に依存する。レトロウイルスベクターは、6 kb〜10 kbまでの外来配列についてパッケージング能力を有するシス作用性末端反復配列から構成される。最小シス作用性LTRは、ベクターの複製およびパッケージングにとって十分であり、ベクターは、その後、永久的導入遺伝子発現を与えるように治療的遺伝子を標的細胞へ組み込むために用いられる。広く用いられているレトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaL V)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびそれらの組み合わせに基づいたものを含む(例えば、Buchscher et al., J. Virol. 66:2731-2739 (1992); Johann et al., J. Virol. 66:1635-1640 (1992); Sommerfelt et al., Virol. 176:58-59 (1990); Wilson et al., J. Virol. 63:2374-2378 (1989); Miller et al., J. Virol. 65:2220-2224 (1991); PCT/US94/05700を参照)。
【0191】
核酸の一過性発現が好ましい適用において、アデノウイルスに基づいた系が典型的には用いられる。アデノウイルスに基づいたベクターは、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率が可能であり、細胞分裂を必要としない。そのようなベクターを用いて、発現の高い力価およびレベルが得られている。このベクターは、比較的単純な系において大量に作製されうる。アデノ随伴ウイルス(「AAV」)ベクターもまた、例えば、インビトロでの核酸およびペプチドの生産において、ならびにインビボおよびエキソビボの遺伝子治療処置のために、細胞を標的核酸で形質導入するために用いられる(例えば、West et al., Virology 160:38-47 (1987); 米国特許第4,797,368号; WO 93/24641; Kotin, Human Gene Therapy 5:793-801 (1994); Muzyczka, J. Clin. Invest. 94:1351 (1994)を参照)。組換えAAVベクターの構築は、米国特許第5,173,414号; Tratschin et al., Mol. Cell. Biol. 5:3251-3260 (1985); Tratschin, et al., Mol. Cell. Biol. 4:2072-2081 (1984); Hermonat & Muzyczka, PNAS 81:6466-6470 (1984);およびSamulski et al., J. Virol. 63:3822-3828 (1989)を含む多数の刊行物に記載されている。
【0192】
pLASNおよびMFG-Sは、臨床試験に用いられているレトロウイルスベクターの例である(Dunbar et al., Blood 85:3048-305 (1995); Kohn et al., Nat. Med. 1:1017-102 (1995); Malech et al., PNAS 94:22 12133-12138 (1997))。PA317/pLASNは、遺伝子治療治験に用いられた最初の治療ベクターであった(Blaese et al., Science 270:475-480 (1995))。50%またはそれ以上の形質導入効率が、MFG-Sパッケージ化ベクターについて観察された。(Ellem et al., Immunol Immunother. 44(1):10-20 (1997); Dranoff et al., Hum. Gene Ther. 1:111-2 (1997))。
【0193】
組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)は、欠陥のある非病原性のパルボウイルスアデノ随伴2型ウイルスに基づいた有望な代替の遺伝子送達系である。すべてのベクターは、導入遺伝子発現カセットに隣接するAAV 145 bp 逆方向末端反復のみを保持するプラスミドに由来する。形質導入された細胞のゲノムへの組み込みによる効率的な遺伝子移入および安定した導入遺伝子送達は、このベクター系についての重要な特徴である。(Wagner et al., Lancet 351:9117 1702-3 (1998), Kearns et al., Gene Ther. 9:748-55 (1996))。
【0194】
複製欠損性組換えアデノウイルスベクター(Ad)は、所望の核酸がAdE1a、E1bおよびE3遺伝子に取って代わる;その後、複製欠損体ベクターは、欠失した遺伝子機能をトランスに供給するヒト293細胞において増殖するように、操作されうる。Adベクターは、肝臓、腎臓、筋肉および膵臓系組織に見出されるもののような非分裂の分化した細胞を含む、多様な型の組織をインビボで形質導入することができる。通常のAdベクターは、大きな運搬能力を有する。臨床試験におけるAdベクターの使用の例は、筋内注射での抗腫瘍免疫化のためのポリヌクレオチド治療を含む(Sterman et al., Hum. Gene Ther. 7:1083-9 (1998))。臨床試験における遺伝子移入のためのアデノウイルスベクターの使用の追加の例は、Rosenecker et al., Infection 24:1 5-10 (1996); Sterman et al., Hum. Gene Ther. 9:7 1083-1089 (1998); Welsh et al., Hum. Gene Ther. 2:205-18 (1995); Alvarez et al., Hum. Gene Ther. 5:597-613 (1997); Topf et al., Gene Ther. 5:507-513 (1998); Sterman et al., Hum. Gene Ther. 7:1083-1089 (1998)を含む。
【0195】
パッケージング細胞は、宿主細胞を感染させる能力があるウイルス粒子を形成するために用いられる。そのような細胞は、アデノウイルスをパッケージする293細胞、およびレトロウイルスをパッケージするψ2細胞またはPA317細胞を含む。遺伝子治療に用いられるウイルスベクターは、通常、核酸ベクターをウイルス粒子へパッケージするプロデューサー細胞系により作製される。ベクターは、典型的には、パッケージングおよびその後の宿主への組み込みに必要とされる最小限のウイルス配列を含み、他のウイルス配列は、発現されるべきタンパク質についての発現カセットに置換される。欠けているウイルス機能は、パッケージング細胞系によりトランスで供給される。例えば、遺伝子治療に用いられるAAVベクターは、典型的には、パッケージングおよび宿主ゲノムへの組み込みに必要とされるAAVゲノム由来のITR配列を所有するのみである。ウイルスDNAは、他のAAV遺伝子、すなわちrepおよびcapをコードするヘルパープラスミドを含むが、ITR配列を欠損する細胞系にパッケージされる。細胞系はまた、ヘルパーとしてのアデノウイルスに感染する。ヘルパーウイルスは、AAVベクターの複製およびヘルパープラスミド由来のAAV遺伝子の発現を促進する。ヘルパープラスミドは、ITR配列の欠損のために有意な量でパッケージされない。アデノウイルスでの汚染は、例えば、アデノウイルスがAAVよりも感受性が高い熱処理により低減されうる。
【0196】
多くの遺伝子治療適用において、遺伝子治療ベクターは、特定の組織型、例えば膵臓組織への高度の特異性を以て送達されることが望ましい。ウイルスベクターは、典型的には、ウイルス外面上にウイルスコートタンパク質との融合タンパク質としてリガンドを発現させることにより、与えられた細胞型に対する特異性を有するように改変される。リガンドは、関心対象の細胞型に存在することが知られている受容体に対する親和性を有するように選択される。例えば、Han et al., PNAS 92:9747-9751 (1995)は、モロニーマウス白血病ウイルスがgp70に融合したヒトヘレグリンを発現させるように改変されうり、その組換えウイルスがヒト上皮成長因子を発現させる特定のヒト乳癌細胞を感染させることを報告した。この原理は、リガンド融合タンパク質を発現させるウイルスおよび受容体を発現させる標的細胞の他のペアへ拡張されうる。例えば、繊維状ファージは、事実上いずれの選択された細胞受容体に対しても特異的な結合親和性を有する抗体断片(例えば、FABまたはFv)を示すように操作されうる。上の記載は主としてウイルスベクターに適用するが、同じ原理は、非ウイルスベクターに適用されうる。そのようなベクターは、特定の標的細胞による取り込みに有利であると考えられる特定の取り込み配列を含むように操作されうる。
【0197】
遺伝子治療ベクターは、個々の患者への投与により、典型的には、下記のように、全身投与(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、または頭蓋内の注入)または局所的適用により、インビボで送達されうる。または、ベクターは、個々の患者から外植された細胞のような、エキソビボで細胞へ送達されうる。
【0198】
診断学、研究のための、または遺伝子治療(例えば、トランスフェクションされた細胞の宿主生物体への再注入による)のためのエキソビボの細胞トランスフェクションは、当業者によく知られている。いくつかの態様において、細胞は、対象生物体から単離され、核酸、例えばアンチセンスASKRK核酸、ドミナントネガティブ構築物を発現する発現構築物、リボザイムなどでトランスフェクションされ、対象生物体(例えば、患者)へ再注入して戻される。エキソビボのトランスフェクションに適した様々な細胞型は当業者によく知られている(例えば、患者から細胞を単離し、かつ培養する方法の考察についてのFreshney et al., Culture of Animal Cells, A Manual of Basic Technique(第3版、1994)およびそこに引用された参照文献を参照)。
【0199】
治療的核酸を含むベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、リポソームなど)はまた、インビボでの細胞の形質導入のために生物体へ直接的に投与されうる。または、裸のDNAが投与されうる。投与は、血液または組織細胞との最終的な接触へと分子を導入するために通常用いられる経路のいずれかによる。そのような核酸を投与する適切な方法が利用でき、当業者によく知られており、1つより多い経路が特定の組成物を投与するために用いられうるが、特定の経路が、しばしば、別の経路より迅速かつ効果的な反応を提供することができる。
【0200】
薬学的に許容される担体は、投与されるべき特定の組成物により、および組成物を投与するために用いられる特定の方法により、部分的に決定される。従って、下記のような、本発明の薬学的組成物の幅広い種類の適切な製剤がある(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第17版、1989を参照)。
【0201】
糖尿病の診断
本発明はまた、糖尿病、または糖尿病の病態の少なくとも一部の素因を診断する方法を提供する。診断は、個体の遺伝子型の決定(例えば、SNPsについて)および糖尿病の発症に関連があることが知られている対立遺伝子との遺伝子型の比較を含みうる。または、診断はまた、患者におけるASKRKポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルを測定し、その後、そのレベルをベースラインまたは範囲と比較することも含む。典型的には、ベースライン値は、健康な(例えば、非糖尿病の)人における本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを代表している。
【0202】
上で考察されているように、ベースライン範囲と比較した本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルの差異(例えば、低いまたは高いレベル)は、患者が糖尿病であるか、または糖尿病の病態の少なくとも一部を発症するリスクがある(例えば、前糖尿病)のいずれかであることを示している。例えば、健常者と比べて膵臓においてASKRKポリペプチド、核酸、例えばmRNA、もしくはのレベルが、および/またはASKRK活性が増大した患者は、糖尿病の高いリスクを有しうる。非糖尿病の個体におけるポリペプチドのレベルは、単一の個体からの読み取り値でありうるが、典型的には、非糖尿病の個体の群からの統計学的関連性のある平均である。脂肪のない個体におけるポリペプチドのレベルは、例えばコンピュータープログラムにおける値により表されうる。
【0203】
いくつかの態様において、ASKRKポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルは、患者から血液、尿または組織試料を採取し、本明細書に考察されているもののような検出方法のいくつでも用いて試料における本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの量を測定することにより、測定される。例えば、空腹時および摂食時の血液または尿レベルが検査されうる。
【0204】
いくつかの態様において、ベースラインレベルと、個体由来の非糖尿病性試料または同じ個体由来の少なくとも2つの試料におけるレベルとは、少なくとも約5%、10%、20%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、1000%またはそれ以上異なる。いくつかの態様において、個体由来の試料は、ベースラインレベルに対して、上で列挙されたパーセンテージの少なくとも1つの分だけ高い。いくつかの態様において、個体由来の試料は、ベースラインレベルに対して、上で列挙されたパーセンテージの少なくとも1つの分だけ低い。
【0205】
いくつかの態様において、ASKRKポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルは、チアゾリジンジオン、メトホルミン、スルホニル尿素および他の標準的治療のような糖尿病についての処置の有効性をモニタリングするために用いられる。いくつかの態様において、ASKRKポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性または発現は、臨床的有効性の代理のマーカーとして、糖尿病または前糖尿病の患者の抗糖尿病性治療での処置の前および後に測定される。例えば、ASKRKの発現または活性における低下が大きければ大きいほど、大きな有効性を示している。
【0206】
グルコース/インスリン負荷試験もまた、ASKRKポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルへのグルコースレベルの効果を検出するために用いられうる。グルコース負荷試験において、標準的経口グルコース負荷を許容する患者の能力は、血清および尿の検体をグルコースレベルについて測定することにより評価される。血液試料は、グルコースが摂取される前に採取され、グルコースが経口的に与えられ、血液または尿のグルコースレベルが、グルコース摂取後、所定の間隔で検査される。同様に、食事負荷試験もまた、ASKRKのレベルへのインスリンまたは食物の効果をそれぞれ、検出するために用いられうる。
【0207】
実施例
カスタムAffymetrixオリゴヌクレオチドアレイのプローブセットMBXMUSISL25681_atは、マウス膵島およびβ細胞系(βHC9)中に高度に濃縮されることが明らかになった(図1)。 この配列は次に、マウスASK1コード配列に対して59%相同であるコード配列を含む、より大きなクローンを得るためのプライマーを設計するために使用した。キナーゼドメインは、ASK1とASKRKとの間で86%同一である。抗mASKRK抗体は、免疫化およびアフィニティ精製の両方のためのC末端ペプチド配列SQHRRQMQESSQを使用して作製した。アフィニティ精製された抗体は、ASKRKタンパク質が膵島のβ細胞中に豊富に存在するが、α細胞および周囲の腺房組織ではさほど豊富ではないことを証明するために使用した(データは示していない)。
【0208】
マウスASKRK配列は相同なヒトゲノム配列を見出すために使用され、これらは次に、ヒトASKRKの部分的なコード配列を得るためのRT-PCR用プライマーを設計するために使用した。また、この部分配列のラットとヒトゲノム配列5'の間のシンテニーを比較することにより、ヒトASKRKの全長コード配列(SEQ ID NO:1、核酸配列、SEQ ID NO:2、タンパク質配列)が得られた。全長ヒトおよび部分マウスASKRKアミノ酸配列の配列比較を図2中に示す。
【0209】
ヒトASKRKをコードするDNAを、後述する全長コード構築物および欠失構築物のために組み立てた。ヒトASKRK特異的プライマーはまた、ヒトASKRKのmRNAも大部分の他の組織と比べて膵島中に濃縮されることを確認するために、TaqMan(ABI)解析に用いた。ASKRKのmRNAはまた、ヒト副腎中で発現される(図3)。抗hASKRK抗体は、C末端ペプチド配列YRRAQEASETKDKAを用いてウサギを免疫化することより産生された。この抗体は、機能試験においてASKRK発現を確認するために使用した。
【0210】
細胞中のASKRK機能を調べるために、本発明者らは、N末端のHisタグを有し、pcDNA3.1中に全長コード配列を含む構築物、またはK681のコドンをM681を産生するように変化させた同一の構築物を用いて、HEK293繊維芽細胞をトランスフェクトした。抗ヒトASKRK抗体はASKRK-HisおよびASKRK-His(K681M)でトランスフェクトした細胞において、pcDNA3.1のみでトランスフェクトした細胞では産生されない、150キロダルトンのタンパク質を特異的に検出する。1313アミノ酸のASKRKタンパク質の予想分子量は、147キロダルトンである。hASKRK-HisMを発現する細胞由来の溶解物は、hASK1ΔNによりトランスフェクトされた細胞由来の溶解物と類似のMKK6リン酸化活性を示したが、hASKRK-HisM(K681M)発現細胞はそれを示さなかった(図4)。
【0211】
このMKK6リン酸化活性がhASKRKに固有のものかどうかを決定するために、本発明者らは、最初の168アミノ酸が欠落しているが精製のためのFLAGエピトープ配列が付け加えられたタンパク質のN末端切断型を作製した。sf21細胞中でhASKRK-ΔN-flagを含むバキュロウイルス構築物の発現の後、本発明者らはM2-FLAG抗体カラム上でこのタンパク質を精製した。精製されたhASKRK-ΔN-flagはMKK6にリン酸を転移させることができ、このリン酸化はプロテインキナーゼ阻害剤スタウロスポリンにより阻害された。より大きくN末端が欠失している(最初の678アミノ酸が欠落している)、バキュロウイルス構築物に感染したsf21細胞中でflagタグを付けられたタンパク質として産生されたタンパク質は、有意なMKK6リン酸化活性をもたなかった(図5)。
【0212】
N末端切断型のASK1がアポトーシスを介してHeLa細胞において細胞死を誘導するため、本発明者らは、培養下でHeLa細胞に感染するために使用されるときに、hASKRKのN末端切断型を発現しているアデノウイルス構築物が生存率の低下を促進するかどうか調べた。アデノウイルスhASKRK-ΔN感染によって、XTTアッセイによる生存率が60%低下する一方、hASKRKコード配列のない類似のアデノウイルスは、同じ感染多重度(MOI)で生存率を低下させなかった。不活化するK681M突然変異は、同じMOIで、タンパク質の生存率低下誘導活性を50%減少させた(図6)。
【0213】
種々のアポトーシス促進性刺激は、培養下のβ細胞の生存率を減少させることができる。NO供与体ニトロプルシドナトリウム(SNP)、サイトカインIL-1、TNF-α、およびインターフェロンγは、β細胞系βHC9において生存率の低下を促進し、この活性はhASKRK-ΔNアデノウイルスによる事前の感染によって増大されるが、hASKRKコード配列のない同じウイルスによる事前の感染およびキナーゼ活性欠損hASKRK-ΔN(K681M)アデノウイルスによる事前の感染によって増大されない(図7)。
【0214】
本発明者らは、ASKRKがβ細胞中で豊富にかつ選択的に発現される、生存率低下誘導キナーゼであると結論づける。このタンパク質のキナーゼ活性を低下させることにより、その細胞死を引き起こす能力もまた低下する。
【0215】
本発明は、理解を明確にするために、説明および例示のためにかなり詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、ある特定の変化および改変がなされうることは、本発明の教示を鑑みれば、当業者にとって容易に明らかであると思われる。
【0216】
本明細書に引用されたすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願それぞれが明確かつ個々に示されて参照として組み入れられているのと同様に、本明細書に参照として組み入れられている。
【0217】
配列表
SEQ ID NO:1 ヒトASKRK核酸配列



SEQ ID NO:2 ヒトASKRKポリペプチド配列
キナーゼドメインに下線を引いた;K681は太字で示す。


SEQ ID NO:3 マウスASKRK核酸部分配列



SEQ ID NO:4 マウスASKRKポリペプチド部分配列
キナーゼドメインに下線を引いた。


【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】カスタムマイクロアレイ解析の結果を示す。カスタムAffymetrix(商標)オリゴヌクレオチドアレイは、膵島の遺伝子発現を調査するために使用した。マウスASKRK mRNAにハイブリダイズする、マイクロアレイプローブセットMBXMUS25681_atは、Affymetrix GeneChip(商標)解析ソフトウェアにより、4個の独立したマウス膵島mRNA試料、2個のβHC9β細胞系試料、および1個の腎臓mRNA試料中に「存在する」とされ、調べた他の13個の組織中には存在しなかった。
【図2】マウス(部分コード)とヒト(全長コード)のASKRKアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図3】リアルタイムPCR解析の結果を示す。遊離脂肪酸で処置されたまたは未処置の膵島から調製されたcDNAを含む、ヒト組織cDNA鋳型を用いる、Taqmanリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応実験を行った。使用したプローブ(300nM)およびプライマー(900nM)のセットは、キナーゼドメイン下流のhASKRK配列に特異的であった。18S RNAを内部対照として用いた。
【図4】ASKRK機能を示すトランスフェクション実験の結果を示す。hASKRK発現は、繊維芽細胞におけるMKK6リン酸化活性を増加させる。pcDNA3.1中の、hASK1ΔN、キナーゼ欠損変異体hASK1ΔN(K709M)、hASKRK-H6M、キナーゼ欠損変異体hASKRK-H6M(K681M)、hASKRK-H6、およびキナーゼ欠損変異体hASKRK-H6(K681M)の哺乳類用発現構築物、または空のベクターを、HEK293細胞にトランスフェクトした。48時間後に細胞を4℃のRIPA緩衝液中で溶解し、遠心分離により清澄化した。18ngの各溶解物は、基質としてのMKK6(不活性)(Upstate Biotechnology)、ATP/Mg2+(1mCi/ml 32P-γ-ATPを含む)、およびUpstateアッセイ希釈緩衝液(ADB)を用い、各容量を50mlに調節してキナーゼ活性についてアッセイした。キナーゼアッセイは、30分間一定に攪拌しながら30℃で行った。キナーゼアッセイを停止させるために、20μlの4×試料緩衝液を各チューブに添加した。試料を10分間95℃で加温し、12%ポリアクリルアミドゲル上で40mAでの電気泳動により分画した。各溶解物の50mlをまた、20μlの4×SBと共に加温し、ウェスタンブロッティングのために12%ゲル上で電気泳動した。ゲルはセミドライトランスファー技術を使用して350mAで膜へ移した。キナーゼアッセイ膜を-80℃で2時間、フィルムと共に置いた。ウエスタンブロット膜を5%ミルクTBSTで3時間ブロックし、5%ミルクTBST中でウサギ抗hASK2抗体(1:2000)またはウサギ抗hASK1抗体(1:1000)で1時間処置し、3×15分間TBSTで洗浄し、5%ミルクTBST中でヤギ抗ウサギHRP(1:10,000)で45分間処置し、3×15分間TBSTで洗浄し、Pierce SuperSignal(50:50)で2分間処置して露出のために5〜25分間フィルムと共に置いた。
【図5】精製されたhASKRK-ΔN-flagは、MKK6をリン酸化し、スタウロスポリンによって阻害される。hASKRK-KC-flag(C末端のflagエピトープを有するASKRKのキナーゼドメインおよびC末端ドメインを含む構築物)またはhASKRK-DN-flagバキュロウイルスを用いて、0.5% Triton X-100、50mM Tris-HC1 pH 7.5、0.1mM EGTA、15mM DTT中で細胞を溶解する2日前に、108個のsf21細胞を感染させた。溶解物をM2-Flag樹脂と共にインキュベートし、洗浄し、0.1% Triton X-100、50mM Tris-HC1 pH 7.5、0.1mM EGTA、15mM DTT中の400mg/ml FLAGペプチド500mlによって溶出した。キナーゼ反応は、キナーゼ溶出液の30μlアリコートを取り、5μl MKK6(1.5mg)、10μl ATP(10mCiγ32P ATP 4.5mM ATP-MgCl2)、および5μlアッセイ希釈緩衝液(500mM Tris-HCl pH7.5、1mM EGTA、150mM DTT)を添加することによって行った。スタウロスポリンを表示の濃度まで加えた。反応物を、5分間隔で撹拌しながら30℃で30分間インキュベートした。反応はSDSゲル試料緩衝液で停止させ、10%SDS-PAGEにより分画し、検出のための蛍光体スクリーンに露出する前にPVDF膜に移した。
【図6】Ad-hASKRK-ΔN感染は、HeLa細胞において細胞死を誘導する。HeLa細胞を、ウイルス感染の1日前に96ウェルプレート(約25,000個/ウェル)に播種し、標準のDMEM培地中で約70%の集密度まで増殖させた。ウイルス感染培地(DMEM + 5%熱不活性化FCS)中で14〜16時間、細胞を0〜200MOIでAd-eGFP、Ad-ASKRK-ΔN、またはAd-ASKRK-ΔN(K681M)ウイルスに感染させ、2日目に標準培地中で培養した。細胞死の程度は、Cell Proliferation Kit-II(Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN)を用いて、ウイルス感染の48時間後にXTTアッセイにより測定した。
【図7】βHC9細胞における、Ad-ASKRK-ΔN感染SNPおよびサイトカインにより誘導される細胞死の効果を示す。インスリン分泌βHC9細胞を、50MOIでのAd-eGFP、Ad-ASKRK-ΔN、またはAd-ASKRK-ΔN(K681M)ウイルスによるウイルス感染の1日前に、96ウェルプレート中に播種して増殖させた。ウイルスに一晩曝露した後、DMEM培地中で24時間、ニトロプルシドナトリウム(SNP; 0.25〜0.5mM)、ヒトIL-1β(1ng/ml、Sigma)のみ、またはヒトTNF-α(10ng/ml、BD Bioscience)およびマウスインターフェロン-γ(50ng/ml、Sigma)を加えたIL-1により、細胞を処理した。細胞生存率は、前述の図にて記載したように、XTTアッセイにより測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:2を含むポリペチドをコードする、単離された核酸。
【請求項2】
SEQ ID NO:1を含む、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項3】
SEQ ID NO:4に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、単離された核酸。
【請求項4】
SEQ ID NO:3を含む、請求項3記載の単離された核酸。
【請求項5】
以下の段階を含む、糖尿病または前糖尿病の個体を処置するための作用物質を同定するための方法:
(i)SEQ ID NO:2の少なくとも50個の連続したアミノ酸を含む、キナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸を発現する膵臓細胞または肝臓細胞に、候補作用物質を接触させる段階;
(ii)ポリペプチドの活性を測定する段階;および
(iii)ポリペプチドの活性を阻害する作用物質を選択し、それにより、糖尿病または前糖尿病の個体を処置するための作用物質を同定する段階。
【請求項6】
ポリペプチドがSEQ ID NO:2を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ポリペプチドがSEQ ID NO:4を含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
ポリペプチドが正常に対して過剰発現される、請求項5記載の方法。
【請求項9】
細胞が膵臓細胞である、請求項5記載の方法。
【請求項10】
膵臓細胞が糖尿病の動物由来である、請求項5記載の方法。
【請求項11】
ポリペプチドの活性を測定する段階が、ポリペプチドが基質をリン酸化する能力を測定することを含む、請求項5記載の方法。
【請求項12】
ポリペプチドの活性を測定する段階が、アポトーシスのレベルを測定することを含む、請求項5記載の方法。
【請求項13】
ポリペプチドの活性を測定する段階が、イムノアッセイを用いて存在するタンパク質の量を測定することを含む、請求項5記載の方法。
【請求項14】
作用物質がsiRNAである、請求項5記載の方法。
【請求項15】
作用物質がアンチセンスRNAである、請求項5記載の方法。
【請求項16】
以下の段階を含む、糖尿病または前糖尿病の個体を処置するための作用物質を同定するための方法:
(i)SEQ ID NO:2の少なくとも50個の連続したアミノ酸を含む、リン酸化活性を有するポリペプチドをコードする核酸を発現する腎臓または膵臓細胞に、候補作用物質を接触させる段階;
(ii)ポリペプチドをコードするRNAのレベルを測定する段階;および
(iii)正常と比較してRNAレベルを阻害する作用物質を選択し、それにより、糖尿病または前糖尿病の個体を処置するための作用物質を同定する段階。
【請求項17】
ポリペプチドがSEQ ID NO:2を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ポリペプチドがSEQ ID NO:4を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
細胞が膵臓細胞である、請求項16記載の方法。
【請求項20】
膵臓細胞が糖尿病の動物由来である、請求項16記載の方法。
【請求項21】
ポリペプチドをコードするRNAのレベルを測定する段階が増幅反応を含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】
細胞が膵島細胞である、請求項16記載の方法。
【請求項23】
作用物質がsiRNAである、請求項16記載の方法。
【請求項24】
作用物質がアンチセンスRNAである、請求項16記載の方法。
【請求項25】
以下の段階をさらに含む、請求項5または16記載の方法:
膵臓β細胞集団に作用物質を投与する段階;該集団におけるアポトーシスのレベルを測定する段階;および
アポトーシスのレベルを低下させる候補作用物質を選択する段階。
【請求項26】
以下の段階を含む、糖尿病または前糖尿病の個体を処置するための作用物質を同定するための方法:
(i)SEQ ID NO:2の少なくとも50個の連続したアミノ酸を含む、リン酸化活性を有するポリペプチドに候補作用物質を接触させる段階;
(ii)ポリペプチドへの作用物質の結合を測定する段階;
(iii)ポリペプチドに結合する作用物質を選択する段階;
(iv)膵臓β細胞集団に作用物質を投与する段階;
(v)膵臓β細胞の対照集団に対して、集団におけるアポトーシスのレベルを測定する段階;および
(vi)アポトーシスを低下させる作用物質を選択する段階。
【請求項27】
ポリペプチドがSEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4を含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
ポリペプチドへの作用物質の結合を測定する段階が、ポリペプチドのリン酸化活性を測定することを含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
糖尿病または前糖尿病の動物においてインスリン応答を改善する方法であって、請求項5、16、または29のいずれか一項記載の方法により同定される作用物質の治療的有効量を動物に投与する段階を含む方法。
【請求項30】
作用物質が膵臓組織に投与される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
動物がヒトである、請求項29記載の方法。
【請求項32】
以下の段階を含む、膵臓細胞に発現カセットを導入する方法:
発現されると、SEQ ID NO:2の少なくとも50個の連続したアミノ酸を含むリン酸化活性を有するポリペプチドをコードする核酸の発現を阻害する核酸を含む発現ベクターを、細胞に導入する段階。
【請求項33】
ポリペプチドがSEQ ID NO:2を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
細胞を糖尿病の動物に導入する段階をさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
細胞がヒト由来である、請求項34記載の方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−510428(P2007−510428A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539643(P2006−539643)
【出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/036740
【国際公開番号】WO2005/044993
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(504214280)メタボレックス インコーポレーティッド (21)
【Fターム(参考)】