説明

アミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンの連続的な製造方法

【課題】従来技術の欠点が回避され、低く一定の残留揮発性と、一定の所望の粘度と、アミノアルキル基を有するシロキサン単位のポリマー中での一定の統計的分布とを有するオルガノポリシロキサンが得られる方法を提供する。
【解決手段】アミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを、オルガノポリシロキサンと、アミノアルキルシラン又はその加水分解物とを、塩基性触媒と連鎖停止試薬との存在下で反応させること及び引き続き使用される塩基性触媒(C)を中和させることによって製造するための方法であって、但し、化合物(A)と(B)と(D)とを触媒(C)の存在下で連続的に長さ対直径の比率が4以上である反応室において反応させる方法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキル基を有するオルガノポリシロキサン油(以下、アミン油と呼ぶ)は、最も重要な有機官能化されたオルガノポリシロキサンに該当し、それらは多くの種々の使用分野で効果的に使用される。その使用分野には、とりわけテキスタイル仕上げ、建造物保護、化粧用配合物又は表面処理が該当する。前記の技術分野における大部分の用途では、高品質を有するアミン油を使用することが重要である。相応する品質の要件には、a)一定かつできる限り低い残留揮発性(例えば短鎖アルコール、短鎖及び/又は環式のシロキサン成分又はアミンによって引き起こされる)と、b)一定の粘度と、c)コポリマー中でのアミノアルキル基の最適な統計的分布と、可能であり必要であれば、d)光学的澄明性(混濁のなさ)とが該当する。とりわけ、品質の要件b)とc)は、主に、場合により縮合反応と関連して、ポリマー混合物の効果的な平衡化によってのみ達成できるが、その際、調整された反応条件に応じて、種々の量の揮発性化合物が生ずる。
【0003】
アミン油は、主に、直鎖状もしくは環状のオルガノポリシロキサンと、アミノアルキル官能化されたアルコキシシランもしくはそれらの部分加水分解物あるいは完全加水分解物との縮合反応及び/又は平衡化反応によって、主に、触媒量の塩基性の無機もしくは有機の化合物の作用下で製造される。
【0004】
通常の技術水準によれば、アミン油は、いわゆる回分法において、従って様式的に(kampagnenweise)断続的な撹拌機プロセスにおいて製造される。撹拌機は、その中で実施可能な多岐にわたる化学反応をとおして非常に融通が利くが、連続的な方法と比較して、非常に大規模な生産様式でかつ高い質量流量の場合には非経済的である。そのことは、とりわけ、ある程度までしか自動化できないことと、複数立方メートルの大きな容器を加熱及び冷却し、並びにそれを充填及び排出するために、長い時間を受け入れねばならないことにある(高い運転費用、高い作業費用)。更に、例えば生成した材料の品質試験を実施するにあたり反応生成物の停止時間を受け入れねばならない。しかしながら、とりわけ、種々の生産様式によって、必然的に、生成物組成と品質における変動が起こり、それによって、生成物の仕様を広く把握せねばならず、高い品質を得ることがより困難となることがある。とりわけ、撹拌機は、連続的に運転される装置と比較して、主により多くの空間を要求し、そして非常に多くの技術的費用によってのみ、その流量を高めることができるか、あるいは全く高めることができない("アップスケーリング"、"脱ボトルネッキング")。
【0005】
通常のアミン油合成の難点は、使用される縮合触媒もしくは平衡化触媒の失活である。塩基性触媒を、商慣習に酸で、例えばUS5,077,421号に記載されるように中和すると、塩の沈殿によって混濁が起こる。しかしながら、連続的に生成されたアミン油の連続的もしくは半連続的な濾過は望ましくない。それというのも、それにより技術的な難点がもたらされ(例えば連続運転におけるフィルタ交換)、かつ空時収量が低下するからである。
【0006】
係る混濁を回避する方法は、使用されるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドもしくはアンモニウムホスフェート及び−ボレートを、反応の完了後に熱分解によって失活させる方法であり、それは例えばUS4,652,662号(対応するDE−A3418358号)に記載されている。しかしながら、その際に発生する分解生成物は、真空中で蒸留により除去せねばならない。当業者にとっては、このことが、複数時間がかかるのみならず、エネルギーを消費する工程部分となることがあり、それに起因する滞留時間の問題に基づき、たやすく連続的に実施できず、更に微量の揮発性有機アミンが、主に、製造されたアミン油を使用するに際して許容できない不快な臭いを引き起こすことは知られている。
【0007】
US7,129,369号(対応のEP−A1580215号)は、アルカリ金属水酸化物及び−アルコレートを使用するにもかかわらず、シリルホスフェートで中和し、それによりシリコーンに可溶な中和生成物を得ることで、濾過工程なくして混濁していないアミン油が得られる方法を記載している。
【0008】
US4,128,568号(対応のDE−A2705563号)は、官能化されていないオルガノポリシロキサンの連続的な製造方法を記載している。使用されるアルカリ金属水酸化物は、トリメチルクロロシランの添加によって失活させねばならない。こうして得られるオルガノポリシロキサンは、従って、失活によって生じた揮発性のジシロキサンを除去して、所望の低い残留揮発性を達成するために、後接続された濾過工程と蒸留工程に供さねばならない。
【0009】
EP−A1723193号は、末端にSiOH基を有するシロキサンと環状シラザンから、末端アミノアルキル官能性のシロキサンを連続的に触媒を含まずに製造する方法を記載している。しかしながら、前記方法は、とりわけ、得られたアミン油を、縮合反応から生ずる揮発性アルコール不含に保つ目的で、環状シラザンとともに、特定の費用のかかるアミン前駆物質から出発する。更に、前記方法により生成する側鎖を有する(seitenstaendig)アミン油のために必要なSiOH基を有するシロキサンは、容易にかつたやすくは得られない。
【0010】
例えばUS3,853,934号に記載されるような、縮合されるべきオルガノポリシロキサン構成単位を、酸性のシリケート固定床触媒上に導く連続的方法は、アミン油の製造のためには排除される。それというのも、アミン基は酸基とともに自発的に塩を形成し、それが触媒を失活させるからである。
【0011】
EP−A0982347号は、SiOH基を有するシロキサン又は環状シロキサンから、触媒量の塩基性ホスファゼンを用いてシリコーンポリマーを製造するための連続的方法を記載している。しかしながら、種々のSiC結合した炭化水素基を有する末端基官能化の他に、ヘテロ原子置換され、有機官能化された、例えばアミン油のようなコポリマーは記載されていない。
【0012】
シロキサンモノマー及びシロキサンオリゴマーからシロキサンポリマーを製造するための非常に特殊な連続的反応器は、EP−A0522776号に記載されている。その場合に、反応混合物は発泡され、それは孔質の壁部をとおって反応室に入る。反応混合物とガス空間との間に生ずる高い界面によって、希薄な媒体からの揮発力を良好に退けることができる。しかしながら、前記方法は、モノマー又は希薄なオリゴマーの縮合反応に限定されており、生成したポリマーの明確な平衡化又は高粘度のシリコーン油の製造は記載されていない。更に、触媒の慣用の中和が記載されているが、それは一般に塩の形成によって混濁した生成物をもたらす。
【0013】
前記の全ての方法は、それらの方法によって生成したアミン油が、同時に、主要な品質の要求である残留揮発性と、平衡化の質と、場合により混濁のなさ並びにそれらの不変性において、満足のいく、とりわけ一定の結果を提供しないことに共通している。後接続された濾過工程もしくは揮発物除去工程あるいは平衡化による後処理が必要となる。
【特許文献1】US5,077,421号
【特許文献2】US4,652,662号
【特許文献3】US7,129,369号
【特許文献4】US4,128,568号
【特許文献5】EP−A1723193号
【特許文献6】US3,853,934号
【特許文献7】EP−A0982347号
【特許文献8】EP−A0522776号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、上述の欠点が回避され、アミノアルキル基を有する一定の生成物特性、特に低く一定の残留揮発性と、一定の所望の粘度と、アミノアルキル基を有するシロキサン単位のポリマー中での一定の統計的分布(これは、前記単位のブロック構造の回避と、ひいては良好な平衡化の質を意味する)とを有するオルガノポリシロキサンが得られる方法を提供することであった。前記課題は本発明によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の対象は、アミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを、
(i)以下の
(A)直鎖状の、環状のもしくは分枝鎖状のオルガノポリシロキサンと、
(B)SiC結合した塩基性窒素を有する1個の炭化水素基及び2もしくは3個の加水分解可能な基を有するアミノアルキルシラン、又はそれらの部分加水分解物もしくは完全加水分解物とを、
場合により
(C)塩基性触媒と、場合により
(D)連鎖停止試薬と
の存在下で反応させること、及び
(ii)場合により、反応(i)に引き続き、場合により使用される塩基性触媒(C)を中和させること
によって製造するための方法であって、但し、化合物(A)と、(B)と、場合により(D)とを、場合により触媒(C)の存在下で、連続的に、長さ対直径の比率が4以上である反応室において反応させる方法である。
【0016】
本発明による方法では、化合物(A)と、(B)と、場合により(C)と、場合により(D)とを、有利には連続的に反応室に導き、そこで化合物(A)と、(B)と、場合により(D)とを、場合により触媒の存在下で反応させ、そして反応室から、連続的に、こうして得られたアミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを排出する。
【0017】
有利には、反応(i)は、塩基性触媒(C)の存在下で行われる。
【0018】
反応(i)に引き続き、有利には連続的に、塩基性触媒(C)の中和が行われる。
【0019】
有利には、反応室は、長さ対直径の比率4〜1000、有利には5〜100、特に有利には6〜10を有する。
【0020】
オルガノポリシロキサンという概念は、本発明の範囲においては、ダイマーのシロキサンも、オリゴマーのシロキサンも、ポリマーのシロキサンも含むべきである。
【0021】
本発明による方法では、任意の可能なアミン価のアミン油を製造することができる。その際に、アミン価は、1gの物質の中和のために必要な1MのHClのml数に相当し、物質1グラム当たりのアミン基のミリモル数で表される。物質1グラム当たりに、0.001〜12.5ミリモルのアミン基、有利には0.01〜5ミリモルのアミン基、特に有利には0.1〜3ミリモルのアミン基の範囲のアミン価範囲であることが好ましい。
【0022】
本発明による方法により製造されるアミン油の粘性は、水のような流動性ないししっかとした粘稠性であってよい。常に25℃で測定して、粘度は、有利には1mPa・s〜10000000mPa・s、有利には100mPa・s〜100000mPa・s、特に有利には500mPa・s〜50000mPa・sである。
【0023】
本発明による方法の実施のためには、アミン油の製造に使用される出発化合物(A)と、(B)と、場合により(D)とを、長さ/直径の比率が4以上である空間に導通させる。係る空間は、例えばループ型反応器、混練機、押出機、流動管、管形反応器、マイクロリアクター又は循環ポンプにおいて、並びに任意のそれらの組み合わせにおいて内在しうる。その際に、経験により、押出機もしくは混練機中での方法様式は、とりわけ高粘度もしくは安定したアミン油(25℃で測定された粘度が50000mPa・sより高い)の製造のために適しており、管形反応器中での方法様式は、とりわけ流動性のアミン油(25℃で測定された粘度が50000mPa・sより低い)の製造のために適しているといったことが示された。従って、高粘度もしくは安定したアミン油(25℃で測定された粘度が50000mPa・sより高い)の製造のための押出機もしくは混練機中での方法様式が好ましく、流動性のアミン油(25℃で測定された粘度が50000mPa・sより低い)の製造のための管形反応器中での方法様式が特に好ましい。
【0024】
本発明による方法では、出発物質と、場合により触媒とを、有利には連続的に反応室に送達もしくは圧送し、そこで混合するが、その際、前記の出発物質と、場合により触媒とは、反応室に到達する前に、あるいは反応室中で一緒になる前に、予備加熱させてよい。その予備加熱には、とりわけ、出発物質の供給管を取り囲む電気的な加熱ジャケット及び熱線、並びに加熱媒体が流通する2壁の出発物質の供給管、あるいは加熱された媒体の浴を通過する1壁の出発物質の供給管が適している。触媒が出発物質と一緒に反応室にもたらされない場合には、触媒は、場合により反応室中に固定化された塩基性触媒であるか、又は場合によりポリマー担持体上に施与された塩基性触媒であってよい。出発物質の個別の体積流量は、ポリマー中での官能基の所望の統計的分布を得るために、かつ所望の生成物分子量分布を得るために、互いに適切に調整される。全反応器中の全体積流量は、反応器中での所望の滞留時間に従う。反応室は、加熱されてよく、かつ完全にもしくは部分的にのみでも混和あるいは混練されてよい。その加熱のためには、とりわけ、反応室を取り囲む電気的な加熱ジャケット及び熱線又は加熱媒体が流通する2壁の反応室が適している。その混和のためには、とりわけ、反応室中に取り付けられるスタティックミキサー、又は機械駆動式の撹拌機(例えば1つの主軸を直接介したトランスミッション又はマグネットクラッチと主軸とからの組み合わせ)又は乱流を引き起こす気流(例えば窒素)が適している。
【0025】
反応器の材質は、金属製の反応器、例えばクロムバナジウム鋼製の反応器、エナメル鋼製の反応器ないしガラス製の反応器まで様々であってよい。
【0026】
反応室中での反応は、50〜180℃の温度で、有利には80〜130℃の温度で行われることが好ましい。
【0027】
反応時間と、それとともに平均滞留時間は、有利には1〜180分、好ましくは10〜120分、特に好ましくは20〜90分である。
【0028】
更に、反応室中の圧力は、それぞれの反応器型に適合された任意の値に調整することができ、その際、反応器を取り囲む大気圧(約1013ミリバール)と0.1ミリバールとの間の値が好ましい。反応の間に場合により生ずる揮発性成分を連続的に気相を介して蒸留により除去するためには、100ミリバールと1ミリバールとの間の値が特に好ましい。揮発性成分の蒸留による除去を支持するために、更に、いわゆるパージガス流を反応室に導通してよく、その際、不活性な窒素ガスが好ましい。
【0029】
反応の実施後に、すなわち反応帯域を所望の滞留時間で通過した後に、場合により反応混合物中に存在する触媒(C)を失活させる。このことは、例えば触媒と失活剤、主に中和剤もしくは抑制剤との化学反応によって行われるが、又は反応混合物を、特にそのために必要な温度にされた反応器帯域に通して熱的不活性化によって行われてもよい。反応実施又は触媒失活によって、吐出された反応生成物中に固体が存在する場合には、これらの固体は、場合により後接続された工程によって除去することができる。係る後接続された工程は、連続的な濾過もしくは好適な溶剤による連続的な抽出、又は好適な吸着剤での連続的な吸着法であってよい。
【0030】
反応生成物が熱交換原理によって所望の温度に冷却される冷却帯域を通過した後に、該反応生成物を、連続的に、貯蔵容器もしくは最終容器(Endgebinde)中に移してよく、又は連続的に、他のプラント構成部に供給してよく、例えば本発明による方法により得られるアミン油を含有する分散液の製造のために連続的な分散装置に供給してよい。
【0031】
本発明による方法の好ましい一実施態様(括弧内の数字は、図1に示される)においては、出発化合物(A)と、(B)と、場合により(D)と、触媒(C)とを、相応の容器(1)から、ポンプもしくはポンプ/計量器組(2)を介して、連続的に予備加熱器(3)を通過し、引き続き加熱可能な反応器(5)に導通される。窒素供給管(4)によって、低沸点物の除去のために、場合によりパージガス流を接続することができる。反応器中には、1つ以上の撹拌機もしくは静的混合要素(6)並びに1つ以上の有孔板あるいは篩い面(7)が存在する。冷却トラップ(8)において、低沸点物を、調節された真空ポンプ(9)を用いて凝縮させることができる。生成物溢流部(Produktuebertritt)(10)を流過した後に、失活剤容器(11)から連続的に触媒の失活剤を計量供給し、そして生成物を撹拌されている生成物回収タンク(12)に収容して冷却させる。
【0032】
オルガノポリシロキサン(A)としては、本発明による方法においては、有利には、一般式
HOR2SiO(R2SiO)xSiR2OH (I)、及び
3SiO(R2SiO)ySiR3 (II)
で示される直鎖状のポリジオルガノシロキサン、一般式
(OSiR2z (III)
で示される環状ポリジオルガノシロキサン、並びにそれらの混合物の群から選択されるものが使用され、それらの式中、
Rは、同一もしくは異なってよく、かつ一価の、ハロゲン化されていてよい、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
xは、0又は1〜800の整数、有利には10〜450の整数、特に有利には30〜150の整数であり、
yは、0又は1〜800の整数、有利には10〜450の整数、特に有利には30〜150の整数であり、かつ
zは、3〜12の整数である。
【0033】
上述の式(I)〜(III)で示されるシロキサンのシロキサン鎖内部で、もしくはその鎖に沿って、係る式によっては通常示されないが、ジオルガノシロキサン単位R2SiOの他に、別のシロキサン単位がなおも存在してよい。主に不純物としてのみ存在する、係る別のシロキサン単位のための例は、式RSiO3/2、RSiO1/2及びSiO2であり、その式中、Rは、それについて示された意味を有する。
【0034】
有利には、本発明による方法においては、オルガノポリシロキサン(A)は、(A)と、(B)と、(C)と、場合により(D)とからの反応混合物の全質量に対して、それぞれ、99.99〜0.1質量%の量で、有利には99.9〜51質量%の量で、特に有利には99〜18質量%の量で使用される。
【0035】
有利には、本発明による方法においては、アミノアルキルシラン(B)として、一般式
n(3-n)SiZ (IV)
[式中、
Rは、前記にそれについて示された意味を有し、
Xは、−OR1、−NR′2及び−Clの群から選択される加水分解可能な基、有利には−OR1であり、
1は、一価の、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、前記アルキル基は、1もしくは2個のエーテル酸素原子によって置換されていてよく、
R′は、水素又は1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、
Zは、一価の、SiC結合された、塩基性窒素を有する炭化水素基を意味し、かつ
nは、2もしくは3である]で示されるアミノアルキルシラン並びにそれらの部分加水分解物もしくは完全加水分解物が使用される。
【0036】
炭化水素基R、R1もしくはR′のための例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基及びオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;並びにアラルキル基、例えばベンジル基、α−フェニルエチル基及びβ−フェニルエチル基である。
【0037】
炭化水素基R、R1もしくはR′は、場合により1つの脂肪族二重結合を含む。例は、アルケニル基、例えばビニル基、アリル基、5−ヘキセン−1−イル基、E−4−ヘキセン−1−イル基、Z−4−ヘキセン−1−イル基、2−(3−シクロヘキセニル)エチル基及びシクロドデカ−4,8−ジエニル基である。脂肪族二重結合を有する好ましい基Rは、ビニル基、アリル基及び5−ヘキセン−1−イル基である。しかしながら、炭化水素基Rの多くとも1%が1つの二重結合を有することが好ましい。
【0038】
ハロゲン化された基Rのための例は、ハロゲンアルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基及びハロゲンアリール基、例えばo−、m−及びp−クロロフェニル基である。
【0039】
基Rは、一価の、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基であることが好ましく、その際、メチル基が特に好ましい。
【0040】
1のための例は、CH3基、CH3CH2基、(CH32CH基、CH3CH2CH2基、CH3CH2CH2CH2基、CH3CH2OCH2CH2基、CH3CH2OCH2基及びCH3OCH2CH2基である。
【0041】
好ましくは、式(IV)中のZは、式
−R2−[NR3−R4−]gNR32
[式中、
2は、二価の、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
3は、R1の意味を有するか、又はアシル基を意味し、有利には水素原子であり、
4は、二価の、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
gは、0、1、2、3又は4であり、有利には0又は1である]で示される基である。
【0042】
基Zのための好ましい例は:
2N(CH23
2N(CH22NH(CH23
2N(CH22NH(CH2)CH(CH3)CH2
(シクロヘキシル)NH(CH23
CH3NH(CH23
(CH32N(CH23
CH3CH2NH(CH23
(CH3CH22N(CH23
CH3NH(CH22NH(CH23
(CH32N(CH2)NH(CH23
CH3CH2NH(CH22NH(CH23
(CH3CH22N(CH22NH(CH23
並びにそれらの部分アシル化された形態もしくは完全アシル化された形態のものである。
【0043】
アミノアルキルシラン(IV)のための例は、
(3−アミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、
(3−アミノプロピル)ジエトキシメチルシラン、
(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、
(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、
[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]ジメトキシメチルシラン、
[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]ジエトキシメチルシラン、
[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]トリメトキシシラン、
[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]トリエトキシシラン、
(アミノメチル)ジメトキシメチルシラン、
(アミノメチル)ジエトキシメチルシラン、
(アミノメチル)トリメトキシシラン、
(アミノメチル)トリエトキシシラン
である。
【0044】
特に有利には、
[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]ジメトキシメチルシラン、
[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]トリメトキシシラン、及び
(3−アミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、
並びにそれらの環状もしくは直鎖状の部分加水分解物もしくは完全加水分解物である。
【0045】
好ましくは、アミノアルキルシラン加水分解物(B)は、アミノアルキル官能性のジアルコキシシラン、例えば(3−アミノプロピル)ジメトキシメチルシラン又は[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]ジメトキシメチルシランから、水中での加水分解によって製造される。
【0046】
アミノアルキルシラン加水分解物(B)としては、従って有利には、一般式
HO(ZRSiO)mH (VI)
[式中、R及びZは、前記にそれらについて示された意味を有し、かつmは、2〜50の整数である]で示されるものが使用される。
【0047】
有利には、アミノアルキルシラン(B)あるいはそれらの部分加水分解物もしくは完全加水分解物は、使用されるポリシロキサン(A)と、場合により(D)との全質量に対して、それぞれ、0.01〜99.9%の量で、有利には0.1〜82%の量で、特に有利には1〜49%の量で使用される。
【0048】
塩基性触媒(C)としては、本発明による方法では、縮合触媒及び平衡化触媒を使用することができる。
【0049】
有利には、塩基性触媒(C)としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、アルコレートもしくはシロキサノレートが使用され、それらは、事前に、場合により好適な溶剤中に溶解される。
【0050】
有利には、塩基性触媒(C)としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコレート、アルカリ金属シロキサノレート及びそれらの混合物が使用される。アルカリ金属水酸化物のための例は、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムである。
【0051】
アルカリ金属アルコレートのための例は、ナトリウムメタノレート及びナトリウムエタノレートである。
【0052】
アルカリ金属シロキサノレートのための例は、ナトリウムシロキサノレートである。
【0053】
有利には、水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウム(場合により溶剤であるメタノールもしくは水中)及びナトリウムメタノレート(場合により溶剤であるメタノール中)が使用される。
【0054】
塩基性触媒(C)は、有利には、(A)と、(B)と、(C)と、場合により(D)とからの反応混合物の全質量に対して、それぞれ、1〜1000質量ppmの量で、有利には10〜400質量ppmの量で、特に有利には30〜200質量ppmの量で使用される。
【0055】
本発明による方法において、式(I)で示される反応性のSi−OH末端を有するポリシロキサンが使用される場合に、付加的に、連鎖停止試薬(D)、いわゆる停止剤もしくは停止剤シロキサンを使用してよい。そのためには、原則的に、Si−OH基と反応でき、かつSi−OH基とのそれらの反応性に関しては一官能性であるか、又は係る一官能性基を形成しうる全ての化合物が適している。更に、これらの連鎖停止試薬は、Si−OH基もしくはアミノアルキル基と反応せず、かつ本発明による方法により製造されるアミン油の場合による更なる反応に際して反応して付加的な作用を達成する、更なる官能基を有してよい。
【0056】
連鎖停止試薬(D)としては、本発明による方法においては、モノアルコキシシラン、アミノモノアルコキシシラン、直鎖状の及び環状のシラザン、アルコール、短鎖の直鎖状のジオルガノポリシロキサン並びにそれらの混合物の群から選択されるものが使用される。
【0057】
これには、例えばモノアルコキシトリアルキルシラン、(アミノアルキル)モノアルコキシジアルキルシラン、直鎖状もしくは環状のシラザン、アルコール、短鎖の直鎖状のポリジオルガノシロキサン又はそれらの混合物が該当する。
【0058】
モノアルコキシトリアルキルシランのための例は、式
3Si(OR1) (VII)
で示されるものであり、かつ
(アミノアルキル)モノアルコキシジアルキルシランのための例は、式
2ZSi(OR1) (VIII)
で示されるものであり、それらの式中、R、R1及びZは、前記にそれらについて示された意味を有する。アルコールのための例は、一般式
H−[O(CHR5lkOR6 (IX)
[式中、
Rは、前記にそれについて示された意味を有し、
5は、同一もしくは異なってよく、かつ水素原子もしくはC1〜C18−炭化水素基を意味し、
6は、C1〜C30−炭化水素基又は一般式−(C=O)−R7の基を意味し、その際、R7は、基R5もしくはO−R5であり、
lは、2、3もしくは4であり、かつ
kは、0又は1〜100の整数である]で示されるものである。
【0059】
連鎖停止試薬(D)としての短鎖の直鎖状のポリジオルガノシロキサンのための例は、式
3SiO(SiR2O)vSiR3 (X)
で示される、末端トリオルガノシロキシ基を有する短鎖のポリジオルガノシロキサン、及び式
(R′′O)R2SiO(SiR2O)wSiR3 (XI)
で示される、末端ヒドロキシ−もしくはアルコキシ−ジオルガノシロキシ基を有する短鎖のポリジオルガノシロキサン
であり、それらの式中、
Rは、前記にそれについて示された意味を有し、
R′′は、水素原子又は基R1であり、
vは、0又は1〜150の整数、有利には30〜100の整数であり、かつ
wは、0又は1〜150の整数、有利には30〜100の整数である。
【0060】
本発明による方法において、連鎖停止試薬として停止剤もしくは停止剤シロキサン(D)を使用する場合には、それは、(A)と、(B)と、(C)と、(D)とからの反応混合物の全質量に対して、それぞれ、0.01〜50%の量で、有利には0.05〜30%の量で、特に有利には1〜20%の量で使用することが好ましい。
【0061】
塩基性触媒(C)の失活は、塩基性触媒と塩を形成する中和剤(E)の添加によって行うことができる。係る中和剤は、例えばカルボン酸もしくは鉱酸であってよい。カルボン酸、例えばメタン酸(ギ酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸が好ましい。
【0062】
しかしながら、塩基性触媒(C)の失活は、有利には、塩基性触媒と塩を形成する中和剤であって、得られたアミン油中に可溶性であるので、全く混濁を生じない中和剤(E)の添加によって行われる。係る中和剤(E)のための例は、室温で液状の長鎖カルボン酸、例えばn−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、n−ノナン酸及びオレイン酸、ヘキサデカン酸及びオクタデカン酸、炭酸エステル、例えばプロピレンカーボネート又は無水カルボン酸、例えばオクテニルコハク酸無水物である。
【0063】
塩基性触媒と塩を形成する中和剤であって、得られたアミン油中に可溶性であるので、全く混濁を生じない中和剤(E)のための更なる例は、トリオルガノシリルホスフェート、有利にはトリメチルシリルホスフェート及びトリオルガノホスフェート、有利にはモノ−、ジ−及びトリ−イソトリデシルホスフェートの混合物(Clariant社でHordaphos(登録商標)MDITという名称で入手できる)である。その際、トリメチルシリルホスフェートとして、実質的に、
式:[(CH33SiO](HO)2P=Oのモノシリルホスフェート0〜50質量%
式:[(CH33SiO]2(HO)P=Oのジシリルホスフェート20〜100質量%
式:[(CH33SiO]3P=Oのトリシリルホスフェート0〜70質量%
(その際、全質量は100質量%である)
からなる組成が好ましい。必要な中和剤(E)の量は、塩基性触媒(C)の使用される量に従い、(A)と、(B)と、(C)と、場合により(D)とからの反応混合物の全質量に対して、それぞれ、有利には0.05〜0.50%、好ましくは0.15〜0.30%である。その際に、中和は、反応混合物の冷却の前にもしくはその後に行うことができる。
【0064】
本発明による方法により得られるアミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサン(アミン油)は、有利には4質量%未満の、好ましくは2質量%未満の、特に好ましくは1質量%未満の残留揮発性を有する。
【0065】
残留揮発性は、熱的に測定された値であり、その際、60分の時間において120℃で5gのサンプル量を加熱した場合の揮発性成分の質量%での量(120℃/5g/60分)として定義される。大部分の揮発性成分は環状シロキサンであり、その際、より高級の環の他に、オクタメチルテトラシロキサン(D4)が含まれている。
【0066】
本発明による方法の特に好ましい一実施態様は、非常に低い残留揮発性を有する、有利には2%未満の、好ましくは1質量%未満の残留揮発性を有するアミン油を、特に少ない平均滞留時間で、有利には1〜50分で提供し、その際、反応器を取り囲む大気圧に対して低減された圧力を反応器に印加する必要はない。本発明による方法の前記の特に好ましい実施態様において、アミノアルキルシラン(B)としては、アミノアルキルシラン(B)の部分加水分解物及び完全加水分解物、有利には一般式(VI)のアミノアルキルシラン加水分解物が使用される。有利には、前記の方法では、式(I)及び/又は(II)のオルガノポリシロキサン(A)は、アミノアルキルシラン加水分解物(B)、有利には式(VI)のアミノアルキルシラン加水分解物(B)と一緒に使用される。
【0067】
本発明による方法は、一定の生成物品質を有する、特に低く一定の残留揮発性と、一定の所望の粘度と、良好で一定の平衡化の質(アミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサン中でのアミノアルキル基のブロック構造の回避)とを有するアミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサン(アミン油)が得られるという利点を有する。好適な中和剤(E)の使用によって、望ましい場合には、特に混濁のないアミン油を得ることができる。
【0068】
本発明による方法によって、有利には、一般式
【化1】

[式中、
R及びZは、前記にそれらについて示された意味を有し、
8は、水素原子もしくはR1であり、
oは、1〜1000の整数、有利には2〜260の整数であり、
pは、0〜2500の整数、有利には50〜650の整数であり、
qは、0もしくは1である]で示されるアミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンが得られる。
【0069】
本発明による方法により得られる、アミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンは、とりわけ、孔質もしくは非孔質の、吸収性のもしくは非吸収性の基体、例えば皮革、フリース(Vliesstoffe)、セルロース材料(パルプと紙)、テキスタイル、不織布及び薄織物、天然繊維及び合成繊維、ガラス及びセラミック、孔質の鉱物性建材、建築塗装及び木材の処理のための剤として、並びに研磨剤及び被覆剤の成分として、例えば塗装された及び塗装されていない金属、プラスチック及び積層物用の研磨剤及び被覆剤の成分として使用でき、その際、前記の基体には、本発明による方法により得られるアミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンでの処理によって、疎水性及び/又は柔らかい手触りなどの主たる特性が付与される。更に、本発明による方法により得られるアミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンは、とりわけ、紙サイジング及び石膏ボード被覆のための消泡組成物の成分として、塗装された及び塗装されていない金属、プラスチック、積層物、ゴム及びラバー用の保護剤として、分散助剤として、湿潤剤として、離型(補助)剤として、塗料添加剤として、ポリウレタンフォーム安定剤として、並びにボディケアの分野において、ヘアートリートメント、ヘアーシャンプー及びスキンケア剤として使用することができる。本発明による方法により得られるアミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンは、有機溶剤中に溶解されるか、又は水中に分散されてよく、有利には水性エマルジョンの形態で使用してよい。その際に、本発明による方法により得られるアミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンは、遊離アミン形でもしくは塩形で、例えば塩化アンモニウム塩もしくはカルボン酸アンモニウム塩として塩酸もしくは相応のカルボン酸の添加によって使用することができる。本発明による方法により得られるアミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを含む組成物は、更なる添加剤、例えば界面活性剤、増粘剤、レオロジー改変添加剤、香料、ロウ、可塑剤、清浄剤、潤滑油、電解質、芳香物質、殺生剤、医薬用もしくは化粧用の作用物質を含有してよい。
【0070】
以下に、選択した実施例が続くが、それらは本発明を明確にするべきである。しかし、本発明自体は、これらの実施例に決して制限されない。これらの実施例で、残留揮発性(120℃/5g/60分)の測定に際して使用されるパーセント表示は、質量に対するものである。全ての表示された粘度は、25℃で測定した。
【実施例】
【0071】
実施例1〜6に関しては、連続的な反応器として、ガラス製の管形反応器(内径80mm、高さ500mm、長さ/直径の比率=6.25、容量約2.5L)を使用した。該反応器は、PTFE有孔板によって隔てられた複数の帯域に区画されており、1つの撹拌機を装備している。出発物質並びに触媒(反応パラメータ及び量比については、以下のそれぞれの実施例の表を参照のこと)を、温度調節ユニットに通すことによって所定の温度に加熱し、所定の比率で連続的にポンプシステムを介して、反応器の温度と圧力に調整された反応帯域中に圧送した。
【0072】
反応の停止は、管形反応器中の固定位置で連続的に失活剤を計量供給することによって達成した。この位置は、加熱された反応帯域を出た後の生成物排出口の範囲にある。そこから、反応帯域中での反応混合物の平均滞留時間がもたらされ、それは、圧送された出発物質の全流量によって定められる。約2.5Lの反応器の容量から、例えば2.5L/hの流量の場合には、1時間の平均滞留時間がもたらされ、1.25Lの流量の場合には、2時間の平均滞留時間がもたらされる。生成物の排出は、失活剤を生成物中に均一に分配し、生成物を冷却するために、冷却され撹拌された受容器中に行った。
【0073】
比較試験1(断続的):
アミン価0.25及び粘度200〜220mPa・sの混濁のないアミン油を製造するために、以下の第1a表及び第1b表による出発物質を使用した:
第1a表:
【表1】

【0074】
第1b表:
【表2】

【0075】
機械的撹拌機、内部温度計及び還流冷却器を有する2Lの3つ口フラスコ(長さ/直径の比率=1)中で、ポリジメチルシロキサン872gと、(アミノアルキル)シラン26.5gと、停止剤シロキサン179gと、触媒溶液0.67gとを、撹拌下で、50ミリバールに低減された圧力において80℃に加熱した。揮発性成分を、液体窒素で冷却された冷却トラップ中で回収した。90分後に、その装置を、窒素流を用いて常圧にさせ、失活剤を添加し、そして撹拌下で冷却した。無色の混濁のないアミン油が得られた。
【0076】
以下の第1c表は、前記の指示に従って互いに無関係に実施した実験の分析データをまとめたものであり、その際、同じ出発物質装入物を使用した。
【0077】
第1c表:
【表3】

【0078】
実施例1:
比較試験1とは異なり、第2a表による同じ出発物質の容量分布の反応混合物を、以下の反応パラメータ下で、前記の本発明による管形反応器に導通させた:生成物の排出並びに連続的な触媒失活は、平均滞留時間90分後に実施した。反応器の走行時間10時間後に、その装置を周囲圧にして、生成物受容器に排出した。無色の混濁のない油が得られた。
【0079】
第2a表:
【表4】

【0080】
反応器の走行時間の間に、反応生成物のサンプルを採取した。以下の第2b表は、サンプルの分析データをまとめたものであり、その際、比較試験1と同じ出発物質装入物を使用した。
【0081】
第2b表:
【表5】

【0082】
サンプル1〜6の高分解能の29Si−NMR調査は、優れた平衡化の質を示し、[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]メチルシロキシ単位のブロック構造は観察されなかった。比較試験1と実施例1とで得られた残留揮発性と粘度の標準偏差の比較により、本発明による方法(実施例1)により得られたアミン油のより一定の生成物品質が明確に示された。得られたアミン油の絶対残留揮発性は、更に、本発明による方法(実施例1)ではより低く、このことは更に高められた生成物品質に寄与する。
【0083】
比較試験2(長さ/直径の比率=1.56):
実施例1の実験を繰り返すが、使用される管形反応器を、同じ直径で、長さ500mm(長さ/直径の比率=6.25)から長さ125mm(長さ/直径の比率=1.56)へと短くした。滞留時間は、90分であった。反応器の走行時間の間に、反応生成物のサンプルを採取した。以下の第3a表は、サンプルの分析データをまとめたものであり、その際、実施例1と同じ出発物質装入物を使用した。
【0084】
第3a表:
【表6】

【0085】
サンプル1〜6の得られた粘度は、かなり低いので、所望の生成物が得られなかったことを裏付けている。それらのサンプルの残留揮発性は、実施例1と比較して、明らかに高められ、より強く変動した。更に、全てのサンプルにおいて、後に混濁が生じた。高分解能の29Si−NMR調査の結果、全てのサンプルの不十分な平衡化の質が判明した。
【0086】
実施例2:
以下の第4a表による出発物質を使用した。
【0087】
第4a表:
【表7】

【0088】
生成物の排出並びに連続的な触媒失活は、平均滞留時間90分後に実施した。反応器の走行時間6時間後に、その装置を周囲圧にして、生成物受容器に排出した。粘度1450mPa・sと、揮発性(120℃/5g/60分)1.09質量%と、アミン価0.27とを有する無色の混濁のない油が得られた。高分解能の29Si−NMR調査により、[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]メチルシロキシ単位のブロック構造がないことが示された。出発物質量と方法パラメータを、第4b表にまとめる。
【0089】
第4b表:
【表8】

【0090】
実施例3:
以下の第5a表による出発物質を使用した。
【0091】
第5a表:
【表9】

【0092】
生成物の排出並びに連続的な触媒失活は、平均滞留時間90分後に実施した。反応器の走行時間6時間後に、その装置を周囲圧にして、生成物受容器に排出した。粘度1250mPa・sと、揮発性(120℃/5g/60分)0.53質量%と、アミン価0.30とを有する無色の混濁のない油が得られた。高分解能の29Si−NMR調査により、[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]メチルシロキシ単位のブロック構造がないことが示された。出発物質量と方法パラメータを、第5b表にまとめる。
【0093】
第5b表:
【表10】

【0094】
実施例4:
以下の第6a表による出発物質を使用した。
【0095】
第6a表:
【表11】

【0096】
生成物の排出並びに連続的な触媒失活は、平均滞留時間10分後に実施した。反応器の走行時間6時間後に、その装置を周囲圧にして、生成物受容器に排出した。粘度6700mPa・s(25℃)と、揮発性(120℃/5g/60分)0.21質量%と、アミン価0.16とを有する無色の油が得られた。高分解能の29Si−NMR調査により、(アミノプロピル)メチルシロキシ単位のブロック構造がないことが示された。出発物質量と方法パラメータを、第6b表にまとめる。
【0097】
第6b表:
【表12】

【0098】
実施例5:
以下の第7a表による出発物質を使用した。
【0099】
第7a表:
【表13】

【0100】
生成物の排出並びに連続的な触媒失活は、平均滞留時間10分後に実施した。反応器の走行時間6時間後に、その装置を周囲圧にして、生成物受容器に排出した。粘度1100mPa・s(25℃)と、揮発性(120℃/5g/60分)0.62質量%と、アミン価0.25とを有する無色の油が得られた。高分解能の29Si−NMR調査により、(アミノプロピル)メチルシロキシ単位のブロック構造がないことが示された。出発物質量と方法パラメータを、第7b表にまとめる。
【0101】
第7b表:
【表14】

【0102】
実施例6:
以下の第8a表による出発物質を使用した。
【0103】
第8a表:
【表15】

【0104】
生成物の排出並びに連続的な触媒失活は、平均滞留時間25分後に実施した。反応器の走行時間6時間後に、その装置を周囲圧にして、生成物受容器に排出した。粘度13300mPa・s(25℃)と、揮発性(120℃/5g/60分)0.20質量%と、アミン価0.10とを有する無色の油が得られた。高分解能の29Si−NMR調査により、(アミノプロピル)メチルシロキシ単位のブロック構造がないことが示された。出発物質量と方法パラメータを、第8b表にまとめる。
【0105】
第8b表:
【表16】

【0106】
実施例7:
以下の第9a表による出発物質を使用した。
【0107】
第9a表:
【表17】

【0108】
生成物の排出並びに連続的な触媒失活は、平均滞留時間120分後に実施した。反応器の走行時間6時間後に、その装置を周囲圧にして、生成物受容器に排出した。動粘度56200mPa・sと、アミン価0.84とを有する無色の混濁のない油が得られた。高分解能の29Si−NMR調査により、(アミノプロピル)メチルシロキシ単位のブロック構造がないことが示された。出発物質量と方法パラメータを、第9b表にまとめる。
【0109】
第9b表:
【表18】

【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、本発明による方法の好ましい一実施態様を示す。
【符号の説明】
【0111】
1 容器、 2 ポンプもしくはポンプ/計量器組、 3 予備加熱器、 4 窒素供給管、 5 反応器、 6 撹拌機もしくは静的混合要素、 7 有孔板あるいは篩い面、 8 冷却トラップ、 9 真空ポンプ、 10 生成物溢流部、 11 失活剤容器、 12 生成物回収タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを、
(i)以下の
(A)直鎖状の、環状のもしくは分枝鎖状のオルガノポリシロキサンと、
(B)SiC結合した塩基性窒素を有する1個の炭化水素基及び2もしくは3個の加水分解可能な基を有するアミノアルキルシラン、又はそれらの部分加水分解物もしくは完全加水分解物とを、
場合により
(C)塩基性触媒と、場合により
(D)連鎖停止試薬と
の存在下で反応させること、及び
(ii)場合により、反応(i)に引き続き、場合により使用される塩基性触媒(C)を中和させること
によって製造するための方法であって、但し、化合物(A)と、(B)と、場合により(D)とを、場合により触媒(C)の存在下で、連続的に、長さ対直径の比率が4以上である反応室において反応させる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、反応器の反応室部分が、管形反応器、ループ型反応器、混練機及び押出機の群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、化合物(A)と、(B)と、場合により(C)と、場合により(D)とを、連続的に反応室に導き、そこで化合物(A)と、(B)と、場合により(D)とを、場合により触媒(C)の存在下で反応させ、そして反応室から、連続的に、こうして得られたアミノアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを排出することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法において、反応(i)を、塩基性触媒(C)の存在下に実施することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、オルガノポリシロキサン(A)として、一般式
HOR2SiO(R2SiO)xSiR2OH (I)、及び
3SiO(R2SiO)ySiR3 (II)
で示される直鎖状のポリジオルガノシロキサン、一般式
(OSiR2z (III)
で示される環状ポリジオルガノシロキサン、並びにそれらの混合物の群から選択されるものが使用され、それらの式中、
Rは、同一もしくは異なってよく、かつ一価の、ハロゲン化されていてよい、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
xは、0又は1〜800の整数であり、
yは、0又は1〜800の整数であり、かつ
zは、3〜12の整数であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法において、アミノアルキルシラン(B)として、一般式
n(3-n)SiZ (IV)
[式中、
Rは、同一もしくは異なってよく、かつ一価の、ハロゲン化されていてよい、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
Xは、−OR1、−NR′2及び−Clの群から選択される加水分解可能な基であり、
1は、一価の、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、前記アルキル基は、1もしくは2個のエーテル酸素原子によって置換されていてよく、
R′は、水素又は1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、
Zは、一価の、SiC結合された、塩基性窒素を有する炭化水素基を意味し、かつ
nは、2もしくは3である]で示されるアミノアルキルシラン並びにそれらの部分加水分解物もしくは完全加水分解物が使用されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、触媒(C)として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコレート、アルカリ金属シロキサノレート並びにそれらの化合物の群から選択される触媒を使用することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法において、連鎖停止試薬(D)として、モノアルコキシシラン、アミノモノアルコキシシラン、直鎖状の及び環状のシラザン、アルコール、短鎖の直鎖状のジオルガノポリシロキサン並びにそれらの混合物の群から選択される連鎖停止試薬を使用することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法において、中和剤(E)として、カルボン酸、トリオルガノシリルホスフェート及びトリオルガノホスフェートを使用することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法において、該方法を、50〜180℃の温度において実施することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法において、反応室中の平均滞留時間が、1〜180分であることを特徴とする方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−274281(P2008−274281A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118449(P2008−118449)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】