アミロイドβに対するヒト化抗体
本出願は、キメラ抗体およびヒト化抗体に関し、かつアルツハイマー病などのアミロイドタンパク質と関連する一群の障害および異常であるアミロイドーシスの処置における治療的および診断的使用のための方法および組成物に関する。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-アミロイドタンパク質上の少なくとも1つのエピトープに対して特異的に結合するキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片であって、
該エピトープが、抗体に対する結合に主に関係する少なくとも2つの連続するアミノ酸残基を含み、該少なくとも2つの連続するアミノ酸残基が、
(a)以下のコア配列(SEQ ID NO:10)内に埋め込まれた-Lys-Leu-:
Xaa1 - Xaa2 - Lys - Leu - Xaa3
式中、
Xaa1はHis、Asn、Gln、Lys、およびArgからなる群より選択されるアミノ酸であり、
Xaa2はAsnおよびGlnからなる群より選択されるアミノ酸であり、かつ
Xaa3は、Ala、Val、Leu、ノルロイシン、Met、Phe、およびIleからなる群より選択されるアミノ酸である;ならびに
(b)以下のコア配列(SEQ ID NO: 9)内に埋め込まれた-Phe-Phe-:
Xaa3 - Phe - Phe - Xaa4 - Xaa5 - Xaa6
式中、
Xaa3はAla、Val、Leu、ノルロイシン、Met、Phe、およびIleからなる群より選択されるアミノ酸残基であり、
Xaa4はAla、Val、Leu、Ser、およびIleからなる群より選択されるアミノ酸残基であり、
Xaa5は、GluおよびAspからなる群より選択されるアミノ酸残基であり、かつ
Xaa6は、GluおよびAspからなる群より選択されるアミノ酸残基である、
からなる群より選択され、
該キメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片が変種Fc領域を含み、かつ該変種Fc領域が、この分子が野生型Fc領域より改変されたエフェクター機能を有するように、野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含む、
キメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項2】
β-アミロイドタンパク質上の少なくとも2つのエピトープに特異的に結合するキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片であって、
該少なくとも2つのエピトープが、抗体の結合に主に関係する少なくとも2つの連続するアミノ酸残基であるそれぞれ-Phe-Phe-および-Lys-Leu-を各々含み、かつ少なくとも2つの別個の結合部位がそれぞれ、SEQ ID NO:7において示されるアミノ酸配列Val - Phe - Phe - Ala - Glu - Asp -およびSEQ ID NO:8において示されるアミノ酸配列His - Gln - Lys - Leu - Val -を示す、
請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項3】
可変領域において非ヒト起源の少なくとも1つのCDR、1つまたは複数のヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域、および任意でヒトまたは霊長類起源の抗体に由来する定常領域を含む、ヒト化抗体またはその断片であって、
以下のアミノ酸配列(SEQ ID NO:11)を含むエピトープにおいて、β-アミロイドタンパク質、β-アミロイド単量体ペプチド、複数のβ-アミロイド単量体単位を含む多量体可溶性アミロイドペプチド、β-アミロイド線維、原線維、もしくは細線維、および単離されたまたはβ-アミロイド斑の一部としてのβ-アミロイド多量体ペプチドに特異的に結合することができる、
ヒト化抗体もしくはその断片:
Xaal - Xaa2 - Lys - Leu - Xaa3 - Phe - Phe- Xaa4 - Xaa5 - Xaa6;
式中、
Xaa1は、His、Asn、Glnからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にHisであり;
Xaa2は、AsnおよびGlnからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にGlnであり;
Xaa3は、Val、Leu、およびIleからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にValであり;
Xaa4は、AlaおよびValからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にAlaであり;
Xaa5は、GluおよびAspからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にGluであり;ならびに
Xaa6は、GluおよびAspからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にAspである。
【請求項4】
ヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域と、重鎖可変領域(HCVR)のCDR1を表すSEQ ID NO:1、CDR2を表すSEQ ID NO:2、およびCDR3を表すSEQ ID NO:3、ならびに軽鎖可変領域(LCVR)のCDR1を表すSEQ ID NO:4、CDR2を表すSEQ ID NO:5、およびCDR3を表すSEQ ID NO:6からなる配列の群より選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRとを有する可変領域を含む、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項5】
SEQ ID NO:1〜6において示される軽鎖および重鎖CDR領域のアミノ酸の少なくとも1つが、抗体がその完全な機能性を維持するように、保存的置換を通して変化している、キメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項6】
SEQ ID NO:5において示される軽鎖可変領域(LCVR)のCDR2のアミノ酸配列内で、Kabat 50位のLysがArg、Gln、またはGlu、特にArgに交換され、Kabat 53位のSerがAsnまたはThr、特にAsnに交換され、および/またはKabat 53位のAsnがAla、Val、Leu、Ser、およびIle、とりわけSerに交換されている、請求項5記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項7】
ヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域のアミノ酸の少なくとも1つが、マウス抗体ACI-01-Ab7C2の対応する領域由来のアミノ酸への置換またはそれへの保存的置換を通して変化している、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項8】
SEQ ID NO:15において示される重鎖可変領域のヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域におけるKabat 47位のTrpが、Leu、ノルロイシン、Ile、Val、Met、Ala、およびPheからなる群より選択されるアミノ酸、特にLeuおよびIle、とりわけLeuに交換され、かつ/または
SEQ ID NO:15において示される重鎖可変領域のヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域におけるKabat 94位のArgが、SerおよびThrからなる群より選択されるアミノ酸、特にSerに交換され、かつ/または
SEQ ID NO:12において示される軽鎖可変領域のヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域におけるKabat 87位のTyrがPhe、Leu、Val、Ile、およびAlaからなる群より選択されるアミノ酸、特にLeuおよびPhe、とりわけPheに交換されている、
請求項162記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項9】
重鎖可変領域(HCVR)が、SEQ ID NO:15および16においてそれぞれ記載される配列と90%、詳細には95%、より詳細には98%、さらにより詳細には100%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項10】
軽鎖可変領域(LCVR)が、SEQ ID NO:12および13においてそれぞれ記載される配列と90%、詳細には95%、より詳細には98%、さらにより詳細には100%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項11】
重鎖可変領域(HCVR)のCDR領域の少なくとも2つ、特に3つが、SEQ ID NO:1〜3において記載される対応するCDR領域と90%、詳細には95%、より詳細には98%、さらにより詳細には100%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項12】
軽鎖可変領域(LCVR)のCDR領域の少なくとも2つ、特に3つが、SEQ ID NO:4〜6において記載される対応するCDR領域と90%、詳細には95%、より詳細には98%、さらにより詳細には100%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項13】
Aβ単量体の凝集を阻害することができ、かつ多量体の原線維または細線維、特に高度の立体構造感受性と組み合わさって多量体の原線維または細線維を脱凝集することができる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項14】
Aβ単量体ペプチド1-39;1-40、1-41、および1-42から選択されるβ-アミロイド単量体ペプチドと、および/または複数の前記Aβ単量体ペプチドを含む多量体の可溶性β-アミロイドペプチドと、ならびに特にAβ1-42単量体ペプチドおよび/または複数のAβ1-42単量体ペプチドを含むAβ多量体可溶性アミロイドペプチドとコインキュベーションすると、Aβ単量体が高分子多量体の原線維または細線維へ凝集することを阻害し、かつAβ単量体ペプチド1-39;1-40、1-41、および1-42から選択されるβ-アミロイド単量体ペプチドの凝集によって、および特にAβ1-42単量体ペプチドの凝集によって形成された、既に形成された高分子量多量体アミロイド原線維または細線維とコインキュベーションすると、既に形成された多量体の原線維または細線維を脱凝集することができる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項15】
哺乳動物およびヒトから選択される対象の脳において凝集したAβに実質的に結合する、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項16】
哺乳動物またはヒトの脳におけるAβ斑の負荷を低減させる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項17】
請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片をコードするヌクレオチド配列、または重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)2および3をそれぞれ表すSEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:3をコードする配列、軽鎖可変領域(LCVR)のCDR1を表すSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20をコードする配列、SEQ ID NO:22の軽鎖可変領域をコードする配列、SEQ ID NO:22の軽鎖可変領域とSEQ ID NO:23の軽鎖定常領域とをコードする配列、SEQ ID NO:25の重鎖可変領域をコードする配列、およびSEQ ID NO:25の重鎖可変領域とSEQ ID NO:26の重鎖定常領域とをコードする配列から選択されるヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
【請求項18】
請求項17記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項19】
請求項18記載の発現ベクターを含む細胞。
【請求項20】
任意の機能的に同等の抗体またはその機能的部分が含まれる請求項1記載の抗体の治療的有効量を含み、かつ薬学的に許容される担体を任意でさらに含む、組成物。
【請求項21】
任意の機能的に同等な抗体またはその機能的部分を含み、かつ、さらなる生物学的に活性な物質を治療的有効量で、ならびに/または薬学的に許容される担体および/もしくは希釈剤および/もしくは賦形剤を任意でさらに含む、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片を含む組成物であって、該さらなる生物学的に活性な物質が、アミロイドーシスの処置において用いられる化合物、酸化的ストレスに対して有効な化合物、抗アポトーシス性化合物、金属キレート剤、ピレンゼピンおよび代謝物などのDNA修復の阻害剤、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS)、1,3-プロパンジスルホネート(1,3-PDS)、α-セクレターゼ活性化剤、β-およびγ-セクレターゼ阻害剤、タウタンパク質、神経伝達物質、β-シート破壊剤(breaker)、アミロイドβを除去する/枯渇させる細胞成分の誘引剤、ピログルタミン酸化したアミロイドβ3-42を含むN-末端切断型アミロイドβの阻害剤、抗炎症分子、ならびにタクリン、リバスチグミン、ドネペジルおよび/もしくはガランタミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)、M1アゴニスト、および任意のアミロイドまたはタウ修飾薬物を含む他の薬物、および栄養補給剤、ならびに任意で薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤から選択される、組成物。
【請求項22】
請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片を、そのような障害に罹患した対象に治療的有効量で投与する段階を含む、それを必要とする対象における、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型)、グアム・パーキンソン-認知症複合などの神経学的障害であるアミロイドーシス;進行性核上麻痺、多発性硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病、老人性心アミロイドーシス、内分泌腫瘍、および黄斑変性から選択される1つまたは複数のアミロイドーシス関連疾患の効果を予防、処置、または緩和するための方法。
【請求項23】
認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連状態に罹患した対象、特に哺乳動物またはヒトの処置によって、認知記憶能の保持の向上またはその完全な回復が起こる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
以下を含む、対象におけるアミロイド関連疾患または状態を診断する方法:
(a)アミロイドタンパク質を含有することが疑われる対象の組織試料、または特定の身体部分もしくは身体領域に、請求項1記載の抗体を接触させる段階;
(b)前記抗体をアミロイドタンパク質に結合させる段階;
(c)前記タンパク質に結合した抗体を検出する段階;および
(d)抗体結合の有無を、試料または特定の身体部分もしくは領域におけるアミロイドタンパク質の有無と相関させる段階。
【請求項25】
以下の段階を含む、対象の組織および/または体液におけるアミロイド形成による斑負荷の程度を決定する方法:
(a)治験中の対象における組織および/または体液を表す試料を得る段階;
(b)請求項1記載の抗体によってアミロイドタンパク質の存在に関して試料を試験する段階;
(c)タンパク質に結合した抗体の量を決定する段階;および
(d)対象の組織および/または体液における斑負荷を計算する段階。
【請求項26】
請求項1記載の抗体を含み、かつ、アミロイドタンパク質に結合させて免疫学的複合体を形成する目的で抗体を用いるための、および免疫学的複合体の有無がアミロイドタンパク質の有無と相関するような、免疫学的複合体の形成を検出するための説明書を任意でさらに含む、アミロイド関連疾患および状態を検出および診断するための試験キット。
【請求項27】
ヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域と、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、およびSEQ ID NO:6から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRとを含む、単離された軽鎖可変領域(LCVR)。
【請求項28】
ヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域と、SEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:3からなる配列の群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRとを含む、単離された重鎖可変領域(HCVR)。
【請求項29】
SEQ ID NO:12の軽鎖可変領域(LCVR)。
【請求項30】
Aβ単量体および/またはAβ線維、原線維、もしくは細線維、および/または可溶性の多量体アミロイドβに実質的に結合し、かつアミロイド前駆体タンパク質(APP)といかなる有意な交叉反応性も示さない、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト抗体もしくはその断片。
【請求項31】
少なくとも約1×10-7 M〜少なくとも約1×10-12 M、少なくとも約1×10-8 M〜少なくとも約1×10-11 M、少なくとも約1×10-8 M〜少なくとも約1×10-10 M、および少なくとも約1×10-8 M〜少なくとも約5×10-8 Mからなる群より選択される範囲のKDによって表される結合親和性でAβ単量体に結合し、かつ少なくとも約1×10-7 M〜少なくとも約1×10-12 M、少なくとも約1×10-8 M〜少なくとも約1×10-11 M、少なくとも約1×10-9 M〜少なくとも約1×10-10 M、および少なくとも約2×10-9 M〜少なくとも約8×10-9 Mからなる群より選択される範囲のKDによって表される結合親和性でAβ線維、原線維、または細線維に結合する、請求項30記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項32】
可溶性の多量体アミロイドβおよびAβ線維、原線維、または細線維に対して、Aβ単量体よりも高い親和性を有する、請求項30記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項33】
Aβ線維、原線維、または細線維に対して、Aβ単量体に対する結合親和性よりも少なくとも10倍、詳細には少なくとも15倍、より詳細には少なくとも20倍、およびとりわけ少なくとも25倍高い結合親和性を示す、請求項32記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項34】
哺乳動物の脳、特にヒトの脳における凝集したAβ、Aβ斑、および/または可溶性線維に対して実質的に結合するが、好ましくはアミロイド前駆体タンパク質(APP)に対していかなる有意な交叉反応性も示さない、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項35】
立体構造のシフトを誘導することによって、線維を可溶性の多量体型および単量体型に脱凝集することによりAβの可溶性状態と凝集状態とのあいだの平衡をその可溶性型に向けてシフトさせることができ、かつ組織および/または体液、特に脳における脱凝集型および可溶性型Aβ型に結合してこれを安定化させることができる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項36】
α-ヘリックスおよび/またはランダムコイル立体構造に向けて、詳細にはランダムコイル立体構造に向けて、さらにより詳細には分子における所定の位置、特にAβタンパク質のTyr10およびVal12の環境におけるランダムコイル立体構造に向けてのβ-シート立体構造の転移を誘導することができ、これによってβ-シート立体構造を犠牲にしてランダムコイル立体構造を増加させて、既に形成された高分子多量体アミロイド原線維または細線維の可溶化を改善する、請求項35記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項37】
β-シート立体構造の減少が、緩衝液中でインキュベートしたそれぞれの既に形成されたアミロイド多量体の原線維または細線維(対照)と比較して少なくとも30%、詳細には少なくとも35%、ならびにより詳細には少なくとも40%およびそれより上に達する、請求項36記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項38】
多量体の可溶性Aβタンパク質種、および/またはより凝集の少ない可溶性のAβタンパク質種、および/または可溶性Aβタンパク質の単量体型に実質的に結合して、それにより、これらのAβタンパク質種の末梢での除去および異化を改変してその毒性効果を低減させる、請求項35記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項39】
ヒト化抗体またはその断片が、脳の外部で凝集したアミロイドβに結合する、請求項23記載の方法。
【請求項40】
線維を可溶性の多量体型および単量体型に脱凝集することにより、Aβの可溶化状態と凝集状態とのあいだの平衡をその可溶性型に向けてシフトさせることができる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項41】
ヒト組織および/または体液、特に脳においてAβに実質的に結合しないが、立体構造のシフトを誘導することによって、線維を可溶性の多量体型および単量体型に脱凝集することにより、Aβの可溶性状態と凝集状態のあいだの平衡をその可溶性型に向けてシフトさせることができ、かつ組織および/または体液、特に脳における脱凝集型および可溶化型Aβに結合して安定化させることができる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項42】
マウス抗体の結合親和性より少なくとも5倍、10倍、詳細には少なくとも15倍、より詳細には少なくとも20倍、とりわけ少なくとも100倍高い結合親和性を示す、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項43】
抗体またはその断片の親和性、特異性および安定性が、グリコシル化プロファイルの変化によって改変されている、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項44】
アミノ酸改変によって、エフェクター機能の低減が起こる、請求項1記載の抗体。
【請求項45】
Fc領域アミノ酸改変が、アミノ酸位置238、239、248、249、252、254、265、268、269、270、272、278、289、292、293、294、295、296、298、301、303、322、324、327、329、333、335、338、340、373、376、382、388、389、414、416、419、434、435、437、438、または439位の1つまたは複数において変化を含む、請求項44記載の抗体またはその断片。
【請求項46】
Fc領域アミノ酸改変がD265Aアミノ酸変異を含む、請求項44記載の抗体またはその断片。
【請求項47】
SEQ ID NO:27もしくはSEQ ID NO:29と同様に少なくとも1つの可変領域を含む抗体、またはその変種。
【請求項48】
請求項47記載の抗体を発現する細胞株。
【請求項49】
既に形成されたβ-アミロイド線維とhC2抗体とを相互作用させる段階を含む、既に形成されたβアミロイド線維を脱凝集するための方法。
【請求項50】
Aβ誘導分解からニューロンを保護する、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項51】
請求項1記載のヒト化抗体またはその断片の有効量によって、ニューロンを処置する段階を含む、Aβ誘導ニューロン分解を防止する方法。
【請求項52】
変種Fc領域が変種IgG1 Fc領域である、請求項1記載の抗体またはその断片。
【請求項1】
β-アミロイドタンパク質上の少なくとも1つのエピトープに対して特異的に結合するキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片であって、
該エピトープが、抗体に対する結合に主に関係する少なくとも2つの連続するアミノ酸残基を含み、該少なくとも2つの連続するアミノ酸残基が、
(a)以下のコア配列(SEQ ID NO:10)内に埋め込まれた-Lys-Leu-:
Xaa1 - Xaa2 - Lys - Leu - Xaa3
式中、
Xaa1はHis、Asn、Gln、Lys、およびArgからなる群より選択されるアミノ酸であり、
Xaa2はAsnおよびGlnからなる群より選択されるアミノ酸であり、かつ
Xaa3は、Ala、Val、Leu、ノルロイシン、Met、Phe、およびIleからなる群より選択されるアミノ酸である;ならびに
(b)以下のコア配列(SEQ ID NO: 9)内に埋め込まれた-Phe-Phe-:
Xaa3 - Phe - Phe - Xaa4 - Xaa5 - Xaa6
式中、
Xaa3はAla、Val、Leu、ノルロイシン、Met、Phe、およびIleからなる群より選択されるアミノ酸残基であり、
Xaa4はAla、Val、Leu、Ser、およびIleからなる群より選択されるアミノ酸残基であり、
Xaa5は、GluおよびAspからなる群より選択されるアミノ酸残基であり、かつ
Xaa6は、GluおよびAspからなる群より選択されるアミノ酸残基である、
からなる群より選択され、
該キメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片が変種Fc領域を含み、かつ該変種Fc領域が、この分子が野生型Fc領域より改変されたエフェクター機能を有するように、野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含む、
キメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項2】
β-アミロイドタンパク質上の少なくとも2つのエピトープに特異的に結合するキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片であって、
該少なくとも2つのエピトープが、抗体の結合に主に関係する少なくとも2つの連続するアミノ酸残基であるそれぞれ-Phe-Phe-および-Lys-Leu-を各々含み、かつ少なくとも2つの別個の結合部位がそれぞれ、SEQ ID NO:7において示されるアミノ酸配列Val - Phe - Phe - Ala - Glu - Asp -およびSEQ ID NO:8において示されるアミノ酸配列His - Gln - Lys - Leu - Val -を示す、
請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項3】
可変領域において非ヒト起源の少なくとも1つのCDR、1つまたは複数のヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域、および任意でヒトまたは霊長類起源の抗体に由来する定常領域を含む、ヒト化抗体またはその断片であって、
以下のアミノ酸配列(SEQ ID NO:11)を含むエピトープにおいて、β-アミロイドタンパク質、β-アミロイド単量体ペプチド、複数のβ-アミロイド単量体単位を含む多量体可溶性アミロイドペプチド、β-アミロイド線維、原線維、もしくは細線維、および単離されたまたはβ-アミロイド斑の一部としてのβ-アミロイド多量体ペプチドに特異的に結合することができる、
ヒト化抗体もしくはその断片:
Xaal - Xaa2 - Lys - Leu - Xaa3 - Phe - Phe- Xaa4 - Xaa5 - Xaa6;
式中、
Xaa1は、His、Asn、Glnからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にHisであり;
Xaa2は、AsnおよびGlnからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にGlnであり;
Xaa3は、Val、Leu、およびIleからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にValであり;
Xaa4は、AlaおよびValからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にAlaであり;
Xaa5は、GluおよびAspからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にGluであり;ならびに
Xaa6は、GluおよびAspからなる群より選択されるアミノ酸残基、特にAspである。
【請求項4】
ヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域と、重鎖可変領域(HCVR)のCDR1を表すSEQ ID NO:1、CDR2を表すSEQ ID NO:2、およびCDR3を表すSEQ ID NO:3、ならびに軽鎖可変領域(LCVR)のCDR1を表すSEQ ID NO:4、CDR2を表すSEQ ID NO:5、およびCDR3を表すSEQ ID NO:6からなる配列の群より選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRとを有する可変領域を含む、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項5】
SEQ ID NO:1〜6において示される軽鎖および重鎖CDR領域のアミノ酸の少なくとも1つが、抗体がその完全な機能性を維持するように、保存的置換を通して変化している、キメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項6】
SEQ ID NO:5において示される軽鎖可変領域(LCVR)のCDR2のアミノ酸配列内で、Kabat 50位のLysがArg、Gln、またはGlu、特にArgに交換され、Kabat 53位のSerがAsnまたはThr、特にAsnに交換され、および/またはKabat 53位のAsnがAla、Val、Leu、Ser、およびIle、とりわけSerに交換されている、請求項5記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項7】
ヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域のアミノ酸の少なくとも1つが、マウス抗体ACI-01-Ab7C2の対応する領域由来のアミノ酸への置換またはそれへの保存的置換を通して変化している、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項8】
SEQ ID NO:15において示される重鎖可変領域のヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域におけるKabat 47位のTrpが、Leu、ノルロイシン、Ile、Val、Met、Ala、およびPheからなる群より選択されるアミノ酸、特にLeuおよびIle、とりわけLeuに交換され、かつ/または
SEQ ID NO:15において示される重鎖可変領域のヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域におけるKabat 94位のArgが、SerおよびThrからなる群より選択されるアミノ酸、特にSerに交換され、かつ/または
SEQ ID NO:12において示される軽鎖可変領域のヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域におけるKabat 87位のTyrがPhe、Leu、Val、Ile、およびAlaからなる群より選択されるアミノ酸、特にLeuおよびPhe、とりわけPheに交換されている、
請求項162記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項9】
重鎖可変領域(HCVR)が、SEQ ID NO:15および16においてそれぞれ記載される配列と90%、詳細には95%、より詳細には98%、さらにより詳細には100%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項10】
軽鎖可変領域(LCVR)が、SEQ ID NO:12および13においてそれぞれ記載される配列と90%、詳細には95%、より詳細には98%、さらにより詳細には100%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項11】
重鎖可変領域(HCVR)のCDR領域の少なくとも2つ、特に3つが、SEQ ID NO:1〜3において記載される対応するCDR領域と90%、詳細には95%、より詳細には98%、さらにより詳細には100%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項12】
軽鎖可変領域(LCVR)のCDR領域の少なくとも2つ、特に3つが、SEQ ID NO:4〜6において記載される対応するCDR領域と90%、詳細には95%、より詳細には98%、さらにより詳細には100%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項13】
Aβ単量体の凝集を阻害することができ、かつ多量体の原線維または細線維、特に高度の立体構造感受性と組み合わさって多量体の原線維または細線維を脱凝集することができる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項14】
Aβ単量体ペプチド1-39;1-40、1-41、および1-42から選択されるβ-アミロイド単量体ペプチドと、および/または複数の前記Aβ単量体ペプチドを含む多量体の可溶性β-アミロイドペプチドと、ならびに特にAβ1-42単量体ペプチドおよび/または複数のAβ1-42単量体ペプチドを含むAβ多量体可溶性アミロイドペプチドとコインキュベーションすると、Aβ単量体が高分子多量体の原線維または細線維へ凝集することを阻害し、かつAβ単量体ペプチド1-39;1-40、1-41、および1-42から選択されるβ-アミロイド単量体ペプチドの凝集によって、および特にAβ1-42単量体ペプチドの凝集によって形成された、既に形成された高分子量多量体アミロイド原線維または細線維とコインキュベーションすると、既に形成された多量体の原線維または細線維を脱凝集することができる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項15】
哺乳動物およびヒトから選択される対象の脳において凝集したAβに実質的に結合する、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項16】
哺乳動物またはヒトの脳におけるAβ斑の負荷を低減させる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項17】
請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片をコードするヌクレオチド配列、または重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)2および3をそれぞれ表すSEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:3をコードする配列、軽鎖可変領域(LCVR)のCDR1を表すSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20をコードする配列、SEQ ID NO:22の軽鎖可変領域をコードする配列、SEQ ID NO:22の軽鎖可変領域とSEQ ID NO:23の軽鎖定常領域とをコードする配列、SEQ ID NO:25の重鎖可変領域をコードする配列、およびSEQ ID NO:25の重鎖可変領域とSEQ ID NO:26の重鎖定常領域とをコードする配列から選択されるヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
【請求項18】
請求項17記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項19】
請求項18記載の発現ベクターを含む細胞。
【請求項20】
任意の機能的に同等の抗体またはその機能的部分が含まれる請求項1記載の抗体の治療的有効量を含み、かつ薬学的に許容される担体を任意でさらに含む、組成物。
【請求項21】
任意の機能的に同等な抗体またはその機能的部分を含み、かつ、さらなる生物学的に活性な物質を治療的有効量で、ならびに/または薬学的に許容される担体および/もしくは希釈剤および/もしくは賦形剤を任意でさらに含む、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片を含む組成物であって、該さらなる生物学的に活性な物質が、アミロイドーシスの処置において用いられる化合物、酸化的ストレスに対して有効な化合物、抗アポトーシス性化合物、金属キレート剤、ピレンゼピンおよび代謝物などのDNA修復の阻害剤、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS)、1,3-プロパンジスルホネート(1,3-PDS)、α-セクレターゼ活性化剤、β-およびγ-セクレターゼ阻害剤、タウタンパク質、神経伝達物質、β-シート破壊剤(breaker)、アミロイドβを除去する/枯渇させる細胞成分の誘引剤、ピログルタミン酸化したアミロイドβ3-42を含むN-末端切断型アミロイドβの阻害剤、抗炎症分子、ならびにタクリン、リバスチグミン、ドネペジルおよび/もしくはガランタミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)、M1アゴニスト、および任意のアミロイドまたはタウ修飾薬物を含む他の薬物、および栄養補給剤、ならびに任意で薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤から選択される、組成物。
【請求項22】
請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片を、そのような障害に罹患した対象に治療的有効量で投与する段階を含む、それを必要とする対象における、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型)、グアム・パーキンソン-認知症複合などの神経学的障害であるアミロイドーシス;進行性核上麻痺、多発性硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、成人発症型糖尿病、老人性心アミロイドーシス、内分泌腫瘍、および黄斑変性から選択される1つまたは複数のアミロイドーシス関連疾患の効果を予防、処置、または緩和するための方法。
【請求項23】
認知記憶能の喪失を特徴とするアミロイド関連状態に罹患した対象、特に哺乳動物またはヒトの処置によって、認知記憶能の保持の向上またはその完全な回復が起こる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
以下を含む、対象におけるアミロイド関連疾患または状態を診断する方法:
(a)アミロイドタンパク質を含有することが疑われる対象の組織試料、または特定の身体部分もしくは身体領域に、請求項1記載の抗体を接触させる段階;
(b)前記抗体をアミロイドタンパク質に結合させる段階;
(c)前記タンパク質に結合した抗体を検出する段階;および
(d)抗体結合の有無を、試料または特定の身体部分もしくは領域におけるアミロイドタンパク質の有無と相関させる段階。
【請求項25】
以下の段階を含む、対象の組織および/または体液におけるアミロイド形成による斑負荷の程度を決定する方法:
(a)治験中の対象における組織および/または体液を表す試料を得る段階;
(b)請求項1記載の抗体によってアミロイドタンパク質の存在に関して試料を試験する段階;
(c)タンパク質に結合した抗体の量を決定する段階;および
(d)対象の組織および/または体液における斑負荷を計算する段階。
【請求項26】
請求項1記載の抗体を含み、かつ、アミロイドタンパク質に結合させて免疫学的複合体を形成する目的で抗体を用いるための、および免疫学的複合体の有無がアミロイドタンパク質の有無と相関するような、免疫学的複合体の形成を検出するための説明書を任意でさらに含む、アミロイド関連疾患および状態を検出および診断するための試験キット。
【請求項27】
ヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域と、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、およびSEQ ID NO:6から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRとを含む、単離された軽鎖可変領域(LCVR)。
【請求項28】
ヒトまたは霊長類由来のフレームワーク領域と、SEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:3からなる配列の群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRとを含む、単離された重鎖可変領域(HCVR)。
【請求項29】
SEQ ID NO:12の軽鎖可変領域(LCVR)。
【請求項30】
Aβ単量体および/またはAβ線維、原線維、もしくは細線維、および/または可溶性の多量体アミロイドβに実質的に結合し、かつアミロイド前駆体タンパク質(APP)といかなる有意な交叉反応性も示さない、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト抗体もしくはその断片。
【請求項31】
少なくとも約1×10-7 M〜少なくとも約1×10-12 M、少なくとも約1×10-8 M〜少なくとも約1×10-11 M、少なくとも約1×10-8 M〜少なくとも約1×10-10 M、および少なくとも約1×10-8 M〜少なくとも約5×10-8 Mからなる群より選択される範囲のKDによって表される結合親和性でAβ単量体に結合し、かつ少なくとも約1×10-7 M〜少なくとも約1×10-12 M、少なくとも約1×10-8 M〜少なくとも約1×10-11 M、少なくとも約1×10-9 M〜少なくとも約1×10-10 M、および少なくとも約2×10-9 M〜少なくとも約8×10-9 Mからなる群より選択される範囲のKDによって表される結合親和性でAβ線維、原線維、または細線維に結合する、請求項30記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項32】
可溶性の多量体アミロイドβおよびAβ線維、原線維、または細線維に対して、Aβ単量体よりも高い親和性を有する、請求項30記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項33】
Aβ線維、原線維、または細線維に対して、Aβ単量体に対する結合親和性よりも少なくとも10倍、詳細には少なくとも15倍、より詳細には少なくとも20倍、およびとりわけ少なくとも25倍高い結合親和性を示す、請求項32記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項34】
哺乳動物の脳、特にヒトの脳における凝集したAβ、Aβ斑、および/または可溶性線維に対して実質的に結合するが、好ましくはアミロイド前駆体タンパク質(APP)に対していかなる有意な交叉反応性も示さない、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項35】
立体構造のシフトを誘導することによって、線維を可溶性の多量体型および単量体型に脱凝集することによりAβの可溶性状態と凝集状態とのあいだの平衡をその可溶性型に向けてシフトさせることができ、かつ組織および/または体液、特に脳における脱凝集型および可溶性型Aβ型に結合してこれを安定化させることができる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項36】
α-ヘリックスおよび/またはランダムコイル立体構造に向けて、詳細にはランダムコイル立体構造に向けて、さらにより詳細には分子における所定の位置、特にAβタンパク質のTyr10およびVal12の環境におけるランダムコイル立体構造に向けてのβ-シート立体構造の転移を誘導することができ、これによってβ-シート立体構造を犠牲にしてランダムコイル立体構造を増加させて、既に形成された高分子多量体アミロイド原線維または細線維の可溶化を改善する、請求項35記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項37】
β-シート立体構造の減少が、緩衝液中でインキュベートしたそれぞれの既に形成されたアミロイド多量体の原線維または細線維(対照)と比較して少なくとも30%、詳細には少なくとも35%、ならびにより詳細には少なくとも40%およびそれより上に達する、請求項36記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項38】
多量体の可溶性Aβタンパク質種、および/またはより凝集の少ない可溶性のAβタンパク質種、および/または可溶性Aβタンパク質の単量体型に実質的に結合して、それにより、これらのAβタンパク質種の末梢での除去および異化を改変してその毒性効果を低減させる、請求項35記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項39】
ヒト化抗体またはその断片が、脳の外部で凝集したアミロイドβに結合する、請求項23記載の方法。
【請求項40】
線維を可溶性の多量体型および単量体型に脱凝集することにより、Aβの可溶化状態と凝集状態とのあいだの平衡をその可溶性型に向けてシフトさせることができる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項41】
ヒト組織および/または体液、特に脳においてAβに実質的に結合しないが、立体構造のシフトを誘導することによって、線維を可溶性の多量体型および単量体型に脱凝集することにより、Aβの可溶性状態と凝集状態のあいだの平衡をその可溶性型に向けてシフトさせることができ、かつ組織および/または体液、特に脳における脱凝集型および可溶化型Aβに結合して安定化させることができる、請求項1記載のキメラ抗体もしくはその断片またはヒト化抗体もしくはその断片。
【請求項42】
マウス抗体の結合親和性より少なくとも5倍、10倍、詳細には少なくとも15倍、より詳細には少なくとも20倍、とりわけ少なくとも100倍高い結合親和性を示す、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項43】
抗体またはその断片の親和性、特異性および安定性が、グリコシル化プロファイルの変化によって改変されている、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項44】
アミノ酸改変によって、エフェクター機能の低減が起こる、請求項1記載の抗体。
【請求項45】
Fc領域アミノ酸改変が、アミノ酸位置238、239、248、249、252、254、265、268、269、270、272、278、289、292、293、294、295、296、298、301、303、322、324、327、329、333、335、338、340、373、376、382、388、389、414、416、419、434、435、437、438、または439位の1つまたは複数において変化を含む、請求項44記載の抗体またはその断片。
【請求項46】
Fc領域アミノ酸改変がD265Aアミノ酸変異を含む、請求項44記載の抗体またはその断片。
【請求項47】
SEQ ID NO:27もしくはSEQ ID NO:29と同様に少なくとも1つの可変領域を含む抗体、またはその変種。
【請求項48】
請求項47記載の抗体を発現する細胞株。
【請求項49】
既に形成されたβ-アミロイド線維とhC2抗体とを相互作用させる段階を含む、既に形成されたβアミロイド線維を脱凝集するための方法。
【請求項50】
Aβ誘導分解からニューロンを保護する、請求項1記載のヒト化抗体またはその断片。
【請求項51】
請求項1記載のヒト化抗体またはその断片の有効量によって、ニューロンを処置する段階を含む、Aβ誘導ニューロン分解を防止する方法。
【請求項52】
変種Fc領域が変種IgG1 Fc領域である、請求項1記載の抗体またはその断片。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図15−3】
【図15−4】
【図15−5】
【図16−1】
【図16−2】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15−1】
【図15−2】
【図15−3】
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【図16−1】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2010−530744(P2010−530744A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512182(P2010−512182)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/007318
【国際公開番号】WO2008/156622
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(506027491)エーシー イミューン ソシエテ アノニム (14)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/007318
【国際公開番号】WO2008/156622
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(506027491)エーシー イミューン ソシエテ アノニム (14)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】
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