説明

アミンでの発酵及び抽出により乳酸を製造する方法

本発明は、乳酸を製造及び単離するための方法に関し、その際、乳酸は、炭水化物含有出発材料からアンモニアの添加下での発酵により製造され、かつアンモニウムラクテートからの乳酸の遊離は鉱酸の添加によって、かつ乳酸の単離はアルキル化アミンを用いての抽出によっておこない、かつ抽出は好ましくはpH4.0〜2.0でおこない、その際、多相混合物が形成され、この混合物は分割されて、形成された相をアミンの乳酸塩と一緒に蒸留し、その際、乳酸が純粋な生成物として得られるか、あるいは、形成された相をアミンの乳酸塩と一緒に熱分解し、それによってオリゴラクチドが得られ、これは蒸留することができ、それにより、純粋なジラクチドが得られる。さらに本発明は、前記方法を実施可能な装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
炭水化物含有材料からの発酵による乳酸の製造は、ますます重要性を増している。乳酸は、洗浄剤、液体石鹸、脱灰剤及び織物用助剤を製造するための環境汚染のない中間産物である。乳酸の重要性は、近年さらに増大しており、それというのも、乳酸のポリマー形であるポリラクチドは堆肥化可能(kompostierbar)であるためである。ポリラクチド又はポリ乳酸は、生分解性プラスチック及び易消化性のプラスチックとして、食品産業、化粧品産業及び医薬品産業における使用が見出されている。堆肥化可能なポリ乳酸フィルムから成るバッグは特に重要であることが見出され、それというのも、通常のプラスチックから成るバッグが、環境下で分解することなく、したがって、大きな環境的負荷を示すためである。これとは対照的に、ポリ乳酸から成るプラスチックバッグは、生分解性であり、したがって、通常のプラスチックから成るバッグの環境汚染のない代替物である。
【0002】
乳酸製造のための出発材料は、炭水化物含有材料であり、この場合、これはこのために適した微生物と反応させることにより乳酸に変換する。これに関して適した細菌は、例えば、ラクトバシラス(Lactobacillaceae)菌株由来の乳酸菌であるが、しかしながらさらにサッカロミセス(Saccharomyces)又はリゾプス(Rhizopus)菌株由来の微生物である。使用される微生物菌株に応じて、乳酸の左旋性のエナンチオマーかまたは右旋性のエナンチオマーのいずれかが得られる。したがって、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaris)を使用する場合には、専ら、左旋性のエナンチオマーである、D−(−)−乳酸が得られる。これとは対照的に、他の細菌株であるラクトバシラス・カゼイを使用する場合には、専ら、もう一つのエナンチオマー形であるL−(+)−乳酸が得られる。
【0003】
炭水化物を発酵反応させて乳酸にする場合には、酸の発生により発酵溶液のpH値が低下する。乳酸の濃度が高い場合には、pH値が2.0まで低下されうる。したがって、酸が、塩と等モル濃度で存在する場合には、溶液のpH値は3.86となり、これは乳酸のpK−値(25℃)に相当する。幾つかの細菌株は、低いpH値で乳酸を製造するが、しかしながら多くの菌株は乳酸製造に関して、より高いpH値を要求する。この理由から、発酵溶液は乳酸製造の際に、通常は、pH値を5.0前後又はそれ以上に上昇させる塩基性の塩を添加する。塩基性の塩は、しばしば、塩基性のカルシウム塩であり、これは、生じる乳酸と一緒になって、難溶解性のカルシウム塩を形成する。
【0004】
生じたカルシウム塩は、その難溶解性に基づいて発酵プロセスから簡単に分離することができる。したがって、乳酸を製造するために、分離されたカルシウム塩は鉱酸を用いて酸性化され、その際、乳酸は遊離され、かつ鉱酸のカルシウム塩が生じる。鉱酸として硫酸を使用する場合には、難溶解性の硫酸カルシウムが得られ、これはプロセスから濾過によって簡単に除去することができる。
【0005】
しかしながら、乳酸を乳酸溶液から、さらに抽出によって除去することもできる。乳酸は極めて疎水性であり、したがって簡単に水性溶液から分離除去することができないことから、水性媒体から乳酸を抽出するのに適した幾つかの溶剤が存在する。この目的のために特にしばしば使用される溶剤は、トリアルキルホスフェート又はトリアルキルホスフィンオキシドであり、これは水と一緒になって2相系を形成し、かつ乳酸を、十分に大きい分散効率に基づいて良好に溶解することができる。しばしば使用される溶剤は、さらにトリ−n−アルキルアミンであり、これは乳酸を水から抽出するものである。
【0006】
アミンを乳酸塩の抽出のために使用することも可能であり、その際、乳酸塩として好ましくは乳酸アンモニウム又はアルキルアンモニウムラクテートを使用する。WO 2006/124633 A1は、発酵により乳酸カルシウムを製造するための方法が記載されており、その際、この乳酸カルシウムは、アンモニア又はアルキルアミン及び二酸化炭素又はこれと等価物を用いて反応させることによりエステル交換され、その結果、乳酸アンモニウム又はアルキルアンモニウムラクテートが得られる。これは、有機溶剤を用いて抽出され、そのため抽出物を加熱する。それによって乳酸は遊離し、その後に水での抽出又は蒸留によって精製しなければならない。代替的に、乳酸カルシウムの代わりに乳酸アンモニウムから出発することも可能であり、それによりエステル交換工程が省略される。
【0007】
さらに、発酵プロセスからのヒドロキシカルボン酸の直接的抽出は、すでに研究されている。これは、乳酸を製造する細菌株に対して無毒の溶剤を使用する場合及び発酵溶液のpH値を正確に設定されるべきpH値に調整する場合に働く。Hanoらは、出版されたBioseperation 3, 321-326,1993中で、抽出を介して、発酵中に、溶剤としてジ−n−オクチルアミンを用いてpH値5で実施することを報告している。発酵後に抽出を実施する場合には、乳酸は、ジ−n−オクチルアミン及びヘキサンからの溶剤の組合せ物を用いて、pH値2〜5で抽出することができる。乳酸から溶剤を除去するために、蒸留分離前に溶剤にアンモニアを添加する。
【0008】
この方法は、乳酸カルシウムを介する乳酸の通常の製造方法に比較して、取り扱いが簡単であるといった利点を提供する。製造の際に、コストのかかる溶液からの濾過による分離および廃棄をしなければならない難溶解性のカルシウム塩が生じることがないことから、装置コストは顕著に減少する。抽出及び発酵のために適切なpH値を見出し、かつ、乳酸を製造する細菌株に対して無毒であり、水と一緒になって2相系を形成し、かつさらに乳酸のために十分に大きい抽出力を有する、適した溶剤が存在することが前提である。
【0009】
カルシウム塩を介しての分離よりも、抽出蒸留は技術的に容易に実施されるにもかかわらず、前記理由のために適した溶剤の組合せが常には準備されないといった欠点を有する。さらに、溶剤が、炭水化物の一部分を一緒に抽出し、これにより、全プロセスの収率の低下を招き、かつ、生成物の単離を困難にする。さらに、しばしば多くの抽出サイクルが、水性発酵媒体から乳酸を完全に除去するために必要とされる。抽出のために、発酵プロセスに応じて溶剤混合物が必要とされ、この溶剤混合物は、相形成に応じて水性相からコストをかけて分離除去する。
【0010】
したがって本発明の課題は、発酵反応器からの乳酸の製造および抽出の組み合わされた方法を提供することである。発酵溶液のpH値は、抽出の際に、好ましくは乳酸のpKs値よりも低くすべきである。抽出物の分離及び後処理は、工程技術的に簡単であり、かつ乳酸を高い純度及び高い収率で生産するものでなければならない。使用される溶剤は、補助的成分なしに使用可能であり、かつ水と一緒に2相混合物を形成するものでなければならない。本発明による乳酸の製造は、さらに製造工程の簡単な一体化が可能であり、これによりオリゴラクチド又はポリラクチドを製造することができる。
【0011】
本発明は、直鎖n−トリオクチルアミン(TOA)又は他の適したアミンを溶剤として用いる抽出プロセスによって、前記課題を解決した。n−トリオクチルアミンは、状態図において水との混和性ギャップを有し、したがって、定められた混合比を遵守する場合には、相分離装置を用いてこれを簡単に分離することが可能である。乳酸から形成される乳酸塩も同様に液状であり、水との状態図において混和性ギャップを示すことから、同様に水及び出発アミンから簡単に分離可能である。乳酸塩は、熱作用によって簡単に分解し、その結果、形成された乳酸アンモニウムの蒸留により、乳酸を簡単に得ることができる。適した溶剤の性質を調整するための付加的な溶剤は必要ではない。
【0012】
特に本発明は、前記課題を、少なくとも1個の発酵工程により、炭水化物含有出発材料から乳酸を製造するための方法によって解決し、この場合、この方法は、
−炭水化物含有出発材料を、発酵の第1の工程において、発酵反応器中で、微生物をアンモニアで作用させることにより、乳酸アンモニウム含有溶液に変換し、かつ、
−このようにして得られた乳酸アンモニウム含有溶液に、引き続いて抽出工程において、鉱酸及びアルキル化アミンを添加し、かつ、
−このようにして得られた混合物をよく混合又は攪拌し、かつそれにより抽出によって3相混合物が得られ、その際、第1の相は主にアルキル化アミンから成り、第2の相は主にアルキル化アミンの塩及び乳酸から成り、かつ、第3の相は主に水及び硫酸アンモニウムから成り、かつ、
−これにより得られた3相混合物を、相分離のための装置中で3相に分離し、かつ、
−得られた第2の相、これは主にアルキル化アミン及び乳酸から成るもの、を蒸留し、その際、乳酸、アルキル化アミン及び高沸点の蒸留残留物が得られ、かつ、
−発酵の際に生じる生物発酵残留物は、発酵、抽出直後に、相分離又は蒸留によって系から除去される。
【0013】
発酵のための炭水化物含有出発材料として、特に澱粉含有材料、たとえば、米又はジャガイモ澱粉、アルコール用澱粉汁かす(Maischereste)、加水分解物及びトウモロコシ澱粉が適している。しかしながらさらに、糖含有出発材料、たとえばデキストロース、サッカロース、グルコース及びヘキソースが一般的に適している。しかしながら、炭水化物含有材料、この場合、これは木質成分に由来するものを使用することができ、たとえば木質ゴム、キシロース及びペントースを一般的に使用することができる。さらに、発酵的乳酸製造のための出発材料として炭水化物の混合物を使用できることは自明である。
【0014】
炭水化物から乳酸を製造するための微生物として、特に、ラクトバシラス(Lactobacillaceae)属の菌株が適している。本発明による方法を実施するために、ラクトバシラス・カゼイ属由来の微生物が特に適している。しかしながら、さらにリゾプス(Rhizopus)、ペディオコッカス(Pediococcus)又はサッカロミセス(Saccharomyces)属の細菌株も適している。本発明による方法の実施のために、結局は、炭水化物を乳酸又は乳酸塩に変換することができるすべての微生物が適している。ラクトバシラス又はペディオコッカス属の菌株を使用する場合には、発酵は中程度のpH値である5.0〜7.0で実施することができる。しかしながら、本発明による方法のために、特に、3.8又はそれ未満の低いpH値で乳酸を製造する微生物が好ましい。これは、ラクトバシラス属由来の特別な微生物であり、たとえばEP 1025254 A1中で挙げられている。本発明を実施する場合には、さらに育種−発酵(Anzucht-Fermentation)とも呼称される種発酵を実施することができる。
【0015】
実際の発酵は、たとえば回分的に、栄養素含有溶液中で、20℃〜60℃の温度及び4.0〜2.0のpH値で実施する。好ましくは、発酵は25℃〜35℃の温度で実施する。好ましくは、発酵はpH値3.0〜2.5で実施する。至適pH値を調節するために、発酵溶液に必要に応じて鉱酸、好ましくは硫酸又はリン酸を添加する。しかしながらこの方法は、必要に応じてさらに完全に硫酸塩不含で実施することができる。さらに酸として有機カルボン酸、たとえばアクリル酸又はコハク酸を使用することができる。至適pH値を調整するために、発酵溶液にさらにアンモニア溶液を添加することができる。これは、乳酸の形成に応じて、さらにpH値を一定に保持するために後供給することができる。
【0016】
発酵溶液は、発酵後に抽出容器中に移送し、ここでn−トリオクチルアミンを添加する。乳酸の遊離のために、乳酸アンモニウムと一緒に鉱酸を添加する。引き続いてのn−トリオクチルアミンの添加後に、混合物を攪拌又は振とうによって完全混合する。これにより3相混合物が生じる。第1の相は、主に純粋なトリ−n−オクチルアミンから成り、第2の相は主にトリ−n−オクチルアンモニウムラクテートから成り、かつ第3の相は主に、水性硫酸アンモニウム溶液から成る。pH値は、最適化された相分離を達成するために4.0〜2.0でなければならないが、しかしながらさらに高くすることもできる。温度は、大抵において抽出の目的のために変更することなく、かつ25℃〜35℃であってもよい。
【0017】
このようにして得られた3相混合物は、その後に、相分離のための装置に移送される。ここで、3相が得られる:過剰量のトリ−n−オクチルアミン、トリ−n−オクチルアンモニウムラクテート及び水性相。トリ−n−オクチルアミンは、本発明の有利な実施態様において、適した管路及び装置によってプロセス中に返送される。水性相は、廃棄処理に連行される。これはなおも硫酸アンモニウム及び最大2質量%の乳酸を含有する。これは、適した方法によって、たとえば拡散膜を用いて分離除去することができる。トリ−n−オクリル乳酸アンモニウムは、さらに後処理をおこなう。
【0018】
反応操作の軽減のために、固体の発酵残留物、これは発酵中に生じ、かつほぼ細胞残留物及び固体代謝産物から成るものを、適した装置によって分離除去することができる。これは有利には、濾過装置によって実施する。しかしながらさらに、固体発酵残留物の分離に適した他の分離装置を使用することもできる。発酵残留物を分離する装置は、本発明の有利な実施態様において、発酵反応器直後に備えられている。しかしながらさらに、固体発酵残留物を分離除去するための装置を、抽出装置後方または乳酸塩の後処理のための装置後方において接続一体化することが可能である。このようにして得られた発酵残留物は、通常は固体物質として生じ、かつ他の使用又は廃棄処理に連行される。
【0019】
製造された乳酸について、さらにその質を改善するための工程をおこなうことも可能であり、これは、たとえば脱色剤の添加である。これは、発酵の後に実施するのが好ましいが、しかしながら、工程フローの任意の箇所で実施することもできる。
【0020】
本発明の実施において、相分離から得られたトリ−n−オクチルアンモニウムラクテートについてさらなる後処理をおこなう。これは、蒸留のための装置によって実施することができる。乳酸の沸点(122℃、20hPa)に基づいて、これは好ましくは真空中で蒸留する。蒸留の際に、トリ−n−オクチルアンモニウムラクテートは、迅速に熱分解し、その結果、トリ−n−オクチルアミン及び乳酸が得られる。これにより、乳酸は純粋な形で簡単に得ることができる。他の生成物として、難溶解性であり、高沸点の塔底生成物が得られ、これは本質的にトリ−n−オクチルアンモニウムスルフェート及びオリゴラクテートから成る。
【0021】
本発明の他の実施態様において、相分離から得られたトリ−n−オクチルアンモニウムラクテートは、生じた過剰量のトリ−n−オクチルアミンと一緒にさらなる加工のために加熱する。本発明による実施のために、この部分工程は、250℃〜350℃の温度を使用する。これに関して、本質的にトリ−n−オクチルアミン及びオリゴラクチドが生じ、この場合、これは液体状態で生じ、かつさらに蒸留することができる。温度は、オリゴラクチドに対する平衡の迅速な調整を達成するために必要不可欠である。オリゴラクチドの十分に迅速な形成を達成するが、しかしながら材料の分解を回避するために、300℃の温度での熱分解を実施することが有利である。
【0022】
熱分解の最適化された実施のために、さらに蒸発装置を使用することができる。これに関して、トリ−n−オクチルアミンラクテートを蒸発装置によって導き、この蒸発装置には、乳酸塩の分解が可能な充填材が装入されている。このような充填材は、好ましくは酸性の酸化物から成る。この目的のために、例えばγ−酸化アルミニウムが特に適している。さらに他のエステル化活性充填材を使用することができる。しかしながら基本的には、トリ−n−オクチルアミンラクテートをアミン及び乳酸に分離し、かつ引き続いてオリゴラクチドを形成することが可能な充填材を使用することができる。
【0023】
熱分解のための温度上昇を可能にするために、熱分解の際に不活性ガスを蒸発装置に連行することができる。これに関して不活性ガスは、乳酸塩と反応しないガスが考えられる。好ましくは、不活性ガスとして乾燥アルゴンを使用する。しかしながらさらには、安価な窒素を使用することも可能である。生じるトリ−n−オクチルアミンをさらにプロセス中に返送することができる。オリゴラクチドの高真空装置中での引き続いての蒸留の際に、純粋なジラクチドと、本質的にトリ−n−オクチルアンモニウムスルフェートから成る難溶解性塔底生成物が得られる。ジラクチドは純粋に分離することができる。
【0024】
相分離及び引き続いての蒸留又は熱分解により、抽出されたアミンが再度得られる。これは、コスト減少のためにプロセス中に返送する。抽出からのアミンは、他の処理から得られたアミンと一緒に精製することができるか、あるいは、異なる経路でプロセス中に返送することができる。純度に応じて、アミンをプロセス中へ返送する前に、さらに精製工程に連行することができる。適した精製工程は、再度の蒸留、再度の濾過又はメンブレン法による精製である。
【0025】
乳酸の抽出のために、本発明による方法を実施するためのすべてのアミンを使用することができるが、この場合、このアミンは乳酸に関して十分に大きい溶解性を有するものであって、水との混和性ギャップを有し、かつ、水との混和性ギャップを有するラクテートを形成する。アルキル化アミンは、25℃で好ましくは1質量%未満の水溶解性を有していなければならない。好ましくは、抽出のために使用されたアミンは、しかしながら0.1質量%未満の水溶性を有する。アミンの乳酸塩は同様に好ましくは1質量%未満の水溶性を示す。好ましくは、形成された乳酸アンモニウムは、0.1質量%未満の水溶性を示す。形成された乳酸アンモニウムは、一般に液体である。そのため、さらにポンプ可能である。したがって乳酸塩の移送は、好ましくは液体状態でポンプによって実施する。
【0026】
方法のために、第1級、第2級又は第3級アミンが適していてもよい。アミンの置換基は、好ましくは炭化水素基である。これに関して炭化水素基としては、任意の形成される置換基、例えばアルキル基、イソアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はそれ自体が前記置換基で置換されている置換基、たとえばアリールアルキル置換基が挙げられる。アルキル化アミンとして、置換基中で、全部で10炭素原子を上廻る炭素数を示すものが好ましい。さらに、異なる置換基を付加された炭化水素基、たとえばハロゲン置換又はニトリル置換の炭化水素基を使用可能であることは自明である。しかしながら、好ましくは、本発明による方法を実施するために、トリ−n−オクチルアミンを使用する。
【0027】
使用された細菌株に応じて、本発明による方法を用いて、純粋なL−(+)−エナンチオマー又は純粋なD−(−)−エナンチオマーを達成することが可能である。得られたエナンチオマー及び得られたエナンチオマー混合物の光学的純度にしたがって、異なる物理的性質を有する乳酸生成物が得られる。したがって、鏡像異性的に純粋な乳酸は53℃の融点を有するが、ラセミ混合物は16.8℃の融点を有する。
【0028】
本発明による方法を実施するために、これらの方法を実施するのに適した装置を使用することができる。特に、
−当該装置が、発酵のために適した反応器を包含し、及び
−発酵反応器に、抽出のための容器が接続されており、かつ、
−抽出のための装置に、相分離のための装置が接続されており、ここで、3つの互いに混和しない相が別個に搬出され、かつ、
−相分離のための装置に、蒸留塔が接続されている、
ことを特徴とする装置を請求する。
【0029】
他の工程を実施することは、発酵の際に形成された発酵残留物を除去するのに役立つ。この理由から本発明の実施において、発酵反応器の後方に、発酵残留物を除去するための装置が存在する。これは連続的又は回分的に操作される装置であってもよい。
【0030】
この目的のために特に適した装置は、クロスフローフィルターである。このフィルターは、発酵ブロスの連続的かつ効果的な明澄化を可能にする。しかしながらこれはさらに、発酵残留物を除去するために、ふるい装置又は遠心分離装置を使用することも可能である。発酵残留物を除去するために適した遠心分離装置の例は、デカンター又は管式遠心分離器である。本発明による装置の実施にしたがって、発酵残留物を除去するための装置を、さらに後方の工程フロー中に配置することができる。これは、発酵残留物の除去を、トリ−n−オクチルアンモニウムラクテートの蒸留の際に初めて実施すべき場合の例である。
【0031】
本発明の実際の実施のために、抽出はさらに膜反応器中で実施することができる。これらの装置の使用のために、乳酸に関して透過可能な膜が存在することが前提となる。適した膜は、たとえばポリエーテルスルホン又はポリテトラフルオロエテンから成る。この場合において、膜の発酵面上において発酵残留物が残る。この膜は、乳酸を通過させる面上においてアミンを用いて洗浄し、これにより相当する乳酸アンモニウムを形成することができる。膜反応器後方において、有利には、相分離装置が存在し、その中で、アミンは乳酸アンモニウムから分離され、かつ膜反応器中に返送される。
【0032】
抽出のために、発酵ブロスとアミンとの迅速な混合を達成する容器を使用することができる。この容器は、効果的かつ強力に攪拌するための装置又はさらには当該容器を振とうさせるための装置を包含する。さらに、適した供給装置を有していてもよく、この装置により、アミンおよび鉱酸を中和のために供給することができる。一般に、抽出は回分的に実施する。しかしながら、さらに連続的に実施することもできる。抽出後に、乳酸アンモニウム、アミン及び硫酸アンモニウム含有水性相から成る3相を有する不連続な混合物が得られる。
【0033】
抽出するための装置は、相分離のための適した装置と接続される。ここで、水性相をアミン相及び乳酸アンモニウム相から分離する。この水性相を、適した装置によって分離除去し、かつ廃棄処理に連行する。適した相分離装置は、たとえばデカンター又は重力分離装置である。
【0034】
本発明を実施する場合には、アミン及び乳酸アンモニウム含有相をその後に蒸留に移送する。蒸留のためには、乳酸アンモニウム/アミン相混合物の蒸留に適した装置が適している。乳酸を、その沸点(122℃、20hPa)に基づいて真空中で蒸留することから、当該蒸留装置は、真空の維持のための装置を包含する。アルキルアンモニウムラクテート/アミンからの相混合物を加熱することにより、アルキルアンモニウムラクテートが分解され、その結果、本質的にアミン及び乳酸が蒸留される(ueberdestillieren)。分離作用を改善するために、カラムヘッド、泡鐘トレイ又は分離作用を改善する他の装置を備えていてもよい。生成物として、乳酸及びアルキルアミンが得られる。蒸留可能でない塔底生成物は、本質的にアルキルアンモニウムスルフェート及びオリゴラクテートから構成され、かつ適した装置によって排出される。乳酸の蒸留精製のために適しているのは、たとえば薄層式蒸発装置を用いての蒸留方法であり、これは、例えばEP 1 232 137 B1中に記載されている。
【0035】
本発明の他の実施態様において、アミン及び乳酸アンモニウム含有相は、水性相の分離後に熱分解に連行される。これに関して、内容物の加熱及び効果的な混合を実施する容器が適している。しかしながら、本発明の有利な実施において、たとえばWO92/05168 A1中に記載されている蒸発装置を使用することも可能である。本発明の好ましい実施態様において、蒸発装置は、酸性酸化物から成る充填材を含む。酸性酸化物に関する例は、γ−酸化アルミニウムである。しかしながらさらに、シリカ、シリカ−酸化アルミニウム−組合せ物又はゼオライトが適している。
【0036】
さらに蒸発装置は、不活性ガスを貫流させるための装置を包含していてもよく、これによりアミンが蒸発装置中に導入される。乳酸からアミンを分離するために、蒸発装置後方に、蒸留塔が存在し、この蒸留塔を用いて、アミンを、形成された乳酸から留去することができる。蒸留塔前方に、さらに内容物の相分離を実施する装置を備えていてもよい。
【0037】
抽出、熱分解及び蒸留からのアミンを、プロセス中に返送するために、これらの装置は、アミンのプロセス中への返送をおこなう装置を備えている。使用されたアミンの乳酸塩はポンプ可能であることから、これに関しては相当する管路、ポンプ及び弁が挙げられる。さらにアミンの精製をおこなう装置が存在していてもよい。一つの例は蒸留塔であり、これはさらに分離作用を高める装置を包含することができ、これは例えば、泡鐘塔又は充填塔である。さらに、アミンを精製するために濾過装置を備えているか、あるいは、それぞれ他のアミンを精製するのに適した装置を備えていてもよい。例えば、プレコートフィルター法、限外濾過法、又は擬似移動床濾過法(SMB)を使用することができる。場合によっては、これらの装置の前方に、さらにアミンの純度を確認するための分析機器を備えていてもよく、これは、例えば、屈折係数を測定するための機器である。
【0038】
熱分解から得られるジラクチドの蒸留により、ジラクチドが得られる。これは、適した装置によって、さらなる処理に連行される。当該プロセスにより得られた乳酸又はジラクチドは、任意の目的のために使用することができる。洗浄剤、脱灰剤又は化粧品のための環境汚染のない作用物質としてこの乳酸を使用することができる。しかしながらさらに、この乳酸をさらに化学製品又はポリ乳酸に変換するために使用することも可能である。ポリ乳酸は、良好に使用可能であり、かつ加工可能なプラスチックであり、これは良好な生分解性を有する。ポリ乳酸は、日用品の製造、医薬産業及びインプラント又は包装材料として良好に使用することができる。ポリ乳酸は、堆肥化可能なプラスチックバックの製造に特に適している。ポリラクチドの製造は、例えばEP 1247808 A2中に記載されている。
【0039】
記載されたプロセスは、乳酸の製造のみならず、むしろ一般にα−ヒドロキシカルボン酸の工業的規模での製造のために適している。本発明による方法は、大量の乳酸のコスト削減的な製造を可能にする。当該プロセスの際に、後の酸性化でのカルシウム塩の使用が省略され、その結果、廃棄すべき難溶解性のカルシウム塩が生じることはない。抽出はわずかなコストで実施され、かつ乳酸の簡単な精製を可能にする。使用された抽出剤は、微生物に対して無毒であり、かつ中性から酸性のpH値で、好ましくは酸性のpH値で使用することができる。使用された微生物菌株の変換率に応じて、乳酸は高い収率で得られる。このようにして得られた乳酸は、高純度かつ高品質である。
【0040】
再回収の際のアミン収率は90%を上廻り、その結果、操作中に導入されたアミンに関するコストはわずかである。このアミンは炭化水素を溶解することなく、その結果、抽出中における出発材料の損失は生じない。
【0041】
本発明は、本発明による方法を用いて単離される乳酸の製造を明確に請求する。適した細菌株を使用することにより、乳酸は本発明による方法を用いて、さらに鏡像異性的に純粋な形で製造することができる。さらに本発明は、鏡像異性的に純粋かつ鏡像異性体に富む乳酸の製造を明確に請求し、この場合、この乳酸は本発明による方法によって単離される。
【0042】
さらに本発明は、本発明によって製造された乳酸からのオリゴラクチド及びポリラクチドの製造を請求する。専ら、本発明による方法によって製造された乳酸エナンチオマーを使用することにより、相当する立体異性的配置を有するオリゴラクチド又はポリラクチドの製造を達成する。本発明は同様に、鏡像異性的に純粋又は鏡像異性体に富む乳酸から製造されたポリマーの製造を請求する。本発明は同様に、ポリ乳酸コポリマーの製造を請求し、この場合、これは本発明による方法によって得られる乳酸から製造することができる。
【0043】
乳酸を製造するための本発明による装置は、2つの図面に基づいて正確に説明することができるが、しかしながら、本発明による方法はこの実施形態に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による方法を実施するための装置を示す図
【図2】本発明による方法を実施するための装置を示す図
【0045】
図1は、本発明による方法を実施するための本発明による装置を示し、その際、乳酸は、乳酸アンモニウムの直接的な蒸留によって得られる。炭水化物含有水性溶液(1)は、発酵容器(3)に供給される。発酵の進行のしたがって、pH値をアンモニア(2)の添加によって上昇させる。これにより、乳酸アンモニウム含有溶液(3a)を生じ、これは発酵の終了後に、抽出容器(5)中に供給する。本発明の実施において、発酵ブロスはさらに適した装置(4)により固体の発酵残留物から取り出し、その結果、抽出容器には予め明澄化された溶液(4a)を添加する。抽出容器は、適した供給装置を備えており、この装置を介して、発酵ブロスに鉱酸(6)を中和のために添加する。適した供給装置を介して、さらにアミン(7)を抽出のために供給する。抽出溶液(5a)は、その後に抽出のために攪拌又は振とうさせる。これにより、3相から成る混合物(8)が得られ、この場合、これはアミン、乳酸アンモニウム塩及び水性相から構成される。この混合物は、相分離に適した容器(9)中に供給される。なおも痕跡量のアミンの硫酸塩を含有する、水性の硫酸アンモニウム含有相(9c)を排出する。同様に、アミン含有相(9a)を分離除去し、場合によっては、精製装置(9b)により精製し、かつ、引き続いて抽出中に返送する。本質的にアミンの乳酸塩から成り、かつなおもわずかな量のアミン及び乳酸の硫酸塩から成る第3の相(10)を、高真空装置中で蒸留する。蒸留(11)により、アミン及び乳酸から塩を分解し、その結果、純粋な乳酸(12)が生成物として得られ、その際、122℃(20hPa)の高い温度で蒸留される。蒸留から得られたアミン(11a)を、抽出中に返送する。なおも高沸点の蒸留塔底生成物(13)が得られ、これは、本質的にアミンの硫酸塩から成る。乳酸(12)はその後に、さらなる処理に連行される。
【0046】
図2は、本発明による方法を実施するための本発明による装置を示し、その際、オリゴラクチドの熱分解によってジラクチドが得られる。炭水化物含有水性溶液(1)は、発酵容器(3)に供給する。発酵の進行にしたがって、pH値をアンモニア(2)の添加によって上昇させる。これにより、乳酸アンモニウム含有溶液(3a)が生じ、これは、発酵の終了後に適した装置(4)によって精製され、かつ、それにより明澄化され、抽出容器(5)に供給する。抽出容器は、適した供給装置を備えており、この装置を介して、発酵ブロスに鉱酸(6)を中和のために添加した。適した供給装置を介して、さらにアミン(7)を抽出に供給する。抽出溶液は、その後に抽出のために攪拌又は振とうされる。これにより、3相から成る混合物(8)が得られ、これはアミン、乳酸アンモニウム塩及び水性相から成る。この混合物は、相分離に適した容器(9)中に供給される。なおも痕跡量のアミンの硫酸塩を含む、水性の硫酸アンモニウム含有相(9c)を排出する。同様に、アミン含有相(9a)を分離除去し、場合によっては精製装置(9b)を介して精製し、かつ、引き続いて抽出に返送する。本質的にアミンの乳酸塩を含有する乳酸塩含有相(10)を蒸発させ、かつ、酸化物充填材が装入されている蒸発装置(14)中に導く。蒸発装置を補助するために、蒸発された乳酸塩流に不活性ガス(17)を添加することができる。ここで、アミンの乳酸塩を蒸発させ、かつ分解する。蒸発及び熱分解(14)から、ガス状のアミン及びガス状のオリゴラクテートが生成物(14a)として得られる。この混合物は、凝縮器(15)中で凝縮し、かつこの凝縮物(15a)を相分離装置(16)中に供給する。ここでアミン(16a)が得られ、場合によっては適した装置(16a)により精製し、かつ出発流と一緒に再度抽出に連行する。オリゴラクテート(16c)を、高真空装置中の蒸留(11)に供給し、その際、他のアミン(11a)及び純粋なジラクチド(12)が得られる。他の生成物として、高沸点の蒸留塔底生成物(13)が生じ、これは、本質的にアミンの硫酸塩を含む。付加的なアミン(11a)は、プロセス中に返送することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 炭水化物溶液(水中)、 2 水性アンモニア溶液、 3 発酵容器、 3a 発酵溶液、 4 精製装置、 4a 明澄化された発酵溶液、 5 抽出容器、 6 鉱酸、 7 アルキル化アミン、 8 抽出溶液、 9 相分離装置、 9a アルキル化アミンを含む相、 9b 精製装置、 9c 水性相、 10 アルキル化アミンの乳酸塩を含む相、 11 蒸留ユニット、 11a アルキル化アミン、 12 乳酸、 13 高沸点の塔底生成物、 14 蒸発装置、 14a 熱分解混合物(アルキル化アミン及びオリゴラクチド)、 15 凝縮器、 15a 凝縮物、 16 相分離装置、 16a アルキル化アミンを含む相、 16b 精製装置、 16c オリゴラクチド、 17 不活性ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の発酵工程により、炭水化物含有出発材料から乳酸を製造する方法において、
− 炭水化物含有出発材料を、発酵の第1の工程において発酵反応器中で、微生物をアンモニアで作用することにより、乳酸アンモニウム含有溶液に変換し、かつ、
− このようにして得られた乳酸アンモニウム含有溶液に、引き続いて抽出工程において、鉱酸及びアルキル化アミンを添加し、かつ、
− このようにして得られた混合物をよく混合又は攪拌し、かつさらに抽出により3相混合物が得られ、その際、第1の相は主にアルキル化アミンから成り、第2の相は主にアルキル化アミンの塩及び乳酸から成り、かつ、第3の相は主に水及び硫酸アンモニウムから成り、かつ、
− その際、得られた3相混合物を、相分離のための装置中で3相に分離し、かつ、
− 主にアルキル化アミンの塩及び乳酸から成る得られた第2の相を蒸留し、その際、乳酸、アルキル化アミン及び高沸点蒸留残留物が得られ、かつ、
− 発酵の際に生じる生物発酵残留物は、発酵後に、抽出後に、相分離の際に、あるいは、蒸留の際に系から直接除去される、
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
相分離の際に得られたアミンを、抽出プロセス中に返送する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抽出に引き続く蒸留の際に生じるアルキル化アミンを、抽出プロセス中に返送する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
抽出のために、25℃での水溶性が1質量%未満であるアルキル化アミンを選択し、かつその乳酸塩が同様に1質量%未満の水溶性を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
アルキル化アミンが、第1級アミン、第2級アミン又は第3級アミンである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
アルキル化アミンが、その置換基において全部で10を上廻る炭素原子の炭素数を有するアルキル化アミンである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
アルキル化アミンの置換基が、アルキル置換基、イソアルキル置換基、シクロアルキル置換基、アリール置換基又はアリールアルキル置換基である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
アルキル化アミンが、トリオクチルアミンである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
抽出の際に酸性化するための鉱酸が、硫酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
鉱酸がリン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
pH値を抽出前に、乳酸のpK値を下廻る値に低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
pH値を抽出前に、3を下廻る値に低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
抽出後に得られた乳酸塩含有相を加熱し、その際、熱分解及びオリゴマー化によってオリゴラクチド及びアルキル化アミンが得られる、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
熱分解及びオリゴマー化を250℃〜350℃の温度で実施する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
抽出後に得られた乳酸塩含有相を、オリゴラクチドを製造するために加熱しながら、不活性ガスと一緒に貫流させる、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
不活性ガスがアルゴンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
不活性ガスが窒素を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
熱分解により生じたアルキル化アミンを、抽出プロセス中に返送する、請求項13から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
乳酸の製造の際に、立体選択的にL−(+)−エナンチオマーが生じ、かつ当該乳酸に基づいて生じるラクチドがこれによる立体配置を有する、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
乳酸の製造の際に、立体選択的にD−(−)−エナンチオマーが生じ、かつ当該乳酸に基づいて生じるラクチドがこれによる立体配置を有する、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
熱分解及びオリゴマー化により生じるオリゴラクチドを得た後に蒸留し、その際、純粋なジラクチドが得られる、請求項13から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
乳酸塩含有溶液の抽出工程を、乳酸を透過可能な膜を有する膜型反応器中で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
得られた乳酸を、蒸留直後に蒸気相中で適した触媒を介してラクチドに変換する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
発酵的乳酸製造のための出発材料として、サッカロースを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
発酵的乳酸製造のための出発材料としてヘキソース混合物を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
発酵的乳酸製造のための出発材料として、ヘキソース又はペントース又は前記炭水化物の混合物を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
乳酸製造のための微生物として、これに適した細菌株を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
乳酸製造のための微生物として、ラクトバシラス属由来の細菌株を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
発酵のための溶液が、窒素含有栄養素を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
発酵を20℃〜60℃の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
発酵により生じた生成物に、脱色に適した化学物質を添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
請求項1から31までのいずれか1項に記載の方法を実施するための装置において、
−この装置が、発酵のために適した反応器を包含し、かつ、
−この発酵反応器に、抽出のための容器を接続し、かつ、
−この抽出のための容器に、相分離のための装置を接続し、この場合、この装置は、互いに混和しない3個の生じる相を別個に搬出し、かつ、
−この相分離のための装置に、蒸留塔を接続する、
ことを特徴とする、前記装置。
【請求項33】
発酵反応器と抽出のための容器との間に、生物発酵残留物を除去するための装置が存在する、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
発酵残留物を濾過するための装置が、プレコートフィルター、限外濾過装置又は擬似移動床濾過装置である、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
抽出容器中に存在する液体を攪拌することができる、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
相分離装置と蒸留塔との間に、熱分解及びオリゴマー化のための装置が存在する、請求項32から35までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
蒸留のための装置が、真空維持のための装置を包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
熱分解及びオリゴマー化のための装置が、充填材を有する蒸発装置を包含する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
充填材がγ−酸化アルミニウムを含む、請求項38に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−539911(P2010−539911A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526205(P2010−526205)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008057
【国際公開番号】WO2009/040095
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(502099418)ウーデ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Uhde GmbH
【住所又は居所原語表記】Friedrich−Uhde−Strasse 15, D−44141 Dortmund, Germany
【Fターム(参考)】