説明

アルキル置換N−[4−(4−アミノ−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミドのアミドおよびカルバメート誘導体ならびに方法

2位にエチル、メチルまたはn−プロピル置換基を伴うN−[4−(4−アミノ−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミドのアミドおよびカルバメート誘導体、これらの化合物を含有する医薬組成物、化合物を製造する方法ならびに動物における免疫系を調節し、サイトカイン生合成を誘発し、ウイルス性および新生物疾患を包含する疾患を治療する際にこれらの化合物を使用する方法を開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照により本明細書に援用される2005年9月9日出願の米国特許仮出願第60/715949号明細書に関して優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ある種の置換1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン、キノリン−4−アミン、テトラヒドロキノリン−4−アミン、ナフチリジン−4−アミンおよびテトラヒドロナフチリジン−4−アミン化合物、さらにある種の類似チアゾロおよびオキサゾロ化合物は、免疫応答調節剤(IRM)として有用であることが判明しており、これらを様々な障害を治療する際に有用なものとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
投与すると、サイトカイン生合成の誘発または他の機構を介して、免疫応答の調節を生じさせることができる化合物に対する関心および必要性は引き続き存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
2−アルキルN−[4−(4−アミノ−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミドのある種のアミドおよびカルバメート誘導体は、サイトカイン生合成の誘発を生じさせることが判明した。本発明は、次の式Iで示されるこのような化合物および薬学的に許容できるその塩を提供する:
【0005】
【化1】

[式中、R、R’およびYは、下記と同様に定義される]。
【0006】
式Iの化合物または塩は、動物に投与されると、サイトカイン生合成の調節を生じさせる(例えば1種または複数のサイトカインの生合成または産生を誘発する)ほか、免疫応答の調節を生じさせるその能力により有用である。このことが、該化合物を、免疫応答のこのような変化に応答するウイルス性疾患および新生物疾患などの様々な状態を治療する際に有用なものとしている。
【0007】
さらに本発明は、式Iの化合物を含有する医薬組成物ならびに1種または複数の式Iの化合物および/または薬学的に許容できるその塩を動物に投与することにより、または1種または複数の式Iの化合物および/または薬学的に許容できるその塩を含有する医薬組成物を動物に投与することにより、動物細胞においてサイトカイン生合成を誘発する方法、動物におけるウイルス性疾患を治療する方法および/または動物における新生物疾患を治療する方法を提供する。
【0008】
他の態様では、本発明は、式Iの化合物を合成する方法を提供する。
【0009】
本明細書で使用する場合、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1種」および/または「1種または複数」は互換的に使用される。
【0010】
「含む」との用語およびその変化形は、これらの用語が明細書および請求項に現れている場合、限定的な意味を有さない。
【0011】
本発明の前記の概要は、開示されている各実施形態またはあらゆる本発明の実施を記載することを意図したものではない。以下の記載で、実例的な実施形態をさらに詳細に例示する。本明細書ではさらに、様々な組合せで使用することができる実施例のリストを介して、ガイダンスを提供する。それぞれの場合で、列挙されているリストは、典型的な群として役立つだけで、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、次の式Iの化合物および薬学的に許容できるその塩を提供する:
【0013】
【化2】

[式中、R、R’およびYは、下記と同様に定義される]。
【0014】
一実施形態では、本発明は次の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する:
【0015】
【化3】

[式中、
Yは、−C(O)−および−C(O)−O−からなる群から選択され、
Rは、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキレニル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキレニルからなる群から選択され、ここで、アリールおよびアリールアルキレニルは、非置換であるか、アルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基により置換されており、Yに結合しているヘテロシクリル中の原子は、炭素原子であり、
R’は、メチル、エチルおよびn−プロピルからなる群から選択される]。
【0016】
一実施形態では、本発明は次の式IIの化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する:
【0017】
【化4】

[式中、
Yは、−C(O)−および−C(O)−O−からなる群から選択され、
Rは、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキレニル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキレニルからなる群から選択され、ここで、アリールおよびアリールアルキレニルは、非置換であるか、アルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基により置換されており、Yに結合しているヘテロシクリル中の原子は、炭素原子である]。
【0018】
他の実施形態では、本発明は次の式IIIの化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する:
【0019】
【化5】

[式中、
Yは、−C(O)−および−C(O)−O−からなる群から選択され、
Rは、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキレニル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキレニルからなる群から選択され、ここで、アリールおよびアリールアルキレニルは、非置換であるか、アルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基により置換されており、Yに結合しているヘテロシクリル中の原子は、炭素原子である]。
【0020】
他の実施形態では、本発明は次の式IVの化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する:
【0021】
【化6】

[式中、
Yは、−C(O)−および−C(O)−O−からなる群から選択され、
Rは、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキレニル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキレニルからなる群から選択され、ここで、アリールおよびアリールアルキレニルは、非置換であるか、アルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基により置換されており、Yに結合しているヘテロシクリル中の原子は、炭素原子である]。
【0022】
本明細書に示されている任意の化合物では、当業者であれば理解するであろうが、任意の実施形態中の次の可変基(例えばR、R’、Yなど)はそれぞれ、その任意の実施形態中の任意の1個または複数の他の可変基と組み合わせることができ、本明細書に記載されている任意のいずれかの式と関連させることができる。生じた可変基の組合せはそれぞれ、本発明の実施形態である。
【0023】
ある種の実施形態、例えば式IからIVの任意のいずれかの実施形態では、Yは、−C(O)−および−C(O)−O−からなる群から選択される。
【0024】
ある種の実施形態、例えば式IからIVの任意のいずれかの実施形態では、Yは、−C(O)−である。
【0025】
ある種の実施形態、例えば式IからIVの任意のいずれかの実施形態では、Yは、−C(O)−O−である。
【0026】
式IからIVの前記実施形態の任意のいずれかを包含するある種の実施形態では、Rは、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキレニル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキレニルからなる群から選択され、ここで、アリールおよびアリールアルキレニルは、非置換であるか、アルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基により置換されており、Yに結合しているヘテロシクリル中の原子は、炭素原子である。
【0027】
式IからIVの前記実施形態の任意のいずれかを包含するある種の実施形態では、Rは、アルキル、アリールまたはアリールアルキレニルである。ある種のこれらの実施形態では、Rは、C1〜10アルキルである。ある種のこれらの実施形態では、Rは、C1〜5アルキルである。ある種のこれらの実施形態では、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルからなる群から選択される。
【0028】
式IからIVの前記実施形態の任意のいずれかを包含するある種の実施形態では、排除されない場合、Rは、アリールである。ある種のこれらの実施形態では、Rは、フェニルである。
【0029】
式IからIVの前記実施形態の任意のいずれかを包含するある種の実施形態では、排除されない場合、Rは、アリールアルキレニルである。ある種のこれらの実施形態では、Rは、ベンジルである。
【0030】
式Iの前記実施形態の任意のいずれかを包含するある種の実施形態では、R’は、メチル、エチルおよびn−プロピルからなる群から選択される。
【0031】
式Iの前記実施形態の任意のいずれかを包含するある種の実施形態では、R’は、エチルである。
【0032】
式Iの前記実施形態の任意のいずれかを包含するある種の実施形態では、排除されない場合、R’は、メチルである。
【0033】
式Iの前記実施形態の任意のいずれかを包含するある種の実施形態では、排除されない場合、R’は、n−プロピルである。
【0034】
ある種の実施形態では、本発明は、治療有効量の式I、II、IIIおよびIVの前記実施形態の任意のいずれかの化合物または塩ならびに薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。
【0035】
ある種の実施形態では、本発明は、動物においてサイトカイン生合成を誘発する方法を提供し、この方法は、有効量の式I、II、IIIおよびIVの前記実施形態の任意のいずれかの化合物もしくは塩または治療有効量の式I、II、IIIおよびIVの前記実施形態の任意のいずれかの化合物もしくは塩を含む医薬組成物を動物に投与することを含む。
【0036】
ある種の実施形態では、本発明は、動物におけるウイルス性疾患を治療する方法を提供し、この方法は、治療有効量の式I、II、IIIおよびIVの前記実施形態の任意のいずれかの化合物もしくは塩または治療有効量の式I、II、IIIおよびIVの前記実施形態の任意のいずれかの化合物もしくは塩を含む医薬組成物を動物に投与することを含む。
【0037】
ある種の実施形態では、本発明は、動物における新生物疾患を治療する方法を提供し、この方法は、治療有効量の式I、II、IIIおよびIVの前記実施形態の任意のいずれかの化合物もしくは塩または治療有効量の式I、II、IIIおよびIVの前記実施形態の任意のいずれかの化合物もしくは塩を含む医薬組成物を動物に投与することを含む。
【0038】
本明細書で使用する場合、「アルキル」との用語および「アルク」との接頭語は、直鎖および分枝鎖基の両方ならびに環式基、例えばシクロアルキルおよびシクロアルケニルを包含する。他に明示のない限り、これらの基は、1から20個の炭素原子を含有し、ここで、アルケニル基は、2から20個の炭素原子を含有し、アルキニル基は2から20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、これらの基は、全部で10個までの炭素原子、8個までの炭素原子、6個までの炭素原子または4個までの炭素原子を有する。環式基は、単環式または多環式であってよく、好ましくは3から10個の環炭素原子を有する。例示的な環式基には、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロブチルメチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、アダマンチルならびに置換および非置換ボルニル、ノルボルニルおよびノルボルネニルが包含される。
【0039】
他に明示のない限り、「アルキレン」は、前記で定義された「アルキル」基の二価形態である。「アルキレニル」との用語は、「アルキレン」が置換されている場合に使用される。例えば、アリールアルキレニル基は、アリール基が結合している「アルキレン」部分を含む。
【0040】
本明細書で使用される「アリール」との用語は、炭素環式芳香族環または環系を包含する。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニルおよびインデニルが包含される。
【0041】
他に指示されていない限り、「ヘテロ原子」との用語は、原子O、S、またはNを指している。
【0042】
「ヘテロアリール」との用語は、少なくとも1個の環ヘテロ原子(例えばO、S、N)を含有する芳香族環または環系を包含する。いくつかの実施形態では、「ヘテロアリール」との用語は、2から12個の炭素原子、1から3個の環、1から4個のヘテロ原子ならびにヘテロ原子としてO、Sおよび/またはNを含有する環または環系を包含する。適切なヘテロアリール基には、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ナフチリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、プリニル、キナゾリニル、ピラジニル、1−オキシドピリジル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルなどが包含される。
【0043】
「ヘテロシクリル」との用語は、少なくとも1個の環ヘテロ原子(例えばO、S、N)を含有する非芳香族環または環系を包含し、前記ヘテロアリール基の全飽和または部分飽和誘導体全てを包含する。いくつかの実施形態では、「ヘテロシクリル」との用語は、2から12個の炭素原子、1から3個の環、1から4個のヘテロ原子ならびにヘテロ原子としてO、SおよびNを含有する環または環系を包含する。例示的なヘテロシクリル基には、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、テトラヒドロピラニル、キヌクリジニル、ホモピペリジニル(アゼパニル)、1,4−オキサゼパニル、ホモピペラジニル(ジアゼパニル)、1,3−ジオキソラニル、アジリジニル、アゼチジニル、ジヒドロイソキノリン−(1H)−イル、オクタヒドロイソキノリン−(1H)−イル、ジヒドロキノリン−(2H)−イル、オクタヒドロキノリン−(2H)−イル、ジヒドロ−1H−イミダゾリル、3−アザビシクロ[3.2.2]ノン−3−イルなどが包含される。
【0044】
「ヘテロシクリル」との用語は、二環式および三環式複素環系を包含する。このような環系には、縮合および/または架橋環ならびにスピロ環が包含される。縮合環は、飽和または部分飽和環に加えて、芳香族環、例えばベンゼン環を包含することもできる。スピロ環は、1個のスピロ原子により結合されている2個の環および2個のスピロ原子により結合されている3個の環を包含する。
【0045】
「ヘテロシクリル」が窒素原子を含有する場合、ヘテロシクリル基の結合点は、他に明示されていない限り、窒素原子であってよい。
【0046】
本発明は、異性体(例えばジアステレオ異性体および鏡像異性体)、塩、溶媒和物、多形体などを包含する任意のその薬学的に許容できる形態である本明細書に記載の化合物(中間体を包含する)を包含する。特に、化合物が光学的に活性な場合、本発明は特に、化合物の各鏡像異性体、さらに鏡像異性体のラセミ混合物およびスケールミック(scalemic)混合物を包含する。「化合物」との用語は、明白に述べられているかいないかに関わらず、任意または全てのこのような形態を包含することを理解すべきである(時には「塩」が明白に述べられているが)。
【0047】
化合物の調製
本発明の化合物は、化学分野でよく知られているプロセスと類似のプロセスを包含する合成経路により、特に、本明細書に含まれる記載を考慮して合成することができる。試薬は通常、Aldrich Chemicals(Milwaukee、Wisconsin、USA)などの商業的供給源から入手することができるか、当業者によく知られている方法を使用して容易に調製することができる(例えば、Louis F.FieserおよびMary Fieser、Reagents for Organic Synthesis、v.1〜19、Wiley、New York(1967〜1999編);Alan R.Katritsky、Otto Meth−Cohn、Charles W.Rees、Comprehensive Organic Functional Group Transformations、v1〜6、Pergamon Press、Oxford、England(1995);Barry M.TrostおよびIan Fleming、Comprehensive Organic Synthesis、v.1〜8、Pergamon Press、Oxford、England(1991);または補足を包含するBeilsteins Handbuch der organischen Chemie、4版、Springer−Verlag編、Berlin、Germany(Beilstein online databaseを介しても利用可能)に一般的に記載されている方法により調製することができる)。
【0048】
実例のため、下記に図示されている反応スキームは、本発明の化合物を合成することが可能な経路を提供している。個々の反応ステップのより詳細な記載に関しては、下記の実施例セクションを参照のこと。本発明の化合物を合成するために他の合成経路を使用することもできることは、当業者であれば理解するであろう。
【0049】
分離および精製の従来の方法および技術を使用して、本発明の化合物、さらに様々な薬学的に許容できるその塩を単離することができる。このような技術には例えば、全てのタイプのクロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、シリカゲルなどの一般的な吸着剤を使用するカラムクロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィー)、再結晶化および微分(液液)抽出技術が包含されうる。
【0050】
本発明の化合物は、RおよびR’が前記と同様に定義される反応スキームIに従い調製することができる。反応スキームIでは、式Vの1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンを、式VIの酸無水物と反応させて、式I、II、IIIおよびIVの亜属である式VIIのN−(1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イル)アミドを得る。N−メチル−2−ピロリジノンなどの適切な溶媒中で式Vの1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンを式VIの酸無水物と混合することにより、反応を実施する。反応を周囲温度で実施し、生成物および薬学的に許容できるその塩を、従来の方法を使用して単離することができる。式Vの1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンは知られていて、知られている合成方法を使用して調製することができる。米国特許第6677349号明細書およびそこで挙げられている文献を参照のこと。
【0051】
【化7】

【0052】
本発明の化合物は、RおよびR’が前記と同様に定義される反応スキームIIに従い調製することができる。反応スキームIIでは、式Vの1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンを式VIIIのクロロギ酸エステルと反応させて、式I、II、IIIおよびIVの亜属である式IXの1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イルカルバメートを得る。トリエチルアミンなどの塩基の存在下に、制御しながら式VIIIのクロロギ酸エステルを、式Vの1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンのN,N−ジメチルホルムアミドまたはN−メチル−2−ピロリジノンなどの適切な溶媒中の懸濁液または溶液に加えることにより、反応を実施する。添加を、例えば0℃などの周囲以下の温度で実施することができる。生成物または薬学的に許容できるその塩は、従来の方法を使用して単離することができる。
【0053】
【化8】

【0054】
本発明の化合物は、RおよびR’が前記と同様に定義される反応スキームIIIに従い調製することができる。反応スキームIIIでは、式Vの1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンを式Xの酸塩化物と反応させて、式I、II、IIIおよびIVの亜属である式VIIのN−(1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イル)アミドを得る。トリエチルアミンなどの塩基の存在下に、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN−メチル−2−ピロリジノンなどの適切な溶媒中で、式Vの1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンを式VIの酸塩化物と混合することにより、反応を実施する。反応を、周囲温度で実施することができ、生成物または薬学的に許容できるその塩を、従来の方法を使用して単離することができる。
【0055】
【化9】

【0056】
医薬組成物および生物学的活性
本発明の医薬組成物は、治療有効量の前記化合物または塩を薬学的に許容できる担体と共に含有する。
【0057】
「治療有効量」および「有効量」との用語は、サイトカイン誘発、免疫調節、抗腫瘍活性および/または抗ウイルス活性などの治療効果または予防効果を誘発するのに十分な化合物または塩の量を意味している。本発明の医薬組成物中で使用される化合物または塩の正確な量は、化合物または塩の物理的および化学的性質、担体の性質ならびに所定の投与計画などの当業者に知られている因子に従って変動する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1キログラム当たり約100ナノグラム(ng/kg)から1キログラム当たり約50ミリグラム(mg/kg)、好ましくは1キログラム当たり約10マイクログラム(μg/kg)から約5mg/kgの化合物または塩の用量を対象に提供するのに十分な活性成分またはプロドラッグを含有する。
【0059】
他の実施形態では、対象の体表面積(m)を、対象の体重を使用して計算するデュボイス法:m=(体重kg0.425×身長cm0.725)×0.007184に従って計算して、例えば約0.01mg/mから約5.0mg/mの用量を提供するために十分な活性成分またはプロドラッグを、本発明の組成物は含有するが、いくつかの実施形態では、この範囲外の用量で化合物もしくは塩または組成物を投与することにより、方法を行ってもよい。いくつかのこれらの実施形態では、方法は、約0.1mg/mから約2.0mg/mの用量、例えば約0.4mg/mから約1.2mg/mの用量を対象に提供するのに十分な化合物を投与することを包含する。
【0060】
錠剤、ロゼンジ、カプセル、非経口製剤、シロップ、クリーム、軟膏、エアロゾル製剤、経皮パッチ、経粘膜パッチなど、様々な投与形態を使用することができる。従来の薬学的に許容できる担体および添加剤を用いて、活性成分を担体と混合するステップを通常は包含する従来の方法を使用して、これらの投与形態を調製することができる。
【0061】
本発明の化合物または塩は、治療計画において単一の治療薬剤として投与することもできるし、本明細書に記載の化合物または塩を、追加的な免疫応答調節剤、抗ウイルス剤、抗生物質、抗体、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチドなどを包含する1種の他の活性剤または複数の他の活性剤と組み合わせて投与することもできる。
【0062】
本発明の化合物または塩は、下記の検査に従い行われる実験においてある種のサイトカインの産生を誘発することが判明している。これらの結果は、化合物または塩が、いくつかの異なる方法で免疫応答を調節するために有用であることを示しており、これらを、様々な障害を治療する際に有用なものとしている。
【0063】
本発明の化合物または塩を投与することにより、その産生が誘発されるサイトカインには通常、インターフェロン−α(IFN−α)および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、さらにある種のインターロイキン(IL)が包含される。本発明の化合物または塩により、その生合成が誘発されうるサイトカインには、IFN−α、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−10およびIL−12ならびに様々な他のサイトカインが包含される。他の作用のうち、これらのサイトカインおよび他のサイトカインは、ウイルス産生および腫瘍細胞増殖を阻害することができ、化合物または塩を、ウイルス性疾患および新生物疾患の治療の際に有用なものとしている。したがって、本発明は、動物におけるサイトカイン生合成を誘発する方法を提供し、この方法は、有効量の本発明の化合物または塩を動物に投与することを含む。サイトカイン生合成を誘発するために化合物または塩を投与される動物は、下記に記載の疾患、例えばウイルス性疾患または新生物疾患を有してよく、化合物または塩の投与が治療的処置をもたらしうる。あるいは、化合物または塩を、動物が疾患を獲得する前に動物に投与して、化合物または塩の投与が、予防的処置をもたらしうるようにすることもできる。
【0064】
サイトカインの産生を誘発する能力に加えて、本明細書に記載の化合物または塩は、先天性免疫応答の他の態様に影響を及ぼすこともできる。例えば、ナチュラルキラー細胞活性を刺激することができ、その作用は、サイトカイン誘発に帰すことができる。化合物または塩はさらに、マクロファージを活性化することができ、このことは翻って、窒素酸化物の分泌および追加的なサイトカインの産生を刺激する。さらに、化合物または塩は、Bリンパ球の増殖および分化をもたらす。
【0065】
さらに本明細書に記載の化合物または塩は、後天性免疫応答に対して作用を有しうる。例えば、化合物または塩を投与すると、Tヘルパー1型(T1)サイトカインIFN−γの産生を間接的に誘発することができ、Tヘルパー2型(T2)サイトカインIL−4、IL−5およびIL−13の産生を阻害することができる。
【0066】
疾患の予防的または治療的処置に関わらず、先天性または後天性免疫に作用するかどうかに関わらず、化合物もしくは塩または組成物を単独で、または例えばワクチンアジュバントにおいて、1種または複数の活性成分と組み合わせて投与してもよい。他の成分と共に投与する場合、化合物もしくは塩または組成物および1種または複数の成分を、別々に;溶液中などで一緒に、ただし独立に;または、例えばコロイド懸濁液中で一緒に、(a)共有結合で、または(b)非共有結合などで相互に付随させて投与してもよい。
【0067】
本明細書で同定されている化合物もしくは塩または組成物を治療として使用することができる状態には、これらに限られないが、
(a)例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えばHSV−I、HSV−II、CMVまたはVZV)、ポックスウイルス(例えば痘瘡もしくはワクシニアなどのオルトポックスウイルスまたは伝染性軟属腫)、ピコルナウイルス(例えばリノウイルスまたはエンテロウイルス)、オルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えばパラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルスおよび呼吸系発疹ウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えばSARS)、パポバウイルス(例えば生殖器いぼ、尋常性いぼまたは足底いぼをもたらすものなどのパピローマウイルス)、ヘパドナウイルス(例えばB型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えばC型肝炎ウイルスまたはデングウイルス)またはレトロウイルス(例えばHIVなどのレンチウイルス)の感染により生じる疾患などのウイルス性疾患;
(b)例えば、例えばEscherichia属、Enterobacter属、Salmonella属、Staphylococcus属、Shigella属、Listeria属、Aerobacter属、Helicobacter属、Klebsiella属、Proteus属、Pseudomonas属、Streptococcus属、Chlamydia属、Mycoplasma属、Pneumococcus属、Neisseria属、Clostridium属、Bacillus属、Corynebacterium属、Mycobacterium属、Campylobacter属、Vibrio属、Serratia属、Providencia属、Chromobacterium属、Brucella属、Yersinia属、Haemophilus属またはBordetella属の感染により生じる疾患などの細菌性疾患;
(c)クラミジア、これらに限られないがカンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコッカス性髄膜炎を包含する真菌性疾患またはこれらに限られないがマラリア、ニューモシスティスカリニ肺炎、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症およびトリパノソーマ感染を包含する寄生虫疾患などの他の感染性疾患;
(d)上皮内新生物、子宮頚部異形成、日光性角化症、基底細胞癌、扁平上皮癌、腎細胞癌、カポジ肉腫、黒色腫、これらに限られないが急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫および有毛状細胞性白血病を包含する白血病ならびに他の癌などの新生物疾患;
(e)アトピー性皮膚炎または湿疹、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎およびOmmen症候群などのT2仲介アトピー性疾患;
(f)全身性エリテマトーデス、本態性血小板血症、多発性硬化症、円板状狼瘡、円形脱毛症などのある種の自己免疫疾患;ならびに
(g)例えば、ケロイド形成および他のタイプの瘢痕化の阻害などの創傷修復に随伴する疾患(例えば慢性創傷を包含する創傷治癒の増強)
が包含される。
【0068】
加えて、本明細書に同定されている化合物または塩は、例えば生のウイルス、細菌または寄生虫免疫原;不活化ウイルス、腫瘍由来、原虫、生物由来、真菌または細菌免疫原;類毒素;毒素;自己抗原;多糖類;タンパク質;糖タンパク質;ペプチド;細胞ワクチン;DNAワクチン;自己ワクチン;組換えタンパク質などの体液および/または細胞仲介免疫応答を高める任意の物質と共に使用するためのワクチンアジュバントとして、例えばBCG、コレラ、ペスト、チフス、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、パラインフルエンザ、ポリオ、狂犬病、麻疹、おたふくかぜ、風疹、黄熱、破傷風、ジフテリア、インフルエンザ菌b、結核、髄膜炎および肺炎球菌ワクチン、アデノウイルス、HIV、水痘、サイトメガロウイルス、デング、ネコ白血病、家禽ペスト、HSV−1およびHSV−2、ブタコレラ、日本脳炎、呼吸系発疹ウイルス、ロタウイルス、パピローマウイルス、黄熱およびアルツハイマー病と共に使用するために、有用でありうる。
【0069】
本明細書に同定されている化合物または塩は、免疫機能が損なわれている個人において特に役立つ。例えば、移植患者、癌患者およびHIV患者において細胞仲介免疫の抑制後に起こる日和見感染症および腫瘍を治療するために、化合物または塩を使用することができる。
【0070】
したがって、前記疾患または疾患タイプのうちの1種または複数、例えばウイルス性疾患または新生物疾患を、その必要のある動物(疾患を有する)において、治療有効量の本発明の化合物または塩を動物に投与することにより治療することができる。
【0071】
さらに、有効量の本明細書に記載の化合物または塩をワクチンアジュバントとして投与することにより、動物にワクチン接種することができる。一実施形態では、動物にワクチン接種する方法を提供するが、この方法は、有効量の本明細書に記載の化合物または塩を動物にワクチンアジュバントとして投与することを含む。
【0072】
サイトカイン生合成を誘発するのに有効な化合物または塩の量は、単球、マクロファージ、樹状細胞およびB細胞などの1種または複数の細胞タイプに、例えばIFN−α、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−10およびIL−12などの1種または複数のサイトカインを、このようなサイトカインの背景レベルを越えて上昇(低減)されている量で産生させるのに十分な量である。正確な量は、当分野で知られている因子に従い変動するが、約100ng/kgから約50mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約5mg/kgの用量と考えられる。他の実施形態では、この量は、例えば約0.01mg/mから約5.0mg/m(前記のデュボイス法に従い計算)の用量であると考えられるが、いくつかの実施形態では、サイトカイン生合成の誘発または阻害を、この範囲外の用量で化合物または塩を投与することにより行うこともできる。いくつかのこれらの実施形態では、方法は、約0.1mg/mから約2.0mg/mの用量、例えば、約0.4mg/mから約1.2mg/mの用量を対象に提供するのに十分な化合物もしくは塩または組成物を投与することを含む。
【0073】
さらに、本発明は、動物におけるウイルス感染を治療する方法および動物における新生物疾患を治療する方法を提供し、これらの方法は、有効量の本発明の化合物または塩を動物に投与することを含む。ウイルス感染を治療または阻害するのに有効な量は、ウイルス病変、ウイルス負荷、ウイルス産生速度および未治療の対照動物と比較しての死亡率などのウイルス感染の1種または複数の発現の低減をもたらす量である。このような治療に有効な正確な量は、当分野で知られている因子に従い変動するが、約100ng/kgから約50mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約5mg/kgの用量と考えられる。新生物状態を治療するのに有効な化合物または塩の量は、腫瘍サイズまたは腫瘍病巣の数の低減をもたらすであろう量である。この場合にも、正確な量は、当分野で知られている因子に従い変動するが、約100ng/kgから約50mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約5mg/kgの用量と考えられる。他の実施形態では、この量は、例えば約0.01mg/mから約5.0mg/m(前記のデュボイス法に従い計算)の用量であると考えられるが、いくつかの実施形態では、これらの方法のいずれも、この範囲外の用量で化合物または塩を投与することにより行うこともできる。いくつかのこれらの実施形態では、方法は、約0.1mg/mから約2.0mg/mの用量、例えば、約0.4mg/mから約1.2mg/mの用量を対象に提供するのに十分な化合物または塩を投与することを含む。
【0074】
したがって、1種または複数の前記疾患または疾患タイプ、例えばウイルス性疾患または新生物疾患を、その必要のある動物(疾患を有する)において、治療有効量の式I、II、III、IVの化合物もしくは塩、本明細書に記載の任意の実施形態またはこれらの組合せを動物に投与することにより治療することができる。さらに動物に、有効量の式I、II、III、IVの化合物もしくは塩、本明細書に記載の任意の実施形態またはこれらの組合せを動物にワクチンアジュバントとして投与することによりワクチン接種することもできる。一実施形態では、動物にワクチン接種する方法を提供するが、この方法は、有効量の本明細書に記載の化合物または塩を動物にワクチンアジュバントとして投与することを含む。
【0075】
本発明の方法は、任意の適切な対象で行うことができる。適切な対象には、これらに限られないが、動物、例えばこれらに限られないが、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギまたはウシなどが包含される。
【0076】
本明細書に特に記載されている製剤および使用に加えて、本発明の化合物に適している他の製剤、使用および投与デバイスが例えば、国際公開第03/077944号パンフレットおよび国際公開第02/036592号パンフレット、米国特許第6245776号明細書ならびに米国特許出願公開第2003/0139364号明細書、同第2003/185835号明細書、同第2004/0258698号明細書、同第2004/0265351号明細書、同第2004/076633号明細書および2005/0009858号明細書に記載されている。
【0077】
本発明の対象および利点を、次の実施例でさらに説明するが、これらの実施例に挙げられている特定の物質およびその量、さらに他の条件および詳細は、本発明を不当に制限すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0078】
下記の実施例では、COMBIFLASH系(Teledyne Isco,Inc.、Lincoln、Nebraska、USAから入手可能な自動高速フラッシュ精製製品)またはHORIZON HPFC系(Biotage,Inc、Charlottesville、Virginia、USAから入手可能な自動高速フラッシュ精製製品)を使用して、自動フラッシュクロマトグラフィーを実施した。各精製で使用される溶離剤は、実施例に示す。いくつかのクロマトグラフィー分離では、溶媒混合物80/18/2 v/v/vのクロロホルム/メタノール/濃水酸化アンモニウム(CMA)を溶媒の極性成分として使用した。これらの分離では、CMAを指示されている割合でクロロホルムと混合した。
【0079】
(実施例1)
N−(2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イル)アセトアミド
【0080】
【化10】

無水酢酸(10mL)およびN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)(50mL)を、N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミド(0.5g)に順次加え、反応混合物を1時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(約550mL)で希釈し、次いで水(100〜150mLのポーションで全部で1L)で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、次いで減圧下に濃縮した。残留物を自動フラッシュクロマトグラフィー(水酸化アンモニウム1%を含有するジクロロメタン中0〜10%のメタノールの勾配で溶離するシリカゲル)により精製すると、オイル約100mgが得られた。オイルをアセトニトリルに溶かした。ジエチルエーテルを溶液に加え、減圧下に濃縮すると、N−(2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イル)アセトアミド100mgが白色の固体、融点90〜91℃で得られた。C1925Sでの分析計算値:C、56.55;H、6.24;N、17.36。実測値:C、56.12;H、5.95;N、16.98。
【0081】
(実施例2)
N−(2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イル)ベンズアミド
【0082】
【化11】

NMP(5mL)および無水安息香酸(0.63g、1当量(eq))を、N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミド(1g、1当量)に順次加え、反応混合物を周囲温度で攪拌した。4時間後に、追加のNMP(約1mL)を加えた。5時間後に、追加の無水安息香酸(0.63g)を加え、反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物をジエチルエーテル(約50mL)で希釈した。白色の固体を濾過により単離し、ジエチルエーテルですすぎ、次いで、真空下に乾燥させると、白色の固体約1gが得られた。この物質を、自動フラッシュクロマトグラフィー(水酸化アンモニウム1%を含有するジクロロメタン中0〜10%のメタノールの勾配で溶離するシリカゲル)により精製すると、N−(2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イル)ベンズアミド507mgが白色の粉末として、融点249〜250℃で得られた。C2427S・0.10HOでの分析計算値:C、61.68;H、5.87;N、14.98。実測値:C、61.42;H、5.80;N、14.96。
【0083】
(実施例3)
2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イルカルバミン酸エチル
【0084】
【化12】

トリエチルアミン(3.86mL、10当量)を、N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミド(1.0g、1当量)の冷却(氷/水浴)されているN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(10mL)懸濁液に加えた。クロロギ酸エチル(1.5g、5当量)を滴加すると、澄明な溶液が得られた。反応混合物を2時間攪拌しながら、周囲温度にした。追加のトリエチルアミン(3.86mL、10当量)およびクロロギ酸エチル(3.86mL、10当量)を加え、反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物を粉砕された氷に注ぎ、次いでジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機層を水(2×50mL)、4%炭酸ナトリウム(50mL)、水(50mL)およびブライン(50mL)で順次洗浄し、次いで減圧下に濃縮した。残留物を、自動フラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム中0〜25%のCMAの線状勾配で溶離するシリカゲル、2500mL)で、続いてアセトニトリルからの再結晶化により精製すると、2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イルカルバミン酸エチル0.815gが白色の結晶固体として、融点185〜187℃で得られた。C2027Sでの分析計算値:C、55.41;H、6.28;N、16.15。実測値:C、55.30;H、6.29;N、16.24。
【0085】
(実施例4)
N−(2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド
【0086】
【化13】

NMP(3mL)および無水イソ酪酸(459μL、1当量)を、N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミド(1g、1当量)に順次加え、反応混合物を周囲温度で攪拌した。4時間後に、追加の無水イソ酪酸(約0.5当量)を加え、反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物をジエチルエーテル(約25mL)で希釈し、15分間攪拌した。生じた白色の沈殿物から、溶媒をデカンテーションした。真空下に固体を乾燥させ、次いで、自動フラッシュクロマトグラフィー(1%の水酸化アンモニウムを含有するジクロロメタン中0〜10%のメタノールの勾配で溶離するシリカゲル)で精製すると、N−(2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド1.1gが白色の粉末として、融点122〜124℃で得られた。C2129Sでの分析計算値:C、58.45;H、6.77;N、16.23。実測値:C、57.69;H、6.82;N、16.06。
【0087】
(実施例5)
N−(2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド
【0088】
【化14】

NMP(3mL)および無水トリメチル酢酸(564μL、1当量)を、N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミド(1g、1当量)に順次加え、反応混合物を周囲温度で攪拌した。4時間後に、追加の無水トリメチル酢酸(約0.5当量)を加え、反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物をジエチルエーテル(約25mL)で希釈し、15分間攪拌した。生じた白色の沈殿物から、溶媒をデカンテーションした。真空下に固体を乾燥させ、次いで、自動フラッシュクロマトグラフィー(1%の水酸化アンモニウムを含有するジクロロメタン中0〜10%のメタノールの勾配で溶離するシリカゲル)で精製すると、N−(2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イル)−2,2−ジメチルプロパンアミド0.822gが白色の粉末として、融点220〜221℃で得られた。C2231Sでの分析計算値:C、59.30;H、7.01;N、15.72。実測値:C、59.44;H、6.90;N、15.87。
【0089】
(実施例6)
2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イルカルバミン酸プロピル
【0090】
【化15】

トリエチルアミン(1.93mL、5当量)を、N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミド(1.0g、1当量)の冷却(氷/水浴)されているNMP(6.0mL)懸濁液に加えた。クロロギ酸プロピル(1.02g、3当量)を滴加した。反応混合物を周囲温度にし、24時間攪拌した。反応混合物を冷水(25mL)で希釈し、次いでジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機層を水(2×50mL)、4%炭酸ナトリウム(50mL)、水(50mL)およびブライン(50mL)で順次洗浄し、次いで減圧下に濃縮した。残留物を、自動フラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム中0〜25%のCMAの線状勾配で溶離するシリカゲル、2000mL)で、続いてアセトニトリルからの再結晶化により精製すると、2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イルカルバミン酸プロピル0.427gが白色の固体として、融点155〜157℃で得られた。C2129Sでの分析計算値:C、56.36;H、6.53;N、15.65。実測値:C、56.37;H、6.37;N、15.70。
【0091】
(実施例7)
2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イルカルバミン酸ブチル
【0092】
【化16】

トリエチルアミン(1.93mL、5当量)を、N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミド(1.0g、1当量)の冷却(氷/水浴)されているNMP(6.0mL)懸濁液に加えた。クロロギ酸n−ブチル(1.13g、3当量)を滴加した。反応混合物を周囲温度にし、24時間攪拌した。反応混合物を冷水(25mL)で希釈し、次いでジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機層を水(2×50mL)、4%炭酸ナトリウム(50mL)、水(50mL)およびブライン(50mL)で順次洗浄し、次いで減圧下に濃縮した。残留物を、自動フラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム中0〜25%のCMAの線状勾配で溶離されるシリカゲル、2000mL)で、続いてアセトニトリルからの再結晶化により精製すると、2−エチル−1−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]ブチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−イルカルバミン酸ブチル0.35gが白色の固体として、融点164〜166℃で得られた。C2231Sでの分析計算値:C、57.25;H、6.77;N、15.17。実測値:C、57.13;H、6.61;N、15.20。
【0093】
例示的化合物
実施例において前記された化合物のうちのいくつかを包含するある種の例示的化合物は、次の式(IIa、IIIaまたはIVa)のいずれかおよび次の表に示されている−Y−R置換基を有し、ここで、表の各行は、式(IIa、IIIaまたはIVa)と一致し、本発明の特定の実施形態を示している。
【0094】
【化17】

【0095】
【表1】

【0096】
本発明の化合物は、下記の方法を使用して検査すると、ヒト細胞ではインターフェロンαおよび/または腫瘍壊死因子αの高いレベルにより示されるようなサイトカイン生合成の調節をもたらすことが判明している。
【0097】
ヒト細胞におけるサイトカイン誘発
in vitroヒト血球系を使用して、サイトカイン誘発を評価する。Testermanらにより、「Cytokine Induction by the Immunomodulators Imiquimod and S−27609」(Journal of Leukocyte Biology、58、365〜372(1995年9月))に記載されているように、培地に分泌されるインターフェロン(α)および腫瘍壊死因子(α)(それぞれIFN−αおよびTNF−α)の測定に、活性は基づく。
【0098】
培養のための血球標本
健常人ドナーからの全血を静脈穿刺により、EDTAを含有するバキュテナー管またはシリンジに集める。HISTOPAQUE−1077(Sigma、St.Louis、MO)またはFicoll−Paque Plus(Amersham Biosciences Piscataway、NJ)を使用する密度勾配遠心分離により、末梢血単核細胞(PBMC)を全血から分離する。血液を、ダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)またはハンクス平衡塩類溶液(HBSS)を用いて1:1で希釈する。あるいは、全血を、密度勾配培地を含有するAccuspin(Sigma)またはLeucoSep(Greiner Bio−One、Inc.、Longwood、FL)遠心フリット管に入れる。PBMC層を集め、DPBSまたはHBSSで2回洗浄し、RPMI完全中、4×10細胞/mLで再懸濁する。PBMC懸濁液を、試験化合物を含有する等体積のRPMI完全培地を含有する96ウェル平底無菌組織培養プレートに加える。
【0099】
化合物調製
化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶化する。DMSO濃度は、培養ウェルに加えるための1%の最終濃度を超えるべきではない。化合物は通常、30〜0.014μMの範囲の濃度で試験する。対照は、細胞試料と培地のみ、細胞試料とDMSOのみ(化合物なし)および細胞試料と基準化合物を包含する。
【0100】
インキュベーション
試験化合物の溶液を60μMで、RPMI完全を含有する第1のウェルに加え、ウェルで連続3倍希釈を行う。次いで、PBMC懸濁液を等体積でウェルに加えて、試験化合物濃度を所望の範囲(通常は30〜0.014μM)にする。PBMC懸濁液の最終濃度は、2×10細胞/mLである。プレートを無菌プラスチック蓋で覆い、穏やかに混合し、次いで37℃、5%二酸化炭素雰囲気で18から24時間インキュベーションする。
【0101】
分離
インキュベーションの後に、プレートを1000rpm(約200×g)、4℃で10分間遠心分離する。無細胞培養上澄みを除去し、無菌ポリプロピレン管に移す。分析するまで、試料を−30〜−70℃に維持する。試料を、ELISAによりIFN−αに関して、およびIGEN/Bio Veris AssayによりTNF−αに関して分析する。
【0102】
インターフェロン(α)および腫瘍壊死因子(α)分析
IFN−α濃度を、PBL Biomedical Laboratories、Piscataway、NJからのヒトマルチ−サブタイプ比色サンドイッチELISA(Catalog Number 41105)で決定する。結果をpg/mLで表す。
【0103】
TNF−α濃度を、ORIGEN M−Series Immunoassayにより決定し、IGEN International、Gaithersburg、MDとして以前は知られていたBio Veris CorporationからのIGEN M−8分析器で読み取る。このイムノアッセイは、Biosource International、Camarillo、CAからのヒトTNF−α捕獲および検出抗体対(Catalog Numbers AHC3419およびAHC3712)を使用する。結果をpg/mLで表す。
【0104】
アッセイデータおよび分析
アッセイのデータアウトプットは全部で、化合物濃度(x軸)の関数としてのTNF−αおよびIFN−αの濃度値(y軸)からなる。
【0105】
データの分析は2ステップを有する。第一に、平均DMSO(DMSO対照ウェル)または実験背景(通常はIFN−αで20pg/mLおよびTNF−αで40pg/mL)の大きな方を、各示数から引く。背景を引くことで、何らかのマイナス値が生じる場合には、示数を「*」として報告し、信頼できない検出と注記する。続く計算および統計では、「*」は、ゼロとして処理する。第二に、背景を引いた全ての値に、単一調整比を掛けて、実験と実験との変動率を低下させる。調整比は、過去の61回の実験(非調整示数)をベースとする基準化合物の予測面積で割った新規実験での基準化合物の面積である。これにより、用量応答曲線の形を変えることなく、新規データでの示数(y軸)のスケーリングが生じる。使用される基準化合物は、2−[4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−α,α−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]エタノール水和物(米国特許第5352784号明細書、実施例91)であり、予測面積は、過去61回の実験からの中央用量値の合計である。
【0106】
最小有効濃度を、背景を引いた基準調整結果をベースに、所定の実験および化合物で計算する。最小有効濃度(μモル)は、被検サイトカインで固定されたサイトカイン濃度(通常、IFN−αで20pg/mLおよびTNF−αで40pg/mL)を超える応答を誘発する試験化合物濃度のうちの最小濃度である。最大応答は、用量応答で生じるサイトカインの最大量(pg/ml)である。
【0107】
ヒト細胞におけるサイトカイン誘発(高スループットスクリーニング)
前記のヒト細胞におけるサイトカイン誘発検査法を、高スループットスクリーニングのために次のように変更した。
【0108】
培養のための血球標本
健常人ドナーからの全血を静脈穿刺により、EDTAを含有するバキュテナー管またはシリンジに集める。HISTOPAQUE−1077(Sigma、St.Louis、MO)またはFicoll−Paque Plus(Amersham Biosciences Piscataway、NJ)を使用する密度勾配遠心分離により、末梢血単核細胞(PBMC)を全血から分離する。全血を、密度勾配培地を含有するAccuspin(Sigma)またはLeucoSep(Greiner Bio−One、Inc.、Longwood、FL)遠心フリット管に入れる。PBMC層を集め、DPBSまたはHBSSで2回洗浄し、RPMI完全中、4×10細胞/mL(最終細胞密度の2倍)で再懸濁する。PBMC懸濁液を、96ウェル平底無菌組織培養プレートに加える。
【0109】
化合物調製
化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶化する。化合物は通常、30〜0.014μMの範囲の濃度で試験する。対照は、細胞試料と培地のみ、細胞試料とDMSOのみ(化合物なし)および細胞試料と基準化合物の2−[4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−α,α−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]エタノール水和物(米国特許第5352784号明細書、実施例91)を各プレートに包含する。試験化合物の溶液を7.5mMで配量プレートの第1のウェルに加え、連続3倍希釈を、DMSO中7つの後続濃度で行う。次いで、RPMI完全培地を試験化合物希釈物に加えて、最終試験濃度幅よりも2倍高い濃度の最終化合物濃度(60〜0.028μM)を達成する。
【0110】
インキュベーション
次いで、化合物溶液を、PBMC懸濁液を含有するウェルに加えて、試験化合物濃度を所望の範囲(通常は30〜0.014μM)に、DMSO濃度を0.4%にする。PBMC懸濁液の最終濃度は、2×10細胞/mLである。プレートを無菌プラスチック蓋で覆い、穏やかに混合し、次いで37℃、5%二酸化炭素雰囲気で18から24時間インキュベーションする。
【0111】
分離
インキュベーションの後に、プレートを1000rpm(約200×g)、4℃で10分間遠心分離する。4重Human Panel MSD MULTI−SPOT96ウェルプレートを、MesoScale Discovery,Inc.(MSD、Gaithersburg、MD)による適切な捕獲抗体で予備コーティングする。無細胞培養上澄みを除去し、MSDプレートに移す。典型的には、新鮮な試料を検査するが、分析するまで、これらを−30〜−70℃に維持してもよい。
【0112】
インターフェロン−αおよび腫瘍壊死因子−α分析
MSD MULTI−SPOTプレートは各ウェル内に、特定の位置に予備コーティングされているヒトTNF−αおよびヒトIFN−αのための捕獲抗体を含有する。各ウェルは4個のスポットを含有する:ヒトTNF−α捕獲抗体(MSD)スポット1個、ヒトIFN−α捕獲抗体(PBL Biomedical Laboratories、Piscataway、NJ)スポット1個および不活性ウシ血清アルブミンスポット2個。ヒトTNF−α捕獲および検出抗体対は、MesoScale Discoveryに由来する。ヒトIFN−αマルチサブタイプ抗体(PBL Biomedical Laboratories)は、IFN−αF(IFNA21)を除く全てのIFN−αサブタイプを捕獲する。標準は、組換えヒトTNF−α(R&D Systems、Mineeapolis、MN)およびIFN−α(PBL Biomedical Laboratories)からなる。試料および別の標準を、分析の時間に各MSDプレートに加える。2種のヒトIFN−α検出抗体(Cat.Nos.21112および21100、PBL)を、相互に2対1の比(重量:重量)で使用して、IFN−α濃度を決定する。サイトカイン特異的検出抗体を、SULFO−TAG試薬(MSD)で標識する。SULFO−TAG標識された検出抗体をウェルに加えた後に、各ウェルの電気化学発光レベルを、MSDのSECTOR HTS READERを使用して読み取る。知られているサイトカイン標準を用いて計算して、結果をpg/mLで表す。
【0113】
アッセイデータおよび分析
アッセイのデータアウトプットは全部で、化合物濃度(x軸)の関数としてのTNF−αおよびIFN−αの濃度値(y軸)からなる。
【0114】
プレートに関するスケーリングを、同じ実験の範囲内で関連するプレートとプレートとの変動率を低減する目的で行う。初めに、中央DMSO(DMSO対照ウェル)または実験背景(通常はIFN−αで20pg/mLおよびTNF−αで40pg/mL)の大きな方を、各示数から引く。背景を引くと生じることがあるマイナスの値は、ゼロと設定する。所定の実験内の各プレートは、対照として役立つ基準化合物を有する。この対照は、アッセイの全てのプレートにわたる曲線下の中央予測値計算するために使用する。プレートに関するスケーリング係数を、特定のプレートでの基準化合物の面積と全実験での中央予測面積との比として各プレートで計算する。次いで、各プレートからのデータを、全プレートでのプレートに関するスケーリング係数と掛ける。0.5から2.0のスケーリング係数(IFN−α、TNF−αの両方で)を有するプレートからのデータのみを報告する。前記範囲外のスケーリング係数を伴うプレートからのデータは、それらが前記範囲内のスケーリング係数を有するまで再検査する。前記方法により、曲線の形を変えることなく、y値のスケーリングが生じる。使用される基準化合物は、2−[4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−α,α−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]エタノール水和物(米国特許第5352784号明細書、実施例91)である。中央予測面積は、所定の実験部分である全てのプレートにわたる中央面積である。
【0115】
さらに第2のスケーリングを行い、実験間変動率(複数実験にわたる)を低減することもできる。背景を引いた全ての値に、単一調整比を掛けて、実験と実験との変動率を低下させる。調整比は、先行する実験の平均(非調整示数)をベースとする基準化合物の予測面積で割った新規実験での基準化合物の面積である。これにより、用量応答曲線の形を変えることなく、新規データでの示数(y軸)のスケーリングが生じる。使用される基準化合物は、2−[4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−α,α−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]エタノール水和物(米国特許第5352784号明細書、実施例91)であり、予測面積は、先行する実験の平均からの中央用量値の合計である。
【0116】
最小有効濃度を、背景を引いた基準調整結果をベースに、所定の実験および化合物で計算する。最小有効濃度(μモル)は、被検サイトカインで固定されたサイトカイン濃度(通常、IFN−αで20pg/mLおよびTNF−αで40pg/mL)を超える応答を誘発する試験化合物濃度のうちの最小濃度である。最大応答は、用量応答で生じるサイトカインの最大量(pg/ml)である。
【0117】
本明細書に挙げられている特許、特許文献および刊行物の全開示は、それぞれが個々に援用されるかのように、その全体が参照により援用される。本発明の範囲および意図から逸脱せずに、本発明の様々な変更および変化が、当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書に記載されている実例的な実施形態および実施例により不当に制限されることを意図しないこと、このような実施例および実施形態は、単なる例として示されていて、本発明の範囲は、次のように本明細書に記載されている請求項によってのみ制限されることを意図されていることを理解すべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩:
【化1】

[式中、
Yは、−C(O)−および−C(O)−O−からなる群から選択され、
Rは、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキレニル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキレニルからなる群から選択され;ここで、アリールおよびアリールアルキレニルは、非置換であるか、アルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基により置換されており;Yに結合しているヘテロシクリル中の原子は、炭素原子であり;
R’は、メチル、エチルおよびn−プロピルからなる群から選択される]。
【請求項2】
Yが−C(O)−である請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
Yが−C(O)−O−である請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項4】
Rがアルキル、アリールまたはアリールアルキレニルである請求項1、2または3に記載の化合物または塩。
【請求項5】
RがC1〜10アルキルである請求項4に記載の化合物または塩。
【請求項6】
RがC1〜5アルキルである請求項5に記載の化合物または塩。
【請求項7】
Rがメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルからなる群から選択される請求項6に記載の化合物または塩。
【請求項8】
Rがアリールである請求項4に記載の化合物または塩。
【請求項9】
Rがフェニルである請求項8に記載の化合物または塩。
【請求項10】
Rがアリールアルキレニルである請求項4に記載の化合物または塩。
【請求項11】
Rがベンジルである請求項10に記載の化合物または塩。
【請求項12】
R’がエチルである請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項13】
R’がメチルである請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項14】
R’がn−プロピルである請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項15】
治療有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物または塩および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
動物においてサイトカイン生合成を誘発する方法であって、有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物もしくは塩または請求項15に記載の医薬組成物を前記動物に投与することを含む方法。
【請求項17】
動物におけるウイルス性疾患を治療する方法であって、治療有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物もしくは塩または請求項15に記載の医薬組成物を前記動物に投与することを含む方法。
【請求項18】
動物における新生物疾患を治療する方法であって、治療有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物もしくは塩または請求項15に記載の医薬組成物を前記動物に投与することを含む方法。


【公表番号】特表2009−507857(P2009−507857A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530247(P2008−530247)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/035181
【国際公開番号】WO2007/030777
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(508147669)コーリー ファーマシューティカル グループ,インコーポレイテッド (24)
【Fターム(参考)】