説明

アルコキシプロピルイソチアゾリノン、およびその製造方法および使用

【解決手段】式:C6H6C12NO2SRのアルコキシプロピルイソチアゾリノンであって、式中、RはCH3、CH2CH3、CH(CH3)2、CH2CH2CH2CH3、CH2CH2OCH3またはCH2CH2OC6H5Clである。多硫化ナトリウムをアクリル酸メチルと反応させてジチオジプロピオン酸ジメチルを得、その後アルコキシプロピルアミンでアミノ分解してN,N'-ジアルコキシプロピルジチオジプロピオンアミドを得、次に塩化スルフリルと反応させることによる、該イソチアゾリノンの製造方法。本発明のアルコキシプロピルイソチアゾリノンは、防汚剤として海洋防汚塗料の製造に使用することができ、また殺菌剤としても使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソチアゾリノンの誘導体、特にアルコキシプロピルイソチアゾリノン化合物、その製造方法、および海洋防汚コーティングの製造および殺菌剤としての使用のためのその適用に関する。
【0002】
様々な海洋生物が、漁網、船体、水面下設備等、長期間海水に浸るものに付着し、海洋生物の付着により、表面の美観が損なわれ、表面摩擦力が上昇し、腐食が加速する。海洋生物による汚濁の問題を解決する最も一般的な方法は、防汚剤を有するコーティングを施すことである。現在、有機スズおよび亜酸化銅を含む防汚コーティングが全世界で広く使用されており、即ち、海洋生物の害を効果的に防ぐため、メタクリル酸トリブチルスズおよびメタクリル酸メチルのコポリマーと亜酸化銅(Cu2O)との組み合わせが防汚コーティングとして使用され、船底等の表面をコートしている。その作用メカニズムは、船体および海洋設備の表面に付着する傾向のある、フジツボ、ホヤ類、海草等の有害付着物質に対して駆除機能を有する、有毒な酸化トリブチルスズ(TBT)と亜酸化銅の放出制御にある。しかし、TBTは、カキ、イガイ(boold clam)およびイシガイの性変化および殻の異常を引き起こす可能性もあり、従って、海洋生態学的環境および海洋養殖業に深刻な損害を与えかねない。TBTを含む、最も注目される自己研磨防汚コーティングが欧州特許EP-A-51930号に開示されており、これはTBTコポリマーを露出することが画期的である。従って、TBT防汚コーティングは、20年以上、防汚コーティング市場を独占してきた。1987年までに、人々は、有機スズ化合物が環境を汚染し、食物連鎖によって人間の健康にも影響し得る、非常に強い毒性を有することを理解し始めた。このような理由で、有機スズ海洋防汚コーティングに換わる、スズを含まない海洋防汚コーティングの開発が求められている。
【0003】
さらに、現在の市場で使用されている防腐剤は多様である。防腐剤は、塩素系防腐剤、トリアゾール系防腐剤等に分類することができる。しかし、これらの防腐剤は、使用中に程度の差はあるが問題を引き起こし得る。例えば、四級アンモニウム塩系防腐剤は、広範囲で有効性の高い滅菌能を有する一方、高コスト等の不利点もあり、発泡の傾向があり、かつ長期間単独で使用すると薬物耐性を生じ得る。さらに、このような種類の防腐剤の滅菌能は、より硬度の高い水の中で使用すると低下する可能性がある。他の種類の防腐剤は、高毒性、高残留性等の特徴を有し得る。しかしながら、我が国の政府は、高毒性、高残留性防腐剤に対処する様々な手段を積極的に実施しており、特にその販売および使用を阻止し、制限している。従って、効率が高く、低毒性、低残留毒性または無残留毒性である、有害物を含まない防腐剤の早急な開発が求められている。
【0004】
[発明の要約]
本発明の目的は、海洋防汚コーティングおよび防腐剤の製造に使用して、上述した先行技術の需要を補償する、アルコキシプロピルイソチアゾリノン、およびその製造方法を提供することである。
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明において用いられる技術的解決策は以下の通りである:
【0006】
アルコキシプロピルイソチアゾリノンであって、その分子式がC6H6C12NO2SRであり、その式が

であるもの:
式中、RはCH3、CH2CH3、CH(CH3)2、CH2CH2CH2CH3、CH2CH2OCH3またはCH2CH2OC6H5Clである。
【0007】
アルコキシプロピルイソチアゾリノンの製造方法は、以下の工程を含む:多硫化ナトリウムをアクリル酸メチルと反応させて、ジチオジプロピオン酸ジメチルを得、その後、アルコキシプロピルアミンでアミノ分解してN,N'-ジアルコキシプロピルジチオ-ジプロピオンアミドを得、次に塩化スルフリルと反応させてアルコキシプロピルイソチアゾリノンを得る工程。
【0008】
アルコキシプロピルイソチアゾリノンの製造方法において、アルコキシプロピルイソチアゾリノンは、4,5-ジクロロ-2-メトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-エトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-イソプロポキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-ブトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-メトキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、または4,5-ジクロロ-2-クロロフェノキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンである。
【0009】
アルコキシプロピルイソチアゾリノンの製造方法において、アルコキシプロピルアミンはγ-メトキシプロピルアミン、γ-エトキシプロピルアミン、γ-イソプロポキシプロピルアミン、γ-ブトキシプロピルアミン、γ-メトキシエトキシプロピルアミンまたはγ-フェノキシエトキシプロピルアミンである。
【0010】
本発明のアルコキシプロピルイソチアゾリノンは、海洋防汚コーティングの製造に使用される。
【0011】
本発明の海洋防汚コーティングは、樹脂溶液、可塑剤、1以上のフィラーおよび1以上の本発明のアルコキシプロピルイソチアゾリノン、それぞれ20〜60、1〜20、1〜30および1〜50重量%で構成され、ここで樹脂溶液の樹脂は、アクリル酸樹脂、塩化ゴム、アクリル酸亜鉛樹脂およびアクリル酸銅樹脂から選択される1以上であり、溶媒は、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、トルエンおよびブタノールから選択される1以上であり、樹脂溶液の濃度は20%〜60%の範囲内である。
【0012】
本発明のアルコキシプロピルイソチアゾリノンは、防腐剤として使用され得る。
【0013】
防腐剤として使用されるアルコキシプロピルイソチアゾリノンの適用において、腐敗物は、黄色ブドウ球菌、大腸菌またはサッカロマイセス・セレヴィシエ(saccharomyces cerevisiae)である。
【0014】
本発明のアルコキシプロピルイソチアゾリノンは、産業冷却水の防腐剤として使用され得る。
【0015】
本発明のアルコキシプロピルイソチアゾリノンは、農業用途の防腐剤として使用され得る。
【0016】
本発明の利点は、本発明のアルコキシプロピルイソチアゾリノンを防汚剤として用いて製造される海洋コーティングが環境中で迅速に分解および分離される可能性があり、海洋生物へのバイオアベイラビリティーが限られており、インビボの生物中の蓄積が少ないことである。また、有意な防汚効率とより長い寿命を有する。このような化合物の製造には、原材料が入手可能であり、コストが低く、かつ収率がより高いという利点がある。防腐剤として使用する場合、本発明の化合物は、高効率、広いスペクトル、低毒性、低残留性等の、多くの利点を有する。本発明の化合物は、それらの生物活性により、低毒性または無毒性物質を放出しながら、環境中で迅速に分解され、従って環境汚染を起こさない可能性がある。
【0017】
1.ジチオジプロピオン酸ジメチルの製造
スターラー、凝縮器および温度計を備えた500mlの三つ口フラスコに、200mlの10%(重量%、以下同様)NaHCO3溶液および21.7g(0.25mo1) のアクリル酸メチルを連続的に添加し、次に系を-5〜10℃に冷却した。この温度を保ちながら、冷却した多硫化ナトリウム(0.19mol、Na2Sによる計算)溶液を0.5〜2時間滴下した。滴下後、氷水浴を外した。混合物を室温で5〜6時間静置した。その後、反応を終了した。得られた混合物を静置し、2層に分離した。水層を除いた。120ml(lmol/L)のNa2SO3溶液を油層に加えた。次に混合物を、反応が終了するまで、50℃ の温度で2〜5時間連続的に反応させた。得られた混合物を再度静置し、層分離した。その後、水層を除き、油層を水洗した。真空蒸留により、26.8gの淡黄色油状物質を得たが、収率は89.3%であり、沸点は182〜185℃/7mmHgである。
【0018】
2.N,N'-ジメトキシプロピルジチオジプロピオンアミドの製造
スターラー、凝縮器および温度計を備えた500mlの三つ口フラスコに、26.7g(0.3mol)のγ-メトキシプロピルアミン、2.5mlのトリエチルアミンを続けて添加し、反応系の温度を-5〜5℃に制御し維持した。次に、前の工程で製造した23.8g(0.1mo1)のβ-ジチオジプロピオン酸ジメチルを0.5〜1.5時間滴下した。滴下後、氷水浴を外した。反応は室温で24時間静置し、その後、反応を終了した。金色の固体を得た。それから真空濾過により、淡黄色の固体生成物を得た。乾燥後、無水アルコールで再結晶した。24.1gの白色小片結晶を得たが、収率は68.4%であり、沸点は103.3〜105.1℃である。
【0019】
具体例におけるγ-メトキシプロピルアミンを、γ-エトキシプロピルアミン、γ-イソプロポキシプロピルアミン、γ-ブトキシプロピルアミン、メトキシエトキシプロピルアミンまたはγ-フェノキシエトキシプロピル-アミンに置き換えた場合、N,N'-ジエトキシプロピルジチオジプロピオンアミド、N,N'-ジイソプロポキシジチオジプロピオンアミド、N,N'-ジブトキシプロピルジチオジプロピオンアミド、N,N'-ジメトキシエトキシプロピルジチオジプロピオンアミドまたはN,N'-ジフェノキシエトキシプロピルジチオジプロピオンアミドをそれぞれ得ることができる。
【0020】
3.4,5-ジクロロ-2-メトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンの製造
スターラー、凝縮器および温度計を備えた250mlの三つ口フラスコに、175mlの酢酸エチルおよび18.0g(0.05mo1)のN,N'-ジエトキシプロピルジチオジプロピオンアミドを連続的に添加する。系の温度を-10〜5℃に保ちながら、40.0g(0.3mo1)の塩化スルフリルを3時間滴下した。この温度で反応を3時間継続し、その後反応系の温度を室温までゆっくりと上昇させた。反応が終了するまで、混合物を水浴中30〜35℃でさらに3時間反応させた。得られた溶液に50mlの水を添加した後、3分間振とうした。得られた混合物を静置し、2層に分離した。有機相を無水硫酸マグネシウム(15.0g)で15分間乾燥した後、濾過した。スピン蒸発計で減圧して濾液から溶媒を除去した。15.4gの黄色の濃厚液体が得られたが、一次収率は63.9%であり、カラムで分離した純生成物の収率は56.6%である。
【0021】
具体例におけるN,N'-ジメトキシプロピルジチオジプロピオンアミドを、N,N'-ジエトキシプロピルジチオジプロピオンアミド、N,N'-イソプロポキシプロピルジチオジプロピオンアミド、N,N'-ジイソプロポキシジチオジプロピオンアミド、 N,N'-ジブトキシプロピルジチオジプロピオンアミド、N,N'-ジメトキシエトキシプロピルジチオジプロピオンアミドまたはN,N'-ジフェノキシエトキシプロピルジチオジプロピオンアミドに置き換えた場合、4,5-ジクロロ-2-エトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-イソプロポキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-ブトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-メトキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンまたは4,5-ジクロロ-2-フェノキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンをそれぞれ得ることができる。
【0022】
得られた生成物は核磁気共鳴(1H NMR)法で特徴付けられる。それらの特徴的ピークを以下の表に示す。
【0023】


【0024】
産業上の利用
アルコキシプロピルイソチアゾリノンは、海洋防汚コーティングの防汚剤として使用される。
【0025】
本発明の化合物は、樹脂溶液、可塑剤、1以上のフィラーおよび1以上の本発明の化合物が、20〜60、1〜20、1〜30および1〜50重量%で構成される海洋防汚コーティングの製造に使用される。ここで、樹脂溶液の濃度の範囲は20%〜60%(重量%、以下同様)である。塩化ゴム溶液、アクリル酸亜鉛樹脂溶液およびアクリル酸銅樹脂溶液等の、フィルム形成機能を有するアクリル樹脂溶液を使用することができ;溶媒は、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、トルエンおよびブタノールであってもよく;可塑剤は、ワセリン、クロラフィン(clorafin)、フタル酸ジブチルまたはフタル酸ジオクチルであってもよく;フィラーは、赤色酸化鉄(弁柄)、タルカムパウダー、二酸化チタン、気相二酸化ケイ素または酸化亜鉛であってもよい。本発明の防汚コーティングは、以下の通り製造される:酢酸ブチル溶液中の濃度40%のアクリル酸樹脂50g、クロラフィン2.5g、弁柄12g、気相二酸化ケイ素2.5g、4,5-ジクロロ-2-ジブトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン33gの混合物を、ガラスビーズを有するビーズペイント(beaded paint)発振器中で2時間振動させ、その後混合物を100メッシュのフィルターで濾過した。得られた防汚コーティングの防汚性能を測定するため、中国国家標準「浅海に浸漬した防汚コーティング試験材の試験法」(GB 5370-85)を参照して、得られた防汚コーティングを、長さ250mm、幅150mm、厚さ2mmの軟鋼試験材上にコートし、試験材を、溝を有する長方形の当て木に両端を鉄のボルトで固定して保持した。試験材は、栄成市(Rongcheng city)尋山鎮(Xunshan town)の養殖領域で2年間、水面下のケージにつるした。以下の表に示す通り、有意な実験結果を得た。
【0026】

注:0, 3, 20, 40, 100は、試験材上の海洋生物の付着領域のパーセントを表す。
【0027】
防腐剤として使用される本発明のアルコキシプロピルイソチアゾリノン:
本発明の6種のアルコキシプロピルイソチアゾリノンの最低静菌濃度を、チューブ二重希釈法(tube double dilution method)で測定する。径18×180mmのチューブに、5mlの無菌培地を加え、その後、大腸菌の懸濁液50μlを注入して、菌濃度107cfu/mlの牛抽出ペプトン培養液を調製した後、4,5-ジクロロ-2-イソプロポキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンを2μg/ml、4μg/ml、8μg/ml、16μg/ml、32μg/mlの濃度で含有するテトラヒドロフラン溶液50μ1をそれぞれ添加した。37℃の一定温度で24時間培養した後、大腸菌に対する4,5-ジクロロ-2-イソプロポキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンの最低静菌濃度を測定した。結果は8μg/mlである(cfuはコロニー形成単位であり、1cfuは、培養後に寒天板上に1つのコロニーが形成されたことを言う)。
【0028】
本発明の大腸菌をサッカロマイセス・セレヴィシエ(saccharomyces cerevisiae)または黄色ブドウ球菌と置き換え、4,5-ジクロロ-2-イソプロポキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンを4,5-ジクロロ-2-メトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-エトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-ブトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-メトキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、または4,5-ジクロロ-2-クロロフェノキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンと置き換えた場合も、相当の実験結果が得られるが、それらを以下の表に示す。
【0029】

【0030】
本発明の化合物は、産業冷却水設備中の藻類、菌類および細菌類の制御および滅菌に使用し得る。最初に、投与前3日間、循環水設備中への塩素添加を中止する。循環水中の従属栄養細菌の総数が上昇し、その後、水の排出を止めて、4,5-ジクロロ-2-メトキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンを投入した。薬剤を加えた後、4時間、12時間、24時間、36時間に、水中の従属栄養細菌数および滅菌率を測定した。試験結果を以下の表に示す。表は、本発明の化合物が産業冷却水中の従属栄養細菌を効率的に制御および滅菌することができることを示す。
【0031】

【0032】
本具体例の4,5-ジクロロ-2-メトキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンを4,5-ジクロロ-2-メトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-エトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-イソプロポキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-ブトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンまたは4,5-ジクロロ-2-フェノキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンと置き換えた場合も、産業冷却水中の微生物を効果的に制御および滅菌することができる。
【0033】
薬剤作用の測定および実地試験を通して、本発明のアルコキシプロピルイソチアゾリノンが麦類赤かび病およびビートの斑点病に対して相当の滅菌および予防機能を有することが明らかにされる。他に、リンゴ輪紋病、トマト灰色かび病および綿花立枯病の良好な予防機能も有する。例えば、4,5-ジクロロ-2-イソプロポキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンを殺菌剤として使用する場合、ビートの斑点病の制御にはmu(1/15ヘクタール)当り純薬剤はわずか39gを250ppmの濃度で要し、予防および治癒効率は75.0%以下である。
【0034】
本具体例の4,5-ジクロロ-2-ブトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンを4,5-ジクロロ-2-ジメトキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-エトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-イソプロポキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-メトキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンまたは4,5-ジクロロ-2-ジフェノキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンと置き換えた場合も、相当の予防および治療効果を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシプロピルイソチアゾリノンであって、その分子式がC6H6C12NO2SRであり、その式が

であることを特徴とする、アルコキシプロピルイソチアゾリノン:
式中、RはCH3、CH2CH3、CH(CH3)2、CH2CH2CH2CH3、CH2CH2OCH3またはCH2CH2OC6H5Clである。
【請求項2】
請求項1に記載のアルコキシプロピルイソチアゾリノンの製造方法であって、該方法が以下の反応工程:多硫化ナトリウムをアクリル酸メチルと反応させて、ジチオジプロピオン酸ジメチルを得、その後、アルコキシプロピルアミンでアミノ分解してN,N'-ジアルコキシプロピルジチオ-ジプロピオンアミドを得、次に塩化スルフリルと反応させてアルコキシプロピルイソチアゾリノンを得る工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項2の方法であって、アルコキシプロピルイソチアゾリノンが4,5-ジクロロ-2-メトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-エトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-イソプロポキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-ブトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-メトキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オン、または4,5-ジクロロ-2-クロロフェノキシエトキシプロピル-4-イソチアゾリン-3-オンであることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項2の方法であって、アルコキシプロピルアミンがγ-メトキシプロピルアミン、γ-エトキシプロピルアミン、γ-イソプロポキシプロピルアミン、γ-ブトキシプロピルアミン、γ-メトキシエトキシプロピルアミンまたはγ-フェノキシエトキシプロピルアミンであることを特徴とする、方法。
【請求項5】
海洋防汚コーティングを製造するために用いられることを特徴とする、請求項1のアルコキシプロピルイソチアゾリノン。
【請求項6】
海洋防汚コーティングが、樹脂溶液、可塑剤、1以上のフィラーおよび1以上の請求項1のアルコキシプロピルイソチアゾリノン、それぞれ20〜60、1〜20、1〜30および1〜50重量%で構成され、ここで樹脂溶液の樹脂が、アクリル酸樹脂、塩化ゴム、ジアクリル酸亜鉛樹脂およびアクリル酸銅樹脂から選択される1以上であり、溶媒が酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、トルエンおよびブタノールから選択される1以上であり、樹脂溶液の濃度が20%〜60%の範囲内であることを特徴とする、海洋防汚コーティング。
【請求項7】
防腐剤として使用されることを特徴とする、請求項1のアルコキシプロピルイソチアゾリノン。
【請求項8】
防腐剤によって阻害される腐敗物が黄色ブドウ球菌、大腸菌またはサッカロマイセス・セレヴィシエ(saccharomyces cerevisiae)であることを特徴とする、請求項7のアルコキシプロピルイソチアゾリノン。
【請求項9】
産業冷却水の防腐剤として使用されることを特徴とする、請求項1のアルコキシプロピルイソチアゾリノン。
【請求項10】
農業用途の防腐剤として使用される、ことを特徴とする、請求項1のアルコキシプロピルイソチアゾリノン。

【公表番号】特表2008−515820(P2008−515820A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534990(P2007−534990)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/CN2005/001629
【国際公開番号】WO2006/037274
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(307039134)中国海洋大学 (3)
【Fターム(参考)】