説明

アルツハイマー病の治療のための大環状アミノピリジルβ−セクレターゼ阻害剤

本発明は、β−セクレターゼ酵素の阻害剤であり、β−セクレターゼ酵素が関与する疾病、例えばアルツハイマー病の治療に有用である、一般式(I)により表される大環状アミノピリジル化合物に関する。本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびにβ−セクレターゼ酵素が関与するこのような疾病の治療におけるこれらの化合物および組成物の使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、合衆国法典35巻119条(e)項の下、2004年11月23日出願の米国特許仮出願第60/630,319号。
本発明は、β−セクレターゼ酵素の活性の阻害剤である化合物の分野およびβ−セクレターゼ酵素が関与する疾病、例えばアルツハイマー病、の治療のための前記化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、細胞外プラークの形態のアミロイドの脳内異常沈着および細胞内神経原線維変化を特徴とする。アミロイド蓄積速度は、形成速度、凝集速度および脳からの出現速度の組み合わせである。アミロイドプラークの主成分が、4kDアミロイドタンパク質(βA4;Aβ、β−タンパク質およびβAPとも呼ばれる)であり、これが、これよりずっと大きいサイズの前駆体タンパク質のタンパク質分解産物であることは、一般に認められている。アミロイド前駆体タンパク質(APPまたはAβPP)は、大きな細胞外ドメイン、膜貫通領域および短い細胞質側末端(cytoplasmic tail)を伴う受容体様構造を有する。Aβドメインは、APPの細胞外ドメインと膜貫通ドメイン両方の部分を含み、このため、この放出は、このNH−およびCOOH−末端を生じさせる2つの別のタンパク質分解事象の存在を意味する。膜からAPPを放出し、APPの可溶性COOH−トランケート形を生じさせる、少なくとも2つの分泌メカニズムが存在する。膜からAPPおよびこのフラグメントを放出するプロテアーゼは、「セクレターゼ」と呼ばれる。大部分のAPPは、Aβタンパク質内で切断してα−APPを放出し無傷Aβの放出が起こらないようにする、推定α−セクレターゼによって放出される。APPのNH−末端付近で切断し、全Aβドメインを含むCOOH−末端フラグメント(CTF)を生じさせるβ−セクレターゼ(「β−セクレターゼ」)によって放出されるAPPタンパク質も少しある。
【0003】
このため、β−セクレターゼまたはβ部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素(「BACE」)の活性は、APPの異常切断、Aβの生産、およびアルツハイマー病の特徴である脳内でのβアミロイドプラークの蓄積を導く(R.N.Rosenberg,Arch.Neurol.、vol.59、Sep 2002、pp.1367−1368;H.Fukumotoら、Arch.Neurol.、vol.59、Sep 2002、pp.1381−1389;J.T.Huseら、J.Biol.Chem.、vol 277、No.18、2002年5月3日発行、pp.16278−16284;K.C.Chen and W.J.Howe、Biochem.Biophys.Res.Comm、vol.292、pp 702−708、2002参照)。従って、β−セクレターゼまたはBACEを阻害することができる治療薬は、アルツハイマー病の治療に有用であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の化合物は、β−セクレターゼまたはBACEの活性を阻害すること、例えば、不溶性Aβの形成を防止し、Aβの生産を阻止することによるアルツハイマー病の治療に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、β−セクレターゼ酵素の阻害剤として有用である、一般式(I):
【0006】
【化10】

によって表される新規大環状第三アミン化合物およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーに関する。
【0007】
本発明は、式(I)の化合物またはこの医薬的に許容される塩ならびにこの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーの有効量と、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物にも関する。本発明は、β−セクレターゼ酵素が関与する疾病、例えばアルツハイマー病についての哺乳動物の治療方法、ならびにこのような疾病の治療における本発明の化合物および医薬組成物の使用にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、式(I):
【0009】
【化11】

(式中、
Yは、
(1)水素、
(2)−C1−3アルキル、この場合、前記アルキルは、1つ以上のハロゲンで場合により置換され、
(3)ハロゲン、および
(4)シアノ
から成る群より選択され;
Aは、
(1)水素、
(2)−C1−10アルキル、
(3)−C2−10アルケニル、および
(4)−C2−10アルキニル
から成る群より選択され、この場合、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、非置換であるか、1つ以上の
(a)ハロ、
(b)−C3−8シクロアルキル、
(c)−OH、
(d)−CN、
(e)−O−C1−10アルキル、
(f)−C6−10アリール、または
(g)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール
で置換されており、ならびに前記アリールおよびヘテロアリール基は、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−10アルキル、
(v)−C1−10アルキル、
(vi)−C2−10アルケニル、
(vii)−C2−10アルキニル、または
(viii)−C3−8シクロアルキル
で置換されており;
は、
(1)−C6−10アリーレン、および
(2)二価ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリーレン
から成る群より選択され、この場合、前記アリーレンまたはヘテロアリーレンは、非置換であるか、1つ以上の
(a)ハロ、
(b)−C1−10アルキル、
(c)−C2−10アルケニル、
(d)−C2−10アルキニル、
(e)−OH、
(f)−CN、
(g)−O−C1−10アルキル、または
(h)−C3−8シクロアルキル;
で置換されており;
は、
(1)(R−SO)N(R)−[この式中、
は、
(a)−C1−10アルキル、
(b)−C2−10アルケニル、
(c)−C2−10アルキニル、
(d)−C3−8シクロアルキル、
(e)−C6−10アリール、または
(f)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール、
であり、この場合、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−10アルキル、
(v)−C1−10アルキル、
(vi)−C2−10アルケニル、
(vii)−C2−10アルキニル、
(viii)−C3−8シクロアルキル、
(ix)−C6−10アリール、または
(x)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール
で置換されており、ならびに前記アリールおよびヘテロアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(A)ハロ、
(B)−OH、
(C)−CN、
(D)−O−C1−10アルキル、
(E)−C3−8シクロアルキル、
(F)−C1−10アルキル、
(G)−C2−10アルケニル、または
(H)−C2−10アルキニル
で置換されており;
は、
(a)水素、
(b)−C1−10アルキル、
(c)−C2−10アルケニル、
(d)−C2−10アルキニル、
(e)−C6−10アリール、または
(f)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール
から成る群より選択され、この場合、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−10アルキル、
(v)−C3−8シクロアルキル、
(vi)−C6−10アリール、または
(vii)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール
で置換されており、この場合、前記シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(A)ハロ、
(B)−OH、
(C)−CN、
(D)−O−C1−10アルキル、
(E)−C3−8シクロアルキル、または
(F)−C6−10アリール、
で置換されており;または
およびRは連結して、基−CH(CHCH−を形成することがある];
(2)−C6−10アリール[この場合、前記アリールは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−10アルキル、
(v)−C3−8シクロアルキル、
(vi)−C1−10アルキル、
(vi)−C6−10アリール、または
で置換されている];
(3)
【0010】
【化12】

【0011】
(4)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール[この場合、前記ヘテロアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−10アルキル、
(v)−C3−8シクロアルキル、
(vi)−C1−10アルキル、
(vii)−C(=O)−O−C1−10アルキル、
(viii)−C(=O)−OH、
(ix)−C(=O)−NR、および
(x)−NR(この式中のRおよびRは、
(A)水素、および
(B)−C1−10アルキル
から成る群より選択される。)
で置換されている];
(5)水素;および
(6)−CF
から成る群より選択され、
は、
【0012】
【化13】

であり、この式中、
に至る点線が不在である場合には、Qは、
(a)−CH
(b)−O−、
(c)−NR−、
(d)−C(=O)−、および
(e)−C(=O)−NR
から成る群より選択され、この場合のRは、
(i)水素、
(ii)−C1−10アルキル、
(iii)−C2−10アルケニル、
(iv)−C2−10アルキニル、
(v)−C3−8シクロアルキル、
(vi)−C0−6アルキレン−C6−10アリール、または
(vii)−C0−6アルキレン−ヘテロアリール
(この場合、前記ヘテロアリールは、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択される)
(viii)−C0―6アルキル−C3―8シクロアルキル
から成る群より選択され、ならびに
に至る点線が、結合を表す場合には、Qは、−CH−または−CH−CH−であり、
に至る点線が不在である場合には、Rは、
(a)水素、
(b)−C1−10アルキル、
(c)−C2−10アルケニル、
(d)−C2−10アルキニル、
(e)−C3−8シクロアルキル、
(f)−C0−6アルキレン−C6−10アリール、または
(g)−C0−6アルキレン−ヘテロアリール
(この場合、前記ヘテロアリールは、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択される)
から成る群より選択され、ならびに
に至る点線が、結合を表す場合には、Rは、
(a)=CH−C1−10アルキル、
(b)=CH−C0−6アルキル−C6−10アリール
から成る群より選択され、この場合、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールR基は、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−C1−10アルキル、
(iii)−OH、
(iv)−CN、
(v)−O−C1−10アルキル、または
(vi)−C3−8シクロアルキル
で置換されており、
は、
(a)−CH−、
(b)−O−、および
(c)−NR−(この式中のRは、
(i)水素、
(ii)−C1−10アルキル、
(iii)−C2−10アルケニル、
(iv)−C2−10アルキニル、
(v)−C3−8シクロアルキル、
(vi)−C0−6アルキル−C6−10アリール、または
(vii)−C0−6アルキル−ヘテロアリール
(この場合、前記ヘテロアリールは、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択される)
から成る群より選択される)
から成る群より選択され;
は、−(CH−Q−(CHであり、この式中のQは、
(1)−O−、
(2)−NH−、
(3)−O−C(=O)−、
(4)−C(=O)−O−、
(5)−NHC(=O)−、
(6)−C(=O)−NH−、
(7)−CH=CH−、
(8)−C(=O)−、
(9)−(CH
【0013】
【化14】

から成る群より選択され;
mは、0、1または2であり;
nは、0、1または2であり;
pは、1、2または3であり;
qは、1、2、3、4または5であり;
rは、0、1または2であり;
sは、0または1であり;
tは、0または1であり;ならびに
uは、0、1または2である)
の化合物およびこの医薬的に許容される塩、ならびにそれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーに関する。
【0014】
式(I)の化合物の好ましい実施形態において、Yは、水素である。
【0015】
式(I)の化合物のもう1つの好ましい実施形態において、Rは、非置換または置換−C6―10アリーレン、好ましくは非置換フェニレンである。
【0016】
式(I)の化合物のもう1つの好ましい実施形態において、Rは、−(CH−Q−(CHであり、この式中のQは、
(1)−O−、
(2)−O−C(=O)−、
(3)
【0017】
【化15】

から成る群より選択される。Qが、−O−、−NH−または−C(=O)−から選択されるときには、sおよびtは、各々、好ましくは1である。Qが、−O−C(=O)−または−NHC(=O)−から選択されるときには、sは、好ましくは0であり、tは、好ましくは1である。Qが、−C(=O)−O−または−(C=O)−NH−から選択されるときには、sは、好ましくは1であり、tは、好ましくは0である。Qが、−CH=CHであるときには、好ましくは、sは、0であり、tは、1である、またはsは、1であり、tは、0である。Qが、
【0018】
【化16】

から成る群より選択されるときには、sおよびtは、好ましくは0である。
【0019】
式(I)の化合物の好ましい実施形態において、Aは、
(1)水素、および
(2)−C1−10アルキル(この場合、前記アルキルは、非置換であるか、1つ以上の
(a)ハロ、
(b)−C3−8シクロアルキル、
(c)−CN
(d)−O−C1−10アルキル、
(e)−C6−10アリール、または
(f)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール
で置換されている)
から成る群より選択される。
【0020】
式(I)の化合物のさらに好ましい実施形態において、Aは、−C1−10アルキル(好ましくは、メチル)であり、この場合、前記アルキルは、非置換であるか、1つ以上のハロ(好ましくは、フルオロ)で置換されている。
【0021】
式(I)の化合物の好ましい実施形態において、Rは、(R−SO)N(R)−から成る群より選択され、この式中、Rは、−C1―6アルキル(この場合、前記アルキルは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−6アルキル、または
(v)−C1−6アルキル
で置換されている)であり、
は、
(a)水素、
(b)−C1―6アルキル、または
(c)−C6―10アリール
(この場合、前記アルキルおよびアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−6アルキル、
(v)−C1−6アルキル
で置換されている)
から成る群より選択され、または
およびRは連結して、−CH(CHCH−を形成する。
【0022】
もう1つの好ましいR基は、非置換であるか上で説明したとおり置換されている−C6−10アリールである。好ましいアリール基は、非置換であるかシアノで置換されているフェニル基である。好ましいR置換基を下に示す。
【0023】
【化17】

もう1つの好ましいR置換基は、
【0024】
【化18】

(式中、qは、1、2または3である。)
である。
【0025】
もう1つの好ましいR置換基は、非置換であるか上で説明したとおり置換されているヘテロアリールである。好ましいヘテロアリール基は、非置換であるか上で説明したとおり置換されている、フラニルまたはオキサゾリルである。好ましいフラニルまたはオキサゾリル置換基を下に描く。
【0026】
【化19】

[式中、Qは、
(a)N、および
(b)C−R
から成る群より選択され、この場合のRは、
(i)−CN、および
(ii)−C(=O)−O−C1−10アルキル、
(iii)−C(=O)−OH、および
(iv)−C(=O)−NR
(v)−NR
(この式中のRおよびRは、
(A)水素、および
(B)−C1−10アルキル
から成る群より選択される。)
から成る群より選択される]。
【0027】
式(I)の化合物の1つの実施形態において、Qに至る点線が不在であり、Qが、NRであるとき、Rは、水素であり、nは、好ましくは1である。
【0028】
式(I)の化合物の別の実施形態において、Qに至る点線が不在であるとき、Qは、−O−であり、nは、好ましくは1である。
【0029】
もう1つの実施形態において、Qに至る点線が、−C(=O)−NRであるとき、Rは、好ましくは水素であり、nは、好ましくは1である。
【0030】
一定の実施形態において、Rに至る点線は、不在であり、Rは、
(a)水素、
(b)−C1−10アルキル、または
(c)−C0―6アルキル−C6―10アリール
から成る群より選択され、この場合、前記アルキルまたはアリールは、非置換であるか、1つ以上のハロ(好ましくは、フルオロ)で置換されている。
【0031】
好ましい実施形態において、Qは、CHであり、mは、好ましくは1であり、rは、好ましくは0である。
【0032】
もう1つの実施形態において、本発明は、式(II):
【0033】
【化20】

(式中、A、Y、R、RおよびRは、上で定義したとおりである)
の化合物およびそれらの医薬的に許容される塩、ならびにそれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーに関する。
【0034】
本発明のもう1つの実施形態は、以下の実施例の表題化合物およびこれらの医薬的に許容される塩から選択される化合物を含む。
【0035】
ここで用いる、それ自体または別の置換基の一部としての用語「アルキル」は、指定された炭素原子数を有する、飽和直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C1−10アルキルは、1から10個の炭素原子を有するアルキル基を意味する)。本発明において使用するために好ましいアルキル基は、1から6個の炭素原子を有するC1−6アルキル基である。具体例としてのアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0036】
ここで用いる、それ自体または別の置換基の一部としての用語「アルキレン」は、指定された炭素原子数を有する飽和直鎖または分枝鎖二価炭化水素ラジカルを意味する。用語Cアルキレン(例えば、ラジカル「−Cアルキレン−C6―10アリール」におけるもの)は、アルキレン基が不在であることを意味する。
【0037】
ここで用いる、それ自体または別の置換基の一部としての用語「シクロアルキル」は、指定された炭素原子数を有する、飽和環状炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C3−8シクロアルキルは、3から8個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する)。具体例としてのシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0038】
ここで用いる、それ自体または別の置換基の一部としての用語「アルケニル」は、単一の炭素−炭素二重結合を有するとともに、指定された炭素原子数を有する、直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C2−10アルケニルは、1から10個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する)。本発明において使用するために好ましいアルケニル基は、2から6個の炭素原子を有するC2−6アルケニル基である。具体例としてのアルケニル基としては、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、ブテニルなどが挙げられる。
【0039】
ここで用いる、それ自体または別の置換基の一部としての用語「アルキニル」は、指定された炭素原子数を有する、飽和直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する(例えば、C2−10アルキニルは、2から10個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する)。本発明において使用するために好ましいアルキニル基は、2から6個の炭素原子を有するC2−6アルキニル基である。具体例としてのアルキニル基としては、エチニルおよびプロピニルが挙げられる。
【0040】
ここで用いる、それ自体または別の置換基の一部としての用語「アリール」は、指定された炭素原子数を有する、芳香族または環状ラジカルを意味する(例えば、C6−10アリールは、6から10個の炭素原子を有するアリール基を意味する)。用語「アリール」は、多環系ならびに単環系を含む。本発明において使用するために好ましいアリール基としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0041】
ここで用いる、それ自体または別の置換基の一部としての用語「アリーレン」は、指定された炭素原子数を有する、二価芳香族または環状ラジカルを意味する(例えば、C6−10アリーレンは、6から10個の炭素原子を有するアリーレン基を意味する)。用語「アリーレン」は、多環系ならびに単環系を含む。本発明において使用するために好ましいアリーレン基としては、フェニレンおよびナフチレンが挙げられる。
【0042】
ここで用いる、それ自体または別の置換基の一部としての用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環ヘテロ原子(O、NまたはS)を有する、芳香族環状ラジカルを意味する。用語「ヘテロアリール」は、多環系ならびに単環系を含む。本発明において使用するための具体例としてのヘテロアリール基としては、フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、チエニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾリル、インダゾリル、ナフチリジニル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソオキサゾリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルおよびジヒドロインドリルが挙げられる。
【0043】
ここで定義するヘテロアリール基が置換されているとき、この置換基は、ヘテロアリール基の環炭素原子に結合している場合があり、または置換が可能な原子価を有する環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)上にある場合もある。好ましくは、置換基は、環炭素原子に結合している。同様に、ヘテロアリール基が、ここで置換基として定義されているとき、この結合点は、ヘテロアリール基の環炭素原子である場合があり、または置換が可能な原子価を有する環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)上にある場合もある。好ましくは、結合点は、環炭素原子である。
【0044】
ここで用いる、それ自体または別の置換基の一部としての用語「ヘテロアリーレン」は、少なくとも1つの環へテロ原子(O、NまたはS)を有する、芳香族環状二価ラジカルを意味する。
【0045】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0046】
本発明の化合物は、少なくとも1つの不斉中心を有する。分子上の様々な置換基の性質に依存して、追加の不斉中心が存在する場合もある。不斉中心を有する化合物は、エナンチオマー(光学異性体)、ジアステレオマー(立体配置異性体)または両方を生じさせる。混合物での、および純粋なまたは部分精製化合物としての、可能なエナンチオマーおよびジアステレオマーのすべてが、本発明の範囲に含まれると意図される。本発明は、これらの化合物のすべてのこのような異性体形を包含することになる。
【0047】
エナンチオマー的にもしくはジアステレオマー的に富化された化合物の独立した合成、またはこれらのクロマトグラフ分離は、本明細書に開示する方法論の適切な変法により、当分野で公知のように達成することができる。これらの絶対立体化学は、結晶性生成物または結晶性中間体(これらは、必要な場合、公知の絶対立体配置の不斉中心を含有する試薬で誘導体化される)のX線結晶学により決定することができる。
【0048】
所望される場合には、本化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することができる。この分離は、当分野において周知の方法、例えば、化合物のラセミ混合物とエナンチオマー的に純粋な化合物とをカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、その後、標準的な方法、例えば分別結晶またはクロマトグラフィーにより個々のジアステレオマーに単離することによって行うことができる。このカップリング反応は、多くの場合、エナンチオマー的に純粋な酸または塩基を使用する塩の形成である。その後、付加されたキラル残基の切断により、ジアステレオマー誘導体を純粋なエナンチオマーに転化させることができる。本化合物のラセミ混合物は、キラル固定相を利用するクロマトグラフ法により直接分離することもでき、これらの方法は、当分野では周知である。
【0049】
または、当分野では周知の方法による光学的に純粋な出発原料または公知の立体配置の試薬を使用する立体選択液合成により化合物の任意のエナンチオマーを得ることができる。
【0050】
本発明の化合物は、本明細書中の図式1.1から5.8(下記)ならびに中間体および実施例に概要を示す方法により調製する。
本発明の化合物は、下に図解する図式1.1から5.8に概要を示す方法により調製する。
【0051】
図式1.1は、タイプ1.1aの誘導体、ならびに対応するトリフレート類似体1.1bおよび1.1cの調製を記載するものである。グリシンシッフ塩基から出発して、タイプ1.1dおよび1.1eのさらに産生された臭化物を調製した。
【0052】
【化21】

【0053】
図式2.1は、2,6−ジクロロイソニコチン酸エステルから2,6−ジクロロピリジン誘導体に至る順路を記載するものである。メチルエステル加水分解により酸2.1aが得られる。これを二段階順路によりアシルヒドラジド2.1bに変換した。ベンジルアルコール2.1cは、エステル還元により容易に得られる。これをCBr/PhPで対応する臭化ベンジルに返還した。
【0054】
【化22】

【0055】
2,6−ジクロロイソニコチン酸エステルのスルホニル化により重要な中間体2.2aを得、その後、上で説明したようにこれを酸2.2bまたはアルコール2.2cに変換した。酸2.2bからアシルヒドラジド2.2dを誘導する一方で、アルコール2.2cはさらに臭化物2.2eへと進めた。または、アルコール2.2cのシリル保護により、シリルエーテル2.2fが得られる。
【0056】
【化23】

【0057】
タイプ3.1bのホモ−アリル系アミンは、図式3.1に記載するように、α,β−不飽和アルデヒドへのフタルイミドの共役付加、その後、タイプ3.1aの化合物を得るためのウィッティヒ同族体化を経て調製した(Bergman,E.D.,Migron,Y.Organic Preparations and Procedures Int.1976,8,75−80参照)。ヒドラジンでのフタルイミド脱保護により第一アミン3.1bが得られる。これをさらに官能化することなくBoc保護して、3.1cを得た。または、3.1bを還元的アミノ化に付し、その後、Boc保護に付して、タイプ3.1dのアミンを得た。Boc保護アミン3.1cを塩基性条件下でアルキル化して3.1dを得ることもできる。
【0058】
【化24】

【0059】
図式3.2は、タイプ3.1cおよび3.1dのアミンの別合成を記載するものである。アルデヒドとジエチルマロン酸エステルの縮合により、必要なα,β−不飽和系3.2aが得られる。TMSアセチレングリニャール試薬の共役付加、その後の脱シリル化により、3.2bが得られる。塩基性条件下でのエステル加水分解、その後のクルチウス転位により、ホモプロパルギルアミン3.2cが得られる。リンドラー還元により3.1cを入手できる。これをさらにアルキル化して、3.1dを得た。
【0060】
【化25】

【0061】
図式3.3に記載するような、3.3aへの臭化ビニルマグネシウムアニオンの共役付加、その後のニトロ還元およびBoc保護が、3.1bへのもう1つの経路となる。図式3.1に記載したように、この経路もBoc保護第一アミンのさらなる置換が可能である。
【0062】
【化26】

【0063】
図式3.4は、中間体3.2bからのアルコール3.4aおよび3.4bの合成を示すものである。Krapchoにより説明された条件を用いる3.2bの脱カルボキシル化、エステル還元およびアルコール保護により、3.4aが得られる。このアルキンのリンドラー還元により、ホモアリル系アルコール3.4bが得られる。
【0064】
【化27】

【0065】
図式3.5に示すように、タイプ3.5aのグルタル酸誘導体をモノエステル化した。酸の還元、その後のこの新たに生じたアルコールのヨウ素化により、タイプ3.5bのヨウ化物を得た。
【0066】
【化28】

【0067】
鈴木条件を用いて、中間体1.1bおよび1.1.dと末端オレフィン4.1a(合成については、Boeckman,R.K.Jr.;Charette,A.B.;Asberom,T.;Johnston,B.H.J.Am.Chem.Soc.,1991,113,5337−53参照)とのカップリングを遂行して、付加体4.1bを得ることができる。LiBHでのエステル還元によりアルコール4.1dが得られる一方で、鹸化により酸4.1eが得られる。
【0068】
【化29】

【0069】
タイプ4.2bおよび4.2cの中間体は、図式4.2に示すような、上で説明したものに類似したプロトコルを用いて、合成することができる。この経路には、第一または第二Boc保護アミン、いずれも利用することができる。
【0070】
【化30】

【0071】
図式4.3に記載するように、2つの方法によりタイプ4.3cのオレフィンを入手した。1.1bまたは1.1dとオレフィン3.2fの鈴木カップリング、その後の酸化およびウィッティヒ同族体化により、所望の中間体が得られる。または、過剰な1,5ジエン4.3bのヒドロホウ素化、その後の鈴木カップリングにより、4.3cを直接入手することができる。エステル加水分解により酸4.3dが得られ、還元によりアルコール4.3eが得られる。
【0072】
【化31】

【0073】
図式4.4に示すように、図式4.2において説明したものに類似した手順を用いてタイプ4.4aおよび4.4bの中間体を入手した。
【0074】
【化32】

【0075】
トリフルオロメタンスルホン酸銀を用いて、アルコール4.1dでの臭化ベンジル2.1dまたは2.2cのエーテル化を果たした。付加体5.1aのアジド官能基をシュタウディンガー条件下で還元した。マクロアミノ化により、第一アミノピリジン5.1bが得られる。閉環前にこの第一アミンを還元的アミノ化またはモノアルキル化することにより、タイプ5.1cのマクロエーテル付加体を得た。臭化ベンジル2.1dをこの順路に使用するとき、標準的な根岸カップリング条件を利用して大環状クロロアミノピリジン5.1bおよび5.2cをさらに産生することができる。Boc基の脱保護により付加体5.1dおよび5.1eが得られる。
【0076】
【化33】

【0077】
図式5.1について説明したのと同様の戦略を利用する、5.2dおよび5.2eなどのマクロラクトンの合成を図式5.2に描く。中心的なカップリング反応は、CsCO塩基を使用して行う。
【0078】
【化34】

【0079】
タイプ5.3bおよび5.3cのマクロエーテルの合成、ならびにタイプ5.4bおよび5.4bおよび5.4cのマクロエステルの合成を、図式5.3および5.4にそれぞれ描く。利用した戦略は、閉環をマクロアミノ化戦略により果たす図式5.1において論じた戦略に非常に類似している。臭化ベンジル2.1dをこれらの図式の第一段階で使用するとき、結果として生じる、5.3bおよび5.4bの2−クロロアミノピリジン官能基は、第三カルビナミン保護後、さらに官能化することができる。根岸条件下でのアリールカップリング、その後のBoc脱保護により、タイプ5.3cおよび5.4cの化合物が得られる。
【0080】
【化35】

【0081】
【化36】

【0082】
図式5.1のものに類似した戦略を用いる、タイプ5.5bおよび5.5cの大環状化合物の合成を、図式5.5に記載する。閉環は、分子内ヘック反応により果たす。
【0083】
【化37】

【0084】
図式5.1のものに類似した戦略を用いる、タイプ5.6bおよび5.6cの大環状化合物の合成を、図式5.6に記載する。閉環は、分子内ヘック反応により果たす。
【0085】
【化38】

【0086】
図式5.1のものに類似した戦略を用いる、タイプ5.7bおよび5.7cの大環状化合物の合成を、図式5.7に記載する。閉環は、パラジウムを触媒として用いる分子内エーテル化反応(条件については、Kataoka,N.;Shelby,Q.;Stambuli,J.P.;Hartwig,J.E.J.Org.Chem.2002,67,5553−5566参照)により果たす。
【0087】
【化39】

【0088】
図式5.1のものに類似した戦略を用いる、タイプ5.8bおよび5.8cの大環状化合物の合成を、図式5.8に記載する。閉環は、パラジウムを触媒として用いる分子内エーテル化反応(条件については、Kataoka,N.;Shelby,Q.;Stambuli,J.P.;Hartwig,J.E.J.Org.Chem.2002,67,5553−5566参照)により果たす。
【0089】
【化40】

【0090】
図式5.9に示すように、タイプ3.5bのヨウ化物で出発して、活性亜鉛での対応する亜鉛酸塩の形成、その後の塩化アリール2.2fとのカップリングにより、5.9aが得られる。エステル還元、結果として生じたアルコールの対応するヨウ化物への変換および第二の根岸カップリングにより、中間体5.9cが生じる。シリルエーテル除去、エステル加水分解およびマクロラクトン化により、タイプ5.9dの分子の合成が完了する。
【0091】
【化41】

【0092】
図式5.10に描くように、5.9cは、別経路を利用して合成することができる。1,5−ペンタジエン3.5bで出発して、モノヒドロホウ素化、その後の鈴木カップリングにより、5.10aが生じる。2.2fとの第二の鈴木カップリングにより、別経路で5.9cが生じる。
【0093】
【化42】

【0094】
タイプ5.11dおよび5.11eの大環状化合物の合成を、図式5.11に記載する。酸1.1fを臭化ベンジル誘導体2.2eでアルキル化して、付加体5.11aを生じる。その後、ビスアルキル化により5.11bが得られ、これを閉環メタセシス反応に付して5.11cを得ることができる。Boc脱保護により5.11dが得られる。オレフィンの還元、その後のBoc脱保護により5.11eが得られる。
【0095】
【化43】

【0096】
図式5.12に記載するように、タイプ5.2dまたは5.2eの化合物をこの中心のピリジル環で選択的に塩素化して、タイプ5.12aの化合物を得ることができる。
【0097】
【化44】

【0098】
用語「実質的に純粋な」は、単離された物質が、当分野において公知の分析法により検定して、少なくとも純度90%、好ましくは純度95%、さらにいっそう好ましくは純度99%であることを意味する。
【0099】
用語「医薬的に許容される塩」は、無機または有機塩基および無機または有機酸を含む医薬的に許容される非毒性の塩基または酸から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩が、特に好ましい。固体形態の塩は、1つより多くの結晶構造で存在する場合があり、水和物の形態である場合もある。医薬的に許容される非毒性の有機塩基から誘導される塩としては、第一、第二および第三アミン、置換アミン(天然置換アミンを含む)、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂樹脂(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなど)の塩が挙げられる。本発明の化合物が塩基性であるとき、塩は、無機および有機酸を含む医薬的に許容される非毒性の酸から調製することができる。このような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸、および酒石酸が、特に好ましい。
【0100】
本発明は、β−セクレターゼ酵素活性またはβ部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素(「BACE」)活性の阻害剤として本明細書に開示する化合物の患者または被験者(例えば、このような阻害の必要がある哺乳動物)における使用に関し、これは、前記化合物の有効量の投与を含む。用語「β−セクレターゼ酵素」、「β部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素」および「BACE」は、本明細書では同義で用いられる。ヒトに加え、様々な他の哺乳動物を、本発明の方法に従って治療することができる。
【0101】
さらに、本発明は、ヒトおよび動物においてβ−セクレターゼ酵素活性を阻害するための医薬品または組成物の製造方法に関し、この方法は、本発明の化合物と医薬用担体または希釈剤を併せることを含む。
【0102】
本発明の化合物は、アルツハイマー病の治療に有用である。例えば、本化合物は、アルツハイマー型認知症の予防に、ならびに早期、中期または後期アルツハイマー型認知症の治療に有用であり得る。本化合物は、アミロイド前駆体タンパク質(APPとも呼ばれる)の異常切断により媒介される疾病、およびβ−セクレターゼの阻害により治療もしくは予防することができる他の状態の治療にも有用であり得る。このような状態としては、軽度認知障害、トリソミー21(ダウン症候群)、脳アミロイド血管症、変性認知症、オランダ型遺伝性脳出血アミロイドーシス(HCHWA−D)、クロイツフェルト−ヤコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、頭部外傷、卒中、ダウン症候群、膵臓炎、封入体筋炎、他の末梢アミロイドーシス、糖尿病およびアテローム硬化症が挙げられる。
【0103】
本発明の化合物を投与する被験者または患者は、一般には、β−セクレターゼ酵素活性の阻害が望まれる人間の男性または女性であるが、β−セクレターゼ酵素活性の阻害または上述の疾患の治療が望まれる他の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、サル、チンパンジーまたは他の類人猿もしくは霊長類も包含し得る。
【0104】
本発明の化合物が有用である疾病または状態の治療において、本発明の化合物を1つ以上の他の薬物と併用することができ、この場合の薬物の併用は、いずれかの薬物単独より安全で有効である。加えて、本発明の化合物は、本発明の化合物の副作用または毒性を治療、予防、制御もしくは改善する、または前記副作用または毒性のリスクを低減する1つ以上の他の薬物と併用することができる。このような他の薬物は、これらが一般に使用される経路により、これらが一般に使用される量で、本発明の化合物と同時にまたは逐次的に投与することができる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1つ以上の他の活性成分を含有するものを含む。この併用薬は、単位剤形併用製品の一部として投与することができ、または1つ以上の追加薬物が治療計画の一部として別個の剤形で投与されるキットもしくは治療プロトコルとして投与することができる。
【0105】
単位用量形またはキット形のいずれかでの本発明の化合物と他の薬物の併用の例としては、抗アルツハイマー病薬、例えば他のβ−セクレターゼ阻害剤もしくはγ−セクレターゼ阻害剤;タウ・リン酸化阻害剤;M1受容体ポジティブアロステリックモジュレータ;Aβオリゴマー形成の遮断薬;5−HTモジュレータ、例えばPRX−03140、GSK 742467、SGS−518、FK−962、SL−65.0155、SRA−333およびキサリプロデン;p25/CDK5阻害剤;NK1/NK3受容体拮抗薬;COX−2阻害剤;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;イブプロフェンをはじめとするNSAID;ビタミンE;抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体をはじめとする抗アミロイド抗体;抗炎症化合物、例えば、(R)−フルルビプロフェン、ニトロフルルビプロフェン、ロシグリタゾン、ND−1251、VP−025、HT−0712およびEHT−202;CB−1受容体拮抗薬もしくはCB−1受容体逆作動薬;抗生物質、例えばドキシサイクリンおよびリファンピン;N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体拮抗薬、例えばメマンチンおよびネラメキサン;コリンエステラーゼ阻害剤、例えばガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、タクリン、フェンセリン、ラドスチギルおよびABT−089;成長ホルモン分泌促進物質、例えばイブタモレン、イブタモレンメシレートおよびカプロモレリン;ヒスタミンH拮抗薬、例えばABT−834、ABT 829およびGSK 189254;AMPA作動薬もしくはAMPAモジュレータ、例えばCX−717、LY−451395およびS−18986;PDE IV阻害剤;GABA逆作動薬;ニューロン性ニコチン様作動薬;選択的M1作動薬;微小管親和性調節キナーゼ(MARK)リガンド;P−450阻害剤、例えばリトナビル;または本発明の化合物の効力、安全性、利便性を増大させるか、本発明の化合物の望ましくない副作用もしくは毒性を低減する受容体もしくは酵素に作用する他の薬物、との併用が挙げられる。上述の併用リストは、単なる例示であり、いかなる点においても限定と解釈しない。
【0106】
ここで用いる用語「組成物」は、所定の量または割合で指定の成分を含む製品、ならびに指定の量での指定の成分の併用の結果、直接または間接的に得られるあらゆる製品を包含すると解釈する。医薬組成物に関して、この用語は、1つ以上の活性成分と不活性成分を含む任意の担体とを含む製品、ならびに任意の2つ以上の成分の併用、複合もしくは凝集の結果、または1つ以上の成分の解離の結果、または1つ以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用の結果、直接または間接的に得られるあらゆる製品を包含すると考える。一般に、医薬組成物は、活性成分を液状担体もしくは微粉固体担体または両方と均一、および、均質に会合させ、その後、必要に応じてこの生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。本医薬組成物には、本活性目的化合物が、疾病の経過または状態に対して望ましい効果を生じさせるために十分な量で含まれる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体を混合することにより製造されるあらゆる組成物を包含する。
【0107】
経口用である医薬組成物は、医薬組成物製造のための当分野では公知の任意の方法に従って調製することができ、このような組成物は、医薬的にエレガントで味のよい製剤を生じさせるために、甘味剤、着香剤、着色剤および保存薬から成る群より選択される1つ以上の物質を含有することができる。錠剤は、錠剤の製造に適する非毒性で医薬的に許容される賦形剤との混合物で活性成分を含有し得る。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム;ならびに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤は、未コーティングであってもよいし、胃腸管での崩壊および吸収を遅らせ、これによって長期にわたる持続作用をもたらすように公知の技法によりコーティングされていてもよい。
【0108】
経口用組成物は、活性成分を不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合する硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分を水もしくは油性媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合する軟質ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0109】
他の医薬組成物としては、水性懸濁液が挙げられ、これは、水性懸濁液の製造に適する賦形剤との混合物で活性材料を含有する。加えて、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ごま油もしくはヤシ油に、または鉱物油、例えば流動パラフィンに活性成分を懸濁させることにより油性懸濁液を調合することができる。油性懸濁液は、様々な賦形剤も含有し得る。本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態である場合もあり、これは、賦形剤、例えば甘味剤および着香剤も含有し得る。
【0110】
本医薬組成物は、公知の技術に従って調合することができる滅菌注射用水性もしくは油脂性懸濁液の形態である場合があり、または薬物の直腸内投与のために坐剤の形態で投与される場合もある。
【0111】
本発明の化合物は、当業者には公知の吸入器具による吸入により、または経皮パッチにより投与される場合もある。
【0112】
「医薬的に許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が、この調合物の他の成分と相溶性でなければならず、この受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0113】
化合物「の投与」または「を投与すること」という用語は、本発明の化合物を、この必要がある個体に、治療に有用な形態および治療に有用な量でこの個体の身体に導入することができる形態で提供することを意味すると理解すべきであり、このような形態としては、経口剤形、例えば錠剤、カプセル、シロップ、懸濁液など;注射用剤形、例えば、IV、IMまたはIPなど;クリーム、ゼリー、粉末またはパッチをはじめとする経皮剤形;口腔内剤形;吸入用粉末、噴射剤、懸濁液など;および肛門坐剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
用語「有効量」または「治療有効量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床家によって探索し続けられる、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する対象化合物の量を意味する。ここで用いる用語「治療」は、上述の状態を、特に疾病または疾患の症状を示している患者において、治療することを指す。
【0115】
本発明の化合物を含有する組成物は、単位剤形で適便に提供することができ、薬学技術分野では周知の任意の方法により調製することができる。用語「単位剤形」は、患者また患者に薬物を投与する人が、全用量が中に入っている単一の容器またはパッケージを開けることができ、2つ以上の容器またはパッケージからのいずれの成分も混ぜ合わせる必要がないような、適するシステムの中にすべての活性および不活性成分が併せられている単一用量を意味すると解釈する。単位剤形の典型例は、経口投与のための錠剤もしくはカプセル、注射のための1回量バイアル、または直腸内投与のための坐剤である。単位剤形のこのリストは、いかなる点においても限定と解釈せず、単に単位剤形の典型例を表すと解釈する。
【0116】
本発明の化合物を含有する組成物は、活性成分であってもよいし不活性成分であってもよい2つ以上の成分、担体、希釈剤などが、患者または患者に薬物を投与する人による実際の剤形の準備のためのインストラクションとともに提供されるキットとして、適便に提供することができる。このようなキットは、すべての必要材料および成分がこの中に収容されている状態で提供される場合もあり、または患者もしくは患者に薬物を投与する人が独自に入手しなければならない材料または成分を使用もしくは製造するためのインストラクションを収容している場合もある。
【0117】
アルツハイマー病または本発明の化合物が指示される他の疾病を治療するとき、本発明の化合物が動物の体重のキログラム当たり約0.1mgから約100mgの日用量で、好ましくは、単一の日用量として、または1日2から6回の分割量で、または持続放出形態で投与されると、一般に満足な結果が得られる。全日用量は、体重のkg当たり約1.0mgから約2000mg、好ましくは約0.1mgから約20mgである。70kgの成人の場合、全日用量は、一般に約7mgから約1,400mgである。この薬剤投与計画は、最適な治療応答をもたらすように調整することができる。本化合物は、1日に1から4回、好ましくは1日に1回または2回の計画で投与することができる。
【0118】
本発明の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩の具体的な投薬量としては、1mg、5mg、10mg、30mg、80mg、100mg、150mg、300mgおよび500mgが挙げられる。本発明の医薬組成物は、約0.5mgから1000mgの活性成分を含む;さらに好ましくは約0.5mgから500mgの活性成分;または0.5mgから250mgの活性成分;または1mgから100mgの活性成分を含む、調合物で提供することができる。治療に有用な具体的な医薬組成物は、約1mg、5mg、10mg、30mg、80mg、100mg、150mg、300mgおよび500mgの活性成分を含む場合がある。
【0119】
しかし、あらゆる個々の患者のための具体的な用量レベルおよび投薬頻度は、変化させることができ、ならびに利用する具体的な化合物の活性、この化合物の代謝安定性および作用長、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の方式および回数、排泄率、薬物の組み合わせ、個々の状態の重症度、ならびにこの宿主が受けている療法をはじめとする様々な因子に依存することは理解される。
【0120】
β−セクレターゼ酵素活性の阻害剤としての本発明の化合物の有用性は、当分野では公知の方法論により実証することができる。酵素阻害は、次のように判定される。
【0121】
FRETアッセイ:BACE 1により切断されて、TAMRAから蛍光を放出する基質([TAMRA−5−CO−EEISEVNLDAEF−NHQSY]QFRET)を用いる均一エンドポイント蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイを利用する。前記基質のKmは、基質の溶解限度のため決定されない。典型的な反応系は、100μLの全反応容量で、約30nMの酵素、1.25μMの基質およびバッファ(50mM NaOAc(pH4.5)、0.1mg/mL BSA、0.2% CHAPS、15mM EDTAおよび1mM デフェロキサミン)を含有する。反応を30分間進行させ、TAMRAフラグメントの遊離を、96ウエルプレートLJL Analyst ADにおいて、530nmの励起波長および580nmの発光波長を用いて測定する。これらの条件下、基質の10%未満が、BACE 1によりプロセッシングされる。これらの試験で使用する酵素は、バキュロウイルス発現系で生産された可溶性(膜貫通ドメインおよび細胞質内伸張を含まない)ヒトタンパク質である。化合物の阻害効力を測定するために、DMSO中の阻害剤の溶液(4つの阻害剤濃度を調製する。1mM、100μM、10μM、1μM)を反応混合物に含める(最終DMSO濃度は、0.8%である)。すべての実験は、上で説明した標準的な反応条件を用いて室温で行う。化合物のIC50を決定するために、競合系方程式 V0/Vi=1+[I]/[IC50]を用いて、化合物の阻害効力を予測する。解離定数の再現性に関する誤差は、典型的には2倍未満である。
【0122】
HPLCアッセイ:BACE 1により切断されて、クマリンが付いているN末端フラグメントを放出する基質(クマリン−CO−REVNFEVEFR)での均一エンドポイントHPLCアッセイを用いる。前記基質のKmは、100μMより大きく、また前記基質の溶解限界のため決定することができない。典型的な反応系は、100μLの全反応容量で、約2nMの酵素、1.0μMの基質およびバッファ(50mM NaOAc(pH4.5)、0.1mg/mL BSA、0.2% CHAPS、15mM EDTAおよび1mM デフェロキサミン)を含有する。反応を30分間進行させ、25μLの1M Tris−HCl(pH8.0)の添加により反応を停止させる。得られた反応混合物をHPLCにローディングし、生成物を5分の線形勾配で基質から分離する。これらの条件下で10%未満の基質がBACE 1によってプロセッシングされる。これらの試験で使用する酵素は、バキュロウイルス発現系で生産された可溶性(膜貫通ドメインおよび細胞質内伸張を含まない)ヒトタンパク質である。化合物の阻害効力を測定するために、DMSO中の阻害剤の溶液(12の阻害剤濃度を調製し、この濃度範囲は、FRETにより予測される効力に依存する)を反応混合物に含める(最終DMSO濃度は、10%である)。すべての実験は、上で説明した標準的な反応条件を用いて室温で行う。化合物のIC50を決定するために、4パラメータ方程式を用いて曲線に当てはめる。解離定数の再現性に関する誤差は、典型的には2倍未満である。
【0123】
詳細には、以下の実施例の化合物は、上述のアッセイにおいて、一般に約1nMから100μMのIC50で、β−セクレターゼ酵素を阻害する活性を有した。このような結果は、β−セクレターゼ酵素活性の阻害剤として使用する際の化合物の固有活性の指標となる。
【0124】
本発明の化合物を調製するための幾つかの方法を、本明細書中の図式および実施例で例示する。出発原料は、当分野において公知の手順または本明細書において例示する手順に従って製造する。以下の実施例は、本発明をより十分に理解できるように提供する。これらの実施例は、単なる実例であり、いかなる点においても本発明の制限と解釈すべきではない。
【0125】
本文を通して以下の略記を用いる。
【0126】
Me:メチル
Et:エチル
Bu:ブチル
t−Bu:t−ブチル
Ar:アリール
Ph:フェニル
Ac:アセチル
Bn:ベンジル
Boc:t−ブチルオキシカルボニル
TFA:トリフルオロ酢酸
DCM:ジクロロメタン
DMA:ジメチルアセトアミド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
TBAF:フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム
HMDS:ヘキサメチルジシラザン
THF:テトラヒドロフラン
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
TMS:トリメチルシリル
9−BBN:9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン
EDC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド
BSA:ウシ血清アルブミン
CHAPS:3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアミノ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート
h:時間
aq:水性
rt:室温
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
【0127】
【化45】

【0128】
THF(300mL)中の塩酸アルファメチルm−チロシンメチルエステル・一水和物(10.4g、39.4mmol)の懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン(7.6mL、43.4mmol)および二炭酸ジ−t−ブチル(9.1g、41.4mmol)を添加し、この反応混合物を室温で24時間攪拌した。反応混合物を1/2の体積に減圧濃縮し、EtOAcおよびジエチルエーテルで稀釈し、10%KHSO水溶液で洗浄し、その後、水溶液のpHが7になるまで水およびブラインで交互に洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(300g シリカ、ヘキサン中0から60%のEtOAc)により精製して、中間体I.1.a.1を得た。
【0129】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.12(app.t,J=8Hz,1H),6.72(dd,J=8,2.4Hz,1H),6.63(d,J=8Hz,1H),6.58(dd,J=2.5,2.4Hz,1H),5.35(brs,1H),5.16(brs,1H),3.75(s,3H),3.28(m,1H),3.15(ABのB,d,J=13.3Hz,1H),1.55(brs,3H),1.47(s,9H)。
【0130】
【化46】

【0131】
0℃に冷却したDCM(50mL)中の中間体I.1.a.1(6.62g、21.4mmol)の溶液に、2,6−ルチジン(2.9mL、24.6mmol)および無水トリフリン酸(4mL、23.5mmol)を1滴ずつ添加した。この反応混合物を0℃で10分間攪拌し、水で稀釈し、DCMで2回抽出した。併せた有機画分をNaSOで乾燥させ、減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(300g シリカ、ヘキサン中0から30%のEtOAc)により精製して、中間体I.1.b.1を得た。
【0132】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.35(app.t,J=8Hz,1H),7.15(dd,J=8,2.4Hz,1H),7.11(d,J=8Hz,1H),7.0(dd,J=2.5,2.4Hz,1H),5.19(brs,1H),3.77(s,3H),3.52(ABのA,brd,J=13.6Hz,1H),3.27(ABのB,d,J=13.6Hz,1H),1.56(s,3H),1.48(s,9H)。
【0133】
【化47】

【0134】
アルゴン雰囲気下、0℃に冷却した20mL 無水THF中の中間体I.1.b.1(1.00g、2.27mmol)の溶液に、水素化ホウ素リチウム(0.236mL、0.473mmol、THF中2.0Mの溶液)を添加した。2時間かけて室温に温めた後、この反応物を冷却して0℃に戻し、MeOHで反応を停止させた。これを水(50mL)で稀釈し、EtOAc(2×50mL)で抽出した。有機層を併せ、ブライン(2×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(90g シリカ、ヘキサン中0から45%のEtOAc)による精製によって、中間体I.1.c.1を白色の固体として得た。
【0135】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.38(appt,J=7.9Hz,1H),7.23(d,J=7.9Hz,1H),7.18−7.15(m,1H),7.12(s,1H),4.46(s,1H),4.06(brs,1H),3.72(ABXのA,dd,JAB=11.5Hz,JAX=3.9Hz,1H),3.63(ABXのB,dd,JAB=11.5Hz,JBX=8.4Hz,1H),3.30(ABのA,d,J=13.5Hz,1H),2.89(ABのB,d,J=13.5Hz,1H),1.48(s,9H),1.03(s,3H)。
【0136】
【化48】

【0137】
中間体I.1.b.1の調製について説明したものと同様の手順を用いて、アルファメチルp−チロシンメチルエステルから調製した。
【0138】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.08(s,4H),5.17(brs,1H),3.64(s,3H),3.35(ABのA,brd,J=13.4Hz,1H),3.20(ABのB,d,J=13.4Hz,1H),1.43(s,3H),1.38(s,9H)。
【0139】
【化49】

【0140】
中間体I.1.b.1の調製について説明したものと同様の手順を用いて、m−チロシンメチルエステルから調製した。
【0141】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.38(app.t,J=8.0Hz,1H),7.21−7.14(m,2H),7.06(s,1H),5.04(d,J=7.2Hz,1H),4.62−4.54(m,1H),4.23−4.10(m,2H),3.19(ABXのA,dd,JAB=13.7Hz,JAX=5.8Hz,1H),3.10(ABXのB,dd,JAB=13.7Hz,JBX=5.8Hz,1H),1.43(s,9H),1.24(t,J=7.1Hz,3H)。
【0142】
【化50】

【0143】
段階A:アルキル化
0℃に冷却したDMF(20mL)中のN−(ジフェニルメチレン)アラニン酸メチル(2.6g、9.7mmol)の溶液に、NaHMDS(12.2mL、12.2mmol、THF中1M)を注射器によりゆっくりと添加し、この反応混合物を0℃で15分間攪拌し、この時点でDMF(10mL)中の臭化3−ブロモ−ベンジル(2.55g、10.2mmol)を注射器でゆっくりと添加した。この反応混合物を16時間にわたって放置して室温に温め、NHCl水溶液および水で反応を停止させ、EtOAcで抽出し、LiCl水溶液で洗浄し(×3)、NaSOで乾燥させ、減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(120g シリカ、ヘキサン中0から15%のEtOAc)により精製して、3−ブロモ−N−(ジフェニルメチレン)−α−メチルフェニルアラニン酸メチルを得た。
【0144】
段階B:脱保護
MeOH(25mL)およびTHF(25mL)中の3−ブロモ−N−(ジフェニルメチレン)−α−メチルフェニルアラニン酸メチル(2.95g、6.76mmol)の溶液に、6N HCl(3.4mL、20.3mmol)を添加し、この反応混合物を室温で5分間攪拌し、減圧濃縮し、イオン交換クロマトグラフィー(SCX、25g、その後、50g、MeOH、その後、MeOH中2MのNH)により精製して、3−ブロモ−α−メチルフェニルアラニン酸メチルを得た。
【0145】
段階C:Boc保護
THF(30mL)およびMeOH(5mL)中の3−ブロモ−α−メチルフェニルアラニン酸メチル(1.67g、6.1mmol)の溶液に、二炭酸ジ−t−ブチル(1.61g、7.4mmol)を添加し、この反応混合物を50℃で6時間、および室温で16時間攪拌し、減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(90g シリカ、ヘキサン中0から20%のEtOAc)により精製して、中間体I.1.c.1を得た。
【0146】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.36(d,J=7.6Hz,1H),7.24(s,1H),7.13(t,J=7.6Hz,1H),6.98(d,J=7.6Hz,1H),5.16(brs,1H),3.77(s,3H),3.39(ABのA,brd,J=13.5Hz,1H),3.19(ABのB,d,J=13.5Hz,1H),1.56(brs,3H),1.49(s,9H)。
【0147】
【化51】

【0148】
段階A:スルホンアミド取付け
2,6−ジクロロイソニコチン酸メチル(10g、48.5mmol)、メチル(プロピルスルホニル)アミン(7.99g、58.2mmol)、リン酸カリウム(14.4g、68mmol)、Xantphos(1.69g、2.9mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.89g、0.97mmol)を、アルゴンでフラッシュした乾燥フラスコに添加した。ジオキサン(400mL)を添加し、この溶液をアルゴンで脱気し、この反応物を16時間、100℃に加熱した。反応物を室温に冷却し、セライトに通して濾過し、減圧蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、0から35%EtOAc/ヘキサン)により、2−クロロ−6−[(メチルスルホニル)(プロピル)アミノ]イソニコチン酸メチルを黄色の油として得た。
【0149】
H NMR(400MHz,CDOD)δ7.88(s,1H),7.72(s,1H),3.96(s,3H),3.91(t,J=6.4Hz,2H),3.13(s,3H),1.68−1.53(m,2H),0.93(t,J=7.5Hz,3H)。
【0150】
段階B:還元
0℃に冷却したTHF(50mL)中の2−クロロ−6−[(メチルスルホニル)(プロピル)アミノ]イソニコチン酸メチル(3.5g、11.5mmol)の溶液に、LiBH(17.2mL、34.4mmol、THF中2M)を添加した。10分後、この反応混合物を放置して室温に温め、3.5時間攪拌した。反応混合物をEtOAc、MeOHおよび水で注意深く反応停止させた。EtOAcで稀釈した後、有機層を抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して、N−[6−クロロ−4−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−イル]−N−プロピルメタンスルホンアミドを得、これをこのまま臭素化段階で使用した。
【0151】
段階C:臭素化
0℃に冷却したジクロロメタン(20mL)中のN−[6−クロロ−4−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−イル]−N−プロピルメタンスルホンアミド(740mg、2.65mmol)の溶液に、四臭化炭素(976mg、2.92mmol)およびトリフェニルホスフィン(765mg、2.92mmol)を添加した。10分後、この反応混合物を放置して室温に温め、0.5時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、0から25%EtOAc/ヘキサン)により精製して、N−[4−(ブロモメチル)−6−クロロピリジン−2−イル]−N−プロピルメタンスルホンアミドを白色の固体として得た。
【0152】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.34(s,1H),7.22(s,1H),4.35(s,2H),3.85(t,J=7.6Hz,2H),3.04(s,3H),1.64−1.50(m,2H),0.93(t,J=7.2Hz,3H)。
【0153】
【化52】

【0154】
中間体II.2.c.1について説明したものに類似した手順を用い、段階Aにおいてメチル(プロピルスルホニル)アミンの代わりにメシルメチルアミンを使用して合成した。
【0155】
【化53】

【0156】
段階A:スルホンアミド還元
プロピルメチルスルホンアミドの代わりにメシルメチルスルホンアミドを使用して、中間体II.2.c.1の合成の段階Aにおいて説明したとおりに行った。
【0157】
段階B:還元
中間体II.2.c.1の合成の段階Bにおいて説明したとおりに行った。
【0158】
段階C:シリルエーテル形成
段階BからのN−[6−クロロ−4−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−イル]−N−メチルメタンスルホンアミド(2.8g、11.1mmol)、イミダゾール(0.91g、13.4mmol)および塩化t−ブチルジメチルシリル(1.85g、12.2mmol)を無水塩化メチレン(25mL)に溶解し、25℃で16時間攪拌させておいた。この溶液を10%硫酸一水素カリウム(×2)、飽和重炭酸ナトリウム(×2)、水(×2)、ブライン(×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた油をフラッシュクロマトグラフィー(145g シリカ、ヘキサン中0から30%のEtOAc)により精製した。この試料をさらに精製せずに次の段階で用いた。LC/MS[M+H]=365.1(Clパターン)。
【0159】
【化54】

【0160】
段階A:二塩基酸のモノエステル化
3−フェニルグルタル酸(5g、24mmol)および炭酸セシウム(3.9g、12mmol)を200mLの無水DMFに溶解し、0℃に冷却した。ヨウ化メチル(1.5mL、24mmol)を注射器によりこの溶液に添加し、これを放置して、16時間かけてゆっくりと25℃に温めた。この反応物を水で稀釈し、このpHを飽和NaHCOでから9に調整した。その後、この混合物をヘキサン(×7)で洗浄し、1N HClで酸性化(pHから4)し、酢酸エチル(×3)に抽出し、LiCl(×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。
【0161】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.3(m,2H),7.2(m,3H),3.65(m,1H),3.60(s,3H),2.7(m,4H)。
【0162】
段階B:酸の還元
5−メトキシ−5−オキソ−3−フェニルペンタン酸(4.2g、19mmol)を200mLの無水THFに溶解し、0℃に冷却した。ボラン(57mL、57mmol、THF中の1M溶液)を注射器によりこの溶液に添加し、これを放置して、16時間かけてゆっくりと25℃に温めた。その後、この反応物を0℃に冷却し、メタノール(25mL)、その後、水(25mL)、その後、重炭酸ナトリウム飽和溶液(25mL)で反応を停止させた。この生成物を酢酸エチルに抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた油をフラッシュクロマトグラフィー(300g シリカ、ヘキサン中10から65%のEtOAc)により精製した。この試料をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0163】
段階C:アルコールのヨウ素化
トリフェニルホスフィン(1.5g、5.8mmol)およびイミダゾール(0.39g、5.8mmol)をアルゴン雰囲気下で乾燥フラスコに添加した。無水塩化メチレン(50mL)を添加し、この溶液を0℃に冷却した。ヨウ素(1.45g、5.8mmol)を一度に添加し、得られた溶液を0℃で0.5時間攪拌した。無水塩化メチレン(10mL)中の5−ヒドロキシ−3−フェニルペンタン酸メチル(1.0g、4.8mmol)を注射器によりこの溶液に添加し、16時間、25℃で攪拌させておいた。この溶液を塩化メチレン(100mL)で稀釈し、10%NaSO(×2)、ブライン(×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた油をフラッシュクロマトグラフィー(175g シリカ、ヘキサン中0から25%のEtOAc)により精製した。この試料をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0164】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.3(m,2H),7.2(m,3H),3.7(s,3H),3.30(m,1H),3.15(m,1H),2.85(m,1H),2.65(d,J=7.5Hz,2H),2.25(m,1H),2.15(m,1H)。
【0165】
【化55】

【0166】
段階A:鈴木カップリング
0.700g(2.25mmol、1当量)の(ブト−3−エン−1−イルオキシ)(t−ブチル)ジフェニルシランに、THF中の9−BBNの0.5M溶液を5.9mL(0.358mmol、1.3当量)添加した。この溶液を1.25時間、70℃に加熱し、その後、この反応物を室温に冷却し、1.05mLの3.2M NaOH(3.38mmol、1.5当量)および3mLのトルエン中の中間体I.1.b.1(0.995g、2.25mmol、1当量)およびPd(PhP)(0.131g、0.113mmol、0.05当量)の溶液に移し入れた。この反応物をアルゴンで5分間、脱気し、その後、蓋をし、85℃で15時間加熱した。反応物を室温に冷却し、セライトのパッドに通して濾過し、EtOAcですすいだ。濾液をEtOAcとブラインとで分配し、有機部分を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーを用いて残留物を精製して、所望の生成物を粘稠油として単離した。
【0167】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.63(m,4H),7.42−7.32(m,6H),7.14(dd,J=7.6,4.2Hz,1H),7.00(d,J=7.6Hz,1H),6.87−6.84(m,2H),3.70(s,3H),3.64(t,J=6.2Hz,2H),3.28(brピーク,1H),3.13(d,J=13.4Hz,1H),2.55(m,1H),2.39(m,1H),1.89−1.76(m,2H),1.69−1.54(m,2H),1.53(s,3H),1.39(s,9H),1.02(s,9H)。LC/MS[M+H]=604。
【0168】
段階B:シリル脱保護
4mL THF中の段階Aからの生成物(0.342g、0.566mmol、1当量)の溶液に、THF中のフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムの1M溶液を0.736mL(0.736mmol、1.3当量)添加した。5時間後、NaHCO飽和水溶液の添加により反応を停止させ、EtOAcで稀釈した。層を分離し、水性部分を新たなEtOAcで洗浄し、併せた有機部分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーを用いて残留物を精製して、所望の生成物を粘稠油として単離した。
【0169】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.14(t,J=7.6Hz,1H),7.00(d,J=7.6Hz,1H),6.87−6.84(m,2H),3.70(s,3H),3.60(t,J=6.4Hz,2H),3.30(brピーク,1H),3.13(d,J=13.3Hz,1H),2.58(t,J−7.5Hz,2H),1.69−1.45(m,7H),1.45(s,9H)。LC/MS[M+H]=366。
【0170】
段階C:臭素化
0℃で2.5mL CHCl中の段階Bからの生成物(0.090g、0.246mmol、1.0当量)、トリフェニルホスフィン(0.129g、0.493mmol、2当量)およびイミダゾール(0.034g、0.493mmol、2当量)の溶液に、四臭化炭素(0.163g、0.493mmol、2当量)を添加した。2.5時間後、浴を取り外し、さらに室温で2時間後、この反応物を、順相クロマトグラフィーを使用する精製のためのシリカゲルカラムに注入した。
【0171】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.16(t,J=7.6Hz,1H),7.02(d,J=7.6Hz,1H),6.89−6.87(m,2H),3.73(s,3H),3.38(t,J=6.5Hz,2H),3.31(brピーク,1H),3.14(d,J=13.5Hz,1H),2.57(t,J=7.6Hz,2H),1.86−1.82(m,2H),1.76−1.69(m,2H),1.54(s,3H),1.45(s,9H)。LC/MS[M+H]=428(Brパターン)。
【0172】
段階D:アジド置換
1.5mL DMF中の段階Cからの生成物(0.092g、0.215mmol、1当量)の溶液に、アジ化ナトリウム(0.028g、0.430mmol、2当量)を添加した。15時間後、この反応物を3M LiClおよびEtOAcで稀釈した。層を分離し、有機部分を3M LiClおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。順相クロマトグラフィーによる精製によって、所望のアジド(中間体IV.1.b.1)を透明な油として得た。
【0173】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.17(t,J=7.5Hz,1H),7.03(d,J=7.6Hz,1H),6.89−6.87(m,2H),3.74(s,3H),3.32(brピーク,1H),3.25(t,J=6.6Hz,2H),3.15(d,J=13.4Hz,1H),2.58(t,J=7.2Hz,2H),1.71−1.57(m,4H),1.54(s,3H),1.46(s,9H)。LC/MS[(M−Boc)+H]=291。
【0174】
【化56】

【0175】
1.3mL THF中の中間体IV.1.c.1(0.044g、0.113mmol、1当量)の溶液に、THF中2MのLiBH(0.225mL、0.451mmol、4当量)を添加した。16時間後、この反応物を0℃に冷却し、NaHCO飽和水溶液の添加により反応を停止させ、EtOAcで稀釈した。層を分離し、水性部分をEtOAc(2×)で洗浄し、併せた有機部分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。順相クロマトグラフィーによる精製によって、所望のアルコール(中間体IV.1.d.1)を透明な油として得た。
【0176】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.20(t,J=7.5Hz,1H),7.04(d,J=7.5Hz,1H),(6.98(d,J=7.5Hz,1H),6.97(s,1H),4.05(s,1H),4.17(brs,1H),3.69−3.62(m,2H),3.26(t,J=6.8Hz,2H),3.15(d,J=13.3Hz,1H),2.75(d,J=13.4Hz,1H),2.61(t,J=7.3Hz,2H),1.71−1.45(m,4H),1.45(s,9H),1.05(s,3H)。LC/MS[(M−Boc)+H]=263。
【0177】
【化57】

【0178】
2mL THF中の中間体IV.1.c.1(0.070g、0.179mmol、1当量)の溶液に、THF中1MのLiOH(0.538mL、0.538mmol、3当量)を添加した。3時間後、0.5mL MeOHを添加し、15時間後、この反応物を4.5時間、45℃に加熱した。この反応物を室温に冷却し、10%KHSOを使用してpH3に酸性化した。この水溶液をEtOAc(4×)で洗浄し、併せた有機部分をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をさらに精製せずに使用した。
【0179】
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.92(brs,1H),7.18(t,J=7.5Hz,1H),7.05(d,J=7.5Hz,1H),6.97−6.94(m,2H),5.05(brs,1H),3.26(t,J=6.7Hz,4H),2.59(t,J=7.3Hz,2H),1.72−1.58(m,4H),1.55(s,3H),1.47(s,9H)。LC/MS[(M−Boc)+H]=277。
【0180】
【化58】

【0181】
段階A:カップリング
1.5mL DMF中の中間体IV.1.e.1(0.077g、0.205mmol、1当量)および中間体II.2.c.1(0.070g、0.205mmol、1当量)の溶液に、CsCO(0.080g、0.245mmol、1.2当量)を添加した。1.5時間後、この反応物をHOとEtOAcとで分配し、層を分離し、有機部分を3M LiCl(2×)およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を順相シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を透明な油として得た。
【0182】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.26(s,1H),7.17(d,J=7.5Hz,1H),7.12(s,1H),7.06(d,J=7.5Hz,1H),6.90−6.89(m,2H),5.17(d,J=14.3Hz,1H),5.09(d,J=14.3Hz,1H),4.90(brs,1H),3.82(t,J=7.2Hz,2H),3.32−3.24(m,3H),3.16(d,J=13.6Hz,1H),3.01(s,3H),2.58(t,J=7.1Hz,2H),1.69−1.54(m,6H),1.49(s,3H),1.44(s,9H),0.90(t,J=7.5Hz,3H)。LC/MS[(M−tBu)+H]=581。
【0183】
段階B:シュタウディンガー還元
1mL THFおよび0.1mL 水中の段階Aからの生成物(0.040g、0.063mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(0.026g、0.10mmol)を添加した。この反応物を65℃で1.5時間加熱し、室温に冷却し、その後、MeOHで調整した1g SCXイオン交換カラムにピペットで移した。このカラムをMeOH(50mL)で溶出し、その後、MeOH中2MのNH(50mL)で溶出した。所望の生成物を含有する画分を回収し、濃縮した。LC/MS[M+H]=611(Clパターン)。
【0184】
【化59】

【0185】
中間体V.2.a.2の合成について説明したものに類似した反応順序を用い、段階Aにおいて中間体II.c.1の代わりに中間体II.2.c.2を使用して合成した。
【0186】
【化60】

【0187】
段階A:加水分解
中間体I.1.c.1を用いて、中間体IV.1.e.1の合成について説明したとおりに行った。LC/MS[M+H]=358、360(Brパターン)
段階B:カップリング
段階Aからの生成物と中間体2.2.e.2とを、中間体V.2.a.1合成の段階Aにおいて説明したとおりにカップリングさせた。LC/MS[M+H]=590、592(Brパターン)
段階C:アリル化
脱気DMF(4mL)中の3−ブロモ−N−(t−ブトキシカルボニル)−α−メチルフェニルアラニン酸{2−クロロ−6−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリジン−4−イル}メチル(400mg、0.68mmol)およびスズ酸アリルトリブチル(0.48mL、1.6mmol)の溶液に、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(33mg、0.048mmol)を添加した。この反応物をマイクロ波処理装置で0.5時間、120℃に加熱した。追加の触媒を添加し、加熱を3回繰り返して反応を完了させた。フッ化カリウム(134mg、2.3mmol)を添加し、この反応物を3時間攪拌し、EtOAcで稀釈した。セライトによる濾過、濃縮およびフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0から50%EtOAc/ヘキサン)により、3−アリル−N−(t−ブトキシカルボニル)−α−メチルフェニルアラニン酸{2−アリル−6−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリジン−4−イル}メチルを得た。MS:558.1(M+1)ES+
段階D:閉環メタセシス反応
脱気DCE(2.9mL)中の3−アリル−N−(t−ブトキシカルボニル)−α−メチルフェニルアラニン酸{2−アリル−6−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリジン−4−イル}メチル(80mg、0.14mmol)の溶液に、Zhan(メタセシス)触媒I(9.2mg、0.014mmol)を添加した。この反応物をマイクロ波処理装置で0.5時間、120℃に加熱した。濃縮およびフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0から50%EtOAc/ヘキサン)により、[(3EZ)−14−メチル−8−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),3,6(21),7,9,16,18−ヘプタエン−14−イル]カルバミン酸t−ブチルを得た。MS:530.4(M+1)ES+
【0188】
(実施例1)
N−[13−アミノ−13−メチル−15−オキサ−2,20−ジアザトリシクロ[15.3.1.17,11]ドコサ−1(21),7(22),8,10,17,19−ヘキサエン−19−イル]−N−プロピルメタンスルホンアミド
【0189】
【化61】

【0190】
段階A:カップリング
1.5mL 1,2−ジクロロエタン中の中間体IV.1.d.1(0.039g、0.109mmol、1.2当量)および中間体II.2.c.1(0.031g、0.091mmol、1当量)の溶液に、活性化4Aモレキュラーシーブのスパチュラチップ、ポリマー結合2,6−ジ−tBuPy(0.052g、0.272mmol、3当量)およびAgOTf(0.068g、0.263mmol、2.9当量)を添加した。この溶液をマイクロ波処理装置で8.5時間、90℃で加熱し、その後、セライトのパッドに通して濾過し、EtOAcですすいだ。このすすぎ液を濃縮し、残留物を順相シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0191】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.20−7.16(m,2H),7.03(d,J=7.5Hz,1H),6.8−6.96(m,3H),4.53(s,2H),4.47(s,1H),3.81(t,J=7.3Hz,2H),3.65(d,J=9.0Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.25(t,J=6.7Hz,2H),3.11(d,J=13.2Hz,1H),3.00(s,3H),2.85(d,J=13.2Hz,1H),2.59(t,J=7.1Hz,2H),1.70−1.52(m,6H),1.45(s,9H),1.23(s,3H),0.90(t,J=7.3Hz,3H)。LC/MS[M+H]=623。
【0192】
段階B:シュタウディンガー還元
0.70mL THFおよび0.070mL 水中の段階Aからの生成物(0.020g、0.032mmol、1当量)の溶液に、トリフェニルホスフィン(0.009g、0.035mmol、1.1当量)を添加した。この反応物を65℃で15時間加熱し、室温に冷却し、その後、MeOHで調整した1g SCXイオン交換カラムにピペットで移した。このカラムをMeOH(50mL)で溶出し、その後、MeOH中2MのNH(50mL)で溶出した。所望の生成物を含有する画分を回収し、濃縮した。
【0193】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.19−7.16(m,2H),7.04(d,J=7.5Hz,1H),6.96−6.95(m,3H),4.54(s,2H),4.52(s,1H),3.81(t,J=7.1Hz,2H),3.65(d,J=9.0Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.11(d,J=13.2Hz,1H),3.01(s,3H),2.84(d,J=13.2Hz,1H),2.68(t,J=7.0Hz,2H),2.58(t,J=7.7Hz,2H),1.66−1.48(m,6H),1.45(s,9H),1.23(s,3H),0.91(t,J=7.4Hz,3H)。LC/MS[M+H]=597。
【0194】
段階C:マクロアミノ化
0.60mL DMA中の段階Bからの生成物(0.015g、0.025mmol、1当量)の溶液に、KPO(0.016g、0.075mmol、3当量)およびPd(t−Bu(0.004g、0.008mmol、0.3当量)を添加した。この反応物をArで脱気し、その後、100℃で19時間加熱し、室温に冷却し、HOおよびEtOAcで稀釈した。層を分離し、有機部分を3M LiCl(2×)およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーを用いて残留物を精製して、所望の生成物を透明なガラスとして得た。
【0195】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.10(t,J=8.0Hz,1H)6.95−6.94(m,3H),6.39(s,1H),6.05(s,1H),4.84(s,1H),4.73(t,J=6.4Hz,1H),4.50(d,J=13.5Hz,1H),4.31(d,J=13.5Hz,1H),3.65(t,J=6.3Hz,2H),3.35−3.19(m,4H),3.02(d,J=9.3Hz,1H),2.97(s,3H),2.67(d,J=9.3Hz,1H),2.61(m,1H),1.67(m,2H),1.56−1.48(m,6H),1.48(s,9H),1.24(s,3H),0.86(t,J=7.5Hz,3H)。LC/MS[M+H]=561。
【0196】
段階D:Boc脱保護
1.0mL CHCl中の段階Cからの生成物(0.004g、0.007mmol、1当量)の溶液に、ジオキサン中4MのHCl(0.027mL、0.107mmol、15当量)を添加した。室温で15時間後、この反応物を濃縮して、N−[13−アミノ−13−メチル−15−オキサ−2,20−ジアザトリシクロ[15.3.1.17,11]ドコサ−1(21),7(22),8,10,17,19−ヘキサエン−19−イル]−N−プロピルメタンスルホンアミドの塩酸塩を白色の固体として得た。
【0197】
H NMR(400MHz,d−MeOH)δ7.21(t,J=7.5Hz,1H),7.10(d,J=7.5Hz,1H),7.01(d,J=7.5Hz,1H),6.97(s,1H),6.77(s,1H),6.76(s,1H),4.75(d,J=13.9Hz,1H),4.52(d,J=13.9Hz,1H),3.72−3.54(m,4H),3.45−3.33(m,2H),3.12(d,J=10.4Hz,1H),2.79(d,J=10.3Hz,1H),2.70−2.56(m,2H),1.73−1.1.44(m,6H),1.27(s,3H),0.88(t,J=7.4Hz,3H)。LC/MS[M+H]=461。C2436Sについて計算した正確な質量:461.2581;実測値:461.2567。
【0198】
(実施例2)
N−[13−アミノ−13−メチル−14−オキソ−15−オキサ−2,20−ジアザトリシクロ[15.3.1.17,11]ドコサ−1(21),7(22),8,10,17,19−ヘキサエン−19−イル]−N−プロピルメタンスルホンアミド
【0199】
【化62】

【0200】
段階A:マクロアミノ化
実施例1の合成の段階Cにおいて説明したとおりだが、次の変更を施し、中間体5.2.a.1を用いて行った。2当量のKPOを使用し、反応物を90℃で2時間加熱した。
【0201】
段階B:Boc脱保護
実施例1の合成の段階Dにおいて説明したとおりに行った。
【0202】
H NMR(400MHz,d−MeOH)δ7.16(t,J=7.5Hz,1H),7.05(d,J=7.5Hz,1H),6.90(d,J=7.5Hz,1H),6.59(s,1H),6.29(brs,1H),6.23(s,1H),5.20(d,J=12.3Hz,1H),5.01(d,J=12.3Hz,1H),3.69(m,2H),3.40(m,2H),3.16(d,J=13.9Hz,1H),3.04−2.97(m,3H),2.49(m,2H),1.64(s,3H),1.61−1.43(m,6H),0.83(t,J=7.3Hz,3H)。LC/MS[M+H]=475。C2436Sについて計算した正確な質量:475.2374;実測値:475.2384。
【0203】
(実施例3)
N−[13−アミノ−13−メチル−14−オキソ−15−オキサ−2,20−ジアザトリシクロ[15.3.1.17,11]ドコサ−1(21),7(22),8,10,17,19−ヘキサエン−19−イル]−N−メチルメタンスルホンアミド
【0204】
【化63】

【0205】
実施例2の合成について説明したとおりの反応順序を用いて、中間体5.2.a.2から調製した。
【0206】
(実施例4)
N−[13−アミノ−2−ベンジル−13−メチル−14−オキソ−15−オキサ−2,20−ジアザトリシクロ[15.3.1.17,11]ドコサ−1(21),7(22),8,10,17,19−ヘキサエン−19−イル]−N−メチルメタンスルホンアミド
【0207】
【化64】

【0208】
段階A:還元的アミノ化
0.4mL 1,2−ジクロロエタン中の中間体5.2.a.2(0.030g、0.051mmol)の溶液に、ベンズアルデヒド(0.006mL、0.057mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.014g、0.067mmol)および酢酸(1滴)を添加した。一晩、反応を進行させ、その後、濃縮し、逆相Gilsonにより精製した。LC/MS[M+H]=673(Clパターン)。
【0209】
段階Bおよび段階C:マクロアミノ化およびBoc脱保護
実施例3の合成について説明したとおりに行った。表題化合物のLC/MS[M+H]=537。
【0210】
実施例4の合成について説明したとおりの手順を用いて、以下の化合物を合成した。
【0211】
【表1】

【0212】
(実施例8)
5−メチル−19−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−4−オキソ−14−フェニル−3−オキサ−18−アザトリシクロ[15.3.1.1から7,11から]ドコサ−1(21),7(22),8,10,17,19−ヘキサエン−5−アミン
【0213】
【化65】

【0214】
段階A:中間体AとBの亜鉛酸塩カップリング
中間体III.5.b.1(1.0g、3.14mmol)および活性亜鉛(0.225g、3.45mmol)を脱気THF(8mL)に溶解し、アルゴン下、25℃で3時間攪拌させておいた。アルゴン雰囲気下で、脱気THF(15mL)中の中間体II.2.f.1(1.15g、3.14mmol)および[(t−Bu)P]Pd(0.16g、0.314mmol)が入っている乾燥フラスコに、このヨウ化物/活性亜鉛混合物を注射器により添加した。得られた溶液を75℃で16時間攪拌した。その後、この溶液をセライトのパッドで濾過し、酢酸エチルで洗浄し、減圧濃縮した。得られた油をフラッシュクロマトグラフィー(175g シリカ、ヘキサン中0から25%のEtOAc)により精製した。この試料をさらに精製せずに次の段階で用いた。LC/MS[M+H]=520.1。
【0215】
段階B:エステルの還元
段階Aからの5−{4−({[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−6−{メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリジン−2−イル}−3−フェニルペンタン酸メチル(0.55g、1.05mmol)を無水THF(10mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下で0℃に冷却した。水素化ホウ素リチウム(0.74mL、1.49mmol、THF中の2.0M溶液)を注射器によりゆっくりと添加した。添加完了後、温度を45℃に上昇させ、この反応物をこの温度で16時間攪拌させておいた。その後、この溶液を0℃に冷却し、メタノール(5mL)、その後、水(5mL)で反応を停止させた。この生成物を酢酸エチルに抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。この試料をさらに精製せずに次の段階で用いた。LC/MS[M+H]=493.0。
【0216】
段階C:アルコールのヨウ素化
中間体III.5.b.1の調製、段階Cと同様の仕方で調製した。
【0217】
段階D:中間体I.1.c.1と骨格との亜鉛酸塩カップリング
段階CからのN−[4−({[t−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−6−(5−ヨード−3−フェニルペンチル)ピリジン−2−イル]−N−メチルメタンスルホンアミド(0.396g、0.66mmol)および活性化亜鉛(0.086g、1.3mmol)を脱気THF(2mL)に溶解し、アルゴン下、25℃で3時間攪拌させておいた。アルゴン雰囲気下で、脱気THF(5mL)中の中間体I.1.c.1(0.244g、0.66mmol)および[(t−Bu)P]Pd(0.033g、0.066mmol)が入っている乾燥フラスコに、このヨウ化物/活性化亜鉛混合物を注射器により添加した。得られた溶液を75℃で16時間攪拌した。その後、この溶液をセライトのパッドで濾過し、酢酸エチルで洗浄し、減圧濃縮した。得られた油をフラッシュクロマトグラフィー(90g シリカ、ヘキサン中0から20%のEtOAc)により精製した。この試料をさらに精製せずに次の段階で用いた。LC/MS[M+H]=768.2。
【0218】
段階E:シリル脱保護
2mL THF中の段階Dからの生成物(0.118g、0.154mmol)の溶液に、THF中のフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムの1M溶液を0.169mL(0.169mmol)添加した。5時間後、NaHCO飽和水溶液の添加により反応を停止させ、EtOAcで稀釈した。層を分離し、水性部分を新たなEtOAcで洗浄し、併せた有機部分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーを用いて残留物を精製して、所望の生成物を粘稠油として単離した。LC/MS[M+H]=654.1。
【0219】
段階F:エステルの加水分解
2mL THF中の段階Eからの生成物(0.038g、0.058mmol)の溶液に、水中のLiOHの1M溶液を0.145mL(0.291mmol)添加した。この溶液を一晩、45℃で、16時間攪拌させておいた。この粗製反応混合物を、1M HClを使用してpH=4に酸性化し、酢酸エチルに抽出し、LiClの3M溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧除去し、さらに精製せずに次の段階で用いた。LC/MS[M+H]=640.2。
【0220】
段階G:ミツノブマクロラクトン化
アルゴン雰囲気下、6mL 無水THF中の段階Fからの生成物(0.035g、0.055mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.022g、0.082mmol)の溶液に、DIAD(0.016mL、0.082mmol)を注射器により添加した。この溶液を25℃で3時間攪拌させておいた。その後、この溶液を濃縮し、逆相(C18)クロマトグラフィーを用いて残留物を精製して、所望の生成物を粘稠油として単離した。LC/MS[M+H]=622.0。
【0221】
段階H:Boc脱保護
1.0mL CHCl中の段階Hからの生成物(0.028g、0.045mmol)の溶液に、ジオキサン中4MのHCl(0.027mL、0.107mmol)を添加した。室温で15時間後、この反応物を濃縮して、塩化5−メチル−19−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−4−オキソ−14−フェニル−3−オキサ−18−アザトリシクロ[15.3.1.1から7,11から]ドコサ−1(21),7(22),8,10,17,19−ヘキサエン−5−アミニウムの塩酸塩を白色の固体として得た。LC/MS[M+H]=522.0。C2935Sについて計算した正確な質量:522.2421;実測値:522.2418。
【0222】
(実施例9)
5−メチル−19−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−3,4−ジオキサ−18−アザトリシクロ[15.3.1.1から7,11から]ドコサ−1(21),7(22),8,10,17,19−ヘキサエン−5−アミン
【0223】
【化66】

【0224】
段階A:鈴木カップリング
5.28mL(50.4mmol)の1,4−ペンタジエンに、THF中の9−BBNの0.5M溶液を14.8mL(7.4mmol)添加した。この溶液を1.25時間、70℃に加熱し、その後、この反応物を室温に冷却し、2.2mLの3.2M NaOH(7.05mmol)および10mLの脱気トルエン中の中間体I.1.c.1(2.5g、6.7mmol)、Pd(PhP)(0.77g、0.67mmol)の溶液に移し入れた。その後、この反応物を5分間、アルゴンで脱気し、その後、蓋をし、85℃で15時間加熱した。この反応物を室温に冷却し、セライトのパッドに通して濾過し、EtOAcですすいだ。濾液をEtOAcとブラインとで分配し、有機部分を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーを用いて残留物を精製して、所望の生成物を粘稠油として単離した。LC/MS[M+H]=362.1。
【0225】
段階B:段階Aからの生成物と中間体2.2fの鈴木
段階Aにおいて説明したとおり調製した。
【0226】
段階CからF:シリル脱保護、エステル加水分解、ミツノブマクロラクトン化およびBoc脱保護の順序を、実施例9の合成において説明したとおりに行った。LC/MS[M+H]=446
【0227】
(実施例10)
5−メチル−19−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−4−オキソ−14−メチル−3−オキサ−18−アザトリシクロ[15.3.1.1から7,11から]ドコサ−1(21),7(22),8,10,17,19−ヘキサエン−5−アミン
【0228】
【化67】

【0229】
実施例9について説明したものに類似した反応順序を用い、段階Aにおいて1,4−ペンタジエンの代わりに3−メチル−1,4−ペンタジエンを使用して合成した。LC/MS[M+H]=460。
【0230】
(実施例11)
N−[(15E)−5−アミノ−5,14−ジメチル−4−オキソ−3−オキサ−18−アザトリシクロ[15.3.1.17,11]ドコサ−1(21),7(22),8,10,15,17,19−ヘプタエン−19−イル]−N−メチルメタンスルホンアミド
【0231】
【化68】

【0232】
段階A:3−メチル−1,4−ペンタジエンおよびI.1.c.1での鈴木
実施例9の合成における段階Aのとおりに調製した。
【0233】
段階B:エステルの加水分解
実施例9の合成における段階Fのとおりに調製した。
【0234】
段階C:アルキル化
DMF(7mL)中の段階Bの生成物(0.515g、1.425mmol)およびII.2.c.2(0.491g、1.55mmol)の溶液に、炭酸セシウム(0.302g、0.926mmol)を添加した。この反応物を室温で16時間攪拌させておいた。この粗製混合物をEtOAc(×3)で抽出し、DI水(×3)、飽和LiCl(×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。この粗製材料を、フラッシュクロマトグラフィー(90g シリカ、ヘキサン中0から25%のEtOAc)を用いて精製して、対応するラクトンを得た。
【0235】
段階D:分子内Heck反応
アルゴン雰囲気下、8mLの脱気無水DMF中の段階Cからの生成物(0.10g、0.17mmol)およびリン酸カリウム(0.107g、0.51mmol)の溶液に、[(t−Bu)P]Pd(0.009g、0.017mmol)を添加した。その後、全系をアルゴンで脱気した。温度を115℃に上昇させ、この温度で16時間攪拌させておいた。この粗製反応物をセライトで濾過し、酢酸エチルで洗浄した。有機層を水(×3)、ブライン(×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。得られた油をフラッシュクロマトグラフィー(40g シリカ、ヘキサン中0から25%のEtOAc)により精製した。この試料をさらに精製せずに次の段階で用いた。LC/MS[M+H]=558.1。
【0236】
段階E:Boc脱保護
実施例8の合成における段階Hのとおりに調製した。LC/MS[M+H]=458.1。
【0237】
(実施例12)
N−[14−アミノ−4,14−ジメチル−5−メチレン−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),6(21),7,9,16,18−ヘキサエン−8−イル]−N−メチルメタンスルホンアミド
【0238】
【化69】

【0239】
段階Eまで産生される実施例11の合成の段階Dにおいて第二生成物として単離して、表題化合物を得た。LC/MS[M+H]=458.1。
【0240】
(実施例13)
N−[(3E)−14−アミノ−14−メチル−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),3,6(21),7,9,16,18−ヘプタエン−8−イル]−N−メチルメタンスルホンアミド、および
N−[(3Z)−14−アミノ−14−メチル−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),3,6(21),7,9,16,18−ヘプタエン−8−イル]−N−メチルメタンスルホンアミド
【0241】
【化70】

【0242】
DCM(0.5mL)およびTFA(1.5mL)中の[(3EZ)−14−メチル−8−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),3,6(21),7,9,16,18−ヘプタエン−14−イル]カルバミン酸t−ブチル(14mg、0.026mmol)(中間体V.11.c.1)の溶液を室温で1時間攪拌した。EZ異性体の濃縮、逆相分取HPLC(0.1% TFAを含有する水中5から95%のCHCN)による精製および分離によって、N−[(3E)−14−アミノ−14−メチル−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),3,6(21),7,9,16,18−ヘプタエン−8−イル]−N−メチルメタンスルホンアミドおよびN−[(3Z)−14−アミノ−14−メチル−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),3,6(21),7,9,16,18−ヘプタエン−8−イル]−N−メチルメタンスルホンアミドをTFA塩として得た。(EまたはZ)C2227Sについて計算した正確な質量:430.1795;実測値:430.1798。(ZまたはE)C2227Sについて計算した正確な質量:430.1795;実測値:430.1801。
【0243】
(実施例14)
N−[14−アミノ−14−メチル−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),6(21),7,9,16,18−ヘキサエン−8−イル]−N−メチルメタンスルホンアミド
【0244】
【化71】

【0245】
段階A:オレフィン還元
脱気THF(2.5mL)中の[(3EZ)−14−メチル−8−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),3,6(21),7,9,16,18−ヘプタエン−14−イル]カルバミン酸t−ブチル(22.5mg、0.042mmol)(中間体V.11.c.1)の溶液に、炭素担持パラジウム(10%、3mg)を添加した。この反応物を水素雰囲気(1気圧)下で1時間攪拌し、セライトに通して濾過した。濃縮により、[14−メチル−8−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),6(21),7,9,16,18−ヘキサエン−14−イル]カルバミン酸t−ブチルを得た。MS:532.0(M+1)ES+
【0246】
段階B:Boc脱保護
DCM(0.5mL)およびTFA(0.5mL)中の[14−メチル−8−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),6(21),7,9,16,18−ヘキサエン−14−イル]カルバミン酸t−ブチル(22mg、0.041mmol)の溶液を室温で1.5時間攪拌した。濃縮および逆相分取HPLC(0.1% TFAを含有する水中5から95%のCHCN)による精製によって、N−[14−アミノ−14−メチル−13−オキソ−12−オキサ−7−アザトリシクロ[14.3.1.16,10]ヘニコサ−1(20),6(21),7,9,16,18−ヘキサエン−8−イル]−N−メチルメタンスルホンアミドをTFA塩として得た。C2229Sについて計算した正確な質量:432.1952;実測値:432.1956。
【0247】
(実施例15)
N−[13−アミノ−18−クロロ−13−メチル−14−オキソ−15−オキサ−2,20−ジアザトリシクロ[15.3.1.17,11]ドコサ−1(21),7(22),8,10,17,19−ヘキサエン−19−イル]−N−メチルメタンスルホンアミド
【0248】
【化72】

【0249】
13mL CHCl中の実施例3(0.440g、0.785mmol)の溶液にNCS(0.105g、0.785mmol)を添加し、室温で4日間、反応を進行させた。この反応物を濃縮し、分取HPLCにより精製して、表題化合物を得た。LC/MS[M+H]=481。
【0250】
一定の特別な実施形態を参照しながら本発明を説明し、例示したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく手順およびプロトコルの様々な適応、変更、変形、置換、削除または追加を行うことができることは、当業者には理解される。従って、本発明は、特許請求の範囲によって定義され、このような特許請求の範囲は、妥当なかぎり広く解釈されるものと考える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
Yは、
(1)水素、
(2)−C1−3アルキル、この場合、前記アルキルは、1つ以上のハロゲンで場合により置換され、
(3)ハロゲン、および
(4)シアノ
から成る群より選択され;
Aは、
(1)水素、
(2)−C1−10アルキル、
(3)−C2−10アルケニル、および
(4)−C2−10アルキニル
から成る群より選択され、この場合、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、非置換であるか、1つ以上の
(a)ハロ、
(b)−C3−8シクロアルキル、
(c)−OH、
(d)−CN、
(e)−O−C1−10アルキル、
(f)−C6−10アリール、または
(g)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール
で置換されており、ならびに前記アリールおよびヘテロアリール基は、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−10アルキル、
(v)−C1−10アルキル、
(vi)−C2−10アルケニル、
(vii)−C2−10アルキニル、または
(viii)−C3−8シクロアルキル
で置換されており;
は、
(1)−C6−10アリーレン、および
(2)二価ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリーレン
から成る群より選択され、この場合、前記アリーレンまたはヘテロアリーレンは、非置換であるか、1つ以上の
(a)ハロ、
(b)−C1−10アルキル、
(c)−C2−10アルケニル、
(d)−C2−10アルキニル、
(e)−OH、
(f)−CN、
(g)−O−C1−10アルキル、または
(h)−C3−8シクロアルキル;
で置換されており;
は、
(1)(R−SO)N(R)−[この式中、
は、
(a)−C1−10アルキル、
(b)−C2−10アルケニル、
(c)−C2−10アルキニル、
(d)−C3−8シクロアルキル、
(e)−C6−10アリール、または
(f)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール、
であり、この場合、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−10アルキル、
(v)−C1−10アルキル、
(vi)−C2−10アルケニル、
(vii)−C2−10アルキニル、
(viii)−C3−8シクロアルキル、
(ix)−C6−10アリール、または
(x)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール
で置換されており、ならびに前記アリールおよびヘテロアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(A)ハロ、
(B)−OH、
(C)−CN、
(D)−O−C1−10アルキル、
(E)−C3−8シクロアルキル、
(F)−C1−10アルキル、
(G)−C2−10アルケニル、または
(H)−C2−10アルキニル
で置換されており;
は、
(a)水素、
(b)−C1−10アルキル、
(c)−C2−10アルケニル、
(d)−C2−10アルキニル、
(e)−C6−10アリール、または
(f)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール
から成る群より選択され、この場合、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−10アルキル、
(v)−C3−8シクロアルキル、
(vi)−C6−10アリール、または
(vii)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール
で置換されており、この場合、前記シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(A)ハロ、
(B)−OH、
(C)−CN、
(D)−O−C1−10アルキル、
(E)−C3−8シクロアルキル、または
(F)−C6−10アリール、
で置換されており;または
およびRは連結して、基−CH(CHCH−を形成することがある];
(2)−C6−10アリール[この場合、前記アリールは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−10アルキル、
(v)−C3−8シクロアルキル、
(vi)−C1−10アルキル、
(vi)−C6−10アリール、
で置換されている];
(3)
【化2】

(4)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール[この場合、前記ヘテロアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−10アルキル、
(v)−C3−8シクロアルキル、
(vi)−C1−10アルキル、
(vii)−C(=O)−O−C1−10アルキル、
(viii)−C(=O)−OH、
(ix)−C(=O)−NR、および
(x)−NR(この式中のRおよびRは、
(A)水素、および
(B)−C1−10アルキル
から成る群より選択される。)
で置換されている];
(5)水素;および
(6)−CF
から成る群より選択され、
は、
【化3】

であり、この式中、
に至る点線が不在である場合には、Qは、
(a)−CH
(b)−O−、
(c)−NR−、
(d)−C(=O)−、および
(e)−C(=O)−NR
から成る群より選択され、この場合のRは、
(i)水素、
(ii)−C1−10アルキル、
(iii)−C2−10アルケニル、
(iv)−C2−10アルキニル、
(v)−C3−8シクロアルキル、
(vi)−C0−6アルキレン−C6−10アリール、または
(vii)−C0−6アルキレン−ヘテロアリール
(この場合、前記ヘテロアリールは、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択される)
(viii)−C0―6アルキル−C3―8シクロアルキル
から成る群より選択され、ならびに
に至る点線が、結合を表す場合には、Qは、−CH−または−CH−CH−であり、
に至る点線が不在である場合には、Rは、
(a)水素、
(b)−C1−10アルキル、
(c)−C2−10アルケニル、
(d)−C2−10アルキニル、
(e)−C3−8シクロアルキル、
(f)−C0−6アルキレン−C6−10アリール、または
(g)−C0−6アルキレン−ヘテロアリール
(この場合、前記ヘテロアリールは、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択される)
から成る群より選択され、ならびに
に至る点線が、結合を表す場合には、Rは、
(a)=CH−C1−10アルキル、
(b)=CH−C0−6アルキル−C6−10アリール
から成る群より選択され、この場合、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールR基は、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−C1−10アルキル、
(iii)−OH、
(iv)−CN、
(v)−O−C1−10アルキル、または
(vi)−C3−8シクロアルキル
で置換されており、
は、
(a)−CH−、
(b)−O−、および
(c)−NR−(この式中のRは、
(i)水素、
(ii)−C1−10アルキル、
(iii)−C2−10アルケニル、
(iv)−C2−10アルキニル、
(v)−C3−8シクロアルキル、
(vi)−C0−6アルキル−C6−10アリール、または
(vii)−C0−6アルキル−ヘテロアリール
(この場合、前記ヘテロアリールは、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択される)
から成る群より選択される)
から成る群より選択され;
は、−(CH−Q−(CHであり、この式中のQは、
(1)−O−、
(2)−NH−、
(3)−O−C(=O)−、
(4)−C(=O)−O−、
(5)−NHC(=O)−、
(6)−C(=O)−NH−、
(7)−CH=CH−、
(8)−C(=O)−、
(9)−(CH
【化4】

から成る群より選択され;
mは、0、1または2であり;
nは、0、1または2であり;
pは、1、2または3であり;
qは、1、2、3、4または5であり;
rは、0、1または2であり;
sは、0または1であり;
tは、0または1であり;ならびに
uは、0、1または2である)
の化合物およびこの医薬的に許容される塩、ならびにそれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項2】
Yが、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、フェニレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、−(CH−Q−(CHであり、この式中のQが、
(1)−O−(この場合、sおよびtは、1である)、
(2)−O−C(=O)−(この場合、sは、1であり、tは、0である)、
(3)
【化5】

(この場合、sおよびtは、0である)、および
(4)
【化6】

(この場合、sおよびtは、0である)
から成る群より選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
nおよびmが、各々、1である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Aが、
(1)水素、および
(2)−C1−10アルキル(この場合、前記アルキルは、非置換であるか、1つ以上の
(a)ハロ、
(b)−C3−8シクロアルキル、
(c)−CN
(d)−O−C1−10アルキル、
(e)−C6−10アリール、または
(f)ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラゾリル、フラニル、イミダゾリル、トリアジニル、ピラニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インジニルおよびベンズオキサゾリルから成る群より選択されるヘテロアリール
で置換されている)
から成る群より選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が、(R−SO)N(R)−であり、この式中のRが、−C1―6アルキル(この場合、前記アルキルは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−6アルキル、または
(v)−C1−6アルキル、
で置換されている)であり、Rが、
(a)水素、
(b)−C1―6アルキル、
(c)−C6―10アリール
(この場合、前記アルキルおよびアリールは、非置換であるか、1つ以上の
(i)ハロ、
(ii)−OH、
(iii)−CN、
(iv)−O−C1−6アルキル、
(v)−C1−6アルキル
で置換されている)
から成る群より選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
が、非置換であるかシアノで置換されているフェニルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が、
【化7】

(式中、qは、1、2または3である)
である、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
が、
【化8】

であり、この式中のQが、
(a)N、および
(b)C−R
から成る群より選択され、この場合のRは、
(i)−CN、
(ii)−C(=O)−O−C1−10アルキル、
(iii)−C(=O)−OH、
(iv)−C(=O)−NR、および
(v)−NR
(この式中のRおよびRは、
(A)水素、および
(B)−C1−10アルキル
から成る群より選択される)
から成る群より選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
に至る点線が不在であり、QがNRであり、Rが水素であり、nが1である、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
に至る点線が不在であり、QがOであり、nが1である、請求項1から10のいずれかに1項に記載の化合物。
【請求項13】
に至る点線が、−C(=O)−NRであり、Rが水素であり、nが1である、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
に至る点線が不在であり、Rが、
(a)水素、
(b)−C1−10アルキル、または
(c)−C0―6アルキレン−C6―10アリール
から成る群より選択され、この場合、前記アルキルまたはアリールが、非置換であるか、1つ以上のハロゲンで置換されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
がCHであり、mが1であり、rが0である、請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
式(II):
【化9】

の化合物およびこの医薬的に許容される塩、ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物の治療有効量と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、β−セクレターゼ活性の阻害をこの必要がある哺乳動物において行うための方法。
【請求項19】
請求項1に記載の化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、アルツハイマー病の治療をこの必要がある患者において行うための方法。

【公表番号】特表2008−520727(P2008−520727A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543382(P2007−543382)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/042233
【国際公開番号】WO2006/057983
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】