説明

アルツハイマー病を治療するため及びベータアミロイドペプチドの産生を阻害するための化合物

本発明は、有効量のダンマラン又はジンセノサイド化合物を対象に投与することによりアルツハイマー病を治療及び予防するための化合物及び方法を提供する。該発明は同様に、細胞中のAβ42を含むベータ−アミロイドタンパク質の産生を調節するための組成物及び方法をも提供する。該発明はさらに、有効量のダンマラン又はジンセノサイド化合物を対象に投与することにより神経変性を治療し予防するための組成物及び方法をも提供する。さらに、該発明は、アルツハイマー病及び神経変性を治療及び/又は予防する上で使用するためならびにベータ−アミロイドタンパク質の産生を低減させるためのキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書に参考として内含されている2004年8月28日付けの米国非仮出願第10/834,773号の利益を請求するものである。
【0002】
政府利権に関する供述
本発明は一部、NIH補助金交付第R01NS43467号の下での政府の支援を受けて実施されたものである。従って、米国政府は本発明に対し一定の権利を有する可能性がある。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、場合によっては正常な社会的及び/又は職業的能力の維持を不可能にする認知機能の進行性で容赦のない喪失を特徴とする神経変性疾患である(Francis et al., 培養された新生児星状細胞内のニューレグリン及びErbBレセプタ、J. Neunosci., 57:487-94, 1999年)。アルツハイマー病は、年令に関係する痴呆の最も一般的な形態であり、米国において最も重大な健康問題の1つである。およそ400万人のアメリカ人がアルツハイマー病を患い、年間で少なくとも1000億ドルの費用を消費しており、このためアルツハイマー病は最もコストのかかる加齢障害の1つとなっている。アルツハイマー病は男性よりも女性において約2倍多く見られるものであり、高齢者における痴呆の65%超を占めている。アルツハイマー病は米国で第4番目の主要死因である。これまでのところ、アルツハイマー病の治療に利用できる方法はなく、認知減退は避けることができない。該疾患は20年も継続し得るが、AD患者はその疾患の診断を受けた後平均8〜10年間存命するのが普通である。
【0004】
アルツハイマー病の病因は、大脳皮質内の神経突起又は老人斑(アミロイド核のまわりのグリア細胞、星状細胞及び神経突起から成る)及び神経原繊維のもつれ(対合らせん状フィラメント及びタウタンパク質)の量が過剰になることと結びつけられている。老人斑及び神経原繊維のもつれは正常な加齢と共に起こるものの、アルツハイマー病を有する人においてはるかに優勢である。特異的タンパク質異常も又アルツハイマー病において発生する。特にADは、脳内のアミロイド斑内へのアミロイドβ−ペプチド(Aβ)の被着によって特徴づけされる(Selkoe, et al. (2001)「アルツハイマー病:遺伝子、タンパク質及び療法」。Physiol Rev. 81, 741-66; Hardy and Selkoe (2002)。「アルツハイマー病のアミロイド仮説:治療学に向かっての進歩と問題点」Science 297,2209)。Aβは、β−及びγ−セクレターゼと呼ばれる一組の膜結合プロテアーゼによりアミロイド前駆体タンパク質(APP)の逐次的タンパク質分解分割により生成される(Vassar及びCitron (2000) 「Abeta生成酵素:ベータ及びガンマセクレターゼ研究における最近の進歩」 Neuron 27, 419-422; John, et al. (2003) 「ヒトベータ−セクレターゼ (BACE) 及びBACE 阻害物質」J. Med Chem. 46, 4625-4630; Selkoe及びKopan (2003) 「ノッチ及びプレセニリン;調節された膜内タンパク質分解が発達と変性とを結びつける」 Annu. Rev Neurosci. 26, 565-597; Medina 及びDotti (2003) プレセニリン依存性ガンマセクレターゼによる切断。Cell Signal 15, 829-841)。AβのC末端端部における不均一β−セクレターゼは、Aβ40及びAβ42というAβの2つの主要なイソ型を産生する。Aβ40は主な分解産物であるものの、さほど豊富でないきわめてアミロイド生成性の高いAβ42はADにおける主要な病原因子の1つであると考えられており(Selkoe (2001)、「アルツハイマー病;遺伝子、タンパク質及び療法」Physiol Rev. 81, 741-66)、大脳皮質Aβ42の増加は、ADに付随するシナプス/ニューロン機能不全と密に関係する(Selkoe、「アルツハイマー病はシナプス障害である」、Science 298, 789~791 (2002))。
【0005】
プレセニリンは、アミロイドベータタンパク質を生成する、アミロイドベータ前駆体タンパク質(APP)を含む、選択されたI型膜タンパク質の膜内タンパク質分解のために必要とされている(De Strooper et al., 「プレセニリン−1の欠乏がアミロイド前駆体タンパク質の正常な分割を阻害する」Nature 391: 387-90, 1998; Steiner及びHaass, 「プレセニリンによる膜内タンパク質分解。Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 1: 217-24, 2000; Ebinu及びYankner. ニューロンシグナル形質導入における激流(rip tide)」Neuron 34; 499-502, 2002; De Strooper及びAnnaert, 「プレセニリン及びタンパク質の膜内タンパク質分解;事実とフィクション」Nat. Cell Biol. 3: E221-25, 2001; Sisodia及びGeorge-Hyslop, 「γ−セクレターゼ、ノッチ、α−ベータ及びアルツハイマー病;どこにプレセニリンが適合するか?」Nat. Rev. Neurosci. 3: 281-90, 2002)。このようなタンパク質分解は、線虫、ハエ及び哺乳動物を含めた種の壁を越えて高度に保存されるものとして知られているプレセニリン依存性β−セクレターゼ機構により媒介され得る(L'Hernault及びArduengo.「Caenorhabditis elegansにおける推定上の精虫膜タンパク質は、精虫の分化を防止するもののそれに付随する減数分裂は防止しない」J. Cell. Biol. 119:55-58, 1992; Levitan及びGreenwald, 「Caenorhabditis elegans S182 アルツハイマー病遺伝子であるsel−12によるlin−12媒介シグナリングの促進」Nature 377:351-54, 1999; Li及びGreenwald, HOP-1, 「Caenorhabditis elegansプレセニリンはSEL−12プレセニリンと機能的冗長性をもちLIN−12及びGLP−1シグナリングを促進すると思われる」Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94; 12204-209, 1997; Steiner及びHaass, 「プレセニリンによる膜内タンパク質分解」Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 1; 217-24, 2000; Sisodia及びGeorge-Hyslop, 「γ−セクレターゼ、ノッチ、α−ベータ及びアルツハイマー病;どこにプレセニリンが適合するか?」Nat. Rev. Neurosci. 3: 281-90, 2002)。
【0006】
プレセニリンヘテロ2量体及びニカストリンを宿す高分子量の多タンパク質複合体であるγ−セクレターゼは、アルツハイマー病におけるAβ産生の中の最終段階を媒介する(Li et al., 「プレセニリン1は、洗浄剤可溶化状態でβ−セクレターゼ活性と結びつけられる」Proc. Natl. Acad. Sci, USA 97: 6138-43, 2000; Esler, et al., 「プレセニリン−γ−セクレターゼ複合体の活性依存性単離はニカストリン及びガンマ基質を明らかにする」Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99: 2720-25, 2002)。(短寿命プールから長寿命プールに転換させられた)プレセニリンヘテロ2量体の安定化は、γ−セクレターゼ活性にとってきわめて重要であると思われる(Thinakaran, et al., 「プレセニリンレベル(PS1及びPS2)が細胞因子を制限するため競合により協調的に調節されているという証拠」J. Biol. Chem. 272: 28415-422, 1997; Tomita, et al., 「プレセニリンの安定化、複合体形成及びガンマセクレターゼ活性のためにプレセニリンのC末端にあるPALPモチーフの第1プロリンが必須である」J. Biol. Chem.276: 33273-281, 2001)。γ−セクレターゼ活性は、標的膜内外分割部位近くで非常に緩んだ配列特異性を表示し、ノッチを含めたその他の非APPI型膜基質の膜内分割を媒介することが示されてきた(Schrocter, E. H., et al. (1998)。「ノッチ−1シグナリングが細胞内ドメインのリガンド誘発されたタンパク質分解放出を必要とする」。Nature 393, 382-386; De Strooper, et al. (1999)「プレセニリン−1−依存性ガンマ−セクレターゼ様のプロテアーゼが、ノッチ細胞内ドメインの放出を媒介する」Nature 398: 518-522)、ErbB4 (Lee, et al. (2002)「ErbB4のプレセニリン依存性ガンマ−セレクターゼ様の膜内分割」J. Biol. Chem. 277, 6318-6323; Ni, et al. (2001)「ErbB-4レセプタチロシンキナーゼのガンマ−セレクターゼ分割及び核局在化」Science 294, 2179-2181)、及びp75ニューロトロフィンレセプタ(p75NTR)(Jung, et al. (2003)「p75ニューロトロフィンレセプタの調節された膜内タンパク質分解がTrkAレセプタとのその会合を調節する」J. Biol. Chem. 278, 42161-42169)。β−セクレターゼ活性の一般的閉塞は、Aβの生成を根絶するばかりでなく、これらの基質の適切な細胞機能に必要とされるその他の細胞β−セクレターゼ基質の正常なプロセッシングを阻害することが予測されている。かくして、γ−セクレターゼ活性の完全な阻害は潜在的に重大な副作用を導く可能性がある(Doerfler, et al., Links Free in PMC「プレセニリン依存性ガンマセレターゼ活性が胸腺細胞の発達を調節する」(2001) Proc Natl. Acad. Sci USA 98, 9312-9317; Hadland, et al 「ガンマ−セレクターゼ阻害物質が胸腺細胞の発達を抑制する」Proc Natl. Acad. Sci USA 98, 7487-7491)。さらに安全なアプローチは、理想的には、他のγ−セクレターゼ基質の膜内タンパク質分解に影響を及ぼすことなくAβ42生成を選択的に削減しうる試薬を使用することにあると思われる。一例として、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)のサブセットがErbB4のγ−セクレターゼ媒介分割に有意な影響を及ぼすことなく、Aβ42の産生を減少させること(Weggen et al. (2001)「NSAIDのサブセットが、シクロオキレゲナーゼ活性とは独立してアミロイド生成性のAbeta42を低下させる」Nature 414, 212-216)が示された(Weggen, et al. (2003)。Abeta42−低下性非ステロイド系抗炎症薬がアミロイド前駆体タンパク質(APP)及びErbB-4レセプタの膜内分割及びAPP細胞内ドメインを通したシグナリングを保存するJ. Biol. Chem. 278, 30748-30754)。従って、(その他のγ−セクレターゼ基質の切断に影響を及ぼすことなく)Aβ42産生を選択的に削減することのできる小分子が、ADを治療するための治療用試薬として魅力的かつ将来性あるものである。
【0007】
早期発症の家族性アルツハイマー病(FAD)の大部分の症例は、プレセニリンタンパク質をコードする2つの関連する遺伝子すなわちPS1及びPS2の中の突然変異によってひき起こされる(Tanzi, et al., 「家族性アルツハイマー病の原因となる遺伝子の欠陥」Neurobiol. Dis. 3: 159-68, 1996; Hardy, I., 「アミロイド、プレセニリン及びアルツハイマー病」Trends Neurosci. 20: 154-59, 1997; Selkoe, D. J.,「アルツハイマー病:遺伝子、タンパク質及び療法」Physiol. Rev. 81:741-66, 2001)。プレセニリンのFAD関連突然変異は、より長く(42アミノ酸残基)よりアミロイド生成度の高い形態のアミロイドベータ(Aβ42)の産生の増加をひき起こす。プレセニリンと結びつけられる病理生物学を解読することによって、アルツハイマー病の分子的基礎を解明する唯一の機会が得られる。過剰のベータアミロイド産生がADの特徴である痴呆の裏に潜むニューロン変性をひき起こすという疑いがもたれている。
【0008】
朝鮮人参は、一連の疾病を治療するための薬及び一般的な健康強壮剤として何千年にもわたり専らアジアで使用されてきたPanax族の植物の乾燥根に与えられた一般名である(Cho, et al. (1995)「高麗人参の薬理作用」Society for Korean Sinseng(編)内;「高麗人参を理解する、Seoul: Hanlim Publishers, pp 35-54; Shibata S. (2001)「朝鮮人参のサポニン及びいくつかの関連するトリテルペノイド化合物の化学的性質及び癌予防活性」J Korean Med Sci. 16 Suppl: S28-37; Attele, et al. (1999); 「朝鮮人参薬理学;多数の成分そして多数の作用」Biochem Pharmacol. 58: 1685-1693; Coleman, et al. (2003) 「生活の質に対するPanax 朝鮮人参の効果」J. Clin Pharm. Ther. 28, 5-15; Coon及びErnst (2002)。Panax 朝鮮人参:有害効果及び薬物相互作用の系統的再考」Drug Saf. 25:323-44)。Panax属は、東アジア固有の約6つの種と北米東部に固有の2つの種を含む。Panax 朝鮮人参(アジア産朝鮮人参)及びPanax quinque folius L. (北東産朝鮮人参)は、栄養補給食品及び医薬組成物の中で最も一般的に使用されている2つの種である。根及びその抽出物は、サポニンを含めたさまざまな物質を含有する。
【0009】
朝鮮人参は、肝機能の改善及び免疫増強、ならびに抗アテローム性動脈硬化症、抗血栓、抗ストレス、抗糖尿病、抗高血圧及び抗腫瘍効果を含めた特異的薬理学効果を有するものとして周知であった。朝鮮人参の根から単離されるいくつかの種類の化合物の中で、朝鮮人参サポニンは、その薬理学的効果に貢献する化学成分であることが知られている。これらの化合物は、ジンセノサイドRx(xはその極性に応じて「a」から「k」までの指標である)と呼ばれるトリテルペングリコシドである。極性は、薄層クロマトグラフィプレート上でのその移動度によって決定され、分子の糖鎖内の単糖残基の数の関数である。
【0010】
これまでに、白色及び赤色朝鮮人参から少なくとも31のジンセノサイドが単離されてきた。ジンセノサイドは全て、そのアグリコンに応じて3つのグループ、すなわちプロトパナキサジオール型ジンセノサイド(例えばRb1、Rb2、Rc、Rd、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rh2)、プロトパナキサトリオール型ジンセノサイド(例えばRe、Rf、Rg1、Rg2、Rh1)及びオレアノール酸型ジンセノサイド(例えばR0)に分けることができる。プロトパナキサジオール型及びプロトパナキサトリオール型のジンセノサイドは両方共、ダンマランとして知られるトリテルペン主鎖構造を有するAttele, et al. (1999)「朝鮮人参薬理学:多数の成分そして多数の作用」Biochem. Pharmacol. 58: 1685-1693)。Rk1、Rg5(20R)Rg3及び(20S)Rg3は、ほぼ熱加工された朝鮮人参の中にのみ存在し、未加工朝鮮人参の中には微量元素としての存在すら発見されていないジンセノサイドである(Kwon, et al. (2001)「加工された朝鮮人参内の比較的極性の低いジンセノイドの液体クロマトグラフィによる決定。J. Chromatogr. A. 921; 335-339; Park, et al. (2002);「加工済み朝鮮人参からの細胞毒性ダンマラングリコシド」Chem Pharm. Bul. 50, 538-540 Park, et al. (2002);「熱加工済み朝鮮人参からの3つの新しいダンマラングリコシド」Arch, Pharm. Res. 25, 428-432; Kim, et al. (2000);「高温での朝鮮人参の蒸気処理が生物活性を増強するJ. Nat. Prod. 63:1702-1702」。グリコピラノシル、アラビノピラノシル、アラビノフラノシル及びラムノピラノシルを含む炭水化物を、特定のジンセノサイドと化学的に会合させることもできる。
【0011】
高温での蒸気による朝鮮人参の加工は、新しい薬理学的活性を有するように思われるこれらの独特の朝鮮人参Rk1、Rg5、(20R)Rg3及び(20S)Rg3、の含有量をさらに高める。朝鮮人参の有益な品質の少なくとも一部分は、ジンセノサイドと集合的に呼ばれるグルコシド混合物であるそのトリテルペン含有量に由来すると言うことができる。
【0012】
米国特許第5,776,460号は、増強された薬理学的効果をもつ加工済み朝鮮人参製品を開示している。商業的に「熱処理朝鮮人参(sun ginseng)」として知られているこの朝鮮人参製品は、特定時間の高温での朝鮮人参の熱処理に起因して有効薬理学成分を増大したレベルで含有する。米国特許第5,776,460号に特定的に開示されているように、朝鮮人参の熱処理は、0.5〜20時間120℃〜180℃の温度で実施でき、好ましくは2〜5時間、120〜140℃の温度で実施される。加熱温度が高くなればなるほど比較的短い加熱時間しか必要でなくなるのに対し加温温度が低くなればより長い加熱時間が必要となるといったように、加熱時間は加熱温度に応じて変動する。
【0013】
米国特許第5,776,460号はまた、加工済みの朝鮮人参製品が、酸化防止活性及び血管拡張活性を特定的に含む薬理学的特性を有することをも開示している。本発明は、米国特許第5,776,460号に開示されている熱加工済み朝鮮人参製品の独特の成分が細胞内の産生Aβ42を有意に低下させることを初めて実証している。これらの独特の成分には、ジンセノサイド(20S)Rg3、(20R)Rg3、Rg5及びRk1及びその類似体が含まれる。
発明の要約
【0014】
本発明は、アルツハイマー病を予防し治療するための化合物及び方法を提供する。発明者らは、Aβ42産生を調節することによりアルツハイマー病に関係する痴呆を含むアルツハイマー病の治療に有用な化合物を同定した。具体的には、発明者らは、「熱処理朝鮮人参」として知られている熱加工済み朝鮮人参の独特の成分である少なくとも3つのジンセノサイド Rk1、(20S)Rg3及びRg5ならびに(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5及びRk1の混合物であるRgb351が哺乳動物細胞内のAβ42の産生を低下させるということを発見した。Rgk351及びRk1はAβ42レベルを低下するのに最も効果的であった。さらに、Rk1は、部分的に精製されたγ−セクレターゼ複合体を用いた無細胞アッセイにおいてAβ42の産生を阻害することが示されており、これはRk1がγ−セクレターゼ酵素の特異性及び/又は活性のいずれかを調節することを示唆している。
【0015】
さらに、インビトロでAβ42減少活性を全く擁していないことが発見された一部のジンセノサイドはインビボでAβ42を削減する上で有効である。例えば、Rg1といったような20(S)−プロトパナキサトリオール(PPT)群のジンセノサイドは、経口摂取の後PPTに転換され得る。Rg1は一般にインビトロでいかなるアミロイド減少活性も有していないが、Rg1を活性化合物PPTに転換させることは可能である。
【0016】
従って、本発明は、細胞内のアミロイドベータ産生を調節する上で使用するための単離されたダンマラン及びジンセノサイド及びその類似体及び相同体を提供する。
【0017】
本発明のジンセノサイド類似体及び相同体は一般構造I及びIIを有する。該ジンセノサイド類似体は、有機合成によって調製される化合物及び天然に発生するジンセノサイドの代謝産物であってよい。一般構造Iは、
【化1】

を含み、
【0018】
ここでR1はH又1又は複数の糖、例えば、Glc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl、又はこれらの糖のアシル化誘導体を含む炭水化物であってよく;R2はH、OH又は1又は複数の糖、例えば、Glc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらの糖のアシル化誘導体を含む炭水化物であってよく;R3は、H又は1又は複数の糖、例えば、Glc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらの糖のアシル化誘導体を含む炭水化物であってよい。
【0019】
一般構造式IIは、
【化2】

を含み、
【0020】
ここでR1はH又は1又は複数の糖、例えば、Glc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl、又はこれらの糖のアシル化誘導体を含む炭水化物であってよく;R2はH、OH又は1又は複数の糖、例えば、Glc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl、又はこれらの糖のアシル化誘導体を含む炭水化物であってよく;そしてR3は、ヒドロキシル若しくはエポキシ基を含有し得るアルキル又はアルケニルであり得る。一例としては、ヒドロキシ又はエポキシ基は以下の構造に対して含むことができるが、これらに制限されるわけではない:
【化3】

【0021】
本発明のジンセノサイド及びジンセノサイド組成物は、ジンセノサイド、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、Rgk351、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体を含むがこれらに制限されるわけではない。好ましくは、ジンセノサイド又はジンセノサイド化合物は、Rgk351、(20S)Rg3、Rk1及びRg5から成る群から選択される。
【0022】
本発明は、かかる治療を必要としている対象に単離されたジンセノサイド化合物を投与することにより、かかる対象の体内の神経変性を治療又は予防する方法をさらに提供する。本発明のジンセノサイド及びジンセノサイド組成物は、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、Rgk351、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体を含むがこれらに制限されるわけではない。好ましくは、ジンセノサイド又はジンセノサイド化合物は、Rgk351、(20S)Rg3、Rk1及びRg5から成る群から選択される。
【0023】
本発明は、かかる治療を必要としている対照の体内のアルツハイマー病を治療又は予防する方法をさらに提供する。該ジンセノサイド及びジンセノサイド組成物は、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、Rgk351、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体を含み得るが、好ましくは、該ジンセノサイド又はジンセノサイド化合物は、Rgk351、Rk1及びRg5から成る群から選択される。
【0024】
細胞内のベータ−アミロイド産生を調節及び/又は削減させるか又はアルツハイマー病を治療又は予防する一定の化合物も同様に提供される。1つのこのような化合物は、
【化4】

といった一般構造式を含み、ここでR1はGlc−Glc又はHであってよく、R2は−O−Glc−Rha、−O−Glc、−OH又はHであってよい。
【0025】
これらの化合物のうちの他のものは
【化5】

といった一般構造式を含み、ここでR1はGlc−Glc、H又はGlcであってよく、R2は−O−Glc、−OH又は−Hであってよい。
【0026】
該発明により提供される更なる化合物は
【化6】

という一般構造式を含み、
【0027】
ここでR1はGlc−Glc、Glc又はH−であってよく、R2は−O−Glc−Rha、−O−Glc、−OH又はHであってよい。これらの化合物の各々ならびにその類似体又は相同体の各々は、グルコピラノシル、アラビノピラノシル、アラビノフラノシル及びラムノピラノシルを含めた(ただしこれらに制限されるわけではない)炭水化物と化学的に会合させることができる。
【0028】
本発明はまた、医薬的に許容される担体及びジンセノサイド化合物を含む、対象の体内でベータ−アミロイドの産生を調節及び/又は削減させかつアルツハイマー病を治療又は予防するための医薬組成物をも提供する。1実施形態においては、ジンセノサイドは(20S)Rg3又はその誘導体である。もう1つの実施形態においては、ジンセノサイドはRk1又はその誘導体である。さらにもう1つの実施形態においては、ジンセノサイドはRg5又はその誘導体である。さらにもう1つの実施形態においては、ジンセノサイド組成物は、(20S)Rg3、(20R)Rg3、Rg5及びRk1の混合物であるRgk351である。
【0029】
本発明は更に、単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイドの混合物を含む、細胞内でのアミロイドベータの産生を調節する上で使用するため、アルツハイマー病を治療又は予防するため及び神経変性を予防するためのジンセノサイド組成物において、1又は複数のジンセノサイドが、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体から成る群から選択されるジンセノサイド組成物をも提供する。該発明の1実施形態においては、該ジンセノサイドはRgk351である。
【0030】
さらに本発明は、有効量のジンセノサイド化合物と細胞を接触させることを含む、細胞内でのベータ−アミロイドの産生を調節するための方法を提供する。該ジンセノサイド又はジンセノサイド組成物は、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、Rgk351、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体であり得るが、好ましくはRgk351、(20S)Rg3、Rk1及びRg5又はその類似体又は相同体から成る群から選択される。
【0031】
本発明は、かかる治療を必要としている対照に単離されたジンセノサイド化合物又はジンセノサイドの組合せを投与することにより、かかる対象の体内の神経変性又はアルツハイマー病を治療又は予防する方法をさらに提供する。本発明のジンセノサイド及びジンセノサイド組成物は、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、Rgk351、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体を含むがこれらに制限されるわけではない。好ましくは、ジンセノサイド又はジンセノサイド化合物は、Rgk351、(20S)Rg3、Rk1及びRg5から成る群から選択される。
【0032】
更に、該発明は、特定のジンセノサイド化合物又は複数のジンセノサイド化合物の混合物を含む、細胞内のベータ−アミロイド産生を調節するため、そしてアルツハイマー病を治療又は予防するためのキットを提供する。
【0033】
本発明の更なる態様は、以下の記述をかんがみて明らかとなることだろう。
【0034】
本発明の付加的な態様は、以下の記述に照らして明らかになることだろう。
発明の詳細な説明
【0035】
本発明において、アルツハイマー病、神経変性を治療するため及びアミロイドベータタンパク質(Aβ)の産生を調節するための化合物及び方法が提供されている。本明細書で開示されている通り、「ジンセノサイド」という用語は、特定の化合物、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体を内含し得るトリテルペングリコシドのクラスを意味する。本発明のジンセノサイドは、グルコピラノシル、アラビノピラノシル、アラビノフラノシル及びラムノビラノシルを含む(ただしこれらに制限されるわけではない)炭水化物と化学的に会合させることができる。本発明のジンセノサイドは、単離されたジンセノサイド化合物又は単離されさらに合成されたジンセノサイドであってよい。本発明の単離されたジンセノサイドはさらに、一般に当業者にとって既知である熱、光、化学、酵素又はその他の合成プロセスを含む(ただし必ずしもこれらに制限されるわけではない)プロセスを用いて合成可能である。
【0036】
さらに本発明は、単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイドの混合物を含む、細胞内でのアミロイドベータの産生を調節する上で使用するため、アルツハイマー病を治療又は予防するため及び神経変性を予防するためのジンセノサイド組成物において、1又は複数のジンセノサイドが、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体から成る群から選択されるジンセノサイド組成物をも提供する。該発明の1実施形態においては、該ジンセノサイドはRgk351である。
【0037】
本発明は、医薬的に許容される担体とジンセノサイド化合物の使用を含む、アミロイドベータ産生を減少させる上で使用するための方法及び医薬組成物を提供する。医薬的に許容される担体、医薬組成物の処方及び製剤を調製する方法の例が本明細書に記述されている。該医薬組成物は、本明細書で開示されているように神経変性及び/又はそれに付随する症候(学)を含めたさまざまな障害を治療するべく対象に対して本発明のダンマラン及びジンセノサイド化合物を投与するために有用である。ジンセノサイドは、該医薬組成物が投与される対象の体内で障害(例えば神経変性)を治療するのに有効である量で提供される。上述のように当業者であれば容易にこの量を決定できる。
【0038】
本発明は同様に、細胞中のアミロイドベータ産生を減少させるのに有効な量のジンセノサイド化合物又は組成物と、対象の体内の細胞(好ましくはCNSの細胞)を接触させることで神経変性を治療することによって、治療を必要としている対照の体内の神経変性を治療する方法をも提供する。本発明の方法によって治療可能な神経変性の例としては、制限的な意味なく、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、ビンスワンゲル病、大脳皮質基底核変性症(CBD)、弁別的組織病理(学)(DLDH)が欠如した痴呆(DLDH)、前頭側頭骨痴呆(FTD)、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、重症筋無力症、パーキンソン病、ピック病及び進行性核上麻痺(PSP)が含まれる。本発明の好ましい実施形態においては、神経変性はアルツハイマー病(AD)又は散発性アルツハイマー病(SAD)である。本発明のさらなる実施形態においては、アルツハイマー病は早期発症家族性アルツハイマー病(FAD)である。当業者であれば、神経変性の臨床的症候がいつ改善された又は最小化されたかを容易に決定できる。
【0039】
本発明はまた、神経変性を治療するのに有効な量で1又は複数のジンセノサイド化合物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における神経変性を治療又は予防するための方法をも提供する。本明細書で使用される「神経変性を治療するのに有効な」という語句は、神経変性の臨床的機能障害又は症候を改善又は最少化するのに有効であることを意味する。例えば、神経変性がアルツハイマー病である場合、該神経変性の臨床的機能障害又は症候は、アミロイドベータの産生及び老人斑及び神経原繊維のもつれの発生を削減し、かくして認知機能の進行性喪失を最少化するか又は減衰させることによって改善又は最少化することができる。治療を必要としている対象において神経変性を治療するのに有効である阻害物質の量は、その神経変性の種類、神経変性の病期、対象の体重、対象の状態の重症度及び投与方法を含めた、各症例の特定の要因に応じて変動することになる。この量は、当業者により容易に決定することができる。
【0040】
該発明の1実施形態においては、アルツハイマー病は、アルツハイマー病を治療するのに有効である治療上有効な量のジンセノサイド組成物、ジンセノサイド又はその類似体又は相同体を該治療を必要とする対象に対し投与することにより、該対象において治療される。該対象は好ましくは哺乳動物(例えばヒト及びウシ、イヌ、サル、マウス、ブタ及びラットを含めた家畜及び商用動物)であり、最も好ましくはヒトである。本発明で使用される類似体という用語は、もう1つのものに構造的に類似しており理論的にはそれから誘導可能であり得るが組成がわずかに異なっている化学化合物を意味する。例えば、ジンセノサイド(20S)Rg3の類似体は、(20S)Rg3とわずかに異なり(例えば、異なる元素の原子による1つの原子の交換において又は特定の官能基の存在において異なる場合など)、かつ(20S)Rg3から誘導可能である化合物である。本発明で使用されている相同体という用語は、各成員が恒常な化学的単位だけ隣接する成員と異なっている一連の化合物の成員を意味する。本発明において使用される「合成する」という用語は、当該技術分野において既知の合成プロセスを用いてその構成部分から特定の化学化合物を形成することを意味する。かかる合成プロセスには、例えば、特定の化学化合物を形成するための光、熱、化学的、酵素的又はその他の手段の使用が含まれる。
【0041】
本明細書で使用される通りの「治療上有効な量」又は「有効量」という用語は、一回又は複数回用量でアルツハイマー病に関係する臨床的機能障害、症候群又は合併症を予防、治ゆ、改善又は少なくとも最少化するのに必要である該発明に従った組成物の量を意味する。アルツハイマー病を治療するのに有効なジンセノサイドの量は、アルツハイマー病の病期又は重症度、対象の体重、対象の状態及び投与方法を含めた各症例の特定の要因に応じて変動することになる。当業者であれば、これらの量を容易に決定することができる。例えば、アルツハイマー病の臨床的機能障害又は症候は、対象が患っているいずれかの痴呆その他の不快状態を減少させること;対象の生存時間をかかる治療が無かった場合にその他の形で予測されるもの以上に延長すること;又はアルツハイマー病の進行を阻害又は防止することによって、改善又は最少化することができる。
【0042】
本明細書で使用されているアルツハイマー病の治療というのは、制限的な意味なく神経変性、老人斑、神経原繊維のもつれ、神経伝達物質の欠損、痴呆及び老化を含めた、アルツハイマー病の裏にひそむ状態のうちのいずれか1つ又は複数のものの治療を意味する。本明細書で使用されるアルツハイマー病の予防には、アルツハイマー病の開始を防止すること、アルツハイマー病の開始を遅延させること、アルツハイマー病の進行又は前進を防止すること、アルツハイマー病の進行又は前進を減速させること、及びアルツハイマー病の進行又は前進を遅延させることが含まれる。
【0043】
本発明以前には、ベータアミロイドタンパク質の産生に対するダンマラン及びジンセノサイドの効果は未知であった。本発明は、アルツハイマー病患者を予防及び治療する目的にも(20S)Rg3、Rk1及びRg5又はその類似体又は相同体といったジンセノサイドを使用できるということを実証している。この新しい療法は、Aβ42の産生を調節することによりアルツハイマー病に関係する痴呆及び神経変性を治療しかつ予防するための比類なき戦略を提供する。さらに、アルツハイマー病に関係しない痴呆及び神経変性も同様に、Aβ42の産生を調節するための本発明のジンセノサイドを使用して治療又は予防可能である。
【0044】
本発明のジンセノサイドは、ジンセノサイド生物活性を有する天然の又は合成の機能的変異体ならびにジンセノサイド生物活性をもつジンセノサイドのフラグメントをも内含する。本明細書でさらに使用される「ジンセノサイド生物活性」という用語は、アミロイドβ−ペプチドの42アミノ酸イソ型であるアミロイド生成性の高いAβ42の生成を調節する活性を意味する。該発明の1実施形態においては、ジンセノサイドは、対象の細胞内のAβ42の生成を削減する。一般に知られているジンセノサイド及びジンセノサイド組成物としては、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、Rgk351、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体が含まれるがこれらに制限されるわけではない。該発明のもう1つの実施形態においては、ジンセノサイドは(20S)Rg3である。さらなる実施形態においては、ジンセノサイドはRg5である。さらにもう1つの実施形態においては、ジンセノサイド組成物は、(20S)Rg3、Rg5及びRk1の混合物であるRgk351である。
【0045】
Rk1、(20S)Rg3及びRg5といったジンセノサイドならびにその類似体又は相同体を調製する方法は、当該技術分野において周知である。例えばその開示全体が本明細書に内含されている米国特許第5,776,460号は、ジンセノサイド(Rg3+Rg5)対(Rc+Rd+Rb1+Rb2)の比が1.0より大きい加工済み朝鮮人参製品の調製について記述している。米国特許第5,776,460号で開示されている加工済み製品は、0.5〜20時間、120℃〜180℃の高温で朝鮮人参を熱処理することによって調製される。本発明のジンセノサイドは、単離されたジンセノサイド化合物であるか又は単離されさらに合成されたジンセノサイド化合物である。本発明の単離されたジンセノサイドはさらに、熱、光、化学的、酵素的その他の当業者にとって一般に既知である合成プロセスを含む(ただしこれらに制限されるわけではない)プロセスを用いてさらに合成可能である。
【0046】
本発明の方法においては、ジンセノサイド化合物は、1又は複数の異なるジンセノサイド化合物と組み合わせた形で対象に投与される。1又は複数の異なるジンセノサイド化合物「と組み合わせた形での」ジンセノサイド化合物の投与というのは、治療薬の併用を意味する。併用は、同時、逐次的又は交互に行われ得る。同時併用というのは、異なるジンセノサイド化合物が基本的に同時に投与されることを意味する。同時併用については、2つ以上の異なるジンセノサイドでの治療の治療単位は同時に実行され得る。例えば、物理的に互いに会合状態にある一定量の特定のジンセノサイド化合物と一定量の第2の異なるジンセノサイド化合物を両方共含有する単一の組合わされた製剤を、対象に投与することができる。単一の組合わされた製剤は、対象に対し経口投与され得る、両方のジンセノサイド化合物の量を含有する経口製剤か、又は対象に対し注射され得る両方のジンセノサイド化合物の量を含有する液体混合物で構成されていてよい。
【0047】
一定量の1つの特定のジンセノサイド化合物と一定量の1又は複数の異なるジンセノサイド化合物を、別々の個々の製剤の中に入った状態で対象に対し同時に投与し得るということも又、本発明の範囲内に入る。従って、本発明の方法は、互いに物理的に会合した状態の異なるジンセノサイド化合物の同時併用に制限されるわけではない。
【0048】
本発明の方法においては、ジンセノサイド化合物を、組合せの最大の効能を得る目的で、一定の時間にわたり間隔をとられた別々の個々の製剤の形で対象に併用することもできる。各々の治療薬の投与は、持続時間について、簡便な急速投与から連続潅流までの範囲にある。一定の時間にわたって間隔どりされる場合、ジンセノサイド化合物の同時投与は逐次的又は交互であってよい。逐次的同時投与のためには、治療薬の1つが別々に投与され、その後もう1つのものが続く。例えば、Rg5誘導体での全治療単位を完了し、その後にRk1の誘導体による全治療単位が続くことができる。あるいは、逐次的同時投与のためには、Rk1誘導体での全治療単位を完了し、その後Rg5誘導体での全治療単位が続くことができる。交互的同時投与については、各治療薬の全治療が投与されてしまうまで、Rk1誘導体での部分的治療経路をRg5誘導体での部分的治療経路と交互に行なうことができる。
【0049】
本発明の治療薬(すなわちジンセノサイドとその類似体又は相同体)は、ヒト又は動物の対象に対して、経口投与、非経口投与(例えば筋内、腹腔内、血管内、静脈内又は皮下投与)及び経皮投与を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)既知の手順により投与され得る。好ましくは、本発明の治療薬は経口又は静脈内投与される。
【0050】
経口投与のためには、ジンセノサイドの製剤は、カプセル、錠剤、粉末、顆粒又は懸濁液として存在することができる。該製剤はラクトース、マンニトール、コーンスターチ又はジャガイモデンプンといったような従来の添加物を有してもよい。製剤はまた、結晶セルロース、セルロース類似体、アカシア、コーンスターチ又はゼラチンといったような結合剤を伴う体裁をとり得る。付加的には、該製剤は、コーンスターチ、ジャガイモデンプン又はカルボキシメチルセルロースナトリウムといったような崩壊剤を伴ってもよい。製剤はまた、無水第2リン酸カルシウム又はグリセリンでんぷんナトリウムを伴ってもよい。最後に、製剤は、タルク又はステアリン酸マグネシウムといったような潤滑剤を伴ってもよい。
【0051】
非経口投与については、ジンセノサイドの製剤は、好ましくは対象の血液と等張である無菌水溶液と組み合わせることができる。かかる製剤は、塩化ナトリウム、グリシンなどといった生理学的に相容性ある物質を含有しかつ生理学的条件と相容れる緩衝されたpHを有する水の中に固体活性成分を溶解させて水溶液を生成し、次にこの溶液を無菌にすることによって調製可能である。製剤は、密封されたアンプル又はバイアルといったような単位又は複数回用量容器の中に入った体裁をとり得る。その上、製剤は、制限的意味なく、筋膜上、嚢内、皮内、筋内、眼窩内、腹腔内(特に局在化された局所療法の場合)、髄腔内、胸骨内、血管内、静脈内、実質、又は皮下を含めたあらゆる注入様式によって送達され得る。
【0052】
経皮投与のためには、ジンセノサイドの製剤は、治療薬に対する皮膚の透過性を増大させかつ該治療薬が皮膚を通して血流内に侵入できるようにする、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イソプロパノール、エタノール、オレイン酸、N−メチルピロリドンなどといったような皮膚浸透増強剤と組み合わせることができる。治療薬/増強剤組成物は同様に、塩化メチレンといったような溶媒の中に溶解され得るゲル形態の組成物を提供するべくエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレン/酢酸ビニル、ポリビニルピロリドンなどといったような重合体物質とさらに組合わされ、所望の粘度まで蒸発させられ、次に裏当て材料に塗布されてパッチを提供することができる。
【0053】
本発明のジンセノサイドの用量は、同様に、浸透圧ミニポンプから放出又は送達され得る。基本浸透圧ミニポンプからの放出速度は、放出オリフィス内に配置された微小孔性高速応答ゲルを用いて調節することができる。浸透圧ミニポンプは、治療薬の放出を制御し又はその送達をターゲティングするために有用であると思われる。
【0054】
ジンセノサイドの製剤をさらに医薬的に許容される担体と結びつけかくして医薬組成物を含ませることもできるということは、本発明の範囲内に入る。医薬的に許容される担体は、組成物のその他の成分と相容性がありかつそのレシピエントにとって有害でないという意味で「許容可能」でなくてはならない。許容できる医薬担体の例としては、なかでもカルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、グリセリン、アラビアゴム、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、粉末、生理食塩水、アルギン酸ナトリウム、スクロース、でんぷん、タルク及び水が含まれるが、これらに制限されるわけではない。医薬組成物の製剤は、便宜上単位用量において存在できる。
【0055】
本発明の製剤は、薬学技術分野で周知の方法により調製可能である。例えば、活性化合物を、懸濁液又は溶液として担体又は希釈剤と会合状態にすることができる。任意には、1又は複数の副成分(例えば緩衝液、着香剤、表面活性剤など)も添加可能である。担体の選択は、投与経路によって左右されることになる。該医薬組成物は、アルツハイマー病を治療するべく対象に対し本発明の治療薬(すなわち別々の個々の製剤又は単一の組み合わせた製剤の形でのジンセノサイド、その類似体及び類似体)を投与するために有用であると思われる。治療薬は、該対象の体内でアルツハイマー病を治療又は予防するのに有効な量で提供される。これらの量は、当業者により容易に決定することができる。
【0056】
ジンセノサイドの有効治療量は、アルツハイマー病の病期、対象の体重、対象の状態の重症度及び投与方法を含めた各症例の特定の要因に応じて変動することになる。例えば、(20S)Rg3は一日あたり約5μg〜1500mgの投薬量で投与可能である。好ましくは、(20S)Rg3は一日あたり約1mg〜1000mgの投薬量で投与される。Rg5は1日あたり約5μg〜1500mgの投薬量で投与され得るが、好ましくは一日あたり約1mg〜1000mgの投薬量で投与される。Rk1は一日あたり約5μg〜1500mgの投薬量で投与され得るが、好ましくは一日あたり約1mg〜1000mgの投薬量で投与される。さらにジンセノサイド組成物Rgk351は一日あたり約5μg〜1500mgの投薬量で投与され得るが、好ましくは一日あたり約1mg〜1000mgの投薬量で投与される。列挙された範囲内のあらゆる特定のジンセノサイド化合物の適切な有効治療量は、各症例の特定の要因に応じて当業者により容易に決定することができる。
【0057】
本発明はさらに、治療上有効な量のジンセノサイド化合物を対象に投与することを含む、前アルツハイマー病の状態を有する対象においてアルツハイマー病を予防するための方法を包含している。本明細書で使用されている「前アルツハイマー病状態」というのは、アルツハイマー病に先立つ状態を意味する。前アルツハイマー病状態を有する対象はアルツハイマー病を有するものとして診断を受けていないもののアルツハイマー病の標準的症候の一部分を示し及び/又はアルツハイマー病を発生させる対象のリスクを増大させる確率の高い病歴を有する可能性がある。
【0058】
該発明はさらに、治療上有効な量のジンセノサイド化合物を対象に投与する工程を含む、対象の体内でのアルツハイマー病を治療又は予防するための方法を提供する。
【実施例】
【0059】
以下の例は、本発明を例示し、該発明の理解を補助するために記されており、後続するクレーム内で画定されている通りの該発明の範囲をいかなる形であれ制限するものとみなすべきではない。
【0060】
発明者らは予期せぬことに、少なくとも3つのジンセノサイド化合物Rk1、(20S)Rg3及びRg5ならびに混合物Rgk351が細胞内のAβ42の産生を低下させ、かくしてAD及び非AD関連性神経病原を治療し、及び/又はAD及び非AD関連性神経病原の進行を防止するということを発見した。Rgk351及びRk1は、Aβ42レベルを削減する上で最も有効である。さらにRk1は、部分的に精製されたγ−セクレターゼ複合体を用いた無細胞アッセイにおいてAβ42の産生を阻害することが示され、Rk1がγ−セクレターゼ酵素の特異性及び/又は活性のいずれかを調節するということを示唆した。
【0061】
例1
ADを治療する上でのジンセノサイド及びその類似体の潜在的効果を検査した。まず最初にAβの生成に対するこれらの効果に基づいていくつかのジンセノサイドをスクリーニングした。(「白色朝鮮人参」として知られている)未加工の朝鮮人参から精製された各々のジンセノサイドと共にヒトAPP(CHO−APP細胞)を発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をインキュベートすることによって、Aβ(例えばAβ40及びAβ42)の産生に対するさまざまなジンセノサイドの効果を最初に評価した。これらの代表的なジンセノサイドとしてはRb1、Rb2、Rc、Rd、Re、Re、Rg1及びRg2が含まれ、これらはその側鎖及び糖部分が異なっている。
【0062】
表1〜3。該実験で利用されたジンセノサイドの構造及びAβ42の生成に対するその効果。これらは、ダンマランとして知られている共通のトリテルペン主鎖に付着した2つ又は3つの側鎖において異なっている。各々のジンセノサイド群についての共通の構造骨格は、上のパネルに示されている。Aβ42−低下活性を擁するジンセノサイドが、表の最も右側の欄に記されている;Aβ42低下活性(「Yes」)、強い効果無し(「No」)及び未測定(「ND」)。細胞の生存度に影響を与えたジンセノサイドは、「細胞毒性(Cytotoxic)」と記されている。炭水化物に対する略号は以下の通りである:Glc、D−グリコピラノシル;Ara(pyr)、L−アラビノピラノシル;Ara(fur)、L−アラビノフラニオシル;Rha、L−ラムノピラノシル。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
8時間のインキュベーションの後、培地を回収し、ELISA法により分泌されたAβ40及びAβ42のレベルを測定した。Rb1、Rb2、Rc、Rd、Re、Re、Rg1及びRg2の群の中のいずれのジンセノサイドも、Aβ40及びAβ42産生に対する阻害効果を全く示さなかった(図10)。
【0067】
高温での朝鮮人参の蒸気処理は、(20S)Rg3、Rk1及びRg5(22−25)を含む、薬理学的活性の高まった付加的なジンセノサイドを生じた。次に、これらの熱加工由来のジンセノサイド(例えば(20S)Rg3、Rh1、Rh2、Rk1、Rg6、Rg5)のAβ40及びAβ42の生成に対する効果をテストした。初期スクリーニングは、Aβ42の分泌を選択的に低下させた3つの構造的に関係するジンセノサイド、Rk1、(20S)Rg3及びRg5を同定した(図11)。これとは対照的にAβ42レベルは(20R)Rg3、Rh1、及びRg6による影響を受けなかった。Aβ40レベルは、テストされたジンセノサイドのいずれによる処置によっても変化しなかった。Aβ42低下活性の効力は、Rk1及び(20S)Rg3で最高であった。Rg5はRk1又は(20S)Rg3と比べてAβ42低下試薬としてさほど有効でなかった(図2)。Aβ40の分泌は、非常に高い濃度(最高100μM)でのみ、Rk1での処置による影響を受け、細胞生存度は、これらの条件(最高100μM、8時間の処置;データ示さず)下でRk1の処置による影響を受けなかった。興味深いことに、PS1ΔE9FAD突然変異は、PS1野生型発現細胞(図11A)と比べ(20S)Rg3、Rk1及びRg5処置(図11B)に対するAβ42低下応答を減少させた。さらなる分析は、Rk1及びRg5が用量依存的な形でAβ−42を低下させることを明らかにした(図12A)。Rgk351、Rk1及びRg5での一晩の処置はまた、CHO−APP細胞内のAβ42の産生を削減させる(図12B)。Rk1のAβ42低下活性は、既知のAβ42低下NSAIDの1つであるスリンダクスルフィドのものと類似していた。一晩の処置の間、Aβ40の産生はRk1又はスリンダクスルフィドでの処置によりわずかに影響された(図12B)。これらの実験は、ジンセノサイドの化学的構造とAβ42低下活性の間の構造−活性関係を供し、さらに付加的なAβ42低下類似体を設計するため、ならびにAβ42低下活性を擁する1種類の化合物を規定するための基礎を提供する。
【0068】
Rk1は、CHO−APP及びNeuro 2a−APPsw細胞の両方において全長APPの定常状態レベルに影響を及ぼさず(図13)、Aβ42の削減がAPPの改変された翻訳後プロセッシングに起因する確率が高いということを示唆した。全長形態とは対照的に、C末端APPフラグメントの定常状態レベルは、Rk1での処置により上方制御された(図13)。これらのデータは、Rk1がg−セクレターゼ分割段階(例えばAβ42分割)に影響を及ぼし、従って、一般的なγ−セクレターゼ阻害物質化合物Eについて示されてきたようにAPPC末端フラグメントの蓄積をひき起こす可能性がある、ということを示唆している。各々の対応する試料の培地中のAβ42レベルが下のパネルに示されている。
【0069】
Rk1の効果は細胞ベースのアッセイにおいて(Aβ40ではなく)むしろAβ42に対し選択的であったことから、ノッチ1又はp75NTR細胞内ドメイン(それぞれNICD又はp75−ICD)を生成するためのノッチ1又はp75ニューロトロフィンレセプタ(p75NTR)のγ−セクレターゼ媒介膜内切断及びAβ40又はAβ42部位から遠位にあるAPPの膜内外切断の結果としてもたらされるAICDの生成を含めたその他のγ−セクレターゼ媒介型切断事象にRk1が影響を及ぼすか否かの問題がテストされた。AICD、NICD及びp75−ICDの無細胞生成は、Rgk351又はRk1とのインキュベーションにより影響されなかった(図5)。これらの条件下で、化合物EはICDの無細胞生成を効率良く阻害し、スリンダクスルフィドは、APP、ノッチ1又はp75NTRからのICD生成に影響を及ぼさなかった。これらのデータは、Rk1がγ−セクレターゼ切断の一般的阻害物質でなく、ノッチ1又はp75NTRといったようなその他のγ−セクレターゼの膜内切断に影響を及ぼさないことを表わしている。
【0070】
次に、インビトロγ−セクレターゼアッセイ内のAβ生成に対するRk1及び(20S)Rg3の阻害効果が実験された。Rk1及びスリンダクスルフィドは両方共インビトロでAβ42の生成を強く阻害した(図15)。これとは対照的に、Aβ42低下活性の無いNSAIDは、Aβ42の産生に対しいかなる効果も有していなかった(図15A)。Aβ42−低下NSAIDについて報告されてきたものと類似して(Weggen et al., 「非ステロイド系抗炎症薬がガンマシクレターゼ活性の直接的調節によりアミロイドベータ42の産生を低減させる」J. Biol. Chem. 278; 3183-3187 (2003))、Aβ42低下ジンセノサイド(例えばRk1及び(20S)Rg3)は、無細胞γ−セクレターゼアッセイにおいて類似の効力でAβ40とAβ42の両方を阻害したが(図15B)、これらの化合物は両方共、細胞ベースアッセイにおいて主としてAβ42の産生に影響を及ぼす。
【0071】
ジンセノサイドは、朝鮮人参抽出物の経口投与の後ヒトの腸内細菌によって代謝される(Kobayashi K., et al., 「ヒト腸内細菌[II]の代謝」Ginseng Review 1994; 18: 10-14; Hasegawa H., et al.,「腸内細菌により形成された主要朝鮮人参サポニン代謝産物」。Planta Med. 1996; 62: 453-457.)。従って、Aβ42の生成に対する20(S)−プロトパナキサトリオール(PPT)及び20(S)−プロトパナキサジオール(PPD)を含めた2つのジンセノサイド主要代謝産物の効果がテストされた。20(S)−パナキサトリオール(PT)及び20(S)−パナキサジオール(PD)は、それぞれPPT及びPPPDの人工誘導体である。PPT又はPTのいずれかでの処置は、APPのヒトスウェーデン突然変異体形態(Neuro 2a-SW)を発現するNeuro 2a 細胞ならびに野生型ヒトAPPを発現するCHO細胞内のAβ42のレベルに影響を及ぼすことなくAβ42の産生を削減した(図16)。PPD及びPDは、Aβ40又はAβ42の生成に対しいかなる阻害効果も付与しなかった。
【0072】
要約すると、熱加工済み朝鮮人参に由来するAβ42低下性天然化合物が同定された。Rk1及び(20S)Rg3を含むAβ42低下性ジンセノサイドは、Aβ42の産生に関与するγ−セクレターゼ活性を特異的に調節するように思われる。構造−活性は、ADの治療のための有効な治療薬の開発の基礎として役立ち得る化合物のクラスを画定する。
【0073】
例2
AD関連神経変性を治療するためのジンセノサイド療法の利点は、ADのマウスモデルにおいて実証することができる。特定的には、ジンセノサイド化合物(20S)Rg3、Rk1、Rg5及びRgk351は、AD関連神経変性を患うマウスを治療するために使用可能である。
【0074】
ヒトAPPを発現するマウスならびにAPPのスウェーデン家族性アルツハイマー病突然変異体形態を発現するマウスはJackson Laboratory, 600 Main Street, Bar Harbor, Main 04609から入手することができる。その後、(1)ジンセノサイド処置を受けないAPPマウス(プラシーボ);(2)ジンセノサイド処置を受けないスウェーデンマウス(プラシーボ);(3)APPマウス+Rg5(100μg/μl/日);及び(4)スウェーデン産マウス+Rg5(100μg/μl/日)という4つのグループのマウスを実験できる。約16週間の注射療法の後、マウスの血清中のAβ42の量を測定することができる。この実験結果は、AD関連神経変性を治療するためのジンセノサイド療法の一般的利点を実証することになると期待されている。ジンセノサイド処置無しのAPP及びスウェーデンマウスは、ジンセノサイド処置を受けたAPP及びスウェーデンマウスと比較して著しく高い血清42レベルを有し神経変性の挙動特性を実証するはずである。
【0075】
本明細書で参照指示されている全ての刊行物は、その全体が本明細書に内含されるものである。以上の発明は明確さ及び理解を目的として或る程度詳細に記述されてきたが、当業者であれば、開示を読んだ上で、添付の特許請求の範囲内の該発明の真の範囲から逸脱することなく形態及び詳細のさまざまな変更を加えることができることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】β及びγ−セクレターゼにより媒介されるβ−アミロイド前駆体タンパク質(APP)の逐次的タンパク質分解プロセッシングを描いている。
【0077】
【図2】(a)白色朝鮮人参;(b)赤色朝鮮人参;及び(c)熱処理朝鮮人参(熱加工朝鮮人参)のHPLCプロファイルを示す。
【0078】
【図3】(a)Rg3、(b)Rk1及び(c)Rg5の一般化学構造式を例示する。
【0079】
【図4】Rgk351、(20R)Rg3、Rk1及びRg5が、ヒトAPP695での安定にトランスフェクトしたCHO細胞内でのAβ42の産生を削減することを示している。CHO細胞は、8時間(50μg/mlで)示された化合物で処置された。培地内のAβ42のレベルをELISA法で測定し、細胞内全長APPに正規化させた。
【0080】
【図5】Rgk351、Rk1及びRg5での処置が、用量依存的にヒトAPPを発現するCHO細胞の培地中のAβ42を削減したことを示している。
【0081】
【図6】Rgk351、Rk1及びRg5の処置が用量依存的にヒトAPPを発現するCHO細胞の培地中のAβ42(対Aβ40)を選択的に削減したということを実証している。AβとAβ42の相対的レベルを未処置及びビヒクル処置済みの細胞から得た値に対し正規化させた。Neuro 2a-sw(APPのスウェーデン家族性アルツハイマー病突然変異体形態を発現するマウスNeuro 2a 細胞)及びヒトAPPを発現する293の細胞を用いて同様のデータを入手した。
【0082】
【図7】細胞溶解物の分析を描いており、全長holo APPレベルが影響を受けなかったのに対し、Rgk351、Rk1及びRg5がAPP C−末端フラグメント(γ−セクレターゼ基質)の蓄積の増大をひき起こしたということを示している。
【0083】
【図8】Rgk351及びRk1の処置が、野生型プレセニリン1か又はプレセニリン1の家族性アルツハイマーに結びつけられる突然変異体形態(デルタE9 ad L286V)のいずれかと合わせてヒトAPPを同時発現するCHO細胞内のAβ42レベルを削減したことを実証している。Aβ42の生成に対するRg5の効果は、Rgk351及びRk1に比べはるかに小さいものであった。
【0084】
【図9】Aβ42特異的γ−セクレターゼに対するRk1(R1)及びRg5(R5)の効果を示す。ナプロキセン(NP)及びスリンダクスルフィド(SS)が並行してテストされた。
【0085】
【図10】Aβ42産生に対する未変性ジンセノサイドの効果を描いている。実験された7つの標準的ジンセノサイド(Rb1、Rb2、Rc、Rd、Re、Rg1及びRg2)の構造は表1に示されている。野生型(A、CHO−APP/PS1細胞)又はΔE9FAD突然変異体(B、CHO−APP/ΔE9PS1細胞)のいずれかのPS1形態と合わせてヒトAPP695を用いて安定にトランスフェクトされたCHO細胞が使用された。細胞を8時間、示された化合物(50μM)で処置した。培地内の分泌されたAβ40及びAβ42のレベルをELISAにより決定し、細胞内全長APPに対し正規化させた。CHO−APP/PS1細胞内で、対照試料中の平均Aβ量はAβ40については320pM、Aβ42については79pMであった。Aβ及びAβ42の相対的レベルを未処置の及びビヒクル処置を受けた細胞から得た値に対して正規化し、これは対照に対する%±s.d.(標準偏差)として示されている。
【0086】
【図11】熱又は蒸気加工された朝鮮人参から誘導した複数のジンセノサイドのAβ42低下活性を示す。CHO−APP/PS1(A)及びCHO−APP/ΔE9PS1(B)細胞を、8時間50μMで示された化合物で処置し、分泌されたAβ40及びAβ42のレベルを、図1で記述される通りに決定した。Aβ42減少活性の効力がおよそRk1>/=(20S)Rg3>Rg5>(20R)Rg3であったこと、そしてRh1及びRg6の効果が有意なものでなかったことに留意されたい。50μMの処置で細胞の生存度の一部が影響を受けたものの、Rh2は同様にAβ42低下効果をも示した(データ示さず)。PS1−ΔE9FAD突然変異は、Rk1処置に対するAβ42応答を縮小した(B)。
【0087】
【図12】Rgk351、Rk1及びRg5での処置が用量依存的にCHO−APP細胞の培地中のAβ42を削減したことを示している。(A)Rk1及びRg5のAβ42低下活性の用量応答。Rk1のIC50は約20μMであった。(B)Rk1は、培養されたCHO−APP細胞中でAβ42(対Aβ40)を選択的に低下させ、Rk1のAβ42阻害パターンは、スリンダクスルフィド(SS)のものと類似している。Aβ40及びAβ42の相対的レベルは、未処置の及びビヒクル処置された細胞から得られる値に対して正規化された。AβとAβ42の相対的レベルを未処置及びビヒクル処置済みの細胞から得た値に対し正規化させた。Neuro 2a-sw(APPのスウェーデン家族性アルツハイマー病突然変異体形態を発現するマウスNeuro 2a 細胞)及びヒトAPPを発現する293の細胞を用いて類似のデータを入手した(データ示さず)。Aβ42の生成に対するRg5の効果は、Rgk351及びRk1と比べてはるかに小さいものであった。
【0088】
【図13】Rk1の処置の後のAPPプロセッシングの分析を描いている。抗−R1抗体を用いたウェスタンブロット分析により、全長APP及びAPPC末端フラグメント(APP−CTF)の定常状態レベルを検査した。Rgk351(Rg2、Rg5及びRk1の混合物)、Rk1及びRg5での処置は、CHO−APP細胞及びAPP(APPsw)のスウェーデンFAD突然変異体形態(KM670/671NL)を安定した形で発現するマウス神経芽細胞腫neuro 2a 細胞内でのAPPC末端フラグメント(γ−セクレターゼ基質)の蓄積の増大を結果としてもたらした。各試料についての相関したAβ42レベルが下の図版に示されている。
【0089】
【図14】Aβ42低下ジンセノサイドRk1が、APP(A,AICD)、ノッチ1(B,NICD)又はp75ニュトロフィンレセプタ(p75NTR,p75−ICD)からの細胞内ドメイン(ICD)の産生に有意な影響を及ぼさないということを示している。APP(A)、ノッチ−ΔE(B)又はp75−ΔE(C)のいずれかを過剰発現する293の細胞から単離され、示された化合物すなわち化合物E(CpdE、一般的γ−セレクターゼ阻害物質)、Rgk351、Rk1及びスリンダクスルフィド(SS)の存在下でインキュベートされた膜画分。非常に少量のAICD、NICD及びp75−ICDが対照試料(−Incubate)内又はCpd.Eで処置された試料中で検出されたが、Rgk351、Rk1及びSSと共にインキュベートされた試料中ではAICD、NICD及びp75−ICDが豊富に産生された。
【0090】
【図15】Aβ42低下ジンセノサイド Rk1及び(20S)Rg3が、無細胞γ−セクレターゼアッセイにおいてAβ生成を阻害することを示している。(A)CHAPSO可溶化膜画分を、示された化合物と合わせて組換え型γ−セクレターゼ基質(100μMで)と共にインキュベートし、記述されている通りに(27−29)、ELISAによりAβ42及びAβ40のレベルを決定した。(B)無細胞γ−セクレターゼアッセイにおけるRk1及び(20S)Rg3のAβ40及びAβ42−低下活性の用量応答。Rk1のIC50はAβ40については27±3μM、Aβ42については32±5であった。(20S)Rg3のIC50は、Aβ40については27±4、Aβ42については26±7であった。
【0091】
【図16】Aβ42生成に対する20(S)−プロトパナキサトリオール(PPT)及び20(S)−プトロパナキサジオール(PPD)を含めたジンセノサイドの2つの主要な代謝産物の効果を描いている。20(S)−パナキサトリオール(PT)及び20(S)−パナキサジオール(PD)は、それぞれPPT及びPPPDの人工誘導体である。PPT又はPTのいずれかでの処置は、APPのヒトスウェーデン突然変異体形態を発現するNeuro 2a 細胞(Neuro 2a-sw、下の図版)内ならびに野生型ヒトAPPを発現するCHO細胞(データ示さず)内でAβ42のレベルに影響を及ぼすことなくAβ42の産生を削減した。PPD及びPDは、Aβ40又はAβ42の生成に対するいかなる阻害効果も付与しなかった。
【0092】
【図17】DMSO(ビヒクル)、Rk1又は(20S)Rg3で処置されたCHO−APP細胞から産生されたAβ種の質量分光分析を示している。処置がAβ42種(1−42)では減少を、又Aβ37(1−37)及びAβ38(1−38)の両方において上昇を導くという点に留意されたい。Aβ種の質量分光分析は、前述の通りに実施された(Wang R, Sweeny D, Gandy SE, Sisodia SS。「培養された細胞培地内の可溶性アミロイドβ−タンパク質のプロファイル」J. Bio, Chem. 1996: 271; 31894-31902)。
【0093】
【図18】DMSO(対照1)、ナプロキセン(対照2)、Rk1又は(20S)Rg3でのCHO−APP細胞の処置後の分泌されたAβレベルの分析を描いている。Aβは、4G8抗体(Senetekより購入)を用いて免疫沈降され、トリシン/尿素ゲルを用いたSDS−PAGEに付され(プロトコルは東京大学のY. Ihara博士により供給された)、6E10抗体(Senetek)を用いたウェスタンブロット分析により分析された。対応するAβ種を同定するために合成Aβ40及びAβ42ペプチドを使用した。
【0094】
【図19】Tg2576トランスジェニックマウスから誘導された一次胚皮質ニューロン内のAβ40及びAβ42分泌に対するジンセノサイドRk1及び(20S)Rg3の効果を示している。Rk1及びRg3の処置は、分泌されたAβ40及びAβ42のレベルを減少させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞内のアミロイドベータタンパク質の産生を調節する上で使用するための単離された又は単離されさらに合成されたダンマラン。
【請求項2】
細胞内のアミロイドベータタンパク質の産生を調節する上で使用するための単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイド。
【請求項3】
前記ジンセノサイドがRg3である、請求項2に記載のジンセノサイド。
【請求項4】
前記ジンセノサイドがRk1である、請求項2記載のジンセノサイド。
【請求項5】
前記ジンセノサイドがRg5である、請求項2に記載のジンセノサイド。
【請求項6】
単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイドの混合物を含む、細胞内でのアミロイドベータの産生を調節する上で使用するためのジンセノサイド組成物であって、1又は複数のジンセノサイドが、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参(sun ginseng)、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体から成る群から選択される、ジンセノサイド組成物。
【請求項7】
前記組成物がRgk351である、請求項6に記載のジンセノサイド組成物。
【請求項8】
一般構造式
【化1】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl、又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R3は、H又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl、又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物である)を有する、請求項2に記載のジンセノサイド。
【請求項9】
一般構造式
【化2】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R3は、ヒドロキシル若しくはエポキシ基を含有し得るアルキル又はアルケニルである)を有する、請求項2に記載のジンセノサイド。
【請求項10】
一般構造式
【化3】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項2に記載のジンセノサイド。
【請求項11】
一般構造式
【化4】

(式中、R1がH、又はGlc−Glcであり、R2がH、又はOHであり、そしてR3がHである)を有する、請求項2に記載のジンセノサイド。
【請求項12】
一般構造式
【化5】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項2に記載のジンセノサイド。
【請求項13】
アミロイドベータタンパク質がAβ42である、請求項1に記載のダンマラン。
【請求項14】
アミロイドベータタンパク質がAβ42である、請求項2に記載のジンセノサイド。
【請求項15】
神経変性を治療するか又は予防する上で使用するための単離された又は単離されさらに合成されたダンマラン。
【請求項16】
神経変性を治療するか又は予防する上で使用するための単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイド。
【請求項17】
前記ジンセノサイドがRg3である、請求項16に記載のジンセノサイド。
【請求項18】
前記ジンセノサイドがRk1である、請求項16に記載のジンセノサイド。
【請求項19】
前記ジンセノサイドがRg5である、請求項16に記載のジンセノサイド。
【請求項20】
単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイドの混合物を含む神経変性を治療又は予防する上で使用するためのジンセノサイド組成物であって、1又は複数のジンセノサイドが、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体から成る群から選択される、ジンセノサイド組成物。
【請求項21】
前記ジンセノサイドがRgk351である、請求項20に記載のジンセノサイド組成物。
【請求項22】
一般構造式
【化6】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl、又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl、又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R3は、H、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物である)を有する、請求項16に記載のジンセノサイド。
【請求項23】
一般構造式
【化7】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl、又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;そしてR3は、ヒドロキシル若しくはエポキシ基を含有し得るアルキル又はアルケニルである)を有する、請求項16に記載のジンセノサイド。
【請求項24】
一般構造式
【化8】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項16に記載のジンセノサイド。
【請求項25】
一般構造式
【化9】

(式中、R1がH、又はGlc−Glcであり、そしてR2がH、又はOHであり、そしてR3がHである)を有する、請求項16に記載のジンセノサイド。
【請求項26】
一般構造式
【化10】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項16に記載のジンセノサイド。
【請求項27】
アルツハイマー病を治療するか又は予防する上で使用するための単離された又は単離されさらに合成されたダンマラン。
【請求項28】
アルツハイマー病を治療するか又は予防する上で使用するための単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイド。
【請求項29】
前記ジンセノサイドがRg3である、請求項28に記載のジンセノサイド。
【請求項30】
前記ジンセノサイドがRk1である、請求項28に記載のジンセノサイド。
【請求項31】
前記ジンセノサイドがRg5である、請求項28に記載のジンセノサイド。
【請求項32】
単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイドの混合物を含むアルツハイマー病を治療又は予防する上で使用するためのジンセノサイド組成物であって、1又は複数のジンセノサイドが、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体から成る群から選択されるジンセノサイド組成物。
【請求項33】
前記ジンセノサイドがRgk351である、請求項32に記載のジンセノサイド組成物。
【請求項34】
一般構造式
【化11】

(式中、R1はH又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R3は、H、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物である)を有する、請求項28に記載のジンセノサイド。
【請求項35】
一般構造式
【化12】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R3は、ヒドロキシル若しくはエポキシ基を含有し得るアルキル又はアルケニルである)を有する、請求項28に記載のジンセノサイド。
【請求項36】
一般構造式
【化13】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項28に記載のジンセノサイド。
【請求項37】
一般構造式
【化14】

(式中、R1がH、又はGlc−Glcであり、そしてR2がH又はOHであり、そしてR3がHである)を有する、請求項28に記載のジンセノサイド。
【請求項38】
一般構造式
【化15】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項28に記載のジンセノサイド。
【請求項39】
医薬的に許容される担体及び単離された又は単離されさらに合成されたダンマランを含む、細胞中のアミロイドベータタンパク質の産生を減少させるための医薬組成物。
【請求項40】
医薬的に許容される担体及び単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイドを含む、細胞中のアミロイドベータタンパク質の産生を減少させるための医薬組成物。
【請求項41】
前記ジンセノサイドがRg3である、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記ジンセノサイドがRk1である、請求項40記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記ジンセノサイドがRg5である、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項44】
医薬的に許容される担体及び単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイドの混合物を含むジンセノサイド組成物を含む、細胞内でのアミロイドベータタンパク質の産生を減少させるための医薬組成物であって、1又は複数のジンセノサイドが、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体から成る群から選択される医薬組成物。
【請求項45】
前記ジンセノサイドがRgk351である、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化16】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;そしてR3は、H、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物である)を有する、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化17】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;そしてR3は、ヒドロキシル若しくはエポキシ基を含有し得るアルキル又はアルケニルである)を有する、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化18】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化19】

(式中、R1がH又はGlc−Glcであり、そしてR2がH又はOHであり、そしてR3がHである)を有する、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化20】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項51】
単離された又は単離されさらに合成された有効量のダンマランと細胞を接触させることを含む細胞内のアミロイドベータ産生を調節する方法。
【請求項52】
単離された又は単離されさらに合成された有効量のジンセノサイドと細胞を接触させることを含む、細胞内のアミロイドベータ産生を調節する方法。
【請求項53】
前記ジンセノサイドがRg3である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記ジンセノサイドがRk1である、請求項52記載の方法。
【請求項55】
前記ジンセノサイドがRg5である、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイドの混合物を含む有効量のジンセノサイド組成物と細胞を接触させることを含む、細胞内でのアミロイドベータの産生を調節する方法であって、1又は複数のジンセノサイドが、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体から成る群から選択される方法。
【請求項57】
前記ジンセノサイド組成物がRgk351である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化21】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;そしてR3は、H、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物である)を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化22】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;そしてR3は、ヒドロキシル若しくはエポキシ基を含有し得るアルキル又はアルケニルである)を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化23】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項61】
ジンセノサイドが、一般構造式
【化24】

(式中、R1がH又はGlc−Glcであり、そしてR2がH又はOHであり、そしてR3がHである)を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項62】
ジンセノサイドが、一般構造式
【化25】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項63】
ベータアミロイドベータタンパク質がAβ42である、請求項51に記載の方法。
【請求項64】
ベータアミロイドベータタンパク質がAβ42である、請求項52に記載の方法。
【請求項65】
治療上有効な量の単離された又は単離されさらに合成されたダンマランを対象に投与する工程を含む、かかる治療を必要とする対象の体内のアルツハイマー病を治療する方法。
【請求項66】
前記ダンマランがジンセノサイドである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記ジンセノサイドがRg3である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記ジンセノサイドがRk1である、請求項66記載の方法。
【請求項69】
前記ジンセノサイドがRg5である、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイドの混合物を含む、細胞内でのアミロイドベータの産生を調節する上で使用するためのジンセノサイド組成物を治療上有効な量だけ対象に投与する工程を含む、かかる治療を必要とする対象の体内のアルツハイマー病を治療する方法であって、1又は複数のジンセノサイドが、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、(20R)Rg2、(20S)Rg2、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rg5、Rg6、Rh1、(20R)Rh2、(20S)Rh2、Rh3、Rh4、(20R)Rg3、(20S)Rg3、Rk1、Rk2、Rk3、Rs1、Rs2、Rs3、Rs4、Rs5、Rs6、Rs7、F4、プロトパナキサジオール(PPD)、プロトパナキサトリオール(PPT)、DHPPD−I、DHPPD−II、DHPPT−I、DHPPT−II、熱処理朝鮮人参、白色朝鮮人参若しくは赤色朝鮮人参のブタノール可溶性画分、又はその類似体又は相同体から成る群から選択される方法。
【請求項71】
前記ジンセノサイド組成物がRgk351である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化26】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;そしてR3は、H又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物である)を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化27】

(式中、R1はH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;R2はH、OH、又はGlc、Ara(Pyr)、Ara(Fur)、Rha、Xyl又はこれらのアシル化誘導体から成る群から選択された1又は複数の糖を含む炭水化物であり;そしてR3は、ヒドロキシル若しくはエポキシ基を含有し得るアルキル又はアルケニルである)を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項74】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化28】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項75】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化29】

(式中、R1がH又はGlc−Glcであり、そしてR2がH又はOHであり、そしてR3がHである)を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項76】
前記ジンセノサイドが、一般構造式
【化30】

(式中、R1がGlc−Glcであり、そしてR2がHである)を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項77】
細胞内でのアミロイドベータの産生を削減するためのキットであって、1又は複数の単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイド化合物を含む医薬組成物を含んで成るキット。
【請求項78】
1又は複数の単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイド化合物を含む医薬組成物を含んで成る、神経変性を予防又は治療する上で使用するためのキット。
【請求項79】
1又は複数の単離された又は単離されさらに合成されたジンセノサイド化合物を含む医薬組成物を含んで成る、アルツハイマー病を予防又は治療する上で使用するためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2007−535578(P2007−535578A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516482(P2007−516482)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/014659
【国際公開番号】WO2006/124012
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(306018457)ザ・トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク (25)
【Fターム(参考)】