説明

アルデヒド混合物の処理方法、処理されたアルデヒドの使用、およびアルコール

アルデヒド混合物を塩基性分離媒質と接触させ、続いてまたは同時に酸性分離媒質と接触させることを含む、カルボン酸と金属陽イオンとを含むアルデヒド混合物を処理する方法、アルコールを調製するための処理アルデヒド混合物の使用、およびこのアルコール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒド混合物の処理方法、アルコールを調製するためのこの処理アルデヒドの使用、およびこのアルコールに関する。
【背景技術】
【0002】
アルデヒドは一般に、調製され、水素化されて対応するアルコールになる。この工程に付随する困難は、カルボン酸副生成物を形成するアルデヒドの酸化である。カルボン酸の存在は、特に中和されていないままである場合、ほとんどの不均一水素化触媒の性能に対して悪影響を有する可能性がある。さらに、カルボン酸は水素化の間に形成されたアルコールと反応して、さらなる収量の損失とさらなる分離費用をもたらすことになる。カルボン酸は、特に周囲温度よりも高い温度に加熱された工程の流れの中に存在する場合に、処理装置の腐食の原因となる場合がある。典型的には、カルボン酸は水素化の前に部分的に中和される。例えば、US2004/0087819は、水素化前の水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液の中和を開示している。しかしながら、塩基、典型的にはアルカリ塩基の添加による部分的な中和は、非効率的な混合から生じるアルデヒドの潜在的な分解に起因する問題がある。アルデヒドは、非効率的な混合から生じる過剰な塩基の存在下では、化合してアセタールおよび/またはアルドールなどの副生成物を形成する可能性があり、ポリマー重質生成物をもたらすさらなる縮合が起こり得る。形成された酸のいくつかはヒドロキシ酸であることが公知であり、そこでは、中和だけでは水素化触媒に対する悪影響を完全に除去できないことがある。さらに、部分的中和の間に形成される生じたアルカリ金属塩は、灰成分をもたらし、重質生成物の共生成物の市場価値を実質的に下げる。さらに形成されるアルカリ金属塩は、蒸留塔の下流のリボイラーおよび熱交換器などの下流の装置を汚す。
【0003】
1,3−プロパンジオールは、工業的に重要な化学物質である。1,3−プロパンジオールは、カーペットや織物の製造において使用されるポリ(トリメチレンテレフタレート)などのポリマーを形成するモノマー単位として用いられる。1,3−プロパンジオールは、エンジン冷却剤としてもまた有用であり、特に低伝導性であり低腐食性である冷却剤を必要とする冷却システムにおいて有用である。
【0004】
1,3−プロパンジオールは、2段階法で調製することが可能であり、この2段階法では、最初にエチレンオキシドを有機溶液中、コバルトカルボニルまたはロジウムカルボニルなどの金属触媒の存在下でヒドロホルミル化して、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを形成する。3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド中間体は、圧力下で有機層から水抽出し、金属触媒は、有機層におけるヒドロホルミル化反応に再利用される。次の段階において、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドは、水素化されて、1,3−プロパンジオールになる。
【0005】
理想的には、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド抽出物は、水素化反応装置に直接送ることができる。しかしながら、上記のように、ヒドロホルミル化の間に副生成物として形成されたカルボン酸は、ほとんどの不均一水素化触媒の性能に対して悪影響を有する可能性がある。さらに、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの抽出の間に典型的に水層に浸出するヒドロホルミル化触媒からの金属の少量もまた、ほとんどの不均一水素化触媒の性能に対して悪影響を有する可能性がある。
【0006】
US2004/0087819は、陽イオン交換樹脂を用いた水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液からのヒドロホルミル化触媒の除去を開示する。上記のように、この参考文献は、また、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液の中和を開示している。中和は陽イオン交換樹脂との接触後および水素化前に起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アルデヒドからアルコールを調製するための方法を改良することが強く望まれていることは言うまでもない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明は、カルボン酸と金属陽イオンを含むアルデヒド混合物を処理する方法を提供し、この方法は、
アルデヒド混合物を塩基性分離媒質と接触させる段階、および
続いてまたは同時に酸性分離媒質と接触させる段階を含む。本発明の一実施形態において、アルデヒドは3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを含み、カルボン酸は3−ヒドロキシプロピオン酸を含み、金属陽イオンは第VIII族金属陽イオンを含み、上記方法はさらに、混合物のpHを、操作温度において測定して最大で6の値に制御することを含む。
【0009】
本発明はまた、1,3−プロパンジオールを調製する方法を提供し、この方法は、本発明に従う処理方法によって得られた処理アルデヒド混合物を水素化することを含む。
【0010】
本発明は、また、1,3−プロパンジオール生成物を提供する。
【0011】
(発明の詳細)
本発明によれば、アルデヒドからアルコールを製造するための方法は、アルデヒド混合物を塩基性分離媒質と接触させ、次いでさらに酸性分離媒質と接触させることにより改良することができる。特に、アルデヒド混合物を塩基性分離媒質と接触させることにより、上記のように、混合物中に存在するカルボン酸の少なくとも一部を除去して、共生成物として回収することができるようにし、カルボン酸の中和に付随する灰成分の生成および汚れを排除し、その後のカルボン酸とアルコール生成物との反応を低減させる。また、アルデヒド混合物を、酸性分離媒質と接触させる前に塩基性分離媒質と接触させると、混合物中に存在する金属陽イオンの除去が改善される。
【0012】
アルデヒド混合物は、いずれのアルデヒド含有混合物であってもよい。アルデヒドはいずれのアルデヒドであってもよく、アルキルもしくはアリールアルデヒド、ヒドロキシアルデヒド、ケトアルデヒド、ハロアルデヒド、または他の置換アルデヒドであってよい。好ましくは、アルデヒドは最大で12個の炭素原子、より好ましくは最大で8個の炭素原子、最も好ましくは4個の炭素原子を含む。アルデヒドは、好ましくは2から10個の範囲、より好ましくは2から4個の範囲の炭素原子を含む。好ましくは、アルデヒドは3個の炭素原子を含み、特にアルデヒドは3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを含むことができる。
【0013】
好ましくは、アルデヒド混合物は、ヒドロホルミル化生成物混合物の水性抽出から得ることができる。本明細書で使用されている、用語「ヒドロホルミル化生成物混合物」は、アルデヒド、ヒドロホルミル化触媒、およびカルボン酸を含む混合物である。ヒドロホルミル化生成物混合物は、さらに反応希釈剤または「溶剤」、一酸化炭素、水素および酸化オレフィンを含む残存反応物、ならびに他の副生成物の少量を含む。
【0014】
アルデヒド混合物は、アルデヒド混合物の総重量に対して、1から99重量%の範囲、好ましくは10から80重量%の範囲、より好ましくは15から60重量%の範囲、および最も好ましくは20から40重量%の範囲の量のアルデヒドを含むことができる。
【0015】
カルボン酸はいずれのカルボン酸であってもよく、好ましくは最大で12個の炭素原子、より好ましくは最大で8個の炭素原子、最も好ましくは4個の炭素原子を含む。カルボン酸は、好ましくは1から10個の範囲、より好ましくは1から4個の範囲の炭素原子を含む。カルボン酸は、1種または複数種のカルボン酸を含むことができる。好ましくは、カルボン酸はアルデヒドの酸化型を含み、より好ましくは、カルボン酸はヒドロキシカルボン酸を含み、最も好ましくは、カルボン酸は3−ヒドロキシプロピオン酸を含む。カルボン酸は、酢酸およびギ酸を含むことができ、酢酸およびギ酸は3−ヒドロキシプロピオン酸と共に存在することができる。アルデヒド混合物は、アルデヒド混合物の総量に対して、1種または複数種のカルボン酸を総量で、0.1から5重量%の範囲で、典型的には0.03から3.5重量%の範囲で、より典型的には0.06から1.5重量%の範囲で、最も典型的には0.1から0.8重量%の範囲で含むことができる。
【0016】
金属陽イオンは、いずれの金属陽イオンであってもよく、好ましくは、金属陽イオンは1種または複数種のIBからVIII族金属陽イオン(“CRC Handbook of Chemistry and Physics”,69th ed.(CRC Press Inc.1988)の中の周期律で定義されている)、より好ましくは1種または複数種の第VIII族金属陽イオン、好ましくは、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、オスミウム、およびイリジウムの1種または複数種、最も好ましくはロジウム、コバルト、イリジウムおよびルテニウム、ならびに特にコバルトおよび/またはロジウムの陽イオンを含む。金属陽イオンは、1種もしくは複数種の金属化合物、錯体、または種の中に含まれていることが可能である。アルデヒド混合物は、アルデヒド混合物1リットル当たり、金属陽イオンを最大で0.03、典型的には最大で0.02、より典型的には最大で0.01、最も典型的には最大で0.002、特に最大で0.001モル当量、含むことができる。アルデヒド混合物は、アルデヒド混合物1リットル当たり、金属陽イオン少なくとも0.000001、または少なくとも0.00001、または少なくとも0.0001当量を含むことができる。
【0017】
一実施形態において、アルデヒド混合物は、水、アルコール、ジオール、ケトン、エステル、およびグリコールエーテルなどの1種または複数種の液体希釈剤に溶解することができる。特に、希釈剤は水溶液を形成する水を含む。水性アルデヒド混合物は、ある量の溶解アルデヒド、カルボン酸、および金属陽イオンを含むいずれの水溶液であってもよい。好ましくは、水性アルデヒド混合物は、水性アルデヒド混合物の総量に対して4から60重量%のアルデヒド、より典型的には20から40重量%のアルデヒドを含むことができる。好ましくは、水性アルデヒド混合物は、上記のとおりカルボン酸と金属陽イオンを含むことができる。
【0018】
アルデヒド混合物は塩基性分離媒質と接触させることができ、塩基性分離媒質はアルデヒド混合物からカルボン酸を少なくとも部分的に分離する。塩基性分離媒質と接触した結果得られたアルデヒド混合物は、第1のアルデヒド含有流出液と称することができる。塩基性分離媒質は液体、または好ましくは固体などの任意の物理的な形態であってよい。
【0019】
一実施形態において、塩基性分離媒質は塩基性陰イオン交換樹脂を含むことができる。本方法で用いることができるイオン交換樹脂は、いずれの物理的構造も有していてもよい。好ましくは、本方法で用いられるイオン交換樹脂は、ゲルタイプ(細孔)またはマクロ網状(マクロ細孔)構造を有することができる。樹脂の主要な化学成分は、ポリフェノール、ポリスチレン、ポリアクリル、またはポリビニルピリジンをベースとすることができ、典型的にはジビニルベンゼンと架橋している。例えば、Kirk−Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology,4th Ed.,Vol.14,1995,pages 737−783を参照することができる。
【0020】
塩基性陰イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂を含むことができる。特に、弱塩基性陰イオン交換樹脂は、13未満のpKaを有し、または1より大きいpKbを有することができる。弱塩基性陰イオン交換樹脂は、一般に、分割が可能である強塩基性陰イオン交換樹脂とは異なり、NaCl(塩化ナトリウム)などの中性の塩を分割することができないものとして定義されている。好ましくは、弱塩基性陰イオン交換樹脂は、アミン陰イオン交換樹脂であってもよく、アミンは、第1級、第2級、または第3級アミンであり、より好ましくは、第3級アミン陰イオン交換樹脂であり、最も好ましくは、ジメチルアミノスチレンジビニルベンゼン陰イオン交換樹脂である。本発明の方法において有用である市販の、第3級アミンスチレンジビニルベンゼン陰イオン交換樹脂は、Rohm & Haas Company,5000 Richmond Street,Philadelphia Pennsylvania 19137,USAから得ることができる、AMBERLYST(商標)A21 第3級アミンスチレンジビニルベンゼン陰イオン交換樹脂、およびDow Chemical Company,Liquid Separations Group,P.O.Box 1206,Midland,Michigan 48641,USAから得ることができるDOWEX(商標)M−43 第3級アミンスチレンジビニルベンゼン陰イオン交換樹脂を含む。
【0021】
塩基性陰イオン交換樹脂は、強塩基性陰イオン交換樹脂を含むことができる。強塩基性陰イオン交換樹脂は、緩衝化されていてもよく、好ましくは、緩衝化第4級アンモニウム陰イオン交換樹脂、より好ましくは、一または二塩基性リン酸塩または炭酸塩を利用して緩衝化された第4級アンモニウム陰イオン交換樹脂であり、最も好ましくは、二塩基性リン酸塩で緩衝化された第4級アンモニウム陰イオン交換樹脂が可能である。
【0022】
塩基性陰イオン交換樹脂は、Rohm & HaasのSTRATABED(商標)(弱塩基性陰イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂との混合物)などの混合樹脂床、またはより好ましさの低い実施形態においては、MONOBED(商標)(強塩基性陰イオン交換樹脂と強酸性陽イオン交換樹脂)に取り込むことも可能である。
【0023】
別の実施形態において、塩基性分離媒質は金属酸化物を含むことができる。好ましくは、金属酸化物は、活性アルミナ、チタニア、ジルコニア、クロミア、およびそれらの混合物の1種または複数種であってよく、より好ましくは、金属酸化物は活性アルミナを含む。理論に縛られることを望むことなしに、金属酸化物は、特に水性混合物と接触すると、塩基部分を有し、該塩基部分は金属酸化物と接触させると、酸性種をイオン交換することができると考えられる。本発明の方法において有用である、市販の金属酸化物は、Alcoa F200またはLDSアルミナを含む。
【0024】
アルデヒド混合物は、アルデヒド混合物中のカルボン酸を塩基性分離媒質と接触させ、好ましくはいずれのアルデヒドの分解も最小限にするのに十分な任意の方法で塩基性分離媒質と十分に接触することができる。アルデヒド混合物と塩基性分離媒質とは、攪拌混合タンク、HIGGINS LOOP(商標)、カルーセルタイプ仕様、交互式二重床タイプ仕様などの容器の中で、塩基性分離媒質の固定床を通した混合物の流れにより、または混合物を塩基性分離媒質を含むクロマトグラフィーカラムを通過させることにより、接触させることができる。好ましくは、アルデヒド混合物および塩基性分離媒質は、HIGGINS LOOP(商標)または他の移動床仕様、カルーセルタイプ仕様、交互性二重床タイプ仕様、あるいは他の固定床仕様において接触させることができる。例えば、Perry’s Chemical Engineers’Handbook,6th Ed.,1984,pages 19−40 to 19−45を参照することができる。HIGGINS LOOP(商標)は、連続、向流、交換カラムループシステムの例であり、イオン交換/吸着ゾーン、リンスゾーン、再合成ゾーンおよびパルスゾーンを有する閉じたループを含む。カルーセルタイプ仕様は、多数の分離媒質含有コラムをカルーセル上に置くこと、または多数の固定カラムの間に規定された方法で供給をスイッチするバルブを用いることを含むことができる。塩基性分離媒質が金属酸化物を含む場合には、カルーセルタイプ仕様が好ましい。
【0025】
アルデヒド混合物は、塩基性分離媒質と接触させるときにアルデヒドの分解を最小限にする温度で、好ましくは5から45℃、およびより好ましくは15から25℃の温度で、塩基性分離媒質と接触させることができる。
【0026】
好ましくは、アルデヒド混合物は、アルデヒド混合物のpHの値を最大で6、より好ましくは最大で5.5、最も好ましくは5に制御しながら、塩基性分離媒質と接触させることができる。アルデヒド混合物のpHを制御することにより、アルデヒドのいずれの分解も最小限にすることができる。好ましくは、元のカルボン酸の90から98%のみが塩基性分離媒質によって除去され、元の酸の2から10%を残して、pHを上記の範囲に維持する。最初の酸濃度に応じ、これはアルデヒド混合物1リットル当たり、カルボン酸約1×10−6から2×10−3モル当量の間の未中和酸濃度に対応する。残存カルボン酸の所望の量は、pHの直接監視を基にした制御システムを介して容易に成し遂げることができる。
【0027】
特に別途明記しない限り、pH値は、アルデヒド混合物中に浸漬した従来の標準pHプローブを用いて、操作温度で直接測定すると考えられる。
【0028】
アルデヒド混合物から除去されるカルボン酸の量および結果としてのpHは、いくつかの因子に依存する可能性がある。特に、酸除去量およびpHは、塩基性分離媒質の分離能、塩基性分離媒質と接触するために存在するアルデヒド混合物の量に対する分離工程で用いられる塩基性分離媒質の量、アルデヒド混合物中に存在するカルボン酸の量、アルデヒド混合物と塩基性分離媒質との間の接触をもたらすために用いられる装置、およびこの工程のための接触時間に依存する可能性がある。これらの因子、特に接触工程の持続時間は、アルデヒド混合物の酸除去およびpHを制御するために調節することができる。
【0029】
バッチ工程では、アルデヒド混合物の重量に対する媒質の重量による、塩基性分離媒質の十分な量は、アルデヒド混合物の重量に対して、0.1から2.5重量%、好ましくは1から10重量%であってもよい。連続工程では、アルデヒド混合物は、塩基性分離媒質を0.1h−1から40h−1、好ましくは0.5h−1から20h−1、およびより好ましくは1h−1から10h−1の1時間当たりの体積空間速度(1時間当たりの塩基性分離媒質の体積に対する、アルデヒド混合物の供給体積)で通過することができる。
【0030】
好ましくは、上記のようなpH値までカルボン酸を除去したアルデヒド混合物と、未中和の塩基性分離媒質との間の接触を避ける。これは、上記のように、因子を調節することにより、好ましくは特に高い分散混合を伴う短い床、または頻繁な再合成を伴う逆混合段階においてさらに連続イオン交換を用いて、成し遂げることができる。好ましくは、連続イオン交換を適用し、その場合、総イオン交換床体積は、分離容器(カルーセルタイプ)の使用により、またはイオン交換領域(HIGGINS(商標)LOOP)を通して床に定期的にパルスすることを介してのいずれかで一連の「N」当量段階に分割される。1つの段階での1時間当たりの体積空間速度は、したがって、1つのより大きな床と比較して「N」倍大きい。より大きい1時間当たりの体積空間速度は、軸方向分散による段階内での混合をもたらし、床の中での高いpH領域が、部分的に完全な酸除去により避けられる。結果として、アルデヒドの分解は最小限となり、この方法は、より大きい床を用いるより一定で最適な出口pHで操作する。
【0031】
第1のアルデヒド含有流出液は、アルデヒド混合物中に存在する少なくとも70%の、より好ましくは少なくとも80%の、および最も好ましくは少なくとも90%のアルデヒドを含むことができる。
【0032】
第1のアルデヒド含有流出液は、アルデヒド混合物よりもより少量でカルボン酸を含み、好ましくは第1のアルデヒド含有流出液は、アルデヒド混合物中に存在するカルボン酸の最大で20%、より好ましくは最大で10%、最も好ましくは最大で5%を含むことができる。第1のアルデヒド含有流出液は、アルデヒド混合物中に存在するカルボン酸の少なくとも1%、より好ましくは少なくとも1.5%、最も好ましくは2%を含むことができる。第1のアルデヒド含有流出液のpHは、最大で6、好ましくは最大で5.5、およびより好ましくは最大で5であることが可能である。
【0033】
金属陽イオンは塩基性分離媒質により有意な量では除去されないので、第1のアルデヒド含有流出液中の金属陽イオンの量は、アルデヒド混合物中の金属陽イオンの量と同じであってよい。
【0034】
分離能力が低下したら、塩基性分離媒質は塩基処理にかけて、分離媒質の塩基性の特性を再生させることができる。好ましくは、塩基処理は、塩基性分離媒質が固体の場合には、塩基洗浄である。塩基洗浄の前に、塩基性分離媒質を水洗することが可能である。塩基性分離媒質は十分な時間および十分な濃度で塩基洗浄に接触させ、分離媒質の塩基性の性質を再生することができる。塩基洗浄は、媒質をほぼ完全に再生するために、塩基性分離媒質のpKのpHよりも上のpHを有する。塩基洗浄は、好ましくは8以上のpH、より好ましくは10以上のpHを有する。塩基洗浄は、好ましくは水酸化カリウム溶液であり、より好ましくは4重量%水酸化カリウム溶液である。しかしながら、これらに限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、または他の水金属酸化物を含む他の塩基を塩基洗浄として利用することができる。塩基性分離媒質は、5から45℃の温度で塩基洗浄に接触させることができる。
【0035】
第1のアルデヒド含有流出液は、続いてまたは同時に酸性分離媒質と接触させ、処理アルデヒド混合物をもたらすことができる。酸性分離媒質との接触で生じた処理アルデヒド混合物は、第2のアルデヒド含有流出液と称することができる。第1のアルデヒド含有流出液を少なくとも部分的に酸性分離媒質と接触させると、第1のアルデヒド含有流出液から金属陽イオンが分離される。
【0036】
好ましくは、第1のアルデヒド含有流出液は、塩基性分離媒質から分離し、続いて酸性分離媒質と接触させることができる。第1のアルデヒド含有流出液は、酸性分離媒質と接触させる前に、さらなる流出液中の成分の濃度を変化させる変更を受けてもよいし受けなくてもよい。流出液の変更は、希釈または濃縮などの任意の工程を含むことができる。好ましくは、この工程は、実質的にアルデヒドの化学構造を変化させない。実質的な変化とは、一般的には、流出液中に存在するアルデヒドのモル量の25%以内の減少があることを意味すると理解される。酸性分離媒質は、液体または好ましくは固体などの任意の物理的形態であってよい。
【0037】
酸性分離媒質は、カルボン酸陽イオン交換樹脂、すなわち弱酸性陽イオン交換樹脂を含むことができる。好ましくは、カルボン酸陽イオン交換樹脂は、アクリル酸陽イオン交換樹脂であってよい。本方法で用いることができるカルボン酸陽イオン交換樹脂は、任意の物理構造であってよく、好ましくは、ゲルタイプ(微細孔)またはマクロ網状(マクロ細孔)構造が可能である。市販のアクリル酸陽イオン交換樹脂は、The Dow Chemical Company,Liquid Separations,P.O.Box 1206,Midland,Michigan 48642,USAから入手可能である、DOW MAC−3 アクリル酸陽イオン交換樹脂;Rohm & Haas Company,Ion Exchange Resins,100 Independence Mall West,Philadelphia Pennsylvania 19106,USAから入手可能である、IRC76 アクリル酸陽イオン交換樹脂;およびThe Purolite Company,150 Monument Road,Bala Cynwyd Pennsylvania 19004,USAから入手可能であるC140E アクリル酸陽イオン交換樹脂を含む。
【0038】
第1のアルデヒド含有流出液は、第1のアルデヒド含有流出液中の金属陽イオンが酸性分離媒質と接触させるのを確実にするのに十分な任意の方法で、酸性分離媒質と接触させることができる。例えば第1のアルデヒド含有流出液および酸性分離媒質は、例えば攪拌混合タンク、HIGINS LOOP(商標)、カルーセルタイプ仕様、交互性二重層タイプ仕様などの容器の中で、分離媒質の固定床を通した混合物の流れにより、または混合物を酸性分離媒質を含むクロマトグラフィーを通過させることにより、接触させることができる。
【0039】
バッチタイプ工程では、第1のアルデヒド含有流出液に対する媒質の重量による、酸性分離媒質の十分な量は、1:5から1:25の範囲であってよく、好ましくは1:10から1:15の範囲であってよい。接触時間は、30分から数時間、例えば1時間から50時間で変えることができる。連続工程では、第1のアルデヒド含有流出液は、酸性分離媒質を0.1h−1から100h−1、好ましくは2h−1から30h−1の1時間当たりの体積空間速度(1時間当たりの酸性分離媒質の体積に対する、流出液を含む第1のアルデヒドの供給体積)で通過させることができる。
【0040】
第1のアルデヒド含有流出液は、分離媒質またはアルデヒドの分解を最小限にする任意の温度で酸性分離媒質と接触させることができる。好ましくは、第1のアルデヒド含有流出液と酸性分離媒質は、5から45℃、より好ましくは15から25℃の温度で接触させることができる。
【0041】
第2のアルデヒド含有流出液は、アルデヒド混合物中に存在するアルデヒドの少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を含むことができる。
【0042】
第2のアルデヒド含有流出液は、第1のアルデヒド含有流出液中に存在するアルデヒドの少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を含むことができる。第2のアルデヒド含有流出液は、アルデヒド混合物および第1のアルデヒド含有流出液より少量の金属陽イオンを含むことができ、好ましくは第2のアルデヒド含有流出液は、アルデヒド混合物および第1のアルデヒド含有流出液の中に存在する金属陽イオンの最大で50%、より好ましくは最大で25%、および最も好ましくは最大で10%を含むことができる。好ましくは第2のアルデヒド含有流出液は、第2のアルデヒド含有流出液1リットル当たり、金属陽イオンを最大で0.001、より好ましくは最大で0.0001、および最も好ましくは最大で0.00001モル当量、含むことができる。
【0043】
第2のアルデヒド含有流出液は、水素化前に、流出液中の成分の濃度を変化させるさらなる変更を行ってもよいし行わなくてもよい。流出液の変更は、希釈または濃縮などの任意の工程を含むことができる。
【0044】
分離能力が低下した後、酸性分離媒質は酸性処理をして分離媒質の酸性の特性を再生させることができる。好ましくは、酸性処理は、酸性分離媒質が固体の場合には、酸洗浄であってよい。酸性分離媒質は少なくとも45℃の、好ましくは70から100℃の範囲、最も好ましくは85から95℃の範囲の温度で酸洗浄剤に十分な時間接触させることができ、酸性分離媒質の酸性の性質を再生することができる。酸洗浄剤は、分離媒質をほぼ完全に再生するために、酸性分離媒質のpKaのpHよりも低いpHを有するべきである。特に別途明記しない限り、pKa値は25℃の温度で測定されると見なす。酸洗浄剤は好ましくは2以下のpH、より好ましくは1以下のpHを有する。酸洗浄は、好ましくは硫酸溶液であり、より好ましくは10%の硫酸溶液である。しかしながら、他の酸を酸洗浄剤として利用することができ、これらに限定されないが、塩酸、リン酸、または他の鉱酸を含む。
【0045】
図1を参照すると、図1は、エチレンオキシド、一酸化炭素、および水素をヒドロホルミル化して、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを形成し、続いてこの3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを水素化して1,3−プロパンジオールを得ることにより1,3−プロパンジオールを調製する方法を説明する概略図であり、この方法は本発明の処理方法を組み入れる。
【0046】
図1は、1,3−プロパンジオール工程内の本発明の実施形態を表現する。エチレンオキシド(1)、一酸化炭素、および水素(2)の別々のまたは組み合わせた流れをヒドロホルミル化容器(3)に満たし、ヒドロホルミル化触媒の存在下で反応させて、ヒドロホルミル化生成物混合物を製造する。
【0047】
ヒドロホルミル化反応後、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを含むヒドロホルミル化生成物混合物を冷却して、ライン(4)を介して抽出容器(5)に通すことができる。そこでは、水性液体、一般に水および任意的な混和する希釈剤が、ライン(6)を介して、次の水素化段階のための3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの抽出および濃縮のために添加される。液液抽出によって生じる有機層は、任意で重質生成物の除去を伴い、抽出容器からライン(7)を介してヒドロホルミル化反応に再利用されることが可能である。液液抽出から得られた水性3−ヒドロプロピオンアルデヒド溶液は、ライン(8)を介して、一酸化炭素および水素の除去、およびカルボニル形の任意の残った触媒の酸化のために、脱気剤−押し出し−酸化容器(9)に移動することができる。酸化は空気などの酸素含有ガスを水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液抽出物に導入することにより好都合に行うことができる。好ましい酸化技術は、処理される水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液が、容器(9)を通って下向きの方向に流れると同時に入口(11)から脱気剤−押し出し−酸化容器(9)を通して上向きの方向に空気を分散することを含む。ストリッピングガスは酸化ガスと同じ入口(11)を通り、またはストリッピングガスが、容器(9)を通って水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液が流れると同時に該溶液を通って流れることを可能にするように、位置づけられた別の入口(図示せず)を通り、脱気剤−押し出し−酸化容器(9)を通って分散することができる。
【0048】
本発明の方法において、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液、すなわち水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、容器(9)から容器(10)まで通過することができ、そこでは、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物を塩基性分離媒質と接触させることによって、カルボン酸を分離することができる。容器(10)から生じる第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、次いで容器(22)まで通過して、そこでは第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液を酸性分離媒質と接触させることによって、金属陽イオンを分離することができる。
【0049】
容器(22)から生じる第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、次いで水素化ゾーン(13)まで通過して、水素化触媒の存在下で水素(14)と反応して、1,3−プロパンジオールを含む水素化生成物混合物(15)を製造する。このような工程において図示された水素化ゾーン(13)は、2個以上の一連の分離反応容器を含む。
【0050】
残った希釈剤と抽出剤水は、カラム(16)の中で水素化生成物混合物(15)の蒸留によって回収され、さらなる蒸留(図示せず)および分離のための水抽出工程ならびに軽質留分のパージに再利用され得る。1,3−プロパンジオールを含む生成物の流れ(18)は、1,3−プロパンジオール(20)を重質生成物(21)から回収するために蒸留カラム(19)まで通過する。
【0051】
ヒドロホルミル化容器は、気泡塔または攪拌タンクなどの圧力反応容器が可能であり、バッチ式または連続方法で操作することができる。供給の流れは、ヒドロホルミル化触媒の存在下で接触させることができる。ヒドロホルミル化触媒は、上記のように、1種または複数種の金属陽イオンを含むことができる。ヒドロホルミル化触媒は、さらにカルボニルを含むことができ、特に、Co(CO)12(テトラコバルトドデカカルボニル)、Co(CO)(ジコバルトオクタカルボニル)、およびRh(CO)16(ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル)などの水不溶性コバルトおよび/またはロジウムカルボニルを含むことができる。ヒドロホルミル化触媒は、典型的には、ヒドロホルミル化反応混合物の総重量に対して、反応混合物中に0.01から1重量%の範囲内、好ましくは0.05から0.3重量%の範囲内の量で存在する。水素および一酸化炭素は、一般に反応容器内にモル比で1:2から8:1の範囲内、好ましくは1:1から6:1の範囲内で導入される。
【0052】
ヒドロホルミル化反応は、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの主要な部分とアセトアルデヒドおよび1,3−プロパンジオールの少量の部分を含む、ヒドロホルミル化生成物混合物の製造に効果的な条件下で実行することができる。反応混合物中の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの濃度は、ヒドロホルミル化反応混合物の総重量に対して、好ましくは15重量%未満であり、より好ましくは5から10重量%の範囲内である。異なる密度を有する希釈剤を提供するために、反応混合物中の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの所望の濃度は、モル濃度で表現することができ、すなわち1.5M未満、好ましくは0.5Mから1Mの範囲内である。一般にコバルト触媒化ヒドロホルミル化反応は、100℃未満の温度、好ましくは60℃から90℃、および最も好ましくは75℃から85℃の温度で実行することができる。ロジウム触媒化ヒドロホルミル化では約10℃高い。ヒドロホルミル化反応は、一般に1から35MPaの範囲内の圧力で実行することができ、(経済的な工程として)好ましくは7から25MPaであり、より優れた選択性のために好まれるのは、より高い圧力である。ヒドロホルミル化反応は、反応物に対して不活性である液体希釈剤の中で実行することができる。「不活性」とは、希釈剤が反応の経過の間に消費されないことを意味する。一般にヒドロホルミル化工程のための理想的な希釈剤は、一酸化炭素を可溶化し、基本的に非水混和性であり、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを溶解して、ヒドロホルミル化条件下で、少なくとも5重量%の所望の濃度にする。一方、ほとんどの希釈剤は水抽出において分離層として残る。「基本的に非水混和性」により、水の中で25℃で25重量%未満の溶解性を有し、ヒドロホルミル化生成物混合物からの3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの水抽出において分離有機層を形成することを意味する。好ましくは、ヒドロホルミル化反応希釈剤は、アルコールおよびエーテルが可能である。より好ましくは、ヒドロホルミル化反応希釈剤は、メチル−t−ブチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、フェニルイソブチルエーテル、エトキシエチルエーテル、ジフェニルエーテル、およびジイソプロピルエーテルなどのエーテルが可能である。テトラヒドロフラン/トルエン、テトラヒドロフラン/ヘプテン、およびt−ブチルアルコール/ヘキサンなどの希釈剤の混合物もまた用いることができる。最も好ましくは、ヒドロホルミル化反応希釈剤はメチル−t−ブチルエーテルであり、それは穏和な反応条件下で成し遂げることができる、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの高い収量のためである。
【0053】
穏和な反応条件下で収量をさらに高めるために、ヒドロホルミル化反応混合物は、好ましくは、反応速度を加速するために触媒促進剤を含む。好ましい親油性促進剤は、親油性ホスホニウム塩および親油性アミンを含み、親油性ホスホニウム塩および親油性アミンは、活性触媒に対して親水性(水溶解性)を与えることなくヒドロホルミル化の速度を加速する。好ましくは、親油性促進剤は、テトラブチルホスホニウムおよびジメチルドデシルアミンが可能である。本明細書で使用されている「親油性」は、この促進剤が3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの水抽出の後に有機層に残っている傾向があることを意味する。この促進剤は、一般には触媒の金属成分(例えば、コバルトおよび/またはロジウム)1モル当たり、0.01から1モルの範囲内の量で存在する。
【0054】
低濃度では、水は所望のカルボニル触媒種の形成のための促進剤として役に立つ。メチル−t−ブチルエーテル希釈剤中のヒドロホルミル化のための最適な水の濃度は、ヒドロホルミル化反応物混合物の総重量に対して、1から2.5重量の範囲内である。しかしながら、過剰な量の水は3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの選択性を低減し、第2の液層の形成を引き起こすことがある。
【0055】
3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの水の中への液液抽出は、例えば、混合器−沈降器、充填もしくはトレイ抽出カラム、または回転ディスク接触器などの任意の適切な手段により達成することができる。ヒドロホルミル化生成物混合物へ加える水の量は、体積により、一般に1:1から1:20の範囲内、好ましくは1:5から1:15の範囲である。水抽出は、好ましくは25℃から55℃の範囲内の温度で、好ましくはより低い温度で行うことができる。25℃から55℃で、0.5−5MPaの一酸化炭素のための分圧下での水抽出は、有機層における触媒の保持を最大化する。
【0056】
典型的には、液液抽出から生じる有機相は、ヒドロホルミル化反応希釈液の主要な部分と触媒の主要な部分とを含む。有機相は、任意の重質生成物の浄化と共に、抽出容器からヒドロホルミル化反応まで再利用され得る。
【0057】
好ましくは、液液水抽出から生成された水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物の総重量に対して、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを4から60重量%、より好ましくは3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを20から40重量%含むことができる。
【0058】
水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、2から4、典型的には2.5から3.5、およびより典型的には2.9から3.3の範囲内のpHを有する。
【0059】
水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、カルボン酸を、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物の総重量に対して、0.03から3重量%の範囲、典型的には0.06から1重量%の範囲、より典型的には0.1から0.6重量%の範囲の量で含むことができる。
【0060】
典型的には、カルボン酸は、3−ヒドロキシプロピオン酸を、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物中に存在するカルボン酸の総重量に対して、少なくとも50重量%、より典型的には少なくとも60重量%、最も典型的には少なくとも75重量%、特に少なくとも90重量%の量で含む。
【0061】
水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、コバルトおよび/またはロジウム陽イオンを総量で、コバルトおよび/またはロジウム陽イオンを、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物1リットル当たり、最大で0.03、典型的には最大で0.02、より典型的には最大で0.01、最も典型的には最大で0.002、特に最大で0.001モル当量含むことができる。水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、コバルトおよび/またはロジウム陽イオンを総量で、コバルトおよび/またはロジウム陽イオンを、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物1リットル当たり、少なくとも0.000001、または少なくとも0.00001、または少なくとも0.0001モル当量含むことができる。一般には、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、コバルトおよび/またはロジウム陽イオンを総量で、コバルトおよび/またはロジウム陽イオンを、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物1リットル当たり、0.001から0.003モル当量の範囲で含むことができる。コバルトおよび/またはロジウム陽イオンの量は、水溶性および水不溶性の両方の錯体、化合物または種からのコバルトおよび/またはロジウムカチオンを含む。
【0062】
液液水抽出から生成された水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液は、酸化され得る。好ましくは、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、不溶性金属化合物、例えば水不溶性コバルトおよび/またはロジウム種の酸化が効果的な弱酸性の条件下で酸素と接触させて、水溶性金属化合物、例えば水溶性コバルトおよび/またはロジウム陽イオンとすることが可能である。不溶性金属化合物の酸化は、次に続くイオン交換工程において金属化合物の除去を容易にする。
【0063】
一般には、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの形成に好ましい条件下でエチレンオキシドのヒドロホルミル化による副生成物として製造されるカルボン酸の量は、酸化に適する弱酸性の条件を生む。十分な酸が反応副生成物として存在しない場合、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液は、pHが3から6、好ましくは3から4である溶液を製造するのに効果的な量の有機または無機の酸を添加することにより、酸性化される。適切な酸は、C1−4有機酸を含む。
【0064】
酸化は5℃から45℃の温度で、および50から200kPaの範囲の、好ましくは約101.3kPa(大気圧)の圧力で行われる。滞留時間は、典型的には1から15分の範囲内である。
【0065】
窒素または二酸化炭素などのストリッピングガスはまた、脱気−ストリッピング−酸化器の中で水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液を通して拡散することができ、可燃性混合物の形成を妨げて、一酸化炭素と水素を水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド溶液から除去することを助けることができる。一酸化炭素は水素化触媒の性能を妨げる可能性があるので、溶液中に残っている一酸化炭素のわずかな量さえ取り除くことが望まれる。
【0066】
脱気−ストリッピング−酸化器を通過した後、生じる水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド、ならびに1種または複数種の水溶性金属陽イオン、および主要な成分が3−ヒドロキシプロピオン酸であるカルボン酸を含む副生成物を含むことができる。
【0067】
脱気−ストリッピング−酸化器から得られる、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、塩基性分離媒質と接触させて、第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液を生成することができる。上で議論したように、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの分解を最小限にするために混合物のpHを最大で6、好ましくは最大で5.5、より好ましくは最大で5の値に制御しながら、塩基性分離媒質は水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物と接触させる。3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドはpH5より上では分解が増加し、pH値が6を超えると著しく分解する。
【0068】
水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物を塩基性分離媒質と接触させるための条件および容器は、アルデヒド混合物に関してすでに議論したとおりである。
【0069】
第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物中に存在するアルデヒドの、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、および最も好ましくは少なくとも90%を含むことができる。
【0070】
第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物よりもカルボン酸をより少量含むことができ、好ましくは、第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物中に存在するカルボン酸の最大で20%、より好ましくは最大で10%、および最も好ましくは最大で5%を含むことができる。第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物中に存在するカルボン酸の少なくとも1%、より好ましくは少なくとも1.5%、最も好ましくは少なくとも2%を含むことができる。第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液のpHは、最大で6、好ましくは最大で5.5、およびより好ましくは最大で5が可能である。
【0071】
第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液の中の金属陽イオンの量は、金属陽イオンは塩基性分離媒質によりいかなる有意な量も除去されないので、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物中の金属陽イオンの量と同じであり得る。
【0072】
第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、酸性分離媒質と接触して、第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液を生成することができる。第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液を酸性分離媒質と接触させるための条件および容器は、第1のアルデヒド含有流出液に関してすでに議論したとおりとすることが可能である。
【0073】
第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物中に存在するアルデヒドの少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、および最も好ましくは少なくとも90%を含むことができる。
【0074】
第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液の中に存在するアルデヒドの少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、および最も好ましくは少なくとも90%を含むことができる。 第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物または第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液より金属イオンをより少量含むことができ、好ましくは、第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物または第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液の中に存在する金属陽イオンの最大で50%、より好ましくは最大で25%、および最も好ましくは最大で10%を含むことができる。好ましくは、第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、総量で、第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液1リットル当たり、金属陽イオンを最大で0.001、より好ましくは最大で0.0001、および最も好ましくは最大で0.0001モル当量含むことができる。
【0075】
第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液のpHは、3から6の範囲、好ましくは3.5から5.5の範囲が可能である。
【0076】
水素化触媒は、好ましくは固定床支持ニッケル触媒が可能であり、例えばCalsicat E−475SRおよびR−3142として、W.R.Graceから市販されている。
【0077】
水素化工程は、1段階または2以上の連続した温度段階で行うことができる。好ましい実施形態において、水素化は、上記の通り50℃から130℃の範囲内の温度で行うことができ、続いて第2の段階で第1の段階の温度よりもより高い温度で、および70℃から155℃の範囲の温度で行うことができ、それから任意で、重質生成物の1,3−プロパンジオールへの転換のために第3の段階で120℃よりも高い温度で行うことができる。
【0078】
本発明を一般的に説明したが、更なる理解は、以下の実施例を参照して得ることができる。それらは、単に説明する目的のために提供され、本明細書に記載されている本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
(実施例)
【実施例1】
【0079】
実施例2−4で使用するための、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物の調製:
エチレンオキシドヒドロホルミル化生成物混合物を、1350psi(9300kPa)で、4:1の水素:一酸化炭素の比で35℃で水抽出し、水性抽出層は水溶液を形成した。大気圧に減圧した後、水性抽出層を分離し、希釈空気/窒素混合物を分散させ、コバルトカルボニル触媒を水溶性陽イオンコバルト金属種に変換した。水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物を、ガスクロマトグラフィーで分析し、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物における3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの濃度は12.25重量%であると確定した。チオシアン酸の誘導体化を基にした測色技術を用いて、コバルト濃度が77ppmwであると確定した。0.1NのKOH滴定剤を用いた酸性度の滴定により、25℃の温度で測定したときに、pHが8と9の間の等量点で3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物1g当たりのカルボン酸の濃度が0.051meqであった。水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物のpHは、25℃の温度で測定したときに3.3であった。水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、実施例2−4において使用するために、いくつかのアリコートの中に分けた。
【実施例2】
【0080】
本発明の方法に従って、塩基性分離媒質、特に第3級アミンイオン交換樹脂の水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物からカルボン酸を除去する有効性、および酸性分離媒質、特にカルボン酸陽イオン交換樹脂の、第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液からコバルト陽イオンを除去する有効性を決定した。実施例1からの水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物の10gをAMBERLYST(商標)A−21(Rohm and Haas Companyから入手可能であるジメチルアミノマクロ網状スチレンジビニルベンゼン)イオン交換樹脂の1湿グラムと、18時間、24℃でガラス薬瓶の中で転がして接触させ、液固平衡を保証した。この樹脂の別のサンプルを真空オーブンで終夜65℃で乾燥し、湿樹脂の52重量%の乾燥固体成分を確立した。樹脂(すなわち第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液)と接触した後に液層を分析すると、25℃での測定ではpH5であり、カルボン酸濃度が0.002meq/g、コバルト濃度が76ppmw、および3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド濃度が11.9重量%であった。3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの最初と最後の濃度の間の3重量%未満の違いは、この反応中間体のガスクロマトグラフィー分析において通常実験エラーとして与えられるごくわずかなものである。
【0081】
これは、塩基性分離媒質が、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの分解が無視できる程度で、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物中に存在するカルボン酸の96重量%を除去するために用いられ得ることを示している。
【0082】
残留液体上澄液(すなわち、第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液)の4.55gは、DOWEX(商標)Mac−3(The Dow Chemical Companyから入手可能であるマクロ網状アクリル酸)イオン交換樹脂の0.038湿グラムと18時間、24℃でガラス薬瓶の中で転がすことにより接触した。この樹脂の分離サンプルを真空オーブンで終夜65℃で乾燥して、湿潤樹脂の乾燥固体53重量%を得る。この樹脂(すなわち、第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液)と接触した後に液層の分析をすると、pHが4.4であり、コバルト濃度が18ppmw、および3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの濃度が11.5重量%であった。
【0083】
塩基性分離媒質と酸性分離媒質とを併用接触させると、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物に対して96重量%のカルボン酸と77重量%のコバルトとが除去され、わずか7重量%の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドが分解された。(乾燥グラムをもとにした)第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液の中に残存したコバルト濃度に対するこの樹脂のコバルトの濃度の割合は741であった。
【実施例3】
【0084】
(比較例)
実施例2からの第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液の4.34gを、AMBERLYST(商標)A−21(Rohm and Haas Companyから手に入れることができる、ジメチルアミノマクロ網状スチレンジビニルベンゼン)イオン交換樹脂の更なる0.56湿グラムと、18時間24℃でガラス薬瓶の中で転がして接触させた。この樹脂との連続接触の後の液層の分析の結果、カルボン酸の完全な除去が示され、pHが7.07、コバルト濃度が76ppmw、および3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド濃度が3.17重量%であった。
【0085】
この実施例は、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物のpHを制御しないと、カルボン酸が水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物から除去されると、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドが分解されることを示す。
【実施例4】
【0086】
(比較例)
実施例1からの水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物の10gアリコートをDOWEX(商標)Mac−3(The Dow Chemical Companyから入手可能であるマクロ網状アクリル酸)イオン交換樹脂の0.063乾グラムと、18時間、24℃でガラス薬瓶の中で転がして接触させた。樹脂との接触の後の液層の分析の結果、pHが3.3、コバルト濃度が48ppmw、および3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド濃度が12.45重量%であった。(乾燥グラムベースの)3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの水性混合物中に残存したコバルトの濃度当たりの樹脂のコバルトの濃度比は96であった。
【0087】
実施例2と実施例4とを比較すると、酸性分離媒質と接触する前に塩基性分離媒質で処理すると、酸性分離媒質によって除去されるコバルトの量を実質的に改良する一方で、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの分解を最小限にすることが示されている。
【実施例5】
【0088】
本発明の方法に従って、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物からカルボン酸を除去する酸化金属の有効性を決定する。
【0089】
水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの濃度が22重量%であり、カルボン酸の濃度が溶液の0.041meq/gであることを除いて、実施例1と同様に調製した。
【0090】
LDS(Coastal Chemical Corporationから入手可能である活性アルミナ)2gを、水洗浄して残存塩基を除去し、さらに空気乾燥した。水洗浄したLDSは、エチレンオキシドヒドロホルミル化生成物混合物から得られる水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物の18gを含むバイアルに加えた。このバイアルは、ラック上で68時間室温で回転させられた。LDSアルミナは酸の79重量%を除去して、pHが3.3である第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液を得、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの4重量%未満がLDSアルミナとの接触の後に分解された。
【0091】
これは、金属酸化物が水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物中に存在するカルボン酸を3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの最小の分解と共に除去するために用いることができることを示している。
【0092】
第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、次いで、多量のDOWEX(商標)Mac−3(The Dow Chemical Companyから入手可能であるマクロ網状アクリル酸)イオン交換樹脂と接触して、第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液をもたらす。第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液の中に存在するよりも、より少量のコバルトを含む。
【実施例6】
【0093】
本発明の方法に従って、水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物からカルボン酸を除去するための、連続工程における金属酸化物の有効性を決定する。
【0094】
LDSアルミナ1300gを、2インチ(5cm)×18インチ(46cm)カラムの中に充填した。水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物をこのカラムに、0.4と0.6hr−1の間の1時間当たりの重量空間速度(WHSVhr−1)で供給した。水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物は、溶液1g当たりの0.021から0.038meqの範囲のカルボン酸濃度と、17から23重量%の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド基とを含んでいた。第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、アルミナと接触した後に、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの無視できる分解を示した一方で、まだ水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物中に存在する酸の92重量%を除去した。酸のブレークスルーの後、アルミナの再生成が4重量%の水酸化カリウム溶液を用いて行われた。
【0095】
第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、次いで多量のDOWEX(商標)Mac−3(The Dow Chemical Companyから入手可能であるマクロ網状アクリル酸)イオン交換樹脂と接触して、第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液をもたらす。第2の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液は、第1の3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド含有流出液に存在するよりもより少量のコバルトを含む。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】エチレンオキシド、一酸化炭素、および水素のヒドロホルミル化により3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを形成し、続いて3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを水素化して1,3−プロパンジオールを形成する、1,3−プロパンジオールを調製するための工程を説明する概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルデヒド混合物を塩基性分離媒質と接触させる段階、および
続いてまたは同時に酸性分離媒質と接触させる段階
を含む、カルボン酸と金属陽イオンとを含むアルデヒド混合物を処理する方法。
【請求項2】
さらに、アルデヒド混合物のpHを、操作温度で測定して最大で6に制御することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルデヒド混合物のpHが、操作温度で測定して最大で5.5、特に最大で5の値に維持される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
塩基性分離媒質が塩基性陰イオン交換樹脂を含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
塩基性陰イオン交換樹脂が弱塩基陰イオン交換樹脂を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
塩基性分離媒質が金属酸化物を含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
金属酸化物が、活性アルミナ、チタニア、ジルコニア、クロミア、およびそれらの混合物の1種以上、特に活性アルミナを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アルデヒド混合物が、5から45℃の温度で、および1時間当たり、塩基性分離媒質の1体積当たり液体の体積1から10の空間速度で、塩基性分離媒質と接触させられる、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
カルボン酸が2個から8個の範囲、特に2個から4個の範囲の炭素原子を含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
カルボン酸が3−ヒドロキシプロピオン酸を含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
アルデヒド混合物を塩基性分離媒質と接触させる工程が、アルデヒド混合物中に存在するアルデヒドの少なくとも70%、特にアルデヒド混合物中に存在するアルデヒドの少なくとも80%、より特定すれば少なくとも90%を含む、第1のアルデヒド含有流出液をもたらす、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
アルデヒド混合物が3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
金属陽イオンが第VIII族金属陽イオン、特にコバルトおよび/またはロジウム陽イオンを含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
酸性分離媒質がカルボン酸陽イオン交換樹脂を含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
酸性分離媒質と接触させる工程が、第2のアルデヒド含有流出液1リットル当たり、総量で、金属陽イオンを多くとも0.001モル当量、特に第2のアルデヒド含有流出液1リットル当たり金属陽イオンを多くとも0.0001モル当量を含む、第2のアルデヒド含有流出液をもたらす、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物が、3−ヒドロキシプロピオン酸ならびにコバルトおよび/またはロジウムカルボニル化合物を含む水性3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物を、5から45℃の温度で酸性条件下で酸化することにより形成される、請求項12から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
カルボン酸とコバルトおよび/またはロジウム陽イオンとを含む3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物を、
3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物のpHを、操作温度で測定して最大で6の値に制御しながら、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物を塩基性分離媒質と接触させること、および
続いてまたは同時に酸性分離媒質と接触させること
により処理する段階、ならびに
処理された3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド混合物を水素化する段階
を含む、1,3−プロパンジオールを調製する方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法により得られる1,3−プロパンジオール生成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−525351(P2009−525351A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553479(P2008−553479)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/061384
【国際公開番号】WO2007/090158
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】