説明

アルミニウムコア又はアルミニウム合金コアを有するエフェクト顔料、並びにその製造方法及び使用

【課題】
【解決手段】 本発明は、アルミニウムコア又はアルミニウム合金コア、及びそのアルミニウムコア又はアルミニウム合金コアを包み込む酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層を有するエフェクト顔料であって、層状のアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料を化学的湿式酸化することにより得られ、顔料の総重量に対するアルミニウムコア又はアルミニウム合金コア中の金属アルミニウムの量が90重量%以下であり、酸化されたアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料は1.95を超える屈折率を持つ少なくとも一層の高屈折性金属カルコゲニド層を有し、且つ高屈折性金属カルコゲニド層と被覆酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層との間に混合層が形成されていれるエフェクト顔料に関する。本発明は更にこのようなエフェクト顔料の製造方法、及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムコア又はアルミニウム合金コア、及びそのアルミニウムコア又はアルミニウム合金コアを包む込む酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層を有するエフェクト顔料(光揮性顔料)であって、層状のアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料を化学的湿式酸化することにより得られ、顔料の総重量に対するアルミニウムコア又はアルミニウム合金コア中の金属アルミニウムの量が90重量%以下であるエフェクト顔料に関する。本発明は更にこれらエフェクト顔料の製造方法及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エフェクト顔料はその被覆膜の入射角及び/又は観測角に応じて視覚的な印象を与える。これは、一方では塗膜媒質中で層状顔料が平行に配向していることに、また他方ではエフェクト顔料の特異的な光学特性に由来すると考えられる。特にアルミニウム顔料は可視光反射特性が高く、小さな鏡の集合体のように作用する。そのため、その反射角からより鋭角の観測角で観察した場合、著しい明暗コントラスト(輝度フロップ(brightness flop))を示す。様々な屈折性を有する、且つ/或いは有色の材料の層によりこの種の顔料を被覆することができ、その結果、鮮やかな色のエフェクト顔料が得られる。この場合、吸収、干渉、及び反射といった現象の組み合わせにより着色する。特に、干渉現象を利用すると顕著なカラーフロップ(色 flop)を示すエフェクト顔料が得られる。
【0003】
このようなエフェクト顔料は、それらのアルミニウムコアが完全に不透明であるため、パール光沢顔料とは異なり非常に優れた被覆力を示す。
【0004】
銀色アルミニウム顔料の他、銅と亜鉛の合金からなる金青銅顔料は金色を生じる。これらを有色及び/又は高屈折性の酸化物で被覆することにより、更に他の有色金属顔料を製造することができる。入射角によって強い金〜橙の色調を示す酸化鉄被覆アルミニウム顔料がEP33457号に記載されており、「Paliocrom(登録商標)」(BASF製、ルーヴィッヒハーフェン、ドイツ)の商品名で市販されている。該顔料は酸化鉄のみで被覆したアルミニウム顔料である。この着色は、ヘマタイト組成中の赤みを帯びた酸化鉄の吸収色、酸化鉄層(屈折率約2.3)への干渉効果、及びアルミニウム表面での反射の組み合わせにより生じる。しかしながら、より高角度の観測角では、これらの顔料はカラーフロップを示すのみであり、カラー位置が大きく変わることなく無色である。加えて、実際のところ利用可能な色範囲は限られている。強く発熱するテルミット反応:2Al+Fe→Al+2Feが起こる場合があるためである。
【0005】
被覆膜として使用される酸化鉄層はその下のアルミニウム顔料と最も密着しているため、特異的な活性化エネルギーの供給によりこの強く発熱する反応を開始させる可能性がある。顔料が精細に分割された結果、「バーンアウト(burnout)」が重大な安全上のリスクを引き起こす。その結果、実際の酸化鉄層の厚さは、半化学量論量の酸化鉄に対応したものに限られる。しかしながら、このような方法では、例えば強い赤色を得ることは難しい。干渉らせんの点から、このような色調は、酸化鉄層の厚さがより大きい場合に金、橙、及び銅のような色に関してのみ見られるだろう。これらエフェクト顔料は、流動層反応器中でCVD法によって製造される。酸素存在下でペンタカルボニル鉄が分解し、流動層中で流動化したアルミニウム顔料上に酸化鉄層が沈殿する。
【0006】
更に、まず低屈折率材料の被覆膜を設け、その後高屈折性材料を含む部分的に透明な被覆膜を設けたエフェクト顔料も知られている。後者の被覆膜は、金属層、或いは高屈折性の金属酸化物又は硫化物を含む。この場合、明白なカラーフロップ、すなわちカラー位置の変化を示す干渉顔料が得られる。従って、このような干渉顔料においては、できるだけ光学的欠陥の無い均質層を形成することが望まれる。
【0007】
PVDによって薄い金属基材上に被覆膜を蒸着してなるエフェクト顔料は、最も顕著なカラーフロップ効果を示す。米国特許第5,059,245号及び第5,135,812号の教示によれば、顔料にまず低屈折性材料(n<1.65)の被覆膜が形成され、その後部分的に透明な金属被覆膜が形成される。光学的に均質性及び均一性が高い被覆膜が形成される。
【0008】
これら顔料は、その製造方法に由来して、側面が外層によって完全には被覆されないという欠点がある。金属コア又は外層が腐食されやすいアルミニウムからなる場合、該顔料を例えば水性塗料中で使用すると、水素が発生し、ガス発生の問題が生じると考えられる。外側の金属層も同様に腐食の問題を引き起こす。著しく高い製造コストが更なる問題となり、これら顔料を市場の様々な部分で使用することを困難にしている。
【0009】
EP0668329A2号に記載のエフェクト顔料においては、アルミニウム顔料がまず化学的湿式条件下でケイ素の酸化物又は水和酸化物、或いはアルミニウムの酸化物又は水和酸化物で被覆される。その後、CVD法又は無電流化学的湿式堆積法による金属被覆が実施される。或いは、流動層反応器中で非選択的吸収(無色な)金属酸化物をCVD法により堆積させるか、又は化学的湿式条件下で有機溶媒中の有機金属化合物から該金属酸化物を堆積させる。
【0010】
EP0708154A2号には、まず屈折率nが1.8未満の被覆膜を有し、更にその上にnが2.0を超える有色の被覆膜を有するエフェクト顔料が記載されている。この高屈折性被覆膜は、好ましくは流動層反応器中でCVD法により形成されるが、この文献には有機金属化合物の加水分解等の化学的湿式法も記載されている。このエフェクト顔料は強い色を有し、特に顕著なカラーフロップを示す。酸化鉄(Fe)を高屈折性層に用いた場合、赤みのある金色の顔料が得られる。
【0011】
しかしながら、これらのエフェクト顔料は多数の問題を有する。アルミニウム顔料にできる限り均一且つ光学的に均質な層を形成することが常に有利とはいえない。このように、実際、強い干渉色の形成及び顕著なカラーフロップの形成が可能であり、このカラーフロップは補色の範囲まで広がる場合がある。しかしながら、この種の顕著なカラーフロップは、被覆膜全てにおいて本当に有利とはいえない。例えば、とても大きく文体上で言えばかなり保守的な自動車用エナメル塗料の市場区分においては、顕著なカラーフロップを有するエフェクト顔料は望まれない。カスタマーにとってこの効果は強すぎるためである。自動車用エナメル塗料の形成においては、顕著なカラーフロップ効果を低減するためにEP0717088号等に記載のような「フロップブレーカー(flop breaker)」を添加する必要がある。しかしながら、このような溶液は非経済的である。更に、エフェクト顔料を透明顔料又は被覆性に優れた有色顔料と適宜組み合わせることで、設計者は自身でカラーフロップを形成することができ、またそのようにすると思われる。それ故、緩やかなカラーフロップを示すエフェクト顔料がより好ましい。
【0012】
加えて、被覆力に優れ、赤、緑、銅等の従来、形成困難な色を有し、且つ耐候性があり顕著なカラーフロップを示さない金属性エフェクト顔料が必要とされている。例えば、従来は、同時に青みを示すことのない赤色金属エフェクト顔料又は赤色金属エフェクト顔料ラッカーは存在しなかった。
【0013】
一般に、CVD法は全て化学的湿式被覆法よりもコスト高である。しかしながら、SiO又は酸化アルミニウムの化学的湿式被服は、以下の点で不利である。所望の干渉効果を達成するためにはある程度の層の厚みがあることが必要となる。特に二酸化ケイ素の場合、屈折率が約1.5と低いため、層厚を大きくする必要がある。しかしながら、その結果、エフェクト顔料全体の厚さが比較的大きくなる。これにより顔料の被覆力が低下し、また配向挙動も比較的劣等となり、更に場合によっては塗膜中に積層された顔料の空間的障害が生じる。結果として、塗膜において、光沢の損失、光沢ヘイズ現象、及び像の明瞭度(DOI)の損失が起こる。
【0014】
アルミニウム顔料上への酸化又は水酸化アルミニウムの直接的な化学的湿式堆積の場合、更なる問題が起こる。すなわち、この類の堆積層は濃密ではなく、また十分に均質ではないため、ガス発生に対する安定性が不十分である。これらの製造方法ではその特性上、脂肪酸等の粉砕助剤でアルミニウム顔料を被覆する。これらは酸化アルミニウムの堆積の際に封止層として作用し、それにより透過性で且つ基材に強くは付着しない層が得られる。DE4223384号の開示により明らかなように、酸素を含む擾乱大気中での水との気相反応によって、酸化アルミニウムは顔料の表面に吸着した脂肪酸から大部分が制限を受けなくなる。しかしながら、このような手順は高コストで非経済的である。
【0015】
WO00/09617号には、化学的湿式法により酸化物外層のみでアルミニウム顔料を被覆する方法が記載されている。この方法では、全ての被覆が水性媒質を用いて行われる。異なる一定のpHの条件下で異なる層を形成する。まずアモルファスガラス層(SiO、リン酸塩、ホウ酸塩)を設け、その後高屈折性酸化物を堆積させる。
【0016】
場合によっては極端なpHで酸化物を設けるため、アルミニウム顔料を予め不動態化する必要がある。この場合、過酸化水素又は硝酸で処理すればよい。しかしながら、この工程では顔料を十分に不動態化することはできない。更にこの処理が激しい条件下で行われると、顔料の光学特性(光沢、輝度)が著しく悪化する。従って、その後の酸化物を設ける工程中、及び最終製品中に、ガス発生に対する安定性が不十分であるという問題が生じる。
【0017】
化学的湿式条件下又はCVD法で調製した従来公知の多層顔料の全ては、全層を開始基材としてのアルミニウム顔料上に堆積させる必要があるという大きな問題を抱えている。アルミニウム顔料は反射体コアとして存在し、その厚さは干渉顔料中でも元々の厚さのままである。しかしながら、製造方法の特性上、この厚さは光学的不透過性を得、それにより極めて優れた被覆力を得るために必要とみられる層厚さよりもずっと大きくなってしまう。従って、上記明細書に記載の顔料中のアルミニウムコアは必要以上に厚い。このことは被覆力が失われることから明らかである。更に、他の全被覆膜によりエフェクト顔料の全体の層厚が増加し、そのため塗膜の光沢が低下し、光沢ヘイズの問題が生じ、また像の明瞭度が悪化する。
【0018】
EP0848735号には、化学的湿式条件下、水と有機溶媒の混合物中で酸化したアルミニウム顔料が記載されている。酸化前に該顔料を脱脂処理する必要はない。これら顔料はニッケル色から明るい金、青銅色までの範囲の色を示す。しかしながら、これらの色は弱く、色範囲も限られている。
【0019】
独国特許公開DE2627428号明細書には、有色アルミニウムパウダーの製造方法が記載されている。弱アルカリ溶液から金属塩及び有機キレート剤を堆積させる方法が開示されている。この方法では、第一の処理段階で、表在性の滑らかなベーマイト膜でアルミニウム顔料を不動態化することができる。加えて、DE2627428号にて教示されている通り調製した表在性の滑らかなベーマイト膜は、その層厚がこの層が干渉色形成のための干渉帯として効果を発揮する厚さの範囲よりもはるかに小さい範囲に限定されている。
【0020】
DE2627428号に開示された本方法では、金色領域の色を有する顔料のみ得ることができる。この方法では赤色又は緑色顔料を得られない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、最低限の全厚を有し、強く付着する酸化物層を含有し、且つ完全に安全に使用できる耐候性の有色エフェクト顔料を提供することである。加えて、該エフェクト顔料は望ましくはソフト(温和)なカラーフロップを有するか、或いは実質的にカラーフロップの無い強い色を有する。公知の干渉顔料と比較して、これら顔料は著しく改善された被覆力を示すことが求められる。本発明の他の目的は、これら有色アルミニウム顔料を安価に製造する方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の目的は、アルミニウムコア又はアルミニウム合金コア、及びそのアルミニウムコア又はアルミニウム合金コアを包み込む酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層を有するエフェクト顔料であって、層状のアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料を化学的湿式酸化することにより得られ、顔料の総重量に対するアルミニウムコア又はアルミニウム合金コア中の金属アルミニウムの量が90重量%以下であり、酸化されたアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料は1.95を超える屈折率を持つ少なくとも一層の高屈折性金属カルコゲニド層を含み、且つ高屈折性金属カルコゲニド層とその周囲の酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層との間に混合層が形成されているエフェクト顔料によって、達成される。
【0023】
好ましい態様は従属項に記載されている。
【0024】
好ましい一実施態様においては、出発顔料として使用するアルミニウム顔料の純度はその総重量に対して98重量%以上であり、より好ましくは99重量%以上、更に好ましくは99.5重量%以上である。
【0025】
アルミニウム合金顔料を出発顔料として用いる場合、アルミニウム以外の金属の量は、該出発顔料の金属含量に対して好ましくは5重量%以上である。アルミニウム合金は好ましくは鉄、マンガン、銅、バナジウム、クロム、ニッケル、コバルト、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、及び/又はチタンを含有する。
【0026】
本発明のエフェクト顔料中に化学的湿式酸化により形成した酸化アルミニウム層又は酸化/水酸化アルミニウム層は、純度の高い酸化アルミニウム層又は酸化アルミニウムと水酸化アルミニウムの混合層であってよい。以下、説明を簡略化するために、主に酸化/水酸化アルミニウム層について言及する。
【0027】
金属カルコゲニドは好ましくは金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、又はこれらの混合物である。
【0028】
より好ましくは、金属カルコゲニドは金属酸化物である。
【0029】
以下アルミニウム顔料について説明するが、以下の説明はアルミニウム合金顔料の場合にも同様に適用できる。
【0030】
化学的湿式酸化により得られた酸化したアルミニウム顔料は、高い多孔率を有する酸化物/水酸化物層を含有する。その結果、より高屈折性の金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物で被覆する間に、1.95を超える屈折率を有する堆積金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物が少なくとも部分的に孔中に浸透するにつれて、混合層、好ましくは酸化物混合層を形成することができる。
【0031】
このようにして、屈折率の勾配が好ましくは顔料表面の垂線に沿ったものとなる。これにより本発明のエフェクト顔料はソフトで緩やかなカラーフロップを示す。化学的湿式酸化によって形成された酸化/水酸化アルミニウム層は、更にアルミニウムコアと屈折率1.95超の金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層とのアルミニウム熱反応に対する効果的な障壁として作用する。
【0032】
更に、本発明の目的は、以下の工程を含む請求項1乃至27のいずれかに記載のエフェクト顔料を製造する方法によって達成される。
(a)有機溶媒を含む液相中に懸濁したアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料を、酸化剤を用いて酸化する工程。
(b)少なくとも一層の1.95を超える屈折率を持つ金属カルコゲニド層を、工程(a)で酸化した顔料上に設け、且つ金属カルコゲニド層と酸化/水酸化アルミニウム層との間に混合層を形成する工程。
【0033】
好ましい態様は従属項に記載されている。
【0034】
更に、本発明の目的は、被覆剤、ラッカー、自動車用エナメル塗料、粉末ワニス、印刷用インク、筆記用インク、プラスチック材料、ガラス、セラミック、又は化粧品中での、請求項1乃至27のいずれかに記載のエフェクト顔料の使用によって達成される。
【0035】
本発明のエフェクト顔料は、マニキュア、リップスティック、メイクアップ用品、ヘアトリートメント用品、スキンケア用品、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、口紅、香水、オードトワレ、パウダー(原末又は圧縮粉末)、タトゥー剤等の化粧品での使用に特に適している。
【0036】
本発明はソフトなカラーフロップ及び優れた被覆力を示すエフェクト顔料の提供に関する。この顔料は、化学的湿式条件下で酸化した層状のアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料の上に形成され、その総重量に対する金属アルミニウムの量は90重量%以下である。色を形成し強化するために、顔料を屈折率1.95超の少なくとも一層の酸化物層で被覆する。高屈折性金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層と、酸化アルミニウム層との間には混合層を形成し、この混合層の屈折率は、純酸化アルミニウム層又は水酸化アルミニウム層の屈折率と、純金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層の屈折率との中間である。
【0037】
アルミニウムコアを有するエフェクト顔料は、特に「Variocrom(登録商標)」(BASF製)の商品名で市販されている。ここでは、まず、厚く低屈折のSiO層をゾルゲル法によってアルミニウム薄片上に形成し、その後流動層法でペンタカルボニル鉄から酸化鉄層を形成する。ここでアルミニウムコアは反射体材料及び完全に不透明な材料として用いられ、パール光沢等の干渉顔料と比較して著しく被覆力を増加させる。SiO層は低屈折干渉帯として作用する。市販品のMagic Red(商標)及びMagic Gold(商標)においては、SiO層の厚みは320〜400nmである(R. Schmidt, N. Mronga, V. Radtke, and O. Seeger, “Luster Pigments with Optically Variable Properties”, 4th Nuremberg Congress, Paper 10, 1998)。光学的観点から、強い干渉効果を得るためにこれらの層をできる限り均質に形成する。これによりエフェクト顔料は補色領域まで広がる非常に顕著なカラーフロップを示す。しかしながら、この強い効果は決して常に望ましいものではなく、多くの塗膜において強すぎるとみなされる。
【0038】
ソフトな干渉カラーフロップを示すエフェクト顔料には、光学的に完全には均質でない層を形成するのが有益である。EP0848735号等に記載の化学的湿式条件下で酸化したアルミニウム薄片はこの参照により開示に含まれ、意外にもこのようなアルミニウム薄片は、その後高屈折性金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層により被覆してソフトなカラーフロップを示すエフェクト顔料を調製するための優れた出発顔料であることがわかっている。更に、酸化又は水酸化アルミニウム層の厚さを選択的に調整できるよう条件を制御しながら、アルミニウム薄片の化学的湿式酸化を行うことができることがわかっている。酸化アルミニウム層又は水酸化アルミニウム層は干渉色帯として使用され、金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層を確実に且つ安全に固定する際にも有用である。加えて、これらは封止層としても機能し、アルミニウムコア又はアルミニウム合金コアと高屈折性金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層とのアルミニウム熱反応を効果的に抑制する。結果として、本発明のエフェクト顔料は使用上絶対的に安全である。
【0039】
化学的湿式酸化において、金属コア、すなわちアルミニウムコア又はアルミニウム合金コアはより薄くなり、酸化/水酸化アルミニウム層の一部はコア内へ、一部はコア上で成長する。この過程が進行するに従って、金属コアは非常に粗になり、それは電子顕微鏡により横軸方向基底部で観察できる。滑らかな金属表面と比較して、この非常に粗い金属表面は、より大きな入射光散乱を引き起こす。一方で、このことが本発明のエフェクト顔料のソフトなカラーフロップの一因となる。
【0040】
化学的湿式酸化により形成した酸化又は水酸化アルミニウム層は多孔構造を有する。とりわけ化学的湿式酸化で遊離した水素ガス(2Al+(n+3)HO→AlxnHO+3H↑)が形成された酸化又は水酸化アルミニウム層を通る結果、孔が生じる。
【0041】
この多孔構造の存在は、例えば、未処理のアルミニウム顔料と比較して比表面積が増加している場合に明らかとなる。この増加はBET測定によって示される。化学的湿式条件下で酸化した本発明のアルミニウム顔料の場合、BET比表面積は、未処理顔料と比較して2.5以上、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上、増加している。
【0042】
酸化/水酸化アルミニウムの層厚は、アルミニウムの酸化度及び使用したアルミニウム顔料の層厚によって決まり、20〜500nm、好ましくは30〜450nm、より好ましくは50〜400nm、更に好ましくは70〜300nmである。
【0043】
酸化アルミニウム層が多孔性であるため、屈折率1.95超の金属カルコゲニド層は最初に少なくとも一部の孔に堆積する。結果、明確な混合酸化物層が形成される。これにより、顔料表面の垂線に沿って層内での屈折率勾配が生じる。同時に、この屈折率は純酸化又は水酸化アルミニウム層の屈折率と純高屈折性金属カルコゲニド層の屈折率との間で多様化する。最終分析では、これらの全効果によって本発明のエフェクト顔料のソフトで緩やかなカラーフロップがもたらされる。比較的多量の酸化物で被覆するだけでは、概して均質な高屈折性酸化物層が形成されると考えられる。
【0044】
酸化/水酸化アルミニウム層と金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層との間に形成される混合層の層厚は好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは30nm以上である。
【0045】
一方、1.95超の屈折率を有する高屈折性金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層は本質的に有色であり、酸化鉄、水和酸化鉄、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化クロム、及び/又は硫化モリブデン等の材料を含む。他方、これら材料の連続層、これら材料の混合層、或いはこれら単一材料の連続層及び/又はこれら材料の混合層からなるものであってよい。
【0046】
カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層の層厚は、20〜150nmであってよく、好ましくは25〜70nmである。
【0047】
酸化鉄を屈折率1.95超の金属酸化物層に用いる場合、ヘマタイト、針鉄鉱、及び/又はマグネタイト、或いはこれらの混合物などの変態が使用できる。
【0048】
赤色酸化鉄層は主にヘマタイトの変態にあるのが好ましい。このようなエフェクト顔料は、赤みがかった金色の領域を得るために彩色的に特別興味深い。
【0049】
水酸化クロム(III)を金属酸化物として使用すると、優先的に緑色領域のエフェクト顔料が得られる。
【0050】
酸化/水酸化アルミニウム層及び高屈折性金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層の両方の層厚に応じて、非常に緩やかなカラーフロップを示すエフェクト顔料が得られる。酸化/水酸化アルミニウム層の層厚を、有色金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物の本質的な色、例えば酸化鉄(ヘマタイト)では赤色、水酸化クロムでは緑色が増強されるように適合させた場合、実質的にカラーフロップの無い、好ましくはカラーフロップの全く無い、強い色のエフェクト顔料が得られる。
【0051】
本発明において、定量的には、カラーフロップΔHanchorは、5つのアンカー角(anchor angle)25°/140°、45°/150°、45°/120°、75°/120°及び75°/90°の各Hanchor値の間の差の最大値を意味すると理解される。この点について、及び被覆システムについては以下に詳述する。
【0052】
本発明において、弱い、緩やかな、或いは僅かなカラーフロップとは、ΔHanchor値が1.5〜50、好ましくは2.0〜45、より好ましくは2.5〜40、更に好ましくは2.5〜35を意味すると理解される。実質的にカラーフロップの無い本発明のエフェクト顔料の場合は、ΔHanchor値は1.5〜5、好ましくは2.0〜4.5、より好ましくは2.5〜4.0である。ΔHanchor値が50を超える場合、エフェクト顔料は基材に塗設されると非常に顕著なカラーフロップを示すと考えられる。しかしながら、ΔHanchor値が1.5未満の場合、観察者には事実上カラーフロップが無いと映る。この場合、カラー位置値H(Hue)とは、通常のCieLab色測定系の値Hを意味すると理解され、式:H=arctan(b/a)により計算でき、またこの値は、幾何学的にはカラー位置ベクトルの正のa軸に対する角度を表すと考えられる。
【0053】
塗膜のカラーフロップを観察するためには、塗膜はある程度の彩度、すなわち色度(chroma)Cを有している必要がある。無色の塗膜の場合、カラー位置Hは測定でき決定できるが、観察者はその色を全く認知できない。従って、カラーフロップ、特に弱いカラーフロップも、観察できない。それ故、後述する被覆システムでの測定条件の元、本発明のエフェクト顔料の色度Cは、表面に対して45°の入射角及び110°の観測角で好ましくは15以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは25以上、最も好ましくは35以上である。
【0054】
本発明のエフェクト顔料は特異的に無機被覆膜を有し、従って気候に対して非常に安定である。
【0055】
酸化鉄層の場合、アルミニウム顔料を塗膜材料として用いると、本質的に特有の安全面のリスクが生じる。酸化鉄を精細に分割されたアルミニウム薄片上に直接堆積させると、適当な活性化エネルギーの供給の後、テルミット反応:2Al+Fe→Al+2Feが起こるリスクが生じる。
【0056】
強い発熱を伴って進行する上記反応の安全面のリスクを考慮すると、FeのAl(この場合は特に表面上のアルミニウムを意味する)に対する化学量論的比率を低く保つために、比較的薄い酸化鉄層のみ設けることを実際には余儀なくされられる。それ故、この高屈折性酸化物の干渉効果によって、酸化鉄の本質的な色の組み合わせからなる色範囲が理論上可能であるが、その範囲が完全には利用できないという現実を招く。従って、市販品Paliocrom(登録商標)(BASF)の場合、金色及び橙色の色調しか得られない。銅又は赤の色調は酸化鉄層の厚さを増すことで得られるが、安全面の理由で生成できない。
【0057】
本発明の顔料の大きな利点は、化学的湿式酸化で得られる酸化/水酸化アルミニウムが酸化鉄とアルミニウムの間の封止層として作用する効果を付与できる点である。酸化/水酸化アルミニウム層の層厚は好ましくは20nm以上、より好ましくは30〜40nmである。更に好ましい一実施態様においては、該層厚は80〜300nmの範囲内である。
【0058】
本発明の更なる他の実施態様においては、1.95を超える屈折率を有する金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物は、本質的には顕著な色を持たない。この場合、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及び/又は酸化セリウムのような材料を使用するのが好ましい。繰り返すと、これら材料の連続層、これら材料の混合層、或いは単一材料の連続層及び/又は混合層を、組み合わせて使用することができる。
【0059】
本発明の更に他の実施態様においては、1.95を超える屈折率を有する金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物の塗膜が、有色層と無色層が交互に設けられた膜である。この場合、最大で4層まで形成できる。このようにして特に強い干渉色が得られる。4層よりも多い場合、相対的なアルミニウム含量が徐々に低下するためエフェクト顔料は被覆力を失う。
【0060】
本発明の更に他の実施態様においては、無色層或いは本質的に実質的に色を持たない層を、有色層と交互に設ける。例えば、この系は化学的湿式条件下で酸化したアルミニウム上に堆積されたTiO/Fe等の層を有する。
【0061】
アルミニウム顔料を化学的湿式酸化して酸化/水酸化アルミニウムを調製することの更なる顕著な利点は、得られた酸化物又は酸化物/水酸化物の一部がアルミニウムコアの外部に成長し、同時に部分的にはコア内に成長することであり、この点で公知の被覆方法とは全く異なる。
【0062】
従って、本発明の顔料は、従来のような顔料に対する酸化/水酸化アルミニウムの堆積による被覆膜を含まず、アルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料の内部及び上から、酸化/水酸化アルミニウム層を形成する。
【0063】
多くの利点はこの反応に関わる特異な特性に関連している。一方では、酸化アルミニウムとアルミニウムコアの間に非常に強い複合材料システムを提供することができる。その後被覆される金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層が酸化/水酸化アルミニウム層のひびの入った又は粗い表面に侵入し、そこで安全に固定され、仕上がったエフェクト顔料は強い機械的安定性を示す。
【0064】
この固定は、本発明の方法で酸化していないアルミニウム又はアルミニウム合金顔料の上に堆積させた外層の固定と比較して、常により強固である。この製造法に関連のアルミニウム表面に付着した脂肪酸が常に天然の疎水性封止層を成し、被覆膜のアルミニウムコアへの固定を妨げるためである。加えて、実質的に滑らかなアルミニウム表面の場合、本発明で調製したアルミニウム又はアルミニウム合金顔料のひびの入った又は粗い表面の場合と比較すると、後に形成した被覆膜は非常に弱くしか固定されない。
【0065】
更に、内部に成長する酸化又は水酸化アルミニウムによってアルミニウムコアの厚さが減少するという利点がある。このように、エフェクト顔料の特に相対的被覆力が実質的に増加する。優れた被覆性を得るためには、例えば、有色エフェクト顔料中のアルミニウム又はアルミニウム合金の反射体コアの厚さは平均70nm以下、好ましくは70〜40nmであれば事実上不透明であり、十分である。本発明のエフェクト顔料のアルミニウムコアの平均厚さは、通常10〜250nm、好ましくは15〜200nm、より好ましくは20〜150nm、更に好ましくは30〜100nm、最も好ましくは40〜80nmである。酸化度を制御すること、並びに特定の厚さを有するアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料を選択することで、選択的にエフェクト顔料の特性に影響を与えることができる。
【0066】
しかしながら、化学的湿式条件下で形成した層の場合、アルミニウム顔料の元々の厚さは完全に最終生成物の厚さに寄与しており、アルミニウム含量や被覆力は無駄になる。
【0067】
特に多層エフェクト顔料では、顔料の全体の層厚が重要である。本発明のエフェクト顔料において、アルミニウムコア又はアルミニウム合金コアの厚さが減少すると、同様に顔料の全体の層厚も減少する。そのため、ラッカー等の塗膜媒質中での顔料の配向及び積層がより改善される。例えば、光沢が増加し、灰色ヘイズが減少し、且つ像の明瞭度(DOI)が改善される。
【0068】
本発明のエフェクト顔料の全体の層厚は、好ましくは900nm未満、より好ましくは800nm未満、更により好ましくは700nm未満、最も好ましくは600nm未満である。この全体の層厚は例えば300nmや400nmであってよい。
【0069】
本発明のエフェクト顔料の形状因子、すなわち顔料の長さと厚さの指数は、好ましくは20を超え、より好ましくは25を超え、更に好ましくは30を超え、最も好ましくは40を超える。ここで、顔料の長さは、レーザー散乱サイズ決定法での体積分布における積算破過曲線のd50値で表される。層状エフェクト顔料のサイズ特性評価はよく知られたものであり、例えばQuantachrome社のCilas装置を用いて行うことができる。
【0070】
好ましい一実施態様によれば、アルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料の化学的湿式酸化により形成した酸化/水酸化アルミニウム層に酸化鉄層を付与する。
【0071】
本発明の更なる成果においては、化学的湿式条件下で酸化したアルミニウム顔料には、1.95を超える屈折率を有する高屈折性金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物で被覆する前に、まず低屈折性酸化物が供される。その屈折率は好ましくは1.8未満である。この手法により、例えばエフェクト顔料のガス発生に対する安定性を改善することができる。酸化/水酸化アルミニウム層の空孔率が高いため、この手法は水性塗料のような高活性の媒質を用いる場合、一定の環境下で有益である。
【0072】
この類の被覆膜には、SiO、酸化ホウ素、化学的湿式条件下で沈殿させた酸化アルミニウム、これらの混合物等の材料が好適に使用できる。しかしながら、この屈折率1.8未満の酸化物層は、化学的湿式酸化により形成した酸化/水酸化アルミニウム層中の孔を完全には満たさないことが好ましい。エフェクト顔料の総重量に対するこの任意に付加される酸化物層の重量比は、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%、最も好ましくは3〜7重量%である。重量比が1重量%未満であると、屈折率1.8未満の酸化物での被覆は、例えばガス発生に対する安定化の観点で効果的ではない。15重量%を超えると、酸化アルミニウム又は水酸化アルミニウムの孔を満たした後、濃密で均質な新たな酸化物層が付与される。付与される低屈折性酸化物、好ましくはSiO、酸化ホウ素、及び/又は化学的湿式条件下で沈殿させた酸化アルミニウムの量に応じて、混合層も実質的に又は完全に低屈折性酸化物及び化学的湿式酸化で形成した酸化/水酸化アルミニウム層からなるものとすることができる。
【0073】
酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層、屈折率1.8未満の材料からなる酸化物層、及び屈折率1.95超の高屈折性金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層が共に共通混合層を形成するのが好ましい。
【0074】
共通混合層の厚さは好ましくは10nm以上であり、より好ましくは20nm以上であり、更に好ましくは30nm以上である。
【0075】
更なる他の実施態様においては、1.95を超える屈折率を有する金属カルコゲニド粒子を、屈折率1.8未満の酸化物を含む被覆工程中に添加する。この場合、金属カルコゲニド粒子は、多孔性酸化/水酸化アルミニウム層中に大量に蓄積されるような平均サイズを有することが好ましい。金属カルコゲニド粒子の平均サイズは好ましくは40nm未満、より好ましくは30nm未満である。金属カルコゲニド粒子は好ましくはナノスカラー(nanoscalar)金属酸化物粒子であり、より好ましくはナノスカラー酸化鉄粒子である。繰り返すと、酸化/水酸化アルミニウム、屈折率1.8未満の酸化物、及び屈折率1.95超の金属カルコゲニドの混合層を形成する。
【0076】
本発明の更なる他の実施態様においては、1.95を超える屈折率を有する金属カルコゲニド層又は金属酸化物層上に、更に屈折率1.8未満の層を沈殿させることができる。この層は更なる保護層として有色エフェクト顔料にガス発生に対する安定性を付与し、それにより水性塗料等の中での使用性を改善することができる。更なる被覆を行ったこれらのエフェクト顔料には、EP1084198号明細書等に記載されているように、更に任意に反応性配向剤を加えてよく、該明細書はこの参照により開示に含まれる。このようにして塗料システムへの結合性が改善でき、そのため例えば耐凝縮性等も改善できる。
【0077】
更なる屈折率1.8未満の層は、好ましくは二酸化ケイ素、酸化及び/又は水酸化アルミニウム、酸化ホウ素、又はこれらの混合物からなる。
【0078】
本発明の好ましい一応用例によれば、まず酸化ケイ素層、その後に酸化鉄層を、化学的湿式条件下で酸化したアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料に設ける。
【0079】
本発明の顔料の製造方法は2つの工程に分けられる。第一に、EP0848735号明細書に教示された方法に従ってアルミニウム顔料を酸化する。該明細書はこの参照により開示に含まれる。
【0080】
まずアルミニウム顔料を好ましくは有機溶媒中に懸濁させ、反応温度まで加熱し、酸化剤(好ましくは水)を加え、任意に触媒を加えて酸化反応を開始させる。反応時間を変更することで、反応温度、水等の酸化剤の量、触媒の量、酸化度、及び酸化したアルミニウム顔料の酸化物層の厚さを選択的に調節することができる。
【0081】
アルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料の酸化は、pH7〜12の条件下、水と一種以上の水混和性有機溶媒の混合物中で行うのが好ましい。混合物の含水量は、混合物の重量に対して、好ましくは3〜60重量%、より好ましくは15〜55重量%である。
【0082】
アルミニウム又はアルミニウム合金に対する水の量は、好ましくは10〜120重量%、より好ましくは15〜55重量%である。この値が10重量%未満であると、酸化力が弱い。またこの値が120重量%を超えると顔料が凝集してしまう。
【0083】
アルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料の酸化は、通常室温から溶媒の沸点の間の温度で行う。
【0084】
1.95を超える屈折率を有する金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物は、概ね有機性の媒質中に金属塩を溶解し、一定のpH及び好ましくは一定の温度を好ましくは測定して、これを概ね有機性の媒質中の酸化したアルミニウム顔料の分散液又は懸濁液に加えて、好ましくは沈殿させることができる。
【0085】
本発明の他の好ましい応用例によれば、1.95を超える屈折率を有する高屈折性金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層を設ける前に、屈折率1.8未満の酸化物層を付与する。
【0086】
金属塩としては、対応する金属のハロゲン化物、特に塩化物、また、硝酸塩又は酢酸塩が使用でき、これらは使用する概ね有機性の媒質に可溶である。また錯塩も使用できる。使用可能な錯塩の配位子の例としては、Ti(acac)等のアセチルアセトネートが挙げられる。
【0087】
pHは沈殿させる金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物次第であり、当業者により容易に決定できる。異なる金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物からなる連続層の場合、各沈殿に先がけて適当な酸又は塩基を添加して、pHを任意に所望の値に調整してよい。適当な酸としては、特にHClやHSO等の鉱酸が挙げられる。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。
【0088】
使用する概ね有機性の媒質は、炭素数1〜5のアルコール、その混合物、その水との混合物からなることが好ましい。
【0089】
有機溶媒は、好ましくはアルコール類、グリコール類、及びケトン類からなる群から選ばれ、より好ましくはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、メトキシプロパノール、アセトン、ブチルグリコール、又はこれらの混合物である。
【0090】
概ね有機性の媒質とは、有機溶媒含量が好ましくは全体で80重量%を超える溶媒混合物を意味すると理解される。この溶媒混合物の残部は実質的に水からなり、水は金属塩を対応する金属水酸化物及び/又は酸化物に加水分解するために必要である。
【0091】
純粋な水媒質と比較して、この概ね有機性の溶媒は、3未満及び8を超える極端なpHでも酸化アルミニウム顔料がアタックを受けない点で特に有利である。
【0092】
本発明の目的は、更に本発明のエフェクト顔料を含むコーティング組成物の提供により達成される。
【0093】
コーティング組成物は、好ましくは被覆剤、ラッカー、自動車用エナメル塗料、印刷用インク、筆記用インク、プラスチック材料、ガラス、セラミック、又は化粧品からなる群から選ばれる。好ましい一形態においては、該化粧品はマニキュアである。
【0094】
本発明のコーティング組成物は、更に各用途において一般的な添加物を含んでいてもよく、例えば一種以上のフィルム形成剤、一種以上の溶媒等を含んでよい。
【0095】
以下、本発明を実施例及び添付図面を参照して説明するが、本発明の範囲はそれらにより限定されるものではない。
【0096】
(実施例1〜5及び12〜14)
酸化
EP0848735により開示された方法に従い、酸化/水酸化アルミニウム層を形成した。
【0097】
十分なサイズの平底反応容器に、100gのペースト状アルミニウム顔料を、240gのイソプロパノールとともに加え、10分間分散させた。続いて、脱塩水と塩基(量は表1参照)の混合物を容器に加えた。得られた懸濁液を沸点より僅かに低い温度まで加熱した。7時間加熱した後、懸濁液を冷却した。16時間後、得られた混合物をブフナー漏斗を用いて吸引ろ過し、ろ過ケーキをN2気流下、真空乾燥炉中で100℃で6時間乾燥した。
【0098】
酸化鉄被覆
酸化したアルミニウム顔料を工業エタノールとともに3リットル平底反応容器に加え、分散させた。使用量を表1に示す。大バッチの場合の適切な量を確認するために、多くの独立したバッチの酸化したアルミニウム顔料を互いに混合した。その後、得られた懸濁液を60℃に加熱し、水性HCl(HCl濃度=18重量%)を用いてpHを6.2に調整した。FeClアルコール溶液(FeClx6HO濃度=40重量%)を連続的に加えた(量は表1参照)。水酸化ナトリウムアルコール溶液を加えることによってpHを6.2で一定に保った。添加終了後、懸濁液をブフナー漏斗を用いて熱吸引ろ過し、ろ過ケーキをアルコール/水混合物で複数回洗浄した。このろ過ケーキをN2気流下、真空乾燥炉中で100℃で6時間乾燥した。
【0099】
(比較例6)
化学的湿式条件下での酸化アルミニウムの沈殿
45gのアルミニウムトリイソプロピレート及び250gのイソプロパノールを1リットル反応装置中に入れ、撹拌しながら83℃の先行温度で分散及び溶解した。160gの市販品Mex 2154(Eckart社、フュルス、ドイツ)を加え、有機塩基のイソプロパノール溶液ですすいだ。1時間分散させた後、5.5%の有機塩基と94.5%の脱塩水の混合物を化学量論的比で滴下した。7時間加熱した後、得られた懸濁液を16時間撹拌し、吸引フィルターでろ過し、ろ過ケーキを真空乾燥炉中、100℃で乾燥した。
【0100】
(比較例7)
実施例1で酸化したアルミニウム顔料(その後酸化鉄により被覆せず)
【0101】
(比較例8+9)
市販品Variocrom(登録商標)M−red及びVariocrom(登録商標)M−gold(BASF、ルーヴィッヒハーフェン 、ドイツ)
【0102】
(比較例10+11)
市販品Paliocrom(登録商標)L2000及びPaliocrom(登録商標)L2800(BASF、ルーヴィッヒハーフェン、ドイツ)
【0103】
実施例及び比較例の、ドクターナイフによる塗膜の分析データ及び反射角を表2に示す。
【0104】
(比較例15)
アルミニウムパウダーE900(Eckart社、フュルス、ドイツ):極微細アルミニウムパウダー市販品
【0105】
【表1】

【0106】
図1には、本発明の顔料の横軸方向基底部のSEM像が示されている(実施例3)。顔料は大きな鈍角で測定した。このようにして良い解像度で境界表面を観察する。酸化/水酸化アルミニウム相は、純アルミニウム相に対して暗コントラストで識別され、一方酸化鉄は明コントラストを示す。酸化鉄層は際立った粒状構造を有する。酸化鉄と酸化アルミニウムの相界相では、混合層が明瞭に識別できる。小さな酸化鉄粒子が多孔性酸化アルミニウム層内に集積していた。
【0107】
図2には、比較例8の顔料の同様のSEM像が示されている。ここで、層はあらゆる点で非常に均質且つ均一であり、互いに分離していることが識別できる。酸化鉄とSiO層の混合層は識別できない。
【0108】
【表2】

【0109】
エフェクト顔料のより詳細な特性のデータを表2に示す。このデータはサイズ分布のメジアン、比表面積、密度、元素分析による組成等の顔料特性を含む。BET比表面積を確認するために、乾燥した顔料をそれぞれ300℃で2時間加熱し、その後液体窒素を用いる決定段階に送った。測定装置としてはGemini(Micromeritics製、D−41238、メンヒェングラードバッハ、ドイツ)を使用した。同様に、ドクターナイフによる塗膜(下記参照)を測定した光沢値を示す。とりわけ、小さな粒子サイズ分布を有し、SiO含量が高いために非常に高い密度を示すVariocrom(登録商標)顔料は、明らかに最も光沢に乏しい。比較例7(Fe被覆膜を形成していない酸化したアルミニウム顔料)及び比較例6と比較して、本発明の実施例1〜5では、追加した酸化鉄層により光沢の減少が見られた。しかしながら、それらの光沢は酸化鉄のみで被覆したPaliocrom(登録商標)顔料より高く、Variocrom(登録商標)顔料より著しく高い。実施例の幾つかを用いて、下記の様々な試験を行った。
【0110】
ワーリングブレンダー試験(Waring Blender Test)
多くのラッカーが産業上リサイクルシステムで処理される。このような場合、ラッカーの構成成分は強い剪断力に晒される。ワーリングブレンダー試験は、このような条件をシミュレートし、環状パイプライン安定性又は剪断安定性を決定するために役立つ。その被覆膜がキャリア材料に十分に固定されていない顔料は、本試験において、未処理の場合と比較して大きく異なる輝度値を明確に示す。従ってワーリングブレンダー試験は、各被覆膜の相互の付着を剪断力の関数として評価する手段として使用できる。
【0111】
手順
顔料ペーストを秤量し、880mlのビーカー内で段階的に慣用のヒドロキシ官能性アクリレートをベースとする液状ラッカーと混合し、両者からなるペーストを調製した。その後、DIN4mmビーカー内で、酢酸ブチルとキシレンの1:1混合物を用いて粘度を17”に調整した。トータル600gのラッカーを調製し、その400gを二重壁の1kg容器に水冷しながら入れ、特殊な部品を有するDispermat(ワーリングブレンダー)内で撹拌した。13500rpmで8分間撹拌した後、200gのラッカーを除去し、残りを更に12分間撹拌した。
【0112】
バッチ
6% パウダー(顔料)
8% 酢酸ブチル85
86% CSRラッカー、無色
30% 酢酸ブチル85/キシレン1:1の希釈物
【0113】
自動噴霧器及びスプレーガンLP−90(共にLanguth製、ドイツ)を下記設定で用いて、未処理のラッカー及び処理ラッカーをそれぞれ200g塗布した。
【0114】
設定
針 :1.3.4
圧力:4bar
操作
噴霧作業の回数は乾燥ラッカー層厚が15〜20μmとなるよう選択した。
【0115】
通常、ワーリングブレンダー試験に従う処理において未処理サンプルに対する輝度差ΔEが1未満である場合、そのエフェクト顔料は剪断に対して安定であるとみなされる。これは全ての測定角に適用されるべきである。
【0116】
図3では、いくつかの例で使用され、調製されたラッカーサンプルを塗布した金属試験シートの、20分間処理後の輝度差を各測定角に対してプロットしている。
【0117】
化学的湿式条件下で酸化アルミニウムを堆積させた比較例6の試験シートは非常に大きな輝度差を示した。この場合においてこの顔料は著しく破壊されていた。それに対して、比較例7(酸化鉄を含まない酸化顔料、Aloxal(登録商標)3010)の試験シート、比較例9の試験シート、及び本発明の実施例2の試験シートは試験の基準を満たした。Variocrom(登録商標)Magic Red(BASF)もまた試験に合格した。アルミニウムを化学的湿式酸化すると、酸化物は明らかにアルミニウムコアに強く付着し、続く酸化鉄層の被覆後にもその付着状態は保持されていた。しかしながら、化学的湿式条件下で沈殿のみさせた酸化アルミニウム層は、付着性に優れてはいなかった(比較例6参照)。また、比較例6の調製の間、酸化鉄層が強固には付着せず、二次的な沈殿物が多数生成したことを観測した。
【0118】
被覆性比較
各顔料を、10gの慣用のニトロセルロースラッカー(Dr.RengerErco青銅色混合ラッカー2615e、Morton)中で、1〜10%の範囲で様々な顔料化レベル(液状ラッカー総重量に対する顔料の重量%)で撹拌した。ここでは、エフェクト顔料をラッカー中に導入した後、はけを用いてラッカー中で分散させた。
【0119】
ドクターナイフアプリケータ内で、この使用の準備ができたラッカーをテストカードNo.2853(Byk Gardner製コントラスト紙)にフィルムのウェット厚さが50μmとなるように塗布した。
【0120】
全ての顔料化レベルで、黒白背景上のラッカー塗膜をゴニオ分光光度計(Optronic Multiflash製、ベルリン、ドイツ)を用いて反射角に対して測定角110°で測定した。
【0121】
白色背景に対する黒色の輝度値指数を、顔料化レベル(重量%)に対してプロットした(図4)。被覆性の基準としては、EP0451785等のアルミニウム顔料の文献に記載のように、0.98を超える値が通例である。アルミニウム顔料は、その可視光に対する完全な不透明性とラッカー中での平面に平行な配向に由来して、顕著な被覆力を示す。
【0122】
公知の同種のエフェクト顔料と同じように5層以上の構造を有する本発明の多層構造のエフェクト顔料は、アルミニウム含量が比較的低いため、必然的に純アルミニウム顔料と比較してより低い被覆性を示した。従って、この種のエフェクト顔料では、指数0.9の場合に被覆性に優れているとみなす。
【0123】
図4より、本発明の実施例5、並びに比較例7及び10の顔料が、3層構造の顔料が一層のみの構造を示すかのように最も優れた比被覆力を達成すると推測できる。本発明の実施例5では、使用した出発材料は極端に薄い(厚さわずか約110nm)アルミニウム顔料であった。そのため、アルミニウム含量が極端に低い(わずか20重量%)にもかかわらず、この被覆顔料の被覆力は更に顕著である。
【0124】
5層構造のエフェクト顔料Variocrom(登録商標)Magic Red(比較例8)の比被覆力は、金属含量が非常に低くSiO層が非常に厚いにもかかわらず、本発明の顔料のそれに匹敵する。顔料の粒子サイズがより小さいためである。金属顔料では粒子サイズを小さくすると、端部での散乱が増加するため、より良く被覆できることが知られている。しかしながら、粒子サイズをより小さくすると、表3から推測できるように、顔料の光沢特性が悪化する。異なる粒子サイズの影響を大きく削除するために、面積に関連した被覆力Dを以下の通り定義する。
【0125】
【数1】

【0126】
図5では、様々な初期重量の変数Dに対して指数L110°値がプロットされている。Variocrom(登録商標)顔料が被覆力に劣ることが明確に示されている。
【0127】
曲線は指数0.9と推定できる。この値を上記式中に用いて、適切な被覆力を達成するのに必要な顔料面積の初期重量を計算することができる。これらの値と比被覆力を表3に示す。更に比較のために、色素沈着レベル10%で測定した光沢値を示す。
【0128】
表3より、本発明の実施例1及び2では、被覆力はPaliocrom(登録商標)の例(比較例10及び11)と同程度であるが、より高い光沢値を示すことが明らかである。本発明の実施例4では、被覆力はより低いものの、優れた光沢値が得られた。本発明のエフェクト顔料は、特に光学特性の点で有利である。それらは、強い色を有するPaliocrom(登録商標)製品では全く見られなかった僅かで緩やかなカラーフロップを示す。本発明のエフェクト顔料のうち、実施例4のエフェクト顔料が相対的に考慮すると最も顕著なカラーフロップを示した。
【0129】
しかしながら、Variocrom(登録商標)製品(比較例8及び9)は、顕著なカラーフロップを示す。比被覆力は本発明の実施例1及び2に匹敵するが、面積に関連した被覆力はより低い。特に、これら比較顔料を用いたドクターナイフによる塗膜は、明らかに光沢が弱い。これは、これら顔料の形状因子が低いため得られた結果である。長手方向の広がりが小さく、且つ顔料の全体の厚さが大きいため、形状因子が小さくなる。この厚さは800〜1000nmであり、これが形状因子が25未満となる原因である。
【0130】
本発明の実施例5の顔料(5層顔料)の被覆特性は、3層顔料Paliocrom(登録商標)L2800やAloxal(登録商標)3010のそれよりも優れている。ここで酸化に使用したアルミニウム顔料の開始時の平均厚さは、わずか約110nmである。酸化し酸化鉄で被覆した顔料の実際の厚さは、Mex2154等の従来のアルミニウム顔料と同程度であり、300〜400nmである。
【0131】
従って、本発明のエフェクト顔料の利点は、様々な特性が組み合わさることによって得られる。本発明の顔料は、優れた被覆力、優れた機械的及び化学的安定性、高い光沢度、及び僅かで緩やかなカラーフロップを示す。総合して考慮すると比較顔料の中には説明した全ての特性を十分に有するものは無い。
【0132】
【表3】

【0133】
カラーフロップ特性
比色分析特性の比較のために、被覆性比較の欄で述べた液状ラッカー塗膜を使用した。当然、剪断荷重の無い塗膜サンプルを使用した。図6では、ゴニオ分光光度計(Optronic Multiflash製、ベルリン)を用いて測定し、図7では、ゴニオ分光光度計Multi FX10(Datacolor製、本社所在地D−45768、マール、ドイツ)を用いて測定した。
【0134】
従来、慣用の自動車用エナメル塗料システムは一定の入射角45°及び様々な測定角、例えば反射角に対し15°、20°、25°、45°、70°、75°、及び110°で測定されている。これら測定により光沢又はエフェクトライン(effect line)が得られるが、現代の干渉顔料が想定する色範囲のほんの一部のみしか示さない。この方法は、従来の金属顔料の明暗フロップを非常に上手く比色分析的に特徴付けることができる。
【0135】
しかしながら、現代の干渉顔料の主要な特性は、光の入射角への色の依存性である。しかし入射角のみを変えることで、顔料を適切に解説することができる。異なる入射角、及び各反射角に対して一定の異なる角度(例15°)で測定することで、a系においていわゆる干渉線又は干渉固定(intereference anchor)が得られる。これが干渉顔料ごとの特性である。この詳細は、W. R. Cramer and P. W. Gabel, farbe+lack, 109 (2003), 78に記載されている。適切に評価するために、3つの入射角、25°、45°及び75°、並びにそれぞれの反射角に対して+/−15°の変位を示す異なる角を用いる。すなわち、45°の入射角では関連する反射角が135°である。+15°及び−15°の2つの異なる角は、それぞれこの反射角に関連しており、対応する観測角は120°及び150°である。ここで、参照点はサンプルの垂線ではなく水平線である。
【0136】
図6には、4組の角(45°/110°、45°/90°、45°/60°、45°/25°)(入射角/測定角)における、L系のb値に対するa値がお互いに対してプロットされており、それらはエフェクトラインを示している。エフェクトラインについては、どの顔料の場合も測定角を増していくと無色(ゼロ点)への色変化が認められ、これは本発明の顔料、特に実施例1の顔料においては実質的により明白である。本発明の実施例では、赤領域への変化は大きな鈍角の観測角で観察される。図6中では、本発明の実施例1、2及び5のこの変化は、曲線中のフック状の特徴により識別できる。このような色位置の変化は、Paliocrom(登録商標)製品(比較例10及び11)では得られなかった。しかしながら、この色位置の変化は、2つのVariocrom(登録商標)の例(比較例8及び9)ではより明瞭に確認された。
【0137】
更に、カラーフロップをより良く表示するために、図7では、エフェクトアンカー(effect anchor)の指定の下、それぞれの組の角(25°/170°、25°/140°、45°/150°、45°/120°、75°/120°、75°/90°)(入射角/測定角)における、a色値をお互いに対してさらにプロットした。典型的には、干渉顔料中のエフェクトアンカーは、それぞれエフェクトライン上でほぼ水平である。エフェクトアンカーの大きさはカラーフロップを表す。
【0138】
図7より、Paliocrom(登録商標)製品(比較例11)がそのような固定を形成していないことがわかる。これに対して、エフェクトアンカーはエフェクトラインの延長部分となっている。従って、カラーフロップは事実上存在しない。
【0139】
実施例1、2及び4の本発明の顔料はこれとは異なるものである。エフェクトアンカーは適度の広がりで色空間中に広がってのみしており、弱く緩やかなカラーフロップを説明することができる。
【0140】
しかしながら、Variocrom(登録商標)(比較例9)では、観測角を変えるとカラー位置が最も大きく変化する。エフェクトアンカーは強く明瞭であり、色空間を大きく切断しており、個々の観察者により顕著なカラーフロップとみなされる。
【0141】
本発明との関連で、カラーフロップΔHanchorは、5つのアンカー角25°/140°、45°/150°、45°/120°、75°/120°、及び75°/90°の各Hanchor値の定量的な最大相違を意味すると理解される。25°/170°での6番目の値は、再現性が高くなかったため、この定量的観察では考慮しなかった。ここでは、表面に対して僅か10°の観測角で、且つ鈍角で測定を行い、表面の質感は塗膜の種類に依存し、著しく測定結果に影響する。
【0142】
ΔHanchorが大きいほど、色空間中での変化が大きくなり、その結果カラーフロップがより顕著となる。また、Paliocrom(登録商標)(比較例11)及びAloxal(登録商標)(比較例7)はほぼフロップを示さず、本発明の顔料(比較例4)は平均的なフロップを示し、Variocrom(登録商標)(比較例9)は非常に顕著なフロップを示すという順序での明確な等級付けとなる。
【0143】
下記表中の、本発明の実施例及び比較例の各値は再現される。
【0144】
【表4】

【0145】
安全性データ
上述の通り、特に酸化鉄で被覆したアルミニウム顔料は、テルミット反応の恐れがあり安全に使用することができない。反応性に関して粉末状の物質の特徴を明らかにするために、様々な特性データを決定する。最も重要な値を表4に示し、以下に説明する。
【0146】
粒子サイズ分布
粉塵の反応挙動は粒子サイズに非常に強く影響される。従って、製品の粒子サイズ分布は爆発技術データに密接に関連しており、それ故に実験結果を評価する際には常に考慮する必要がある。従って、粉塵の爆発技術調査を行うときには、レーザーグラニュロメトリー等を用いた粒子サイズ分布測定を第一に考慮する必要がある。このために、超音波を用いて、サンプルをイソプロパノール中に300秒間分散させる。磁気撹拌機で短時間撹拌した後、サンプルをレーザーグラニュロメーターで測定する。D50値はメジアン値に対応し、また通常は粒子サイズ分布特性の値として使用される。
【0147】
最小発火エネルギー
最小発火エネルギーから、流動化した粉塵の発火性についての情報を得ることができる。最小発火エネルギーは改変ハルトマン(Hartmann)装置によって決定する。規定の実験条件下、爆発性の粉塵/空気の発火性混合物に火をつけるのに十分な、コンデンサー中に蓄積される最小電気エネルギーを決定する。
【0148】
最大爆発圧力(pmax)
空気と混合した粉塵が密閉容器中で爆発するような規定の実験条件下で決定される最大圧力。
【0149】
St
この特性値は粉塵及び試験工程に特異的であり、三次元の法則から計算される。この特性値は、ガイドラインVDI3673のシート1やVDI2263のシート1、及びISO6184/1に規定の試験条件下で、1m容器中で一時的に圧力を増加させたときの最大値と数値的に同一である。
【0150】
爆発下限(Ex
空気と混合した粉塵が爆発する濃度範囲の下限。
【0151】
バーンアウト(burnout)時間
特定の体積のパウダーを1000℃の炎で活性化した後、10cmの長さに渡って全焼させるのに要する時間であり、ここで活性化の時間は5分を超えない。この値はhandbook Pruefungen and Kriterien [Tests and Criteria] Part III, Section 33.2.1.4 issued by the Bundesanstalt fuer Materialforschung [German Federal Institute for Material Research]に従って決定する。
【0152】
【表5】

【0153】
表5のデータは、本発明の顔料がアルミニウムパウダーE900と同様の安全性基準に従うことを示す。すなわち、本発明の顔料は酸化鉄で被覆したアルミニウム顔料であるが、比較のため用いたアルミニウムパウダーよりも危険ではなく、通常の商用の安全性基準を満たす。
【0154】
(実施例16)
出発原料を混合し撹拌して以下の組成を有するマニキュアを製造した。
【0155】
【表6】

【0156】
このマニキュアを人工の曲線状の指の爪に塗布した。溶媒を乾燥すると、レモン金〜赤色の弱いカラーフロップを伴う金属的印象を示した。
【0157】
従って、本発明は化学的湿式酸化したアルミニウム顔料を基材とする有色エフェクト顔料の提供に関する。これら顔料は、化学的湿式条件下、1.95を超える屈折率を有する金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層により被覆される。金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層は、少なくとも部分的に多孔性酸化/水酸化アルミニウム層の孔に侵入するため、酸化/水酸化アルミニウム層と高屈折性金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層の間には混合層が形成される。
【0158】
そのため、本発明のエフェクト顔料はソフトで緩やかなカラーフロップを示す。酸化/水酸化アルミニウムの層厚及び特性、並びに高屈折性金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物の層厚に応じて、多数の有色エフェクト顔料を調製することができる。
【0159】
本発明のエフェクト顔料は、緩やかなカラーフロップに加え、優れた被覆力と高い光沢の組み合わせの点で有利である。優れた被覆力は、アルミニウム顔料の化学的湿式酸化中に酸化物層が部分的にアルミニウムコア内部に成長するために得られる。約100〜300nmの厚さを有するアルミニウム顔料は、光学的に不透明な特性を得るために厚すぎるので、適当な厚さのアルミニウム顔料を選択することで、有色エフェクト顔料中の最終的に残るアルミニウムコアの厚さを好ましくは30〜80nmに最適化することができ、それ故エフェクト顔料の全体の厚さを最小化することができる。このように、顔料の形状因子を最大化することで、塗膜媒質中での配向性及び光沢度を優れたものにすることができる。
【0160】
化学的湿式酸化により得られる酸化/水酸化アルミニウム層は、更にアルミニウムコアと高屈折性金属カルコゲニド層、好ましくは金属酸化物層との間の封止層として作用する。すなわち、特に酸化鉄を高屈折性金属酸化物層に用いる場合、アルミニウム熱反応を効果的に抑制することができる。結果として、本発明のエフェクト顔料は安全に使用でき、多量の鉄を含むにも関わらず安全に製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】実施例3で製造した本発明の顔料の、横軸方向基底部のSEM像である。酸化鉄(明部)と酸化/水酸化アルミニウム(暗部)の混合層が認識できる。
【図2】比較例8の顔料の、横軸方向基底部のSEM像である。酸化鉄(明部)と二酸化ケイ素(暗部)の混合層は認識できないが、酸化鉄と二酸化ケイ素の明確な境界が認識できる。
【図3】本発明の実施例及び比較例において、剪断力に晒された(ワーリングブレンダー試験)後の塗膜の輝度差を示した図である。
【図4】本発明の実施例及び比較例において、比色分析により決定したドクターナイフによる塗膜の被覆力(測定角110°での暗/明の輝度指数)を、色素沈着レベルの関数として重量%で示した図である。
【図5】図4の、本発明の実施例及び比較例において、比色分析により決定したドクターナイフ塗布膜の被覆力(測定角110°での暗/明の輝度指数)を、表面を基礎とした被覆力Dの関数として示した図である。
【図6】本発明の実施例及び比較例において、ゴニオ分光光度計(Optronic Multiflash製、ベルリン、ドイツ)を用いて、7つの異なる観測角(15°、20°、25°、45°、70°、75°、110°)で、一定の入射角45°で比色分析により決定したCieLab系のa値(エフェクトライン)を示した図である。
【図7】異なる3つの入射角、及びそれぞれの2つの観測角(反射角に対して+/−15°)での、b色値に対するa色値をさらにプロットした図である。「エフェクトアンカー(effect anchor)」(25°/170°、25°/140°、45°/150°、45°/120°、75°/120°、75°/90°)(入射角/観測角)と規定されたこれらの値は、同様に表面を基準とし、ゴニオ分光光度計Multi FX10(Datacolor製)を用いて測定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムコア又はアルミニウム合金コア、及び前記アルミニウムコア又はアルミニウム合金コアを包み込む酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層を有するエフェクト顔料であって、層状のアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料を化学的湿式酸化することにより得られ、顔料の総重量に対するアルミニウムコア又はアルミニウム合金コア中の金属アルミニウムの量が90重量%以下であり、酸化されたアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料は1.95を超える屈折率を持つ少なくとも一層の高屈折性金属カルコゲニド層を有し、且つ高屈折性金属カルコゲニド層と被覆酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層との間に混合層が形成されていることを特徴とするエフェクト顔料。
【請求項2】
酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層と1.95を超える屈折率を持つ高屈折性金属カルコゲニド層とが、少なくとも部分的に互いに浸透しあっていることを特徴とする請求項1に記載のエフェクト顔料。
【請求項3】
酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層と1.95を超える屈折率を持つ高屈折性金属カルコゲニド層との間の混合層の厚さが10nm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエフェクト顔料。
【請求項4】
酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層と高屈折性金属カルコゲニド層との間の混合層の屈折率が、顔料表面に垂直に勾配を示し、前記勾配が純酸化/水酸化アルミニウム含有層の屈折率から高屈折性金属カルコゲニド層の屈折率までわたることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項5】
酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層と高屈折性金属カルコゲニド層との間に、屈折率1.8未満の材料からなる酸化物層が少なくとも一層配置されていることを特徴とする請求項1に記載のエフェクト顔料。
【請求項6】
酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層と屈折率1.8未満の材料からなる酸化物層とが、少なくとも部分的に互いに浸透しあっていることを特徴とする請求項5に記載のエフェクト顔料。
【請求項7】
酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層と屈折率1.8未満の材料からなる酸化物層とが、好ましくは厚さ10nm以上の混合層を形成していることを特徴とする請求項5又は6に記載のエフェクト顔料。
【請求項8】
酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層と、屈折率1.8未満の材料からなる酸化物層と、1.95を超える屈折率を持つ高屈折性金属カルコゲニド層とが、好ましくは厚さ10nm以上の共通混合層を形成していることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項9】
純酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層と、屈折率1.8未満の材料からなる酸化物層と、高屈折性金属カルコゲニド層との間の混合層の屈折率が、顔料表面に垂直に勾配を示し、前記勾配が酸化/水酸化アルミニウム含有層の屈折率から純高屈折性金属カルコゲニド層の屈折率までわたることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項10】
屈折率1.8未満の材料からなる酸化物層が二酸化ケイ素含有層であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項11】
アルミニウムコアの平均層厚が250nm未満であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項12】
アルミニウムコアの平均層厚が150nm未満であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項13】
1.95を超える屈折率を持つ少なくとも一層の高屈折性金属カルコゲニド層が、有色金属カルコゲニド層又は複数の有色金属カルコゲニド層からなることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項14】
1.95を超える屈折率を持つ少なくとも一層の金属カルコゲニド層又は複数の金属カルコゲニド層が、実質的に本質的な色を持たない金属カルコゲニド層又は複数の金属カルコゲニド層からなることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項15】
1.95を超える屈折率を持つ少なくとも一層の金属カルコゲニド層又は複数の金属カルコゲニド層が、有色金属カルコゲニド層及び実質的に本質的な色を持たない金属カルコゲニド層からなり、その大部分は交互に配置されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項16】
有色金属カルコゲニド層又は複数の有色金属カルコゲニド層が、好ましくは酸化鉄、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化クロム、これらの水和酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項13又は15に記載のエフェクト顔料。
【請求項17】
酸化鉄が修飾ヘマタイト、針鉄鉱、マグネタイト又はこれらの混合物で存在することを特徴とする請求項16に記載のエフェクト顔料。
【請求項18】
実質的に本質的な色を持たない単一の金属カルコゲニド層又は複数の金属カルコゲニド層が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化セリウム、これらの水和酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項14又は15に記載のエフェクト顔料。
【請求項19】
酸化アルミニウム含有層又は酸化/水酸化アルミニウム含有層に、二酸化ケイ素層が付与され、更にその上に酸化鉄層が付与されていることを特徴とする請求項5乃至13のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項20】
1.95を超える屈折率を持つ少なくとも一層の金属カルコゲニド層に、屈折率1.8未満の少なくとも一層の酸化物層が付与されていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項21】
屈折率1.8未満の少なくとも一層の酸化物層が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム、酸化ホウ素、及びこれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項20に記載のエフェクト顔料。
【請求項22】
20を超える、好ましくは25を超える形状因子を有することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項23】
40を超える形状因子を有することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項24】
アルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料が有機基又は有機化合物で表面修飾されていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項25】
アルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料がソフトなカラーフロップを示す有色の外観を有することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項26】
金属カルコゲニドが金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、又はこれらの混合物であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項27】
アルミニウム合金が、顔料の金属含量に対して少なくとも5重量%のアルミニウム及び様々な金属、好ましくは鉄、マンガン、銅、バナジウム、クロム、ニッケル、コバルト、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、及び/又はチタン、のうち一種以上を含むことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のエフェクト顔料。
【請求項28】
請求項1乃至27のいずれかに記載のエフェクト顔料を製造する方法において、(a)有機溶媒を含む液相中に懸濁したアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料を、酸化剤を用いて酸化し、(b)少なくとも一層の1.95を超える屈折率を持つ金属カルコゲニド層を、工程(a)で酸化した顔料上に設け、その間に金属カルコゲニド層と酸化/水酸化アルミニウム層との間に混合層を形成することを特徴とする方法。
【請求項29】
工程(b)において1.95を超える屈折率を持つ少なくとも一層の高屈折性金属カルコゲニド層を設ける前に、1.8未満の屈折率を持つ酸化物層を設けることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
工程(a)における酸化剤が水であり、前記有機溶媒が水混和性であることを特徴とする請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
アルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料に対する水の量が10〜120重量%、好ましくは15〜55重量%であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
工程(a)において触媒を加えることを特徴とする請求項28乃至30のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
工程(b)において、実質有機溶媒中に溶解した金属塩を、工程(a)で酸化したアルミニウム顔料又はアルミニウム合金顔料の分散液に加えることにより、金属カルコゲニド層を設けることを特徴とする請求項28乃至32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
有機溶媒が、アルコール類、グリコール類、及びケトン類からなる群から選ばれ、好ましくはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、メトキシプロパノール、アセトン、ブチルグリコール、及びこれらの混合物であることを特徴とする請求項28乃至33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
工程(a)において、室温から水と有機溶媒の混合物の沸点までの間の温度で酸化を行うことを特徴とする請求項28乃至34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
工程(a)において、懸濁液のpHが7〜12であることを特徴とする請求項28乃至35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
請求項1乃至27のいずれかに記載のエフェクト顔料の使用であって、被覆剤、ラッカー、自動車用エナメル塗料、粉末ワニス、印刷用インク、筆記用インク、プラスチック材料、ガラス、セラミック、又は化粧品中に使用することを特徴とする使用。
【請求項38】
化粧品が、マニキュア、リップスティック、メイクアップ用品、ヘアトリートメント用品、スキンケア用品、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、口紅、香水、オードトワレ、パウダー(原末又は圧縮粉末)、及びタトゥー剤からなる群から選ばれることを特徴とする請求項37に記載の使用。
【請求項39】
請求項1乃至27のいずれかに記載のエフェクト顔料を含むことを特徴とするコーティング組成物。
【請求項40】
被覆剤、ラッカー、自動車用エナメル塗料、印刷用インク、筆記用インク、プラスチック材料、ガラス、セラミック、及び化粧品からなる群から選ばれることを特徴とする請求項39に記載のコーティング組成物。
【請求項41】
化粧品がマニキュアであることを特徴とする請求項41に記載のコーティング組成物。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511655(P2007−511655A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540344(P2006−540344)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013173
【国際公開番号】WO2005/049739
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(502099902)エッカルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (48)
【Fターム(参考)】