説明

アルミノキサンの製造方法及びかくして製造されるアルミノキサンを含んでなる触媒

不活性雰囲気における反応条件下に:(i)第1の炭化水素溶媒中に水及び少なくとも1種の乳化剤を含んでなる油中水型エマルション;ならびに(ii)第2の炭化水素溶媒中のアルミノキサンを生成することができる有機アルミニウム化合物を含んでなる反応混合物を含有する液体を接触させることを含んでなり、但し、反応により製造されるアルミノキサンは反応条件下で溶液中に存在する、アルミノキサンの製造方法。好ましい態様において、アルミノキサンのための担体は:(i)接触段階の間に存在するか;あるいは(ii)接触後に導入される。重合触媒を製造することができ、そこにおいて担体はSiOであり、且つ第3族〜第10族金属含有シングルサイト錯体をアルミノキサンと混合する。エチレンのようなオレフィンを重合させるか、あるいはオレフィンと少なくとも1種のC−C20アルファ−オレフィンを共重合させるのに適した触媒を調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、引用することによりその開示が本発明の内容となる2009年6月11日に申請された米国暫定特許出願第61/186,090号明細書の出願日の利益を請求する。
【0002】
発明の背景
本発明の態様は、アルミノキサン(アルモキサンと言われることもある)又はアルミノキサン誘導体、担持アルミノキサン又はアルミノキサン誘導体、担持シングルサイト/アルミノキサン触媒の製造方法、ならびに記載される方法に従って製造されるポリマー重合生成物を含む生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的にアルミノキサンと組み合わされたメタロセンのようなシングルサイト触媒を含む有機金属錯体化合物を含んでなる触媒組成物は、オレフィンの重合に関して既知であり、そのような触媒は一般にそれらの優れた活性、言い換えると触媒の各グラム当たりに多量のオレフィンポリマーを製造する能力の故に価値があると考えられている。さらに、そのような触媒を用いて製造されるポリマーの性質は、重合プロセス条件のみでなく、触媒組成物の性質、例えばその化学組成、形態などによっても影響され得る。かくしてそのような触媒組成物中における使用のためのアルミノキサンの製造方法における改良が望まれている。
【発明の概要】
【0004】
発明の簡単なまとめ
本発明の態様は:(a)不活性雰囲気における反応条件下に:(i)第1の炭化水素溶媒中に水及び少なくとも1種の乳化剤を含んでなる油中水型エマルション;ならびに(ii)第2の炭化水素溶媒中のアルモキサンを生成することができる有機アルミニウム化合物を含んでなる反応混合物を接触させることを含んでなるアルミノキサンの製造方法を含み;ここで:(b)有機アルミニウム化合物対エマルション中に存在する水のモル比は約0.6〜約2:1であり;且つ(c)反応により製造されるアルミノキサンは溶液中に存在し;但し、段階(a)における第1及び第2の炭化水素溶媒は反応条件下でアルミノキサンを溶液中に保持する。
【0005】
他の態様は:(a)第1の炭化水素溶媒、水及び少なくとも1種の乳化剤を合わせてエマルションを形成し:(i)ここで該第1の炭化水素溶媒、水及び乳化剤の容積比は約100(溶媒):約5〜約100(水):約0.05〜約20(乳化剤)であり;(b)第2の炭化水素溶媒中にアルミノキサンを生成することができる有機アルミニウム化合物を溶解して、約5〜約40重量%の有機アルミニウム化合物を含んでなる溶液を形成し;(c)エマルション及び溶液を:(i)約0.6〜約2:1の有機アルミニウム化合物対エマルション中の水のモル比において、且つ(ii)不活性雰囲気中で、互いと接触させてアルミノキサン溶液を調製することを含んでなるアルミノキサンの製造方法を含んでなり;但し、段階(a)及び(b)において存在する第1及び第2の炭化水素溶媒は、段階(c)における反応条件下でアルミノキサンを溶液中に保持する。
【0006】
方法の好ましい態様において、アルミノキサンのための担体(support carrier)は:(i)上記の接触段階の間に存在するか;あるいは(ii)接触段階後に
導入される。
【0007】
さらに別の態様において、上記の方法を用いて重合触媒を製造し、ここで担体はSiOであり、且つ第3族〜第10族金属含有シングルサイト錯体をアルミノキサンと混合して、オレフィン重合条件下でエチレンのようなオレフィンを単独重合させるか、あるいはオレフィンと少なくとも1種のC−C20アルファ−オレフィンモノマーを共重合させてポリマーを形成するのに適した触媒を製造する。特に好ましい態様において、シングルサイト錯体はメタロセンであり、アルミノキサンはメチルアルミノキサン(MAO)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な記述
本明細書で用いられる場合、以下の用語又は句は、示される意味を有する。
【0009】
アルミノキサン(又はアルモキサン)は一般に、下記の化学式により示されるような、直鎖状又は環状構造を有する化合物の混合物あるいは直鎖状構造と環状構造の混合物を含む、ある種類の化合物を指すと当該技術分野における熟練者により理解されており:
【0010】
【化1】

【0011】
ここで上記の式において、Rは炭化水素基、例えば1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、より好ましくはC−Cアルキル、特に好ましくはメチル;2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子のアルケニル基;6〜20個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子のアリール基;あるいは7〜20個の炭素原子、好ましくは7〜12個の炭素原子のアリールアルキル基であり;そしてnは重合度を示す整数であり、典型的には約2〜約50、好ましくは約5〜約40、より好ましくは約7〜約35である。
【0012】
さらに、本発明の目的のために、アルミノキサンはすぐ上の化合物及び構造のみでなく、そのような化合物の誘導体、錯体及び/又はそのようなアルミノキサンの製造方法において用いられる少なくとも1種の乳化剤又は界面活性剤化合物との会合物(associations)も含む。
【0013】
「ヒドロカルビル置換基」又は「ヒドロカルビル基」という用語はその通常の意味で用いられ、当該技術分野における熟練者に周知である。特定的に、それは分子の残りの部分に直接結合する炭素原子を有し、且つ主に炭化水素性を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には:(1)炭化水素置換基、すなわち脂肪族(例えばアルキル又はアルケニル)、脂環式(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル)置換基ならびに芳香族−、脂肪族
−及び脂環式−置換芳香族置換基ならびに環が分子の他の部分を介して完結している環状置換基(例えば2つの置換基が一緒になって脂環式基を形成する);(2)置換炭化水素置換基、すなわち本発明の状況内で主に炭化水素置換基を改変しない非炭化水素基(例えばハロ(特にクロロ及びフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ及びスルホキシ)を含有する置換基;(3)ヘテロ置換基、すなわち本発明の状況内で主に炭化水素性を有しているが、他には炭素原子から成る環又は鎖中に炭素以外を含有する置換基が含まれる。ヘテロ原子には硫黄、酸素、窒素が含まれ、ピリジル、フリル、チエニル及びイミダゾリルのような置換基が包含される。一般にヒドロカルビル基中に、約10個の炭素原子毎に2個より多い、好ましくは1個より多い非炭化水素置換基は存在しないであろう。
【0014】
アルキル、アルケニル及びアルコキシのような用語と結び付けて用いられる場合の「低級」という用語は、合計で約8個までの炭素原子を含有するそのような基を記述することが意図されている。
【0015】
「エマルション」という用語は、少なくとも2種の非混和性物質、本発明においては液体の混合物又は分散系を指し、ここで分散相である一方の物質は連続相である他方の物質中に分散されている。エマルションは、乳化剤として知られる1種もしくはそれより多い物質に助けられて安定化する、言い換えると分散相は適切な期間、例えば保存期間及び/又は使用直前まで及び使用中の間、分散されたままである。エマルションは、存在する油(ならびに油の型)及び水の量、エマルションの調製に用いられる条件、乳化剤の型及び量、温度のような変数ならびにそのような変数の組み合わせに依存して、油−中−水型エマルション又は水−中−油型エマルションであることができる。分散相の粒度又は滴寸法は、有意な範囲に及んで変わり得、且つエマルションは安定なままであることができるが、その性質及び特定の用途に関する適切性は、分散相の粒度(particle size)に依存して変わり得る。粒度は、典型的には平均(mean)又は平均(average)寸法により表わされ、それは、分散相の均一性も上記の変数に依存して変わり得るからである。粒度は、粒子が必ず球形であることを必要とせず、粒子の寸法は各粒子の主なもしくは平均の寸法に基づくことができるが、連続液相中に分散液相を含んでなる系において、流体力学は、分散された粒子が実質的に球形である傾向があることを示唆している。
【0016】
「乳化剤」という用語は、エマルションの形成を助長するか、及び/又は少なくとも短期間、すなわち実用的又は商業的に重要な期間、例えば保存中又は使用中あるいは両方の間、エマルションを実質的に安定化する能力を有する化合物又は化合物の混合物を指す。乳化剤は、エマルションの分散相の有意なもしくは実質的な凝集又は凝析(coalescence)に対抗する安定性を与える。乳化剤は、典型的には、それがエマルションの分散相及び連続相の間の界面においてその2つと相互作用できる点で、界面活性物質であると考えられる。本明細書における目的のために、「界面活性剤」及び「乳化剤」は同等もしくは互換的な用語と考えられる。さらに、非イオン性、イオン性又は部分的イオン性、アニオン性、両性、カチオン性及び両性イオン性界面活性剤のような種々の型の界面活性剤が「界面活性剤」という一般的用語の範囲内に含まれる。
【0017】
本開示中で用いられる場合、「溶媒」という用語は、1種もしくはそれより多い炭化水素溶媒を意味し、それは、本開示の状況が特定の成分(溶質)が溶解されることを必要としている場合を除いて、希釈剤のその一般的意味で用いられ、特定の成分(溶質)が溶解されることを必要としている場合には、溶媒は、与えられる条件下で成分を実質的に溶解し、分子もしくはイオン寸法レベルで均一に分散された混合物(溶液)を形成するのに適している。かくして溶媒への言及は、溶質又は溶解された成分が溶質の溶解されていない部分と平衡にある可能性を排除せず、但し、溶解されていない量は存在する溶質全体(溶
解された溶質プラス溶解されていない溶質)の約10重量%;あるいは約5重量%;例えば約2重量%を超えない。そうでない場合、「溶媒」は、例えば希釈剤が少なくとも1種の乳化剤又は界面活性剤を用いて水が希釈剤中に分散されているエマルションを形成するのに適した液体である場合の希釈剤を指すと理解されることができる。本開示において、適した液体は、存在する種々の成分のための希釈剤及び溶媒の両方であることができ、例えばトルエンはエマルションの形成のために水が分散される希釈剤であることができ、且つそれは水と有機アルミニウム化合物の反応から生成するアルミノキサンのための溶媒(あるいは混合溶媒の一成分)であることもできる。炭化水素溶媒は炭素及び水素を含むが、塩素又は臭素のような他の原子が存在することもできる。
【0018】
本発明の目的のために、「溶媒」又は「希釈剤」は、油が油−中−水型エマルションの調製に用いられる希釈剤の状況で用いられる場合、「油」という用語を含むとも理解される。本発明において有用な油は、典型的に油と言及される組成物、例えば鉱油、高精製鉱油(highly refined mineral oil)、超精製鉱油(ultra refined mineral oil)及びポリアルファオレフィン(PAO)ならびに又極性溶媒及び希釈剤以外の炭化水素溶媒又は希釈剤を含む。
【0019】
エマルションへの言及において用いられる場合の「安定性」又は「安定な」という用語は、親油性相(本明細書におけるように有機溶媒)中に分散されたままであるかもしくは実質的に分散されたままである分散水相もしくは親水性相(例えば水)を指す。言い換えると、約72時間後に相分離が実質的に起こっていないことが視覚的観察により示される;あるいはまた、エマルションの調製とアルミノキサンの製造のための反応混合物中におけるその使用の間の期間に、エマルションにおいて視覚的分離が起こらない。
【0020】
一般に、本発明の種々の態様に従い、適した溶媒中に分散もしくは溶解された例えばC−Cトリアルキルアルミニウム化合物を含むアルミノキサン形成のための有機アルミニウム化合物を、水、乳化剤及び適した希釈剤又は溶媒を含んでなるエマルションと反応させることにより、アルミノキサンを製造する。アルミノキサンは、好ましくはその生成後に溶液中に留まる。アルミノキサンの製造のために有用な有機アルミニウム化合物の例には:トリアルキルアルミニウム化合物、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−sec−ブチルアルミニウム、トリ−tert−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム及びトリデシルアルミニウム;トリシクロアルキルアルミニウム化合物、例えばトリシクロヘキシルアルミニウム及びトリシクロオクチルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド化合物、例えばジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド及びジイソブチルアルミニウムクロド;ジアルキルアルミニウムハイドライド化合物、例えばジエチルアルミニウムハイドライド及びジイソブチルアルミニウムハイドライド;ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物、例えばジメチルアルミニウムメトキシド及びジエチルアルミニウムエトキシド;ならびにジアルキルアルミウムアリールオキシド化合物、例えばジエチルアルミニウムフェノキシドが含まれる。好ましいのはトリアルキルアルミニウム及びトリシクロアルキルアルミニウム化合物であり、特に好ましいのはトリメチルアルミニウムである。
【0021】
本発明における使用に適した油は、油−中−水型エマルションの調製に用いられ得る溶媒又は希釈剤を含む。そのような油には典型的に油と言及される組成物、例えば鉱油、高精製鉱油、超精製鉱油及び低分子量ポリアルファオレフィン(PAO)ならびに石油留分、例えばガソリン、ケロセン及びガス油が含まれる。油には極性溶媒及び希釈剤以外の炭化水素溶媒又は希釈剤も含まれる。特に有用な油には芳香族炭化水素又は芳香族溶媒、例
えばベンゼン、トルエン、キシレン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、キシレンの混合物、クメン、シメン、エチルベンゼン、プロピルベンゼンなどならびにこれらの芳香族炭化水素のハライド、特にそのクロリド及びブロミド;ならびに上記の混合物が含まれる。トルエンは、反応物としての水を導入する目的のための油−中−水型エマルションの調製にそれが有用であり、且つ反応により製造されるアルミノキサンが反応条件下でトルエン中に実質的に可溶性であるので、特に好ましい。当該技術分野における熟練者は、コストならびに、特に高いエネルギー投入、例えば高せん断、高速羽根車又は他の装置が用いられる場合、油−中−水型エマルションの調製に用いられる条件を含む反応条件下における溶媒、希釈剤又は油の引火(ignition)に関する可能性を含む安全性のような因子も考慮するであろう。
【0022】
ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどのような飽和脂肪族化合物は、生成するアルミノキサンが典型的にそのような溶媒中で可溶性でないので、好ましくない。しかしながら、有機アルミニウム化合物を溶解するため及び水エマルションの形成のために用いられる、同じであるかもしくは異なることができるか、あるいはそれら自身が混合物であることができる溶媒がアルミノキサンの合成に用いられる反応条件下でアルミノキサン反応生成物を溶液中に保持することができれば、溶媒のそれぞれ又は混合物の個々の性質は重要でない。あるいはまた、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタンなどのような環状脂肪族化合物;ブテン、ヘキセン、シクロヘキセン、オクテンなどのようなアルケン及びシクロアルケンも、上記の条件付きで、且つさらに反応の間に生成するアルミノキサンが反応条件下で溶解されたままでいることができる十分な量の溶媒が存在すれば、有用であり得る。溶媒、希釈剤、溶媒/希釈剤の混合物の有意な特質は、それが反応温度において液体であること、それが有機アルミニウム化合物もしくは水と反応しないか、あるいはアルミノキサンを担持する及び/又は重合触媒の調製に用いられるその後の反応において有意な程度まで妨害しないことである。特に希釈剤又は溶媒あるいはそれらの混合物は、無酸素(oxygen−free)でなければならない。類似して、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、ケト基などはアルミノキサン合成に不利に影響し得、避けられるべきである。
【0023】
反応を行うために、本明細書で「第2の」炭化水素溶媒とも言及される炭化水素溶媒中に有機アルミニウム化合物を溶解し、それを油−中−水型エマルションと反応的に接触させ、ここで油は「第1の」炭化水素溶媒又は油とも言及される。有機アルミニウム化合物は反応温度において第2の溶媒中に可溶性又は実質的に可溶性であるのが好ましい。本発明の目的のために、第1及び第2の溶媒は同じ、例えばトルエンであることができる。さらに、反応により製造されるアルミノキサンも、用いられる単数もしくは複数の溶媒中に可溶性でなければならない。一般に有機アルミニウム化合物、トリアルキルアルミニウムのようなヒドロカルビルアルミニウム化合物は、無水の不活性有機溶媒中の溶液において存在する。典型的に、有機アルミニウム化合物の濃度は、約2重量パーセントのアルミニウム化合物からそれが反応条件において溶媒中で可溶性のままである濃度までである。有用な濃度は、溶液の合計重量に基づいて約5重量パーセント〜約40重量パーセント;あるいはまた約5〜約30重量パーセント;例えば約10〜約20重量パーセントを含む。適した溶媒には通常の液体炭化水素溶媒、例えば芳香族炭化水素(非置換又はアルキル置換又はシクロアルキル置換)、例えばベンゼン、トルエン、キシレン(オルト−、メタ−及びパラ−キシレンならびにそれらの混合物を含む)、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン及びそれらの混合物が含まれる。トルエンが特に好ましい。
【0024】
油又は有機溶媒又は希釈剤中で分散され得るかもしくはエマルションを形成し得る水の量は、用いられる乳化剤、界面活性剤又は界面活性剤の混合物及びエマルションの形成の条件に依存して、溶媒中の水の溶解度の限界のすぐ上から水と希釈剤の重量に基づいて約
50重量%かそれより多くまでの範囲である。水の量を、反応温度における且つ所望の反応時間に及ぶ有機アルミニウム化合物との反応を有効に行うために必要な通りに選ぶことができる。さらに、有機アルミニウム化合物又は得られるアルミノキサンとの望ましくない反応を避けるために、反応混合物中に過剰の水が存在することを避けるのが望ましい。
【0025】
適した有機アルミニウム化合物は、アルキルアルミニウム、アリールアルミニウム及びアルキルアルミニウムハライド;好ましくはトリアルキルアルミニウム;より好ましくはトリ(C−約Cアルキル)アルミニウムより成る群から選ばれ;特に好ましい有機アルミニウム化合物はトリメチルアルミニウムである。
【0026】
一般に、反応混合物中の有機アルミニウム化合物対水のモル比は約1:1であろうが、アルミノキサン生成物に悪影響を与えることなくこの比の変動を用いることができる。例えば比は、約0.5:1〜約2:1;好ましくは約0.6:1〜約1.75:1;あるいはまた約0.7:1〜約1.5:1;例えば約0.8:1〜約1.4:1;例えば約0.9:1〜約1.25:1;例えば約1〜1.5:1で変わり得る。
【0027】
反応後、溶媒をストリッピングし、アルミノキサンを安定な粉末として単離することができる。あるいはまた、アルミノキサンを溶媒中に溶解されたまま残し、例えば成分の1つ、例えばアルミノキサンの非溶剤を添加し、続いて濾過することにより、アルミノキサン組成物を未反応の有機アルミニウム化合物から分離し、アルミノキサンを1種もしくはそれより多い適した遷移金属化合物と反応させて重合触媒を調製することができる。別の代わりの態様において、アルミノキサン反応をアルミノキサンのために適した担体の存在下で行うか、あるいは反応又はアルミノキサンの合成の間に適した担体を反応混合物に加える。担体上に担持されたアルミノキサンを製造するために、適した抽出又は乾燥プロセス段階を用いて溶媒(及びもしあれば他の副生成物)を除去することができる。必要なら、非アルミノキサン成分を抽出するか又は洗い、さらにアルミノキサンを精製するために、アルミノキサンが実質的に不溶性である不活性溶媒とアルミノキサン(反応混合物中の溶液におけるか又は実質的に乾燥された形態における)を混合することができる。そのような溶媒には、例えば飽和炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどが含まれ;好ましい不活性溶媒はペンタンである。上記の代わりのプロセス段階は、好ましくは不活性雰囲気下で行われる。
【0028】
アルミノキサンの合成及びアルミノキサンを含んでなる触媒の調製を含む本発明の方法は、典型的には不活性雰囲気下で行われ;有用な不活性ガスには窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン及びそれらの混合物が含まれる。
【0029】
本明細書における方法により製造されるアルミノキサンは、有機金属錯体化合物を含んでなる一般にシングルサイト触媒と言われる重合触媒の調製に特に有用である。そのようなシングルサイト触媒は当該技術分野において周知であり、メタロセン、幾何拘束型化合物(constrained geometry compounds)、二座及び三座遷移金属触媒などが含まれる。適した重合触媒は、例えば引用することによりその記載事項が許される程度まで本明細書の内容となる米国特許第6,559,090号明細書(K−Y.Shih et al.)及び米国特許第6,943,224号明細書(K−Y.Shih)ならびにそこで引用されているさらに別の特許参照文献に記載されている。例えば米国特許第6,943,224号明細書に記載されている通り、シングルサイト触媒系は、それらの金属中心が重合の間に一様に行動し、かくして非常に均一なポリマーを製造するということにより特徴付けられる。触媒は、それらが製造するポリマーがいくつかの基本的な基準(例えば狭い分子量分布又は均一なコモノマー分布)を満たす場合に、シングル−サイト様式で挙動すると判断される。かくして金属はその周りに配置されたいずれのリガンドを有することもでき、それが製造するポリマーがある種の性質を持つ限り「
シングル−サイト」として分類され得る。メタロセン触媒及び幾何拘束型化合物はシングル−サイト触媒系内に含まれる。「メタロセン」は通常、2つのシクロペンタジエニル(Cp)環又はその誘導体、例えばインデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル及び混合物に結合した金属(例えばZr、Ti、Hf、V又はLa)錯体を意味すると理解される。2つのCpリガンドの他に、他の基、最も普通にはハライド及びアルキルが金属中心に結合していることができる。Cp環は、ほとんどのポリプロピレン触媒におけるように一緒に連結していることができるか(いわゆる「架橋メタロセン」構造)、あるいはほとんどの(しかしすべてではない)メタロセンに基づくポリエチレン触媒におけるように、それらは独立しており、自由に回転していることができる。定義となる(defining)特徴は、少なくとも1つそして好ましくは2つのCpリガンド又は誘導体の存在である。メタロセン触媒をいわゆる「中性メタロセン」として用いることができ、その場合にはメチルアルモキサンのようなアルモキサンが助触媒として用いられるか、あるいはそれらをいわゆる「カチオン性メタロセン」として用いることができ、それは、活性触媒種が安定且つゆるく結合した非−配位アニオンをカチオン性金属メタロセン中心に対イオンとして組み入れる(incorporate)ように、活性剤により活性化された、例えばイオン化された中性メタロセンである。カチオン性メタロセンは、例えば米国特許第5,064,802;5,225,500;5,243,002;5,321,106;5,427,991;及び5,643,847号明細書ならびに欧州特許第426 637号明細書及び欧州特許第426 638号明細書に開示されており、それらの開示は引用することにより許される程度まで本明細書の内容となる。
【0030】
「幾何拘束型」は、金属中心に1つだけの改変されたCp環又は誘導体が結合している特別な種類の有機金属錯体を指す用語である。Cp環は、窒素、リン、酸素又は硫黄のようなヘテロ原子への架橋により改変され、このヘテロ原子は金属サイトにも結合している。架橋構造は十分に堅い系、かくして「幾何拘束型」を形成する。幾何拘束型触媒は、その開放構造のおかげで、通常のメタロセン触媒を用いては不可能である長鎖分枝を有する樹脂を製造することができる。幾何拘束型触媒は、例えば米国特許第5,064,802及び5,321,106号明細書に開示されている。幾何拘束型触媒も中性又はカチオン性形態で用いることができ、メタロセンと同じやり方でそれぞれメチルアルモキサン又はイオン化活性剤を用いることができる。
【0031】
後周期(late)遷移金属(例えばFe、Co、Ni又はPd)二座及び三座触媒系も開発された。そのような後周期遷移金属触媒の代表的な開示は、米国特許第5,880,241号明細書及びその対応分割特許(divisional counterparts)である米国特許第5,880,323;5,866,663;5,886,224;及び5,891,963号明細書ならびに国際公開第1998/030612号パンフレット;国際公開第1998/027124号パフレット;国際公開第1999/046302号パンフレット;国際公開第1999/046303号パンフレット;及び国際公開第1999/046304号パンフレット中に見出される。
【0032】
前周期(early)及び後周期遷移金属前駆体触媒(pre−catalyst)のようなシングルサイト触媒は典型的に、カチオン性金属中心を形成するために有機金属ルイス酸(例えば本明細書に記載のアルキルアルミノキサン、例えばメチルアルモキサン又はMAO)による活性化を必要とする。
【0033】
本発明における使用に適したシングルサイト及びメタロセン化合物を、一般に周期表の第3〜10族、例えばFe、Co、Ni、Zn、V、Mnなど;例えば周期表の第4族遷移金属、例えばTi、Zr、Hf及びRfのメタロセニル又は置換メタロセニル化合物より成る群から選ぶことができる。そのような化合物にはビシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド(ビメタロセニルジルコニウムジクロリド)及びエチリデンビインデニル
ジルコニウムジクロリドが含まれるが、有意な数の化合物が当該技術分野において既知であり、それらのいくつかは上記に同定される米国特許第6,559,090号明細書及び米国特許第6,943,224号明細書において特定的に同定されており、そのリストは引用することにより許される程度まで本明細書の内容となる。
【0034】
本発明において有用な担体(support)もしくは担体(carrier)粒子は、大きな表面積を有する多孔質、顆粒状又は粒子状固体の形態における典型的に微細な粒度の無機又は有機化合物である。無機材料、例えばシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、マグネシア(酸化マグネシウム)、塩化マグネシウム、軽石、タルク、キーゼルグール、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム及びこれらの混合物が好ましい。代わりに、又は無機材料と組み合わせて、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどを含む粒子状有機材料を用いることができる。
【0035】
適した無機化合物には無機酸化物、水酸化物又は塩が含まれ、例えばSiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr及びSiO−TiO−MgOを含んで、例えばSiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、V、Cr及びそれらの混合物を含む多孔質酸化物が好ましい。あるいはまた、非酸化物粒子、例えば二塩化マグネシウムを用いることができる。好ましい担体(carriers)又は担体(support)は、主成分としてSiO又はAlあるいはSiOとAlを含む。無機酸化物又はその混合物はさらに、例えばNaCO、KCO、CaCO、MgCO、NaSO、Al(SO、BaSO、KNO、Mg(NO、Al(NO、LiOなどを含む炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩及び酸化物を、典型的には少量で(in small or minor amounts)含むことができる。
【0036】
担体(support)又は担体(carrier)は、典型的に以下の性質を示す:約10μm(ミクロン)〜約300μm、好ましくは約20μm〜約200μm、例えば約30μm〜約100μmの平均粒径;約10m/g〜約1,000m/g、好ましくは約50m/g〜約700m/g、例えば少なくとも約100m/gの比表面積;少なくとも約80オングストローム、好ましくは約100オングストロームの孔径;ならびに約0.3cm/g〜約2.5cm/gの細孔容積。別の態様において、且つ製造されるべき特定の触媒のために望ましければ、本明細書に記載される方法における使用の前に担体(support)又は担体(carrier)を約100℃〜約1,000℃、好ましくは約150℃〜約700℃において焼成することができる。
【0037】
好ましい担体(support)又は担体(carrier)はSiOを含む。しかしながら、重合法の技術分野における熟練者が特定の担体(support)又は担体(carrier)を選ぶことができ、そのような選択は、アルミノキサンを含んでなる触媒が用いられるべき方法の型により影響される。特に、好ましいSiOの粒度は、触媒が気相重合法で用いられるべきか、スラリ重合法で用いられるべきか、あるいは溶液重合法で用いられるべきかに依存するであろう。例えば、好ましくは:
(A)オレフィン重合法における使用のために、SiOは約0.2〜約2.5cc/g、より好ましくは約0.3〜約2.0cc/g、そして最も好ましくは約0.5〜約1.5cc/gの多孔度を有し、それぞれプローブ分子として窒素を用いるBET法により決定される平均細抗容積の測定値であり;
(B)気相オレフィン重合法における使用のために、SiOは、それぞれふるい分析により測定される約20ミクロン〜約200ミクロン、より好ましくは約30ミクロン〜約150ミクロン、そして最も好ましくは約50ミクロン〜約100ミクロンの平均粒径を有し;
(C)スラリオレフィン重合法における使用のために、SiOは、それぞれふるい分析により測定される約1ミクロン〜約150ミクロン、より好ましくは約5ミクロン〜約100ミクロン、そして最も好ましくは約20ミクロン〜約80ミクロンの平均粒径を有し;そして
(D)溶液オレフィン重合法における使用のために、SiOは、それぞれふるい分析により測定される約1ミクロン〜約40ミクロン、より好ましくは約2ミクロン〜約30ミクロン、そして最も好ましくは約3ミクロン〜約20ミクロンの平均粒径を有する。
【0038】
SiOのような担体(support)又は担体(carrier)をアルミノキサンと混合するか、アルミノキサンが生成する時の反応混合物中にそれが存在する場合、SiOとアルミノキサンの間に反応が起こり、化学的ならびに物理的に担体(carrier)又は担体(support)に結合したアルミノキサンを生ずることが、一般的に受け入れられている。本発明の種々の態様において、担体(support)又は担体(carrier)、好ましくはSiOは、有機アルミニウム化合物と乳化された水の反応の間に存在することができるか、あるいは担体(support)又は担体(carrier)を反応の経過の間又はその後に反応混合物に加えることができる。アルミノキサンが生成した後にアルミノキサンと担体を互いに接触させる場合、有機アルミニウムのような未反応成分からアルミノキサンを分離するため、ならびに反応の間に用いられた溶媒からアルミノキサンを分離するための1つもしくはそれより多くの段階を含んで、アルミノキサンをその反応混合物から分離することができる。溶媒がアルミノキサンと一緒に留まることを許される場合、担体(carrier)又は担体(support)を簡便にアルミノキサン−溶媒組成物に直接加えることができる。
【0039】
SiOとアルミノキサンの反応は溶媒、好ましくは不活性溶媒中で、不活性雰囲気、好ましくはアルゴン又は窒素下において行われる。
【0040】
SiOがアルミノキサンの生成の間に存在しない場合、SiO及びアルミノキサン及び溶媒の添加の順序は重要でなく、アルミノキサンを不活性溶媒中のSiOのスラリに、あるいはその逆で加えることができる。反応物の間の緊密な接触を与え且つ保持することにより反応プロセスを促進するために、反応の間ずっとSiO及びアルミノキサン混合物を撹拌するのも好ましい。
【0041】
SiOとアルミノキサンの間の接触又は反応を、すべて好ましくは大体大気圧において、約40℃より高温から約150℃、好ましくは約40℃〜約140℃、より好ましくは約40℃〜約110℃、あるいはまた約40℃〜約80℃の温度で行うことができる。SiOとアルミノキサンの間の反応の時間は、上記に示した温度及び圧力の条件に従って、約15分〜約24時間、好ましくは約30分〜約12時間、より好ましくは約1時間〜約8時間、そして最も好ましくは約2時間〜約4時間であることができる。
【0042】
シリカは、好ましくはアルミノキサンとの反応の前に脱ヒドロキシル化される。当該技術分野において既知のいずれかの適した手段により、脱ヒドロキシル化を行うことができる。脱ヒドロキシル化反応のための好ましい手段は、流動床反応器中で当該技術分野における熟練者に周知の条件下に、シリカ粉末を加熱することである。最も好ましくは、シリカがアルミノキサンとの反応の前に実質的に完全に脱ヒドロキシル化されるように条件を選ぶが、本明細書で有用であるためには、シリカが完全に脱ヒドロキシル化される必要はない。
【0043】
上記の通り、界面活性剤はエマルションの安定性を助長することが知られている。本発明に従い、アルミノキサンの製造に用いられる油−中−水型エマルションの安定性を助長するため、特に長期間に及ぶ(over time)エマルションの向上した安定性を与
えるために、界面活性剤を用いることができる。本発明の方法において1種もしくはそれより多くの適した乳化剤が用いられる。そのような乳化剤は、油−中−水型エマルションを形成することができる界面活性剤、典型的に約2〜約10;好ましくは約3〜約9の親水親油バランス(HLB)値を示すもの、例えば約4〜約8;例えば約5〜約7;例えば約2〜約5又は約3、4もしくは5のHLB値を有するものから選ばれる。適した界面活性剤は、約2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5及び約10より成る群から選ばれるHLB値を有する。適した乳化剤の例には非イオン性界面活性剤、例えばポリオール及びポリオキシエチレンが含まれる。
【0044】
本発明の方法において有用な界面活性剤又は乳化剤は、方法において用いられる有機アルミニウム化合物と反応してアルコキシアルミニウム化合物を形成することができる。あるいはまた、少量のアルミノキサンは乳化剤と反応するか、キレート化するか、又は配位し、かくしてそれに強く結合することができる。製造されるアルミノキサン全体中にそのような改変されたアルミノキサンが存在することは、特に本発明の方法に従って製造されるアルミノキサンが、不活性溶媒を用いてアルミノキサン反応生成物を抽出するかもしくは洗浄する段階を含む場合、オレフィンの重合における完成された触媒生成物の使用に不利に影響しない。抽出は、トリメチルアルミニウム及び/又はキレート化配位化合物を除去することができ、望ましくはアルミノキサンが担持される場合に行われる。
【0045】
以下の表(tabulation)は、本発明が意図する界面活性剤の例を与えるが、有用な界面活性剤は特定的に同定されるものに限られず、但し、界面活性剤又は乳化剤は記載される反応条件下においてアルミノキサンを製造するための反応物と一緒に用いるのに適している。言い換えると、界面活性剤又は界面活性剤の混合物は安定な又は実質的に安定な油−中−水型エマルションを形成し、得られるアルミノキサンの触媒的有用性に不利に影響しない。特に有用な化合物は一般に、長鎖カルボン酸のエステルとして特徴付けられる。
【0046】
界面活性剤は典型的に、親水親油バランス又はHLBと言われるスケールに従って特性化される。HLBスケールに従う通常の値は0(強力に親油性)から約20(強力に親水性)の範囲である。本発明において有用な界面活性剤又は乳化剤は一般に親油性又は油−中−水型(W/O)乳化剤と言われ、約10より小さい;例えば約2〜約8;又は約3〜約7;又は約4〜約6;又は約3〜約6のHLB値を示す。
【0047】
しかしながら、全体的HLB値が本発明における使用に適している、言い換えると約10より小さいか又は上記で挙げた他の範囲の1つに含まれる値であるW/O乳化剤と水−中−油型(O/W)乳化剤(約10より大きい、例えば約11より大きいHLB値)の混合物を調製することができる。かくして当該技術分野における熟練者は、選ばれる有機アルミニウム化合物との反応への水の導入のための油−中−水型エマルションの調製のために選ばれる油と一緒に有用な少なくとも1種の乳化剤を得るために、広範囲の商業的に入手可能な製品から乳化剤を選ぶことができる。
【0048】
かくして:グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノ/ジココエート、グリセロールジラウレート、グリセロールモノステアレート、蒸留されたグリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールモノオレート、グリセロールジオレート、グリセロールトリオレート、グリセロールモノイソステアレート、グリセロールモノリシノレート、グリセロールモノヒドロキシステアレート、POEグリセロールモノステアレート、アセチル化グリセロールモノステアレート、スクシニル化グリセロールモノステアレート、ジアセチル化グリセロールモノステアレートタルタレート、改質グリセロールフタレート樹脂、トリグリセロールモノステアレー
ト、トリグリセロールモノオレート、トリグリセロールモノイソステアレート、デカグリセロールテトラオレート、デカグリセロールデカステアレート、ペンタエリトリトールモノラウレート、ペンタエリトリトールモノステアレート、ペンタエリトリトールジステアレート、ペンタエリトリトールテトラステアレート、ペンタエリトリトールモノオレート、ペンタエリトリトールジオレート、ペンタエリトリトールトリオレート、ペンタエリトリトールテトラリシノレート、ソルビタンモノラウレート、POEソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、POEソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、POEソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、POEソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタントリオレート、POEソルビタントリオレート、POEソルビトールヘキサオレート、POEソルビトールオレートラウレート、POEソルビトールポリオレート、POEソルビトール、蜜蝋−エステル、スクロースモノラウレート、スクロースココエート、スクロースモノミリステート、スクロースモノパルミテート、スクロースジパルミテート、スクロースモノステアレート、スクロースジステアレート、スクロースモノオレート、スクロースジオレート、ラウリルラクテート、セチルラクテート、ナトリウムラウリルラクテート、ナトリウムステアロイルラクテート、ナトリウムイソステアロイル−2−ラクチレート、ナトリウムステアロイル−2−ラクチレート、カルシウムステアロイル−2−ラクチレート、ナトリウムカプリルラクテート、ラウリルアルコール及びセチルアルコールを含む広範囲の界面活性剤が有用である。
【0049】
1つの態様において、乳化剤又は界面活性剤は少なくとも1種のソルビタンエステルを含んでなる。ソルビタンエステルは、エステルの脂肪酸成分が約10〜約100個の炭素原子、そして1つの態様では約12〜約24個の炭素原子のカルボン酸を含んでなるソルビタン脂肪酸エステルを含む。ソルビタンは無水ソルビトール、主に1,4−ソルビタン及びイソソルバイド(式I及びII)の混合物である:
【0050】
【化2】

【0051】
ソルビタン、(モノ無水ソルビトール又はソルビトール無水物としても既知)は、1分子の水の除去によりソルビトールから誘導可能な無水物に関する総称名(generic
name)である。本発明のソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトール及びその無水物の脂肪酸との部分的エステルの混合物である。これらのソルビタンエステルを下記の構造により示すことができ、それはモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルの1つ又はそれらの混合物であり得る(式III):
【0052】
【化3】

【0053】
式(III)において、各Zは独立して水素原子又はC(O)R――を示し、各Rは互いに独立して約9〜約99個の炭素原子、より好ましくは約11〜約23個の炭素原子のヒドロカルビル基を示す。ソルビタンエステルの例にはソルビタンステアレート及びソルビタンオレート、例えばソルビタンステアレート(すなわちモノステアレート)、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート及びソルビタンセスキオレートが含まれる。ソルビタンエステルは、ICIから「Span」及び「Arlacel」の商標の下に商業的に入手可能である。ソルビタンエステルは、アルキレン基が約2〜約30個の炭素原子を有するポリオキシアルキレンソルビタンエステルも含む。これらのポリオキシアルキレンソルビタンエステルを式IVにより示すことができ:
【0054】
【化4】

【0055】
ここで式IVにおいて、各Rは独立して約2〜約30個の炭素原子のアルキレン基であり;R’は約9〜約99個の炭素原子、より好ましくは約11〜約23個の炭素原子のヒドロカルビル基であり;そしてw、x、y及びzは繰り返しオキシアルキレン単位の数を示す。例えばソルビタン脂肪酸エステルのエトキシル化は、1系列のより親水性の界面活性剤に導き、それはエチレンオキシドと反応するソルビタンのヒドロキシ基の結果である。これらのエトキシル化ソルビタンエステルの1つの主な商業的種類は、約2〜約80個のエチレンオキシド単位、そして1つの態様において約2〜約30個のエチレンオキシド単位、そして1つの態様において約4個、1つの態様において約5個、そして1つの態様において約20個のエチレンオキシド単位を含有するものである。それらはCalgene
Chemicalから「POLYSORBATE」の商標の下に、ならびにICIから「TWEEN」の商標の下に入手可能である。典型的な例はポリオキシエチレン(下記では「POE」)(20)ソルビタントリステアレート(Polysorbate 65;Tween 65)、POE(4)ソルビタンモノステアート(Polysorbate
61;Tween 61)、POE(20)ソルビタントリオレート(Polysorbate 85;Tween 85)、POE(5)ソルビタンモノオレート(Polysorbate 81;Tween 81)及びPOE(80)ソルビタンモノオレート(Polysorbate 80;Tween 80)である。本明細書で用いられる場合、括弧内の数字は組成中に存在するエチレンオキシド単位の数を指す。上記の通り、そのような高いHLBの界面活性剤又は乳化剤は、本発明における使用に適した全体的HLB値に達せしめるために、主により低いHLBの界面活性剤との混合物における使用に制限される。
【0056】
以下は、特に有用であり得る乳化剤のリストである:
【0057】
【表1−1】

【0058】
【表1−2】

【0059】
【表1−3】

【0060】
上の表中の略語:Mn=数平均分子量;PEG=ポリエチレングリコール;PPG=ポリプロピレングリコール;EO=エチレンオキシド;PO=プロピレンオキシド;HLB=親水−親油バランス。
【0061】
上の表中に挙げられた型の有用な乳化剤を一般的に以下の化学化合物の種類により示すことができ、それらのメンバーは商業的に入手可能であり、且つ安定な乳化組成物が調製
されるように本明細書の記述に従ってそれらが用いられれば、適している:
(a)一般式
【0062】
【化5】

【0063】
[式中:基Xは互いに同じか又は異なり、それぞれOH又はRCOOであり;
ここでRは、場合によりヒドロキシルにより置換されていることができ、且つ7〜22個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状、飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素基であり、但し該基Xの少なくとも1つはRCOOである]
のソルビトールエステル、
(b)一般式:
【0064】
【化6】

【0065】
[式中:Rは、場合によりヒドロキシル基により置換されていることができ、且つ7〜22個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状、飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素基であり;
は直鎖状もしくは分枝鎖状C−C10アルキレンであり;
nは6より大きいかもしくはそれと等しい整数であり;そして
はH、直鎖状もしくは分枝鎖状C−C10アルキル又は
【0066】
【化7】

【0067】
であり、
ここでRはRに関して上記で定義された通りである]
の脂肪酸エステル;ならびに
(c)一般式
【0068】
【化8】

【0069】
[式中:Rは直鎖状もしくは分枝鎖状C−C20アルキルであり;
mは8より大きいかもしくはそれと等しい整数であり;そして
及びRはそれぞれ式(II)のR及びRに関して上記で定義された通りである]
のポリアルコキシル化アルキルフェノール。
【0070】
特に有用な乳化剤は、典型的に約0〜約10;別の態様において約1〜約9の範囲内の親水−親油バランス(HLB)を示す化合物を含む。HLBは、例えば参照文献“Emulsions:Theory and Prctice,P.Becher,Reinhold Publishing Corp.,ACS Monograph,ed.1965”中で“The chemistry of emulsifying agents”(232頁及びそれ以降)の章に;ならびにまたHandbook of Applied Surface and Colloid Chemistry,K.Holmberg(Ed.),“Chapter 11,Surface Chemistry in the Petroleum Industry,”J.R.Kanicky et al.,251−267に詳細に定義されており、後者の文献は化学構造に基づいてHLB値を計算する方法も記載している;これらの参照文献は、引用することによりその記載事項が許される程度まで本明細書の内容となる。与えられる乳化剤に関するHLB値の決定のための十分に確立された経験的方法を、引用することによりその記載事項が許される程度まで本明細書の内容となるW.C.Griffin,J.Soc.Cosmetic Chem.,1,311(1949)の方法により、実験的に決定することができる。適した化合物の例は上の表中に含まれており、引用することにより上記のような適したHLB値を有する化合物の開示に関して本明細書の内容となるMcCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,1998,North American Edition(pages 1−235) & International Edition(pages 1−999)にも開示されている。種々の有用な化合物には、例えばソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート及びソルビタンモノラウレートを含んで、上の表中に同定されたものが含まれる。
【0071】
上記で簡単に議論した通り、乳化剤の組み合わせを用いて本発明に適したW/Oエマルションを得ることも可能である。説明の目的で、且つ制限ではなく、例えば約5のHLB値を有する単一の乳化剤の代わりに、乳化剤の混合物、例えば一方が約8のHLB値を有し、他方が約2のHLB値を有する2種の乳化剤の50/50混合物を用いて、油−中−水型エマルションを調製することができる。類似して、3種もしくはそれより多種の乳化剤の組み合わせを用いることもでき、但し混合物のHLB値は所望の全体的値を示し、且つ混合物の効果は安定なエマルションを与えることであり、アルミノキサンの触媒としての価値を妨げることではない。混合乳化剤組成物の目的のために、乳化剤混合物のHLB値は、存在する乳化剤の合計量と比較される乳化剤のそれぞれが示す重量分率に基づく線状合計重量平均(linear sum weighted average)として計算される:
HLB=Σ[(HLB)(wt/wttot)]
式中:
Σ=括弧内に示される値の合計;
HLB=1つの乳化剤又は乳化剤の混合物のHLB値;
n=混合物中に存在する乳化剤の数であり、ここでいずれの数の乳化剤を用いることもでき;典型的にn=1〜約5;より典型的に1〜約4;又は1〜約3;又は1〜約2である。例えば安定なエマルションを得るために、2、3又は4種の乳化剤の混合物を用いるのが適している;
HLB=n=1の場合には単一の乳化剤のHLB値あるいは乳化剤の混合物中の各乳化剤のHLB値;
wt=乳化剤の混合物中の各乳化剤の、例えばグラムにおける重量;そして
wttot=乳化剤の混合物中に存在するすべての乳化剤の合計重量。
【0072】
別の態様において、1つの乳化剤が約6に等しいかもしくはそれより小さい、例えば約
1〜約6.0又は約2〜約5.9又は約3〜約5.5又は約4〜約5.9などのHLB値を有し;そして第2の乳化剤が約6より大きい、例えば約6〜約10;又は約6.1〜約9.5又は約6.5〜約8.5又は約7〜約8.5などのHLB値を有する2種の乳化剤の混合物が用いられ;但し両方の乳化剤が6のHLB値を有することはない。あるいはまた、それぞれのHLB性を示す化学種の双峰分布を含んでなる1種の乳化剤を用いることができる。
【0073】
本発明の組成物中で用いられる水は、いずれの源からのものであることもできる。本発明のW/O組成物の調製において用いられる水は、脱イオン化され、例えば逆浸透又は蒸留により精製され、ならびに/あるいは脱塩されていることができ、低い含有率の溶解された無機物、例えばカルシウム、ナトリウム及びマグネシウムの塩を有することができ、類似して、もしあるとしても少量の塩素及び/又はフッ素しか含まず、ならびに溶解されていない粒子状物質を実質的に含まないであろう。好ましくは、溶解された無機塩を除去するために、水は水処理の技術分野における熟練者に周知の方法により実質的に脱塩されており、且つまた、塩素及びフッ素を含む他の添加物又は化学品を除去するために処理されている。そのような材料の実質的不在が望ましい。
【0074】
水は、水及び油の約5重量%〜約65重量%;あるいはまた約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約50重量%;及び約15重量%〜約40重量%の水の濃度で、水−油エマルション中に存在することができる。容積比に基づいて表わすと、油−中−水型エマルションの調製のための溶媒(本明細書で希釈剤又は油とも言われる)、水及び乳化剤の適したレベルは、典型的に約100(溶媒):約5〜約100(水):約0.05〜約20(乳化剤);あるいはまた約100(溶媒):約10〜約50(水):約0.5〜約5(乳化剤)である。
【0075】
本発明の水エマルション(水、乳化剤又は界面活性剤及び溶媒又は希釈剤)は、エマルションの形成のための高せん断条件下における混合を含む方法で、本明細書に記載される成分から調製され、混合は、好ましくは高い機械的せん断又は超音波エネルギーを用いて行われる。乳化されたW/O組成物の調製を助長するために、バッチ装置及びイン−ライン装置などを含んで、当該技術分野において周知の種々の混合装置、例えば典型的に固定子に非常に接近して運転される高速回転子を用いるミキサー−乳化機(Charles Ross & Sons Co.,NYにより製造される型のような)、例えば逆ピッチ、アンカー(anchor)、リーフ(leaf)、ゲート(gate)、フィンガー(finger)、二重運動(double−motion)、らせんなどを含む種々の設計の配置構成を有する櫂を利用する櫂型ミキサーを用いることができる。この態様において、ならびに一般的に本発明においてに有用な他の混合法をさらに本明細書下記に記載する。
【0076】
本発明のエマルションの調製のための種々の態様の方法は、例えば周囲温度又は室温、例えば約20℃〜約22℃もしくは25℃を含む簡便な温度で行われ得る。所望の乳化された組成物が得られ、且つ続く観察及び/又は試験に基づいて、使用までならびに使用中にそれが適切に安定であれば、混合の時間及び温度は変ることができる。
【0077】
比較的低いエネルギー及びせん断条件下で調製されるエマルションは、約0.05ミクロン〜約100ミクロンの大きさの平均粒度、例えば直径又は平均寸法を有する分散粒子を含有し得る。
【0078】
好ましい方法において、エマルションは超音波混合装置を用いて調製され、その装置は、ミクロエマルションと言われることもある、例えば平均で約10ミクロンより小さい又は約0.05〜約5ミクロンの小さい粒度を有する安定なエマルションを調製するために
特に有利であるが、上記の有用な粒度の全範囲に及ぶ有用なエマルションを調製するためにそのような高せん断装置を用いることができる。この型の好ましい装置は、「Sonolator」超音波均質化システム,Sonic Corp.,Connとして商業的に入手可能である。そのようなミクロエマルションは、周囲温度、例えば約22℃で、及び約500psi〜約1500psiの圧力において調製され得るが、5000psiのような高い圧力を用いて安定なミクロエマルションを調製することもできる。Sonolatorシステムは、半連続的、連続的、単一供給(single−feed)又は多重供給(multiple−feed)を含む選択的な(alternative)有用な様式でそれを運転することができる点で、特に有用である。特に、多重供給様式で運転されるそのようなシステムは、例えば油又は希釈剤、水及び乳化剤を含有する供給タンクを利用することができる。そのようなシステムは、特定のエマルション粒度、粒度分布、混合時間などを含むがこれらに限られない特に望ましい結果を達成するために、成分の1つもしくはそれより多くを同時に、逐次的に、又は断続的に供給することを可能にする。超音波乳化を用いて調製されるW/O組成物は、同じ濃度の他の成分、特に油又は希釈剤及び水の場合に、より低い濃度の乳化剤を用いて完成され得る。混合及び乳化のために超音波エネルギーを導入する装置の使用は、微視的又は分子スケールで起こり得る物理的プロセスにかかわらず、本明細書で「高せん断」法と言及される。
【0079】
用いられ得る高−せん断装置には、圧力を広範囲、例えば約500〜約5,000psiに及んで変えることができるSonic Corporation Sonolator Homogenizing System;多段(multistage)、例えば3段回転子/固定子組み合わせを含むIKA Work Dispax及びせん断ミキサーが含まれるが、これらに限られない。回転子/固定子発生器(generators)の先端速度は、モーターを制御する可変周波数ドライブにより変わり得る。やはり回転子/固定子設計が導入され、遠心ポンプに類似の高−容積ポンピング特性を用いているSilversonミキサー2段ミキサー。回転子−固定子乳化法を用いているイン−ラインせん断ミキサー(Silverson Corporation);Jet Mixers、ベンチュリ−スタイル/キャビテーションせん断ミキサー;Microfluidizerせん断ミキサー、高圧均質化せん断ミキサー(Microfluidics Inc.);ならびにAquashearミキサー(Flow Process Technologies Inc.)、パイプライン静電ミキサー(pipeline static mixer)、液圧せん断装置、回転せん断ミキサー、超音波混合及びそれらの組み合わせより成る群から選ばれる高せん断ミキサーを含む、所望のミクロエマルションを調製することができる他の利用可能な高せん断発生ミキサー。
【0080】
有機アルミニウム化合物が溶解される溶媒又はエマルションとして水が分散される希釈剤の融点より高くから、反応を行うのに用いられる圧力における反応混合物の沸点までの広範囲の温度に及んで、アルミノキサンを製造することができる。非常に低い温度が用いられる場合、凍結固体が反応混合物中に存在し得る;それでも反応は起こり得るが、存在する多数の相を見ると、それはより遅い速度で起こり得る。一般に、約−80℃〜約40℃の温度が適している。反応を行うのに簡便な温度は、ドライアイス/アセトン浴の温度、例えば周囲温度及び圧力において約−78℃である。溶媒又は希釈剤を適切に選択して、低温、例えば約−20℃、約−40℃、約−60℃もしくはそれより低温を用いることができる。典型的に、水含有エマルションと有機アルミニウム溶液の間の最初の接触の間の温度は、約−70℃〜約40℃である。有用な反応温度範囲には約−75℃〜約40℃;約−65℃〜約30℃;約−55℃〜約20℃;例えば約−45℃〜約20℃;約−15℃〜約40℃;約−10℃〜約30℃;約−5℃〜約20℃及び約0℃〜約20℃が含まれる。反応圧力は重要ではなく、標準大気圧から約500psiで簡便に選ばれることができる。
【0081】
本発明の方法に従って調製される担持触媒は、オレフィンの重合又は共重合における使用に適している。一般に有用なオレフィンにはエチレン、C−約C20アルファ−オレフィン(又は1−オレフィン)、環状オレフィン及びジエンが含まれる。重合法における使用に適したモノマーは、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びスチレンである。単独重合法のために好ましいモノマーはエチレン及びプロピレンである。触媒は、エチレンを他の1−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1及びオクテンと共重合させるために特に有用である。エチレンをスチレン及び/又はスチレン誘導体と共重合させるために触媒を用いることもできる。適した重合法にはスラリ重合、液体塊重合、気相重合などが含まれる。スラリ重合法において有用な溶媒は、飽和脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素であることができ、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン及びトルエンが含まれる。周囲圧力又は高圧下で重合を行うことができ、重合圧力は、典型的に周囲圧力〜約10MPa、例えば約0.2〜約5MPaである。適した重合温度は、典型的に約−78℃〜約+275℃;例えば約+20℃〜約+150℃である。そのような重合の間に典型的に用いられる担持触媒の量は、シングルサイト触媒、例えばメタロセン中の金属原子の量に基づいて約10−7〜約10−2モルである。連続的に、又はバッチにおいて重合法を行うことができる。重合の間に既知の方法により、例えば温度及び圧力の選択ならびに重合系中への水素の導入により、ポリマー分子量を制御することができる。
【0082】
本発明の方法に従って調製される担持触媒を個別に、又はオレフィンの重合のために1つより多くの組み合わせにおいて、ならびに金属アルキル化合物との組み合わせにおいて用い、活性をさらに向上させるか又は触媒毒を減少させるかもしくは除去することができる。本明細書で好適に用いられる金属アルキル化合物は、トリエチルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムである。
【0083】
先行技術の方法に従って製造されるアルミノキサンを用いる担持触媒の調製のために当該技術分野で一般に既知の方法に従って、有機金属錯体化合物を含んでなり、且つ本明細書に記載される新規なアルミノキサンを含んでなる担持された活性シングルサイト触媒を調製することができる。例えば、許される程度まで本明細書の内容となる米国特許第5880056号明細書(T.Tsutsui et al.)は、アルミノキサン及び/又は遷移金属化合物を不活性溶媒中で微粒子担体と接触させることによる、担持触媒の調製を開示している。本明細書上記に開示された選択肢を考慮し、活性触媒の調製のためにいくつかの選択的方法(alternatives)が利用可能である。例えば担体の不在下でアルミノキサンを本発明に従って製造することができ、次いで1種もしくはそれより多いシングルサイトもしくは遷移金属化合物を担体と接触させる前又はその後に、好ましくは前に、アルミノキサンを好ましくは不活性希釈剤中で担体と接触させることができる。あるいはまた、アルミノキサンを担体の存在下で製造し、担持アルミノキサンを不活性希釈剤中で1種もしくはそれより多いシングルサイト又は遷移金属化合物と接触させることができる。
【0084】
本発明の方法は、出発材料としての有機アルミニウム化合物から直接、高収率で且つ優れた再現性を以て、メタロセン/アルミノキサン固体触媒のような担持シングルサイト/アルミノキサン固体触媒を与えることができ、運転が容易な簡単な装置を必要とする。得られる担持触媒は、高い活性を有し、且つ多様な重合法に適している。本発明の触媒により触媒されるオレフィンの重合から得られるポリマーは、望ましい形態を有する。
【0085】
特許請求される本発明の態様の特定の例として以下の実施例を与える。しかしながら、本発明は実施例中に示される特定の詳細に制限されないことが理解されなければならない。しかしながら、本発明は実施例中に示される特定の詳細に制限されないことが理解され
なければならない。実施例中ならびに明細書中のすべての部及びパーセンテージは、他にことわらなければ重量による。さらに、上記の明細書中あるいは本発明の種々の側面に言及する節中ならびに下記の請求項中で挙げられる数、例えば特定の性質の組、測定値の単位、条件、物理的状態もしくはパーセンテージを示す数の範囲は、言及することにより文字通り明白に本明細書の内容となり、あるいはそうでなければ、数又は範囲の小さい組(subset)を含んで、そのような範囲内に含まれる数は、そのように挙げられる範囲内に包含されることが意図されている。例えば、下限、R及び上限、Rを有する数の範囲が開示される場合は常に、その範囲内に含まれるいずれかの数Rが特定的に開示される。特に範囲内の以下の数Rが特定的に開示され:R=R+k(R−R)、ここでkは1%の増加量を有する1%〜100%の範囲の変数であり、例えばkは1%、2%、3%、4%、5%....50%、51%、52%....95%、96%、97%、98%、99%又は100%である。さらに、上記で計算されるRのいずれか2つの値により示される数の範囲も特定的に開示される。
【実施例】
【0086】
以下は、下記の実施例において用いられる一般的な方法である。他にことわらなければ、すべての操作はグローブボックス中のような不活性雰囲気下で行われた。
【0087】
2LのZipperClave(R)反応器(Autoclave Engineers,Erie,PA)中でベンチスケール重合(BSR)を行った。Wonderware バージョン7.1 ソフトウェアプログラムを実行するデスクトップコンピューターを用いて、反応器を遠隔操作した。Vacuum Atmosphereグローブボックス中で材料を取り扱い、予備装填した。所望の内部温度に装置を予備加熱することにより、反応器本体を準備した。Neslab RTE−111(Thermo Fisher
Scientific)加熱/冷却浴により、反応器の温度制御を保持した。装置の雰囲気を不活性にするため及び内部の乾燥を助けるために、装置を真空下に置いた。Edwards E2M8真空ポンプ(Edwards High Vacuum UK)により真空を発生させた。初期の真空読み取り値(vacuum reading)は約100ミリトールの真空であった。
【0088】
試験重合は典型的に、エチレンを重合させるために望ましい触媒を用いて行われた。重合試験の開始のために、以下の段階を用いた:ヘプタン、ヘキセン及び助−触媒(すなわち掃去剤として用いられる)を、空気又は水分が反応器中に導入されないように、グローブボックス内部の圧力/真空定格(pressure/vacuum rated)ガラス「Pop」ビン中に装填する。この混合物をドライボックスから取り出し、次いで溶液を反応器中に吸引する反応器の内部真空を用いて、試験装置中に移す。反応器の二重らせん撹拌機を始動させ、所望の内部温度が保持されるように水浴を制御し始めるために、コンピュータープログラムを開始させる。温度を再−安定化しながら、グローブボックス内で75mlの金属Hokeボンベに所望の触媒装填量及び20mlのヘプタンのスラリを装填する。この容器をグローブボックスから取り出し、すべてのパイプ接続部を予備−パージするためにアルゴンの外部供給を用いることによって、注入口に連結する。次いで装置圧力を加え且つ監視するためにコンピューターを用いて、所望の量のエチレン及び水素ガスを反応容器中に導入する。高圧アルゴンガス供給を用い、触媒/ヘプタンスラリを反応器中に吹き込む。次いで一定の内部圧力を保持するためにさらにエチレンガスを遠隔的に加えることにより最終的な反応圧力を制御するように、ソフトウェアプログラムを設定する。典型的な試験はこの時点から1時間続く。重合試験が完了したら、ガス供給を止め、Neslab浴を除去し、冷却水を反応器ジャケットに導入する。内部温度が50℃より低くまで低下したら、撹拌機を止め、すべてのガスを装置から排気し、冷却水を止める。次いで反応器本体を開けてポリエチレン生成物を取り出す。次いで内部反応器壁及び撹拌機を清浄化する。装置を再密閉し、アルゴンガスを用いて加圧し、系内に漏れがないこ
とを確かめる。装置がこの圧力試験に合格したら、アルゴンを排気し、反応器を真空下に戻し、Neslab浴を介して再加熱し、次の試験サイクルのための準備をする。
【0089】
上記の合成法に従って製造されるポリマーを特性化するために、以下の試験を用いて以下の性質を測定した:ASTM法D1238−04に従ってメルトインデックス(MI)及び高荷重メルトインデックス(HLMI)を測定する。メルトフロー比(melt flow ratio)をHLMI/MIに基づいて得られる値として定義する。ASMT法D1895に従って見掛嵩密度(ABD)を測定した。
【0090】
以下の実施例を行った:
【実施例1】
【0091】
(本発明;MAO/シリカ製造)
以下の通りに油−中−水型エマルションを調製した(不活性雰囲気下でない)。
【0092】
脱−イオン水(2.00g)、ホワイトパラフィンオイル(VWR,VW3337−01,4.10g)及び乳化剤Span 80(Aldrich,0.10g)の混合物を、50mLのキャップ付きプラスチックジャー中に入れ、Spex 8000ミキサー上で2分間激しく振盪させた。約32.2重量%の水を含有する安定な白色エマルションが形成された。
【0093】
以下の通りに担持メチルアルミノキサン(MAO)を製造した。
【0094】
100mLのSchlenkフラスコに、シリカ(Sylopol 2485,Grace Davison,表面積 約300m/g,600℃で焼成,3.00g)及びトルエン(Aldrich,無水,15mL)を加えた。トリメチルアルミニウム(TMA,Aldrich,トルエン中の2.0M,5.978g,14.76ミリモル)をゆっくり加えた。混合物を室温で約30分間撹拌し、次いで氷−水浴を用いて冷却した。磁気撹拌棒を用いて撹拌しながら、上記のエマルション(0.686g,12.3ミリモルの水)をフラスコに滴下した。フラスコの底に可視の大きな塊又は凝集物がない均一な白色懸濁液が形成された。混合物を還流するまで加熱し、加熱を約1時間続けた。反応混合物を含有するフラスコを室温に冷まし、フリットを介して濾過した。得られる固体をトルエン(約7mL)で洗浄し、続いてヘプタンで3回(それぞれ約7mL)洗浄し、真空下に室温で乾燥して、生成物を白色の粉末として与えた(3.76g)。
【実施例2】
【0095】
(本発明;触媒調製)
トルエン(約5mL)中に溶解されたビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(nBuCp2ZrCl2,WR Grace,Stenungsund,14.62mg,0.036ミリモル)を、室温で撹拌しながら、トルエン(約10mL)中の上記のシリカ担持メチルアルミノキサン(2.20g)のスラリに加えた。混合物を室温で1.5時間撹拌し、黄色の沈殿及び無色の溶液を与えた。混合物を濾過した。得られる固体をトルエン(1回,7mL)、次いでヘプタン(2回,それぞれ7mL)で洗浄し、真空下に室温で乾燥して、生成物を黄色がかった粉末として与えた(2.0g)。誘導結合プラズマ(ICP)分光測定分析により、固体は9.86重量%のアルミニウムを含有することが見出された。
【実施例3】
【0096】
(比較;担持MAO製造)
脱イオン水(0.221mL,12.3ミリモル)を、乳化せずにマイクロ−シリンジ
を介して直接加える以外は、実施例1と同じ。混合物を還流するまで加熱する前に、組成が限定されない白色の大きな塊又は凝集物がフラスコの底に形成された。これは、均一な生成物を得るために、製造規模において問題となるであろう。生成物(3.47g)は白色の粉末として得られた;アルミニウム含有率、9.38重量%。
【実施例4】
【0097】
(比較,担持MAO製造)
より少量の水(0.177mL,9.84ミリモル)を用いる以外は実施例3と同じ。生成物は8.53重量%のアルミニウムを含有することが見出された。
【実施例5】
【0098】
(比較,触媒調製)
実施例1のMAOの代わりに実施例3のMAOを用いる以外は実施例2と同じ。
【実施例6】
【0099】
(比較,触媒調製)
実施例1のMAOの代わりに実施例4のMAOを用いる以外は実施例2と同じ。
【実施例7】
【0100】
(本発明,最初に担体の不在下で製造され、次いで担持されるメチルアルミノキサン)
上記の実施例2及び3における方法に類似。最初にアルミノキサンを製造し、次いでシリカを加え、最後にメタロセンを付着させた(deposited):
磁気撹拌棒を有する100mLのSchlenkフラスコに、TMA(トルエン中の2.0M,9.96g,24.6ミリモル)及びトルエン(20mL)を加えた。上記の通りに調製される乳化された水(1.143g,20.4ミリモルの水)を、氷−水浴中でフラスコを冷却しながら滴下した。混合物を氷−水浴中で約10分間、次いで室温で2時間撹拌した。次いで撹拌しながらシリカ(5.0g)を加えた。得られるスラリを室温で約10分間撹拌し、続いて還流するまで加熱し、加熱を約4時間続けた。フラスコを室温に冷まし、デカンテーションにより液体を除去した。固体をトルエンで2回洗浄し、デカンテーションした。次いで固体をトルエン(約15mL)中でスラリ化させた。トルエン(約10mL)中のメタロセン(nBuCp2ZrCl2,上記の通り,36.6mg,0.090ミリモル)を加えた。混合物を室温で約3時間撹拌した。液体をデカンテーションし、固体をヘプタンで3回洗浄し、デカンテーションした。次いで固体を真空下で乾燥して、淡黄色の粉末生成物を与えた(4.5g)。
【実施例8】
【0101】
(比較)
乳化されない水(0.367g,20.4ミリモル)を用いる以外は、実施例7と同じ方法を用いた。シリカを加え、還流するまで加熱する前に、組成が限定されない白色の大きな塊又は凝集物がフラスコの底に形成された。これは、均一な生成物を得るために、製造規模において問題となるであろう。
【0102】
上記で合成された触媒に関する元素分析(誘導結合プラズマ分析,ICP)及び重合のデータを添付の表中にまとめる。オレフィン重合触媒の調製に有用な均一且つ活性な活性剤を製造するために、乳化された水を使用するのが有利であったことが明らかである。
【0103】
【表2】

【0104】
上記の表に示される通り、単独のMAOは重合活性を有効に有していない;これは、基本的参照基準(baseline reference)を与える。本発明の実施例2からの触媒は、油−中−水型エマルションが用いられなかった比較実施例の209g/g−時及び568g/g−時と比較してずっと高い活性である2200g/g−時を示した。本発明の実施例7は比較実施例8の活性と同等の活性を与え、それは、おそらく触媒組成物中に残る乳化剤をMAOの製造において用いることが、触媒の性能を損なわないことを確証している。さらに本発明の触媒は、望ましいことに、より高い見掛嵩密度(ABD)の値、約0.27を有する樹脂を生じた。
【0105】
例えばプロピレン又はスチレンを用いてホモポリマーを製造するため、ならびに例えばエチレンとプロピレン又はエチレンと他のアルファ−オレフィン及びオレフィンを含んでなるコポリマーならびにプロピレンと本明細書上記で開示される他の高級オレフィンのコポリマーを製造するために、上記の本発明の実施例中に記載される方法に従う。
【0106】
変数、特性又は状態に関する修飾語として、あるいはそれらと一緒に用いられる場合、「約」という用語は、本明細書に開示される数、範囲、特性及び状態が柔軟であること、
ならびに記載される範囲の外にあるかもしくは1つの記載される値と異なる温度、速度、時間、濃度、炭素数、量、含有率、性質、例えば寸法、密度、表面積などを用いる当該技術分野における熟練者による本発明の実行が、本出願中に記載される望ましい単数もしくは複数の結果を達成する、すなわちオレフィン重合触媒の調製のために有用な均一且つ活性なアルミノキサン活性剤の製造を達成するであろうことを表わすことが意図されている。
【0107】
本発明の目的のために、以下の用語は示される意味を有するものとする:
「含む(comprise)」又は「含んでなる(comprising)」:請求項を含む明細書全体を通して、「含む」という用語及びその用語の変形、例えば「含んでなる」及び「含む(comprises)」ならびに「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含む(include)」及び「含む(including)」ならびにそれらの変形は、それが言及する名指される段階、要素(elements)又は材料は必須であるが、他の段階、要素又は材料を加えることができ、且つそれでもなお請求項又は開示の範囲内の構成(construct)を形成することを意味する。本発明の記述及び請求項中で言われる場合、それは、本発明及び特許請求されるものが続いて言われるもの及びもしかするとそれより多くと考えられることを意味する。これらの用語は、特に請求項に適用される場合、包括的であるか又は境界が開かれており(inclusive or open−ended)、言われていない追加の要素又は方法段階を排除しない。
【0108】
「族(Group)」又は「族(Groups)」:族(group)又は族(Groups)へのいずれの言及も、第1−18族のように元素の族に番号を付けるためにIUPACシステムを用いる元素の周期表中に反映されている族(group)又は族(Groups)への言及であるものとする。
【0109】
「周期表」:本明細書中における元素の周期表へのすべての言及は、http://old.iupac.org/reports/periodic_table/;version date 22 June 2007にオンラインで公開されているInternational Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)により公開されている元素の周期表を指す。
【0110】
「実質的に」:特定の性質、特性又は変数に関して他に定義されなければ、「実質的に」という用語は、性質、特性又は変数のようないずれかの基準に適用される場合、達成されるべき利益又は望まれる状態もしくは性質の値が満たされていると当該技術分野における熟練者が理解するであろう程度(measure)で、記載される基準を満たしていること意味する。
【0111】
特許出願及び/又は試験法を含んで、本明細書中に記載されるすべての文書は、引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる。本発明の原理、好ましい態様及び操作の様式は、前記の明細書中に記載された。
【0112】
本明細書中の発明を特定の態様に言及して記載してきたが、これらの態様は単に本発明の原理及び応用の例であることが理解されるべきである。従って、添付の請求項により定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、例としての態様に多くの修正を成し得ること、ならびに他の配置(arrangements)が案出され得ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミノキサンの製造方法であって、
(a)不活性雰囲気における反応条件下に:
(i)第1の炭化水素溶媒中に水及び少なくとも1種の乳化剤を含んでなる油中水型エマルション;ならびに
(ii)第2の炭化水素溶媒中のアルミノキサンを生成することができる有機アルミニウム化合物
を含んでなる反応混合物を接触させることを含んでなり;
ここで:
(b)有機アルミニウム化合物対エマルション中に存在する水のモル比は約0.6〜約2:1であり;且つ
(c)反応により製造されるアルミノキサンは溶液中に存在し;
但し、段階(a)における第1及び第2の炭化水素溶媒は反応条件下でアルミノキサンを溶液中に保持する方法。
【請求項2】
第1の不活性溶媒、水及び少なくとも1種の乳化剤を合わせてエマルションを形成することにより油中水型エマルションを調製し、且つ該第1の溶媒、水及び乳化剤の容積比が約100(溶媒):約5〜約100(水):約0.05〜約20(乳化剤)である請求項1の方法。
【請求項3】
該溶媒、水及び乳化剤の容積比が約100(溶媒):約10〜約75(水):約0.2〜約10.0(乳化剤)である請求項2に従う方法。
【請求項4】
段階(a)(ii)における溶液が約5〜約40重量%の有機アルミニウム化合物を含む請求項1に従う方法。
【請求項5】
該有機アルミニウム化合物対エマルション中に存在する水のモル比が約1〜1.5:1である請求項1に従う方法。
【請求項6】
段階(a)における接触が約−80℃〜約40℃の温度における接触であり、但し、反応性混合物が液体を構成する請求項1に従う方法。
【請求項7】
少なくとも1種の乳化剤が約2〜約6の親水−親油バランス値を有する非イオン性界面活性剤である請求項2に従う方法。
【請求項8】
有機アルミニウム化合物がアルキルアルミニウム、アリールアルミニウム及びアルキルアルミニウムハライドより成る群から選ばれる請求項1に従う方法。
【請求項9】
有機アルミニウム化合物が、C1〜約C20トリアルキルアルミニウム化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−sec−ブチルアルミニウム、トリ−tert−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム及びトリデシルアルミニウムより成る群から選ばれるトリアルキルアルミニウム化合物である請求項8に従う方法。
【請求項10】
アルミノキサンの製造方法であって、
(a)第1の炭化水素溶媒、水及び少なくとも1種の乳化剤を合わせて油中水型エマルションを形成し:
(i)ここで該第1の炭化水素溶媒、水及び乳化剤の容積比は約100(溶媒):約5〜約100(水):約0.05〜約20(乳化剤)であり;
(b)第2の炭化水素溶媒中にアルミノキサンを生成することができる有機アルミニウム化合物を溶解して、約5〜約40重量%の有機アルミニウム化合物を含んでなる溶液を形成し;
(c)エマルション及び溶液を:
(i)約0.6〜約2:1の有機アルミニウム化合物対エマルション中の水のモル比において、且つ
(ii)不活性雰囲気中で
互いと接触させてアルミノキサン溶液を調製する
ことを含んでなり、但し、段階(a)及び(b)において存在する第1及び第2の炭化水素溶媒は段階(c)における反応条件下でアルミノキサンを溶液中に保持する方法。
【請求項11】
アルミノキサンのための担体が:
(i)該接触段階(a)の間に存在するか;あるいは
(ii)段階(a)の後に導入される
請求項1に従う方法。
【請求項12】
反応性混合物中のアルミノキサンを約40℃より高い温度から約150℃の温度に加熱する請求項11に従う方法。
【請求項13】
反応性混合物を還流が起こる温度に加熱する請求項12に従う方法。
【請求項14】
担体がSiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、V及びCrより成る群から選ばれる少なくとも1種の多孔質無機酸化物を含む請求項11に従う方法。
【請求項15】
担体がSiOであり、且つ第3族〜第10族金属含有シングルサイト錯体をアルミノキサンと混合して、オレフィン重合条件下でオレフィン、環状オレフィン又はアルファ−オレフィンを単独重合させるか、あるいはオレフィン、環状オレフィン又はアルファ−オレフィンと少なくとも1種のC−C20アルファ−オレフィンモノマーを共重合させてポリマーを形成するのに適したシングルサイト触媒を調製する請求項11に従う方法。
【請求項16】
錯体が幾何拘束型錯体、メタロセン錯体、二座錯体及び三座錯体より成る群から選ばれるシングルサイト触媒である請求項15に従う方法。
【請求項17】
担持触媒の調製方法であって、溶媒中の少なくとも1種の金属含有シングルサイト錯体化合物の溶液を請求項12の担持アルミノキサンに、約1:10〜10,000の金属原子対アルミニウム原子のモル比で、約0℃〜約60℃において約1〜約4時間加え、溶媒を除去して該触媒を形成することを含んでなり、ここで金属は元素の周期表の第3族〜第10族における金属から選ばれる方法。
【請求項18】
該錯体中の金属原子対アルミニウム原子のモル比が約1:50〜1,000である請求項17に従う方法。

【公表番号】特表2012−529507(P2012−529507A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514942(P2012−514942)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/001651
【国際公開番号】WO2010/144130
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(399016927)ダブリュー・アール・グレイス・アンド・カンパニー−コネチカット (63)
【Fターム(参考)】