説明

アレグリタザルを含む医薬組成物

本発明は、アレグリタザルを含む医薬組成物ならびにその製造および使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物、特にアレグリタザル(aleglitazar)またはその塩を含む医薬組成物に関する。より詳細には、本発明は、0.01mg〜0.9mgのアレグリタザルまたはその塩を含む医薬組成物であって
(a)アレグリタザルまたはその塩を含む溶液を希釈剤および崩壊剤上に噴霧すること;
(b)工程(a)により得られた組成物を滑沢剤と混合すること;ならびに
(c)場合によって工程(b)により得られた組成物を圧縮すること
によって得られる医薬組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、医薬組成物の製造方法であって:
(a)アレグリタザルまたはその塩を含む溶液を希釈剤および崩壊剤上に噴霧すること;
(b)工程(a)により得られた組成物を滑沢剤と混合すること;および
(c)場合によって工程(b)により得られた組成物を圧縮すること
を含む製造方法に関する。
【0003】
アレグリタザルは、(S)−2−メトキシ−3−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル}−プロピオン酸である。それは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(Peroxisome Proliferator Activated Receptors)(PPAR)アゴニストのクラスに属する。アレグリタザルは、WO02/092084に記載されている。アレグリタザルのナトリウム塩は、(S)−2−メトキシ−3−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル}−プロピオン酸ナトリウムである。
【0004】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体は、核内ホルモン受容体スーパーファミリーメンバーであり、それは、遺伝子発現を制御するリガンド活性化転写因子である。その種々のサブタイプが、同定され、クローニングされている。それらは、PPARα、PPARβ(PPARδとしても公知)、およびPPARγを含む。PPARγには少なくとも二つの主要なアイソフォームが、存在する。PPARγ1は、ほとんどの組織に遍在的に発現している一方で、より長いアイソフォームであるPPARγ2は、ほぼ排他的に脂肪細胞でみられる。対照的に、PPARαは、おもに肝臓、腎臓および心臓で発現している。PPARは、様々な身体反応を調節し、それはグルコースおよび脂質恒常性、細胞分化、炎症反応および心血管イベントを含む。
【0005】
研究により、PPARαおよびPPARγに対するコアゴニズム(coagonism)により、化合物の治療能が増強される、すなわちグルコースおよびインスリンレベルの上限の正常化に影響を与えるリン脂質プロファイルが改善される結果となる証拠が提供されている(Keller and Wahli: Trends Endocrin. Metab. 1993; 4:291-296, Macdonald and Lane: Current Biology Vol.5 pp.618-621 (1995))。
【0006】
アレグリタザルは、PPARαおよびPPARγの両方に、同時にそして非常に効率的に、結合しそしてこれらを活性化することができる。従って、アレグリタザルは、PPARγ活性化の抗血糖効果とPPARα活性化の抗脂質異常効果を合わせ持つ。その結果、血漿グルコースおよびインスリンが、減少し(=インスリン感作)、トリグリセリドが、下がり、そしてHDLコレステロールが上昇する(=リン脂質プロファイルの改善)。加えて、それは、LDLコレステロールを下げ、血圧を低下させ、炎症性アテローム性動脈硬化症に拮抗する。II型糖尿病症候群の多様な面に、PPARαおよびγのコアゴニスト(coagonist)が関与しているので、アレグリタザルは、当該技術分野で既に公知の化合物と比較して増強された治療効果を有する。
【0007】
驚くべきことに、0.01〜0.9mgの用量範囲でアレグリタザルを含む医薬組成物が、II型糖尿病を処置するまたは予防するのに特に効果があることが見出された。特に低い可溶性および高い活性のために、アレグリタザルを、商業的および工業的製造方法に適した均質な低用量固形製剤に含めることに成功していなかった。
【0008】
本明細書において用語「希釈剤」は、錠剤またはカプセルの大きさを膨らませ、生産するのに実用的でそして消費者が使用するのに都合良くする、賦形剤をさす。適切な希釈剤は、例えば、微晶質セルロース、ラクトース、二塩基性糖リン酸カルシウム、糖アルコール、コーンスターチ、スクロース、無水ケイ酸、多糖類、N−メチルピロリドン(Pharmasolve(ISP))のような医薬的に許容可能な不活性充填剤およびそれらの混合物を含む。糖および糖アルコールという用語は、マンニトール、ラクトース、フルクトース、ソルビトール、キシリトール、マルトデキストリン、デキストレート類(dexstrates)、デキストリン類、ラクチトールおよびそれらの混合物を含む。
【0009】
結合剤を、錠剤製剤に添加し、粉末に粘着性を加え、それによって必要な結合性を提供し、圧縮下で錠剤としての小さな塊を形成する顆粒を形成する。メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、スターチおよび予めゼラチン化されたスターチは、結合剤の例として適する。二つ、三つまたはそれ以上の結合剤の混合物を、製剤において使用することが出来る。
【0010】
アレグリタザルを含む溶液は、水溶液または有機溶液であり得る。好ましい有機溶媒は、エタノールである。
【0011】
緩衝溶液を、pHをほぼ一定値に保つための手段として用いる。緩衝溶液は通常、弱酸およびその共役塩基または弱塩基およびその共役酸の混合物からなる水溶液である。それは、少量の酸または塩基をそれに添加した時に、溶液のpHがわずかしか変化しないという特性を有する。緩衝液の例は、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液、リン酸二水素カリウムまたはナトリウム/リン酸二カリウムまたは二ナトリウム緩衝液、ホウ酸/水酸化ナトリウム緩衝液、トリス(トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン)緩衝液、炭酸/重炭酸緩衝液およびEDTA緩衝液である。
【0012】
アレグリタザルを含む溶液は、好ましくは緩衝水溶液、好ましくはリン酸緩衝液で緩衝化された緩衝水溶液である。リン酸緩衝液は、好ましくはリン酸二ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムを含む緩衝液である。
【0013】
用語「界面活性剤」は、液体の表面張力を低下させる賦形剤をさす。界面活性剤の例は、tween80、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体およびラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0014】
用語「崩壊剤」は、消化管中で水分を含むことにより錠剤が粉々になり、吸収のために活性成分を放出する際に膨張し、溶解する賦形剤をさす。適切な崩壊剤は、例えば、軽度架橋ポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、および加工デンプン、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスプロビドン(crossprovidone)、グリコール酸デンプンナトリウムおよびそれらの混合物を含む。
【0015】
適切な滑沢剤は、圧縮する粒子間の摩擦および粘着性を低減させることにより粉末の流動性に作用する剤を含み、エーロシルといったコロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウムおよびシリカゲルである。
【0016】
用語「コーティング」は、錠剤の表面に塗布され、錠剤成分を空気中の水分による変質から保護し、大きかったり不快な味のする錠剤を飲み込みやすくする賦形剤をさす。コーティング剤の例は、PVA(ポリビニルアルコール)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびPEG(ポリエチレングリコール)を含む。
【0017】
用語「アレグリタザルまたはその塩」は、アレグリタザルまたはアレグリタザルと塩基との反応生成物(アレグリタザルのカルボン酸の水素原子が金属原子に置換されている)をさす。好ましいアレグリタザルの塩は、アレグリタザルのナトリウム塩である。
【0018】
特に明記しない限り、全てのパーセンテージは、組成物の総重量の重量パーセントで示す。
【0019】
アレグリタザルまたはその塩の重量範囲は、遊離酸の形態でのアレグリタザルの重量または塩の場合においては遊離酸の形態でのアレグリタザルの等モル量の重量をさす。
【0020】
医薬組成物におけるまたは製造方法におけるアレグリタザルまたはその塩の量は、好ましくは0.01〜0.9mgであり、好ましくは0.01〜0.6mgであり、より好ましくは0.15〜0.6mgである。さらに好ましいアレグリタザルの量は、0.15または0.3mgである。
【0021】
好ましいのは、工程(a)におけるアレグリタザルまたはその塩を含む溶液が、水溶液である、医薬組成物または製造方法である。
【0022】
さらに好ましいのは、工程(a)におけるアレグリタザルまたはその塩を含む溶液が、有機溶液、好ましくはエタノール溶液である、医薬組成物または製造方法である。
【0023】
好ましいのは、工程(a)の溶液が、水溶液、好ましくはリン酸緩衝液で緩衝化されている水溶液である、本発明による医薬組成物または製造方法である。緩衝液は、好ましくは上述した緩衝液から選択され、より好ましくはリン酸二ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムである。
【0024】
緩衝液が、NaHPOおよびNaHPOである場合、緩衝系のモル濃度は、好ましくは0.05〜0.4mM、好ましくは0.1〜0.2mMの範囲である。緩衝液のpHは、好ましくは6.0〜12の範囲である。
【0025】
さらに好ましいのは、希釈剤が、糖、微晶質セルロース、ラクトース、スターチおよびその混合物から選択され、好ましくは、ラクトースおよび微晶質セルロースの混合物である、本発明による医薬組成物または製造方法である。
【0026】
また好ましいのは、工程(a)の水溶液が、ポビドン、HPMCおよび予めゼラチン化されたスターチから選択される結合剤を含む、本発明による医薬組成物又は製造方法である。
【0027】
結合剤の量は、組成物の総重量の、好ましくは1〜15%、より好ましくは2〜10%、より好ましくは4〜6%である。
【0028】
結合剤は、好ましくはポビドンである。予めゼラチン化されたスターチは、さらに好ましい。
【0029】
好ましいのは、工程(a)の溶液が、tween80、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体およびラウリル硫酸ナトリウムから選択される界面活性剤を含む、本発明による医薬組成物または製造方法である。
【0030】
界面活性剤の量は、組成物の総重量の、好ましくは0.1〜2%、より好ましくは0.25〜1%、より好ましくは0.4〜0.6%である。
【0031】
界面活性剤は、好ましくはラウリル硫酸ナトリウムである。
【0032】
崩壊剤は、好ましくは架橋ポリビニルピロリドン、スターチ、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびグリコール酸デンプンナトリウムから選択される。
【0033】
崩壊剤の量は、組成物の総重量の、好ましくは0.5〜15%、より好ましくは1〜10%、より好ましくは2〜3%である。
【0034】
崩壊剤は、好ましくはクロスカルメロースナトリウムである。
【0035】
また好ましいのは、滑沢剤が、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウムから選択される、本発明による医薬組成物または製造方法である。
【0036】
滑沢剤の量は、組成物の総重量の、好ましくは0.2〜3%、より好ましくは0.5〜1.0%である。
【0037】
滑沢剤は、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
【0038】
組成物は、好ましくはアレグリタザルのナトリウム塩を含む。
【0039】
本発明はまた、好ましくは以下:
アレグリタザルまたはそのナトリウム塩 0.01〜2%
リン酸二ナトリウム 0.5〜1.5%
リン酸二水素ナトリウム 0.005〜0.25%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1〜2%
ポビドンまたはHPMC 1〜15%
ラクトース 15〜85%
微晶質セルロース 3〜85%
クロスカルメロースナトリウム 0.5〜15%
ステアリン酸マグネシウム 0.2〜3%
を含む、医薬組成物に関する。
【0040】
本発明はまた、好ましくは以下:
アレグリタザルまたはそのナトリウム塩 0.01〜0.9mg
リン酸二ナトリウム 1〜1.5mg
リン酸二水素ナトリウム 0.01〜0.3mg
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1〜2mg
ポビドンまたはHPMC 0.1〜20mg
ラクトース 20〜110mg
微晶質セルロース 5〜100mg
クロスカルメロースナトリウム 0.5〜20mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5〜3mg
を含む、医薬組成物に関する。
【0041】
所望であれば、本発明の医薬組成物は、例えば薬剤化合物の任意の酸化を防止するために1つ以上の抗酸化剤を含むこともできる。本明細書中で使用する適切な抗酸化剤は、限定はされないが、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、メタ重亜硫酸ナトリウム、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸およびそれらの混合物を含む。好ましい抗酸化剤は、ブチルヒドロキシアニソールおよびブチルヒドロキシトルエンの1:1の混合物である。
【0042】
さらに、本発明はまた、以下:
アレグリタザル 0.01〜2%
ブチルヒドロキシアニソール 0.01〜0.5%
ブチルヒドロキシトルエン 0.01〜0.5%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1〜2%
ポビドン 1〜15%
ラクトース 15〜85%
微晶質セルロース 3〜85%
クロスカルメロースナトリウム 0.5〜15%
ステアリン酸マグネシウム 0.2〜3%
を含む医薬組成物に関する。
【0043】
本発明はまた、以下:
アレグリタザル 0.01〜0.9mg
ブチルヒドロキシアニソール 0.01〜0.5mg
ブチルヒドロキシトルエン 0.01〜0.5mg
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1〜2mg
ポビドン 0.1〜20mg
ラクトース 20〜110mg
微晶質セルロース 5〜100mg
クロスカルメロースナトリウム 0.5〜20mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5〜3mg
を含む医薬組成物に関する。
【0044】
抗酸化剤を含む、上記組成物は、好ましくは工程(a)においてエタノール溶液を使用した時である。
【0045】
本発明の医薬組成物は、錠剤またはカプセルの剤形をとることができ、好ましくは錠剤の剤形である。
【0046】
好ましい錠剤の重量は、50〜250mg、好ましくは60〜200mg、より好ましくは70〜150mgである。特に好ましい重量は、130mgである。
【0047】
本発明の医薬組成物を、当技術分野において公知の任意の適切なコーティングを用いて、好ましくは例えばOpadry II Whiteを用いてコートすることができる。
【0048】
本発明はまた、医薬としての使用のための、好ましくはII型糖尿病または心血管疾患の処置または予防のための医薬としての使用のための上述した医薬組成物に関する。
【0049】
さらに、本発明はまた、II型糖尿病または心血管疾患の処置または予防のための上述した医薬組成物の使用に関する。
【0050】
本発明はさらに、それを必要とする患者に上述した医薬組成物を投与する工程を含む、II型糖尿病または心血管疾患の処置または予防の方法に関する。
【0051】
アレグリタザルは、特に安定性冠動脈心臓症候群およびII型糖尿病を有する患者における心血管死亡率、非致死性心筋梗塞または発作の低下のために特に望ましい。
【0052】
本組成物の調製のために、以下の手順に従うことができる。
【0053】
水、アレグリタザル、緩衝塩、結合剤および界面活性剤を含む緩衝液を調製する。アレグリタザルは、好ましくは0.2〜0.8%(m/v)の量である。活性成分を、好ましくは完全に造粒液に溶解する。希釈剤および崩壊剤を、流動層造粒機に添加する。溶液を、賦形剤上に均一に噴霧し、それらの低用量強度のための優れた含量均一性および適当な粒子サイズ分布(d63.2は、好ましくは0.15〜0.8mmの範囲(63.2%の顆粒が通過するメッシュサイズ)である)を有する顆粒を得、強力な粉塵暴露を回避し、良好な流動特性を得る。造粒物を、好ましくは後に流動層乾燥機で乾燥する。続いて、好ましくは顆粒結果物をメッシュスクリーンに通して篩にかけ、流動層顆粒(FBG)を得た。乾燥した顆粒を、好ましくは滑沢剤と混合し、そして従来の錠剤成形機を用いて錠剤に成形する。本発明の錠剤を、任意の適当な形状、例えば円盤状、球状、楕円状、長方形、円筒状、三角状、六角状などにすることができる。核における薬物負荷は、0.01〜0.3%、好ましくは0.05〜0.15%の範囲である。錠剤硬度は、好ましくは60Nより上であり、良好なコーティングおよびパッケージング特性を保証する。錠剤は、好ましくは楕円状を有し、良好な飲み込みおよび取扱特性を可能にする。全ての錠剤は、急速な崩壊(300秒未満、水性溶媒、標準バスケット法および装置)を示した。成形された錠剤を、コーティングを用いてフィルムコートすることが可能であり、4%の重量増加を生じる。
【0054】
本発明を、以下に実施例によって例示するが、これは特徴を限定するものではない。
【0055】
実施例
実施例1:錠剤
アレグリタザルまたはそのナトリウム塩 0.3mg
リン酸二ナトリウム 1.106mg
リン酸二水素ナトリウム 0.037mg
ラウリル硫酸ナトリウム 0.625mg
HPMC 6.25mg
ラクトース 100.43mg
微晶質セルロース 12.5mg
クロスカルメロースナトリウム 2.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.25mg
Opadry II White 5.00mg
【0056】
アレグリタザル(0.3%(w/v))、リン酸二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、HPMCおよびラウリル硫酸ナトリウムを含む緩衝水溶液を調製した。活性成分を、完全に造粒液に溶解した。完全な溶解を達成するには撹拌が必要であった。ラクトース、微晶質セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムを、流動層造粒機に添加した。溶液を、固形賦形剤上に均一に噴霧(180〜220g/分の噴霧速度;吸気温度60〜80℃、気圧2〜4bar、製品温度22℃〜35℃)し、顆粒を得た。得られた顆粒は、この低用量強度のための優れた含量均一性および適当な粒子サイズ分布(d63.2は、250μmである)を有していて、これにより強力な粉塵暴露を回避した。さらに、顆粒は良好な流動特性を有していた。造粒物を後に流動層乾燥機で乾燥した。続いて顆粒結果物をメッシュスクリーン(2mmふるいサイズ、1000rpm回転速度)に通して篩にかけ、流動層顆粒(FBG)を得た。乾燥した顆粒を、滑沢剤と混合し、そして従来の錠剤成形機を用いて錠剤に成形した。
【0057】
実施例2:錠剤
アレグリタザルまたはそのナトリウム塩 0.3mg
リン酸二ナトリウム 1.106mg
リン酸二水素ナトリウム 0.037mg
ラウリル硫酸ナトリウム 0.625mg
ポビドン 6.25mg
ラクトース 100.43mg
微晶質セルロース 12.5mg
クロスカルメロースナトリウム 2.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.25mg
Opadry II White 5.00mg
【0058】
実施例1に記載した手順を、ここではHPMCの代わりにポビドンを用いて繰り返した。顆粒は、実施例1の顆粒と同様の含量均一性、サイズ分布および流動特性を有していた。乾燥した顆粒を、滑沢剤と混合し、そして従来の錠剤成形機を用いて錠剤に成形した。
【0059】
実施例3:錠剤
アレグリタザル 0.15mg
ブチルヒドロキシアニソール 0.0125mg
ブチルヒドロキシトルエン 0.0125mg
ラウリル硫酸ナトリウム 0.625mg
ポビドン 6.25mg
ラクトース 101.7mg
微晶質セルロース 12.5mg
クロスカルメロースナトリウム 2.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.25mg
Opadry II White 5.00mg
【0060】
アレグリタザル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、ポビドンおよびラウリル硫酸ナトリウムを含むエタノール溶液を調製した。活性成分を、造粒液に完全に溶解した。ラクトース、微晶質セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムを、流動層造粒機に添加した。溶液を、固形賦形剤上に均一に噴霧(200〜400g/分)し、顆粒を得た。顆粒は、実施例1および2の顆粒と同様の含量均一性、サイズ分布および流動特性を有していた。乾燥した顆粒を、滑沢剤と混合し、そして従来の錠剤成形機を用いて錠剤に成形した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.01mg〜0.9mgのアレグリタザルまたはその塩を含む医薬組成物であって、以下
(a)アレグリタザルまたはその塩を含む溶液を希釈剤および崩壊剤上に噴霧すること;
(b)工程(a)により得られた組成物を滑沢剤と混合すること;ならびに
(c)場合によって工程(b)により得られた組成物を圧縮すること
によって得られる、医薬組成物。
【請求項2】
アレグリタザルまたはその塩の医薬組成物の製造方法であって、以下
(a)アレグリタザルまたはその塩を含む溶液を希釈剤および崩壊剤上に噴霧すること;
(b)工程(a)により得られた組成物を滑沢剤と混合すること;ならびに
(c)場合によって工程(b)により得られた組成物を圧縮すること
を含む、製造方法。
【請求項3】
工程(a)の溶液が、水溶液である、請求項1または2記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項4】
工程(a)の溶液が、リン酸緩衝液で緩衝化されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項5】
希釈剤が、糖、微晶質セルロース、ラクトース、スターチおよびそれらの混合物から選択される、請求項1〜4のいずれか一項記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項6】
工程(a)の溶液が、ポビドン、HPMCおよび予めゼラチン化されたスターチから選択される結合剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項7】
結合剤が、ポビドンである、請求項6記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項8】
工程(a)の溶液が、tween80、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体およびラウリル硫酸ナトリウムから選択される界面活性剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項9】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項8記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項10】
崩壊剤が、架橋ポリビニルピロリドン、スターチ、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびグリコール酸デンプンナトリウムから選択される、請求項1〜9のいずれか一項記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項11】
崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、請求項10記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項12】
滑沢剤が、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリルおよびフマル酸ステアリルナトリウムから選択される、請求項1〜11のいずれか一項記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項13】
滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項12記載の医薬組成物又は製造方法。
【請求項14】
アレグリタザルのナトリウム塩を含む、請求項1〜13のいずれか一項記載の医薬組成物または製造方法。
【請求項15】
以下:
アレグリタザルまたはそのナトリウム塩 0.01〜0.9mg
リン酸二ナトリウム 1〜1.5mg
リン酸二水素ナトリウム 0.01〜0.3mg
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1〜2mg
ポビドン 0.1〜20mg
ラクトース 20〜110mg
微晶質セルロース 5〜100mg
クロスカルメロースナトリウム 0.5〜20mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5〜3mg
を含む、医薬組成物。
【請求項16】
錠剤の剤形である、請求項1〜15のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項17】
II型糖尿病または心血管疾患の処置または予防のための医薬としての使用のための、請求項1〜16のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項18】
II型糖尿病または心血管疾患の処置または予防のための、請求項1〜16のいずれか一項記載の医薬組成物の使用。
【請求項19】
それを必要とする患者に請求項1〜16のいずれか一項記載の医薬組成物を投与する工程を含む、II型糖尿病または心血管疾患の処置または予防の方法。
【請求項20】
本明細書に上述された発明。

【公表番号】特表2012−515741(P2012−515741A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546748(P2011−546748)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050343
【国際公開番号】WO2010/084066
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】