説明

アンカー荷重計着脱システム、アンカー荷重計共設置セット、アンカー荷重計着脱ユニット、およびアンカーへの荷重計着脱方法

【課題】アンカーヘッドの突出量や固定方式によらず、確実に荷重計を後付けすることができ、また、汎用の荷重計でも取り付けることができるため製品調達上の問題、或いは生産量に伴う価格上の問題が生じにくく、さらに正確な緊張力測定を保証しうるアンカー荷重計着脱システムを提供する。
【解決手段】余長部の周囲を囲って載置された荷重計2と、余長部の先端側へ間接的または直接的に取り付けられた挟み込みナット3と、挟み込みナット3及び定着部と共に余長部を地表側に引揚げてジャッキアップするジャッキ4を具備する。挟み込みナット3は、余長部を固定する第二ナット31とその周囲に拡がった挟み込み板32とを有し、ジャッキ4によって余長部を地表側に引揚げた状態で、挟み込み板32の下面を荷重計2の上面に当接させて荷重計2を支圧板Pとの間に挟み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着後のアンカーストラクチャーに荷重計(荷重測定器)を追加して設置するためのアンカー荷重計着脱システム(荷重計及びジャッキを含むもの)、アンカー荷重計共設置セット(荷重計を含みジャッキを必須としないもの)、アンカー荷重計着脱ユニット(荷重計及びジャッキを必須としないもの)、およびこれによるアンカーへの荷重計着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレストレストコンクリートにおける緊張力付与や傾斜地の土留め等に使用されるアンカーは、経年によって設置地盤内の緊張力が緩むと支持強度が得られず設置の意味をなさなくなってしまう。また、想定以上の負荷が加わり過度に緊張力が増加すると、アンカー自体が破損し地表へ飛び出したりして安全性が損なわれる場合がある。このため、既設アンカーの緊張力変化の計測を行う必要がある。
【0003】
この緊張力変化の測定装置として従来、アンカーヘッドと前記支圧板とを離間させるための油圧式荷重計と、油圧ポンプと、前記油圧ポンプから前記油圧式荷重計に供給される油量の変化を計測するための油量検出装置と、前記油圧式荷重計に作用する油圧を測定するための油圧計測器と、から構成される装置が開示される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また従来、緊張線材の緊張力検知に必要なコストや労力を低減することができるグランドアンカー緊張力検知システムとして、緊張線材の緊張力を受圧するアンカープレートに、前記アンカープレートの曲げ歪み量を検出する歪みセンサを装備するとともに、前記歪みセンサと電気的に接続されて、前記歪みセンサの検出する曲げ歪み量から前記緊張線材の緊張力低下を算出する緊張力モニター装置とを備えるものが開示される(例えば、特許文献2参照)。これは予め対処していなかった既設のグランドアンカーに対しても緊張力検知を実施可能である、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−257654号公報
【特許文献2】特開2006−162511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら前者の緊張力低下の測定装置は、既設のアンカーにおけるアンカーヘッドのアンカープレートからの突出量やアンカーヘッドの固定方式によって、荷重計を後付けするための隙間を形成することが困難な場合があるなど、設置上の問題が生じるものであった。
【0007】
また後者のグランドアンカー緊張力検知システムは、汎用の荷重計ではなく歪みセンサを装備した特殊なアンカープレートを使用するものであるため、荷重計に異常が発生したときに交換しにくいといった、製品調達上の問題、或いは生産量に伴う価格上の問題が存在した。またアンカープレートに歪みセンサを装備しているため、均等な受圧領域の設定が困難であり、荷重計の後付けを行う場合に正確な緊張力測定を保証しにくいものであった。
【0008】
そこで本発明では、既設のアンカーにおけるアンカーヘッドのアンカープレートからの突出量やアンカーヘッドの固定方式によらず、確実に荷重計を後付けすることができ、また、汎用の荷重計でも取り付けることができるため製品調達上の問題、或いは生産量に伴う価格上の問題が生じにくく、さらに正確な緊張力測定を保証することのできるアンカー荷重計着脱ユニットおよびこれによるアンカーへの荷重計着脱方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく本発明では以下(1)〜(7)の手段を採用する。
【0010】
(1)本発明のアンカー荷重計着脱システムは、支圧板P上にて定着部(E/N)が取り付けられて定着されたアンカーの余長部Aに荷重計を追加で設置しまたは追加設置した荷重計を取り外す荷重計の着脱システムであって、
余長部Aの周囲を囲って載置された荷重計2と、
余長部Aの先端側へ間接的または直接的に取り付けられた挟み込みナット3と、
挟み込みナット3及び定着部(E/N)と共に余長部Aを地表側に引揚げてジャッキアップするジャッキ4とを具備してなり、
前記挟み込みナット3は、それ自体の内螺子部310によって余長部Aを間接的または直接的に固定する第二ナット31と、第二ナット31の周囲に拡がって設けられた挟み込み板32とを有し、
挟み込み板32の上部又はその上方に設置されたジャッキ4によって余長部Aを地表側に引揚げて、定着部(E/N)を支圧板Pから離間させた離間状態とし、
この離間状態で、挟み込み板32の下面を前記載置された荷重計2の上面に当接させて荷重計2を支圧板Pとの間に挟み込むことを特徴とする。
【0011】
(2)上記記載のアンカー荷重計着脱システムにおいて、余長部Aへ周着して余長部Aの先端構造を軸方向上方へ延伸するアジャスター1を具備し、
前記挟み込みナット3は、余長部Aへ周着したアジャスター1を介して余長部Aの先端側へ間接的に取り付けられたものであることが好ましい。
【0012】
(3)上記記載のアンカー荷重計着脱システムにおいて、余長部Aまたは定着部(E/N)に固定されると共に外螺子部を有するプリングヘッド6を具備し、
前記アジャスター1は、プリングヘッド6の外螺子部と螺合する内螺子部を有し、余長部A又は定着部に固定されたプリングヘッド6を介して余長部Aへ周着することが好ましい。
【0013】
(4)上記いずれか記載のアンカー荷重計着脱システムにおいて、余長部Aの周囲を囲って支圧板Pと荷重計2の間に挟設されたベース材5を具備し、
ベース材5には、地表側に引揚げられた余長部Aに周着した定着具(E/N)を上方へ移動させるための側方窓5wを有することが好ましい。
【0014】
(5)本発明のアンカー荷重計共設置セットは、支圧板P上にて定着部(E/N)が取り付けられて定着された既設のアンカーの余長部Aに荷重計を追加設置する際に共に設置される複数の構成材のセットであって、前記アンカー荷重計着脱システムのうちジャッキ4をふくまない共設置セットである。その構成として、
余長部Aの周囲を囲って載置されうる筒状の荷重計2と、
余長部Aの先端側へ間接的または直接的に取り付けられうる挟み込みナット3とを具備してなり、
前記挟み込みナット3は、それ自体の内螺子部310によって余長部Aを間接的または直接的に固定しうる第二ナット31と、第二ナット31の周囲に拡がって設けられた挟み込み板32とを有すると共に、
定着部(E/N)が支圧板Pから離間した状態で、挟み込み板32の下面が前記載置された荷重計2の上面に当接して荷重計2を支圧板Pとの間に挟み込みうることを特徴とする。
【0015】
(6)本発明のアンカー荷重計着脱ユニットは、支圧板P上に突出した余長部Aに定着具が取り付けられることで地表定着された既設のアンカーにおいて、センターホール2hを有した筒状の荷重計2を追加で着脱するためのアンカー荷重計着脱ユニットであって、
アンカーの余長部Aへ周着して余長部Aの先端構造を軸方向上方に延伸させるアジャスター1と、
荷重計2の端面形状を含む大きさの挟み込み板32を有すると共にアジャスター1の先端部に螺着しうる挟み込みナット3とを具備してなり、
荷重計2のセンターホール2h内に余長部A及びアジャスター1を挿通させ、荷重計2を支圧板P上に立設した状態で、
アジャスター1の先端部12が、軸方向に沿って荷重計2の設置高さよりも上方まで延伸し、挟み込みナット3の挟み込み板32が、その下部に当接させた荷重計2を支圧板Pとの間に挟み込み、かつ定着具が支圧板Pから離間したものとなることを特徴とする。
【0016】
(7)本発明のアンカーへの荷重計着脱方法は、定着したアンカーの地表部よりも上方に突出した余長部Aを内部挿通しうる荷重計2と、余長部Aの先端側に直接または間接的に周着しうる挟み込みナット3と、挟み込みナット3が周着した余長部Aのさらに先側に固定されて余長部Aをジャッキアップするジャッキ4からなるアンカー荷重計着脱システムによって、既設のアンカーの余長部Aに荷重計を追加で着脱するアンカーへの荷重計着脱方法であって、
アンカーの余長部Aの周囲に荷重計2を載置して余長部Aを囲った状態とする荷重計載置工程(b)と、
周着させた余長部Aの先側から挟み込みナット3を周着して棒状の基端部11側の所定の螺進位置まで螺進させ、載置した荷重計2の上部を覆って地表側に挟み込む第一挟み込み工程(c)と、
余長部Aの先端部にジャッキ4を固定して、周着された挟み込みナット3と共に余長部Aを地表側に引揚げてジャッキアップする引揚げ工程(e1)と、
挟み込みナット3を、前記第一挟み込み工程(c)の螺進位置よりもさらに基端側の螺進位置まで螺進させ、ジャッキアップによって余長部Aが地表側へ引揚げられた状態で荷重計2を地表側に挟み込む第二挟み込み工程(e2)と、
ジャッキ4の引揚げを解除して余長部Aから取り外す取り外し工程(f)を順に具備することを特徴とする。
【0017】
上記設置方法によれば、既存の定着部で支圧板上に定着されたアンカーを、ジャッキによって一旦定着部ごと引き揚げ、この引き揚げた状態のまま荷重計を挟みこむことで、余長部Aの先側に挟み込みナット3を確実に定着させることができる。そして上記設置方法による荷重計の設置後には、アンカー定着機能を、既存の定着部に置き換わって、新設された挟み込みナット3が果たすものとなる。
【0018】
なお、上記アンカーへの荷重計着脱方法において、余長部Aの長さが荷重計よりも短い場合には、余長部Aの先端にアジャスター1を周着させるアジャスター定着工程を荷重計載置工程の前に具備するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のアンカー荷重計着脱システム、荷重計共設置セット、アンカー荷重計着脱ユニットおよびこれによるアンカーへの荷重計着脱方法は、上記手段を講じることで、既設のアンカーにおけるアンカーヘッドのアンカープレートからの突出量やアンカーヘッドの固定方式によらず、確実に荷重計を後付けすることができるものとなった。また、汎用の荷重計を後付けすることができるため、特殊な荷重計を使用する場合と比べて製品調達上の問題、或いは生産量に伴う価格上の問題が生じにくく、さらに正確な緊張力測定を保証しうるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1のアンカー荷重計着脱ユニットを含むアンカー荷重計着脱システムの分解斜視図。
【図2】実施例1のうちアンカー荷重計着脱ユニットの下斜視図。
【図3】本発明の実施例1のアンカーへの荷重計着脱方法における第一挟み込み工程(c)までの説明図。
【図4】実施例1の荷重計設置方法におけるジャッキ取り付け状態(S4)までの説明図。
【図5】実施例1の荷重計設置方法における定着部緩動工程(e3)及び引揚げ解除工程(e4)までの説明図。
【図6】実施例1のアンカー荷重計着脱システムの引揚げ解除工程(e4)後の状態を示す軸断面説明図。
【図7】実施例2のアンカー荷重計着脱システムの定着部緩動工程(e3)後の定着部緩動状態を示す軸断面説明図。
【図8】本発明の実施例3のアンカー荷重計着脱ユニットを含むアンカー荷重計着脱システムの分解斜視図。
【図9】実施例3のアンカー荷重計着脱システムの定着部緩動工程(e3)後の定着部緩動状態を示す軸断面説明図。
【図10】本発明の実施例4のアンカー荷重計着脱ユニットを含むアンカー荷重計着脱システムの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のアンカー荷重計着脱システム、アンカー荷重計共設置セット及びアンカー荷重計着脱ユニットは、定着後のアンカー構造体(建築物や構造物設置のための仮設アンカー、基礎アンカーを含む)を対象とし、特に、土留め用に設置された施工済みのグラウンドアンカーを取り付け対象とする。グラウンドアンカーの多くは、地中に定着させたテンドンを緊張させてその余長部Aが法面である地表の支圧板P上に突出し、支圧ナットNによって定着されており、予め荷重計が取り付けられているものと取り付けられていないものが存在する。本発明のアンカー荷重計着脱ユニットは、荷重計の取り付けられていないアンカーの余長部Aに荷重計を追加で着脱する、或いは荷重計が取り付けられているアンカーの余長部Aにさらに荷重計を追加で着脱するために用いられる。
【0022】
(アンカー荷重計着脱システム)
本発明のアンカー荷重計着脱システムは、余長部Aが支圧板上に突出し、余長部Aに取り付けられた定着具によって支圧板上に定着された既設の或いは新設のアンカーにおいて、余長部Aを定着具ごと地表側へ引き揚げた状態のまま、センターホール2hを有した筒状の荷重計2を追加で着脱又は交換するために必要とするすべての構成からなるものであって、基本的に、アンカー荷重計着脱共設置セットとジャッキ4とから構成される(図1,7,8,9,10)。このうちアンカー荷重計着脱共設置セットは、アンカー荷重計着脱ユニットと荷重計2とから構成される(図6)。さらにこのうちアンカー荷重計着脱ユニットは、アンカーの余長部Aを軸方向へ延伸させるアジャスター1と、アジャスター1の先端部に螺着しうる挟み込みナット3とから構成される。
【0023】
ただしアンカーの余長部Aが十分な長さを持ち、延伸させる必要がない場合にはアジャスター1を省略した構成とし、アンカー余長部Aを内部挿通しうる荷重計2と、アンカー余長部Aの先端部に螺着しうる挟み込みナット3のみから構成される。これは荷重計共設置セット或いはアンカー荷重計着脱ユニットにおいても同様である。
【0024】
(アンカー荷重計共設置セット)
本発明のアンカー荷重計共設置セットはアンカー荷重計着脱システムからジャッキ4を除いたものであり、荷重計2の追加設置によってジャッキ4を取り除いた後の、アンカーに取り付けられた荷重計2を含むセットである。例えば図6の状態において荷重計2と共に追設置されて残る構成を示す。このセットは基本的に、アンカーの余長部Aを軸方向へ延伸させるアジャスター1と、アジャスター1を内部挿通しうる荷重計2と、アジャスター1の先端部に螺着しうる挟み込みナット3とから構成される。ただしアンカーの余長部Aが十分な長さを持ち、延伸させる必要がない場合にはアジャスター1を省略した構成とすることができる。
【0025】
(アンカー荷重計着脱ユニット)
本発明のアンカー荷重計着脱ユニットはアンカー荷重計共設置セットからさらに荷重計2を除いたものであり、荷重計2を追加設置する際に荷重計2と共に追加設置され、追加設置工程後に残る荷重計2以外の構成からなる。このユニットは基本的に以下の構成を具備する(図2)。
・アンカーの余長部Aに周着して余長部Aを軸方向地表側へ延伸させるアジャスター1
・荷重計2の筒端面形状を含む大きさの挟み込み板32を有し、かつ余長部Aの先端側に直接的にまたは間接的に周着しうる挟み込みナット3
なおアンカーを引き揚げるジャッキ4は、追加設置工程後に取り外す(図6)ため、本ユニットに含まれない。ただし、アンカーの余長部Aが十分な長さを持ち、延伸させる必要がない場合には、アジャスター1を省略した構成とし、挟み込みナット3単独でアンカー荷重計着脱ユニットを構成することも可能である。この場合、挟み込みナット3は荷重計2の筒端面形状を含む大きさの挟み込み板32を有し、かつ余長部Aの先端側に直接的に周着する。
【0026】
また上記基本的構成(アジャスター1と挟み込みナット3)に加え、必要に応じて荷重計載置高さを調整するために設置されるベース材5を具備するものでもよい(図1、実施例1)。
【0027】
或いは上記基本的構成(アジャスター1と挟み込みナット3)に加え、必要に応じて新たなくさび式定着を行うためのプリングヘッド6を具備し、アジャスター1がこのプリングヘッド6を介してアンカーの余長部Aに間接的に周着するものとしてもよい(図10、実施例4)。
【0028】
(アンカーへの荷重計着脱方法)
また本発明のアンカーへの荷重計着脱方法は、余長部Aに固定しうるアジャスター1を一構成に有する前記アンカー荷重計着脱ユニットと、アジャスター1を内部挿通しうる特殊な或いは汎用の荷重計2と、アジャスター1を軸方向地表側へジャッキアップしうる特殊な或いは汎用のジャッキ4とを用いて、前記アンカーに荷重計を後付け設置状態とするための設置方法であって、以下工程を具備する(図3〜図5)。
・余長部Aの周囲に荷重計2を載置する荷重計載置工程(b)
・余長部Aに挟み込みナット3を周着して、載置した荷重計2の上部を覆い、荷重計2を挟み込みナット3によって地表側に挟み込む第一挟み込み工程(c)
・余長部Aを引き揚げるべくジャッキ4をセットして挟み込みナット3や定着具と共に余長部Aを地表側にジャッキアップする引揚げ工程(e1)
・ジャッキアップによって余長部Aが地表側へ引き上げられた状態で挟み込みナット3を下方(支圧板P方向)に移動させて荷重計2を改めて地表側に挟み込む第二挟み込み工程(e2)
・ジャッキ4の引揚げを解除してアジャスター1から取り外し、アンカー荷重計共設置セットのみ残した状態とする取り外し工程(f)
以下、各実施例の構成と共に詳述する。
【実施例1】
【0029】
実施例1(図1〜図6)のアンカー荷重計着脱ユニットは挟み込みナット3に加え、アンカーの余長部Aへ周着して余長部Aの先端構成を軸方向上方に延伸させるアジャスター1を具備しており、挟み込みナット3はこのアジャスター1の延伸部分に螺着することで、余長部Aの先端側に間接的に周着する。
【0030】
さらに実施例1では上記構成に加え、支圧板P上であって余長部Aの周囲を囲って荷重計の下部に配置され、必要に応じて荷重計載置高さを調整する、あるいは/及び定着具E/Nを地表側へ緩動させるベース材5を1枚具備する(図1、図3(b1))。なお実施例2では同一形状のベース材5を2枚具備すると共に、新たなくさび式定着を行うためのプリングヘッド6を具備する。また後述する実施例3では一つのベース材5のみを具備する。
【0031】
(アジャスター1)
アジャスター1は、アンカーの地表定着部よりも上方の余長部Aへ周着してこの余長部Aを軸方向へ延伸させるものであり、具体的には、余長部Aに周着した状態で、先端部12が軸方向に沿って荷重計2の設置高さよりも上方まで延伸させる。実施例では筒状の棒状の基端部11とこれよりも小さい外形の柱状の先端部12とが同軸上に一体的に連結して構成される。このうち棒状の基端部11が荷重計2のセンターホール断面よりも小さい断面形状であり、実施例では内部に螺子孔を有し、余長部Aの外螺子に螺着しうる。なお実施例4では内部の螺子孔はプリングヘッド6の外螺子に螺着しうる。
【0032】
(荷重計2)
荷重計2はアジャスター1を内部挿通しうるセンターホール2hを有した筒状の荷重計であり、上部又は下部の筒端面を荷重領域として、上下面から挟み込まれた力を測定する。アジャスター1を内部挿通しうるものであればよく、例えば汎用の筒型ロードセル等、特殊形状を有することのない汎用の筒形の荷重計を使用することができる。筒型の荷重計2はアンカーの余長部Aを囲って立設し、挟み込みナット3に上面から挟み込まれた力を測定することとなるため、受圧領域の違いによる測定誤差が極めて生じにくく、確実な残存緊張力測定を行うことができる。
【0033】
(挟み込みナット3)
挟み込みナット3は、アジャスター1の外螺子部に螺着しうる内螺子部を有した第二ナット31と、前記内螺子部がアジャスター1に螺着して荷重計を既存の支圧板(第一支圧板)との間に挟み込むための挟み込み板32とを有する(図2)。実施例1の第二ナット31と挟み込み板32とは互いに分離すると共に、挟み込み板32の上に第二ナット31を載置して組み合わせ使用される。又組み合わせた状態で、挟み込み板32を固定したまま第二ナット31のみが軸回転可能としている。
【0034】
挟み込みナット3は少なくとも前記内螺子部及び挟み込み板32を有していれば良く、例えば他の態様として、第二ナット31と挟み込み板32とが一体的に構成されてもよいし、挟みこみ板32に対して内螺子部が回転可能に組み合わされたものでもよい。またアジャスター1を必要としない場合には、挟み込み板32の挿通孔3hに形成した内螺子によって余長部Aに直接螺合周着する構成としてもよい。実施例の挟み込みナット3はアジャスター1を介して螺着固定されるため、アンカーの余長部Aの長さに拘らず確実に設置することができる。
【0035】
第二ナット31は、前記挿通孔3hよりも大きい断面形状からなり、アジャスター1の上部の棒状の先端部12に螺合する内螺子部310を有してこれにより余長部Aを間接的に固定する。他の態様として、アジャスター1を介さずに余長部Aを直接的に固定するものでもよい。実施例では挟み込み板32の上に載置することで設置されるが、挟み込み板32と一体的に形成されてもよい。
【0036】
挟み込み板32は、荷重計2の筒端面形状を含む大きさの板体からなり、板面の略中央位置に、アジャスター1が遊挿しうる挿通孔3hが平面視中央位置に縦方向に貫通形成され、挟み込みナット3全体の下部に配置される。なお挟み込み板32の下面には荷重計2の上端面が安定して接するための当接窪み32tが形成される(図2)。
【0037】
(ジャッキ4)
ジャッキ4は、挟み込みナット3が螺着したアジャスター1の先端部に固定されてアジャスター1を軸方向地表側へジャッキアップする。実施例ではアジャスター1の先端部12の外螺子部に螺着する柱状のシリンダ41と、シリンダ41の周囲を囲って油圧によりシリンダ41を上方に引き揚げるジャッキ保持部42と、挟み込み板32上に立設してジャッキ保持部42を下部から支える支持脚40と、シリンダ41のジャッキ保持部42からの突出先端に周着してジャッキ保持部42の上面に当接し、シリンダ41の下方移動を制限するシリンダ位置制限ナット43とから構成される。
【0038】
(ベース材5)
また実施例1のアンカー荷重計着脱システムにおいては、アンカー荷重計着脱ユニットの一構成として更に、支圧板Pと荷重計2との間に介設されるベース材5を具備する。このベース材5は、荷重計載置工程(b)のうち第一ステップであるベース材5載置ステップにて支圧板P上に載置される(図3(b1))。ベース材5の平面視中央位置の厚さ方向(縦方向)には貫通孔5hが貫通形成され、この貫通孔5hは余長部Aを挿通しうる大きさである。図3に示すベース材5載置ステップ(b1)では、このベース材5の貫通孔5hによって、アンカーの余長部Aを囲うようにベース材5が載置される。
【0039】
さらに言えばこのベース材5は、側面から挿通孔までを側方に貫通した側方窓5Wを有してなり、この側方窓5wによって、定着部(EまたはN)の余長部Aへの定着位置を上方へ調節しうることが好ましい。
設置後の状態において支圧板Pと荷重計2との間にベース材5が挟設されており、その側方窓5wから、余長部Aに取り付けられた定着部を操作して、前記定着部緩動工程(e3)を容易に行うことができる。
【0040】
(第二ナット31)
挟み込みナット3のうち第二ナット31は、アジャスター1の先端部に螺着することで、アジャスター1を介して余長部Aを間接的に固定する。また挟み込みナット3のうち挟み込み板32は中央に挿通孔3hを有しており、設置後には余長部Aやアジャスター1がこの挿通孔3hを挿通した状態となる。
【0041】
このようなものであれば、アジャスター1がアンカーの余長部Aへ周着した状態で、その周りに載置された荷重計2と非接触な状態を保つことができる。また周囲に立設された荷重計2よりもアジャスター1の先端部12が上方へ突出するものであり、この突出した先端部12に挟み込みナット31が螺着されることで、前記挟み込み板32が、載置された荷重計2を地表側に挟み込んだ状態となり得る。既存の支圧板や定着部を取り外すことなく、荷重計2を地表側に挟み込んだ状態で、挟み込み板を有した挟み込みナット3が、既存の支圧板や定着部に代わって支圧機能や定着機能を果たすこととなる。
【0042】
(アンカーへの荷重計着脱方法)
本実施例のアンカーへの荷重計着脱方法は、既設のアンカーの余長部Aに荷重計を設置するための方法であって、上記アンカー荷重計着脱ユニットと荷重計2とジャッキ4とによって下記工程を順に具備する(図3、図4、図5)。
・アジャスター1の棒状の基端部11をアンカーの余長部Aへ周着させるアジャスター1周着工程(a)
・周着させたアジャスター1の周囲に荷重計2を載置して、アジャスター1を、挿通孔と非接触の状態で囲う状態にする荷重計載置工程(b)
・周着させたアジャスター1の先端部に挟み込みナット3を周着して棒状の基端部11側の所定の螺進位置まで螺進させ、載置した荷重計2の上部を覆って地表側に挟み込む第一挟み込み工程(c)
・アジャスター1の先端部にジャッキ4のシリンダ41を周着させ、支持脚40を介してジャッキ保持部42を挟み込み板上に取り付け、シリンダ41の突出部にシリンダ位置制限ナット43を固定することでジャッキ4を取り付けるジャッキ取り付け工程(d)
・周着された余長部A及び挟み込みナット3と共にアジャスター1を地表側に引揚げてジャッキアップする引揚げ工程(e1)
・所定の位置に螺合された挟み込みナット3を、さらに基端側の螺進位置まで螺進させ、ジャッキアップによって余長部Aが地表側へ引き上げられた状態で荷重計2を地表側に挟み込む第二挟み込み工程(e2)
・余長部Aと共に地表側に引揚げられた定着部を、アンカーの余長部A側へ上方移動させて支圧板から離間するように緩動させる定着部緩動工程(e3)
・ジャッキ4の引揚げを解除する引揚げ解除工程(e4)
・ジャッキ4をアジャスター1から取り外す取り外し工程(f)
【0043】
本方法においては先ず、アジャスター1周着工程(a)によって、余長部Aにアジャスター1の基端部11をアンカーの余長部Aへ周着させ、アジャスター1周着状態S1とする。次に、荷重計載置工程(b)のうち第一ステップであるベース材5載置ステップによって、ベース材5を必要枚数だけ支圧板P上に載置する(b1)。このベース材5載置ステップ(b1)の後は、荷重計載置工程(b)のうち第二ステップである荷重計2載置ステップにて荷重計2を支圧板P上に載置する(図3(b1))。ここで荷重計2はセンターホール2hを有しており、このベース材5の上にて、センターホール2hによって、余長部Aを囲うように荷重計2が支圧板Pと挟み込み板3との間に載置される。この状態が荷重計載置状態S2である(図3)。これによってベース材5は支圧板Pと荷重計2との間に挟接された状態とされる。
【0044】
ベース材5載置ステップの後は、第一挟み込み工程(c)を行う。ここで第一挟み込み工程(c)は、挟み込み板32載置ステップc1と、挟み込みナット3取り付けステップc2とからなる。先ず第一挟み込み工程(c)のうち第一ステップである挟み込み板32取り付けステップ(c1)により、挟み込み板32が荷重計2の上に載置される。このとき図6に示すように、挟み込み板32の挿通孔3h内に、アジャスター1の外螺子部12が非接触で遊挿されるものとしてもよい。
【0045】
挟み込み板32取り付けステップ(c1)の後は、第一挟み込み工程(c)のうち第二ステップである第二ナット31取り付けステップ(c2)により、第二ナット32をアジャスター1の外螺子部12の所定の位置まで螺合させ、かつ挟み込み板32の上に載置する。これにより設置後の状態では支圧板P上にはベース材5が載置されてその上に荷重計2が立設し、荷重計2上の挟み込みナット3が新たな定着機能具となって余長部Aを保持した第一挟み込み状態S3となる(図3)。
【0046】
次にアジャスター1の先端部にジャッキ4のシリンダ41を周着させ、支持脚40を介してジャッキ保持部42を挟み込み板上に取り付け、シリンダ41の突出部にシリンダ位置制限ナット43を固定することでジャッキ4を取り付けるジャッキ取り付け工程(d)を行う。ジャッキ取り付け工程(d)は、支持脚40を取り付ける支持脚40取り付けステップd1と、シリンダ41をアジャスター1に螺合させてその外側へジャッキ保持部42を挿通するジャッキ保持部取り付けステップd2と、シリンダ位置制限ナット43を上部突出したシリンダ41に螺合させるシリンダ位置制限ステップd3とからなる。こうして引き揚げ前設置状態S4となる。
【0047】
その後、周着された余長部及び挟み込みナット3と共にアジャスター1を、所定のジャッキアップ量だけ地表側に引揚げてジャッキアップする引揚げ工程(e1)を行い、続けて、ジャッキアップによって所定位置Hまで上方移動したシリンダ41に対して、シリンダ位置制限ナット43を下方に螺進させ、ジャッキ保持部42の上面に当接させるシリンダ位置調整ステップ(図5のe2)を行う。また引揚げ工程(e1)の後であってシリンダ位置調整ステップ(図5のe2)の前後いずれかにおいて、アジャスター1と共に引き揚げられた第二ナット31を、挟み込み板32側すなわちさらに基端側の螺進位置まで螺進させ、ジャッキアップによって余長部が地表側へ引き上げられた状態で荷重計2を地表側に挟み込む第二挟み込み工程(e2)を行う。このとき余長部A及び定着部Nはジャッキアップ量だけ地表側へ引き揚げられた位置Hのままとなっている。
【0048】
そして次に、余長部Aと共に地表側に引揚げられた定着部Nを、アンカーの余長部A側へ上方移動させて支圧板から離間するように緩動させる定着部緩動工程(e3)を経て、設置後の定着部緩動状態S5(図6)となる。
【0049】
(定着部緩動工程e3)
定着部緩動工程(e3)は、第二挟み込み工程の後であって取り外し工程(f)の前に、余長部Aと共に地表側に引揚げられ、ジャッキアップ量だけ浮いた位置Hにある定着部を、アンカーの余長部A側へ上方移動させ、定着部Nと支圧板Pとの間に離間距離Ndを設ける工程である。これはすなわち、定着部(第一ナット)を支圧板よりも上方へ移動させて緩める工程を具備したものである。このようにすると、元の定着部による地中への支圧状態を確実に回避することで、支圧板上に新たに立設した荷重計2及びこれを挟み込む挟み込みナット3が、アジャスター1を介してアンカーの全ての緊張力を支承することとなる。実施例1では定着部Nを、その上面がアジャスター1の基端部11の下面と当接する位置H2まで上方移動させている(図6)。これによりアジャスター1の余長部Aの螺合周着を安定した状態に保持することが出来、荷重計2において残存緊張力を確実に測定することができる。ただし本工程は本発明に必須の工程ではない。
【0050】
ここで実施例1のベース材5は四隅がカットされた平面視隅取り正方形の略立方体形状として一体的に形成された、扁平の立方体形からなる(図1)。このベース材5は、上下面を縦方向に貫通する第一ナットよりも大きい貫通孔5hが設けられると共に、向かい合う側面の中央部に横長矩形孔からなる側方窓5wがそれぞれ形成される。側方窓5wは、ベース材5の側面中央部からこの貫通孔に向かって側方へ貫通する。定着部緩動工程において、2つの側方窓5wの少なくとも一方の外方から貫通孔5h側へアーム状のナット緩動具を差し入れて第一ナットを緩める。
【0051】
(設置後の定着部緩動状態(図6))
設置後は、支圧板上の余長部Aの先にアジャスター1が周着固定され、その周りを囲って筒状の荷重計2が立設され、前記アジャスター1の上部の先端部に螺着された挟み込みナット3が前記荷重計2を上部から支圧板との間に挟み込んだ状態となる。この状態では、アジャスター1の先端部12が、軸方向に沿って荷重計2の設置高さよりも上方まで延伸して挟み込みナット3の挿通孔3hと螺合される。また荷重計2のセンターホール2内には余長部A及びアジャスターを挿通させており、荷重計2が、支圧板P上に載置されたベース材5の上に立設している。そして挟み込みナット3の挟み込み板32が、その下部に当接させた荷重計2を支圧板Pとの間に挟み込んでいる。設置途中の引揚げ工程e1によって余長部Aがジャッキ4によって引き上げられることで、設置後の状態では余長部Aに取り付けられた定着部が支圧板Pから離間し、支圧板P上には荷重計2が立設してその上の挟み込みナット3が新たな定着機能具となって余長部Aを保持する。つまり設置前にアンカーを地表定着していた定着具に代えて、前記アジャスター1、荷重計2及び挟み込みナット3によってアンカーを地表定着するものとなっている。なお引揚げ工程e1を経て設置されたものであるため、既設のアンカーの緊張状態をチェックし、緩んでいる場合には再緊張の工程を荷重計設置と併せて行うことができる。
【実施例2】
【0052】
図7に示す実施例2のベース材5は平面視隅取り正方形の略立方体形状として一体的に形成された、扁平の立方体形からなる(図1)。このベース材5は、上下面を縦方向に貫通する第一ナットよりも大きい貫通孔5hが設けられると共に、向かい合う側面に横向き略コ字状孔からなる側方窓5wがそれぞれ形成される。側方窓5wは、中央部からこの貫通孔に向かって側方へ貫通する。ただし側方窓5wは上方又は下方のいずれかに解放しており、定着部緩動工程において、2つのベース材5を互いに反対向きに対向させて2つの側方窓5wが向かい合うように組み合わせてベース材5を配置する(図7)。
【実施例3】
【0053】
図8,9に示す実施例3のベース材5は円環形の上板51、下板52の間に複数の高さ調節用の柱体53が挟まれてなる。上板51、下板52は互いに同一形状であって、荷重計2が立設しうる大きさの円板からなり、同軸中央に貫通孔5hが設けられる。複数の高さ調節用の柱体53はいずれも等しい高さの4本の円柱枠体であり、平面視にて上板51、下板52の外周寄りの4箇所に等間隔に設けられ、上板51と下板52の間に挟まれ、それぞれの中心位置にてボルト5pで固定される。各柱体53間の隙間が水抜き用、兼定着部緩動工程の作業用の側方窓5wとなっている。この高さ調節用の柱体53が上板51、下板52とボルト固定により分離可能に構成されることで、コンパクトな形態で運搬でき、製作コストも低減可能となる。
【実施例4】
【0054】
図10に示す実施例4のベース材5は前記実施例2と同様の構成からなる。ベース材5の使用数、組み合わせ数によって高さを調整することができる。また実施例4は楔タイプの余長部Aに取り付けるために、ロッドRが挿通する挿通孔6hが縦方向に複数配置形成されたプリングヘッド6を使用する。プリングヘッド6はロッドRを挿通したのちに楔具6WでロッドRの抜け止めを行う。
【0055】
(楔定着の場合(実施例4))
アンカーの定着方式として、緊張させた地表部に外螺子を形成し、この外螺子にナット式の定着部を定着させるナット定着方式のほか、緊張させたテンドンワイヤー(鋼線)を孔あき円柱状の定着部Eに挿通させ、挿通させた定着部Eの孔とテンドンワイヤーの隙間に楔定着部Wを打ち込んで定着する楔定着方式が存在する。実施例4は楔定着方式の場合を特定したものである。本実施例においては、アンカーの余長部Aが、くさび定着部よりも上方へ突出する複数本のテンドンワイヤーRからなり、アンカーの地表定着部が、前記複数本のテンドンワイヤーRをそれぞれ楔定着部Wによって楔定着したものである(図10)。
【0056】
実施例4のアンカー荷重計着脱システムは、余長部Aまたは定着部(E/N)に固定されると共に外螺子部を有するプリングヘッド6を具備し、プリングヘッド6の外螺子部はアジャスター1と螺合する。このときアジャスター1は、余長部A又は定着部に固定されたプリングヘッド6を介して余長部Aへ周着するものとなっている(図10)。
【0057】
また実施例4では、前記荷重計の設置方法の各工程のうち、アジャスター1周着工程が、余長部Aの複数本のテンドンワイヤーRを、外螺子部を設けた略円柱状のプリングヘッド6によってまとめて楔固定する楔固定ステップと、
楔固定したプリングヘッド6の外螺子部にアジャスター1の棒状の基端部11の内螺子部を螺合して周着させる螺合ステップとからなる。
【0058】
上記はアンカーが楔定着方式の場合の設置方法であり、実施例1〜3の設置方法に、外螺子部を設けたプリングヘッド6を取り付けるステップを追加したものとなっている。
【0059】
その他本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形、要素抽出、実施例間での各要素の組み合わせ、一部要素の省略、工程の順番変更、形態の変更等が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 アジャスター
11 基端部
12 先端部
2 荷重計
2h センターホール
3 挟み込みナット
31 第二ナット
32 挟み込み板
3h 挿通孔
4 ジャッキ
5 ベース材
5w 側方窓
6 プリングヘッド
P 支圧板(第一支圧板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支圧板(P)上にて定着部(E/N)が取り付けられて定着されたアンカーの余長部に荷重計を追加設置する荷重計設置セットであって、
余長部の周囲を囲って載置された荷重計(2)と、余長部の先端側へ間接的または直接的に取り付けられた挟み込みナット(3)と、挟み込みナット(3)及び定着部(E/N)と共に余長部を地表側に引揚げてジャッキアップするジャッキ(4)とを具備してなり、
前記挟み込みナット(3)は、それ自体の内螺子部(310)によって余長部を間接的または直接的に固定する第二ナット(31)と、第二ナット(31)の周囲に拡がって設けられた挟み込み板(32)とを有し、
挟み込み板(32)の上部又はその上方に設置されたジャッキ(4)によって余長部を地表側に引揚げて、定着部(E/N)を支圧板(P)から離間させた離間状態とし、
この離間状態で、挟み込み板(32)の下面を前記載置された荷重計(2)の上面に当接させて荷重計(2)を支圧板(P)との間に挟み込むことを特徴とするアンカー荷重計着脱システム。
【請求項2】
余長部へ周着して余長部の先端構造を軸方向上方へ延伸するアジャスター(1)を具備し、
前記挟み込みナット(3)は、余長部へ周着したアジャスター(1)を介して余長部の先端側へ間接的に取り付けられたものである請求項1記載のアンカー荷重計着脱システム。
【請求項3】
余長部または定着部(E/N)に固定されると共に外螺子部を有するプリングヘッド(6)を具備し、
前記アジャスター(1)は、プリングヘッド(6)の外螺子部と螺合する内螺子部を有し、余長部又は定着部に固定されたプリングヘッド(6)を介して余長部へ周着する請求項2記載のアンカー荷重計着脱システム。
【請求項4】
余長部の周囲を囲って支圧板(P)と荷重計(2)の間に挟設されたベース材(5)を具備し、
ベース材(5)には、地表側に引揚げられた余長部に周着した定着具(E/N)を上方へ移動させるための側面窓5Wを有する請求項1乃至3のいずれか記載のアンカー荷重計着脱システム。
【請求項5】
支圧板(P)上にて定着部(E/N)が取り付けられて定着された既設のアンカーの余長部に荷重計を追加設置する際に共に設置される共設置セットであって、
余長部の周囲を囲って載置されうる筒状の荷重計(2)と、余長部の先端側へ間接的または直接的に取り付けられうる挟み込みナット(3)とを具備してなり、
前記挟み込みナット(3)は、それ自体の内螺子部(310)によって余長部を間接的または直接的に固定しうる第二ナット(31)と、第二ナット(31)の周囲に拡がって設けられた挟み込み板(32)とを有すると共に、定着部(E/N)が支圧板(P)から離間した状態で、挟み込み板(32)の下面が前記載置された荷重計(2)の上面に当接して荷重計(2)を支圧板(P)との間に挟み込みうることを特徴とするアンカー荷重計共設置セット。
【請求項6】
支圧板(P)上に突出した余長部に定着具が取り付けられることで地表定着された既設のアンカーにおいて、センターホール(2h)を有した筒状の荷重計(2)を追加設置するためのアンカー荷重計着脱ユニットであって、
アンカーの余長部へ周着して余長部の先端構造を軸方向上方に延伸させるアジャスター(1)と、荷重計(2)の端面形状を含む大きさの挟み込み板(32)を有すると共にアジャスター(1)の先端部に螺着しうる挟み込みナット(3)とを具備してなり、
荷重計(2)のセンターホール(2h)内に余長部及びアジャスター(1)を挿通させ、荷重計(2)を支圧板(P)上に立設した状態で、アジャスター(1)の先端部(12)が、軸方向に沿って荷重計(2)の設置高さよりも上方まで延伸し、挟み込みナット(3)の挟み込み板(32)が、その下部に当接させた荷重計(2)を支圧板(P)との間に挟み込み、かつ定着具が支圧板(P)から離間したものとなることを特徴とするアンカー荷重計着脱ユニット。
【請求項7】
定着したアンカーの地表部よりも上方に突出した余長部を内部挿通しうる荷重計(2)と、余長部の先端側に直接または間接的に周着しうる挟み込みナット(3)と、挟み込みナット(3)が周着した余長部のさらに先側に固定されて余長部をジャッキアップするジャッキ(4)からなる荷重計設置セットによって、既設のアンカーの余長部に荷重計を追加設置するアンカーへの荷重計設置方法であって、
アンカーの余長部の周囲に荷重計(2)を載置して余長部を囲った状態とする荷重計載置工程(b)と、周着させた余長部の先側から挟み込みナット(3)を周着して棒状の基端部(11)側の所定の螺進位置まで螺進させ、載置した荷重計(2)の上部を覆って地表側に挟み込む第一挟み込み工程(c)と、余長部の先端部にジャッキ(4)を固定して、周着された挟み込みナット(3)と共に余長部を地表側に引揚げてジャッキアップする引揚げ工程(e1)と、挟み込みナット(3)を、前記第一挟み込み工程(c)の螺進位置よりもさらに基端側の螺進位置まで螺進させ、ジャッキアップによって余長部が地表側へ引揚げられた状態で荷重計(2)を地表側に挟み込む第二挟み込み工程(e2)と、ジャッキ(4)の引揚げを解除して余長部から取り外す取り外し工程(f)を具備することを特徴とするアンカーへの荷重計着脱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−75277(P2011−75277A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223563(P2009−223563)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【出願人】(304045077)株式会社相愛 (11)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【出願人】(507194017)株式会社高速道路総合技術研究所 (33)
【Fターム(参考)】