説明

アンテナおよびそれを備えた電気機器

【課題】携帯端末や電気機器の筐体内に存在する電気ノイズ対策を施し、安定したデジタル信号波の送受信動作をする内蔵アンテナの構造およびその内蔵方法を提供する。
【解決手段】携帯端末および電気機器の筐体内に存在する電気ノイズの発生源および電気ノイズの伝達経路を考慮し、筐体内の金属部を伝達しアンテナに侵入する電気ノイズの伝達経路を大幅に断つ構造とその内蔵方法とを用いて、さらに電磁誘導による筐体内の金属部を伝達するもしくは空間から伝達する電気ノイズのアンテナへの侵入を大幅に低減する構造を用いて、電気ノイズの影響を受けない内蔵アンテナを実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末や電化製品の筐体内に内蔵し、デジタル放送の電波を送受信するアンテナに関して、内蔵した筐体内に存在するノイズの対策を実現するアンテナの構造およびその内蔵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上波テレビ放送をはじめとするアナログ放送システムに代わり、デジタル放送システムが普及しはじめ、さらにアナログ放送からデジタル放送への切り替えが世界的規模で計画されるようになってきている。そして最近、このデジタル放送電波を受信するためのアンテナが、携帯電話やPDA、ノート型PCをはじめとするモバイルコンピュータ(以下、一括して携帯端末と略す)や各種電化製品(以下、一括して電気機器と略す)にも取り付けられるようになってきている。
【0003】
現在、上記携帯端末や電気機器に取り付けられるアンテナは、これら本体の外側に取り付けられ、かつ本体より外側の方向に伸ばして使用する導体製棒状構造のロッドアンテナや、これら本体に設けられたヘッドホンコネクタに接続したイヤホンのケーブル、もしくはこれら本体のアンテナ接続端子に接続する専用ケーブルを利用する大型の線状アンテナが殆どである。
【0004】
上記のようなアンテナの場合、携帯端末や電気機器の移動や再設置の際、ケーブル等の引き回し方法、コネクタ脱着の繰り返しや予期せぬトラブルでのアンテナの故障、さらに携帯端末や電気機器の設置方法の自由度の制限など使用者には常に煩わしさが付きまとうことになる。
【0005】
これら問題の解決を目的とし、アンテナ自体を携帯端末や電気機器の筐体内に内蔵する代表的な公知例に、特許文献1、2がある。これら公知例のアンテナは、携帯端末および電気機器の筐体内へのアンテナの内蔵を容易にし、安価かつ汎用性に優れたアンテナの供給を可能にするものになっている。しかしながら、デジタル信号波を送受信するシステムの特に受信においては、アンテナで受信した受信信号の強度と携帯端末および電気機器の周辺やこれら筐体内に存在する電気ノイズの強度とで定義されるC/N比が悪い場合、送受信用チューナー(モジュール)の受信信号処理に対する正常動作の許容範囲を満たすことができず、その結果、受信信号を映像化および音声化できない場合がある。そのため、筐体内にアンテナを内蔵する場合、特に影響を受けやすい筐体内に存在する電気ノイズに関する対策が必要不可欠となるが、これら公知例のアンテナ構造および内蔵方法では、このノイズに関する対策は十分に施されていない。実際、携帯端末および電気機器の筐体内には、電気ノイズの発生源が多く存在するため、デジタル信号を送受信するアンテナを筐体内に内蔵する場合には、そのアンテナが電気ノイズの影響を受けない様にする必要がある。
【特許文献1】特許第3830358号公報
【特許文献2】特開2001−344883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、従来の技術は、携帯端末および電気機器の筐体内へのアンテナの内蔵を容易にするものの、デジタル信号波の送受信の内、特に受信の際に必要な筐体内に存在する電気ノイズに関する対策が実施されていないため、デジタル放送をはじめとするデジタル信号波対応の受信用アンテナとして、利用できない可能性があった。
【0007】
また携帯端末および電気機器自体で筐体内の電気ノイズの対策を施すことが最良の手段と言えるが、この対策により携帯端末および電気機器自体の製造コストの高騰を招く可能性も高いため、これらの一部品であるアンテナを用いて、より簡単かつ汎用的な方法で、問題となる電気ノイズの対策を改善できることが望ましい。
【0008】
そこで、本発明の目的は、携帯端末や電気機器の筐体内に内蔵し、デジタル放送をはじめとするデジタル信号波を送受信するアンテナに関して、アンテナを内蔵した筐体内に存在する電気ノイズの対策を施し、かつ安定して動作するアンテナの構造およびその内蔵方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のアンテナは、アンテナ自体において、アンテナ素子とグランドのそれぞれが独立して機能することを考慮した設計方法を用いて、アンテナを内蔵する携帯端末および電気機器の筐体内もしくはアンテナ内蔵位置周辺における電気ノイズの発生源および電気ノイズの伝達経路を考慮して筐体内の金属(導体)部を伝達してアンテナに侵入する電気ノイズの伝達経路を大幅に断つ構造とその内蔵方法とを用いて、さらに電磁誘導によりアンテナに取り込まれる空間を伝達しアンテナに受信されるものを含んだ電気ノイズを大幅に低減する構造を用いて、電気ノイズの影響を改善したアンテナ構造とその内蔵方法を実現するものである。
【0010】
なお上記電気ノイズの発生源とは、携帯端末および電気機器に収納された電気回路基板およびLCD等の映像表示機器になどに構成された発振回路を含む回路やデバイスを指す。
【0011】
また上記電気ノイズの伝達経路とは、携帯端末および電気機器に収納された電気回路基板上やLCD等の映像表示機器の金属枠、金属フレームなどの筐体内に設置された金属(導体)部を上記電気ノイズの発生源から発生された電気ノイズが伝達する方向や道程を指す。
【0012】
上記アンテナは、導体平板を用いて構成してもよい。
【0013】
上記アンテナは、回路基板(誘電体基板)を用いて構成してもよい。
【0014】
上記アンテナは、軟性導体シート(フィルム)を用いて構成してもよい。
【0015】
上記アンテナは、導体平板と回路基板(誘電体基板)とを組み合わせて構成してもよい。
【0016】
上記アンテナは、導体平板と軟性導体シート(フィルム)とを組み合わせて構成してもよい。
【0017】
上記アンテナは、回路基板(誘電体基板)と軟性導体シート(フィルム)とを組み合わせて構成してもよい。
【0018】
上記アンテナは、全体もしくは一部分を絶縁体で覆ってもよい。
【0019】
上記導体平板は、銅板を使用してもよい。
【0020】
上記導体平板は、ばね性のあるリン青銅を使用してもよい。
【0021】
上記回路基板(誘電体基板)は、導体面が片面のみの基板を使用してもよい。
【0022】
上記回路基板(誘電体基板)は、導体面が両面の基板を使用してもよい。
【0023】
上記軟性導体シート(フィルム)は、銅箔を使用してもよい。
【0024】
上記軟性導体シート(フィルム)は、アルミ箔を使用してもよい。
【0025】
上記絶縁体は、紙を使用してもよい。
【0026】
上記絶縁体は、ポリエステル製のラミネート材を使用してもよい。
【0027】
上記アンテナの構造は、平面的にしてもよい。
【0028】
上記アンテナの構造は、立体的にしてもよい。
【0029】
上記アンテナの構造は、部分的に折り曲げることで立体的にしてもよい。
【0030】
上記アンテナの構造は、携帯端末や電気機器の筐体内にある金属(導体)部をグランドの一部としてもよい。
【0031】
上記アンテナの構造は、アンテナを携帯端末や電気機器の筐体内に固定するためのネジを通す穴を具備してもよい。
【0032】
上記アンテナの構造は、アンテナを携帯端末や電気機器の筐体内に固定するためのネジを通す穴の位置を必要に応じて変更してもよい。
【0033】
上記アンテナの構造は、携帯端末や電気機器の筐体に内蔵したとき、近接する金属(導体)部品と対向するグランドを具備してもよい。
【0034】
上記アンテナの構造は、携帯端末や電気機器の筐体に内蔵したとき、内蔵スペースの限り近接する金属(導体)部品との距離を置いた位置にループ構造を具備してもよい。
【0035】
上記アンテナの構造は、アンテナの素子とグランドとの間に他のアンテナ素子を具備してもよい。
【0036】
上記アンテナの構造は、整合特性を調整するループ構造を具備してもよい。
【0037】
上記アンテナの構造は、整合特性を調整するアンテナ素子を具備してもよい。
【0038】
上記アンテナの構造は、給電点に同軸ケーブルを接続してもよい。
【0039】
上記アンテナの構造は、給電点に複数の単線ケーブルを接続してもよい。
【0040】
上記アンテナの構造は、給電点にフラットケーブルを接続してもよい。
【0041】
上記アンテナの構造は、動作周波数を制御する同調回路を具備してもよい。
【0042】
上記アンテナの構造は、電波受信感度の損失補正を行う増幅回路を具備してもよい。
【0043】
上記アンテナの構造は、雷や静電気等のサージ対策を施した増幅回路を具備してもよい。
【0044】
上記アンテナの構造は、損失補正とサージ対策の両機能を持つ増幅回路を具備してもよい。
【0045】
上記アンテナの構造は、同調回路と増幅回路の両者を同時に具備してもよい。
【0046】
上記アンテナの構造は、スルーホールを具備してもよい。
【0047】
上記アンテナの構造は、同調回路に電力を供給する導体線路を具備してもよい。
【0048】
上記アンテナの構造は、増幅回路用のグランドを具備してもよい。
【0049】
上記アンテナの構造は、給電点と増幅回路の入力を接続してもよい。
【0050】
上記アンテナの構造は、給電点と増幅回路の入力を抵抗等の回路素子で接続してもよい。
【0051】
上記アンテナの構造は、増幅回路の出力に同軸ケーブルを接続してもよい。
【0052】
上記アンテナの構造は、増幅回路の出力に複数の単線ケーブルを接続してもよい。
【0053】
上記アンテナの構造は、増幅回路の出力にフラットケーブルを接続してもよい。
【0054】
上記アンテナの給電線は、携帯端末や電気機器の筐体にアンテナを内蔵したとき、送受信チューナ(モジュール)とアンテナとの接続距離がより短くできる方向に延ばしてアンテナの給電点に接続してもよい。
【0055】
上記アンテナの給電線は、アンテナの素子と対向しない方向に延ばしてアンテナの給電点に接続してもよい。
【0056】
上記アンテナの給電線は、携帯端末や電気機器の筐体にアンテナを内蔵したとき、筐体のヒンジ部を通してもよい。
【0057】
上記アンテナの給電線は、携帯端末や電気機器の筐体内に配置してもよい。
【0058】
同調回路への動作電力の供給は、アンテナ自体の給電線とは異なる同軸ケーブルを使用してもよい。
【0059】
同調回路への動作電力の供給は、アンテナ自体の給電線とは異なる複数の単線ケーブルを使用してもよい。
【0060】
同調回路への動作電力の供給は、アンテナ自体の給電線とは異なるフラットケーブルを使用してもよい。
【0061】
同調回路に動作電力を供給する給電線は、携帯端末や電気機器の筐体にアンテナを内蔵したとき、筐体のヒンジ部を通してもよい。
【0062】
同調回路に動作電力を供給する給電線は、携帯端末や電気機器の筐体内に配置してもよい。
【0063】
増幅回路への動作電力の供給は、アンテナ自体の給電線とは異なる同軸ケーブルを使用してもよい。
【0064】
増幅回路への動作電力の供給は、アンテナ自体の給電線とは異なる複数の単線ケーブルを使用してもよい。
【0065】
増幅回路への動作電力の供給は、アンテナ自体の給電線とは異なるフラットケーブルを使用してもよい。
【0066】
増幅回路への動作電力の供給は、増幅回路の出力に接続されたケーブルにその電力を重畳して行ってもよい。
【0067】
増幅回路に動作電力を供給する給電線は、携帯端末や電気機器の筐体にアンテナを内蔵したとき、筐体のヒンジ部を通してもよい。
【0068】
増幅回路に動作電力を供給する給電線は、携帯端末や電気機器の筐体内に配置してもよい。
【0069】
上記アンテナの固定は、ネジを使用して行ってもよい。
【0070】
上記アンテナの固定は、粘着テープを使用して行ってもよい。
【0071】
上記アンテナの固定は、ネジと粘着テープとを併用して行ってもよい。
【0072】
上記ネジは、金属製(導電性)でもよい。
【0073】
上記ネジは、非金属製(非導電性)でもよい。
【0074】
上記粘着テープは、導電性でもよい。
【0075】
上記粘着テープは、非導電性でもよい。
【0076】
上記アンテナの固定の際、電気ノイズの伝達経路である携帯端末および電気機器の筐体内の金属(導体)部とアンテナ自体が電気的に接触するのを防ぐため、その間に絶縁体を挟んでもよい。
【0077】
上記アンテナの固定位置は、携帯端末および電気機器の筐体内にある電気ノイズの発生源を有する機器に近くてもよい。
【0078】
上記アンテナの固定位置は、携帯端末および電気機器の筐体内に収納された電気回路基板に近くてもよい。
【0079】
上記アンテナの固定位置は、携帯端末および電気機器に搭載されたLCD等の映像表示機器に近くてもよい。
【0080】
上記アンテナの固定位置は、携帯端末および電化製品内部の筐体面でもよい。
【0081】
また、本発明のアンテナは、上記アンテナの構成を用いたデジタル信号波を送受信する内蔵アンテナである。
【0082】
また、本発明のアンテナは、上記アンテナの構成を用いたアナログ信号波を送受信する内蔵アンテナである。
【発明の効果】
【0083】
本発明のアンテナは、携帯端末や電気機器の筐体に内蔵したとき、内蔵スペースの限りで、近接する金属(導体)部品との距離を置いた位置にループ構造を具備することにより、電気ノイズ誘引の原因となるループ構造と電気ノイズの伝達経路および発生源との距離を離すことができるので、アンテナに侵入する電気ノイズを少なくできる。
【0084】
本発明のアンテナは、携帯端末や電気機器の筐体に内蔵したとき、近接する金属(導体)部品と対向するようにグランドを具備することと、アンテナの素子とグランドとの間に他のアンテナ素子を具備することにより、アンテナの放射特性を維持するように電波送受信に関して主要な素子とグランドとの距離を離すことができ、さらにこれら素子とグランドの間に配置した他の素子で整合特性も向上できる。
【0085】
本発明のアンテナで使用する給電線は、携帯端末や電気機器の筐体にアンテナを内蔵したとき、アンテナと送受信チューナ(モジュール)との接続距離を短くする方向に配置されるので、伝送損失の増加や送受信信号の強度劣化を抑え、さらに給電線路自体が電気ノイズの影響を受ける経路長を短くできる。
【0086】
本発明のアンテナで使用する給電線は、アンテナの素子と対向しない方向に延ばして配置されるので、アンテナ素子の電波送受信特性に影響を与えず、さらに携帯端末や電気機器の筐体にアンテナを内蔵したときの給電線の配置を容易にする。
【0087】
上記の結果、本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0088】
(1)電気ノイズの影響が少ない内蔵アンテナの実現が可能である。
【0089】
(2)省スペースでの設置が容易な内蔵アンテナの実現が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0090】
本発明のアンテナは、携帯端末および電気機器の筐体内に設けたアンテナの内蔵位置周辺において、電気ノイズの発生源および電気ノイズの伝達経路を考慮した上で、筐体内の金属部を伝達しアンテナに侵入する電気ノイズの伝達経路を大幅に断つ構造とその内蔵方法とを用いて、さらに電磁誘導による筐体内の金属部を伝達するもしくは空間から伝達する電気ノイズのアンテナへの侵入を大幅に低減する構造を用いて、電気ノイズの影響を受けない内蔵アンテナの構成を実現させるものである。
【0091】
前記の内蔵位置とは、携帯端末では、LCD本体を収納するLCD筐体の一部分に、もしくはキーボード筐体の一部分に設けられたアンテナ内蔵用の狭いスペースを指し、電化製品においてもその筐体内に設けられたアンテナ内蔵用のスペースを指す。
【0092】
前記の内蔵位置周辺における電気ノイズの発生源とは、携帯端末および電化製品に搭載された電気回路基板およびLCD等の映像表示機器に構成された発振回路を含むデバイスを指す。
【0093】
また前記の内蔵位置周辺における電気ノイズの伝達経路とは、携帯端末および電化製品に搭載された電気回路基板上やLCD等の映像表示機器の金属部、そして映像表示機器による外部機器への電波干渉対策を施した構造などの筐体内に設置された導体部分を電気ノイズの発生源から発生された電気ノイズが伝達する方向や道程を指す。
【0094】
なお前記の電気ノイズの発生源および伝達経路は、アンテナを内蔵する携帯端末および電化製品の電源を投入し、電磁プローブや別途準備した受信アンテナを使用した電気ノイズの強度測定結果により断定されるものである。
【0095】
上記本発明のアンテナは、携帯端末および電化製品の導体部分を伝達して到達する電気ノイズのアンテナへの侵入を防ぐため、これら導体部分をグランド部としなくてもアンテナとして機能するように、アンテナ単体でグランド部を持つものである。
【0096】
上記本発明のアンテナは、携帯端末および電化製品の筐体内に存在する導体部分をグランド部として使用する場合、電気ノイズの発生源を有する機器に付帯した導体部分ではない他の導体部分をグランド部とし、該グランド部へのアンテナの固定は導電性のネジ等および導電性のテープ等を使用し、アンテナ自身のグランド部と該グランド部との接続部分を電気的な結合箇所として一致させ使用するものである。
【0097】
上記本発明のアンテナは、その電気ノイズの対策により、LCDや電気回路基板等の電気ノイズの発生源を有する機器に付帯した導体部分に近い距離で設置することができる。
【0098】
上記本発明のアンテナは、その電気ノイズの対策により、動作周波数を制御する同調回路や電波受信感度の損失補正を行うアンプ等の電気回路を具備することができる。
【0099】
次に、上記本発明の形態により、解決される電気ノイズに関し、図1から図10に基づいて説明する。
【0100】
図1は、アンテナを内蔵した携帯端末もしくは電気機器の一例であるノート型PC1の外観を示す。ノート型PC1は、LCD筐体11とキーボード筐体12とで構成され、アンテナはLCD筐体11またはキーボード筐体12に内蔵されるのが一般的である。
【0101】
図2は、図1に示したLCD筐体11の分解図を示す。このLCD筐体11には、金属枠16を持つLCD本体15とこれに電源を供給する回路基板等で構成されたインバータ回路17が収納され、これらはLCD筐体11の前面カバー13や筐体ケース14に接着テープ、取付け用治具、金属製のネジ等により固定されている。LCD筐体11に収納されたLCD本体15の映写面裏側には、LCDの走査線を制御するデバイス回路が有り、この回路上の発振器から発生する電気ノイズやインバータ回路17上の発振器から発生する電気ノイズによる他電気機器類への電波干渉を防ぐ対策がLCD筐体11には施されている。なおこの対策方法の違いにより、LCD本体15の仕様やLCD筐体ケース14に使用される材質等が異なる場合がある。その一例として、映写面を除き金属枠16を含む全ての部分を金属で覆ったLCD本体15(以下、干渉対策型のLCDと略す)を用い、かつキーボード筐体12内の電源または外部電源の接地部と電気的に接続したLCD本体15専用の電気接地部品を設けた場合、LCD筐体ケース14がプラスティック等の非金属製であることが稀にある。一方、映写面の周りにのみ金属枠16を具備し、映写面裏側(他の部分)は金属で覆わないLCD本体15(以下、未対策型のLCDと略す)を用い、LCD筐体ケース14が金属製もしくは非金属製でその内側(LCD本体15などが収納される面)全体に導電性塗料を塗布するなどして干渉対策を施し、このLCD筐体ケース14、LCD本体15そしてインバータ回路17をキーボード筐体内の電源または外部電源の接地部と電気的に接続する。この構成において、LCD本体15の電気接地の効果をより高めるため、LCD筐体ケース14にLCD本体15の金属枠16を一部加工し、さらに金属製のテープやネジ等を使用してこれらを電気的に接続するのが一般的であるが、専用の電気接地部品を別途設ける場合もある。なお、このような構成は、インバータ回路17においても同様に施されることもある。またこの様な電波干渉対策が施されたLCD筐体ケース14の一部分に取り付けられたアンテナカバー18とLCD前面筐体カバー13は、一般的にプラスティック製の材料が用いられ、アンテナカバー18の範囲内に内蔵アンテナの素子が配置される。なおLCD前面筐体カバー13とアンテナカバー18をプラスティック製の材料を使用する理由は、内蔵したアンテナで電波の送受信を可能にするためであり、アンテナを内蔵する携帯端末および電気機器では常識的な構成である。なお前述のLCD筐体ケース14が非金属製の場合、アンテナカバー18は省略されることもある。
【0102】
図3は、図2に示すLCD筐体ケース14のアンテナカバー18の周辺に設けられた内蔵アンテナを固定するネジ受け穴19を示す。このネジ受け穴19の設置は、最近では一般的になってきている。LCD筐体ケース14が金属製の場合、通常は一体成型で製造されるため、このネジ受け穴19も金属製となる。またLCD筐体ケース14が非金属製で導電性塗料が塗布されている場合、ネジ受け穴19にも同様に導電性塗料が塗布されているのが一般的である。
【0103】
図4は、LCD前面筐体カバー13を取り外した図1から図3のLCD筐体11を示し、LCD筐体ケース14に設置した金属枠16を有するLCD本体15、インバータ回路17、アンテナカバー18、そしてネジ受け穴19のそれぞれの位置関係を斜視して示す。
【0104】
図5は、LCD本体15の金属枠16に平板アンテナ2を取り付け、アンテナを内蔵した図1から図4のLCD筐体11の構成を示す。
【0105】
図6は、図4同様に図5の構成を斜視して示す。
【0106】
さらに図7(a)および(b)は、図6の点線Aa間およびBb間での断面構成をそれぞれ示す。平板アンテナ2のグランド7をLCD本体15の金属枠16に電気接地し、アンテナ素子6をアンテナカバー18の範囲に配置し、平板アンテナ2に設けられたネジ通し穴10に固定ネジ3を通し、この固定ネジ3をネジ受け穴19に締め付けて平板アンテナ2をLCD筐体ケース14に固定している。なお固定ネジ3は、一般的に金属製が使用されるが、非金属製の場合も稀にある。図5から図7に示す平板アンテナ2がノート型PC1に内蔵されているとき、ノート型PC1の電源を投入するとインバータ回路17上の発振器とLCD本体15に収納されたデバイス回路上の発振器が動作し、これらの発振器を発生源とする電気ノイズが平板アンテナ2に侵入する。
【0107】
次に、図8を用いて、図5から図7の平板アンテナ2に侵入する電気ノイズの測定結果に関して説明する。
【0108】
図8は、図5から図7に示す状態で平板アンテナ2を内蔵した図1に示す該ノート型PC1における平板アンテナに侵入する電気ノイズの特性を示す。図8(a)〜(c)に周波数利得特性の測定結果を示し、横軸は周波数、縦軸は利得をそれぞれ示す。なお測定は、無関係な外来電波を平板アンテナ2で受信しない環境で行い、平板アンテナ2への給電は同軸ケーブルを使用し、この同軸ケーブルを給電線とし、給電点から見て該平板アンテナの素子のある長さ方向とは逆方向にこの給電線を延ばし、さらにLCD本体との接触を避けている。
【0109】
まず図8の(a)、(b)に関して説明する。図8(a)、(b)は、ノート型PC1の電源投入有無での周波数利得特性の比較を示し、使用したLCD筐体11の構成がそれぞれ異なっている。図8(a)は、LCD筐体ケース14は金属製で、干渉未対策型のLCD本体15を用い、LCD本体15の金属枠16を一部加工してLCD筐体ケース14と金属枠16とを電気的に接続し、平板アンテナ2のLCD筐体ケース14への固定は金属製の固定ネジ3を使用し、同時に平板アンテナ2がLCD本体15の金属枠16の他にLCD筐体ケース14にも電気接地を行っている状態である。一方図8(b)は、LCD筐体ケース14はプラスティック製で、干渉対策型のLCD本体15を用い、さらにLCD本体専用の電気接地部品も設け、平板アンテナ2のLCD筐体ケース14への固定は非金属製の固定ネジ3を使用している状態である。図8(a)、(b)において、ノート型PC1の電源未投入時の周波数利得特性41がフロアノイズレベルを示し、ノート型PC1の電源投入時の周波数利得特性42が平板アンテナ2に侵入する電気ノイズの強度を示している。これは、ノート型PC1の電源投入により起動したインバータ回路17上の発振器とLCD本体15内のデバイス回路上の発振器より発生した電気ノイズが、LCD筐体11内の金属部を伝わり、平板アンテナ2と電気的に接続された金属部から平板アンテナ2に侵入、もしくは空間を伝わり平板アンテナ2に侵入した結果である。なお、図8(a)、(b)で測定周波数帯が異なっているが、これは同構造で動作周波数帯が異なる平板アンテナ2をそれぞれで使用しているためである。
【0110】
この図8(a)、(b)に示す電気ノイズは、平板アンテナ2の動作周波数帯(設計周波数帯)のみではなく、数ヘルツ帯から数百メガヘルツ帯に渡り連続的かつ顕著に現れる傾向があり、その特徴は使用するLCD本体の大きさや電波干渉対策の有無やその対策の程度、LCD本体15を収納する筐体の大きさ、材質や構造などにより異なる場合もある。よって、図8(a)、(b)のそれぞれの特徴の差異は、使用したLCD筐体の差異によるものであるが、この点については後述する。
【0111】
次に図8(c)に関して説明する。図8(c)は、図8(a)のLCD筐体11を用い、該平板アンテナの動作周波数帯で強度が弱い渡来電波を平板アンテナ2で受信している環境でのノート型PC1の電源投入有無による周波数利得特性の比較を示す。なお測定時の渡来電波は、その強度を調整した連続波を用いている。図8(c)において、ノート型PC1の電源未投入時の周波数利得特性41は、測定環境下における平板アンテナ2自体の受信信号強度となり、ノート型PC1の電源投入時の周波数利得特性42は、侵入した電気ノイズを含んだ平板アンテナ2の受信信号強度となる。図8(c)は、渡来電波の強度が弱い環境では、平板アンテナ2自体の受信信号強度よりも電気ノイズの強度が上回る場合があることを示唆している。すなわち、受信チューナーに入力される信号において、純粋な受信信号強度よりも電気ノイズ強度の方が大きいことになり、これが受信チューナーでの信号処理に影響を与え、結果的に受信情報をLCD等の映写機器に表示できない状況を誘発する。
【0112】
次に、図9と図10を用いて、図5から図7の平板アンテナ2に侵入する電気ノイズの経路に関して説明する。
【0113】
図9は、図8(a)のLCD筐体11において、インバータ回路17上の電気ノイズ発生源(発振器)5から発生した電気ノイズ51が、LCD筐体ケース14上を伝達する状態を示す。電気ノイズ51はノイズ発生源5を中心にLCD筐体ケース14上を伝達し、その強度はノイズ発生源5周辺が最も大きく、ノイズ発生源5から遠ざかるにつれ小さくなる。また空間を伝達する電気ノイズ(図示なし)も同様に電気ノイズ発生源5を中心に空間を全方向に伝達し、その強度分布はLCD筐体ケース14上を伝達する電気ノイズ51と同様である。なお実際のLCD筐体11では、LCD本体15などの他の金属物があるため、状況により電気ノイズの伝達方向は変化する場合がある。結果的に、LCD筐体ケース14を伝達する電気ノイズ51は、LCD筐体ケース14上のネジ受け穴19から金属製の固定ネジ3を通り、平板アンテナ2を固定した部分から侵入し、また空間を伝達する電気ノイズは平板アンテナ2に受信されて侵入する。なお、図8(b)に示すLCD筐体11の場合、LCD筐体ケース14が非金属製であるため、LCD筐体ケース14上を伝達する電気ノイズ51は無いが、空間を伝達する電気ノイズは存在し、これも受信されて平板アンテナ2に侵入する。
【0114】
図10は、図8(a)のLCD筐体11における干渉未対策型のLCD本体15に収納されたデバイス回路上のノイズ発生源(発振器)5から発生した電気ノイズ52が、LCD本体15の金属枠16を伝達する状態を示す。LCD筐体11では、金属枠16とLCD筐体ケース14とで共振構造が作られ、結果的に電気ノイズ52は、この共振構造による定在波を発生させながら、金属枠16上を伝達する。電気ノイズ発生源5は、LCD本体15の映写面裏側に位置しても空間を伝達する電気ノイズ(図示なし)は、LCD本体15の映写面(表)側では、電気ノイズ発生源5を中心に全方向の空間に広がり、映写面裏側では、LCD筐体ケース14とLCD本体15との間で反射などを繰り返し減衰するが、これも電気ノイズの一要因となる。結果的にこれら電気ノイズは、平板アンテナ2をLCD本体15の金属枠16に電気接地した部分から、またはLCD筐体ケース14上のネジ受け穴19から金属製の固定ネジ3を通り、平板アンテナ2を固定した部分から、空間を伝達する電気ノイズは受信され、それぞれが平板アンテナ2に侵入する。なお、図8(b)のLCD筐体11の場合、干渉対策型のLCD本体15であり、かつLCD本体15専用の電気接地が設けられているため、図10のような定在波を伴う電気ノイズ52の強度は極めて小さくなる。しかし、LCD本体15は金属で覆われた構造であり、このためデバイス回路上の電気ノイズ発生源5は、ほぼ金属に囲まれた状態になることから、LCD本体15内部で複周波数における共振が発生し、これに起因する電気ノイズがLCD本体15を覆う金属上や空間を伝達し、平板アンテナ2を電気接地した部分から、これらの電気ノイズが受信されて平板アンテナ2に侵入する。
【0115】
以上の図9と図10の説明で記載した電気ノイズの経路とLCD筐体11や機器構成の違いにより、図5から図7記載のLCD筐体11に内蔵した平板アンテナ2に図8に示すような電気ノイズが侵入することになる。
【0116】
空間を伝達する電気ノイズは、アンテナに受信されて侵入することが殆どであるため、電気ノイズ対策は困難である。しかしながら、空間を伝達する電気ノイズの影響より、LCD筐体内に存在する金属(導体)部を伝達する電気ノイズの影響の方が大きい傾向にあることが独自の測定により判明している。また、各発振器より発生する電気ノイズの強度は殆ど不変であるため、受信周波数帯における渡来電波の強度が強い環境では、アンテナの受信信号強度が電気ノイズ強度を上回ることが殆どであり、アンテナに侵入する電気ノイズの影響を考慮する必要がない。しかしながら、渡来電波の強度が弱い環境では考慮する必要がある。一般的な受信チューナーを使用した独自の検討結果より、渡来電波の強度が弱い環境では、アンテナの受信信号強度が電気ノイズ強度を上回る、もしくは両者が同等の強度であれば、受信チューナーは電気ノイズの影響を受けずに正常に動作することが判っている。
【0117】
以上のことより、LCD筐体11内の金属部を伝達する電気ノイズがアンテナへ侵入することを効果的に低減し、かつ受信性能を向上できるアンテナ構造の実現が問題解決のために必要であると推察できる。
【0118】
以上の問題解決を実現するための本発明のアンテナの設計に関する考察を図11、図12に基づいて説明する。
【0119】
図11に図5から図7に記載の平板アンテナ2を示す(給電に用いた同軸ケーブルは図示せず)。平板アンテナ2は、平板導体状でアンテナ素子6の給電点8付近から整合用の短絡素子101をグランド7に接続した一般的な構造で、平板アンテナ2はアンテナ固定用のネジ通し穴10を具備している。この構造により、平板アンテナ2は、給電点付近に電磁誘導ループ9を構成していることになる。図9と図10の説明より、電気ノイズは、平板アンテナ2を電気接地したLCD本体15の金属部分から、または電波干渉対策を施したLCD筐体ケース14のネジ受け穴19と接続し、平板アンテナ2を固定する金属製の固定ネジ3を通したネジ通し穴10から平板アンテナ2に侵入し、これら侵入した電気ノイズは、結果的に電磁誘導ループ9で取り組まれてしまうことが独自の測定で判明している。
【0120】
ループ構造の電気特性には、静電誘導、電磁誘導、そして電力放射の3つがある。この内、静電誘導はコンデンサに代表される蓄電特性であり、また電力放射はいわゆるアンテナ特性である。これらに対し、電磁誘導は電波などの電力を誘引する特性であり、電波発生源との距離が近いほど、電力放射に比べて、発生された電波を取り込む量が多い。この特性を使用した代表的なものに、電磁界プローブがある。そして、携帯端末や電気機器の筐体内に設けられるアンテナの内蔵スペースとその近隣に配置される電機ノイズが伝達する金属製部品との距離は、アンテナの動作周波数における電波の波長に比べてかなり小さいのが現実である。本発明における状況も同様であり、そのためループ構造による電磁誘導ループ9が平板アンテナへの電気ノイズ侵入の一要因であることが言える。
【0121】
次に、平板アンテナ2のループ構造による電気ノイズについての測定結果を示す。図12は、図11に示した平板アンテナ2の電磁誘導ループ9の影響に関する測定結果を示す。図12(a)は、図8(a)のLCD筐体11から短絡素子101を削除した平板アンテナ2を用いたノート型PC1の電源投入前後での周波数利得特性測定結果を示す。
【0122】
図12(b)は、図8(b)のLCD筐体11から短絡素子101を削除した平板アンテナ2を用いたノート型PC1の電源投入前後での周波数利得特性測定結果を示す。
【0123】
図12(a)、(b)のグラフは、それぞれ横軸は周波数であり、縦軸は利得を示す。
【0124】
図12(a)、(b)において、ノート型PC1の電源未投入時の周波数利得特性41がフロアノイズレベルを示し、ノート型PC1の電源投入時の周波数利得特性42が平板アンテナ2に侵入する電気ノイズの強度を示している。短絡素子101を用いた図8(a)、(b)に示す平板アンテナ2の周波数利得測定結果と比較した場合、アンテナに侵入する電気ノイズの強度が減少していることが判る。これより、電磁誘導ループ9の無いアンテナ構造が電気ノイズ対策に関して有効であることが判る。
【0125】
しかしながら、実際に内蔵アンテナを設計する場合、アンテナ自体の小型化、省スペース化などから、整合用の短絡素子101を使用しなければならない場合が多い。そこで、電磁誘導ループ9の位置やサイズ、電気ノイズの伝達経路とその範囲、そしてアンテナ素子6とグランド7のそれぞれが独立して機能する構造などを考慮し、電気ノイズの侵入を改善するアンテナの設計が必要であると考察する。また電磁誘導ループ9は、空間を伝達する電気ノイズも受信する点も考慮する必要がある。
【0126】
以上のアンテナ設計に関する考察に基づき、次に電気ノイズの影響を解決する本発明のアンテナの具体的な構造に関する考察を説明する。
【0127】
上記のように、アンテナの小型化、省スペース化などから、アンテナ整合用の短絡素子101を用い、結果的にループ構造を使用しなければならない場合、このループ構造による電磁誘導で電気ノイズがアンテナに侵入することを抑制しなければならない。そこで、電気ノイズがアンテナに侵入する原因をアンテナの構造から次に検討する。
【0128】
まず、図5から図7、図11に示す平板アンテナ2の構造とその内蔵方法より、平板アンテナ2のグランド7をLCD本体15の金属枠16と電気的に接続していることから、この金属枠16上を伝達する電気ノイズの広範囲に渡る侵入(伝達)経路が平板アンテナ2のグランド部に存在することが判る。また他の侵入経路として、平板アンテナ2を固定し、LCD筐体ケース14と電気的に接続した金属製の固定ネジ3があり、これも平板アンテナ2のグランド部に存在している。そして、これら侵入経路から伝達し、ループ構造に向かう電気ノイズの殆どが電磁誘導により取り入れられ、さらに残りの電気ノイズは短絡素子101からアンテナの素子に侵入する。
【0129】
次に、図5から図7、図11に示す平板アンテナ2の内蔵方法より、平板アンテナ2のループ構造は、電気ノイズが伝達しているLCD本体15の金属枠16に近い位置にある。そのため、この金属枠16を伝達し、かつこの金属枠16の不連続部より放射された電気ノイズを電磁誘導により、空間を介して取り込んでいると考えられる。
【0130】
以上の電気ノイズがアンテナに侵入する原因より、アンテナ整合用の短絡素子101を用い、結果的にループ構造を使用しなければならない場合、アンテナ構造の設計時に次のような対策が必要になると考えられる。1つ目として、平板アンテナ2のグランド部に存在する電気ノイズの直接的な侵入経路を削除することが挙げられる。すなわち、広範囲に渡る直接的な侵入経路である平板アンテナ2のグランド7とLCD本体15の金属枠16との電気接地を削除し、さらに金属製の固定ネジ3を使用しないことである。2つ目として、ループ構造は、電気ノイズが伝達している金属(導体)部より可能な限り距離を置いた位置に構成し、電磁誘導を妨げる構造を別途設けることなどが挙げられる。
【0131】
上記1つ目の対策の問題点として、強度や耐震性などの面から平板アンテナ2の固定に金属製の固定ネジ3を使用しなければならない場合、平板アンテナ2のグランド7をLCD本体15の金属枠16と電気接地しないことで、電気ノイズの侵入経路を大幅に削除でき、その結果電気ノイズの量も大幅に低減できるが、平板アンテナのグランド部に存在する電気ノイズの侵入経路を完全に削除することは出来ない。しかしアンテナ特性を考えた場合、LCD筐体ケース14の金属(導体)部をアンテナのグランドとして使用することは有用な手段である。これより、この金属製の固定ネジ3から侵入する電気ノイズの影響を可能な限り低減する方法を検討するため、LCD筐体ケース14の構成を考える。LCD筐体ケース14内において、LCD本体15の金属枠16とLCD筐体ケース14の金属(導体)部は、電気的に接続されている。すなわち、一体となった金属(導体)上を電気ノイズが伝達していることになる。これより、LCD筐体ケース14に金属製の固定ネジ3で平板アンテナ2のグランド7を固定した場合、平板アンテナのグランドも一体になると考えられる。問題となる平板アンテナ2のループ構造は、その大半が該平板アンテナのグランド部で構成され、かつ短絡端子101を使用しているため、電気ノイズがアンテナの素子にも侵入しやすい構造になっていると推察できる。そこで、アンテナの素子とグランドとの機能の役割を明確にすることで、アンテナへの電気ノイズの侵入を効果的に抑制できると考えられる。
【0132】
なお、平板アンテナ2は一般的に良く用いられる構造ではあるが、本発明の電気ノイズ低減検討時に、アンテナの素子とグランドのそれぞれが独立して機能するか否かは明確ではなかった。
【0133】
次に、上記2つ目の対策の内、電磁誘導を妨げる構造として、上記のアンテナの素子とグランドのそれぞれが独立して機能することを明確にした構造において、グランドを使用することを考える。LCD本体15の金属枠16と間隔を置き、この金属枠16に近い位置でアンテナの素子を配置した場合、金属枠16を伝達し、かつ金属枠16の不連続部(矩形部)より放射され、金属枠16を伝達する電気ノイズが、アンテナの素子に大量に結合もしくは、大量に受信される可能性がある。そのため、この金属枠16とアンテナの素子との間に障害物として、アンテナのグランドを設置する。これにより、放射されたものを含む金属枠16の電気ノイズがこのグランドに結合もしくは受信された場合、アンテナのグランドと素子のそれぞれが独立して機能していれば、電気ノイズの素子への侵入を抑制することが可能になると考えられる。またこのグランドを配置する方法は、上記2つ目の対策の内のもう1つであるループ構造を電気ノイズが伝達している金属(導体)部より可能な限り距離を置いた位置に構成する場合に対しても有用な手段になると考えられる。
【0134】
なお、以上の対策を実現するアンテナ素子とグランドのそれぞれが独立して機能することを明確にしたアンテナの特性を考えた場合、このアンテナは、LCD筐体11の金属部をグランドとしないとき、すなわちサイズに関わらず、素子とグランドの両方を備えたアンテナ単体において十分な特性を維持したものでなければならない。
【0135】
以上のアンテナの具体的な構造に関する考察に基づき、次に電気ノイズの影響を解決する本発明のアンテナの設計方法を説明する。
【0136】
本発明のアンテナの設計には、発明者所属の出願人(日立電線株式会社)出願の特許文献3、4記載のアンテナ構造自動探索法を用いている。
【特許文献3】特開2004−305874号公報
【特許文献4】特開2005−132328号公報
【0137】
上記特許文献3、4記載のアンテナ構造自動探索法を用いた本発明の平板アンテナの設計方法を以下に示す。
【0138】
まず、上記構造自動探索法で取り扱う計算領域を平板アンテナの縦横サイズに限定し、このサイズで定義される領域全てを四角形の微小セグメントで離散化し、離散化した微小セグメントの各辺に沿って、アンテナの素子とグランドの領域(境界)を定義する。このとき、アンテナ整合のために使用する短絡素子においても同様に定義する。なおグランドの領域は、LCD本体の金属枠に接近して配置が可能なことと、アンテナ固定用のネジ穴の位置を考慮して決定する。さらにループ構造は、LCD本体の金属枠から可能な限り距離を置いた位置で構成し、かつ電気ノイズが伝達するグランド部の領域よりも、素子の領域を多く使用して構成するように条件を付加する。そしてこれら条件を考慮して、給電点の位置を定義する。このように、アンテナの素子とグランドとの区分けと構造条件を上記構造探索法の初期条件として定義する。次に上記構造探索法に従い、微小セグメントの追加と削除を繰返し行う領域を定義したアンテナ素子の領域に限定する。このように構造探索を行う領域をアンテナの素子の領域に限定することで、上記構造探索法の実行によって逐次的に算出される複数の結果は、一定のアンテナのグランド状態におけるアンテナの素子構造のみの変化に伴うアンテナ特性の変化を表すことになり、すなわち、アンテナの素子とグランド間のそれぞれが独立して機能することを考慮したことに同等と見なすことができる。以上のような方法により、アンテナの素子とグランドのそれぞれが独立して機能することが考慮され、かつそれぞれがその役割を独立して機能するアンテナ構造の設計が可能になる。なお、このような上記構造探索法の使用方法によって、該平板アンテナのようにグランド自体が小面積(小体積)でもアンテナとして機能する構造が設計できる。その詳細は、次の実施例にて説明する。
【0139】
以上の考察および設計方法により実現された、電気ノイズの影響を解決する本発明に係るアンテナの実施例1を添付図面の図13から図20に基づいて説明する。
【0140】
図13(a)〜(c)は、上記アンテナ設計に関する考察に基づいて、設計し具現化した平板アンテナ201、202、203の例を示す。平板アンテナ201、202、203は、導体平板状に設けられたアンテナ素子6、60、グランド7から成り、給電点8をそれぞれ図示した位置とし、実際の給電は同軸ケーブル等(図示せず)で行い、アンテナ固定用の固定ネジ通し穴10を具備している。これらの平板アンテナ201〜203は、前述の設計方法に従って作製した。
【0141】
平板アンテナ201、202、203をLCD筐体に内蔵した際、アンテナのグランド7が、LCD本体15の金属枠16と平行に近接するように平板アンテナ201、202、203の長さ方向に位置し、さらに固定ネジ通し穴10を具備している。また短絡素子101を含むループ構造は、平板アンテナ201、202、203をLCD筐体11に内蔵した際、LCD本体15の金属枠16との距離を保つ位置にあり、これを可能にするように給電点8を決定している。そして、短絡素子101がアンテナ素子6の一部分に含まれるようにし、ループ構造の大半をアンテナ素子6で構成している。また大小2つのアンテナ素子6、60の内、大きいアンテナ素子6とグランド7とのギャップ間にある小さいアンテナ素子60は、アンテナの整合性を保つ機能も兼ね備えている。
【0142】
さらに、アンテナ素子6、60とグランド7と給電点8とで、給電点8を境にループ構造よりも寸法が大きい先端開放のスロット構造も実現している。アンテナの整合性を保つ小さいアンテナ素子60よりも大きく、かつスロット構造を構成するアンテナ素子6を電波送受信に関する主要な素子とする場合、特性面からグランド7との距離を保つ必要がある。そしてアンテナのサイズに伴う制約より、アンテナの整合性を保つ小さいアンテナ素子60は、スロット内に配置するようにしている。
【0143】
これら平板アンテナ201、202、203は、設計段階でアンテナ構造における素子とグランドのそれぞれが独立して機能することを考慮し、アンテナ素子6、60と給電点8との境界、短絡素子101と固定ネジ通し穴10を含むグランド7との境界、それぞれでアンテナ素子6、60とグランド7がそれぞれの役割を独立して機能するようにし、最終的に単体でもアンテナとして動作するように設計している。
【0144】
図14は、図13(a)に示す平板アンテナ201単体の周波数共振特性を示し、横軸は周波数、縦軸はリターンロスをそれぞれ示す。
【0145】
図14より小面積(小体積)のグランド7の単体でも共振特性が保たれていることが判る。なお、図14で表示している周波数範囲が、図8(a)や(c)と異なるのは、平板アンテナ201をLCD筐体11に内蔵した際、図8(a)や(c)と同じ動作周波数帯で平板アンテナ201が動作するように設計されているためである。
【0146】
図15は、図13(a)に示す該平板アンテナ201を内蔵したLCD筐体11の構成を示す。干渉未対策型のLCD本体15を用い、LCD筐体ケース14は金属製で、ネジ受け穴19を具備し、さらにプラスティック製のアンテナカバー18を具備している。平板アンテナ201のLCD筐体ケース14への固定は、アンテナ201が具備している固定ネジ通し穴10に通した金属性の固定ネジ(図示せず)をネジ受け穴19にねじ込むことで行い、同時に平板アンテナ201がLCD筐体ケース14に電気接地を行った状態とし、平板アンテナ201の素子部はアンテナカバー18の範囲に配置している。
【0147】
またLCD本体15とインバータ回路17は、LCD筐体ケース14上に電気的に接続した状態で固定している。この構成は、内蔵した平板アンテナとその内蔵方法が異なる点を除けば、他は図8(a)および図8(c)のLCD筐体11と同じである。
【0148】
図16は、図15に示すLCD筐体11内部の状態を示す。
【0149】
図16(a)は、LCD筐体前面カバー13をはずし、内蔵した平板アンテナ201の配置状態を斜視にて示す。
【0150】
図16(b)は、図16(a)の点線Aa間における断面構成を示す。
【0151】
図5から図7記載の平板アンテナ2の場合と異なり、平板アンテナ201はLCD本体15の金属枠16と電気接地を行わず、金属製の固定ネジ3を介してLCD筐体ケース14とのみ電気接地を行っている。
【0152】
これは電気ノイズのアンテナへの侵入経路を大幅に削除することを目的としている。また、内蔵した平板アンテナ201の給電点には同軸ケーブル(図示せず)を接続し、この同軸ケーブルを給電線とし、給電点から見て平板アンテナ201のアンテナ素子6、60が配置された長さ方向とは逆方向に延ばし、さらにLCD本体との接触を避けるなどの電気ノイズの影響を考慮してLCD筐体内に配置している。なお、図1に示す該ノート型PC1では、キーボード筐体12内のマザーボード(図示せず)上に送受信チューナー(モジュール)が設置されているのが通常で、この送受信チューナーとアンテナとを給電線で接続するのが一般的である。
【0153】
実際には、アンテナをLCD筐体11に内蔵し、アンテナの給電点8に接続された給電線を、LCD筐体11とキーボード筐体12とを接続するヒンジ部に通し、そしてキーボード筐体12内で送受信チューナーが設置されている位置まで配置する。
【0154】
この接続方法において、使用する給電線が長いほど、伝送損失が大きく、かつ送受信信号の強度が劣化する問題がある。さらに、筐体内で給電線自体が電気ノイズの影響を受ける量も大きくなるという問題も起こる。よって、アンテナと送受信チューナーとをより短距離で接続するため、給電線のアンテナへの接続方向を、LCD筐体内でキーボード筐体の方向に延ばせるように選ぶのが好ましい。よって、図16においても、上記理由に従い、アンテナの給電線である同軸ケーブルの接続方向を選択している。
【0155】
図17は、図16のLCD筐体11に内蔵した該平板アンテナの周波数共振特性を示し、横軸は周波数、縦軸はリターンロスを示す。図13と図14に示す説明の通り、該平板アンテナは、アンテナ素子とグランドのそれぞれが独立して機能することが考慮されているため、図16の該LCD筐体ケースサイズのグランドが該平板アンテナに単純に追加されたことと同等となる。
【0156】
そのため図17の周波数共振特性は、図14よりも良好となり、これよりアンテナ自体の特性向上を実現していることが判る。なお、図17と図14とで表示している周波数範囲が異なるのは、該平板アンテナをLCD筐体11に内蔵した際、LCD本体15等の接近など周辺環境の影響で該平板アンテナの動作周波数が変わることをあらかじめ考慮して設計しているためである。
【0157】
図18は、図16の該LCD筐体11におけるアンテナの電力放射に寄与する電流を示す。平板アンテナ201のグランドと電気的に接続され、平板アンテナ201のグランドの一部となったLCD筐体ケース14上には、有限グランド特有の電流(J2)112が形成される。この電流(J2)112は、平板アンテナ201のアンテナ素子上の電流(J1)111と共に、アンテナの電力放射に寄与する電流となる。
【0158】
図19は、図16のLCD筐体11を使用した図1のノート型PC1における放射電界分布の測定結果を示す。図18に示す電流(J1)111のみが放射に寄与する電流である場合、この電流(J1)111と水平方向の偏波成分(垂直偏波:Vertical)が、これと垂直方向の偏波成分(水平偏波:Horizontal)よりも強く現れることになる。
【0159】
しかし、図19に示す放射電界分布は、両偏波成分共に同等の強さで現れている。これより、図18に示す電流(J1)111、(J2)112の両者がアンテナの放射に寄与する電流であることが明らかである。これより、図16に示す該平板アンテナのLCD筐体11への内蔵方法により、水平および垂直の両偏波を放射し、かつ放射利得特性の向上も実現できる。
【0160】
図20は、図16のLCD筐体11を用い、平板アンテナの動作周波数帯で強度が弱い渡来電波を平板アンテナで受信している環境での図1に示すノート型PC1の電源投入有無による周波数利得特性の比較を示し、横軸は周波数、縦軸は利得を示す。なお測定時の渡来電波は、その強度を調整した連続波を用い、図20(a)は図8(c)の場合と同じ強度とし、図8(c)の電気ノイズ強度の変動範囲を考慮し、図20(a)の場合よりも渡来電波の強度を約10dBmを高くした場合が図20(b)である。図20(a)、(b)において、該ノート型PC1の電源未投入時の周波数利得特性41は、測定環境下における該平板アンテナ自体の受信信号強度となり、該ノート型PCの電源投入時の周波数利得特性42は、侵入した電気ノイズを含んだ該平板アンテナの受信信号強度となる。図20(a)において、該平板アンテナ自体の受信信号強度と電気ノイズ強度との差が殆ど無いことが判る。すなわち図8(a)の場合と比べ、該平板アンテナへの電気ノイズの侵入が大幅に低減されている。なお、この状態で実際に渡来電波を受信し、一般的な受信チューナーを使用した独自の検討では、問題なく受信情報をLCD等の映写機器に表示できることを確認済みである。さらに図20(b)においては、完全に電気ノイズの影響が認められない状態になっている。
【0161】
以上の図17、図19、図20に示す結果の通り、本発明のアンテナは、携帯端末および電気機器の筐体内に設けたアンテナの内蔵位置周辺において、筐体内の金属(導体)部を伝達し、アンテナに侵入する電気ノイズの伝達経路を大幅に断つ構造とその内蔵方法とを用いて、さらに電磁誘導による電気ノイズのアンテナへの侵入を低減する構造を用いて、その結果電気ノイズの影響を改善した内蔵アンテナを実現している。
【0162】
次に本発明の実施例2を図21から図24に基づいて説明する。
【0163】
図21は、図13に示す該平板アンテナ201のグランド7の長さを延長し、該平板アンテナの全体を絶縁体シート121で覆った平板アンテナ211を示す。この構造はアンテナを内蔵する携帯端末もしくは電気機器の筐体構造とアンテナに侵入する電気ノイズとを考慮し、かつアンテナの電気接地の効果を検討したとき、筐体内の金属(導体)部と電気接地ができない場合、アンテナ自体の特性を考慮してグランドを大きくする方法の一例である。なお、該平板アンテナを覆う絶縁体シート121は、紙やポリエステルなどの絶縁効果の有る材質であれば何を選択しても良い。
【0164】
図22は、図21の平板アンテナ211を内蔵したLCD筐体の構成を示す。干渉対策型のLCD本体15を用い、LCD筐体ケース14は非金属製のプラスティック製であり、またプラスティック製のアンテナカバー18を具備している(LCD筐体ケース14とアンテナカバー18が同一材料のとき、両者は一体構造の場合もある)。該平板アンテナ211をLCD筐体ケース14上に直接置き、その固定はテープや接着剤(図示せず)により行い、該平板アンテナ211のアンテナ素子をアンテナカバー18の範囲に配置し、干渉対策型のLCD本体15は専用の電気接地部品(図示せず)と接続し、さらに該平板アンテナ211のグランド部に重ねて置き、インバータ回路17と共にLCD筐体ケース14上に固定する。なお、この構成は内蔵した平板アンテナとその内蔵方法が異なる点を除けば、他は図8(b)の該LCD筐体と同じである。この設置状態において、該平板アンテナ211はその全体を絶縁体で覆われているので、筐体内に存在する金属(導体)部品とは、電気的に接続されていない状態となる。
【0165】
図23は、図22のLCD筐体内部の状態を示す。図23(a)は、LCD筐体前面カバー13をはずし、内蔵した平板アンテナ211等の配置状態を斜視にて示したものである。
【0166】
図23(b)は、図23(a)の点線Aa間における断面構成を示す。平板アンテナ211は、アンテナ全体を覆う絶縁体シート121により、LCD本体15の金属枠16との直接の電気的な接続が防がれ、その結果LCD本体15の金属部を伝達する電気ノイズの侵入を抑制できる。
【0167】
図24は、図23のLCD筐体を用いた図1のノート型PC1の電源投入有無による周波数利得特性を示し、横軸は周波数、縦軸は利得をそれぞれ示す。図24において、該ノート型PC1の電源未投入時の周波数利得特性41がフロアノイズレベルを示し、ノート型PC1の電源投入時の周波数利得特性42が平板アンテナ211に侵入する電気ノイズの強度を示している。図8(b)の結果と比較した場合、平板アンテナ211に侵入する電気ノイズの強度が大幅に減少しており、電気ノイズの影響を改善した内蔵アンテナを実現している。
【0168】
なおこの実施例において、平板アンテナ211を絶縁体で覆う範囲を該平板アンテナのグランド部分のみとしても同等の効果が得られる。
【0169】
次に本発明の実施例3を図25から図27に基づいて説明する。
【0170】
図25は、図13に示す該平板アンテナ201のグランド部に軟性導体シート131を接続した平板アンテナ221を示す。この平板アンテナ221はグランド7に軟性導体シート131を電気的に接続し、これをグランドの一部としている。なお、この構造も図21に示す平板アンテナ同様、アンテナ自体の特性を考慮してグランドを大きくする方法の一例である。なお、この軟性導体シート131とグランド7との電気的な接続は、両者をはんだ(図示せず)や導電性テープ(図示せず)、または電気的な接続用構造(図示せず)を設けて行い、いずれの電気的な接続方法でも同じ効果を得られる。
【0171】
図26は、図15の該LCD筐体に図25の該平板アンテナを内蔵したLCD筐体の構成を示す。該平板アンテナのグランドと電気的に接続した軟性導体シート131をLCD筐体ケース14上に置き、LCD本体15の金属枠16と該平板アンテナ221との間に該平板アンテナ221のアンテナ素子の部分を避けて絶縁体シート121を挟んでいる。なお、この絶縁体シート121は紙やポリエステルなどの絶縁効果の有る材質であれば何を選択しても良い。また、該平板アンテナ211の電気接地の効果を高め、かつその安定性を高めるため、この軟性導体シート131を導電性の粘着テープや導電性の接着剤を使用しLCD筐体ケース14に固定しても良い。
【0172】
図27は、図26のLCD筐体内部の状態を示す。図27(a)は、LCD筐体前面カバー13をはずし、内蔵した平板アンテナ221等の固定状態を斜視し、図27(b)は、図27(a)の点線Aa間における断面構成を示す。図27(b)のように絶縁体シート121が、該平板アンテナに取り付けられた軟性導体シート131とLCD本体15の金属枠16との間に挟まれている。なお、該平板アンテナの給電点には同軸ケーブル(図示せず)を接続し、この同軸ケーブルは電気ノイズの影響を考慮して、LCD筐体内に配置している。
【0173】
この実施例においても、LCD本体の金属枠16と平板アンテナ221との間に絶縁体シート121を挟むことで両者の直接の電気的な接続を防ぎ、LCD本体の金属部を伝達する電気ノイズの侵入を抑制し、結果的に図20同様の電気ノイズの影響を改善した周波数利得特性が得られ、よって電気ノイズの影響を改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0174】
次に本発明の実施例4を図28と図29に基づいて説明する。
【0175】
図28は、図13に示す該平板アンテナ201と同じアンテナパターンを誘電体基板141上に作製した平板アンテナ231を示す。この平板アンテナ231は、そのアンテナのパターンを導体で形成し、アンテナ固定用のネジ通し穴10を具備している。
【0176】
図29は、図15の該LCD筐体に図28の該平板アンテナ231を内蔵したときの該LCD筐体内部の状態を示す。図29(a)は、LCD筐体前面カバー13をはずし、該平板アンテナ231等の固定状態を斜視し、図29(b)は、図29(a)の点線Aa間の断面構成を示す。なお、該平板アンテナ231の給電点には同軸ケーブル(図示せず)を接続し、この同軸ケーブルは電気ノイズの影響を考慮して、LCD筐体内に配置している。
【0177】
この実施例においても、アンテナへの電気ノイズの侵入が抑制でき、結果的に図20同様の電気ノイズの影響を改善した周波数利得特性が得られ、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0178】
次に本発明の実施例5を図30に基づいて説明する。
【0179】
図30は、図28に示す該平板アンテナのグランド7に図25で使用した軟性導体シート131を接続した平板アンテナ241を示す。軟性導体シート131の平板アンテナ241とグランド7との電気的な接続は、図25の場合と同様で、両者をはんだや導電性テープ、または電気的な接続用構造を設けて行い、いずれの電気的な接続方法でも同じ効果が得られる。
【0180】
この平板アンテナ241の図15の該LCD筐体への内蔵方法は、図26と図27に示した方法と同じであり、この平板アンテナ241を該LCD筐体に内蔵しても、アンテナへの電気ノイズの侵入が抑制でき、結果的に図20同様の電気ノイズの影響を改善した周波数利得特性が得られ、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0181】
次に本発明の実施例6を図31と図32に基づいて説明する。
【0182】
図31は、図28に示す平板アンテナのグランド部に該アンテナ固定用テープ151を取り付けた平板アンテナ251を示す。固定用テープ151の素材は用途と目的に応じ、伸縮性素材や導電性素材を選択し、固定用テープ151の取付けは、該固定用テープ151の取付け部152において、選択した素材に応じて加工を施す、もしくは適した接続方法を用いる。
【0183】
図32は、図15の該LCD筐体に図31の該平板アンテナ251を内蔵したときの該LCD筐体内部の状態を示す。固定用テープ151で該平板アンテナ251の電気接地の効果を高める場合、固定用テープ151は導電性素材とし、アンテナ特性を考慮して固定用テープ取付け部152の場所を調整し、固定用テープ151の一端をはんだや溶接等により該平板アンテナ251のグランド7に電気的に接続し、該アンテナ固定位置周辺の状況に応じて決定した固定用テープ取付け部153で導電性の粘着テープやはんだ、もしくは専用のコネクタを設けるなどしてLCD筐体ケース14に固定用テープ151のもう一端を電気的に接続する。なお、内蔵した該平板アンテナの給電点には同軸ケーブル(図示せず)を接続し、この同軸ケーブルは電気ノイズの影響を考慮して、LCD筐体内に配置している。
【0184】
この実施例において、固定テープ用151の一端を平板アンテナ251にはんだを使用し電気的に接続し、LCD筐体ケース14と固定用テープ151のもう一端との電気的な接続を導電性の粘着テープで行った場合でも、アンテナへの電気ノイズの侵入が抑制でき、結果的に図20同様の電気ノイズの影響を改善した周波数利得特性が得られ、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0185】
次に本発明の実施例7を図33と図34に基づいて説明する。
【0186】
図33は、図13に示す該平板アンテナ201の構造を基に変形した平板アンテナ261を示す。この平板アンテナ261は、該グランド7の途中から、アンテナ素子6に対してグランド7が角度を有するように折り曲げられている。この折り曲げ角度は、筺体内のアンテナを内蔵するスペースや周辺状況に応じ選択できる。図33に示すアンテナ構造は、図13に示す該平板アンテナと同様に、設計段階でアンテナ構造における素子とグランドのそれぞれが独立して機能することを考慮しているので、単体でも十分にアンテナとして動作するようにしている。なお、その周波数共振特性は、図14と同等である。
【0187】
図34に示す平板アンテナは、図33の平板アンテナ261を内蔵した図1のキーボード筐体12の構成を示す。平板アンテナ261のグランド7の途中から折り曲げられ、グランド7とアンテナ素子6がなす角度は直角とし、キーボード筐体ケース120とマザーボード124の隙間にこのアンテナの素子を配置する。このアンテナを内蔵する際、アンテナの電気接地の効果を上げるため、キーボード筐体内の金属部(図示せず)と電気的に接続を行っている。なお、該平板アンテナの給電点には同軸ケーブル(図示せず)を接続し、この同軸ケーブルは電気ノイズの影響を考慮して、キーボード筐体内に配置している。
【0188】
この実施例においても、図13に示す該平板アンテナの特徴が生かされ、アンテナへの電気ノイズの侵入が抑制でき、結果的に図20同様の電気ノイズの影響を改善した周波数利得特性が得られ、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0189】
次に本発明の実施例8を図35に基づいて説明する。
【0190】
図35は、図33に示す該平板アンテナと同じアンテナパターンを誘電体基板141上に作製し、一部変形させた平板アンテナ271を示す。該アンテナの素子とグランド7の一部を誘電体基板141上に導体で形成し、誘電体基板141上に形成されたグランドの一部と導体平板もしくは軟性導体テープを電気的に接続し、グランド7を構成している。なお、この電気的な接続も図30の該平板アンテナと同様で、はんだや導電性テープ、または電気的な接続用構造を設けて行い、いずれの電気的な接続方法でも同じ効果が得られる。
【0191】
この平板アンテナ271を図33に示す該平板アンテナと同様に図34の該キーボード筐体に内蔵した場合でも、アンテナへの電気ノイズの侵入が抑制でき、結果的に図20同様の電気ノイズの影響を改善した周波数利得特性が得られ、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0192】
次に本発明の実施例9を図36に基づいて説明する。
【0193】
図36は、図33に示す平板アンテナのグランドの長さを延長し、全体を絶縁体シート121で覆った平板アンテナ281を示す。この構造はアンテナを内蔵する携帯端末もしくは電気機器の筐体構造とアンテナに侵入する電気ノイズとを考慮し、かつアンテナの電気接地の効果を検討したとき、筐体内の金属(導体)部と電気接地が出来ない場合、アンテナ自体の特性を考慮してグランドを大きくする方法の一例である。なお、平板アンテナ281を覆う絶縁体シート121は、紙やポリエステルなどの絶縁効果の有る材質であれば何を選択しても良い。
【0194】
この平板アンテナ281を図33に示す該平板アンテナと同様に図34の該キーボード筐体に内蔵し、その固定をテープや接着剤(図示せず)により行った場合、平板アンテナ281はその全体を絶縁体で覆われているので、筐体内に存在する金属(導体)部品とは、電気的に接続されていない状態となる。この場合でも、アンテナへの電気ノイズの侵入が抑制でき、結果的に図20同様の電気ノイズの影響を改善した周波数利得特性が得られ、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0195】
次に本発明の実施例10を図37に基づいて説明する。
【0196】
図37は、図13に示す平板アンテナ201の該グランド部を延長した平板アンテナ291を示す。平板アンテナ291は、電気機器の筐体への内蔵スペースにおいて、電気ノイズの侵入を促す機器類および他の金属(導体)部品との距離が確保され、かつ上記に示した電気ノイズの各種低減方法を使用せずに本発明のアンテナの設計方法の効果のみでアンテナに侵入する電気ノイズを低減でき、さらに平板アンテナ291の固定ネジ通し穴10に通した固定ネジだけで筐体内に平板アンテナ291を固定でき、固定ネジを金属製としたとき、筐体内の金属(導体)部品に設けられたネジ受け穴(図示せず)との電気的に接続しても十分な電気接地の効果が得られない場合やアンテナ291自体で電気接地の効果を高める必要がある場合の一構造であり、この電気接地の効果を高めるときグランド部7の長さや幅は自由に選択できる。
【0197】
次に本発明の実施例11を図38に基づいて説明する。
【0198】
図38は、図37に示す該平板アンテナの構造を基に変形した平板アンテナ292を示す。この平板アンテナ292は、グランド部7の途中をアンテナ素子6、60とグランド7とが角度を有するように折り曲げ、この角度は、筺体内のアンテナを内蔵するスペースや周辺状況に応じ選択できる。この平板アンテナ292は、図37に示す説明内容に基づく構造の一例である。
【0199】
次に本発明の実施例12〜22を図39から図49に基づいて説明する。
【0200】
図39(実施例12)は、図13に図示した該平板アンテナ201の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ202の外観を示す。さらに同図点線円内は同軸ケーブル161の接続状態を示す。同軸ケーブル161の接続には、はんだ164を使用し、同軸ケーブル内導体162と外導体163とを該アンテナ給電部に電気的に接続している。なお、この接続方法は専用コネクタを使用するなどの他の方法でも良く、接続工程の容易さ、接続部の強度保持などの目的に応じ、選択することができる。また同軸ケーブル161の長さ方向は、アンテナの内蔵方法やケーブル収納方法などに応じて自由に選択できる。
【0201】
なお、以下図40から図49においても、同軸ケーブルの電気的な接続は、図36同様にはんだ付けにより行なっている。これら各図記載の各アンテナにおける接続方法も専用コネクタを使用するなどの他の方法の適用が可能で、接続工程の容易さ、接続部の強度保持などの目的に応じ、選択することができる。
【0202】
図40(実施例13)は、図21に図示した該平板アンテナ211の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ212の外観を示す。
【0203】
図41(実施例14)は、図25に図示した該平板アンテナ221の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ222の外観を示す。
【0204】
図42(実施例15)は、図28に図示した該平板アンテナ231の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ232の外観を示す。
【0205】
図43(実施例16)は、図30に図示した該平板アンテナ241の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ242の外観を示す。
【0206】
図44(実施例17)は、図31に図示した該平板アンテナ251の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ252の外観を示す。
【0207】
図45(実施例18)は、図33に図示した該平板アンテナ261の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ262の外観を示す。
【0208】
図46(実施例19)は、図35に図示した該平板アンテナ271の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ272の外観を示す。
【0209】
図47(実施例20)は、図36に図示した該平板アンテナ281の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ282の外観を示す。
【0210】
図48(実施例21)は、図37に図示した該平板アンテナ291の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ293の外観を示す。
【0211】
図49(実施例22)は、図38に図示した該平板アンテナ292の給電線に同軸ケーブル161を使用した平板アンテナ294の外観を示す。
【0212】
次に本発明の実施例23を図50に基づいて説明する。
【0213】
図50は、図39に示す誘電体基板を使用した該平板アンテナに同調回路171を該平板アンテナのサイズが大きいアンテナ素子6の開放端とグランド7を使用して搭載し、同調回路171に使用しているバリキャップダイオードへの印加電力値を変更することで動作周波数を変化することができる平板アンテナ2001を示す。同図点線円内は、同調回路171を示し、同調回路171は、グランド7とサイズが大きい放射素子6それぞれの一部分と回路パターン上に、バリキャップダイオード、コンデンサ、抵抗等の各種回路素子172を配置して構成し、バリキャップダイオードへの電力の印加は、はんだ164で電気的に接続された2本の細径の単線ケーブル173のもう一端を可変電力器(図示せず)に電気的に接続して行う。なお、図に示すはんだ164で接続された2本の細径の単線ケーブル173は、同調回路171の回路パターンを変更して専用のコネクタ等を使用し、同軸ケーブル等の他のケーブルを使用することもできる。
【0214】
図50の該平板アンテナに搭載された該同調回路に使用するバリキャップダイオードの印加電力に対する容量変化範囲は限定されているのが通常である。そのため、同調回路によりアンテナの動作周波数を変化させる場合、使用可能な印加電力範囲に対する容量変化を考慮したバリキャップダイオードと各種回路素子を選択して同調回路を構成し、かつ変化させるべき周波数範囲を網羅できるように同調回路を接続するアンテナの素子およびグランドの位置を選択しなければならない。該平板アンテナにおいては、LCD筐体内に内蔵する際のスペース、電気ノイズの影響も加味したLCD本体15の金属枠16との距離等も考慮した結果、大きいアンテナ素子6の開放端付近が最も同調回路を搭載するのに適した位置となる。
【0215】
この平板アンテナ2001を図15のLCD筐体に内蔵した場合、その内蔵状態は図29と同様であり、このときバリキャップダイオードに電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173をLCD本体裏側に通し、これら細径の単線ケーブル173をアンテナ2001の内蔵位置とは異なる位置にある可変電力器(図示せず)と接続し、バリキャップダイオードへの印加電力値を変更することで平板アンテナ2001の動作周波数を変更した場合、変更した全ての動作周波数帯においてアンテナへの電気ノイズの侵入を十分に抑制でき、結果的に図20同様の電気ノイズの影響を改善した周波数利得特性が得られ、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。なお、上記のバリキャップダイオードに電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173の引き回しは、LCD筐体内の電気ノイズの影響を考慮して、その位置や方向を決定しなければならない。この平板アンテナ2001の場合、これら2本の細径の単線ケーブル173をLCD本体裏側に引き回しても電気ノイズの影響は受けないことを確認済である。なお、図1に示す該ノート型PC1の場合、上記バリキャップダイオードに電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173は、該ノート型PC1のヒンジ部を通して、LCD筐体15からキーボード筐体12に引き回す場合もある。
【0216】
次に本発明の実施例24を図51に基づいて説明する。
【0217】
図51は、図50に示す該平板アンテナに搭載した同調回路に電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173の接続位置をスルーホール174により誘電体基板141の裏側に配置した平板アンテナ2002を示す。図51(a)は平板アンテナ2002のアンテナ素子(表)側からの外観を示し、図51(b)は基板裏側からの外観を示し、各点線円内は各側から見た同調回路部の表側と裏側をそれぞれ示している。図50において、細径の単線ケーブル173をはんだ164により電気的に接続していた位置(基板表側)に2つのスルーホール174を構成し、この2つのスルーホール174を基板裏側の2つの導体パッド175にそれぞれ電気的に繋げ、これら導体パッド175の一部分からはんだ164により2本の細径の単線ケーブル173を電気的に接続し、これら2本の細径の単線ケーブル173のもう一端を可変電力器(図示せず)に電気的に接続する。
【0218】
なおこれら導体パッド175に回路パターンを施し、専用のコネクタ等を設置することで2本の細径の単線ケーブル173を同軸ケーブル等の他のケーブルに置き換えることもできる。
【0219】
この平板アンテナ2002を図50と同様に図15の該LCD筐体に内蔵したときの内蔵状態も図29と同様であり、バリキャップダイオードへの印加電力値を変更することで平板アンテナ2002の動作周波数を変更した場合、変更した全ての動作周波数帯においてアンテナへの電気ノイズの侵入を十分に抑制でき、結果的に図20同様の電気ノイズの影響を改善した周波数利得特性が得られ、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。なお、この場合もバリキャップダイオードに電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173は、LCD筐体内の電気ノイズの影響を考慮して、LCD本体裏側に引き回しており、結果的に電気ノイズの影響は受けないことを確認済である。
【0220】
次に本発明の実施例25を図52に基づいて説明する。
【0221】
図52は、図50に示す該平板アンテナに搭載した同調回路に電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173の接続位置をスルーホール174と導体線路176とで誘電体基板141の裏側に配置した平板アンテナ2003を示す。図52(a)は平板アンテナ2003のアンテナ素子(表)側からの外観を示し、図52(b)は基板裏側からの外観をそれぞれ示す。図50において、細径の単線ケーブル173をはんだ164により電気的に接続していた位置(基板表側)に1つのスルーホール174を構成し、このスルーホール174を基板裏側に設けた導体線路176の一端に電気的に繋げ、この一端とは異なる基板長さ方向で平板アンテナ2003のグランド7に構成し基板裏側に設けた導体パッド175に繋げた別のスルーホール174の近辺まで導体線路176のもう一端を平板アンテナ2003のグランド7の裏側に配置しながら伸ばし、導体パッド175および導体線路176のもう一端のそれぞれの一部分にはんだ164により2本の細径の単線ケーブル173をそれぞれ電気的に接続し、これら2本の細径の単線ケーブル173のもう一端を可変電力器に電気的に接続する。なおこれら導体パッド175と導体線路176のもう一端に回路パターンを施し、専用のコネクタ等を設置することで2本の細径の単線ケーブル173を同軸ケーブル等の他のケーブルに置き換えることもできる。
【0222】
この平板アンテナ2003を図50と同様に図15の該LCD筐体に内蔵したときの内蔵状態も図29と同様であり、バリキャップダイオードへの印加電力値を変更することで平板アンテナ2003の動作周波数を変更した場合、変更した全ての動作周波数帯においてアンテナへの電気ノイズの侵入を十分に抑制でき、結果的に図20同様の電気ノイズの影響を改善した周波数利得特性が得られ、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。なお、この場合もバリキャップダイオードに電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173は、LCD筐体内の電気ノイズの影響を考慮して、LCD本体裏側に引き回しており、結果的に電気ノイズの影響は受けないことを確認済である。
【0223】
次に本発明の実施例26を図53に基づいて説明する。
【0224】
図53(a)は、図28に示す誘電体基板141を使用した該平板アンテナ231にそれぞれのグランドを共有し、増幅回路177(回路構成は図示せず)を搭載した平板アンテナ2011を示す。なお増幅回路177に送受信の切換回路が無い場合、平板アンテナ2011は受信アンテナに限定され、ここではこの送受信の切換回路が無いものとする。この増幅回路177は、低ノイズの増幅回路(Low Noise Amp.)など、使用目的と目標仕様等に応じ選択できる。図53では、同軸ケーブル161を増幅回路177の出力端に電気的に接続し、給電点に回路素子172を置き、平板アンテナ2011のアンテナ素子6、60と増幅回路177とを電気的に接続している。増幅回路177に電気的に接続した同軸ケーブル161からアンテナ自体の周波数共振特性は確認できないため、この回路素子172を外し、この外した位置でアンテナ自体の特性確認やアンテナと増幅回路との接続特性の調整などが容易に可能になる。
【0225】
なお回路素子172を0オームの抵抗とした場合、図53(b)のようにアンテナ素子6、60と増幅回路177が直接導体で繋がった状態に等しくなる。また回路素子172を単数もしくは複数とし、アンテナ素子6、60と増幅回路177の整合状態を調整することも可能になる。また増幅回路177に電気的に接続された2本の細径の単線ケーブル173は、増幅回路177への動作電力の供給に使用し、もう一端を安定化(可変)電力器に接続する。なお増幅回路177への動作電力の供給は、同軸ケーブル等の他のケーブルを使用することができる。
【0226】
なお増幅回路は、アンテナの送受信信号の強度を増幅し、かつアンテナと送受信チューナー(モジュール)とを接続するケーブル等の伝送線路の損失を補正するものである。そのため、送受信の切換回路の有無に関わらず増幅回路は、アンテナの信号入出力部である給電点に接続した伝送線路と送受信チューナー(モジュール)に接続した伝送線路とを接続する。図53の該平板アンテナ2011は該増幅回路177を給電点付近のグランドのスペースに搭載し、一端には給電点から伸びた回路基板上の伝送線路が、もう一端には同軸ケーブルが電気的に接続されている。内蔵アンテナの場合、筐体に内蔵する際のスペース、伝送線路の損失、電気ノイズの影響などを考慮して増幅回路の搭載位置を選択する必要があり、該平板アンテナでは、給電点と増幅回路間の伝送線路の損失が抑えられ、内蔵時に邪魔にならない位置に増幅回路を搭載している。
【0227】
この平板アンテナ2011を図15の該LCD筐体に内蔵した場合、その内蔵状態は図29と同様であり、増幅回路177に電力を供給する2本の細径の単線ケーブル173をLCD本体裏側に通し、これら細径の単線ケーブル173をアンテナ2011内蔵位置とは異なる位置にある安定化(可変)電力器に接続した場合、結果的に得られる周波数利得特性は、電気ノイズ自体が増幅される傾向も無く、図20に増幅回路177の効果が足された特性となる。すなわち、これはアンテナへの電気ノイズの侵入を十分に抑制できていることであり、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。なお、増幅回路177に電力を供給する2本の細径の単線ケーブル173の引き回しは、LCD筐体内の電気ノイズの影響を考慮して、その位置や方向を決定しなければならない。この平板アンテナ2011の場合、これら2本の細径の単線ケーブル173をLCD本体裏側に引き回しても電気ノイズの影響は受けないことを確認済である。なお、図1に示すノート型PC1の場合、上記増幅回路に動作電力を供給する2本の細径の単線ケーブルは、ノート型PC1のヒンジ部を通して、LCD筐体からキーボード筐体12に引き回す場合もある。
【0228】
次に本発明の実施例27を図54と図55に基づいて説明する。
【0229】
図54は、図53(a)に示す該平板アンテナ2011の増幅回路177(回路構成は図示せず)への動作電力の供給を、増幅回路177の出力端に電気的に接続された同軸ケーブル161にその動作電力を重畳することにより行う平板アンテナ2012を示す。本発明のアンテナでは、同軸ケーブル161への増幅回路177の動作電力の重畳方法は、一般的な方法でも問題は無く、この構成により図53に示す動作電力供給用の2本の細径の単線ケーブルを省くことが可能となる。
【0230】
図55は、図54の該平板アンテナ2012を図15の該LCD筐体に内蔵し、該平板アンテナ2012に搭載された増幅回路177の出力端に接続した同軸ケーブル161のもう一端をキーボード筐体内のマザーボード124上に設置された受信チューナー(モジュール)178に電気的に接続している状態を示す。なお、該平板アンテナ2012の内蔵状態は図29と同様である。図54の同軸ケーブル161の引き回し方は、ノート型PCにおいては一般的な方法であり、同軸ケーブル161はLCD筐体とキーボード筐体とを接続するヒンジ部125を通している。さらにLCD筐体内の電気ノイズを考慮し、LCD本体15の金属枠16とインバータ17との接触を避けるように増幅回路の出力端に接続した同軸ケーブル161を配置している。この平板アンテナ2012に搭載した増幅回路177の動作電力を同軸ケーブル161に重畳する場合、送受信信号と分離して増幅回路177の動作電力を同軸ケーブル161上に重畳できる回路構成が、図の受信チューナー178に追加される。
【0231】
図55に示す内蔵状態において、受信チューナー178に平板アンテナ2012に搭載した増幅回路177の動作電力を同軸ケーブル161に送受信信号と分離して重畳する回路構成を追加した場合でも、得られる周波数利得特性は、電気ノイズ自体が増幅される傾向も無く、図20に増幅回路177の効果が足された特性となる。すなわち、これはアンテナへの電気ノイズの侵入を十分に抑制できていることであり、よって電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0232】
次に本発明の実施例28を図56に基づいて説明する。
【0233】
図56は、図53(a)に示す該平板アンテナ2011に搭載された増幅回路177(回路構成図示せず)の裏側にスルーホール174を使用し、増幅回路用グランド179を設けた平板アンテナ2013を示す。この平板アンテナ2013も図55と同様な内蔵状態においても良好な特性が得られ、電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0234】
次に本発明の実施例29を図57に基づいて説明する。
【0235】
図57は、図54の平板アンテナ2012に搭載された増幅回路177(回路構成図示せず)の裏側にスルーホール174を使用し、増幅回路用グランド179を設けた平板アンテナ2014を示す。この平板アンテナ2014も図55と同様な内蔵状態においても良好な特性が得られ、電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0236】
次に本発明の実施例30を図58に基づいて説明する。
【0237】
図58は、図57に示す平板アンテナ2014に、図51に示す該同調回路の構成(2つのスルーホール、2つの導体パッド、2本の細径の単線ケーブル173を使用)を該平板アンテナの増幅回路を搭載した長さ方向の位置と反対の方向の位置に搭載し、同調回路と増幅回路の両方を具備した平板アンテナ2021を示す。この平板アンテナ2021を図55と同様な内蔵状態とし、かつ図50同様にバリキャップダイオードに電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173をLCD筐体内の電気ノイズの影響を考慮して、LCD本体裏側に引き回し、バリキャップダイオードへの印加電力値を変更することで平板アンテナ2021の動作周波数を変更した場合、変更した全ての動作周波数帯において、電気ノイズ自体が増幅される傾向も無く、図20に増幅回路177の効果が足された周波数利得特性が得られ、結果この実施例においても、電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。なお、図55と同様に平板アンテナ2021をLCD筐体に内蔵した際、バリキャップダイオードに電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173は、LCD筐体内の電気ノイズを考慮した引き回しを用いることで、増幅回路の出力端に接続した同軸ケーブル161と同様にヒンジ部を通して、キーボード筐体内に配置することも可能である。
【0238】
次に本発明の実施例31を図59に基づいて説明する。
【0239】
図59は、図57に示す該平板アンテナ2014に、図52に示す該同調回路の構成(1つのスルーホール、導体線路176使用)を該平板アンテナの増幅回路を搭載した長さ方向の位置と反対の方向の位置に搭載し、同調回路と増幅回路の両方を具備した平板アンテナ2022を示す。図59では、同調回路171に電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173のそれぞれを導体線路176の片端と増幅回路用グランド179にはんだ164で電気的に接続している。この平板アンテナ2022を図55と同様な内蔵状態とし、かつ図50同様にバリキャップダイオードに電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173をLCD筐体内の電気ノイズの影響を考慮して、LCD本体裏側に引き回し、バリキャップダイオードへの印加電力値を変更することで平板アンテナ2022の動作周波数を変更した場合、変更した全ての動作周波数帯において、電気ノイズ自体が増幅される傾向も無く、図20に増幅回路177の効果が足された周波数利得特性が得られ、結果この実施例においても、電気ノイズを改善した内蔵アンテナを実現できる。なお、図55と同様に平板アンテナ2021をLCD筐体に内蔵した際、バリキャップダイオードに電力を印加する2本の細径の単線ケーブル173は、LCD筐体内の電気ノイズを考慮した引き回しを用いることで、増幅回路の出力端に接続した同軸ケーブル161と同様にヒンジ部を通して、キーボード筐体内に配置することも可能である。
【0240】
また図58と図59に示す該平板アンテナにおいて、増幅回路に動作電力を供給する方法として、動作電力を重畳した同軸ケーブルを使用する代わりに、図53に示すように2本の細径の単線ケーブルを用いても同様に良好な特性が得られる。
【0241】
以上のように本発明では、携帯端末および電気機器の筐体内に存在する電気ノイズ発生源から発生し、筐体内の金属(導体)部を伝達し、または空間を伝達し、携帯端末および電気機器に内蔵したアンテナに侵入する電気ノイズに対し、内蔵アンテナのアンテナ素子とグランドのそれぞれが独立して機能することを考慮した設計方法を用いて、電気ノイズの伝達経路を大幅に低減する構造とその内蔵方法とを用いて、さらに電磁誘導による電気ノイズのアンテナへの侵入を低減する構造を用いることにより、携帯端末および電気機器内の筐体内の構造を加工するなどの変更を施すことなく、内蔵アンテナのみで電気ノイズの対策を施し、その結果、電気ノイズの影響を改善した内蔵アンテナを実現できる。
【0242】
また本発明によれば、アンテナ自体は簡単な構造であるので、本発明のアンテナの製作は簡単であり、既存の製造技術および設備を利用できることから、生産性に優れ、かつ安価で取扱いが容易な電気ノイズの影響を改善した内蔵アンテナを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】本発明が解決する問題に係るアンテナを内蔵する携帯端末および電気機器の一例を示す図である。
【図2】本発明が解決する問題に係るアンテナを内蔵する携帯端末および電気機器の一例を説明する図である。
【図3】本発明が解決する問題に係るアンテナを内蔵する携帯端末および電気機器の一例を説明する図である。
【図4】本発明が解決する問題に係るアンテナを内蔵する携帯端末および電気機器の一例を説明する図である。
【図5】本発明が解決する問題に係る携帯端末および電気機器に内蔵したアンテナを示す図である。
【図6】本発明が解決する問題に係る携帯端末および電気機器に内蔵したアンテナを説明する図である。
【図7】本発明が解決する問題に係る携帯端末および電気機器に内蔵したアンテナを説明する図である。
【図8】本発明が解決する問題に係る携帯端末および電気機器に内蔵したアンテナの特性を説明する図である。
【図9】本発明が解決する問題に係る携帯端末および電気機器に存在する電気ノイズを説明する図である。
【図10】本発明が解決する問題に係る携帯端末および電気機器に存在する電気ノイズを説明する図である。
【図11】本発明のアンテナ設計に係る考察を説明する図である。
【図12】本発明のアンテナ設計に係る考察による効果を示す図である。
【図13】本発明の実施例1に係る構造の例を示す図である。
【図14】本発明の実施例1に係る特性の例を示す図である。
【図15】本発明の実施例1に係る携帯端末および電気機器への内蔵方法を説明する図である。
【図16】本発明の実施例1に係る携帯端末および電気機器への内蔵方法を説明する図である。
【図17】本発明の実施例1に係る特性を示す図である。
【図18】本発明の実施例1に係る特性を説明する図である。
【図19】本発明の実施例1に係る特性を示す図である。
【図20】本発明の実施例1に係る特性を示す図である。
【図21】本発明の実施例2に係る構造を示す図である。
【図22】本発明の実施例2に係る携帯端末および電気機器への内蔵方法を説明する図である。
【図23】本発明の実施例2に係る携帯端末および電気機器への内蔵方法を説明する図である。
【図24】本発明の実施例2に係る特性を示す図である。
【図25】本発明の実施例3に係る構造を示す図である。
【図26】本発明の実施例3に係る携帯端末および電気機器への内蔵方法を説明する図である。
【図27】本発明の実施例3に係る携帯端末および電気機器への内蔵方法を説明する図である。
【図28】本発明の実施例4に係る構造を示す図である。
【図29】本発明の実施例4に係る携帯端末および電気機器への内蔵方法を説明する図である。
【図30】本発明の実施例5に係る構造を示す図である。
【図31】本発明の実施例6に係る構造を示す図である。
【図32】本発明の実施例6に係る携帯端末および電気機器への内蔵方法を説明する図である。
【図33】本発明の実施例7に係る構造を示す図である。
【図34】本発明の実施例7に係る携帯端末および電気機器への内蔵方法を説明する図である。
【図35】本発明の実施例8に係る構造を示す図である。
【図36】本発明の実施例9に係る構造を示す図である。
【図37】本発明の実施例10に係る構造を示す図である。
【図38】本発明の実施例11に係る構造を示す図である。
【図39】本発明の実施例12に係る構造を示す図である。
【図40】本発明の実施例13に係る構造を示す図である。
【図41】本発明の実施例14に係る構造を示す図である。
【図42】本発明の実施例15に係る構造を示す図である。
【図43】本発明の実施例16に係る構造を示す図である。
【図44】本発明の実施例17に係る構造を示す図である。
【図45】本発明の実施例18に係る構造を示す図である。
【図46】本発明の実施例19に係る構造を示す図である。
【図47】本発明の実施例20に係る構造を示す図である。
【図48】本発明の実施例21に係る構造を示す図である。
【図49】本発明の実施例22に係る構造を示す図である。
【図50】本発明の実施例23に係る構造を示す図である。
【図51】本発明の実施例24に係る構造を示す図である。
【図52】本発明の実施例25に係る構造を示す図である。
【図53】本発明の実施例26に係る構造を示す図である。
【図54】本発明の実施例27に係る構造を示す図である。
【図55】本発明の実施例27に係る携帯端末および電気機器への内蔵方法を説明する図である。
【図56】本発明の実施例28に係る構造を示す図である。
【図57】本発明の実施例29に係る構造を示す図である。
【図58】本発明の実施例30に係る構造を示す図である。
【図59】本発明の実施例31に係る構造を示す図である。
【符号の説明】
【0244】
1 ノート型PC
11 LCD筐体
12 キーボード筐体
120 キーボード筐体ケース
122 キーボード筐体上面カバー
123 キーボード本体
124 マザーボード
125 ヒンジ部
13 LCD筐体前面カバー
14 LCD筐体ケース
15 LCD本体
16 金属枠
17 インバータ回路
18 アンテナカバー
19 ネジ受け穴
2、201〜203、211〜212、221〜222、231〜232、
241〜242、251〜252、261〜262、271〜272、
281〜282、291〜294、2001〜2003、2011〜2014、
2021〜2022 平板アンテナ
3 固定ネジ
41、42 周波数利得特性
5 電気ノイズ発生源(発振器)
51、52 電気ノイズ
6、60 アンテナ素子
7 グランド
8 給電点
9 電磁誘導ループ
10 固定ネジ通し穴
101 短絡素子
111、112 電流
121 絶縁体シート
131 軟性導体シート
141 誘電体基板
151 固定用テープ
152、153 固定用テープ取付け部
161 同軸ケーブル
162 同軸ケーブル内導体
163 同軸ケーブル外導体
164 はんだ
171 同調回路
172 回路素子
173 単線ケーブル
174 スルーホール
175 導体パッド
176 導体線路
177 増幅回路
178 受信チューナー(モジュール)
179 増幅回路用グランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子と、該アンテナ素子に電力を供給するための給電部と、該給電部に電気的に接続されるアンテナ整合用の短絡素子と、該短絡素子に接続されるグランドとからなるアンテナにおいて、該アンテナが金属製の筐体内に内蔵され、該金属製の筐体と上記グランドとが電気的に接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
携帯端末や電気機器の筐体に内蔵するアンテナで、単数もしくは複数の放射素子を具備し、グランドを具備し、該グランドが筐体の金属(導体)部と電気的に接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項3】
携帯端末や電気機器の筐体に内蔵するアンテナで、複数の放射素子を具備し、ループ構造の放射素子部を具備し、グランドを具備し、該グランドが筐体の金属(導体)部と電気的に接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のアンテナであって、携帯端末や電気機器の筐体に内蔵したとき、該アンテナのグランドが筐体内で近接する金属(導体)部品と対向するように具備されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項5】
請求項2又は請求項4記載のアンテナであって、該アンテナの放射素子とグランドの間に少なくとも1つのスリット構造を具備することを特徴とするアンテナ。
【請求項6】
請求項1、請求項3、請求項4のいずれかに記載のアンテナであって、給電点を境に該アンテナの放射素子とグランドの間に1つのスリット構造と1つのループ構造を具備し、スリット構造のサイズがループ構造のサイズよりも大きいことを特徴とするアンテナ。
【請求項7】
請求項6記載のアンテナであって、携帯端末や電気機器の筐体に内蔵したとき、該アンテナのループ構造が筐体内で近接する金属(導体)部品から離れた位置に設置されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項8】
請求項5又は請求項7記載のアンテナであって、該アンテナの放射素子が複数ある場合、1つの放射素子とグランドの間に少なくとも1つの放射素子を具備していることを特徴とするアンテナ。
【請求項9】
請求項4から請求項8のいずれかに記載のアンテナであって、該アンテナのグランドと少なくとも1つの放射素子とが対向するように配置されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項10】
請求項7又は請求項8記載のアンテナであって、該アンテナが具備するループ構造が筐体内の近接する金属(導体)部品と対向するグランドの部分を含まないことを特徴とするアンテナ。
【請求項11】
請求項10記載のアンテナであって、該アンテナが具備するループ構造の大部分が該アンテナの放射素子を使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項12】
請求項9から請求項11のいずれかに記載のアンテナであって、1つの放射素子とグランドの間に配置された他の放射素子が、該アンテナの整合特性に寄与していることを特徴とするアンテナ。
【請求項13】
請求項9から請求項11のいずれかに記載のアンテナであって、該アンテナのループ構造が、該アンテナの整合特性に寄与していることを特徴とするアンテナ。
【請求項14】
請求項4から請求項13のいずれかに記載のアンテナであって、該アンテナの該グランドと筐体の金属(導体)部とを電気的に接続していないことを特徴とするアンテナ。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載のアンテナであって、該アンテナの全体もしくは該アンテナを部分的に絶縁体で覆ったことを特徴とするアンテナ。
【請求項16】
請求項12から請求項15のいずれかに記載のアンテナであって、筐体内の電気ノイズのアンテナに与える特性劣化の影響を低減したことを特徴とするアンテナ。
【請求項17】
請求項16記載のアンテナであって、筐体内の電気ノイズの影響を低減するために絶縁体を使用したことを特徴とするアンテナ。
【請求項18】
請求項16記載のアンテナであって、筐体内の電気ノイズの該アンテナへの伝達経路を大幅に削減したことを特徴とするアンテナ。
【請求項19】
請求項16記載のアンテナであって、筐体内の電気ノイズの該アンテナへの空間を介した伝達を遮断する構造として、該アンテナのグランドを用いることを特徴とするアンテナ。
【請求項20】
請求項16から請求項19のいずれかに記載のアンテナであって、該アンテナが導体の平板で構成されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項21】
請求項16から請求項19のいずれかに記載のアンテナであって、該アンテナが誘電体基板上の導体で構成されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項22】
請求項16から請求項19のいずれかに記載のアンテナであって、異なる導電性部材を電気的に接続し組み合わせることで、構造を構成できることを特徴とするアンテナ。
【請求項23】
請求項22記載のアンテナであって、該アンテナを構成する部材を筐体内での該アンテナの固定に使用できることを特徴とするアンテナ。
【請求項24】
請求項22記載のアンテナであって、該アンテナを固定すると同時に筐体内の金属および導体部品を該アンテナのグランドの一部として使用できることを特徴とするアンテナ。
【請求項25】
請求項16から請求項24のいずれかに記載のアンテナであって、該アンテナの給電に同軸ケーブルを使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項26】
請求項25記載の同軸ケーブルが、該アンテナの素子と対向しない方向に延ばして、アンテナの給電点に接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項27】
請求項25又は請求項26記載の同軸ケーブルが、携帯端末や電気機器の筐体にアンテナを内蔵したとき、該同軸ケーブルと筐体内に設置された送受信チューナ(モジュール)との接続距離を短くできる方向に延ばしていることを特徴とするアンテナ。
【請求項28】
請求項25から請求項27のいずれかに記載の同軸ケーブルが、電気ノイズの影響を考慮して筐体内に配置されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項29】
請求項28記載のアンテナであって、動作周波数を調整できる同調回路を具備したことを特徴とするアンテナ。
【請求項30】
請求項29記載のアンテナであって、同調回路が該アンテナの放射素子の開放端周辺のグランド上に設置されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項31】
請求項29記載のアンテナであって、同調回路が該アンテナの放射素子の開放端部分に接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項32】
請求項29から請求項31のいずれかに記載のアンテナであって、同調回路に電力を印加する給電線路の一部に導体線路を使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項33】
請求項29から請求項32のいずれかに記載の誘電体基板上に構成されたアンテナであって、同調回路に電力を印加する給電線路の一部がスルーホールを介し、該アンテナのパターンが形成された面と異なる面の導体線路を使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項34】
請求項29から請求項33のいずれかに記載のアンテナであって、同調回路に電力を印加する給電線路が接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項35】
請求項29から請求項34のいずれかに記載の誘電体基板上に構成されたアンテナであって、同調回路に電力を印加する給電線路が該アンテナパターンを形成している面と同じ面で接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項36】
請求項29から請求項34のいずれかに記載の誘電体基板上に構成されたアンテナであって、同調回路に電力を印加する給電線路が該アンテナパターンを形成している面と異なる面で接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項37】
請求項34から請求項36のいずれかに記載の給電線路が電気ノイズの影響を考慮して筐体内に配置されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項38】
請求項34から請求項37のいずれかに記載の給電線路に同軸ケーブルを使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項39】
請求項34から請求項37のいずれかに記載の給電線路に単芯のケーブルを複数使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項40】
請求項34から請求項37のいずれかに記載の給電線路にフラットケーブルを使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項41】
請求項25記載のアンテナであって、送受信信号強度の増幅と損失補正を行う増幅回路を具備したことを特徴とするアンテナ。
【請求項42】
請求項41記載のアンテナであって、増幅回路が該アンテナの給電点付近のグランド上に設置されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項43】
請求項41記載のアンテナであって、増幅回路が該アンテナの給電点に導体線路を介して接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項44】
請求項41記載のアンテナであって、増幅回路と該アンテナの給電点を結ぶ導体線路にギャップを設け、このギャップに回路素子を用いて両者を接続することを特徴とするアンテナ。
【請求項45】
請求項44記載のアンテナであって、ギャップに接続する回路素子を複数用いて、アンテナ整合をできることを特徴とするアンテナ。
【請求項46】
請求項44記載のアンテナであって、ギャップを用いて電気的にアンテナ特性を検査できることを特徴とするアンテナ。
【請求項47】
請求項41から請求項46のいずれかに記載の誘電体基板上に構成されたアンテナであって、増幅回路を搭載した面と異なる面にスルーホールを介し、増幅回路専用のグランドを具備したことを特徴とするアンテナ。
【請求項48】
請求項41から請求項47のいずれかに記載のアンテナであって、増幅回路と送受信チューナーとの送受信に使用する信号線路が増幅回路に接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項49】
請求項48記載の信号線路が電気ノイズの影響を考慮して筐体内に配置されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項50】
請求項48又は請求項49記載の信号線路に同軸ケーブルを使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項51】
請求項48又は請求項49記載の給電線路に単芯のケーブルを複数使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項52】
請求項48又は請求項49記載の給電線路にフラットケーブルを使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項53】
請求項41から請求項49のいずれかに記載のアンテナであって、増幅回路に動作電力を供給する給電線路が接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項54】
請求項41から請求項49、請求項53のいずれかに記載のアンテナであって、給電線路が増幅回路に直接接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項55】
請求項41から請求項49、請求項53のいずれかに記載の誘電体基板上に構成されたアンテナであって、給電線路が該アンテナパターンを形成している面と同じ面で接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項56】
請求項41から請求項49、請求項53のいずれかに記載の誘電体基板上に構成されたアンテナであって、給電線路が該アンテナパターンを形成している面と異なる面で接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項57】
請求項53記載の給電線路が電気ノイズの影響を考慮して筐体内に配置されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項58】
請求項57記載の給電線路に同軸ケーブルを使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項59】
請求項57記載の給電線路に単芯のケーブルを複数使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項60】
請求項57記載の給電線路にフラットケーブルを使用していることを特徴とするアンテナ。
【請求項61】
請求項41から請求項49のいずれかに記載のアンテナであって、信号線路に増幅回路の動作電力を重畳し、増幅回路に動作電力を給電すること特徴とするアンテナ。
【請求項62】
請求項1から請求項28のいずれかに記載のアンテナであって、請求項29から請求項40記載の同調回路と請求項41から請求項60記載の増幅回路とを同時に具備したことを特徴とするアンテナ。
【請求項63】
請求項61記載のアンテナであって、同調回路と増幅回路とが該アンテナ上の異なる位置に搭載されたことを特徴とするアンテナ。
【請求項64】
請求項61又は請求項62記載のアンテナであって、同調回路に電力を印加する給電線路と増幅回路に動作電力を供給する給電線路がそれぞれ異なる位置で接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項65】
請求項25記載のアンテナであって、該アンテナの構造設計に構造を自動的に算出する計算プログラムを使用したことを特徴とするアンテナ。
【請求項66】
請求項65記載の計算プログラムにおいて、アンテナの放射素子とグランドの境界を定義することで放射素子とグランドのそれぞれが独立して機能することを考慮した構造計算により設計されたことを特徴とするアンテナ。
【請求項67】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを用いたデジタル信号波送受信用のアンテナ。
【請求項68】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを用いたデジタル信号波受信用のアンテナ。
【請求項69】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを用いたデジタル信号波受信用の同調型アンテナ。
【請求項70】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを用いたデジタル信号波送信用のアンテナ。
【請求項71】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを用いたデジタル信号波送信用の同調型アンテナ。
【請求項72】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを用いたアナログ信号波送受信用の内蔵アンテナ。
【請求項73】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを用いたアナログ信号波受信用の内蔵アンテナ。
【請求項74】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを用いたアナログ信号波受信用の同調型アンテナ。
【請求項75】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを用いたアナログ信号波送信用の内蔵アンテナ。
【請求項76】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを用いたアナログ信号波送信用の同調型アンテナ。
【請求項77】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを内蔵した携帯端末。
【請求項78】
請求項1から請求項66のいずれかに記載のアンテナを内蔵した電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【公開番号】特開2009−38507(P2009−38507A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199711(P2007−199711)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】