説明

アンテナを地球の極地の上方に指向させている静止衛星に基づく低軌道の地球観測衛星のための極地における仮想的な人工衛星地上局

本願発明は、地球の周りの一の軌道で動作する人工衛星と、地球の周りの他の軌道で動作する人工衛星と、を備える人工衛星システムであって、前記人工衛星が、固定ビームを、前記人工衛星が通過する地球表面の上方の区域に少なくとも一時的に指向させる、人工衛星システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、地球上の人工衛星地上局(SGS)と1つ又は複数の極軌道の低地球周回軌道(LEO)の宇宙機(例えば、人工衛星)との間の通信に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の人工衛星地上局は、地球の周りのその軌道(一般的に、1日当たり14周回)のそれぞれで、特定の極軌道の低地球周回軌道の地球観測衛星(EO)を見ることができない。低地球周回軌道の人工衛星がテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロール(TT&C、Telemetry, Telecommand & Control)を交換することができない、又はタスクコマンド(tasking command)を受信することができない、又は様々な連続的な軌道中に画像データ(imagery data)又はセンサーデータをダウンロードすることができないことが起こる可能性がある。
【0003】
付与された人工衛星地上局のための可視期間の数は、人工衛星地上局の緯度に依存しており、一般的に、平均1日あたり各10分の5回の交信が欧州の緯度(例えば、トゥールーズにおいて)から達成されることができ、極地の人工衛星地上局(例えば、スウェーデン又はスバールバル諸島に位置する人工衛星地上局)によって平均1日あたり各10分の10回までの交信が達成されることができる。
【0004】
しかしながら、極地における人工衛星地上局でさえ、又は人工衛星地上局のネットワークでさえ、環境は理想的ではなく、多くの問題に直面している。それらの問題は、外国に位置した地球上の手段(terrestrial means)を使用する、技術的ではない主権の問題を含む。
【0005】
さらに、通信渋滞の問題が存在する。ますます、データの流れを増加させた状態の地球観測衛星は、既存の極地における人工衛星地上局を使用している。次世代の人工衛星が、特に北極で、既存の帯域幅を混雑させるであろうことは、予測される。
【0006】
さらなる技術的問題は、全ての軌道が人工衛星地上局によって見られるとはかぎらないことである。それに加えて、メインの極地における人工衛星地上局が北半球にあるので、極地における人工衛星地上局を南半球に確立することは難しい。結果として、複数の軌道の南半球部分は、最適な方法で使用されていない。
【0007】
先行技術は主に、以下の2つのアプローチによって、それらの問題を解決しようとした。両方のアプローチは、データ中継人工衛星を使用する。第1のアプローチは、無線周波数(RF)の衛星間回線とともにデータ中継人工衛星を使用する一方、第2のアプローチは、光学レーザーの衛星間回線とともにデータ中継人工衛星を使用する。
【0008】
中継人工衛星が無線周波数の衛星間回線を使用する場合、低地球周回軌道の人工衛星を追跡するためのアンテナが必要とされる。これは、潜在的な振動の問題、寿命の問題、及び重量の問題を有する追跡機構の必要性を含む。さらに、この技術は、視線方向(line of sight)を獲得するために、データ中継人工衛星のアンテナを動かす必要があり、通信中に低軌道の地球観測衛星を追跡することによって追従させる。さらに、それは、次の地球観測衛星を捕捉するために、アンテナの大きな動きを必要とする。さらなる問題は、一般的に、それらの追跡型アンテナが巨大であり、且つかなり大きく、高価な人工衛星のみに適応することができることである。
【0009】
中継人工衛星が光学レーザーの衛星間回線を使用する場合、その通信は、光学回線を通じて確立される。該通信は、該光学回線の両端で追跡することを必要とし、且つ一般的に軽量な追跡機構を含む。
【0010】
しかしながら、数年内に実際に飛行するであろう光学レーザー端子のモデルは重く且つ高価であり、それ故に、この技術を、大型の地球観測衛星、資金が十分にある/資金が豊富な地球観測衛星のプログラム、大きなデータファイルの転送が必要な地球観測衛星などの1つ又は複数の特徴を有する低軌道地球観測衛星に適合することは、制限される。
【0011】
光学レーザー技術の他の問題は、静止衛星と低軌道の地球観測衛星との間の視線方向を獲得するために必要とされる時間である。この期間は、数十秒と同じ程度とされる場合がある。この期間中には、データ中継人工衛星と低軌道の人工衛星との間のデータ通信が存在しない。それ故に、このシステムの通信効率が減少する。
【0012】
先行技術のさらなる情報は、非特許文献1〜3に見つけることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】European Data Relay System: The Space Segment, R. Giubilei, M Lisi and A. Morando Alenia SpazioSpA - Via Saccomuro, 2400131 Roma - Italy - AIAA-94-0906-CP;
【非特許文献2】The European Data Relay System: Present Concept and Future Evolution, Glullano Berretta, Agostino de Acostini, and Antony Dickinson - Proceedings of the IEEE, Vol. 78, No. 7, July 1990; and
【非特許文献3】Future Perspectives for the New European Data Relay System, M. Lucente, E. Re, T. Rossi, M. De Sanctis, C. Stallo, E. Cianca, M. Ruggieri, R. Winkler, A. Pandolfi.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
先行技術の問題、特に、通信中に低軌道地球観測衛星の追跡によって追従される視線方向を獲得するために、データ中継人工衛星のアンテナの動きを含む追跡機構の必要性の問題を克服することは、本願発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明の目的は、請求項1に記載の人工衛星システム、請求項8に記載の人工衛星、及び請求項13の人工衛星システムのための方法によって解決される。
【0016】
一の実施形態において、本願発明は、地球の周りの一の軌道で動作する人工衛星と、地球の周りの他の軌道で動作する人工衛星と、を備える人工衛星システムにおいて、前記人工衛星が、固定ビームを、前記人工衛星が通過する地球表面の上方の区域に少なくとも一時的に指向させる人工衛星システムを提供する。
【0017】
本願発明の他の実施形態は、前記人工衛星が静止衛星であり、その軌道が静止軌道であり、前記他の人工衛星は低地球周回軌道の人工衛星であり、その軌道は低地球周回軌道である、人工衛星システムを提供する。
【0018】
本願発明の他の実施形態は、前記人工衛星が、2つ以上の固定ビームを、少なくとも1つの人工衛星がそれらの区域のそれぞれを通過する地球表面の上方の2つ以上の区域に少なくとも一時的に指向させる、人工衛星システムを提供する。
【0019】
本願発明の他の実施形態は、一の人工衛星が1つの固定ビームを、地球の北極の上方の超極地空間の区域、又は地球の南極の上方の超極地空間の区域に少なくとも一時的に指向させ、又は第1の固定ビームを、地球の北極の上方の超極地空間の区域に少なくとも一時的に指向させるとともに、第2の固定ビームを、地球の南極の上方の超極地空間の区域に少なくとも一時的に指向させる、人工衛星システムを提供する。
【0020】
他の実施形態は、該人工衛星システムが地球上の人工衛星地上局(terrestrial satellite ground station)をさらに備えており、該地球上の人工衛星地上局と1つ又は複数の他の人工衛星との間の通信が、それらの通信のための中継人工衛星として動作する前記一の人工衛星を介して送信される、人工衛星システムを提供する。
【0021】
本願発明の他の実施形態は、前記一の人工衛星と前記1つ又は複数の他の人工衛星との間の通信が、前記一の人工衛星の固定ビームを介して行われる、人工衛星システムを提供する。
【0022】
本願発明の他の実施形態は、前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局が、赤道、中央緯度、及び極地における中継ステーションであり、前記中継ステーションはそれぞれ、地球の赤道に沿った外周に、地球の中央緯度の領域に、及び地球の極地に隣接して配置されている、人工衛星システムを提供する。
【0023】
本願発明の他の実施形態は、地球の周りの軌道で動作する人工衛星であって、1つ又は複数のアンテナを備えており、該1つ又は複数のアンテナが1つ又は複数の固定ビームを1つ又は複数の地球表面の上方の区域に少なくとも一時的に指向させている、人工衛星を提供する。
【0024】
本願発明の他の実施形態は、前記人工衛星が静止衛星であり、前記軌道が静止軌道である人工衛星を提供する。
【0025】
本願発明の他の実施形態は、前記1つ又は複数の区域が、前記地球の北極の上方の超極地空間の区域、又は前記地球の南極の上方の超極地空間の区域、又は北極及び南極の上方の超極地空間の区域である、人工衛星を提供する。
【0026】
本願発明の他の実施形態は、該人工衛星が、1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局と前記地球の周りの軌道で周回している1つ又は複数の人工衛星との間の通信のための中継人工衛星となることを可能にする手段をさらに備えており、前記人工衛星が、前記1つ又は複数の人工衛星との通信のために、その固定ビームを使用する、人工衛星を提供する。
【0027】
本願発明の他の実施形態は、1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局が、赤道、中央緯度、及び極地における中継ステーションであり、前記中継ステーションはそれぞれ、地球の赤道に沿った外周に、地球の中央緯度の領域、及び地球の極地に隣接して配置されている、人工衛星を提供する。
【0028】
本願発明の他の実施形態は、地球の周りの軌道で動作する1つ又は複数の人工衛星と、地球の周りの軌道で動作する1つ又は複数の人工衛星と、1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局と、を備えている人工衛星システムのための方法であって、(1)前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局からのメッセージを、回線を介して前記1つ又は複数の人工衛星で受信するステップと、(2)前記1つ又は複数の人工衛星の固定ビームを介して、格納されたメッセージを前記1つ又は複数の人工衛星のそれぞれに転送するステップと、(3)前記1つ又は複数の人工衛星の固定ビームを介して、前記1つ又は複数の人工衛星からのメッセージを受信するステップと、(4)格納されたメッセージを、前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局(5)のそれぞれに転送するステップと、を備えていることを特徴とする方法を提供する。
【0029】
上り回線及び下り回線の両方にとって、該メッセージは、すぐに転送されることができる(同期送信)。しかしながら、本願発明はまた、メッセージがすぐに転送することができないが、それらのメッセージを転送する前に該メッセージを格納する場合を開示する(非同期送信)。それらは以下のとおりである。
【0030】
本願発明の他の実施形態は、(1)受信後、及び前記メッセージを前記1つ又は複数の人工衛星に転送する前に、前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局から受信したメッセージを前記1つ又は複数の人工衛星内に格納するステップと; 受信後、及び前記メッセージを前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局に転送する前に、前記1つ又は複数の人工衛星から受信したメッセージを前記1つ又は複数の人工衛星内に格納するステップと、をさらに備える方法を提供する。
【0031】
本願発明の他の実施形態は、前記人工衛星システムが上述した人工衛星システムに記載の人工衛星システムである、人工衛星システムのための方法を提供する。
【0032】
本願発明の他の実施形態は、中継人工衛星として役立つ前記1つ又は複数の人工衛星が上述した人工衛星に記載の人工衛星である、人工衛星システムのための方法を提供する。
【0033】
本願発明の他の実施形態は、前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局が、赤道、中央緯度、及び極地における中継ステーションであり、前記中継ステーションはそれぞれ、地球の赤道に沿った外周に、地球の中央緯度の領域に、及び地球の極地に隣接して配置されている、人工衛星システムのための方法を提供する。
【0034】
さらに、本願発明は、追跡型アンテナの必要なしに、無線周波数の衛星間回線を使用するデータ中継人工衛星を使用することによって、地球と低軌道の地球観測衛星との間における、各軌道での通信問題を解決する。
【0035】
本願発明は、(地球上の地上局の問題を避けるために)1つ又は複数のデータ中継人工衛星、(光学レーザー端子の問題を避けるために)無線周波数技術、及び(追跡型アンテナの問題を避けるために)固定アンテナを使用する。
【0036】
本願発明の一の実施形態は、静止軌道で動作する1つの人工衛星を含む。この人工衛星は、無線周波数の衛星間回線によって、該人工衛星が地球の南極の上方を通過する低軌道の地球観測衛星への様々な通信サービスを提供することを可能にする。
【0037】
本願発明の他の実施形態は、南極に向けて指向させる固定ビームを有する静止衛星のアンテナ、及び低軌道の地球観測衛星の小さなアンテナ(例えば、詳細な説明に見られるようなアンテナ)を含む。
【0038】
本願発明のさらなる実施形態は、北極に向けて指向させる静止衛星のアンテナを採用する。
【0039】
本願発明のさらなる他の実施形態は、2つのアンテナ、すなわち、北極に向けて指向させる一のアンテナと、南極に向けて指向させる他のアンテナとを採用する。
【0040】
本願発明の他の実施形態は、一のアンテナが第1の静止衛星で北極に向けて指向されており、他のアンテナが第2の静止衛星で南極に向けて指向されている、2つのアンテナを採用する。
【0041】
ここで、及びこの明細書の後で、本願発明は、無線周波数の回線を使用して記載されている。これは、説明の目的のためのみに行われる。本願発明の全ての実施形態が、他の波長での接続において適用されることはまた、はっきりと開示される。それらの他の波長は、光学波長、特にレーザー技術での接続における波長を含む。
【0042】
それらの実施形態において、1つ又は複数の静止衛星は、低軌道の地球観測衛星への様々なデータ通信サービスを提供するであろう。該様々なデータ通信サービスは、地球と地球観測衛星との間のテレメトリ、(タスクを含む)テレコマンド、及び制御を転送することによる、テレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールサービス、及び、地球観測衛星から静止衛星を介して地球へ画像データ又はセンサーデータを転送することによる、データ中継サービス、を含む。
【発明の効果】
【0043】
本願発明は、複数の有利な技術的効果及び利益を提供する。
【0044】
[A.地球観測画像データのために]
−ユーザーへのタスクと画像供給との間の改善された応答時間。
−タスクが、各軌道で、典型的に100分ごとに、又は1周回軌道につき2度、1つのアンテナが地球の極地の上方にある2つのアンテナを有する構造によって典型的に各50分で実行されることができることを確実にするための技術。
−画像データのダウンロードが、少なくとも最も緊急性の高い画像のセットのために各軌道で実行されることができることを確実にする技術。
【0045】
[B.低地球周回軌道の人工衛星の操作者のために]
−転送回線に関して、人工衛星が南極の上方を通過する間に、1周回軌道当たり1つのタスク(又はテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロール)通信スロットの保証。1分以上の典型的な期間が本願発明によって達成される。
−戻り回線に関して、人工衛星が南極の近くにある場合に、且つ静止衛星と低軌道の地球観測衛星との間の視線方向が地球によって遮られない場合に、1周回軌道当たりの1つの画像データ中継通信スロットの保証。10〜15分の典型的な期間が本願発明によって達成される。
−本願発明は、南極に位置した仮想的な極地地上局の能力を提供する。
−低軌道の地球観測衛星の利用及び動作のコンセプトを改善するための技術が、
該人工衛星が画像を取得するときに、地表の上方のより価値のある期間の代わりに、通信の目的で南極の上方の軌道の一部を使用することによって、又は
低軌道の地球観測衛星が(複雑な操作を行う必要がある場合がある)画像取得タスクを行うときの時間と、人工衛星が通信タスクを行うときの時間との間で明らかな切断を生成することによって、
行われる。
−静止衛星を期待する地球観測操作者のために、実施されるであろう先行技術の光学レーザー端子(10〜20ミリオンユーロ/50〜60kg)の状態を含んでいる他の解決方法と比較して、低コスト/低質量の解決方法(3〜5ミリオンユーロ/10〜20kg)を提供する。
−代替技術と比較して、魅力的なコスト/利益の解決方法。
【0046】
[C.データ中継人工衛星の操作者のために]
−本願発明は、追跡型アンテナなしの解決方法を提供し、それ故に、重量の問題、寿命の問題、及び追跡型データ中継アンテナの振動の問題を減少させる。
−本願発明は、テレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールのみのために、又はミッションデータ中継通信(画像データ又はセンサーデータ)のために、又はそれら両方の組み合わせのために、使用されることができる解決方法を提供する。
−本願発明が、静止衛星で固定アンテナを使用し、それ故に転送回線のための通信セッションが(静止衛星から低軌道の地球観測衛星へ)開始され得る前に、視線方向の取得時間を避ける。この特性は、データ中継サービスの潜在的な操作時間を増加させる。
−本願発明がテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールのために静止軌道上で実施される場合に、本願発明は、テレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロール及びタスクの通信スロットが一般的に短期間であり、且つ一般的に、2つの低地球周回軌道の人工衛星が同時に地球の1つの極地の上方を通過しない場合に、大量の低地球周回軌道の人工衛星のために使用されることができる。
−追跡型のレーザーの衛星間回線又は追跡型の無線周波数の衛星間回線と比較して、本願発明がテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロール及びタスクのみのために静止軌道上で実施される場合に、本願発明は、無線周波数の衛星間回線又はレーザーの衛星間回線の良好な使用を可能にする。同時に、静止軌道は、画像データ中継サービス又はセンサーデータ中継サービスのために、付与された低地球周回軌道を追跡し、該静止軌道は、追跡サービスを停止する必要なしに、極地の上方を通過する他の低地球周回軌道の人工衛星にテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールを提供することができる。言い換えれば、本願発明は、画像データ中継及びセンサーデータ中継のために、レーザーの回線又は無線周波数の回線の良好な使用を可能にさせる。
−代替技術と比較して、費用効率の高い解決方法。
【0047】
本願発明の実施形態は、添付した図面を参照して以下に記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本願発明の重要な特徴を示す概略図である。
【図2】3次元において本願発明のシステムの幾何学的配置を示す図である。
【図3】低地球周回軌道の宇宙機が極地でビームを受け入れることを確実にするために、最小限の極地ビーム幅が必要とされることを示す図である。
【図4】単純な楕円形状ビームのためのゲインプロファイルの例を示す図である。
【図5】単純な楕円形状ビームのためのゲインプロファイルの例を示す図である。
【図6】単純な楕円形状ビームのためのゲインプロファイルの例を示す図である。
【図7】低地球周回軌道の宇宙機とのより整合的な交信時間を達成するために、ビームを寸法決めし、且つ形成するための計画を示す図である。
【図8】低地球周回軌道の宇宙機とのより整合的な交信時間を達成するために、ビームを寸法決めし、且つ形成するための計画を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
[人工衛星コンステレーション]
本願発明の一の実施形態は、人工衛星コンステレーションに関する。図1を参照すると、人工衛星コンステレーションは、少なくとも1つの静止衛星(1)と、少なくとも1つの低地球周回軌道の人工衛星(4)と、を備える。人工衛星コンステレーションは、フィーダ地上局(5)と低地球軌道の人工衛星(4)との間の視線方向が存在しないそのような場合においてでさえ、フィーダ地上局(5)と低地球周回軌道の人工衛星(4)との間で通信を提供する。
【0050】
静止衛星(1)には、1つ又は複数のアンテナが組み込まれている。該1つ又は複数のアンテナは、低地球周回軌道の人工衛星(4)の軌道(軌跡)が通過する地球の北極(3)の上方の超極地空間の区域(北極の上方の領域)に、1つ又は複数の固定超極地ビーム(fixed super-polar beams)(2)を少なくとも一時的に指向することができるのに対して、該1つ又は複数の固定超極地ビーム(2)がその区域の少なくとも一部をカバーする。
【0051】
超極地ビーム(2)の方向は、超極地空間の区域に対して少なくとも一時的に固定される。それらの固定超極地ビーム(2)は動かされることができず、特に、通信中に低地球周回軌道の人工衛星を追跡しない。それにもかかわらず、時々他の区域に超極地ビーム(2)を再度方向付けることが可能であり、例えば、宇宙施設(4)の設定を再設定するために、北極から南極へ再度方向付けることが可能である。言い換えると、超極地ビーム(2)は、低地球周回軌道の人工衛星(4)との通信を維持するために、動かされない。しかしながら、超極地ビーム(2)は、時々動かされることができる。
【0052】
低地球周回軌道の人工衛星(4)には、小さなアンテナが、静止衛星(1)との通信の目的で組み込まれる。
【0053】
地上局(5)が低地球周回軌道の人工衛星(4)と通信するように意図される場合に、地上局(5)は、フィーダ回線(6)を介して静止軌道の中継人工衛星(1)へ信号/メッセージを送信する。静止軌道の中継人工衛星(1)は、フィーダ地上局(5)から受信した信号/又はメッセージを、該低地球周回軌道の人工衛星(4)が該区域を通過する場合に、固定超極地ビーム(2)を介して低地球周回軌道の人工衛星(4)へ転送する。この転送はすぐに行われることができ、又は、信号/メッセージを格納し、且つ所定の時間で信号/メッセージを転送することによって行われることができる。
【0054】
低地球周回軌道の人工衛星(4)からフィーダ地上局(5)への通信は従って、その逆の順番で行われる。
【0055】
固定ビームのために、先行技術によって記載されるような追跡手段が必要とされていない。
【0056】
本願発明の他の実施形態において、且つ上記の実施形態に対する差異において、1つ又は複数の固定超極地ビーム(2)が北極の代わりに、地球の南極の上方の超極地空間の区域(南極に関する領域)に指向する。
【0057】
本願発明のさらなる実施形態において、及び上記の実施形態に対する差異において、1つ又は複数の固定超極地ビーム(2)は、地球の北極及び地球の南極の上方の超極地空間の区域に指向する。
【0058】
特に静止衛星(1)のテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールサービスのための有利な、本願発明の他の実施形態には、2つのアンテナが組み込まれている。すなわち、第1のアンテナが北極の上方に固定超極地ビームを指向するとともに、第2のアンテナが南極の上方に固定超極地ビームを指向する。低地球周回軌道の人工衛星が北極の上方及び南極の上方を通過する場合に、それら2つの固定超極地ビームは、低地球周回軌道の人工衛星にテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールサービスを提供する。テレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールサービスは、1周回軌道ごとに2回提供され、又は太陽同期軌道で周回している地球観測衛星に典型的に50分ごとに提供される。
【0059】
テレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールサービスのための有利な本願発明のさらなる他の発明において、2つの異なる静止衛星に2つのビームが存在する。
【0060】
本願発明のさらなる他の実施形態において、1つ又は2つの静止衛星での北極の上方及び南極の上方への2つの固定超極地ビーム(2)は、静止衛星の視野に位置した地球上の面積の上方の空間の一部をカバーすることが可能な1つ又は複数の調整可能な又は操作可能なビームによって補足される。調整可能な又は操作可能なビームは、付与された低地球周回軌道の人工衛星が調整可能な又は操作可能なビームによってカバーされた空間の一部を通過する場合に、画像データ又はセンサーデータの取得前に、擬似的な近似実時間までの緊急のタスク要求のために付与された低地球周回軌道の人工衛星にテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールサービスを提供しており、低地球周回軌道の人工衛星が北極の上方又は南極の上方を通過する場合に、1周回軌道当たり2回の、全ての他の低地球周回軌道の人工衛星に提供される一般的なテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールサービスを中断しない。
【0061】
本願発明の全ての実施形態にとって、1つ又は複数の低地球周回軌道の人工衛星(4)と1つ又は複数の静止衛星(1)の組み合わせも、開示されている。該記載は、説明を明確にする理由で、1つの静止衛星(1)のみと、1つの低地球周回軌道の人工衛星(4)のみとを使用する。
【0062】
該技術は、極軌道の低地球周回軌道プラットフォームと通信を必要とする任意の用途に適用可能である。テレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールサービス及びミッションデータ中継(画像データ又はセンサーデータ)は、本願発明にとって重要な用途として考慮される。
【0063】
各極地の通過時に、低地球周回軌道の宇宙機とのより整合的な交信時間を達成するために、ビームを寸法決めし、且つ形成するための計画は、図7及び図8にさらに提案される。
【0064】
図7は、該システムの幾何学的配置を示すのに対して、図8は、静止軌道プラットフォーム位置(geostationary platform location)に対する極軸に関するそれらの軌道面の角度にかかわりなく、全ての低地球周回軌道の交信に共通している最小限の交信時間を最大化させるビームの近似法を画定する方法を示す。
【0065】
低地球周回軌道の軌道面と静止軌道の位置との間の角度にかかわりなく、静止軌道と低地球周回軌道との間の最小限の交信時間を均一にするための計画は、図7及び図8によって図示される。
【0066】
図7は、その極軌道において静止軌道プラットフォームと低地球周回軌道プラットフォームとの間の交信の幾何学的配置を示す。
【0067】
内側の円は地球を示し、外側の円は低地球周回軌道を示す。
【0068】
低地球周回軌道に接した静止軌道からの上部ラインは、静止軌道から見て、低地球周回軌道の最も高い仰角に対応する。
【0069】
地表に接した下部ラインは、静止軌道から見て、低地球周回軌道の最も低い超極地の仰角に対応する。
【0070】
それらのラインは、超極地ビームの仰角範囲を画定する。
【0071】
上部ラインと下部ラインとの間の暗い円弧によって表された低地球周回軌道の影付き部分は、低地球周回軌道の軌道面が地球から静止軌道へのベクトルと一直線になる場合、すなわち低地球周回軌道の軌道が静止軌道に対して縁部(edge on)になる場合に、該ビーム内の低地球周回軌道の一部を示す。これは、低地球周回軌道のための最も長い交信時間を付与する低地球周回軌道の軌道面の相対的な向き及び静止軌道位置を表す。
【0072】
南北線(north south line)の両側の2つの直径は、静止軌道の縁部から見て、98.6°の傾角の太陽同期軌道に対応する。
【0073】
図8は(読み手の視野とともに)第1の静止軌道からの緯度90°で静止軌道から見るのと同一の幾何学的配置を示しており、それによって、低地球周回軌道の軌道面は、地球と静止軌道との間のベクトルに対して垂直である。この幾何学的配置は、低地球周回軌道と静止軌道との間の最小限の交信時間に対応する。
【0074】
重畳楕円(superimposed ellipse)は、静止軌道から見てビーム形状を示す。
【0075】
仰角の範囲は、図7で確認された仰角の範囲に対応する。楕円の方位角の範囲は、低地球周回軌道の軌道面と静止軌道の位置との間の任意の角度のために、低地球周回軌道と静止軌道との間の最小限の交信時間をできるだけ等しくするように選択される。これは、楕円の左手側で制限した交信ポイントを、図7(影付きの円弧の端部)に示された幾何学的配置で低地球周回軌道と静止軌道との間の制限した交信ポイントに設定することによって、且つ、極地に関して対称的なパターンを形成することによって、行われる。
【0076】
この幾何学的配置における低地球周回軌道の交信時間は、楕円によって境界付けられた影付きの円弧の部分に対応する。低地球周回軌道と静止軌道との間の交信は、低地球周回軌道及び静止軌道の向きにかかわりなく、少なくともこの長さとされるべきであり、それによって、個々の交信の幾何学的配置と無関係で、かなりうまく均一にされた最小限の交信時間を提供する。
【0077】
これの効果は、表3に示された交信時間の分析結果によって図示される。
【0078】
三次元における人工衛星コンステレーションの幾何学的配置は、図2に示される。この場合において、北極へのビーム及び南極へのビームの両方は、800kmから1000kmの高度の低地球周回軌道の人工衛星の軌道とともに示される。
【0079】
本願発明は、無線周波数の回線を使用して記載されている。これは、説明の目的のためのみに行われる。本願発明の全ての実施形態が、他の波長での接続において適用されることはまた、はっきりと開示されている。それらの他の波長は、光学波長、特にレーザー技術での接続における波長を含む。
【0080】
[衛星通信のための方法]
本願発明の一の実施形態は、衛星通信のための方法に関する。図1を再び参照すると、この方法は、以下のステップを備える。
【0081】
静止衛星(1)は、1つ又は複数の固定超極地ビーム(2)が地球の北極の上方の超極地空間の区域(北極の上方の領域)に指向するそのような方法で、1つ又は複数のアンテナを方向付ける。その前に又はその後で、フィーダ地上局(5)は、静止衛星(1)に対するフィーダ回線(6)を確立する。両方の回線を確立した後で、フィーダ地上局(5)は、フィーダ回線(6)を介して静止衛星(1)にメッセージを送信する。静止衛星(1)は、低地球周回軌道の人工衛星が固定超極地ビーム(2)のうちの1つの内にある場合に、該メッセージを、固定超極地ビーム(2)を介して低地球周回軌道の人工衛星(4)に中継する。低地球周回軌道の人工衛星(4)からフィーダ地上局(5)への通信は、それに応じて行われる。該低地球周回軌道の人工衛星(4)は、低地球周回軌道の人工衛星(4)が固定超極地ビーム(2)のうちの1つ内にあるときはいつでも通信することができる。
【0082】
静止衛星は、実時間で、又は(2つの回線が確立され、且つデータがちょうど中継されることを意味する)同期式の方法で、又はメッセージを緩衝記憶するオンボードメモリでの非同期式の方法で、作動することができる。
【0083】
本願発明の方法における他の実施形態において、且つ上記の実施形態に対する差異において、1つ又は複数の固定超極地ビーム(2)は、北極の代わりに、地球の南極の上方の超極地空間の区域(南極に関する領域)に指向する。
【0084】
本願発明の方法におけるさらなる実施形態において、且つ上記の実施形態に対する差異において、1つ又は複数の固定超極地ビーム(2)は、地球の北極の上方の超極地空間の区域及び地球の南極の上方の超極地空間の区域に指向する。
【0085】
本願発明の全ての実施形態にとって、1つ又は複数の低地球周回軌道の人工衛星と1つ又は複数の静止衛星の組み合わせはまた、開示されている。該説明は、説明を明白にするために、1つの複数の静止衛星のみと、1つの低地球周回軌道の人工衛星のみと、を使用する。
【0086】
該技術は、極軌道の低地球周回軌道プラットフォームとの通信を必要とする任意の用途に適用可能である。テレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールデータ及びミッションデータの中継用途は、本願発明のための重要な用途として考慮される。
【0087】
本願発明は、無線周波数の回線を使用して記載されている。これは、説明の目的のためのみに行われる。本願発明の全ての実施形態が、他の波長での接続において適用されることはまた、はっきりと開示される。それらの他の波長は、光学波長、特にレーザー技術での接続における波長を含む。
【0088】
[静止衛星]
本願発明の一の実施形態は、人工衛星コンステレーションの静止衛星に関する。
【0089】
静止衛星(1)には、1つ又は複数のアンテナが組み込まれている。該1つ又は複数のアンテナは、地球の南極の上方の超極地空間の区域(南極の上方の領域)で、且つ/又は地球の北極の上方の超極地空間の区域(北極の上方の領域)で、1つ又は複数の固定超極地ビーム(2)を指向させることを可能にする
【0090】
言い換えると、静止軌道の中継人工衛星(1)内に必要とされた装置は、超極地空間の適用範囲を提供することを可能であるアンテナシステムである。該アンテナシステムは、要求された極地における適用範囲を達成するために、単一のビーム又は複数のビームを使用することができ、且つ1つ又は両方の極地領域をカバーすることができる。該システムの重要な態様は、極地ビームの適用範囲パターンであり、且つ多くのアンテナ技術は、このビームパターンを実現するために使用されることができる。
【0091】
極地における適用範囲の正確な形状のいくつかの変形体はまた、該システムの技術的範囲内で可能である。例えば、静止軌道プラットフォーム内で採用可能なアパーチャに応じて、且つ特定のミッション計画のために必要とされた低地球周回軌道の宇宙機との交信特性に応じて、単純な楕円形状のビームが投影されてもよく、又は地球の湾曲により正確に一致する形状のビームが投影されてもよい。
【0092】
単一のリフレクタ及びフィーダの配置は、要求されたパターンを発生させるために使用されてもよく、該システムの代替的な実施として、複数のアンテナフィーダは、重複している一連の小さなスポットビームと同一の全体的なビームの適用範囲を発生させるために使用されてもよい。このアプローチは、付加的な複雑性(フィーダ調節、あらゆる特別な増幅器、及び/又はビーム切替配置)の犠牲にして、低地球周回軌道の宇宙機(4)に向けてビームのゲインを増大させる可能性を付与する。
【0093】
完全に作動するデータ中継システムを生成するために必要とされる付加的な装置は、静止軌道プラットフォーム(1)と地上との間の回線を提供するためのフィーダ回線アンテナと、通信トランスポンダー(透過とされてもよく、又は再生式(regenerative)とされてもよい)と、を含む。
【0094】
再生式のトランスポンダーは、低地球周回軌道の宇宙機のためのタスクコマンドの「格納及び転送」サービスを提供するために、オンボードメモリを含んでもよく、それによって、低地球周回軌道の宇宙機が視野に入るまで、静止衛星(1)内に該タスクコマンドを緩衝記録する。
【0095】
代替的には、該コマンドは、データの循環ストリームブロードキャスト(cycling stream broadcast)の一部として繰り返し放送されてもよく、低地球周回軌道の人工衛星(4)がメッセージを受信し、且つ低地球周回軌道の人工衛星(4)に宛てられたメッセージを抽出することができる。
【0096】
複数のアンテナ技術は、ミッション要求に従って、低地球周回軌道の人工衛星(4)への回線を実現するために使用されることができる。低速のテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロール及びタスクの用途のために、低指向性アンテナは使用されてもよく、該低指向性アンテナは固定幾何学的形状のビームを有することができる。切替型パッチアンテナ又はパッチアレイは、この用途のために使用されてもよい。高速のミッションデータ中継の用途のために、操作可能ないくつかのビームの形態を有する高指向性アンテナが使用されてもよい。例えば、それは、極地の上方での僅かな東西方向の操作とされることができ、低速のテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールとともに、極地の上方の他の全ての低地球周回軌道の人工衛星に役立つように、十分な帯域幅を維持する。
【0097】
本願発明は、無線周波数の静止軌道のデータ中継人工衛星として、回線の静止軌道上の端部で実施されており、該無線周波数の静止軌道のデータ中継人工衛星は、本願発明の特定の固定ビームの極地における適用範囲を使用して、静止衛星と低地球周回軌道の人工衛星との間の回線をサポートする。
【0098】
本願発明は、無線周波数の回線を使用して記載されている。これは、説明の目的のためのみに行われる。本願発明の全ての実施形態が、他の波長での接続において適用されることはまた、はっきりと開示される。それらの他の波長は、光学波長、特にレーザー技術での接続における波長を含む。
【0099】
[低地球周回軌道の人工衛星]
本願発明の一の実施形態は、人工衛星コンステレーションの低地球周回軌道の人工衛星(4)に関する。
【0100】
本願発明を使用するために必要とされる低地球周回軌道の宇宙機(4)の装置は、低地球周回軌道プラットフォーム(4)の能力及び特定の低地球周回軌道ミッションのデータレート要求に従って変更されることができる。必要とされる装置は、(1)衛星間回線のアンテナシステム(固定された低指向性のアンテナ又は操作可能な低指向性のアンテナ)と、(2)衛星間回線の送受信無線周波数装置と、(3)衛星間回線のモデムシステムと、を備える。
【0101】
テレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロール及びタスクの用途のために、接続は衛星間回線のモデムシステムとプラットフォーム飛行コンピュータシステム/航空電子装置との間に必要とされており、それによって、静止軌道の中継人工衛星(1)から受信したテレメトリコマンド及びタスクデータを飛行制御コンピュータ又はミッション制御コンピュータに伝達し、且つ静止軌道の中継人工衛星(1)への伝達のために、航空電子装置からテレメトリデータを得ることができる。
【0102】
ミッションデータ中継の用途のために、接続は衛星間回線のモデムシステムとペイロードデータハンドリング/大量メモリシステムとの間に要求されており、それによって、静止軌道の中継人工衛星を介して地上への伝達のために、衛星間回線のモデムシステムにミッションデータを伝達する。
【0103】
複数のアンテナ技術は、ミッション要求に従って、静止軌道の中継人工衛星(1)への回線を実現するように使用されてもよい。低速のテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールの用途のために、低指向性アンテナは使用されてもよく、該低指向性アンテナは固定幾何学的形状ビームを有することができる。切替型パッチアンテナ又はパッチアレイは、この用途のために使用されてもよい。高速のミッションデータ中継の用途のために、操作可能ないくつかのビームの形態を有する高指向性アンテナは、使用されてもよい。
【0104】
操作可能なビームは、可動アンテナの機械的操作及び電気的操作を介して、又は固定アンテナが使用されるホストプラットフォームのポインティングを介して、達成されてもよい。
【0105】
本願発明は、無線周波数の回線を使用して記載されている。これは、説明の目的のためのみに行われる。本願発明の全ての実施形態が、他の波長での接続において適用されることはまた、はっきりと開示される。それらの他の波長は、光学波長、特にレーザー技術での接続における波長を含む。
【0106】
[本願発明が実現しようとしている用途に対処する現在のシステム]
本願発明に類似の用途のために使用された現在のシステムは、地上局、極地における地上局、及び追跡型衛星間回線である。
【0107】
地上局及び極地における地上局は、極軌道の低地球周回軌道の人工衛星からのテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロール及びミッションデータリカバリーのために、使用されてもよい。
【0108】
追跡型衛星間回線を備えた静止衛星はまた、極軌道の低地球周回軌道の人工衛星からのテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロール及びミッションデータ中継のために、使用されてもよい。
【0109】
[現在の代替システムと比較した本願発明の利点]
[地上局]
地上局は一般に、低地球周回軌道と地上との間の視野が低い緯度に起因して減少するので、極地における地上局より低い性能を有する。極地の地上局の発明における利点(1)、(2)、(3)、(4)、(8)、及び(9)は、地上局に適用する。
【0110】
[極地の地上局]
現在の極地における地上局システムに対する本願発明の1つの重要な利点は、(1)全ての軌道上の低地球周回軌道の宇宙機との通信、(2)各極地を通過する時に、より整合的な通信交信時間、(3)各交信中の回線特性の低い変動性、(4)北極及び南極の両方での即時の通信、(5)データリカバリーのためのエンドユーザーのアクセスの容易性、(6)外国における地上施設への製作及び/又はアクセスのための国際承認の必要性の除去、(7)外国における施設を介してタスクと関連した安全保障問題の排除、(8)複数の低地球周回軌道プラットフォームとの同時通信、及び(9)低地球周回軌道の人工衛星に並行して役立つための多くの地上アンテナの必要性の除去、を含む。
【0111】
それらの利点は、以下にさらに説明される。
【0112】
極地における地上局と比較した場合に、本願発明の利点は、低地周回軌道の宇宙機が、全ての軌道上で通信することを可能にすることである。一方、従来の極地における地上局の位置は、極軌道の低地球周回軌道の人工衛星が、全ての軌道で見られることを可能にせず、交信が不可能であるいくつかのギャップ軌道(gap orbit)を有する。
【0113】
さらに、本願発明は、極地通過ごとのより整合的な最小限の交信時間を提供することができる。一方、低地球周回軌道の人工衛星との極地における地上局の交信時間は、ある軌道から他の軌道へ(from orbit to orbit)かなり変化することができる。
【0114】
幾何学的配置及び回線特性はまた、本願発明を使用して静止軌道から、極地における地上局との交信期間に亘って、著しく、かつ迅速に変化することができ、視角及び経路長さの変化の割合はあまり重要ではない。
【0115】
ミッションデータリカバリーの用途のために、極地における地上局位置の遠隔性は、極地における地上局からデータのエンドユーザーへデータを復元する場合に、重大な問題を呈する場合がある。本願発明において、エンドユーザーは、静止軌道の中継人工衛星にフィーダ回線をアクセスすることができ、且つデータを直接的に復元することができる。
【0116】
さらに、極地における地上局システムは複数の国における設備を必要としており、これはエンドユーザーと同一ではなくてもよい。これは、新しい極地における地上設備が必要となった場合に国際承認問題を呈する場合がある。
【0117】
さらに、テレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールの用途のために、低地球周回軌道の宇宙機への伝達ために、極地における地上局へタスクデータ及びテレコマンドデータを得ることは、データが外国を通過しなければならない、又は外国へ移動しなければならないとの安全性のリスクを呈する場合がある。低地球周回軌道の宇宙機と通信するために、本願発明を使用して静止衛星へのフィーダの直接的なアクセスは、この問題を除去することができる。
【0118】
現在の極地における地上局システムに対する本願発明のさらなる利点は、両方の極地で通信を即時に可能にすることである。一方、任意の商業的に利用可能である極地における地上局が南極で建設される可能性が現在のところ、ほとんどない。
【0119】
追加の柔軟性は、データ転送のための絶好の機会を2倍にし、低地球周回軌道の宇宙機の全ての軌道上での2回のテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールの交信スロットのための可能性を提供する。
【0120】
南極から北極へ移動する宇宙機のために、南極のテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールのスロットの供給は、南極−北極の経路のためのタスク指示が、通過直前に、タイミングよく低地球周回軌道の人工衛星に送信されてもよいことを意味する。
【0121】
低地球周回軌道の人工衛星が視野を横切って迅速に移動するにつれて、極地における地上局のアンテナが、低地球周回軌道の人工衛星を指向し、且つ低地球周回軌道の人工衛星を追跡する必要があるとの事実は、1つのアンテナが、その視野において、どの時点においても1つの低地球周回軌道の人工衛星のみに役立つことができることを意味する。これは、固有の容量制約(capacity constraint)を生み出し、多くの人工衛星に役立つために、多くのアンテナが、相当の設備費用とともに必要とされることを意味する。本願発明とともに、該システムは原理上、拡張した極地における適用範囲が、1つの低地球周回軌道の宇宙機を正確に指向する空間的な制約が取り除かれることを意味するので、時分割多重アクセス方式/周波数分割多元接続方式/符号分割多重アクセス方式で、同時に極地ビームの視野内で多くの低地球周回軌道の人工衛星と通信するために使用されることができる。
【0122】
[追跡型衛星間回線]
現在の追跡型衛星間回線システムに対する本願発明の1つの重要な利点は、(1)複数の低地球周回軌道の宇宙機が、1つずつというより同時に役立つことができる、(2)静止軌道の中継プラットフォーム内の軽量で、低電力で、低複雑性且つ低コストの装備、(3)追跡機構に関連した寿命問題又は故障モードが発生しない、(4)旋回トルク又は微小振動を介したペイロードの外乱が発生しない、及び(5)通信が開始され得る前に必要とされる静止軌道プラットフォームアンテナの事前指向及び旋回を必要としない、を含む。
【0123】
それらの利点が以下にさらに説明される。
【0124】
最後の点に対する類似の考慮が追跡型衛星間回線に適用する。アンテナが、低地球周回軌道の宇宙機が1つずつに制限される状態で単一の低地球周回軌道の宇宙機の通信を追跡するように操作されるので、複数のユーザーに関して該システムの能力を制限する。一方、本願発明は、利用可能なスペクトル帯域及び送信電力の制約内で並行して/同時に、多くのユーザーに黙示的に役立つことができる。
【0125】
従来の追跡型衛星間回線は、フィーダ設備及び無線周波数設備に関して本願発明に類似であるが、アンテナに関して異なる。開ループ又は閉ループの追跡システムを有する、迅速に走査するアンテナ指向機構に取り付けられた従来の巨大なアンテナは、必要とされる。該アンテナは、低地球周回軌道の宇宙機の移動を追跡するために迅速に走査され、且つ通信回線が確立されることを可能にする。
【0126】
これと比較して、本願発明は、静止軌道プラットフォーム内の設備が、質量要求、電力要求、及び操作システム及び追跡システムの複雑さなしに、非常に単純な固定ビーム(又は調整された/制限された運動のみ)であるとの利点を提供する。
【0127】
追跡型衛星間回線におけるアンテナ操作機構はまた、制限された寿命を有する場合があり、又は、良好な寿命を達成するために、高価で、複雑な構成要素を必要とする場合がする。該機構の故障はさらに、能力の損失をもたらし、それに故に、本願発明は、追跡型衛星間回線より潜在的に高い信頼性を有する。
【0128】
迅速な旋回イベント及び追跡型アンテナはまた、伴ったトルク及び質量に起因してホストプラットフォームの姿勢の外乱を介して、又は発生した微小振動を通じて、他の人工衛星ペイロードを破壊する場合がある。本願発明の固定アンテナは、機構の寿命問題を有しておらず、さらに、機構故障シナリオを有しておらず、ペイロード内の他の構成要素に対して破壊的ではない。
【0129】
その固定された適用範囲とともに、本願発明は、通信が開始されることができ、且つ追跡型衛星間回線が行われる前に、初期指向/ビーム旋回期間を必要としない。現在のシステムにおいて、この期間は、数分の長さとされる場合がある。
【0130】
光学的データ中継に対するこのシステムの利点は、異なる特性及び異なるデータ速度要求を有する低地球周回軌道プラットフォームの広い範囲がサポートされることができることである。
【0131】
[適用範囲及び交信時間]
98.6°で傾斜した太陽同期軌道及び、600km〜1000kmの高度の従来の低地球周回軌道を考慮して、最小限の極地ビーム幅は、低地球周回軌道の宇宙機が、両者が地球の周りを周回するので、極地ビームを発生させる静止軌道プラットフォームに対する低地球周回軌道の軌道面の向きにかかわりなく、極地でビームを受け入れることを確実にするように要求される。これは、図3に図示される。
【0132】
計算は、南北に1°で東西に3°のアスペクトのアンテナビームが、静止軌道の相対位置及び低地球周回軌道の軌道面に従って、極地の上方の静止軌道から見て、低地球周回軌道の宇宙機の制限した位置を含むであろうことを示す。
【0133】
このビームのためのKaバンドにおける約0.8mの穴を有するリフレクタによって発生した単純な楕円形状のビームのための例示的なゲインプロファイルは、図4、図5、及び図6に示される。約36dBiのゲインが予測される。
【0134】
飛行動力学解析は、このビームのために、1000kmの高度の低地球周回軌道の構成で行われた。計算は、表1に要約される。
【0135】
【表1】

【0136】
最大交信期間は約15.5分であり、これは、低地球周回軌道の軌道軌跡がビームの軸と一直線上になる場合に対応しており、拡大した交信時間を付与する。
【0137】
最小期間は5分であり、これは、低地球周回軌道の軌道軌跡がビームに対して横断する場合に対応しており、低地球周回軌道の人工衛星がビームを迅速に通過する。それ故に、この最小限のビーム構成は、整合的な交信時間を提供しない。
【0138】
低地球周回軌道の軌跡の相対的な向き及び静止軌道の軌道位置、及びそれ故に、極地ビームの軸から独立している良好な最小限の交信時間を確実にすることは、所望され得るであろう。
【0139】
図7における該システムの幾何学的配置を再び考慮して、我々は、その軌跡がビームの軸と一直線上になる低地球周回軌道が、濃い灰色の線によって強調されたその軌道の一部と接触する状態であることを理解する。
【0140】
1000kmの軌道高度のために、この円弧に沿った低地球周回軌道の視野の遠い地点が、地球中心から、地球の北極軸に対して約21°で傾斜している低地球周回軌道への放射状のベクトルを有する。我々が、該ベクトルを北極軸の周りで180°回転させる場合に、我々は近似のビームを画定することができ、該近似のビームは、静止軌道プラットフォーム位置に対して極軸に関するそれらの軌道面の角度にかかわりなく、全ての低地球周回軌道の人工衛星の交信に共通する最小限の交信時間を最大化させる。これは、図8に示される。
【0141】
実際のビームに対する第1の近似は、南北の1.5°×東西の7.5°の楕円形状のビームとして行われており、交信時間の飛行動力学解析は、このビームの角度プロファイルのために導かれる。この分析のために、楕円形状のプロファイルというよりは矩形状のプロファイルは、モデリングツールの制約に起因して使用される。該ビームのゲインは、単一のフィーダ及びリフレクタを使用して約30dBと見積もられる。このビームのプロファイルは、3つの別個のフィーダ及び1つのリフレクタによって発生した3重のビームとして実施されるための良好な候補となり、類似の適用範囲とともに高いゲインを提供する。
【0142】
赤い円弧(red arc)に沿った経路長さは、約38,000kmと約45,000kmの間で変化する。天底に対する低地球周回軌道の人工衛星の視角は、約120°と約60°との間で変化する。計算は、表2に要約される。
【0143】
【表2】

【0144】
飛行動力学解析は、表3に要約される。
【0145】
【表3】

【0146】
それらの結果は、最大交信時間、最小交信時間、及び15分の平均交信時間を有する平均交信時間のより密接したグループを示している。北極及び南極の両方で使用される場合、極地交信ごとの15分の交信時間は、約30分の合計交信時間、又は従来の100分の低地球周回軌道の軌道周期のための全軌道の約30%を付与する。ビームプロファイルに対するより多くの制御を有するより詳細な解析は、より良好な結果を証明することができる。
【0147】
ビームの中心位置、角直径(angular diameter)、及び形状のさらなる最適化は、交信時間プロファイル及びビームゲインを個々のミッション要求に適合することを可能にする。
【0148】
通信交信期間及びビームゲインの両方は、極地ビームの寸法を調節することによって影響を及ぼされる。一般に、該システムとともに、極地ビームのゲインと低地球周回軌道の宇宙機との利用可能な交信時間との間で行われる潜在的なトレードが存在する。
【0149】
個々の低地球周回軌道の宇宙機に役立つシステムのために、短時間の高速の交信と長時間の低速の交信との間の選択が存在する。
【0150】
複数の低地球周回軌道の宇宙機の低速のタスクのために、拡張された適用範囲のビームは、交信計画に対してより多くの柔軟性を付与し、回線資源(link resources)のタイムシェリングを可能にする。
【0151】
[用途及び回線性能]
本願発明は、極軌道の低地球周回軌道プラットフォームとの通信を必要とする用途の範囲に適用可能である。
【0152】
考慮される重要な用途としては、テレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロール/タスク及びミッションデータの中継がある。
【0153】
約36dBiの静止軌道の中継人工衛星からの極地ビームのゲイン及びBPSKモジュールによる連接RS型ビタビコード(concatenated RS-Viterbi code)の使用を仮定して、可能な回線供給(possible link budgets)の初期分析は、表4に要約されるような結果を付与する。
【0154】
【表4】

【0155】
この例において、従来のテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールのデータ速度は、10dBi以下の低指向性アンテナで達成される場合がある。
【0156】
ミュンヘン技術大学によって開発されたKa ISL LISAアンテナ(Ka ISL LISA antenna)に対応するアレイアンテナ、又は37dBiでイリジウム衛星群を使用するCOMDEVのKaバンドの衛星間回線に対応するアレイアンテナは、5Mbps以上の速度をサポートすることができる。北極の交信及び南極の交信の両方を使用して、約12.5Gbpsのミッションデータが伝達されることができる。
【0157】
[高速のデータ中継速度を得ること]
低地球周回軌道の付与した出力及びアンテナアパーチャの能力のために、データ中継性能は次いで、静止軌道のアンテナのゲインによって大きく影響を与えられる。静止軌道のアンテナのゲインは、本願発明の技術的範囲内で増大させることができると同時に、静止軌道のアンテナアパーチャを拡張し、且つ適用範囲領域を一連の小さくて高いゲインスポットのビームに分割することによって、同一の重要な極地における適用領域を維持する。
【0158】
固定サブビームは、大きなリフレクタ及び複数の固定フィードホーン(feed horn)によって発生する場合がある。柔軟性のあるサブビームは例えば、アンテナフィーダ要素のアレイとビーム形成ペイロードとを使用して発生する場合がある。
【0159】
この場合において、極地における適用範囲領域内のビームは、低地球周回軌道の人工衛星が適用範囲領域を通じて移動するにつれて、低地球周回軌道が一のビームから他のビームへ切り替わる状態で、該領域をカバーするために、擬似的な静的状態とされてもよく、又はそれが移動するにつれて、低地球周回軌道を効果的に追跡するように適応的に最適化され、その方向におけるゲインを最適化し、それ故に、処理量を最適化してもよい。
【0160】
高速のゲインビームシステムは、データ速度の能力を数百Mbps体制(regime)まで押し上げる潜在能力を有する。
【0161】
[発明の使用]
本願発明の1つの使用は、低軌道の地球観測衛星が、静止衛星の1つのアンテナが指向される地球の極地の上方を通過する間に、低軌道の地球観測衛星のためのテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールサービスを提供することに関する。
【0162】
本願発明の他の使用は、低軌道の地球観測衛星が、静止衛星の1つのアンテナが指向される地球の極地の上方を通過する間に、低軌道の地球観測衛星のためのテレメトリ・テレコマンド・アンド・コントロールサービス、及び画像データ又はセンサーデータの中継サービスを提供することに関する。
【符号の説明】
【0163】
1 静止衛星、静止軌道の中継人工衛星
2 固定超極地ビーム
3 地球の北極
4 低地球周回軌道(極軌道)の人工衛星
5 フィーダ地上局
6 フィーダ回線
7 低地球周回軌道(極軌道)
8 静止軌道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球の周りの一の軌道(8)で動作する人工衛星(1)と、
地球の周りの他の軌道(7)で動作する人工衛星(4)と、
を備える人工衛星システムにおいて、
前記人工衛星(1)が、固定ビーム(2)を、前記人工衛星(4)が通過する地球表面の上方の区域に少なくとも一時的に指向することを特徴とする人工衛星システム。
【請求項2】
前記人工衛星(1)は、静止衛星であり、前記地球の周りの一の軌道(8)は、静止軌道であり、前記人工衛星(4)は低地球周回軌道の人工衛星であり、前記地球の周りの他の軌道(7)は低地球周回軌道であることを特徴とする請求項1に記載の人工衛星システム。
【請求項3】
前記人工衛星(1)は、2つ以上の固定ビーム(2)を、少なくとも1つの人工衛星(4)がそれらの区域のそれぞれを通過する地球表面の上方の2つ以上の区域に少なくとも一時的に指向させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の人工衛星システム。
【請求項4】
前記人工衛星(1)は、1つの固定ビーム(2)を、地球の北極(3)の上方の超極地空間又は地球の南極の上方の超極地空間に少なくとも一時的に指向させ、又は第1の固定ビームを地球の北極の上方の超極地空間へ少なくとも一時的に指向させ、且つ第2の固定ビームを地球の南極の上方の超極地空間へ少なくとも一時的に指向させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の人工衛星システム。
【請求項5】
地球上の人工衛星地上局(5)をさらに備えており、該地球上の人工衛星地上局(5)と1つ又は複数の人工衛星(4)との間の通信が、それらの通信のための中継人工衛星として動作する前記人工衛星(1)を介して送信されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の人工衛星システム。
【請求項6】
前記人工衛星(1)と前記1つ又は複数の人工衛星(4)との間の通信は、前記人工衛星(1)の固定ビーム(2)を介して行われることを特徴とする請求項5に記載の人工衛星システム。
【請求項7】
前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局(5)は、赤道、中央緯度、及び極地の中継ステーションであり、該中継ステーションはそれぞれ、地球の赤道に沿った外周に、地球の中央緯度の領域、及び地球の極地に隣接して配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の人工衛星システム。
【請求項8】
地球の周りの軌道(8)で動作する人工衛星(1)であって、
1つ又は複数のアンテナを備えており、該アンテナは、1つ又は複数の固定ビーム(2)を1つ又は複数の地球表面の上方の区域に少なくとも一時的に指向していることを特徴とする人工衛星。
【請求項9】
前記人工衛星(1)は、静止衛星であり、前記軌道(8)は静止軌道であることを特徴とする請求項8に記載の人工衛星。
【請求項10】
前記1つ又は複数の区域は、前記地球の北極の上方の超極地空間、又は前記地球の南極の上方の超極地空間、又は北極及び南極の上方の超極地空間であることを特徴とする請求項8又は9に記載の人工衛星。
【請求項11】
前記人工衛星(1)は、1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局(5)と、地球の周りの軌道(7)で周回している1つ又は複数の人工衛星(4)との間の通信のための中継人工衛星となることを可能にする手段をさらに備えており、前記人工衛星(1)は、1つ又は複数の人工衛星(4)との通信のために、その固定ビーム(2)を使用することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の人工衛星。
【請求項12】
前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局(5)は、赤道、中央緯度、及び極地の中継ステーションであり、該中継ステーションはそれぞれ、地球の赤道に沿った外周に、地球の中央緯度の領域、及び地球の極地に隣接して配置されていることを特徴とする請求項11に記載の人工衛星。
【請求項13】
地球の周りの軌道(8)で動作する1つ又は複数の人工衛星(1)と、
地球の周りの軌道(7)で動作する1つ又は複数の人工衛星(4)と、
1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局(5)と、
を備えている人工衛星システムのための方法であって、
前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局(5)からのメッセージを、前記1つ又は複数の人工衛星(1)で回線(6)を介して受信するステップと、
前記1つ又は複数の人工衛星(1)の固定ビーム(2)を介して、格納されたメッセージを前記1つ又は複数の人工衛星(4)のそれぞれに転送するステップと、
前記1つ又は複数の人工衛星(1)の固定ビーム(2)を介して、1つ又は複数の人工衛星(4)からのメッセージを受信するステップと、
格納されたメッセージを、前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局(5)のそれぞれに転送するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項14】
受信後、及び前記メッセージを前記1つ又は複数の人工衛星(4)に転送する前に、前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局(5)から受信したメッセージを前記1つ又は複数の人工衛星(1)内で格納するステップと、
受信後、及び前記メッセージを前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局(5)に転送する前に、前記1つ又は複数の人工衛星(4)から受信したメッセージを前記1つ又は複数の人工衛星(1)内で格納するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記人工衛星システムが、請求項1〜7のいずれか一項に記載の人工衛星システムであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ又は複数の人工衛星(1)は、請求項8〜12のいずれか一項に記載の人工衛星であることを特徴とする請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ又は複数の地球上の人工衛星地上局(5)は、赤道、中央緯度、及び極地の中継ステーションであり、前記中継ステーションはそれぞれ、地球の赤道に沿った外周に、地球の中央緯度の領域、及び地球の極地に隣接して配置されていることを請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公表番号】特表2012−532547(P2012−532547A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518780(P2012−518780)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003735
【国際公開番号】WO2011/003512
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(507115252)アストリウム・エス・エー・エス (13)
【Fターム(参考)】